(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754608
(24)【登録日】2020年8月26日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】レディーミクストコンクリートの製造方法
(51)【国際特許分類】
B28C 7/04 20060101AFI20200907BHJP
C04B 28/02 20060101ALI20200907BHJP
C04B 24/26 20060101ALI20200907BHJP
C08F 220/28 20060101ALI20200907BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20200907BHJP
C04B 103/30 20060101ALN20200907BHJP
【FI】
B28C7/04
C04B28/02
C04B24/26 F
C04B24/26 B
C08F220/28
C08F290/06
C04B103:30
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-90397(P2016-90397)
(22)【出願日】2016年4月28日
(65)【公開番号】特開2017-196828(P2017-196828A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2019年3月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(73)【特許権者】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】桜井 邦昭
(72)【発明者】
【氏名】平田 隆祥
(72)【発明者】
【氏名】岡田 和寿
(72)【発明者】
【氏名】梶原 教裕
【審査官】
小野 久子
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−070252(JP,A)
【文献】
特開2007−105899(JP,A)
【文献】
特開平06−048801(JP,A)
【文献】
特開2013−010690(JP,A)
【文献】
特開2009−001479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28C 7/04
C04B 24/26
C04B 28/02
C08F 220/28
C08F 290/06
C04B 103/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレッシュ状態のレディーミクストコンクリートに混和剤を後添加するレディーミクストコンクリートの製造方法であって、
前記混和剤は、一般式(I)で示される
2種類の単量体Aから形成された構成単位を有する重合体を含み、
前記重合体は、重合体のカルボン酸及びその塩の量が酢酸換算で0.1重量%未満であり、
前記
2種類の単量体Aのうち、一方はn=1であり、他方はn=10〜115の整数であることを特徴とするレディーミクストコンクリートの製造方法。
一般式(I)
【化1】
一般式(I)においてR
1,R
2は水素原子またはメチル基であり、R
3は水素原子、メチル基またはCOOMである。Mは水素原子、アンモニウム、アミン類、アルカリ金属、アルカリ土類金属から選ばれる1種または2種以上である。pは0〜2の整数であり、qは0または1である。AOは炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基
である。R
4は、水素原子、炭素数1〜22のアルキル基または炭素数1〜22の脂肪族アシル基である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レディーミクストコンクリートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レディーミクストコンクリート(以下、単にコンクリートという)は、練混ぜ後から時間が経過するにつれて流動性が低下する。練混ぜ後のコンクリートは速やかに打ち込むことが基本であることから、現場に近い生コン工場を選定したり、荷卸しから打ち込みまでの場内運搬をできるだけ短くしたりしている。しかしながら、現場の近くに生コン工場がなく場外運搬時間が長くなってしまうケースや、場内運搬に過度な時間を要する施工事例も増加している。さらに、夏期においては、コンクリート温度が高く、時間の経過に伴う流動性の低下も大きくなる。
【0003】
コンクリートの練混ぜから打ち込みまでに長い時間がかかる場合、次の対策が考えられる。まず、練混ぜから打ち込みまでの流動性の低下量を見込んで、練混ぜ時における流動性を上げ越しすることが考えられる。例えば、流動化剤を添加して流動性を増大させ、打ち込み時における流動性を確保することが考えられる。しかしながら、この方法では、セメント量が増加して温度ひび割れが生じたり、配合設計が複雑になったりしてしまう。また、一時的に流動性が増大するが、流動性の保持効果が小さく時間の経過と共に流動性の低下が顕著になる。
【0004】
また、AE減水剤や高性能AE減水剤について遅延形のタイプを選択し、流動性の低下を緩和させることが考えられる。しかしながら、遅延形のタイプを選択しても、遅延し得る時間には限界があり、十分な遅延時間を確保し難いという問題が生じる。
【0005】
さらに、練り混ぜ時に凝結遅延剤を添加し、コンクリートの硬化を遅らせることで、流動性の低下を緩和させることが考えられる。しかしながら、凝結遅延剤の添加量が過多になってコンクリートの硬化が遅延してしまう。また、ブリーディング水が発生したり、硬化後に強度低下が発現したりしてしまう。
【0006】
このような観点から、混和剤の構成成分について検討がなされている。例えば、特許文献1には、粘性調整成分を含む一液型の流動化剤を作製し、フレッシュ状態のコンクリートに後添加することで、ベースのコンクリートと同等の硬化性状を有し、高い流動性及び充分な材料分離抵抗性を有する流動化コンクリートの製造方法が記載されている。
【0007】
すなわち、この特許文献1には、スランプ値が15〜21cmであるベースコンクリートを作製し、作製から5〜180分の時間の経過によってスランプ値が12cm〜21cmとなったベースコンクリートに、粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤を添加して練り混ぜることで、スランプフロー値が35〜65cmの流動化コンクリートを得ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2014−94846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、用途によっては、コンクリートの硬化を過度に遅延させず、かつ、ブリーディング水の発生を抑えつつ、コンクリートの流動化状態(スランプ値)を長時間に亘って所定範囲内に収めたい場合がある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、練り混ぜ直後におけるコンクリートの流動化状態を、長時間に亘って維持することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明は、フレッシュ状態のレディーミクストコンクリートに混和剤を後添加するレディーミクストコンクリートの製造方法であって、前記混和剤は、一般式(I)で示される下記の単量体Aから形成された構成単位を有する重合体を含むことを特徴とする。
【0012】
【化1】
【0013】
一般式(I)においてR
1,R
2は水素原子またはメチル基であり、R
3は水素原子、メチル基またはCOOMである。Mは水素原子、アンモニウム、アミン類、アルカリ金属、アルカリ土類金属から選ばれる1種または2種以上である。pは0〜2の整数であり、qは0または1である。AOは炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基であり、nは0〜300の整数である。R
4は、n=0のときは炭素数1〜22のアルキル基または炭素数1〜22の脂肪族アシル基であり、n=1〜300のときは水素原子、炭素数1〜22のアルキル基または炭素数1〜22の脂肪族アシル基である。
【0014】
前述の製造方法において、前記重合体は、重合体に含まれるカルボン酸及びその塩の量が酢酸換算で0.1重量%未満であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、練り混ぜ直後におけるコンクリートの流動化状態を、長時間に亘って維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】今回の試験に使用した混和剤ad2及び混和剤ad3の具体例を表形式で示す図である。
【
図3】ベースコンクリートの配合を表形式で示す図である。
【
図4】実施例1、2及び比較例1の配合を表形式で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、フレッシュ状態のコンクリートに後添加されるコンクリート用の混和剤として、一般式(I)で示される下記の単量体Aから形成された構成単位を有する重合体を含むものを用いることで、コンクリートの硬化を過度に遅延させず、かつ、ブリーディング水の発生を抑えつつ、コンクリートのスランプ値を長時間に亘って所定範囲内に収めることができるという着想を得た。
【0019】
一般式(I)においてR
1,R
2は水素原子またはメチル基であり、R
3は水素原子、メチル基またはCOOMである。Mは水素原子、アンモニウム、アミン類、アルカリ金属、アルカリ土類金属から選ばれる1種または2種以上である。pは0〜2の整数であり、qは0または1である。AOは炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基であり、nは0〜300の整数である。R
4は、n=0のときは炭素数1〜22のアルキル基または炭素数1〜22の脂肪族アシル基であり、n=1〜300のときは水素原子、炭素数1〜22のアルキル基または炭素数1〜22の脂肪族アシル基である。
【0020】
この着想を確認すべく、実施例及び比較例となる複数種類のサンプルを作製し、スランプ試験等を行った。これらの試験の説明に先立ち、使用材料について説明する。
【0021】
図1に示すように、今回の試験では、セメント(C)として、普通ポルトランドセメントを用いた。この普通ポルトランドセメントは、密度が3.16g/cm
3である。細骨材(S)として、陸砂を用いた。この陸砂は、表乾密度が2.61g/cm
3、吸水率1.73%、粗粒率2.60、実績率64.3%である。粗骨材(G)として、砕石2005を用いた。この砕石2005は、表乾密度が2.65g/cm
3、吸水率0.89%、実積率58.2%である。
【0022】
混和剤はad1〜ad3の3種類を用いた。混和剤ad1はAE減水剤(標準形,I種)であり、有機酸系誘導体と芳香族高分子化合物を主成分とするものである。混和剤ad2及びad3は特殊混和剤である。混和剤ad2は、単量体Aから形成された構成単位を有する重合体である。混和剤ad3は、単量体Aから形成された構成単位と、単量体Bから形成された構成単位を有する重合体である。
【0023】
単量体Aは、一般式(I)に示す構造の重合体の単位物質である。
【化3】
【0024】
一般式(I)においてR
1,R
2は水素原子またはメチル基であり、R
3は水素原子、メチル基またはCOOMである。Mは水素原子、アンモニウム、アミン類、アルカリ金属、アルカリ土類金属から選ばれる1種または2種以上である。pは0〜2の整数であり、qは0または1である。AOは炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基であり、nは0〜300の整数である。R
4は、n=0のときは炭素数1〜22のアルキル基または炭素数1〜22の脂肪族アシル基であり、n=1〜300のときは水素原子、炭素数1〜22のアルキル基または炭素数1〜22の脂肪族アシル基である。
【0025】
また、単量体Bは、少なくとも1種類のカルボン酸またはその塩からなる。具体的には、単量体Bは、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上からなる。後述するように、今回の試験に用いた混和剤ad3は、重合体のカルボン酸及びその塩の量が酢酸換算で0.08%のものとした。なお、今回の試験に用いた混和剤ad2は、単量体Bを含有せず、重合体のカルボン酸及びその塩の量が酢酸換算で0%のものとした。
【0026】
図2に示すように、今回の試験では混和剤ad2及び混和剤ad3として、30質量%水酸化ナトリウム水溶液にてpHを6に調整した2種類の重合体P1及びP2を単独で用いた。以下、重合体P1及びP2について説明する。
【0027】
重合体P1は、2種類の単量体Aを重合させた重合体である。1種類目の単量体Aは、一般式(I)におけるR
1が水素原子、R
2がメチル基、R
3が水素原子、R
4が水素原子、p=0、q=1、AOがエチレンオキシド113個及びプロピレンオキシド2個、n=115である。2種類目の単量体Aは、一般式(I)におけるR
1が水素原子、R
2が水素原子、R
3が水素原子、R
4が水素原子、p=0、q=1、AOがエチレンオキシド、n=1である。重合体P1の質量平均分子量は40000である。なお、重合体P1は、単量体Bを含有せず、重合体のカルボン酸及びその塩の量は酢酸換算で0%である。
【0028】
重合体P2は、2種類の単量体Aと1種類の単量体Bを重合させた重合体である。1種類目の単量体Aは、一般式(I)におけるR
1が水素原子、R
2がメチル基、R
3が水素原子、R
4がメチル基、p=0、q=1、AOがエチレンオキシド、n=10である。2種類目の単量体Aは、一般式(I)におけるR
1が水素原子、R
2が水素原子、R
3が水素原子、R
4が水素原子、p=0、q=1、AOがエチレンオキシド、n=1である。単量体Bはアクリル酸である。重合体P2の質量平均分子量は37000である。重合体のカルボン酸及びその塩の量は酢酸換算で0.08%である。
【0029】
次に、今回の試験に用いたベースコンクリートの配合について説明する。
図3に示すように、今回の試験では、単位量(1m
3)あたり、水を(W)175kg、セメント(C)を318kg、細骨材(S)を816kg、粗骨材(G)を972kg用いた。これにより、水セメント比(W/C)55.0%、細骨材率(s/a)46.0%となる。また、AE減水剤である混和剤ad1を、セメントの0.75重量%添加した。
【0030】
次に、今回の試験に用いた各サンプルについて説明する。
図4に示すように、今回の試験では、実施例1、2及び比較例1からなる3種類のサンプルを用いた。
【0031】
実施例1では、混和剤ad2として重合体P1を用いた。実施例1では、重合体のカルボン酸及びその塩の量が酢酸換算で0%となる。そして、ベースコンクリートの練り混ぜ完了から30分経過時点のスランプを測定した後、35分のスランプを測定するまでの期間に、濃度が20重量%とされた溶液状の混和剤ad2を、セメント量の0.50%添加した。
【0032】
実施例2では、混和剤ad3として重合体P2を用いた。実施例2では、重合体のカルボン酸及びその塩の量が酢酸換算で0.08%となる。なお、実施例2に関し、その他は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0033】
比較例1は、混和剤ad2及び混和剤ad3を添加しないサンプルである。言い換えれば、ベースコンクリートそのもので作製したサンプルである。
【0034】
今回の試験では、実施例1、2及び比較例1の各サンプルに対して、スランプ、空気量、ブリーディング率及び圧縮強度の測定を行った。
【0035】
サンプル作製時の練り混ぜには、公称容量60Lの強制二軸ミキサを用いた。具体的には、このミキサに対して、1/2量の細骨材、セメント、1/2量の細骨材、粗骨材の順で投入し、10秒間混合した。その後、水と混和剤ad1(AE減水剤)をミキサに投入し、60秒間混合して排出した。2往復切り返し、練り混ぜ5分後のスランプを測定した。スランプの測定は、JIS A 1101:2007「コンクリートのスランプ試験方法」によった。
【0036】
経時変化は静置法とし、測定前に2往復切り返しを行ってスランプを測定した。実施例1及び2では、前述した期間に混和剤ad2または混和剤ad3を添加してスランプを測定した。混和剤ad2及び混和剤ad3の添加に際しては、フレッシュ状態の各サンプルをミキサに戻した。そして、混和剤の添加後に30秒間練り混ぜを行い、2往復切り返しを行ってスランプを測定した。
【0037】
空気量の測定は、JIS A 1128:2005「フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法−空気室圧力方法」によった。ブリーディング率の測定は、JIS A 1123:2003「コンクリートのブリーディング試験方法」によった。圧縮強度の測定に際し、JIS A 1132:2006「コンクリート強度試験用供試体の作り方」によりφ10×20cmの供試体を作製し、JIS A 1108:2006「コンクリートの圧縮強度試験方法」によって圧縮強度を測定した。
【0038】
測定結果について説明する。
図5は、実施例1、2及び比較例1の各サンプルにおけるスランプ、空気量、ブリーディング率及び圧縮強度の測定結果である。なお、各サンプルにおいてコンクリート温度は19℃である。室温平均は20℃である。
【0039】
スランプについて説明する。実施例1のサンプルにおけるスランプは、5分で19.0cm、30分経過時で17.0cm、35分経過時(混和剤ad2添加後)で19.0cm、60分経過時で19.0cm、90分経過時で18.5cm、120分経過時で18.0cm、150分経過時で16.5cm、180分経過時で14.0cm、210分経過時で12.5cmであった。すなわち、実施例1のサンプルでは、練り混ぜ直後から150分までの長期間に亘ってスランプを19.0〜16.5cmの範囲に維持でき、目標値の誤差範囲内(18±2.5cm)とすることができた。
【0040】
実施例2のサンプルにおけるスランプは、5分で18.5cm、30分経過時で17.0cm、35分経過時(混和剤ad3添加後)で19.0cm、60分経過時で19.0cm、90分経過時で19.0cm、120分経過時で17.5cm、150分経過時で17.0cm、180分経過時で16.0cm、210分経過時で12.5cmであった。すなわち、実施例2のサンプルでは、練り混ぜ直後から180分までの長期間に亘ってスランプを19.0〜16.0cmの範囲に維持でき、目標値の誤差範囲内(18±2.5cm)とすることができた。
【0041】
一方、比較例1のサンプルにおけるスランプは、5分経過時で18.5cm、30分経過時で17.5cm、60分経過時で16.0cm、90分経過時で14.0cm、120分経過時で12.0cm、150分経過時で9.0cm、180分経過時で8.0cm、210分経過時で5.5cmであった。このように、比較例1のサンプルでは、混和剤ad2及び混和剤ad3の何れも添加されていないことから、練り混ぜ直後から60分程度の短時間しか、スランプを目標値の誤差範囲内(18±2.5cm)に維持できなかった。
【0042】
空気量に関しては、実施例1及び実施例2のサンプルでは5分経過時から210分経過時までほぼ一定の値を保っていたが、比較例1のサンプルでは、時間の経過と共に空気量が減少した。空気量の減少に伴い、コンクリートの流動性は低下し、凍結・融解に対する抵抗性も低下する。すなわち、実施例1及び実施例2のサンプルが練り混ぜ直後における流動化状態を長時間に亘って維持できることは、空気量の点からも明らかとなった。
【0043】
ブリーディング率に関しては、実施例1及び実施例2のサンプルは、それぞれ2.0%、1.7%である一方、比較例1のサンプルは、4.4%と実施例に比べ高い値であることから、混和剤の使用によりブリーディング量を抑制できることが確認できた。
【0044】
練り混ぜから24時間経過後の圧縮強度に関しては、実施例1或いは実施例2と比較例との間に大きな違いはなく、混和剤の使用が圧縮強度の低下を招かないことが確認できた。
【0045】
以上の結果を総括すると、今回の試験では、実施例1及び実施例2のサンプルにおいて、練り混ぜ直後からスランプを、少なくとも150分に亘って目標値の誤差範囲内(18±2.5cm)に維持できることが確認できた。すなわち、単量体Aを含む混和剤ad2(単量体Bを含まない混和剤)で重合体のカルボン酸及びその塩の量が酢酸換算で0%、または単量体Bを含み重合体のカルボン酸及びその塩の量が酢酸換算で0.08%のものを用いることで、スランプを目標値の誤差範囲内に維持できることが確認できた。
【0046】
ここで、実施例1と実施例2について検討する。混和剤ad2または混和剤ad3の添加後におけるスランプ(35分経過時)が、実施例1のサンプル(酢酸換算量0%)では19.0cmであり、実施例2のサンプル(酢酸換算量0.08%)でも同様に19.0cmであった。そしてこれらのサンプルでは、練り混ぜから少なくとも150分までの長時間に亘ってスランプ値を目標値の誤差範囲内に維持できた。これらを考慮すると、酢酸換算量0.1%未満の混和剤であれば、スランプを長時間に亘って目標値の誤差範囲内に維持できると考えられる。
【0047】
以上より、混和剤としては、単量体A単独のもの、或いは、単量体A及び単量体Bを含み、重合体のカルボン酸及びその塩の量が酢酸換算で0.1%未満のものを用いることができるといえる。
【0048】
なお、上記実施例において混和剤の添加は、ベースコンクリートの練り混ぜ完了から30分経過時点のスランプを測定した後、35分のスランプを測定するまでの期間に行っているがこれに限られない。たとえば、練り混ぜ完了から30分より前の早期に添加してもよく、複数回に分けて添加してもよい。また、混和剤は、一般的な凝固遅延剤や流動化剤と併用することを妨げるものではない。
【0049】
なお、以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。