(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754651
(24)【登録日】2020年8月26日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】通信装置及び通信装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H04W 52/02 20090101AFI20200907BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20200907BHJP
H04W 24/08 20090101ALI20200907BHJP
【FI】
H04W52/02 110
H04W84/12
H04W24/08
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-187128(P2016-187128)
(22)【出願日】2016年9月26日
(65)【公開番号】特開2018-56641(P2018-56641A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】石井 利朋
【審査官】
町田 舞
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/107180(WO,A1)
【文献】
特開2013−21652(JP,A)
【文献】
特開2012−23787(JP,A)
【文献】
特開2013−93802(JP,A)
【文献】
特表2014−502929(JP,A)
【文献】
特開2006−272596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置と通信する通信手段と、
自装置の動作状態をアウェイク状態又はドーズ状態のいずれかに切り換える切換手段と、
自装置の動作状態を前記ドーズ状態から前記アウェイク状態に切り換えたことを示す情報を前記外部装置に送信してから前記外部装置からの応答を受信するまでの第1時間、及び前記外部装置から送信されたデータに対する応答を前記外部装置に送信してから次のデータを前記外部装置から受信するまでの第2時間を計測する計時手段と、
前記計時手段が計時した第1時間をタイムアウト値として設定し、前記計時手段が計測した前記第2時間と前記第1時間との平均値に基づいてタイムアウト値を更新し、前記外部装置から送信されたデータに対する応答を前記外部装置に送信する度に、前記更新されたタイムアウト値と前記第2時間との平均値に基づいて前記タイムアウト値を更新する更新手段と、を備え、
前記計時手段の計測時間が前記タイムアウト値を超えた場合に、前記切換手段は、自装置の動作状態を前記アウェイク状態から前記ドーズ状態に切り換えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記通信手段の通信状況に関するパラメータの値を監視する監視手段を備え、
前記パラメータの値が予め設定した閾値を超えた場合には、前記切換手段は、自装置の動作状態を前記アウェイク状態から前記ドーズ状態に切り換えることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信手段の通信状況に関するパラメータは、受信パケット数、パケットエラーレート、送信パケットの再送回数、受信信号強度の少なくとも1つであることを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
外部装置と通信する通信装置の制御方法であって、
前記通信装置の動作状態をドーズ状態からアウェイク状態に切り換えたことを示す情報を前記外部装置に送信してから前記外部装置からの応答を受信するまでの第1時間をタイマによって計測し、
タイムアウト値として前記タイマが計測した前記第1時間を設定し、
前記外部装置から送信されたデータに対する応答を前記外部装置に送信した際、前記応答の送信から次のデータを前記外部装置から受信するまでの第2時間をタイマによって計測し、
前記第1時間と前記第2時間との平均値に基づいて前記タイムアウト値を更新し、
前記外部装置から送信されたデータに対する応答を前記外部装置に送信する度に、前記更新されたタイムアウト値と前記第2時間との平均値に基づいて前記タイムアウト値を更新し、
前記タイマの計測時間が前記タイムアウト値を超えた場合に、前記通信装置の動作状態を前記アウェイク状態から前記ドーズ状態に切り換えることを特徴とする通信装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置及び通信装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(Local Area Network)の規格であるIEEE802.11では、消費電力の低減を実現するため、パワーマネージメント機能が規定されている。このパワーマネージメント機能では、通信装置の動作モードとしてアクティブモード及びパワーセーブモードの2種類がある。アクティブモードでは、通信装置は、常時、データの送受信が可能なアウェイク(awake)状態である。一方、パワーセーブモードでは、通信装置は、データの送受信が不可能で且つ最小限の電力で動作するドーズ(doze)状態と、アウェイク(awake)状態とを間欠的に遷移する。パワーセーブモードで動作している通信装置は、アウェイク状態である場合にのみ、データの送受信が可能である。アクティブモードでは、通信装置は、常時、データの送受信が可能であるが、消費電力が抑制されない。
【0003】
図1は、パワーセーブモードで通信装置とアクセスポイントとが通信するシーケンスを示す。
【0004】
通信装置(ステーション)は、アクセスポイントからビーコンを受信し、動作状態をドーズ状態からアウェイク状態に切り換えたことを示すパケット(即ち、NULLパケット)をアクセスポイントに送信する(S1)。アクセスポイントは、このパケットを受信すると、通信装置がアウェイク状態に切り換わったことを認識し、データを通信装置に送信する(S2)。通信装置は、アクセスポイントからデータを受信すると、応答(ACK)をアクセスポイントに返信する(S3)。パワーセーブモードでは、通信装置は、タイマを使って動作状態をアウェイク状態からドーズ状態に切り換えるタイミングを測定している。タイマがタイムアウトすると、通信装置はNULLパケットをアクセスポイントに送信し(S4)、ドーズ状態に切り換わる。上記のタイムアウト値は、固定値となっており、タイムアウト値が長い場合には、無駄な電力を消費する。
【0005】
一方、タイムアウト値を変更可能とする通信装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この通信装置は、アクティブモード時のアウェイク時間(=アクティブモード時受信間隔×受信データ数+タイマ値)とパワーセーブモード時のアウェイク時間(=パワーセーブモード時受信間隔×受信データ数)とを比較し、アクティブモード時のアウェイク時間がパワーセーブモード時のアウェイク時間よりも短い場合にアクティブモードでデータを受信し、パワーセーブモード時のアウェイク時間がアクティブモード時のアウェイク時間よりも短い場合にパワーセーブモードでデータを受信する。アクティブモード時のアウェイク時間を決定するためのタイマ値は、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)等の回線品質に基づく値である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−206762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の通信装置では、パワーセーブモード時のアウェイク時間(=パワーセーブモード時受信間隔×受信データ数)毎に、又はアクティブモード時のアウェイク時間(=アクティブモード時受信間隔×受信データ数+タイマ値)毎にタイムアウト値が変更されるため、通信装置が応答(ACK)をアクセスポイントに返信する度にタイマのタイムアウト値を調整するものではない。
【0008】
また、特許文献1の通信装置では、回線品質が向上した場合やデータ受信間隔が大きくばらつく場合には、タイムアウト値が必要以上に長くなり、無駄な電力を消費するおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、従来の通信装置よりも消費電力を低減することができる通信装置及び通信装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、明細書に開示された通信装置は、外部装置と通信する通信手段と、自装置の動作状態をアウェイク状態又はドーズ状態のいずれかに切り換える切換手段と、自装置の動作状態を前記ドーズ状態から前記アウェイク状態に切り換えたことを示す情報を前記外部装置に送信してから前記外部装置からの応答を受信するまでの第1時間、及び前記外部装置から送信されたデータに対する応答を前記外部装置に送信してから次のデータを前記外部装置から受信するまでの第2時間を計測する計時手段と、前記計時手段が計時した第1時間をタイムアウト値として設定し、前記計時手段が計測した前記第2時間と前記第1時間との平均値に基づいてタイムアウト値を更新し、前記外部装置から送信されたデータに対する応答を前記外部装置に送信する度に、前記更新されたタイムアウト値と前記第2時間との平均値に基づいて前記タイムアウト値を更新する更新手段と、を備え、前記計時手段の計測時間が前記タイムアウト値を超えた場合に、前記切換手段は、自装置の動作状態を前記アウェイク状態から前記ドーズ状態に切り換えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来の通信装置よりも消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】パワーセーブモードで通信装置とアクセスポイントとが通信するシーケンスを示す図である。
【
図2】本実施の形態に係る通信装置の構成図である。
【
図3】パワーセーブモードで通信装置とアクセスポイントとが通信するシーケンスを示す図である。
【
図4】パワーセーブモードで通信装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図2は、本実施の形態に係る通信装置の構成図である。
【0015】
通信装置1は、IEEE802.11に準拠する無線通信装置であり、例えば、スマートホン又はノートパソコンなどである。通信装置1の動作モードとしてアクティブモード及びパワーセーブモードの2種類がある。アクティブモードでは、通信装置1は、常時、データの送受信が可能なアウェイク(awake)状態である。一方、パワーセーブモードでは、通信装置1は、データの送受信が不可能で且つ最小限の電力で動作するドーズ(doze)状態と、アウェイク(awake)状態とを間欠的に遷移する。パワーセーブモードで動作している通信装置1は、アウェイク状態である場合にのみ、データの送受信が可能である。
【0016】
通信装置1は、切換手段、更新手段及び監視手段として機能するCPU11と、計時手段としてのタイマ12と、不揮発性メモリ13と、通信手段として機能する無線LAN用の通信モジュール14と、アンテナ15と、電源(バッテリ)16とを備えている。CPU11は、バス17を介して、不揮発性メモリ13、通信モジュール14、アンテナ15及び電源16に接続されている。タイマ12は、ソフトウエアで実現されるタイマとして、CPU11に内蔵されていてもよい。
【0017】
CPU11は、通信装置1の動作モードをアクティブモード及びパワーセーブモードのいずれかに切り換える。パワーセーブモードの場合には、CPU11は、通信装置1の動作状態をドーズ状態及びアウェイク状態のいずれかに切り換える。CPU11は、パワーセーブモードでのタイマ12のタイムアウト値を算出する。CPU11は、電源16からの電源供給を制御する。例えば、ドーズ状態では、CPU11は、通信装置1が最小限の電力で動作するように電源16から不揮発性メモリ13及びタイマ12への電源供給を停止する。CPU11は、予め設定されているDTIM(Delivery Traffic Indication Message)とビーコン送出間隔により、通信装置1をアウェイク状態にする、即ち、タイマ12、不揮発性メモリ13及び通信モジュール14に電源が供給されるように電源16を制御する。DTIMは、パワーセーブモードの通信装置1に対して、送信待ちのデータがあることを伝えるメッセージであり、予め設定された周期でビーコンに含まれる。
【0018】
さらに、CPU11は、通信モジュール14の通信状況に関するパラメータの値(データ受信量(パケット数)、送信パケットのPER(Packet Error Rate)、送信パケットの再送回数、受信信号強度(RSSI)など)を監視する。
【0019】
通信モジュール14は、アンテナ15を介して外部装置としてのアクセスポイント100との間でデータ(パケット)を無線で送受信する。
【0020】
タイマ12は、ドーズ状態からアウェイク状態に切り換えたことを示すNULLパケットをアクセスポイント100に送信してから応答(ACK)をアクセスポイント100から受信するまでの時間(第1時間)や、応答(ACK)をアクセスポイント100に送信してから次のデータをアクセスポイント100から受信するまでの時間(第2時間)を計測する。タイマ12の動作モードは、初期値決定モードと計測モードとがある。初期値決定モードでは、タイマ12は、NULLパケットをアクセスポイント100に送信してから応答(ACK)をアクセスポイント100から受信するまでの時間、つまり第1時間をタイムアウト値の初期値として計測する。計測モードでは、タイマ12は、応答(ACK)をアクセスポイント100に送信してから次のデータをアクセスポイント100から受信するまでの時間、つまり第2時間を実測値として計測する。
【0021】
不揮発性メモリ13は、タイムアウト値を記憶する領域131と、タイマ12が計測した実測値を記憶する領域132と、CPU11により算出された前回のタイムアウト値(1回目は初期値)と今回の実測値との平均値に所定時間(例えば1ms)を加えた値を記憶する領域133と、通信モジュール14の通信状況に関するパラメータの値に対する閾値(データ受信量(パケット数)、送信パケットのPER(Packet Error Rate)、送信パケットの再送回数、受信信号強度(RSSI)など)を記憶する領域134とを備えている。通信モジュール14の通信状況に関するパラメータの値に対する閾値は、アプリケーションから設定してもよいし、予め初期値として領域134に保持し、電源投入後に領域134から読み出して設定されてもよい。閾値は、少なくとも1つ設定される。
【0022】
図3は、パワーセーブモードで通信装置1とアクセスポイント100とが通信するシーケンスを示す図である。
【0023】
アクセスポイント100がDTIMを含むビーコンを通信装置1に送信する(ステップS11)。通信装置1のCPU11は、通信モジュール14及びアンテナ15を介してDTIMを含むビーコンを受信し(ステップS12)、動作状態をドーズ状態からアウェイク状態に切り換えたことを示すNULLパケットをアクセスポイント100に送信する(ステップS13)。CPU11は、NULLパケットをアクセスポイント100に送信してから、アクセスポイント100から応答(ACK)を受信するまでの時間T1をタイマ12に計測させる(ステップS14)。このとき、タイマ12は初期値決定モードで時間T1を計測する。
【0024】
アクセスポイント100は、NULLパケットを受信すると、通信装置1がアウェイク状態に切り換わったことを認識し、応答(ACK)を通信装置1に送信する(ステップS15)。続いて、アクセスポイント100は、データを通信装置1に送信する(ステップS16)。
【0025】
CPU11は、アクセスポイント100から送信されるデータに対する応答(ACK)を送信する際に、タイマ12のタイムアウト値として、ステップS14で計測された時間T1を設定する(ステップS17)。同時に、CPU11は、タイマ12をリセットし、応答(ACK)をアクセスポイント100に送信してから次のデータをアクセスポイント100から受信するまでの時間T2をタイマ12に計測させる(ステップS18)。このとき、タイマ12は計測モードで時間T2を計測する。
【0026】
CPU11は、時間T1と時間T2との平均値α1を算出し、アクセスポイント100から送信される次のデータに対する応答(ACK)を送信する際に、算出した平均値α1に所定時間βを加えた値Ta−1をタイマ12のタイムアウト値として更新する(ステップS19)。平均値α1に加えられる時間βは、通信回線の混雑等の影響によるデータ通信の遅延を考慮したマージンであり、例えば1msである。続いて、CPU11はタイマ12をリセットし、応答(ACK)をアクセスポイント100に送信してから次のデータをアクセスポイント100から受信するまでの時間T3をタイマ12に計測させる(ステップS20)。このときも、タイマ12は計測モードで時間T3を計測する。
【0027】
CPU11は、値Ta−1と時間T3との平均値α2を算出し、アクセスポイント100から送信される次のデータに対する応答(ACK)を送信する際に、算出した平均値α2に所定時間βを加えた値Ta−2をタイムアウト値として更新する(ステップS21)。同時に、CPU11はタイマ12をリセットし、応答(ACK)をアクセスポイント100に送信してから次のデータをアクセスポイント100から受信するまでの時間T4をタイマ12に計測させる(ステップS22)。この際、タイマ12は計測モードで時間T4を計測する。
【0028】
このように、CPU11は、データに対する応答(ACK)を送信する度に、算出された前回のタイムアウト値Ta−nと今回の実測値Tnとの平均値(1回目では初期値と実測値との平均値)に時間βを加えた値をタイムアウト値として繰り返し更新して、タイマ12のタイムアウト値を最適化する。
【0029】
タイマ12がタイムアウトすると、CPU11はアウェイク状態からドーズ状態に切り換えることを示すNULLパケットをアクセスポイント100に送信し、ドーズ状態に切り換える(ステップS23)。
【0030】
CPU11は、タイマ12のタイムアウト値を最適化する一方で、通信モジュール14の通信状況に関するパラメータの値(データ受信量(パケット数)、送信パケットのPER(Packet Error Rate)、送信パケットの再送回数、受信信号強度(RSSI)などの少なくとも1つ)を定期的に監視する。そして、監視している値が予め設定した閾値を超えた時点で、アウェイク状態からドーズ状態に切り換えることを示すNULLパケットをアクセスポイント100に送信し、動作状態をドーズ状態に切り替え(ステップS24)、消費電力を低減する。つまり、監視しているパラメータの値が予め設定した閾値を超えた場合には、タイマ12の計測時間と関係なしに、即ちタイマ12がタイムアウトする前であっても、CPU11は、通信装置1の動作状態をドーズ状態に切り換える。
【0031】
図4は、パワーセーブモードで通信装置1が実行する処理を示すフローチャートである。
【0032】
まず、CPU11は、通信モジュール14を介してアクセスポイント100からDTIMを含むビーコンを受信すると、通信装置1の動作状態をアウェイク(awake)状態に切り換える(ステップS31)。CPU11は、タイマ12をリセットし(ステップS32)、動作状態をドーズ状態からアウェイク状態に切り換えたことを示すNULLパケットをアクセスポイント100に送信する(ステップS33)。
【0033】
その後、CPU11は、タイマ12を初期値決定モードに移行させ(ステップS34)、タイマ12を始動させる(ステップS35)。CPU11は、アクセスポイント100から応答(ACK)を受信すると、タイマ12を停止させる(ステップS36)。CPU11は、タイマ12の計測時間を初期値として不揮発性メモリ13の領域131に記憶する(ステップS37)。
【0034】
さらに、CPU11は、タイマ12のタイムアウト値として、S37で記憶した初期値を設定する(ステップS38)。ここで、初期値決定モードを終了する(ステップS39)。
【0035】
その後、CPU11は、タイマ12を計測モードに移行させ(ステップS40)、タイマ12をリセットし(ステップS41)、応答(ACK)をアクセスポイント100に送信し、あわせてタイマ12を始動させる(ステップS42)。CPU11は、通信モジュール14の通信状況に関するパラメータの値を監視し(ステップS43)、監視している値が予め設定した閾値を超えているか否かを判別する(ステップS44)。
【0036】
監視している値が予め設定した閾値を超えている場合には(ステップS44でYES)、CPU11は、動作状態をアウェイク状態からドーズ状態に切り換えたことを示すNULLパケットをアクセスポイント100に送信し(ステップS51)通信装置1の動作状態をドーズ状態に切り換え(ステップS52)、本処理を終了する。一方、監視している値が予め設定した閾値を超えていない場合には(ステップS44でNO)、CPU11は、タイマ12の計測時間がタイムアウト値を超えているか否かを判別する(ステップS45)。
【0037】
タイマ12の計測時間がタイムアウト値を超えている場合には(ステップS45でYES)、手順は上記ステップS51に進む。一方、タイマ12の計測時間がタイムアウト値を超えていない場合には(ステップS45でNO)、CPU11は、アクセスポイント100からデータを受信した後に、タイマ12を停止させる(ステップS46)。CPU11は、タイマ12の計測時間を今回の実測値として不揮発性メモリ13の領域132に記憶する(ステップS47)。
【0038】
CPU11は、領域131に記憶された初期値と領域132に記憶された実測値とを不揮発性メモリ13から読み出し(ステップS48)、初期値と実測値との平均値を算出し(ステップS49)、当該平均値に所定時間(マージン)を加えた値を不揮発性メモリ13の領域133に記憶し、タイマ12のタイムアウト値として設定する(ステップS50)。その後、手順はステップS40に戻る。
【0039】
上記ステップS48〜50の処理は、CPU11によって1回目に実行される処理であり、2回目及びそれ以降のステップS48〜50の処理は最初のステップS48〜50の処理と異なるので、2回目及びそれ以降のステップS48〜50の処理について説明する。
【0040】
2回目及びそれ以降のステップS48〜50の処理では、CPU11は、領域133に記憶された前回のタイムアウト値と領域132に記憶された実測値とを不揮発性メモリ13から読み出し(ステップS48)、前回のタイムアウト値と実測値との平均値を算出し(ステップS49)、当該平均値にマージンを加えた値を不揮発性メモリ13の領域133に記憶し、タイマ12のタイムアウト値として再設定する(ステップS50)。このように、CPU11は、データに対する応答(ACK)を送信する度に、前回のタイムアウト値(1回目は初期値)と今回の実測値との平均値に所定時間を追加した値をタイマ12のタイムアウト値として繰り返し更新して、タイマ12のタイムアウト値を最適化する。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態によれば、通信装置1は、ドーズ状態からアウェイク状態に切り換えたことを示すNULLパケットをアクセスポイント100に送信してからアクセスポイント100からの応答(ACK)を受信するまでの時間T1、及びアクセスポイント100から送信されたデータに対する応答をアクセスポイント100に送信してから次のデータをアクセスポイント100から受信するまでの時間Tn(n=2,3,…)を計測するタイマ12と、タイマ12のタイムアウト値として時間T1を設定し、タイマ12が計測した時間T2と時間T1との平均値に所定時間を追加した値をタイマ12のタイムアウト値として更新し、アクセスポイント100から送信されたデータに対する応答をアクセスポイント100に送信する度に、上記更新されたタイムアウト値と時間Tnとの平均値に所定時間を追加した値をタイマ12のタイムアウト値として更新するCPU11と、を備え、タイマ12の計測時間がタイムアウト値を超えた場合または監視している値が予め設定した閾値を超えている場合に、CPU11は、通信装置1の動作状態をアウェイク状態からドーズ状態に切り換える。
【0042】
従って、CPU11は、アクセスポイント100から送信されたデータに対する応答をアクセスポイント100に送信する度に、タイマ12のタイムアウト値を適切に調整することができ、従来の通信装置よりも消費電力を低減することができる。
【0043】
また、CPU11は、通信モジュール14の通信状況に関するパラメータ(つまり、受信パケット数、送信パケットのパケットエラーレート、送信パケットの再送回数及び受信信号強度の少なくとも1つ)の値を監視し、監視している値が予め設定した閾値を超えた場合には、CPU11は、タイマ12の計測時間と関係なしに、動作状態をアウェイク状態からドーズ状態に切り換えるので、タイムアウト値を超えるまでドーズ状態に切り換えることができない通信装置と比べて、消費電力を低減することができる。
【0044】
尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 通信装置
11 CPU
12 タイマ
13 不揮発性メモリ
14 通信モジュール
15 アンテナ
16 電源
100 アクセスポイント