特許第6754297号(P6754297)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日精株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6754297-駐車装置 図000002
  • 特許6754297-駐車装置 図000003
  • 特許6754297-駐車装置 図000004
  • 特許6754297-駐車装置 図000005
  • 特許6754297-駐車装置 図000006
  • 特許6754297-駐車装置 図000007
  • 特許6754297-駐車装置 図000008
  • 特許6754297-駐車装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754297
(24)【登録日】2020年8月25日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/20 20060101AFI20200831BHJP
   E04H 6/18 20060101ALI20200831BHJP
【FI】
   E04H6/20 A
   E04H6/18 612A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-256173(P2016-256173)
(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公開番号】特開2018-109263(P2018-109263A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2019年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝幸
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−123181(JP,A)
【文献】 特開2009−275491(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3010051(JP,U)
【文献】 実開平05−061361(JP,U)
【文献】 実開昭59−089953(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/18 − 6/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車車両を搭載可能であり、互いに連結される複数のトレーと、前記トレーを前記駐車車両の幅方向に移動させる横送り装置とを備えた駐車装置において、
前記横送り装置は、前記トレーの長手方向の両側方の上方に配置され、記両側方に対となって配置される駆動機と、前記駆動機により回転される係合機構と、前記トレー側に設けられ、前記係合機構と係合可能な被係合機構とを備え、
前記係合機構は、前記トレーの移動方向に沿って配置され、前記駆動機により回転される駆動スプロケットと、前記駆動スプロケットと対となり前記トレーの移動方向に沿って配置される従動スプロケットと、前記駆動スプロケット及び前記従動スプロケットに無端状に巻き掛けられる索状体と、前記駆動スプロケットと前記従動スプロケット間にあって、その下端が前記スプロケット下端より下方となるよう対となって配置され、前記索状体の軌道を略梯形とするガイドローラと、前記索状体に対となって取り付けられる噛合部とを備え、
前記被係合機構は、前記トレーの長手方向両側端部に対となって配置され、前記噛合部と噛み合う被噛合部を備え、
対となる前記ガイドローラ間の間隔寸法、対となる前記噛合部間の間隔寸法及び対となる前記被噛合部間の間隔寸法を略同一とし、前記ガイドローラと前記噛合部が略対向位置となったとき、前記噛合部が前記被噛合部と噛み合う配置としたことを特徴とする駐車装置。
【請求項2】
前記ガイドローラ間に配置され、前記ガイドローラ間を移動する前記索状体に摺接し、前記索状体に張力を付与するガイド体を設けたことを特徴とする請求項1に記載の駐車装置。
【請求項3】
前記駆動機は、前記駆動スプロケットの上方に隣接して該駆動機の長手方向が前記索状体の巻き掛け方向に沿う方向に配置され、前記駆動機の駆動機スプロケット及び前記駆動スプロケットの駆動用スプロケットに無端状に駆動用索状体が巻き掛けられることを特徴とする請求項1に記載の駐車装置。
【請求項4】
前記駆動機は、その駆動軸が前記駆動スプロケットの軸に直結されることを特徴とする請求項1に記載の駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車車両をトレーに搭載して格納する駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車車両をトレーに搭載して格納する機械式の駐車装置の一方式として、駐車車両の幅方向に連結して配置されたトレーを横方向に移動させる横送り装置を備えたものがある。この種のものとして、特開2010?37885号公報(特許文献1)には、トレーの移動方向に沿って配置した横送り駆動スプロケット及び従動スプロケットと、横送り駆動スプロケット及び従動スプロケットに無端状に巻き回された横送りチェーンとを備え、横送りチェーンにはアタッチメントを備えるとともにトレーには移動方向の前側と後ろ側とにアタッチメントと掛合する掛合プレートを備え、且つ、トレーの下方に、トレーの長手方向を軸芯として駆動機により駆動され、両端部付近に駆動スプロケットが固着される駆動シャフトを設け、また、駆動スプロケットと横送り駆動スプロケットとの間に、駆動チェーンを無端状に巻き掛け、駆動部により駆動シャフトないし駆動スプロケットを回転させることで、横送り駆動スプロケットを回転駆動させるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010?37885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した特許文献1に記載されるものでは、トレーの下方に駆動機及び駆動シャフトが配置されるため、床とトレーとの間の寸法を抑えることが難しいという課題があった。
【0005】
本発明の目的は、床とトレーとの間の寸法を抑えることのできる駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る駐車装置は、駐車車両を搭載可能であり、互いに連結される複数のトレーと、前記トレーを前記駐車車両の幅方向に移動させる横送り装置とを備えた駐車装置において、前記横送り装置は、前記トレーの長手方向の両側方の上方に配置され、記両側方に対となって配置される駆動機と、前記駆動機により回転される係合機構と、前記トレー側に設けられ、前記係合機構と係合可能な被係合機構とを備え、前記係合機構は、前記トレーの移動方向に沿って配置され、前記駆動機により回転される駆動スプロケットと、前記駆動スプロケットと対となり前記トレーの移動方向に沿って配置される従動スプロケットと、前記駆動スプロケット及び前記従動スプロケットに無端状に巻き掛けられる索状体と、前記駆動スプロケットと前記従動スプロケット間にあって、その下端が前記スプロケット下端より下方となるよう対となって配置され、前記索状体の軌道を略梯形とするガイドローラと、前記索状体に対となって取り付けられる噛合部とを備え、前記被係合機構は、前記トレーの長手方向両側端部に対となって配置され、前記噛合部と噛み合う被噛合部を備え、対となる前記ガイドローラ間の間隔寸法、対となる前記噛合部間の間隔寸法及び対となる前記被噛合部間の間隔寸法を略同一とし、前記ガイドローラと前記噛合部が略対向位置となったとき、前記噛合部が前記被噛合部と噛み合う配置としたことを特徴とする。
また、第2態様に係る駐車装置は、第1態様に係る駐車装置において、前記ガイドローラ間に配置され、前記ガイドローラ間を移動する前記索状体に摺接し、前記索状体に張力を付与するガイド体を設けたことを特徴とする。
また、第3態様に係る駐車装置は、第1態様に係る駐車装置において、前記駆動機は、前記駆動スプロケットの上方に隣接して該駆動機の長手方向が前記索状体の巻き掛け方向に沿う方向に配置され、前記駆動機の駆動機スプロケット及び前記駆動スプロケットの駆動用スプロケットに無端状に駆動用索状体が巻き掛けられることを特徴とする。
また、第4態様に係る駐車装置は、第1態様に係る駐車装置において、前記駆動機は、その駆動軸が前記駆動スプロケットの軸に直結されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の駐車装置によれば、床とトレーとの間の寸法を抑えることができる。なお、前述した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る駐車装置の正面図である。
図2】本実施形態に係る駐車装置の上面図である。
図3】本実施形態に係る横送り装置を示す正面図である。
図4】本実施形態に係る横送り装置を示す拡大正面図である。
図5】本実施形態に係る横送り装置の駆動機の構成を示す側面図である。
図6】本実施形態に係る横送り装置の駆動機の構成を示す側面図である。
図7】噛合部と被噛合部との噛み合い動作を説明する説明図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る横送り装置の駆動機の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一または類似の構成には同じ符号を付して繰り返しの説明は省略する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る駐車装置の正面図である。図2は、本実施形態に係る駐車装置の上面図である。
【0011】
駐車装置は、図1及び図2に示すように複数階床に駐車スペース1,2を有すると共に、駐車スペース1,2の一方の終端に隣接し、乗降口3と駐車スペース1,2との間で駐車車両4を移動するリフト装置5と、駐車スペース1,2の他方の終端に隣接し、駐車スペース1と駐車スペース2との間で駐車車両4を移動するリフト装置6と、駐車スペース1,2でトレー7を駐車車両4の幅方向に移動させる横送り装置8とを有している。
【0012】
駐車スペース1,2は、横移送路11,12を有し、これらがリフト装置5,6を介して接続されトレー循環路を形成している。このトレー循環路には、空スペース13を除いて、複数のトレー7が配置されており、空スペース13に向けて順次トレー7を横送りして循環移動させ駐車車両4を収容する。また、駐車スペース1,2には、走行レール14が敷設されている。
【0013】
リフト装置5は、所定間隔を隔てて立設される一対のガイドレール21と、駆動装置22を用いてガイドレール21に沿って昇降する昇降台23とを備え、この昇降台23にトレー7上に搭載した駐車車両4を載せ、所定の駐車階へと移動した後、トレー7と共に駐車車両4を所定のスペースへと横移動して格納したり、所定のスペースに格納されていた駐車車両4をトレー7と共に横移動して昇降台23に載せ、乗降口3へ移動したりするようにしている。
【0014】
リフト装置6は、所定間隔を隔てて立設される一対のガイドレール31と、駆動装置32を用いてガイドレール31に沿って昇降する昇降台33とを備え、この昇降台33にトレー7上に搭載した駐車車両4を載せ、駐車スペース1と駐車スペース2との間で駐車車両4を移動するようにしている。
【0015】
トレー7は、その下面にローラ41が枢着されており、このローラ41の転動によりトレー7は、走行レール14上を横方向に移動可能となっている。また、トレー7の短手方向両側端部には、略J字状の断面形状を有する連結器42Aと、略L字状の断面形状を有する連結器42Bが備えられ、トレー7が横移送路11,12上に位置するときは、隣り合うトレー7の連結器42A,42Bが係合して互いに連結され、いずれか1つのトレー7が横送りされると、これと共に同一の横移送路11,12上に位置するトレー7列が連動して移動するようになっている。
【0016】
ここで、横送り装置の構成について説明する。図3は、本実施形態に係る横送り装置を示す正面図である。図4は、本実施形態に係る横送り装置を示す拡大正面図である。図5は、本実施形態に係る横送り装置の駆動機の構成を示す正面図である。図6は、本実施形態に係る横送り装置の駆動機の構成を示す側面図である。
【0017】
横送り装置8は、支柱15により支持され、トレー7の長手方向の両側方に対となって配置される駆動機51と、駆動機51により回転される係合機構と、係合機構と係合可能な被係合機構とを備えている。
【0018】
係合機構は、例えば、トレー7の移動方向に沿って配置される筐体52と、筐体52の一端に回転可能に軸支され、駆動機51により駆動される駆動スプロケット53と、筐体52の他端に回転可能に軸支され、駆動スプロケット53と対となる従動スプロケット54と、駆動スプロケット53及び従動スプロケット54に無端状に巻き掛けられる索状体55と、駆動スプロケット53と従動スプロケット54間にあって、その下端がスプロケット53,54下端より下方となるよう対となって配置され、索状体55の軌道を略梯形とするガイドローラ56A,56Bと、索状体55に対となって取り付けられる噛合部57と、ガイドローラ56A,56B間に配置され、ガイドローラ56A,56B間を移動する索状体55に摺接し、索状体55に張力を付与するガイド体58とを備えている。
【0019】
被係合機構は、例えば、トレー7の長手方向両側端部に対となって配置され、噛合部57と噛み合う被噛合部59を備えている。
【0020】
駆動機51は、駆動スプロケット53の上方に隣接して並列に配置されている。また、駆動機51の駆動機スプロケット51A及び駆動スプロケット53の駆動用スプロケット53Aに、無端状に駆動用索状体61が巻き掛けられており、駆動機51を駆動すると、駆動機スプロケット51A、駆動用索状体61及び駆動用スプロケット53Aを介して駆動スプロケット53が駆動される。
【0021】
ガイドローラ56A,56Bは、筐体52に回転可能に軸支されており、駆動スプロケット53と従動スプロケット54間にあって、その下端がスプロケット53,54下端より下方となるよう配置されることで、下側に位置する索状体55をトレー7側に押し下げ、索状体55の軌道を略梯形とし、索状体55に取り付けられる噛合部57の被噛合部59への噛み合い動作が円滑に行われるよう工夫が施されている。
【0022】
噛合部57は、索状体55に取り付けられる噛合部57A,57B,57C,57Dからなっており、噛合部57A,57Bが対となるとともに、噛合部57C,57Dが対となり、2組みの噛合部57が索状体55に設けられている。噛合部57A,57Bの間隔寸法、噛合部57C,57Dの間隔寸法は、それぞれ
後述する被噛合部59A,59Bの間隔寸法と略同一に設定されており、図中、下列の索状体55にある2つの噛合部57A,57Bが被噛合部59A,59Bに噛み合っているときに、上列の索状体55にある2つの噛合部57C,57Dが下列の索状体55にある2つの噛合部57A,57Bの略真上に位置する。また、噛合部57A,57Dまたは噛合部57B,57C間の距離は、隣り合うトレー7、例えばトレー7A,7Bに設けられる被噛合部59A,59C間の距離と略同一に設定されている。さらに、各噛合部57は、索状体55に固定される連結部57Eと、連結部57Eの先端に取り付けられ、後述する被噛合部59の球形凹部59Cに嵌合可能な球形凸部57Fとを備えている。
【0023】
ガイド体58は、筐体52の下端に取り付けられ、ガイドローラ56A,56B間にあって索状体55に摺接して索状体55に張力を付与し、対となる噛合部57A,57B、または噛合部57C,57Dが索状体55の下列に位置するときに、噛合部57A,57Bの間隔寸法、噛合部57C,57Dの間隔寸法が所定のものとなるようにし、被噛合部59への噛み合い動作が円滑に行われるようにしている。
【0024】
被噛合部59は、トレー7の一方の長手方向側端部に対となって配置される被噛合部59A,59Bを備えており、被噛合部59A,59B間の間隔寸法は、噛合部57A,57B及び噛合部57C,57D間の間隔寸法と略同一となっている。また、被噛合部59は、前述した噛合部57の球形凸部57Fが嵌合可能な球形凹部59Dと、球形凹部59Dから上方に向かって延在する幅広部59Eとを備えている。
【0025】
このように、対となるガイドローラ56間の間隔寸法、対となる噛合部57間の間隔寸法及び対となる被噛合部59間の間隔寸法を略同一とし、噛合部57とガイドローラ56が略対向位置となったとき、噛合部57が被噛合部59と噛み合う配置となっている。なお、駆動機51、筐体52、駆動スプロケット53、従動スプロケット54、索状体55、噛合部57、ガイド体58及び被噛合部59は、横移送路11,12のそれぞれに一組配置されている。
【0026】
以上の構成により、横移送路11,12でトレー7の横送りは次のように行われる。図3及び図4に示すような初期状態にあるときに、図示しない制御装置から横送り指令が出力され、例えば、横移送路11のトレー7列を空スペース13に向け図中右方向にトレー7一台分移動させる場合、駆動機51を駆動し、駆動機スプロケット51A、駆動用索状体61及び駆動用スプロケット53Aを介して駆動スプロケット53を回転させる。このようにしてトレー7の長手方向の両側方に対となって配置される駆動スプロケット53を同期させつつ回転させ、索状体55を反時計回りに循環移動させると、噛合部57A,57Bは、その球形凸部57Fにより被噛合部59A,59Bの球形凹部59Dから幅広部59Eへ摺動し、トレー7Aを右方向に押し出す。このとき、前述したようにトレー7列はそれぞれ連結器42A,42Bにより連結されているので、駆動機51により駆動力が伝達されたトレー7Aの移動に連なって、他のトレー7も右方向に横移動する。
【0027】
次に、駆動スプロケット53がさらに回転すると、噛合部57Bは被噛合部59Bから外れ、噛合部57Dがトレー7Bの進行方向前側に設けられる被噛合部59Cに係合していく。このとき、噛合部57Bは、索状体55の軌道がガイドローラ56Bと駆動スプロケット53間にあって押し上げられていることから、球形凸部57Fは傾斜し、噛合部57Bは被噛合部59Bを効率的に押し出しつつ離間してゆく。一方、噛合部57Dの球形凸部57Fが被噛合部59Cの幅広部59Eから球形凹部59Dへ摺動して、トレー7Bを牽引する。また、噛合部57Aは、ガイドローラ56A,56B間にあってガイド体58により案内される位置にあることから、噛合部57Bと被噛合部59Bとの係合解除の後も若干の時間、被噛合部59Aと噛み合った状態にあり、被噛合部59Aを右方向に押し出す。これにより、トレー7列が横移動を継続する。
【0028】
次いで、駆動スプロケット53がさらに回転し、トレー7列がさらに移動すると、噛合部57Aは被噛合部59Aから外れるとともに、噛合部57Cがトレー7Bの進行方向後側に設けられる被噛合部59Fに係合してゆく。ここで、噛合部57Cが被噛合部59Fに係合する動作について説明する。図7は、噛合部と被噛合部との噛み合い動作を説明する説明図である。
【0029】
図7の(a)に示すように、噛合部57Cが被噛合部59Fとの対向位置となると、球形凸部57Fは、(b)に示すように、まず被噛合部59Cの幅広部59Eに当接し、次に(c)に示すように、幅広部59Eから球形凹部59Dにかけて摺動する。このとき、索状体55の軌道がガイドローラ56Aにより押し下げられていることから、噛合部57Cは傾斜し、幅広部59Eへの当接、幅広部59Eから球形凹部59Dにかけての摺動がスムーズに行われる。この後、(d)に示すように、球形凸部57Fは球形凹部59Dに嵌合する。これにより、噛合部57Dがトレー7Bの被噛合部59C、噛合部57Cが被噛合部59Fにそれぞれ係合し、初期状態となる。このとき、索状体55はガイド体58によりガイドローラ56A,56B間にあって張力が付与され、対となる噛合部57C,57Dの間隔寸法が確実に所定のものとなるので、被噛合部59C,59Fへの噛み合わせが円滑に行われる。このようにして、横移送路11のトレー7列を空スペース13に向け図中右方向にトレー7一台分移動させる行程が終了する。
【0030】
本実施形態によれば、駆動機51をトレー7の両側方にそれぞれ独立して配置することにより、トレー7の下方に駆動機51を配置することを要せず、且つ、従来のような駆動シャフトを省くことができ、これによって、床とトレー7との間の寸法を抑えることができ、ひいては駐車装置及び建屋の省スペース化を図ることができる。
【0031】
また、係合機構を、トレー7の移動方向に沿って配置され、駆動機51により回転される駆動スプロケット53と、駆動スプロケット53と対となりトレー7の移動方向に沿って配置される従動スプロケット54と、駆動スプロケット53及び従動スプロケット54に無端状に巻き掛けられる索状体55と、索状体55に対となって取り付けられる噛合部57とから構成すると共に、被係合機構を、トレー7の長手方向両側端部に対となって配置され、噛合部57と噛み合う被噛合部59から構成することにより、横送り速度の向上を図ることができる。すなわち、ワンアクションでトレー7を横方向に比較的長い距離移動させることが可能となり、トレー7の横方向の移動を高速で行うことができる。
【0032】
さらに、駆動スプロケット53と従動スプロケット54間にあって、その下端がスプロケット53,54下端より下方となるよう対となって配置され、索状体55の軌道を略梯形とするガイドローラ56A,56Bを備え、対となるガイドローラ56A,56B間の間隔寸法、対となる噛合部57間の間隔寸法及び対となる被噛合部59間の間隔寸法を略同一とし、ガイドローラ56A,56Bと噛合部57とが略対向位置となったとき、噛合部57が被噛合部59と噛み合う配置としたことにより、噛合部57の被噛合部59への噛み合わせを円滑に行うと共に、効率的にトレー7を横送りすることができ、これによって、制振性及び静粛性に優れ、運転効率の良い横送り装置8を実現することができる。
【0033】
さらにまた、ガイドローラ56A,56B間に配置され、ガイドローラ56A,56B間を移動する索状体55に摺接し、索状体55に張力を付与するガイド体58を設けたことにより、対となる噛合部57間の間隔寸法が確実に所定のものとなるので、被噛合部59への噛み合わせを円滑に行うことができる。
【0034】
また、駆動機51は、駆動スプロケット53の上方に隣接して並列に配置され、駆動機51の駆動機スプロケット51A及び駆動スプロケット53の駆動用スプロケット53Aに無端状に駆動用索状体61が巻き掛けられる構造としたことにより、駆動機51が支柱15より外側に出張ることを防ぎ、装置の幅寸法の低減を図ることができる。
【0035】
ここで、本発明の他の実施形態に係る横送り装置8Aについて説明する。図8は、本発明の他の実施形態に係る横送り装置の駆動機の構成を示す側面図である。
【0036】
他の実施形態に係る横送り装置8Aと前述した実施形態に係る横送り装置8との主な違いは駆動機71の配置である。本発明の他の実施形態に係る横送り装置8Aの駆動機71は、図8に示すように、駆動スプロケット53の横方向に隣接して配置され、その駆動軸71Aが駆動スプロケット53の軸53Bに直結されている。
【0037】
他の実施形態にあっては、図示しない制御装置から横送り指令が出力され、駆動機71が駆動すると、駆動軸71Aが駆動スプロケット53の軸53Bを回転させ、索状体55を循環移動させる。
【0038】
他の実施形態によれば、横送り装置8Aの駆動機71は、駆動軸71Aが駆動スプロケット53の軸53Bに直結されていることから、前述した実施形態の横送り装置8のように、駆動機スプロケット51A、駆動用スプロケット53A及び駆動用索状体61を要することがなく、装置の部品員数を低減でき、これによって、低コスト化を図ることができる。
【0039】
以上、本発明の駐車装置の実施形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の駐車装置は、前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1,2 駐車スペース
3 乗降口
4 駐車車両
5,6 リフト装置
7 トレー
8、8A 横送り装置
11,12 横移送路
13 空きスペース
14 走行レール
21,31 ガイドレール
22,32 駆動装置
23,33 昇降台
41 ローラ
42A,42B 連結器
51,71 駆動機
51A 駆動機スプロケット
52 筐体
53 駆動スプロケット
53A 駆動用スプロケット
53B 軸
54 従動スプロケット
55 索状体
56A,56B ガイドローラ
57 噛合部
58 ガイド体
59 被噛合部
61 駆動用索状体
71A 駆動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8