【実施例】
【0059】
[II.実施例]
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
本項目[II]では、構成a〜eの実施例および比較例に共通する事項を項目[1]で述べ、構成a〜eのそれぞれに対応する実施例および比較例を項目[2]で述べる。さらに、構成a〜eのうち三つの構成を組み合わせた実施例を項目[3]で述べる。
【0060】
[1.共通事項]
構成a〜eの実施例および比較例において、パラメータの測定される対象となるダンボール材(以下「測定ダンボール材」と称する)に共通する構成を説明する。
――測定対象――
測定ダンボール材は、両面ダンボールのシートである。
この測定ダンボール材は、下記のサイズである。
・ サ イ ズ :縦寸法1300[mm],
横寸法1150[mm],
高さ寸法1800[mm]
【0061】
――前処理――
パラメータの測定対象である測定ダンボール材またはその一部は、JIS Z0203に準拠して温度23[℃]および湿度50[%]の温湿度条件で24時間以上の前処理が施された常態としたうえで、各パラメータを測定した。
そのほか、ライナ原紙と中芯原紙とを貼合する段ボール用接着剤には、通常用いられるワンタンク方式の澱粉糊を使用した。また、測定ダンボール材は、段繰りロールを有するコルゲータを用いて製造した。
――評価――
つぎの項目[2]で詳細を後述する実施例および比較例のそれぞれは、「◎」,「○」,「△」,「×」の四段階で評価した。
【0062】
[2.構成a〜e]
<構成a>
――測定対象――
構成aに関する実施例a1〜a6および比較例a7〜a9に用いる測定ダンボール材は、段山数が34[山/30cm]の段繰りロールを有するコルゲータを用いて製造した。なお、「段山数」とは、シートにおいて30[cm]あたりの山(段)の数に対応し、段目の波長で30[cm]を除算した数値に対応する。
【0063】
以下、実施例a1〜a6および比較例a7〜a9に関して、フルートの種別,段繰りロールの段高,原紙の坪量を述べる。
実施例a1〜a6,比較例a7〜a9には、以下に示すようにシングルフルートおよびダブルフルートの何れか一方を採用した。
・シングルフルート:実施例a1〜a3,a5,a6および比較例a8,a9
・ ダブルフルート :実施例a4および比較例a7
【0064】
実施例a1〜a6,比較例a7〜a9は、以下に列挙するように、五種の段高のうち何れか一つの段高に設定された段繰りロールにて製造した。なお、「段高」とは、測定ダンボール材のシートにおける段の高さに対応し、段目の振幅に対応する寸法である。
・段高0.5[mm]:比較例a9
・段高1.5[mm]:実施例a1
・段高3.1[mm]:実施例a2
・段高4.5[mm]:実施例a3〜a6,比較例a8
・段高4.7[mm]:比較例a7
【0065】
実施例a1〜a6,比較例a7〜a9では、以下に示す共通のライナ原紙を用いた。
・ライナ原紙:160[g/m
2]〔MC160:王子マテリア株式会社製〕
一方、実施例a1〜a6,比較例a7〜a9では、特開2018−162526号公の製造方法にしたがって作製したさまざまな坪量の中芯原紙を使用した。具体的には、実施例a1〜a6,比較例a7〜a9のそれぞれに、以下に示す五種の坪量のうち何れか一つの坪量を採用した。ここで列挙する坪量は、測定ダンボール材の資材(原材料)をなす原紙の坪量である。
・(中芯原紙の)坪量 60[g/m
2]:比較例a8
・(中芯原紙の)坪量 80[g/m
2]:実施例a6
・(中芯原紙の)坪量170[g/m
2]:実施例a5
・(中芯原紙の)坪量250[g/m
2]:実施例a1〜a4,比較例a9
・(中芯原紙の)坪量320[g/m
2]:比較例a7
【0066】
測定ダンボール材のシートの資材をなす原紙(ライナ原紙,中芯原紙)の坪量は、下記の手順xa〜xdで測定した。
・手順xa:JIS Z0203に準拠して坪量を測定する原紙を前処理する。
・手順xb:250[mm]×400[mm]サイズに原紙を切り出す。
・手順xc:手順xbで切り出された原紙の重量を電子天秤で測定する。
・手順xd:手順xcで測定された重量を単位平方メートルあたりの重量[g/m
2
]に換算する。
【0067】
なお、測定ダンボール材のシートをなすライナ(原紙)の坪量は、下記の手順ya〜yfで測定される。
・手順ya:測定ダンボール材のシートを水道水に15[分]間浸漬する。
・手順yb:手順yaで浸漬されたシートのライナと中芯と手で引き剥がす。
・手順yc:手順ybで引き剥がしたライナを105[℃]の乾燥機で20[分]間
乾燥する。
・手順yd:手順ycで乾燥されたライナを250[mm]×400[mm]サイズ
に切り出す。
・手順ye:手順ydで切り出されたライナの重量を電子天秤で測定する。
・手順yf:手順yeで測定された重量を単位平方メートルあたりの重量[g/m
2
]に換算する。
【0068】
また、測定ダンボール材のシートをなす中芯(原紙)の坪量は、下記の手順za〜zgで測定される。
・手順za:測定ダンボール材のシートを水道水に15[分]間浸漬する。
・手順zb:手順zaで浸漬されたシートのライナと中芯と手で引き剥がす。
・手順zc:手順zbで引き剥がしたライナを105[℃]の乾燥機で20[分]間
乾燥する。
・手順zd:JIS Z0203に準拠して坪量を測定するライナを前処理する。
・手順ze:250[mm]×400[mm]サイズにライナを切り出す。なお、波
形構造が残す場合は、波を引き延ばしておさえながら本サイズに切り出
す。
・手順zf:手順zeで切り出されたライナの重量を電子天秤で測定する。
・手順zg:手順zfで測定された重量を単位平方メートルあたりの重量[g/m
2
]に換算する。
【0069】
そのほか、測定される測定ダンボール材のシートをなすライナや中芯の坪量は、測定ダンボール材の資材をなす原紙の坪量に対して、同じ原紙を測定対象にする場合であっても坪量の測定値が±10[%]程度は変動しうる。
上記の測定ダンボール材について、下記の表3に示す厚み寸法,平面圧縮強さが測定された。
【0070】
【表3】
【0071】
「厚み寸法」は、測定ダンボール材における一枚あたりのシートの厚さに対応するパラメータである。この厚み寸法は、下記の手順aa〜adで測定した。
・手順aa:測定ダンボール材の全段数のうち半分の段数(すなわち真ん中の段)を
基準に上下五段分のシートを採取する。具体的には、測定ダンボール材
の全段数Mが奇数の場合、測定ダンボール材の全段数のうち半分の段数
M/2を四捨五入した段(すなわち真ん中の段)を基準に上下五段分の
シートを採取する。測定ダンボール材の全段数Mが偶数の場合、測定ダ
ンボール材の全段数のうち半分の段数[(M/2)+1]を基準に上下五
段分のシートを採取した。なお、試験片を採取するときに、段が潰れな
いように注意した。
・手順ab:手順aaで採取された十枚のシートから5[cm]×5[cm]サイズ
の正方形に試験片を切り出す。
・手順ac:手順abで切り出された試験片の厚みを下記の準拠規格,測定機器,測
定条件で測定する。
>準拠規格:段ボール業界規格T0004:2000
>測定機器:厚み計(ミツトヨラチェット製,型番K470101K)
>測定条件:プランジャの直径16[mm],荷重3923[mN]
・手順ad:手順acで測定された厚みから、測定結果の精度を低下させる外乱(要
因)となりうる数値(いわば大きく外れた数値)を除外して、平均値を
とったものを厚み寸法とした。
なお、手順adの「外乱となりうる数値の除外」では、手順acで測定された各数値を母集団としたときに、その母集団の標準偏差が±3σから外れる数値が排除される。
【0072】
「平面圧縮強さ」は、測定ダンボール材のシートのつぶれにくさに対応するパラメータである。この平面圧縮強さは、下記の手順aA〜aDで測定した。
・手順aA:手順aaと同様に、測定ダンボール材の全段数のうち半分の段数を基準
に上下五段分のシートを採取する。
・手順aB:手順aAで採取された十枚のシートから直径6.4[cm]の円形の試
験片を切り出す。
・手順aC:手順aBで切り出された試験片の平面圧縮強さを下記の準拠規格,測定
機器,試験速度・平行度の測定条件で測定する。なお、平行度とは、平
面圧縮用の冶具の上下の平行度合いを表す。
>準拠規格:JIS Z 0403−1
>測定機器:平面圧縮用の冶具(テスター産業株式会社製)を取り付けた圧縮
試験機(株式会社エー・アンド・デイ製,RTF1350)
>試験速度(測定条件):12.5±2.5[m/min]
>平行度(測定条件):圧縮寸法の1/1000以下
・手順aD:上記の手順adと同様に、手順aCで測定された平面圧縮強さから、測
定結果の精度を低下させる外乱(要因)となりうる数値を除外して、平
均値をとったものを平面圧縮強さとした。
【0073】
――評価――
上記のようにして厚み寸法,平面圧縮強さのそれぞれが測定された実施例a1〜a6および比較例a7〜a9について、つぎに説明する製函性,罫割れのそれぞれを評価した。
「製函性」は、測定ダンボール材の折目を跨ぐカット線で切り出されたダンボール片(以下「評価ダンボール片」と称する)が手組み(手作り)にて組み立てられた箱の精度の良否に対応する評価基準である。手組みの方法として、カットされた段ボール片の所定の罫線の箇所で折りたたみ、ホットメルト接着剤にて貼着し、製函した。
なお、製函システムによって評価ダンボール片を組み立てる手法は、手組みであっても製函システムによる組み立てであっても同様である。そのため、手組みによって組み立てられた評価ダンボール片の製函性には、製函システムで組み立てられた評価ダンボール片との製函性と相関があるものと言える。
【0074】
「評価ダンボール片」は、測定ダンボール材が下記の形状・サイズにサンプルカッター(株式会社ミマキエンジニアリング社製,CF2−1218)で下記の枚数が打ち抜かれた試験片である。
・形 状:A式段ボール箱が展開されたパターン
・サイズ:A式段ボール箱の側板の幅寸法356[mm],
A式段ボール箱の端板の幅寸法159[mm],
A式段ボール箱の高さ寸法256[mm]
・枚 数:100[枚]
【0075】
上記の評価ダンボール片は、下記の基準で評価した。
・◎:全て(100[枚])の評価ダンボール片において製函性が良好である。
・○:100[枚]の評価ダンボール片のうち1〜2[枚]の製函性が不良である。
・△:100[枚]の評価ダンボール片のうち3[枚]の製函性が不良である。
・×:100[枚]の評価ダンボール片のうち4[枚]以上の製函性が不良である。
なお、製函性に関して「○」の評価が得られた実施例a4では、2[枚]の製函性が不良であった。
【0076】
ここでいう「製函性が良好」とは、評価ダンボール片において下記の折部A,Bどうしの距離寸法が所定の距離寸法未満であることをいう。
・折部A:製函用の罫線(折目とは別の要素)が設けられた部分
・折部B:箱に組み立てられたとき(製函時)に実際に折れた部分
「所定の距離寸法」は、評価ダンボール片の折目に対して垂直な方向(MD方向)の寸法については2.0[mm]であり、折目と平行な方向(CD方向)の寸法については5[mm]である。
一方、「製函性が不良」とは、評価ダンボール片において上記の折部A,Bどうしの距離寸法が所定の距離寸法以上であることをいう。
【0077】
また、「罫割れ」とは、評価ダンボール片が箱に組み立てられるときに折り曲げられた箇所が破断していることをいう。この罫割れは、製函性を評価した箱(すなわち評価ダンボール片が組み立てられた箱,以下「評価箱」と称する)を目視することで観察される。
この罫割れは、下記の基準で評価した。
・◎:全て(100[箱])の評価箱において罫割れが見られなかった。
・○:100[箱]の評価箱のうち1〜2[箱]に罫割れが見られた。
・△:100[箱]の評価箱のうち3[箱]に罫割れが見られた。
・×:100[箱]の評価箱のうち4[箱]以上に罫割れが見られた。
なお、罫割れに関して「○」の評価が得られた実施例a3,a5,a6および比較例a8については、実施例a3,a5,a6で1[箱]に罫割れが見られ、比較例a8で2[箱]に罫割れが見られた。
【0078】
実施例a1〜a6では、厚み寸法が2.0[mm]以上であって9.6[mm]以下であり、平面圧縮強さが50[kPa]以上であって250[kPa]以下であり、製函性および罫割れの双方で少なくとも「△」以上の良好な評価が得られた。
一方、2.0〜9.6[mm]の範囲から外れた厚み寸法の比較例a7,a9や、50〜250[kPa]の範囲から外れた平面圧縮強さの比較例a7〜a9では、製函性の評価が「×」の不良な評価が得られた。また、厚み寸法が9.6[mm]よりも大きい比較例a7では、罫割れの評価も「×」の不良な評価であった。
【0079】
比較例a7からは、厚み寸法が9.6[mm]よりも大きいと、製函用の罫線で折り曲げられる際にライナ原紙が伸びきれずに破断し、罫割れの評価が不良となるものと推察される。
この比較例a7からは、平面圧縮強度が250[kPa]よりも大きいと、製函用の罫線を入れずらくなり(罫線の形成性が低下することにより)、製函用の罫線以外の箇所で折り曲げられて、製函性の評価が不良となることも推察される。
【0080】
比較例a8からは、平面圧縮強度が50[kPa]未満であると、評価ダンボール片の曲げ強度が不十分であって製函用の罫線以外の箇所で折り曲げられやすくなり、製函性の評価が不良となるものと推察される。
同様に、比較例a9からは、厚み寸法が2.0[mm]未満であると、評価ダンボール片の曲げ強度が不十分であって製函用の罫線以外の箇所で折り曲げられやすくなり、製函性の評価が不良となるものと推察される。
【0081】
上記の比較例a7〜a9に鑑みて、実施例a1〜a6からは、9.6[mm]以下の範囲で厚み寸法が小さいほど罫割れの発生が抑えられると推察される。一方、2.0[mm]以上の範囲で厚み寸法が大きいほど製函用の罫線以外の箇所での折り曲げが抑えられると推察される。
実施例a1〜a6からは、平面圧縮強度が250[kPa]以下であれば製函用に形成される罫線の不良が抑えられることも推察される。一方、平面圧縮強度が50[kPa]以上であれば評価ダンボール片の曲げ強度が確保され、製函用の罫線以外の箇所で折り曲げが抑えられると推察される。
よって、厚み寸法が2.0[mm]以上であって9.6[mm]以下であり、平面圧縮強さが50[kPa]以上であって250[kPa]以下であれば、製函性の確保と罫割れの抑制とを両立することができると言える。
【0082】
<構成b>
――測定対象――
構成bに関する実施例b1〜b3および比較例b4,b5に用いる測定ダンボール材には、実施例a1〜a6,比較例a7〜a9と同様のライナ原紙を用い、下記の中芯原紙を用いた。
・ 中芯原紙 :170[g/m
2]〔LB170:王子マテリア株式会社製〕
また、実施例b1〜b3および比較例b4,b5に用いる測定ダンボール材は、下記の表4に示す各種の段繰率となる段繰りロールを有するコルゲータを用いて製造した。また、実施例b1〜b3および比較例b4,b5のそれぞれについて、上述の手順aA〜aDと同様の手順で平面圧縮強さを測定し、下記の表4に示す平面圧縮強さが測定された。
【0083】
【表4】
【0084】
「段繰率」は、中芯のライナに対するMD方向の長さ寸法の倍率に対応するパラメータである。この段繰率は、下記の手順ba〜bgで測定した。
・手順ba:手順aa,aAと同様に、測定ダンボール材の全段数のうち半分の段数
を基準に上下五段分のシートを採取する。
・手順bb:手順baで採取された十枚のシートから中芯の山が連続する方向(横方
向,MD方向)に20[cm]であって、中芯の山に直交する方向(縦
方向,CD方向)に10[cm]のサイズに切り出す。
・手順bc:手順bbで切り出された試験片を水道水に24時間浸漬する。
・手順bd:手順bcの浸漬後に、表裏のライナを剥がして中芯を取り出す。
・手順be:手順bdで取り出された中芯を手で引き伸ばし、伸びきった状態の長さ
を定規で測定する。
・手順bf:手順beで測定された「中芯の伸びきった長さ」と手順bbで切り出さ
れた試験片の中芯の山が連続する方向の長さ(「元のダンボールシート
の長さ」と称する,ここでは20[cm])とから下記の式bで段繰率
を算出する。
段繰率=中芯が伸びきった状態の長さ/元のダンボールシートの長さ・・・式b
・手順bg:上記の手順ad,aDと同様に、手順bfで算出された段繰率から、測
定結果の精度を低下させる外乱(要因)となりうる数値を除外して、平
均値をとったものを段繰率とした。
【0085】
――評価――
上記のようにして段繰率が得られた実施例b1〜b3および比較例b4,b5について、製函性を評価した。この製函性は、実施例a1〜a6および比較例a7〜a9の評価に用いた製函性と同義である。なお、製函性に関して「○」の評価が得られた実施例b1では、2[枚]の製函性が不良であった。
【0086】
実施例b1〜b3では、段繰率が1.2[倍]以上であって1.7[倍]以下であり、平面圧縮強さが50[kPa]以上であって250[kPa]以下であり、製函性について少なくとも「△」以上の良好な評価が得られた。
一方、段繰率が1.2[倍]未満であって平面圧縮強さが50[kPa]未満の比較例b4や、段繰率が1.7[倍]よりも大きくて平面圧縮強さが250[kPa]よりも大きい比較例b5では、製函性の評価が「×」の不良な評価が得られた。
【0087】
比較例b4からは、段繰率が1.2[倍]未満であることや平面圧縮強さが50[kPa]未満であることにより、評価ダンボール片の曲げ強度が不十分であるため製函用の罫線以外の箇所で折り曲げられやすくなり、製函性の評価が不良となるものと推察される。
比較例b5からは、段繰率が1.7[倍]よりも大きいことや平面圧縮強さが250[kPa]よりも大きいことにより、製函用の罫線を入れずらくなり(罫線の形成性が低下することにより)、製函用の罫線以外の箇所で折り曲げられて、製函性の評価が不良となるものと推察される。
【0088】
上記の比較例b4,b5に鑑みて、実施例b1〜a3からは、段繰率が1.2[倍]以上であることや平面圧縮強さが50[kPa]以上であることにより、製函用の罫線以外の箇所での折り曲げが抑えられると推察される。また、段繰率が1.7[倍]以下であることや平面圧縮強さが250[kPa]以下であることにより、製函用に形成される罫線の不良が抑えられると推察される。
よって、段繰率が1.2[倍]以上であって1.7[倍]以下であり、平面圧縮強さが50[kPa]以上であって250[kPa]以下であれば、製函性を確保することができると言える。
【0089】
<構成c>
――測定対象――
構成cに関する実施例c1〜c3および比較例c4には、実施例b1〜b3や比較例b4と同様の原紙を用い、以下に示す諸元の段繰りロールを有するコルゲータを用いて製造されたAフルートの測定ダンボール材を用いた。
・ 段高 :4.5[mm]
・段山数:34[山/30cm]
そして、下記の表5に示す角度比となるように製造された測定ダンボール材を実施例c1〜c3および比較例c4に用いた。なお、表5の単位[−]は、無次元量を表す。
【0090】
【表5】
【0091】
「角度比」とは、測定ダンボール材のシートにおける段目の傾き度合いに対応するパラメータである。この角度比は、下記の手順ca〜cfで測定した。
・手順ca:測定ダンボール材のシートにおいて中芯の一つの山を縦方向(CD方
向)から写真を撮影する。
・手順cb:手順caで撮影された写真を一つの山が高さ10[cm]以上となるよ
うに拡大して印刷用紙にプリントする。
・手順cc:表裏のライナと平行な方向(すなわち横方向〈MD方向〉)であって、
表ライナと裏ライナとの中央(TD方向中央)を通る補助線を引く。
・手順cd:手順ccで引いた補助線と中芯との交点のうち、隣り合う任意の二点を
選択する。
・手順ce:手順cdで選択された二点のそれぞれにおいて、補助線と中芯とのなす
角度のうち鋭角を分度器で測定した。
・手順cf:手順ceで測定された二つの角度(測定値)どうしの差の絶対値を二つ
の角度の和で除した比率を算出する。
【0092】
――評価――
上記のようにして角度比が得られた実施例c1〜c3および比較例c4について、印刷適性を評価した。
「印刷適性」とは、測定ダンボール材に印刷を施した場合の適性であり、測定ダンボール材に施された印刷の良否に対応する評価基準である。
この印刷適性は、下記の手順cA〜cCで評価した。
・手順cA:測定ダンボール材のシートを500[mm]×1350[mm]のサイ
ズにカットする。
・手順cB:手順cAでカットされた試験片に対して、ダイレクトフレキソ印刷機D
YNA FLEX160(ボブスト社製)によって、550[線/イン
チ]に彫刻したアニロックスロールで水性フレキソインキ(サカタイン
ク社製)で下記の順番で塗工し印刷した。
>塗工の順番:紅→墨→藍→黄→ニス
・手順cC:手順cBで印刷された仕上がりを目視にて観察した。
【0093】
上記の印刷適性は、下記の基準で評価した。
・◎:インキの着肉ムラが無く、印刷の仕上がりが良好である。
・○:インキの着肉ムラがほとんど無く、実用上の問題がない。
・△:インキの着肉ムラがやや多いが、実用上の問題はない。
・×:インキの着肉ムラが非常に多く、実用上の問題があり、品質も著しく劣る。
【0094】
実施例c1〜c3では、角度比が0.30以下であり、印刷適性について「△」以上の評価が得られ、実用上の問題はない。角度比が0.15以下の実施例c1,c2では、「○」以上の評価が得られ、角度比が0.05以下の実施例c1では、「◎」の評価が得られた。
一方、角度比が0.30よりも大きい比較例c4では、印刷適性について「×」の評価が得られ、実用上の問題がある。
【0095】
比較例c4からは、角度比が0.30よりも大きいことにより、段目の高さが不揃いとなることで、印刷適性の評価が不良となるものと推察される。あるいは、インキの着肉時に試験片が段目の傾きに応じた方向へ変形しやすくなることも、印刷適性の評価が不良となる推察する理由に挙げられる。
これに対し、実施例c1〜c3からは、角度比が0.30以下であることにより、段目の高さのバラツキが抑えられ、実用上問題のない印刷適性が得られると推察される。段目の高さのバラツキは、実施例c1,c2からは角度比が0.15以下であることにより確実に抑えられ、実施例c1からは角度比が0.05以下であることにより、より一層抑えられると推察される。
よって、角度比が0.30以下であれば、印刷適性を確保できると言える。
【0096】
<構成d>
――測定対象――
構成dに関する実施例d1〜d3および比較例d4には、実施例b1〜b3,c1〜c3や比較例b4,c4と同様の中芯原紙を用いた。一方、実施例d1〜d3および比較例d4では、特許6213364号公報のダンボール用ライナの製造方法にしたがって作製したさまざまな坪量のライナ原紙を使用した。具体的には、実施例d1〜d3および比較例d4のそれぞれに、以下に示す4種の坪量のうち何れか一つの坪量を採用した。
・(ライナ原紙の)坪量 90[g/m
2]:実施例d1
・(ライナ原紙の)坪量170[g/m
2]:実施例d2
・(ライナ原紙の)坪量250[g/m
2]:実施例d3
・(ライナ原紙の)坪量 60[g/m
2]:比較例d4
また、実施例c1〜c3や比較例c4と同様の段繰りロールを有するコルゲータを用いて製造された測定ダンボール材を用いた。
上記のように製造された測定ダンボール材を用いた実施例d1〜d3および比較例d4のそれぞれについて、破裂強さを測定し、下記の表6に示す破裂強さが測定された。
【0097】
【表6】
【0098】
「破裂強さ」は、上述の構成aで罫割れの評価対象とした評価箱(IFCコード:0401)の破れやすさに対応するパラメータである。この破裂強さは、下記の手順da〜ddで測定した。
・手順da:手順aaと同様に、測定ダンボール材の全段数のうち半分の段数を基準
に上下五段分のシートを採取する。
・手順db:手順daで採取された十枚のシートから100[mm]×100[mm
]サイズの正方形に試験片を切り出す。
・手順dc:手順dbで切り出された試験片の厚みを下記の準拠規格,試験片,測定
機器,測定条件で測定する。
>準拠規格:JIS P 8131(板紙−破裂強さ試験方法)
>測定機器:株式会社東洋精機製作所製,ミューレン破裂試験機EH
>測定条件:締め付け面から10[mm]の高さまで膨張させたときの圧力が1
70〜220[kpa]となるゴム隔膜を使用
・手順dd:手順ad,aD,bgと同様に、手順dcで測定された破裂強さから、
測定結果の精度を低下させる外乱(要因)となりうる数値を除外して、
平均値をとったものを破裂強さとした。
【0099】
――評価――
上記のようにして破裂強さが得られた実施例d1〜d3および比較例d4について、評価箱の破れやすさを評価した。
「破れやすさ」とは、箱に収容される内容物に対する耐荷重の軽重に対応する評価基準である。この破れやすさは、下記の手順dA〜dCで評価した。
・手順dA:単位面積当たりの重量が15[kgf/cm
2]となるようにオモリを
評価箱に収容する。なお、評価箱はテープの影響が出ないよう組立型(
IFCコード0401)とした。
・手順dB:手順dAの後、オモリが評価箱と接していない底面を二人の作業員が持
ち上げて、30[秒]間保持する。
・手順dC:手順dBにて評価箱に破れが発生したか否かを目視で確認する。
【0100】
上記の破れやすさは、下記の基準で評価した。
・◎:持ち上げられた後に評価箱の外観が全く変化していない。
・○:持ち上げた後で評価箱に軽微な破れが生じるが、オモリが評価箱に留まる。
・△:持ち上げた後で評価箱に破れが生じるが、オモリが評価箱に留まる。
・×:持ち上げた後で評価箱に大きな破れが生じ、オモリが評価箱から落下する。
【0101】
実施例d1〜d3では、破裂強さが500[kPa]以上であり、破れやすさについて「△」以上の評価が得られ、オモリが落下することがなかった。破裂強さが1000[kPa]以上の実施例d2,d3では、「○」以上の評価が得られ、破裂強さが2000[kPa]以上の実施例d3では「◎」の評価が得られた。
一方、破裂強さが500[kPa]未満の比較例d4では、破れやすさについて「×」の評価が得られ、オモリが落下した。
【0102】
よって、破裂強さが500[kPa]以上であれば、評価箱から内容物が抜け落ちることを防止することができると言える。さらに、破裂強さが1000[kPa]以上であれば、内容物の荷重による評価箱の損傷を抑制することができると言える。そのうえ、破裂強さが2000[kPa]以上であれば、内容物の荷重による評価箱の損傷を防止することができると言える。
そのほか、ライナ原紙の坪量が大きいほど、破裂強さが高い傾向が見て取れる。このような坪量と破裂強さとの相関関係から、坪量が80[g/m
2]以上であれば、評価箱から内容物が抜け落ちることを防止することができると言える。さらに、坪量が160[g/m
2]以上であれば、内容物の荷重による評価箱の損傷を抑制することができると言える。そのうえ、坪量が240[g/m
2]以上であれば、内容物の荷重による評価箱の損傷を防止することができると言える。
【0103】
<構成d′,d′′>
――測定対象――
構成d′,d′′に関する実施例d10〜d24および比較例d25,d26のうち、実施例d10,d11,d12および比較例d25のそれぞれの測定ダンボール材では、厚み,坪量のそれぞれが、上述の実施例d1,d2,d3および比較例d4の測定ダンボール材と同一である。実施例d13〜d24および比較例d26のそれぞれの測定ダンボール材では、厚み,坪量のそれぞれが、上述の実施例d1,d2,d3および比較例d4の測定ダンボール材とは異なっている。
【0104】
具体的には、実施例d10〜d24および比較例d25,d26のそれぞれの測定ダンボール材では、以下に示す四種のフルートの何れか一つを採用した。
・Aフルート(シングルフルート)
・Bフルート(シングルフルート)
・Eフルート(シングルフルート)
・ABフルート(ダブルフルート)
【0105】
実施例d10〜d24および比較例d25,d26のそれぞれに用いる各フルートの測定ダンボール材は、以下に示す緒元の段繰りロールを有するコルゲータを用いて製造された。
>Aフルート
・ 段高 :4.5[mm]
・段山数:34[山/30cm]
>Bフルート
・ 段高 :2.5[mm]
・段山数:50[山/30cm]
>Eフルート
・ 段高 :1.1[mm]
・段山数:85[山/30cm]
>ABフルート
――Aフルート――
・ 段高 :4.5[mm]
・段山数:34[山/30cm]
――Bフルート――
・ 段高 :2.5[mm]
・段山数:50[山/30cm]
【0106】
上記の四種のフルートのうち、Aフルート,Bフルート,Eフルートをなすシングルフルートは、一つの中芯(下記表7〜表9で「中芯2」)および二つのライナのそれぞれに対応する三つの原紙(資材)で構成されている。ABフルートをなすダブルフルートは、三つの中芯(下記表7〜表9で「中芯1」,「中芯2」,「中芯3」)および二つのライナのそれぞれに対応する五つの原紙(資材)で構成されている。
【0107】
実施例d10〜d24および比較例d25,d26では、それぞれの測定ダンボール材を構成する中芯またはライナをなす原紙のそれぞれに、下記の十種類のダンボール原紙の何れか一つを用いた。
・No.1:坪量90[g/m
2],密度0.77[g/cm
3]
・No.2:坪量170[g/m
2],密度0.86[g/cm
3]
・No.3:坪量250[g/m
2],密度0.87[g/cm
3]
・No.4:坪量60[g/m
2],密度0.72[g/cm
3]
・No.5:坪量160[g/m
2],密度0.86[g/cm
3]
・No.6:坪量120[g/m
2],密度0.78[g/cm
3]
・No.7:坪量170[g/m
2],密度0.85[g/cm
3]
・No.8:坪量170[g/m
2],密度0.68[g/cm
3]〔LB 170:
王子マテリア株式会社製〕
・No.9:坪量120[g/m
2],密度0.59[g/cm
3]〔 S 120:
王子マテリア株式会社製〕
・No.10:坪量280[g/m
2],密度0.85[g/cm
3]
【0108】
上記No.1の原紙を作成する方法は、針葉樹クラフトパルプおよびダンボール古紙パルプを原料とし、多層抄き抄紙機を使用して抄紙を施して、三層で構成される坪量90[g/m
2]のダンボール原紙を作成するものである。抄紙条件は、カチオン性の紙力増強剤を紙層の全パルプの合計100[質量部]に対して、0.5[質量部]で含有し、表層のパルプのうち、針葉樹クラフトパルプを10[質量%]の割合で含有した。なお、カチオン性の紙力増強剤は全て表層に含有させた。また、針葉樹クラフトパルプは紙層の全パルプのうち6[質量%]であった。
【0109】
上記No.1〜No.10で原紙の密度を調節するために、原紙作成時の抄紙工程におけるカレンダー処理でニップ圧が調節された。密度の測定は、JIS P8118:1998に準じた測定方法で実施された。
密度が調節されたこと以外では、上記No.2〜No.6,No.10の原紙を作成する方法は、坪量を除きNo.1と同様の作成方法である。上記No.7の原紙を作成する方法は、表層のパルプのうち、針葉樹クラフトパルプを50質量%の割合で含有した以外は、No.2と同様の作成方法である。
上記のように製造された測定ダンボール材を用いた実施例d10〜d24および比較例d25,d26のそれぞれについて、破裂強さを測定し、下記の表7〜表9に示す破裂強さが測定された。
【0110】
【表7】
【0111】
【表8】
【0112】
【表9】
【0113】
破裂強さは、折目を含まない箇所(折目無)と折目を含む箇所(折目有)とのそれぞれで測定されたことを除き、既述の「破裂強さ」と同様な評価箱(IFCコード:0401)の破れやすさに対応するパラメータである。
折目無の破裂強さと折目有の破裂強さとのそれぞれを測定するために、実施例d10〜d24および比較例d25,d26のそれぞれについて折目無の試験片と折目有の試験片との二種類の試験片を用意した。
【0114】
折目無の試験片および折目有の試験片の何れも、測定ダンボール材の任意の段から切り出したA4サイズのダンボールシートからサンプルカッター(株式会社ミマキエンジニアリング社製,CF2−1218)を用いて下記の寸法で切り出された試験片である。
・寸法:縦寸法100[mm]
横寸法100[mm]
さらに、折目有の試験片は、上記寸法の試験片に下記の折目を入れた試験片である。なお、破裂強さの測定には、意図して設けた折目以外の、折目、傷や凹み等が存在しない試験片を使用する。
・折目:試験片の中心を通り、段目の方向に沿って延在する。
この折目は、上記寸法の試験片に、下記の手順で加工を施して形成される。
・手順de:試験者が手で上記の寸法の試験片を折目の位置で折り畳む。
・手順df:手順deで作成した試験片を平坦面に載置して、折目箇所に下記の圧着
機器を当てて、折目箇所で圧着機器を約10[mm/s]の速度で二往
復させる。その後、JIS Z0203に準拠して温度23[℃]およ
び湿度50[%]の温湿度条件で試験片を24時間放置する。
>圧着機器:品名「テープ圧着ローラー(手動)」,安田精機製作所製,品番
No.349,ローラー質量:1[kg]
・手順dg:手順dfで放置した試験片(折目有り)の折目を開いた後に、上記の手
順dc,ddで破裂強さを測定する。
【0115】
――評価――
実施例d10〜d24および比較例d25,d26の測定ダンボール材に対して、折目無の試験片についての破れやすさと、折目有の試験片についての破れやすさと、罫割性とのそれぞれを評価した。
「破れやすさ」は、「折目無の破れやすさ」「折目有の破れやすさ」とのそれぞれを評価することを除き、上述の「破れやすさ」と同様な箱に収容される内容物に対する耐荷重の軽重に対応する評価基準である。
【0116】
上記の「折目無の破れやすさ」と「折目有の破れやすさ」とのそれぞれは下記の手順dD〜dIで評価した。なお、評価対象の測定ダンボール材は、JIS P8111:1989規格に準拠して評価した。
・手順dD:評価箱の底面で下記の位置のそれぞれに、各辺の寸法が1[cm]鉄製
の立方体(アーテック株式会社,製品名「密度測定用体(立方体)」,
品番:61−6020−21,型番:8350)を配置する。なお、立
方体は、底面の各位置に接着剤(東亞合成株式会社製の製品名「アロン
アルファEXTRA耐衝撃」)を用いて貼り付けられる。
>位置:評価箱の底面30(
図3,
図4参照)の四隅で、縦方向の端部から縦方
向の中心へ向かって80[mm]の位置かつ横方向の端部から横方向の
中心へ向かって50[mm]の位置を基準として(
図3の破線を参照)
、4[個]の立方体31(
図3,
図4参照)を配置する。
>評価箱の底面30の寸法:縦210[mm]
横297[mm]
なお、評価箱はテープの影響が出ないよう組立型(IFCコード0401)とした。
【0117】
・手順dE:手順dDで4[個]の立方体が底面30に配置された評価箱を台座32
(
図4参照)に載置する。台座32(
図4参照)には、上面視で立方体
31(
図3,
図4参照)のそれぞれと重複する箇所に、立方体31(図
3,
図4参照)が侵入可能な寸法で外部に連通した空間33(
図4参照
)が設けられている。
・手順dF:手順dDで評価箱の底面30に載置された4[個]の立方体の上側に下
記のステンレス製バット34(
図3,
図4参照)を配置する。
>バット(「SUSバット」):(トラスコ中山株式会社,製品名「ステンレス
深型組バット5号」、品番:T-FU-7,底面サ
イズ「230[mm]×150[mm]」)
【0118】
・手順dG:手順dFで配置されたSUSバットに単位面積当たりの重量が15[k
gf/cm
2]となるようにオモリ35(
図3,
図4参照)を静置して
、1[時間]放置する。オモリ35(
図3,
図4参照)は、4[個]の
立方体のそれぞれに均等に荷重がかかるように、SUSバット34(図
3,
図4参照)の中央部に配置する。
・手順dH:各重量条件での手順dGにて評価箱に破れが発生したか否かを目視で確
認する。破れが発生したか否かは、具体的には立方体が評価箱の底面を
貫通したか否かで判断する。
・手順dI:手順dGで単位面積当たりの重量が10[kgf/cm
2],5[kg
f/cm
2]となるようにオモリを変更して、各重量条件での手順dD
〜dHの試験も実施した。
【0119】
上記のように、手順dD〜dIによる評価は、実施例d10〜d24および比較例d25,d26の測定ダンボール材のそれぞれに対して15[kgf/cm
2],10[kgf/cm
2]および5[kgf/cm
2]の三通りの重量条件で、「折目無の破れやすさ」の評価と「折目有の破れやすさ」の評価とのそれぞれを実施する。「折目無の破れやすさ」の評価は、評価箱の底面で折目が設けられていない箇所に鉄製立方体が配置された状態での評価である。「折目有の破れやすさ」の評価は、評価箱の底面で折目が設けられている箇所に立方体が配置された状態での評価である。
【0120】
「折目無の破れやすさ」と「折目有の破れやすさ」とは、下記の基準で評価した。
・◎:三通りの重量条件の何れでも破れが全く生じない。
・○:15[kgf/cm
2]の条件で1[箇所]以上の破れが生じる。
・△:15,10[kgf/cm
2]の各条件で1[箇所]以上の破れが生じる(言
い換えれば10[kgf/cm
2]で1[箇所]以上の破れが生じるが、5[
kgf/cm
2]では破れが生じない)。
・×:三通りの重量条件の何れでも1[箇所]以上の破れが生じる。
上記の評価のうち「△」以上を良好な評価とした。上記の基準では、「△」以上と評価する基準に5[kgf/cm
2]の重量条件を設定しているので、通販分野で搬送されることが多い荷物重量(5[kg])を考慮した評価が実施される。また、「◎」と評価する基準として、15[kgf/cm
2]の重量条件を設定しているので、自動製函システム(フルオート機)で一般的な荷物の重量上限(15[kg])を考慮した評価が実施される。
【0121】
「罫割性」とは、測定ダンボール材を折り曲げた際の破損のしにくさに対応する評価基準である。破損は折目の箇所でのライナの割れや、裂け,破れなどを含む。なお、折目の箇所とは折目の周辺を含む領域である。
罫割性の評価は、測定ダンボール材の全ての折目を対象として、折目の箇所において折目の外側に位置するライナに罫割が生じているか否かを目視で確認することで実施した。
確認結果は、以下の二段階の基準で評価した。
・○:全ての折目に罫割れがみられなかった。
・×:折目に罫割れが1以上みられた。
上記の評価のうち「〇」を良好な評価とし、「×」を不良な評価とした。
【0122】
実施例d10〜d24では、折目有の破裂強さ,折目無の破裂強さの何れもが500[kPa]以上であり、「折目無の破れやすさ」および「折目有の破れやすさ」の何れも「△」以上の評価が得られた。
折目有の破裂強さが650[kPa]以上の実施例d11〜d13,d15〜d24では、折目有の破れやすさで「○」以上の評価が得られた。折目無の破裂強さが650[kPa]以上の実施例d11〜d21,d23,d24では、折目無の破れやすさで「○」以上の評価が得られた。
折目有の破裂強さが1500[kPa]以上の実施例d18,d21,d23,d24では、折目有の破れやすさで「◎」の評価が得られた。折目無の破裂強さが1500[kPa]以上の実施例d12,d23,d24では、折目無の破れやすさで「◎」の評価が得られた。
【0123】
一方、折目無の破裂強さおよび折目有の破裂強さの少なくとも一方が500[kPa]未満の比較例d25,26では、折目無の破れやすさおよび折目有の破れやすさ少なくとも一方について「×」の評価が得られた。
具体的には、シングルフルートの比較例d25では、折目無および折目有の破裂強さの何れとも500[kPa]未満で折目無および折目有の破れやすさの両方について「×」の評価が得られた。ダブルフルートの比較例d26では、折目有の破裂強さが500[kPa]以上で折目有の破れやすさは「△」の評価が得られたが、折目無の破裂強さが500[kPa]未満で、折目無の破れやすさで「×」の評価が得られた。
【0124】
実施例d10〜d24のうち実施例d10〜d22では、折目有の破裂強さ,折目無の破裂強さの何れもが2000[kPa]以下であり、「罫割性」で「〇」の評価が得られた。
実施例d10〜d24のうち折目有の破裂強さおよび折目無の破裂強さの少なくとも一方が2000[kPa]よりも大きい実施例d23,d24では、罫割性で「×」の評価が得られた。
【0125】
シングルフルートの比較例d25に鑑みて、シングルフルートの実施例d10〜d17,d23からは、シングルフルートで折目有の破裂強さが500[kPa]以上であれば、評価箱から内容物が抜け落ちることを防止することができると言える。さらに、折目有りの破裂強さが650[kPa]以上であれば、内容物の荷重による評価箱の損傷を抑制することができると言える。そのうえ、破裂強さが1500[kPa]以上であれば、内容物の荷重による評価箱の損傷を防止することができると言える。
一方、シングルフルートの実施例d23に鑑みて、シングルフルートの実施例d10〜d17からは、シングルフルートで折目有の破裂強さが1500[kPa]以下であれば測定ダンボール材の全ての折目で破損を防止することができると言える。
【0126】
そのほか、ライナ原紙の坪量や密度が大きいほど、破裂強さが高い傾向が見て取れる。このような坪量と破裂強さとの相関関係から、シングルフルートではライナ原紙の坪量が80[g/m
2]以上であり密度が0.75[g/cm
3]以上であれば、評価箱から内容物が抜け落ちることを防止することができると言える。さらに、シングルフルートではライナ原紙の坪量が160[g/m
2]以上であり密度が0.85[g/cm
3]以上であれば、内容物の荷重による評価箱の損傷を抑制することができると言える。そのうえ、シングルフルートではライナ原紙の坪量が240[g/m
2]以上であり密度が0.87[g/cm
3]以上であれば、内容物の荷重による評価箱の損傷を防止することができると言える。
【0127】
また、シングルフルートの実施例d10〜d17,d23のうち、ライナ原紙の材質と密度とが異なる実施例d13とd14から、シングルフルートでは、ライナ原紙の材質の違いにより、具体的には表層のパルプに含有される針葉樹クラフトパルプの割合が大きいほど、破裂強さが低下する傾向があると推察される。また、シングルフルートの実施例d10〜d17,d23のうち、原紙は共通であって互いにフルートのみが異なる実施例d15,d16,d17から、シングルフルートではフルートの違いが折目無,折目有の破裂強さに影響を与えないと推察される。
【0128】
シングルフルートの実施例d10〜d17,d23,比較例d25から、シングルフルートでは、折目無の破裂強さと比較して折目有の破裂強さが低い傾向が見て取れる。
ライナの坪量が比較的小さい実施例d10とライナの坪量が比較的大きい実施例d11やd12から、坪量の比較的小さいライナを用いたシングルフルートの測定ダンボール材では、折目無と比較して折目有の破裂強さが大きく変化しないのに対して、坪量の比較的大きいライナを用いたシングルフルートの測定ダンボール材では、折目無の破裂強さと比較して折目有の破裂強さの低下する度合いが大きいことが見て取れる。
【0129】
ダブルフルートの比較例d26に鑑みて、ダブルフルートの実施例d18〜d22,d24からは、折目無の破裂強さが500[kPa]以上であり折目有の破裂強さが520[kPa]以上であれば、評価箱から内容物が抜け落ちることを防止することができると言える。さらに、実施例d18〜d21,d24からは折目無の破裂強さが700[kPa]以上であり折目有の破裂強さが800[kPa]以上であれば、内容物の荷重による評価箱の損傷を抑制することができると言える。そのうえ、実施例d18,d21,d24からは折目無の破裂強さが1000[kPa]以上であり折目有の破裂強さが1500[kPa]以上であれば、内容物の荷重による評価箱の損傷を防止することができると言える。
一方、ダブルフルートの実施例d24に鑑みて、ダブルフルートの実施例d18〜d22からは、ダブルフルートで折目無および折目有の破裂強さが2500[kPa]以下であれば測定ダンボール材の全ての折目で破損を防止することができると言える。
【0130】
ダブルフルートの実施例d18〜d22,d24,比較例d26から、ダブルフルートでは、折目無の破裂強さと比較して折目有の破裂強さが高くなる傾向が見て取れる。ダブルフルートの測定段ボール材では、折目を展開した際に、中芯の段目が折目で潰れた状態であるため、二つのライナと三つの中芯の厚み方向の距離が近接することと、中芯の段目が潰れて厚み方向に重なり合うこととにより、折目無に比べて折目有の破裂強さが高くなると推察される。
【0131】
そのほか、ダブルフルートでもライナ原紙や中芯原紙の坪量および密度が大きいほど、破裂強さが高い傾向が見て取れる。このような坪量と破裂強さとの相関関係から、ダブルフルートではライナ原紙の坪量が80[g/m
2]以上であり密度が0.75[g/cm
3]以上であるか、または、中芯原紙の坪量が130[g/m
2]以上であり密度が0.65[g/cm
3]以上であれば、評価箱から内容物が抜け落ちることを防止することができると言える。とくに、ライナ原紙の坪量が80[g/m
2]以上であり密度が0.75[g/cm
3]以上であれば、内容物の荷重による評価箱の損傷を抑制することができると言える。そのうえ、ライナ原紙の坪量が150[g/m
2]以上であり密度が0.85[g/cm
3]以上であれば、内容物の荷重による評価箱の損傷を防止することができると言える。
【0132】
<構成e>
――測定対象――
構成eに関する実施例e1〜e3および比較例e4には、実施例b1〜b3,c1〜c3,d1〜d3や比較例b4,c4,d4と同様の原紙を用い、実施例c1〜c3,d1〜d3や比較例c4,d4と同様の段繰りロールを有するコルゲータを用いて製造されたAフルートの測定ダンボール材を用いた。
上記のように製造された測定ダンボール材を用いた実施例e1〜e3および比較例e4のそれぞれについて、接着力を測定し、下記の表10に示す接着力が測定された。
なお、表10の表記に関し、「S側」は「シングルフェーサ側」(裏ライナ側)を意味し、「G側」は「グルーマシン側」(表ライナ側)を意味する。
【0133】
【表10】
【0134】
「接着力」は、測定ダンボール材のシートにおいて中芯の段頂(極大値に対応する箇所)とライナとの接着部の引き剥がし抵抗値に対応するパラメータである。平たく言えば、測定ダンボール材のシートをなすライナの剥がれにくさに対応するパラメータである。
この接着力は、下記の手順ea〜edで測定した。
・手順ea:測定ダンボール材の全段数のうち半分の段数を基準に上下十段分のシー
トを採取し、変形(たとえば凹み)のない二十枚のシートを切り出す。
・手順eb:手順eaで切り出されたシートから、以下に示すサイズに試験用のサン
プルをカッタで切り出す。
中芯の波形構造と平行な方向(縦方向〈CD方向〉) :50[mm]
中芯の波形構造と直交する方向(横方向〈MD方向〉):85[mm]
・手順ec:手順ebで切り出されたサンプルは、表裏のそれぞれ十枚準備する。具
体的には、シングルフェーサ側の接着力を測定するための十枚と、グル
ーマシン側の接着力を測定するための十枚とを準備する。
・手順ed:手順ecで準備されたサンプルを下記の測定装置に装着し、下記の準拠
規格,測定条件で接着力を測定した。
>準拠規格:JIS Z0402
>測定装置:圧縮試験機(株式会社エー・アンド・デイ製,RTF1350)
>測定条件:ピンアタッチメント(日本T.M.C.株式会社)をサンプルに装着
し、測定装置上に置いて、剥離面が上側となるように13[mm/分
]の速度で荷重を印加し、サンプルの接着部が剥離したときの最大荷
重を測定する。
・手順ee:手順ad,aD,bg,ddと同様に、手順edで測定された接着力か
ら、測定結果の精度を低下させる外乱(要因)となりうる数値を除外し
て、平均値をとったものを破裂強さとした。
【0135】
――評価――
上記のようにして接着力が得られた実施例e1〜e3および比較例e4について、ライナ剥がれを評価した。
「ライナ剥がれ」とは、箱の品質の高低や外観の良否などに対応する評価基準である。このライナ剥がれは、下記の手順eA〜eCで評価した。
・手順eA:構成a,bに係る製函性の評価と同様に、測定ダンボール材の折目を跨
ぐカット線で評価ダンボール片を切り抜く。なお、一枚目の評価ダン
ボール片を切り抜くにあたって新しいカッタ刃に交換し、このカッタ刃
を百枚目(最後)まで交換せずに使用した。
・手順eB:手順eAで切り抜かれた評価ダンボール片を手組みで組み立てる。
・手順eC:手順eBで組み立てられた評価箱におけるライナ(シート)の剥がれの
有無を観察する。
【0136】
上記のライナ剥がれは、下記の基準で評価した。
・◎:全て(100[箱])の評価箱において、ライナの剥がれが見られなかった。
・○:100[箱]の評価箱のうち1〜2[箱]にライナの剥がれが見られた。
・△:100[箱]の評価箱のうち3〜4[箱]にライナの剥がれが見られた。
・×:100[箱]の評価箱のうち5[箱]にライナの剥がれが見られた。
なお、ライナ剥がれに関して「○」の評価が得られた実施例e2,e3については、実施例e2で1[箱]にライナの剥がれが見られ、比較例e3で2[箱]にライナの剥がれが見られた。そのほか、ライナ剥がれに関して「△」の評価が得られた実施例や比較例は無かった。
【0137】
実施例e1〜e3では、シングルフェーサ側およびグルーマシン側で測定された接着力の平均値(以下「平均接着力」と称する)が140[N]以上であって、ライナ剥がれについて「○」以上の評価が得られた。特に、平均接着力が220[N]以上の実施例e1では、「◎」の評価が得られた。
一方、平均接着力が140[N]未満の比較例1では、ライナ剥がれについて「×」の評価が得られた。
【0138】
上記の平均接着力が140[N]以上であれば、測定ダンボール材から評価ダンボール片が切り抜かれるときにライナが剥がれにくくなり、評価ダンボール片から評価箱が組み立てられるときにもライナが剥がれにくくなると推察される。さらに、平均接着力が220[N]以上であれば、評価ダンボール片の切り抜き時や組み立て時の双方でライナの剥がれを防止することができると推察される
よって、平均接着力が140[N]以上であれば、評価箱のライナが剥がれにくくなると言える。延いては、評価箱の外観が低下するのを抑えることができ、評価箱の品質を確保することができるとも言える。
【0139】
[3.三構成を組み合わせた実施例]
さいごに、構成aの一部,dおよびeを組み合わせた実施例adeを述べる。
なお、実施例adeについて測定対象や評価の詳細は、特に言及しない限り、上述の内容と同様である。
――測定対象――
実施例adeは、以下に列挙するパラメータを兼ね備えた測定ダンボール材を対象にして評価した。
・ 厚 み 寸法 :5.1[mm]
・ 破 裂 強さ :2009[kpa]
・ 平均接着力 :237.5[N]
>シングルフェーサ側:230[N]
> グルーマシン側:245[N]
【0140】
――評価――
実施例adeの測定ダンボール材に対して、罫割れ,破れやすさ,ライナ剥がれのそれぞれを評価した。その結果、罫割れ,破れやすさ,ライナ剥がれの何れにおいても優良(上述の「◎」)の評価が得られた。
実施例adeの評価結果より、構成aの一部,d,eを組み合わせた場合には、各構成aの一部,d,eに対応する評価が損なわれることなく優良なことがわかる。
【0141】
さらに、上記のパラメータを有する測定ダンボール材を製函システムに用いた場合には、測定ダンボール材に対する手作業の安全性が向上すると推察される。その理由としては、下記の理由α,βが挙げられる。
・理由α:ライナ剥がれの優良な評価が得られることから、測定ダンボール材に対す
る手作業において意図せずにライナが剥がれることが抑えられるうえに、
測定ダンボール材を破断する手作業において適度な力を印加した時点でラ
イナが剥がれると推察されること。言い換えれば、平均接着力が過大であ
ると、破断作業時の安全性に改善の余地があること。
・理由β:仮に、測定ダンボール材のシートが過剰に薄ければ、シートの端部と作業
員とが接触した際の安全性に改善の余地があること。測定ダンボール材の
シートが過剰に厚ければ、シートのライナと作業員とが接触した際の安全
性に改善の余地があること。これらに対し、実施例adeでは罫割れの優
良な評価が得られることから、シートの端部やライナと作業員とが接触し
た際の安全性が向上すると推察される。
【0142】
[III.変形例]
上述の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
たとえば、ダンボール材が製函システム用の資材である場合には、意図的に形成された切れ込みやミシン目などの追加加工が折目に施されていないことが好ましく、ダンボール材におけるライナの表層に設けられる罫線を起点(たとえば罫線を内側)に180[°]折り返される箇所が折目であることが好ましい。一方、ダンボール材が製函システム用以外の資材である場合には、切れ込みやミシン目などの加工が折目に施されていてもよい。
【0143】
上述した蛇腹折りのダンボール材の用途は、製函システムに適用される製函用資材としての用途に限らない。
蛇腹折りのダンボール材には、従来の枚葉のダンボールシートと異なる、複数のシートが折目を介して連設された構造を活かした様々な活用方法がある。
例えば、蛇腹折りのダンボール材は、シートを展開した状態で、延在する方向の寸法が大きいウェブ状の紙資材として扱うこともできる。
【0144】
ウェブ状の紙資材として利用方法としては、例えば下記の用途を例に挙げることができる。
災害用品としての利用:窓に貼り付けることで、台風時の窓割れ対策に利用で
きるほか、避難所でのプライバシー保護やストレス軽
減用のパーテーションとしての利用や、緩衝材や冷え
対策用の敷物として利用可能である。
イベント行事での利用:イベントや学校行事の看板等の創作物に利用可能であ
る。
建築/引越資材としての利用:建築現場や引越し現場で一時的にドアや壁、扉などを
守る必要がある場合、対象物に貼り付けるタイプの保
護材(養生材)として活用可能である。対象物に巻き
付けるタイプの保護材(梱包資材)として利用するこ
ともできる。
何れの利用方法においても、複数のシートが折目を介して連設された構造であることで、作業効率向上や、延在する方向の寸法を確保できるという利点がある。
【0145】
[IV.付記]
以上の実施形態に関し、ダンボール材の破裂強さに関する付記を開示する。
〔付記1〕
連続するダブルフルートの両面ダンボールにおいて矩形状のシートが第一方向に沿って直線状に延在する折目のそれぞれにおいて前記折目の沿う平面で前記第一方向に直交する第二方向へ折り返され、前記第一方向および前記第二方向の双方に直交する第三方向に沿って前記シートが積み重ねられた蛇腹折りのダンボール材であって、
前記シートは、
JIS Z0203に準拠して温度23[℃]および湿度50[%]の温湿度条件で24時間以上の前処理が施された常態において、
JIS P8131に準拠して測定された前記折目を含まない箇所の破裂強さが500[kPa]以上であり、
JIS P8131に準拠して測定された前記折目を含む箇所の破裂強さが520[kPa]以上である
ことを特徴とするダンボール材。
〔付記2〕
前記折目を含まない箇所の破裂強さおよび前記折目を含む箇所の破裂強さが2500[kPa]以下である
ことを特徴とする付記1に記載のダンボール材。
〔付記3〕
前記シートは、JIS Z0402に準拠してシングルフェーサ側およびグルーマシン側で測定された接着力の平均値が140[N]以上である
ことを特徴とする付記1または2に記載のダンボール材。
〔付記4〕
前記シートは、
段繰率が1.2[倍]以上であって1.7[倍]以下であり、
JIS Z0403−1に準拠して測定された平面圧縮強さが50[kPa]以上であって250[kPa]以下である
ことを特徴とする付記1〜3の何れか1項に記載のダンボール材。
〔付記5〕
前記シートは、前記第一方向から視て表ライナと裏ライナとの中央において前記第二方向に延びる仮想的な補助線に対して中芯が交差するとともに隣り合う二箇所において、前記中芯と前記補助線とのなす二つの鋭角どうしの差を前記二つの鋭角の和で除した比率が0.30以下である
ことを特徴とする付記1〜4の何れか1項に記載のダンボール材。
〔付記6〕
連続するシングルフルートの両面ダンボールにおいて矩形状のシートが第一方向に沿って直線状に延在する折目のそれぞれにおいて前記折目の沿う平面で前記第一方向に直交する第二方向へ折り返され、前記第一方向および前記第二方向の双方に直交する第三方向に沿って前記シートが積み重ねられた蛇腹折りのダンボール材であって、
前記シートは、
JIS Z0203に準拠して温度23[℃]および湿度50[%]の温湿度条件で24時間以上の前処理が施された常態において、
JIS P8131に準拠して測定された前記折目を含む箇所の破裂強さが500[kPa]以上である
ことを特徴とするダンボール材。
〔付記7〕
前記折目を含む箇所の破裂強さが1500[kPa]以下である
ことを特徴とする付記6に記載のダンボール材。
〔付記8〕
付記1〜7の何れか1項に記載のダンボール材を用いた
ことを特徴とするダンボール箱。