(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような調湿ユニットを備えた除湿システムでは、蒸発器となっている吸着熱交換器を通過した空気は、比較的に低温低湿となっており、凝縮器となっている吸着熱交換器を通過した空気は、比較的に高温高湿となっている。そして、蒸発器となっている吸着熱交換器を通過した空気は、給気通路(調湿ユニットと室内空間とを接続する空気通路)を通過して室内空間に供給される。
【0005】
しかしながら、調湿ユニットの動作が第1動作から第2動作(または第2動作から第1動作)へと切り換えられた直後では、凝縮器から蒸発器へと切り換えられた吸着熱交換器の余熱により吸着熱交換器の吸着剤に含まれる水分が吸着熱交換器を通過する空気に放出され、その結果、吸着熱交換器から給気通路に高温高湿の空気が供給されることになる。そのため、給気通路を通過して室内空間に供給される空気(供給空気)の相対湿度が突発的に高くなってしまう。このように、調湿ユニットの動作切り換えに起因して供給空気(室内空間に供給される空気)の相対湿度が変動してしまうので、室内空間の空気の相対湿度を安定させることが困難であった。
【0006】
そこで、この発明は、調湿ユニットの動作切り換えに起因する供給空気の湿度変動を抑制することが可能な除湿システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、室内空間(S1)に空気を供給するための給気通路(P2)と、吸着剤が担持された第1および第2吸着熱交換器(61,62)を有し、該第1吸着熱交換器(61)が蒸発器となって空気を除湿し該第2吸着熱交換器(62)が凝縮器となって吸着剤を再生させる第1動作と、該第1吸着熱交換器(61)が凝縮器となって吸着剤を再生させ該第2吸着熱交換器(62)が蒸発器となって空気を除湿する第2動作とを交互に行い、該第1および第2吸着熱交換器(61,62)のうち蒸発器となっている吸着熱交換器(61,62)を通過した空気を上記給気通路(P2)に供給する調湿ユニット(20)と、上記給気通路(P2)の中途部に設けられ、吸着剤が担持されて該給気通路(P2)を流れる空気を吸着剤と接触させる吸着部材(21)とを備え、上記給気通路(P2)の中途部には、給気チャンバ(C2)が設けられ、上記給気チャンバ(C2)の流路断面積は、上記給気通路(P2)の流路断面積よりも広くなっており、上記吸着部材(21)は、上記給気チャンバ(C2)内に設けられ
、上記給気チャンバ(C2)内において該給気チャンバ(C2)の空気流れ方向における中央位置よりも下流側に配置されていることを特徴とする除湿システムである。
【0008】
上記第1の発明では、給気通路(P2)の中途部に吸着部材(21)を設けることにより、調湿ユニット(20)から流出して給気通路(P2)を流れる空気の相対湿度の突発的な変動を抑制することができる。具体的には、吸着部材(21)を通過する空気の相対湿度が高くなるほど、吸着部材(21)の吸着剤の吸着量(吸着可能な水分量)が多くなる傾向にある。したがって、吸着部材(21)を通過する空気の相対湿度が突発的に高くなると吸着部材(21)の吸着剤の吸着量が多くなり、その結果、吸着部材(21)を通過する空気に含まれる水分が吸着部材(21)の吸着剤に吸着されて空気(吸着部材(21)を通過する空気)が除湿される。このように、調湿ユニット(20)から流出して給気通路(P2)を流れる空気(供給空気(SA))の相対湿度の突発的な変動を吸着部材(21)において抑制することができる。
【0009】
また、上記第1の発明では、給気チャンバ(C2)の流路断面積が給気通路(P2)の流路断面積よりも広くなっているので、給気チャンバ(C2)を流れる空気の流速を低下させることができる。これにより、吸着部材(21)を通過する空気と吸着部材(21)の吸着剤との接触時間を長くすることができるので、吸着部材(21)において空気の相対湿度の突発的な変動を十分に抑制することができる。また、給気チャンバ(C2)における空気の滞留時間を長くすることができるので、給気チャンバ(C2)において空気を十分に混ぜ合わせることができる。具体的には、凝縮器から蒸発器へと切り換えられた直後の吸着熱交換器(61,62)から供給される高温高湿の空気と、その後にその吸着熱交換器(蒸発器となっている吸着熱交換器(61,62))から供給される低温低湿の空気とを混ぜ合わせることができる
。
【0010】
また、上記第
1の発明では、給気チャンバ(C2)の空気流れ方向における中央位置よりも下流側に吸着部材(21)を配置することにより、給気チャンバ(C2)内において十分に混ぜ合わされて相対湿度が均一化された空気を吸着部材(21)に供給することができる。
【0011】
第
2の発明は、上記第
1の発明において、上記給気通路(P2)に設けられ、上記調湿ユニット(20)から上記室内空間(S1)へ向けて空気を搬送する給気ファン(22)を備え、上記給気ファン(22)は、上記給気通路(P2)において上記給気チャンバ(C2)よりも空気流れ方向の上流側に配置されていることを特徴とする除湿システムである。
【0012】
上記第
2の発明では、給気通路(P2)において給気チャンバ(C2)よりも空気流れ方向の上流側に給気ファン(22)を配置することにより、給気チャンバ(C2)の内圧を陽圧にすることができる。これにより、給気チャンバ(C2)の外部から給気チャンバ(C2)の内部への空気の侵入を抑制することができる。
【0013】
第
3の発明は、上記第
1の発明において、上記給気通路(P2)に設けられ、上記調湿ユニット(20)から上記室内空間(S1)へ向けて空気を搬送する給気ファン(22)を備え、上記給気ファン(22)は、上記給気通路(P2)において上記給気チャンバ(C2)よりも空気流れ方向の下流側に配置されていることを特徴とする除湿システムである。
【0014】
上記第
3の発明では、給気通路(P2)において給気チャンバ(C2)よりも空気流れ方向の下流側に給気ファン(22)を配置することにより、凝縮器から蒸発器へと切り換えられた直後の吸着熱交換器(61,62)から供給される高温高湿の空気が吸着部材(21)を通過する前に給気ファン(22)を通過することを回避することができる。
【0015】
第
4の発明は、上記第1〜第
3の発明のいずれか1つにおいて、上記調湿ユニット(20)には、室外から取り込まれた室外空気(OA)が供給され、上記調湿ユニット(20)は、該調湿ユニット(20)に供給された室外空気(OA)を上記第1および第2吸着熱交換器(61,62)の各々に供給するように構成されていることを特徴とする除湿システムである。
【0016】
上記第
4の発明では、室内空間(S1)から調湿ユニット(20)へ室内空気(RA)を供給することなく調湿ユニット(20)から室内空間(S1)に空気を一方的に供給することができるので、室内空間(S1)の内圧を陽圧にすることができる。これにより、室内空間(S1)の外部から室内空間(S1)の内部への空気の侵入を抑制することができるので、室内空間(S1)への空気侵入に起因する室内空気(RA)の湿度変動を抑制することができる。
【0017】
第
5の発明は、上記第1〜第
4の発明のいずれか1つにおいて、上記調湿ユニット(20)に空気を供給するための吸込通路(P1)と、上記調湿ユニット(20)に空気を供給するための再生通路(P3)と、上記室内空間(S1)に空気を供給するための補助通路(P5)と、上記補助通路(P5)を流れる空気を加熱するための加熱器(30)と、流路切換機構(40)とを備え、上記調湿ユニット(20)は、上記吸込通路(
P1)から該調湿ユニット(20)に供給された空気を上記蒸発器となっている吸着熱交換器(61,62)に供給し、上記再生通路(P3)から該調湿ユニット(20)に供給された空気を上記凝縮器となっている吸着熱交換器(61,62)に供給するように構成され、上記流路切換機構(40)は、上記吸込通路(P1)および上記再生通路(P3)における空気の流通を許容する一方で上記補助通路(P5)における空気の流通を遮断する第1流路状態と、該吸込通路(P1)および該再生通路(P3)における空気の流通を遮断する一方で該補助通路(P5)における空気の流通を許容する第2流路状態とに切り換え可能に構成されていることを特徴とする除湿システムである。
【0018】
上記第
5の発明では、流路切換機構(40)が第1流路状態に設定された場合に、調湿ユニット(20)において除湿された空気が吸着部材(21)を通過して室内空間(S1)に供給される。すなわち、流路切換機構(40)を第1流路状態に設定することにより、調湿ユニット(20)を用いた除湿運転を行うことができる。一方、流路切換機構(40)が第2流路状態に設定された場合に、加熱器(30)において加熱された空気が室内空間(S1)に供給される。これにより、室内空気(RA)の温度を上昇させて室内空気(RA)の相対湿度を低下させることができる。すなわち、流路切換機構(40)を第2流路状態に設定することにより、加熱器(30)を用いた加熱運転を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
第1の発明によれば、調湿ユニット(20)から流出して給気通路(P2)を流れる空気(供給空気(SA))の突発的な変動を吸着部材(21)において抑制することができるので、調湿ユニット(20)の動作切り換えに起因する供給空気(SA)の湿度変動を抑制することができる。
【0020】
また、第1の発明によれば、吸着部材(21)において空気の相対湿度の突発的な変動を十分に抑制することができるとともに、給気チャンバ(C2)において空気を十分に混ぜ合わせることができるので、調湿ユニット(20)の動作切り換えに起因する供給空気(SA)の湿度変動を抑制する効果を向上させることができる。
【0021】
また、第1の発明によれば、給気チャンバ(C2)内において十分に混ぜ合わされて相対湿度が均一化された空気を吸着部材(21)に供給ことができるので、調湿ユニット(20)の動作切り換えに起因する供給空気(SA)の湿度変動を抑制する効果をさらに向上させることができる。
【0022】
第
2の発明によれば、給気チャンバ(C2)の外部から給気チャンバ(C2)の内部への空気の侵入を抑制することができるので、給気チャンバ(C2)への空気侵入に起因する供給空気(SA)の湿度変動を抑制することができる。
【0023】
第
3の発明によれば、凝縮器から蒸発器へと切り換えられた直後の吸着熱交換器(61,62)から供給される高温高湿の空気が吸着部材(21)を通過する前に給気ファン(22)を通過することを回避することができるので、給気ファン(22)への高温高湿の空気の供給に起因する給気ファン(22)の不具合(例えば、給気ファン(22)の露付き)の発生を防止することができる。
【0024】
第
4の発明によれば、室内空間(S1)の外部から室内空間(S1)の内部への空気の侵入を抑制することができるので、室内空間(S1)への空気侵入に起因する室内空気(RA)の湿度変動を抑制することができる。
【0025】
第
5の発明によれば、流路切換機構(40)を第1流路状態に設定することにより、調湿ユニット(20)を用いた除湿運転を行うことができ、流路切換機構(40)を第2流路状態に設定することにより、加熱器(30)を用いた加熱運転を行うことができるので、調湿ユニット(20)を用いた除湿運転と加熱器(30)を用いた加熱運転とを切り換えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
【0028】
(除湿システム)
図1は、実施形態による除湿システム(10)の構成例を示している。この除湿システム(10)は、空気を除湿して室内空間(S1)に供給するものであり、調湿ユニット(20)と吸着部材(21)と給気ファン(22)と給気フィルタ(23)と加熱器(30)と補助ファン(31)と補助フィルタ(32)とコントローラ(70)とを備えている。また、この除湿システム(10)には、外気チャンバ(C1)と吸込通路(P1)と給気通路(P2)と再生通路(P3)と排気通路(P4)と補助通路(P5)とが設けられている。
【0029】
なお、この例では、室内空間(S1)の周囲を囲うように、中間室(S2)が設けられている。また、中間室(S2)の床部には、中間室(S2)に開口する中間吹出口(33)が設けられ、室内空間(S1)の天井部には、室内空間(S1)に開口する複数(この例では4つ)の給気吹出口(24)と、室内空間(S1)と中間室(S2)とを連通させる給気吹出口(34)が設けられている。また、室内空間(S1)の空気(室内空気(RA))は、その一部が室内空間(S1)を構成する建物の隙間などから室外空間へ排出される。例えば、室内空間(S1)は、美術館や寺院などの施設に設けられた展示空間(美術品や文化財などが配置された空間)であり、中間室(S2)は、展示空間の断熱性の確保などを目的として展示空間の周囲に設けられた空気層である。
【0030】
〔外気チャンバ〕
外気チャンバ(C1)は、室外から室外空気(OA)を取り込むためのチャンバである。例えば、外気チャンバ(C1)は、直方体型の箱状に形成されている。
【0031】
〔吸込通路〕
吸込通路(P1)は、調湿ユニット(20)に処理空気(調湿ユニット(20)において処理される空気、この例では、外気チャンバ(C1)に取り込まれた室外空気(OA))を供給するための空気通路である。この例では、吸込通路(P1)は、その流入端が外気チャンバ(C1)に接続され、その流出端が調湿ユニット(20)に接続されている。
【0032】
〔給気通路〕
給気通路(P2)は、調湿ユニット(20)から室内空間(S1)に空気を供給するための空気通路である。この例では、給気通路(P2)は、その流入端が調湿ユニット(20)に接続され、その流出端が室内空間(S1)に開口する給気吹出口(24)に接続されている。
【0033】
なお、この例では、給気通路(P2)は、主通路部(P21)と複数(この例では4つ)の分岐通路部(P22)とを有している。主通路部(P21)は、その流入端が調湿ユニット(20)に接続されている。複数の分岐通路部(P22)は、それらの流入端が主通路部(P21)の流出端に共通に接続され、それらの流出端が複数の給気吹出口(24)にそれぞれ接続されている。
【0034】
また、この例では、給気通路(P2)の中途部(具体的には、主通路部(P21)の中途部)には、給気チャンバ(C2)が設けられている。給気チャンバ(C2)の流路断面積は、給気通路(P2)の流路断面積よりも広くなっている。例えば、給気チャンバ(C2)は、直方体型の箱状(好ましくは、空気流れ方向に延びる直方体型の箱状)に形成されている。
【0035】
〔再生通路〕
再生通路(P3)は、調湿ユニット(20)に再生空気(吸着剤を再生させるための空気、この例では、外気チャンバ(C1)に取り込まれた室外空気(OA))を供給するための空気通路である。この例では、再生通路(P3)は、その流入端が外気チャンバ(C1)に接続され、その流出端が調湿ユニット(20)に接続されている。
【0036】
〔排気通路〕
排気通路(P4)は、調湿ユニット(20)から室外空間に空気を排出するための空気通路である。この例では、排気通路(P4)は、その流入端が調湿ユニット(20)に接続され、その流出端が室外空間に開口している。
【0037】
〔補助通路〕
補助通路(P5)は、給気通路(P2)とは別経路で室内空間(S1)に空気を供給するための空気通路である。この例では、補助通路(P5)は、その流入端が外気チャンバ(C1)に接続され、その流出端が中間室(S2)に開口する中間吹出口(33)に接続されている。
【0038】
〔調湿ユニット〕
調湿ユニット(20)は、吸着剤が担持された第1および第2吸着熱交換器(61,62)を有し、第1吸着熱交換器(61)が蒸発器となって空気を除湿し第2吸着熱交換器(62)が凝縮器となって吸着剤を再生させる第1動作と、第1吸着熱交換器(61)が凝縮器となって吸着剤を再生させ第2吸着熱交換器(62)が蒸発器となって空気を除湿する第2動作とを交互に行うように構成されている。なお、以下の説明では、第1および第2吸着熱交換器(61,62)の総称を「吸着熱交換器(61,62)」と記載する。
【0039】
また、調湿ユニット(20)は、吸込通路(P1)から調湿ユニット(20)に取り込まれた空気(この例では、室外空気(OA))を第1および第2吸着熱交換器(61,62)のうち蒸発器となっている吸着熱交換器(61,62)に供給し、その蒸発器となっている吸着熱交換器(61,62)を通過した空気を給気通路(P2)に供給する一方で、再生通路(P3)から調湿ユニット(20)に取り込まれた空気(この例では、室外空気(OA))を第1および第2吸着熱交換器(61,62)のうち凝縮器となっている吸着熱交換器(61,62)に供給し、その凝縮器となっている吸着熱交換器(61,62)を通過した空気を排気通路(P4)に排出するように構成されている。
【0040】
具体的には、調湿ユニット(20)は、ケーシング(51)と冷媒回路(52)と切換機構(53)とを備えている。
【0041】
〈ケーシング〉
ケーシング(51)は、直方体型の箱状に形成されている。ケーシング(51)には、第1調湿室(S51)と第2調湿室(S52)とが形成されている。第1調湿室(S51)には、第1吸着熱交換器(61)が配置され、第2調湿室(S52)には、第2吸着熱交換器(62)が配置される。
【0042】
〈冷媒回路〉
図2に示すように、冷媒回路(52)は、圧縮機(60)と第1および第2吸着熱交換器(61,62)と膨張弁(63)と四方切換弁(64)とを有し、冷媒を循環させて冷凍サイクル動作を行う。
【0043】
《圧縮機》
圧縮機(60)は、冷媒を圧縮して吐出するものであり、その回転数(運転周波数)を変更可能に構成されている。例えば、圧縮機(60)は、インバータ回路(図示を省略)により回転数を調節可能な可変容量式の圧縮機(ロータリー式,スイング式,スクロール式などの圧縮機)によって構成されている。
【0044】
《吸着熱交換器》
吸着熱交換器(61,62)は、熱交換器(例えば、クロスフィン型のフィンアンドチューブ式の熱交換器)の表面に吸着剤を担持させることによって構成されている。なお、吸着剤は、ゼオライト,シリカゲル,活性炭,親水性の官能基を有する有機高分子材料によって構成されていてもよいし、水分を吸着する機能だけではなく水分を吸収する機能も有する材料(所謂、収着剤)によって構成されていてもよい。
【0045】
《膨張弁》
膨張弁(63)は、冷媒を減圧する膨張機構であり、第1および第2吸着熱交換器(62)の液側端部の間に設けられている。例えば、膨張弁(63)は、その開度を調節可能な電動弁によって構成されている。
【0046】
《四方切換弁》
四方切換弁(64)は、第1〜第4ポートを有し、第1ポートは、圧縮機(60)の吐出管に接続され、第2ポートは、圧縮機(60)の吸入管に接続され、第3ポートは、第2吸着熱交換器(62)のガス側端部に接続され、第4ポートは、第1吸着熱交換器(61)のガス側端部に接続されている。そして、四方切換弁(64)は、第1ポートと第3ポートとが連通するとともに第2ポートと第4ポートとが連通する第1連通状態(
図2の実線で示された状態)と、第1ポートと第4ポートとが連通するとともに第2ポートと第3ポートとが連通する第2連通状態(
図2の破線で示された状態)とに交互に切り換え可能に構成されている。
【0047】
《冷媒回路による動作》
上記のような構成により、冷媒回路(52)は、第1冷凍サイクル動作(第1動作)と第2冷凍サイクル動作(第2動作)とを交互に行うことができるように構成されている。
【0048】
−第1冷凍サイクル動作(第1動作)−
第1冷凍サイクル動作では、四方切換弁(64)が第1連通状態(
図2の実線で示された状態)に設定され、圧縮機(60)が駆動状態に設定され、膨張弁(63)の開度が所定の開度に調節される。これにより、冷媒回路(52)では、第1吸着熱交換器(61)が蒸発器となり、第2吸着熱交換器(62)が凝縮器となる。具体的には、圧縮機(60)から吐出された冷媒は、四方切換弁(64)を通過した後に、第2吸着熱交換器(62)において放熱して凝縮する。これにより、第2吸着熱交換器(62)では、冷媒の放熱により吸着剤が加熱され、吸着剤の水分が空気中に放出されて吸着剤が再生される。第2吸着熱交換器(62)を通過した冷媒は、膨張弁(63)において減圧された後に、第1吸着熱交換器(61)において吸熱して蒸発する。これにより、第1吸着熱交換器(61)では、冷媒の吸熱により吸着剤が冷却され、空気中の水分が吸着剤に吸着されて空気が除湿され、その吸着により生じる吸着熱が冷媒に吸収される。第1吸着熱交換器(61)を通過した冷媒は、四方切換弁(64)を通過した後に、圧縮機(60)に吸入されて圧縮される。
【0049】
−第2冷凍サイクル動作(第2動作)−
第2冷凍サイクル動作では、四方切換弁(64)が第2連通状態(
図2の破線で示された状態)に設定され、圧縮機(60)が駆動され、膨張弁(63)の開度が所定の開度に調節される。これにより、冷媒回路(52)では、第1吸着熱交換器(61)が凝縮器となり、第2吸着熱交換器(62)が蒸発器となる。具体的には、圧縮機(60)から吐出された冷媒は、四方切換弁(64)を通過した後に、第1吸着熱交換器(61)において放熱して凝縮する。これにより、第1吸着熱交換器(61)では、冷媒の放熱により吸着剤が加熱され、吸着剤の水分が空気中に放出されて吸着剤が再生される。第1吸着熱交換器(61)を通過した冷媒は、膨張弁(63)において減圧された後、第2吸着熱交換器(62)において吸熱して蒸発する。これにより、第2吸着熱交換器(62)では、冷媒の吸熱により吸着剤が冷却され、空気中の水分が吸着剤に吸着されて空気が除湿され、その吸着により生じる吸着熱が冷媒に吸収される。第2吸着熱交換器(62)を通過した冷媒は、四方切換弁(64)を通過した後に、圧縮機(60)に吸入されて圧縮される。
【0050】
このように、蒸発器となっている吸着熱交換器(61,62)を通過する空気は、吸着熱交換器(61,62)の吸着剤に水分を奪われて相対湿度が低下するとともに、吸着熱交換器(61,62)を流通する冷媒の吸熱作用により冷却されて温度も低下する。また、凝縮器となっている吸着熱交換器(61,62)を通過する空気は、吸着熱交換器(61,62)の吸着剤から水分を付与されて相対湿度が上昇するとともに、吸着熱交換器(61,62)を流通する冷媒の放熱作用により加熱されて温度も上昇する。
【0051】
〈切換機構〉
切換機構(53)は、吸込通路(P1)から調湿ユニット(20)に取り込まれた空気(この例では、室外空気(OA))が蒸発器となっている吸着熱交換器(61,62)を通過して給気通路(P2)に供給される一方で、再生通路(P3)から調湿ユニット(20)に取り込まれた空気(この例では、室外空気(OA))が凝縮器となっている吸着熱交換器(61,62)を通過して排気通路(P4)に排出されるように、調湿ユニット(20)における空気の流れを切り換えることができるように構成されている。
【0052】
具体的には、切換機構(53)は、吸込通路(P1)と第1調湿室(S51)と給気通路(P2)とが連通する一方で再生通路(P3)と第2調湿室(S52)と排気通路(P4)とが連通する第1流通状態(
図1の実線で示した状態)と、吸込通路(P1)と第2調湿室(S52)と給気通路(P2)とが連通する一方で再生通路(P3)と第1調湿室(S51)と排気通路(P4)とが連通する第2流通状態(
図1の破線で示した状態)とに切り換え可能に構成されている。
【0053】
図2に示すように、切換機構(53)は、第1〜第8ダンパ(D1〜D8)を有している。第1ダンパ(D1)は、吸込通路(P1)と第1調湿室(S51)とを連通させる連通路を開閉し、第2ダンパ(D2)は、再生通路(P3)と第1調湿室(S51)とを連通させる連通路を開閉する。第3ダンパ(D3)は、再生通路(P3)と第2調湿室(S52)とを連通させる連通路を開閉し、第4ダンパ(D4)は、吸込通路(P1)と第2調湿室(S52)とを連通させる連通路を開閉する。第5ダンパ(D5)は、第1調湿室(S51)と給気通路(P2)とを連通させる連通路を開閉し、第6ダンパ(D6)は、第1調湿室(S51)と排気通路(P4)とを連通させる連通路を開閉する。第7ダンパ(D7)は、第2調湿室(S52)と排気通路(P4)とを連通させる連通路を開閉し、第8ダンパ(D8)は、第2調湿室(S52)と給気通路(P2)とを連通させる連通路を開閉する。
【0054】
第1,第3,第5,第7ダンパ(D1,D3,D5,D7)が開状態に設定され、第2,第4,第6,第8ダンパ(D2,D4,D6,D8)が閉状態に設定されると、吸込通路(P1)と第1調湿室(S51)と給気通路(P2)とが連通し、再生通路(P3)と第2調湿室(S52)と排気通路(P4)とが連通する。これにより、調湿ユニット(20)における空気の流れは、
図2の実線の矢印で示された流れ状態(すなわち、
図1の実線で示した第1流通状態)となる。
【0055】
一方、第2,第4,第6,第8ダンパ(D2,D4,D6,D8)が開状態に設定され、第1,第3,第5,第7ダンパ(D1,D3,D5,D7)が閉状態に設定されると、吸込通路(P1)と第2調湿室(S52)と給気通路(P2)とが連通し、再生通路(P3)と第1調湿室(S51)と排気通路(P4)とが連通する。これにより、調湿ユニット(20)における空気の流れは、
図2の破線の矢印で示された流れ状態(すなわち、
図1の破線で示した第2流通状態)となる。
【0056】
〈調湿ユニットによる動作〉
以上のような構成により、調湿ユニット(20)は、下記の第1除湿動作と第2除湿動作とを所定の時間毎に交互に繰り返し行うことが可能である。例えば、調湿ユニット(20)では、第1除湿動作が5分間行われた後に、第2除湿動作が5分間行われる。
【0057】
《第1除湿動作》
第1除湿動作では、四方切換弁(64)が第1連通状態(
図2の実線で示した状態)に設定されて冷媒回路(52)が第1冷凍サイクル動作を行い、切換機構(53)が調湿ユニット(20)における空気の流れを第1流通状態(
図2の実線の矢印で示した流れ状態)に設定する。これにより、吸込通路(P1)を流れる空気は、第1調湿室(S51)に流入し、第1調湿室(S51)において蒸発器となっている第1吸着熱交換器(61)を通過して除湿および冷却され、その後、第1調湿室(S51)から給気通路(P2)に供給される。一方、再生通路(P3)を流れる空気は、第2調湿室(S52)に流入し、第2調湿室(S52)において凝縮器となっている第2吸着熱交換器(62)を通過して加湿および加熱されるとともに第2吸着熱交換器(62)の吸着剤を再生させ、その後、第2調湿室(S52)から排気通路(P4)に排出される。
【0058】
《第2除湿動作》
第2除湿動作では、四方切換弁(64)が第2連通状態(
図2の破線で示した状態)に設定されて冷媒回路(52)が第2冷凍サイクル動作を行い、切換機構(53)が調湿ユニット(20)における空気の流れを第2流通状態(
図2の破線の矢印で示した流れ状態)に設定する。これにより、吸込通路(P1)を流れる空気は、第2調湿室(S52)に流入し、第2調湿室(S52)において蒸発器となっている第2吸着熱交換器(62)を通過して除湿および冷却され、その後、第2調湿室(S52)から給気通路(P2)に供給される。一方、再生通路(P3)を流れる空気は、第1調湿室(S51)に流入し、第1調湿室(S51)において凝縮器となっている第1吸着熱交換器(61)を通過して加湿および加熱されるとともに第1吸着熱交換器(61)の吸着剤を再生させ、その後、第1調湿室(S51)から排気通路(P4)に排出される。
【0059】
〔吸着部材〕
吸着部材(21)は、給気通路(P2)の中途部に設けられている。この例では、吸着部材(21)は、給気通路(P2)の中途部に設けられた給気チャンバ(C2)に設けられ、給気チャンバ(C2)内において給気チャンバ(C2)の空気流れ方向における中央位置よりも下流側に配置されている。なお、この例では、吸着部材(21)は、給気通路(P2)のうち分岐通路部(P22)よりも上流側に位置する主通路部(P21)に配置されている。
【0060】
また、吸着部材(21)には、吸着剤が担持されている。そして、吸着部材(21)は、給気通路(P2)を流れる空気と吸着剤とを接触させるように構成されている。例えば、吸着部材(21)は、直方体状に形成され、互いに対向する二つの主面(幅広の側面)が空気を通過させる面となっている。具体的には、吸着部材(21)は、その二つの主面の一方から他方まで貫通する多数の貫通孔が形成された構造(具体例としては、ハニカム構造)を有している。
【0061】
〔給気ファン〕
給気ファン(22)は、給気通路(P2)に設けられ、給気通路(P2)の流入端(すなわち、調湿ユニット(20))から給気通路(P2)の流出端(すなわち、室内空間(S1))へ向けて空気を搬送するように構成されている。この例では、給気ファン(22)は、給気通路(P2)において吸着部材(21)よりも空気流れ方向の上流側に配置されている。具体的には、給気ファン(22)は、給気通路(P2)において調湿ユニット(20)と給気チャンバ(C2)との間に配置されている。
【0062】
〔給気フィルタ〕
給気フィルタ(23)は、給気通路(P2)に設けられ、給気通路(P2)を流れる空気中に含まれる粉塵やカビ胞子などを捕捉するように構成されている。この例では、給気フィルタ(23)は、給気通路(P2)において吸着部材(21)よりも空気流れ方向の下流側に配置されている。具体的には、給気フィルタ(23)は、給気通路(P2)において給気チャンバ(C2)と室内空間(S1)に開口する給気吹出口(24)との間に配置されている。なお、この例では、給気フィルタ(23)は、給気通路(P2)のうち分岐通路部(P22)よりも上流側に位置する主通路部(P21)に配置されている。
【0063】
〔加熱器〕
加熱器(30)は、補助通路(P5)に設けられ、補助通路(P5)を流れる空気を加熱するように構成されている。例えば、加熱器(30)は、冷媒回路(図示を省略)において凝縮器として機能する熱交換器によって構成されている。
【0064】
〔補助ファン〕
補助ファン(31)は、補助通路(P5)に設けられ、補助通路(P5)の流入端(この例では、外気チャンバ(C1))から補助通路(P5)の流出端(この例では、中間室(S2))へ向けて空気を搬送するように構成されている。この例では、補助ファン(31)は、補助通路(P5)において加熱器(30)よりも空気流れ方向の下流側に配置されている。具体的には、補助ファン(31)は、補助通路(P5)において加熱器(30)と中間室(S2)に開口する中間吹出口(33)との間に配置されている。
【0065】
〔補助フィルタ〕
補助フィルタ(32)は、補助通路(P5)に設けられ、補助通路(P5)を流れる空気中に含まれる粉塵やカビ胞子などを捕捉するように構成されている。この例では、補助フィルタ(32)は、補助通路(P5)において吸着部材(21)よりも空気流れ方向の下流側に配置されている。具体的には、給気フィルタ(23)は、給気通路(P2)において給気チャンバ(C2)と室内空間(S1)に開口する給気吹出口(24)との間に配置されている。
【0066】
〔流路切換機構〕
流路切換機構(40)は、吸込通路(P1)と再生通路(P3)と補助通路(P5)の各々における空気の流通を許容または遮断するように構成されている。この例では、流路切換機構(40)は、吸込ダンパ(41)と再生ダンパ(42)と補助ダンパ(43)とを有している。吸込ダンパ(41)は、吸込通路(P1)に設けられ、吸込通路(P1)を開閉可能に構成されている。再生ダンパ(42)は、再生通路(P3)に設けられ、再生通路(P3)を開閉可能に構成されている。補助ダンパ(43)は、補助通路(P5)に設けられ、補助通路(P5)を開閉可能に構成されている。この例では、補助ダンパ(43)は、補助通路(P5)において補助フィルタ(32)よりも空気流れ方向の上流側に配置されている。
【0067】
上記のような構成により、流路切換機構(40)は、吸込通路(P1)および再生通路(P3)における空気の流通を許容する一方で補助通路(P5)における空気の流通を遮断する第1流路状態と、吸込通路(P1)および再生通路(P3)における空気の流通を遮断する一方で補助通路(P5)における空気の流通を許容する第2流路状態とに切り換え可能に構成されている。具体的には、第1流路状態では、吸込ダンパ(41)と再生ダンパ(42)が開状態に設定される一方で補助ダンパ(43)が閉状態に設定され、第2流路状態では、吸込ダンパ(41)と再生ダンパ(42)が閉状態に設定される一方で補助ダンパ(43)が開状態に設定される。
【0068】
〔各種センサ〕
また、除湿システム(10)には、外気温度センサ(71)や外気湿度センサ(72)や室内温度センサ(73)や室内湿度センサ(74)などの各種センサが設けられている。
【0069】
外気温度センサ(71)および外気湿度センサ(72)は、室外空気(OA)の温度および相対湿度をそれぞれ検出するように構成されている。この例では、外気温度センサ(71)および外気湿度センサ(72)は、外気チャンバ(C1)内に設置され、設置場所における空気の温度および相対湿度を室外空気(OA)の温度および相対湿度としてそれぞれ検出する。
【0070】
室内温度センサ(73)および室内湿度センサ(74)は、室内空気(RA)の温度および相対湿度をそれぞれ検出するように構成されている。この例では、室内温度センサ(73)および室内湿度センサ(74)は、室内空間(S1)に設置され、設置場所における空気の温度および相対湿度を室内空気(RA)の温度および相対湿度としてそれぞれ検出する。
【0071】
〔コントローラ〕
コントローラ(70)は、除湿システム(10)に設けられた各種センサの検出値に基づいて、除湿システム(10)の運転動作を制御するように構成されている。この除湿システムでは、除湿運転と加熱運転とが行われる。
【0072】
〔除湿運転〕
次に、
図3を参照して、除湿システム(10)の除湿運転について説明する。この除湿運転は、室外空気(OA)の温度および相対湿度が比較的に高くなっている時期(例えば、高温高湿の夏期)に行われることが好ましい。除湿運転では、吸込ダンパ(41)と再生ダンパ(42)が開状態に設定され、補助ダンパ(43)が閉状態に設定される。また、調湿ユニット(20)と給気ファン(22)が駆動状態に設定され、加熱器(30)と補助ファン(31)が停止状態に設定される。
【0073】
除湿運転では、外気チャンバ(C1)に取り込まれた室外空気(OA)は、その一部が吸込通路(P1)を通過して調湿ユニット(20)に流入し、その残部が再生通路(P3)を通過して調湿ユニット(20)に流入する。
【0074】
吸込通路(P1)から調湿ユニット(20)に流入した空気は、調湿ユニット(20)において蒸発器となっている吸着熱交換器(61,62)を通過して除湿および冷却される。調湿ユニット(20)において蒸発器となっている吸着熱交換器(61,62)を通過した空気(調湿ユニット(20)において除湿された空気)は、調湿ユニット(20)から流出して給気通路(P2)を流れ、給気ファン(22)を通過して給気チャンバ(C2)に流入する。給気チャンバ(C2)に流入した空気は、給気チャンバ(C2)において吸着部材(21)を通過して相対湿度の突発的な変動が抑制される。吸着部材(21)を通過した空気(吸着部材(21)によって相対湿度の突発的な変動が抑制された空気)は、給気チャンバ(C2)から流出して給気通路(P2)を流れ、給気フィルタ(23)を通過して給気吹出口(24)から供給空気(SA)として室内空間(S1)に吹き出される。
【0075】
一方、再生通路(P3)を通過して調湿ユニット(20)に流入した空気は、調湿ユニット(20)において凝縮器となっている吸着熱交換器(61,62)を通過して加湿および加熱されるとともに吸着熱交換器(61,62)の吸着剤を再生させる。調湿ユニット(20)において凝縮器となっている吸着熱交換器(61,62)を通過した空気(調湿ユニット(20)において吸着剤の再生に利用された空気)は、調湿ユニット(20)から流出して排気通路(P4)を通過し、排気通路(P4)の流出端から排出空気(EA)として室外空間に排出される。
【0076】
〔加熱運転〕
次に、
図4を参照して、除湿システム(10)の加熱運転について説明する。この加熱運転は、室外空気(OA)の温度および相対湿度が比較的に低くなっている時期(例えば、低温低湿の冬期)に行われることが好ましい。加熱運転では、補助ダンパ(43)が開状態に設定され、吸込ダンパ(41)と再生ダンパ(42)が閉状態に設定される。また、加熱器(30)と補助ファン(31)が駆動状態に設定され、調湿ユニット(20)と給気ファン(22)が停止状態に設定される。
【0077】
加熱運転では、外気チャンバ(C1)に取り込まれた室外空気(OA)は、補助通路(P5)に流入する。補助通路(P5)に流入した空気は、給気フィルタ(23)を通過し、その後、加熱器(30)を通過して加熱される。加熱器(30)を通過した空気(加熱器(30)において加熱された空気)は、補助ファン(31)を通過して中間吹出口(33)から中間室(S2)に吹き出される。中間室(S2)に吹き出された空気は、中間室(S2)の床部と側部と天井部とを順に流れて室内吹出口(34)から供給空気(SA)として室内空間(S1)に吹き出される。
【0078】
〔実施形態による効果〕
以上のように、給気通路(P2)の中途部に吸着部材(21)を設けることにより、調湿ユニット(20)から流出して給気通路(P2)を流れる空気の相対湿度の突発的な変動を抑制することができる。具体的には、吸着部材(21)を通過する空気の相対湿度が高くなるほど、吸着部材(21)の吸着剤の吸着量(吸着可能な水分量)が多くなる傾向にある。したがって、吸着部材(21)を通過する空気の相対湿度が突発的に高くなると吸着部材(21)の吸着剤の吸着量が多くなり、その結果、吸着部材(21)を通過する空気に含まれる水分が吸着部材(21)の吸着剤に吸着されて空気(吸着部材(21)を通過する空気)が除湿される。このように、調湿ユニット(20)から流出して給気通路(P2)を流れる空気(供給空気(SA))の相対湿度の突発的な変動を吸着部材(21)において抑制することができるので、調湿ユニット(20)の動作切り換えに起因する供給空気(SA)の湿度変動を抑制することができる。したがって、室内空間(S1)の空気(室内空気(RA))の相対湿度を安定させることができる。
【0079】
また、給気通路(P2)の中途部に給気チャンバ(C2)が設けられて給気チャンバ(C2)内に吸着部材(21)が設けられている。なお、給気チャンバ(C2)の流路断面積が給気通路(P2)の流路断面積よりも広くなっているので、給気チャンバ(C2)を流れる空気の流速を低下させることができる。これにより、吸着部材(21)を通過する空気と吸着部材(21)の吸着剤との接触時間を長くすることができるので、吸着部材(21)において空気の相対湿度の突発的な変動を十分に抑制することができる。また、給気チャンバ(C2)における空気の滞留時間を長くすることができるので、給気チャンバ(C2)において空気を十分に混ぜ合わせることができる。具体的には、凝縮器から蒸発器へと切り換えられた直後の吸着熱交換器(61,62)から供給される高温高湿の空気と、その後にその吸着熱交換器(蒸発器となっている吸着熱交換器(61,62))から供給される低温低湿の空気とを混ぜ合わせることができる。このように、吸着部材(21)において空気の相対湿度の突発的な変動を十分に抑制することができるとともに、給気チャンバ(C2)において空気を十分に混ぜ合わせることができるので、調湿ユニット(20)の動作切り換えに起因する供給空気(SA)の湿度変動を抑制する効果を向上させることができる。
【0080】
また、給気チャンバ(C2)の空気流れ方向における中央位置よりも下流側に吸着部材(21)を配置することにより、給気チャンバ(C2)内において十分に混ぜ合わされて相対湿度が均一化された空気を吸着部材(21)に供給することができる。これにより、調湿ユニット(20)の動作切り換えに起因する供給空気(SA)の湿度変動を抑制する効果をさらに向上させることができる。
【0081】
また、給気通路(P2)において給気チャンバ(C2)よりも空気流れ方向の上流側に給気ファン(22)を配置することにより、給気チャンバ(C2)の内圧を陽圧にすることができる。これにより、給気チャンバ(C2)の外部から給気チャンバ(C2)の内部への空気の侵入を抑制することができるので、給気チャンバ(C2)への空気侵入に起因する供給空気(SA)の湿度変動を抑制することができる。
【0082】
また、調湿ユニット(20)には、室外から取り込まれた室外空気(OA)が供給され、調湿ユニット(20)は、調湿ユニット(20)に供給された室外空気(OA)を第1および第2吸着熱交換器(61,62)の各々に供給するように構成されている。これにより、室内空間(S1)から調湿ユニット(20)へ室内空気(RA)を供給することなく調湿ユニット(20)から室内空間(S1)に空気を一方的に供給することができる。そのため、室内空間(S1)の内圧を陽圧にすることができるので、室内空間(S1)の外部から室内空間(S1)の内部への空気の侵入を抑制することができ、室内空間(S1)への空気侵入に起因する室内空気(RA)の湿度変動を抑制することができる。
【0083】
また、流路切換機構(40)が第1流路状態に設定された場合(この例では、吸込ダンパ(41)と再生ダンパ(42)とが開状態に設定され補助ダンパ(43)が閉状態に設定された場合)に、調湿ユニット(20)において除湿された空気が吸着部材(21)を通過して室内空間(S1)に供給される。すなわち、流路切換機構(40)を第1流路状態に設定することにより、調湿ユニット(20)を用いた除湿運転を行うことができる。一方、流路切換機構(40)が第2流路状態に設定された場合(この例では、吸込ダンパ(41)と再生ダンパ(42)とが閉状態に設定され補助ダンパ(43)が開状態に設定された場合)に、加熱器(30)において加熱された空気が室内空間(S1)に供給される。これにより、室内空気(RA)の温度を上昇させて室内空気(RA)の相対湿度を低下させることができる。すなわち、流路切換機構(40)を第2流路状態に設定することにより、加熱器(30)を用いた加熱運転を行うことができる。このように、調湿ユニット(20)を用いた除湿運転と加熱器(30)を用いた加熱運転とを切り換えることができる。
【0084】
また、加熱運転では、補助通路(P5)において加熱された空気が中間室(S2)の床部と側部と天井部とを順に流れて室内吹出口(34)から室内空間(S1)に吹き出される。これにより、中間室(S2)を流れる空気(加熱された空気)によって室内空間(S1)を加熱することができるので、室内空気(RA)の温度低下を防止することができ、その結果、室内空気(RA)の温度低下による室内空気(RA)の高湿化を防止することができる。
【0085】
(除湿システムの変形例)
図5に示すように、給気通路(P2)において吸着部材(21)の空気流れ方向の下流側に給気ファン(22)が配置されていてもよい。この例では、給気ファン(22)は、給気通路(P2)において給気チャンバ(C2)と給気フィルタ(23)の間に配置されている。なお、この例では、給気ファン(22)は、給気通路(P2)のうち分岐通路部(P22)よりも上流側に位置する主通路部(P21)に配置されている。
【0086】
以上のように、給気通路(P2)において給気チャンバ(C2)よりも空気流れ方向の下流側に給気ファン(22)を配置することにより、凝縮器から蒸発器へと切り換えられた直後の吸着熱交換器(61,62)から供給される高温高湿の空気が吸着部材(21)を通過する前に給気ファン(22)に供給されることを回避することができる。これにより、給気ファン(22)への高温高湿の空気の供給に起因する給気ファン(22)の不具合(例えば、給気ファン(22)の露付き)の発生を防止することができる。
【0087】
(その他の実施形態)
以上の説明において、室内空間(S1)の周囲に中間室(S2)が設けられている場合を例に挙げたが、室内空間(S1)の周囲に中間室(S2)が向けられていなくてもよい。この場合、補助通路(P5)の流出端は、室内空間(S1)に開口する中間吹出口(33)に接続されることになる。
【0088】
また、以上の実施形態を適宜組み合わせて実施してもよい。以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、この発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。