【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年3月15日矢崎総業株式会社がPSA PEUGEOT CITROEN AUTOMOBILESに発明した車両表示装置を卸した。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光透過幅は、前記拡散透過部と前記透過領域との前記光の照射方向に沿った距離が相対的に長い位置で相対的に広く、前記拡散透過部と前記透過領域との前記光の照射方向に沿った距離が相対的に短い位置で相対的に狭い、
請求項1に記載の車両表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載の計器は、例えば、発光部の発光ムラの抑制等の点で更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、加飾発光部位を適正に発光させることができる車両表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両表示装置は、光を照射する光源部と、前記光源部からの光を遮光する遮光領域内に前記光源部からの光を透過し拡散する透過領域を含む板状部材と、前記板状部材から前記光源部による光の照射方向に沿って突出し中空状に設けられる突出本体部、及び、前記突出本体部の突出先端側に設けられ前記光源部から前記透過領域を介して前記突出本体部の内部に照射された光を透過し拡散する拡散透過部を有する加飾突状部とを備え、前記透過領域は、前記光の照射方向に対して前記突出本体部の内部に面して設けられ、前記光の照射方向と交差する透過領域幅方向に沿った光透過幅が前記光の照射方向に対して対向する位置の前記拡散透過部と当該透過領域との前記光の照射方向に沿った距離に応じて異なることを特徴とする。
【0007】
また、上記車両表示装置では、前記光透過幅は、前記拡散透過部と前記透過領域との前記光の照射方向に沿った距離が相対的に長い位置で相対的に広く、前記拡散透過部と前記透過領域との前記光の照射方向に沿った距離が相対的に短い位置で相対的に狭いものとすることができる。
【0008】
また、上記車両表示装置では、前記突出本体部は、環状に形成される外側環状部と、前記外側環状部の内側に当該外側環状部と間隔をあけて環状に形成される内側環状部とによって中空状に形成され、前記拡散透過部は、前記外側環状部と前記内側環状部との間に環状に形成され前記外側環状部と前記内側環状部とを連結するものとすることができる。
【0009】
また、上記車両表示装置では、前記加飾突状部は、前記拡散透過部と隣接して前記突出本体部に組み付けられる加飾部材を有するものとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る車両表示装置は、光源部から透過領域を介して突出本体部の内部に照射された光を加飾突状部の拡散透過部によって透過し拡散することで加飾発光部位が構成される。そして、車両表示装置は、透過領域の光透過幅が拡散透過部と透過領域との距離に応じて異なることで、透過領域において当該拡散透過部と当該透過領域との距離に応じて光量を調整することができるので、当該加飾発光部位の発光にムラが発生することを抑制し略均一に発光するようにすることができる。この結果、車両表示装置は、加飾発光部位を適正に発光させることができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
なお、以下で説明する
図3は、透明カバー、押え部材の図示を省略している。また、
図2、
図3、
図4は、文字板の色彩等を一部簡略化して図示している。
【0014】
[実施形態]
図1、
図2に示す本実施形態に係る車両表示装置1は、いわゆる車載メータを構成するものであり、例えば、車両のダッシュボードに設けられたインストルメントパネルに搭載され、車両の運転に供される情報として当該車両に関する種々の情報を表示する。
【0015】
なお、
図1等に示す車両表示装置1の幅方向Xとは、典型的には、この車両表示装置1が適用される車両の車幅方向に相当する。以下の説明では、車両表示装置1の幅方向Xにおいて、当該車両表示装置1の前面に向かって左側(
図1中左側)を幅方向X左側、向かって右側(
図1中右側)を幅方向X右側という場合がある。また、車両表示装置1の奥行き方向Yとは、典型的には、この車両表示装置1が適用される車両の前後方向に相当する。また、車両表示装置1の前面側とは、奥行き方向Yにおいて車両の運転席と対面する側であり、典型的には、当該運転席に座った運転者によって視認される側である。一方、車両表示装置1の背面側とは、奥行き方向Yにおいて前面側とは反対側であり、典型的には、インストルメントパネルの内部に収容される側である。車両表示装置1の高さ方向Zとは、典型的には、この車両表示装置1が適用される車両の高さ方向に相当し、例えば、鉛直方向に沿った方向である。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、車両表示装置1がインストルメントパネルに組み付けられた状態での方向を表す。
【0016】
具体的には、車両表示装置1は、車両に関する種々の情報を表示する表示部2と、表示部2等を収容する筐体3とを備える。ここでは、表示部2は、一例として、車両に関する情報として、車速を表示する速度計21、走行用動力源の出力回転数を表示する回転計22(一部の文字情報の図示を省略)、燃料残量を表示する燃料計23、冷却水の温度を表示する水温計24、種々の情報を画像表示する液晶表示装置25等を含んで構成される。速度計21、回転計22、燃料計23、及び、水温計24は、車両に関する計測値を表示する車両用アナログ式計器である。表示部2は、車両表示装置1の各部を収容する筐体3内に配置されると共に各種情報の表示面が奥行き方向Y前面側に露出する。筐体3は、樹脂材料等によって構成される。筐体3は、例えば、奥行き方向Y背面側に配置される背面カバー31と、背面カバー31の奥行き方向Y前面側に配置されるケース本体32と、ケース本体32の奥行き方向Y前面側に配置される見返し部材33とを含んで構成され、これらによって区画される空間部内に表示部2が配置される。そして、筐体3は、見返し部材33に形成される開口を介して各表示部2の表示面が奥行き方向Y前面側に露出する。ここでは、表示部2は、筐体3内において、速度計21が幅方向X左側に配置される一方、回転計22が幅方向X右側に配置され、さらに燃料計23、水温計24、及び、液晶表示装置25がこれらの間に配置される。また、車両表示装置1は、さらに、見返し部材33の奥行き方向Y前面側に配置され表示部2の奥行き方向Y前面側を保護する透明カバー4、及び、見返し部材33との間に透明カバー4を挟持して保持する押え部材5を備えている。
【0017】
例えば、
図2に示すように、速度計21は、筐体3内に配置される配線板6に内機7が固定される。内機7は、指針8の駆動源であるモータ71を含んで構成され、当該モータ71から回転軸72が突設される。指針8は、回転軸72に接続されモータ71が駆動することで回転駆動され、車両に関する種々の計測値(速度計21の場合には車速)に応じて、筐体3内に配置される文字板9に描かれた目盛用の指標部の所定の位置を指し示す。文字板9は、ケース本体32と見返し部材33との間に介在し挟持されて設けられ、指針8によって指し示される目盛の装飾、当該目盛に対応して付された計測値に関する様々な図柄、記号、文字列等の装飾を含んで構成される。回転計22、燃料計23、水温計24も速度計21とほぼ同様の構成である。
【0018】
より詳細には、車両表示装置1は、
図2、
図3に示すように、奥行き方向Yの背面側から前面側に向かって、背面カバー31、配線板6、ケース本体32、文字板9、見返し部材33、透明カバー4、押え部材5の順で積層された構造となっている。車両表示装置1は、ケース本体32の奥行き方向Y背面側に配線板6が組み付けられ、当該配線板6を奥行き方向Y背面側から覆うようにして背面カバー31がケース本体32に組み付けられる。配線板6は、略矩形板状に形成され車両表示装置1における各種機能を実現するための種々の電子部品、配線が実装されるものであり、奥行き方向Y前面側の実装面61に上述した内機7や液晶表示装置25等が実装される。ケース本体32は、液晶表示装置25を奥行き方向Y前面側に露出させる開口、回転軸72を貫通させる開口、配線板6の実装面61に実装された光源を収容し光の光路を形成する開口等の種々の開口が形成される。また、車両表示装置1は、ケース本体32の奥行き方向Y前面側に文字板9を介して見返し部材33が組み付けられる。文字板9は、上述したように、ケース本体32と見返し部材33との間に介在し挟持されて設けられ、表示部2によって表示する車両情報に応じた種々の目盛、図柄、記号、文字列等が描かれた板状の部材である。文字板9は、例えば、光を透過し拡散させる光透過性生地のポリカーボネイト製シートであり、暗色系のインクによって、上記目盛、図柄、記号、文字列等に対応した形状が中抜きされた印刷が施されることで、上記目盛、図柄、記号、文字列等が描かれている。文字板9は、背面側から光が照射され、種々の目盛、図柄、記号、文字列等が描かれた部分において当該照射された光が透過されることで、当該種々の目盛、図柄、記号、文字列等が点灯表示される。文字板9は、液晶表示装置25を奥行き方向Y前面側に露出させる開口、回転軸72を貫通させる開口等の種々の開口が形成される。見返し部材33は、文字板9等の端部を覆いケース本体32との間に文字板9等を押える枠状の部材であり、上記のように開口から各表示部2の表示面を奥行き方向Y前面側に露出させる。見返し部材33は、文字板9側から奥行き方向Y前面側に突出し文字板9の全体を囲うように環状に形成される突出枠状部33aを有し、当該突出枠状部33aの奥行き方向Y前面側の先端部に透明カバー4、押え部材5が組み付けられる。
【0019】
そして、本実施形態の車両表示装置1は、
図2、
図3、
図4、
図5に示すように、発光加飾部位に対して光を照射する発光加飾部位用の光源部100と、板状部材としての文字板9と、発光加飾部位を構成する加飾突状部110とを備えることで、加飾発光部位を適正に発光させることができる構成としている。
【0020】
具体的には、光源部100は、
図2、
図3に示すように、光源101と、環状プリズム102とを含んで構成される。ここでは、光源部100は、速度計21の奥行き方向Y背面側に1つ、回転計22の奥行き方向Y背面側に1つ、合計2つが設けられる。2つの光源部100は、ほぼ同様の構成であるので、ここでは、速度計21側のみを説明する。光源101は、配線板6の実装面61に実装され奥行き方向Y前面側に向けて光を照射するものである。つまりここでは、光源部100の光源101による光の照射方向、言い換えれば、光源101の光軸方向は、奥行き方向Yに沿った方向である。光源101は、例えば、LED(Light Emitting Diode)素子等によって構成されるがこれに限らない。ここでは、光源101は、速度計21を構成するモータ71の回転軸72を中心とした円環状に沿って間隔をあけて複数、ここでは4つ設けられる。各光源101は、ケース本体32の奥行き方向Y背面側に形成され光源101が照射した光の光路を形成する開口内にそれぞれ1つずつ収容され、当該開口内で奥行き方向Y前面側に向けて光を照射する。環状プリズム102は、各光源101が照射した光が入射し、入射した光を導光し後述の加飾突状部110側に向けて出射するものである。環状プリズム102は、アクリル樹脂等の光透過性の樹脂材料によって形成される。環状プリズム102は、円環状に形成される環状導光部102aと、環状導光部102aから奥行き方向Y背面側に向けて突出する入射部102bとを含んで構成される。入射部102bは、環状導光部102aに沿って間隔をあけて複数、ここでは4つ設けられる。環状プリズム102は、ケース本体32の奥行き方向Y前面側の面に形成された円環状の収容凹部32a内に組み付けられる。収容凹部32aは、光源101の光路を形成する上記開口と連通している。環状プリズム102は、各入射部102bが各光源101と奥行き方向Y前面側で対向する位置関係で収容凹部32a内に組み付けられる。環状プリズム102は、各光源101が照射し各入射部102bに入射した光を、環状導光部102aを介して導光し奥行き方向Y前面側に位置する後述の加飾突状部110の内部側に向けて照射する。
【0021】
文字板9は、
図2、
図3に示すように、遮光領域91内に透過領域92を含む板状部材であり、上述したようにケース本体32と見返し部材33との間に介在して設けられる。遮光領域91は、光透過性生地のポリカーボネイト製シートにおいて暗色系のインクによって印刷が施された領域であり、光源部100からの光を遮光する領域である。透過領域92は、光透過性生地のポリカーボネイト製シートにおいて暗色系のインクによる印刷が施されていない領域であり、遮光領域91内に設けられ、光源部100からの光を透過し拡散する領域である。ここでは、透過領域92は、上述の光源部100と同様に、速度計21の奥行き方向Y背面側に1つ、回転計22の奥行き方向Y背面側に1つ、合計2つが設けられる。2つの透過領域92は、ほぼ同様の構成であるので、ここでは、速度計21側のみを説明する。透過領域92は、遮光領域91内に略円環状の領域として形成される。透過領域92は、環状プリズム102の奥行き方向Y前面側で当該環状プリズム102と対向する位置に形成される。透過領域92は、光源101が照射し環状プリズム102によって導光され奥行き方向Y前面側に出射された光を透過し奥行き方向Y前面側、ここでは、後述の加飾突状部110側に向けて拡散して照射する。なお、文字板9は、遮光領域91内に上述した上記目盛、図柄、記号、文字列等が描かれた領域である計測表示面91aも形成されている。計測表示面91aは、各透過領域92の内側や各透過領域92の間の高さ方向Z上側に設けられており、速度計21、回転計22、燃料計23、水温計24における各表示内容に対応して描かれた上記目盛、図柄、記号、文字列等の形状に応じて光を透過し拡散する領域として形成される。これに対して、上記透過領域92は、文字板9において、光を透過し拡散する領域のうち後述の加飾突状部110と奥行き方向Y前面側で対向し加飾突状部110の内部側に向けて光を照射する領域である。
【0022】
加飾突状部110は、
図2、
図3、
図4に示すように、文字板9から光源部100による光の照射方向に沿って突出し発光加飾部位を構成する部分である。ここでは、加飾突状部110は、突出枠状部33aの内側に速度計21、回転計22に対応した各計測表示面91aの全体を囲うように環状に2つ設けられる。2つの加飾突状部110は、ほぼ同様の構成であるので、ここでは、速度計21側のみを説明する。加飾突状部110は、奥行き方向Yに対して、文字板9の透過領域92と対向する位置に設けられる。ここでは、加飾突状部110は、文字板9の奥行き方向Y前面側に位置する見返し部材33の一部として形成される。具体的には、加飾突状部110は、突出本体部111、拡散透過部112、及び、加飾部材としての加飾リング113を有する。加飾突状部110は、突出本体部111、拡散透過部112が見返し部材33の突出枠状部33a等と一体で形成される一方、加飾リング113が突出枠状部33a等とは別体に形成され突出本体部111に組み付けられる。
【0023】
突出本体部111は、文字板9から光源部100による光の照射方向、すなわち、奥行き方向Yに沿って突出し中空状に設けられる。突出本体部111は、突出枠状部33aの内側に速度計21に対応した計測表示面91aの全体を囲うように環状に形成される。より詳細には、突出本体部111は、それぞれ環状に形成された外側環状部114と内側環状部115とによって中空状に形成される。外側環状部114は、幅方向X片側(速度計21に対応した突出本体部111の場合は幅方向X左側)の端部において突出枠状部33aと一体となるように形成される。内側環状部115は、外側環状部114の内側に当該外側環状部114と間隔をあけて環状に形成され、当該内側環状部115の内側から速度計21に対応した計測表示面91aが露出する。突出本体部111は、突出先端側、すなわち、文字板9側とは反対側の端部において、外側環状部114と内側環状部115との間に拡散透過部112を露出させるための開口部116(特に
図2、
図4参照)が形成される。開口部116は、外側環状部114の先端部と内側環状部115の先端部との間に円環状に形成される。
【0024】
拡散透過部112は、外側環状部114と内側環状部115とによって中空状に形成された突出本体部111の突出先端側、すなわち、文字板9側とは反対側に設けられる。さらに言い換えれば、拡散透過部112は、突出本体部111の奥行き方向Y前面側の端部に設けられる。拡散透過部112は、外側環状部114と内側環状部115とによって形成された突出本体部111の中空状の内部側において突出本体部111の突出先端側の開口部116内に露出するように設けられる。拡散透過部112は、開口部116に沿って環状に形成される。加飾突状部110は、拡散透過部112が外側環状部114と内側環状部115との間の開口部116に位置するようにして、突出枠状部33a、外側環状部114、内側環状部115の各部を含む見返し部材33全体がインサート成形され一体化されることで、突出枠状部33aと外側環状部114と拡散透過部112と内側環状部115とが一体化されて形成される。すなわち、拡散透過部112は、外側環状部114と内側環状部115との間に環状に形成され外側環状部114と内側環状部115とを連結する連結部材であるいわゆるジョイントプレートとして機能する。外側環状部114と内側環状部115とによって形成される突出本体部111の中空状の内部、及び、拡散透過部112は、奥行き方向Yに対して、文字板9の透過領域92と対向する。外側環状部114と内側環状部115とによって形成される中空状の空間部は、透過領域92から照射された光が拡散透過部112に至る為の光路空間部117(
図2参照)として機能する。光路空間部117は、透過領域92の奥行き方向Y前面側で当該透過領域92と対向する環状の空間部として形成される。
【0025】
そして、加飾突状部110は、突出本体部111が突出枠状部33aと共に光を遮光する遮光性の樹脂材料によって形成される一方、拡散透過部112が光を透過し拡散するポリカーボネイト樹脂等の光透過性の樹脂材料によって形成される。拡散透過部112は、光源部100から透過領域92を介して突出本体部111の内部の光路空間部117に照射された光を透過し拡散する拡散部材であるいわゆるディフューザとして機能する。
【0026】
なお、以上で説明した文字板9の透過領域92を構成するポリカーボネイト製シート、及び、拡散透過部112は、ともに光を透過し拡散する光透過性の樹脂材料によって形成されればよく、ここでは、同系色、例えば、白色系の半透明樹脂材料によって形成されることで透過領域92、拡散透過部112が明色系の白色光を照射するように構成されるがこれに限られない。文字板9の透過領域92を構成するポリカーボネイト製シート、及び、拡散透過部112は、例えば、白色系に限らず、赤色系、青色系、緑色系等の半透明樹脂材料によって形成されてもよい。
【0027】
加飾リング113は、突出本体部111の突出先端、すなわち、文字板9側とは反対側の端部を加飾する加飾部材である。加飾リング113は、開口部116、拡散透過部112に沿って環状に形成される。加飾リング113は、開口部116、拡散透過部112の外側に当該開口部116、当該拡散透過部112と隣接して突出本体部111に組み付けられる。ここでは、加飾リング113は、突出本体部111を構成する外側環状部114に組み付けられ、例えば、係止突起部113a(
図2参照)等を介して熱溶着される。加飾リング113は、例えば、光を遮光する遮光性の樹脂材料によって形成され、奥行き方向Y前面側に金属メッキが施されることで加飾面を構成する。また、加飾リング113は、環状内側の縁部が拡散透過部112、開口部116の外側の境界線を見切るための見切り部としても機能する。一方、突出本体部111を構成する内側環状部115は、環状外側の縁部が拡散透過部112、開口部116の内側の境界線を見切るための見切り部としても機能する。
【0028】
上記のように構成される車両表示装置1は、光源部100から透過領域92を介して突出本体部111の内部に照射された光を加飾突状部110の拡散透過部112によって透過し拡散することで加飾発光部位が構成される。すなわち、光源部100を構成する各光源101から照射された光は、環状プリズム102を介して奥行き方向Y前面側に導光され、透過領域92を介して突出本体部111の内部の光路空間部117に拡散されて照射される。そして、突出本体部111の内部の光路空間部117に拡散されて照射された光は、光路空間部117を介して拡散透過部112に至り当該拡散透過部112を透過し拡散されて奥行き方向Y前面側、すなわち、運転席に座った運転者によって視認される側に照射される。これにより、車両表示装置1は、拡散透過部112が発光し、当該拡散透過部112を含む加飾突状部110が加飾発光部位として機能する。
【0029】
ところで、本実施形態の加飾突状部110は、
図2、
図3、
図4に示すように、突出本体部111の文字板9からの突出量が相対的に大きい部分と当該突出量が相対的に小さい部分とを含み、これに応じて奥行き方向Yに対する拡散透過部112と透過領域92との距離が異なる部位を含む構成となっている。ここでは、速度計21側に設けられた加飾突状部110は、幅方向X左側(すなわち車両表示装置1の左端寄り)でかつ高さ方向Z上側の部位の突出量が相対的に大きく拡散透過部112と透過領域92との距離が相対的に長い一方、幅方向X右側(すなわち車両表示装置1の中央寄り)でかつ高さ方向Z下側の部位の突出量が相対的に小さく拡散透過部112と透過領域92との距離が相対的に短くなるように形成される。そして、速度計21側に設けられた加飾突状部110は、この2つの部位の間で突出量が徐々に変化するように形成され、これに応じて拡散透過部112と透過領域92との距離も徐々に変化するように構成される。
【0030】
そして、本実施形態の車両表示装置1は、上記のように位置に応じて突出本体部111の文字板9からの突出量が異なり拡散透過部112と透過領域92との距離が異なる構成において、透過領域92を調光部として利用することで、拡散透過部112における発光ムラを抑制している。すなわち、車両表示装置1は、
図2、
図5等に示すように、光の照射方向(奥行き方向Y)に対して突出本体部111の内部の光路空間部117に面して設けられる透過領域92の光透過幅が拡散透過部112と当該透過領域92との光の照射方向に沿った距離に応じて異なるように形成されることで、拡散透過部112における発光ムラを抑制している。
【0031】
ここで、透過領域92の光透過幅とは、光の照射方向、ここでは、奥行き方向Yと交差する透過領域幅方向に沿った透過領域92の幅に相当する。典型的には、透過領域幅方向は、奥行き方向Yと直交しかつ当該位置における透過領域92の延在方向(接線方向)と直交する方向であり、透過領域92の光透過幅は、典型的には、奥行き方向Yと直交しかつ当該位置における透過領域92の延在方向と直交する方向の幅である。本実施形態の透過領域92の光透過幅は、光の照射方向(奥行き方向Y)に対して対向する位置の拡散透過部112と当該透過領域92との光の照射方向に沿った距離に応じて異なる。より詳細には、透過領域92の光透過幅は、拡散透過部112と透過領域92との光の照射方向に沿った距離が相対的に長い位置(例えば、
図2の距離T1参照)で相対的に広く(例えば、
図2の光透過幅W1参照)、拡散透過部112と透過領域92との光の照射方向に沿った距離が相対的に短い位置(例えば、
図2の距離T2参照)で相対的に狭い(例えば、
図2の光透過幅W2参照)。これにより、文字板9の透過領域92は、拡散透過部112と当該透過領域92との距離に応じて光量を調整する調光部として機能することができる。
【0032】
以上で説明した車両表示装置1によれば、光を照射する光源部100と、光源部100からの光を遮光する遮光領域91内に光源部100からの光を透過し拡散する透過領域92を含む文字板9と、文字板9から光源部100による光の照射方向に沿って突出し中空状に設けられる突出本体部111、及び、突出本体部111の突出先端側に設けられ光源部100から透過領域92を介して突出本体部111の内部に照射された光を透過し拡散する拡散透過部112を有する加飾突状部110とを備え、透過領域92は、光の照射方向に対して突出本体部111の内部に面して設けられ、光の照射方向と交差する透過領域幅方向に沿った光透過幅が光の照射方向に対して対向する位置の拡散透過部112と当該透過領域92との光の照射方向に沿った距離に応じて異なる。
【0033】
したがって、車両表示装置1は、光源部100から透過領域92を介して突出本体部111の内部に照射された光を加飾突状部110の拡散透過部112によって透過し拡散することで加飾発光部位が構成される。そして、車両表示装置1は、透過領域92の光透過幅が拡散透過部112と透過領域92との距離に応じて異なることで、透過領域92において当該拡散透過部112と当該透過領域92との距離に応じて光量を調整(調光)することができるので、当該加飾発光部位の発光にムラが発生することを抑制し略均一に発光するようにすることができる。この結果、車両表示装置1は、加飾発光部位を適正に発光させることができる。
【0034】
この場合、車両表示装置1は、例えば、中空状に形成される突出本体部111の内部空間部(光路空間部117)にプリズム等の導光体を延設し拡散透過部112に均一な光を照射するような場合と比較して、当該突出本体部111の内部空間部に導光体等を収容しなくても拡散透過部112の発光ムラを抑制することができるので、加飾発光部位の意匠性に制約が生じることを抑制することができ、例えば、突出本体部111の見付寸法をより小さくすることができる。また、車両表示装置1は、突出本体部111の内部空間部に導光体等を収容しなくても拡散透過部112の発光ムラを抑制することができるので、例えば、構成部品点数を抑制し製造コストを抑制することができると共に、製造工数も抑制することができ、この点でも製造コストを抑制することができる。また、車両表示装置1は、文字板9の透過領域92と加飾発光部位を構成する拡散透過部112との2段階で光を拡散させる構成であることから、例えば、拡散透過部112の厚みを概ね均一にした上で透過領域92の光透過幅を調整することで拡散透過部112における光量を適正に調整することができる。これにより、車両表示装置1は、例えば、拡散透過部112の肉厚を均一にして当該拡散透過部112を成形することができるので、いわゆるひけ等の成形不良が発生することを抑制することができる。
【0035】
より詳細には、以上で説明した車両表示装置1によれば、光透過幅は、拡散透過部112と透過領域92との光の照射方向に沿った距離が相対的に長い位置で相対的に広く、拡散透過部112と透過領域92との光の照射方向に沿った距離が相対的に短い位置で相対的に狭い。したがって、車両表示装置1は、拡散透過部112と透過領域92との距離が相対的に長く透過領域92から出射され拡散透過部112に至るまでの光の減衰量が相対的に大きくなる傾向にある位置において透過領域92の光透過幅が相対的に広いことで、透過領域92から出射される光量自体を相対的に多くすることができるので、当該距離が相対的に長いことに起因した拡散透過部112における光量の落ち込みを抑制することができる。一方、車両表示装置1は、拡散透過部112と透過領域92との距離が相対的に短く透過領域92から出射され拡散透過部112に至るまでの光の減衰量が相対的に小さくなる傾向にある位置において透過領域92の光透過幅が相対的に狭いことで、透過領域92から出射される光量自体を相対的に少なくすることができるので、当該距離が相対的に短いことに起因して拡散透過部112における光量が過剰となることを抑制することができる。この結果、車両表示装置1は、加飾発光部位を構成する拡散透過部112の発光にムラが発生することを抑制し略均一に発光するようにすることができる。
【0036】
さらに、以上で説明した車両表示装置1によれば、突出本体部111は、環状に形成される外側環状部114と、外側環状部114の内側に当該外側環状部114と間隔をあけて環状に形成される内側環状部115とによって中空状に形成され、拡散透過部112は、外側環状部114と内側環状部115との間に環状に形成され外側環状部114と内側環状部115とを連結する。したがって、車両表示装置1は、外側環状部114と内側環状部115と拡散透過部112とによって環状の加飾発光部位を構成することができ、その上で、拡散透過部112を、加飾発光部位における化粧部材、光を透過し拡散する拡散部材、及び、外側環状部114と内側環状部115とを連結する連結部材として3つの機能で兼用することができる。この結果、車両表示装置1は、構成部品点数を抑制し製造コストを抑制することができ、このような構成において、加飾発光部位を適正に発光させることができる。
【0037】
さらに、以上で説明した車両表示装置1によれば、加飾突状部110は、拡散透過部112と隣接して突出本体部111に組み付けられる加飾リング113を有する。したがって、車両表示装置1は、例えば、加飾リング113と加飾発光部位の発光体(拡散透過部112等)とをいわゆる2色成形によって形成するような場合と比較して、製造コストを抑制することができる。
【0038】
なお、上述した本発明の実施形態に係る車両表示装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0039】
以上の説明では、加飾突状部110は、速度計21、回転計22に対応した各計測表示面91aの全体を囲うように環状に2つ設けられるものとして説明したがこれに限らず1つであってもよいし、環状でなくてもよい。また、加飾突状部110は、見返し部材33の一部として形成されるものとして説明したがこれに限らず見返し部材33とは別体に構成されてもよい。加飾突状部110は、加飾リング113を備えない構成であってもよい。
【0040】
以上で説明した突出本体部111は、外側環状部114と内側環状部115とによって形成されるものとして説明したがこれに限らない。拡散透過部112は、外側環状部114と内側環状部115とを連結するジョイントプレートとしても機能するものとして説明したがこれに限らない。
【0041】
また、以上で説明した拡散透過部112は、奥行き方向Y背面側の光の入射面における入射面幅が透過領域92の光透過幅と同様に拡散透過部112と透過領域92との光の照射方向に沿った距離に応じて異なるように形成されてもよい。ここで、拡散透過部112の入射面幅とは、光の照射方向、ここでは、奥行き方向Yと交差する入射面幅方向に沿った当該入射面の幅に相当する。典型的には、入射面幅方向は、奥行き方向Yと直交しかつ当該位置における拡散透過部112の入射面の延在方向(接線方向)と直交する方向であり、拡散透過部112の入射面幅は、典型的には、奥行き方向Yと直交しかつ当該位置における拡散透過部112の入射面の延在方向と直交する方向の幅である。この場合、拡散透過部112の入射面幅は、光の照射方向(奥行き方向Y)に対して対向する位置の拡散透過部112と当該透過領域92との光の照射方向に沿った距離に応じて異なるようにする。より詳細には、拡散透過部112の入射面幅は、拡散透過部112の入射面と透過領域92との光の照射方向に沿った距離が相対的に長い位置で相対的に広く、拡散透過部112の入射面と透過領域92との光の照射方向に沿った距離が相対的に短い位置で相対的に狭くしてもよい。これにより、車両表示装置1は、拡散透過部112を含む加飾発光部位の発光にムラが発生することをより適正に抑制しより均一に発光するようにすることができる場合がある。