特許第6754457号(P6754457)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754457
(24)【登録日】2020年8月25日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】香料組成物
(51)【国際特許分類】
   C11B 9/00 20060101AFI20200831BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20200831BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20200831BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20200831BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20200831BHJP
   A61L 9/14 20060101ALI20200831BHJP
【FI】
   C11B9/00 Z
   A23L27/00 A
   A23L27/00 C
   A61K8/73
   A61Q13/00 102
   A61L9/01 W
   A61L9/14
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-34526(P2019-34526)
(22)【出願日】2019年2月27日
(65)【公開番号】特開2019-151836(P2019-151836A)
(43)【公開日】2019年9月12日
【審査請求日】2019年4月4日
(31)【優先権主張番号】特願2018-34239(P2018-34239)
(32)【優先日】2018年2月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000175283
【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 祐也
(72)【発明者】
【氏名】松倉 琢磨
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−240892(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0305943(US,A1)
【文献】 特開平05−068507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11B 9/
A23L
A61L 9/
A61K 8/
A61Q
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
香料、シクロデキストリン及び増粘性多糖類を含有し、1〜500μmの噴霧乾燥物を得る際の噴霧効率を向上させるための、香料組成物(但し、(1)水68.3質量%、β−シクロデキストリン28質量%、2−エチルー3,5−ジメチルピラジンとメチオナールを含有するローストポテト香料2.8質量%、カルボキシメチルセルロース0.6質量%、及びリモネン0.28質量%を含む香料組成物、及び(2)β−シクロデキストリン、エタノール、及びレモン香料を混錬して得たペーストを含む組成物、を除く)。
【請求項2】
前記増粘性多糖類が、キサンタンガム、ガラクトマンナン、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、カラギナン、タマリンドシードガム、グルコマンナン、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、寒天、ゼラチン、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩、プルラン、カードラン、トラガントガム、ガティガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、カラヤガム、ファーセレラン、キチン、ウェランガム、セルロース類、デンプン類、及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1記載の香料組成物。
【請求項3】
前記増粘性多糖類が、キサンタンガム、セルロース、カルボキシメチルセルロース、発酵セルロース、及びグァーガムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2記載の香料組成物。
【請求項4】
香料組成物を噴霧乾燥して、1〜500μmの粉末状の香料組成物を得る方法における、噴霧効率を向上させる方法であって、
増粘性多糖類とシクロデキストリンとを含む液を調製する工程;
香料成分を混合して香料組成物を得る工程;および
該香料組成物を噴霧乾燥する工程
を含む、噴霧効率を向上させる方法。
【請求項5】
前記増粘性多糖類が、キサンタンガム、ガラクトマンナン、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、カラギナン、タマリンドシードガム、グルコマンナン、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、寒天、ゼラチン、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩、プルラン、カードラン、トラガントガム、ガティガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、カラヤガム、ファーセレラン、キチン、ウェランガム、セルロース類、デンプン類、及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記増粘性多糖類が、キサンタンガム、セルロース、カルボキシメチルセルロース、発酵セルロース、及びグァーガムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
香料、シクロデキストリン及び増粘性多糖類を含有する、噴霧乾燥時の噴霧効率向上した香料組成物(但し、(1)水68.3質量%、β−シクロデキストリン28質量%、2−エチルー3,5−ジメチルピラジンとメチオナールを含有するローストポテト香料2.8質量%、カルボキシメチルセルロース0.6質量%、及びリモネン0.28質量%を含む香料組成物、及び(2)β−シクロデキストリン、エタノール、及びレモン香料を混錬して得たペーストを含む組成物、を除く)を噴霧乾燥して得られる、1〜500μmの粉末状香料組成物。
【請求項8】
香料成分およびシクロデキストリンを含む香料組成物に、増粘性多糖類を併用する(但し、(1)水68.3質量%、β−シクロデキストリン28質量%、2−エチルー3,5−ジメチルピラジンとメチオナールを含有するローストポテト香料2.8質量%、カルボキシメチルセルロース0.6質量%、及びリモネン0.28質量%を含む香料組成物、及び(2)β−シクロデキストリン、エタノール、及びレモン香料を混錬して得たペーストを含む組成物、とすることを除く)ことによる、香料組成物の細孔通過時の根詰まり又は目詰まり防止方法であって、該細孔が、1〜500μmの粉末状香料組成物を生じさせるものである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料、シクロデキストリン及び増粘性多糖類を含有する香料組成物、その製造方法、それを用いた噴霧効率の向上方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
香料は、様々な食品に対して風味を付与する目的で使用される。このような食品に使用される際の香料の安定性向上について、研究もされている。
【0003】
例えば、香味料をシクロデキストリンで封入し、封入された香味料を回収し、さらに前記封入された香味料を、加工の間に食品に添加する工程を含んでなる方法(特許文献1)、香料とシクロデキストリン類とからなる結晶性包接複合体と香料とシクロデキストリン類とからなる非結晶性香料包接複合体、および非包接香料成分を含む粉末香料(特許文献2)が提案されている。
【0004】
香料はまた、香粧品、芳香剤、その他の日用品にも広く使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2004−516022号公報
【特許文献2】特開2001−240892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、香料を包接するシクロデキストリンを含む香料組成物について、より優れた性質を付与することにある。特には、香料を包接するシクロデキストリンを含む香料組成物を各種の細孔に通過させる場合等に起こる根詰まり又は目詰まりを防止できる香料組成物を見出すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討の結果、香料、シクロデキストリン、及び増粘性多糖類を含む香料組成物により、該組成物を細孔に通過させる際に、根詰まり又は目詰まりを防止でき、効率の良い香料製品の製造が可能になることを見出し、このような知見に基づき、本発明を完成させた。
【0008】
本発明は、次の各項に記載の態様を含む。
【0009】
項1.
香料、シクロデキストリン及び増粘性多糖類を含有する、噴霧乾燥時の噴霧効率が向上した香料組成物。
項2.
前記増粘性多糖類が、キサンタンガム、ガラクトマンナン、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、カラギナン、タマリンドシードガム、グルコマンナン、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、寒天、ゼラチン、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩、プルラン、カードラン、トラガントガム、ガティガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、カラヤガム、ファーセレラン、キチン、ウェランガム、セルロース類、デンプン類、デキストリン類、及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種である、項1記載の香料組成物。
項3.
前記増粘性多糖類が、キサンタンガム、セルロース、カルボキシメチルセルロース、発酵セルロース、及びグァーガムからなる群より選択される少なくとも1種である、項1又は2記載の香料組成物。
項4.
香料組成物を噴霧乾燥して、粉末状の香料組成物を得る方法における、噴霧効率を向上させる方法であって、
増粘性多糖類とシクロデキストリンとを含む液を調製する工程;
香料成分を混合して香料組成物を得る工程;および
該香料組成物を噴霧乾燥する工程
を含む、噴霧効率を向上させる方法。
項5.
前記増粘性多糖類が、キサンタンガム、ガラクトマンナン、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、カラギナン、タマリンドシードガム、グルコマンナン、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、寒天、ゼラチン、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩、プルラン、カードラン、トラガントガム、ガティガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、カラヤガム、ファーセレラン、キチン、ウェランガム、セルロース類、デンプン類、デキストリン類、及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種である、項4記載の方法。
項6.
前記増粘性多糖類が、キサンタンガム、セルロース、カルボキシメチルセルロース、発酵セルロース、及びグァーガムからなる群より選択される少なくとも1種である、項5記載の方法。
項7.
香料、シクロデキストリン及び増粘性多糖類を含有する、噴霧乾燥時の噴霧効率向上した香料組成物を噴霧乾燥して得られる粉末状香料組成物。
項8.
増粘性多糖類とシクロデキストリンとを含む液を調製する工程;
該調製した液に香料成分を混合して香料組成物を得る工程;および
該香料組成物を噴霧乾燥する工程を含む方法によって得られる、粉末状香料組成物。
項9.
香料成分およびシクロデキストリンを含む香料組成物に、増粘性多糖類を併用することによる、香料組成物の細孔通過時の根詰まり又は目詰まり防止方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、固形物層分離が抑制され、さらに細孔通過時の根詰まり又は目詰まりが抑制された香料組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、香料、シクロデキストリン及び増粘性多糖類を含み、好ましくは、シクロデキストリンによって香料を包接した香料組成物に関するものである。
【0012】
[香料組成物]
(香料)
本発明の香料組成物に含まれる香料成分は、香り又は味を形成し得るものであれば、特に限定はされず、各種の合成香料、天然精油、合成精油、柑橘油、動物性香料、その他の通常香料組成物を調製する際に使用される成分であり得る。
【0013】
本発明の香料には、香辛料抽出物、香辛料中の香味成分、及び香味成分の合成品から生ずる香味成分も含まれる。すなわち、スパイスやハーブなどを含む、香辛料自体、香辛料抽出物、香辛料中の香味成分、及び香味成分の合成品をもすべて含む。
【0014】
ここで、スパイスとは、食品に風味付けの目的で比較的少量使用される種々の植物由来の芳香性樹皮、根、根茎、蕾、種子、果実、または果皮をいう。スパイスは、食用可能である限り限定はされないが、具体的には、アサの種子、アサフェチダの根、アサフェチダの根茎、アジョワンの種子、アニスの種子、ウイキョウの種子、ウコンの根、ウコンの根茎、オールスパイスの果実、オールスパイスの未成熟果実、オレンジの果皮、ガジュツの根、ガジュツの根茎、カショウの果皮、カショウの果実、カショウの未成熟果実、カシアの樹皮、カフィアライムの果実、カフィアライムの未成熟果実、ガランガルの根、ガランガルの根茎、カルダモンの種子、カルダモンの果実、カルダモンの未成熟果実、カンゾウの根、カンゾウの根茎、キャラウェイの種子、クチナシの果実、クミンの種子、クローブの蕾、ケシの種子、ケーパーの蕾、コショウ(黒コショウを含む)の果実、コショウ(黒コショウを含む)の未成熟果実、ごまの種子、コリアンダーの種子、サフランのめしべ、サンショウの果実、サンショウの未成熟果実、シソの種子、シナモンの樹皮、ジュニパーベリーの果実、しょうが、スターアニスの果実、スターアニスの未成熟果実、西洋わさび、セロリの種子、タマリンドの果実、ディルの種子、とうがらし、ナツメグの種子の仁、ナツメグの種皮(メースをいう。)、ニジェラの種子、ニンニク、バジルの種子、パセリの種子、バニラの果実、バニラの未成熟果実、パプリカ、パラダイスグレインの種子、バラの果実(ローズヒップをいう。)、フェネグリークの種子、ピンクペッパーの果実、マスタードの種子、みかんの果皮、ゆずの果皮、レモンの果皮、ロングペッパーの果実、ロングペッパーの未成熟果実及びわさびの根茎等が挙げられる。
【0015】
ここで、ハーブとは、食品に風味付けの目的で薬味として比較的少量使用される種々の主に草本植物の葉、茎、根及び花からなり、生のまま、または乾燥したものが使用されるものをいう。ハーブは、食用可能である限り限定はされないが、具体的には、アニスの葉、アニスの茎、アンゼリカ、ウイキョウの葉、ウイキョウの茎、エシャロット、オレガノ、カフィアライムの葉、カモミール、カレープラント、カレーリーフ、キャットニップ、キャラウェイの葉、キャラウェイの茎、クレソン、コリアンダーの葉、コリアンダーの茎、サッサフラス、サボリー、サラダバーネット、サンショウの花、サンショウの葉、シソの葉、シソの花穂、ジャスミン、ステビア、スペアミント、セージ、セロリの葉、セロリの茎、センテッドゼラニウム、ソレル、タイム、タデ、タマネギ、タラゴン、ダンディライオン、チャイブ(あさつきを含む。)、チャービル、ディルの葉、ディルの茎、ドクダミ、ナスタチウム、ニガヨモギ、にら、ハイビスカス、バジルの葉、バジルの茎、パセリの葉、パセリの茎、ハッカ、バラの花(ローズをいう。)、ヒソップ、ペパーミント、ベルガモット、ホースミント、ボリジ、マーシュ、マスタードの葉、マスタードの茎、マジョラム、ミョウガ、ヤロウ、ユーカリプタス、ヨモギ、ラベンダー、リンデン、ルッコラ、ルバーブ、レモングラス、レモンバーム、レモンバーベナ、ローズマリー、ローレル、わさびの葉及びわさびの葉柄等が挙げられる。
【0016】
香味成分は、上述した成分以外であっても、食用可能である限り限定はされない。香味成分としては、具体的には、バター香料、コーヒー香料;α−サンショオール、β−サンショオール、サンショアミド、スピラントールなどのアミド系辛味物質;カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、バニリルペラルゴアミドなどのカプサイシン類;ピペリン、イソピペリン、イソシャビシン、シャビシン、ピペラニン、ピペリジンなどのピペリン類;ジンゲロン、ショーガオール、ジンゲロールなどのジンゲロール類;アリルイソチオシアネート、β−フェネチルイソチオシアネート、6−メチルチオヘキシルイソチオシアネート、ω−ペンテニルイソチオシアネート、p−ヒドロキシベンジルイソチオシアネート、4−メチルチオブテニルイソチオシアネート、ブチルイソチオシアネートなどのイソチオシアネート類;(−)−ポリゴジアールなどのポリゴジアール類等が挙げられる。さらに、香味成分としては、ノニル酸バニリルアミドなどのアルカン酸バニリルアミド(アルカン酸の炭素数が7〜12)、バニリンプロピレングリコールアセタールなどのバニリンアルキレングリコールアセタール(アルキレンの炭素数が3〜6)、エチルバニリンアルキレングリコールアセタール(アルキレンの炭素数が3〜6)、3−L―メントキシプロパン―1,2―ジオール、N―アルキル−p−メンタン−3−カルボキサミド、3−L―メントキシ−2−メチルプロパン―1,2―ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、2−L−メントキシエタン−1−オール、3−L−メントキシプロパン−1−オール、4−L−メントキシブタン−1−オール、3−ヒドロキシブタン酸メンチル、乳酸メンチル、メントールグリセリンケタール、2−(2−L−メンチルオキシエチル)エタノール、グリオキシル酸メンチル、N−メチル−2,2−イソプロピルメチル−3−メチルブタンアミド、2−ピロリドン−5−カルボン酸メンチル、コハク酸モノメンチル、コハク酸モノメンチルのアルカリ金属塩、コハク酸モノメンチルのアルカリ土類金属塩、バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、バニリルブチルエーテル、バニリルブチルエーテル酢酸エステル、カビシン等、(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)ジメチルスルホニウム塩化物、α−アミルシンナムアルデヒド、アンモニウムイソバレレート、イオノン、イソアミルアルコール、イソキノリン、イソブタノール、イソブチルアルデヒド、イソプロパノール、イソペンチルアミン、イソ酪酸エチル、2―エチル―3,5―ジメチルピラジン及び2―エチル―3,6―ジメチルピラジン及びそれらの混合物、エチルバニリン、2−エチルピラジン、3−エチルピリジン、2―エチル―3―メチルピラジン、2―エチル―5―メチルピラジン、2−エチル−6−メチルピラジン、5−エチル−2―メチルピリジン、オクタン酸エチル、ギ酸イソアミル、クエン酸三エチル、クミンアルデヒド、ゲラニアール、酢酸シクロヘキシル、酢酸シンナミル、酢酸フェネチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、酢酸ボルニル、酢酸l−メンチル、サリチル酸メチル、2,3−ジエチルピラジン、2,3−ジエチル−5−メチルピラジン、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、1,8−シネオール、ジヒドロアクチンジオライド、脂肪酸類、脂肪族高級アルコール類、脂肪族高級アルデヒド類、脂肪族高級炭化水素類、2,3−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,6−ジメチルピラジン、2,6−ジメチルピリジン、(Z)−ジャスモン、シンナミルアルコール、シンナムアルデヒド、チオエーテル類、チオール類、ディルエーテル、5,6,7,8−テトラヒドロキノキサリン、2,3,5,6―テトラメチルピラジン、サビネン、ジンギベレン、セリネン、ターピネン、ターピノレン、α−フムレン、テルペン系炭化水素類、2,3,5‐トリメチルピラジン、バニリン、パラメチルアセトフェノン、4−ビニルグアイアコール、ピペロナール、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸エチル、フェネチルアミン、フェノールエーテル類、ブタノール、ブチルアミン、ブチルアルデヒド、フルフラール及びその誘導体、プロパノール、プロピオンアルデヒド、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ベンジル、(Z)−3−ヘキセナール、(Z)−3−ヘキセノール、ヘキサン酸アリル、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸エチル、l−ペリラアルデヒド、2−ペンタノール、1−ペンテン−3−オール、芳香族アルコール類、芳香族アルデヒド類、d−ボルネオール、5―メチルキノキサリン、6−メチルキノリン、5−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタピラジン、1−メチルナフタレン、メチルβ―ナフチルケトン、2−メチルピラジン、上記以外のピラジン類、上記以外のピリジン類、メチオナール、2―メチルブタノール、2−メチルブチルアルデヒド、(E)−2−メチル−2−ブテナール、3−メチル−2−ブテナール、3−メチル−2−ブテノール等が挙げられる。
【0017】
別の観点から、本発明の香料組成物に用いられる合成香料としては、例えば、「合成香料 化学と商品知識」(印藤元一著、化学工業日報社)等に記載のエステル類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、フェノール類、エーテル類、ラクトン類、炭化水素類、含窒素化合物、含硫化合物類、又は酸類等を挙げることができる。
【0018】
エステル類としては、限定はされないが、例えば、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、ギ酸オクチル、ギ酸リナリル、ギ酸シトロネリル、ギ酸ゲラニル、ギ酸ネリル、ギ酸テルピニル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸シス−3−ヘキセニル、酢酸トランス−2−ヘキセニル、酢酸オクチル、酢酸ノニル、酢酸デシル、酢酸ドデシル、酢酸ジメチルウンデカジエニル、酢酸スチラリル、酢酸オシメニル、酢酸ミルセニル、酢酸ジヒドロミルセニル、酢酸リナリル、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、酢酸テトラヒドロムゴール、酢酸ラバンジュリル、酢酸ネロリドール、酢酸ジヒドロクミニル、酢酸テルピニル、酢酸シトリル、酢酸ノピル、酢酸ジヒドロテルピニル、酢酸2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニルメチル、酢酸ミラルディル、酢酸ベチコール、プロピオン酸デセニル、プロピオン酸リナリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸ネリル、プロピオン酸テルピニル、プロピオン酸トリシクロデセニル、プロピオン酸スチラリル、プロピオン酸アニシル、酪酸オクチル、酪酸ネリル、酪酸シンナミル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸オクチル、イソ酪酸リナリル、イソ酪酸ネリル、イソ吉草酸リナリル、イソ吉草酸テルピニル、イソ吉草酸フェニルエチル、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、2−メチル吉草酸2−メチルペンチル、3−ヒドロキシヘキサン酸メチル、3−ヒドロキシヘキサン酸エチル、オクタン酸メチル、オクタン酸オクチル、オクタン酸リナリル、ノナン酸メチル、ウンデシレン酸メチル、安息香酸リナリル、ケイヒ酸メチル、アンゲリカ酸イソプレニル、ゲラン酸メチル、クエン酸トリエチル、アセト酢酸エチル、2−ヘキシルアセト酢酸エチル、ベンジルアセト酢酸エチル、2−エチル酪酸アリル、3−ヒドロキシ酪酸エチル、2−メチル酪酸エチル、2−メチル酪酸メチル、N−メチルアントラニル酸メチル、酪酸、酪酸イソアミル、酪酸エチル、酪酸シクロヘキシル、酪酸ブチル、ノナン酸エチル、デカン酸エチル、2,4−デカジエン酸エチル、2,4−デカジエン酸プロピル、アントラニル酸メチル及びリナリル、N−メチルアントラニル酸エチル等を挙げることができる。
【0019】
アルコール類としては、限定はされないが、例えば、3−ヘプタノール、1−ノナノール、1−ウンデカノール、2−ウンデカノール、1−ドデカノール、プレノール、10−ウンデセン−1−オール、ジヒドロリナロール、テトラヒドロムゴール、ミルセノール、ジヒドロミルセノール、テトラヒドロミルセノール、オシメノール、テルピネオール、ホートリエノール、3−ツヤノール、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、α−フェニルエチルアルコール、3−メチル−1−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−オクタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、2,6−ジメチルヘプタノール、1−デカノール、トランス−2−ヘキセノール、シス−4−ヘキセノール、メチルトリメチルシクロペンテニルブテノール、シトロネロール、ジヒドロミルセノール、ロジノール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、テトラヒドロリナロール、ジメチルオクタノール、ヒドロキシシトロネロール、プレゴール、イソプレゴール、メントール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、カルベオール、ジヒドロカルベオール、ペリラアルコール、4−ツヤノール、ミルテノール、α−フェンキルアルコール、ファルネソール、ネロリドール、セドレノール、アニスアルコール、ヒドロトロパアルコール、3−フェニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、アミルシンナミックアルコール等を挙げることができる。
【0020】
アルデヒド類としては、限定はされないが、例えば、アセトアルデヒド、n−ヘキサナール、n−ヘプタナール、n−オクタナール、n−ノナナール、2−メチルオクタナール、3,5,5−トリメチルヘキサナール、デカナール、ウンデカナール、2−メチルデカナール、ドデカナール、トリデカナール、テトラデカナール、トランス−2−ヘキセナール、(E)−2−デセナール、トランス−4−デセナール、シス−4−デセナール、トランス−2−デセナール、10−ウンデセナール、トランス−2−ウンデセナール、トランス−2−ドデセナール、3−ドデセナール、トランス−2−トリデセナール、2,4−ヘキサジエナール、2,4−デカジエナール、2,4−ドデカジエナール、5,9−ジメチル−4,8−デカジエナール、シトラール、ジメチルオクタナール、α−メチレンシトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、ミルテナール、ネラール、α−あるいはβ−シネンサール、マイラックアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、オクタナールジメチルアセタール、ノナナールジメチルアセタール、デカナールジメチルアセタール、デカナールジエチルアセタール、2−メチルウンデカナールジメチルアセタール、シトラールジメチルアセタール、シトラールジエチルアセタール、シトラールプロピレングリコールアセタール、n−バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチルブタナール、2−ペンテナール、トランス−2−ヘプテナール、トランス−2−ノネナール、2,6−ジメチル−5−ペプテナール、2,4−ウンデカジエナール、トリメチルデカジエナール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、サフラナール、ベルンアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−イソプロピルフェニルアセトアルデヒド、p−メチルヒドロトロパアルデヒド、フェニルプロピオンアルデヒド、2−メチル−3−(4−メチルフェニル)プロパナール、シクラメンアルデヒド、シンナミックアルデヒド、サリチルアルデヒド、アニスアルデヒド、p−メチルフェノキシアセトアルデヒド、アセトアルデヒドジエチルアセタール、シトロネリルメチルアセタール、アセトアルデヒド 2−フェニル−2,4−ペンタンジオールアセタール、2−ヘキセナールジエチルアセタール、シス−3−ヘキセナールジエチルアセタール、ヘプタナールジエチルアセタール、2−ヘキシル−5−メチル−1,3−ジオキソラン、4−(L−メントキシメチル)−2−(3’,4’−ジヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(L−メントキシメチル)−2−(3’−メトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(L−メントキシメチル)−2−(3’−エトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(L−メントキシメチル)−2−フェニル−1,3−ジオキソラン、4−(L−メントキシメチル)−2−(2’−ヒドロキシ−3’−メトキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(L−メントキシ−メチル)−2−(4’メトキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(L−メントキシメチル)−2−(3’,4’−メチレンジオキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、シトロネラールシクロモノグリコールアセタール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール等を挙げることができる。
【0021】
ケトン類としては、限定はされないが、例えば、2−ペンタノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、2−ウンデカノン、メチルヘプテノン、ジメチルオクテノン、ゲラニルアセトン、ファルネシルアセトン、2,3,5−トリメチル−4−シクロヘキセニル−1−メチルケトン、ネロン、ヌートカトン、ジヒドロヌートカトン、アセトフェノン、4,7−ジヒドロ−2−イソペンチル−2−メチル−1,3−ジオキセピン、2−ペンタノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、2,3−ヘキサジオン、3−ノナノン、エチルイソアミルケトン、ジアセチル、アミルシクロペンテノン、2−シクロペンチルシクロペンタノン、ヘキシルシクロペンタノン、ヘプチルシクロペンタノン、シス−ジャスモン、ジヒドロジャスモン、トリメチルペンチルシクロペンタノン、2−(2−(4−メチル)−3−シクロヘキセン−1−イル)プロピルシクロペンタノン、ダマスコン、α−ダイナスコン、トリメチルシクロヘキセニルブテノン、ヨノン、β―ヨノン、メチルヨノン、アリルヨノン、プリカトン、カシュメラン、l−カルボン、メントン、カンファー、p−メチルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、ベンジリデンアセトン、ラズベリーケトン、メチルナフチルケトン、ベンゾフェノン、フルフラールアセトン、ホモフロノール、マルトール、エチルマルトール、アセト酢酸エチルエチレングリコールケタール等を挙げることができる。
【0022】
フェノール類としては、限定はされないが、例えば、チモール、カルバクロール、β−ナフトールイソブチルエーテル、アネトール、β−ナフトールメチルエーテル、β−ナフトールエチルエーテル、クレオゾール、ベラトロール、ヒドロキノンジメチルエーテル、2,6−ジメトキシフェノール、4−エチルグアヤコール、オイゲノール、イソオイゲノール、エチルイソオイゲノール、tert−ブチルヒドロキノンジメチルエーテル等を挙げることができる。
【0023】
エーテル類としては、限定はされないが、例えば、デシルビニルエーテル、α−テルピニルメチルエーテル、イソプロキセン、2,2−ジメチル−5−(1−メチル−1−プロペニル)−テトラヒドロフラン、ローズフラン、1,4−シネオール、ネロールオキサイド、2,2,6−トリメチル−6−ビニルテトラヒドロピラン、メチルヘキシルエーテル、オシメンエポキシド、リモネンオキサイド、ルボフィクス、カリオフィレンオキサイド、リナロールオキサイド、5−イソプロペニル−2−メチル−2−ビニルテトラヒドロフラン、ネロールオキサイド、ローズオキサイド等を挙げることができる。
【0024】
ラクトン類としては、限定はされないが、例えば、γ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ドデカラクトン、ジャスンミラクトン、メチルγ−デカラクトン、7−デセノラクトン、ジャスモラクトン、プロピリデンフタリド、δ−ヘキサラクトン、δ−2−デセノラクトン、ε−ドデカラクトン、ジヒドロクマリン、クマリン等を挙げることができる。
【0025】
炭化水素類としては、限定はされないが、例えば、オシメン、リモネン、α−フェランドレン、テルピネン、3−カレン、ビサボレン、バレンセン、アロオシメン、ミルセン、ファルネセン、α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、テルピノーレン、p−サイメン、セドレン、β−カリオフィレン、カジネン等を挙げることができる。
【0026】
含窒素化合物又は含硫化合物類としては、限定はされないが、例えば、アントラニル酸メチル、アントラニル酸エチル、N−メチルアントラニル酸メチル、N−2’−メチルペンチリデンアントラニル酸メチル、リガントラール、ドデカンニトリル、2−トリデセンニトリル、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、3,7−ジメチル−2,6−ノナジエノニトリル、インドール及びその誘導体、5−メチル−3−ヘプタノンオキシム、リモネンチオール、1−P−メンテン−8−チオール、アントラニル酸ブチル、アントラニル酸シス−3−ヘキセニル、アントラニル酸フェニルエチル、アントラニル酸シンナミル、ジメチルスルフィド、8−メルカプトメントン等を挙げることができる。
【0027】
酸類としては、限定はされないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、2−デセン酸、ゲラン酸、2−メチル酪酸、2−エチル酪酸、フェニル酢酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸メチル、イソ酪酸、イソ吉草酸、3−メチル吉草酸、2−ヘキセン酸、2−メチル−2−ペンテン酸、2−メチルヘプタン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、乳酸、ピルビン酸、シクロヘキサンカルボン酸等を挙げることができる。
【0028】
天然香料としては、限定はされないが、例えば、スイートオレンジ、ビターオレンジ、ネロリ、マンダリン、オレンジ、プチグレン、ベルガモット、タンゼリン、温州ミカン、ダイダイ、ハッサク、イヨカン、レモン、ライム、グレープフルーツ、ユズ、スダチ、カボス、スウィーティー等を例示することができる。
【0029】
また、上記の天然香料以外に、例えば、シトロネラ、エレミ、オリバナム、マジョラム、アンゲリカルート、スターアニス、バジル、ヘイ、カラマス、キャラウェイ、カルダモン、ペッパー、カスカリラ、ジンジャー、セージ、クラリセージ、クローブ、コリアンダー、ユーカリ、フェンネル、ピメント、ジュニパー、フェネグリーク、ローレル、メース、スギ、センキュウ、アーモンド、アップルミント、アニス、アルテミシア、アルファルファ、アンズ、アンブレット、イグサ、イチゴ、イチジク、イランイラン、ウインターグリーン、ウメ、エルダー、エンジュ、オークモス、オールスパイス、オリス、カーラント、カッシー、カモミル、ガランガ、カリン、ガンビア、グァバ、グーズベリー、クスノキ、クチナシ、クベバ、クミン、クランベリー、コーラ、サンショウ、サンダラック、サンダルウッド、サンダルレッド、シソ、シベット、ジャスミン、ショウガ、ジンセン、シンナモン、スターフルーツ、スチラックス、スペアミント、ゼラニウム、タイム、タバナ、タンジー、タンジェリン、チャンパカ、チュベローズ、ツバキ、ディタニー、トルーバルサム、トンカ、ナッツ、ナツメ、ナツメグ、ナンテン、ニアウリ、ニンジン、バイオレット、パイナップル、ハイビスカス、ハチミツ、ハッカ、パッションフルーツ、バニラ、バラ、ヒソップ、ヒノキ、フーゼル油、ブチュ、ペパーミント、ペピーノ、ベルベナ、ボアドローズ、ポポー、ボルドー、ボロニア、マツ、マンゴー、ミツロウ、ミモザ、ミルフォイル、ムスク、メープル、メリッサ、メロン、モモ、ヤラヤラ、ラベンダー、リキュール、リツェア、リンデン、ルー、レンブ、ローズマリー、ロベージ等を本発明の香料成分として使用することもできる。
【0030】
香料は、本発明の香料組成物を調製する際に、液状で使用してもよいが、必要に応じて、減圧乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等の乾燥処理を行い、液体分を低減又は除去することにより、濃縮液状、半固形状、固形状、又は粉末状にしたものを使用してもよい。
【0031】
本発明の香料組成物における香料成分の総含有量は、香料成分の種類に応じて適宜変更することも可能であるが、組成物中0.1〜99.8質量%であることが好ましい。より好ましくは、例えば、スプレー液などの液体中においては、1〜30質量%であり、粉末香料組成物のような固体の乾燥組成物中においては、1〜60重量%である。
【0032】
(シクロデキストリン)
本発明で使用できるシクロデキストリンは、一般に入手可能なものであれば限定はされない。シクロデキストリンは、澱粉の酵素転換によって生成された環状構造を有するデキストリンであることが知られており、環状デキストリンとも呼ばれている。構成するグルコースの単位により、α、βまたはγタイプが存在することが知られているが、本発明で使用されるシクロデキストリンは、これらのいずれか或いは組み合わせたものであってもよい。厳密に区別することは困難であり、限定はされないが、好ましいのはαタイプのシクロデキストリンを主に含み、βタイプ及び/又はγタイプと組み合わせられたシクロデキストリンである。
【0033】
本発明の香料組成物におけるシクロデキストリンの総含有量は、香料成分の量や種類に応じて適宜変更することも可能であるが、組成物中0.1〜99.8質量%であることが好ましく、より好ましくは、1〜50質量%である。
【0034】
本発明の香料組成物におけるシクロデキストリンの含有割合は、香料成分1質量部に対して、シクロデキストリン0.1〜99.9質量部、より好ましくは、1〜50質量部であり得る。この範囲内の割合であれば、香料組成物の使用に際して、香料成分の香気を効果的に付与することができると共に、本発明の効果を十分発揮することができる。
【0035】
(増粘性多糖類)
本発明の香料組成物に含まれる増粘性多糖類は、限定はされないが、飲食品または経口医薬品への使用が許可されている可食性の増粘多糖類が好ましく用いられる。
かかる増粘多糖類としては、例えば、キサンタンガム、ガラクトマンナン(例えば、ローカストビーンガム、グァーガム、タラガムなど)、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、カラギナン(例えば、カッパ型、イオタ型、ラムダ型など)、タマリンドシードガム、グルコマンナン、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、寒天、ゼラチン、ペクチン(例えば、HMペクチン、LMペクチンなど)、アルギン酸、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウムなど)、プルラン、カードラン、トラガントガム、ガティガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、カラヤガム、ファーセレラン、キチン、ウェランガム、セルロース類(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、発酵セルロース、結晶セルロースなど)、デンプン類(例えば、デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルボキシメチルスターチ、ヒドロキシプロピルスターチ、α化デンプン、リン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプン、酢酸デンプンなど)及び大豆多糖類などを挙げることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
【0036】
本発明では、増粘多糖類の中でも、特にキサンタンガム、セルロース、カルボキシメチルセルロース、発酵セルロース、及びグァーガムからなる群より選択される少なくとも1種以上が好適に用いられる。
【0037】
増粘性多糖類の2種以上の組み合わせとしては、制限されないものの、キサンタンガムとグァーガムの組み合わせ、キサンタンガムとローカストビーンガムの組み合わせ、キサンタンガムとカラギナンの組み合わせ、キサンタンガムとグァーガムとローカストビーンガムの組み合わせ、キサンタンガムとカルボキシメチルセルロースと発酵セルロースの組み合わせなどを挙げることができる。
【0038】
本発明の香料組成物における増粘性多糖類の総含有量は、増粘性多糖類あるいは香料の種類に応じて適宜変更することも可能であるが、組成物中0.01〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.05〜5.0質量%である。
【0039】
香料成分に対する増粘性多糖類の配合割合は、香料成分1質量部に対して、好ましくは、増粘性多糖類0.001〜5.0質量部、より好ましくは、0.01〜1.0質量部であり得る。この範囲内の割合であれば、香料組成物の使用に際して、香料成分の香気を効果的に付与することができると共に、本発明の効果を十分発揮することができる。
【0040】
(他の成分)
本発明の香料組成物は、シクロデキストリン、増粘多糖類、および香料成分の他に、さらに、水を含有することができる。本発明の香料組成物における水の含有量としては、限定はされないが、含まれる場合には、20〜99質量%、好ましくは、40〜90質量%、より好ましくは50〜80質量%であり得る。
【0041】
本発明の香料組成物は、さらに、その他の成分を含むことができる。例えば、代表的には、酸化防止剤が挙げられる。このうち、油溶性酸化防止剤が好ましく、より好ましくは、トコフェロ−ル類、ローズマリー抽出物、ビタミンCパルミテ−トなどの油溶性酸化防止剤が挙げられる。
【0042】
本発明の香料組成物における酸化防止剤の含有量としては、0.0001〜10質量%、好ましくは、0.001〜5質量%、より好ましくは0.01〜1質量%であり得る。
【0043】
本発明の香料組成物は、さらに、その他の成分を含むことができる。これらのその他の成分には、例えば、着色料、調味料、保存料などが挙げられる。
【0044】
本発明の香料組成物に含まれ得る着色料としては、パプリカ色素、マリーゴールド色素、β−カロテンなどの油溶性の着色料のほか、アントシアニン色素等の水溶性色素が挙げられる。
【0045】
この他にも、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、麦芽糖、エリスリトール、トレハロース、マルチトール、パラチノース、キシリトール、ソルビトール、甘草抽出物、ステビア加工甘味料、羅漢果抽出物、ソーマチン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ズルチン、サイクラミン酸、ネオテームなどの甘味料、クエン酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、リン酸などの酸味料、カフェイン、香辛料抽出物、ナリンジン、ニガヨモギ抽出物、ボラペット、メチルチオアデノシン、レイシ抽出物などの苦味料、食塩、塩化カリウムなどの塩味料、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸やそれらのナトリウムもしくはカリウム塩などの旨味料などを添加・混合してもよい。
【0046】
さらには、ビタミンC、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、又は葉酸などの水溶性ビタミン;ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどの油溶性ビタミン;エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、グリセリン、ヘキシルグリコ−ル、ベンジルベンゾエ−ト、トリエチルシトレ−ト、ジエチルフタレ−ト、ハ−コリン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、中鎖脂肪酸ジグリセリドなどの香料保留剤;乳化剤等を加えることもできる。
【0047】
(香料組成物の調製方法)
本発明の香料組成物の調製方法は、特に限定はされないが、シクロデキストリン、増粘性多糖類、および香料成分を含有する溶液をホモジナイザー等で処理することで調製することができる。この際の液温は、限定はされないが、50〜80℃、好ましくは55〜70℃、さらに好ましくは60℃程度の状態である。限定はされないが、好ましくは、シクロデキストリンおよび増粘性多糖類を含む溶液を予め50〜80℃程度に加温し、そこへ香料成分を添加混合する方法;シクロデキストリン溶液を加温し、そこへ増粘性多糖類、その後に香料成分を添加混合する方法が挙げられる。
【0048】
本発明の香料組成物を調製する際に、シクロデキストリンは、予め調製したシクロデキストリン溶液の状態で添加されても良い。シクロデキストリン溶液は、水にシクロデキストリンを添加し溶解させて得たものである。かかる溶解させる方法は、公知の方法に従えばよく、特別な条件等の設定は必要とされない。
【0049】
本発明の香料組成物を調製する際に、ホモジナイザーを使用する場合、任意の条件(例 回転数:500〜3500rpm、時間:1〜90分)で処理することができる。
【0050】
ホモジナイザー等による攪拌処理にかかる回転速度・処理時間の条件は、包接する香料成分の量や質によって適宜調節し実施することができる。シクロデキストリンへの包接が困難な成分であれば、攪拌速度を速く処理時間を長めにし、包接が容易に進む油脂成分であれば、攪拌速度を遅くし処理時間を短くすればよい。
【0051】
[根詰まり又は目詰まり防止方法又は噴霧効率の向上方法]
本発明の香料組成物は、さらに必要に応じて、篩のような細孔に通過させることができる。あるいは、噴霧乾燥(スプレードライ)等によって粉末化することができる。さらに、該粉末化した組成物を公知の技術によって凝集・固着させ、取扱いが容易な顆粒・固形物とすることもできる。ここで、細孔通過前あるいは噴霧乾燥処理前の香料組成物は、限定はされないが、好ましくは、粘度350cp以下、より好ましくは、粘度250cp以下の溶液であり得る。
【0052】
本発明の香料組成物は、シクロデキストリンと香料を含む組成物によく見られる固形物層の分離が抑制され、細孔の通過において、根詰まり又は目詰まりを起こしにくい特性を有する。従って、より具体的には、香料組成物を噴霧乾燥して、粉末状の香料組成物を得る方法において、細孔を通過させる工程を含む噴霧効率を向上させることができる。細孔は、噴霧乾燥時のスプレーノズル及び/又は網状物であり得る。すなわち、本発明においては、増粘性多糖類とシクロデキストリンとを含む液を調製する工程;香料成分を混合して香料組成物を得る工程;および該香料組成物を噴霧乾燥する工程を含み、噴霧効率を向上させる方法とすることができる。
【0053】
本発明では、香料、シクロデキストリン及び増粘性多糖類を含有する、噴霧乾燥時の噴霧効率向上した香料組成物を噴霧乾燥して、粉末状香料組成物を得ることができる。噴霧条件は当業者に公知の通常の条件であれば特に問題はない。噴霧時又は噴霧に際して通過させる細孔のサイズは、限定はされないが、好ましくは1μm〜500μm、より好ましくは10〜300μmであり得る。細孔が、網状物中にある場合、メッシュサイズは、30〜300メッシュであり得る。
【0054】
本発明においては、
増粘性多糖類とシクロデキストリンとを含む液を調製する工程;
該調製した液に香料成分を混合して香料組成物を得る工程;および
該香料組成物を噴霧乾燥する工程を含む方法によって、粉末状香料組成物を得ることができる。
【0055】
本明細書において、細孔とは、限定はされず、網、篩などの網状物に含まれる孔、又は、噴霧乾燥機の噴霧用ノズルの孔等細かな目であれば、すべて含む。
【0056】
本明細書において、粉末状とは、粉体あるいは顆粒のいずれも含む。
【0057】
本発明において、噴霧乾燥を行う際の機器としては、アトマイザー(噴霧器)として、加圧ノズル(一流体ノズル)、二流体ノズル、回転円盤式(ディスク式)を備えた噴霧乾燥機が使用されて得る。このような噴霧乾燥機のなかで、乾燥粉の平均粒径が1〜500μm、好ましくは10〜300μmであり得ることから、このような平均粒径を得ることができる噴霧装置として、加圧噴霧ノズルが好ましい。加圧噴霧乾燥に当たっては、モノノズルやマルチノズルなどいずれのノズルであっても使用が可能である。また、二流体ノズルを備えた噴霧乾燥機は、微細な粒子径の微粒子粉末を得るのに適しており、微細な粒子径の粉末を得る際には好ましい。
【0058】
噴霧乾燥機を用いる場合に、予め、液状の香料組成物を網濾過することも望ましい。網濾過に用いる網としては、30〜300メッシュの網を用いることが好ましく、50〜250メッシュの網を用いることがより好ましい。
【0059】
本発明の香料組成物は、網濾過の際にも、直接ノズルから噴霧する際にも根詰まり又は目詰まりをおこしにくい性質を有しており、これらの工程に好ましく用いることができる。
【0060】
[香料組成物を用いた製品]
本発明の香料組成物は、例えば、医薬品、医薬部外品、飲食品等の製品であり得る。さらに、本発明の香料組成物は、香粧品、芳香剤、日用雑貨、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、身体洗浄剤、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、トイレタリー製品、医薬品、飲食品等の製品に配合して、各種製品の香味付けに用いることもできる。
【0061】
本発明の香料組成物によって香味付けすることのできる医薬品としては、例えば、錠剤
(例えば、糖衣錠)、顆粒剤、液剤、カプセル剤、トローチ剤、及びうがい薬等の経口医薬品、ハップ剤、軟膏剤などの皮膚外用剤などを挙げることができる。
【0062】
前記医薬部外品の例としては、栄養助剤、各種サプリメント、口臭予防剤、口中清涼剤、養毛剤、及び育毛剤等が挙げられる。
【0063】
本発明の香料組成物によって香味付けすることのできる飲食品としては、
飲料及びアルコール飲料等の飲料類;
冷菓(例えば、アイスキャンディ、アイスクリーム等)、砂糖菓子(例えば、キャンディ、ヌガー、グミ、マシュマロ、チューインガム、チョコレート等)、パティスリー(例えば、ケーキ、クッキー、マカロン、ゼリー、プリン、ババロア等)、スナック菓子、和菓子(例えば、団子、煎餅、ドーナツ、カステラ等)、等の菓子類;
乾燥野菜、及び漬け物等の農産加工品;
蒲鉾等の海産物加工品;
麺類、米飯、パン等の穀類加工品;
調味料;
シロップ、ジャム等;並びに
畜肉加工品等が挙げられる。
【0064】
本発明の香料組成物によって香味付けすることのできる香粧品としては、例えば、香水などのフレグランス製品、基礎化粧品(洗顔クリーム、バニシングクリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、メイク落としなど)、仕上げ化粧品(ファンデーション、タルカムパウダー、口紅、リップクリーム、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、眉墨、アイパック、ネイルエナメル、エナメルリムバーなど)、頭髪化粧品(ポマード、ブリランチン、セットローション、ヘアーステック、ヘアーソリッド、ヘアーオイル、ヘアートリートメント、ヘアークリーム、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアースプレー、バンドリン、養毛剤、染毛剤など)、日焼け化粧品(サンタン製品、サンスクリーン製品など)、薬用化粧品(制汗剤、アフターシェービングローション及びジェル、パーマネントウェーブ剤、薬用石鹸、薬用シャンプー、薬用皮膚化粧料など)が挙げられる。
【0065】
本発明の香料組成物によって香味付けすることのできる芳香剤としては、固形状タイプ、ゲル状タイプ、リキッドタイプなどが挙げられる。
本発明の香料組成物によって香味付けすることのできるトイレタリー製品としては、例えば、化粧石鹸、浴用石鹸、香水石鹸、透明石鹸、合成石鹸などが挙げられる。
本発明の香料組成物によって香味付けすることのできる身体洗浄剤としてはボディソープ、ボディシャンプー、ハンドソープなどが挙げられる。
本発明の香料組成物によって香味付けすることのできるヘアケア製品としてはシャンプー、リンス、リンスインシャンプー、コンディショナー、トリートメント、ヘアパック、ヘアカラーなどが挙げられる。
本発明の香料組成物によって香味付けすることのできるスキンケア製品としてはリップクリーム、ハンドクリーム、シェービング製品(シェービングフォームなど)が挙げられる。
本発明の香料組成物によって香味付けすることのできる浴用剤としては、入浴剤(バスソルト、バスタブレット、バスリキッド等)、フォームバス(バブルバス等)、バスオイル(バスパフューム、バスカプセル等)、ミルクバス、バスジェリー、バスキューブなどが挙げられる。
本発明の香料組成物によって香味付けすることのできる口腔用品としては歯磨き粉、口腔洗浄料、マウスウォッシュ、トローチ、チューインガム類などなどが挙げられる。
【0066】
本発明の香料組成物によって香味付けすることのできる洗剤としては、例えば、洗剤(衣料用重質洗剤、衣料用軽質洗剤、液体洗剤、洗濯石鹸、コンパクト洗剤、粉石鹸など)、柔軟仕上げ剤(ソフナー、ファーニチャーケアなど)、洗浄剤(クレンザー、ハウスクリーナー、トイレ洗浄剤、浴室用洗浄剤、ガラスクリーナー、カビ取り剤、排水管用洗浄剤など)、台所用洗剤(台所用石鹸、台所用合成石鹸、食器用洗剤など)、漂白剤(酸化型漂白剤(塩素系漂白剤、酸素系漂白剤等)、還元型漂白剤(硫黄系漂白剤等)、光学的漂白剤など)などを挙げることができる。
本発明の香料組成物によって香味付けすることのできる日用雑貨としては、例えば、消臭・芳香剤(固形状タイプ、ゲル状タイプ、リキッドタイプなど)、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどを挙げることができる。
【0067】
本発明の香料組成物を用いて、各種製品を香気付けする方法は、香気付けする製品の種類や製品の最終形態(例えば液体状、固体状、粉末状、ゲル状、ミスト状、エアゾール状などの製品形態)に応じて適宜選択できる。
【実施例】
【0068】
本発明について、以下に実施例をあげて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0069】
(実施例1−1)
香料組成物の調製1
表1の処方の実施例1の項に記載の通り、水に、シクロデキストリン、デキストリン、キサンタンガムを添加し、90℃に加温してホモジナイザーで混合した。この混合液に、バター香料とトコフェロールを添加し、成分をよく分散させて、スプレー液として用いることができる香料組成物を調製した。
【0070】
(実施例2−1)
香料組成物の調製2
表1の処方に基づき、キサンタンガムをカルボキシメチルセルロースにした以外は、実施例1−1と同様にして、香料組成物を調製した。
【0071】
(実施例3−1)
香料組成物の調製3
表1の処方に基づき、キサンタンガムを発酵セルロースにした以外は、実施例1−1と同様にして、香料組成物を調製した。
【0072】
(比較例1)
香料組成物の調製4
表1の処方に基づき、キサンタンガムを添加しなかった点以外は、実施例1−1と同様にして、香料組成物を調製した。
【0073】
【表1】
【0074】
(実施例1−2〜3−3)
香料組成物の調製
実施例1〜3と同様にして、表2に示す組成物を調製した。
【0075】
【表2】
【0076】
<固形物層分離評価>
実施例および比較例で調製した香料組成物を、60℃にて静置し、4時間まで同じ状態で固形物層の分離の有無を経時的に観察した。その結果を表3に示す。
ここで、表3中、点数は、固形物層の高さ/液面の高さを表す。なお、本検討は、根詰まり防止の1つの指標として行った。噴霧乾燥工程の際に、不溶物がタンク底に沈殿することで、タンク底にある配管から沈殿物が分散されることなくそのまま送液されてしまうと、その堆積物がスプレーノズルでの根詰まりの原因となる。この為、固形物層分離評価結果が良好であれば、根詰まりが防止できると考えられる。
【0077】
【表3】
【0078】
表3から明らかな通り、実施例の調製液は、固形物層の分離が抑えられ、製造時の香料組成物中の液詰まりが改善された。特に実施例1−2、1−3、2−1、2−2、2−3、3−1、3−2、3−3の調製液では、4時間経過後も全く固形物層の分離が見られなかった。一方、比較例1の調製液では、1時間後から、分離が見られた。
【0079】
<メッシュパス評価>
実施例および比較例の香料組成物を使用して、100メッシュパス試験を行った。すなわち、各香料組成物が、全量通過できるか否かを評価した。溶液温度は60℃にて、メッシュ(線径0.10mm、空間0.154mm、空間率36.8%)に溶液を1kg投入したのち30秒静置し、メッシュ上に不溶物が残るかどうか目視で確認した。この時の粘度は、200cpであった。〇は、全量通過、×は全量通過しなかったことを示す。
【0080】
【表4】
【0081】
表4から明らかな通り、実施例の香料組成物は、メッシュへの根詰まり又は目詰まりは認められなかった。この為、スプレーノズルの配管やメッシュの根詰まり又は目詰まりがなく、効率的に噴霧乾燥が行われることがわかった。