【実施例】
【0044】
実施例1:一般的な方法
試薬:以下の抗体はBD Pharmingen由来であった:機能阻害マウス抗ヒトE−セレクチン(68−5411;IgG
1)、ラット抗ヒトCLA(HECA−452;IgM)、マウス抗ヒトPSGL−1(KPL−1;IgG
1)、精製およびFITC結合マウス抗ヒトL−セレクチン(DREG−56;IgG
1)、マウス抗ヒトCXCR4(12G5;IgG
2a)、FITC結合マウス抗ヒトCD18(L130;IgG
1)、マウス抗ヒトCD29(MAR4;IgG
1)、PE結合マウス抗ヒトCD49d(9F10;IgG
1)、マウスIgG
1、κアイソタイプ、マウスIgG
2aアイソタイプ、マウスIgMアイソタイプ、ラットIgGアイソタイプおよびラットIgMアイソタイプ。ラット抗ヒトCD44(Hermes−1;IgG
2a)は、Dr.Brenda Sandmaier(Fred Hutchinson Cancer Research Center;Seattle、WA)から寄贈された。組み換えマウスB−セレクチン/ヒトIgキメラ(E−Ig)およびマウス抗ヒトCD44(2C5;IgG
2a)は、R&D Systems由来であった。マウス抗ヒトsLe
x(KM93;IgM)はCalbiochem由来であった。FITC結合マウス抗ヒトCD11a(25.3;IgG
1)、PE結合マウスIgG
1、κアイソタイプおよびFITC結合マウスIgMアイソタイプは、Coulter−Immunotech由来であった。FITC結合ヤギ抗ラットIgM、FITC結合ヤギ抗マウスIgG、FITC結合ヤギ抗マウスIgM、PE結合ストレプトアビジン、アルカリホスファターゼ(AP)結合抗ラットIgM、抗マウスIg、および抗ヒトIgは、Southern Biotechnology Associates由来であった。V.CholeraeシアリダーゼはRoche由来であった。
【0045】
ヒト細胞:骨髄(BM)細胞は、Brigham & Women’s Hospital/Dana Farber Cancer InstituteおよびMassachusetts General Hospitalにおいて、造血幹細胞移植のために骨髄を提供した健康な個人の採取フィルターから得た。BM単核細胞(BMMNC)を、Ficoll−Paque密度勾配遠心によって採取した。ヒト細胞を、Human Experimentation and Ethics Committees of Partners Cancer Care Institutions[Massachusetts General Hospital、Brigham & Women’s Hospital and Dana Farber Cancer Institute(Boston、MA)]によって許可されたプロトコールに使用した。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を、Brigham & Women’s Hospital’s Pathology Departmentの組織培養コア施設から得て、そして15%のFBS、5ユニット/mlのヘパリン、50μg/mlの内皮増殖因子および1%のペニシリン/ストレプトマイシンを添加したM199で維持した。E−セレクチンの発現を刺激するために、HUVECのコンフルエントな単層を、接着研究において使用する前に、1ng/mlのIL−1β(Research Diagnostics,Inc;Concord、MA)および10ng/mlのTNF−α(Research Diagnostics,Inc.)で、4−6時間前処理した。
【0046】
MSC培養:MSCを、95%空気、5%CO
2雰囲気下で((15)により)、または3%O
2、5%CO
2、92%N
2において((16)により、「MIAMI」細胞)、加湿インキュベーター中で、37℃で維持した。MSCのいずれかの型の培養のために、BMMNCを最初に2×10
5/cm
2の濃度で、選択したロットから10%の胎児ウシ血清(FBS)を添加したDMEM−低グルコース培地にまいた。数日後、非接着細胞を除去し、そして接着細胞を、0.05%のトリプシン/0.5mMのEDTA/HBSS(Invitrogen Corp.)で処理することによって回収し、そして50細胞/cm
2の密度で再びまいた。培地を48から72時間に、そしてその後3または4日ごとに交換した。密度が40%コンフルエントに近づいた場合に細胞を再びまいた。全ての実験に関して、MSCを最初の3継代以内に使用し、そして0.05%のトリプシン/0.5mMのEDTA/HBSSで、37℃で3分以下の間処理することによって回収した。
【0047】
SACK−1 mAbの産生:抗CD44mAbを用いた細胞溶解物のイムノアフィニティークロマトグラフィーによって、HCELLをKG1a細胞から単離した。BALB/cマウスに、接種材料を皮膚および腹腔内部位に50:50で分けて、完全フロイントアジュバント中の純粋HCELL(1:1エマルション)を注射した。不完全フロイントアジュバント中で1:1に希釈し、そして腹腔内に注射した純粋HCELLで、2週間後に追加免疫を行った。10−14日後、5μgのHCELLのIV注射によってマウスを追加免疫し、次いでIV追加免疫の3日後に脾臓を採取した。脾臓細胞をNSO骨髄腫細胞と融合した。最初にハイブリドーマ上清のスクリーニングを、造血細胞系統KG1a(CD44+/HCELL+/HECA452+)、HL60(CD44+/HCELL−/HECA452+)、RPMI8402(CD44+/HCELL−/HECA452−)、JURKATおよびK562(両方ともCD44−/HCELL−/HECA452−)に対して、フローサイトメトリーによって行った。SACK−1mAbを、CD44−細胞系統ではなくKG1aに対する反応性によって、N−グリコシダーゼF(New England Biolabs;N−グリコシダーゼF消化は以前に記載されたように行った(10、12))による消化に感受性の、KG1a細胞に発現するCD44に対する単一特異性のウェスタンブロットの証拠と組み合わせて、「CD44−特異的、炭水化物特異的」として同定した。
【0048】
フローサイトメトリー:細胞のアリコート(2×10
5細胞)を、PBS/2%FBSで洗浄し、そして一次mAbまたはアイソタイプコントロールmAb(未結合または蛍光色素結合のいずれか)とインキュベートした。細胞をPBS/2%FBSで洗浄し、そして間接的免疫蛍光のために、適当な二次蛍光色素結合抗アイソタイプ抗体とインキュベートした。細胞を洗浄した後、FITCまたはPE蛍光強度を、Cytomics FC500MPLフローサイトメーター(Beckman Coulter Inc.、Fullerton、CA)を用いて決定した。
【0049】
ヒトα(1,3)−フコシル基転移酵素VIの組み換え発現および処方:オンラインメタノール検知(Raven Biotech、Vancouver、Canadaによる滅菌可能メタノールセンサー)およびAlitea−ポンプ(Alitea A.B.、Stockholm、Sweden)によるメタノール添加の調節を用いて、ヒトα(1,3)−フコシル基転移酵素VI(FTVI)遺伝子およびS.cerevisiae α因子のN末端シグナル配列を含むPichia pastoris KM71(arg4his4aox1:ARG4)宿主系統を、高度に活性なα(1,3)−フコシル基転移酵素VIの安定した発現および培地への分泌のために使用した。発酵の終了後、ブロスを10℃に冷却し、そしてPichia細胞を、0.2μmの膜を有するPellicon−微量ろ過システムによって分離し、そして続いて、最終的な処方を、10kD−UF−膜(再生セルロース)を有するPellicon−限外ろ過システムを用いて、HBSSによる緩衝液交換によって達成した。
【0050】
ヒトシアル酸転移酵素の組み換え発現および処方:オンラインメタノール検知(Raven Biotech、Vancouver、Canadaによる滅菌可能メタノールセンサー)およびAlitea−ポンプ(Alitea A.B.、Stockholm、Sweden)によるメタノール添加の調節を用いて、ヒトシアル酸転移酵素遺伝子およびS.cerevisiae α因子のN末端シグナル配列を含むPichia pastoris KM71(arg4his4aox1:ARG4)宿主系統を、高度に活性なシアル酸転移酵素の安定した発現および培地への分泌のために使用した。発酵の終了後、ブロスを10℃に冷却し、そしてPichia細胞を、0.2μmの膜を有するPellicon−微量ろ過システムによって分離し、そして続いて、最終的な処方を、10kD−UF−膜(再生セルロース)を有するPellicon−限外ろ過システムを用いて、HBSSによる緩衝液交換によって達成した。
【0051】
ヒト糖転移酵素の組み換え発現および処方:オンラインメタノール検知(Raven Biotech、Vancouver、Canadaによる滅菌可能メタノールセンサー)およびAlitea−ポンプ(Alitea A.B.、Stockholm、Sweden)によるメタノール添加の調節を用いて、ヒト糖転移酵素遺伝子およびS.cerevisiae α因子のN末端シグナル配列を含むPichia pastoris KM71(arg4his4aox1:ARG4)宿主系統を、高度に活性な糖転移酵素の安定した発現および培地への分泌のために使用した。発酵の終了後、ブロスを10℃に冷却し、そしてPichia細胞を、0.2μmの膜を有するPellicon−微量ろ過システムによって分離し、そして続いて、最終的な処方を、10kD−UF−膜(再生セルロース)を有するPellicon−限外ろ過システムを用いて、HBSSによる緩衝液交換によって達成した。
【0052】
ヒトN−アセチルグルコサミン転移酵素の組み換え発現および処方:オンラインメタノール検知(Raven Biotech、Vancouver、Canadaによる滅菌可能メタノールセンサー)およびAlitea−ポンプ(Alitea A.B.、Stockholm、Sweden)によるメタノール添加の調節を用いて、ヒトN−アセチルグルコサミン転移酵素遺伝子およびS.cerevisiae α因子のN末端シグナル配列を含むPichia pastoris KM71(arg4his4aox1:ARG4)宿主系統を、高度に活性なN−アセチルグルコサミン転移酵素の安定した発現および培地への分泌のために使用した。発酵の終了後、ブロスを10℃に冷却し、そしてPichia細胞を、0.2μmの膜を有するPellicon−微量ろ過システムによって分離し、そして続いて、最終的な処方を、10kD−UF−膜(再生セルロース)を有するPellicon−限外ろ過システムを用いて、HBSSによる緩衝液交換によって達成した。
【0053】
FTVIおよびシアリダーゼ処理:コンフルエントな単層または懸濁液中のMSCを、20mMのHEPES、0.1%のヒト血清アルブミンおよび1mMのグアノシン2リン酸(GDP)−フコースを含むHBSS中、60mU/mLのFTVIで、37℃で40分間処理した。インキュベーション後、MSCを、0.2%のBSAおよび20mMのHEPESを含むHBSSで洗浄した。次いで未処理およびFTVI処理MSCを実験に使用した。いくつかの実験において、MSCをまずFTVIで処理し、そして次いでシアリダーゼ処理(100mU/mlのV.Choleraeシアリダーゼ、1時間、37℃)した(「FTVI−シアリダーゼMSC」)。シアリダーゼ処理の効率を、フローサイトメトリーによる、KM93およびHECA452に対する反応性の喪失によって、各例において確認した。
【0054】
シアル酸転移酵素処理:細胞を、60mU/mLのN−シアル酸転移酵素、1mMのCMP−シアル酸で、または緩衝液単独(HBSS、0.1%ヒト血清アルブミン)で、37℃で1時間処理する。インキュベーション後、細胞を、0.2%のBSAおよび20mMのHEPESを含むHBSSで洗浄する。
【0055】
ガラクトシル基転移酵素処理:細胞を、60mU/mLのガラクトシル基転移酵素、1mMのUDP−ガラクトースで、または緩衝液単独(HBSS、0.1%ヒト血清アルブミン)で、37℃で1時間処理する。インキュベーション後、細胞を、0.2%のBSAおよび20mMのHEPESを含むHBSSで洗浄する。
【0056】
N−アセチルグルコサミン転移酵素処理:細胞を、60mU/mLのN−アセチルグルコサミン転移酵素、1mMのUDP−N−アセチルグルコサミンで、または緩衝液単独(HBSS、0.1%ヒト血清アルブミン)で、37℃で1時間処理する。インキュベーション後、細胞を、0.2%のBSAおよび20mMのHEPESを含むHBSSで洗浄する。
【0057】
ウェスタンブロット分析:未処理およびFTVI処理MSCを、緩衝液A(150mMのNaCl、50mMのTris−HCl、pH7.4.1mMのEDTA、20μg/mlのPMSF、0.02%のアジ化ナトリウム、およびプロテアーゼ阻害剤カクテル錠(Roche Molecular Biochemicals))中、2%のNP−40を用いて溶解した。定量したタンパク質溶解物または免疫沈降タンパク質のウェスタンブロットを、以前に記載されたように(10)、還元条件下で行った。
【0058】
免疫沈降研究:未処理またはFTVI処理MSCの細胞溶解物を、免疫沈降抗体または適当なアイソタイプコントロールとインキュベートし、そして次いでプロテインG−アガロースとインキュベートした。免疫沈降物を、2%のNP−40、1%のSDSを含む緩衝液Aを用いて徹底的に洗浄した。いくつかの実験において、免疫沈降物を、以前に記載されたように(10、12)N−グリコシダーゼF(New England Biolabs)で処理した。ウェスタンブロット分析のために、全ての免疫沈降物を、還元サンプル緩衝液で希釈し、沸騰させ、次いでSDS−PAGEにかけ、PVDF膜に転写し、そしてHECA−452、E−Ig、SACK−1、または2C5で免疫染色した(10)。
【0059】
パラレルプレートフローチャンバー接着アッセイ:未処理およびFTVI処理MSCのE−セレクチン結合能力を、パラレルプレートフローチャンバー(Glycotech;Gaithersburg、MD)を用いて評価した。MSC(0.5×10
6細胞/ml、HBSS/10mMのHEPES/2mMのCaCl
2溶液に懸濁)を、コンフルエントなHUVEC単層の上に伸ばした。最初、MSCをHUVECと0.5dyne/cm
2のせん断ストレスで接触させ、続いて0.5から30dyne/cm
2のせん断ストレスを及ぼすように、流速を調整した。HUVEC単層に接着性の未処理またはFTVI処理MSCの数を、0.5、1、2、5、10、20および30dyne/cm
2のせん断ストレスで、最終的に15秒の間隔で定量した。各アッセイを少なくとも3回行い、そして値を平均した。セレクチン結合に必要なCa
2+をキレート化するために5mMのEDTAをアッセイ緩衝液に加えることによって、または接着アッセイで使用する前に、HUVECを機能阻害抗ヒトE−セレクチンmAb(68−5411)で、37℃で15分処理することによって、コントロールアッセイを行った。
【0060】
インビボホーミング:全ての研究を、動物のケアおよび使用に関するNIHのガイドラインに従って、およびInstitutional Animal Care and Use Committees of the Massachusetts General Hospital and the Harvard Medical Schoolの許可の下で行った。生体内顕微鏡検査のために、以前に記載されたように(5)、NOD/SCIDマウスを麻酔し、そして頭皮に小さい切開をして下にある背側頭蓋骨表面を露出した。MSCの4つのグループ(各グループn=4):(1)FTVI処理(上記のように)MSC;(2)緩衝液処理MSC;(3)シアリダーゼで消化した(100mU/ml、V.Choleraeシアリダーゼ、37℃、1時間)FTVI処理MSC;および(4)未処理MSCのそれぞれを分析するために、同腹仔を用いて同じ日に実験を行った。細胞を、蛍光親油性トレーサー色素DiD(10μM、37℃、30分;Molecular Probes)で染色し、そしてNOD/SCIDマウスの尾静脈に注入した。傍矢状領域におけるMSCの骨髄微小血管内皮細胞との相互作用を、以前に記載されたように(5)、ビデオレートイメージングと組み合わせた順次走査および光学切片を用いたインビボ共焦点顕微鏡によって、注射後の異なる時点においてモニターおよび画像化した。骨髄の脈管構造を描写するために、長時間循環蛍光量子ドット(Qtracker800、Invitrogen)を、画像化の直前に全身性に注射した。Qtracker800のストック溶液(2μM)を1:4に希釈し(50μLを150μLのPBS1×と混合する)、そして麻酔マウス尾静脈に注射した。マウス頭蓋骨骨髄のインビボ共焦点顕微鏡検査を、以前に記載されたように(5)行った。DiD標識細胞を、633nmの固体レーザーで励起し、そして695nmで中心に置いた45nmのバンドパスフィルターで画像化し、一方量子ドットを固体Nd:YAGレーザーで532nmにおいて励起し、そして770nmのロングパスフィルターで画像化した。
【0061】
実施例2:ヒト間葉系幹細胞は、CD44のN−結合シアル化グリコフォームを発現し、そしてセレクチンに結合しない
骨髄は、2つの幹細胞の集団、造血幹細胞および間葉系幹細胞(MSC)を含む。MSCは、正常骨髄内に存在する細胞の小集団を表すが、それらを単離および培養中で増殖させ得る。MSCは特徴的にCD44および造血細胞において見出されるいくつかの他の接着分子を発現する(14)。しかし、これらの原始的非造血細胞が、セレクチンリガンドを発現しているかどうかは不明である。このデータの不足、およびHCELLは最も初期の造血細胞(CD34+/lin−細胞)にのみ発現するという発見(10、11)が、MSCがセレクチンに結合し得る、CD44上の同様の炭水化物修飾を示すかどうかを調査するよう私たちを刺激した。
【0062】
MSCを、2つの確立された、公開されたプロトコール(15、16)に従って、ヒト骨髄から培養した。両方の方法を用いて得られたMSCは、以前に記載されたように(15、16)、脂肪細胞、骨細胞、および線維芽細胞分化に向けて、多分化能の分化をし得た。プロトコールに関わらず、MSCは、測定された細胞表面マーカーのいずれにおいても、または酵素的処理に対する反応においても、有意な差は示さなかった。フローサイトメトリー(
図1c)によって、MSCはPSGL−1、またはセレクチンリガンドとして作用し得るシアロフコシル化決定基を欠いていた:特に、フローサイトメトリーおよびウェスタンブロットの両方によって、細胞はmAbKM93またはHECA452(これらはそれぞれシアリルルイスXを同定する)、およびE−Igに対する反応性を欠いていた(
図1c、2a、および2b)。さらに、両方の型のMSCは、LFA−1(CD11a/CD18)を欠いていたが、別のインテグリン、VLA−4(CD49d/CD29)を発現していた(
図1c)。VLA−4は、血管内皮における回転相互作用および安定した接着を媒介し得るが(17)、これらの接着機能はどちらも、通常SDF−1/CXCR4経路によって媒介される「インサイドアウト」活性化を必要とする(18)。重要なことに、プレートにおける、およびフローサイトメトリーによる接着MSCの免疫蛍光染色の分析は、CXCR4の発現を示さず(
図1c)、そして予想通り、MSCは静的または流れに基づくアッセイのいずれにおいても、SDF−1に反応して移動しなかった(示していない)。
【0063】
CD44の発現は、多くのドナーから単離された全てのMSCで高かった(
図1c)。顕著に、SACK−1反応性も、全てのドナー由来の全てのMSCで高く(
図1c)、これらの細胞は一様にCD44のN−結合、シアル酸付加グリコフォームを発現していることを示す。もともとセレクチンリガンドを欠くが、シアル酸付加CD44アクセプターが存在するので、MSCは、HCELL発現が骨髄への細胞輸送にどのように影響するか調べるために理想的な細胞型であった。
【0064】
実施例3:間葉系幹細胞のエキソビボフコシル化はHCELLの発現を引き起こす
HCELL発現を強制するために、MSCをエキソビボでα(1,3)−フコシル基転移酵素、フコシル基転移酵素VI(FTVI)で処理した。全てのドナーから培養した全てのMSCにおいて、強制フコシル化は、mAb HECA452およびKM93による著明な染色を引き起こし、シアリルルイスXエピトープの発現と一致していた(
図2a)。細胞溶解物およびFTVI処理MSC由来の免疫沈降CD44のウェスタンブロットは、HECA452によって認識される必要なシアロフコシル化を有する唯一の糖タンパク質がCD44であることを明らかにした(
図2bおよび2c)。さらに、フローサイトメトリーによって、フコシル化MSCはE−Igに結合しており、そして細胞溶解物のウェスタンブロット分析は、E−Ig結合を支持する唯一の糖タンパク質がCD44であることを示した(
図2)。関連するHCELLのシアロフコシル化は、N−グリコシダーゼFによる消化後のE−Ig結合の抑止によって示されるように、N−グリカン上に示された(
図2c)。
【0065】
生理学的な血流条件下で、FTVI処理MSCのE−セレクチンリガンド活性を分析するために、E−セレクチンを発現するようサイトカインで刺激したヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いて、パラレルプレートフローチャンバー研究を行った。
図3に示すように、FTVI処理MSCは、著明なE−セレクチンリガンド活性を示し、それはEDTAの存在下で、およびMSCをシアリダーゼで処理することによって完全に抑止された。もともとHCELLを発現する細胞の以前の研究と一致して、通常の後毛細管細静脈せん断レベル(1−4dyne/cm
2)で、確固としたせん断抵抗相互作用が観察され、PSGL−1がE−セレクチン結合を支持し得る範囲をはるかに超えて、20dyne/cm
2より上において持続した(10)。これらのデータは、MSC表面のフコシル化によって産生されたHCELLは、KG1a細胞およびヒト造血前駆細胞の表面にもともと示されるものと機能的に同様であることを示した(10、11)。
【0066】
実施例4:HCELLの発現は、インビボでMSCの骨髄へのホーミングを増強した
HCELLの発現がインビボでMSCの骨髄へのホーミングを増強するかどうかを決定するために、我々はダイナミックリアルタイム共焦点顕微鏡を採用して、生存免疫欠損マウス(NOD/SCID)宿主の頭蓋冠の骨髄類洞血管を可視化した(5)。4つのグループの細胞を、それぞれの宿主の尾静脈に注射した:(1)FTVI処理MSC、(2)シアリダーゼで消化したFTVI処理MSC(「FTVI−シアリダーゼMSC」)、(3)緩衝液処理MSC、および(4)未処理MSC。インビボ顕微鏡研究は、FTVI処理、HCELL発現MSCは、骨髄類洞血管を直接回転し、そして注入から数時間以内に、骨髄実質に迅速に浸潤したことを示した(
図4)。対照的に、未処理MSCおよび緩衝液処理MSCは、類洞内皮と最低限の結合相互作用を示し、そして中程度の浸潤のみを示し、一方FTVI−シアリダーゼMSCは、典型的にはさらに低いレベルの内皮相互作用および骨髄浸潤を示した(
図4)。後者の発見は、ホーミングにおけるHCELLの決定的な役割を強調し、そしてまたFTVI処理後の骨髄指向性は、フコシル化それ自体または他の接着分子の間接的な影響の結果ではなく、(2,3)シアル酸の発現およびα(1,3)フコース修飾を同時に必要とする、誘導されたセレクチンリガンド活性の結果のみであることを示す。MSCおよび血管の同時染色によって得られた画像は、HCELL+MSCが骨髄実質に浸潤したことを明らかに示す(
図4)。本明細書中の研究は、骨髄輸送を促進する類洞リガンドの発現を著しく増強する、レシピエント動物の照射または他の予備操作の使用によるような、損傷を誘発せずに行われたことを考えると、観察された骨髄浸潤は印象的である(27)。まとめると、これらのデータは、HCELL発現はMSCの骨髄へのホーミングを直接的に増強するという決定的な証拠を提供する。
【0067】
基準の多段階パラダイムにおいて、内皮におけるホーミング受容体による回転相互作用は、安定した接着、続く遊出を引き起こす、インテグリン接着のG−タンパク質共役アップレギュレーションに決定的であると考えられる、ケモカインへの接触を促進する(3)。特に、本明細書中で使用したMSCは、CXCR4を有さない、または骨髄ホーミングを調節する主なケモカインであるSDF−1への走化性がない(4、5)。従って、これらの細胞の骨髄へ浸潤する能力は、CXCR4の関与は、骨髄輸送に必須ではないことを示す。しかし、第1段階の相互作用は、細胞のあらゆる組織への輸送のために不可欠であり、そしてここで示したように、E−セレクチンリガンド活性の増強は、骨髄ホーミングを促進する。より広い観点から、我々の発見は、安定した接着および内皮を超える移動を伴うインテグリン接着を誘発するために、ホーミング受容体の関与は単独で(すなわちケモカインシグナル伝達の非存在下で)十分であり得ることを示す、増加する実験的証拠と一致する(1)。特に、リンパ球上のCD44それ自身のライゲーションが、ケモカインの関与なしで遊出を引き起こす、VLA−4接着の直接的な、相乗的アップレギュレーションを引き起こすことが発見された(28)。この軸が他の細胞型で作用するどうかを決定するためには将来の研究が必要であるが、MSCが特徴的にVLA−4を発現するという事実(
図1c)は、この可能性を高める。
【0068】
実施例5:神経幹細胞のインビボフコシル化
神経幹細胞を、60mU/mLのFT−VI、1mMのGDP−フコースで、または緩衝液単独(HBSS、0.1%ヒト血清アルブミン)で、37℃で1時間処理した。細胞を、2%のNP−40を含む緩衝液中で溶解した。タンパク質を、変性条件下で4−20%Tris−HCl勾配ゲルで分離し、そしてPVDF膜に転写した。膜をHECA452抗体でイムノブロッティングした。できたブロットは、強制フコシル化後、多くのタンパク質上のHECA452反応性エピトープの発現を示す。FT−VI処理神経幹細胞をまた、フローサイトメトリーを用いてHECA452反応性に関して分析した。FT−VI細胞を、10μg/mLのHECA452または10μg/mLのラットIgMアイソタイプコントロールと、4℃で30分間、そして続いて20μg/mLの抗ラットIgM−FITCと、4℃で30分間インキュベートした。フローサイトメトリーの結果は、強制フコシル化後、細胞表面のHECA452エピトープ発現の増加を示す。
【0069】
実施例6:肺幹細胞のインビボフコシル化
肺幹細胞を、60mU/mLのFt−VI、1mMのGDP−フコースで、または緩衝液単独(HBSS、0.1%ヒト血清アルブミン)で、37℃で1時間処理した。細胞を、10μg/mLのHECA452または10μg/mLのラットIgMアイソタイプコントロールと、4℃で30分間、そして続いて20μg/mLの抗ラットIgM−FITCと、4℃で30分間インキュベートした。フローサイトメトリーの結果は、強制フコシル化後、細胞表面のHECA452エピトープ発現の増加を示す。