【文献】
Endocrinol. Metab. Clin. North Am., 2005, Vol.34, No.2, pp.371-384
【文献】
Nath. J. Med.,2000, Vol.56, No.1, pp.12-16
【文献】
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1984, Vol.81, No.12, pp.3879-3882
【文献】
J. Clin. Endocrinol. Metab., 1990, Vol.70, No.1, pp.230-233
【文献】
Endocrinol. Japon., 1986, Vol.33, No.2, pp.203-209
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストが、ステロイド骨格の11−β位において少なくとも1つのフェニル含有部分を有する該ステロイド骨格を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
前記糖質コルチコイドが、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、デキサメタゾン、糖質コルチコイドアナログ、合成糖質コルチコイドアナログおよびそれらの誘導体からなる群より選択される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の簡単な概要
一態様において、本発明は、二次性副腎機能不全を有すると疑われる患者を処置するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、患者は、二次性副腎機能不全を有する。前記方法は、治療有効量の糖質コルチコイド(GC)および糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト(GRA)を、それを必要とする患者に共投与して、前記患者のコルチゾールの早朝血漿レベルを少なくとも約12μg/dLまたは標準コントロールレベルに増加させることを含む。場合によっては、患者のコルチゾールの早朝血漿レベルは、約12μg/dL、約13μg/dL、約14μg/dL、約15μg/dL、約16μg/dL、約17μg/dL、約18μg/dL、約19μg/dL、約20μg/dL、約21μg/dL、約22μg/dL、約23μg/dL、約24μg/dL、約25μg/dLまでまたはそれを超えて増加した。いくつかの実施形態において、二次性機能不全に苦しんでいる患者が12μg/dL未満、例えば約5μg/dL〜約11.9μg/dLのコルチゾールレベルを有する場合、GCおよびGRAの投与は、ACTH投与(コシントロピン刺激試験)後に、患者のコルチゾールレベルを約18μg/dLまでまたはそれを超えて、例えば18μg/dL、約19μg/dL、約20μg/dL、約21μg/dL、約22μg/dL、約23μg/dL、約24μg/dL、約25μg/dLまでまたはそれを超えて増加させ得る。いくつかの実施形態において、被験体は、糖質コルチコイドおよび糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストによる併用処置を別様に必要としない。
【0008】
いくつかの実施形態において、患者は、外因性クッシング症候群による(例えば、糖質コルチコイドの長期使用による)二次性副腎機能不全を有すると疑われる。他の実施形態において、患者は、内因性クッシング症候群の手術後に二次性副腎機能不全を有すると疑われる。場合によっては、患者は、下垂体ACTH分泌腫瘍の成功した手術の後に二次性副腎機能不全を有すると疑われる。他の場合では、患者は、副腎外コルチゾール分泌腫瘍(例えば、卵巣がん)の成功した手術の後に二次性副腎機能不全を有すると疑われる。場合によっては、患者は、自律性コルチゾール分泌に関連する片側性副腎過形成の成功した手術の後に二次性副腎機能不全を有すると疑われる。例えば、患者は、異所性ACTH分泌非下垂体腫瘍の成功した手術の後に二次性副腎機能不全を有し得る。別の場合では、患者は、片側性副腎皮質コルチゾール分泌腫瘍の成功した手術の後に二次性副腎機能不全を有し得る。
【0009】
いくつかの実施形態において、患者は、糖質コルチコイドおよび糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト処置(例えば、GC、またはGCと組み合わせたGRA)を受けたことがない。場合によっては、患者は、緑内障、炎症性疾患、関節リウマチ、喘息および鼻炎、慢性肺疾患、アレルギーならびに自己免疫疾患からなる群より選択される障害または状態を処置するために、糖質コルチコイドおよび糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト処置(例えば、GC、またはGCと組み合わせたGRA)を受けたことがない。場合によっては、患者は、糖質コルチコイド処置の副作用を軽減するために、糖質コルチコイドおよび糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト処置(例えば、GC、またはGCと組み合わせたGRA)を受けたことがない。例えば、副作用は、体重増加、緑内障、体液貯留、血圧上昇、気分変動、白内障、高血糖、糖尿病、感染症、骨からのカルシウムの喪失、骨粗鬆症、月経不順、脂肪再分配、成長遅滞、クッシング様外観またはそれらの任意の組合せであり得る。
【0010】
場合によっては、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、糖質コルチコイドレセプターの選択的阻害剤である。いくつかの実施形態において、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、ステロイド骨格の11−β位において少なくとも1つのフェニル含有部分を有するステロイド骨格を含む。場合によっては、ステロイド骨格の11−β位における前記フェニル含有部分は、ジメチルアミノフェニル部分である。場合によっては、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、ミフェプリストンである。いくつかの実施形態において、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、11β−(4−ジメチルアミノエトキシフェニル)−17α−プロピニル−17β−ヒドロキシ−4,9エストラジエン−3−オンおよび(17α)−17−ヒドロキシ−19−(4−メチルフェニル)アンドロスタ−4,9(11)−ジエン−3−オンからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、(11β,17β)−11−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−17−ヒドロキシ−17−(1−プロピニル)エストラ−4,9−ジエン−3−オンである。
【0011】
いくつかの実施形態において、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、非ステロイド骨格を有する。場合によっては、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト骨格は、シクロヘキシルピリミジンである。場合によっては、シクロヘキシルピリミジンは、以下の式:
【化1】
(式中、破線は存在しないか、または結合であり;Xは、OおよびSからなる群より選択され;R
1は、1〜3個のR
1a基で必要に応じて置換されている、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され;各R
1aは独立して、H、C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
1−6アルコキシ、C
1−6アルキルOR
1b、ハロゲン、C
1−6ハロアルキル、C
1−6ハロアルコキシ(haloaloxy)、OR
1b、NR
1bR
1c、C(O)R
1b、C(O)OR
1b、OC(O)R
1b、C(O)NR
1bR
1c、NR
1bC(O)R
1c、SO
2R
1b、SO
2NR
1bR
1c、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され;R
1bおよびR
1cは各々独立して、HおよびC
1−6アルキルからなる群より選択され;R
2は、H、C
1−6アルキル、C
1−6アルキル−OR
1b、C
1−6アルキルNR
1bR
1cおよびC
1−6アルキレンヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;R
3は、HおよびC
1−6アルキルからなる群より選択され;Arは、1〜4個のR
4基で必要に応じて置換されているアリールであり;各R
4は独立して、H、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロゲン、C
1−6ハロアルキルおよびC
1−6ハロアルコキシからなる群より選択され;L
1は、結合またはC
1−6アルキレンであり;ならびに下付き文字nは、0〜3の整数である)またはその塩および異性体を有する。
【0012】
場合によっては、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト骨格は、縮合アザデカリンである。場合によっては、縮合アザデカリンは、以下の式:
【化2】
(式中、L
1およびL
2は、結合および非置換アルキレンから独立して選択されるメンバーであり;R
1は、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、−OR
1A、NR
1CR
1D、−C(O)NR
1CR
1D、および−C(O)OR
1Aから選択されるメンバーであり、ここで、R
1Aは、水素、非置換アルキルおよび非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーであり、R
1CおよびR
1Dは、非置換アルキルおよび非置換ヘテロアルキルから独立して選択されるメンバーであり、ここで、R
1CおよびR
1Dは必要に応じて一緒になって、それらが結合している窒素と共に非置換環を形成し、ここで、前記環は必要に応じて、さらなる環窒素を含み;R
2は、式:
【化3】
(式中、R
2Gは、水素、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、−CN、および−CF
3から選択されるメンバーであり;Jは、フェニルであり;tは、0〜5の整数であり;Xは、−S(O
2)−である)を有し;ならびにR
5は、1〜5個のR
5A基で必要に応じて置換されているフェニルであり、ここで、R
5Aは、水素、ハロゲン、−OR
5A1、S(O
2)NR
5A2R
5A3、−CN、および非置換アルキルから選択されるメンバーであり、ここで、R
5A1は、水素および非置換アルキルから選択されるメンバーであり、ならびにR
5A2およびR
5A3は、水素および非置換アルキルから独立して選択されるメンバーである)またはその塩および異性体を有する化合物である。
【0013】
場合によっては、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト骨格は、ヘテロアリールケトン縮合アザデカリンまたはオクタヒドロ縮合アザデカリンである。場合によっては、ヘテロアリールケトン縮合アザデカリンは、式:
【化4】
(式中、R
1は、5〜6個の環メンバー、ならびにN、OおよびSからなる群より各々独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有するヘテロアリール環であって、R
1aから各々独立して選択される1〜4個の基で必要に応じて置換されているヘテロアリール環であり;各R
1aは独立して、水素、C
1−6アルキル、ハロゲン、C
1−6ハロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
1−6ハロアルコキシ、CN、N−オキシド、C
3−8シクロアルキル、およびC
3−8ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;環Jは、シクロアルキル環、ヘテロシクロアルキル環、アリール環およびヘテロアリール環からなる群より選択され、ここで、前記ヘテロシクロアルキル環およびヘテロアリール環は、5〜6個の環メンバー、ならびにN、OおよびSからなる群より各々独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有し;各R
2は独立して、水素、C
1−6アルキル、ハロゲン、C
1 6ハロアルキル、C
1 6アルコキシ、C
1−6ハロアルコキシ、C
1−6アルキル−C
1−6アルコキシ、CN、OH、NR
2aR
2b、C(O)R
2a、C(O)OR
2a、C(O)NR
2aR
2b、SR
2a、S(O)R
2a、S(O)
2R
2a、C
3−8シクロアルキル、およびC
3−8ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され、ここで、前記ヘテロシクロアルキル基は、1〜4個のR
2c基で必要に応じて置換されており;あるいは、同じ炭素に連結されている2個のR
2基は一体となって、オキソ基(=O)を形成し;あるいは、2個のR
2基は一体となって、5〜6個の環メンバー、ならびにN、OおよびSからなる群より各々独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで、前記ヘテロシクロアルキル環は、1〜3個のR
2d基で必要に応じて置換されており;R
2aおよびR
2bは各々独立して、水素およびC
1−6アルキルからなる群より選択され;各R
2cは独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1−6アルコキシ、C
1−6ハロアルコキシ、CN、およびNR
2aR
2bからなる群より選択され;各R
2dは独立して、水素およびC
1−6アルキルからなる群より選択されるか、または同じ環原子に結合している2個のR
2d基は一体となって、(=O)を形成し;R
3は、1〜4個のR
3a基で各々必要に応じて置換されている、フェニルおよびピリジルからなる群より選択され;各R
3aは独立して、水素、ハロゲン、およびC
1−6ハロアルキルからなる群より選択され;ならびに下付き文字nは、0〜3の整数である)またはその塩および異性体を有する。
【0014】
場合によっては、オクタヒドロ縮合アザデカリンは、式:
【化5】
(式中、R
1は、5〜6個の環メンバー、ならびにN、OおよびSからなる群より各々独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有するヘテロアリール環であって、R
1aから各々独立して選択される1〜4個の基で必要に応じて置換されているヘテロアリール環であり;各R
1aは独立して、水素、C
1−6アルキル、ハロゲン、C
1−6ハロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
1−6ハロアルコキシ、N−オキシド、およびC
3−8シクロアルキルからなる群より選択され;環Jは、アリール環、ならびに5〜6個の環メンバー、ならびにN、OおよびSからなる群より各々独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有するヘテロアリール環からなる群より選択され;各R
2は独立して、水素、C
1−6アルキル、ハロゲン、C
1−6ハロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
1−6ハロアルコキシ、C
1−6アルキル−C
1−6アルコキシ、CN、OH、NR
2aR
2b、C(O)R
2a、C(O)OR
2a、C(O)NR
2aR
2b、SR
2a、S(O)R
2a、S(O)
2R
2a、C
3−8シクロアルキル、ならびにN、OおよびSからなる群より各々独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有するC
3−8ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;あるいは、隣接する環原子上の2個のR
2基は一体となって、5〜6個の環メンバー、ならびにN、OおよびSからなる群より各々独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで、前記ヘテロシクロアルキル環は、1〜3個のR
2c基で必要に応じて置換されており;R
2a、R
2bおよびR
2cは各々独立して、水素およびC
1−6アルキルからなる群より選択され;各R
3aは独立して、ハロゲンであり;ならびに下付き文字nは、0〜3の整数である)またはその塩および異性体を有する。
【0015】
いくつかの実施形態において、糖質コルチコイドは、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、デキサメタゾン、糖質コルチコイドアナログ、合成糖質コルチコイドアナログ、糖質コルチコイドレセプターアゴニストおよびそれらの誘導体からなる群より選択される。
【0016】
いくつかの実施形態において、患者は、外因性糖質コルチコイドを長期間投与されている。場合によっては、長期間は、少なくとも3週間、例えば3週間、4週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、12ヶ月間、1.5年間、2年間、3年間またはそれより長い期間である。場合によっては、外因性糖質コルチコイドは、プレドニゾン、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾンまたはそれらの組み合わせである。
【0017】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面から当業者には明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
I.イントロダクション
本発明は、治療有効量の糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト(GRA)および治療有効量の糖質コルチコイド(GC)を投与することによって、二次性副腎機能不全の処置を必要とする被験体における二次性副腎機能不全を処置するための新規処置方法を提供する。この併用処置の投与は、被験体の早朝血漿コルチゾールレベルが少なくとも約12μg/dLまたは標準コントロールレベルになるように、コルチゾールの産生および/または分泌を促進し得る。いくつかの実施形態において、前記方法は、患者が、緑内障、炎症性疾患、関節リウマチ、喘息および鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、アレルギーならびに自己免疫疾患の処置のためにGCおよびGRAとの投与を別様に必要としないという条件を含む。いくつかの実施形態において、前記方法はまた、患者が、GC単一処置の副作用、例えば体重増加、緑内障、体液貯留、血圧上昇、気分変動、白内障、高血糖、糖尿病、感染症、骨からのカルシウムの喪失、骨粗鬆症、月経不順、脂肪再分配、成長遅滞およびクッシング様外観の軽減のためにGCおよびGRAによる併用処置を別様に必要としないという条件を含む。
II.定義
【0019】
本明細書中で使用されるとき、特に指定がない限り、以下の用語は、それらに帰する意味を有する。本明細書中で使用される略語は、化学および生物学分野におけるそれらの従来の意味を有する。
【0020】
用語「二次性副腎機能不全」とは、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の欠如により、副腎が適切な量のコルチゾールを産生しない状態のことを指す。原発性副腎機能不全を有する患者とは異なり、二次性副腎機能不全を有する者は、実質的に正常なレベルのアルドステロンを産生し、少なくとも1つの無傷の副腎を有する。二次性副腎機能不全は、長期糖質コルチコイド補充療法を受けた患者において一般的である。
【0021】
用語「クッシング症候群」とは、内因性または外因性糖質コルチコイドへの長期曝露によって引き起こされる疾患のことを指す。クッシング症候群の症候としては、以下に限定されないが、体重増加、高血圧、短期記憶不良、集中力不良、過敏性、過剰な毛髪成長、免疫機能の障害、赤ら顔、頸部領域の余分な脂肪、満月状顔貌、疲労、赤い妊娠線、不規則な月経の1つもしくは複数、またはそれらの組合せが挙げられる。加えて、またはあるいは、クッシング症候群の症候としては、以下に限定されないが、不眠症、再発性感染、薄皮、易傷性、弱い骨、ざ瘡、はげ、うつ病、腰もしくは肩の弱さ、手足の腫れ、真性糖尿病、白血球数の上昇、低カリウム血性代謝性アルカローシスの1つもしくは複数、またはそれらの組合せが挙げられ得る。
【0022】
用語「内因性クッシング症候群」とは、例えば、下垂体ACTH分泌腫瘍(クッシング病)、非下垂体ACTH分泌腫瘍またはコルチゾール分泌腫瘍(副腎または副腎外)によるコルチゾールの内因性過剰産生によって引き起こされる、ある種類のクッシング症候群のことを指す。ACTH分泌腫瘍は、下垂体腺腫、下垂体腺癌、カルチノイド腫瘍(carincinoid tumors)および神経内分泌腫瘍であり得、コルチゾール分泌腫瘍としては、以下に限定されないが、コルチゾール産生副腎腺腫、副腎皮質癌、原発性色素性小結節性副腎疾患(PPNAD)、ACTH非依存性大結節性副腎過形成(AIMAH)および副腎外コルチゾール分泌腫瘍、例えば卵巣癌が挙げられる。
【0023】
用語「外因性クッシング症候群」とは、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾンなどの合成糖質コルチコイドの反復または長期投与によって引き起こされる、ある種類のクッシング症候群のことを指す。長期ステロイド置換療法を受けており、クッシング症候群の症候または徴候を示しており、低い血清コルチゾールレベルを有する被験体は、外因性クッシング症候群を有し得る。低い血清コルチゾールレベルの標準基準範囲は、早朝において約4μg/dL未満である。
【0024】
「処置する(Treat)」、「処置する(treating)」および「処置」とは、病態または状態の処置または回復における任意の成功の徴候(任意の客観的または主観的なパラメータ(例えば、軽減;緩解;症候を減少させること、または病態もしくは状態を患者にとってより容認可能であるものにすること;変性または減退の速度を遅くすること;変性の最終点をより低い消耗性にすること;または、患者の身体的または精神的幸福を改善すること)を含む)のことを指す。症候の処置または回復は、理学的検査;組織病理学的検査(例えば、生検組織の分析);(例えば、コルチゾールまたは副腎皮質刺激ホルモンレベルを検出するための)尿、唾液、下錐体静脈洞サンプル、血清、血漿または血液の研究室分析;またはイメージング(例えば、検出可能に標識されたオクトレオチドのイメージング)の結果を含む客観的または主観的なパラメータに基づき得る。有効な処置とは、患者の体内のコルチゾールおよび/または副腎皮質刺激ホルモンの増加のことを指し得る。
【0025】
「患者」または「それを必要とする被験体」とは、二次性副腎機能不全を有するかまたは有すると疑われる者のことを指す。
【0026】
本明細書中で使用されるとき、互換的に使用される用語「同時投与または逐次投与」または「共投与」とは、GRA化合物および糖質コルチコイド(GC)を、これら2つの化合物が、二次性副腎機能不全を処置するのに有効な量で同時に体内にあるように投与することを指す。
【0027】
本明細書中で使用されるとき、用語「有効量」、「有効な量」または「治療有効量」とは、処置される疾患の少なくとも1つの症候を処置、排除または低減するのに有効な1つまたはそれより多くの薬理学的剤の量のことを指す。場合によっては、「有効量」、「有効な量」または「治療有効量」とは、検出可能な治療効果または阻害効果を示すのに有用な機能的剤または医薬組成物の量のことを指し得る。効果は、当該分野で公知の任意のアッセイ方法によって検出され得る。場合によっては、有効な量などは、ACTHレベルまたはコルチゾール(例えば、血漿コルチゾール、血清コルチゾール、唾液コルチゾールまたは尿中遊離コルチゾール)レベルを増加させるのに有効な量のことを指す。場合によっては、有効な量などは、ACTHレベルまたはコルチゾールレベルまたはそれらの組合せを少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、90%、99%またはそれを超えて増加させるのに有効な量のことを指す。
【0028】
用語「コルチゾールの早朝血漿レベル」とは、早朝(例えば、約午前7時〜約午前9時)における血漿中のコルチゾールのレベル、量または濃度のことを指す。患者のコルチゾールの早朝血漿レベルを測定するために、サンプルは、午前7時〜午前9時に、正常な概日リズム(例えば、夜間睡眠サイクル)を有する患者から採取される。早朝血清コルチゾールの正常範囲は、約4μg/dL〜約28μg/dLである。μg/dLコルチゾールからnmol/Lコルチゾールに変換するためには、コルチゾール変換係数(27.59)を掛ける。
【0029】
血漿コルチゾールレベルとの関連における用語「標準コントロールレベル」とは、コントロール個体、例えば健常個体、二次性副腎機能不全を有しない個体において決定されたコルチゾールのレベル、量または濃度のことを指す。場合によっては、標準コントロールレベルは、個体のコントロール集団、例えば健常正常個体の集団から決定された平均標準コントロールレベルである。いくつかの実施形態において、該当する場合、本開示の方法を使用して二次性副腎機能不全についてスクリーニングおよび/またはモニターする目的で、これらの個体は、適切なパラメータの範囲内である。必要に応じて、個体は、同様の年齢または同様の人種的背景である。選択された個体の状態は、限定されないが、個体の一般的な身体検査および病歴の一般的な見直しを含む、十分に確立されて規定どおりに用いられている方法によって確認され得る。
【0030】
語句「糖質コルチコイドの長期使用」とは、疾患または障害の処置のために、1つの糖質コルチコイド薬物を患者に投与することであって、患者が、糖質コルチコイド薬物を一定期間、例えば少なくとも3週間またはそれを超えて服用することを指す。場合によっては、患者は、高用量の糖質コルチコイド薬物を服用し、薬物処置の中止前に薬物漸減(薬物の段階的な使用中止または中断)を受ける。
【0031】
「薬学的に許容され得る賦形剤」および「薬学的に許容され得るキャリア」とは、活性な作用物質を被験体に投与することおよびその活性な作用物質が被験体によって吸収されることを助ける物質のことを指し、有意な毒物学的悪影響を患者に引き起こすことなく本発明の組成物中に含められ得る。薬学的に許容され得る賦形剤の非限定的な例としては、水、NaCl、通常の食塩水溶液、乳酸加リンガー液、通常のスクロース、通常のグルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤、甘味料、香料および着色料などが挙げられる。当業者は、他の薬学的賦形剤が本発明において有用であることを認識する。
【0032】
「糖質コルチコイド」(「GC」)とは、糖質コルチコイドレセプターに結合するステロイドホルモンのことを指す。糖質コルチコイドは、典型的には、21個の炭素原子と、環Aにおけるα,β−不飽和ケトンと、環Dに結合したα−ケトール基とを有することを特徴とする。それらは、C−11、C−17およびC−19における酸化またはヒドロキシル化の程度が異なる(Rawn,“Biosynthesis and Transport of Membrane Lipids and Formation of Cholesterol Derivatives,”in Biochemistry,Daisyら(eds.),1989,pg.567)。用語「糖質コルチコイド」は、糖質コルチコイドレセプターアゴニスト、糖質コルチコイド、糖質コルチコステロイド、コルチコイド、コルチコステロイド、または糖質コルチコイドレセプターに結合してそれを活性化するステロイドと称される当該分野で公知の任意の化合物を含む。
【0033】
「糖質コルチコイドレセプター」(「GR」)とは、コルチゾールおよび/またはコルチゾールアナログ、例えばデキサメタゾンに特異的に結合するII型GRのことを指す(例えば、Turner&Muller,J Mol Endocrinol,2005 35 283−292を参照のこと)。GRは、コルチゾールレセプターとも称される。この用語は、GRのアイソフォーム、組換えGRおよび変異型GRを含む。ヒトGRレセプターII型(Genbank:P04150)に対する阻害定数(K
i)は、0.0001nM〜1,000nM;好ましくは0.0005nM〜10nM、最も好ましくは0.001nM〜1nMである。
【0034】
用語「糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト」または「GRA」とは、糖質コルチコイドレセプター(GR)への糖質コルチコイドレセプター(GR)アゴニスト(例えば、合成または天然のコルチゾールまたはコルチゾールアナログ)の結合を部分的にまたは完全に阻害する(アンタゴナイズする)任意の組成物または化合物のことを指す。「特異的な糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト」とは、アゴニストへのGRの結合に関連する任意の生物学的応答を阻害する任意の組成物または化合物のことを指す。「特異的な」とは、他の核レセプター(例えば、鉱質コルチコイドレセプター(MR)、アンドロゲンレセプター(AR)またはプロゲステロンレセプター(PR))よりも、むしろGRに優先的に結合する薬物である。特異的な糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、MR、ARもしくはPR、MRおよびPRの両方、MRおよびARの両方、ARおよびPRの両方に対する、またはMR、AR、およびPRに対するその親和性よりも10倍超の親和性(10分の1のK
d値)で、GRに結合することが好ましい。より好ましい実施形態において、特異的な糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、MR、ARもしくはPR、MRおよびPRの両方、MRおよびARの両方、ARおよびPRの両方に対する、またはMR、AR、およびPRに対するその親和性よりも100倍超の親和性(100分の1のK
d値)で、GRに結合する。
【0035】
糖質コルチコイドレセプターとの関連における用語「選択的阻害剤」とは、特異的な糖質コルチコイドレセプターアゴニストおよび糖質コルチコイドレセプターの結合を選択的に妨害する化合物のことを指す。
【0036】
用語「ステロイド骨格」とは、そのようなものを含有する糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストとの関連では、内因性ステロイド糖質コルチコイドレセプターリガンドであるコルチゾールの基本構造の改変を含有する糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストのことを指す。ステロイド骨格の基本構造は、式I:
【化6】
として提供される。糖質コルチコイドアンタゴニストを作るためのコルチゾールステロイド骨格の構造的改変の2つの最も一般的な公知のクラスとしては、11−βヒドロキシ基の改変および17−β側鎖の改変が挙げられる(例えば、Lefebvre(1989)J.Steroid Biochem.33:557−563を参照のこと)。
【0037】
本明細書中で使用されるとき、語句「非ステロイド骨格」とは、そのようなものを含有する糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストとの関連では、コルチゾールと構造的相同性を共有せず、コルチゾールの改変物でない糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストのことを指す。そのような化合物としては、部分的ペプチド性、擬似ペプチド性および非ペプチド性の分子実体を含むタンパク質の合成模倣物およびアナログが挙げられる。
【0038】
非ステロイドGRA化合物としては、シクロヘキシルピリミジン骨格、縮合アザデカリン骨格、ヘテロアリールケトン縮合アザデカリン骨格またはオクタヒドロ縮合アザデカリン骨格を有する糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストも挙げられる。シクロヘキシル−ピリミジン骨格を有する例示的な糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストとしては、米国特許第8,685,973号に記載されているものが挙げられる。縮合アザデカリン骨格を有する例示的な糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストとしては、米国特許第7,928,237号;および米国特許第8,461,172号に記載されているものが挙げられる。ヘテロアリールケトン縮合アザデカリン骨格を有する例示的な糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストとしては、米国特許出願公開第2014/0038926号に記載されているものが挙げられる。オクタヒドロ(octohydro)縮合アザデカリン骨格を有する例示的な糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストとしては、米国仮特許出願第61/908,333号(表題Octahydro Fused Azadecalin Glucocorticoid Receptor Modulator、代理人整理番号85178−887884(007800US)、2013年11月25日出願)に記載されているものが挙げられる。
【0039】
置換基が、左から右に向かって記述されるそれらの従来の化学式によって明記される場合、それらは、右から左に向かって構造を記述することによってもたらされる化学的に同一の置換基を等しく包含し、例えば、−CH
2O−は、−OCH
2−と等価である。
【0040】
「アルキル」とは、示される数の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の飽和脂肪族ラジカルのことを指す。アルキルは、任意の数の炭素(例えば、C
1−2、C
1−3、C
1−4、C
1−5、C
1−6、C
1−7、C
1−8、C
1−9、C
1−10、C
2−3、C
2−4、C
2−5、C
2−6、C
3−4、C
3−5、C
3−6、C
4−5、C
4−6およびC
5−6)を含み得る。例えば、C
1−6アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
「アルコキシ」とは、アルキル基を結合点に接続する酸素原子を有するアルキル基:アルキル−O−のことを指す。アルキル基に関しては、アルコキシ基は、C
1−6などの任意の好適な数の炭素原子を有し得る。アルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、iso−プロポキシ、ブトキシ、2−ブトキシ、iso−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどを含む。
【0042】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素のことを指す。
【0043】
「ハロアルキル」とは、水素原子のいくつかまたはすべてが、ハロゲン原子で置き換えられている、上で定義されたようなアルキルのことを指す。アルキル基に関しては、ハロアルキル基は、C
1−6などの任意の好適な数の炭素原子を有し得る。例えば、ハロアルキルとしては、トリフルオロメチル、フルオロメチルなどが挙げられる。場合によっては、用語「ペルフルオロ」は、すべての水素がフッ素で置き換えられている化合物またはラジカルを定義するために使用され得る。例えば、ペルフルオロメタンとしては、1,1,1−トリフルオロメチルが挙げられる。
【0044】
「ハロアルコキシ」とは、水素原子のいくつかまたはすべてがハロゲン原子で置換されているアルコキシ基のことを指す。アルキル基に関しては、ハロアルコキシ基は、C
1−6などの任意の好適な数の炭素原子を有し得る。アルコキシ基は、1、2、3個またはそれより多くのハロゲンで置換され得る。すべての水素が、ハロゲン、例えば、フッ素で置き換えられるとき、その化合物は、全置換(per−substituted)、例えば、全フッ素置換(perfluorinated)される。ハロアルコキシとしては、トリフルオロメトキシ、2,2,2,−トリフルオロエトキシ、ペルフルオロエトキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
「シクロアルキル」とは、3〜12個の環原子または示されている数の原子を含む、飽和または部分不飽和の、単環式、縮合二環式または架橋多環式の環アセンブリ(ring assembly)のことを指す。シクロアルキルは、任意の数の炭素(例えば、C
3−6、C
4−6、C
5−6、C
3−8、C
4−8、C
5−8、C
6−8、C
3−9、C
3−10、C
3−11およびC
3−12)を含み得る。飽和単環式シクロアルキル環としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロオクチルが挙げられる。飽和二環式および多環式シクロアルキル環としては、例えば、ノルボルナン、[2.2.2]ビシクロオクタン、デカヒドロナフタレンおよびアダマンタンが挙げられる。シクロアルキル基は、その環内に1つまたはそれより多くの二重結合または三重結合を有する部分不飽和でもあり得る。部分不飽和である代表的なシクロアルキル基としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン(1,3−および1,4−異性体)、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロオクテン、シクロオクタジエン(1,3−、1,4−および1,5−異性体)、ノルボルネンおよびノルボルナジエンが挙げられるが、これらに限定されない。シクロアルキルが、飽和単環式C
3−8シクロアルキルであるとき、例示的な基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられるが、これらに限定されない。シクロアルキルが、飽和単環式C
3−6シクロアルキルであるとき、例示的な基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
「ヘテロシクロアルキル」とは、3〜12個の環メンバー、ならびにN、OおよびSのうちの1〜4個のヘテロ原子を有する飽和環系のことを指す。B、Al、SiおよびPを含むがこれらに限定されないさらなるヘテロ原子もまた有用であり得る。上記ヘテロ原子はまた、酸化され得、例えば、−S(O)−および−S(O)
2−であるがこれらに限定されない。ヘテロシクロアルキル基は、任意の数の環原子(例えば、3〜6、4〜6、5〜6、3〜8、4〜8、5〜8、6〜8、3〜9、3〜10、3〜11または3〜12個の環メンバー)を含み得る。任意の好適な数(例えば、1、2、3もしくは4、または1〜2、1〜3、1〜4、2〜3、2〜4もしくは3〜4)のヘテロ原子が、ヘテロシクロアルキル基に含まれ得る。上記ヘテロシクロアルキル基には、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、アゾカン、キヌクリジン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、ピペラジン(1,2−、1,3−および1,4−異性体)、オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、オキサン(テトラヒドロピラン)、オキセパン、チイラン、チエタン、チオラン(テトラヒドロチオフェン)、チアン(テトラヒドロチオピラン)、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン(isoxalidine)、チアゾリジン、イソチアゾリジン、ジオキソラン、ジチオラン、モルホリン、チオモルホリン、ジオキサンまたはジチアンなどの基が含まれ得る。ヘテロシクロアルキル基はまた、芳香環系または非芳香環系と縮合して、インドリンを含むがこれに限定されないメンバーを形成し得る。
【0047】
ヘテロシクロアルキルが、3〜8個の環メンバーおよび1〜3個のヘテロ原子を含むとき、代表的なメンバーとしては、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、オキサン、テトラヒドロチオフェン、チアン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、ピペラジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、モルホリン、チオモルホリン、ジオキサンおよびジチアンが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルは、5〜6個の環メンバーおよび1〜2個のヘテロ原子を有する環も形成し得、代表的なメンバーとしては、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、ピペラジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジンおよびモルホリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
「アリール」とは、任意の好適な数の環原子および任意の好適な数の環を有する芳香環系のことを指す。アリール基は、任意の好適な数の環原子(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16個の環原子)ならびに6〜10、6〜12または6〜14個の環メンバーを含み得る。アリール基は、単環式であり得るか、縮合して二環式基もしくは三環式基を形成し得るか、または結合によって連結されてビアリール基を形成し得る。代表的なアリール基としては、フェニル、ナフチルおよびビフェニルが挙げられる。他のアリール基としては、メチレン連結基を有するベンジルが挙げられる。いくつかのアリール基は、6〜12個の環メンバーを有する(例えば、フェニル、ナフチルまたはビフェニル)。他のアリール基は、6〜10個の環メンバーを有する(例えば、フェニルまたはナフチル)。いくつかの他のアリール基は、6個の環メンバーを有する(例えば、フェニル)。アリール基は、置換されていてもよく、非置換であってもよい。
【0049】
「ヘテロアリール」とは、5〜16個の環原子(ここで、前記環原子の1〜5個は、N、OまたはSなどのヘテロ原子である)を含有する、単環式または縮合二環式もしくは三環式の芳香環アセンブリのことを指す。B、Al、SiおよびPを含むがこれらに限定されないさらなるヘテロ原子もまた有用であり得る。上記ヘテロ原子はまた、酸化され得、例えば、N−オキシド、−S(O)−および−S(O)
2−であるがこれらに限定されない。ヘテロアリール基は、任意の数の環原子(例えば、3〜6、4〜6、5〜6、3〜8、4〜8、5〜8、6〜8、3〜9、3〜10、3〜11または3〜12個の環メンバー)を含み得る。任意の好適な数(例えば、1、2、3、4もしくは5、または1〜2、1〜3、1〜4、1〜5、2〜3、2〜4、2〜5、3〜4もしくは3〜5)のヘテロ原子が、ヘテロアリール基に含まれ得る。ヘテロアリール基は、5〜8個の環メンバーおよび1〜4個のヘテロ原子、または5〜8個の環メンバーおよび1〜3個のヘテロ原子、または5〜6個の環メンバーおよび1〜4個のヘテロ原子、または5〜6個の環メンバーおよび1〜3個のヘテロ原子を有し得る。ヘテロアリール基には、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3−、1,2,4−および1,3,5−異性体)、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾールおよびイソオキサゾールなどの基が含まれ得る。ヘテロアリール基はまた、フェニル環などの芳香環系と縮合して、ベンゾピロール(例えば、インドールおよびイソインドール)、ベンゾピリジン(例えば、キノリンおよびイソキノリン)、ベンゾピラジン(キノキサリン)、ベンゾピリミジン(キナゾリン)、ベンゾピリダジン(例えば、フタラジンおよびシンノリン)、ベンゾチオフェンおよびベンゾフランを含むがこれらに限定されないメンバーを形成し得る。他のヘテロアリール基としては、結合によって連結されたヘテロアリール環、例えば、ビピリジンが挙げられる。ヘテロアリール基は、置換されていてもよく、非置換であってもよい。
【0050】
ヘテロアリール基は、環上の任意の位置を介して連結され得る。例えば、ピロールには、1−、2−および3−ピロールが含まれ、ピリジンには、2−、3−および4−ピリジンが含まれ、イミダゾールには、1−、2−、4−および5−イミダゾールが含まれ、ピラゾールには、1−、3−、4−および5−ピラゾールが含まれ、トリアゾールには、1−、4−および5−トリアゾールが含まれ、テトラゾールには、1−および5−テトラゾールが含まれ、ピリミジンには、2−、4−、5−および6−ピリミジンが含まれ、ピリダジンには、3−および4−ピリダジンが含まれ、1,2,3−トリアジンには、4−および5−トリアジンが含まれ、1,2,4−トリアジンには、3−、5−および6−トリアジンが含まれ、1,3,5−トリアジンには、2−トリアジンが含まれ、チオフェンには、2−および3−チオフェンが含まれ、フランには、2−および3−フランが含まれ、チアゾールには、2−、4−および5−チアゾールが含まれ、イソチアゾールには、3−、4−および5−イソチアゾールが含まれ、オキサゾールには、2−、4−および5−オキサゾールが含まれ、イソオキサゾールには、3−、4−および5−イソオキサゾールが含まれ、インドールには、1−、2−および3−インドールが含まれ、イソインドールには、1−および2−イソインドールが含まれ、キノリンには、2−、3−および4−キノリンが含まれ、イソキノリンには、1−、3−および4−イソキノリンが含まれ、キナゾリンには、2−および4−キノアゾリンが含まれ、シンノリンには、3−および4−シンノリンが含まれ、ベンゾチオフェンには、2−および3−ベンゾチオフェンが含まれ、ベンゾフランには、2−および3−ベンゾフランが含まれる。
【0051】
いくつかのヘテロアリール基は、5〜10個の環メンバー、およびN、OまたはSを含む1〜3個の環原子を有するヘテロアリール基(例えば、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3−、1,2,4−および1,3,5−異性体)、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、ベンゾチオフェンおよびベンゾフラン)を含む。他のヘテロアリール基は、5〜8個の環メンバーおよび1〜3個のヘテロ原子を有するヘテロアリール基(例えば、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3−、1,2,4−および1,3,5−異性体)、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾールおよびイソオキサゾール)を含む。いくつかの他のヘテロアリール基は、9〜12個の環メンバーおよび1〜3個のヘテロ原子を有するヘテロアリール基(例えば、インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、ベンゾチオフェン、ベンゾフランおよびビピリジン)を含む。なおも他のヘテロアリール基は、5〜6個の環メンバー、およびN、OまたはSを含む1〜2個の環ヘテロ原子を有するヘテロアリール基(例えば、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾールおよびイソオキサゾール)を含む。
【0052】
いくつかのヘテロアリール基は、5〜10個の環メンバーおよび窒素だけのヘテロ原子を含む(例えば、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3−、1,2,4−および1,3,5−異性体)、インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジンおよびシンノリン)。他のヘテロアリール基は、5〜10個の環メンバーおよび酸素だけのヘテロ原子を含む(例えば、フランおよびベンゾフラン)。いくつかの他のヘテロアリール基は、5〜10個の環メンバーおよび硫黄だけのヘテロ原子を含む(例えば、チオフェンおよびベンゾチオフェン)。なおも他のヘテロアリール基は、5〜10個の環メンバーおよび少なくとも2個のヘテロ原子を含む(例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3−、1,2,4−および1,3,5−異性体)、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、キノキサリン、キナゾリン、フタラジンおよびシンノリン)。
【0053】
「ヘテロ原子」とは、O、SまたはNのことを指す。
【0054】
「塩」とは、本発明の方法において使用される化合物の酸塩または塩基塩のことを指す。薬学的に許容され得る塩の例証的な例は、鉱酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸など)の塩、有機酸(酢酸、プロピオン酸、グルタミン酸、クエン酸など)の塩、第四級アンモニウム(ヨウ化メチル、ヨウ化エチルなど)の塩である。薬学的に許容され得る塩は無毒性であると理解される。好適な薬学的に許容され得る塩に関するさらなる情報は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985(参照により本明細書中に援用される)に見出され得る。
【0055】
「異性体」とは、同じ化学式を有するが構造的に識別可能な化合物のことを指す。
【0056】
「互変異性体」とは、平衡状態で存在し、一方の形態からもう一方の形態に容易に変換される、2つまたはそれより多くの構造異性体のうちの1つのことを指す。
【0057】
本発明の化合物の説明は、当業者に公知の化学結合の原理によって限定される。したがって、ある基が、いくつかの置換基のうちの1個または複数個によって置換され得る場合、そのような置換は、化学結合の原理に適合するように、ならびに本質的に不安定でない化合物および/または周囲条件(例えば、水性、中性または生理学的条件)下で不安定である可能性があると当業者に公知である化合物をもたらすように選択される。
III.実施形態の詳細な説明
【0058】
本発明は、二次性副腎機能不全の処置を必要とする被験体における二次性副腎機能不全を処置する方法を提供する。一態様において、二次性副腎機能不全に苦しんでいる被験体は、被験体の早朝(すなわち、午前7時〜午前9時のいつでも)血漿コルチゾールレベルが少なくとも12μg/dL、例えば12μg/dL、13μg/dL、14μg/dL、15μg/dL、16μg/dL、17μg/dL、18μg/dL、19μg/dL、20μg/dL、21μg/dL、22μg/dLにまたはそれを超えて増加するように、治療有効量のGCおよびGRAを同時投与または逐次投与される。場合によっては、被験体は、内因性クッシング症候群について処置を受けている。他の例では、被験体は、外因性クッシング症候群を有する。別の場合では、被験体は、外因性糖質コルチコイドを長期間投与されている。
A.二次性副腎機能不全を有する被験体
【0059】
二次性副腎機能不全は、下垂体または視床下部の機能異常または損傷に起因し得るACTH欠乏を伴う。ACTH欠乏は、不十分なコルチゾール産生につながる。原発性副腎機能不全とは異なり、二次性副腎機能不全を有する患者の副腎は無傷であり、正常な量のアルドステロンを産生する。二次性副腎機能不全の症候としては、眩暈、疲労、筋力低下、体重減少、食欲の減退または喪失、吐き気、嘔吐、下痢、うつ病、過敏性、筋肉、関節、腹部または背部痛、脱毛、頭痛および発汗が挙げられる。
【0060】
二次性副腎機能不全は、長期糖質コルチコイド療法、例えば合成糖質コルチコイド(例えば、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、コルチゾン)療法を受けている患者において起こり得る。この状態は、外因性クッシング症候群と称される。糖質コルチコイドを長期間(例えば、少なくとも3週間またはそれを超えて)服用すると、患者の副腎は、低いまたは検出不能なレベルのコルチゾールを産生し得る。外因性クッシング症候群を有する患者は、低いACTHレベル、低いコルチゾールレベルを有し得、低用量ACTH刺激試験に対して無反応であり得る。外因性クッシング症候群の処置は、糖質コルチコイドの使用を徐々に中止して、障害のある副腎の作用を逆転させることを含む。本明細書中に記載される方法は、副腎が正常な健康レベルでコルチゾールを分泌するように、患者のHPA軸の修復を促進または加速し得る。
【0061】
二次性副腎機能不全はまた、例えば副腎におけるACTH分泌腫瘍またはコルチゾール分泌腫瘍の外科的除去後に、内因性クッシング症候群を有する患者において生じ得る。内因性クッシング症候群は、ACTH分泌腫瘍またはコルチゾール分泌腫瘍、例えばコルチゾール産生副腎腺腫、副腎皮質癌、原発性色素性小結節性副腎疾患(PPNAD)、ACTH非依存性大結節性副腎過形成(AIMAH)、副腎外コルチゾール分泌腫瘍、例えば卵巣癌、副腎腺腫、小結節性過形成、副腎癌、下垂体腺腫、下垂体腺癌、カルチノイド腫瘍(carincinoid tumors)、神経内分泌腫瘍またはそれらの組合せによって引き起こされる。内因性クッシング症候群の処置は、治療薬、例えばアミノグルテチミド(Cytadren(登録商標))およびミトタン(Lysodren)の投与、ならびに/または手術を含む。ACTH分泌腫瘍またはコルチゾール分泌腫瘍の外科的除去後には必ず二次性副腎機能不全が続き、糖質コルチコイド補充療法が必要になる。二次性副腎機能不全の期間は変動し得、糖質コルチコイド補充療法は、副腎機能が正常な健康機能に回復するまで維持される。本明細書中で提供される方法は、患者のHPA軸の回復を有意に促し得る。
【0062】
二次性副腎機能不全が下垂体または視床下部の構造的異常によるものである場合(例えば、下垂体を切除された患者、下垂体卒中を有する患者、またはこれらの腺の破壊をもたらす任意の他の状態)、本発明の方法は有用ではない可能性がある。GRAおよびGCの投与は、解剖学的に無傷の視床下部および下垂体を必要とし、またはCRHおよびACTHの調節および産生に関与する腺の少なくとも一部は、無傷でなければならない。
【0063】
一般に、臨床医は、患者の病歴を評価することによって、障害の1つまたはそれを超える症候を示す患者における二次性副腎機能不全を診断する。患者が下垂体または視床下部腫瘍を完全に除去されている場合、さらなる診断試験は不要であり得る。患者が下垂体、視床下部もしくは副腎の部分的手術を受けたことがある場合、またはACTH欠乏を有すると疑われる場合、コルチゾールレベルを検出するためのさらなる診断アッセイが実施され得る。
【0064】
そのような診断または検出アッセイの非限定的な例としては、低用量ACTH刺激試験、コルチコトロピン放出ホルモン(CRH)刺激試験、低用量デキサメタゾン試験、例えば血清、血漿、唾液、尿または糞便中の総および/または遊離コルチゾールレベルを検出するためのアッセイ、ならびにACTHレベルを検出するためのアッセイが挙げられる。低用量ACTH刺激試験では、ACTHおよびコルチゾールのレベルは、ACTHの合成誘導体(コシントロピン、Cortrosyn(登録商標))の投与前に測定される。2回目のコルチゾール測定は、1時間後に行われる。コシントロピンの投与後に、コルチゾールのレベルが実質的に不変のままであるかまたは約17μg/dL未満である場合、二次性副腎機能不全が示され得る。異常なサイズまたは起こり得る障害を検出するために、患者の副腎は、CTスキャンによって評価され得る。場合によっては、下垂体腫瘍または萎縮の存在を評価するために、脳のCTスキャンまたはMRIが実施される。
【0065】
二次性副腎機能不全を有する患者は、早朝において、正常レベルよりも低いコルチゾールを有する。例えば、そのような患者は、午前7時〜午前9時に、4μg/dL未満の血清コルチゾールレベルを有し得る。いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される方法は、二次性副腎機能不全および12μg/dL未満、例えば11.5μg/dL、11μg/dL、10μg/dL、9μg/dL、8μg/dL、7μg/dL、6μg/dL、5μg/dL、4μg/dL、3μg/dL、2μg/dL、1μg/dLまたは1μg/dL未満の基本コルチゾール(例えば、基本総コルチゾールまたは基本遊離コルチゾール)レベルを有する患者を処置するのに有用である。患者の基本コルチゾールレベルは、血漿、血清、唾液、尿などの中のレベルが測定され得る。場合によっては、二次性副腎機能不全を有する患者は、12μg/dL未満、例えば11.5μg/dL、11μg/dL、10μg/dL、9μg/dL、8μg/dL、7μg/dL、6μg/dL、5μg/dL、4μg/dL、3μg/dL、2μg/dL、1μg/dLまたは1μg/dL未満の基本血漿または血清コルチゾールレベルを有する。
【0066】
本開示のいくつかの態様において、患者は、GRAおよびGCを含む併用処置を投与されていない。換言すれば、患者は、処置未経験である。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される方法にしたがって、GCと組み合わせて治療有効量のGRAを服用している患者は、緑内障、炎症性疾患、関節リウマチ、喘息および鼻炎、慢性肺疾患、アレルギーならびに自己免疫疾患からなる群より選択される障害または状態について処置されていない。他の実施形態において、患者は、糖質コルチコイド処置の1つまたはそれより多くの副作用を軽減するために、治療有効量のGCと組み合わせて治療有効量のGRAを服用していない。副作用は、体重増加、緑内障、体液貯留、血圧上昇、気分変動、白内障、高血糖、糖尿病、感染症、骨からのカルシウムの喪失、骨粗鬆症、月経不順、脂肪再分配、成長遅滞、クッシング様外観またはそれらの任意の組合せであり得る。
【0067】
患者が糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストおよび糖質コルチコイドの併用処置による処置を別様に必要としないという条件で、本明細書中に開示される方法は、二次性副腎機能不全を有する患者を処置するために使用され得る。
B.糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト
【0068】
本発明の方法は、一般に、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストの投与を提供する。場合によっては、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、特異的な糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストである。本明細書中で使用されるとき、特異的な糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストとは、別の核レセプター(NR)ではなく糖質コルチコイドレセプターに優先的に結合することによって、アゴニストへの糖質コルチコイドレセプターの結合に関連する任意の生物学的応答を阻害する組成物または化合物のことを指す。いくつかの実施形態において、特異的な糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、鉱質コルチコイドレセプター(MR)、アンドロゲンレセプター(AR)またはプロゲステロンレセプター(PR)ではなく、糖質コルチコイドレセプターに優先的に結合する。例示的な実施形態において、特異的な糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、鉱質コルチコイドレセプター(MR)ではなく糖質コルチコイドレセプターに優先的に結合する。別の例示的な実施形態において、特異的な糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、プロゲステロンレセプター(PR)ではなく糖質コルチコイドレセプターに優先的に結合する。別の例示的な実施形態において、特異的な糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、アンドロゲンレセプター(AR)ではなく糖質コルチコイドレセプターに優先的に結合する。さらに別の例示的な実施形態において、特異的な糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、MRおよびPR、MRおよびAR、PRおよびAR、またはMR、PRおよびARと比較して糖質コルチコイドレセプターに優先的に結合する。
【0069】
関連の実施形態において、特異的な糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、他の核レセプターに対するK
dの10分の1倍よりも低い会合定数(K
d)で、糖質コルチコイドレセプターに結合する。別の実施形態において、特異的な糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、他の核レセプターに対するK
dの100分の1倍よりも低い会合定数(K
d)で、糖質コルチコイドレセプターに結合する。別の実施形態において、特異的な糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、他の核レセプターに対するK
dの1000分の1倍よりも低い会合定数(K
d)で、糖質コルチコイドレセプターに結合する。
【0070】
一般に、処置は、有効量の任意の化学構造または作用機序の糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト(GRA)および任意の化学構造または作用機序の糖質コルチコイドを投与することによって提供され得る。例示的なGRAのクラスおよびそのようなクラスの特定のメンバーが本明細書中で提供される。しかしながら、当業者は、本明細書中に記載される処置方法において用いられ得る他の関連または非関連GRAを容易に認識する。
1.ステロイド骨格を有するGRA
【0071】
いくつかの実施形態において、ACTH分泌腫瘍の処置のために、ステロイド骨格を有する有効量のGRAが被験体に投与される。ステロイドGRAは、糖質コルチコイドアゴニストの基本構造の改変(すなわち、多様な形態のステロイド骨格)によって得られ得る。コルチゾールの構造は、種々の方法で改変され得る。GRAを作るためのコルチゾールステロイド骨格の構造的改変の2つの最も一般に公知のクラスとしては、11−βヒドロキシ基の改変および17−β側鎖の改変が挙げられる(例えば、Lefebvre,J.Steroid Biochem.33:557−563,1989を参照のこと)。
【0072】
ステロイドGRアンタゴニストの例としては、米国特許第5,929,058号に記載されているアンドロゲンタイプステロイド化合物、ならびに米国特許第4,296,206号;米国特許第4,386,085号;米国特許第4,447,424号;米国特許第4,477,445号;米国特許第4,519,946号;米国特許第4,540,686号;米国特許第4,547,493号;米国特許第4,634,695号;米国特許第4,634,696号;米国特許第4,753,932号;米国特許第4,774,236号;米国特許第4,808,710号;米国特許第4,814,327号;米国特許第4,829,060号;米国特許第4,861,763号;米国特許第4,912,097号;米国特許第4,921,638号;米国特許第4,943,566号;米国特許第4,954,490号;米国特許第4,978,657号;米国特許第5,006,518号;米国特許第5,043,332号;米国特許第5,064,822号;米国特許第5,073,548号;米国特許第5,089,488号;米国特許第5,089,635号;米国特許第5,093,507号;米国特許第5,095,010号;米国特許第5,095,129号;米国特許第5,132,299号;米国特許第5,166,146号;米国特許第5,166,199号;米国特許第5,173,405号;米国特許第5,276,023号;米国特許第5,380,839号;米国特許第5,348,729号;米国特許第5,426,102号;米国特許第5,439,913号;米国特許第5,616,458号、米国特許第5,696,127号および米国特許第6,303,591号に開示されている化合物が挙げられる。そのようなステロイドGRアンタゴニストとしては、コルテキソロン、デキサメタゾン−オキセタノン、19−ノルデオキシコルチコステロン、19−ノルプロゲステロン、コルチゾール−21−メシレート;デキサメタゾン−21−メシレート、11β−(4−ジメチルアミノエトキシフェニル)−17α−プロピニル−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オン(RU009)および(17α)−17−ヒドロキシ−19−(4−メチルフェニル)アンドロスタ−4,9(11)−ジエン−3−オン(RU044)が挙げられる。
【0073】
ステロイド抗糖質コルチコイドの他の例は、Van Kampenら、(2002)Eur.J.Pharmacol.457(2−3):207、WO03/043640、欧州特許第0683172号および欧州特許第0763541号(これらの各々が参照により本明細書中に援用される)に開示されている。欧州特許第0763541号およびHoybergら、Int’l J.of Neuro−psychopharmacology,5:Supp.1,S148(2002)には、化合物(11β,17β)−11−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−17−ヒドロキシ−17−(1−プロピニル)エストラ−4,9−ジエン−3−オン(ORG34517)が開示されており、一実施形態において、これは、被験体におけるACTH分泌腫瘍を処置するのに有効な量で投与される。
2.11−βヒドロキシ基の除去または置換
【0074】
本発明の一実施形態において、11−βヒドロキシ基の除去または置換を含む改変ステロイド骨格を有する糖質コルチコイドアンタゴニストが投与される。このクラスとしては、コルテキソロン、プロゲステロンおよびテストステロン誘導体を含む天然GRA、ならびに合成組成物、例えばミフェプリストンが挙げられる(Lefebvreら、前掲)。本発明の好ましい実施形態は、すべての11−βアリールステロイド骨格誘導体を含み、なぜなら、場合によっては、これらの化合物は、プロゲステロンレセプター(PR)結合活性を欠き得るからである(Agarwal,FEBS 217:221−226,1987)。別の実施形態において、11−βフェニル−アミノジメチルステロイド骨格誘導体(これは、有効な抗糖質コルチコイドかつ抗プロゲステロン剤の両方である)が投与される。これらの組成物は、可逆的に結合するステロイドレセプターアンタゴニストとして作用し得る。例えば、11−βフェニル−アミノジメチルステロイドに結合した場合、ステロイドレセプターは、その天然リガンド(例えば、GRの場合にはコルチゾール)に結合し得ない立体配座で維持され得る(Cadepond,1997、前掲)。
【0075】
合成11−βフェニル−アミノジメチルステロイドとしては、ミフェプリストン(RU486としても公知)または17−β−ヒドロキシ−11−β−(4−ジメチル−アミノフェニル)17−α−(1−プロピニル)エストラ−4,9−ジエン−3−オン)が挙げられる。ミフェプリストンは、プロゲステロンおよび糖質コルチコイド(GR)レセプターの両方の強力なアンタゴニストであることが示されている。したがって、いくつかの実施形態において、ACTH分泌腫瘍を処置するために投与されるGRAは、ミフェプリストンまたはその塩、互変異性体もしくは誘導体である。しかしながら、他の実施形態において、ミフェプリストンの投与は、ACTH分泌腫瘍の処置のためのGRAとして特に除外される。
【0076】
GRアンタゴニスト効果を有することが示されている別の11−βフェニル−アミノジメチルステロイドとしては、ジメチルアミノエトキシフェニル誘導体RU009(RU39.009)、11−β−(4−ジメチル−アミノエトキシフェニル)−17−α−(プロピニル−17−β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オン)(Bocquel,J.Steroid Biochem.Molec.Biol.45:205−215,1993を参照のこと)が挙げられる。RU486に関連する別のGRアンタゴニストは、RU044(RU43.044)17−β−ヒドロキシ−17−α−19−(4−メチル−フェニル)−アンドロスタ−4,9(11)−ジエン−3−オン)(Bocquel,1993、前掲)である。Teutsch,Steroids 38:651−665,1981;米国特許第4,386,085号および米国特許第4,912,097号も参照のこと。
【0077】
一実施形態は、不可逆的な抗糖質コルチコイドである組成物を含む。そのような化合物としては、コルチゾールのα−ケト−メタンスルホネート誘導体、例えばコルチゾール−21−メシレート(4−プレグネン−11−β,17−α,21−トリオール−3,20−ジオン−21−メタン−スルホネートおよびデキサメタゾン−21−メシレート(16−メチル−9−α−フルオロ−1,4−プレグナジエン−11β,17−α,21−トリオール−3,20−ジオン−21−メタン−スルホネート)が挙げられる。Simons,J.Steroid Biochem.24:25−32,1986;Mercier,J.Steroid Biochem.25:11−20,1986;米国特許第4,296,206号を参照のこと。
3.17−β側鎖基の改変
【0078】
17−β側鎖の様々な構造的改変によって得られ得るステロイド抗糖質コルチコイドもまた、本発明の方法において使用される。このクラスとしては、合成抗糖質コルチコイド、例えばデキサメタゾン−オキセタノン、デキサメタゾンの様々な17,21−アセトニド誘導体および17−β−カルボキサミド誘導体が挙げられる(Lefebvre,1989、前掲;Rousseau,Nature 279:158−160,1979)。
4.他のステロイド骨格の改変
【0079】
本発明の様々な実施形態において用いられるGRAは、GR−アゴニスト相互作用に起因する生物学的応答をもたらす任意のステロイド骨格改変を含む。ステロイド骨格アンタゴニストは、コルチゾールの任意の天然または合成バリエーション、例えばC−19メチル基を欠く副腎ステロイド、例えば19−ノルデオキシコルチコステロンおよび19−ノルプロゲステロンであり得る(Wynne,Endocrinology 107:1278−1280,1980)。
【0080】
一般に、11−β側鎖置換基、特にその置換基のサイズは、ステロイドの抗糖質コルチコイド活性の程度の決定において重要な役割を果たし得る。ステロイド骨格のA環における置換もまた重要であり得る。例えば、17−ヒドロキシプロペニル側鎖は、場合によっては、17−プロピニル側鎖含有化合物と比較して、抗糖質コルチコイド活性を減少させ得る。
【0081】
当該分野で公知であり、本発明の実施に適切なさらなる糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストとしては、21−ヒドロキシ−6,19−オキシドプロゲステロン(Vicent,Mol.Pharm.52:749−753,1997を参照のこと)、Org31710(Mizutani,J Steroid Biochem Mol Biol 42(7):695−704,1992を参照のこと)、RU43044、RU40555(Kim,J Steroid Biochem Mol Biol.67(3):213−22,1998を参照のこと)およびRU28362が挙げられる。
5.アンタゴニストとしての非ステロイド抗糖質コルチコイド
【0082】
非ステロイド糖質コルチコイドアンタゴニスト(GRA)もまた、被験体における副腎機能不全を処置するために本発明の方法において使用される。これらとしては、部分的ペプチド性、擬似ペプチド性および非ペプチド性の分子実体を含むタンパク質の合成模倣物およびアナログが挙げられる。例えば、本発明において有用なオリゴマーペプチド模倣物としては、(α−β−不飽和)ペプチドスルホンアミド、N−置換グリシン誘導体、オリゴカルバメート、オリゴ尿素ペプチド模倣物、ヒドラジノペプチド、オリゴスルホンなどが挙げられる(例えば、Amour,Int.J.Pept.Protein Res.43:297−304,1994;de Bont,Bioorganic&Medicinal Chem.4:667−672,1996を参照のこと)。
【0083】
非ステロイドGRアンタゴニストの例としては、米国特許第5,696,127号;米国特許第6,570,020号;および米国特許第6,051,573号に開示されているGRアンタゴニスト化合物;米国特許出願公開第20020077356号に開示されているGRアンタゴニスト化合物、Bradleyら、J.Med.Chem.45,2417−2424(2002)に開示されている糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト、例えば4α(S)−ベンジル−2(R)−クロロエチニル−1,2,3,4,4α,9,10,10α(R)−オクタヒドロ−フェナントレン−2,7−ジオール(「CP394531」)および4α(S)−ベンジル−2(R)−プロパ−1−イニル−1,2,3,4,4α,9,10,10α(R)−オクタヒドロ−フェナントレン−2,7−ジオール(「CP409069」);ならびにPCT国際出願第WO96/19458(これには、ステロイドレセプターに対して高親和性で高選択的なアンタゴニストである非ステロイド化合物、例えば6−置換−1,2−ジヒドロ−N−保護−キノリンが記載されている)に開示されている化合物が挙げられる。
【0084】
いくつかの実施形態において、副腎機能不全は、シクロヘキシル−ピリミジン骨格、縮合アザデカリン骨格、ヘテロアリールケトン縮合アザデカリン骨格またはオクタヒドロ縮合アザデカリン骨格を有する有効量の非ステロイドGRAで処置される。例えば、副腎機能不全は、有効量の上記GRAの1つおよび有効量のGCまたはGCアナログで処置され得る。シクロヘキシル−ピリミジン骨格を有する例示的なGRAとしては、米国特許第8,685,973号に記載されているものが挙げられる。場合によっては、シクロヘキシル−ピリミジン骨格を有するGRAは、以下の構造:
【化7】
(式中、
破線は存在しないか、または結合であり;
Xは、OおよびSからなる群より選択され;
R
1は、1〜3個のR
1a基で必要に応じて置換されている、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され;
各R
1aは独立して、H、C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
1−6アルコキシ、C
1−6アルキル−OR
1b、ハロゲン、C
1−6ハロアルキル、C
1−6ハロアルコキシ(haloaloxy)、−OR
1b、−NR
1bR
1c、−C(O)R
1b、−C(O)OR
1b、−OC(O)R
1b、−C(O)NR
1bR
1c、−NR
1bC(O)R
1c、−SO
2R
1b、−SO
2NR
1bR
1c、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され;
R
1bおよびR
1cは各々独立して、HおよびC
1−6アルキルからなる群より選択され;
R
2は、H、C
1−6アルキル、C
1−6アルキル−OR
1b、C
1−6アルキル−NR
1bR
1cおよびC
1−6アルキレン−ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
R
3は、HおよびC
1−6アルキルからなる群より選択され;
Arは、1〜4個のR
4基で必要に応じて置換されているアリールであり;
各R
4は独立して、H、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロゲン、C
1−6ハロアルキルおよびC
1−6ハロアルコキシからなる群より選択され;
L
1は、結合またはC
1−6アルキレンであり;ならびに
下付き文字nは、0〜3の整数である)またはその塩および異性体を有する。
【0085】
縮合アザデカリン骨格を有する例示的なGRAとしては、米国特許第7,928,237号;および米国特許第8,461,172号に記載されているものが挙げられる。場合によっては、縮合アザデカリン骨格を有するGRAは、以下の構造:
【化8】
(式中、
L
1およびL
2は、結合および非置換アルキレンから独立して選択されるメンバーであり;
R
1は、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、−OR
1A、−NR
1CR
1D、−C(O)NR
1CR
1D、および−C(O)OR
1Aから選択されるメンバーであり、ここで、
R
1Aは、水素、非置換アルキルおよび非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーであり、
R
1CおよびR
1Dは、非置換アルキルおよび非置換ヘテロアルキルから独立して選択されるメンバーであり、
ここで、R
1CおよびR
1Dは必要に応じて一緒になって、それらが結合している窒素と共に非置換環を形成し、ここで、前記環は必要に応じて、さらなる環窒素を含み;
R
2は、式:
【化9】
(式中、
R
2Gは、水素、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、−CN、および−CF
3から選択されるメンバーであり;
Jは、フェニルであり;
tは、0〜5の整数であり;
Xは、−S(O
2)−である)を有し;ならびに
R
5は、1〜5個のR
5A基で必要に応じて置換されているフェニルであり、ここで、
R
5Aは、水素、ハロゲン、−OR
5A1、−S(O
2)NR
5A2R
5A3、−CN、および非置換アルキルから選択されるメンバーであり、ここで、
R
5A1は、水素および非置換アルキルから選択されるメンバーであり、ならびに
R
5A2およびR
5A3は、水素および非置換アルキルから独立して選択されるメンバーである)またはその塩および異性体を有する。
【0086】
ヘテロアリールケトン縮合アザデカリン骨格を有する例示的なGRAとしては、米国特許出願公開第2014/0038926号に記載されているものが挙げられる。場合によっては、ヘテロアリールケトン縮合アザデカリン骨格を有するGRAは、以下の構造:
【化10】
(式中、
R
1は、5〜6個の環メンバー、ならびにN、OおよびSからなる群より各々独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有するヘテロアリール環であって、R
1aから各々独立して選択される1〜4個の基で必要に応じて置換されているヘテロアリール環であり;
各R
1aは独立して、水素、C
1−6アルキル、ハロゲン、C
1−6ハロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
1−6ハロアルコキシ、−CN、N−オキシド、C
3−8シクロアルキル、およびC
3−8ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
環Jは、シクロアルキル環、ヘテロシクロアルキル環、アリール環およびヘテロアリール環からなる群より選択され、ここで、前記ヘテロシクロアルキル環およびヘテロアリール環は、5〜6個の環メンバー、ならびにN、OおよびSからなる群より各々独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有し;
各R
2は独立して、水素、C
1−6アルキル、ハロゲン、C
1−6ハロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
1−6ハロアルコキシ、C
1−6アルキル−C
1−6アルコキシ、−CN、−OH、−NR
2aR
2b、−C(O)R
2a、−C(O)OR
2a、−C(O)NR
2aR
2b、−SR
2a、−S(O)R
2a、−S(O)
2R
2a、C
3−8シクロアルキル、およびC
3−8ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され、ここで、前記ヘテロシクロアルキル基は、1〜4個のR
2c基で必要に応じて置換されており;
あるいは、同じ炭素に連結されている2個のR
2基は一体となって、オキソ基(=O)を形成し;
あるいは、2個のR
2基は一体となって、5〜6個の環メンバー、ならびにN、OおよびSからなる群より各々独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで、前記ヘテロシクロアルキル環は、1〜3個のR
2d基で必要に応じて置換されており;
R
2aおよびR
2bは各々独立して、水素およびC
1−6アルキルからなる群より選択され;
各R
2cは独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1−6アルコキシ、C
1−6ハロアルコキシ、−CN、および−NR
2aR
2bからなる群より選択され;
各R
2dは独立して、水素およびC
1−6アルキルからなる群より選択されるか、または同じ環原子に結合している2個のR
2d基は一体となって、(=O)を形成し;
R
3は、1〜4個のR
3a基で各々必要に応じて置換されている、フェニルおよびピリジルからなる群より選択され;
各R
3aは独立して、水素、ハロゲン、およびC
1−6ハロアルキルからなる群より選択され;ならびに
下付き文字nは、0〜3の整数である)またはその塩および異性体を有する。
【0087】
オクタヒドロ(octohydro)縮合アザデカリン骨格を有する例示的なGRAとしては、米国特許仮出願第61/908,333号(表題Octahydro Fused Azadecalin Glucocorticoid Receptor Modulators、代理人整理番号85178−887884(007800US)、2013年11月25日出願)に記載されているものが挙げられる。場合によっては、オクタヒドロ(octohydro)縮合アザデカリン骨格を有するGRAは、以下の構造:
【化11】
(式中、
R
1は、5〜6個の環メンバー、ならびにN、OおよびSからなる群より各々独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有するヘテロアリール環であって、R
1aから各々独立して選択される1〜4個の基で必要に応じて置換されているヘテロアリール環であり;
各R
1aは独立して、水素、C
1−6アルキル、ハロゲン、C
1−6ハロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
1−6ハロアルコキシ、N−オキシド、およびC
3−8シクロアルキルからなる群より選択され;
環Jは、アリール環、ならびに5〜6個の環メンバー、ならびにN、OおよびSからなる群より各々独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有するヘテロアリール環からなる群より選択され;
各R
2は独立して、水素、C
1−6アルキル、ハロゲン、C
1−6ハロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
1−6ハロアルコキシ、C
1−6アルキル−C
1−6アルコキシ、−CN、−OH、−NR
2aR
2b、−C(O)R
2a、−C(O)OR
2a、−C(O)NR
2aR
2b、−SR
2a、−S(O)R
2a、−S(O)
2R
2a、C
3−8シクロアルキル、ならびにN、OおよびSからなる群より各々独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有するC
3−8ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
あるいは、隣接する環原子上の2個のR
2基は一体となって、5〜6個の環メンバー、ならびにN、OおよびSからなる群より各々独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで、前記ヘテロシクロアルキル環は、1〜3個のR
2c基で必要に応じて置換されており;
R
2a、R
2bおよびR
2cは各々独立して、水素およびC
1−6アルキルからなる群より選択され;
各R
3aは独立して、ハロゲンであり;ならびに
下付き文字nは、0〜3の整数である)またはその塩および異性体を有する。
C.糖質コルチコイド
【0088】
本発明の方法は、一般に、糖質コルチコイド、合成糖質コルチコイドまたはその機能的誘導体を投与することを含む。糖質コルチコイドとしては、糖質コルチコイドレセプターに結合してそれを活性化し得る任意の化合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、合成糖質コルチコイドは、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、糖質コルチコイドアナログ、合成糖質コルチコイドアナログ、それらの誘導体またはそれらの任意の組合せである。
【0089】
本発明において使用され得る合成糖質コルチコイドの非限定的な例としては、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメタゾン、酢酸ベタメタゾン、安息香酸ベタメタゾン、リン酸二ナトリウムベタメタゾン、酢酸コルチゾン、デキサメタゾン、リン酸ナトリウムデキサメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド(fluoncinolone acetonide)、フルオシノニド、フルランドレノリド、デフラザコート、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸ナトリウムメチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸ナトリウムプレドニゾロン、テブト酸プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、二酢酸トリアムシノロンおよびトリアムシノロンヘキサアセトニドが、それらの薬学的に許容され得るエステル、塩および錯体を含めて、挙げられる。
【0090】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の化合物および薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストおよび薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の糖質コルチコイドおよび薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストおよび糖質コルチコイドならびに薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
D.糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストおよび糖質コルチコイドの医薬組成物
【0091】
本発明のGRAおよび/またはGC組成物は、多種多様の経口、非経口および局所的剤形で調製され得る。いずれかの経口調製物としては、患者による摂取に適した、錠剤、丸剤、粉末、糖衣錠、カプセル、液体、舐剤、カシェ剤、ゲル、シロップ剤、スラリー、懸濁液などが挙げられる。本発明のGRAおよび/またはGC組成物はまた、注射によって、すなわち、静脈内に、筋肉内に、皮内に、皮下に、十二指腸内に、または腹腔内に投与され得る。また、本明細書中に記載されるGRAおよび/またはGC組成物は、吸入によって、例えば、鼻腔内に投与され得る。さらに、本発明のGRAおよび/またはGC組成物は、経皮的に投与され得る。本発明のGRAおよび/またはGC組成物は、眼内経路、膣内経路および直腸内経路(坐剤を含む)、吹送、粉末およびエアロゾル製剤によっても投与され得る(例えば、ステロイド吸入剤について、Rohatagi,J.Clin.Pharmacol.35:1187−1193,1995;Tjwa,Ann.Allergy Asthma Immunol.75:107−111,1995を参照のこと)。したがって、本発明は、薬学的に許容され得るキャリアまたは賦形剤および本発明のGRA化合物を含むGRAの医薬組成物を提供する。本発明は、薬学的に許容され得るキャリアまたは賦形剤および本発明のGC化合物を含むGCの医薬組成物を提供する。
【0092】
本発明のGRAまたはGC化合物から薬学的組成物を調製するために、薬学的に許容され得るキャリアは、固体または液体のいずれかであり得る。固体の形態の調製物としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤および分散性顆粒剤が挙げられる。固体のキャリアは、希釈剤、香味料、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤または封入材料として作用し得る1つまたはそれより多くの物質であり得る。製剤化および投与のための手法に関する詳細は、科学文献および特許文献に十分に記載されており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Maack Publishing Co,Easton PA(“Remington’s”)の最新版を参照のこと。
【0093】
散剤において、キャリアは、微粉化された固体であり、それは、微粉化された活性な成分とともに混合物中に存在する。錠剤において、活性な成分は、必要な結合特性を有するキャリアと好適な比率で混合され、所望の形状およびサイズに圧縮される。その散剤および錠剤は、好ましくは、5%または10%〜70%の本発明の化合物を含む。
【0094】
好適な固体の賦形剤としては、炭酸マグネシウム;ステアリン酸マグネシウム;タルク;ペクチン;デキストリン;デンプン;トラガント;低融点ろう;カカオバター;炭水化物;糖(ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトール、トウモロコシ、コムギ、イネ、ジャガイモまたは他の植物由来のデンプンを含むがこれらに限定されない);セルロース(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロースまたはカルボキシメチルセルロースナトリウム);およびゴム(アラビアおよびトラガントを含む);ならびにタンパク質(ゼラチンおよびコラーゲンを含むがこれらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。所望であれば、崩壊剤または可溶化剤(例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム))を加えてもよい。
【0095】
糖衣錠コアには、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコールおよび/もしくは二酸化チタン、ラッカー溶液ならびに好適な有機溶媒または溶媒混合物も含み得る好適なコーティング剤(例えば、濃縮された糖の溶液)が提供される。生成物の識別のため、または活性な化合物の量(すなわち、投与量)を特徴付けるために、染料または色素が、錠剤または糖衣錠コーティングに加えられてもよい。本発明の医薬品はまた、例えば、ゼラチンからできた押し込み型カプセル、ならびにゼラチンおよびコーティング剤(例えば、グリセロールまたはソルビトール)からできた密封された軟カプセルを使用して、経口的に使用され得る。押し込み型カプセルは、充填剤または結合剤(例えば、ラクトースまたはデンプン)、滑沢剤(例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウム)および必要に応じて安定剤と混合される本発明の化合物を含み得る。軟カプセルでは、本発明の化合物は、安定剤を含むまたは含まない好適な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィンまたは液体ポリエチレングリコール)に溶解または懸濁され得る。
【0096】
坐剤を調製するために、脂肪酸グリセリドの混合物またはカカオバターなどの低融点ろうをまず融解し、本発明の化合物を、撹拌することによってその中に均一に分散させる。次いで、融解した均一な混合物を都合のよいサイズのモールドに注ぎ込み、冷却し、それにより、凝固させる。
【0097】
液体の形態の調製物としては、溶液、懸濁液およびエマルジョン、例えば、水または水/プロピレングリコール溶液が挙げられる。非経口の注射のために、液体の調製物は、ポリエチレングリコール水溶液中の溶液として製剤化され得る。
【0098】
経口使用に適した水溶液は、1つまたはそれより多くの本発明の化合物を水に溶解し、所望のとおり、好適な着色剤、香料、安定剤および増粘剤を加えることによって、調製され得る。経口使用に適した水性懸濁液は、微粉化された活性な成分を、粘稠性の材料(例えば、天然ゴムまたは合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴム)および分散剤または湿潤剤(例えば、天然に存在するホスファチド(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノ−オレエート)またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノ−オレエート)とともに水に分散することによって、生成され得る。その水性懸濁液は、1つまたはそれより多くの保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル)、1つまたはそれより多くの着色剤、1つまたはそれより多くの香味料および1つまたはそれより多くの甘味剤(例えば、スクロース、アスパルテームまたはサッカリン)も含み得る。製剤は、オスモル濃度について調整され得る。
【0099】
使用する直前に、経口投与用の液体の形態の調製物に変換されることが意図された固体の形態の調製物も含められる。そのような液体の形態としては、溶液、懸濁液およびエマルジョンが挙げられる。これらの調製物は、活性な成分に加えて、着色剤、香料、安定剤、緩衝剤、人工および天然の甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含み得る。
【0100】
本発明の化合物を植物油(例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油またはやし油)または鉱油(例えば、流動パラフィン);またはこれらの混合物に懸濁することによって、油性懸濁液が製剤化され得る。その油性懸濁液は、増粘剤(例えば、蜜ろう、固形パラフィンまたはセチルアルコール)を含み得る。甘味剤(例えば、グリセロール、ソルビトールまたはスクロース)は、美味な経口調製物を提供するために加えられ得る。これらの製剤は、アスコルビン酸などの酸化防止剤を加えることによって、保存することができる。注射可能な油性ビヒクルの例として、Minto,J.Pharmacol.Exp.Ther.281:93−102,1997を参照のこと。本発明の薬学的製剤は、水中油型エマルジョンの形態でもあり得る。油相は、上に記載された、植物油もしくは鉱油またはこれらの混合物であり得る。好適な乳化剤としては、天然に存在するゴム(例えば、アラビアゴムおよびトラガカントゴム)、天然に存在するホスファチド(例えば、ダイズレシチン)、脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来するエステルまたは部分エステル(例えば、ソルビタンモノ−オレエート)およびこれらの部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノ−オレエート)が挙げられる。エマルジョンは、シロップ剤およびエリキシル剤の製剤におけるように、甘味剤および香味料も含み得る。そのような製剤は、粘滑剤、保存剤または着色剤も含み得る。
【0101】
本発明のGRAおよび/またはGC組成物は、身体内での緩徐な放出のためにミクロスフェアとしても送達され得る。例えば、ミクロスフェアは、皮下に緩徐放出する薬物含有ミクロスフェアの皮内注射を介した投与のために製剤化され得る(Rao,J.Biomater Sci.Polym.Ed.7:623−645,1995を参照のこと;生分解性で注射可能なゲル製剤として(例えば、Gao Pharm.Res.12:857−863,1995を参照のこと);または経口投与用のミクロスフェアとして(例えば、Eyles,J.Pharm.Pharmacol.49:669−674,1997を参照のこと)。経皮的経路と皮内経路の両方が、数週間または数ヶ月間にわたって一定の送達をもたらす。
【0102】
別の実施形態において、本発明のGRAおよび/またはGC組成物は、非経口投与(例えば、静脈内(IV)投与または体腔もしくは器官の管腔への投与)のために製剤化され得る。投与用の製剤は、通常、薬学的に許容され得るキャリアに溶解された本発明の組成物の溶液を含む。使用することができる許容され得るビヒクルおよび溶媒は、水およびリンガー溶液、等張性塩化ナトリウムである。さらに、滅菌された固定油が、慣習的に溶媒または懸濁媒として使用され得る。この目的のために、合成のモノ−またはジグリセリドを含む任意の無刺激の固定油が使用され得る。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が、注射可能物の調製において同様に使用され得る。これらの溶液は、滅菌されており、通常、望ましくない物質を含まない。これらのGRAおよび/またはGC製剤は、従来の周知の滅菌手法によって滅菌され得る。それらの製剤は、生理学的条件に近づけるために必要とされるような薬学的に許容され得る補助物質(例えば、pH調整剤および緩衝剤、毒性調整剤、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなど)を含み得る。これらの製剤における本発明の組成物の濃度は、大きく変動し得、選択される特定の投与様式および患者のニーズに従って、主に、液量、粘度、体重などに基づいて選択され得る。IV投与の場合、そのGRAおよび/またはGC製剤は、滅菌された注射可能な調製物(例えば、滅菌された注射可能な水性または油性の懸濁液)であり得る。この懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用する公知の技術に従って製剤化され得る。滅菌された注射可能な製剤は、無毒性の非経口的に許容され得る希釈剤または溶媒中の滅菌された注射可能な溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオールの溶液)でもあり得る。
【0103】
別の実施形態において、本発明の組成物の製剤は、リポソームを使用することによって送達され得、そのリポソームは、細胞膜と融合するか、またはエンドサイトーシスされ、すなわち、そのリポソームに結合されたリガンド、または細胞の表面膜タンパク質レセプターに結合するオリゴヌクレオチドに直接結合されたリガンドを使用することによって送達されて、エンドサイトーシスがもたらされる。特に、リポソーム表面が、標的細胞に特異的なリガンドを有するか、または別途、特定の器官に優先的に方向づけられている場合に、リポソームを使用することによって、インビボにおいて本発明の組成物を標的細胞に送達することに焦点を合わせることができる(例えば、Al−Muhammed,J.Microencapsul.13:293−306,1996;Chonn,Curr.Opin.Biotechnol.6:698−708,1995;Ostro,Am.J.Hosp.Pharm.46:1576−1587,1989を参照のこと)。
【0104】
脂質ベースの薬物送達系には、脂質溶液、脂質エマルジョン、脂質分散液、自己乳化薬物送達系(SEDDS)および自己微小乳化薬物送達系(SMEDDS)が含まれる。特に、SEDDSおよびSMEDDSは、自発的に水性媒質に分散し得、微細なエマルジョン(SEDDS)またはマイクロエマルジョン(SMEDDS)を形成し得る、脂質の等方性混合物、界面活性剤および共界面活性剤である。本発明の製剤化において有用な脂質としては、任意の天然または合成の脂質(ゴマ種子油、オリーブ油、ひまし油、落花生油、脂肪酸エステル、グリセロールエステル、Labrafil(登録商標)、Labrasol(登録商標)、Cremophor(登録商標)、Solutol(登録商標)、Tween(登録商標)、Capryol(登録商標)、Capmul(登録商標)、Captex(登録商標)およびPeceol(登録商標)を含むがこれらに限定されない)が挙げられる。
【0105】
GRAおよび/またはGC組成物は、他の適合性の治療剤も含み得る。本明細書中に記載される化合物は、互いに、糖質コルチコイドレセプターをアンタゴナイズする際に有用であると公知の他の活性な作用物質と、または単独では有効ではないことがあるが活性な作用物質の有効性に寄与し得る補助剤と、組み合わせて使用され得る。
E.投与方法
【0106】
本発明のGRAおよび/またはGC化合物または組成物は、経口、非経口(例えば、静脈内注射または筋肉内注射)および局所的方法を含む任意の好適な手段によって送達され得る。局所的経路による経皮的投与方法は、アプリケータースティック、溶液、懸濁液、エマルジョン、ゲル、クリーム、軟膏、ペースト、ゼリー、ペイント、粉末およびエアロゾルとして製剤化され得る。したがって、本明細書中に記載されるGC化合物は、経口剤形または注射剤形で投与され得る。
【0107】
医薬品は、好ましくは、単位剤形で存在する。そのような形態において、調製物は、適切な量の本発明の化合物および組成物を含む単位用量に細分される。単位剤形は、包装された調製物であり得、その包装は、別々の量の調製物を含む(例えば、パック詰めされた錠剤、カプセル剤、およびバイアルまたはアンプル内の散剤)。また、単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤もしくは舐剤自体であり得るか、または包装された形態の適切な数のこれらのいずれかであり得る。
【0108】
GRAは、経口投与され得る。例えば、GRAは、本明細書中に記載される丸剤、カプセルまたは液体製剤として投与され得る。あるいは、GRAは、非経口投与を介して提供され得る。例えば、GRAは、(例えば、注射または注入によって)静脈内投与され得る。同様に、GCは、例えば、丸剤、カプセルまたは液体製剤として経口投与され得る。あるいは、GCは、非経口投与を介して、例えば、静脈内投与され得る。本明細書中に記載される化合物および医薬組成物またはその製剤の投与のさらなる方法は、以下に記載されている。
【0109】
本発明のGRAおよびGC化合物および組成物は、共投与され得る。共投与には、本発明のGC化合物または組成物の0.5、1、2、4、6、8、10、12、16、20または24時間以内の本発明のGRA化合物または組成物の投与が含まれる。共投与には、同時、ほぼ同時(例えば、互いに約1、5、10、15、20または30分以内)または任意の順序での逐次の投与も含まれる。さらに、本発明の化合物および組成物は各々、1日に好ましい投与量レベルを提供するために、1日に1回、または1日に2回、3回もしくはそれを超えて投与され得る。
【0110】
いくつかの実施形態において、共投与は、共製剤化、すなわち、本発明の化合物および組成物ならびに他の任意の作用物質を含む単一の薬学的組成物を調製することによって、達成され得る。あるいは、様々な成分が、別々に製剤化され得る。
【0111】
二次性副腎機能不全は、二次性副腎機能不全の処置を必要とする被験体において、患者の早朝血漿コルチゾールレベルが少なくとも12μg/dLになるように、i)糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト(GRA);およびii)糖質コルチコイド(GC)を有効量で被験体に同時投与または逐次投与することによって処置され得る。GRAおよびGCは、単一の(すなわち、複合的な)用量形態で、またはGRA用量およびGC用量として投与され得る。GRAを一次投与し、続いて、GCを二次投与し得る。あるいは、GCを一次投与し、続いて、GRAを二次投与し得る。
【0112】
糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト(GRA)は、約0.1mg〜約10,000mg、約1mg〜約1000mg、約10mg〜約750mg、約25mg〜約500mg、約50mg〜約250mg、または約75mg〜約150mgのGRAの用量で、糖質コルチコイド(例えば、糖質コルチコイドまたはそのアナログ)と共に同時投与または逐次投与され得る。場合によっては、GRAは、約1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900または1000mgのGRAの用量で、糖質コルチコイド(例えば、糖質コルチコイドまたはそのアナログ)と共に同時投与または逐次投与され得る。場合によっては、GRAは、約0.1、0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3、4、5、10、15、20、25、50、75、100、125、または150mg/kgのGRAの用量で、糖質コルチコイド(例えば、糖質コルチコイドまたはそのアナログ)と共に同時投与または逐次投与され得る。他の場合では、上記GRA投与量の1つもしくは1つ超、または上記GRA用量範囲の1つの範囲内の用量は、1日に約4回、1日に3回、1日に1回、1週間に2回、1週間に1回、2週間に1回、1ヶ月に1回投与され得る。さらに他の場合では、被験体は、高用量(例えば、500mgまたはそれを超える)のGRAを一定期間(例えば、1週間にわたって1日に2回)投与され、次いで、低用量(例えば、100mgまたはそれ未満の)のGRAを一定期間投与される。あるいは、被験体は、低用量(例えば、150mgまたはそれ未満)のGRAを一定期間(例えば、1週間またはそれより長い期間にわたって1日おきに)投与され、次いで、高用量(例えば、600mgまたはそれを超える)のGRAを一定期間(例えば、毎日)投与され得る。例えば、GRAの処置過程は、a)2ヶ月間にわたって1日おきに150mg、b)1ヶ月間にわたって1日おきに300mg、c)1ヶ月間にわたって毎日300mg、d)3ヶ月間にわたって毎日600mg、およびe)2ヶ月間にわたって1日おきに300mgのスケジュールに従い得る。
【0113】
糖質コルチコイド(例えば、糖質コルチコイドまたはGC)は、約0.1mg〜約10,000mg、約1mg〜約1000mg、約10mg〜約750mg、約25mg〜約500mg、約50mg〜約250mg、または約75mg〜約150mgの糖質コルチコイドの用量で、GRAと共に同時投与または逐次投与され得る。場合によっては、糖質コルチコイドは、約1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900または1000mgの糖質コルチコイドの用量で、GRAと共に同時投与または逐次投与され得る。他の場合では、糖質コルチコイドは、約0.1、0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3、4、5、10、15、20、25、50、75、100、125、または150mg/kgの糖質コルチコイドの用量で、GRAと共に同時投与または逐次投与され得る。いくつかの実施形態において、糖質コルチコイドの上記投与量の1つもしくはそれよりも多くまたは糖質コルチコイドの上記用量範囲の1つの範囲内の用量は、1日に約4回、1日に3回、1日に1回、1週間に2回、1週間に1回、2週間に1回、1ヶ月に1回投与され得る。単位用量の有効量は、単位投与量当たり約0.25mg、0.5mg、1.0mg、2.0mg、5.0mg、10mg、20mgおよび30mgであり得る。
【0114】
場合によっては、被験体は、高用量(例えば、30mgまたはそれを超える)の糖質コルチコイドを一定期間(例えば、1週間にわたって1日に2回)投与され、次いで、低用量(例えば、10mgまたはそれ未満)の糖質コルチコイドを一定期間投与される。さらに他の場合では、被験体は、低用量(例えば、10mgまたはそれ未満)の糖質コルチコイドを一定期間(例えば、1週間にわたって1日に2回)投与され、次いで、高用量(例えば、30mgまたはそれを超える)の糖質コルチコイドを一定期間投与される。例えば、ヒドロコルチゾンの処置過程は、a)5ヶ月間にわたって毎日15mg、およびb)1ヶ月間にわたって毎日10mgのスケジュールに従い得る。
【0115】
この用途に対しての投与スケジュールおよび有効な量(すなわち、「投与レジメン」)は、疾患の重症度、疾患の病因、患者の身体的状態、年齢などを含む様々な要因に依存する。患者のための投与レジメンの計算では、投与様式も考慮される。投与レジメンはまた、当該分野で周知の薬物動態パラメータ、すなわちGRAおよび/またはGCの吸収速度、バイオアベイラビリティ、代謝、クリアランスなどを考慮する(例えば、Hidalgo−Aragones,J.Steroid Biochem.Mol.Biol.58:611−617,1996;Groning,Pharmazie 51:337−341,1996;Fotherby,Contraception 54:59−69,1996;Johnson,J.Pharm.Sci.84:1144−1146,1995;Rohatagi,Pharmazie 50:610−613,1995;Brophy,Eur.J.Clin.Pharmacol.24:103−108,1983;Remington’s Pharmaceutical Science、前掲を参照のこと)。
F.処置有効性を決定する方法
【0116】
本明細書中に記載される、または当該分野で一般に公知の上記検出方法のいずれか1つまたは複数は、処置の有効性を評価するために使用され得る。いくつかの実施形態において、二次性副腎機能不全を有する被験体は、被験体の早朝コルチゾールレベル、例えば基本コルチゾールレベルを少なくとも12μg/dLに増加させる有効量のGRAおよびGCを投与することによって処置され、該処置は、その有効性を決定するためにモニターされ得る。例えば、有効性は、血漿、血清、尿または唾液基本コルチゾール、例えば基本総または遊離コルチゾールのレベルを検出することによって示され得る。いくつかの実施形態において、治療有効量のGCおよび治療有効量のGRAの共投与は、患者の基本血漿コルチゾールレベルが12μg/dLもしくはそれよりも高くなるか、または別の生物学的サンプル中の同程度のレベルになるように、該基本血漿コルチゾールレベルに影響を与え得る。他の実施形態において、治療有効量のGCおよび治療有効量のGRAの共投与は、患者の基本血清コルチゾールレベルが12μg/dLもしくはそれよりも高くなるか、または別の生物学的サンプル中の同程度のレベルになるように、該基本血清コルチゾールレベルを変化させる。
【0117】
上記のように、個体のコルチゾールレベルは、視床下部からのコルチコトロピン放出ホルモン(CRH)に応じて下垂体で合成されるACTHによって制御される。コルチゾールは、糖質コルチコイド結合グロブリンおよびアルブミンに結合した状態で主に見られる。自由に循環する非結合コルチゾールは生理学的に活性な形態であり、総コルチゾールの5%未満である。いかなる特定の治療にも束縛されないが、糖質コルチコイドおよび糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストの共投与は、早朝においてコルチゾールを分泌するように個体を刺激し得る。
【0118】
コルチゾールレベルは、限定されないが、イムノアッセイ、競合イムノアッセイ、質量分析、例えば液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析(LC/MS−MS)またはタンデム質量分析(MS−MS)を含むアッセイを使用して、血清、血漿、唾液、糞便または尿中に関して測定され得る。いくつかの実施形態において、血清、血漿、唾液、尿または糞便中の総または遊離コルチゾールのレベルは、限定されないが、ADVIA Centaur(登録商標)コルチゾールアッセイ(Siemens Healthcare Global)、ARCHITECT i2000SRコルチゾール(Abbott)、Immulite(登録商標)2000コルチゾールアッセイ(Siemans Healthcare Global;#L2KCO2)、Vitros(登録商標)ECiコルチゾールアッセイ(Ortho Clinical Diagnostics;#107 4053)およびElecsys(登録商標)コルチゾールイムノアッセイ(Roche Molecular Diagnostics;#11875116160)などのイムノアッセイを使用して決定される。当業者は、被験体、例えばヒト被験体から採取された生物学的サンプル中のコルチゾールレベルを検出するための任意の方法を使用し得ることを認識するであろう。
G.キット
【0119】
本発明は、キットを提供する。キットは、1日用量のGRAおよび1日用量のGCを含み、場合によっては、生物学的サンプル収集デバイスを含む。いくつかの実施形態において、キットはまた、本明細書中に記載される方法を実施するために必要な任意の他の構成要素、例えば容器、薬物投与のための説明、およびサンプル収集のための説明を含む。
【0120】
場合によっては、患者の血漿は、任意の公知の血漿収集デバイスによって収集される。本発明において有用ないくつかの血漿収集デバイスとしては、限定されないが、ヴァキュテーナーが挙げられる。血漿収集デバイスは、とりわけ、抗凝固剤(EDTA、クエン酸ナトリウム、ヘパリン、オキサラート)、血液細胞と血漿との中間の密度を有するゲル、血液の凝固を引き起こす粒子、血清から血液細胞を分離するためのゲル、トロンビンおよびフッ化物などの付加的なものをデバイス中に必要に応じて含み得る。
【実施例】
【0121】
III.実施例
実施例1:糖質コルチコイドおよび糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストで、二次性副腎機能不全に苦しんでいる女性患者を処置した症例報告。
患者は、20歳でうつ病を発症した39歳の女性であり、うつ病のため、彼女は、様々な向精神薬を受けていた。28歳で、彼女は、進行性の倦怠感、25ポンドの体重増加、筋力低下、易傷性、高血圧および足の疲労骨折を発症した。彼女の骨折の既往歴、ならびに彼女の母親の進行性骨粗鬆症および遺伝的に確認された低ホスファターゼ血症の家族歴を理由に、31歳で、彼女は、スクリーニングDEXA骨密度スキャンを受けた。DEXA骨密度スキャンにより、腰椎で−3.4および腰で−3.1のTスコアが明らかになった。ALPL(アルカリホスファターゼ、肝臓/骨/腎臓)遺伝子のDNA配列決定では、疾患を引き起こす検出可能な変異は示されなかった。骨粗鬆症の二次的原因についてのさらなる試験には、24時間尿中遊離コルチゾールが含まれており、それは499mcg/日(10〜80mcg/日の範囲)に著しく上昇していた。血漿ACTHレベルは、検出不能であった。副腎イメージングにより、3cmの右副腎腫瘤が示された。33歳で、彼女は、複雑でない腹腔鏡下右副腎摘出を受け、組織病理学により、3.7cmの副腎皮質腺腫が確認された。患者は片側手術を受け、一方の副腎は無傷のままであった。
【0122】
術後、患者はヒドロコルチゾン補充を受け、最初に40mg/日の用量にて分割用量で与えられ、その後数ヶ月間にわたって30mg/日まで段階的に漸減させた。彼女の副腎摘出の1年後、彼女のヒドロコルチゾンは15mg/日までさらに漸減されたが、依然として維持用量であった。
【0123】
彼女の副腎摘出後からの続く6年間において、患者は、一般に、一過性の吐き気、頭痛、意識朦朧、気分変動および全身衰弱の症候による体調不良を感じた。(ヒドロコルチゾンを18時間保持した後に実施した)血清コルチゾールおよび血漿ACTHレベルの四半期測定では一貫して、両パラメータについて検出不能な値が得られた。この6年間において、彼女は、副腎摘出の3年後に1回妊娠し、健康な男児を満期産した。彼女は、失神寸前、倦怠感、吐き気および嘔吐(しかし低血糖または低血圧を伴わない)のために、(4年おきに)他に2回入院した。両エピソードを、静脈内ストレス用量の糖質コルチコイドおよび生理食塩水で48時間処置したところ、彼女の症候は改善し、続いて、糖質コルチコイドをヒドロコルチゾン15mg/日の補充量まで漸減させた。
【0124】
(生理学的ステロイド投与にもかかわらず)副腎摘出の6年後においてもHPA軸が回復しなかったので、視床下部、漏斗および下垂体の構造異常を除外するために、トルコ鞍の磁気共鳴イメージングを行った。このMRIは注意を引くものではなかった。その時点で、リスクおよび便益に関する様々な意見を取り入れた議論の後、1日おきに150mgのミフェプリストンを開始し、ヒドロコルチゾン15mg/日の投与を継続した。その後5ヶ月間にわたって、ミフェプリストンの用量を、1日おきに300mg、次いで毎日300mgまで段階的に増加させ、最終的には毎日600mgで維持した。この期間において、HPA軸の迅速な回復が認められた(ミフェプリストンを開始した4ヶ月後、最初にACTHが正常範囲を超えて上昇した後、コルチゾールレベルが続いて上昇した)。ヒドロコルチゾンの用量を減少させ、最終的には、ミフェプリストンを開始した8ヶ月後に中止した。患者は、ミフェプリストンへの耐性が非常に良好であり、副作用は、無月経および掻痒のみであった(彼女は、蕁麻疹の既往歴があった)。掻痒は許容可能なものであり、市販の抗ヒスタミン薬で管理した。ミフェプリストンによる処置中のいかなる時点においても、患者は、副腎機能不全の徴候または症候を発症しなかった。ミフェプリストンを中断した3週間後に、彼女の月経は戻った。表1は、ミフェプリストンを開始した後のHPA軸の回復を要約したものである。
【表1】
「Mife」は、ミフェプリストンを表す。「HC」は、ヒドロコルチゾンを表す。「TIW」は、1週間に3回を表す。
【0125】
本実施例は、二次性副腎機能不全を有する患者が、ヒドロコルチゾンおよびミフェプリストンの共投与によって成功裏に処置されたことを例証している。患者のHPA軸の回復が達成された。患者のACTHおよびコルチゾールレベルは、薬物処置に応じて増加した。処置の完了後、正常レベルのACTHおよびコルチゾールが維持された。
【0126】
本明細書中で使用されてきた用語および表現は、説明的であって限定ではない用語として使用され、示されるおよび記載される特性またはその一部の等価物を排除するそのような用語および表現の使用は意図されておらず、様々な改変が、特許請求される本発明の範囲内であり得ると認識される。さらに、本発明の任意の実施形態のいずれか1つまたはそれより多くの特性は、本発明の範囲から逸脱せずに、本発明の他の任意の実施形態のいずれか1つまたはそれより多くの他の特性と組み合され得る。本明細書に引用されたすべての刊行物、特許および特許出願は、それらの全体がすべての目的のために参照により本明細書によって援用される。
一実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
二次性副腎機能不全を有すると疑われる患者を処置する方法であって、治療有効量の糖質コルチコイド(GC)および糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト(GRA)を、それを必要とする患者に共投与して、前記患者のコルチゾールの早朝血漿レベルを少なくとも約12μg/dLまたは標準コントロールレベルに増加させることを含む、方法。
(項目2)
前記患者が、外因性クッシング症候群による二次性副腎機能不全を有すると疑われる、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記患者が、糖質コルチコイドの長期使用による二次性副腎機能不全を有すると疑われる、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記患者が、内因性クッシング症候群の成功した手術の後に二次性副腎機能不全を有すると疑われる、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記患者が、下垂体ACTH分泌腫瘍、副腎外コルチゾール分泌腫瘍、自律性コルチゾール分泌に関連する片側性副腎過形成、異所性ACTH分泌非下垂体腫瘍、または片側性副腎皮質コルチゾール分泌腫瘍の成功した手術の後に二次性副腎機能不全を有すると疑われる、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記患者が、糖質コルチコイドおよび糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト処置を受けたことがない、項目1〜5のいずれか1項に記載の方法。
(項目7)
前記患者が、緑内障、炎症性疾患、関節リウマチ、喘息および鼻炎、慢性肺疾患、アレルギーならびに自己免疫疾患からなる群より選択される障害または状態について処置されたことがない、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記患者が、糖質コルチコイド処置の副作用を軽減するために処置されたことがない、項目6に記載の方法。
(項目9)
前記副作用が、体重増加、緑内障、体液貯留、血圧上昇、気分変動、白内障、高血糖、糖尿病、感染症、骨からのカルシウムの喪失、骨粗鬆症、月経不順、脂肪再分配、成長遅滞およびクッシング様外観からなる群より選択される、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストが、該糖質コルチコイドレセプターの選択的阻害剤である、項目1〜9のいずれか1項に記載の方法。
(項目11)
前記糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストが、ステロイド骨格の11−β位において少なくとも1つのフェニル含有部分を有する該ステロイド骨格を含む、項目1〜9のいずれか1項に記載の方法。
(項目12)
前記ステロイド骨格の11−β位における前記フェニル含有部分が、ジメチルアミノフェニル部分である、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストがミフェプリストンである、項目11に記載の方法。
(項目14)
前記糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストが、11β−(4−ジメチルアミノエトキシフェニル)−17α−プロピニル−17β−ヒドロキシ−4,9エストラジエン−3−オンおよび(17α)−17−ヒドロキシ−19−(4−メチルフェニル)アンドロスタ−4,9(11)−ジエン−3−オンからなる群より選択される、項目11に記載の方法。
(項目15)
前記糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストが、(11β,17β)−11−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−17−ヒドロキシ−17−(1−プロピニル)エストラ−4,9−ジエン−3−オンである、項目11に記載の方法。
(項目16)
前記糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストが非ステロイド骨格を有する、項目1〜9のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト骨格がシクロヘキシルピリミジンである、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記シクロヘキシルピリミジンが、以下の式:
【化12】
(式中、
破線は存在しないか、または結合であり;
Xは、OおよびSからなる群より選択され;
R1は、1〜3個のR1a基で必要に応じて置換されている、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され;
各R1aは独立して、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルOR1b、ハロゲン、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアルコキシ、OR1b、NR1bR1c、C(O)R1b、C(O)OR1b、OC(O)R1b、C(O)NR1bR1c、NR1bC(O)R1c、SO2R1b、SO2NR1bR1c、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され;
R1bおよびR1cは各々独立して、HおよびC1−6アルキルからなる群より選択され;
R2は、H、C1−6アルキル、C1−6アルキル−OR1b、C1−6アルキルNR1bR1cおよびC1−6アルキレンヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
R3は、HおよびC1−6アルキルからなる群より選択され;
Arは、1〜4個のR4基で必要に応じて置換されているアリールであり;
各R4は独立して、H、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、C1−6ハロアルキルおよびC1−6ハロアルコキシからなる群より選択され;
L1は、結合またはC1−6アルキレンであり;ならびに
下付き文字nは、0〜3の整数である)
またはその塩および異性体を有する、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト骨格が縮合アザデカリンである、項目16に記載の方法。
(項目20)
前記シクロヘキシルピリミジンが、以下の式を有し、ここで、前記縮合アザデカリンが、以下の式:
【化13】
(式中、
L1およびL2は、結合および非置換アルキレンから独立して選択されるメンバーであり;
R1は、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、−OR1A、NR1CR1D、−C(O)NR1CR1D、および−C(O)OR1Aから選択されるメンバーであり、ここで、
R1Aは、水素、非置換アルキルおよび非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーであり、
R1CおよびR1Dは、非置換アルキルおよび非置換ヘテロアルキルから独立して選択されるメンバーであり、
ここで、R1CおよびR1Dは必要に応じて一緒になって、それらが結合している窒素と共に非置換環を形成し、ここで、前記環は必要に応じて、さらなる環窒素を含み;
R2は、式:
【化14】
(式中、
R2Gは、水素、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、−CN、および−CF3から選択されるメンバーであり;
Jは、フェニルであり;
tは、0〜5の整数であり;
Xは、−S(O2)−である);ならびに
R5は、1〜5個のR5A基で必要に応じて置換されているフェニルであり、ここで、
R5Aは、水素、ハロゲン、−OR5A1、S(O2)NR5A2R5A3、−CN、および非置換アルキルから選択されるメンバーであり、ここで、
R5A1は、水素および非置換アルキルから選択されるメンバーであり、ならびに
R5A2およびR5A3は、水素および非置換アルキルから独立して選択されるメンバーである)を有する化合物またはその塩および異性体である、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト骨格が、ヘテロアリールケトン縮合アザデカリンまたはオクタヒドロ縮合アザデカリンである、項目16に記載の方法。
(項目22)
前記ヘテロアリールケトン縮合アザデカリンが、式:
【化15】
(式中、
R1は、5〜6個の環メンバー、ならびにN、OおよびSからなる群より各々独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有するヘテロアリール環であって、R1aから各々独立して選択される1〜4個の基で必要に応じて置換されているヘテロアリール環であり;
各R1aは独立して、水素、C1−6アルキル、ハロゲン、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、CN、N−オキシド、C3−8シクロアルキル、およびC3−8ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
環Jは、シクロアルキル環、ヘテロシクロアルキル環、アリール環およびヘテロアリール環からなる群より選択され、ここで、該ヘテロシクロアルキル環およびヘテロアリール環は、5〜6個の環メンバー、ならびにN、OおよびSからなる群より各々独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有し;
各R2は独立して、水素、C1−6アルキル、ハロゲン、C1 6ハロアルキル、C1 6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、C1−6アルキル−C1−6アルコキシ、CN、OH、NR2aR2b、C(O)R2a、C(O)OR2a、C(O)NR2aR2b、SR2a、S(O)R2a、S(O)2R2a、C3−8シクロアルキル、およびC3−8ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され、ここで、該ヘテロシクロアルキル基は、1〜4個のR2c基で必要に応じて置換されており;
あるいは、同じ炭素に連結されている2個のR2基は一体となって、オキソ基(=O)を形成し;
あるいは、2個のR2基は一体となって、5〜6個の環メンバー、ならびにN、OおよびSからなる群より各々独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで、該ヘテロシクロアルキル環は、1〜3個のR2d基で必要に応じて置換されており;
R2aおよびR2bは各々独立して、水素およびC1−6アルキルからなる群より選択され;
各R2cは独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、CN、およびNR2aR2bからなる群より選択され;
各R2dは独立して、水素およびC1−6アルキルからなる群より選択されるか、または同じ環原子に結合している2個のR2d基は一体となって、(=O)を形成し;
R3は、1〜4個のR3a基で各々必要に応じて置換されている、フェニルおよびピリジルからなる群より選択され;
各R3aは独立して、水素、ハロゲン、およびC1−6ハロアルキルからなる群より選択され;ならびに
下付き文字nは、0〜3の整数である)
またはその塩および異性体を有する、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記オクタヒドロ縮合アザデカリンが、式:
【化16】
(式中、
R1は、5〜6個の環メンバー、ならびにN、OおよびSからなる群より各々独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有するヘテロアリール環であって、R1aから各々独立して選択される1〜4個の基で必要に応じて置換されているヘテロアリール環であり;
各R1aは独立して、水素、C1−6アルキル、ハロゲン、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、N−オキシド、およびC3−8シクロアルキルからなる群より選択され;
環Jは、アリール環、ならびに5〜6個の環メンバー、ならびにN、OおよびSからなる群より各々独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有するヘテロアリール環からなる群より選択され;
各R2は独立して、水素、C1−6アルキル、ハロゲン、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、C1−6アルキル−C1−6アルコキシ、CN、OH、NR2aR2b、C(O)R2a、C(O)OR2a、C(O)NR2aR2b、SR2a、S(O)R2a、S(O)2R2a、C3−8シクロアルキル、ならびにN、OおよびSからなる群より各々独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有するC3−8ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
あるいは、隣接する環原子上の2個のR2基は一体となって、5〜6個の環メンバー、ならびにN、OおよびSからなる群より各々独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで、該ヘテロシクロアルキル環は、1〜3個のR2c基で必要に応じて置換されており;
R2a、R2bおよびR2cは各々独立して、水素およびC1−6アルキルからなる群より選択され;
各R3aは独立して、ハロゲンであり;ならびに
下付き文字nは、0〜3の整数である)またはその塩および異性体を有する、項目21に記載の方法。
(項目24)
前記糖質コルチコイドが、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、デキサメタゾン、糖質コルチコイドアナログ、合成糖質コルチコイドアナログおよびそれらの誘導体からなる群より選択される、項目1〜23のいずれか1項に記載の方法。