(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記通液部には、前記線材として、第1方向に延びる複数本の第1線材が、相互間に間隔をおいて互いに平行に配され、且つ第1方向と交差する第2方向に延びる複数本の第2線材が、相互間に間隔をおいて互いに平行に配されており、
前記第1線材と前記第2線材とは、互いに交差した状態に一体化されており、
前記第1線材間の間隔及び前記第2線材間の間隔のうちの短い方の間隔が、2mm以上5mm以下である、請求項1又は2に記載のペット用トイレ。
前記相互間に間隔をおいて互いに平行に配された前記複数本の線材は、隣り合う線材の下端の高さ位置の差が5mm以下である、請求項1〜4の何れか1項に記載のペット用トイレ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の一実施形態であるペット用トイレ1(以下、トイレ1ともいう)の基本構成が示されている。トイレ1は、
図1に示すように、トイレ本体10を上層部分Aと下層部分Bとに区画する仕切り部3を備えている。
トイレ本体10は、
図2に示すように、上層部分Aに、多数のペレット状の排泄物処理材20が敷設される砂収容部11を有している。また、トイレ本体10は、
図1に示すように、下層部分Bに、トレー16を出し入れ可能に収容するトレー収容部15を有している。
トレー収容部15は、上部に開口を有する容器12の下部に設けられている。容器12は、その内周面に、内方に向かって突出する突起又は段部からなる支持部(図示せず)を備えており、上方から砂収容部11を嵌め込むことにより、砂収容部11を、該容器12の上部に脱着自在に固定可能になされている。
【0011】
トレー16には、
図3に示すように、尿等の排泄液を吸収及び保持する吸収性部材21が収容される。トレー16は、薄底で平面略矩形形状をなし、トレー収容部15に出し入れ可能である。トレー16に吸収性部材21を収容し、該トレー16をトレー収容部15に収容した状態においては、鉛直上方から見て、砂収容部11の底部に位置する仕切り部3の簀の子状の通液部31と吸収性部材21とが重なった状態となる。吸収性部材21は、簀の子状の通液部31の全体と重なる大きさを有することが好ましい。
ペットが排泄した尿等の排泄液は、トイレ本体10の上層部分Aにおいて、砂収容部11の排泄物処理材20を伝って仕切り部3の通液部31を通過し、下層部分Bにおいて、トレー16に収容された吸収性部材21の上に落下する。
【0012】
仕切り部3は、簀の子状の通液部31を有している。通液部31は、互いに平行に延びる複数本の線材を有して構成されており、より詳細には、通液部31の第1方向Y又は第2方向Xの中心線の両側に複数本の線材をそれぞれ有している。本実施形態における仕切り部3の通液部31には、
図3(a)に示すように、第1方向Yに延びる複数本の第1線材32が、相互間に間隔をおいて互いに平行に配されており、また第1方向Yと交差する第2方向Xに延びる複数本の第2線材33が、相互間に間隔をおいて互いに平行に配されている。複数本の第1線材32は、
図3(a)に示すように、第2方向Xに等間隔に配されていることが好ましく、複数本の第2線材33も、
図3(a)に示すように、第1方向Yに等間隔に形成されていることが好ましい。そして、それら複数本の第1線材32と複数本の第2線材33とが、互いに交差した状態に一体化されている。
【0013】
第1線材32と第2線材33とが、このように配置されていることにより、仕切り部3の通液部31には、枠部30又は線材32,33に周囲を囲まれた平面視矩形状の通液孔310が、第1方向Y及び第2方向Xのそれぞれに直列状態に複数形成されている。第1方向Yと第2方向Xとは、
図3に示すように、平面視において互いに直交する方向であることが好ましいが、それに限られない。また、本実施形態における仕切り部3は、通液部31の周囲に、通液孔310を有しない枠部30を有している。
【0014】
本実施形態のトイレ1における通液部31には、複数本の線材として、第1方向Yに延びる複数本の第1線材32と、第2方向Xに延びる複数本の第2線材33とを有しているが、本発明において通液部31を形成する複数本の線材は、少なくとも一方向に間隔をおいて互いに平行に配されていれば良い。例えば、本実施形態のトイレ1における第1線材32と第2線材33のうちの何れか一方のみを有していてもよい。第1線材32及び第2線材33のうちの一方は、複数本存在し、他方は1本のみ存在していてもよい。ただし、仕切り部3上に、ペットが乗っても、線材間の間隔が変化しないようにする観点から、相互間の間隔が短い方の線材を複数本有し、相互間の間隔が長い方の線材を一本又は複数本有することが好ましく、例えば、
図3に示す例においては、複数本の第1線材32と、1本又は複数本の第2線材33とが、互いに交差した状態に一体化されていることが好ましい。互いに交差する第1線材32と第2線材33とは、互いに交差した状態に一体成形されていることが好ましいが、別々に製造した第1線材32と第2線材33とが熱融着等により結合一体化されていてもよい。
【0015】
また、本実施形態のトイレ1において、第1方向Yは、線材間の間隔が相対的に狭い方の線材である第1線材32が延びる方向であり、
図3に示す例においては、ペット用トイレ1の長手方向である。他方、第2方向Xは、線材間の間隔が相対的に広い方の線材である第2線材33が延びる方向であり、
図3に示す例においては、ペット用トイレ1の短手方向である。これに代えて、第1方向Yが、ペット用トイレ1の短手方向、第2方向がペット用トイレの長手方向であってもよい。
なお、ペット用トイレ1の平面視形状は、長手方向及び短手方向を有する形状に制限されず、平面視において、円形や正方形状等であってもよい。なお、個々の線材について、該線材が延びる方向に直交し且つ鉛直方向に直交する方向〔
図4(b)の左右方向〕を「線材の直交方向C」ともいう。
【0016】
本実施形態のトイレ1における通液部31は、
図4(a)に示すように、通液部31の周縁部31aに位置する第1線材32が、該第1線材32の下部に、トイレ本体10の中心Oに近い側に位置する内方面35と、該中心Oから遠い側に位置する外方面36とを有している。外方面36は、その最も外側部分が、内方面35に対して相対的に外側に位置するよう構成された面であり、
図4(a)においては、内方面35の下端部から連続して、トイレ1の外方部上方へ向かって延びた面となっている。
図4(a)は、例えば、
図3(a)のIV−IV線に沿う断面図である。
また、通液部31の周縁部31aに位置し、隣り合った第1線材32、32では、トイレ中心Oから遠い側に位置する外側第1線材32oの内方面35oは、該外側第1線材32oより内側に位置する内側第1線材32iの外方面36iよりも、鉛直方向Zに対する傾斜角度が小さくなっており、外方面36iの傾斜角度θが20°以上70°以下である。尚、外側第1線材及び内側第1線材は、隣り合う線材間で相対的に変化するものである。例えば、第1線材32iと、該線材32iと隣り合い、且つ該線材32iよりもトイレ本体10の中心Oに近い側に位置する第1線材32qとに関しては、第1線材32iが外側第1線材となり、第1線材32qが内側第1線材となる。
【0017】
また、本実施形態では、1つの第1線材32に関しても、通液部31の周縁部31aに位置する第1線材32の内方面35は、鉛直方向Zに対する傾斜角度が外方面36より小さく、外方面36は、鉛直方向Zに対する傾斜角度θが20°以上70°以下である。本実施形態では、
図4(a)に示すように、全ての第1線材32は同じ形状となっている。
より具体的には、
図4(b)に示すように、内方面35は、鉛直方向Zに対して平行な面であり、鉛直方向Zに対する傾斜角度θ1が0°であるのに対して、外方面36は、トイレ本体10の外方側から内方側に向かって斜めに下降する傾斜面となっており、傾斜面の鉛直方向に対する傾斜角度θが20°以上70°以下である。
【0018】
第1線材32の外方面36及び内方面35は、線材32の直交方向Cの断面視において直線状である。また、第1線材32の内方面35と外方面36とは、第1線材32の下端に、両者が結合した角部37を有している。角部37は、第1線材32の直交方向Cにおいて、第1線材32の中央よりトイレ1の中心O寄りの部位に形成されており、より具体的には、内方面35の下端に形成されている。本実施形態においては、内方面35が鉛直面であるため、外方面36と内方面35とは、角部37において、前述した傾斜角度θと同一の角度で結合している。
ここで、鉛直方向Zは、仕切り部3の厚み方向と平行な方向であり、通常、トイレ本体10を水平面上に設置した際の鉛直方向と同方向である。
【0019】
尿等の排泄液は、一般的に濡れ性が高く、上記の簀の子状の通液部31を形成する線材に付着し易い。そのため、例えば、
図5に示すように、簀の子状の通液部を形成する線材32´の底面が水平であると、濡れ性の高い排泄液Uが、通液孔310´を通過する際、該排泄液Uが、枠部30´の底面30b´や線材32´の底面36´に引っ張られ、これら底面30b´,36´に回り込んで滞留することがある。また、仕切り部3´の枠部30´においては、
図5に示すように、排泄液Uが通液部31´の線材32´ではなく、枠部30´の底面30b´に回り込み、該底面30b´を伝いながら枠部30´の外方部分に落下することがあるため、排泄液Uが吸収性部材21の敷設範囲の外に飛散することがある。このように枠部30´の底面30b´や線材32´の底面36´に滞留したり、吸収性部材21の敷設範囲外に飛散した排泄液が、悪臭の原因となることがある。
【0020】
これに対して、本実施形態においては、前述したように、周縁部31aに位置する第1線材32の外方面36が、トイレ本体10の外方側から内方側に向かって斜めに下降するに傾斜面であり、その傾斜角度θが20°以上70°であるため、
図6に示すように、枠部30と第1線材32との間を下降してきた排泄液Uが、中心O側の第1線材32の外方面36側に引っ張られて流れ、内方面35の下端付近から略鉛直方向あるいは中心O側の斜め下方に向かって落下しやすくなる。また、隣り合った第1線材の外側第1線材32oの内方面よりも内側第1線材32iの外方面が鉛直方向に対する傾斜角が小さいので、内側第1線材32iに沿って尿が下方へ落下し易くなる。そのため、排泄液Uが、吸収性部材21の敷設範囲の外に落下することを防止することができる。これにより、吸収性部材21の敷設範囲外に飛散した排泄液による悪臭の発生を効果的に防止することができる。
【0021】
第1線材32の外方面36の鉛直方向Zに対する傾斜角度θは、20°以上70°以下であるが、上述した効果がより確実に奏されるようにする観点から、該傾斜角度θは、好ましくは25°以上、より好ましくは30°以上であり、また好ましくは65°以下、より好ましくは60°以下であり、また好ましくは25°以上65°以下、より好ましくは30°以上60°以下である。
【0022】
なお、
図7(b)及び
図7(c)に示すように、第1線材32の直交方向Cの断面視において、外方面36が曲線状をなしている場合、その外方面36の鉛直方向Zに対する傾斜角度θは、内方面35の下端に形成された角部における外方面36の接線が鉛直方向と成す角である。ただし内方面35の下端にR加工が施されている場合、該R加工部分と外方面36の接続部における接線が鉛直方向と成す角である。
【0023】
また、上述した効果がより確実に得られるようにする観点から、内方面35は、鉛直方向Zに対する傾斜角度が好ましくは0°以上45°以下、より好ましくは0°以上30°以下であり、さらに好ましくは0°である。ここで、内方面35の鉛直方向Zに対する傾斜角度が0°であるとは、内方面35が鉛直方向Zに対して平行な鉛直面であることを指す。
【0024】
なお、
図8(a)〜
図8(c)は、内方面35の傾斜角度θ1の測定方法の説明図であるが、
図8(a)に示すように、内方面35が、トイレ本体10の内方側から外方側に向かって斜めに下降する場合に傾斜角度θ1をプラスの傾斜角度とし、
図8(b)に示すように、内方面35が、トイレ本体10の外方側から内方側に向かって斜めに下降するに傾斜面である場合、当該内方面35の傾斜角度θ1は0°とする。
また、線材の直交方向Cの断面視において、内方面35が、
図8(c)に示すように、曲線状をなしている場合、外方面36と同様に、内方面35の鉛直方向Zに対する傾斜角度θ1は、内方面35の下端に形成される角部37における外方面36の接線が鉛直方向と成す角である。ただし内方面35の下端にR加工が施されている場合、該R加工部分と外方面36の接続部における接線が鉛直方向と成す角である。
【0025】
本実施形態のトイレ1における第1線材32の、線材の直交方向の断面形状についてさらに説明すると、
図4(a)に示すように、第1線材32は、該線材が延びる方向の直交方向Cの断面形状において、上端の角部が丸く、傾斜面である外方面36が直線状の略矩形状をなしている。また、第1線材32は、鉛直方向Zの両側の側面321,322が、鉛直方向Zに平行な面である。また、第1線材32の下部における内方面35が、線材の上端まで連続した1面を形成している。即ち、
図4(a)に示す第1線材32は、内方面35が、トイレ本体10の中心O側の側面321をなしており、外方面36は、中心O側とは反対側の側面322の下方に連なっている。以下、線材の直交方向の断面形状において、鉛直方向Zの両側の側面321,322のうち、トイレ本体10の中心O側の側面321を内側側面321、中心側とは反対側の側面322を、外側側面322ともいう。
【0026】
本発明における線材の、直交方向の断面形状は適宜変更可能である。
例えば、
図7(a)に示す線材32は、直交方向Cにおける断面視形状が、
図4(a)に示す線材32と同様に略矩形状であるが、上端の角部が丸くなっていない。また、
図7(b)及び
図7(c)に示す線材32は、直交方向Cの断面視において、外方面36が曲線状をなしている。より具体的には、
図7(b)に示す線材32は、直交方向Cにおける全体の断面視形状が、略扇形であり、外方面36と外側側面322とが円弧状に連続した1面をなしている。さらに
図7(c)に示す線材32は、外方面36と外側側面322とが変曲点Pを有する曲線状に連続した1面をなしている。
【0027】
本実施形態のトイレ1においては、通液部31の周縁部に位置する第2線材33は、線材の直交方向の断面形状が、第1線材32と同様の形状を有している。より具体的には、枠部30に隣接する一つ又は複数の第2線材32が、第1線材32と同様の断面形状を有している。第2方向Xのみならず、第1方向Yにおいても、通液部31の周縁部1aに位置する第2線材33の外方面が、トイレ本体10の外方側から内方側に向かって斜めに下降するに傾斜面であり、その傾斜角度θが20°以上70°以下であり、内方面の傾斜角度より大きいため、枠部30と第2線材33との間、あるいは第2線材33どうし間を下降してきた排泄液Uが、中心O側の第2線材32の外方面側に引っ張られて流れ、内方面の下端付近から略鉛直方向あるいは中心O側の斜め下方に向かって落下しやすくなる。また、隣り合った第2線材において、外側に位置する外側第2線材の内方面よりも、内側に位置する内側第2線材の外方面が鉛直方向に対する傾斜角が小さいので、内側第2線材に沿って尿が下方へ落下し易くなる。そのため、排泄液Uが、吸収性部材21の敷設範囲の外に落下することを一層確実に防止することができる。これにより、吸収性部材21の敷設範囲外に飛散した排泄液による悪臭の発生を一層効果的に防止することができる。
【0028】
第1線材32及び第2線材33に共通する好ましい寸法や形状等をさらに説明する。以下においては、主として第1線材32を例に説明するが、第2線材33についても同様である。また、線材の寸法や形状等は、全ての第1線材32間又は第2線材間で同じであっても良く、個々の第1線材32間又は第2線材間で異ならせても良い。
線材の直交方向Cにおける第1線材32の幅W1〔
図4(b)参照〕は、好ましくは2mm以上、より好ましくは3mm以上であり、また好ましくは6mm以下、より好ましくは5mm以下であり、また好ましくは2mm以上6mm以下、より好ましくは3mm以上5mm以下である。線材32の幅W1は、線材の直交方向Cにおける線材32の長さの最大値である。
第1線材32の鉛直方向Zに沿う高さH1〔
図4(b)参照〕は、好ましくは5mm以上、より好ましくは6mm以上であり、また好ましくは12mm以下、より好ましくは11mm以下であり、また好ましくは5mm以上12mm以下、より好ましくは6mm以上11mm以下である。第1線材32の高さH1は、鉛直方向Zにおける第1線材32の長さの最大値である。
【0029】
外方面36の鉛直方向Zに沿う高さH2〔
図4(b)参照〕は、好ましくは2mm以上、より好ましくは3mm以上であり、また好ましくは12mm以下、より好ましくは11mm以下であり、また好ましくは2mm以上12mm以下、より好ましくは3mm以上11mm以下である。
図4(b)において、外方面36の鉛直方向Zに沿う高さH2は、外方面36の上端と下端との高低差(mm)である。ここで、外方面36と外側側面322とが連続した1面をなしている場合〔
図7(b)参照〕、外方面36の鉛直方向Zに沿う高さH2〔
図7(b)参照〕は、内方面35の下端に形成される角部37における外方面36の接線が、線材32の内方面35と反対側側面、即ち外側側面322の最外における鉛直面と交わる点と内方面35の下端との高低差である。ただし内方面35の下端にR加工が形成されている場合、該R加工部分と外方面36の接続部における接線が、線材32の内方面35と反対側側面、即ち外側側面322の最外における鉛直面と交わる点と内方面35の下端との高低差である。また、
図7(c)に示すように、直交方向Cの断面において、外方面36と外側側面322とが変曲点Pを有する曲線状に連続している場合、外方面36の鉛直方向Zに沿う高さH2〔
図7(c)参照〕は、鉛直方向Zにおける外方面36の下端から変曲点Pまでの長さを指す。
【0030】
排泄液を効率的にトイレ本体10の中心O側に誘導するため、外方面36の鉛直方向Zに沿う高さH2は、第1線材32の鉛直方向Zに沿う高さH1に対して、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であり、また好ましくは100%以下、より好ましくは90%以下であり、また好ましくは20%以上100%以下、より好ましくは30%以上100%以下である。
図4(b)において、外方面36の鉛直方向Zに沿う高さH2と、第1線材32の鉛直方向Zに沿う高さH1との差D1は、外側側面322の鉛直方向Zに沿う長さである。
【0031】
通液部31は、複数本の線材のうちの一部が、上記の構成を有していることが好ましいが、吸収性部材21の敷設範囲外に排泄液が飛散することを効果的に防止する観点から、通液部31は、少なくとも該通液部31の周縁部31aに位置する線材が、上記の構成を有していることがより好ましい。通液部31の周縁部31aは、
図3(a)に示す通液部31の外周部分であり、仕切り部3の枠部30からトイレ本体10の中心O側に20mm以内の領域である。通液部31において、仕切り部3の枠部30から、トイレ本体10の中心O側に好ましくは30mm以内、より好ましくは40mm以内、さらに好ましくは50mm以内に位置している複数本の線材が上記の構成を有している。
尚、通液部31における複数本の線材の全てが、上記の構成を有していても良い。
【0032】
また、本実施形態のように、通液部31が、複数の方向のそれぞれに、間隔をおいて互いに平行に配される複数本の線材を有する場合、複数の方向のうち少なくとも一方向に、間隔をおいて互いに平行に配される複数本の線材が、上記の構成を有していることが好ましく、複数の方向のうち全ての方向に、間隔をおいて平行に配される線材が、上記の構成を具備していることがさらに好ましい。
図3(a)に示す通液部31を例にすると、第1線材32が、上記の構成を有することが好ましく、第1線材32及び第2線材33が、上記の構成を有することがさらに好ましい。
【0033】
また、吸収性部材の敷設範囲外に排泄液が飛散することを防止する観点から、仕切り部3の枠部30は、トイレ本体10の中心O側に位置する内方端部部分30aが、その下部に、上記の線材と同様の構成を有していることが好ましい。具体的には、
図4(a)に示すように、枠部30は、トイレ本体10の中心Oに近い側に位置する枠部内方面301と、該中心に遠い側に位置する枠部外方面302とを有しており、これら枠部内方面301及び枠部外方面302それぞれが、通液部31における上記の線材の内方面35及び外方面36とそれぞれ同様の構成を有していることが好ましい。枠部30における枠部内方面301及び枠部外方面302は、その一部が、上記の線材と同様の構成を有していることが好ましく、仕切り部3の平面視において、少なくとも、第1方向Yに沿って延びる部分の内方端部部分30aが、その下部に上記の第1線材32と同様の構成を有していることがより好ましく、第1方向Yに沿って延びる部分及び第2方向Xに沿って延びる部分の内方端部部分30aが、その下部に上記の第1線材32と同様の構成を有することがさらに好ましい。
【0034】
本実施形態のトイレ1における通液部31は、前述のように、第1方向Yに延びる複数本の第1線材32が、相互間に間隔をおいて互いに平行に配され、且つ第1方向Yと交差する第2方向Xに延びる複数本の第2線材33が、相互間に間隔をおいて互いに平行に配されており、複数本の第1線材32と複数本の第2線材33とが、互いに交差した状態に一体化されている。また、
図3(b)に示すように、第1線材32間の第1方向Yに沿う間隔L2は、第2線材33間の第2方向Xに沿う間隔L1よりも長い。そして、第1線材32と第2線材33とに囲まれた通液孔310は、平面視において横長の長方形の形状をしている。
【0035】
十分な仕切り部強度を確保する観点、及び排泄液の通液を良好にして液残りを抑制する観点から、第1線材32間の間隔L1及び第2線材33間の間隔L2のうち短い方の間隔L1〔
図3(b)参照〕は、好ましくは2mm以上、より好ましくは3mm以上であり、また好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下であり、また好ましくは2mm以上5mm以下、より好ましくは3mm以上4mm以下である。例えば、
図3(b)に示す通液部31においては、第1線材32どうしの間隔及び第2線材33どうしの間隔のうち、第1線材32どうしの間隔L1が、短い方の間隔である。間隔が狭い方の線材である第1線材32の下部の構成を、
図4(b)に示す前述した構成とすることにより、本発明の効果がより確実に奏される。
【0036】
また、十分な仕切り部の強度を確保する観点と排泄液の通液を良好にして液残りを抑制する観点から、第1線材32間の間隔L1及び第2線材33間の間隔L2のうち長い方の間隔L2〔
図3(b)参照〕は、好ましくは10mm以上、より好ましくは20mm以上であり、また好ましくは100mm以下、より好ましくは90mm以下であり、また好ましくは10mm以上100mm以下、より好ましくは20mm以上90mm以下である。
【0037】
仕切り部3の平面視において、第1方向Y及び第2方向Xのそれぞれにおいて、相互間に間隔をおいて互いに平行に配された複数本の線材は、隣り合う線材の下端の高さ位置の差が5mm以下であることが好ましい。すなわち、第1方向Yに、相互間に間隔をおいて互いに平行に配置された複数本の第2線材33は、下端の高さ位置が相互に異なる複数種類の線材を含んでいてもよいが、第1方向Yにおいて隣り合う第2線材33間を流れる液が、隣り合う第2線材33のうちの中心O側の第2線材33の外方面に沿って液が流れるようにし、吸収性部材21の敷設範囲外に排泄液が飛散することを防止する観点から、隣り合う第2線材33の下端の高さ位置の差が5mm以下であることが好ましく、3mm以下がより好ましく、
図4(a)に示すように、差がないことが好ましい。第2方向Xについても同様であり、第2方向Xに、相互間に間隔をおいて互いに平行に配された複数本の第1線材32は、下端の高さ位置が相互に異なる複数種類の線材を含んでいてもよいが、第2方向Xにおいて隣り合う第1線材32間を流れる液が、隣り合う第1線材32のうちの中心O側の第1線材32の外方面に沿って液が流れるようにし、吸収性部材21の敷設範囲外に排泄液が飛散することを防止する観点から、隣り合う第1線材32の下端の高さ位置の差が5mm以下であることが好ましく、3mm以下がより好ましく、
図4に示すように、差がないことが好ましい。
【0038】
本実施形態のトイレ1について更に説明すると、トイレ本体10は、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)等の合成樹脂からなる成形品であって、例えば長辺が200〜800mm、短辺が150〜500mmの角部が湾曲した略矩形の平面形状を有すると共に、例えば100〜200mmの高さを備えている。
またトイレ本体10は、仕切り部3によって上層部分Aと下層部分Bとに区画されている。トイレ本体10において、上層部分Aは40〜200mm程度の高さであり、上面が開口した砂収容部11となっている。また、下層部分Bは0〜40mm程度の高さであり、トレー16を出し入れ可能に収容するトレー収容部15となっている。
【0039】
本実施形態のトイレ本体10の上層部分Aを構成する砂収容部11には、
図2に示すように、ペレット状の排泄物処理材20が敷設される。排泄物処理材20は、撥水機能を有することが好ましく、例えば植物由来の素材の粉砕物及び合成樹脂を含む成形物からなるものが用いられる。これらの成形物は、吸収率が好ましくは1〜10%、より好ましくは1〜5%の低吸収性を備えることから、排泄液を素早く通過させて、通液部31の通液孔310を介して下層部分Bに落下させ、当該下層部分Bに配置されたトレー16内の吸収性部材21に排泄液を積極的に吸収させるものである。
【0040】
なお、ここでいう「吸収率」とは、25℃の水中に3秒間浸漬した被測定物の重量増加率をいい、次の式で表される。
(浸漬後の被測定物重量−浸漬前の被測定物重量)/(浸漬前の被測定物重量)×100(%)
【0041】
本実施形態のトイレ本体10は、
図1に示すように、下層部分Bにトレー収容部15と、該トレー収容部15に出し入れ可能に装着されるトレー16とを備えている。トレー16には、排泄液を吸収、且つ保持可能な吸収性部材21が交換可能に配置されている。このように、トイレ本体10における下層部分Bには、ペットの排泄液を吸収、且つ保持可能な吸収性部材21が配置されていることが好ましい。
吸収性部材21として、当該技術分野において尿等の排泄液を吸収・保持し得るものを特に制限無く用いることができる。例えば、パルプ繊維、粘土鉱物系材料、高分子吸収材料等の成分の1種以上を含む原料をシート状に成形した吸収性シートが挙げられる。吸収性シートの平面視における形状及びその大きさは、トレー16の底壁の平面視における形状(矩形形状)及びその大きさと略同じとすることができる。設置性と保管容易性の観点から、吸収性シートの厚みは、好ましくは0.1〜20mm、より好ましくは1〜15mmである。
【0042】
また、吸収性部材21として、植物性繊維若しくはパルプ又は粘土鉱物系材料を含む原料を板状に成形した吸収性マットが挙げられる。吸収性マットは、2〜20mmの厚さを有すると共に、その飽和吸水量が例えば2g/1g以上の吸収性を備えていることが好ましい。
上記のような吸収性部材21をトイレ1に用いることにより、トイレ本体10の上層部分Aから落下する排泄液を効率良く吸収することができる。
【0043】
なお、ここでいう「飽和吸水量」とは、次に示す方法で測定される。
<飽和吸水量の測定方法>
吸収性部材21から、厚みはそのままで縦60mm、横60mmの試験片を裁断し、該試験片を105℃に設定した乾燥器内で1時間乾燥させた後、デシケーター内に移して室温まで冷却させた。その後、DW法を実施する装置として一般的に知られている
図9に示す装置(Demand Wettability Tester )を用い、
図9に示す如く、ビュレット内の生理食塩水の液面を等水位にセットしたガラスフィルター上に該試験片を載せ、三方活栓を開栓して該試験片に生理食塩水を吸水させ、気泡が出なくなったときの吸水量(この吸水量は、生理食塩水の水位の低下量を示すビュレットの目盛りで測定される)を測定し、この値を試験片の重量で除した値を飽和吸水量(g/g)とした(n=3の平均値。試験片1つにつき測定は1回)。
【0044】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は、適宜変更可能である。例えば、複数の線材として、異なる3方向に延びる線材を有していてもよい。また、複数の線材、例えば、前述した実施形態の第1線材と第2線材とは、直角に交差していなくても良く、直角から傾けて交差していても良い。また、前述した実施形態のように、交差した線材どうしは一体化されていても良く、一体化していなくても良い。
【0045】
また仕切り部3の平面視における通液孔310の形状は、特に制限されず、線材の数、線材の延びる方向及び線材の配置によって任意の形状にすることができる。例えば、前述した実施形態において通液孔310は、
図3に示すように、仕切り部3の平面視において第1方向Yに長い矩形形状であるが、この他に、第2方向Xに長い矩形形状や、第1方向Yや第2方向Xに対して斜めの辺を有するダイヤ形や多角形であってもよい。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
〔仕切り部の製造〕
実施例1〜3において、縦382mm、横278mmの矩形状のポリプロピレン製の仕切り部を製造した。この仕切り部は、長手方向に平行となるように配された複数本の第1線材と、幅方向に平行となるように配された複数本の第2線材とを有している。実施例1〜3における仕切り部は
図10(a)〜(c)に示すような断面形状を有する第1線材を備えており、互いに隣り合った第1線材の高さH1が異なっている。即ち、第1線材は、表1及び
図10(a)〜(c)に示す外方面及び内方面の鉛直方向に対する傾斜角度をそれぞれ具備しており、さらに第1線材間において、該線材の下端に鉛直方向Zにおける高低差H3〔
図10(a)〜(c)及び表1参照〕を有している。また、第1線材は、仕切り部の長手方向に平行となるように、相互間に表1に示す間隔をおいて平行に配置されている。第1線材の幅は3.5mmとした。尚、
図10(a)に実施例1、
図10(b)に実施例2、
図10(c)に実施例3における第1線材の断面図をそれぞれ示す。
仕切り部の短手方向に平行となるように配された第2線材の幅も3.5mmで第2線材同士の間隔は20mmであった。また、第2線材間における高低差は設けなかった。
比較例1及び2では、第1線材の内方面及び外方面の各傾斜角度が表1に示す角度であること以外は、実施例1と同じ構成を有する仕切り部を製造した。
【0048】
【表1】
【0049】
〔尿の広がりの測定〕
製造した上記の仕切り部から下方28mmの位置に吸収性シート(株式会社コーチョー製)を仕切り部と重なるように配置した。そして、仕切り部の枠部における内方端部と、該端部に最も近い線材との間の通液孔に、人工的に調合した猫の人工尿を流量70ml/minで射出して、該人工尿を通液孔に通過させた。次いで、吸収性シートにおける、内方端部部分の枠部内方面と重なる線を基準線として、該基準線から吸収性シートに落下した人工尿までの距離を測定し、これを尿の広がりとした。尿の広がりの測定値が小さいほど、尿の飛散防止効果に優れる評価となる。測定結果を表1に示す。
【0050】
〔尿残りの測定〕
上記の人工尿を、流量70ml/minで仕切り部の通液部全体に射出した後、仕切り部の重さを測定した。測定した仕切り部の重さを基に、仕切り部に滞留して残った人工尿の重さを求め、これを尿残りとした。測定結果を表1に示す。