【実施例】
【0025】
以下、図面を参照して実施例に係る熱処理炉10について説明する。
図1に示すように、熱処理炉10は、炉体20と、被処理物12を搬送する搬送装置40を備えている。熱処理炉10は、搬送装置40によって被処理物12が炉体20内を搬送される間に、被処理物12を熱処理する。
【0026】
炉体20は、天井壁20aと、底壁20dと、隔壁20b,20cとによって囲まれており、内部に隔壁22,23を備えている。炉体20の内部空間は、隔壁22,23によって、第1空間30と、第2空間32と、第1空間30と第2空間32とを連通させる連通通路36に分割されている。具体的には、隔壁22は、隔壁20b,20cの間の略中間の位置で天井壁20aに固定されており、天井壁20aから垂直下方に延びている。隔壁23は、隔壁22に対応する位置で底壁20dに固定されており、底壁20dから垂直上方に延びている。炉体20の内部は、隔壁22,23を境界として第1空間30と第2空間32とに分けられている。隔壁22と隔壁23の間は離間しており、離間した間の空間には連通通路36が設けられている。炉体20の隔壁20bには開口24が形成され、隔壁20cには開口26が形成されている。被処理物12は、搬送装置40によって開口24から熱処理炉10内に搬送され、連通通路36を通り、開口26から熱処理炉10の外へ搬送される。すなわち、開口24は搬入口として用いられ、開口26は搬出口として用いられる。
【0027】
炉体20内に搬送された被処理物12は、開口24から開口26まで搬送される間に熱処理される。被処理物12としては、例えば、セラミックス製の誘電体(基材)と電極とを積層した積層体が挙げられる。被処理物12は、例えば、セッター14(なお、以下の明細書において、これを区別する必要があるときはセッター14a,14bのように沿字のアルファベットを用いて記載し、区別する必要のないときは単にセッター14と記載する場合がある。また、他の構成要素についても同一構成のものについて区別する必要がないときは、上記と同様に沿字のアルファベットを省略して単に数字で記載することがある。)に載置して搬送される。
【0028】
第1空間30は、天井壁20aと、底壁20dと、隔壁20bと、隔壁22,23とによって囲まれている。第1空間30は、炉体20内において隔壁22,23によって第2空間32と遮断されることによって、第2空間32とは異なる雰囲気温度を維持することができる。第1空間30は、隔壁20bに設けられた開口24により熱処理炉10の外に連通し、隔壁22,23の間の連通通路36により第2空間32に連通している。第1空間30には、複数の搬送ローラ52と、複数のヒータ34a,34bとが配置されている。第1空間30には、第1搬送区間42に配置される搬送ローラ52と、第2搬送区間44の一部に配置される搬送ローラ52が収容されている。ヒータ34aは、搬送ローラ52の上方の位置に搬送方向に等間隔で配置され、ヒータ34bは搬送ローラ52の下方の位置に搬送方向に等間隔で配置されている。ヒータ34a,34bが発熱することで、第1空間30内が加熱される。
【0029】
第2空間32は、天井壁20aと、底壁20dと、隔壁20cと、隔壁22,23とによって囲まれている。第2空間32は、炉体20内において隔壁22,23によって第1空間30と遮断されることによって、第1空間30とは異なる雰囲気温度を維持することができる。第2空間32は、隔壁20cに設けられた開口26により熱処理炉10の外に連通し、隔壁22,23の間の連通通路36により第1空間30に連通している。第2空間32には、複数の搬送ローラ52と、複数のヒータ34c,34dとが配置されている。第2空間32には、第2搬送区間44の一部に配置される搬送ローラ52と、第3搬送区間46に配置される搬送ローラ52が収容されている。ヒータ34cは、搬送ローラ52の上方の位置に搬送方向に等間隔で配置され、ヒータ34dは搬送ローラ52の下方の位置に搬送方向に等間隔で配置されている。ヒータ34c,34dが発熱することで、第2空間32内が加熱される。
【0030】
連通通路36は、隔壁22,23によってその上面と下面の境界が画定されている。連通通路36は、第1空間30と第2空間32とを連通している。連通通路36には、複数の搬送ローラ52が配置されている。連通通路36には、第2搬送区間44に配置される搬送ローラ52のみが収容されている。連通通路36を通って、第1空間30から第2空間32へと被処理物12を搬送することができる。ここで、連通通路36内に配置される搬送ローラ52から隔壁22までの距離(高さ)をHとし、隔壁22の第1空間30側の壁面から第2空間32側の壁面までの厚み(
図1の搬送方向の隔壁22の長さ)をwとする。このとき、w>2Hが成立するように、隔壁22が設置される。距離Hが大きいとき、又は厚みwが小さいとき、第1空間30と第2空間32との間で熱が連通通路36を介して移動しやすくなる。上記の式が成立する場合、連通通路36を介した第1空間30と第2空間32との間の熱の移動を抑制することができる。このため、第1空間30の雰囲気温度と第2空間32の雰囲気温度の変化を抑制することができる。
【0031】
搬送装置40は、第1空間30の開口24側の一端から、連通通路36を介して、第2空間32の開口26側の他端まで被処理物12を搬送する。被処理物12は、セッター14に載置された状態で搬送される。搬送装置40による被処理物12の搬送経路は、第1搬送区間42、第2搬送区間44及び第3搬送区間46に区分される。
【0032】
第1搬送区間42は、第1空間30の開口24側の一端から、第1空間30内の第1位置48までに設定される。第1位置48は、第1空間30内であって、隔壁22,23の近傍に設定される。第1位置48は、隣接する2つの搬送ローラ52の中間位置となっている。
図5(a)及び
図6(a)に示すように、第1位置48の近傍であって隔壁22に隣接する位置には第1センサ16が配置される。詳細には、セッター14bの搬送方向(
図5及び
図6の右側)の後端が第1位置48に位置するときに、そのセッター14bの先端を検知する位置に第1センサ16が配置される。第1センサ16は、セッター14を検知するためのセンサである。第1センサ16には、例えば、光学式のセンサを用いることができ、セッター14が光路を遮るか否かでセッター14を検出することができる。第1センサ16がセッター14を検出することで、セッター14の後端が第1位置48に位置するか否かを判断することができる。
【0033】
第2搬送区間44は、第1空間30内に設定された第1位置48から、連通通路36を通って、第2空間32内に設定された第2位置50までに設定される。第2位置50は、第2空間32内であって、隔壁22,23の近傍に設定される。
図5(b)及び
図6(b)に示すように、第2位置50の近傍であって隔壁22に隣接する位置には第2センサ17が配置される。詳細には、セッター14bの搬送方向(
図5及び
図6の右側)の先端が第2位置50に位置するときに、そのセッター14bの後端を検知する位置に第2センサ17が配置される。第2センサ17は、第1センサ16と同様の構成を採ることができ、セッター14を検知するためのセンサである。第2センサ17がセッター14の後端を検出することで、セッター14の先端が第2位置50に位置するか否かを判断することができる。
【0034】
第3搬送区間46は、第2空間32内に設定された第2位置50から第2空間32の隔壁20c側の他端までに設定される。
【0035】
セッター14は、被処理物12を載置した状態で、搬送ローラ52によって搬送される。なお、セッター14は本実施例では平板状であるが、被処理物12を載置した状態で搬送ローラ52によって搬送されるものであればよく、上記の実施例に限定されない。例えば、箱状のセッターを用いることができる。また、セッター14の材料は特に限定されないが、例えば、アルミナ、ムライト又はSi−SiC製とすることができ、高温強度に優れたSi−SiC製とすることが好ましい。Si−SiCは多孔質のSiCに金属Siを含浸させて緻密化したセラミックである。Si−SiCを用いることにより、高温下においてもセッター14が変形しにくく、搬送中にセッター14に反りが生じることを防止することができる。このため、高温下においてもセッター14が蛇行することを好適に防止することができる。また、急激な温度変化に対してもセッター14が変形しにくいため、雰囲気温度の異なる空間へ好適に搬送することができる。
【0036】
搬送装置40は、複数の搬送ローラ52と、第1駆動装置54と、第2駆動装置56と、第3駆動装置58と、クラッチ機構70とを備えている。
図2を参照して、搬送装置40の構成を説明する。
【0037】
搬送ローラ52は円筒状であり、第1搬送区間42、第2搬送区間44及び第3搬送区間46に設置され、その軸線は搬送方向と直交する方向に伸びている。複数の搬送ローラ52は、すべて同じ直径を有しており、搬送方向に一定のピッチp(
図4参照)で等間隔に配置されている。搬送ローラ52は、その軸線回りに回転可能に支持されており、駆動装置の駆動力が伝達されることによって回転する。搬送ローラ52の材料は特に限定されないが、例えば、高温強度に優れたSi−SiC製とすることが好ましい。Si−SiCを用いることにより、高温下においても搬送ローラ52の変形が抑制され、複数の搬送ローラ52のローラ径を略均一に保持することができ、ローラの反りを抑制することができる。このため、高温下においてもセッター14が蛇行することを防止でき、セッター14を好適に搬送することができる。
【0038】
第1駆動装置54は、第2搬送区間44内に配置された搬送ローラ52を駆動する駆動装置(例えば、モータ)である。第1駆動装置54は、動力伝達機構及びクラッチ機構70を介して、第2搬送区間44内に配置された搬送ローラ52に接続されている。本実施例では、動力伝達機構として、スプロケット72a,72bとチェーン76と駆動軸84が用いられている。
図3に示すように、スプロケット72a,72bは搬送方向に間隔を空けて回転可能に配置されている。スプロケット72a,72bにはチェーン76が架け渡されている。スプロケット72aには第1駆動装置54が接続されており、第1駆動装置54の回転がスプロケット72aに伝達される。チェーン76には、クラッチ機構70を介して駆動軸84が接続されている。駆動軸84には1つの搬送ローラ52cが接続されている。搬送ローラ52cは、従動歯車86b,86cによって隣接する搬送ローラ52b,52dに接続されている。以下、同様に、従動歯車86a,86dによって隣接する搬送ローラ52a,52eが接続され、第2搬送区間44内に配置された搬送ローラ52の全てに駆動軸84の回転が伝達可能となっている。第1駆動装置54の駆動力が動力伝達機構を介して搬送ローラ52(第2搬送区間44に配置)に伝達されると、搬送ローラ52は第1の速度v1で回転するようになっている。なお、第1駆動装置54の駆動力は、後で詳述するクラッチ機構70により、第2搬送区間44内に配置された搬送ローラ52に伝達される状態と、伝達されない状態に切替えられる。第1駆動装置54は、制御装置60によって制御されている。
【0039】
第2駆動装置56は、第2搬送区間44内に配置された搬送ローラ52及び第3搬送区間46内に配置された搬送ローラ52を駆動する駆動装置(例えば、モータ)である。第2駆動装置56は、動力伝達機構及びクラッチ機構70(ただし、第2搬送区間44の搬送ローラ52のみ)を介して、第2搬送区間44及び第3搬送区間46に配置された搬送ローラ52に接続されている。具体的には、第2搬送区間44内に配置された搬送ローラ52には、スプロケット78a,78bとチェーン82と駆動軸84が動力伝達機構として用いられる。
図3に示すように、スプロケット78a,78bは搬送方向に間隔を空けて回転可能に配置されている。スプロケット78a,78bにはチェーン82が架け渡されている。スプロケット78aには第2駆動装置56が接続されており、第2駆動装置56の回転がスプロケット78aに伝達される。チェーン82には、クラッチ機構70を介して駆動軸84が接続されている。クラッチ機構70は、駆動軸84にチェーン76の回転が伝達される状態と、チェーン82の回転が伝達される状態とに切替える。また、チェーン82には、第3搬送区間46に配置された搬送ローラ52f〜52j・・のそれぞれが係合している。したがって、第2搬送区間44内に配置された搬送ローラ52に対しては、クラッチ機構70によって、第2駆動装置56の動力が伝達される状態と伝達されない状態に切替えられる。一方、第3搬送区間46内に配置された搬送ローラ52に対しては、第2駆動装置56の動力が常時伝達される。第2駆動装置56の駆動力が搬送ローラ52に伝達されると、搬送ローラ52は第2の速度v2で回転するようになっている。第2駆動装置56は、制御装置60によって制御されている。
【0040】
第3駆動装置58は、第1搬送区間42内に配置された搬送ローラ52を駆動する駆動装置(例えば、モータ)である。第3駆動装置58は、動力伝達機構を介して、第1搬送区間42内に配置された搬送ローラ52に接続されている。動力伝達機構としては、公知のものを用いることができ、本実施例では、スプロケットとチェーンによる機構(第3搬送区間46に配置された搬送ローラ52に動力を伝達する機構と同一の機構)が用いられている。第3駆動装置58の駆動力が動力伝達機構を介して搬送ローラ52(第1搬送区間42に配置)に伝達されると、搬送ローラ52は第3の速度v3(本実施例では、第2の速度v2に等しい)で回転するようになっている。第3駆動装置58は、制御装置60によって制御されている。第1駆動装置54と第2駆動装置56と第3駆動装置58は、制御装置60によって、互いに独立して駆動が可能となっている。
【0041】
図3を参照して、クラッチ機構70について説明する。第2搬送区間44内に配置された搬送ローラ52a〜52eは、クラッチ機構70によって第1駆動装置54又は第2駆動装置56の駆動力が選択的に伝達される。
【0042】
上述したように、第1駆動装置54の駆動力は、スプロケット72aに伝達され、スプロケット72aに伝達された駆動力は、チェーン76を介してスプロケット72cに伝達される。また、第2駆動装置56の駆動力は、スプロケット78aに伝達され、スプロケット78aに伝達された駆動力は、チェーン82を介してスプロケット78cに伝達される。
【0043】
クラッチ機構70は、第1駆動装置54の駆動力を伝達するスプロケット72bと、スプロケット72bに隣接するカムクラッチ74と、第2駆動装置56の駆動力を伝達するスプロケット78bと、スプロケット78bに隣接するカムクラッチ80と、を備えている。スプロケット72bはチェーン76に係合しており、スプロケット78bはチェーン82に係合している。チェーン76の回転(すなわち、第1駆動装置54の駆動力)はスプロケット72bに伝達され、チェーン82の回転(すなわち、第2駆動装置56の駆動力)はスプロケット78bに伝達される。
【0044】
カムクラッチ74,80は、リング状の部材であり、外輪と内輪を有している。カムクラッチ74は、外輪においてスプロケット72bに固定されており、内輪において駆動軸84に固定されている。カムクラッチ80は、外輪においてスプロケット78bに固定されており、内輪において駆動軸84に固定されている。カムクラッチ74,80は、外輪からの駆動力を内輪に伝達可能とされる一方、内輪が外輪に対して空転することによって内輪からの駆動力を外輪に伝達しない構成となっている。すなわち、カムクラッチ74,80は、その外輪が内輪を押圧することで、スプロケット72b,78bから駆動軸84への駆動力の伝達が可能となる。一方、外輪を内輪に押圧する力を解放すると、内輪に対して外輪が空転し、スプロケット72b,78bから駆動軸84(あるいは、駆動軸84からスプロケット72b,78b)への駆動力の伝達が不能となる。したがって、カムクラッチ74,80のいずれか一方を作動させることで、スプロケット72bから駆動軸84へ駆動力が伝達される状態と、スプロケット78bから駆動軸84へ駆動力が伝達される状態とに切替えられる。具体的には、カムクラッチ74が作動して、スプロケット72bの駆動力が駆動軸84に伝達される場合には、カムクラッチ80が作動せず、スプロケット78bの駆動力は駆動軸84からカムクラッチ80の内輪に伝達されない。また、カムクラッチ80が作動して、スプロケット78bの駆動力が駆動軸84に伝達される場合には、カムクラッチ74が作動せず、スプロケット72bの駆動力は駆動軸84からカムクラッチ74の内輪に伝達されない。したがって、カムクラッチ74,80の作動状態を切り換えることによって、駆動軸84に伝達される駆動力を選択することができる。つまり、カムクラッチ74を作動させると、スプロケット72bに伝達される駆動力が駆動軸84に伝達される。すなわち、第1駆動装置54の駆動力が駆動軸84に伝達される。カムクラッチ80を作動させると、スプロケット78bに伝達される駆動力が駆動軸84に伝達される。すなわち、第2駆動装置56の駆動力が駆動軸84に伝達される。
【0045】
このように、クラッチ機構70によって第2搬送区間44内に配置された搬送ローラ52a〜52eの駆動速度を切り換えることにより、第1駆動装置54と第2駆動装置56の回転速度を変化させることなく、搬送ローラ52の回転速度を変更することができる。このため、搬送ローラ52の回転速度を高速で切り換えることが可能となる。
【0046】
次に、被処理物12を熱処理する際の熱処理炉10の動作について説明する。被処理物12を熱処理するためには、まず、ヒータ34a〜34dを作動させて、第1空間30と第2空間32の雰囲気温度を設定した温度とする。次に、搬送ローラ52上に被処理物12を載置したセッター14を載せる。搬送装置40(すなわち、第1駆動装置54,第2駆動装置56,第3駆動装置58)を作動させて、熱処理炉10の開口24から、第1空間30、連通通路36及び第2空間32を通って、熱処理炉10の開口26まで被処理物12を搬送する。これによって、被処理物12が熱処理される。本実施例では、第2搬送区間44における被処理物12の搬送速度v1は、第1搬送区間42と第3搬送区間46における被処理物12の搬送速度v2(=v3)よりも大きくされる。すなわち、搬送装置40によってセッター14(被処理物12)の搬送が開始されると、制御装置60は、第1センサ16の出力信号から、第1センサ16がセッター14の先端を検知したか否かを監視する。第1センサ16によってセッター14の先端が検知されるまでは、制御装置60は、クラッチ機構70を制御して、第2駆動装置56の動力が第2搬送区間44内に配置された搬送ローラ52に伝達される状態とする。このため、搬送装置40の全ての搬送ローラ52は、同一の搬送速度v2(=v3)でセッター14(被処理物12)を搬送する。第1センサ16によってセッター14の先端が検知されると、制御装置60は、クラッチ機構70を制御して、第1駆動装置54の動力が第2搬送区間44内に配置された搬送ローラ52に伝達される状態とする。これによって、第2搬送区間44内に配置された搬送ローラ52に第1駆動装置54の動力が伝達され、セッター14(被処理物12)は搬送速度v1(>搬送速度v2)で搬送される。次に、制御装置60は、第2センサ17の出力信号から、第2センサ17がセッター14の後端を検知したか否かを監視する。第2センサ17によってセッター14の後端が検知されると、制御装置60は、クラッチ機構70を制御して、第2駆動装置56の動力が第2搬送区間44内に配置された搬送ローラ52に伝達される状態とする。これによって、第2搬送区間44内に配置された搬送ローラ52の回転速度が切替えられ、セッター14(被処理物12)は搬送速度v2(<搬送速度v1)で熱処理炉10の開口26まで搬送される。
【0047】
上述した説明から明らかなように、本実施例の熱処理炉10では、第1空間30の雰囲気温度に対して第2空間32の雰囲気温度が高く設定される。また、第2搬送区間44における被処理物12の搬送速度v1が、第1搬送区間42と第3搬送区間46における被処理物12の搬送速度v2よりも大きくされる。これによって、被処理物12を、第1空間30の雰囲気温度より第2空間32の雰囲気温度まで急速に昇温することができる。例えば、本実施例の熱処理炉10は、以下の条件で運転を行うことができる。すなわち、第1空間30の雰囲気温度を500℃とし、第2空間32の雰囲気温度を1000℃とする。このとき、第1空間30と第2空間32の温度差(ΔT)は500℃となる。また、第1センサ16と第2センサ17との距離(x)を250mmとし、第1の速度v1を3000mm/分とする。ここで、昇温速度は、温度差ΔTを、被処理物12が距離xを第1の速度v1で進む時間(x/v1)で割った値、すなわち、ΔT×v1/xとして算出される。上記の条件で熱処理炉10を運転すると、昇温速度は約6000℃/分となり、被処理物12を、第1空間30の雰囲気温度から第2空間32の雰囲気温度まで急速に昇温することが可能となる。上記の説明から明らかなように、第1の速度v1を速くすればするほど、被処理物12の昇温速度が大きくなる。なお、上記運転条件は一例であり、これに限定されるものではない。
【0048】
また、本実施例の熱処理炉10では、第1センサ16でセッター14の先端を検知するまでは、第2搬送区間44内の搬送ローラ52は、第1搬送区間42内の搬送ローラ52と同一の速度で回転する。すなわち、セッター14が完全に第2搬送区間44内に搬送されるまでは、第2搬送区間44内の搬送ローラ52の回転速度が切替えられることはない。セッター14が異なる回転速度で回転する搬送ローラ52上に載ると、セッター14が搬送方向に対して傾き、セッター14の蛇行の原因となる。本実施例では、セッター14が第2搬送区間44に完全に移動してから、第2搬送区間44内の搬送ローラ52の回転速度が切替えられるため、セッター14が蛇行することを抑制することができる。
【0049】
なお、第1搬送区間42におけるセッター14の搬送速度v3の大きさによっては、第2搬送区間44でセッター14を高速搬送する間に、第1搬送区間42内を搬送されるセッター14の一部が第2搬送区間44内の搬送ローラ52上に移動する可能性がある。すなわち、本実施例の熱処理炉10では、セッター14(被処理物12)を搬送ローラ52上に搬送方向に並べて配置し、搬送ローラ52によって複数のセッター14を同時に搬送する。このため、第2搬送区間44でセッター14を高速搬送する間に、第1搬送区間42内を搬送されるセッター14(高速搬送されるセッター14の直後に搬送されるセッター14)の一部が第2搬送区間44内の搬送ローラ52上に移動する可能性がある。そこで、本実施例の熱処理炉10では、第1搬送区間42におけるセッター14の搬送速度v3に応じて、第1搬送区間42内の搬送ローラ52を駆動する第3駆動装置58の駆動をオン−オフ制御する。このことを、
図4〜6を参照して説明する。
【0050】
まず、第2搬送区間44でセッター14を搬送速度v1で高速搬送する間に、第1搬送区間42内を搬送されるセッター14(高速搬送されるセッター14の直後に搬送されるセッター14)が第2搬送区間44内の搬送ローラ52上に移動してしまう条件について説明する。
図4は、第2搬送区間44に搬送されて高速搬送開始時のセッター14aと、セッター14aの直後を搬送されているセッター14bとを併せて示す図である。セッター14aは、第2搬送区間44を移動する間、搬送速度v1で搬送される。このため、セッター14aが搬送速度v1で搬送される時間tはL/v1となる(Lはセッター14aが高速搬送される距離(
図5に図示))。したがって、セッター14aが高速搬送される間にセッター14bが移動する距離はv3×L/v1となる。ここで、セッター14aの高速搬送開始時におけるセッター14bの位置は、その先端が搬送ローラ52
b2と搬送ローラ52
a1の中間の位置よりも開口24側の位置となる。すなわち、セッター14aとセッター14bが搬送方向に隙間なく配置されて開口24から熱処理炉10に投入される場合、セッター14aの高速搬送開始時におけるセッター14bの先端の位置は搬送ローラ52
b2と搬送ローラ52
a1の中間の位置となる。したがって、上述したセッター14bの移動距離v3×L/v1がp/2(p:搬送ローラ52の間隔(ピッチ))より小さければ(すなわち、v3×L/v1<p/2となれば)、セッター14aを高速搬送している間に、セッター14bが第2搬送区間44の搬送ローラ52
a1の上に載ることはない。すなわち、v3<(p/2L)×v1であれば、セッター14bを搬送速度v3で搬送し続けても、セッター14aの高速搬送中にセッター14bが搬送ローラ52
a1の上に載ることはない。このため、本実施例では、v3<(p/2L)×v1であれば、第2搬送区間44内をセッター14が高速搬送される間も、第1搬送区間42内の搬送ローラ52の搬送速度v3での駆動を継続する。一方、v3≧(p/2L)×v1であれば、第2搬送区間44内をセッター14が高速搬送される間、第1搬送区間42内の搬送ローラ52の駆動を停止する(搬送速度v3=0)。これによって、セッター14bが高速回転している搬送ローラ52
a1の上に載ることが防止され、セッター14bの蛇行の抑制が図られている。
【0051】
まず、
図5を参照して、v3<(p/2L)×v1となる場合、すなわち、第2搬送区間44をセッター14が高速搬送されている間も、第1搬送区間42内に配置された搬送ローラ52の駆動を継続する場合における、被処理物12の搬送状態について説明する。
図5(a)は、クラッチ機構70が第2状態から第1状態に切り換わる時点を示しており、
図5(b)は、クラッチ機構70が第1状態から第2状態に切り換わる時点を示している。すなわち、第2搬送区間44内に配置された搬送ローラ52は、
図5(a)の状態となるまでは搬送速度v2(=v3)で駆動される。第1センサ16がセッター14bの先端を検知すると、クラッチ機構70が作動し、セッター14bは搬送速度v1(>v2)で搬送される。そして、第2センサ17がセッター14bの後端を検知すると、クラッチ機構70が作動し、セッター14bは搬送速度v2で搬送される状態となる(
図5(b)の状態)。
図5において、セッター14a〜14cは、連続して搬送されるセッター14を示している。
【0052】
セッター14bが第1空間30に投入されて
図5(a)に示す状態になるまでについて説明する。セッター14bは、第1搬送区間42から第2搬送区間44に向かって搬送される。このとき、第2搬送区間44内は、クラッチ機構70により第2状態が選択されているため、セッター14bは搬送速度v2で搬送される。このため、第1搬送区間42内は搬送速度v3(=v2)で搬送されるため、全区間42,44,46が同一の搬送速度v2で搬送されることとなる。すなわち、この状態は、セッター14bの搬送方向(
図5の右方向)の先端が第1センサ16に検知されるまで維持される。
【0053】
セッター14aは、セッター14bの直近の上流(
図5の左側)に位置している。セッター14aは、第1搬送区間42内をセッター14bに続いて搬送速度v3(=v2)で搬送される。セッター14bが第1センサ16に検知されるとき、セッター14aの先端は第1位置48と略一致する。
【0054】
セッター14cは、セッター14bの直近の下流(
図5の右側)に位置している。セッター14cは、第2搬送区間44から第3搬送区間46に搬送されている。このとき、第2搬送区間44内は第2状態が選択されているため、セッター14cは搬送速度v2(=v3)で搬送される。セッター14bが第1センサ16に検知されるとき、セッター14cの後端は第2位置50から距離l3上流に位置する。
【0055】
次に、
図5(a)に示す状態から
図5(b)に示す状態になるまでについて説明する。セッター14bは、第2搬送区間44内を搬送速度v1で搬送される。すなわち、セッター14bの先端が第1センサ16に検知されると、クラッチ機構70が第2状態から第1状態に切り替えられ、セッター14bは搬送速度v1で搬送される。この状態は、セッター14bの搬送方向の後端を第2センサ17に検知されるまで維持される(
図5(b)に示す状態)。このときの時間をtとし、セッター14bの搬送距離をLとすると、L=v1×tが成立することとなる。
【0056】
一方、セッター14aは、第1搬送区間42内を搬送速度v3(=v2)で搬送され、その搬送距離をl1とすると、l1=v3×tが成立する。ここで、距離l1がピッチpの半分の距離より大きい場合、第2搬送区間44内に配置された搬送ローラ52が搬送速度v1で駆動されている間に、セッター14aが第2搬送区間44内に配置されている搬送ローラ52に接触することとなる。すると、セッター14aは搬送速度v1で駆動する搬送ローラ52と搬送速度v3(=v2)で駆動されている搬送ローラ52とに載置された状態となる。この場合には、セッター14aと搬送ローラ52との間にすべりが生じ、セッター14aが蛇行する虞がある。
図5に示す例では、v3<(p/2L)×v1であるため、l1<p/2が成立する。このため、セッター14aの搬送速度v3での搬送を継続することができる。
【0057】
セッター14cは、第3搬送区間46内を搬送速度v2(=v3)で搬送され、その搬送距離をl3とすると、l3=v2×tが成立する。セッター14cは距離l3(=l1)を搬送されるため、セッター14cとセッター14bの間隔は維持される。このため、セッター14bはセッター14cに衝突することなく搬送される。
【0058】
最後に、
図5(b)に示す状態から
図5(a)に示す状態になるまでについて説明する。セッター14bの後端を第2センサ17に検知されると、クラッチ機構70が第1状態から第2状態に切り換えられるため、第2搬送区間44内は搬送速度v2(=v3)となり、第1搬送区間42、第2搬送区間44及び第3搬送区間46はすべて同一の速度となる。この状態は、セッター14bの連続する直近上流のセッター14aが第1センサ16に検知されるまで維持される。
【0059】
セッター14a(
図5(b)に示す状態)は、第1搬送区間42から第2搬送区間44に搬送される。セッター14aは、第1搬送区間42及び第2搬送区間44を搬送速度v3(=v2)で搬送される。この状態は、セッター14aの先端が第1センサ16に検知されるまで維持されるため、
図5(b)に示すセッター14aは、
図5(a)に示すセッター14bの位置まで搬送されることとなる。このときのセッター14aの搬送距離は、セッター14の1枚分の長さ(搬送方向の寸法)より距離l1短くなる。
【0060】
セッター14b(
図5(b)に示す状態)は、搬送速度v2(すなわち、搬送速度v3)で第2搬送区間44から第3搬送区間46に搬送される。このとき、セッター14bは、セッター14aと同一の距離を搬送されるため、
図5(b)に示すセッター14bは、
図5(a)のセッター14cの位置まで搬送されることとなる。
【0061】
図5(b)に示すセッター14aのさらに上流には、次のセッター14が連続して搬送される。このセッター14は、
図5(a)のセッター14aの状態まで搬送される。このようにして、
図5(b)に示す状態から、
図5(a)に示す状態となる。したがって、搬送速度v3を(p/2L)×v1より小さくなるように設定される場合、第1搬送区間42の搬送ローラ52の駆動を停止することなく連続して被処理物12を搬送することができる。
【0062】
図6を参照して、v3≧(p/2L)×v1となる場合、すなわち、クラッチ機構70が第1状態を選択しているときに、第1搬送区間42内に配置された搬送ローラ52の駆動を停止する場合について説明する。なお、
図5を用いて説明した内容と重複する説明については省略する。
図6(a)は、クラッチ機構70が第2状態から第1状態に切り換わる時点を示しており、
図6(b)は、クラッチ機構70が第1状態から第2状態に切り換わる時点を示している。
【0063】
まず、セッター14bが第1空間30に投入されて
図6(a)に示す状態になるまでについて説明する。セッター14a,14bについては、
図5(a)を用いた説明と同一となるため、詳細な説明は省略する。セッター14cは、搬送速度v2(すなわち、搬送速度v3)で第2搬送区間44から第3搬送区間46に搬送され、セッター14bが第1センサ16に検知されるとき、セッター14cの後端は第2位置50と略一致する。
【0064】
次に、
図6(a)に示す状態から
図6(b)に示す状態になるまでについて説明する。セッター14bは、
図5を用いた説明と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0065】
セッター14aは、v3≧p×v1/2Lが成立する場合、クラッチ機構70が第1状態を選択している間、
図6(a)に示す状態で停止する。上述のように、第2搬送区間44内に配置された搬送ローラ52が駆動速度v1で駆動する時間tの間、セッター14aが搬送速度v3で搬送される距離l1が、搬送ローラ52間のピッチpの半分の距離よりも大きい場合、セッター14aが第2搬送区間44内に配置される搬送ローラ52に接触することとなる。すなわち、v3≧p×v1/2Lが成立する場合、セッター14aが蛇行したり、下流のセッター14bに衝突したりする可能性がある。このため、上記式v3≧p×v1/2Lが成立する場合には、クラッチ機構70が第1状態を選択している間、セッター14aが搬送されないように第3駆動装置58の動作は停止される。これより、上記の可能性を事前に回避することができる。
【0066】
セッター14cは、第3搬送区間46内を搬送速度v2(すなわち、搬送速度v3)で搬送される。このため、セッター14cは、第2位置50から距離l3下流に位置する。具体的には、セッター14cの後端は、第2位置50から13(=v2×t)だけ第3搬送区間46側に離れた位置よりもさらに第3搬送区間46側に位置している。
【0067】
最後に、
図6(b)に示す状態から
図6(a)に示す状態になるまでについて説明する。セッター14a(
図6(b)に示す状態)は、第1搬送区間42から第2搬送区間44に搬送速度v3で搬送される。これは、セッター14aが第1センサ16に検知されるまで維持されるため、
図6(b)に示すセッター14aは、
図6(a)に示すセッター14bの位置まで搬送されることとなる。このときのセッター14aの搬送距離は、セッター14の1枚分の長さ(搬送方向の寸法)と略同一となる。
【0068】
セッター14b(
図6(b)に示す状態)は、搬送速度v2(すなわち、搬送速度v3)で第2搬送区間44から第3搬送区間46に搬送される。このとき、セッター14bは、セッター14aと同一の距離を搬送されるため、
図6(b)に示すセッター14bは、
図6(a)に示すセッター14cの位置まで搬送されることとなる。
【0069】
図6(b)に示すセッター14aのさらに上流には、次のセッター14が連続して搬送されている。このセッター14は、
図6(a)に示すセッター14aの位置まで搬送される。このようにして、
図6(b)に示す状態から、
図6(a)に示す状態となる。したがって、v3≧p×v1/2Lが成立する場合、クラッチ機構70が第1状態を選択している間、第3駆動装置58の動作を停止することによって、セッター14の蛇行や、セッター14同士の衝突を回避することができる。これにより、
図6(a)と
図6(b)の状態を繰り返して、連続して被処理物12を安全に熱処理することができる。
【0070】
なお、上述した実施例では、v3≧(p/2L)×v1となる場合、第2搬送区間44内をセッター14が高速搬送される間、第1搬送区間42内の搬送ローラ52の駆動を停止したが、このような形態に限られない。例えば、v3≧(p/2L)×v1となる場合、第2搬送区間44内をセッター14が高速搬送される間、第1搬送区間42内のセッター14の搬送速度を低下させて搬送ローラ52の駆動を継続してもよい。このような構成によっても、セッター14の搬送速度が小さく抑えられるため、セッター14の蛇行等を防止することができる。
【0071】
上述した実施例では、セッター14が第2センサ17に検知された後、クラッチ機構70を第2状態に切り換えたが、このような形態に限られない。例えば、セッター14の先端が第1センサ16に検知され、クラッチ機構70が第1状態に切り換えられた後、被処理物12が第2搬送区間44を搬送される所定時間だけ、クラッチ機構70が第1状態を維持していてもよい。第2搬送区間44の距離Lと第1の速度v1から、被処理物12が第1の速度v1で第2搬送区間44を搬送される時間tを算出することができる。このため、セッター14の先端が第1センサ16に検知され後、時間tの間だけクラッチ機構70を第1状態に維持し、時間tの経過後、クラッチ機構70を第2状態に切り換えることができる。このような構成によれば、第2センサ17を設置することなく、クラッチ機構70が第1状態を維持する時間を制御することによって、クラッチ機構70を適切なタイミングで第1状態から第2状態へと切り換えることができる。
【0072】
上述した実施例では、第1搬送区間42の搬送速度v3と第3搬送区間46の搬送速度v2を同一の速度としたが、搬送速度v3と搬送速度v2を異なる速度としてもよい。この場合、セッター14同士が衝突しないように(すなわち、セッター14の間隔が適切な間隔となるように)、第2搬送区間44をセッター14が搬送される間、第1搬送区間42のセッター14の搬送速度v3を適切に制御すればよい。また、熱処理炉10内に形成される空間は2つの空間30,32に限られず、3以上の空間に分割されていてもよい。また、被処理物12を搬送する搬送区間も3つの区間42,44,46に限られず、4以上の搬送区間に分割されていてもよい。
【0073】
なお、上記の実施例では、第1空間30と第2空間32を隔離する隔壁が1つの隔壁22により構成されていたが、本明細書に開示の技術は、このような形態に限られない。例えば、
図7(a)〜(d)に示すように、2つの隔壁122a,122bにより第1空間30と第2空間32を隔離してもよい。第1の隔壁122aは第1空間30側に配置されており、第2の隔壁122bは第2空間32側に配置されている。第1の隔壁122aは、連通通路36の第1搬送区間42と第2搬送区間44の境界を画定している。第2の隔壁122bは、第2搬送区間44と第3搬送区間46の境界を画定している。
【0074】
第1センサ116は、第1の隔壁122aの近傍に配置される。具体的には、第1センサ116は、第1の隔壁122aの第1搬送区間42側(
図7(a)及び(b)に示す位置)に配置されてもよいし、第1の隔壁122aと第2の隔壁122bの間(
図7(c)及び(d)に示す位置)に配置されてもよい。
図7(a)〜(d)のいずれの場合でも、セッター14の搬送方向の先端を第1センサ116が検知したか否かによって、クラッチ機構70の状態を切り換えることができる。
【0075】
第2センサ117は、第2の隔壁122bの近傍に配置される。具体的には、第2センサ117は、第2の隔壁122bの第3搬送区間46側(
図7(a)及び(c)に示す位置)に配置されてもよいし、第1の隔壁122aと第2の隔壁122bの間(
図7(b)及び(d)に示す位置)に配置されてもよい。このような場合であっても、セッター14の搬送方向の後端が第2センサ117に検知されることによって、クラッチ機構70の状態を切り換えることができる。なお、
図7に示す例においても、第2センサ117を設置することなく、第2搬送区間44を第1の速度v1で搬送される時間で制御することにより、クラッチ機構70を第1状態から第2状態へと切り換えてもよい。
【0076】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。