【実施例】
【0067】
実施例1:架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルの製造
実施例1−1:10%ヒアルロン酸(平均分子量360kDa)利用
実施例1−1−1
平均分子量360kDa(分子量範囲240〜490kDa)のヒアルロン酸(Bloomage Freda Biotech,中国)を10%(w/v)の濃度でアルカリ水(0.25N NaOH)に完全に溶かした後、ヒドロキシ基との反応で架橋を果たすために、ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)を添加した。BDDEは、HAの繰り返し単位の10mol%で添加した。架橋反応が完全に進行するために、25℃で24時間または30℃で20時間反応させた。ヒアルロン酸溶液のpHは、約12であった。製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルを精製水または生理食塩水で洗浄して、残留BDDE及びNaOHを除去した。製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルの架橋度は、H
1−NMR分析法(核磁気共鳴分光器)で測定し、架橋度は、19.75%であった。
【0068】
実施例1−1−2
BDDEをHA繰り返し単位の12mol%で添加したことを除いては、実施例1−1−1と同じ方法で架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルを製造した。該製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルの架橋度は、25.5%であった。
【0069】
実施例1−1−3
BDDEをHA繰り返し単位の15mol%で添加したことを除いては、実施例1−1−1と同じ方法で架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルを製造した。該製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルの架橋度は、20.5%であった。
【0070】
実施例1−1−4
BDDEをHA繰り返し単位の30mol%で添加したことを除いては、実施例1−1−1と同じ方法で架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルを製造した。該製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルの架橋度は、30.5%であった。
【0071】
実施例1−1−5
BDDEをHA繰り返し単位の40mol%で添加したことを除いては、実施例1−1−1と同じ方法で架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルを製造した。該製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルの架橋度は、31.75%であった。
【0072】
実施例1−2:15%ヒアルロン酸(平均分子量360kDa)利用
実施例1−2−1
平均分子量360kDa(分子量範囲240〜490kDa)のヒアルロン酸を15%(w/v)の濃度でアルカリ水(0.25N NaOH)に完全に溶かした後、ヒドロキシ基との反応で架橋を果たすために、BDDEを添加した。BDDEは、HAの繰り返し単位の5mol%で添加した。架橋反応が完全に進行するために、25℃で24時間または30℃で20時間反応させた。ヒアルロン酸溶液のpHは、約12であった。製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルを精製水または生理食塩水で洗浄して、残留BDDE及びNaOHを除去した。製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルの架橋度は、9.25%であった。
【0073】
実施例1−2−2
BDDEをHA繰り返し単位の7.5mol%で添加したことを除いては、実施例1−2−1と同じ方法で架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルを製造した。該製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルの架橋度は、19.75%であった。
【0074】
実施例1−3:20%ヒアルロン酸(平均分子量360kDa)利用
平均分子量360kDa(分子量範囲240〜490kDa)のヒアルロン酸を20%(w/v)の濃度でアルカリ水(0.25N NaOH)に完全に溶かした後、ヒドロキシ基との反応で架橋を果たすために、BDDEを添加した。BDDEは、HAの繰り返し単位の3mol%で添加した。架橋反応が完全に進行するために、25℃で24時間または30℃で20時間反応させた。ヒアルロン酸溶液のpHは、約12であった。製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルを精製水または生理食塩水で洗浄して、残留BDDE及びNaOHを除去した。製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルの架橋度は、6.25%であった。
【0075】
実施例1−4:30%ヒアルロン酸(平均分子量360kDa)利用
平均分子量360kDa(分子量範囲240〜490kDa)のヒアルロン酸を30%(w/v)の濃度になるように、アルカリ水(0.25N NaOH)に添加した後、ヒドロキシ基との反応で架橋を果たすために、BDDEをさらに添加し、よく混合した。BDDEは、HAの繰り返し単位の1mol%で添加した。架橋反応が完全に進行するために、25℃で24時間または30℃で20時間反応させた。ヒアルロン酸溶液のpHは、約12であった。製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルを精製水または生理食塩水で洗浄して、残留BDDE及びNaOHを除去した。製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルの架橋度は、2.25%であった。
【0076】
実施例1−5:10%ヒアルロン酸(平均分子量1,400kDa)利用
実施例1−5−1
平均分子量1,400kDa(分子量範囲1000〜1800kDa、Bloomage Freda Biotech,中国)のヒアルロン酸を10%(w/v)の濃度でアルカリ水(0.25N NaOH)に完全に溶かした後、ヒドロキシ基との反応で架橋を果たすために、BDDEを添加した。BDDEは、HAの繰り返し単位の12mol%で添加した。架橋反応が完全に進行するために、25℃で24時間または30℃で20時間反応させた。ヒアルロン酸溶液のpHは、約12であった。製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルを精製水または生理食塩水で洗浄して、残留BDDE及びNaOHを除去した。製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルの架橋度は、21.25%であった。
【0077】
実施例1−5−2
BDDEをHA繰り返し単位の20mol%で添加したことを除いては、実施例1−5−1と同じ方法で架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルを製造した。該製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルの架橋度は、26.75%であった。
【0078】
実施例1−6:20%ヒアルロン酸(平均分子量3,200kDa)利用
平均分子量3,200kDa(分子量範囲2400〜4000kDa、CPN,チェコ)のヒアルロン酸を20%の濃度でアルカリ水(0.25N NaOH)に完全に溶かした後、ヒドロキシ基との反応で架橋を果たすために、BDDEを添加した。BDDEは、HAの繰り返し単位の5mol%で添加した。架橋反応が完全に進行するために、25℃で24時間または30℃で20時間反応させた。ヒアルロン酸溶液のpHは、約12であった。製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルを精製水または生理食塩水で洗浄して、残留BDDE及びNaOHを除去した。製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルの架橋度は、7.75%であった。
【0079】
実施例1−7:30%ヒアルロン酸(平均分子量3,200kDa)利用
平均分子量3,200kDa(分子量範囲2400〜4000kDa)のヒアルロン酸を30%の濃度でアルカリ水(0.25N NaOH)に完全に溶かした後、ヒドロキシ基との反応で架橋を果たすために、BDDEを添加した。BDDEは、HAの繰り返し単位の1mol%で添加した。架橋反応が完全に進行するために、25℃で24時間または30℃で20時間反応させた。ヒアルロン酸溶液のpHは、約12であった。製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルを精製水または生理食塩水で洗浄して、残留BDDE及びNaOHを除去した。製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルの架橋度は、2.25%であった。
【0080】
実施例2:本発明の架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルを用いたマイクロ構造体の製造
PDMSマイクロモールドの製造
シリコンウェーハにMEMS製作技法を用いて正マスタモールド(positive master mold)を製造した後、前記正マスタモールドから硬化性シリコン(PDMS、polydimethylsilozane)を用いて負モールド(negative mold)を製造した。
【0081】
実施例2−1
PDMSマイクロモールドに、前記実施例1の方法で製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルを供給した後、常温(25℃)で48時間、50℃で6時間または70℃で3時間乾燥し、前記モールドに形成された穴に注入させた後、モールドを除去して、架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルマイクロ構造体を製造した。
【0082】
実施例2−2
PDMSマイクロモールドに、前記実施例1の方法で製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルを供給した後、減圧条件(650mmHg、15分)で前記モールドに形成された穴に注入した。常温(25℃)で48時間、50℃で6時間または70℃で3時間乾燥し、モールドを除去して、架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルマイクロ構造体を製造した。
【0083】
実施例2−3
PDMSマイクロモールドに、前記実施例1の方法で製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルを供給した後、900gで15分間遠心分離(centrifuge)を用いて前記モールドに形成された穴に注入した。常温で48時間、50℃で6時間または70℃で3時間乾燥させた後、モールドを除去して、架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルマイクロ構造体を製造した。
【0084】
実施例2−4
前記実施例1の方法で製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲル100mlを3mlまたは10mlになるように、常温で20時間、50℃で4時間または70℃で2時間乾燥させ、PDMSマイクロモールドに供給した後、900gで60分間遠心分離を用いて前記モールドに形成された穴に注入した後、モールドを除去して、架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルマイクロ構造体を製造した。
【0085】
実施例2−5
PDMSマイクロモールドに、前記実施例1の方法で製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルをホモジナイザー(homogenizer、Primix Corporation,日本)を用いて8,000rpmで10分間均質化して供給した後、常温で24時間、50℃で5時間または70℃で2.5時間中間乾燥させ、900gで20分間遠心分離を用いて前記モールドに形成された穴に均一に注入した後、モールドを除去して、架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルマイクロ構造体を製造した。前記中間乾燥過程は、マイクロ構造体の機械的強度を高め、基底部の扁平度を高めるのに役に立つ。
【0086】
実施例2−6
PDMSマイクロモールドに、前記実施例1の方法で製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルをホモジナイザーを用いて8,000rpmで10分間均質化して供給した後、37℃で12時間、50℃で4時間または70℃で2.5時間中間乾燥させ、900gで20分間遠心分離を用いて前記モールドに形成された穴に均一に注入した後50℃で1時間または70℃で30分間追加乾燥を進行した後、モールドを除去して、架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルマイクロ構造体を製造した。前記追加乾燥過程は、残っている水分をさらに除去することによって、マイクロ構造体の機械的強度を高める効果がある。
【0087】
実施例2−7
マイクロモールドに、前記実施例1の方法で製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルをホモジナイザーを用いて8,000rpmで10分間均質化して供給した後、37℃で7時間、50℃で2.5時間または70℃で1.5時間減圧(684mmHg)条件で中間乾燥させ、900gで20分間遠心分離を用いて前記モールドに形成された穴に均一に注入した後、50℃で1時間または70℃で30分間追加乾燥を進行した後、モールドを除去して、架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルマイクロ構造体を製造した。前記減圧乾燥過程は、誘導体原料のモールド内注入を円滑にし、中間乾燥時間を短縮して(平均40%)、マイクロ構造体に薬物搭載時に、安定性を高めうるという長所がある。
【0088】
比較例1:未変形(非架橋)ヒアルロン酸のみを用いたマイクロ構造体の製造
PDMSマイクロモールドに非架橋ヒアルロン酸30%(w/v)を供給し、900gで15分間遠心分離を用いて前記モールドに形成された穴に注入した。以後、常温(25℃)で30分間乾燥し、モールドを除去して、マイクロ構造体を製造した。
【0089】
実施例3:架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲル及び未変形(非架橋)ヒアルロン酸を用いたマイクロ構造体の製造
実施例3−1
実施例1の架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルをホモジナイザーを用いて8,000rpmで10分間均質化した後、非架橋ヒアルロン酸を架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲル:非架橋ヒアルロン酸重量比が1:1、1:5、1:10または5:1になるように混合し、真空ポンプ(750mmHg)を用いた脱泡過程を通じて気泡を完全に除去した後、マイクロモールドに供給した。減圧条件(650mmHg、15分)で前記モールドに形成された穴に注入した後、常温(25℃)で48時間、50℃で6時間または70℃で3時間乾燥し、モールドを除去して、架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲル及び非架橋ヒアルロン酸を用いたマイクロ構造体を製造した。
【0090】
実施例3−2
実施例1の架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルをホモジナイザーを用いて8,000rpmで10分間均質化した後、非架橋ヒアルロン酸を架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲル:非架橋ヒアルロン酸重量比が1:1、1:5、1:10または5:1になるように混合し、減圧条件(250mmHg、これによって気泡除去される)でマイクロモールドに供給した後、真空ポンプ(750mmHg、15分)を用いた追加脱泡過程を通じて気泡を完全に除去した。37℃で12時間、50℃で4時間または70℃で2.5時間中間乾燥させ、900gで20分間遠心分離を用いてモールドに形成された穴に均一に注入した後、50℃で1時間ないし70℃で30分間追加乾燥を進行した後、モールドを除去して、架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲル及び非架橋ヒアルロン酸を用いたマイクロ構造体を製造した。
【0091】
実施例4:架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルの粘弾性の確認試験
架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルの場合、架橋方法及び架橋剤添加量によって多様な粘弾性を示し、過度に高い粘度(2,500,000cp以上)や弾性係数(1Hzで測定された弾性係数値が100kPa以上)を有する場合、所望の形状と硬度とのマイクロ構造体の製造が不可能である。
【0092】
本実施例は、本発明の架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルの粘弾性別のマイクロ構造体の製造条件を確認するために行われた。特に、架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルの粘弾性によってマイクロ構造体の製造時に、乾燥時間と遠心分離条件とを異ならせ、1Hzで測定された弾性係数値が100Paよりも高いか、ゲルの平均粒子サイズが200μm以上であり、不均質な場合、モールドに供給する前、ハイドロゲル粒子の均質化過程が必要である。
【0093】
本発明の架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルの製造方法による粘弾性を確認するために、実施例1−1ないし1−5の製造物に対して複合粘度(|n*|,Pa.s)、弾性係数(G’,Pa)及び粘性係数(G”,Pa)を測定した。
【0094】
AR2000EX rheometer(T.A Instruments Ltd.,米国)装備と4〜cm、2°−コーンアンドプレート(cone and plate)幾何学とを用いて1%ストレイン(strain)及び振動モード(oscillation mode)で0.02〜1Hzまで測定し、0.02Hzで測定された複合粘度値、1Hzで測定された弾性係数及び粘性係数値を下記表1に示した。装備の偏差は、±10%であり、実験は、25℃で進行した。
【0095】
【表1】
【0096】
前記表1から見るように、ヒアルロン酸分子量と架橋剤組成比率とによって製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルの複合粘度と弾性係数とが影響を受けるということが分かる。
【0097】
初期ヒアルロン酸反応濃度が10%(w/v)である場合、架橋剤添加量が増加するにつれて製造された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルの複合粘度と弾性係数とが増加することが確認された。一方、初期ヒアルロン酸反応濃度が高くなれば、架橋剤添加量が低い場合にも、相対的に高い複合粘度と弾性係数とを示すことが分かる。
【0098】
また、実施例2−4の方法で実施例1−1ないし1−5の製造物をモールドに供給前、乾燥した後、濃度を変更しながら、マイクロ構造体の製造が可能な範囲内で最大に含まれる架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルの含量を測定し、それを表1に示した。架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルのみでマイクロ構造体の製造時に、前記最大含量範囲を超える場合、弾性(または、復元力)が強くて、モールドに注入が難しいことを確認した。具体的に、実施例1−1−2の架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルの固形分含量を15%にして、実施例2−4で製造した場合のマイクロ構造体は、均質ではない状態で乾燥され、モールドに注入される量が構造体別に変わって、長さが均質ではないマイクロ構造体が製造されることを確認した(
図4)。
【0099】
実施例5:均質化された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルの粘度範囲の測定
実施例1で製造した架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルの粘度範囲を確認するために、実施例1−1ないし1−5の製造物を粉砕機(ホモジナイザーまたはプランジャーミル)を用いて均質化した後、粘度計(Brookfield DV−I prime)を用いて粘度を測定した。
【0100】
気泡が発生しないように注意しながら、均質化された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルをビーカーに入れ、全体試料の温度が均一になるように、常温で2〜3時間放置した。以後、平らな床にビーカーを固定させ、LV62〜64スピンドル(spindle)を用いてトルク(torque)値が10〜100%の範囲内に入るように、rpmを調節した後、測定開始3分後、安定化された粘度値を読み出して、均質化された架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルの粘度を測定した。粘度範囲は、下記表2に示した。
【0101】
【表2】
【0102】
実施例1−1−1の架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルを粘度範囲2,500,000cp状態で実施例2−4で製造した場合、架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルがモールドに全体として均質に注入されず、内部が空いているか、中間部分が切られたマイクロ構造体が製造されることを確認した(
図5)。
【0103】
実施例6:架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルの生体外分解確認(hyaluronidase assay)
本発明の架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルの製造方法による生体外分解抑制効果を確認するために、実施例1−1ないし1−7の製造物に対してヒアルロン酸分解酵素による分解実験を実施した。
【0104】
Reissigら(A modified colorimetric method for the estimation of N−acetylamino sugar,J.Biol.Chem.1955,217:959−966)の方法を変形して、ヒアルロン酸分解酵素による生体外分解実験を実施した。実施例1−1ないし1−7までの架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルを各試験管に同じ質量で入れた。ヒアルロン酸分解酵素(hyaluronidase、Bovine Testes,Sigma−Aldrich,米国)500U/mLを含んだ0.2M PBS(=pH7.4)を添加した。この混合物を37℃で6時間及び48時間反応させた。酵素反応を止め、酵素反応によって分解されたN−アセチルグルコサミン(NAG)を中間体であるグリコオキサゾリン(glucoxazoline)に切り替えるために、0.8Mホウ酸カリウム(potassium borate、pH9.1)を添加した後、100℃で5分間加熱した。分解されて出たN−アセチルグルコサミンの量を測定するために、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド(DMAB、p−Dimethylaminobenzaldehyde)発色試薬を前記試験管に添加後、37℃で30分間反応させた。次いで、遠心分離(3,000rpm、10分)して上澄み液を取って、分解されて出た架橋物のうち、NAGの量をUVで吸光度585nmで測定した。非架橋ヒアルロン酸の分解率を100%と定め、実施例1−1ないし1−7の製造物のヒアルロン酸分解酵素による相対的分解抑制効果を下記表3に示した。
【0105】
【表3】
【0106】
前記表3から分かるように、実施例1−1ないし1−7の架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルは、生体内に存在するヒアルロン酸分解酵素に対する抑制効果を示すので、非架橋ヒアルロン酸に比べて、長い皮膚内持続時間を示すので、架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルを用いたマイクロ構造体は、生体内持続期間が長くて、高い皮膚美容改善効果を示し、有用成分を生体内に安定して伝達できるという利点がある。
【0107】
実施例7:架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルを用いて製造したマイクロ構造体の生体外酵素分解速度(半減期、half−life)の確認
本発明の架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルを用いて製造したマイクロ構造体の製造方法による生体外酵素分解速度の差を確認するために、実施例1−1ないし1−7の製造物を用いて実施例2−2の方法でマイクロ構造体を作った後、一定のサイズに切ってヒアルロン酸分解酵素による分解実験を実施し、それぞれのマイクロ構造体が50%が分解される時間を比較した。
【0108】
前記一定のサイズに切ったマイクロ構造体を各試験管に入れ、ヒアルロン酸分解酵素(hyaluronidase、Bovine Testes,Sigma−Aldrich,米国)[16units/mLを含んだ0.2M PBS(=pH7.4)]を添加した。この混合物を37℃でそれぞれ24時間、40時間、48時間、72時間、120時間、216時間及び360時間反応させた。各反応時間に合わせて酵素反応を止め、酵素反応によって分解されたN−アセチルグルコサミン(NAG)を中間体であるグリコオキサゾリンに切り替えるために、0.8Mホウ酸カリウム(pH9.1)を添加した後、100℃で5分間加熱した。分解されて出たN−アセチルグルコサミンの量を測定するために、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド(DMAB)発色試薬を前記試験管に添加後、37℃で30分間反応させた後、NAGの量をUVで吸光度585nmで測定した。非架橋ヒアルロン酸の分解率を100%と定め、誘導体別に各時間の分解率を求めて、分解率が50%になる時点の時間(半減期)を求めた。非架橋ヒアルロン酸の分解率を100%と定め、実施例1−1ないし1−7の製造物を用いて製造したマイクロ構造体のヒアルロン酸分解酵素による相対的50%の分解速度を下記表4に示した。
【0109】
【表4】
【0110】
実施例8:架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルを用いて製造したマイクロ構造体の膨潤度の実験
架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルは、乾燥後、再び水を加えれば、高い膨潤度を示し、マイクロ構造体の製造時に、このような膨潤性の範囲を制限することによって、マイクロ構造体の生体内吸収時間と薬物伝達速度とを調節することができる。
【0111】
特に、生体内吸水性と膨潤度とに優れた原料を用いた皮膚挿入用マイクロ構造体を使用する場合、高い美容効果を示すことができる。
【0112】
実施例1の70℃乾燥機で6時間以上完全に乾燥された架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲル及び実施例2−1、2−4ないし2−7及び3−2の方法で乾燥されたマイクロ構造体を一定のサイズに切って水中に沈殿させた後、平衡に完全に至るように、24時間常温で保管した。膨潤された架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲル及び構造体を取り出して、表面の水を除去した後、重量を測定した後、乾燥機に入れて水分を完全に除去した後、乾燥された架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲル及びマイクロ構造体の重量を測定して、次の式で構造体の膨潤度を計算した。
【数1】
Ws:膨潤されたマイクロ構造体の重量、Wd:乾燥されたマイクロ構造体の重量
【0113】
【表5】
【0114】
前記表5から見るように、本発明の架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲル及びマイクロ構造体は、約20倍〜400倍の膨潤度を示し、均質化過程を経た場合、約700倍までも膨潤度が増加することが分かる。また、マイクロ構造体の製造時に、非架橋ヒアルロン酸を一定比率で混合することによって、膨潤度範囲に対する調節が可能であることが分かる。
【0115】
実施例9:架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲル及び未変形(非架橋)ヒアルロン酸を用いて製造したマイクロ構造体の長期(7日間)膨潤度の保持実験
実施例1の架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルを均質化した後、非架橋ヒアルロン酸を架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲル:非架橋ヒアルロン酸重量比が1:10になるように混合し、実施例3−1の方法でマイクロ構造体を製造して、1〜7日間膨潤度の保持程度を比較した。
【0116】
膨潤度の実験のために、前記実施例の方法で製作されたマイクロ構造体を10〜20mg/cm
2のサイズに準備した。フラスコに綿ガーゼまたは不織布ワイパーを平らに置き、生理食塩水(PBS)または0.003%メチレンブルー(methylene blue)が含まれた生理食塩水を加えて十分に濡らした。マイクロ構造体サンプルを0.01gの同一重量になるように切った後、濡らした状態の綿ガーゼまたは不織布ワイパーに載せ、綿ガーゼまたは不織布ワイパーが渇かないようにフラスコに蓋を覆った後、37℃インキュベーターに保管した。1日、2日、3日、6日、そして、7日目になる時間に膨潤されたマイクロ構造体の重量を測定して、膨潤度の変化を観察した。
【0117】
実施例8の計算式を用いて膨潤度を計算し、それを下記表6に示した。
【0118】
【表6】
【0119】
前記表6から分かるように、非架橋ヒアルロン酸のみで製造されたマイクロ構造体は、生理食塩水による膨潤度が全く表われないが、一方、実施例1の方法で製造されたヒアルロン酸ハイドロゲルと非架橋ヒアルロン酸とを混合した後、実施例3−1の方法で製造されたマイクロ構造体の場合、高い膨潤度を示し、その膨潤度が7日間大きな変化なしに保持されることが分かる。
【0120】
前記マイクロ構造体の形態を観察した結果、非架橋ヒアルロン酸のみで製造されたマイクロ構造体は、生理食塩水による膨潤度が全く表われず、いずれも溶解されて特定の形態を表わさないが、一方、実施例1の方法で製造されたヒアルロン酸ハイドロゲルと非架橋ヒアルロン酸とを混合した後、実施例3−1の方法で製造されたマイクロ構造体の場合、ハイドロゲルの形態で高い膨潤度を示し、その膨潤度が7日間大きな変化なしに保持されることが分かる(
図6)。
【0121】
実施例10:架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルで製造されたマイクロ構造体の皮膚透過(マイクロ構造体の機械的強度)の確認実験
前記実施例1−1−3及び1−4の架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルを用いて、それぞれ実施例2−4及び2−5で製造されたマイクロニードルの機械的強度の変化を見るために、架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルが添加されたマイクロ構造体を豚皮膚に刺した後、トリパンブルーで染色して、皮膚に成功的に穴を形成したか否かを確認した。その結果、マイクロニードルは、成功的に豚皮膚に穴を形成した(
図7a及び
図7b)。したがって、架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルが添加されたマイクロ構造体は、皮膚を透過することができる十分な機械的強度を示すので、皮膚で活性成分を効率的に伝達することができるということが分かる。
【0122】
比較例2:実施例2−3の方法を用いてマイクロ構造体の製造時に、遠心力を十分に加えない場合
実施例1−1−4の架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルを遠心力が十分でない状態(500gで5分間遠心分離)で実施例2−3の方法で製造した場合、遠心力が十分に加えられず、架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲルがモールド端部まで伝達されず、端部が鋭くなく、全体として不均質なマイクロ構造体が製造されることを確認した(
図8)。
【0123】
比較例3:実施例3−1の方法を用いてマイクロ構造体の製造時に、減圧注入が十分ではない場合
実施例1−1−5の架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲル及び非架橋ヒアルロン酸混合物(1:10)を用いて実施例3−1の方法でマイクロ構造体の製造時に、減圧状態を十分に持続せずに注入した場合(650mmHg、3分間減圧注入)、前記混合物がモールド端部まで伝達されず、端部が鋭くなく、全体として長さが一定ではないマイクロ構造体が製造されることを確認した(
図9)。
【0124】
比較例4:実施例3−2の方法を用いてマイクロ構造体の製造時に、追加乾燥過程が十分ではない場合
実施例1−1−2の架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲル及び非架橋ヒアルロン酸混合物(1:10)を用いて実施例3−2の方法でマイクロ構造体の製造時に、追加乾燥過程を十分に進行していない場合(50℃で5分間追加乾燥)、前記混合物が完全に乾燥されず、端部が曲がったマイクロ構造体が製造されることを確認した(
図10)。
【0125】
以上、本発明の特定の部分を詳しく記述したところ、当業者において、このような具体的な記述は、単に望ましい具現例であり、これにより、本発明の範囲が制限されるものではない点は明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付された請求項とその等価物とによって定義される。