(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1ガラス基板に複数の信号線及び表示用電極が形成される第1基板と、第2ガラス基板に複数の光透過部及び遮光部が形成される第2基板とを含み、輝度欠陥を備える表示装置であって、
前記第1ガラス基板及び前記第2ガラス基板の少なくとも一方の内部に形成される減光部を有し、
前記減光部は前記減光部が形成される前記第1ガラス基板又は前記第2ガラス基板の光の透過率より光の透過率が低い複数の減光領域が配列されて成り、前記減光部は前記輝度欠陥上を覆う領域に渡って形成され、
前記減光部は、前記減光部が形成される前記第1ガラス基板又は前記第2ガラス基板の厚み方向に複数層重なって形成されることを特徴とする表示装置。
1つの前記減光部を形成する夫々の減光領域の中心が、前記1つの前記減光部に隣接する減光部を形成する減光領域の中心から離間することを特徴とする請求項1又は4に記載の表示装置。
前記輝度欠陥に近い位置に形成される減光部を形成する減光領域は、前記輝度欠陥から遠い位置に形成される減光部を形成する減光領域より体積が小さいことを特徴とする請求項1、4、5の何れか1項に記載の表示装置。
前記輝度欠陥に近い減光部に形成される減光領域は、それより遠い減光部に形成される減光領域より低ピーク強度のパルスレーザで形成されることを特徴とする請求項7又は8に記載の輝度欠陥修正方法。
前記輝度欠陥に近い減光部に形成される減光領域は、それより遠い減光部に形成される減光領域より短い波長のパルスレーザで形成されることを特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載の輝度欠陥修正方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
以下の実施形態では、液晶表示装置を例に挙げるが、本発明に係る表示装置は、液晶表示装置に限定されるものではなく、例えば、有機EL表示装置等であってもよい。
【0013】
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置の全体構成を示す平面図である。
液晶表示装置LCDは、画像を表示する表示パネルDPと、表示パネルDPを駆動する駆動回路(データ線駆動回路30、ゲート線駆動回路31)と、駆動回路を制御する制御回路(図示せず)と、表示パネルDPに背面側から光を照射するバックライト(図示せず)とを含んでいる。
【0014】
図2は、表示パネルDPの一部の構成を示す平面図である。
図3は、
図2のA1−A2線で切断した断面図である。なお、
図2及び
図3では、1つの画素Pを示している。
表示パネルDPは、背面側に配置される薄膜トランジスタ基板SUB1(以下、TFT基板SUB1という。)と、表示面側に配置され、TFT基板SUB1に対向するラーフィルタ基板SUB2(以下、CF基板SUB2という。)と、TFT基板SUB1及びCF基板SUB2の間に挟持される液晶層LCと、を含んでいる。TFT基板SUB1は第1基板であり、CF基板SUB2は第2基板である。
【0015】
TFT基板SUB1には、列方向に延在する複数のデータ線DLと、行方向に延在する複数のゲート線GLとが形成され、複数のデータ線DLと複数のゲート線GLとのそれぞれの交差部近傍に薄膜トランジスタTFTが形成されている。また、隣り合う2本のデータ線DLと隣り合う2本のゲート線GLとにより囲まれる矩形領域が、1つの画素Pとして規定される。画素Pは、TFT基板SUB1において、マトリクス状に複数配置されている。
【0016】
画素Pには、スズ添加酸化インジウム(ITO)等の透光性導電膜からなる画素電極PIT(表示用電極)が形成されている。
図2に示すように、画素電極PITは、開口部32(例えばスリット)を有し、ストライプ状に形成されている。薄膜トランジスタTFTは、ゲート絶縁膜GSN(
図3参照)上に、非晶質シリコン(aSi)からなる半導体層SEMが形成され、半導体層SEM上にドレイン電極DM及びソース電極SMが形成されている(
図2参照)。ドレイン電極DMは、データ線DLに電気的に接続されている。ソース電極SMと画素電極PITとは、コンタクトホールCONTを介して互いに電気的に接続されている。
【0017】
画素Pを構成する各部の積層構造は、
図3の構成に限定されるものではなく、周知の構成を適用することができる。例えば
図3に示す構成では、TFT基板SUB1において、ガラス基板GB1上にゲート線GL(
図2参照)が形成され、ゲート線GLを覆うようにゲート絶縁膜GSNが形成されている。また、ゲート絶縁膜GSN上にデータ線DLが形成され、データ線DLを覆うように絶縁膜PASが形成されている。また、絶縁膜PAS上に共通電極CIT(表示用電極)が形成され、共通電極CITを覆うように上層絶縁膜UPASが形成されている。さらに、上層絶縁膜UPAS上に画素電極PITが形成され、画素電極PITを覆うように配向膜AFが形成されている。ガラス基板GB1の背面側には、偏光板POL1(第1偏光板)が形成されている。
【0018】
また、CF基板SUB2において、ガラス基板GB2上にブラックマトリクスBM(遮光部)及びカラーフィルタCF(例えば、赤色部、緑色部、青色部)(光透過部)が形成され、これらを覆うようにオーバコート層OCが形成されている。ガラス基板GB2の表示面側には、偏光板POL2(第2偏光板)が形成されている。
【0019】
図3に示す構成によれば、液晶表示装置LCDは、いわゆるIPS(In Plane Switching)方式の構成を有しているが、本実施形態に係る液晶表示装置はこれに限定されない。
【0020】
次に、液晶表示装置LCDの駆動方法を簡単に説明する。ゲート線駆動回路から出力された走査用のゲート電圧がゲート線GLに供給され、データ線駆動回路から出力された映像用のデータ電圧がデータ線DLに供給される。ゲート線GLにゲートオン電圧が供給されると、薄膜トランジスタTFTの半導体層SEMが低抵抗となり、データ線DLに供給されたデータ電圧が、ソース電極SMを介して画素電極PITに供給される。また、共通電極駆動回路(図示せず)から出力された共通電圧が、共通電極CITに供給される。これにより、画素電極PITと共通電極CITとの間に電界(駆動用電界)が発生し、該電界により液晶層LCが駆動され、画像が表示される。
【0021】
ここで、液晶表示装置LCDは、その製造工程において、画素の表示輝度が所望の輝度よりも高くなる輝点欠陥(画素欠陥)が生じる場合がある。
図4には、画素Pが輝点欠陥となる場合の一例を示している。
図4では、液晶表示装置LCDの製造工程において、TFT基板SUB1とCF基板SUB2との間に有機物や金属等の異物が混入した場合を例示している。
図4に示す画素Pでは、異物(混入物)33によって液晶の配向が乱されることにより、バックライト光34の光漏れが生じて輝点欠陥となる。
【0022】
本実施の形態に係る液晶表示装置LCDでは、上記輝点欠陥を抑えるための構成を有している。具体的には、
図5に示すように、CF基板SUB2のガラス基板GB2の内部に、バックライト光34が透過する透過量を、周囲のガラス基板GB2をバックライト光34が透過する透過量より減少させる減光領域20を複数平面的に配列させた減光部10を形成する。減光領域20は、減光領域20が形成されたガラス基板GB2の光の透過率より光の透過率を減少させた領域であり、複数の減光領域20が集まって減光部10を形成する。減光領域20はガラス基板GB2が着色されたり相変換されることにより、周囲のガラス基板より光の透過率が低減されることにより形成される。
【0023】
図6は、本実施の形態に係る液晶表示装置LCDにおいて、上記輝点欠陥を抑えるための他の構成を示す。
図7は、本実施の形態に係る液晶表示装置において、減光領域が重なりを持って配列した場合の拡大模式図を示す。
【0024】
減光部10において、平面的に配列された減光部10より小さな複数の減光領域20は、隣接する減光領域20と互いに重なりあってもよい。一般的に減光領域20は中心部より外周部における減光性能が低いため、減光領域20を互いに間隔をあけたり隣接するように配列した場合、減光部10の領域内に減光特性のバラツキが生じる。
図7に示すように、隣接する減光領域20を互いに重なり合わせ、減光特性の低い減光領域20の外周部を重畳することで、減光部10の減光特性を均一にすることが可能となる。
【0025】
図8は、輝度欠陥部上に形成された減光部を液晶表示面側から見た上視模式図である。
減光部10は、異物33の輝度欠陥上を覆うように、異物33の輝度欠陥形状に沿った形状であっても良いし、輝度欠陥形状を拡大した形状であってもよい。つまり、減光部10は、平面視で異物33の輝度欠陥形状と同じ形状,大きさとし、輝度欠陥形状に一致して覆うように配置しても良く、あるいは平面視で異物33の輝度欠陥形を相対的に拡大した形状とし、輝度欠陥形状をはみ出して覆うように配置しても良い。さらに、減光部10は、平面視で輝度欠陥形状を覆うように配置できれば、輝度欠陥形状と同じ形状とする必要はない。ここで、平面視での異物33の輝度欠陥形状と同じ形状とは、異物33をガラス基板GB2の表面と直行する方向にガラス基板GB2表面に投影した時の異物33の輝度欠陥形状を言う。減光部10は、常に光を遮蔽し、表示装置として光を透過させたい場合においても、光を遮蔽してしまう。
図8に示すように、輝度欠陥の形状に合わせて、必要十分な領域にのみ減光部10を形成することで、減光部10以外の領域は有効に機能し、輝度欠陥が存在する画素全体が無効になることを防ぐことが可能となる。また、必要十分な領域にのみ減光部10を形成するため、減光部10を形成する生産性を向上することができる。逆に、異物33の輝度欠陥形状より大きくすることにより、より確実に輝度欠陥部を抑制することができる。また、減光部10を輝度欠陥形状より相対的に大きくする場合、表示パネルDPを斜め方向から見たときに、光の漏れを防ぐことができる大きさとなる拡大倍率であればよい。そのため、輝度欠陥の状況に応じて減光部10の形状および大きさを決定することがより好ましい。
【0026】
図9は、本実施の形態に係る液晶表示装置LCDにおいて、上記輝度欠陥を抑えるための他の構成を示し、減光部の構成を示す拡大模式図である。減光部を重ねて複数層形成してもよく、減光部を複数層形成することで、減光する程度を、減光部の層数により制御することが可能となる。混入する異物の大きさや形状によって、輝度欠陥の状態が変化するため、必要とする減光部の減光特性が変わる。輝度欠陥の程度に合わせて、必要十分な減光部の層数とすることで、減光部を形成する生産性を向上することができる。
【0027】
図10は、本実施の形態に係る液晶表示装置LCDにおいて、上記輝度欠陥を抑えるための他の構成を示し、輝度欠陥部を液晶表示面側から見た上視模式図である。減光部10を複数層形成する場合において、減光部10は輝度欠陥形状を平面視で相対的に拡大した形状であり、輝点欠陥に近い層の減光部11の拡大倍率は、輝度欠陥から遠い層の減光部12の拡大倍率より小さくてもよい。
図10では平面形状の大きさを異ならせた減光部10,減光部11を重ねている。輝度欠陥からの漏れ光は、輝度欠陥から放射状に広がるため、輝度欠陥から遠い位置に形成される減光部10の拡大倍率が大きくすることで、より効果的に漏れ好を減光することが可能となる。
【0028】
図11は、本実施の形態に係る液晶表示装置LCDにおいて、上記輝度欠陥を抑えるための他の構成を示し、減光部の構成を示す拡大模式図である。減光部10を複数層形成する場合において、減光部10を形成する減光領域20の減光部10が形成されたガラス基板に直交する中心35が、隣接する層の減光部11を形成する減光領域20のガラス基板に直交する中心36と重ならなくてもよい。減光領域20の中心部と外周部で減光量がことなるため、隣接する層の減光部10を形成する減光領域20の中心35をずらすことで、表示装置の厚み方向において、減光領域20の中心部と外周部が交互に配列し、複数重ねられた減光部10全体として均一な減光特性を実現することができる。減光部11を形成する2つの減光領域20の中心36の中間に、減光部10を形成する減光領域20の中心35が位置するように形成することにより、最も均一な減光特性を実現することができる。なお、3以上の減光部が形成される場合、隣り合う減光部を形成する夫々の減光領域の中心を互いに離間させても良い。
【0029】
図12は、本実施の形態に係る液晶表示装置LCDにおいて、上記輝度欠陥を抑えるための他の構成を示し、減光部の構成を示す拡大模式図である。減光部を複数層形成する場合において、輝度欠陥に近い層の減光部11を形成する減光領域13の体積より、輝度欠陥から離れた層の減光部12を形成する減光領域14の体積が大きくてもよい。減光領域の大きさは、照射する高エネルギービーム強度や密度に影響を受け、高強度の高エネルギービームを照射すると形成される減光領域は大きくなる。一方で、減光領域を形成する際に、一部の高エネルギービームは、下面の液晶層へ到達する。高エネルギービームが液晶層に到達すると、液晶層がダメージを受ける。そのため、輝度欠陥に近い位置の減光部11を形成する減光領域13を低強度の高エネルギービームで形成することで液晶層へのダメージを低減する事ができて良い。
【0030】
さらに、輝度欠陥に近い位置に減光部11が形成されており、より輝度欠陥に遠い位置に減光部12を形成する場合において、減光領域14を形成する際に漏れる高エネルギービームの一部は、すでに形成されている輝度欠陥に近い位置に形成された減光部11により吸収されるため、高強度の高エネルギービームを照射しても、液晶へのダメージの可能性が低減でき、減光部12を形成する生産性を向上することができる。なお、上述において様々な実施の形態を示したが、生産性など幾つかの観点から、
図6に相当する形態、
図9に相当する形態、
図12に相当する形態の順で好適である。
【0031】
減光部10,11,12は、TFT基板SUB1のガラス基板GB1に形成されていてもよい。また、減光部10,11,12は、ガラス基板GB1及びガラス基板GB2の両方に形成されていてもよい。すなわち、減光部10,11,12は、TFT基板SUB1のガラス基板GB1及びCF基板SUB2のガラス基板GB2の少なくとも何れか一方に形成されていればよい。また、ガラス基板GB1に形成される減光部のガラス基板GB1内部の位置と、ガラス基板GB2に形成される減光部のガラス基板GB2内部の位置とは、同じであってもよいし異なっていてもよい。例えば、ガラス基板GB1に形成される減光部は、ガラス基板GB1内部のバックライト側に形成され、ガラス基板GB2に形成される減光部は、ガラス基板GB2内部の液晶層LC側に形成されていてもよい。
【0032】
上記構成によれば、輝度欠陥となる画素の輝度を低くすることができるため、輝度欠陥(光漏れ)を目立たなくすることができる。これにより、輝点欠陥に起因した表示品位の低下を抑えることができるとともに、液晶表示装置LCDの製造歩留まりを高めることができる。なお、上記説明では、輝度が明るくなる輝度欠陥に減光部を設ける場合を例に説明したが、輝度が暗くなる輝度欠陥に減光部を設けてバックライト光が透過する量を調整し、輝度欠陥を抑制しても良い。
【0033】
次に、液晶表示装置LCDの製造方法について説明する。液晶表示装置LCDの製造方法は、TFT基板SUB1の製造工程と、CF基板SUB2の製造工程と、TFT基板SUB1及びCF基板SUB2の貼り合せ工程と、液晶注入工程と、表示パネルDPの点灯検査工程と、輝度欠陥修正工程とを含んでいる。
【0034】
上記各工程のうち、TFT基板SUB1の製造工程、CF基板SUB2の製造工程、TFT基板SUB1及びCF基板SUB2の貼り合せ工程、液晶注入工程、及び点灯検査工程は、周知の方法を適用することができる。
【0035】
例えば、TFT基板SUB1の製造工程は、ガラス基板GB1上に、ゲート線GL、データ線DL、画素電極PIT、共通電極CIT、各種絶縁膜、及び偏光板POL1を形成する工程を含む。TFT基板SUB1で規定される画素Pは、赤色に対応する赤色画素、緑色に対応する緑色画素、及び青色に対応する青色画素を含んでもよい。また、CF基板SUB2の製造工程は、ガラス基板GB2上に、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタCF、及び偏光板POL2を形成する工程を含む。
【0036】
以下では、点灯検査工程及び輝度欠陥修正工程について説明する。
先ず、点灯検査工程では、検査装置(図示せず)により、輝度欠陥を検出する。例えば、検査装置は、表示パネルDPを全点灯又は1ラインごとに点灯させて各画素の輝度を測定する。そして、検査装置は、所定の輝度範囲から外れる画素、例えば、あらかじめ定めた閾値を超える輝度が測定された画素を輝度欠陥(画素欠陥)として検出する。検査装置は、輝度欠陥として検出した画素の位置情報を、後述の輝度欠陥修正装置100に出力する。輝度欠陥の検出は、作業者による目視で行ってもよい。輝度欠陥が検出されると、輝度欠陥修正工程に移行する。
図13は、輝度欠陥の修正方法のフロー図を示す。
図15には、輝度欠陥修正装置100の概略構成を示している。輝度欠陥修正装置100は、高エネルギービーム発振機構101と、スリット102と、集光レンズ103とを含んでいる。本実施の形態では、高エネルギービーム発振機構101として、1552nmのレーザ波長、パルス幅800fsのレーザを用いた場合を例に説明する。
【0037】
表示装置を点灯して(ステップ1)輝度欠陥を検出した後(ステップ2)、輝度欠陥修正工程では、先ず、輝度欠陥修正装置100が、検査装置から輝度欠陥の画素の位置情報及び形状情報を取得する(ステップ3)。次に、取得した形状情報より、演算機構(図示せず)において、高エネルギービームを照射して形成する減光部10の形状を演算する(ステップ4)。次に取得した位置情報に基づいて、輝度欠陥修正装置100の光学系を位置合わせする。次に、輝度欠陥修正装置100は、高エネルギービームの焦点Fが、ガラス基板GB2内部の所望の位置に合うように調整する。焦点Fの位置は、例えば、輝度欠陥の原因となる異物の大きさや、測定された輝度値に基づいて調整される。例えば、
図15に示すように、ガラス基板GB2内部において、異物の近傍側に高エネルギービームの焦点Fが合うように調整する。次に、輝度欠陥修正装置100は、高エネルギービーム発振器101から高エネルギービームを出射させる。これにより、高エネルギービーム発振器101から出射された高エネルギービームは、高エネルギービームを減光領域の形成領域まで空間的に伝送するスリット102を通り、集光レンズ103により、ガラス基板GB2内部の焦点Fに集光されて照射して減光領域が形成される(ステップ5)。次に、高エネルギービームの照射位置を移動させつつ、高エネルギービームを連続的に照射することにより、複数の減光領域が形成して減光部を形成する。
【0038】
これにより、輝度欠陥の形状や大きさに合わせて、減光部を形成するため、必要十分な領域のみ修正を行い、修正後に再び検査・修正を繰り返すことで、修正不足をなくすことができる。その結果、より表示品質の低下を抑えることができる。
【0039】
なお、減光部を複数層形成する場合において、輝度欠陥に近い減光部は、それより遠い減光部より低パワーのパルスレーザで形成されることが好ましい。なお、パルスレーザを低パワー化する際には、ピーク強度を低くしたり波長を短くしたりすることができる。これにより、液晶層への影響を低減することができる。
【0040】
図14は、輝度欠陥の他の修正方法のフロー図を示す。
先ず、表示装置を点灯して(ステップ1)輝度欠陥を検出した後(ステップ2)、輝度欠陥修正装置100が、検査装置から輝度欠陥の画素の位置情報及び形状情報を取得する(ステップ3)。次に、取得した形状情報より、演算機構(図示せず)において、高エネルギービームを照射して形成する減光部の形状を演算する(ステップ4)。
【0041】
次に取得した位置情報に基づいて、輝度欠陥修正装置100の光学系を位置合わせする。次に、輝度欠陥修正装置100は、高エネルギービームの焦点Fが、ガラス基板GB2内部の所望の位置に合うように調整する。焦点Fの位置は、例えば、輝度欠陥の原因となる異物の大きさや、測定された輝度値に基づいて調整される。例えば、
図15に示すように、ガラス基板GB2内部において、異物の近傍側に高エネルギービームの焦点Fが合うように調整する。次に、輝度欠陥修正装置100は、高エネルギービーム発振器101から高エネルギービームを出射させる。これにより、高エネルギービーム発振器101から出射された高エネルギービームは、スリット102を通り、集光レンズ103により、ガラス基板GB2内部の焦点Fに集光されて照射して減光領域が形成される(ステップ5)。
【0042】
次に、高エネルギービームの照射位置を移動させつつ、高エネルギービームを連続的に照射することにより、複数の減光領域を形成して減光部を形成する。
減光部10を形成した後に、再度点灯検査を行い、輝度欠陥が消失していることを確認する(ステップ6)。2回目以降の点灯検査工程においても、輝度欠陥が検出された場合には、再度輝度欠陥修正を行う。そして、輝度欠陥が検出されなくなるまでステップ1〜ステップ5を繰り返す。2回目以降の輝度欠陥修正において、1回目に形成した減光部10と形状や大きさが違っていてもよい。
【0043】
図16は輝度欠陥修正装置100の他の概略構成を示している。輝度欠陥修正装置100は、高エネルギービーム発振機構101と、スリット102と、ビームセパレータ104と、集光レンズ103とを含んでいる。
【0044】
図16に示すように、輝度欠陥修正装置100は、高エネルギービーム発振器101から高エネルギービームを出射させる。これにより、高エネルギービーム発振器101から出射された高エネルギービームは、スリット102を通り、ビームセパレータ104により複数のビームに分岐又は分割する。複数のビームに分岐させた高エネルギービームは集光レンズ103により、ガラス基板GB2内部の焦点Fに重畳して集光されて照射される。次に、高エネルギービームの照射位置を移動させつつ、高エネルギービームを連続的に照射することにより、減光部を形成する。
【0045】
これにより、減光部の形成に寄与せず透過した高エネルギービームは大きく拡散する。ビームを拡散させることで、液晶に到達した際の高エネルギービームのエネルギー密度を低くすることで、液晶へのダメージを低減できる。
図16では一つの集光レンズ103を用いているが、減光部を形成する所定の位置に焦点を重畳させることができれば、複数の集光レンズを用いてもよい。複数の集光レンズを用いることで、それぞれの高エネルギービームの集光性が高くなりよく、減光部を透過した高エネルギービームの拡散性も高くなり、液晶へのダメージを低減できるためよい。ビームセパレータ104は、ビームスプリッターや回折光学素子などを用いればよい。
【0046】
なお、上述したように、減光部10はガラス基板GB1に形成されてもよいし、ガラス基板GB1及びガラス基板GB2の両方に形成されてもよい。ガラス基板GB2に減光部を形成する場合は、背面側からガラス基板GB2に高エネルギービームを照射すればよい。
【0047】
なお、
図15,
図16に示す輝度欠陥修正装置は、図示していないが、輝度欠陥を検出する検出機構と、高エネルギービームの照射領域と表示装置とを相対移動させる駆動装置とを備え、高エネルギービームを照射して形成する減光部の位置、大きさ、形状の演算及び輝度欠陥の位置、大きさ、形状の演算には演算機構を用いる。また、高エネルギービーム発振機構は、1ps以下のパルスレーザ光を発生可能であることが好ましい。また、高エネルギービーム発振機構は複数の波長の高エネルギービームを発振することが可能で、減光領域を形成するために照射する前記高エネルギービームの波長を選択可能であることが好ましい。
【0048】
輝度欠陥修正工程では、ガラス基板に焦点を合わせて高エネルギービームを照射することにより、ガラス材料を着色させているため、ガラス基板自体の形状変化は起こらない。例えば、ガラス基板の内部や表面が破壊されて外形が変化することはない。そのため、例えばTFT基板SUB1及びCF基板SUB2に偏光板POL1、POL2を形成した状態で、すなわち、表示パネルDPの完成後に、上記輝度欠陥修正工程を実行することができる。また、減光部は、ガラス基板と同一材料からなるため、屈折率が変化することもない。なお、ガラス材料を着色するに限らず、ガラス材料を相変換させることにより、光の透過率を変化させても良い。
【0049】
輝度欠陥修正工程では、輝度欠陥となる部分に対応する画素の色に応じて、高エネルギービームの強度を調整して照射してもよい。これにより、減光部は、輝度欠陥となる部分に対応する画素の色に応じて光の透過率が異なるように形成される。例えば、緑色画素に対応する輝度欠陥が生じる領域を覆う減光部は、該減光部の光の透過率が、他の色の画素(例えば、赤色画素、青色画素)に対応する輝度欠陥が生じる領域を覆う減光部の光の透過率よりも低くなるように、形成されていてもよい。
【0050】
TFT基板SUB1の製造工程は、ガラス基板GB1に着色用材料をドープするドープ工程を含んでもよい。同様に、CF基板SUB2の製造工程は、ガラス基板GB2に着色用材料をドープするドープ工程を含んでもよい。ドープ工程では、例えば、着色用材料をガラス材料に混入させてもよいし、着色用材料をガラス基板の表面に被覆させてもよい。着色用材料としては、金、銀、銅、アルミニウム、鉛、白金等の微粒子、およびこれら金属の合金の微粒子を用いることができる。着色用材料がドープされたガラス基板に高エネルギービームを照射することにより、減光部は、着色用材料に応じた色に着色されることによって、輝度欠陥となる部分を所望の色に着色して、光漏れを目立たなくすることができる。
【0051】
上記の説明では、TFT基板SUB1とCF基板SUB2との間に異物が混入した場合の輝度欠陥を示したが、輝度欠陥の原因はこれに限定されない。例えば、薄膜トランジスタTFTの不具合による光漏れや、基板間に配置されるスペーサに起因した光漏れ等が起こり得る。本実施形態に係る輝度欠陥修正方法は、これらの輝度欠陥にも適用することができる。
【0052】
また、輝度欠陥が生じ得る異物の混入位置は、TFT基板SUB1とCF基板SUB2との間に限定されない。例えば、ガラス基板GB1と偏光板POL1との間に異物が混入した場合も輝度欠陥が生じ得る。この場合は、減光部が、ガラス基板GB1内部における異物の近傍に形成されていてもよい。また、ガラス基板GB2と偏光板POL2との間に異物が混入した場合も輝度欠陥が生じ得る。この場合は、
図7に示すように、減光部10が、ガラス基板GB2内部における異物の近傍に形成されていてもよい。このように、異物は、表示パネルDPの不特定の位置に混入し得る。そのため、例えば、1枚の表示パネルDPにおいて、輝度欠陥を生じさせる異物が、ガラス基板GB1及び偏光板POL1の間(第1位置)と、ガラス基板GB2及び偏光板POL2の間(第2位置)とに混入した場合、第1の減光部10が、第1位置の異物に対応して、ガラス基板GB1内部における異物の近傍に形成され、第2の減光部10が、第2位置の異物に対応して、ガラス基板GB2内部における異物の近傍に形成されていてもよい。なお、この場合に、輝度欠陥修正工程の作業効率を考慮して、第1の減光部10及び第2の減光部10の両方が、ガラス基板GB2の表示面側に形成されていてもよい。
【0053】
また、減光部は、ガラス基板の内部に限定されず、ガラス基板の表面に形成されていてもよい。例えば、減光部は、ガラス基板GB1の表示面側の表面と、ガラス基板GB2の背面側の表面とに形成されていてもよい。また、減光部は、ガラス基板GB1の背面側の表面と、ガラス基板GB2の表示面側の表面とに形成されていてもよい。
【0054】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で上記各実施形態から当業者が適宜変更した形態も本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。