(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
強制換羽による産卵廃鶏の皮剥ぎ胸肉(以下、「鶏の皮剥ぎ胸肉」と記載する。)をエタノール抽出法で処理して、少なくともジアシルグリセロリン脂質及びスフィンゴミエリンを含有し、且つ、乾燥質量換算で10質量%以上のエタノールアミン型プラズマローゲン(〔PL−PE〕と記載する。)及びコリン型プラズマローゲン(〔PL−PC〕と記載する。)を含有する複合脂質(以下、「食用複合脂質」と言う。)を調製し、
前記食用複合脂質をホスホリパーゼA1(PLA1)で酵素処理してジアシルグリセロリン脂質を遊離脂肪酸とリゾリン脂質に分解し、これらを除去して、コリン型〔PL−PC〕>エタノールアミン型〔PL−PE〕である、前記鶏の皮剥ぎ胸肉由来プラズマローゲン組成物であって、エタノールアミン型及びコリン型プラズマローゲン含有量が乾燥質量換算で20質量%から50質量%の食用プラズマローゲン(以下、「PLs」と言う。)を調製し、
前記PLsと食用複合脂質とを適宜に混合して、前記PLs及び食用複合脂質の双方を含む食用プラズマローゲン組成物(以下、「食用PLs組成物」と言う。)を調合し、
前記食用PLs組成物を、その質量の100〜200質量倍のδ−トコフェロール中に均一に混合したソフトカプセル用又は食材用原液(以下、「食用PLs組成物−δ−トコフェロール原液」と言う。)を調合し、
前記食用PLs組成物−δ−トコフェロール原液を含有してなる、前記食用PLs組成物と、その質量の100〜200質量倍のδ−トコフェロールを基剤として含む、健常被験者の言語と状況に関連した物忘れがないようにするための食品組成物。
【背景技術】
【0002】
近年、神経変性疾患及び精神疾患の治療及び/又は発症抑制並びに予防剤として、プラズマローゲンが注目を集めて来ている(例えば、[特許文献1])。プラズマローゲンは、生体内常在型の特殊なリン脂質で、SN−1にビニルエーテル結合を持ち、それ故に、還元性を示す特異性を有している。このプラズマローゲンは、特異的でありながら、生体内全リン脂質の18質量%を占め、その含有量からは、寧ろ汎用性リン脂質の1種と言っても過言ではない。
【0003】
このプラズマローゲンは、機能的には、生体内で重要な還元作用を発揮する点で特殊でありながら、量的には、その存在位置が生体内では重要な膜に局在化し、各種の膜の酸化損耗を直接的に防御していることもあって、汎用性を有しているばかりか、特に脳内において多面的な機能を発現していることが明らかにされるに至って、一層注目を集めることになっている。しかるに、プラズマローゲンは、その分子構造面から明らかな様に、還元性の裏返しで酸化され易く(ラジカルスカベンジャー性、ラジカル捕捉感受性が高い)且つ酸性下で水和による加水分解性が高い(リン脂質のリゾ体と脂肪族アルデヒドに分解)。これが、プラズマローゲンの実用的な有機合成を阻んでいる原因の一つと考えられる。
【0004】
現在は、プラズマローゲンは、専ら生体組織からの抽出精製に頼っている(例えば、[特許文献2]、[特許文献3]、[特許文献4]等)。生体内においては、その重要性に鑑みて、合目的な各種の仕組みによって安定化が図られていると共に、生合成系、即ち、小胞体のペルオキシソームからの産生によって補給されている。
【0005】
プラズマローゲンの抽出用原料としては、家禽、特に産卵(採卵とも言う)成鶏が主流であるが(例えば、[特許文献1],[特許文献2],[特許文献3],[特許文献4]等)、魚介類由来のホヤの内臓([特許文献5]など)や養殖ホタテの内臓類(例えば、[特許文献6])が使用され始めている。養殖二枚貝にあっては、環境中から蓄積されるその貝毒、特にカドミウムに対する懸念(安全性に対する危惧)が払拭し切れない。
【0006】
安全で安価で安定なプラズマローゲンを得る方法は、生体代謝を経るのが最も合理的と判断される。その際の該生体の選定が肝心となる。既に、DHA鶏卵の実用化実績を有する産卵成鶏、就中、産卵鶏の廃鶏(産卵効率の低下で間引かれる産卵鶏)、より好適には強制換羽(短期断食で脱落羽毛を再生させて産卵効率を向上させる養鶏法)による産卵廃鶏が例示される。なお、産卵鶏は、文字通り、鶏卵の作出が目的の家禽で、同じ鶏でも採肉目的のブロイラーとは別異な家禽である。その鶏卵の流通の都合から、産卵養鶏は、ブロイラー(1千万羽〜数千万羽)に比べ概ね1/10見当の規模であると共に、消費地の近傍周辺部で飼養される。
【0007】
通常、この産卵養鶏では、一羽当たり年間300個以上の産卵量であるが、産卵効率が落ちる日齢が700日程度で廃鶏として間引かれて、養鶏場の近傍に位置する半官半民の専用の廃鶏処理センター(全国に40箇所程度存在し、数百万羽〜1千数百万羽の処理能力)で、屠殺解体採肉処理される。処理製品は食用に供されるが、一部を除くと、大部分はミンチ等の形態で加工用廉価鶏肉原料として流通される。産卵養鶏は、バルク輸入冷凍鶏肉との価格競争にあって、廉価販売を余儀なくされて来たが、近年の消費者の安全性志向に後押しされ、国産鶏肉として付加価値が付き、価格は上昇傾向にあるものの、経済的には採肉専用種の数千万羽による垂直統合化養鶏に太刀打ちできず、品質上も僅か50日齢という幼鳥(若鶏)の食感食味には対抗できず、産卵養鶏業の事業採算は低迷状態が続いている。
【0008】
上記の状況において、特筆すべきは、産卵廃鶏の年間発生平均羽数が9千万羽に上っていること、且つその養鶏場渡し価格が、概ね、例えば、0円評価で、格安であることである。更に、その発生の集積度が高く、且つ廃鶏処理センターまで活鶏として搬入され、ブロイラー並みの高鮮度処理製品が得られることが挙げられる。
【0009】
本発明は、世界的汎用性の難病とされ、その根治を目指すサミット([非特許文献1])まで開催される世界的喫緊な難題とされているアルツハイマー病(以下、「AD」と言うことがある。)を含む認知症の征圧に一石を投じることを意図している。最近になって、AD、パーキンソン病、筋委縮性側索硬化症(以下、「ALS」と言うことがある。)、多発性硬化症等の慢性神経変性疾患の大部分、あるいは脳卒中や頭部外傷などの急性脳損傷においても、中枢神経(脳、脊髄等)の慢性炎症を伴うことが明らかになってきている。
【0010】
そして、これらの疾病が、中枢炎症によって引き起こされ、進行するのではないかという可能性も考えられている([非特許文献2])。例えば、中枢神経系炎症がアルツハイマー病等の神経変性疾患を発症させることや、病気を進行させる可能性があることが報告されている(例えば、[非特許文献2])。また、炎症を引き起こす物質であるLPS(リポポリサッカライド)の腹腔内投与により作出した記憶障害モデルラットを解析した結果、脳にAβ(アミロイドβ)ペプチドの蓄積が見られたこと、抗炎症剤であるsulindac sulfide により症状が回復したこと、が報告されている([非特許文献3])。更に、中枢神経系炎症は、うつ病や自閉症等の精神疾患や発達障害、更には、正常な老化過程においても、高率に認められることも明らかとなって来ている。
【0011】
以上のことから、中枢神経系炎症及び関連する、神経細胞死([非特許文献4])、神経細胞新生阻害([特許文献2])及びAβ脳内蓄積を予防又は治療することにより、感染性の炎症によって神経細胞が損傷され神経障害を生じるのを防止し、あるいは、アルツハイマー病、パーキンソン病等の神経変性疾患の治療、又は統合失調症、うつ病、自閉症等の精神疾患や発達障害の治療を行うことができると期待されている([非特許文献3])。このような現況のもと、中枢神経系炎症等を効果的且つ副作用なく治療できる方法が以前にも増して望まれている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、安全・安価なプラズマローゲン、そのヒトに対する認知機能性改善作用の検討と認知機能改善用食品の開発に関するものである。
【0023】
プラズマローゲンは、エーテルリン脂質の一種で、SN−1にビニルエーテル結合を介した長鎖アルケニル基を有するグリセロリン脂質で、生体内リン脂質の18質量%を占める汎用型でありながら、強い還元性を有する特殊なリン脂質の総称である。この特殊性が、プラズマローゲンに顕著な酸化分解性と加水分解性を付与することとなり、実用化に際しては、典型的な“二律背反”性事象であるため、その合理的打破の方策が求められる。本発明者らは、当該“二律背反”性事象を、合理的に、即ち、“角を矯めて牛を殺す”方式を避けて、プラズマローゲンの本来的な機能性を最大限に活かしつつ、安全に安定化を図ることに成功し、本発明を確立した。
【0024】
本発明に用いるプラズマローゲンの原料としては、鶏肉(特に、胸肉)、鶏皮、内臓(特に、腸、卵巣卵管金冠、砂肝)、卵、ガラ(ミンチ調製副生物)、羽毛等を用いるのが好適である。発生量が多く食経験も長い皮剥ぎ胸肉が特に好適である。
【0025】
本発明では、生体組織から抽出されたプラズマローゲンとして、鶏組織(特に、胸肉)から抽出されたプラズマローゲンを用いることが特に好ましい。中でも、従来から食用とされて来た鶏は、安全性が確認されており、安定供給もし易いため、好適である。生体組織からプラズマローゲンを抽出する方法としては、プラズマローゲンが抽出(及び必要に応じて精製)できる限り特に制限されないが、簡便さ及びコスト等の点から、次に述べる様にして抽出及び精製することが好ましい。また、当該抽出及び精製方法によれば、ジアシル型グリセロリン脂質を分解・除去できるため、プラズマローゲンの純度をより一層高めることができる点で、好ましい。
【0026】
プラズマローゲンの抽出及び精製の工程としては、具体的には、例えば、以下の1)〜2)の工程が挙げられる。
1)生体組織からから総脂質画分(含、低分子量水溶性画分)と蛋白質画分及び中性脂質画分の3相に抽出分別する工程。
具体的には、以下の1)〜5)の工程が例示される。
(1)生組織をミンチ化して緩慢凍結させる工程、
(2)凍結ミンチを強制解凍後圧搾脱水後に“過加熱水”(アクアガス
RTM;[特許文献6]、[特許文献7]、[特許文献8]、[特許文献9])で高速調理殺菌し真空高速冷却(無酸素雰囲気下の冷却脱水)する工程、
(3)上記脱水処理後、3倍(V/W)量の脱気(脱酸素)エタノールを加えて、密封無酸素的雰囲気下で12時間緩慢撹拌して抽出を行う工程、
(4)上記を繰り返す工程、
(5)エタノールを合体後、無酸素雰囲気中でエタノール分を留去後、遠心して水層(水溶性低分子量画分)を分別して総脂質画分を得る工程。
2)複合脂質画分に酵素を加えてSN−1結合脂肪酸を加水分解し、混在するジアシルグリセロリン脂質をリゾ体に変換すると共に副生脂肪酸と共に親水系溶媒で抽出分別して、プラズマローゲンを精製する工程。
【0027】
抽出は、有機溶媒(例えば、エタノール、アセトン、ヘキサン等及びこれらから成る群より選択された少なくとも2種以上の混合溶媒等の食品適性を有するもの)あるいは含水有機溶媒による抽出を行うことが好ましい。また、抽出に供される鶏組織は、好適には、上記(1)及び(2)の工程で処理する方法が例示される。即ち、後工程のエタノールによる3相分別において用いるエタノール量をできるだけ少なくするために、生組織から無酸素雰囲気下低温・短時間でできるだけ脱油と脱水を行うことが求められる。
【0028】
抽出処理条件については、含有プラズマローゲンの酸化分解と加水分解を最少化するために、密封下無酸素的雰囲気中で低温での短時間撹拌処理することである。好適な一例として、前記した前処理(1)及び(2)で処理済みの産卵成鶏の胸肉にエタノールを加えて、30℃以上50℃以下で180分以上、静置又は緩慢撹拌を行う方法が例示される。当該胸肉1kgに対して、予め脱気(脱酸素)処理済みのエタノールを2〜4Lを加えて、密封下静置又は緩慢撹拌を行う。
【0029】
3相に分別された内で、含水エタノール相は、エタノールを蒸発濃縮して、水層を分離した後、予め脱気処理済みヘキサンを加えて、リン脂質画分を抽出する。分離した水層とヘキサン不溶層を合わせて脱気水を加えて、4℃に静置後、低温下で遠心分離して不溶部を除去して、これを凍結乾燥して、低分子水溶性画分12gを得る。他方、ヘキサン溶液を、常法によって蒸発乾固して、複合脂質画分5.4gが得られる。
【0030】
当該リン脂質画分を酵素加水分解処理工程に供し、ジアシル型リン脂質を加水分解して、プラズマローゲンを好ましく濃縮することができる。このような加水分解処理としては、例えば、ホスホリパーゼA1(以下、「PLA1」と言う。)による酵素処理が挙げられる([特許文献4])。PLA1で処理すれば、混在するジアシル型グリセロリン脂質は、遊離脂肪酸とリゾリン脂質に分解され、これらをアセトン及びヘキサンで抽出分配すれば、プラズマローゲンを精製することができる。遊離脂肪酸及びリゾリン脂質の除去は、例えば、アセトン及びヘキサンを用いた分配によって行うことができる。
【0031】
PLA1は、上記の効果が得られるものであれば、その由来等は特に制限されないが、例えば、アスペルギュース・オリゼ由来のPLA1が挙げられる。該PLA1は、例えば、三菱化学フーズ(株)等から購入可能である。その使用量は、得られる複合脂質量に応じて適宜に設定することができる。好ましくは、0.2〜200unit/複合脂質1mgを使用でき、更に好ましくは、2〜200unit/複合脂質1mgを使用できる。なお、1unitは、1分間当たり1μmolの基質(複合脂質)を変化させる量であり、1μmol/minを意味する。
【0032】
用いるバッファーも、PLA1に応じて適宜に選択できる。例えば、0.1Mクエン酸−塩酸バッファー(pH4.5)を、複合脂質1g当たり1〜30ml、好ましくは5〜15mlに複合脂質1gを溶解させ、所定量のPLA1を加えて、用いることができる。反応条件は、脱気済みのバッファーを用いて窒素ガス雰囲気中で、できるだけ短時間、好ましくは1時間、温度もできるだけ低温下、好ましくは50℃を上限として、撹拌して酵素反応を行う。
【0033】
加温による酵素失活処理は避けて、反応終了後、直ちに室温まで冷却後、予め脱気処理済みのヘキサンを反応液の2〜3倍量を加えて遠心処理して上層のヘキサン層を回収することで、酵素バッファーと酵素蛋白質を除去する。該ヘキサン溶液をアセトン及び水を適宜に加えて分配を行い、更に、水又は水溶液により溶液分配することで、リゾリン脂質を除去してプラズマローゲンを精製する。即ち、アセトンによりリン脂質以外の中性脂質を除去し、水系溶液分配によりプラズマローゲンとリゾリン脂質を分離する。この様にして得られた生体組織由来のプラズマローゲンは、好ましくは、本発明の認知機能改善用の当該認知機能障害の緩和と予防用のサプリメントの有効成分として用いることができる。
【0034】
生体組織由来の複合脂質及びプラズマローゲンのリン脂質とその組成比には、生体組織による特有の特性が存在する。以下に、産卵成鶏の皮剥ぎ胸肉と、対比用として皮、砂肝、腸、ガラ及び金冠を例示する。
1.胸肉
(1)プラズマローゲン;[エタノールアミン型]:[コリン型]=1:[0.5〜5]
(2)ジアシルグリセロリン脂質;[エタノールアミン型]:[コリン型]=1:[2〜10]
(3)[エーテルグリセロリン脂質]:[ジアシルグリセロリン脂質]=1:[0.5〜5]
(4)[総グリセロリン脂質]:[総スフィンゴミエリン]=[5〜50]:1
【0035】
2.対比用
1)皮
(1)プラズマローゲン;[エタノールアミン型]:[コリン型]=[1〜10]:1
(2)ジアシルグリセロリン脂質;[エタノールアミン型]:[コリン型]=1:[1.5〜15]
(3)[エーテルグリセロリン脂質]:[ジアシルグリセロリン脂質]=1:[0.5〜5]
(4)[総グリセロリン脂質]:[総スフィンゴミエリン]=[1.5〜10]:1
【0036】
2)砂肝
(1)プラズマローゲン;[エタノールアミン型]:[コリン型]=[2〜15]:1
(2)ジアシルグリセロリン脂質;[エタノールアミン型]:[コリン型]=1:[1〜10]
(3)[エーテルグリセロリン脂質]:[ジアシルグリセロリン脂質]=1:[0.5〜6]
(4)[総グリセロリン脂質]:[総スフィンゴミエリン]=[1〜10]:1
【0037】
3)腸
(1)プラズマローゲン;[エタノールアミン型]:[コリン型]=[2〜15]:1
(2)ジアシルグリセロリン脂質;[エタノールアミン型]:[コリン型]=1:[2〜20]
(3)[エーテルグリセロリン脂質]:[ジアシルグリセロリン脂質]=1:[1〜12]
(4)[総グリセロリン脂質]:[総スフィンゴミエリン]=[1〜10]:1
【0038】
4)ガラ
(1)プラズマローゲン[エタノールアミン型]:[コリン型]=[1〜10]:1
(2)ジアシルグリセロリン脂質;[エタノールアミン型]:[コリン型]=1:[2〜20]
(3)[エーテルグリセロリン脂質]:[ジアシルグリセロリン脂質]=1:[1〜10]
(4)[総グリセロリン脂質]:[総スフィンゴミエリン]=[3〜25]:1
【0039】
5)金冠(含、卵巣)
(1)プラズマローゲン;[エタノールアミン型]:[コリン型]=1:[0.0001〜0.1]
(2)ジアシルグリセロリン脂質;[エタノールアミン型]:[コリン型]=1:[1.5〜15]
(3)[エーテルグリセロリン脂質]:[ジアシルグリセロリン脂質]=1:[15〜130]
(4)[総グリセロリン脂質]:[総スフィンゴミエリン]=[20〜200]:1
6)兜屠体(皮剥ぎ)
(1)プラズマローゲン;[エタノールアミン型]:[コリン型]=[0.5〜5]:1
(2)ジアシルグリセロリン脂質;[エタノールアミン型]:[コリン型]=1:[2〜15]
(3)[エーテルグリセロリン脂質]:[ジアシルグリセロリン脂質]=1:[0.5〜5]
(4)[総グリセロリン脂質]:[総スフィンゴミエリン]=[3〜20]:1
【0040】
特異性が高いのが、以下の1)〜3)であり、これらに近いのが、“脊椎骨”を含有している[兜屠体]で、謂わば、[胸肉]+[骨髄]と見做すことができ、統合的価格対性能比が高い[胸肉]相当と考えられる。
1)胸肉は[PL−PC]>[PL−PE]で心筋様
2)金冠は[PL−PE]>>>[PL−PC]で[PL−PC]が略ゼロ
3)生ガラは発生率が高く、価格も産廃扱いのためゼロ以下で且つ組成が[胸肉]に近く、更に骨髄(脳の末梢組織を内在している)を含んでいることから、潜在的付加価値(脳機能改善機能)が期待され、統合的価格対性能比が顕著に高いと考えられる。
4)兜屠体
【0041】
本発明に用いる生体組織から抽出した複合脂質及びプラズマローゲンは、乾燥質量換算で、エタノールアミンプラズマローゲン及びコリンプラズマローゲンの含有量が、以下の1)〜2)の通りである。
1)複合脂質では、10質量%以上のものが好ましい。
2)プラズマローゲンでは、20質量%から50質量%のものが好ましい。
【0042】
エタノールアミンプラズマローゲン及びコリンプラズマローゲンの質量比並びに含有量は、生体組織から抽出した複合脂質又はプラズマローゲンを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で解析して求めることができる。具体的には、HPLCにおいて、蒸発光散乱検出(ELSD;Evaporating Light Scattering Detector)によりクロマトグラムを得、当該クロマトグラムにおけるエタノールアミンプラズマローゲン及びコリンプラズマローゲンを示すそれぞれのピーク面積比を求めることで、質量比を算出できる。また、エタノールアミンプラズマローゲン及びコリンプラズマローゲンを示すピーク面積がクロマトグラム全体のピーク面積の何%に当たるかを算出すれば含有量を求めることができる。
【0043】
本発明に係る認知機能改善用食品を、食品添加剤及び/又は一般食品(以下、「各種食品」と言う。)として用いる場合、当該各種食品は、各種プラズマローゲンそのものであっても良いし、これらと食品衛生学上許容される基材、担体、添加剤や、その他食品としてとして利用され得る成分・材料が適宜配合されたものでも良い。また、このような各種食品の形態としては、例えば、液状、粉末、フレーク状、顆粒状、ペースト状が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
本発明に係る認知機能改善用食品を、飲食品として用いる場合、当該食品は、プラズマローゲン、及び食品衛生学上許容される基材、担体、添加剤や、その他食品としてとして利用され得る成分・材料が適宜配合されたもの(即ち、各種プラズマローゲンを含む食品組成物)である。例えば、プラズマローゲンを含む、認知機能改善用の、あるいは、例えば、上記で例示した疾患の予防及び/又は緩和するための加工食品、飲料、健康食品(栄養機能食品、特定保健用食品等)サプリメント、病者用食品(病院食、病人食又は介護食等)等が例示できる。
【0045】
特に制限されないが、当該食品に配合される各種プラズマローゲンが家畜又は家禽(例えば、牛、豚、鶏等)の組織から抽出された各種プラズマローゲンである場合は、例えば、当該各種プラズマローゲンが配合されたハンバーグ、ミートボール、ウインナー、鳥そぼろ、鶏皮チップ等の加工食品、及び加工された肉食品等を含んで成る健康食品(栄養機能食品、特定保健用食品等)、サプリメント、病者用食品等であることが好ましい。また、プラズマローゲンを、例えば、粉末状にする等して、飲料類(ジュース等)、菓子類(例えば、ガム、チョコレート、キャンデー、ビスケット、クッキー、おかき、煎餅、プリン、ゼリー状お菓子、杏仁豆腐等)、パン類、スープ類(粉末スープを含む)、加工食品等の各種飲食品に含有させたものであっても良い。
【0046】
なお、健康食品(栄養機能食品、特定保健用食品等)、サプリメントとして、本発明に関わる飲食品を調製する場合は、継続的摂取が行いやすいように、例えば、顆粒、カプセル、錠剤(チュアラブル剤等を含む)、飲料(ドリンク剤等)等の形態に調製することが好ましく、中でも、カプセル、タブレット、錠剤、ゼリー等の形態が摂取の簡便さの点からは、より好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。顆粒、カプセル、錠剤、ゼリー等の形態は、薬学的及び/又は食品衛生学的に許容される担体等を用いて、常法に従って適宜調製することができる。
【0047】
本発明に係わる飲食品におけるプラズマローゲンの配合量は、認知機能を改善する効果が発揮され得る限り特に制限はないが、好ましくは、0.00005〜100質量%、より好ましくは、0.0005〜75質量%、更に好ましくは、0.005〜50質量%である。本発明に係わる飲食品は、認知機能の改善のため、及び、例えば、上記例示の病者の疾患の症状を予防又は改善するために好ましく用いることができる。
【0048】
なお、病院食とは、病院に入院した際に供される食事であり、病人食は病人用の食事であり、介護食とは、被介護者用の食事である。本発明に係わる飲食品は、特に上記例示の病者の疾患で入院、自宅療養等されている患者、あるいは、介護を受けている患者用の病院食、病人食又は介護食として好ましく用いることができる。また、高齢者等、上記例示の病者の疾患を患う可能性が高い人が予防的に摂取することもできる。
【0049】
本発明に係わる認知機能改善用食品を投与する対象としては、ヒトのみならず、その他の哺乳類であっても良い。このような哺乳類には、例えば、家畜やペットとして飼育されるものが想定でき、例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、サル、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター等が例示できる。
【0050】
本発明に係わる認知機能改善用食品の投与時期は、例えば認知症の発症の、好ましくは5年前、より好ましくは10年前、更に好ましくは15年前から投与することが求められる(発症診断時点では、末期症を迎えていることが明らかにされている([非特許文献7])。好適な投与形態は、その投与期間が長期に渡ることに鑑み、経口投与が良い。本発明に係わる抗認知機能改善食品の投与量は、年齢や症状の程度、その他の条件等に応じて適宜に選択され得る。通常、当該改善食品中のプラズマローゲンの量が、好ましくは成人一日当たり0.001〜1000mg、より好ましくは、0.001〜100mgの範囲となる量を目安とするのが望ましい。なお、1日1回又は複数回(好ましくは2〜3回)に分けて投与することができる。
【0051】
本発明に係る各種のプラズマローゲンとその組成物及び製剤等の所定の効能(神経変性障害と精神障害の予防及び緩和)の革新的な臨床試験方法の要件として、下記の1)〜7)を例示できる。
1)対象者が、健常者であることを特徴とする。
近年の米国における研究成果([非特許文献7])で、Aβとτ蛋白の脳内蓄積が従来の発症診断時期に比べ、少なくとも10年、通常では15〜20年前から蓄積が開始されることが明らかにされ、一種の“パラダイムシフト”が惹起されている。早期予防が発症抑制の決め手で、健常者〜未病者における該効能発現如何が肝要である所以である。
2)安全・安定なプラズマローゲン及び/又は組成物並びに製剤を用いることを特徴とする。
【0052】
上記に依って、神経変性障害と精神障害の予防及び緩和用の成分には、従来対比で遥かに長期間の摂取が求められるため、安全・安定且つ安価が必須要件とされる。
3)より好適には、安全・安定なプラズマローゲンを添加して成る認知機能改善用食品を用いることを特徴とする。
4)前記安全・安定なプラズマローゲンが、安全な飼料で安全に飼養された鶏から安全に抽出されたことを特徴とする。
5)摂取日量は出来るだけ低く抑えることが肝要で、例えば0.001〜1.5mgの範囲が例示され、安全で簡便な経口投与であることを特徴とする。
【0053】
6)通常の当該疾患対象の臨床試験期間の1年以上に比べ、長くても2年以下、好ましくは18カ月間、より好ましくは12か月間、好適には6か月間以下1か月間以上と短く、被検者に対する負担を軽減できることを特徴とする。
7)主要必須検定効能が、以下の群から選択された3項目以上を含んでいることを特徴とする、革新的な神経変性疾患障害と精神疾患障害の予防及び緩和効能の判定用臨床試験方法である。
【0054】
* 内田・クレペリン検査
* MMSE
* 安静時機能性MRI(rs−fMRI)画像解析(非特許文献6)
* 赤血球中のPLs含量測定(非特許文献12)
* PSOL「認知機能自己診断テスト」(非特許文献10)
* RBANS(非特許文献8)
* Cognitrax(非特許文献8)
* ウエックスラー記憶力検査(非特許文献9)
【実施例】
【0055】
以下、調製例及び実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
【0056】
調製例1
[廃鶏皮剥ぎ胸肉から抽出したプラズマローゲン含有リン脂質の製造]
1.廃鶏皮剥ぎ胸肉から複合脂質の調製
鶏組織である産卵廃鶏のフレッシュな皮剥ぎ胸肉を廃鶏処理センターから調達し、約8mmのミンチ1kgを調製した。該ミンチを緩慢凍結して保存した。使用に際し、温流水で強制解凍後に圧搾して脱水・脱油を行った。これを[過加熱水](アクアガス;RTM)で“無酸素的雰囲気”(酸素0.5容量%以下)で5分間クッキング後、真空冷却方式で急冷脱水を行った。得られた脱水・脱油・調理・殺菌済み胸肉を低温粉砕後にエタノール3相分離工程に供した。
【0057】
[3相分離工程]
上記で得られた調理・殺菌済みの粉砕胸肉を容器に入れて脱気しておき、この容器に脱気済みの800mlのエタノールを加えて密封下、35℃で10時間緩慢撹拌を続けた後に氷冷下に静置して、上層の鶏油分と固形沈殿蛋白分を分別して、含水エタノール画分(密封冷蔵保管)を得た。蛋白分に脱気エタノール800mlを加えて、同様の抽出操作を繰り返し、遠心分離でエタノール相を分液し、密封下で氷冷して、併せて減圧濃縮した。水溶性低分子画分の固形分を濾別後、減圧蒸発乾固し、プラズマローゲン含有リン脂質(複合脂質)7gを得た。
【0058】
(1)総脂質の分別
Folch法で抽出・分配・分離した総脂質
(以下、「単純脂質+複合脂質」と同義)は1.8質量%であった。
(2)リン脂質のプロファイル検定
常法の名達らのHPLC/ELSD法で、測定した[特許文献1]。
(3)上記結果の[mg/100g胸肉]での一覧表記は以下の通りであった。
TL(総脂質):
1,800、TPL(総リン脂質):
700
PL−PE(エタノールアミン型プラズマローゲン):61、PE(フォスファチジルエタノールアミン):44、PL−PC(コリン型プラズマローゲン):124、PC(フォスファチジルコリン):276、SM(スフィンゴミエリン):32
【0059】
(4)皮剥ぎ胸肉特異的リン脂質の構成比
1)プラズマローゲン;[エタノールアミン型]:[コリン型]=1:2
2)ジアシルグリセロリン脂質;[エタノールアミン型]:[コリン型]=1:6.3
3)[エーテルグリセロリン脂質]:[ジアシルグリセロリン脂質]=1:1.7
4)[総グリセロリン脂質]:[総スフィンゴミエリン]=16:1
【0060】
調製例2
[複合脂質から精製プラズマローゲンの調製]
1.廃鶏皮剥ぎ胸肉の複合脂質から精製プラズマローゲンの調製
上記のプラズマローゲン含有リン脂質(複合脂質)20gを、ホスホリパーゼA1(三菱化学フーズ)溶液400ml(10mg/ml 0.1Mクエン酸−塩酸バッファー)中に分散させ、窒素ガス充填下50℃で2時間撹拌した。氷冷下、2倍容量のヘキサンを加えて2回撹拌、分配し、上層を回収して濃縮乾固した。更に、乾固物にアセトンを60ml加えて撹拌、遠心し、沈殿を回収する操作を2回繰り返した。
【0061】
更に、該沈殿にヘキサン/アセトン(7:3)60mlを加えて撹拌、遠心し、液層を回収した。この液層を濃縮乾固した後、ヘキサン/アセトン(1:1)240mlを加えて分液ロートに移し、水36mlを添加して撹拌、分配した。下層を捨て、上層にアセトン/水(5:3)96mlを加えて撹拌・分配した。上層を回収し、速やかに減圧乾燥して鶏皮剥ぎ胸肉由来の精製プラズマローゲンを得た。
[廃鶏皮剥ぎ胸肉由来の精製プラズマローゲンの濃度の検定]
名達らの手法([特許文献1])に準じて濃度検定を行った。濃度は34質量%であった。
【0062】
実施例1
厳選した健常日本人を被験者とする食用プラズマローゲン組成物を含有して成るサプリメントの投与による認知機能改善―無作為・二重盲検・プラセボ対照試験―の効果検討臨床試験の実施
本試験は、当該臨床試験分野の専門機関であるJACTA(Japan ClicalTrial Association 東京)に委託して実施した。実施期間は2016年4月5日〜6月29日の12週間で、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則を遵守して実施された。年齢40〜79歳の健常男性及び健常女性135名を候補として全例から本試験に対する同意書を取得した。
【0063】
I.供試試料の調製
1)供試プラズマローゲンの調製
調製例2−1に則って廃鶏の皮剥ぎ胸肉由来の34質量%PLsと食用複合脂質とを適宜に混合して食用プラズマローゲン組成物を作製した(以下、「プラズマローゲンPLs−B」と言う。)。
【0064】
2)プラズマローゲンPLs−Bの添加に依るPLs0.25mg含有ソフトカプセル(以下、「プラズマローゲンEX」と言う。)及びPLs0.50mg含有ソフトカプセル(以下、「プラズマローゲンES」と言う。)用原液の調製
表1記載の処方に基づきプラズマローゲンEX及びプラズマローゲンESのソフトカプセル用原液を作製した。
【0065】
3)プラセボのソフトカプセル用原液の調製
表1記載の処方に基づきプラズマローゲンEX原液からプラズマローゲンPLs−Bを抜き、澱粉を加えて重量を調整して、プラセボソフトカプセル用原液を作製した。
4)各々の原液のソフトカプセル化
試験用2種とプラセボ用のソフトカプセルは、各々の外観から区別がつかないカラメル着色した食品用標準ゼラチンを被膜とする楕円球型ソフトカプセルを外部専門メーカーで委託製造した。
【0066】
【表1】
【0067】
II.被験者の選定
総勢135名を、モニターバンクのCROee Inc.(東京)の2016年3月〜4月間の自発的登録者の中から書類選考により選別した。
1)選抜基準;
(1)年齢40〜79歳の一般的健常日本人男女
(2)認知機能上、完全に正常とは言えなくとも過去に然るべき薬の服用経験がないことが
図1記載の認知機能問診によって明らかにされた者
【0068】
2)除外基準;54名を除外
(1)認知機能疾病の治療中の者
(2)漢方薬を含む薬を服用中の者
(3)妊産婦及び本試験期間中に妊産婦になる恐れのある女性
(4)本試験の被験者として不適格と本試験実行責任者が判断した者
【0069】
上記によって、135名から54名が除外された結果、被験者は81名となった。
結果的に、グループA(n=26)、グループB(n=28)、グループC(n=27)の3群に無作為に割り振られた。この際、性別や年齢が片寄らない様に考慮した。
* グループAはプラセボ区
* グループBはテスト−1(0.25mg)区
* グループCはテスト−2(0.5mg)区
区分けは上記の通りで、被験者は、毎日2粒(朝夕食後1粒ずつ)のソフトカプセルを、暴飲暴食を控えて通常通りの生活を送りながら12週間摂取し、身体的及び物忘れの状態を記載した日記を本試験の監督者に提出した。
【0070】
III.試験概要
1)試験のスケジュール
表2に、試験スケジュールを示す。
【0071】
【表2】
【0072】
2)MMSE
図2を参照。最高スコアは30。
3)内田・クレッペリン試験(以下、「U-Kテスト」と言う。)
簡単な一桁の足し算を一定時間連続して行い、その計算量によって表れた曲線によって「人が計算するときの能力」、「その計算力を発揮するときの特徴」を判定する計算力の検査である。通常、1分間×15回の2セットで行う。
4)PSOL認知機能自己診断テスト(PSOL:ピーソリューションを表わす。)
独自に考案された認知機能性に関する網羅性の高い設問に答える様式で、
図3を参照。0から4までの5段階評価で2が基準点(ベースライン)。2を超えると良評価。
5)供試試料(3種ソフトカプセル)の安全性評価
被験者からの日報に記載させて評価した。
【0073】
6)データ解析法
本試験では、標本の数を揃えずに、全ての解析結果を用いて実施された。
統計処理値は全てmean±SDで表記した。
0、6及び12週の測定値の差をペアt検定に用いて統計処理した。同一群内のMMSE,U−Kテスト、及びPSOL認知機能自己診断テストの測定値の比較評価は、ペアt検定を用いて行った。
【0074】
スチューデントt検定を用いて、0、6及び12週の測定値とベースライン(Δ0-6週とΔ0-12週)からの乖離値との群間比較を行った。群内被験者のバックグラウンド比較は一方向性平方偏差解析を用いて行った。
【0075】
実施時期に伴う変動に付いては、これを調整しなかった。誤記載した被験者は統計処理から完全に除外した。統計処理はスタットセル(Statcel)4とエクセル(Excel)統計を用いて行った。2標本間の検定統計処理結果は<5%で有意と判定した。
【0076】
IV.試験結果
1)被験者の統計情報
81名を3区に分けで摂取試験がスタートしたが、6名が脱落した。その理由内訳は、体調不良2、突発的仕事都合3、家事都合1で、結局75名が試験を全うした。その内訳は、テスト−1;27名、テスト−2;23名、プラセボ;25名であるが、年齢と性別及びU−Kテストで有意差はなかった(表3)。
【0077】
【表3】
【0078】
2)MMSE
結果を
図4及び表4に示した。12週目におけるテスト−1とテスト−2の群内比較で有意差が認められた。尚、6週目において、プラセボ区の群内比較で有意差が認められた。しかしながら群間比較の、テスト−1対プラセボ、とテスト−2対プラセボ、何れにおいても有意差が認められなかった。
【0079】
3)U-Kテスト
図5及び表4に示した様に、3群内では何れも有意差が認められなかった。但し、群間対比においては、6週目のテスト−1とプラセボ間で有意差傾向が認められた。
【0080】
【表4】
【0081】
4)認知機能自己診断
結果を表5から表8に示した。 群間の変化量対比解析で、Test-1とPlacebo, また、Test-2とPlacebo,において 以下の項目間で有意差が認められた;
6週目における #1 (Test-1,Test-2), #5 (Test-1), #7 (Test-1,Test-2), #8 (Test-1), #12 (Test-1), #13 (Test-1), #17 (Test-1,Test-2), #18 (Test-1), #25 (Test-1), #26 (Test-2),及び #27(Test-1,Test-2)が 、
他方12週目においては、#1 (Test-1), #2 (Test-1,Test-2), #4 (Test-1,Test-2), #5 (Test-1,Test-2), #8 (Test-1,Test-2), #12 (Test-1), #15 (Test-2), #16 (Test-2), #17 (Test-2), #20 (Test-2), #21 (Test-2), #23 (Test-2), #24 (Test-1,Test-2), #26(Test-2),そして #27 (Test-1,Test-2)、の各々に有意差が認められた。
Test-1対Placeboでは、6週目の有意差アイテム数10が 12週目で6アイテムに減少したが、 Test-2対Placeboでは、6週目の有意差アイテム数4が12週目の有意差アイテム数14へと著増している。
【0082】
【表5】
【0083】
【表6】
【0084】
【表7】
【0085】
【表8】
【0086】
5)安全性評価
日報で見る限り、供試試料の安全性に疑義を示唆するものは皆無であり、安全性に問題はない。
【0087】
V.試験結果の評価
1)総論
プラズマローゲン含有サプリメントを12週間摂取した健常被験者の言語と状況に
関連した認知機能の改善に有効であることが認められた。更に、供試ソフトカプセルは、12週間の試験期間中安全面で支障を来すことはなかった。
【0088】
U−Kテストの結果には、有意差が認められなかったが、6週目の高用量摂取群とプラセボ群間には有意差傾向が認められた。
高用量群と低用量群間に用量依存性が、そしてそれらとプラセボ群間に有意傾向が示唆される結果が得られた。
食品、就中サプリメントとしては用量が極めて低く、内服薬以下とも考えられる“ミクロン”オーダーで、然も1粒当たりで0.5mg以下であることと併せて、健常者対象で且つ投与期間が3カ月間と短く且つ6週間目で計算力の即効的向上が示唆される結果が得られたことは、驚くべき発見である。
【0089】
2)各論
(1)MMSE
0.5mg群と0.25mg群、各々において12週目で群内有意差が認められた。但し、プラセボ群でも6週目に群内有意差が見出された。
(2)U−Kテスト
即効的に6週目の高用量群とプラセボ群間に有意差傾向が認められ、且つ、高用量群と低用量群間に用量依存性傾向が認められたことは注目に値する。
(3)PSOL認知機能自己診断テスト
12週目と即効的に6週目から、高・低両用量群内及び群間並びにプラセボ群間で有意差が認められた。高・低両用量群間では、入り乱れた有意差が認められたものの、用量依存性に欠ける結果であった。
【0090】
3)総括評価
* 無作為・二重盲検・プラセボ対照試験であって、
* 革新的な食用プラズマローゲン組成物を用いた、
* 厳選した健常被験者(機関登録者の書類選考135名⇒認知機能3階層問診選抜81名→試験責任者の面接選抜75名⇒試験中に発覚した不適格者を排除71名)に対する、
* 極めて低日用量、0.5mgと1mg、且つ、
* 極めて短期間の12週間内で、
僅か6週目で認知機能の有意且つ即効的な改善効果が確認され、驚くべき成果と評価される。
【0091】
以上に記載の判定の公正性がIMPROVEMENT IN COGNITIVE FUNCTION BY SUPPLEMENT CONTAINED PLASMALOGEN FOR HEALTHY JAPANESE-A RAMDOMIZED, DOUBLE-BLIDED, PLASEBO-CONTROLED STUDY-のタイトルで、査読付きの「診療と新薬」第53巻12月号に掲載されている。