特許第6754507号(P6754507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6754507
(24)【登録日】2020年8月25日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】熱抑制ユニット
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/34 20060101AFI20200831BHJP
   A47B 77/08 20060101ALI20200831BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20200831BHJP
   F24F 13/08 20060101ALI20200831BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20200831BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20200831BHJP
   F24F 9/00 20060101ALI20200831BHJP
   F24F 13/26 20060101ALI20200831BHJP
   F24F 11/33 20180101ALI20200831BHJP
   F24F 11/65 20180101ALI20200831BHJP
   F24C 15/36 20060101ALI20200831BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20200831BHJP
【FI】
   F24C15/34 D
   A47B77/08 A
   F24F7/06 101Z
   F24F13/08 A
   F24F13/02 D
   F24F7/007 C
   F24F13/02 A
   F24F9/00 E
   F24F9/00 L
   F24F9/00 J
   F24F13/26
   F24F11/33
   F24F11/65
   F24C15/36 B
   F24F110:10
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-2412(P2020-2412)
(22)【出願日】2020年1月9日
【審査請求日】2020年1月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼屋 駿介
(72)【発明者】
【氏名】浅輪 泰久
【審査官】 八木 敬太
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−109647(JP,U)
【文献】 実公昭47−006215(JP,Y1)
【文献】 実開昭58−126627(JP,U)
【文献】 実開平02−064836(JP,U)
【文献】 独国特許出願公開第102017216456(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0051010(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/34、15/36
F24F 7/007
F24F 7/06
F24F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風を行う送風手段と、
加熱調理機器と調理人との間の位置に設けられ、前記送風手段に送られた空気を、当該位置を基準としたときの当該調理人側とは反対側へ誘導する誘導手段と、
前記加熱調理機器の周りに設けられ、当該加熱調理機器側に開口が形成された第1開口部を有する周囲部材と、
前記第1開口部に形成された前記開口を介して吸気を行う吸気手段と、を備え、
前記誘導手段は、前記周囲部材に設けられ、
前記周囲部材は、前記送風手段に送られた空気が通る開口が形成された第2開口部を有し、
前記第2開口部に形成された前記開口は、前記吸気手段による吸気が行われる場合に閉じられることを特徴とする熱抑制ユニット。
【請求項2】
加熱調理機器と調理人との間に設けられ、当該調理人側とは反対側に開口が形成された開口部を有する壁部と、
前記開口部に形成された前記開口を介して吸気を行う吸気手段と、
を備える熱抑制ユニット。
【請求項3】
前記吸気手段に吸気された空気を排気フードへ誘導する誘導部材をさらに備えることを特徴とする請求項記載の熱抑制ユニット。
【請求項4】
送風を行う送風手段と、
加熱調理機器と調理人との間の位置に設けられ、前記送風手段に送られた空気を、当該位置を基準としたときの当該調理人側とは反対側へ誘導する誘導手段と、
前記加熱調理機器の周りに設けられ、当該加熱調理機器側に開口が形成された第1開口部を有する周囲部材と、
前記第1開口部に形成された前記開口を介して吸気を行う吸気手段と、
前記加熱調理機器が設けられた空間の温度を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に応じて、前記送風手段および前記吸気手段のうちの何れかを運転させる制御手段と、
を備え、
前記検出手段は、前記空間における複数の領域の温度を検出し、
前記制御手段は、予め定められた温度以上の温度が前記検出手段に検出された領域に応じて、前記送風手段および前記吸気手段のうちの何れかを運転させることを特徴とする熱抑制ユニット。
【請求項5】
送風を行う送風手段と、
加熱調理機器と調理人との間の位置に設けられるとともに少なくとも一部が上下方向において当該加熱調理機器と重なるように設けられ、前記送風手段に送られた空気を、当該位置を基準としたときの当該調理人側とは反対側へ誘導する誘導部材と、
を備える熱抑制ユニット。
【請求項6】
前記加熱調理機器の幅方向に設けられ、上側に延びる壁部をさらに備えることを特徴とする請求項記載の熱抑制ユニット。
【請求項7】
前記加熱調理機器の周りに設けられ、当該加熱調理機器側に開口が形成された第1開口部を有する周囲部材と、
前記第1開口部に形成された前記開口を介して吸気を行う吸気手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項記載の熱抑制ユニット。
【請求項8】
送風を行う送風手段と、
加熱調理機器と調理人との間の位置に設けられ、前記送風手段に送られた空気を、当該位置を基準としたときの当該調理人側とは反対側へ誘導する誘導手段と、
前記加熱調理機器の周りに設けられ、当該加熱調理機器側に開口が形成された第1開口部を有する周囲部材と、
前記第1開口部に形成された前記開口を介して吸気を行う吸気手段と、
前記加熱調理機器が設けられた空間の温度を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に応じて、前記送風手段および前記吸気手段のうちの何れを運転させるかを制御する制御手段と、
を備える熱抑制ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱抑制ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、テーブルの上面にガスバーナの火口を設けて成るテーブルレンジにおいて、上記火口の前方にテーブル上面より出入り自在の遮熱板を設けると共に、該遮熱板を昇降操作する手段を設け、該遮熱板の突出状態では遮熱板が火口から前方への熱輻射を遮断するようにしたことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−296936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される従来技術においては、遮熱板の突出状態では遮熱板が加熱調理機器から前方への輻射熱を遮断することができるが、加熱調理機器に熱せられた空気が調理人に向かって流れ、この空気が調理人に伝わることがある。
【0005】
本発明は、加熱調理機器に熱せられた空気が調理人に伝わることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、送風を行う送風手段と、加熱調理機器と調理人との間の位置に設けられ、前記送風手段に送られた空気を、当該位置を基準としたときの当該調理人側とは反対側へ誘導する誘導手段と、前記加熱調理機器の周りに設けられ、当該加熱調理機器側に開口が形成された第1開口部を有する周囲部材と、前記第1開口部に形成された前記開口を介して吸気を行う吸気手段と、を備え、前記誘導手段は、前記周囲部材に設けられ、前記周囲部材は、前記送風手段に送られた空気が通る開口が形成された第2開口部を有し、前記第2開口部に形成された前記開口は、前記吸気手段による吸気が行われる場合に閉じられることを特徴とする熱抑制ユニットである。
請求項2に記載の発明は、加熱調理機器と調理人との間に設けられ、当該調理人側とは反対側に開口が形成された開口部を有する壁部と、前記開口部に形成された前記開口を介して吸気を行う吸気手段と、を備える熱抑制ユニットである。
請求項3に記載の発明は、前記吸気手段に吸気された空気を排気フードへ誘導する誘導部材をさらに備えることを特徴とする請求項記載の熱抑制ユニットである。
請求項4に記載の発明は、送風を行う送風手段と、加熱調理機器と調理人との間の位置に設けられ、前記送風手段に送られた空気を、当該位置を基準としたときの当該調理人側とは反対側へ誘導する誘導手段と、前記加熱調理機器の周りに設けられ、当該加熱調理機器側に開口が形成された第1開口部を有する周囲部材と、前記第1開口部に形成された前記開口を介して吸気を行う吸気手段と、前記加熱調理機器が設けられた空間の温度を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に応じて、前記送風手段および前記吸気手段のうちの何れかを運転させる制御手段と、を備え、前記検出手段は、前記空間における複数の領域の温度を検出し、前記制御手段は、予め定められた温度以上の温度が前記検出手段に検出された領域に応じて、前記送風手段および前記吸気手段のうちの何れかを運転させることを特徴とする熱抑制ユニットである。
請求項5に記載の発明は、送風を行う送風手段と、加熱調理機器と調理人との間の位置に設けられるとともに少なくとも一部が上下方向において当該加熱調理機器と重なるように設けられ、前記送風手段に送られた空気を、当該位置を基準としたときの当該調理人側とは反対側へ誘導する誘導部材と、を備える熱抑制ユニットである。
請求項6に記載の発明は、前記加熱調理機器の幅方向に設けられ、上側に延びる壁部をさらに備えることを特徴とする請求項記載の熱抑制ユニットである。
請求項7に記載の発明は、前記加熱調理機器の周りに設けられ、当該加熱調理機器側に開口が形成された第1開口部を有する周囲部材と、前記第1開口部に形成された前記開口を介して吸気を行う吸気手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項記載の熱抑制ユニットである。
請求項8に記載の発明は、送風を行う送風手段と、加熱調理機器と調理人との間の位置に設けられ、前記送風手段に送られた空気を、当該位置を基準としたときの当該調理人側とは反対側へ誘導する誘導手段と、前記加熱調理機器の周りに設けられ、当該加熱調理機器側に開口が形成された第1開口部を有する周囲部材と、前記第1開口部に形成された前記開口を介して吸気を行う吸気手段と、前記加熱調理機器が設けられた空間の温度を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に応じて、前記送風手段および前記吸気手段のうちの何れを運転させるかを制御する制御手段と、を備える熱抑制ユニットである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、加熱調理機器に熱せられた空気が調理人に伝わることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る熱抑制ユニットの全体構成例を示した図である。
図2】熱抑制ユニットを図1の矢印II方向から眺めた場合の図である。
図3】実施形態2における熱抑制ユニットの全体構成例を示した図である。
図4】(a)乃至(d)は、カバー部材の説明図である。
図5】制御装置の制御モードの説明図である。
図6】ファン制御処理の流れを示したフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
〔実施形態1〕
<熱抑制ユニットの構成>
図1は、本実施形態に係る熱抑制ユニット1の全体構成例を示した図である。また、図2は、熱抑制ユニット1を図1の矢印II方向から眺めた場合の図である。なお、以下では、図1に示す熱抑制ユニット1の紙面手前側を「前側」と称し、紙面奥側を「後側」と称し、これらの方向を「前後方向」と称して説明する。また、図1に示す熱抑制ユニット1の紙面左側を「左側」と称し、紙面右側を「右側」と称し、これらの方向を「左右方向」と称して説明する。さらに、図1に示す熱抑制ユニット1の紙面上側を「上側」と称し、紙面下側を「下側」と称し、これらの方向を「上下方向」と称して説明する。
【0010】
本実施形態に係る熱抑制ユニット1は、加熱調理機器に熱せられた空気に向かって送風することで、加熱調理機器に熱せられた空気が調理人に伝わることを抑制する。加熱調理機器とは、調理の際に加熱される機器である。また、調理人とは、加熱調理機器を用いて調理を行うユーザである。
【0011】
加熱調理機器としては、例えば、フライパン、グリラー、鍋、オーブン、フライヤー、ゆで器、釜、炊飯器、焼物器、ホットプレート等が挙げられる。ゆで器には、ゆで麺器およびゆで卵器が含まれる。また、調理の際に熱を発生する機器も、広義には、加熱調理機器に含まれる。そのため、レンジ、コンロ、かまど等も、加熱調理機器に含まれる。図示の例では、作業台Dの上に、加熱調理機器Mとしてのグリラーが設けられている。
【0012】
熱抑制ユニット1は、カバー部材10と、給気ファン20と、給気接続部材30と、排気フードHとを備える。
周囲部材の一例としてのカバー部材10は、作業台Dの上において、加熱調理機器Mの前側に設けられている。より具体的には、カバー部材10は、前後方向において、加熱調理機器Mと調理人との間の位置に設けられている。
【0013】
カバー部材10は、直方体の形状を有するとともに、中空になっている。また、カバー部材10は、水平面に対して傾いて設けられている。より具体的には、カバー部材10は、上面11が上側および後側を向くように設けられている。言い換えると、カバー部材10は、上面11が、カバー部材10が設けられている位置を基準としたときの調理人側とは反対側を向くように設けられている。カバー部材10は、水平面に対する傾きの程度を調整可能に設けられている。図示の例では、カバー部材10の水平面に対する傾きの角度は、45°である。
【0014】
また、カバー部材10は、加熱調理機器Mよりも左側から加熱調理機器Mよりも右側にわたって設けられている。
また、カバー部材10は、一部が、上下方向において加熱調理機器Mと重なっている。より具体的には、カバー部材10は、上面11の一部および後面12の一部が、加熱調理機器Mの上側において加熱調理機器Mと重なっている。
【0015】
また、カバー部材10には、給気接続部材30が取り付けられている。図示を省略するが、カバー部材10は、給気接続部材30が取り付けられている部分が開口しており、この開口は、カバー部材10の中空の部分に繋がっている。
また、カバー部材10の上面11には、開口が形成された開口部11Hが設けられている。この開口部11Hに形成された開口は、カバー部材10の中空の部分に繋がっている。開口部11Hにおける開口は、加熱調理機器Mよりも左側から加熱調理機器Mよりも右側にわたって形成されている。なお、開口部11Hは、第2開口部として捉えられる。
【0016】
カバー部材10には、断熱性を有する材料が含まれている。断熱性を有する材料としては、例えば、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー、ウールブレス、発泡性の樹脂などが挙げられる。さらに、カバー部材10には、不燃材料が含まれている。不燃材料としては、例えば、金属材料が挙げられる。金属材料としては、例えば、ステンレスやアルミニウム等が挙げられる。
【0017】
送風手段の一例としての給気ファン20は、送風を行うファンである。
給気接続部材30は、中空の部材である。この給気接続部材30は、一端が給気ファン20の給気口(不図示)に取り付けられ、他端がカバー部材10に取り付けられている。これにより、カバー部材10における中空の部分と、給気ファン20の給気口とが、給気接続部材30を介して繋がれる。
排気フードHは、カバー部材10および加熱調理機器Mの上側に設けられている。排気フードHには、ダクト(不図示)を介して排気ファン(不図示)が取り付けられている。排気ファンが運転すると、排気フードHの周囲の空気は、排気フードHを通ってダクトの内部に入り込み、排気ファンに排気される。
【0018】
給気ファン20から送り出された空気SAは、給気接続部材30の内部を介してカバー部材10の内部に入り、カバー部材10の開口部11Hに形成された開口から放出される(図2参照)。このようにして、給気ファン20から送り出された空気SAは、カバー部材10の開口部11Hから上側および後側に誘導される。そのため、カバー部材10は、給気ファン20に送られた空気を誘導する誘導手段としても捉えられる。
加熱調理機器Mに熱せられた空気HAは、カバー部材10から放出された空気SAの風圧を受けると、調理人側へ向かわずに排気フードHや後側へ向かう。
【0019】
このように、本実施形態では、カバー部材10が、加熱調理機器Mと調理人との間の位置に設けられている。
この場合、調理の際に輻射熱として加熱調理機器Mから放出された熱の少なくとも一部は、カバー部材10に遮られ、調理人には伝わらなくなる。そのため、加熱調理機器Mから放出された熱が調理人に伝わることが抑制される。
【0020】
また、本実施形態では、カバー部材10は、給気ファン20に送られた空気を、カバー部材10が設けられた位置を基準としたときの調理人側とは反対側へ誘導する。
この場合、加熱調理機器Mに熱せられた空気が調理人に伝わることが抑制される。
【0021】
<実施例>
次に、本発明者が行った実施例について説明する。
本発明者は、加熱調理機器Mを用いた調理の際に図1に示した熱抑制ユニット1を用いて送風を行ったときの、調理人に伝わる熱について評価を行った。この実施例においては、上面11から下面13までの長さが75mmであり、前面14から後面12までの厚さが20mmであるカバー部材10を用いた。また、カバー部材10の水平面に対する傾きの角度を、45°とした。さらに、熱抑制ユニット1が設けられた空間の気温は、28℃であった。
【0022】
表1は、実施例の結果を示す表であって、給気ファン20による送風が行われなかったときと調理人に伝わる熱との関係、および、給気ファン20による送風が行われたときと調理人に伝わる熱との関係を示した表である。
【0023】
【表1】
【0024】
表1について、「給気ファン」の「送風なし」は、加熱調理機器Mを用いた調理の際に給気ファン20による送風が行われなかったことを意味する。また、「給気ファン」の「送風あり」は、加熱調理機器Mを用いた調理の際に給気ファン20による送風が行われたことを意味する。
また、「腹部」の「温度」は、加熱調理機器Mを用いた調理の際における調理人の腹部の温度を意味する。また、「胸部」の「温度」は、加熱調理機器Mを用いた調理の際における調理人の胸部を意味する。また、「顔部」の「温度」は、加熱調理機器Mを用いた調理の際における調理人の顔の部分の温度を意味する。なお、「温度」は、サーモグラフィを用いて測定された温度である。
【0025】
表1に示すように、「給気ファン」の「送風なし」よりも、「給気ファン」の「送風あり」の方が、「腹部」の「温度」が低いことがわかる。また、「給気ファン」の「送風なし」よりも、「給気ファン」の「送風あり」の方が、「胸部」の「温度」が低いことがわかる。また、「給気ファン」の「送風なし」よりも、「給気ファン」の「送風あり」の方が、「顔部」の「温度」が低いことがわかる。つまり、給気ファン20による送風が行われない場合よりも、給気ファン20による送風が行われる場合の方が、加熱調理機器Mを用いた調理の際に調理人に伝わる熱量が低減されることがわかった。これは、給気ファン20による送風が行われる場合には、送風が行われない場合よりも、加熱調理機器Mに熱せられた空気が調理人に伝わることが抑制されるためであると考えられる。
【0026】
〔実施形態2〕
次に、実施形態2における熱抑制ユニット1の構成について説明する。
図3は、実施形態2における熱抑制ユニット1の全体構成例を示した図である。
実施形態2は、給気ファン20を用いて、加熱調理機器に熱せられた空気が調理人に伝わることを抑制する点で、実施形態1と共通する。一方、実施形態2は、給気ファン20を用いることに加えて、加熱調理機器Mに熱せられた空気を吸気する吸気手段を用いて、加熱調理機器に熱せられた空気が調理人に伝わることを抑制する点で、実施形態1と異なる。
なお、実施形態2の説明において、実施形態1と同様の構成については、同一の符号を用いる。また、実施形態2の説明において、実施形態1と同様の構成については、説明を省略することがある。
【0027】
本実施形態の熱抑制ユニット1は、カバー部材10と、給気ファン20と、給気接続部材30と、吸気ファン40と、吸気接続部材50と、誘導部材60と、板部材70と、温度検出機器80と、制御装置90と、排気フードHとを備える。カバー部材10、給気ファン20、吸気ファン40、および温度検出機器80と、制御装置90とは、ネットワークを介して接続されている。カバー部材10、給気ファン20、吸気ファン40、および温度検出機器80と、制御装置90との接続に用いられるネットワークは、データの送受信が可能であれば、その種類は特に限定されない。データの送受信に用いられる通信回線は、有線であっても無線であっても良い。また、複数のネットワークや通信回線を介して各装置を接続する構成としても良い。
【0028】
本実施形態のカバー部材10には、カバー部材制御部15が設けられている。カバー部材制御部15は、カバー部材10における各部材を制御する。
また、カバー部材10には、吸気接続部材50が取り付けられている。図示を省略するが、カバー部材10は、吸気接続部材50が取り付けられている部分が開口しており、この開口は、カバー部材10の中空の部分に繋がっている。
【0029】
本実施形態の給気ファン20には、給気ファン駆動部21が設けられている。給気ファン駆動部21は、給気ファン20を駆動する。
吸気手段の一例としての吸気ファン40は、吸気を行うファンである。吸気ファン40には、吸気ファン駆動部41が設けられている。吸気ファン駆動部41は、吸気ファン40を駆動する。
吸気接続部材50は、中空の部材である。この吸気接続部材50は、一端が吸気ファン40の吸気口(不図示)に取り付けられ、他端がカバー部材10に取り付けられている。これにより、カバー部材10における中空の部分と、吸気ファン40の吸気口とが、吸気接続部材50を介して繋がれる。
【0030】
誘導部材60は、中空になっている棒状の部材である。誘導部材60は、上下方向に延びて設けられている。誘導部材60は、下側の端部が、吸気ファン40の排気口(不図示)に取り付けられている。また、誘導部材60は、上側の端部が、排気フードHを向いている。
【0031】
壁部の一例としての板部材70は、加熱調理機器Mを囲むように設けられている。板部材70は、板状に形成されている。また、板部材70は、上下方向に延びている。より具体的には、板部材70は、上下方向における長さが、カバー部材10の下面13から上面11までの長さよりも長い。
板部材70には、断熱性を有する材料が含まれている。断熱性を有する材料としては、例えば、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー、ウールブレス、発泡性の樹脂などが挙げられる。さらに、板部材70には、不燃材料が含まれている。不燃材料としては、例えば、金属材料が挙げられる。金属材料としては、例えば、ステンレスやアルミニウム等が挙げられる。
【0032】
板部材70には、左側板部材71と、後側板部材72と、右側板部材73とが設けられている。
左側板部材71は、加熱調理機器Mよりも左側に設けられている。また、左側板部材71は、前後方向に延びて設けられている。
後側板部材72は、加熱調理機器Mよりも後側に設けられている。また、後側板部材72は、左右方向に延びて設けられている。
右側板部材73は、加熱調理機器Mよりも右側に設けられている。また、右側板部材73は、前後方向に延びて設けられている。
【0033】
左側板部材71の後側の端部は、後側板部材72の左側の端部に接続されている。また、後側板部材72の右側の端部は、右側板部材73の後側の端部に接続されている。また、本実施形態では、左側板部材71、後側板部材72、および右側板部材73は、一体として構成されている。ただし、左側板部材71、後側板部材72、および右側板部材73は、それぞれ別々に構成されてもよい。
【0034】
検出手段の一例としての温度検出機器80は、加熱調理機器Mが設けられた空間の温度を検出する。温度検出機器80としては、例えば、サーモグラフィが用いられる。
本実施形態の温度検出機器80は、予め定められた時間ごとに温度の分布を検出する。より具体的には、温度検出機器80は、予め定められた時間ごとに、上下方向において加熱調理機器Mと重なる領域の温度の分布を検出する。温度検出機器80は、温度の分布を検出する度に、検出結果を、制御装置90に送信する。予め定められた時間は、何れの時間であってもよいが、例えば、1分である。
【0035】
制御手段の一例としての制御装置90は、給気ファン20の運転および吸気ファン40の運転を制御する。本実施形態の制御装置90は、温度の分布の検出結果を温度検出機器80から取得すると、この検出結果に応じて、給気ファン20および吸気ファン40の何れかを運転させる。
【0036】
制御装置90には、例えば、不図示のCPU(Central Processing Unit)と、不図示のメモリとが設けられる。そして、このメモリには各機能を実現するためのプログラムが保持され、このプログラムに基づく処理がCPUにより実行されることで、各種の機能が実現される。なお、制御装置90は、コンピュータ、タブレット型情報端末、その他の情報処理装置により実現されてもよい。
【0037】
図4は、カバー部材10の説明図である。
図4(a)に示すように、カバー部材10の内部においては、上面11に、上面スライド部材16が取り付けられている。上面スライド部材16は、板状に形成されている。この上面スライド部材16は、カバー部材制御部15の制御により、図中矢印A方向へ移動可能に設けられている。より具体的には、上面スライド部材16は、図4(a)に示した位置と、図4(b)に示した位置とに移動可能に設けられている。上面スライド部材16は、図4(b)に示した位置において、開口部11Hに形成された開口を塞いでいる。以下では、図4(a)に示した、開口部11Hに形成された開口が上面スライド部材16から開放されている上面スライド部材16の位置を、開口部11Hの開放位置と称する。また、図4(b)に示した、開口部11Hに形成された開口が上面スライド部材16に塞がれている上面スライド部材16の位置を、開口部11Hの閉塞位置と称する。
【0038】
カバー部材10には、モータ(不図示)、および、このモータの回転力を上面スライド部材16の動きに変換するラック・アンド・ピニオン(不図示)が設けられている。カバー部材制御部15(図3参照)は、モータを駆動することで、上面スライド部材16の位置を制御する。
【0039】
また、本実施形態では、図4(c)に示すように、カバー部材10の後面12には、複数の開口部12Hが設けられている。この複数の開口部12Hには、それぞれ、開口が形成されている。この複数の開口部12Hは、何れも、第1開口部として捉えられる。
また、カバー部材10の内部においては、後面12に、後面スライド部材17が取り付けられている。後面スライド部材17は、板状に形成されている。この後面スライド部材17は、カバー部材制御部15の制御により、図中矢印B方向へ移動可能に設けられている。より具体的には、後面スライド部材17は、図4(c)に示した位置と、図4(d)に示した位置とに移動可能に設けられている。後面スライド部材17は、図4(d)に示した位置において、複数の開口部12Hの各々に形成された開口を塞いでいる。なお、以下では、図4(c)に示した、開口部12Hに形成された開口が後面スライド部材17から開放されている後面スライド部材17の位置を、開口部12Hの開放位置と称する。また、図4(d)に示した、開口部12Hに形成された開口が後面スライド部材17に塞がれている後面スライド部材17の位置を、開口部12Hの閉塞位置と称する。
【0040】
カバー部材10には、モータ(不図示)、および、このモータの回転力を後面スライド部材17の動きに変換するラック・アンド・ピニオン(不図示)が設けられている。カバー部材制御部15は、モータを駆動することで、後面スライド部材17の位置を制御する。
【0041】
<制御装置90の制御モード>
図5は、制御装置90の制御モードの説明図である。
次に、制御装置90の制御モードについて説明する。本実施形態では、制御装置90(図3参照)は、加熱調理機器Mを用いた調理の状況に応じた制御モードにより、給気ファン20および吸気ファン40の制御を行う。制御装置90の制御モードとしては、給気ファン運転モードと、吸気ファン運転モードとが設けられている。
【0042】
給気ファン運転モードは、給気ファン20を運転することで給気ファン20から送り出された空気をカバー部材10から放出させるモードである。給気ファン運転モードは、制御装置90の制御により実現する。より具体的には、制御装置90が、カバー部材制御部15に上面スライド部材16および後面スライド部材17を移動させるとともに、給気ファン駆動部21に給気ファン20を運転させることで、給気ファン運転モードが実現する。なお、給気ファン運転モードにおいては、制御装置90は、吸気ファン40を運転させない。
【0043】
給気ファン運転モードにおいては、カバー部材制御部15は、制御装置90の指示を受けて、図5(a)に示すように、上面スライド部材16を開口部11Hの開放位置に移動させ、後面スライド部材17を開口部12Hの閉塞位置に移動させる。そして、給気ファン駆動部21は、制御装置90の指示を受けて、給気ファン20を駆動する。これにより、給気ファン20から送り出された空気SAは、カバー部材10の内部を通り、開口部11Hに形成された開口から放出される。また、このとき、後面スライド部材17が開口部12Hに形成された開口を塞いでいるため、給気ファン20から送り出された空気SAは、開口部12Hに形成された開口からは放出されない。
【0044】
吸気ファン運転モードは、吸気ファン40を運転することで、加熱調理機器Mに熱せられた空気をカバー部材10の内部に取り込むモードである。吸気ファン運転モードは、制御装置90の制御により実現する。より具体的には、制御装置90が、カバー部材制御部15に上面スライド部材16および後面スライド部材17を移動させるとともに、吸気ファン駆動部41に吸気ファン40を運転させることで、吸気ファン運転モードが実現する。なお、吸気ファン運転モードにおいては、制御装置90は、給気ファン20を運転させない。
【0045】
吸気ファン運転モードにおいては、カバー部材制御部15は、制御装置90の指示を受けて、図5(b)に示すように、上面スライド部材16を開口部11Hの閉塞位置に移動させ、後面スライド部材17を開口部12Hの開放位置に移動させる。そして、吸気ファン駆動部41は、制御装置90の指示を受けて、吸気ファン40を駆動する。これにより、加熱調理機器Mに熱せられた空気HAは、開口部12Hに形成された開口からカバー部材10の内部に入り込む。このとき、上面スライド部材16が開口部11Hに形成された開口を塞いでいるため、カバー部材10の内部に入り込んだ空気HAは、開口部11Hに形成された開口からは放出されない。この空気HAは、吸気接続部材50(図3参照)を介して、吸気ファン40に吸気される。吸気ファン40に吸気された空気は、誘導部材60(図3参照)の内部を通り、誘導部材60の上側の端部から、排気フードHに向かって放出される。
【0046】
<ファン制御処理>
次に、ファン制御処理について説明する。
図6は、ファン制御処理の流れを示したフローチャート図である。ファン制御処理は、制御装置90が給気ファン20および吸気ファン40の運転を制御する処理である。ファン制御処理は、予め定められた時間ごとに行われる。予め定められた時間は、何れの時間であってもよいが、例えば、1分である。
【0047】
まず、制御装置90は、上下方向において加熱調理機器Mと重なる領域に、ファン運転温度以上の温度である領域が存在するか否かを判定する(S101)。なお、上下方向において加熱調理機器Mと重なる領域には、加熱調理機器Mが設けられている領域も含まれる。また、ファン運転温度とは、給気ファン20および吸気ファン40の何れかを運転する必要がある温度として定められた温度である。予め定められた温度の一例としてのファン運転温度は、何れの温度であってもよいが、例えば、40℃である。制御装置90は、温度検出機器80による温度の分布の検出結果から、上記の判定を行う。
ステップ101にて否定結果が得られた場合、ファン制御処理が終了する。
【0048】
一方、ステップ101にて肯定結果が得られた場合、次のステップに進む。
制御装置90は、上下方向において加熱調理機器Mと重なる領域であってファン運転温度以上の温度である領域に、給気ファン運転高さ以上の高さの領域が含まれているか否かを判定する(S102)。給気ファン運転高さとは、給気ファン20を運転する必要がある高さとして定められた高さである。給気ファン運転高さは、何れの高さであってもよいが、例えば、作業台Dから30cmの高さである。
【0049】
ステップ102にて肯定結果が得られた場合、制御装置90は、給気ファン運転モードに制御する(S103)。
また、ステップ102にて否定結果が得られた場合、制御装置90は、吸気ファン運転モードに制御する(S104)。
【0050】
本実施形態では、給気ファン運転モードにおいては、カバー部材10の上面11から、この上面11よりも上側の領域に向かって空気が放出される(図5(a)参照)。また、吸気ファン運転モードにおいては、加熱調理機器Mに熱せられた空気がカバー部材10の後面12からカバー部材10の内部に取り込まれる(図5(b)参照)が、この後面12は、下側を向いている。そのため、吸気ファン運転モードよりも、給気ファン運転モードの方が、空間における高い領域に存在する空気に対して作用を及ぼしやすい。また、給気ファン運転モードよりも、吸気ファン運転モードの方が、空間における低い領域に存在する空気に対して作用を及ぼしやすい。
【0051】
そこで、本実施形態では、制御装置90は、加熱調理機器Mに熱せられた空気が存在する領域の高さに応じて、給気ファン20および吸気ファン40の何れを運転させるかを決定している。より具体的には、空気が加熱調理機器Mに熱せられることでファン運転温度以上の温度になった領域の高さに応じて、給気ファン20および吸気ファン40の何れを運転させるかを決定している。
【0052】
なお、給気ファン20および吸気ファン40の何れかの運転中にファン制御処理が行われ、ステップ101にて否定結果が得られた場合、制御装置90は、運転中のファンを停止させる。
【0053】
以上の通り、本実施形態では、吸気ファン40は、カバー部材10の開口部12Hに形成された開口を介して吸気を行う。
この場合、加熱調理機器Mに熱せられた空気は、カバー部材10の内部に取り込まれやすくなる。そのため、加熱調理機器Mに熱せられた空気が調理人に伝わることが抑制される。
【0054】
また、本実施形態では、カバー部材10は、給気ファン20に送られた空気が通る開口が形成された開口部11Hを有する。そして、開口部11Hに形成された開口は、吸気ファン40による吸気が行われる場合に閉じられる。
この場合、吸気ファン40の運転中にカバー部材10の内部に取り込まれた空気が開口部11Hに形成された開口から放出されることが抑制される。
【0055】
また、本実施形態では、温度検出機器80は、空間における複数の領域の温度を検出する。そして、制御装置90は、温度検出機器80の検出結果に応じて、給気ファン20および吸気ファン40のうちの何れかを運転させる。より具体的には、制御装置90は、ファン運転温度以上の温度が温度検出機器80に検出された領域に応じて、給気ファン20および吸気ファン40のうちの何れかを運転させる。
この場合、給気ファン20の運転と、吸気ファン40の運転とを、ファン運転温度以上の温度である領域に対応付けて設定することができる。
【0056】
また、本実施形態では、誘導部材60は、吸気ファン40に吸気された空気を排気フードHへ誘導する。
この場合、吸気ファン40に吸気された空気が調理人に伝わることが抑制される。
【0057】
また、本実施形態では、板部材70は、加熱調理機器Mの幅方向に設けられ、上側に延びている。ここで、加熱調理機器Mの幅方向は、例えば、加熱調理機器Mの左右方向である。
この場合、加熱調理機器Mに熱せられた空気が加熱調理機器Mの幅方向から移動して調理人に伝わることが抑制される。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の範囲には限定されない。上記の実施形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0059】
本発明では、制御装置90が、給気ファン20および吸気ファン40を運転させているが、これに限定されない。
例えば、ユーザが、手動により、給気ファン20および吸気ファン40の何れかを運転させてもよい。また、ユーザが、給気ファン20を運転させる場合に、手動により、カバー部材10の上面スライド部材16を開口部11Hの開放位置に移動させ(図5(a)参照)、後面スライド部材17を開口部12Hの閉塞位置に移動させられるようにカバー部材10が設けられてもよい。また、ユーザが、吸気ファン40を運転させる場合に、手動により、上面スライド部材16を開口部11Hの閉塞位置に移動させ(図5(b)参照)、後面スライド部材17を開口部12Hの開放位置に移動させられるようにカバー部材10が設けられてもよい。
【0060】
また、実施形態2の熱抑制ユニット1には、給気ファン20および吸気ファン40が設けられているが、これに限定されない。実施形態2の熱抑制ユニット1には、給気ファン20および吸気ファン40の一方が設けられ、他方が設けられていなくてもよい。
【0061】
また、例えば、ファンの回転速度が調整可能な給気ファン20や吸気ファン40が設けられてもよい。そして、制御装置90は、例えば、温度検出機器80に検出された温度が高速温度以上の温度である場合には、高速温度未満である場合よりも、給気ファン20や吸気ファン40の回転速度を上げて運転させてもよい。高速温度とは、給気ファン20や吸気ファン40の回転速度を上げる必要がある温度として定められた温度である。高速温度は、何れの温度であってもよいが、例えば、ファン運転温度よりも10℃高い温度である。
【0062】
また、本発明では、送風手段と吸気手段を別々に設けているが、これに限定されない。
例えば、回転方向を変えることができるファンを用いてもよい。そして、送風を行う場合にはファンを一方向に回転させ、吸気を行う場合には送風時とは逆方向にファンを回転させることで、送風手段による送風と吸気手段による吸気とを一のファンにより実現させてもよい。
【0063】
また、カバー部材10の開口部11Hに形成された開口の形状、および開口部12Hに形成された開口の形状は、何れの形状であってもよい。
また、カバー部材10や板部材70の形状は、何れの形状であってもよい。
【0064】
また、本実施形態では、カバー部材10(図1参照)が加熱調理機器Mよりも左側から加熱調理機器Mよりも右側にわたって設けられているが、これに限定されない。
カバー部材10は、左右方向の長さが加熱調理機器Mよりも短くてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、カバー部材10の上面11(図2参照)の一部および後面12の一部が、上下方向において加熱調理機器Mと重なっているが、これに限定されない。
カバー部材10は、上下方向において加熱調理機器Mと重なっていなくてもよい。
【0066】
また、板部材70(図3参照)は、排気フードHまで延びて設けられてもよい。この場合に、左側板部材71、後側板部材72、および右側板部材73のうちの何れが排気フードHまで延びて設けられる構成であってもよい。
【0067】
また、本発明では、板部材70として、左側板部材71、後側板部材72、および右側板部材73が設けられているが、これに限定されない。
例えば、板部材70としては、左側板部材71、後側板部材72、および右側板部材73のうちの少なくとも一つが設けられていればよい。
【0068】
また、本発明では、加熱調理機器Mが設けられている部屋の天井に温度検出機器80(図3参照)が設けられているが、これに限定されない。
温度検出機器80は、加熱調理機器Mが設けられている部屋に設けられるものであれば、何れの位置に設けられてもよい。
【0069】
また、本発明では、制御装置90は、上下方向において加熱調理機器Mと重なる領域にファン運転温度以上の温度である領域が存在するか否かによって、給気ファン20や吸気ファン40を運転するか否かを判定しているが、これに限定されない。
例えば、制御装置90は、加熱調理機器Mが設けられている部屋においてファン運転温度以上の温度である領域が存在する場合には、この領域が何れの領域であるかに関わらず、給気ファン20や吸気ファン40を運転するようにしてもよい。
【0070】
また、本発明では、温度検出機器80としてサーモグラフィが用いられているが、これに限定されない。
例えば、温度検出機器80として、温度を検出する温度センサを用いてもよい。この場合に、例えば、加熱調理機器Mが設けられている部屋においてそれぞれ異なる領域に温度センサを複数設けることで、加熱調理機器Mが設けられている部屋における複数の領域の各々の温度を検出するようにしてもよい。そして、制御装置90は、各温度センサから温度の検出結果を取得し、取得した検出結果からファン運転温度以上の温度である領域を特定し、特定した領域に応じて、給気ファン20および吸気ファン40の何れかを運転させてもよい。
【0071】
また、本発明では、吸気ファン40が、カバー部材10に形成された開口を通じて吸気を行う構成としているが、これに限定されない。
例えば、板部材70を中空に構成するとともに、この板部材70のうちの加熱調理機器M側に開口が形成された開口部を設けてもよい。この開口部は、第1開口部として捉えられる。そして、吸気ファン40の吸気口を板部材70のうちの中空の部分に繋げることで、吸気ファン40が、板部材70の開口部に形成された開口を介して吸気を行う構成としてもよい。この場合に、吸気ファン40は、左側板部材71、後側板部材72、および右側板部材73のうちの何れに繋がって吸気を行ってもよいし、左側板部材71、後側板部材72、および右側板部材73の全てに繋がって吸気を行ってもよい。そのため、広義には、板部材70も、周囲部材として捉えられる。
【0072】
また、本発明では、給気ファン20から送り出された空気が通るカバー部材10の開口と、吸気ファン40に吸気される空気が通るカバー部材10の開口とを異ならせているが、これに限定されない。
例えば、給気ファン20から送り出された空気が通るカバー部材10の開口と、吸気ファン40に吸気される空気が通るカバー部材10の開口とが同じ開口になるように開口部を形成してもよい。
【0073】
また、給気ファン20から送り出された空気が通る開口が形成された開口部と、吸気ファン40に吸気される空気が通る開口が形成された開口部とは、それぞれカバー部材10の一面のみに設けられているが、これに限定されない。
給気ファン20から送り出された空気が通る開口が形成された開口部や、吸気ファン40に吸気される空気が通る開口が形成された開口部は、カバー部材10の二つ以上の面にそれぞれ設けられてもよい。
【0074】
また、本発明では、加熱調理機器Mの前側にカバー部材10が設けられている(図2参照)が、これに限定されない。
例えば、カバー部材10は、前後方向において、加熱調理機器Mの前側の端部と後側の端部との間に設けられてもよい。すなわち、「加熱調理機器Mと調理人との間の位置」には、「調理人よりも後側の位置であって、加熱調理機器Mの前側の端部よりも後側且つ加熱調理機器Mの後側の端部よりも前側の位置」も含まれる。この場合であっても、加熱調理機器Mのうちのカバー部材10よりも後側の部分から放出された熱の一部は、カバー部材10に遮られ、調理人には伝わりにくくなる。また、加熱調理機器Mのうちのカバー部材10よりも後側の部分に熱せられた空気の一部もまた、カバー部材10に遮られ、調理人には伝わりにくくなる。
【0075】
また、本発明では、カバー部材10は、給気ファン20に送られた空気を後側且つ上側(図2参照)に誘導するように設けられているが、これに限定されない。
カバー部材10は、送られた空気を、上側に誘導することなく後側に誘導するように設けられてもよい。また、カバー部材10は、送られた空気を、後側且つ、左右方向において加熱調理機器Mの中心部からずれた方向に誘導してもよい。すなわち、カバー部材10が設けられている「位置を基準としたときの調理人側とは反対側」は、カバー部材10が設けられている位置よりも後側を含む方向であれば、何れの方向であってもよい。
【0076】
また、本発明では、カバー部材10は、加熱調理機器Mに熱せられた空気を取り込むための開口が後側に形成されるように開口部が設けられればよい。すなわち、「調理人側とは反対側」は、後側を含む方向であれば、何れの方向であってもよい。
【0077】
また、本発明では、板部材70の上下方向における長さが、カバー部材10の下面13から上面11までの長さよりも長いことを説明したが、これに限定されない。
板部材70の上下方向における長さは、カバー部材10の下面13から上面11までの長さより短くてもよい。また、熱抑制ユニット1に板部材70が設けられない構成を採用してもよい。
また、板部材70は、上下方向に延びるとともに、前後方向や左右方向に延びて形成されるものであってもよい。
【0078】
また、カバー部材10は、カバー部材10から放出された空気を用いて加熱調理機器Mに熱せられた空気が調理人に伝わることを抑制できるものや、加熱調理機器Mに熱せられた空気をカバー部材10に取り込めるものであれば、作業台Dの周り等、加熱調理機器Mから離れた領域に設けられてもよい。すなわち、カバー部材10が設けられる「加熱調理機器の周り」には、カバー部材10を用いて加熱調理機器Mに熱せられた空気に作用を及ぼせる範囲で、加熱調理機器Mから離れた領域も含まれる。
【0079】
また、板部材70は、加熱調理機器Mに熱せられた空気が調理人に伝わることを抑制できる範囲であれば、作業台Dの周り等、加熱調理機器Mから離れた領域に設けられてもよい。すなわち、板部材70が設けられる「加熱調理機器の周り」には、板部材70を用いて加熱調理機器Mに熱せられた空気が調理人に伝わることを抑制できる範囲で、加熱調理機器Mから離れた領域も含まれる。
【0080】
また、本発明では、熱抑制ユニット1を用いて加熱調理機器Mに熱せられた空気に作用を及ぼすことで、加熱調理機器Mに熱せられた空気が調理人に伝わることを抑制しているが、これに限定されない。
例えば、調理により舞う粉や塵を対象物として、カバー部材10から放出された空気を対象物に向かって送ったり、対象物をカバー部材10の内部に取り込んだりすることで、対象物が調理人に伝わることを抑制する構成としてもよい。また、例えば、調理の際に加熱調理機器Mや加熱調理機器M上の食材から発生する煙を対象物として、カバー部材10から放出された空気を対象物に向かって送ったり、対象物をカバー部材10の内部に取り込んだりすることで、対象物が調理人に伝わることを抑制する構成としてもよい。さらに、油が入った調理機器を用いて調理する際にこの調理機器から跳ねた油を対象物として、カバー部材10から放出された空気を対象物に向かって送ったり、対象物をカバー部材10の内部に取り込んだりすることで、対象物が調理人に伝わることを抑制する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…熱抑制ユニット、10…カバー部材、20…給気ファン、40…吸気ファン、60…誘導部材、70…板部材、80…温度検出機器、90…制御装置
【要約】
【課題】加熱調理機器に熱せられた空気が調理人に伝わることを抑制する。
【解決手段】熱抑制ユニットは、送風を行う送風手段と、加熱調理機器と調理人との間の位置に設けられ、送風手段に送られた空気を、位置を基準としたときの調理人側とは反対側へ誘導する誘導手段と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6