【実施例】
【0045】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
図1における各層を以下の成分構成として実施例1のインク供給用チューブを作製した。
内層1:フッ素樹脂(旭硝子株式会社製 エチレン・テトラフルオロエチレン共重合樹脂(ETFE系樹脂) 層厚:50μm)
第1中間層2−1:ポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製 ポリアミド12 層厚:30μm)
第2中間層2−2:エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH樹脂)(株式会社クラレ製 エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂 層厚:30μm)
第3中間層2−3:接着性ポリオレフィン樹脂(三菱化学株式会社製 酸変性ポリエチレン 層厚:30μm)
外層3:エチレン系ポリマー(三井・デュポンポリケミカル株式会社製 エチレン系ポリマー 層厚:260μm)
上記の各成分を共押出成型機によりチューブとして成型して、5層構造の内径:3.0mm、外径:3.8mm、肉厚:400μmのインク供給用チューブを製造した。
[実施例2]
外層3を以下のものとした以外は実施例1と同様にして実施例2のインク供給用チューブを作製した。
外層3:ポリオレフィン系エラストマー(株式会社プライムポリマー製 直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE) 層厚:260μm)である。
[実施例3]
第2中間層2−2を以下のものとした以外は実施例2と同様にして実施例3のインク供給用チューブを作製した。なお、ポリエステル樹脂は、耐ストレスクラック性を考慮した改質剤として配合した。
第2中間層2−2:エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH樹脂)/ポリエステル樹脂=80/20(層厚:30μm)
EVOH樹脂:(株式会社クラレ製 エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂)
ポリエステル樹脂:(三菱化学株式会社製 ポリエステル系熱可塑性エラストマー)
[実施例4]
外層3を以下のものとした以外は実施例2と同様にして実施例4のインク供給用チューブを作製した。
外層3:ポリオレフィン系エラストマー(日本ポリプロ株式会社製 ポリプロピレン樹脂 層厚:260μm)
[実施例5]
内層1を以下のものとした以外は実施例2と同様にして実施例4のインク供給用チューブを作製した。
内層1:フッ素樹脂(旭硝子株式会社製 四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシアルカン共重合樹脂(PFA樹脂) 層厚:50μm)
[実施例6]
内層1及び第1中間層2−1を以下のものとした以外は実施例2と同様にして実施例6のインク供給用チューブを作製した。
内層1:フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製 変性パーフルオロアルコキシ系樹脂(CPT樹脂) 層厚:50μm)
第1中間層2−1:ポリアミド樹脂(ダイセル・エボニック株式会社製 ポリアミド12
層厚:30μm)
[比較例1]
各層を以下の成分構成として、3層構造の比較例1のインク供給用チューブを作製した。
内層:フッ素樹脂(旭硝子株式会社製 エチレン・テトラフルオロエチレン樹脂(ETFE系樹脂) 層厚:100μm)
中間層:ポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製 ポリアミド12 層厚:50μm)
外層:ポリウレタン系エラストマー(ディーアイシーバイエルポリマー株式会社製 ポリウレタン系エラストマー 層厚:250μm)
上記の各成分を共押出成型機によりチューブとして成型して3層構造の内径:3.0mm、外径:3.8mm、肉厚:400μmのインク供給用チューブを製造した。
[比較例2]
各層を以下の成分構成として、3層構造の比較例2のインク供給用チューブを作製した。
内層:フッ素樹脂(旭硝子株式会社製 エチレン・テトラフルオロエチレン樹脂(ETFE系樹脂) 層厚:100μm)
中間層:エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH樹脂)(株式会社クラレ製 エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂 層厚:50μm)
外層:ポリウレタン系エラストマー(ディーアイシーバイエルポリマー株式会社製 ポリウレタン系エラストマー 層厚:250μm)
上記の各成分を共押出成型機によりチューブとして成型して3層構造の内径:3.0mm、外径:3.8mm、肉厚:400μmのインク供給用チューブを製造した。
[比較例3]
各層を以下の成分構成として、4層構造の比較例1のインク供給用チューブを作製した。
内層:フッ素樹脂(旭硝子株式会社製 エチレン・テトラフルオロエチレン樹脂(ETFE系樹脂) 層厚:100μm)
中間層1:ポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製 ポリアミド12 層厚:50μm)中間層2:エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH樹脂)(株式会社クラレ製 エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂 層厚:50μm)
外層:接着性ポリオレフィン(三菱化学株式会社製 酸変性ポリエチレン 層厚:200μm)
上記の各成分を共押出成型機によりチューブとして成型して4層構造の内径:3.0mm、外径:3.8mm、肉厚:400μmのインク供給用チューブを製造した。
[インク供給用チューブの評価]
上記の実施例1〜6及び比較例1〜3のインク供給用チューブについて、酸素バリア性及び低透湿性、並びに屈曲性を判定した。
〔酸素バリア性及び低透湿性の判定〕
各インク供給用チューブについて、それぞれに封入したインクの溶存酸素量を測定してその結果から酸素バリア性及び低透湿性を判定した。
(溶存酸素量の測定)
まず、脱気したインクの初期の溶存酸素量(mg/L)を測定した。次に、そのインクを長さ1mのチューブ内に封入し、両端末に栓をして密封した後、温度20℃、湿度60%の環境下で3日間放置した。そのインクを抜き取り、1週間後の溶存酸素量を測定した。
【0046】
上記の溶存酸素量の測定は、溶存酸素測定器(株式会社東興化学研究所 微量溶存酸素計 TD−51)を用いて行った。
(判定)
初期の脱気したインクの溶存酸素量からの、3日間放置後のインクの溶存酸素量の変化量が3.0mg/L未満のものを○とし、3.0mg/L以上のものを×として、各インク供給用チューブの酸素バリア性及び低透湿性を判定した。これらの結果を表1に示す。
〔屈曲性の判定〕
各インク供給用チューブについて、クラック(割れ)の数を測定して屈曲性を判定した。
(クラック(割れ)の数の測定)
1.5mのチューブにインクを封入した状態で屈曲半径100mmのケーブルベア(登録商標)内にチューブを設置し、速度:700mm/secの速度でケーブルベア(登録商標)を連続して往復600万回スライドさせ、終了後にチューブに入ったクラック(割れ)の数を測定した。
(判定)
上記で測定した600万回終了した時点におけるチューブに入っているクラック(割れ)の数を屈曲性の指標として、下記基準で判定した。
0〜10以下・・・◎
11〜20以下・・・○
21〜30以下・・・△
31以上・・・×
これらの結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示す判定結果から、実施例1〜6のインク供給用チューブは、比較例1〜3に比べて酸素バリア性及び低透湿性に優れていることが確認された。
【0049】
また、屈曲性についても実施例1〜6のインク供給用チューブは、比較例2、3に比べて優れていることが確認された。
【0050】
なお、比較例1については屈曲性に関しては最も優れているものの、中間層にエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH樹脂)を用いていない為、酸素バリア性及び低透湿性は最も劣っていた。
【0051】
更に第2中間層にポリエステル樹脂を配合した実施例3は、他の実施例に比べて溶存酸素変化量は若干大きいものの、他のものに比べて優れた屈曲性を有することが確認された。
【0052】
これらの結果から、本発明のインク供給用チューブは、優れた耐溶剤性及び屈曲性を有するとともに、より酸素バリア性及び低透湿性に優れたインクジェットプリンタ用のインク供給用チューブであることが確認された。