特許第6754382号(P6754382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754382
(24)【登録日】2020年8月25日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】熱電発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02N 11/00 20060101AFI20200831BHJP
   H01L 35/28 20060101ALI20200831BHJP
   H01L 35/32 20060101ALI20200831BHJP
【FI】
   H02N11/00 A
   H01L35/28 C
   H01L35/32 A
【請求項の数】8
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2018-9765(P2018-9765)
(22)【出願日】2018年1月24日
(65)【公開番号】特開2019-129598(P2019-129598A)
(43)【公開日】2019年8月1日
【審査請求日】2019年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010227
【氏名又は名称】株式会社三五
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 孝司
(72)【発明者】
【氏名】角田 壮志
【審査官】 島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−188278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 11/00
H01L 35/28
H01L 35/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温熱源と低温熱源との間の温度差である熱源温度差により発電する熱電変換素子を含む熱電発電モジュールと、
前記熱電発電モジュールから出力される電流の大きさである出力電流値及び/又は電圧の大きさである出力電圧値を変化させる出力調整装置と、
前記出力調整装置を制御して前記出力電流値及び/又は前記出力電圧値を制御する制御部と、
を備える熱電発電装置であって、
前記高温熱源、前記低温熱源、及び前記熱電発電モジュールの何れかに含まれる少なくとも1つの箇所である測温点の温度である測温点温度を検出する温度検出装置を更に備え、
前記制御部は、少なくとも前記測温点温度に基づいて前記熱電変換素子の前記高温熱源側の界面である高温側界面の温度である高温側界面温度が所定の上限温度よりも高いと判断された場合に前記出力調整装置を制御して前記出力電流値を増大させるか又は前記出力電圧値を減少させるように構成されており、
前記温度検出装置は、前記熱電発電モジュールを経由して前記高温熱源から前記低温熱源へと移動する熱量の流れ方向である熱流方向において所定の間隔だけ離れて位置する2つの前記測温点である第1測温点及び第2測温点の温度である第1測温点温度及び第2測温点温度をそれぞれ検出するように構成されており、
前記制御部は、
前記第1測温点温度と前記第2測温点温度との差、前記熱流方向における前記第1測温点と前記第2測温点との間の領域の熱伝導率及び熱通過面積、並びに前記熱流方向における前記第1測温点と前記第2測温点との距離に基づいて、前記熱電発電モジュールを経由して前記高温熱源から前記低温熱源へと移動する熱量の大きさである貫通熱量を特定し、
前記第1測温点温度及び/又は前記第2測温点温度、前記熱流方向における前記第1測温点及び/又は前記第2測温点と前記高温側界面との間の領域の熱伝導率及び熱通過面積、前記貫通熱量、並びに前記熱流方向における前記第1測温点及び/又は前記第2測温点と前記高温側界面との距離に基づいて、前記高温側界面温度を特定し、
前記高温側界面温度が前記上限温度よりも高いか否かを判断する、
ように構成されている、
熱電発電装置。
【請求項2】
高温熱源と低温熱源との間の温度差である熱源温度差により発電する熱電変換素子を含む熱電発電モジュールと、
前記熱電発電モジュールから出力される電流の大きさである出力電流値及び/又は電圧の大きさである出力電圧値を変化させる出力調整装置と、
前記出力調整装置を制御して前記出力電流値及び/又は前記出力電圧値を制御する制御部と、
を備える熱電発電装置であって、
前記高温熱源、前記低温熱源、及び前記熱電発電モジュールの何れかに含まれる少なくとも1つの箇所である測温点の温度である測温点温度を検出する温度検出装置を更に備え、
前記制御部は、少なくとも前記測温点温度に基づいて前記熱電変換素子の前記高温熱源側の界面である高温側界面の温度である高温側界面温度が所定の上限温度よりも高いと判断された場合に前記出力調整装置を制御して前記出力電流値を増大させるか又は前記出力電圧値を減少させるように構成されており、
前記低温熱源に含まれる少なくとも1つの箇所である低温側測温点の温度である低温側測温点温度が一定の温度に維持されており、
前記制御部は、
前記測温点温度と前記低温側測温点温度との差、前記熱電発電モジュールを経由して前記高温熱源から前記低温熱源へと移動する熱量の流れ方向である熱流方向における前記測温点と前記低温側測温点との間の領域の熱伝導率及び熱通過面積、並びに前記熱流方向における前記測温点と前記低温側測温点との距離に基づいて、前記熱電発電モジュールを経由して前記高温熱源から前記低温熱源へと移動する熱量の大きさである貫通熱量を特定し、
前記測温点温度、前記熱流方向における前記測温点及び/又は前記低温側測温点と前記高温側界面との間の領域の熱伝導率及び熱通過面積、前記貫通熱量、並びに前記熱流方向における前記測温点及び/又は前記低温側測温点と前記高温側界面との距離に基づいて、前記高温側界面温度を特定し、
前記高温側界面温度が前記上限温度よりも高いか否かを判断する、
ように構成されている、
熱電発電装置。
【請求項3】
高温熱源と低温熱源との間の温度差である熱源温度差により発電する熱電変換素子を含む熱電発電モジュールと、
前記熱電発電モジュールから出力される電流の大きさである出力電流値及び/又は電圧の大きさである出力電圧値を変化させる出力調整装置と、
前記出力調整装置を制御して前記出力電流値及び/又は前記出力電圧値を制御する制御部と、
を備える熱電発電装置であって、
前記高温熱源、前記低温熱源、及び前記熱電発電モジュールの何れかに含まれる少なくとも1つの箇所である測温点の温度である測温点温度を検出する温度検出装置を更に備え、
前記制御部は、少なくとも前記測温点温度に基づいて前記熱電変換素子の前記高温熱源側の界面である高温側界面の温度である高温側界面温度が所定の上限温度よりも高いと判断された場合に前記出力調整装置を制御して前記出力電流値を増大させるか又は前記出力電圧値を減少させるように構成されており、
前記熱電発電モジュールから出力される電力の大きさである出力電力値と、前記熱電発電モジュールから出力される電流の大きさである出力電流値及び/又は電圧の大きさである出力電圧値と、からなる複数の検出値の組である出力関連値を検出する出力検出装置を更に備え、
前記制御部は、
前記熱源温度差と前記出力関連値との関係を表すデータである第1特性データを予め格納しており、
前記出力検出装置によって検出された前記出力関連値から前記第1特性データに基づいて特定される前記熱源温度差、前記熱源温度差が生じている領域の熱伝導率及び熱通過面積、並びに前記熱電発電モジュールを経由して前記高温熱源から前記低温熱源へと移動する熱量の流れ方向である熱流方向における前記熱源温度差が生じている領域の長さに基づいて、前記貫通熱量を特定し、
前記測温点温度、前記熱流方向における前記測温点と前記高温側界面との間の領域の熱伝導率及び熱通過面積、前記貫通熱量、並びに前記熱流方向における前記測温点と前記高温側界面との距離に基づいて、前記高温側界面温度を特定し、
前記高温側界面温度が前記上限温度よりも高いか否かを判断する、
ように構成されている、
熱電発電装置。
【請求項4】
高温熱源と低温熱源との間の温度差である熱源温度差により発電する熱電変換素子を含む熱電発電モジュールと、
前記熱電発電モジュールから出力される電流の大きさである出力電流値及び/又は電圧の大きさである出力電圧値を変化させる出力調整装置と、
前記出力調整装置を制御して前記出力電流値及び/又は前記出力電圧値を制御する制御部と、
を備える熱電発電装置であって、
前記高温熱源、前記低温熱源、及び前記熱電発電モジュールの何れかに含まれる少なくとも1つの箇所である測温点の温度である測温点温度を検出する温度検出装置を更に備え、
前記制御部は、少なくとも前記測温点温度に基づいて前記熱電変換素子の前記高温熱源側の界面である高温側界面の温度である高温側界面温度が所定の上限温度よりも高いと判断された場合に前記出力調整装置を制御して前記出力電流値を増大させるか又は前記出力電圧値を減少させるように構成されており、
前記熱電発電モジュールから出力される電力の大きさである出力電力値と、前記熱電発電モジュールから出力される電流の大きさである出力電流値及び/又は電圧の大きさである出力電圧値と、からなる複数の検出値の組である出力関連値を検出する出力検出装置を更に備え、
前記制御部は、
前記熱源温度差と前記出力関連値との関係を表すデータである第1特性データを予め格納しており、
前記出力検出装置によって検出された前記出力関連値から前記第1特性データに基づいて特定される前記熱源温度差、前記熱源温度差が生じている領域の熱伝導率及び熱通過面積、並びに前記熱電発電モジュールを経由して前記高温熱源から前記低温熱源へと移動する熱量の流れ方向である熱流方向における前記熱源温度差が生じている領域の長さに基づいて、前記貫通熱量を特定し、
前記高温側界面温度が前記上限温度に等しい場合における前記測温点温度と前記高温側界面温度との差、前記熱流方向における前記測温点と前記高温側界面との間の領域の熱伝導率及び熱通過面積、並びに前記熱流方向における前記測温点と前記高温側界面との距離に基づいて、前記高温側界面温度が前記上限温度に等しい場合において前記測温点から前記高温側界面へと移動する熱量の大きさである上限貫通熱量を特定し、
前記測温点が前記高温側界面よりも前記高温熱源に近い場合は前記貫通熱量が前記上限貫通熱量よりも小さいときに前記高温側界面温度が前記上限温度よりも高いと判断し、前記測温点が前記高温側界面よりも前記低温熱源に近い場合は前記貫通熱量が前記上限貫通熱量よりも大きいときに前記高温側界面温度が前記上限温度よりも高いと判断する、
ように構成されている、
熱電発電装置。
【請求項5】
高温熱源と低温熱源との間の温度差である熱源温度差により発電する熱電変換素子を含む熱電発電モジュールと、
前記熱電発電モジュールから出力される電流の大きさである出力電流値及び/又は電圧の大きさである出力電圧値を変化させる出力調整装置と、
前記出力調整装置を制御して前記出力電流値及び/又は前記出力電圧値を制御する制御部と、
を備える熱電発電装置であって、
前記高温熱源、前記低温熱源、及び前記熱電発電モジュールの何れかに含まれる少なくとも1つの箇所である測温点の温度である測温点温度を検出する温度検出装置を更に備え、
前記制御部は、少なくとも前記測温点温度に基づいて前記熱電変換素子の前記高温熱源側の界面である高温側界面の温度である高温側界面温度が所定の上限温度よりも高いと判断された場合に前記出力調整装置を制御して前記出力電流値を増大させるか又は前記出力電圧値を減少させるように構成されており、
前記低温熱源に含まれる少なくとも1つの箇所である低温側測温点の温度である低温側測温点温度が一定の温度に維持されており、
前記熱電発電モジュールから出力される電力の大きさである出力電力値と、前記熱電発電モジュールから出力される電流の大きさである出力電流値及び/又は電圧の大きさである出力電圧値と、からなる複数の検出値の組である出力関連値を検出する出力検出装置を更に備え、
前記制御部は、
前記熱源温度差と前記出力関連値との関係を表すデータである第1特性データを予め格納しており、
前記出力検出装置によって検出された前記出力関連値から前記第1特性データに基づいて前記熱源温度差を特定し、
前記高温側界面温度が前記上限温度に等しい場合における前記測温点温度と前記高温側界面温度との差、前記熱電発電モジュールを経由して前記高温熱源から前記低温熱源へと移動する熱量の流れ方向である熱流方向における前記測温点と前記高温側界面との間の領域の熱伝導率及び熱通過面積、並びに前記熱流方向における前記測温点と前記高温側界面との距離に基づいて、前記高温側界面温度が前記上限温度に等しい場合において前記測温点から前記高温側界面へと移動する熱量の大きさである上限貫通熱量を特定し、
前記上限貫通熱量、前記熱源温度差が生じている領域の熱伝導率及び熱通過面積、並びに前記熱源温度差が生じている領域の前記熱流方向における長さに基づいて、前記高温側界面温度が前記上限温度に等しい場合における前記高温熱源と前記低温熱源との間の温度差である上限熱源温度差を特定し、
前記熱源温度差が前記上限熱源温度差よりも大きい場合、前記高温側界面温度が前記上限温度よりも高いと判断する、
ように構成されている、
熱電発電装置。
【請求項6】
高温熱源と低温熱源との間の温度差である熱源温度差により発電する熱電変換素子を含む熱電発電モジュールと、
前記熱電発電モジュールから出力される電流の大きさである出力電流値及び/又は電圧の大きさである出力電圧値を変化させる出力調整装置と、
前記出力調整装置を制御して前記出力電流値及び/又は前記出力電圧値を制御する制御部と、
を備える熱電発電装置であって、
前記高温熱源、前記低温熱源、及び前記熱電発電モジュールの何れかに含まれる少なくとも1つの箇所である測温点の温度である測温点温度を検出する温度検出装置を更に備え、
前記制御部は、少なくとも前記測温点温度に基づいて前記熱電変換素子の前記高温熱源側の界面である高温側界面の温度である高温側界面温度が所定の上限温度よりも高いと判断された場合に前記出力調整装置を制御して前記出力電流値を増大させるか又は前記出力電圧値を減少させるように構成されており、
前記低温熱源に含まれる少なくとも1つの箇所である低温側測温点の温度である低温側測温点温度が一定の温度に維持されており、
前記熱電発電モジュールから出力される電力の大きさである出力電力値と、前記熱電発電モジュールから出力される電流の大きさである出力電流値及び/又は電圧の大きさである出力電圧値と、からなる複数の検出値の組である出力関連値を検出する出力検出装置を更に備え、
前記制御部は、
前記熱源温度差と前記出力関連値との関係を表すデータである第1特性データを予め格納しており、
前記高温側界面温度が前記上限温度に等しい場合における前記測温点温度と前記高温側界面温度との差、前記熱電発電モジュールを経由して前記高温熱源から前記低温熱源へと移動する熱量の流れ方向である熱流方向における前記測温点と前記高温側界面との間の領域の熱伝導率及び熱通過面積、並びに前記熱流方向における前記測温点と前記高温側界面との距離に基づいて、前記高温側界面温度が前記上限温度に等しい場合において前記測温点から前記高温側界面へと移動する熱量の大きさである上限貫通熱量を特定し、
前記上限貫通熱量、前記熱源温度差が生じている領域の熱伝導率及び熱通過面積、並びに前記熱源温度差が生じている領域の前記熱流方向における長さに基づいて、前記高温側界面温度が前記上限温度に等しい場合における前記高温熱源と前記低温熱源との間の温度差である上限熱源温度差を特定し、
前記熱源温度差が前記上限熱源温度差に等しく且つ前記出力電流値及び/又は前記出力電圧値が前記出力検出装置によって検出された前記出力電流値及び/又は前記出力電圧値に等しい場合において前記熱電発電モジュールから出力される電力の大きさである上限出力電力値を前記第1特性データに基づいて特定し、
前記出力検出装置によって検出された前記出力電力値が前記上限出力電力値よりも大きい場合、前記高温側界面温度が前記上限温度よりも高いと判断する、
ように構成されている、
熱電発電装置。
【請求項7】
高温熱源と低温熱源との間の温度差である熱源温度差により発電する熱電変換素子を含む熱電発電モジュールと、
前記熱電発電モジュールから出力される電流の大きさである出力電流値及び/又は電圧の大きさである出力電圧値を変化させる出力調整装置と、
前記出力調整装置を制御して前記出力電流値及び/又は前記出力電圧値を制御する制御部と、
を備える熱電発電装置であって、
前記高温熱源、前記低温熱源、及び前記熱電発電モジュールの何れかに含まれる少なくとも1つの箇所である測温点の温度である測温点温度を検出する温度検出装置を更に備え、
前記制御部は、少なくとも前記測温点温度に基づいて前記熱電変換素子の前記高温熱源側の界面である高温側界面の温度である高温側界面温度が所定の上限温度よりも高いと判断された場合に前記出力調整装置を制御して前記出力電流値を増大させるか又は前記出力電圧値を減少させるように構成されており、
前記低温熱源に含まれる少なくとも1つの箇所である低温側測温点の温度である低温側測温点温度が一定の温度に維持されており、
前記熱電発電モジュールから出力される電力の大きさである出力電力値と、前記熱電発電モジュールから出力される電流の大きさである出力電流値及び/又は電圧の大きさである出力電圧値と、からなる複数の検出値の組である出力関連値を検出する出力検出装置を更に備え、
前記制御部は、
前記熱源温度差と前記出力関連値との関係を表すデータである第1特性データを予め格納しており、
前記高温側界面温度が前記上限温度に等しい場合における前記測温点温度と前記高温側界面温度との差、前記熱電発電モジュールを経由して前記高温熱源から前記低温熱源へと移動する熱量の流れ方向である熱流方向における前記測温点と前記高温側界面との間の領域の熱伝導率及び熱通過面積、並びに前記熱流方向における前記測温点と前記高温側界面との距離に基づいて、前記高温側界面温度が前記上限温度に等しい場合において前記測温点から前記高温側界面へと移動する熱量の大きさである上限貫通熱量を特定し、
前記上限貫通熱量、前記熱源温度差が生じている領域の熱伝導率及び熱通過面積、並びに前記熱源温度差が生じている領域の前記熱流方向における長さに基づいて、前記高温側界面温度が前記上限温度に等しい場合における前記高温熱源と前記低温熱源との間の温度差である上限熱源温度差を特定し、
前記熱源温度差が前記上限熱源温度差に等しく且つ前記出力電力値が前記出力検出装置によって検出された前記出力電力値に等しい場合において前記熱電発電モジュールから出力される出力電流及び/又は出力電圧である上限出力関連値が前記第1特性データに基づいて特定されない場合、或いは、前記上限出力関連値が前記第1特性データに基づいて特定され且つ前記出力検出装置によって検出された前記出力電流値及び/又は前記出力電圧値が前記上限出力関連値の何れよりも大きいか若しくは小さい場合、前記高温側界面温度が前記上限温度よりも高いと判断する、
ように構成されている、
熱電発電装置。
【請求項8】
請求項乃至請求項の何れか1項に記載された熱電発電装置であって、
前記制御部は、
前記高温側界面温度が前記上限温度以下であると判断された場合は、前記出力電力値が最大となるように前記出力調整装置を制御して前記出力電流値及び/又は前記出力電圧値を変更する制御である出力最大化制御を実行するように構成されており、
前記出力最大化制御の実行時における前記熱源温度差と、前記出力関連値に含まれる前記複数の検出値の組のうちの少なくとも1つの検出値である指標検出値と、の関係を表すデータである第2特性データを前記第1特性データとして格納しており、
前記出力検出装置によって検出された前記指標検出値から前記第2特性データに基づいて前記熱源温度差を特定し、
前記高温側界面温度が前記上限温度よりも高いと判断された場合は、前記出力最大化制御の実行を停止し、前記出力調整装置を制御して前記出力電流値を増大させるか又は前記出力電圧値を減少させるように構成されている、
熱電発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電発電装置に関する。より具体的には、本発明は、熱電変換素子の破損を防止しつつ高い発電効率にて稼働することが可能な熱電発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば温度調節及び排熱利用等の技術分野において、例えばペルチェ効果を利用して電気エネルギを熱エネルギに変換するペルチェ素子及びゼーベック効果を利用して熱エネルギを電気エネルギに変換するゼーベック素子等の熱電変換素子の活用が期待されている。特に、省エネルギの観点から、熱電変換素子を利用して例えば内燃機関等の熱源からの排熱を電気へと変換する熱電発電装置等が盛んに開発されている。
【0003】
熱電変換素子は異なる種類の金属又は半導体の接合体によって構成され、電気エネルギと熱エネルギとの間でのエネルギ変換を行うものである。典型的には、p型熱電半導体とn型熱電半導体との組み合わせが熱電変換素子として用いられ、高温熱源10Hと低温熱源10Cとの間の温度差である熱源温度差ΔTsの大きさに対応した大きさ(出力電力値P)の電力を出力する(発電する)。
【0004】
熱電変換素子は、一般に、異なる2種類の熱電半導体の組み合わせと、互いに対向し且つ当該組み合わせを挟持する2枚の支持基板と、これら2枚の支持基板の対向する表面に形成され且つ当該組み合わせを電気的に接続する電極と、を含む所謂「熱電発電モジュール」として構成される。熱電発電モジュールにおいては、より大きい出力電力を得ることを目的として、例えば、上記2枚の支持基板の間において異なる2種類の熱電変換素子を格子状に配置し且つ交互に直列に電気的に接続することにより、複数の熱電変換素子を直列に電気的に接続してもよい。また、更により大きい出力電力を得ることを目的として、例えば、複数の熱電発電モジュールが電気的に直列に接続された構成を有する所謂「熱電発電ユニット」等もまた熱電発電装置において広く採用されている。
【0005】
上述したような構成を有する熱電発電装置は、高温熱源と低温熱源との間の温度差(熱源温度差)の大きさに対応した電力を発生する。例えば熱電変換素子の破損等の問題が生じない限りにおいて、一般的には、例えば図1のグラフに示すように、熱源温度差ΔTsが大きくなるほど熱電発電モジュールからの出力電力値Pが大きくなる。
【0006】
また、一定の熱源温度差ΔTsにおける熱電発電モジュールからの出力電力値Pは熱電発電モジュールからの出力電流値Iによって変化する。具体的には、例えば図2のグラフに示すように、熱電発電モジュールからの出力電力値Pは、特定の出力電流値Ipにおいて最大値(最大出力電力値Pp)となる。換言すれば、この特定の出力電流値Ip未満の領域においては出力電流値Iが大きくなるほど出力電力値Pが大きくなり、この特定の出力電流値Ip以上の領域においては出力電流値Iが大きくなるほど出力電力値Pが小さくなる。
【0007】
更に、上記のような出力電流値Iと出力電力値Pとの関係は熱源温度差ΔTsの大きさによって変化し、最大出力電力値Ppが得られる特定の出力電流値Ip及び当該特定の出力電流値Ipにおいて得られる最大出力電力値Ppも熱源温度差ΔTsの大きさによって異なる。一般的には、例えば図3のグラフに示すように、熱源温度差ΔTsがΔTs1、ΔTs2、ΔTs3と大きくなるほど、特定の出力電流値IpはIp1、Ip2、Ip3と大きくなり、最大出力電力値PpはPp1、Pp2、Pp3と大きくなる。従って、熱電発電装置において最大出力電力値Ppを常に得るためには、その時々の熱源温度差ΔTsの大きさに応じて出力電流値Iを調整する必要がある(例えば、特許文献1を参照。)。
【0008】
上記と同様に、一定の熱源温度差ΔTsにおける熱電発電モジュールからの出力電力値Pは熱電発電モジュールからの出力電圧値Vによっても変化する。具体的には、例えば図4のグラフに示すように、熱電発電モジュールからの出力電力値Pは、特定の出力電圧値Vpにおいて最大値(最大出力電力値Pp)となる。換言すれば、この特定の出力電圧値Vp未満の領域においては出力電圧値Vが大きくなるほど出力電力値Pが大きくなり、この特定の出力電流値Vp以上の領域においては出力電圧値Vが大きくなるほど出力電力値Pが小さくなる。
【0009】
更に、上記のような出力電圧値Vと出力電力値Pとの関係は熱源温度差ΔTsの大きさによって変化し、最大出力電力値Ppが得られる特定の出力電圧値Vp及び当該特定の出力電圧値Vpにおいて得られる最大出力電力値Ppも熱源温度差ΔTsの大きさによって異なる。一般的には、例えば図5のグラフに示すように、熱源温度差ΔTsがΔTs1、ΔTs2、ΔTs3と大きくなるほど、特定の出力電圧値VpはVp1、Vp2、Vp3と小さくなり、最大出力電力値PpはPp1、Pp2、Pp3と大きくなる。従って、熱電発電装置において最大出力電力値Ppを常に得るためには、その時々の熱源温度差ΔTsの大きさに応じて出力電圧値Vを調整する必要がある。
【0010】
加えて、当該技術分野においては、例えば太陽電池等の発電モジュールからの出力電流又は出力電圧をチャージコントローラ又はパワーコンディショナ(コンバータ)等によって調整して最大電力を取り出す制御方法が知られている。このような制御手法の具体例としては、「最大電力点追従制御」(MPPT:Maximum Power Point Tracking)を挙げることができる。
【0011】
最大電力点追従制御(MPPT)は、例えば、コントローラの電流制御により発電モジュールからの出力電流値Iを徐々に増やし、これに伴って出力電力値Pが増えれば更に出力電流値Iを増やし、逆に出力電力値Pが減れば出力電流値Iを減らすことにより、出力電力値Pを最大化する方法である。このようなMPPTを熱電発電装置に適用すれば、結果として、特許文献1に記載された発明のように、熱源温度差ΔTsの大きさに応じて出力電流値Iを調整して最大出力電力値Ppを熱電発電モジュールから常に得ることができる。
【0012】
ところで、図1のグラフを参照しながら説明したように、高温熱源10Hと低温熱源10Cとの間の温度差である熱源温度差ΔTsが大きくなるほど、熱電発電モジュールからの出力電力値Pが大きくなる。従って、発電効率を高めるためには、例えば熱電変換素子の耐熱限界等によって定まる上限(上限温度Tmax)を熱電変換素子の高温熱源側の界面である高温側界面Bhの温度である高温側界面温度Tbhが超えない範疇において、できるだけ大きい熱源温度差ΔTsにて熱電発電装置を稼働させることが好ましい。典型的には、熱電変換素子の高温側界面温度Tbhを上限温度Tmaxの近傍に維持しつつ熱電発電装置を稼働させることが好ましい。しかしながら、例えば、高温熱源の供給源及び/又は熱電発電装置の稼働状態によっては、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高くなり、例えば熱電変換素子の破損等の問題に繋がる虞がある。
【0013】
上記のような問題に対しては、以下のような対策が考えられる。
対策1:高温側界面温度Tbhを上限温度Tmaxよりも所定の温度幅だけ低い温度に常に維持して稼働させる。
対策2:高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高くなりそうなときに放熱によって熱電変換素子の高温熱源側の界面である高温側界面Bhを冷却する。
【0014】
しかしながら、上記対策1によれば、高温側界面温度Tbhが常に上限温度Tmaxよりも所定の温度幅だけ低くなるので、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しいときに得られる最大出力電力値Ppである「臨界出力電力値Pmax」を得ることができない。一方、上記対策2によれば、放熱のための手段(例えば、冷却装置等)の追加が必須であり、熱電発電装置の複雑化、大型化及びコストの増大を招く虞がある。また、放熱により熱電変換素子が保持している熱量が減少するため、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも十分に低くなったときに再び加熱して高温側界面温度Tbhを上限温度Tmaxに近付けて出力電力値Pを増大させるのに要する時間が長くなる。
【0015】
以上のように、当該技術分野においては、熱電変換素子の破損を防止しつつ高い発電効率にて稼働することが可能な熱電発電装置が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平06−22572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述したように、当該技術分野においては、熱電変換素子の破損を防止しつつ高い発電効率にて稼働することが可能な熱電発電装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題に鑑み、本発明者は、鋭意研究の結果、熱電変換素子に流れる電流を増大させると熱電変換素子の熱伝導率が大きくなり熱電変換素子の高温熱源側の界面から低温熱源側の界面への熱の移動が促進される現象を利用することにより熱電変換素子の高温側界面温度を迅速且つ効果的に下げることができることを見出した。
【0019】
そこで、本発明に係る熱電発電装置(以降、「本発明装置」と称呼される場合がある。)は、熱電発電モジュール10Mと、出力調整装置30と、制御部Ucと、を備える熱電発電装置である。熱電発電モジュール10Mは、高温熱源10Hと低温熱源10Cとの間の温度差である熱源温度差ΔTsにより発電する熱電変換素子10Eを含む。出力調整装置30は、熱電発電モジュール10Mから出力される電流の大きさである出力電流値I及び/又は電圧の大きさである出力電圧値Vを変化させる。制御部Ucは、出力調整装置30を制御して出力電流値I及び/又は出力電圧値Vを制御する。
【0020】
また、本発明装置は、高温熱源10H、低温熱源10C、及び熱電発電モジュール10Mの何れかに含まれる少なくとも1つの箇所である測温点Dmの温度である測温点温度Tmを検出する温度検出装置40を更に備える。更に、本発明装置においては、少なくとも測温点温度Tmに基づいて高温側界面温度Tbhが所定の上限温度Tmaxよりも高いと判断された場合に出力調整装置30を制御して出力電流値Iを増大させるか又は出力電圧値Vを減少させるように制御部Ucが構成されている。高温側界面温度Tbhとは、熱電変換素子10Eの高温熱源10H側の界面である高温側界面Bhの温度である。
【0021】
詳しくは後述するように、少なくとも測温点温度Tmに基づく高温側界面温度Tbhが所定の上限温度Tmaxよりも高いか否かの判断は種々の手法により行うことができる。例えば、測温点Dmの温度(測温点温度Tm)と他の箇所の温度との差、これら2つの箇所の間の領域の熱伝導率λm及び熱通過面積Am、並びにこれら2つの箇所の間の距離Lmに基づいて特定される貫通熱量Wと、測温点Dmと高温側界面Bhとの間の領域の熱伝導率λbhm及び熱通過面積Abhmと、測温点温度Tmと、測温点Dmと高温側界面Bhとの距離Lbhmとに基づいて、高温側界面温度Tbhを特定することができる。上記「他の箇所の温度」としては、例えば、もう1つの測温点の温度又は低温熱源10Cの温度等を採用することができる。
【0022】
或いは、本発明装置は出力検出装置20を更に備えることができる。出力検出装置20は、熱電発電モジュール10Mから出力される電力の大きさである出力電力値Pと、熱電発電モジュールから出力される電流の大きさである出力電流値I及び/又は電圧の大きさである出力電圧値Vと、からなる複数の検出値の組である出力関連値Moutを検出する。この場合、制御部Ucは、熱源温度差ΔTsと出力関連値Moutとの関係を表すデータである第1特性データを予め格納することができる。そして、制御部は、出力検出装置20によって検出された出力関連値Moutと上記第1特性データとに基づいて高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断するように構成され得る。当該判断もまた、詳しくは後述するように、種々の手法によって行うことができる。
【0023】
更に、本発明装置においては、高温側界面温度Tbhが所定の上限温度Tmax以下であると判断された場合は、出力電力値Pが最大となるように出力調整装置30を制御して出力電流値I及び/又は出力電圧値Vを変更する制御である出力最大化制御を実行するように制御部Ucが構成され得る。この場合、詳しくは後述するように、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断するための演算処理負荷を軽減することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明装置においては、上述したように、高温側界面温度Tbhが所定の上限温度Tmaxよりも高いと判断された場合に出力調整装置30を制御して出力電流値Iを増大させるか又は出力電圧値Vを減少させるように制御部Ucが構成されている。これにより、熱電変換素子10Eの高温熱源側界面温度Tbhを迅速且つ効果的に下げることができるので、熱電変換素子10Eの破損を防止しつつ高い発電効率にて熱電発電装置を稼働させることができる。
【0025】
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】熱電発電モジュールからの出力電力値Pと熱源温度差ΔTsとの関係を示す模式的なグラフである。
図2】熱源温度差ΔTsが一定である場合における熱電発電モジュールからの出力電力値Pと出力電流値Iとの関係を示す模式的なグラフである。
図3】熱電発電モジュールからの出力電流値Iと出力電力値Pとの関係が熱源温度差ΔTsの大きさによって変化することを示す模式的なグラフである。
図4】熱源温度差ΔTsが一定である場合における熱電発電モジュールからの出力電力値Pと出力電圧値Vとの関係を示す模式的なグラフである。
図5】熱電発電モジュールからの出力電圧値Vと出力電力値Pとの関係が熱源温度差ΔTsの大きさによって変化することを示す模式的なグラフである。
図6】本発明の第1実施形態に係る熱電発電装置(第1装置)の構成の一例を示す模式図である。
図7】第1装置を構成する高温熱源、低温熱源、及び熱電発電モジュールの模式的な部分断面図である。
図8】熱電発電モジュールからの出力電流値Iの増大に伴って熱電変換素子の高温熱源側界面温度Tbhが低下する様子を示す模式的なグラフである。
図9】本発明の第1実施形態に係る熱電発電装置(第1装置)において実行される高温側界面温度制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図10】熱電発電モジュールからの出力電流値Iと出力電力値Pとの関係が熱源温度差ΔTsの大きさによって変化することを示す模式的なグラフである。
図11】低温熱源温度Tcが一定の温度に維持されている場合において熱源温度差ΔTsが上限熱源温度差ΔTmaxに等しいとき(即ち、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しいとき)の出力電力値Pと出力電流値Iとの関係を表す基準曲線CSに対して様々な状態における出力関連値Moutに対応するプロットが存在し得る位置を示す模式的なグラフである。
図12】本発明の第7実施形態に係る熱電発電装置(第7装置)において、ある時点における出力電流値Iから第1特性データに基づいて上限出力電力値Pmaxを特定する様子を説明する模式的なグラフである。
図13】本発明の第8実施形態に係る熱電発電装置(第8装置)において、ある時点における出力電力値Pから第1特性データに基づいて上限出力関連値Mmaxを特定する様子を説明する模式的なグラフである。
図14】本発明装置の1つの具体例としての熱電発電装置(実施例装置101)の構成を示す模式図である。
図15図14において破線によって囲まれている部分Aの模式的な拡大図であり、低温熱源における2つの熱電対の配設箇所付近を示している。
図16】本発明装置のもう1つの具体例としての熱電発電装置(実施例装置102)において実行される高温側界面温度Tbhの制御における出力電流値I及び出力電力値Pの変化を説明する模式的なグラフである。
図17】実施例装置102において実行される高温側界面温度Tbhの制御における実施例装置102の各部位の温度の変化を説明する模式的なタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
《第1実施形態》
以下、本発明の第1実施形態に係る熱電発電装置(以降、「第1装置」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0028】
〈構成〉
第1装置は、熱電発電モジュールと、出力調整装置と、制御部と、を備える熱電発電装置である。図6は、第1装置の構成の一例を示す模式図である。第1装置100は、熱電発電モジュール10M、出力調整装置30及び制御部Ucを備える。熱電発電モジュール10Mは、高温熱源10Hと低温熱源10Cとの間に介装されて高温熱源10Hと低温熱源10Cとの間の温度差である熱源温度差ΔTsにより発電する熱電変換素子を含む。
【0029】
熱源温度差ΔTsは、高温熱源10Hと低温熱源10Cとの間の温度差であり、より具体的には、高温熱源10H内の任意の箇所における温度と低温熱源10C内の任意の箇所における温度との差である。典型的には、熱源温度差ΔTsは、高温熱源10Hの熱電発電モジュール側の界面における温度と低温熱源10Cの熱電発電モジュール側の界面における温度との差である。
【0030】
熱電発電モジュール10Mの構成は、高温熱源10Hと低温熱源10Cとの間の温度差である熱源温度差ΔTsにより発電することが可能である限り、特に限定されない。典型的には、熱電発電モジュール10Mは、互いに対向する一対の支持基板と、当該一対の支持基板の対向する面の所定箇所にそれぞれ形成された電極と、異なる2種の熱電半導体と、2つの電極部材と、を含む。
【0031】
上記支持基板の形状及び大きさは、例えば、第1装置100の用途等に応じて、適宜定めることができる。また、上記電極は、良導体(例えば、銅等)によって構成され、例えば、はんだ付けによって熱電半導体と接合される。典型的には、上記一対の支持基板は所謂「配線基板」の一種である。
【0032】
異なる2種の熱電半導体の材質及び構成もまた、例えば、第1装置100の用途において求められる熱電効果の大きさ等に応じて適宜選択することができる。具体的には、p型熱電半導体(例えば、Bi1.5Sb0.5Te等)及びn型熱電半導体(例えば、BiTe等)の組み合わせを使用することができる。
【0033】
熱電発電モジュール10Mに組み込まれる熱電半導体10P及び10Nの数は、例えば、第1装置100の用途において求められる熱電効果の大きさ等に応じて適宜定められる。熱電発電モジュールは、より大きい熱電効果の達成等を目的として、複数組の異なる2種の熱電半導体を含むのが一般的である。これら複数の異なる2種の熱電半導体は、上記電極によって交互に直列に電気的に接続されて直列電気回路を形成する。
【0034】
具体的には、例えば図7に示すように、一対の支持基板11H及び11Cの一方の基板11Hに形成された電極12Hを介して電気的に接続された異なる2種の熱電半導体10P及び10Nによって1つの熱電変換素子10Eが構成される。即ち、当該熱電変換素子10Eは、所謂「π型」の構造を有する。そして、このようにして構成された複数の熱電変換素子10Eが、一対の基板の他方の基板11Cに形成された電極12Cを介して同じ向きに導通(電気的に接続)される。即ち、複数の異なる2種の熱電半導体10P及び10Nは、上記電極12H及び12Cによって交互に直列に電気的に接続されて直列電気回路を形成する。
【0035】
尚、第1装置100の軽量化及び/又は小型化の観点からは、より小さい支持基板11H及び11Cの間に、より多くの熱電半導体10P及び10Nを密に(即ち、できる限り小さい間隙にて)配置することが望ましい。従って、熱電発電モジュール10Mにおいては、複数の異なる2種の熱電半導体10P及び10Nが一対の支持基板11H及び11Cの間に挟持され且つ格子状配列となるように配置されるのが一般的である。
【0036】
また、熱電発電モジュール10Mは、更により大きい熱電効果の達成等を目的として、直列に電気的に接続された複数の熱電発電モジュール10Mを含む熱電発電ユニットとして構成することもできる。
【0037】
更に、上記のように形成される直列電気回路の両端と外部とを導通させるように、2つの電極部材(図示せず)が構成される。ここで言う「外部」とは、例えば、熱電発電モジュール10Mによって出力される電力を供給される他の装置、熱電発電モジュール10Mを含む熱電発電ユニットを構成する他の熱電発電モジュール、及び熱電発電モジュール10Mを含む熱電発電ユニットによって出力される電力を供給される他の装置等、熱電発電モジュール10M以外の装置等を指す。
【0038】
ここで再び図6を参照すると、出力調整装置30は、熱電発電モジュール10Mから出力される電流の大きさである出力電流値I及び/又は電圧の大きさである出力電圧値Vを変化させる。出力調整装置30の構成は、出力電流値I及び/又は出力電圧値Vを変化させることが可能である限り、特に限定されない。このような出力調整装置30の具体例としては、例えば、熱電発電モジュール10Mからの出力電流値I及び/又は出力電圧値Vを調整することが可能なDC−DCコンバータ等の装置を挙げることができる。例えば、二次電池を充電するための充電装置として第1装置100を使用する場合、熱電発電モジュール10Mからの出力電流値I及び/又は出力電圧値Vを調整する機能を有するチャージコントローラ又はパワーコンディショナ等の装置を出力調整装置30として使用することができる。
【0039】
制御部Ucは、出力調整装置30を制御して出力電流値I及び/又は出力電圧値Vを制御する。制御部Ucの構成は、出力調整装置30を制御して出力電流値I及び/又は出力電圧値Vを制御することが可能である限り、特に限定されない。このような制御部Ucの具体例としては、例えば、CPU、ROM、RAM及びインタフェース等を含むマイクロコンピュータを主要構成部品として有する電子制御回路(ECU)等を挙げることができる。CPUは、メモリ(ROM)に格納されたインストラクション(ルーチン)を実行することにより、出力調整装置を制御して出力電流値I及び/又は出力電圧値Vを制御する。
【0040】
尚、制御部Ucは、第1装置100を構成する他の構成要素とは別個の独立した構成要素として実装されていてもよく、或いは、第1装置100を構成する他の構成要素が備えるECU等において制御部Ucとしての機能が実現されていてもよい。更に、制御部Ucとしての機能は必ずしも1つの構成要素において実現される必要は無く、複数の構成要素において実行される処理により、全体として制御部Ucとしての機能が実現されていてもよい。図6に示す例においては、出力調整装置30が備えるECUによって制御部Ucとしての機能が実現されている。
【0041】
上記のような構成により、第1装置100は、熱電発電モジュール10Mからの出力電力を、例えば二次電池及び電子機器等の負荷に対して安定的に供給することができる。図6に示す例においては、このような負荷としての電力供給先200が出力調整装置30の出力側に接続されている。しかしながら、上述したように、例えば、高温熱源10Hの供給源及び/又は熱電発電装置の稼働状態によっては、高温側界面温度Tbhが所定の上限温度Tmaxよりも高くなり、例えば熱電変換素子10Eの破損等の問題に繋がる虞が高まる場合がある。
【0042】
上記のような場合、上述した対策2のように、放熱によって熱電変換素子10Eの高温熱源10H側の界面である高温側界面Bh(図7において太い実線によって示されている部分)を冷却することが考えられる。しかしながら、このような対策を実施するためには放熱のための手段(放熱手段)の追加が必須であり、第1装置100の複雑化、大型化及びコストの増大を招く虞がある。また、放熱により熱電変換素子10Eが保持している熱量が減少するため、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも十分に低くなったときに再び加熱して高温側界面温度Tbhを上限温度Tmaxに近付けて出力電力値Pを増大させるのに要する時間が長くなる。
【0043】
ところが、上述したように、熱電変換素子10Eに流れる電流を増大させると熱電変換素子10Eの熱伝導率が大きくなり、高温熱源10Hから低温熱源10Cへの熱の移動が促進され、熱電変換素子10Eの高温熱源側界面温度Tbhを迅速且つ効果的に下げることができる。具体的には、例えば図8に示すように時間の経過と共に出力電流値Iを段階的に増大させると、それに伴って熱電変換素子10Eの高温側界面温度Tbhが低下する(グラフ中の矢印を参照。)。
【0044】
そこで、第1装置100は、図6に示すように、高温熱源10H、低温熱源10C、及び熱電発電モジュール10Mの何れかに含まれる少なくとも1つの箇所である測温点Dmの温度である測温点温度Tmを検出する温度検出装置40を更に備える。温度検出装置40としては、例えば、測温点Dmに配設された熱電対等、測温点Dmの温度を直接的に測定する温度センサ等を採用することができる。但し、例えば、測温点温度Tmを直接検出可能な位置に温度検出装置40を配設することが困難な場合等においては、測温点温度Tmに相関を有する温度を検出可能な位置に温度検出装置40を配設し、その検出結果から測温点温度Tmを算出又は推定するようにしてもよい。或いは、例えば、赤外線を用いるサーモビューア等、測温点温度Tmを間接的に測定するセンサ等を採用してもよい。
【0045】
測温点Dmの位置は、熱電発電モジュール10Mとしての機能を実質的に損ねることが無い限り特に限定されず、例えば、高温熱源10H内の任意の箇所、低温熱源10C内の任意の箇所、及び熱電発電モジュール10M内の任意の箇所とすることができる。但し、現実的には熱電発電モジュール10M内に測温点Dmを設けることは困難である場合が多いので、高温熱源10H内又は低温熱源10C内の任意の箇所に測温点Dmを設けることが好ましい。典型的には、図6に示すように、測温点Dmは高温熱源10H内の任意の箇所に設けられる。
【0046】
更に、第1装置100においては、少なくとも測温点温度Tmに基づいて熱電変換素子10Eの高温熱源側の界面である高温側界面Bhの温度である高温側界面温度Tbhが所定の上限温度Tmaxよりも高いと判断された場合に出力調整装置30を制御して出力電流値Iを増大させるか又は出力電圧値Vを減少させるように制御部Ucが構成されている。
【0047】
上記「上限温度Tmax」は、例えば、過度に高い高温側界面温度Tbhに起因して熱電変換素子10Eの破損等の問題が生じない限りにおける最高の高温側界面温度Tbhに基づいて定めることができる。第1装置100の実際の稼働時には、例えば、内燃機関からの排気等の高温熱源の温度(高温熱源温度Th)の突発的な変動等も想定されるため、このような熱源の温度の変動幅を考慮して、上記最高の高温側界面温度Tbhよりも若干低い温度を上限温度Tmaxとして定めることが望ましい。このようにして定められる上限温度Tmaxは、制御部Ucが備えるメモリ(ROM)等の記憶装置にデータとして格納しておき、必要に応じてCPUに参照させることができる。
【0048】
また、少なくとも測温点温度Tmに基づいて高温側界面温度Tbhが所定の上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断するための具体的な手法としては、例えば、第1装置100において検出される「高温側界面温度Tbhに相関を有する種々の検出値」に基づく様々な手法を挙げることができる。或いは、高温側界面温度Tbhに相関を有する状態量の値を検出する何らかの検出手段を更に設け、当該検出手段による検出結果に基づいて当該判断を行うこともできる。当該判断を行うための具体的な手法については、後述する本発明の他の実施形態についての説明において詳しく説明する。
【0049】
上述したように、制御部Ucは、少なくとも測温点温度Tmに基づいて高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いと判断された場合に出力調整装置30を制御して出力電流値Iを増大させるか又は出力電圧値Vを減少させるように構成されている。具体的には、制御部Ucは、出力電流値Iを増大させるか又は出力電圧値Vを減少させるための指示信号を、例えば、出力調整装置30としてのDC−DCコンバータに対して入力することにより、熱電発電モジュール10Mからの出力電流値Iを増大させたり或いは出力電圧値Vを減少させたりすることができる。
【0050】
尚、上記のように高温側界面温度Tbhが所定の上限温度Tmaxよりも高いと判断された場合における熱電発電モジュール10Mからの出力電流値Iの増大幅ΔI及び出力電圧値Vの減少幅ΔVは、予め定められた固定値であってもよい。或いは、高温側界面温度Tbhと上限温度Tmaxとの差の大きさに応じて当該増大幅ΔI及び減少幅ΔVを変化させてもよい。この場合、具体的には、例えば、高温側界面温度Tbhと上限温度Tmaxとの差が大きいほど、当該増大幅ΔI及び減少幅ΔVが大きくなるようにしてもよい。
【0051】
〈作動〉
制御部Ucによって実行される制御に伴う第1装置100の作動につき、以下に詳しく説明する。図9は、第1装置100において制御部によって実行される制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。例えば、制御部を構成するCPUは、メモリ(ROM)に格納された当該制御ルーチンに対応するインストラクションを十分に短い所定の時間間隔にて繰り返し実行するように構成されている。
【0052】
図9に示す高温側界面温度制御ルーチンが一旦開始されると、CPUは、ステップS10において、高温側界面温度Tbhが所定の上限温度Tmaxよりも高いか否かについての判断を行うために必要な検出値を取得する。具体的には、高温熱源10H、低温熱源10C、及び熱電発電モジュールの何れかに含まれる少なくとも1つの箇所である測温点Dmの温度である測温点温度Tmを温度検出装置40から取得する。但し、後述する本発明の他の実施形態についての説明において詳しく説明するように、測温点Dmの温度(測温点温度Tm)に加えて、他の箇所の温度(例えば、もう1つの測温点の温度又は低温熱源10Cの温度等)を取得してもよい。或いは、熱電発電モジュールから出力される電力の大きさである出力電力値Pと、熱電発電モジュールから出力される電流の大きさである出力電流値I及び/又は電圧の大きさである出力電圧値Vと、からなる複数の検出値の組である出力関連値Moutを取得してもよい。
【0053】
次に、CPUは、ステップS20に進み、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かについて判断する。当該判断を行うための具体的な手法は、上述したように、上記ステップS10において取得される検出値に応じて適宜選択される。例えば、前述したように、測温点Dmの温度(測温点温度Tm)と他の箇所の温度との差、これら2つの箇所の間の領域の熱伝導率λm及び熱通過面積Am、並びにこれら2つの箇所の間の距離Lmに基づいて特定される貫通熱量Wと、測温点Dmと高温側界面Bhとの間の領域の熱伝導率λbhm及び熱通過面積Abhmと、測温点温度Tmと、測温点Dmと高温側界面Bhとの距離Lbhmとに基づいて、高温側界面温度Tbhを特定することができる。
【0054】
或いは、熱電発電モジュールから出力される電力の大きさである出力電力値Pと熱電発電モジュールから出力される電流の大きさである出力電流値I及び/又は電圧の大きさである出力電圧値Vとからなる複数の検出値の組である出力関連値Moutを検出し、当該出力関連値Moutから特定される熱源温度差ΔTsに基づいて、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断することもできる。このような判断を行うための手法の具体例の詳細については、後述する本発明の他の実施形態についての説明において詳しく説明する。
【0055】
高温側界面温度Tbhが上限温度Tmax以下である場合、CPUは、上記ステップS20において「No」と判断し、次のステップS90に進み、通常時に実行される制御ルーチン(以降、「通常制御ルーチン」と称呼される場合がある。)に従って出力調整装置30を制御し、出力電流値I及び/又は出力電圧値Vを制御する。この「通常制御ルーチン」の具体例としては、例えば、前述した最大電力点追従制御(MPPT)等、その時々の熱源温度差ΔTsに応じて出力電力値Pを最大化するための制御ルーチンである「出力最大化制御ルーチン」等を挙げることができる。
【0056】
一方、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高い場合、CPUは、上記ステップS20において「Yes」と判断し、次のステップS30に進む。そして、CPUは、出力電流値Iを増大させるか又は出力電圧値Vを減少させることにより熱電変換素子10Eの高温側界面温度Tbhを下げる制御ルーチン(以降、「冷却制御ルーチン」と称呼される場合がある。)を実行する。具体的には、CPUは、例えば、出力電流値Iを増大させるか又は出力電圧値Vを減少させるための指示信号を生成し、当該指示信号を出力調整装置30へと送出する。そして、当該指示信号を受け取った出力調整装置30(例えば、DC−DCコンバータ等)は、熱電発電モジュール10Mからの出力電流値Iを増大させるか又は出力電圧値Vを減少させる。その結果、図8のグラフを参照しながら説明したように、熱電変換素子10Eの高温側界面温度Tbhが低下する。
【0057】
〈効果〉
以上のように、第1装置100は、少なくとも測温点温度Tmに基づいて高温側界面温度Tbhが所定の上限温度Tmaxよりも高いと判断された場合、熱電発電モジュール10Mからの出力電流値Iを増大させるか又は出力電圧値Vを減少させることにより熱電変換素子10Eに流れる電流を増大させる。その結果、熱電変換素子10Eの熱伝導率が大きくなり、高温熱源10Hから低温熱源10Cへと移動する熱量が増大し、熱電変換素子10Eの高温熱源側の界面である高温側界面Bhの温度が低下する。即ち、第1装置100によれば、高温側界面温度Tbhが所定の上限温度Tmaxよりも高いと判断された場合、熱電発電モジュール10Mからの出力電流値Iを増大させるか又は出力電圧値Vを減少させることにより、熱電変換素子10Eの高温側界面温度Tbhを迅速且つ効果的に下げることができる。これにより、例えば、高温側界面温度Tbhの過剰な上昇に起因する熱電変換素子10Eの破損等の問題を回避することができる。
【0058】
加えて、第1装置100によれば、前述したように熱電変換素子10Eを放熱手段によって冷却する場合のように熱電発電装置の複雑化、大型化及びコストの増大を招く虞が無い。また、上記のように出力電流値Iの増大又は出力電圧値Vの減少により熱電変換素子の高温側界面温度Tbhを下げている期間中も高温熱源10Hから熱電発電モジュールへと熱が供給され続けるので、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも十分に低くなった場合に通常制御ルーチンに切り替えたときに高温側界面温度Tbhを上限温度Tmaxに迅速に近付けて出力電力値Pを迅速に増大させることができる。
【0059】
但し、熱電変換素子10Eを冷却するための放熱手段を備える第1装置100において上述した冷却制御ルーチンを実行してもよい。放熱手段による熱電変換素子10Eの冷却にはある程度の期間を要するため、放熱手段による熱電変換素子の冷却効率が十分に高まるまでの期間において冷却制御ルーチンを実行することにより、熱電変換素子10Eの高温熱源側の界面(高温側界面Bh)を迅速に冷却することができる。
【0060】
即ち、第1装置100によれば、熱電変換素子10Eの高温側界面温度Tbhを迅速且つ効果的に下げることができるので、熱電変換素子10Eの破損を防止しつつ高い発電効率にて熱電発電装置を稼働させることができる。
【0061】
《第2実施形態》
以下、本発明の第2実施形態に係る熱電発電装置(以降、「第2装置」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0062】
〈構成〉
上述したように、少なくとも測温点温度Tmに基づく高温側界面温度Tbhが所定の上限温度Tmaxよりも高いか否かの判断は、測温点Dmの温度(測温点温度Tm)と他の箇所の温度とに基づいて行うことができる。そこで、第2装置は、以下の(a)乃至(d)に記載された点を除き、上述した第1装置100と同様の構成を有する。
【0063】
(a)温度検出装置40は、熱電発電モジュール10Mを経由して高温熱源10Hから低温熱源10Cへと移動する熱量の流れ方向である熱流方向において所定の間隔だけ離れて位置する2つの測温点である第1測温点Dm1及び第2測温点Dm2の温度である第1測温点温度Tm1及び第2測温点温度Tm2をそれぞれ検出するように構成されている。
【0064】
(b)制御部Ucは、第1測温点温度Tm1と第2測温点温度Tm2との差、熱流方向における第1測温点Dm1と第2測温点Dm2との間の領域の熱伝導率λm12及び熱通過面積Am12、並びに熱流方向における第1測温点Dm1と第2測温点Dm2との距離Lm12に基づいて、熱電発電モジュール10Mを経由して高温熱源10Hから低温熱源10Cへと移動する熱量の大きさである貫通熱量Wを特定するように構成されている。
【0065】
(c)制御部Ucは、第1測温点温度Tm1及び/又は第2測温点温度Tm2、熱流方向における第1測温点Dm1及び/又は第2測温点Dm2と高温側界面Bhとの間の領域の熱伝導率(λbhm1及び/又はλbhm2)及び熱通過面積(Abhm1及び/又はAbhm2)、貫通熱量W、並びに熱流方向における第1測温点Dm1及び/又は第2測温点Dm2と高温側界面Bhとの距離(Lbhm1及び/又はLbhm2)に基づいて、高温側界面温度Tbhを特定するように構成されている。
【0066】
(d)制御部Ucは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断するように構成されている。
【0067】
上記(a)に記載されているように、第2装置が備える温度検出装置40は、第1測温点Dm1及び第2測温点Dm2の温度である第1測温点温度Tm1及び第2測温点温度Tm2をそれぞれ検出するように構成されている。上記のように、第1測温点温度Tm1及び第2測温点温度Tm2は、それぞれ、熱電発電モジュール10Mを経由して高温熱源10Hから低温熱源10Cへと移動する熱量の流れ方向である熱流方向において所定の間隔だけ離れて位置する2つの測温点である第1測温点Dm1及び第2測温点Dm2の温度である。
【0068】
第1測温点Dm1及び第2測温点Dm2の具体的な位置は、熱電発電モジュールとしての機能を実質的に損ねることが無い限り特に限定されず、例えば、高温熱源10H内の任意の箇所、低温熱源10C内の任意の箇所、及び熱電発電モジュール10M内の任意の箇所とすることができる。但し、現実的には熱電発電モジュール10M内に測温点Dmを設けることは困難である場合が多いので、高温熱源10H内又は低温熱源10C内の任意の箇所に第1測温点Dm1及び第2測温点Dm2を設けることが好ましい。典型的には、第1測温点Dm1及び第2測温点Dm2は低温熱源10C内の任意の2つの箇所に設けられる。
【0069】
制御部Ucは、上記(b)に記載されているように、第1測温点温度Tm1と第2測温点温度Tm2との差(ΔTm12=Tm1−Tm2)、熱流方向における第1測温点Dm1と第2測温点Dm2との間の領域の熱伝導率λm12及び熱通過面積Am12、及び熱流方向における第1測温点と第2測温点との距離Lm12(即ち、上記「所定の間隔」)に基づいて、熱電発電モジュール10Mを経由して高温熱源10Hから低温熱源10Cへと移動する熱量の大きさである貫通熱量Wを特定するように構成されている。具体的には、貫通熱量Wは以下に示す式(1)によって算出することができる。式(1)において、第1測温点温度Tm1及び第2測温点温度Tm2は温度検出装置40から取得することができ、熱伝導率λm12、熱通過面積Am12及び距離Lm12は第2装置の設計仕様によって定まる既知の値である。
【0070】
【数1】
【0071】
更に、制御部Ucは、上記(c)に記載されているように、第1測温点温度Tm1及び/又は第2測温点温度Tm2、熱流方向における第1測温点Dm1及び/又は第2測温点Dm2と高温側界面Bhとの間の領域の熱伝導率(λbhm1及び/又はλbhm2)及び熱通過面積(Abhm1及び/又はAbhm2)、貫通熱量W、並びに熱流方向における第1測温点Dm1及び/又は第2測温点Dm2と高温側界面Bhとの距離(Lbhm1及び/又はLbhm2)に基づいて、高温側界面温度Tbhを特定するように構成されている。
【0072】
具体的には、高温側界面温度Tbhは以下に示す式(2)及び/又は式(3)によって算出することができる。式(2)及び式(3)において、第1測温点温度Tm1及び第2測温点温度Tm2は温度検出装置40から取得することができ、熱伝導率λbhm1及びλbhm2、熱通過面積Abhm1及びAbhm2、並びに距離Lbhm1及びLbhm2は第2装置の設計仕様によって定まる既知の値である。
【0073】
【数2】
【0074】
【数3】
【0075】
式(2)に示すように、第1測温点Dm1が高温側界面Bhよりも低温熱源側に位置する場合(即ち、Tbh>Tm1)、式(2)の右辺の第二項の前の符号はプラス(+)となる。一方、第1測温点Dm1が高温側界面Bhよりも高温熱源側に位置する場合(即ち、Tbh<Tm1)、式(2)の右辺の第二項の前の符号はマイナス(−)となる。また、式(3)に示すように、第2測温点Dm2が高温側界面Bhよりも低温熱源側に位置する場合(即ち、Tbh>Tm2)、式(3)の右辺の第二項の前の符号はプラス(+)となる。一方、第2測温点Dm2が高温側界面Bhよりも高温熱源側に位置する場合(即ち、Tbh<Tm2)、式(3)の右辺の第二項の前の符号はマイナス(−)となる。
【0076】
尚、式(2)及び式(3)の何れか一方のみを使用して高温側界面温度Tbhを算出してもよく、或いは、例えば、式(2)によって算出される高温側界面温度Tbhと式(3)によって算出される高温側界面温度Tbhとの平均値等を高温側界面温度Tbhとして採用してもよい。
【0077】
ところで、前述したように、第1装置及び第2装置を初めとする本発明装置においては、高温熱源10Hと熱電発電モジュール10Mと低温熱源10Cとが直列に繋がっている1本の熱回路に沿って、熱電発電モジュール10Mを経由して高温熱源10Hから低温熱源10Cへと熱量が流れる。従って、本発明装置における熱回路の何れの箇所においても貫通熱量Wは同じ大きさである。また、高温熱源10Hと熱電発電モジュール10Mとの界面から低温熱源10Cと熱電発電モジュール10Mとの界面へと熱量が移動する。更に、本発明装置は、一般に、高温熱源10Hと低温熱源10Cとの間に介装された板状の熱電発電モジュール10Mによって構成される。従って、この場合、本発明装置における熱回路の何れの箇所においても熱通過面積Aは同じ大きさであるとみなすことができる。即ち、本発明装置における熱回路の何れの箇所においても熱通過面積Am12、Abhm1及びAbhm2を始めとする全ての熱通過面積は同じ大きさであるとみなすことができる。
【0078】
加えて、制御部Ucは、上記(d)に記載されているように、上記(c)に記載されているようにして特定される高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断するように構成されている。
【0079】
〈効果〉
以上のように、第2装置は、第1測温点温度Tm1及び第2測温点温度Tm2に基づいて特定される高温側界面温度Tbhが所定の上限温度Tmaxよりも高いと判断された場合、熱電発電モジュール10Mからの出力電流値Iを増大させるか又は出力電圧値Vを減少させることにより熱電変換素子10Eに流れる電流を増大させる。従って、上述した第1装置100と同様の効果をより確実に達成することができる。即ち、第2装置によれば、熱電変換素子10Eの高温側界面温度Tbhをより迅速且つ効果的に下げることができるので、熱電変換素子10Eの破損を防止しつつ高い発電効率にて熱電発電装置を稼働させることができる。
【0080】
《第3実施形態》
以下、本発明の第3実施形態に係る熱電発電装置(以降、「第3装置」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0081】
〈構成〉
前述したように、高温熱源温度Thは、例えば、高温熱源10Cの供給源(例えば、内燃機関等)の稼働状態等によって変動する可能性が高い。一方、低温熱源温度Tcは、例えば熱電発電装置の設計仕様等により、一定の温度に維持されている場合がある。この場合、測温点Dmの温度(測温点温度Tm)と低温熱源10C内の(低温熱源温度Tcに対応する一定の温度が維持されている)任意の箇所の温度との差に基づいて、高温側界面温度Tbhを特定することができる。
【0082】
そこで、第3装置は、以下の(e)乃至(g)及び(d)に記載された点を除き、上述した第1装置と同様の構成を有する。尚、以下の(d)は、上述した第2装置における(d)と同じである。
【0083】
(e)低温熱源10Cに含まれる少なくとも1つの箇所である低温側測温点Dmcの温度である低温側測温点温度Tmcが一定の温度に維持されている。
【0084】
(f)制御部Ucは、測温点温度Tmと低温側測温点温度Tmcとの差、熱電発電モジュール10Mを経由して高温熱源10Hから低温熱源10Cへと移動する熱量の流れ方向である熱流方向における測温点Dmと低温側測温点Dmcとの間の領域の熱伝導率λmmc及び熱通過面積Ammc、並びに熱流方向における測温点Dmと低温側測温点Dmcとの距離Lmmcに基づいて、熱電発電モジュール10Mを経由して高温熱源10Hから低温熱源10Cへと移動する熱量の大きさである貫通熱量Wを特定するように構成されている。
【0085】
(g)制御部Ucは、測温点温度Tm、熱流方向における測温点Dm及び/又は低温側測温点Dmcと高温側界面Bhとの間の領域の熱伝導率(λbhm及び/又はλbhmc)及び熱通過面積(Abhm及び/又はAbhmc)、貫通熱量W、並びに熱流方向における測温点Dm及び/又は低温側測温点Dmcと高温側界面Bhとの距離(Lbhm及び/又はLbhmc)に基づいて、高温側界面温度Tbhを特定するように構成されている。
【0086】
(d)制御部Ucは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断するように構成されている。
【0087】
第3装置は、上記(e)に記載されているように、低温熱源10Cに含まれる少なくとも1つの箇所である低温側測温点Dmcの温度である低温側測温点温度Tmcが一定の温度に維持されている熱電発電装置である。低温側測温点Dmcの具体的な位置は、熱電発電モジュールとしての機能を実質的に損ねることが無い限り特に限定されず、例えば低温熱源10C内の(低温熱源温度Tcに対応する一定の温度が維持されている)任意の箇所とすることができる。
【0088】
上記のように第3装置においては低温熱源温度Tcが一定の温度に維持されているので、低温側測温点温度Tmcは低温熱源温度Tcに対応する一定の温度に維持されている。従って、第3装置においては低温側測温点温度Tmcを実際に検出すること無く、測温点温度Tm及び低温側測温点温度Tmc等に基づいて貫通熱量Wを特定することができ、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断することができる。そのため、低温側測温点温度Tmcを検出するための構成を追加する必要が無いので、例えば第3装置の複雑化、大型化及びコストの増大等の問題を回避することができる。
【0089】
尚、例えば低温熱源温度Tcを一定の温度に維持すること等を目的として第3装置が備える温度検出装置40が低温熱源温度Tcを検出するように構成されており且つ低温熱源温度Tcを検出する測温点Dcが熱電発電モジュール10Mを経由して高温熱源10Hから低温熱源10Cへと熱量が流れる熱回路に含まれる場合は、低温熱源温度Tcを低温側測温点温度Tmcとして、測温点Dcを低温側測温点Dmcとして、それぞれ採用することができる。この場合もまた低温側測温点温度Tmcを検出するための構成を追加する必要が無いので、例えば第3装置の複雑化、大型化及びコストの増大等の問題を回避することができる。
【0090】
制御部Ucは、上記(f)に記載されているように、測温点温度Tmと低温側測温点温度Tmcとの差(ΔTmmc=Tm−Tmc)、熱電発電モジュール10Mを経由して高温熱源10Hから低温熱源10Cへと移動する熱量の流れ方向である熱流方向における測温点Dmと低温側測温点Dmcとの間の領域の熱伝導率λmmc及び熱通過面積Ammc、並びに熱流方向における測温点Dmと低温側測温点Dmcとの距離Lmmcに基づいて、熱電発電モジュール10Mを経由して高温熱源10Hから低温熱源10Cへと移動する熱量の大きさである貫通熱量Wを特定するように構成されている。具体的には、貫通熱量Wは以下に示す式(4)によって算出することができる。式(4)において、測温点温度Tmは温度検出装置40から取得することができ、低温側測温点温度Tmc、熱伝導率λmmc、熱通過面積Ammc、及び距離Lmmcは第3装置の設計仕様によって定まる既知の値である。
【0091】
【数4】
【0092】
更に、制御部Ucは、上記(g)に記載されているように、測温点温度Tm、熱流方向における測温点Dm及び/又は低温側測温点Dmcと高温側界面Bhとの間の領域の熱伝導率(λbhm及び/又はλbhmc)及び熱通過面積(Abhm及び/又はAbhmc)、貫通熱量W、並びに熱流方向における測温点Dm及び/又は低温側測温点Dmcと高温側界面Bhとの距離(Lbhm及び/又はLbhmc)に基づいて、高温側界面温度Tbhを特定するように構成されている。具体的には、高温側界面温度Tbhは以下に示す式(5)及び/又は式(6)によって算出することができる。式(5)及び式(6)において、測温点温度Tmは温度検出装置40から取得することができ、低温側測温点温度Tmc、熱伝導率λbhm及びλbhmc、熱通過面積Abhm及びAbhmc、並びに距離Lbhm及びLbhmcは第3装置の設計仕様によって定まる既知の値である。
【0093】
【数5】
【0094】
【数6】
【0095】
式(5)に示すように、高温側界面Bhが測温点Dmよりも高温熱源側に位置する場合(即ち、Tbh>Tm)、式(5)の右辺の第二項の前の符号はプラス(+)となる。一方、高温側界面Bhが測温点Dmよりも低温熱源側に位置する場合(即ち、Tbh<Tm)、式(5)の右辺の第二項の前の符号はマイナス(−)となる。また、式(6)に示すように、高温側界面Bhが低温側測温点Dmcよりも高温熱源側に位置する場合(即ち、Tbh>Tmc)、式(6)の右辺の第二項の前の符号はプラス(+)となる。一方、高温側界面Bhが低温側測温点Dmcよりも低温熱源側に位置する場合(即ち、Tbh<Tmc)、式(6)の右辺の第二項の前の符号はマイナス(−)となる。
【0096】
尚、式(5)及び式(6)の何れか一方のみを使用して高温側界面温度Tbhを算出してもよく、或いは、例えば、式(5)によって算出される高温側界面温度Tbhと式(6)によって算出される高温側界面温度Tbhとの平均値等を高温側界面温度Tbhとして採用してもよい。
【0097】
ところで、前述したように、第1装置乃至第3装置を初めとする本発明装置における熱回路の何れの箇所においても貫通熱量Wは同じ大きさである。また、本発明装置における熱回路の何れの箇所においても熱通過面積Aは同じ大きさであるとみなすことができる。即ち、本発明装置における熱回路の何れの箇所においても通過面積Ammc、Abhm及びAbhmcを始めとする全ての熱通過面積は同じ大きさであるとみなすことができる。
【0098】
加えて、制御部Ucは、上記(d)に記載されているように、上記(g)に記載されているようにして特定される高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断するように構成されている。
【0099】
〈効果〉
以上のように、第3装置は、測温点温度Tm及び低温側測温点温度Tmcに基づいて特定される高温側界面温度Tbhが所定の上限温度Tmaxよりも高いと判断された場合、熱電発電モジュール10Mからの出力電流値Iを増大させるか又は出力電圧値Vを減少させることにより熱電変換素子10Eに流れる電流を増大させる。従って、上述した第1装置と同様の効果をより確実に達成することができる。即ち、第3装置によれば、熱電変換素子10Eの高温側界面温度Tbhをより迅速且つ効果的に下げることができるので、熱電変換素子10Eの破損を防止しつつ高い発電効率にて熱電発電装置を稼働させることができる。
【0100】
《第4実施形態》
以下、本発明の第4実施形態に係る熱電発電装置(以降、「第4装置」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0101】
〈構成〉
図3及び図5のグラフを参照しながら説明したように、熱電発電モジュール10Mからの出力電流値Iと出力電力値Pとの関係及び出力電圧値Vと出力電力値Pとの関係は、熱源温度差ΔTsの大きさによって、それぞれ変化する。また、最大出力電力値Ppが得られる特定の出力電流値Ip及び当該特定の出力電流値Ipにおいて得られる最大出力電力値Ppの大きさも熱源温度差ΔTsの大きさによって異なる。同様に、最大出力電力値Ppが得られる特定の出力電圧値Vp及び当該特定の出力電圧値Vpにおいて得られる最大出力電力値Ppの大きさも熱源温度差ΔTsの大きさによって異なる。
【0102】
従って、熱電発電モジュール10Mにおける熱源温度差ΔTsと出力電力値P並びに出力電流値I及び/又は出力電圧値Vとの関係を、例えば熱電発電モジュール10Mを用いる事前の実験等によって予め求めておくことにより、熱電発電モジュール10Mの稼働時における出力電力値P並びに出力電流値I及び/又は出力電圧値Vから当該関係に基づいて熱源温度差ΔTsを特定することができる。このようにして特定された熱源温度差ΔTs並びに熱電発電モジュール10Mの対応する領域の熱伝導率λs等に基づいて貫通熱量Wを特定することができる。このようにして貫通熱量Wが特定されれば、例えば上述した第3装置と同様の手法により、高温側界面温度Tbhを特定することができる。
【0103】
そこで、第4装置は、以下の(h)乃至(l)及び(d)に記載された点を除き、上述した第1装置と同様の構成を有する。尚、以下の(d)は、上述した第2装置及び第3装置における(d)と同じである。
【0104】
(h)第4装置は、熱電発電モジュール10Mから出力される電力の大きさである出力電力値Pと、熱電発電モジュール10Mから出力される電流の大きさである出力電流値I及び/又は電圧の大きさである出力電圧値Vと、からなる複数の検出値の組である出力関連値Moutを検出する出力検出装置20を更に備える。
【0105】
(i)制御部Ucは、熱源温度差ΔTsと出力関連値Moutとの関係を表すデータである第1特性データを予め格納している。
【0106】
(j)制御部Ucは、出力検出装置20によって検出された出力関連値Moutから第1特性データに基づいて熱源温度差ΔTsを特定するように構成されている。
【0107】
(k)制御部Ucは、熱源温度差ΔTs、熱源温度差ΔTsが生じている領域の熱伝導率λs及び熱通過面積As、並びに熱電発電モジュール10Mを経由して高温熱源10Hから低温熱源10Cへと移動する熱量の流れ方向である熱流方向における熱源温度差ΔTsが生じている領域の長さLsに基づいて、貫通熱量Wを特定するように構成されている。
【0108】
(l)制御部Ucは、測温点温度Tm、熱流方向における測温点Dmと高温側界面Bhとの間の領域の熱伝導率λbhm及び熱通過面積Abhm、貫通熱量W、及び熱流方向における測温点Dmと高温側界面Bhとの距離Lbhmに基づいて、高温側界面温度Tbhを特定するように構成されている。
【0109】
(d)制御部Ucは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断するように構成されている。
【0110】
第4装置は、上記(h)に記載されているように、出力関連値Moutを検出する出力検出装置20を更に備える。出力関連値Moutとは、熱電発電モジュール10Mから出力される電力の大きさである出力電力値Pと、熱電発電モジュール10Mから出力される電流の大きさである出力電流値I及び/又は電圧の大きさである出力電圧値Vと、からなる複数の検出値の組である。出力関連値Moutは、出力電力値Pと出力電流値Iとからなる2つの検出値の組であってもよく、出力電力値Pと出力電圧値Vとからなる2つの検出値の組であってもよく、或いは出力電力値Pと出力電流値Iと出力電圧値Vとからなる3つの検出値の組であってもよい。
【0111】
出力検出装置20の構成は、出力電力値Pと、出力電流値I及び/又は出力電圧値Vとを検出することが可能である限り、特に限定されない。このような出力検出装置20の具体例としては、例えば、電流センサ及び電圧センサ等を挙げることができる。しかしながら、例えば、前述した出力調整装置30等、熱電発電モジュール10Mから出力される電力が供給される他の装置が備える電流センサ及び電圧センサ等を出力検出装置20として利用してもよい。
【0112】
制御部Ucは、上記(i)に記載されているように、熱源温度差ΔTsと出力関連値Moutとの関係を表すデータである第1特性データを予め格納している。第1特性データは、上述したように、例えば第4装置を用いる事前の実験等により、熱電発電モジュール10Mにおける熱源温度差ΔTsと出力電力値P並びに出力電流値I及び/又は出力電圧値Vとの関係を予め求めることによって得ることができる。また、第1特性データは、当該関係を表す電子データとして、制御部が備えるメモリ(ROM)等の記憶装置に格納しておくことができる。
【0113】
第1特性データは、熱源温度差ΔTsと出力関連値Moutとの関係を表すデータである限り、特に限定されない。例えば、第1特性データは、様々な熱源温度差ΔTs毎に纏められた出力電力値Pと出力電流値I又は出力電圧値Vとの関係を表す複数のデータテーブル又はデータマップであってもよい。或いは、第1特性データは、熱源温度差ΔTsと出力電力値Pと出力電流値I又は出力電圧値Vとの関係を表す1つのデータテーブル又はデータマップであってもよい。更に、第1特性データは、例えば、様々な熱源温度差ΔTs毎に纏められた出力電力値Pと出力電流値I又は出力電圧値Vとの関係を表す関数であってもよい。或いは、第1特性データは、熱源温度差ΔTsと出力電力と出力電流値I又は出力電圧値Vとの関係を表す1つの関数であってもよい。
【0114】
そして、出力検出装置20によって検出された出力関連値Moutと第1特性データとに基づいて、以下のようにして、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断することができる。
【0115】
上記(j)に記載されているように、制御部Ucは、先ず、出力検出装置20によって検出された出力関連値Moutから第1特性データに基づいて、その時点における熱源温度差ΔTsを特定するように構成されている。例えば、ある時点において熱電発電モジュール10Mから出力される出力電力値Pa及び出力電流値Iaが、出力関連値Moutとして、出力検出装置20によって検出された場合を想定する。また、第1特性データは、様々な熱源温度差ΔTs毎に纏められた出力電力値Pと出力電流値Iとの関係を表す複数のデータテーブル又はデータマップであるものとする。この場合、第1特性データは、例えば、図10に示すグラフによって表すことができる。図10のグラフにおける各々の曲線は、異なる熱源温度差ΔTs(=ΔTs1,ΔTs2,ΔTs3…)における出力電力値Pと出力電流値Iとの関係を表す。図10において黒い丸印によって示すように、出力検出装置20によって検出された出力電力値Paと出力電流値Iaとの組み合わせに一致し得るのは熱源温度差ΔTsがΔTs2であるときの曲線のみである。このようにして、この時点における熱源温度差ΔTsがΔTs2に等しいということを特定することができる。
【0116】
更に、制御部Ucは、上記(k)に記載されているように、熱源温度差ΔTs、熱源温度差ΔTsが生じている領域の熱伝導率λs及び熱通過面積As、並びに熱電発電モジュール10Mを経由して高温熱源10Hから低温熱源10Cへと移動する熱量の流れ方向である熱流方向における熱源温度差ΔTsが生じている領域の長さLsに基づいて、貫通熱量Wを特定するように構成されている。この「熱源温度差ΔTsが生じている領域」とは、例えば、高温熱源10H内の測温点Dhにおいて検出される温度である高温熱源温度Thと低温熱源10C内の測温点Dcにおいて検出される温度である低温熱源温度Tcの差として熱源温度差ΔTsが定義される場合、熱流方向において測温点Dhと測温点Dcとの間に位置する第4装置(高温熱源10H、熱電発電モジュール10M、及び低温熱源10C)の領域を指す。
【0117】
貫通熱量Wは、例えば、以下に示す式(7)によって算出することができる。式(7)において、熱源温度差ΔTsは上記(j)に記載されているようにして特定することができ、熱伝導率λs、熱通過面積As、及び距離(長さ)Lsは第4装置の設計仕様によって定まる既知の値である。
【0118】
【数7】
【0119】
更に、制御部Ucは、上記(l)に記載されているように、測温点温度Tm、熱流方向における測温点Dmと高温側界面Bhとの間の領域の熱伝導率λbhm及び熱通過面積Abhm、貫通熱量W、及び熱流方向における測温点Dmと高温側界面Bhとの距離Lbhmに基づいて、高温側界面温度Tbhを特定するように構成されている。具体的には、高温側界面温度Tbhは以下に示す式(8)によって算出することができる。式(8)において、測温点温度Tmは温度検出装置40から取得することができ、熱伝導率λbhm、熱通過面積Abhm、及び距離Lbhmは第4装置の設計仕様によって定まる既知の値である。
【0120】
【数8】
【0121】
式(8)に示すように、測温点Dmが高温側界面Bhよりも低温熱源側に位置する場合(即ち、Tbh>Tm)、式(8)の右辺の第二項の前の符号はプラス(+)となる。一方、測温点Dmが高温側界面Bhよりも高温熱源側に位置する場合(即ち、Tbh<Tm)、式(8)の右辺の第二項の前の符号はマイナス(−)となる。
【0122】
ところで、前述したように、第1装置乃至第4装置を初めとする本発明装置における熱回路の何れの箇所においても貫通熱量Wは同じ大きさである。また、本発明装置内の何れの箇所においても熱通過面積Aは同じ大きさであるとみなすことができる。即ち、本発明装置における熱回路の何れの箇所においても熱通過面積As及びAbhmを始めとする全ての熱通過面積は同じ大きさであるとみなすことができる。
【0123】
加えて、制御部Ucは、上記(d)に記載されているように、上記(l)に記載されているようにして特定される高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断するように構成されている。
【0124】
〈効果〉
以上のように、第4装置は、出力関連値Mout、第1特性データ、及び測温点温度Tmに基づいて特定される高温側界面温度Tbhが所定の上限温度Tmaxよりも高いと判断された場合、熱電発電モジュール10Mからの出力電流値Iを増大させるか又は出力電圧値Vを減少させることにより熱電変換素子10Eに流れる電流を増大させる。従って、上述した第1装置と同様の効果をより確実に達成することができる。即ち、第4装置によれば、熱電変換素子10Eの高温側界面温度Tbhをより迅速且つ効果的に下げることができるので、熱電変換素子10Eの破損を防止しつつ高い発電効率にて熱電発電装置を稼働させることができる。
【0125】
《第5実施形態》
以下、本発明の第5実施形態に係る熱電発電装置(以降、「第5装置」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0126】
〈構成〉
前述したように、第1装置を始めとする本発明に係る熱電発電装置(本発明装置)においては、少なくとも測温点温度Tmに基づいて高温側界面温度Tbhが所定の上限温度Tmaxよりも高いと判断された場合に出力調整装置30を制御して出力電流値Iを増大させるか又は出力電圧値Vを減少させるように制御部が構成されている。これらの本発明装置のうち、上述した第2装置乃至第4装置においては、少なくとも測温点温度Tmに基づいて高温側界面温度Tbhを特定して上記判断を実施している。しかしながら、上記判断を実施するために、必ずしも高温側界面温度Tbhそのものを特定する必要は無い。
【0127】
そこで、第5装置は、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合における貫通熱量である上限貫通熱量Wmaxを算出すると共に、上述した第4装置と同様にしてその時点における貫通熱量Wを特定し、これらを比較することにより、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断する。
【0128】
具体的には、第5装置は、以下の(h)乃至(k)並びに(m)及び(n)に記載された点を除き、上述した第1装置と同様の構成を有する。尚、以下の(h)乃至(k)は上述した第4装置における(h)乃至(k)と同じである。
【0129】
(h)第5装置は、熱電発電モジュール10Mから出力される電力の大きさである出力電力値Pと、熱電発電モジュール10Mから出力される電流の大きさである出力電流値I及び/又は電圧の大きさである出力電圧値Vと、からなる複数の検出値の組である出力関連値Moutを検出する出力検出装置20を更に備える。
【0130】
(i)制御部Ucは、熱源温度差ΔTsと出力関連値Moutとの関係を表すデータである第1特性データを予め格納している。
【0131】
(j)制御部Ucは、出力検出装置20によって検出された出力関連値Moutから第1特性データに基づいて熱源温度差ΔTsを特定するように構成されている。
【0132】
(k)制御部Ucは、熱源温度差ΔTs、熱源温度差ΔTsが生じている領域の熱伝導率λs及び熱通過面積As、並びに熱電発電モジュール10Mを経由して高温熱源10Hから低温熱源10Cへと移動する熱量の流れ方向である熱流方向における熱源温度差ΔTsが生じている領域の長さLsに基づいて、貫通熱量Wを特定するように構成されている。
【0133】
(m)制御部Ucは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合における測温点温度Tmと高温側界面温度Tbhとの差、熱流方向における測温点Dmと高温側界面Bhとの間の領域の熱伝導率λbhm及び熱通過面積Abhm、並びに熱流方向における測温点Dmと高温側界面Bhとの距離Lbhmに基づいて、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合において測温点Dmから高温側界面Bhへと移動する熱量の大きさである上限貫通熱量Wmaxを特定するように構成されている。
【0134】
(n)制御部Ucは、測温点Dmが高温側界面Bhよりも高温熱源10Hに近い場合は貫通熱量Wが上限貫通熱量Wmaxよりも小さいときに高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いと判断し、測温点Dmが高温側界面Bhよりも低温熱源10Cに近い場合は貫通熱量Wが上限貫通熱量Wmaxよりも大きいときに高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いと判断するように構成されている。
【0135】
上述したように、上記(h)乃至(k)については、第4装置における(h)乃至(k)と同じであるので、ここでの改めての説明は割愛するが、上述した(j)に記載されているようにして熱源温度差ΔTsを特定し、上述した(k)に記載されているようにして貫通熱量Wを算出することができる。
【0136】
更に、制御部Ucは、上記(m)に記載されているように、上限貫通熱量Wmaxを特定するように構成されている。上限貫通熱量Wmaxとは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合において測温点Dmから高温側界面Bhへと移動する熱量の大きさである。上限貫通熱量Wmaxは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合における測温点温度Tmと高温側界面温度Tbhとの差(ΔTbhmmax=|Tm−Tmax|)、熱流方向における測温点Dmと高温側界面Bhとの間の領域の熱伝導率λbhm及び熱通過面積Abhm、並びに熱流方向における測温点Dmと高温側界面Bhとの距離Lbhmに基づいて特定することができる。
【0137】
上限貫通熱量Wmaxは、例えば、以下に示す式(9)によって算出することができる。式(9)において、測温点温度Tmは温度検出装置40から取得することができ、上限温度Tmax、熱伝導率λbhm、熱通過面積Abhm、及び距離(長さ)Lbhmは第5装置の設計仕様によって定まる既知の値である。即ち、上限貫通熱量Wmaxの値は測温点温度Tmによって一意に定まる。
【0138】
【数9】
【0139】
ところで、上述したように、測温点Dmの位置は、熱電発電モジュール10Mとしての機能を実質的に損ねることが無い限り特に限定されず、例えば、高温熱源10H内の任意の箇所、低温熱源10C内の任意の箇所及び熱電発電モジュール10M内の任意の箇所とすることができる。従って、測温点Dmは、高温側界面Bhよりも高温熱源側に位置する場合があり、逆に高温側界面Bhよりも低温熱源側に位置する場合もある。
【0140】
前者の場合、上限貫通熱量Wmaxは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合に測温点Dmから高温側界面Bhへと移動する熱量の大きさである。高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい(Tbh=Tmax)とき、(例えば、上述した式(7)によって)算出される貫通熱量Wは上限貫通熱量Wmaxに等しい筈である。また、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも低い(Tbh<Tmax)ときは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい(Tbh=Tmax)ときに比べて、測温点温度Tmと高温側界面温度Tbhとの差(ΔTbhmmax=|Tm−Tmax|)が大きくなる。従って、このときに(例えば、上述した式(7)によって)算出される貫通熱量Wは上限貫通熱量Wmaxよりも大きい筈である。逆に、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高い(Tbh>Tmax)ときは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい(Tbh=Tmax)ときに比べて、測温点温度Tmと高温側界面温度Tbhとの差(ΔTbhmmax=|Tm−Tmax|)が小さくなる。従って、このときに(例えば、上述した式(7)によって)算出される貫通熱量Wは上限貫通熱量Wmaxよりも小さい筈である。
【0141】
一方、後者の場合、上限貫通熱量Wmaxは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合に高温側界面Bhから測温点Dmへと移動する熱量の大きさである。この場合も、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい(Tbh=Tmax)とき、(例えば、上述した式(7)によって)算出される貫通熱量Wは上限貫通熱量Wmaxに等しい筈である。また、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも低い(Tbh<Tmax)ときは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい(Tbh=Tmax)ときに比べて、測温点温度Tmと高温側界面温度Tbhとの差(ΔTbhmmax=|Tm−Tmax|)が小さくなる。従って、このときに(例えば、上述した式(7)によって)算出される貫通熱量Wは上限貫通熱量Wmaxよりも小さい筈である。逆に、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高い(Tbh>Tmax)ときは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい(Tbh=Tmax)ときに比べて、測温点温度Tmと高温側界面温度Tbhとの差(ΔTbhmmax=|Tm−Tmax|)が大きくなる。従って、このときに(例えば、上述した式(7)によって)算出される貫通熱量Wは上限貫通熱量Wmaxよりも大きい筈である。
【0142】
そこで、制御部Ucは、上記(n)に記載されているように、測温点Dmが高温側界面Bhよりも高温熱源10Hに近い場合は貫通熱量Wが上限貫通熱量Wmaxよりも小さいときに高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いと判断し、測温点Dmが高温側界面Bhよりも低温熱源10Cに近い場合は貫通熱量Wが上限貫通熱量Wmaxよりも大きいときに高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いと判断するように構成されている。
【0143】
〈効果〉
以上のように、第5装置は、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合における貫通熱量である上限貫通熱量Wmaxを算出すると共に、上述した第4装置と同様にしてその時点における貫通熱量Wを特定し、これらを比較することにより、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断する。従って、第5装置においては、高温側界面温度Tbhそのものを特定すること無く上記判断が実施される。即ち、第5装置によれば、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断するために必要とされる演算処理負荷を軽減することができる。
【0144】
《第6実施形態》
以下、本発明の第6実施形態に係る熱電発電装置(以降、「第6装置」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0145】
〈構成〉
上述したように、第5装置は、ある時点における出力関連値Moutから特定される熱源温度差ΔTsに基づいて貫通熱量Wを特定し、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合における貫通熱量である上限貫通熱量Wmaxと比較することにより、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断する。しかしながら、低温熱源温度Tcが一定の温度に維持されている場合は、貫通熱量Wを特定すること無く、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断することができる。
【0146】
そこで、第6装置は、低温熱源温度Tcが一定の温度に維持されていることを前提として、ある時点における出力関連値Moutから熱源温度差ΔTsを特定し、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合における熱源温度差である上限熱源温度差ΔTmaxと比較することにより、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断する。
【0147】
具体的には、第6装置は、以下の(e)、(h)乃至(j)、(m)、並びに(o)及び(p)に記載された点を除き、上述した第1装置と同様の構成を有する。尚、以下の(e)は上述した第3装置における(e)と同じであり、以下の(h)乃至(j)は上述した第4装置及び第5装置における(h)乃至(j)と同じであり、以下の(m)は上述した第5装置における(m)と同じである。
【0148】
(e)低温熱源10Cに含まれる少なくとも1つの箇所である低温側測温点Dmcの温度である低温側測温点温度Tmcが一定の温度に維持されている。
【0149】
(h)第6装置は、熱電発電モジュール10Mから出力される電力の大きさである出力電力値Pと、熱電発電モジュール10Mから出力される電流の大きさである出力電流値I及び/又は電圧の大きさである出力電圧値Vと、からなる複数の検出値の組である出力関連値Moutを検出する出力検出装置20を更に備える。
【0150】
(i)制御部Ucは、熱源温度差ΔTsと出力関連値Moutとの関係を表すデータである第1特性データを予め格納している。
【0151】
(j)制御部Ucは、出力検出装置20によって検出された出力関連値Moutから第1特性データに基づいて熱源温度差ΔTsを特定するように構成されている。
【0152】
(m)制御部Ucは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合における測温点温度Tmと高温側界面温度Tbhとの差、(熱電発電モジュール10Mを経由して高温熱源10Hから低温熱源10Cへと移動する熱量の流れ方向である)熱流方向における測温点Dmと高温側界面Bhとの間の領域の熱伝導率λbhm及び熱通過面積Abhm、並びに熱流方向における測温点Dmと高温側界面Bhとの距離Lbhmに基づいて、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合において測温点Dmから高温側界面Bhへと移動する熱量の大きさである上限貫通熱量Wmaxを特定するように構成されている。
【0153】
(o)制御部Ucは、上限貫通熱量Wmax、熱源温度差ΔTsが生じている領域の熱伝導率λs及び熱通過面積As、並びに熱源温度差ΔTsが生じている領域の熱流方向における長さLsに基づいて、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合における高温熱源10Hと低温熱源10Cとの間の温度差である上限熱源温度差ΔTmaxを特定するように構成されている。
【0154】
(p)制御部Ucは、熱源温度差ΔTsが上限熱源温度差ΔTmaxよりも大きい場合、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いと判断するように構成されている。
【0155】
上述したように、上記(e)については第3装置における(e)と同じであり、上記(h)乃至(j)については第4装置及び第5装置における(h)乃至(j)と同じであるので、ここでの改めての説明は割愛するが、上述した(j)に記載されているようにして熱源温度差ΔTsを特定することができる。また、上記(m)については第5装置における(m)と同じであるので、ここでの改めての説明は割愛するが、上述した(m)に記載されているようにして上限貫通熱量Wmaxを特定することができる。
【0156】
更に、制御部Ucは、上記(o)に記載されているように、上限熱源温度差ΔTmaxを特定するように構成されている。上限熱源温度差ΔTmaxとは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合における高温熱源10Hと低温熱源10Cとの間の温度差である。上限熱源温度差ΔTmaxは、上限貫通熱量Wmax、熱源温度差ΔTsが生じている領域の熱伝導率λs及び熱通過面積As、並びに前記熱源温度差が生じている領域の前記熱流方向における長さに基づいて特定することができる。
【0157】
上限熱源温度差ΔTmaxは、例えば、以下に示す式(10)によって算出することができる。式(10)において、上限貫通熱量Wmaxは上記(m)に記載されているようにして特定することができ、熱伝導率λs、熱通過面積As、及び距離(長さ)Lsは第6装置の設計仕様によって定まる既知の値である。
【0158】
【数10】
【0159】
上記のように、上限熱源温度差ΔTmaxは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合における高温熱源10Hと低温熱源10Cとの間の温度差である。しかも、第6装置においては、上記(e)に記載されているように、低温熱源10Cに含まれる少なくとも1つの箇所である低温側測温点Dmcの温度である低温側測温点温度Tmcが一定の温度に維持されている。換言すれば、低温熱源10Cの温度(低温熱源温度Tc)が一定の温度に維持されている。
【0160】
従って、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい(Tbh=Tmax)とき、上記(j)に記載されているように出力検出装置20によって検出された出力関連値Moutから第1特性データに基づいて特定される熱源温度差ΔTsは上限熱源温度差ΔTmaxに等しい筈である。また、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも低い(Tbh<Tmax)ときは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい(Tbh=Tmax)ときに比べて熱源温度差ΔTsが小さくなる。従って、このときに上記のようにして特定される熱源温度差ΔTsは上限熱源温度差ΔTmaxよりも小さい筈である。逆に、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高い(Tbh>Tmax)ときは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい(Tbh=Tmax)ときに比べて熱源温度差ΔTsが大きくなる。従って、このときに上記のようにして特定される熱源温度差ΔTsは上限熱源温度差ΔTmaxよりも大きい筈である。
【0161】
そこで、制御部Ucは、上記(p)に記載されているように、熱源温度差ΔTsが上限熱源温度差ΔTmaxよりも大きい場合、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いと判断するように構成されている。
【0162】
〈効果〉
以上のように、第6装置においては低温熱源温度Tcが一定の温度に維持されている。そこで、第6装置は、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合における高温熱源10Hと低温熱源10Cとの間の温度差である上限熱源温度差ΔTmaxを算出すると共に、上述した第4装置及び第5装置と同様にしてその時点における熱源温度差ΔTsを特定し、これらを比較することにより、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断する。従って、第6装置においては、高温側界面温度Tbhそのものを特定すること無く上記判断が実施される。即ち、第6装置によれば、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断するために必要とされる演算処理負荷を軽減することができる。
【0163】
《第7実施形態》
以下、本発明の第7実施形態に係る熱電発電装置(以降、「第7装置」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0164】
〈構成〉
上述したように、第6装置は、低温熱源温度Tcが一定の温度に維持されていることを前提として、ある時点における出力関連値Moutから熱源温度差ΔTsを特定し、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合における熱源温度差である上限熱源温度差ΔTmaxと比較することにより、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断する。即ち、第6装置においては、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断するための指標として、出力関連値Moutから特定される熱源温度差ΔTsが採用されている。
【0165】
ところで、例えば図2及び図4のグラフに示したように、ある時点において検出される出力関連値Mout(即ち、出力電力値Pと出力電流値I及び/又は出力電圧値V)は、その時点における熱源温度差ΔTsに応じた曲線上のプロットに対応する値を有する。また、例えば図3及び図5のグラフに示したように、出力電力値Pと出力電流値Iとの関係を表す曲線及び出力電力値Pと出力電圧値Vとの関係を表す曲線は、熱源温度差ΔTsが大きくなるほど出力電力値Pが大きくなる方向にシフトする。
【0166】
従って、低温熱源温度Tcが一定の温度に維持されている場合、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いときの出力関連値Moutに対応するプロットは、熱源温度差ΔTsが上限熱源温度差ΔTmaxに等しいときの曲線に対して出力電力値Pがより大きい側(当該曲線の外側)に位置する筈である。一方、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも低いときの出力関連値Moutに対応するプロットは、熱源温度差ΔTsが上限熱源温度差ΔTmaxに等しいときの曲線に対して出力電力値Pがより小さい側(当該曲線の内側)に位置する筈である。
【0167】
例えば、図11のグラフにおいて実線によって描かれている曲線は、熱源温度差ΔTsが上限熱源温度差ΔTmaxに等しいとき(即ち、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しいとき)の出力電力値Pと出力電流値Iとの関係を表す曲線(基準曲線CS)である。低温熱源温度Tcが一定の温度に維持されている場合、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも低いときは、熱源温度差ΔTsが上限熱源温度差ΔTmaxよりも小さい。従って、この時点における出力電力値Pと出力電流値Iとの関係を表す曲線は、破線によって描かれている曲線CLのように、基準曲線CSに対して出力電力値Pがより小さい側(基準曲線CSの内側)に存在する。即ち、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも低いときの出力関連値Moutに対応するプロットは、基準曲線CSの内側(斜線部)に存在する筈である。
【0168】
一方、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いときは、熱源温度差ΔTsが上限熱源温度差ΔTmaxよりも大きい。従って、この時点における出力電力値Pと出力電流値Iとの関係を表す曲線は、一点鎖線によって描かれている曲線CHのように、基準曲線CSに対して出力電力値Pがより大きい側(基準曲線CSの外側)に存在する。即ち、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いときの出力関連値Moutに対応するプロットは、基準曲線CSの外側(斜線部よりも出力電力値Pがより大きい側)に存在する筈である。
【0169】
上記のように、ある時点における熱源温度差ΔTsが特定の温度差よりも大きいか否かは、その時点における出力関連値Moutに対応するプロットが、熱源温度差ΔTsが上限熱源温度差ΔTmaxに等しいときの出力電力値Pと出力電流値Iとの関係を表す曲線又は出力電力値Pと出力電圧値Vとの関係を表す曲線(基準曲線)に対して、外側(出力電力値Pがより大きい側)にあるか或いは内側(出力電力値Pがより小さい側)にあるかによって判断することができる。即ち、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断するための指標として、出力関連値Mout(即ち、出力電力値P並びに出力電流値I及び/又は出力電圧値V)を構成する何れかの検出値を採用してもよい。
【0170】
そこで、第7装置は、低温熱源温度Tcが一定の温度に維持されていることを前提として、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合における出力電力値である上限出力電力値Pmaxを特定し、その時点における出力電力値Pと比較することにより、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断する。
【0171】
具体的には、第7装置は、以下の(e)、(h)及び(i)、(m)及び(o)、並びに(q)及び(r)に記載された点を除き、上述した第1装置と同様の構成を有する。尚、以下の(e)は上述した第3装置及び第6装置における(e)と同じであり、以下の(h)及び(i)は上述した第4装置乃至第6装置における(h)及び(i)と同じであり、以下の(m)は上述した第5装置及び第6装置における(m)と同じであり、以下の(o)は上述した第6装置における(o)と同じである。
【0172】
(e)低温熱源10Cに含まれる少なくとも1つの箇所である低温側測温点Dmcの温度である低温側測温点温度Tmcが一定の温度に維持されている。
【0173】
(h)第7装置は、熱電発電モジュール10Mから出力される電力の大きさである出力電力値Pと、熱電発電モジュール10Mから出力される電流の大きさである出力電流値I及び/又は電圧の大きさである出力電圧値Vと、からなる複数の検出値の組である出力関連値Moutを検出する出力検出装置20を更に備える。
【0174】
(i)制御部Ucは、熱源温度差ΔTsと出力関連値Moutとの関係を表すデータである第1特性データを予め格納している。
【0175】
(m)制御部Ucは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合における測温点温度Tmと高温側界面温度Tbhとの差、(熱電発電モジュール10Mを経由して高温熱源10Hから低温熱源10Cへと移動する熱量の流れ方向である)熱流方向における測温点Dmと高温側界面Bhとの間の領域の熱伝導率λbhm及び熱通過面積Abhm、並びに熱流方向における測温点Dmと高温側界面Bhとの距離Lbhmに基づいて、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合において測温点Dmから高温側界面Bhへと移動する熱量の大きさである上限貫通熱量Wmaxを特定するように構成されている。
【0176】
(o)制御部Ucは、上限貫通熱量Wmax、熱源温度差ΔTsが生じている領域の熱伝導率λs及び熱通過面積As、並びに熱源温度差ΔTsが生じている領域の熱流方向における長さLsに基づいて、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合における高温熱源10Hと低温熱源10Cとの間の温度差である上限熱源温度差ΔTmaxを特定するように構成されている。
【0177】
(q)制御部Ucは、熱源温度差ΔTsが上限熱源温度差ΔTmaxに等しく且つ出力電流値I及び/又は出力電圧値Vが出力検出装置20によって検出された出力電流値I及び/又は出力電圧値Vに等しい場合において熱電発電モジュール10Mから出力される電力の大きさである上限出力電力値Pmaxを第1特性データに基づいて特定するように構成されている。
【0178】
(r)制御部Ucは、出力検出装置20によって検出された出力電力値Pが上限出力電力値Pmaxよりも大きい場合、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いと判断するように構成されている。
【0179】
上述したように、上記(e)については第3装置及び第6装置における(e)と同じであり、上記(h)及び(i)については第4装置乃至第6装置における(h)及び(i)と同じであり、上記(m)については第5装置及び第6装置における(m)と同じであり、上記(o)については第6装置における(o)と同じであるので、ここでの改めての説明は割愛するが、上述した(o)に記載されているようにして上限熱源温度差ΔTmaxを特定することができる。
【0180】
更に、制御部Ucは、上述した(q)に記載されているように、上限出力電力値Pmaxを特定するように構成されている。上限出力電力値Pmaxとは、熱源温度差ΔTsが上限熱源温度差ΔTmaxに等しく且つ出力電流値I及び/又は出力電圧値Vが出力検出装置20によって検出された出力電流値I及び/又は出力電圧値Vに等しい場合において熱電発電モジュール10Mから出力される電力の大きさである。また、上限熱源温度差ΔTmaxとは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合における高温熱源10Hと低温熱源10Cとの間の温度差である。即ち、上限出力電力値Pmaxとは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合において、出力電流値I及び/又は出力電圧値Vが出力検出装置20によって検出された出力電流値I及び/又は出力電圧値Vに等しいときに熱電発電モジュール10Mから出力されるであろう出力電力値である。換言すれば、上限出力電力値Pmaxは、出力電流値I及び/又は出力電圧値Vが出力検出装置20によって検出された出力電流値I及び/又は出力電圧値Vに等しい場合において、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しいときに熱電発電モジュール10Mから出力される筈の出力電力値である。
【0181】
上限出力電力値Pmaxは、例えば、以下のようにして特定される。先ず、制御部Uc(が備えるCPU)は、上述した(o)に記載されているようにして特定される上限熱源温度差ΔTmaxに熱源温度差ΔTが等しい場合における出力電流値I及び/又は出力電圧値Vと出力電力値Pとの関係を第1特性データから抽出する。具体的には、例えば、図12に示した基準曲線CSによって表される出力電流値Iと出力電力値Pとの関係が当該関係に該当する。
【0182】
そして、上記のようにして抽出された出力電流値I及び/又は出力電圧値Vと出力電力値Pとの関係に基づいて、出力検出装置20によって検出された出力電流値I及び/又は出力電圧値Vに対応する出力電力値Pを上限出力電力値Pmaxとして特定することができる。具体的には、例えば、図12に示したように、その時点において出力検出装置20によって検出された出力電流値Iaから、基準曲線CSによって表される出力電流値Iと出力電力値Pとの関係に基づいて、出力電流値Iaに対応する出力電力値Paを上限出力電力値Pmaxとして特定する。
【0183】
上記のように、上限出力電力値Pmaxは、出力電流値I及び/又は出力電圧値Vが出力検出装置20によって検出された出力電流値I及び/又は出力電圧値Vに等しい場合において、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しいときに熱電発電モジュール10Mから出力される筈の出力電力値である。しかも、第7装置においては、上記(e)に記載されているように、低温熱源10Cに含まれる少なくとも1つの箇所である低温側測温点Dmcの温度である低温側測温点温度Tmcが一定の温度に維持されている。換言すれば、低温熱源10Cの温度(低温熱源温度Tc)が一定の温度に維持されている。
【0184】
従って、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい(Tbh=Tmax)とき、出力検出装置20によって検出される出力電力値Pは上限出力電力値Pmaxに等しい筈である。また、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも低い(Tbh<Tmax)ときは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい(Tbh=Tmax)ときに比べて熱源温度差ΔTsが小さくなる。従って、このときに出力検出装置20によって検出される出力電力値Pは上限出力電力値Pmaxよりも小さい筈である(対応する出力関連値Moutのプロットは基準曲線CSの内側に存在する筈である)。逆に、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高い(Tbh>Tmax)ときは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい(Tbh=Tmax)ときに比べて熱源温度差ΔTsが大きくなる。従って、このときに出力検出装置20によって検出される出力電力値Pは上限出力電力値Pmaxよりも大きい筈である(対応する出力関連値Moutのプロットは基準曲線CSの外側に存在する筈である)(例えば、図12における白抜きの丸印を参照)。
【0185】
そこで、制御部Ucは、上記(r)に記載されているように、出力検出装置20によって検出された出力電力値Pが上限出力電力値Pmaxよりも大きい場合、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いと判断するように構成されている。
【0186】
〈効果〉
以上のように、第7装置においては低温熱源温度Tcが一定の温度に維持されている。そこで、第7装置は、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合において出力電流値I及び/又は出力電圧値Vが出力検出装置20によって検出された出力電流値I及び/又は出力電圧値Vに等しいときに熱電発電モジュール10Mから出力されるであろう出力電力値である上限出力電力値Pmaxを特定すると共に、上述した第4装置乃至第6装置と同様にしてその時点において熱電発電モジュール10Mから実際に出力されている出力電力値Pを出力検出装置20によって検出し、これらを比較することにより、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断する。従って、第7装置においては、高温側界面温度Tbhそのものを特定すること無く上記判断が実施される。即ち、第7装置によれば、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断するために必要とされる演算処理負荷を軽減することができる。
【0187】
《第8実施形態》
以下、本発明の第8実施形態に係る熱電発電装置(以降、「第8装置」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0188】
〈構成〉
上述したように、第7装置は、低温熱源温度Tcが一定の温度に維持されていることを前提として、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合における出力電力値である上限出力電力値Pmaxを特定すると共に、その時点における出力電力値Pを検出し、これらを比較することにより、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断する。即ち、第7装置においては、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断するための指標として、出力関連値Moutを構成する1つの検出値である出力電力値Pが採用されている。しかしながら、出力関連値Moutを構成する他の検出値(即ち、出力電流値I及び/又は出力電圧値V)を当該指標として採用してもよい。
【0189】
そこで、第8装置は、低温熱源温度Tcが一定の温度に維持されていることを前提として、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合における出力電流値及び/又は出力電圧値である上限出力関連値Mmaxを特定し、その時点における対応する出力関連値Moutと比較することにより、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断する。
【0190】
具体的には、第8装置は、以下の(e)、(h)及び(i)、(m)及び(o)、並びに(s)に記載された点を除き、上述した第1装置と同様の構成を有する。尚、以下の(e)は上述した第3装置、第6装置及び第7装置における(e)と同じであり、以下の(h)及び(i)は上述した第4装置乃至第7装置における(h)及び(i)と同じであり、以下の(m)は上述した第5装置乃至第7装置における(m)と同じであり、以下の(o)は上述した第6装置及び第7装置における(o)と同じである。即ち、第8装置は、上述した(q)及び(r)に代えて以下の(s)に記載された技術的特徴を備える点を除き、上述した第7装置と同様の構成を有する。
【0191】
(e)低温熱源10Cに含まれる少なくとも1つの箇所である低温側測温点Dmcの温度である低温側測温点温度Tmcが一定の温度に維持されている。
【0192】
(h)第7装置は、熱電発電モジュール10Mから出力される電力の大きさである出力電力値Pと、熱電発電モジュール10Mから出力される電流の大きさである出力電流値I及び/又は電圧の大きさである出力電圧値Vと、からなる複数の検出値の組である出力関連値Moutを検出する出力検出装置20を更に備える。
【0193】
(i)制御部Ucは、熱源温度差ΔTsと出力関連値Moutとの関係を表すデータである第1特性データを予め格納している。
【0194】
(m)制御部Ucは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合における測温点温度Tmと高温側界面温度Tbhとの差、(熱電発電モジュール10Mを経由して高温熱源10Hから低温熱源10Cへと移動する熱量の流れ方向である)熱流方向における測温点Dmと高温側界面Bhとの間の領域の熱伝導率λbhm及び熱通過面積Abhm、並びに熱流方向における測温点Dmと高温側界面Bhとの距離Lbhmに基づいて、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合において測温点Dmから高温側界面Bhへと移動する熱量の大きさである上限貫通熱量Wmaxを特定するように構成されている。
【0195】
(o)制御部Ucは、上限貫通熱量Wmax、熱源温度差ΔTsが生じている領域の熱伝導率λs及び熱通過面積As、並びに熱源温度差ΔTsが生じている領域の熱流方向における長さLsに基づいて、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合における高温熱源10Hと低温熱源10Cとの間の温度差である上限熱源温度差ΔTmaxを特定するように構成されている。
【0196】
(s)制御部Ucは、熱源温度差ΔTsが上限熱源温度差ΔTmaxに等しく且つ出力電力値Pが出力検出装置によって検出された出力電力値Pに等しい場合において熱電発電モジュール10Mから出力される出力電流I及び/又は出力電圧Vである上限出力関連値Mmaxが第1特性データに基づいて特定されない場合、或いは、上限出力関連値Mmaxが第1特性データに基づいて特定され且つ出力検出装置20によって検出された出力電流値I及び/又は出力電圧値Vが上限出力関連値Mmaxの何れよりも大きいか若しくは小さい場合、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いと判断するように構成されている。
【0197】
上述したように、上記(e)については第3装置、第6装置及び第7装置における(e)と同じであり、上記(h)及び(i)については第4装置乃至第7装置における(h)及び(i)と同じであり、上記(m)については第5装置乃至第7装置における(m)と同じであり、上記(o)については第6装置及び第7装置における(o)と同じであるので、ここでの改めての説明は割愛するが、上述した(o)に記載されているようにして上限熱源温度差ΔTmaxを特定することができる。
【0198】
更に、制御部Ucは、上述した(s)に記載されているように、上限出力関連値Mmaxが第1特性データに基づいて特定されない場合、或いは、上限出力関連値Mmaxが第1特性データに基づいて特定され且つ出力検出装置20によって検出された出力電流値I及び/又は出力電圧値Vが上限出力関連値Mmaxの何れよりも大きいか若しくは小さい場合、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いと判断するように構成されている。
【0199】
上限出力関連値Mmaxとは、熱源温度差ΔTsが上限熱源温度差ΔTmaxに等しく且つ出力電力値Pが出力検出装置20によって検出された出力電力値Pに等しい場合において熱電発電モジュール10Mから出力されるであろう出力電流値I及び/又は出力電圧値Vである。
【0200】
例えば、図13に示すように、ある時点において出力検出装置20によって検出された出力電力値Paが、熱源温度差ΔTsが上限熱源温度差ΔTmaxに等しいときの最大出力電力値Pp(即ち、臨界出力電力値Pmax)に等しい場合(白抜きの丸印を参照)、熱電発電モジュール10Mから出力されるであろう出力電流値Ia及び/又は出力電圧値Va(図示せず)は1つだけ存在する。第7装置に関して図11を参照しながら説明したように、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いときの出力関連値Moutのプロットは基準曲線CSの外側に存在する。従って、この時点における高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高い場合、上記のようにして特定される1つの上限出力関連値Mmax(即ち、1つの出力電流値Ia及び/又は出力電圧値Va)よりも大きいか又は小さい出力関連値Moutが出力検出装置20によって検出される。換言すれば、上記のようにして特定される1つの上限出力関連値Mmaxよりも大きいか又は小さい出力関連値Moutが出力検出装置20によって検出される場合、この時点における高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いと判断することができる。
【0201】
一方、ある時点において出力検出装置20によって検出された出力電力値Pbが臨界出力電力値Pmaxよりも小さい場合(黒塗りの丸印を参照)、熱電発電モジュール10Mから出力されるであろう出力電流値Ib及び/又は出力電圧値Vb(図示せず)は2つ存在する。上記のように、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いときの出力関連値Moutのプロットは基準曲線CSの外側に存在する。従って、この時点における高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高い場合、上記のようにして特定される2つの上限出力関連値Mmax(即ち、2つの出力電流値Ia及び/又は出力電圧値Va)の何れよりも大きいか又は小さい出力関連値Moutが出力検出装置20によって検出される。換言すれば、上記のようにして特定される2つの上限出力関連値Mmaxの何れよりも大きいか又は小さい出力関連値Moutが出力検出装置20によって検出される場合、この時点における高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いと判断することができる。
【0202】
更に、ある時点において出力検出装置20によって検出された出力電力値Pcが臨界出力電力値Pmaxよりも大きい場合、熱電発電モジュール10Mから出力されるであろう出力電流値及び/又は出力電圧値を第1特性データに基づいて特定することはできない(基準曲線CS上に該当する点は存在しない)。この場合もまた、この時点における高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いと判断することができる。
【0203】
従って、第8装置が備える制御部Ucは、上述したように、以下の2つの場合に、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いと判断するように構成されている。
(I)熱源温度差ΔTsが上限熱源温度差ΔTmaxに等しく且つ出力電力値Pが出力検出装置によって検出された出力電力値Pに等しい場合において熱電発電モジュール10Mから出力される出力電流I及び/又は出力電圧Vである上限出力関連値Mmaxが第1特性データに基づいて特定されない場合、或いは
(II)上限出力関連値Mmaxが第1特性データに基づいて特定され且つ出力検出装置20によって検出された出力電流値I及び/又は出力電圧値Vが上限出力関連値Mmaxの何れよりも大きいか若しくは小さい場合。
【0204】
〈効果〉
以上のように、第8装置においては低温熱源温度Tcが一定の温度に維持されている。そこで、第8装置は、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しい場合において出力電力値Pが出力検出装置20によって検出された出力電力値Pに等しいときに熱電発電モジュール10Mから出力されるであろう出力電流I及び/又は出力電圧Vである上限出力関連値Mmaxに基づき、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断する。従って、第8装置においては、高温側界面温度Tbhそのものを特定すること無く上記判断が実施される。即ち、第8装置によれば、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断するために必要とされる演算処理負荷を軽減することができる。
【0205】
《第9実施形態》
以下、本発明の第9実施形態に係る熱電発電装置(以降、「第9装置」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0206】
〈構成〉
前述したように、本発明に係る熱電発電装置(本発明装置)においては、高温側界面温度Tbhが所定の上限温度Tmax以下であると判断された場合は、出力電力値Pが最大となるように出力調整装置30を制御して出力電流値I及び/又は出力電圧値Vを変更する制御である出力最大化制御を実行するように制御部Ucを構成してもよい。この場合、詳しくは後述するように、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断するための演算処理負荷を更に軽減することができる。
【0207】
そこで、第9装置は、これまで説明してきた第1装置乃至第8装置を始めとする種々の本発明装置の何れか1つの熱電発電装置であって、以下の(t)乃至(w)に記載された特徴を更に備える。
【0208】
(t)制御部Ucは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmax以下であると判断された場合は、出力電力値Pが最大となるように出力調整装置30を制御して出力電流値I及び/又は出力電圧値Vを変更する制御である出力最大化制御を実行するように構成されている。
【0209】
出力最大化制御の具体例としては、上述した「最大電力点追従制御」(MPPT)を挙げることができる。最大電力点追従制御(MPPT)は、例えば、コントローラの電流制御により発電モジュールからの出力電流値Iを徐々に増やし、これに伴って出力電力値Pが増えれば更に出力電流値Iを増やし、逆に出力電力値Pが減れば出力電流値Iを減らすことにより、出力電力値Pを最大化する方法である。
【0210】
(u)制御部Ucは、出力最大化制御の実行時における熱源温度差ΔTsと、出力関連値Moutに含まれる複数の検出値の組のうちの少なくとも1つの検出値である指標検出値Mindexと、の関係を表すデータである第2特性データを第1特性データとして格納している。
【0211】
第2特性データもまた、上述した第1特性データと同様に、第9装置を用いる事前の実験等によって予め求めることができる。また、第2特性データもまた、第1特性データと同様に、制御部が備えるメモリ(ROM)等の記憶装置に格納しておくことができる。
【0212】
第2特性データは、熱源温度差ΔTsと指標検出値Mindexとの関係を表すデータである限り、特に限定されない。例えば、第2特性データは、熱源温度差ΔTsと最大出力電力値Ppと対応する特定の出力電流値Ip又は出力電圧値Vpとの関係を表す1つのデータテーブル又はデータマップであってもよい。或いは、第2特性データは、熱源温度差ΔTsと最大出力電力値Ppと対応する特定の出力電流値Ip又は出力電圧値Vpとの関係を表す1つの関数であってもよい。
【0213】
何れにせよ、出力最大化制御の実行に伴い、それぞれの熱源温度差ΔTsに対応する出力電力値P、出力電流値I及び出力電圧値Vが一意に定まる。従って、それぞれの熱源温度差ΔTsにおいて出力電力値P、出力電流値I及び出力電圧値Vが変化する第1特性データに比べて、第2特性データの情報量が少なく、第2特性データを格納するための記憶媒体の容量を低減することができる。また、熱源温度差ΔTs及び/又は上限熱源温度差ΔTmaxを特定するために必要とされる演算処理を簡素化することができる。
【0214】
(v)制御部Ucは、出力検出装置20によって検出された指標検出値Mindexから第2特性データに基づいて熱源温度差ΔTsを特定するように構成されている。
【0215】
上記のように第9装置においては、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmax以下であると判断された場合、出力最大化制御が実行され、その時々の熱源温度差ΔTsに応じて出力電力値Pが最大となるように出力電流値I及び/又は出力電圧値Vが制御される。換言すれば、それぞれの熱源温度差ΔTsに応じて、図2に示した特定の出力電流値Ip(及び特定の出力電圧値Vp)となるように出力調整装置30が制御され、対応する最大出力電力値Ppが達成される。即ち、それぞれの熱源温度差ΔTsに対応する出力電力値P、出力電流値I及び出力電圧値Vが一意に定まる。
【0216】
従って、第9装置においては、熱電発電モジュール10Mにおける熱源温度差ΔTsと出力電力値P並びに出力電流値I及び/又は出力電圧値Vとの関係を表す第1特性データを参照するまでもなく、出力関連値Moutに含まれる複数の検出値の組のうちの少なくとも1つの検出値である指標検出値Mindexによって熱源温度差ΔTs及び/又は上限熱源温度差ΔTmaxを特定することができる。
【0217】
(w)制御部Ucは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いと判断された場合は、出力最大化制御の実行を停止し、出力調整装置30を制御して出力電流値Iを増大させるか又は出力電圧値Vを減少させるように構成されている。即ち、制御部Ucは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いと判断された場合は、上述したように出力電流値Iを増大させるか又は出力電圧値Vを減少させることにより熱電変換素子10Eの高温側界面温度Tbhを下げる制御ルーチン(冷却制御ルーチン)を実行するように構成されている。
【0218】
〈効果〉
第9装置によれば、上述した種々の本発明装置と同様に、熱電変換素子10Eの高温熱源側界面温度Tbhを迅速且つ効果的に下げることができるので、熱電変換素子10Eの破損を防止しつつ高い発電効率にて熱電発電装置を稼働させることができる。加えて、第9装置においては、上述したように第1特性データに比べて少ないデータ容量を有する第2特性データを用いて冷却制御ルーチンを実行することができる。従って、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断するための演算処理負荷を更に軽減することができる。
【実施例1】
【0219】
ここで、本発明の実施例1に係る熱電発電装置の1つの具体例(以降、「実施例装置101」と称呼される場合がある。)について、図14及び図15等を参照しつつ、以下に詳しく説明する。
【0220】
図14は、本発明装置の1つの具体例としての熱電発電装置(実施例装置101)の構成を示す模式図である。実施例装置101は、熱電発電モジュール10Mと、出力検出装置20と、出力調整装置30と、温度検出装置40と、制御部50と、を備える。
【0221】
熱電発電モジュール10Mは、高温熱源10Hと低温熱源10Cとの間の温度差である熱源温度差ΔTsにより発電する熱電変換素子(図示せず)を含む。熱電変換素子は、前述したように、交互に直列に電気的に接続された複数の異なる2種の熱電半導体によって形成された直列電気回路によって構成され(何れも図示せず)、高温熱源10Hと低温熱源10Cとによって挟持されている。
【0222】
出力検出装置20は、熱電発電モジュール10Mから出力される電力である出力電力の大きさである出力電力値Pと、熱電発電モジュール10Mから出力される電流の大きさである出力電流値I及び/又は電圧の大きさである出力電圧値Vと、を検出する。出力調整装置30は、出力電流値I及び/又は出力電圧値Vを変化させる。温度検出装置40は、高温側界面温度Tbhに相関を有する状態量の値を検出する。制御部50は、出力調整装置30を制御して出力電流値I及び/又は出力電圧値Vを制御する。
【0223】
実施例装置101においては、出力調整装置30としてのDC−DCコンバータ(以降、「DC−DCコンバータ30」と称呼される。)が熱電発電モジュール10Mに接続されている。また、DC−DCコンバータ30は、出力検出装置20及び温度検出装置40をも含み、熱電発電モジュール10Mからの出力電力を昇圧及び平滑化して、バッテリ等の電力供給先(負荷)200に電力を供給する。更に、DC−DCコンバータ30は制御部50としても機能する。
【0224】
低温熱源10Cには2つの熱電対40x及び40yが配設されており、これら2つの熱電対40x及び40yはDC−DCコンバータ30に含まれる温度検出装置40に接続されている。
【0225】
図15は、図14において破線によって囲まれている部分Aの拡大図であり、低温熱源10Cにおける2つの熱電対40x及び40yの配設箇所(即ち、測温点Dm1及びDm2)付近を示している。一方の熱電対40xに対し他方の熱電対40yは高温熱源10Hと低温熱源10Cとが熱電発電モジュール10Mを挟持している方向(即ち、これらの積層方向)に所定の距離だけ離れて配置されている。即ち、温度センサとしての熱電対40x及び40yを備える温度検出装置40は、熱電発電モジュール10Mを経由して高温熱源10Hから低温熱源10Cへと移動する熱量の流れ方向である熱流方向において所定の間隔Lm12だけ離れて位置する2つの測温点である第1測温点Dm1及び第2測温点Dm2の温度である第1測温点温度Tm1及び第2測温点温度Tm2をそれぞれ検出するように構成されている。
【0226】
また、DC−DCコンバータ30が備える記憶装置(図示せず)には、熱電発電モジュール10Mの様々な熱源温度差ΔTs毎の出力電力値VPと出力電流値Iとの関係を示すデータが格納されている。このデータは、前述した熱電発電モジュール10Mにおける熱源温度差ΔTsと出力電力値Pと出力電流値I及び/又は出力電圧値Vとの関係を表すデータである第1特性データに対応する。
【0227】
制御部50としても機能するDC−DCコンバータ30が備える電子制御回路(ECU)を構成するCPUは、メモリ(ROM)に格納されたインストラクション(ルーチン)を実行することにより、以下に説明する処理を実行する。
【0228】
制御部50は、温度センサとしての熱電対40x及び40yによって検出された2つの測温点Dm1及びDm2の温度(第1測温点温度Tm1及び第2測温点温度Tm2)の差、熱流方向における第1測温点Dm1と第2測温点Dm2との間の領域の熱伝導率λm12及び熱通過面積Am12、並びに熱流方向における第1測温点Dm1と第2測温点Dm2との距離Lm12から、前述した式(1)に基づいて、熱電発電モジュール10Mを経由して高温熱源10Hから低温熱源10Cへと移動する熱量の大きさである貫通熱量Wを算出する。そして、制御部50は、第1測温点温度Tm1及び/又は第2測温点温度Tm2、熱流方向における第1測温点Dm1及び/又は第2測温点Dm2と高温側界面Bhとの間の領域の熱伝導率(λbhm1及び/又はλbhm2)及び熱通過面積(Abhm1及び/又はAbhm2)、貫通熱量W、並びに熱流方向における第1測温点Dm1及び/又は第2測温点Dm2と高温側界面Bhとの距離(Lbhm1及び/又はLbhm2)に基づいて、高温側界面温度Tbhを特定する。以上の処理は、上述した図9のフローチャートにおけるステップS10に対応する。
【0229】
次に、上記のようにして特定された高温側界面温度Tbhが所定の上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断する。この処理は、上述した図9のフローチャートにおけるステップS20に対応する。
【0230】
高温側界面温度Tbhが上限温度Tmax以下である場合、制御部50は、上述したように、通常時に実行される制御ルーチン(通常制御ルーチン)に従って出力調整装置30を制御し、出力電流値Iを制御する。この処理は、上述した図9のフローチャートにおけるステップS90に対応する。一方、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高い場合、制御部50は、出力電流値Iを増大させることにより熱電変換素子10Eの高温側界面温度Tbhを下げる制御ルーチン(冷却制御ルーチン)を実行する。この処理は、上述した図9のフローチャートにおけるステップS30に対応する。
【0231】
実施例装置101によれば、DC−DCコンバータ30が備える電子制御回路(ECU)を構成するCPUが上記ルーチンを所定の時間間隔にて繰り返し実行することにより、高温側界面温度Tbhを上限温度Tmax以下に維持して熱電発電素子10Eの破損を防止しつつ高い発電効率にて熱電発電モジュール10Mを稼働させることができる。
【実施例2】
【0232】
ここで、本発明の実施例に係る熱電発電装置のもう1つの具体例(以降、「実施例装置102」と称呼される場合がある。)について、図16及び図17を参照しつつ、以下に詳しく説明する。実施例装置102は、基本的には、上述した実施例装置101と同様の構成を有する熱電発電装置である。
【0233】
但し、実施例装置101においては、上述したように、温度検出装置40を構成する温度センサとして熱電対40x及び40yによって検出された低温熱源10C内の測温点Dm1及びDm2の温度等に基づいて算出される高温側界面温度Tbhと上限温度Tmaxとの比較により、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断する。しかしながら、実施例装置102においては、出力検出装置20によって検出される出力電力値P等に基づいて、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いか否かを判断する。
【0234】
図1のグラフを参照しながら説明したように、実施例装置102においても、例えば熱電変換素子10Eの破損等の問題が生じない限り、熱源温度差ΔTsが大きくなるほど熱電発電モジュール10Mからの出力電力値Pが大きくなる。更に、図2のグラフを参照しながら説明したように、実施例装置102においても、熱電発電モジュール10Mからの出力電力値Pは、特定の電流値Ipにおいて最大値(最大出力電力値Pp)となる。換言すれば、この特定の出力電流Ip未満の領域においては出力電流値Iが大きくなるほど出力電力値Pが大きくなり、この特定の出力電流Ip以上の領域においては出力電流値Iが大きくなるほど出力電力値Pが小さくなる。加えて、図8のグラフを参照しながら説明したように、実施例装置102においても、出力電流値Iを増大させると、それに伴って熱電発電モジュール10Mを構成する熱電変換素子10Eの高温熱源10H側の界面の温度(高温側界面温度Tbh)が低下する。
【0235】
上記のような熱電発電モジュール10Mの特性及び高温側界面温度Tbhの上限(上限温度Tmax)は、熱電発電モジュール10Mを構成する熱電半導体(10N及び10P)の材料及び当該熱電半導体によって形成される熱電変換素子10Eの構成等によって異なる。尚、実施例装置102においては、熱電発電モジュール10Mの上限温度Tmaxは280℃であり、高温側界面温度Tbhが280℃以下である場合、前述した最大電力点追従制御(MPPT)を通常制御ルーチンとして実行するように制御部50が構成されているものとする。また、以下の説明においては、熱電発電モジュール10Mを構成する熱電変換素子10Eの低温熱源10Cの温度(低温熱源温度Tc)は常に30℃において一定の温度に維持されているものとする。
【0236】
ここで、図16及び図17のグラフを参照しながら、実施例装置102において実行される高温側界面温度Tbhの制御について詳しく説明する。図16における実線の曲線は、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmax(280℃)に等しい状態(状態a)における出力電流値Iと出力電力値Pとの関係を示す。上述したように低温熱源温度Tcは30℃において一定であるので、このときの熱源温度差ΔTsは250℃ある。実施例装置102においては、上述したように高温側界面温度Tbhが280℃以下である場合、通常制御ルーチンとしてMPPTが実行される。その結果、出力電流値Iが約3.3A(Imax)となるように調整され、約24W(臨界出力電力値Pmax)の出力電力Paが出力される。この状態aは、図17のグラフ(タイムチャート)における点Aに該当する。
【0237】
一方、図16における破線の曲線は、例えば高温熱源10Hとしての内燃機関からの排気の温度(即ち、高温熱源温度Th)が高負荷運転等の原因により上昇し、図16のグラフにおける矢印F1によって示すように、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmax(280℃)よりも高い温度に到達した状態(状態b)における出力電流値Iと出力電力値Pとの関係を示す。高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高い温度へと上昇したことに伴い界面温度差ΔTsが増大する。その結果、このときの出力電流値Iは上記状態aにおける出力電流Iに等しい(=Imax)にもかかわらず、出力電力値PがPa(即ち、Pmax=約24W)からPb(約32.5W)へと増大している。このように、出力電流値Iが変動しなくとも高温側界面温度Tbhが変動することにより出力電力値Pは変動する。
【0238】
即ち、上記状態bにおける出力電力Pbは臨界出力電力値Pmaxよりも大きい。臨界出力電力値Pmaxは、前述したように、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxに等しいときに得られる最大電力Ppである。従って、ある時点における出力電力値Pが臨界出電力値Pmaxよりも大きいということは、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxよりも高いことを意味する。
【0239】
そこで、出力調整装置30及び制御部50としてのDC−DCコンバータは、上述した冷却制御ルーチンに従い、熱電発電モジュール10Mからの出力電流値Iを増大させる。この例においては、図16のグラフにおける矢印F2によって示すように、出力電流Iを約3.3Aから約7Aへと増大させる(状態c)。
【0240】
上記により、熱電発電モジュール10Mを構成する熱電変換素子10Eの熱伝導率が大きくなり、高温熱源側の界面(高温側界面Bh)から低温熱源側の界面(低温側界面Bc)への熱の移動が促進される。その結果、図17のタイムチャートにおける点Cに示すように、高温側界面温度Tbhが低下し、低温側界面温度Tbcが上昇する。即ち、界面温度差ΔTbが小さくなるので、熱電発電モジュール10Mからの出力電力値PはPc(約22.5W)へと低下する。但し、図17に示すように、高温側界面温度Tbh及び低温側界面温度Tbcの上記変化は熱電変換素子10Eの高温側界面Bhと低温側界面Bcとの間における熱の移動に起因するものであり、高温熱源温度Th及び低温熱源温度Tcには実質的に影響しない。即ち、熱源温度差ΔTsは実質的に変化しない。
【0241】
その後、例えば内燃機関の運転負荷の低下等に起因して排気の温度が低下する等して、高温熱源10Hの温度Thが低下しても、出力電流値Iは状態cにおける大きい値のまま変化せず、熱電変換素子10Eの熱伝導率もまた大きいままである。従って、高温熱源側の界面Bhから低温熱源側の界面Bcへと移動する熱量も大きいままであるので、図17のタイムチャートにおける点Dに示すように、高温側界面温度Tbhが低下し、やがて上限温度Tmax(280℃)よりも低い温度に到達する。その結果、界面温度差ΔTbが更に小さくなり、出力電力値Pも更に小さくなる。
【0242】
上記のようにして高温側界面温度Tbhが上限温度Tmax未満にまで低下したら、制御部50としてのDC−DCコンバータ30は、通常制御ルーチンに従って出力調整装置30を制御し、出力電流値Iを制御する。具体的には、DC−DCコンバータ30は、出力電力値Pが最大となるように出力調整装置としてのDC−DCコンバータ30を制御して出力電流値Iを変更する制御である出力最大化制御(この例においては、最大電力点追従制御(MPPT))を実行するように構成されている。その結果、図17のタイムチャートにおける点Eに示すように、やがて高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxの近傍へと戻り、これに合わせて、図16のグラフにおける矢印F3によって示すように、出力電流値IがImaxへと戻り、出力電力値PがPa(=Pmax)へと戻る。即ち、状態cから状態aへと戻る。
【0243】
以上のように、実施例装置102によれば、出力検出装置20によって検出される熱電発電モジュール10Mからの出力電流値I及び出力電力値Pと制御部50が備える記憶装置に格納された第1特性データとに基づき、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmaxより高いと判断された場合は、出力調整装置30によって出力電流値Iを増大させて熱電発電モジュール10Mの高温熱源10H側の界面の温度(高温側界面温度Tbh)を低下させる冷却制御を実行する。一方、高温側界面温度Tbhが上限温度Tmax以下であると判断された場合は、出力電力値Pが最大となるように出力調整装置30を制御して出力電流値Iを変更する制御である出力最大化制御(この例においては、MPPT)を実行する。
【0244】
上記により、実施例装置102においても、高温側界面温度Tbhを上限温度Tmax以下に維持して熱電発電素子10Eの破損を防止しつつ高い発電効率にて熱電発電モジュール10Mを稼働させることができる。
【0245】
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施形態及び実施例につき、時に添付図面を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施形態及び実施例に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。
【符号の説明】
【0246】
10M…熱電発電モジュール、10E…熱電変換素子、10N及び10P…熱電半導体、10H…高温熱源、10C…低温熱源、11H…支持基板(高温熱源側)、11C…支持基板(低温熱源側)、12H…電極(高温熱源側)、12C…電極(低温熱源側)、20…出力検出装置、30…出力調整装置(DC−DCコンバータ)、40…温度検出装置、40x及び40y…熱電対、50…制御部、100…熱電発電装置(第1装置)、101及び102…熱電発電装置(実施例装置)、並びに200…電力供給先(負荷)。
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