特許第6754366号(P6754366)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6754366ポリ乳酸樹脂用可塑剤、該可塑剤を用いたポリ乳酸樹脂組成物ならびにポリ乳酸樹脂成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754366
(24)【登録日】2020年8月25日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】ポリ乳酸樹脂用可塑剤、該可塑剤を用いたポリ乳酸樹脂組成物ならびにポリ乳酸樹脂成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/04 20060101AFI20200831BHJP
   C08F 220/10 20060101ALI20200831BHJP
   C08L 33/06 20060101ALI20200831BHJP
   C08L 101/16 20060101ALN20200831BHJP
【FI】
   C08L67/04
   C08F220/10
   C08L33/06
   !C08L101/16
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-543030(P2017-543030)
(86)(22)【出願日】2016年8月29日
(86)【国際出願番号】JP2016075152
(87)【国際公開番号】WO2017056815
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2019年7月8日
(31)【優先権主張番号】特願2015-190195(P2015-190195)
(32)【優先日】2015年9月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000202350
【氏名又は名称】綜研化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】松本 広斗
(72)【発明者】
【氏名】藪中 津介
(72)【発明者】
【氏名】後藤 修一
【審査官】 久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−133445(JP,A)
【文献】 特開2001−253025(JP,A)
【文献】 特開2014−051620(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/106980(WO,A1)
【文献】 特開2006−265399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C19/00−19/44
C08F6/00−246/00、301/00
C08L1/00−101/14
C08K3/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル系樹脂からなるポリ乳酸樹脂用可塑剤であって、
前記(メタ)アクリル系樹脂が、
メチルメタクリレートを30〜70重量部と、アルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステルを30〜70重量部とを含むモノマー成分(ただし、全モノマー成分の合計を100重量部とする)の共重合体であり、
重量平均分子量が1万〜100万、かつ、分子量分布が4.5〜10であることを特徴とするポリ乳酸樹脂用可塑剤。
【請求項2】
前記モノマー成分が、官能基含有モノマーを含むことを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸樹脂用可塑剤。
【請求項3】
前記(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量が、10万〜50万であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリ乳酸樹脂用可塑剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のポリ乳酸樹脂用可塑剤と、ポリ乳酸樹脂とを含むことを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項5】
請求項4に記載のポリ乳酸樹脂組成物からなることを特徴とするポリ乳酸樹脂成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の(メタ)アクリル系樹脂からなるポリ乳酸樹脂用の可塑剤、該可塑剤を用いたポリ乳酸樹脂組成物ならびにポリ乳酸樹脂成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ乳酸樹脂は、生分解性を示し環境負荷が小さいことから、様々な成形体用途に用いられることが期待されている。例えば、汎用ポリマーとしては、携帯電話の筐体やゴミ袋、レジ袋、箸、歯ブラシ、耐熱食器類等の日用品等、特殊用ポリマーとしては、3Dプリンターの成形樹脂等に使用されている。また、各種シート状、フィルム状製品への適用も期待されている。
【0003】
しかしながらポリ乳酸樹脂は、結晶性があり剛性が大きいため、その成形品は一般に硬く、曲げに弱く割れが生じやすい傾向があり、柔軟性を必要とする用途に用いるには限界があった。
【0004】
ポリ乳酸樹脂に柔軟性を付与する場合、フタル酸等の可塑剤を添加することが試みられていた。しかしながら、フタル酸等の可塑剤を用いると、加工温度が低下する問題や、経時で可塑剤のブリードアウトが生じるという問題があった。
【0005】
ポリ乳酸樹脂に柔軟性を付与する方法としては、ポリ乳酸樹脂にポリグリセリン酢酸エステルを添加する方法(特許文献1参照)、ポリ乳酸樹脂にグリセリン脂肪酸エステル系可塑剤を添加する方法(特許文献2参照)、ポリ乳酸樹脂にアジピン酸エステル系可塑剤および脂肪族ポリエステルを添加する方法(特許文献3参照)、アクリル酸エステル単位およびメタクリル酸エステル単位を主体とするアクリル系ブロック共重合体とポリ乳酸樹脂とを混合した樹脂組成物とする方法(特許文献4参照)等が提案されている。
しかしながら、これらの方法によっても、経時的に可塑剤がブリードアウトする問題があり、またポリ乳酸樹脂の成形温度が低下する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−73532号公報
【特許文献2】特開2013−221039号公報
【特許文献3】特開2014−152193号公報
【特許文献4】特開2010−13530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ポリ乳酸樹脂との相溶性に優れ、ポリ乳酸樹脂の成形・加工温度の低下を生じさせず、得られる成形品からの経時でのブリードアウトが生じにくい、ポリ乳酸樹脂用可塑剤を提供することを課題としている。また本発明は、可塑性や成形性に優れるとともに、高温でも成形加工が可能なポリ乳酸樹脂組成物、ならびに該樹脂組成物からなり、可塑性に優れるとともに可塑剤のブリードアウトが生じないポリ乳酸樹脂成形品を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、次の〔1〕〜〔5〕の事項に関する。
〔1〕(メタ)アクリル系樹脂からなるポリ乳酸樹脂用可塑剤であって、
前記(メタ)アクリル系樹脂が、
メチルメタクリレートを30〜70重量部と、アルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステルを30〜70重量部とを含むモノマー成分(ただし、全モノマー成分の合計を100重量部とする)の共重合体であり、
重量平均分子量が1万〜100万、かつ、分子量分布が3〜10であることを特徴とするポリ乳酸樹脂用可塑剤。
〔2〕前記モノマー成分が、官能基含有モノマーを含むことを特徴とする前記〔1〕に記載のポリ乳酸樹脂用可塑剤。
〔3〕前記(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量が、10万〜50万であることを特徴とする前記〔1〕または〔2〕に記載のポリ乳酸樹脂用可塑剤。
〔4〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のポリ乳酸樹脂用可塑剤と、ポリ乳酸樹脂とを含むことを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物。
〔5〕前記〔4〕に記載のポリ乳酸樹脂組成物からなることを特徴とするポリ乳酸樹脂成形品。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ポリ乳酸樹脂との相溶性に優れ、ポリ乳酸樹脂の成形・加工温度を大幅に低下させることがなく、かつ、成形後も長期にわたってブリードアウトを生じさせないポリ乳酸樹脂用可塑剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について具体的に説明する。
本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルまたはメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルまたはメタクリロイルを意味する。
【0011】
<ポリ乳酸樹脂用可塑剤>
本発明のポリ乳酸樹脂用可塑剤は、(メタ)アクリル系樹脂からなる。この(メタ)アクリル系樹脂は、メチルメタクリレートと、アルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステルとを含むモノマー成分の共重合体であって、当該モノマー成分を共重合することにより得られる樹脂である。すなわち本発明に係る(メタ)アクリル系樹脂は、メチルメタクリレート由来の構成単位と、アルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステル由来の構成単位とを有する。
【0012】
〔メチルメタクリレート〕
(メタ)アクリル系樹脂を形成するモノマー成分100重量部中、メチルメタクリレートの使用量は通常30〜70重量部、好ましくは35〜60重量部、より好ましくは40〜60重量部である。メチルメタクリレートの使用量が前記範囲にあると、ポリ乳酸との相溶性に優れる(メタ)アクリル系樹脂が得られる点で好ましい。
【0013】
〔アルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステル〕
アルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート等が挙げられる。アルキル基の炭素数は、通常1〜8、好ましくは1〜6である。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0014】
(メタ)アクリル系樹脂を形成するモノマー成分100重量部中、アルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステルの使用量は通常30〜70重量部、好ましくは35〜60重量部、より好ましくは38〜55重量部である。アルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステルの使用量が前記範囲にあると、ポリ乳酸樹脂組成物より得られる成形品に可塑性を付与し、成膜後においても割れを生じない成形品が得られる点で好ましい。
【0015】
〔官能基含有モノマー〕
本発明に係る(メタ)アクリル系樹脂を形成するモノマー成分は、メチルメタクリレート、およびアルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステルに加えて、官能基含有モノマーを含んでもよい。
【0016】
官能基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、酸性基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマーが挙げられる。酸性基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、リン酸基、硫酸基が挙げられる。
【0017】
水酸基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレートが挙げられ、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0018】
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸5−カルボキシペンチル、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸が挙げられる。
【0019】
酸無水物基含有モノマーとしては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸が挙げられる。
リン酸基含有モノマーとしては、側鎖にリン酸基を有する(メタ)アクリル系モノマーが挙げられ、硫酸基含有モノマーとしては、側鎖に硫酸基を有する(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。
【0020】
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0021】
アミド基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
官能基含有モノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0022】
(メタ)アクリル系樹脂を形成するモノマー成分100重量部中、官能基含有モノマーの含有量は通常0〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。官能基含有モノマーの含有量が前記範囲にあると、ポリ乳酸との相溶性に優れる(メタ)アクリル系樹脂が得られる点で好ましい。
【0023】
〔その他モノマー成分〕
(メタ)アクリル系樹脂を形成するモノマー成分は、本発明の目的を妨げない範囲で、その他のモノマー成分を含有していてもよい。
【0024】
その他モノマー成分としては、アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステル、アルキル基の炭素数が9以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、脂環式基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0025】
アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステルとしては、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレートが挙げられる。
【0026】
アルキル基の炭素数が9以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、例えば、式:CH2=CR1−COOR2で表される。式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数9以上のアルキル基であり、例えば、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデカ(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0027】
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メトキシメチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−エトキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0028】
アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0029】
脂環式基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0030】
これらのその他モノマー成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル系樹脂を形成するモノマー成分100重量部中、上記のその他のモノマー成分の含有量は、20重量部以下、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。
【0031】
<(メタ)アクリル系樹脂の製造および(メタ)アクリル系樹脂>
本発明に係る(メタ)アクリル系樹脂は、上述したモノマー成分を、共重合して製造することができる。
【0032】
(メタ)アクリル系樹脂の製造方法および条件は特に限定されないが、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法により製造することができる。具体的には、反応容器内に重合溶媒およびモノマー成分、懸濁重合法や乳化重合法の場合には分散安定剤や乳化剤を仕込み、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で重合開始剤を添加し、反応開始温度を50〜90℃に設定し、反応系の温度を50〜90℃に維持して、4〜20時間反応を行う。
【0033】
溶液重合においては、重合溶媒として、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、フェニルエチルエーテル、ジフェニルエーテル等のエーテル類;クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類等が挙げられる。これらの重合溶媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
懸濁重合あるいは乳化重合において、水性媒体は、水のほかに、水に親水性有機溶媒を添加した混合物でもよい。水としては、精製水(イオン交換水、蒸留水等)、地下水、水道水等が挙げられる。親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の多価アルコール;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類:アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;ギ酸メチル等のエステル類等が挙げられる。親水性有機溶媒の添加量は、水100重量部に対し、0.1〜10重量部の範囲が好ましい。これらの親水性有機溶媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0035】
懸濁重合、乳化重合に用いる分散安定剤の例としては、部分鹸化されたポリビニルアルコール;完全鹸化されたポリビニルアルコール;ポリアクリル酸、その共重合体およびこれらの中和物;ポリメタクリル酸、その共重合体およびこれらの中和物;カルボキシメチル セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース類;ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。これらの分散安定剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。分散安定剤の使用量は、モノマー成分100重量部に対し、0.1〜5重量部の範囲が好ましい。
【0036】
乳化重合に用いる乳化剤としては、例えば、ドデシルスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;2−スルホテトラデカン酸1−メチルエステルナトリウム等のアルファスルホン脂肪酸エステル塩;ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル等のポリエチレングリコールアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、アリルエーテルおよびそれらの硫酸エステルの塩等を挙げることができ、これらの中では、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。これらの乳化剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。乳化剤の使用量は、モノマー成分100重量部に対し、0.1〜10重量部の範囲が好ましい。
【0037】
溶液重合、懸濁重合、乳化重合に用いる重合開始剤としては、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤を挙げられる。具体的には、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物が挙げられる。これらの中でも、アゾ化合物が好ましい。アゾ化合物としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス(N,N'−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2'−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、2,2'−アゾビス(イソブチルアミド)ジヒドレート、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2'−アゾビス(2−シアノプロパノール)、ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]が挙げられる。これらの重合開始剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これらの重合開始剤は、(メタ)アクリル系樹脂を形成するモノマー成分100重量部に対して、通常は0.01〜5重量部、好ましくは0.03〜3重量部の範囲内の量で使用される。また、上記重合反応中に、重合開始剤、連鎖移動剤、モノマー成分、重合溶媒を適宜追加添加してもよい。
【0038】
本発明に係る(メタ)アクリル系樹脂は、上述のように、メチルメタクリレートと、アルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステルとを含むモノマー成分を共重合することにより得られる。モノマー成分には、官能基含有モノマーが含まれていてもよく、また、その他のモノマー成分が含まれていてもよい。
【0039】
すなわち、本発明に係る(メタ)アクリル系樹脂は、メチルメタクリレート由来の構成単位と、アルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステル由来の構成単位とを有し、必要に応じてさらに官能基含有モノマー由来の構成単位、その他のモノマー成分由来の構成単位を有する。
【0040】
本発明に係る(メタ)アクリル系樹脂は、全構成単位の合計を100重量部とした場合、メチルメタクリレート由来の構成単位を通常30〜70重量部、好ましくは35〜60重量部の範囲で、アルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を通常30〜70重量部、好ましくは35〜60重量部の範囲で含む。また、この(メタ)アクリル系樹脂は、官能基含有モノマー由来の構成単位を20重量部以下、好ましくは0.1〜10重量部の範囲で含有してもよい。(メタ)アクリル系樹脂の各構成単位の含有割合は、モノマー成分の使用割合によって制御することができ、モノマー成分の使用割合と同等として取り扱うことができる。
【0041】
本発明に係る(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、通常1万〜100万であり、好ましくは10万〜50万である。Mwが前記範囲にある(メタ)アクリル系樹脂をポリ乳酸の可塑剤として用いることで、ポリ乳酸との相溶性に優れ、かつ、成形品に可塑性を付与し、曲げ等に対して割れを生じさせないポリ乳酸樹脂組成物が得られる。
【0042】
本発明に係る(メタ)アクリル系樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、通常3〜10であり、好ましくは4〜9.5、より好ましくは4.5〜9である。分子量分布が前記範囲にある(メタ)アクリル系樹脂をポリ乳酸樹脂の可塑剤として用いることで、加工性に優れる、つまりは低温域から高温域まで加工可能なポリ乳酸樹脂組成物が得られる。
【0043】
本発明において、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン換算で求めた値である。
【0044】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂(ポリ乳酸樹脂用可塑剤)は、ポリ乳酸樹脂との相溶性に優れ、ポリ乳酸樹脂に好適な可塑性、柔軟性を与え、また、ポリ乳酸樹脂の成形・加工温度を大幅に低下させないという特性を有する。さらに、長期にわたって保存した際も、可塑剤のブリードアウトを生じさせないポリ乳酸樹脂成形品が得られる。
【0045】
<ポリ乳酸樹脂組成物>
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂からなる成形品を製造するための組成物であって、ポリ乳酸樹脂と、上述したポリ乳酸樹脂用可塑剤((メタ)アクリル系樹脂)とからなる。
【0046】
本発明において、ポリ乳酸樹脂とは、乳酸類の重合体であるポリ乳酸、乳酸類を主たる原料とする乳酸共重合体、およびこれらの乳酸重合体あるいは共重合体を主成分としその他の樹脂を含有する樹脂組成物を包含する。乳酸共重合体としては、例えば、乳酸・ヒドロキシカルボン酸共重合体、乳酸・脂肪族多価アルコール・脂肪族多塩基酸共重合体等が挙げられる。乳酸重合体あるいは共重合体とその他の樹脂とを含有する樹脂組成物としては、例えば、ポリ乳酸重合体及び/又は共重合体を主成分とし、これにポリオレフィン等のその他の樹脂成分を配合した樹脂組成物を例示することができる。本発明では、ポリ乳酸樹脂が、乳酸の単独重合体であるポリ乳酸であることが特に好ましい。
【0047】
本発明に係るポリ乳酸樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されるものではないが、5千〜50万であることが好ましい。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物において、前記(メタ)アクリル系樹脂の含有量は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、通常20〜80重量部、好ましくは30〜70重量部、より好ましくは40〜70重量部の範囲である。(メタ)アクリル系樹脂の配合量が前記範囲にあると、ブリードアウトを生じず、可塑性に優れたポリ乳酸樹脂成形品を形成することができる。
【0048】
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、例えば、充填剤(無機充填剤、有機充填剤)、難燃剤、酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤から選択される1種または2種以上を含有してもよい。
【0049】
<ポリ乳酸樹脂成形品>
本発明のポリ乳酸樹脂成形品は、上述したポリ乳酸樹脂組成物を成形、加工することにより得られる。
【0050】
成形、加工の方法としては、樹脂組成物を成形する従来公知の方法を適宜適用することができる。例えば、押出成形、射出成形、カレンダー成形、研削、3Dプリンター等を使用した成形、延伸等が挙げられる。
【0051】
ポリ乳酸樹脂組成物を成形、加工する際の加工温度は、ポリ乳酸樹脂組成物の特性に応じて選択することができ、特に限定されるものではないが、通常130〜195℃、好ましくは135〜190℃の範囲が望ましい。加工温度が130℃以下であると、結晶性が損なわれるなど、得られるポリ乳酸樹脂成形品が良好な特性を発揮できない場合がある。また、加工温度が200℃以上では、成形時のポリ乳酸樹脂組成物が過度に軟かくなるなど、成形、加工が困難となる場合がある。
【0052】
本発明のポリ乳酸樹脂成形品は、好適な可塑性、柔軟性、耐衝撃性、可撓性を有し、割れが生じにくく、従来公知の可塑剤を含む場合と比較して、耐熱性に優れ、経時による可塑剤のブリードアウトが生じにくく、長期使用の用途にも好適に用いることができる。
【0053】
本発明のポリ乳酸樹脂成形品は、各種用途に制限なく適用することができる。具体的な成形品としては、例えば、携帯電話の筐体、ゴミ袋・レジ袋・耐熱食器類等の日用品、3Dプリンターを用いて製造された成形品、シート状・フィルム状製品等が挙げられる。
【実施例】
【0054】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[測定・評価方法]
以下の実施例および比較例において、各種性状の測定方法および評価方法は以下の通りである。
【0055】
<重量平均分子量、分子量分布>
(メタ)アクリル系樹脂について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を求めた。またこれより分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
・測定装置:HLC−8320GPC(東ソー(株)製)
・GPCカラム構成:以下の4連カラム(すべて東ソー(株)製)
(1)TSKgel HxL−H(ガードカラム)
(2)TSKgel GMHxL
(3)TSKgel GMHxL
(4)TSKgel G2500HxL
・流速:1.0mL/min
・カラム温度:40℃
・サンプル濃度:1.5%(w/v)(テトラヒドロフランで希釈)
・移動相溶媒:テトラヒドロフラン
【0056】
[製造例1]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メチルメタクリレ−ト(MMA)50重量部、ブチルアクリレート(BA)50重量部、および酢酸エチル溶媒100重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.06重量部を加え、窒素ガス雰囲気下、75℃で重合反応を開始した。その後、AIBNを2時間後に1.2重量部追加し、重合反応開始から12時間後に反応を終了し、(メタ)アクリル系樹脂溶液を得た。反応終了後、(メタ)アクリル系樹脂溶液中の溶媒を、乾燥機を用いて90℃で12時間かけて揮発させ、重量平均分子量(Mw)が30万、分子量分布(Mw/Mn)が4.5の(メタ)アクリル系樹脂(A)を得た。
【0057】
[製造例2〜4]
重合反応に用いたモノマー成分を表1に記載したとおりに変更したこと以外は、製造例1と同様に行い、(メタ)アクリル系樹脂(B)〜(D)を得た。結果を表1に示す。
【0058】
[製造例5]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メチルメタクリレート(MMA)100重量部、および酢酸エチル溶媒100重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、n−ドデシルメルカプタン(NDM)0.1重量部、AIBN0.03重量部を加え、窒素雰囲気下、75℃で重合反応を開始した。その後、AIBNを2時間後に0.3重量部追加し、重合反応開始から12時間後に反応を終了し、(メタ)アクリル系樹脂溶液を得た。反応終了後、(メタ)アクリル系樹脂溶液中の溶媒を、乾燥機を用いて90℃で12時間かけて揮発させ、Mwが30万、Mw/Mnが4.5の(メタ)アクリル系樹脂(E)を得た。
【0059】
[製造例6]
重合反応に用いたモノマー成分を表1に記載したとおりに変更したこと以外は、製造例5と同様に行い、(メタ)アクリル系樹脂(F)を得た。結果を表1に示す。
【0060】
[製造例7]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メチルメタクリレ−ト(MMA)50重量部、ブチルアクリレート(BA)50重量部、および酢酸エチル溶媒60重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、AIBN0.12重量部を加え、窒素ガス雰囲気下、75℃で重合反応を開始した。3時間後に反応を終了し、(メタ)アクリル系樹脂溶液を得た。反応終了後、(メタ)アクリル系樹脂溶液中の溶媒を、乾燥機を用いて140℃で24時間かけて揮発させ、Mwが33万、Mw/Mnが2.5の(メタ)アクリル系樹脂(G)を得た。
【0061】
[製造例8]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メチルメタクリレ−ト(MMA)10重量部、ブチルアクリレート(BA)10重量部、重合溶媒として酢酸エチル25重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、AIBN0.02重量部を加え、窒素ガス雰囲気下、75℃で重合反応を開始した。重合反応開始から12時間毎に、MMA10重量部、BA10重量部、酢酸エチル15重量部を加えた後、AIBN0.02重量部を加えることを計3回繰り返した。反応開始から48時間後、MMA10重量部、BA10重量部、酢酸エチル15重量部を加えた後、AIBN0.42重量部を加え、12時間後反応を終了し、(メタ)アクリル系樹脂溶液を得た。反応終了後、(メタ)アクリル系樹脂溶液中の溶媒を、乾燥機で90℃12時間かけて揮発させ、Mwが38万、Mw/Mnが12.1の(メタ)アクリル系樹脂(H)を得た。
【0062】
【表1】
【0063】
[実施例1]
ポリ乳酸(テラマックTP−4000:ユニチカ社製)60重量部(固形分量)と、可塑剤として製造例1で得た(メタ)アクリル系樹脂(A)40重量部(固形分量)とを配合し、バンバリーミキサーにて溶融混練して、成形品製造用の樹脂組成物を得た。次いで得られた樹脂組成物を、逆L型4本カレンダーにて厚さ50μmになるようにカレンダー成膜を行った(溶融成膜工程)。溶融成膜工程の直後に、任意の温度に加熱可能なロール(テイクオフロール)を3本配し、溶融成膜された樹脂組成物が上下交互に通過できるようにすることで結晶化を促進させた(結晶化促進工程)。その後、冷却ロールを通過させ樹脂組成物を固化し、フィルムに成形加工し、ポリ乳酸樹脂成形品を得た。樹脂組成物の組成および評価結果を表2に示す。
【0064】
[実施例2,3、比較例1〜7]
実施例1において、各種成分の配合組成を表2に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、ポリ乳酸樹脂成形品を得た。結果を表2に示す。なお、比較例5においては、ポリ乳酸と(メタ)アクリル系樹脂(F)の相溶性がわるく、均質な樹脂組成物とならず、成形加工を行うことができなかった。
【0065】
<相溶性>
実施例および比較例で製造したフィルムの成形体を目視観察し、以下の基準で評価した。
AA:白濁、くすみが観察されない
BB:白濁、くすみが観察される
【0066】
<ブリードアウト>
実施例および比較例で製造したフィルムの成形体を70℃環境下に4日間静置し、室温(25℃)に冷却した後、可塑剤のブリードアウトの有無を目視観察し、以下の基準で評価した。
AA:成型品表面にブリードアウトがない
BB:成型品表面にブリードアウトがある
【0067】
<可塑性(折り曲げ試験)>
実施例および比較例で製造したフィルムの成形体について、180°折り曲げ試験を行い、可塑性について以下の基準で評価した。
AA:折り曲げ後、割れもしくは白濁を生じない
BB:折り曲げ後、割れもしくは白濁を生じる
【0068】
<加工温度>
成形加工温度を5℃ずつ変化させて成形加工を試み、成形加工を円滑に行うことのできた温度のうち、最高の温度を加工温度とした。
【0069】
【表2】
【0070】
表2より、メチルメタクリレートと、アクリル酸アルキルエステルとの共重合体であって、1万〜100万の範囲の重量平均分子量、および3〜10の範囲の分子量分布を満たす(メタ)アクリル系樹脂を可塑剤として用いたポリ乳酸樹脂組成物は、可塑剤とポリ乳酸樹脂との相溶性に優れ、高い加工温度で成形可能であり、これを用いた場合にはブリードアウトを生じず可塑性に優れたポリ乳酸樹脂成形品が好適に得られることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明のポリ乳酸樹脂用可塑剤は、ポリ乳酸樹脂に可塑性を与える用途に用いることができる。本発明のポリ乳酸樹脂用可塑剤を含む樹脂組成物は、各種ポリ乳酸樹脂成形品の製造に用いることができ、ポリ乳酸樹脂成形品としては、例えば、携帯電話の筐体やゴミ袋、レジ袋、箸、歯ブラシ、耐熱食器類等の日用品、3Dプリンターを用いて製造された成形品、シート、フィルムが挙げられる。