(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるようなシール部材においては、リップ部における耐摩耗性の向上が求められている。リップ部の耐摩耗性を向上させるためには、硬度の高い弾性体を用いてリップ部を形成することが考えられる。
【0005】
しかしながら、硬度の高い弾性体は、その弾性率も高い。そのため、硬度の高い弾性体でリップ部を形成すると、リップ部の弾性率が高くなり、リップ部によるロッドの締め付けが強くなる。その結果、リップ部とロッドとの間の摩擦が増大し、ロッドの円滑な移動が妨げられるおそれがある。
【0006】
本発明は、ロッドの円滑な移動を妨げることなくリップ部の耐摩耗性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、シリンダと、シリンダ内に軸方向に移動可能に挿入されるロッドと、を備える流体圧機器に設けられるシール部材に係る。シール部材は、シリンダに保持されるベース部と、ベース部に設けられるリップ部と、を備え、リップ部は、軸方向に配向された繊維を含む弾性体からなることを特徴とする。
【0008】
第1の発明では、リップ部の弾性体は、繊維によって軸方向に補強される。そのため、径方向及び周方向におけるリップ部の弾性率を低く保ちつつ、軸方向におけるリップ部の弾性率を高めることができる。したがって、リップ部によるロッドの締め付けを強めることなくリップ部の硬度を高めることができる。
【0009】
第2の発明は、繊維がポリテトラフルオロエチレン繊維であることを特徴とする。
【0010】
第2の発明では、繊維がポリテトラフルオロエチレン繊維であり、繊維径が小さく、摩擦係数が小さい。そのため、弾性体から繊維が露出して繊維がロッドに摺接する場合にも、ロッドの摩耗を防止することができるとともにリップ部とロッドとの間における摩擦の増大を防ぐことができる。
【0011】
第3の発明は、弾性体が不飽和構造を持つゴム材であることを特徴とする。
【0012】
第3の発明では、弾性体が不飽和構造を持つゴム材であり、安価である。また、リップ部において繊維が軸方向に配向されており、リップ部によるロッドの締め付けは弱く、リップ部に作用する応力は小さい。そのため、不飽和構造を持つゴム材でリップ部を形成してもリップ部のゴム材とオゾンとの反応を軽減することができる。したがって、シール部材の製造コストを低減しつつリップ部の劣化を軽減することができる。
【0013】
第4の発明は、シール部材と、シリンダと、ロッドと、シリンダに収容される減衰力発生部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
第4の発明では、前述のシール部材によって緩衝器におけるシリンダとロッドとの間が閉塞される。そのため、リップ部とロッドとの間の摩擦を低減することができ、シリンダに対してロッドを円滑に移動させることができる。したがって、リップ部とロッドとの間の摩擦が減衰特性に及ぼす影響を小さくすることができる。また、リップ部の耐摩耗性を向上させることができるので、緩衝器の耐久性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ロッドの円滑な移動を妨げることなくリップ部の耐摩耗性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態に係るシール部材100について説明する。
【0018】
図1は、シール部材100を適用可能な流体圧機器としての緩衝器1の部分断面図である。緩衝器1は、例えば、車両(図示せず)の車体と車軸との間に設けられ、減衰力を発生させて車体の振動を抑制する。
【0019】
緩衝器1は、シリンダ10と、シリンダ10に移動自在に挿入されるロッド20と、ロッド20に連結されるピストン30と、を備える。ピストン30は、シリンダ10に摺動自在に収容され、シリンダ10内を圧側室11aと伸側室11bとに区画する。圧側室11a及び伸側室11bには、作動流体としての作動油が封入される。
【0020】
ピストン30には、圧側室11aと伸側室11bとを連通する圧側通路31a及び伸側通路31bが形成される。圧側通路31a及び伸側通路31bは、それぞれ、ピストン30に設けられる減衰力発生部としての圧側減衰バルブ40a及び伸側減衰バルブ40bにより開閉される。
【0021】
ロッド20は、伸側室11bを通ってシリンダ10から延出する。ロッド20がシリンダ10内に進入することにより緩衝器1は収縮し、ロッド20がシリンダ10から退出することにより緩衝器1は伸長する。
【0022】
緩衝器1が収縮する際には、ピストン30は、圧側室11aを縮小し伸側室11bを拡大する方向に移動する。圧側室11aと伸側室11bとの差圧により圧側減衰バルブ40aは開弁して圧側通路31aを開放し、圧側室11aから作動油が圧側通路31aを通じて伸側室11bに流入する。このとき、作動油の流れに圧側減衰バルブ40aにより抵抗が付与され、緩衝器1は減衰力を発揮する。
【0023】
緩衝器1が伸長する際には、ピストン30は、伸側室11bを縮小し圧側室11aを拡大する方向に移動する。伸側室11bと圧側室11aとの差圧により伸側減衰バルブ40bは開弁して伸側通路31bを開放し、伸側室11bから作動油が伸側通路31bを通じて圧側室11aに流入する。このとき、作動油の流れに伸側減衰バルブ40bにより抵抗が付与され、緩衝器1は減衰力を発揮する。
【0024】
このように、圧側減衰バルブ40a及び伸側減衰バルブ40bは、ロッド20の移動に伴って作動油の流れに抵抗を付与して減衰力を発生する。
【0025】
ロッド20の移動に伴うシリンダ10内の容積変化は、シリンダ10内にフリーピストン50により形成される気室12によって補償される。
【0026】
シリンダ10の内周には、ブッシュ61を介してロッド20を摺動自在に支持するロッドガイド60が設けられる。ロッドガイド60は、シリンダ10の内周に設けられた止め輪62に支持される。
【0027】
シリンダ10の開口端13は、かしめ加工によりシリンダ10の径方向内側に折り曲げられており、開口端13とロッドガイド60との間に、シリンダ10とロッド20との間を閉塞するシール部材100が設けられている。つまり、シール部材100及びロッドガイド60は、シリンダ10の開口端13と止め輪62とにより挟持されてシリンダ10に固定される。
【0028】
図2に示すように、シール部材100は、シリンダ10に保持されるベース部110と、ベース部110に設けられるリップ部としてのオイルリップ部120及びダストリップ部130と、を備える。ベース部110は、環状に形成された金属板であり、ロッド20がベース部110を挿通する。
【0029】
オイルリップ部120は、ベース部110から径方向内側かつロッド20がシリンダ10に進入する方向に突出するように形成され、ロッド20の外周に摺接する。緩衝器1が伸長する際には、ロッド20の外周に付着する作動油はオイルリップ部120により掻き落され、シリンダ10内に残る。つまり、オイルリップ部120は、シリンダ10から作動油が漏出するのを防止する。
【0030】
オイルリップ部120の外周には、環状の溝部121が形成され、溝部121に環状のガータースプリング122が装着されている。ガータースプリング122によって、オイルリップ部120におけるロッド20に対する締め付けが保障される。
【0031】
ダストリップ部130は、ベース部110から径方向内側かつロッド20がシリンダ10から退出する方向に突出するように形成され、ロッド20の外周に摺接する。緩衝器1が収縮する際には、ロッド20の外周に付着する異物はダストリップ部130により掻き落される。つまり、ダストリップ部130は、シリンダ10に異物が進入するのを防止する。なお、オイルリップ部120と同様に、ダストリップ部130の外周にガータースプリングが装着されていてもよい。
【0032】
また、シール部材100は、ベース部110からシリンダ10の内周に沿って軸方向に環状に延びる外周シール部140を有する。外周シール部140は、ベース部110の外周とシリンダ10の内周との隙間を閉塞し、この隙間における作動油の漏出及び異物の進入を防止する。
【0033】
オイルリップ部120、ダストリップ部130及び外周シール部140は、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene:PTFE)からなる繊維150を含む弾性体としてのゴム材で一体的に形成され、加硫接着によりベース部110に接着される。なお、
図2では、オイルリップ部120及びダストリップ部130にのみ繊維150を図示しており、他の部分における繊維150の図示を省略している。
【0034】
繊維150は、オイルリップ部120において、軸方向に配向されている。そのため、オイルリップ部120を形成するゴム材は、繊維150により軸方向に補強される。したがって、径方向及び周方向におけるオイルリップ部120の弾性率は、ゴム材が持つ弾性率と同じになる一方で、軸方向におけるオイルリップ部120の弾性率は、ゴム材が持つ弾性率よりも高くなる。つまり、軸方向におけるオイルリップ部120の弾性率を、径方向及び周方向におけるオイルリップ部120の弾性率よりも高くすることができる。
【0035】
また、硬度と弾性率とは略比例関係にあるため、軸方向におけるオイルリップ部120の弾性率の向上により、オイルリップ部120の内周面に沿う方向における硬度は、ゴム材が持つ硬度よりも高くなる。したがって、ロッド20の摺動に伴うオイルリップ部120の摩耗を軽減することができ、オイルリップ部120の耐摩耗性を向上させることができる。
【0036】
一方で、周方向及び径方向におけるオイルリップ部120の弾性率を低く保つことができるので、オイルリップ部120によるロッド20の締め付けを弱く保つことができる。したがって、オイルリップ部120とロッド20との間の摩擦は増大せず、ロッド20の円滑な移動は妨げられない。
【0037】
このように、シール部材100では、ロッド20の円滑な移動を妨げることなくオイルリップ部120の耐摩耗性を向上させることができる。
【0038】
また、シール部材100では、軸方向におけるオイルリップ部120の弾性率が高いので、ロッド20が移動する際にオイルリップ部120が軸方向に変形するのを軽減することができる。したがって、オイルリップ部120とロッド20との間の油膜が安定する。これにより、オイルリップ部120とロッド20との間の摩擦の変動を軽減することができるとともに、オイルリップ部120とロッド20との間における作動油の収支が安定し作動油が漏出するのを防止することができる。
【0039】
ダストリップ部130においても、繊維150が軸方向に配向されている。そのため、ロッド20の円滑な移動を妨げることなくダストリップ部130の耐摩耗性を向上させることができる。また、ロッド20が移動する際にダストリップ部130が軸方向に変形するのを軽減することができる。したがって、ダストリップ部130とロッド20との間の摩擦の変動を軽減することができるとともに、異物がシリンダ10に進入するのを防止することができる。
【0040】
緩衝器1では、オイルリップ部120及びダストリップ部130とロッド20との間の摩擦を低減することができるので、シリンダ10に対してロッド20を円滑に移動させることができる。したがって、オイルリップ部120及びダストリップ部130とロッド20との間の摩擦が減衰特性に及ぼす影響を小さくすることができる。また、オイルリップ部120及びダストリップ部130の耐摩耗性を向上させることができるので、緩衝器1の耐久性を向上させることができる。
【0041】
ゴム材に含まれる繊維150は、PTFE繊維に限られない。例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維といった他の繊維でもよく、これらの繊維を軸方向に配向することによって、ロッド20の円滑な移動を妨げることなくオイルリップ部120の耐摩耗性を向上させることができる。
【0042】
PTFE繊維は、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維といった繊維と比較して繊維径が小さく、摩擦係数が小さい。そのため、繊維150としてPTFE繊維を用いることによって、ゴム材から繊維150が露出して繊維150がロッド20に摺接する場合にも、ロッド20の摩耗を防止することができるとともにダストリップ部130とロッド20との間における摩擦の増大を防ぐことができる。
【0043】
PTFE繊維の配向は、ゴム材の予備成形時又は成形時に、カレンダーロール機、押出し機、又は射出成型機等を用いることによって可能である。具体的には、繊維化(フィブリル化)可能な純PTFEパウダーをゴム原料に添加して混練分散させる。これにより、PTFEパウダーが繊維化される。PTFE繊維を含むゴム材を、カレンダーロール機、押出し機、又は射出成型機に投入して所定の形に成形することによって、PTFE繊維が配向される。カレンダーロール機を用いる場合には、PTFE繊維は、ゴム材が圧延される方向に配向される。押出し機を用いる場合には、PTFE繊維は、ゴム材が押出される方向に配向される。射出成型機を用いる場合には、PTFE繊維は、ゴム材が射出される方向に配向される。
【0044】
純PTFEパウダーの添加量はゴム原料100重量部に対して0.5重量部以上10重量部以下であることが好ましい。純PTFEパウダーの添加量が0.5重量部未満の場合には、ゴム材が十分に補強されず、10重量部を超える場合には、ゴム材の伸展性が損なわれる。
【0045】
弾性体には、ニトリルゴム(NBR)等の不飽和構造を持つゴム材、水素化ニトリルゴム(HNBR)、フッ素ゴム(FKM)、ウレタンゴム(AU,EU)等の飽和構造を持つゴム材を用いることができる。不飽和構造を持つゴム材は、飽和構造を持つゴム材と比較して安価である。そのため、不飽和構造を持つゴム材でオイルリップ部120及びダストリップ部130を形成することにより、シール部材100の製造コストを低減することができる。
【0046】
ところで、不飽和構造を持つゴム材は、飽和構造を持つゴム材と比較して、応力の作用下において大気中のオゾンと反応して劣化しやすい(耐オゾン性に劣る)。シール部材100のオイルリップ部120及びダストリップ部130では、繊維150が軸方向に配向されオイルリップ部120及びダストリップ部130によるロッド20の締め付けが弱い。そのため、オイルリップ部120及びダストリップ部130に作用する応力は小さく、不飽和構造を持つゴム材を用いたとしても、オゾンとの反応を軽減することができる。したがって、シール部材100の製造コストを低減しつつオイルリップ部120及びダストリップ部130の劣化を軽減することができる。
【0047】
以上の本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0048】
シール部材100では、オイルリップ部120及びダストリップ部130が、軸方向に配向された繊維150を含む弾性体からなる。そのため、径方向及び周方向におけるオイルリップ部120及びダストリップ部130の弾性率を低く保ちつつ、軸方向におけるオイルリップ部120及びダストリップ部130の弾性率を高めることができる。したがって、オイルリップ部120及びダストリップ部130によるロッド20の締め付けを強めることなくオイルリップ部120及びダストリップ部130の硬度を高めることができる。これにより、ロッド20の円滑な移動を妨げることなくオイルリップ部120及びダストリップ部130の耐摩耗性を向上させることができる。
【0049】
また、シール部材100では、繊維150がPTFE繊維であり、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維といった繊維と比較して、その繊維径は小さく、摩擦係数が小さい。そのため、弾性体から繊維150が露出して繊維150がロッド20に摺接する場合にも、ロッド20の摩耗を防止することができるとともにオイルリップ部120及びダストリップ部130とロッド20との間における摩擦の増大を防ぐことができる。
【0050】
また、シール部材100では、弾性体が不飽和構造を持つゴム材であり、安価である。オイルリップ部120及びダストリップ部130において繊維150が軸方向に配向されており、オイルリップ部120及びダストリップ部130によるロッド20の締め付けは弱く、オイルリップ部120及びダストリップ部130に作用する応力は小さい。そのため、不飽和構造を持つゴム材でオイルリップ部120及びダストリップ部130を形成してもオイルリップ部120及びダストリップ部130のゴム材とオゾンとの反応を軽減することができる。したがって、シール部材100の製造コストを低減しつつオイルリップ部120及びダストリップ部130の劣化を軽減することができる。
【0051】
また、緩衝器1では、シール部材100によってシリンダ10とロッド20との間が閉塞される。そのため、オイルリップ部120及びダストリップ部130とロッド20との間の摩擦を低減することができ、シリンダ10に対してロッド20を円滑に移動させることができる。したがって、オイルリップ部120及びダストリップ部130とロッド20との間の摩擦が減衰特性に及ぼす影響を小さくすることができる。また、オイルリップ部120及びダストリップ部130の耐摩耗性を向上させることができるので、緩衝器1の耐久性を向上させることができる。
【0052】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0053】
本実施形態は、シリンダ10と、シリンダ10内に軸方向に移動可能に挿入されるロッド20と、を備える緩衝器1に設けられシリンダ10とロッド20との間を閉塞するシール部材100に係る。シール部材100は、シリンダ10に保持され、ロッド20が挿通するベース部110と、ベース部110に設けられ、ロッド20の外周に摺接するオイルリップ部120及びダストリップ部130と、を備え、オイルリップ部120及びダストリップ部130は、軸方向に配向された繊維150を含む弾性体からなる。
【0054】
この構成では、弾性体は、繊維150によって軸方向に補強される。そのため、径方向及び周方向におけるオイルリップ部120及びダストリップ部130の弾性率を低く保ちつつ、軸方向におけるオイルリップ部120及びダストリップ部130の弾性率を高めることができる。したがって、オイルリップ部120及びダストリップ部130よるロッド20の締め付けを強めることなくオイルリップ部120及びダストリップ部130の硬度を高めることができる。これにより、ロッド20の円滑な移動を妨げることなくオイルリップ部120及びダストリップ部130の耐摩耗性を向上させることができる。
【0055】
また、シール部材100では、繊維150は、PTFE繊維である。
【0056】
この構成では、繊維150がPTFE繊維であり、繊維径が小さく、摩擦係数が小さい。そのため、弾性体から繊維150が露出して繊維150がロッド20に摺接する場合にも、ロッド20の摩耗を防止することができるとともにオイルリップ部120及びダストリップ部130とロッド20との間における摩擦の増大を防ぐことができる。
【0057】
また、シール部材100では、弾性体は、不飽和構造を持つゴム材である。
【0058】
この構成では、弾性体が不飽和構造を持つゴム材であり、安価である。また、オイルリップ部120及びダストリップ部130において繊維150が軸方向に配向されており、オイルリップ部120及びダストリップ部130によるロッド20の締め付けは弱く、オイルリップ部120及びダストリップ部130に作用する応力は小さい。そのため、不飽和構造を持つゴム材でオイルリップ部120及びダストリップ部130を形成してもオイルリップ部120及びダストリップ部130のゴム材とオゾンとの反応を軽減することができる。したがって、シール部材100の製造コストを低減しつつオイルリップ部120及びダストリップ部130の劣化を軽減することができる。
【0059】
また、緩衝器1は、シール部材100と、作動油が封入されるシリンダ10と、シリンダ10に軸方向に移動自在に挿入されるロッド20と、シリンダ10に収容され、ロッド20の移動に伴って作動油の流れに抵抗を付与して減衰力を発生する圧側減衰バルブ40a及び伸側減衰バルブ40bと、を備える。
【0060】
この構成では、シール部材100によってシリンダ10とロッド20との間が閉塞される。そのため、オイルリップ部120及びダストリップ部130とロッド20との間の摩擦を低減することができ、シリンダ10に対してロッド20を円滑に移動させることができる。したがって、オイルリップ部120及びダストリップ部130とロッド20との間の摩擦が減衰特性に及ぼす影響を小さくすることができる。また、オイルリップ部120及びダストリップ部130の耐摩耗性を向上させることができるので、緩衝器1の耐久性を向上させることができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0062】
上記実施形態では、作動流体として、作動油を使用しているが、作動油の代わりに水や水溶液等の非圧縮性流体を使用してもよい。
【0063】
上記実施形態では、緩衝器1として、シリンダ10内に圧側室11a、伸側室11b及び気室12が形成される単筒型緩衝器について説明したが、緩衝器1は、シリンダとしてのインナーチューブの外周にアウターチューブが設けられインナーチューブとアウターチューブの間にリザーバが形成される複筒型緩衝器であってもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、緩衝器1に用いられるシール部材100について説明したが、本発明は、流体圧シリンダ等の流体圧機器に用いられるシール部材にも適用可能である。