(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
<冷菓>
本発明の一実施形態は、0.06mm〜1.0mmの長さを有する油脂(以下「大油脂」という。)を、冷菓の風味が濃厚になる量で含む、冷菓に関する。
また、本発明の一実施形態は、大油脂を、冷菓を基準として、0.5〜3.0質量%含む、冷菓に関する。
更に、本発明の一実施形態は、大油脂を含み、全油脂を対象とする粒度分布において、0.1〜10μmの粒径に対応する位置にピークトップを有する第1ピークと、50〜500μmの粒径に対応する位置にピークトップを有する第2ピークとの合計面積に対する、第2ピークの面積の比率が、5〜55%である、冷菓に関する。
【0010】
一般的な冷菓に含まれる小油脂の配合量を単に増やすと、風味が濃厚にはなるものの、カロリーの増加、油っぽさの増加等の問題が生じる。一方、小油脂の一部を大油脂に置き換えることによって、前記問題を引き起こすことなく、冷菓の風味を濃厚にすることができる。
【0011】
本明細書における「冷菓」は、アイスクリーム類、氷菓等の冷凍下で保管する菓子であり、プリン等のチルド温度帯で保管する菓子は含まない。
アイスクリーム類には、アイスクリーム、アイスミルク、及びラクトアイスが包含される。本明細書における「アイスクリーム類」、「アイスクリーム」、「アイスミルク」、及び「ラクトアイス」は、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(平成30年8月8日厚生労働省令第106号)における定めに従う。
【0012】
具体的には、アイスクリーム類は、乳又はこれらを原料として製造した食品を加工し、又は主要原料としたものを凍結させたものであつて、乳固形分3.0%以上を含むもの(発酵乳を除く。)である。
アイスクリームは、乳固形分が15.0%以上であって、乳脂肪分が8.0%以上のものである。
アイスミルクは、乳固形分が10.0%以上であって、乳脂肪分が3.0%以上のもの(アイスクリームを除く。)である。
ラクトアイスは、乳固形分が3.0%以上のもの(アイスクリーム及びアイスミルクを除く。)である。
【0013】
本発明の冷菓は、0.06mm〜1.0mmの長さを有する油脂を含む。本明細書における油脂の「長さ」とは、走査電子顕微鏡を使用して撮影した油脂の外縁における任意の2点を結んだ距離が最大となる2点間の距離を意味する。
【0014】
大油脂の長さは、0.06mm〜1.0mmであり、好ましくは0.1mm〜1.0mmである。大油脂の長さを0.06mm以上とすることによって、冷菓の風味を濃厚にすることができる。大油脂の長さを1.0mm以下とすることによって、冷菓が油っぽくなること、及び油脂を異物として感じることを回避できる。
【0015】
冷菓は、大油脂を、冷菓の風味が濃厚になる量で含む。
本明細書における「風味」とは、香り、味、及び食感に基づく総合的な感覚を意味する。
本明細書における「濃厚」とは、バニラの香り、ミルク感、甘さ、及び脂肪感が総合的に強いことを意味する。
本明細書における「ミルク感」とは、ミルクの香り及び味を意味する。
本明細書における「脂肪感」とは、クリーミーな食感及び油脂のうま味を意味する。
【0016】
冷菓の風味が濃厚であるか否かは、大油脂を含まない冷菓を基準として判断する。具体的には、風味が濃厚であるか否かの判断対象となる、大油脂を含む冷菓の大油脂を、同量の小油脂に置き換えた冷菓を基準とする。
【0017】
冷菓の風味が濃厚であるか否かは、複数人のパネリストによる官能評価を総合して判断する。官能評価はヒトの感覚に基づく評価であるため、分析機器等による評価と比較して結果にばらつきが生じる可能性があるが、パネリストの数を増やすこと、専門の訓練を受けたパネリストを選抜すること、評価基準をパネリスト間で共有すること等によって、評価精度を向上させることができる。
【0018】
冷菓の風味が濃厚になる大油脂の量は、冷菓の原料、製造方法等によって異なるが、当業者であれば過度の試行錯誤を必要とすることなく適切な量を容易に決定することができる。
【0019】
油っぽさの増加を引き起こすことなく、濃厚な風味を有する冷菓を提供するための大油脂の量としては、例えば、冷菓を基準として、0.5〜3.0質量%、より好ましくは0.5〜2.0質量%、さらに好ましくは0.5〜1.0質量%等が挙げられる。
【0020】
油っぽさの増加を引き起こすことなく、濃厚な風味を有するアイスクリーム類を提供するための大油脂の量は、油脂の粒度分布におけるピーク面積に基づいて規定してもよい。具体的には、全油脂を対象とする粒度分布において、0.1〜10μmの粒径に対応する位置にピークトップを有する第1ピークと、50〜500μmの粒径に対応する位置にピークトップを有する第2ピークとの合計面積に対する、第2ピークの面積の比率が、5〜55%であることが好ましい。第1ピークは小油脂に対応し、第2ピークは大油脂に相当する。
【0021】
第1ピークは複数のピークであってもよい。第1ピークが複数のピークである場合、第1ピークの面積は、複数のピークの合計面積である。
第2ピークは複数のピークであってもよい。第2ピークが複数のピークである場合、第2ピークの面積は、複数のピークの合計面積である。
【0022】
第1ピークと第2ピークとの合計面積に対する、第2ピークの面積の比率は、より好ましくは5〜40%であり、さらに好ましくは5〜20%である。
【0023】
第1ピークのピークトップは、例えば、1〜10μm、1〜5μm等の粒径に対応する位置にあってもよい。
第2ピークのピークトップは、例えば、50〜400μm、50〜200μm等の粒径に対応する位置にあってもよい。
【0024】
油脂の粒度分布は、粒度分布測定装置(例えばマイクロトラック・ベル株式会社製マイクロトラックMT3300EX II)を使用して測定する。粒度分布における第1ピーク及び第2ピークのそれぞれのピークトップに対応する粒径は、走査電子顕微鏡を使用して測定する小油脂及び大油脂のそれぞれの「長さ」と必ずしも一致しない。この理由は、測定方法の違いによる。油脂の粒度分布におけるピーク面積は、小油脂及び大油脂の相対的な含有量の指標となる。
【0025】
油脂の長さ分布として、例えば、0.05mm以上の長さを有する油脂の総数の90%以上が0.06mm〜1.0mmの長さを有していることが好ましく、0.05mm以上の長さを有する油脂の総数の95%以上が0.06mm〜1.0mmの長さを有していることがより好ましい。
また、0.05mm以上の長さを有する油脂の総数の80%以上が0.1mm〜1.0mmの長さを有していることが好ましく、0.05mm以上の長さを有する油脂の総数の85%以上が0.1mm〜1.0mmの長さを有していることがより好ましい。
【0026】
大油脂の原料としては、例えば、ヤシ油、ヒマワリ油、パーム油、ナタネ油、綿実油、ダイズ油、トウモロコシ油、シア油、ココアバター、米油等が挙げられる。これらの油は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。大油脂の原料と小油脂の原料とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0027】
大油脂の固体脂肪含量(SFC)に特に限定はないが、大油脂として、そのSFCが、前記大油脂を基準として、−5℃において60〜70質量%であって、10℃において45〜55質量%である大油脂を使用することがより好ましく、そのSFCが−5℃において65〜70質量%であって、10℃において45〜55質量%である大油脂を使用することがさらに好ましい。このような大油脂を使用することによって、油脂の優れた食感(例えば、口どけ)が得られる。所定の温度における固体脂肪含量は、様々な種類の油を適宜組み合わせることによって調節することができる。
【0028】
大油脂は風味剤を含んでいてもよい。大油脂が風味剤を含む冷菓は、大油脂以外の場所に風味剤を含む冷菓と比較して、強い風味を与えることができる。
【0029】
風味剤としては、例えば、香料、甘味料、抹茶、果実エキス、コーヒーエキス等が挙げられる。大油脂に含まれる風味剤の量としては、例えば、冷菓を基準として、0.001〜0.5質量%、0.005〜0.1質量%、0.01〜0.05質量%等が挙げられる。
【0030】
大油脂は着色料を含んでいてもよい。大油脂が着色料を含む冷菓は、まだら模様に着色され、冷菓の見た目が良好となる。
【0031】
冷菓は、0.06mm〜1.0mmの長さを有する氷片(以下「微細氷片」という。)を更に含んでいてもよい。本明細書における氷片の「長さ」とは、光学顕微鏡を使用して撮影した氷片の外縁における任意の2点を結んだ距離が最大となる2点間の距離を意味する。
【0032】
冷菓が微細氷片を含むことによって、滑らかな食感及び冷涼感を与えることができる。微細氷片を含む冷菓が大油脂を含むと、濃厚な風味を顕著に感じることができる。
【0033】
微細氷片の長さは、好ましくは0.06mm〜1.0mmであり、より好ましくは0.06mm〜0.6mmである。微細氷片の長さを前記の範囲内とすることにより、滑らかな食感及び冷涼感を与えることができる。
【0034】
微細氷片の量としては、例えば、冷菓を基準として、20〜80質量%、30〜70質量%、40〜60質量%等が挙げられる。
【0035】
氷片の長さ分布として、例えば、氷片の総数の80%以上が0.06〜1.0mmの長さを有していることが好ましく、氷片の総数の90%以上が0.06〜1.0mmの長さを有していることがより好ましい。
また、氷片の総数の80%以上が0.06〜0.6mmの長さを有していることが好ましく、氷片の総数の90%以上が0.06〜0.6mmの長さを有していることがより好ましい。
【0036】
冷菓は、アイスクリームミックスを含む。アイスクリームミックスとしては、一般的な冷菓で使用されているものを使用することができる。
【0037】
アイスクリームミックスは小油脂を含むことが好ましい。小油脂の長さとしては、例えば、0.1〜5.0μm、0.5〜3.0μm、0.7〜1.5μm等が挙げられる。小油脂の量は、冷菓の原料、製造方法等によって異なるが、当業者であれば過度の試行錯誤を必要とすることなく適切な量を容易に決定することができる。特に限定するものではないが、小油脂の量としては、例えば、冷菓を基準として、0.5〜15.0質量%、2.0〜10.0質量%、4.0〜8.0質量%等が挙げられる。
【0038】
冷菓に含まれる油脂の合計量としては、例えば、冷菓を基準として、1.0〜18.0質量%、2.5〜12.0質量%、4.5〜9.0質量%等が挙げられる。
【0039】
<冷菓の風味を濃厚にする方法>
本発明の一実施形態は、大油脂を、冷菓に含ませることを含む、冷菓の風味を濃厚にする方法に関する。本実施形態における冷菓に含まれる成分の詳細は、前記<冷菓>の項目において説明したとおりである。
【0040】
大油脂を、冷菓に含ませるように冷菓を製造することによって、冷菓の風味を濃厚にすることができる。大油脂を含む冷菓の製造方法は特に限定されない。例えば、アイスクリームミックスに、油脂を噴霧する方法が挙げられる。また、液体状の油脂をアイスクリームミックスに加え、当該油脂の長さが0.06mm〜1.0mmとなるまで、ブレンダー等で混合する方法が挙げられる。混合速度及び混合時間を適宜調節することによって、目的の長さを有する油脂とすることができる。
【0041】
冷菓が微細氷片を含む場合には、例えば、特許文献1に記載の方法を利用することができる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではない。
【0043】
<アイスミルクの調製>
[比較例1−1]大油脂:0質量%
糖質21.0質量部、乳製品11.5質量部、油脂5.0質量部、乳化安定剤0.6質量部、香料0.1質量部、水61.8質量部を混合、フリージングし、容器に充填後、凍結させることでアイスミルクを得た。
【0044】
[実施例1−1]大油脂:0.5質量%
糖質21.0質量部、乳製品11.5質量部、油脂4.5質量部、乳化安定剤0.6質量部、香料0.1質量部、水62.3質量部を混合、フリージングした。その後、油脂0.5質量部を液体状態で添加し、ブレンダ―で混合し、容器に充填後、凍結させることでアイスミルクを得た。
【0045】
[実施例1−2]大油脂:1.0質量%
フリージング後に添加する油脂の量を0.5質量部から1.0質量部に変更し、フリージング前に添加する油脂の量を4.5質量部から4.0質量部に変更したこと以外は、実施例1−1と同様にアイスミルクを調製した。
【0046】
[実施例1−3]大油脂:2.0質量%
フリージング後に添加する油脂の量を0.5質量部から2.0質量部に変更し、フリージング前に添加する油脂の量を4.5質量部から3.0質量部に変更したこと以外は、実施例1−1と同様にアイスミルクを調製した。
【0047】
[比較例1−2]大油脂:3.0質量%
フリージング後に添加する油脂の量を0.5質量部から3.0質量部に変更し、フリージング前に添加する油脂の量を4.5質量部から2.0質量部に変更したこと以外は、実施例1−1と同様にアイスミルクを調製した。
【0048】
[比較例1−3]大油脂:5.0質量%
フリージング後に添加する油脂の量を0.5質量部から5.0質量部に変更し、フリージング前に添加する油脂の量を4.5質量部から0質量部に変更したこと以外は、実施例1−1と同様にアイスミルクを調製した。
【0049】
<アイスミルクの官能評価>
5人の官能評価パネリストが前記アイスミルクについて評価した。評価項目及び評価基準は以下のとおりである。評価項目において、経時的に変化する風味を、順に、トップノート、ミドルノート及びラストノートと表現した。なお、比較例1−1のアイスミルクをコントロールとした。
【0050】
(評価項目)
香り立ち:トップノートのバニラの香り
ボディー感:ミドルノートのミルク感及び甘さ
コク:ラストノートの脂肪感
【0051】
(評価基準)
4点:コントロールよりもかなり強い
3点:コントロールよりもやや強い
2点:コントロールと同程度
1点:コントロールよりもやや弱い
0点:コントロールよりもかなり弱い
【0052】
各評価項目の結果を表1−1〜表1−3に示し、総合結果を表1−4に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0053】
大油脂を0.5〜2.0質量%含むアイスミルクは、大油脂を含まないアイスミルクと比較して、濃厚な風味を有していた。また、大油脂を0.5〜2.0質量%含むアイスミルクは、油っぽさの増加等の問題を引き起こさなかった。
【0054】
<微細氷片含有ラクトアイスの調製>
[比較例2−1]大油脂:0質量%
糖質14.4質量部、油脂6.9質量部、乳製品6.2質量部、加糖卵黄0.8質量部、乳化安定剤0.2質量部、香料0.1質量部、着色料0.1質量部、水21.3質量部、微細氷50.0質量部を混合、フリージングし、容器に充填後、凍結させることでラクトアイスを得た。
【0055】
[実施例2−1]大油脂:0.5質量%
糖質14.4質量部、油脂6.4質量部、乳製品6.2質量部、加糖卵黄0.8質量部、乳化安定剤0.2質量部、香料0.1質量部、着色料0.1質量部、水21.8質量部、微細氷50.0質量部を混合、フリージングした。その後、油脂0.5質量部を液体状態で添加し、ブレンダ―で混合し、容器に充填後、凍結させることでラクトアイスを得た。
【0056】
[実施例2−2]大油脂:1.0質量%
フリージング後に添加する油脂の量を0.5質量部から1.0質量部に変更し、フリージング前に添加する油脂の量を6.4質量部から5.9質量部に変更したこと以外は、実施例2−1と同様にラクトアイスを調製した。
【0057】
[実施例2−3]大油脂:2.0質量%
フリージング後に添加する油脂の量を0.5質量部から2.0質量部に変更し、フリージング前に添加する油脂の量を6.4質量部から4.9質量部に変更したこと以外は、実施例2−1と同様にラクトアイスを調製した。
【0058】
[実施例2−4]大油脂:3.0質量%
フリージング後に添加する油脂の量を0.5質量部から3.0質量部に変更し、フリージング前に添加する油脂の量を6.4質量部から3.9質量部に変更したこと以外は、実施例2−1と同様にラクトアイスを調製した。
【0059】
[比較例2−2]大油脂:5.0質量%
フリージング後に添加する油脂の量を0.5質量部から5.0質量部に変更し、フリージング前に添加する油脂の量を6.4質量部から1.9質量部に変更したこと以外は、実施例2−1と同様にラクトアイスを調製した。
【0060】
[比較例2−3]大油脂:6.6質量%
フリージング後に添加する油脂の量を0.5質量部から6.6質量部に変更し、フリージング前に添加する油脂の量を6.4質量部から0質量部に変更したこと以外は、実施例2−1と同様にラクトアイスを調製した。
【0061】
<微細氷片含有ラクトアイスの官能評価>
5人の官能評価パネリストが前記微細氷片含有ラクトアイスについて評価した。評価項目及び評価基準は以下のとおりである。評価項目において、経時的に変化する風味を、順に、トップノート、ミドルノート及びラストノートと表現した。なお、比較例2−1のラクトアイスをコントロールとした。
【0062】
(評価項目)
香り立ち:トップノートのバニラの香り
ボディー感:ミドルノートのミルク感及び甘さ
コク:ラストノートの脂肪感
【0063】
(評価基準)
4点:コントロールよりもかなり強い
3点:コントロールよりもやや強い
2点:コントロールと同程度
1点:コントロールよりもやや弱い
0点:コントロールよりもかなり弱い
【0064】
各評価項目の結果を表2−1〜表2−3に示し、総合結果を表2−4に示す。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【0065】
大油脂を0.5〜3.0質量%含む微細氷片含有ラクトアイスは、大油脂を含まない微細氷片含有ラクトアイスと比較して、濃厚な風味を有していた。また、大油脂を0.5〜3.0質量%含む微細氷片含有ラクトアイスは、油っぽさの増加等の問題を引き起こさなかった。
【0066】
<バニラ香料含有ラクトアイスの調製>
[参考例3−1]大油脂中香料:0質量%
実施例2−2と同様に、糖質14.4質量部、油脂5.9質量部、乳製品6.2質量部、加糖卵黄0.8質量部、乳化安定剤0.2質量部、香料0.2質量部、着色料0.1質量部、水21.8質量部、微細氷50.0質量部を混合、フリージングした。その後、油脂1.0質量部を液体状態で添加し、ブレンダ―で混合し、容器に充填後、凍結させることでラクトアイスを得た。
【0067】
[実施例3−1]大油脂中香料:0.1質量%
実施例2−2と同様に、糖質14.4質量部、油脂5.9質量部、乳製品6.2質量部、加糖卵黄0.8質量部、乳化安定剤0.2質量部、香料0.1質量部、着色料0.1質量部、水21.8質量部、微細氷50.0質量部を混合、フリージングした。その後、油脂1.0質量部に香料0.1質量部を混合後、液体状態で添加し、ブレンダ―で混合し、容器に充填後、凍結させることでラクトアイスを得た。
【0068】
[実施例3−2]大油脂中香料:0.01質量%
大油脂に配合する香料の量を0.1質量%から0.01質量%に変更したこと以外は、実施例3−1と同様にラクトアイスを調製した。
【0069】
[実施例3−3]大油脂中香料:0.001質量%
大油脂に配合する香料の量を0.1質量%から0.001質量%に変更したこと以外は、実施例3−1と同様にラクトアイスを調製した。
【0070】
<バニラ香料含有ラクトアイスの官能評価>
5人の官能評価パネリストが前記バニラ香料含有ラクトアイスについて評価した。評価基準は以下のとおりである。なお、参考例3−1のラクトアイスをコントロールとした。
【0071】
(評価基準)
〇:コントロールと比較してバニラの香りが強い
×:コントロールと比較してバニラの香りが強くない
【0072】
結果を表3に示す。なお、結果は5人の官能評価パネリストの総合評価である。
【表3】
【0073】
大油脂中に香料を含むラクトアイスは、大油脂以外の場所に香料を含むラクトアイスと比較して、ラストノートにおける香りや甘さの残りが強くなることがわかった。
【0074】
<走査電子顕微鏡測定>
(測定機器)
日本電子株式会社製JSM−IT100LA分析走査電子顕微鏡
日本電子株式会社製クライオユニット
【0075】
(測定条件)
加速電圧:10.0kV
スポットサイズ:55
撮影方法:反射電子像(低真空モード)
観察倍率:50〜430倍
【0076】
(測定方法)
冷凍下で保管していた比較例2−1のラクトアイスを冷凍下で取り出し、これから30個の試料を準備した。試料は直ちに試料ホルダと共に液体窒素に浸漬し、凍結状態を維持したまま、液体窒素の循環により十分に冷えたクライオユニット内に設置した。続いて、クライオユニット内でカッターを用いて試料を割断し、割断断面を低温下において走査電子顕微鏡で観察した。観察された小油脂の長さを記録した。実施例2−2のラクトアイスについても同様に観察し、小油脂よりも明らかに大きい油脂の長さを記録した。結果を表4に示す。
【0077】
【表4】
【0078】
<油脂の検討>
様々な油脂を調製し、各油脂の固体脂肪含量と温度との関係を調査した。また、各油脂を加えた実施例1−2のアイスミルクについて、官能評価を行った。官能評価は、油脂の食感、口どけ、及び油っぽさについて総合的に評価した。結果を表5及び
図1に示す
【表5】
【0079】
固体脂肪含量が、−5℃において68.2質量%であり、10℃において51.3質量%である油脂を含むアイスミルクは、油脂を固形としてあまり感じず、口どけが良く、かつ油っぽくなかった。
【0080】
<油脂の粒度分布>
(測定機器)
マイクロトラック・ベル株式会社製マイクロトラックMT3300EX II
【0081】
(測定条件)
・粒子条件
透過性:透過、粒子屈折率:1.81、形状:非球体
・溶媒条件
溶媒:Water、溶媒屈折率:1.333、温度:5℃
【0082】
(測定方法)
−18℃以下で保管していたアイスサンプルを試料とした。試料は−12℃に調温した状態で、直ちに溶媒に投入し測定した。各試料について3回測定を行った。各試料(n1)の粒度分布を
図2〜7に示す。粒度分布におけるピークのピークトップ位置及びピーク面積を表6に示す。
【表6】