特許第6754688号(P6754688)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754688
(24)【登録日】2020年8月26日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】床構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 5/43 20060101AFI20200907BHJP
   E04B 1/98 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
   E04B5/43 H
   E04B1/98 K
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-246562(P2016-246562)
(22)【出願日】2016年12月20日
(65)【公開番号】特開2018-100522(P2018-100522A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2019年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】福田 優輝
(72)【発明者】
【氏名】井上 竜太
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−128640(JP,A)
【文献】 特開平04−049387(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2006−0070747(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 5/43
E04B 1/98
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物を構成する床スラブと、
前記床スラブに生じる第1固有モードの第1腹領域と前記床スラブに生じる第2固有モードの第2腹領域との重なる重複領域に配置されるように前記床スラブに設置され、前記第1固有モードと前記第2固有モードの振動数に同調させた2質点系のTMDと、
を有する床構造。
【請求項2】
前記床スラブの平面形状は、長方形となっている請求項1に記載の床構造。
【請求項3】
前記第1固有モード及び前記第2固有モードの振動数は、45Hz以上90Hz以下である請求項1又は2に記載の床構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量床衝撃音を低減する床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
TMD(Tuned Mass Damper)を用いて集合住宅等の建物の床スラブに生じる振動を低減し、この床スラブの下階で発生する重量床衝撃音を低減する技術がある。例えば、特許文献1には、床スラブに生じる固有モードの腹にTMDを配置した床構造が開示されている。
【0003】
しかし、この床構造においては、振動低減の対象となる振動数帯域に複数の固有モードが存在する場合、各固有モードの腹に各固有モードの振動数に応じたTMDをそれぞれ配置するようにして床スラブにTMDを設置しなければならないので、設置するTMDの数が多くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−85788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は係る事実を考慮し、床スラブに設置するTMDの数を減らすことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様の発明は、建物を構成する床スラブと、前記床スラブに生じる第1固有モードの第1腹領域と前記床スラブに生じる第2固有モードの第2腹領域との重なる重複領域に配置されるように前記床スラブに設置され、前記第1固有モードと前記第2固有モードの振動数に同調させた2質点系のTMDと、を有する床構造である。
【0007】
第1態様の発明では、第1腹領域と第2腹領域の重なる重複領域に、第1固有モードと第2固有モードの振動数に同調させた2質点系のTMDを配置することによって、床スラブに生じる第1固有モードと第2固有モードの振動をTMDにより低減し、床スラブの下階で発生する重量床衝撃音を低減することができる。
【0008】
また、第1腹領域と第2腹領域の重なる重複領域に2質点系のTMDを配置することによって、第1腹領域と第2腹領域にTMDをそれぞれ配置するのと比べて、床スラブに設置するTMDの数を減らすことができる。
【0009】
第2態様の発明は、第1態様の床構造において、前記床スラブの平面形状は、長方形となっている。
【0010】
第2態様の発明では、第1固有モード及び第2固有モードの腹領域が、床スラブの長辺方向へ複数並んだ配置となるので、重複領域を形成し易くすることができる。
【0011】
第3態様の発明は、第1又は第2態様の床構造において、前記第1固有モード及び前記第2固有モードの振動数は、45Hz以上90Hz以下である。
【0012】
第3態様の発明では、集合住宅等の建物の床スラブの下階で発生する重量床衝撃音を効果的に低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上記構成としたので、床スラブに設置するTMDの数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る床構造を示す平面図である。
図2】本発明の実施形態に係る床スラブに生じる第1固有モードを示す平面図である。
図3】本発明の実施形態に係る床スラブに生じる第2固有モードを示す平面図である。
図4】本発明の実施形態に係る第1固有モードの腹領域と、第2固有モードの腹領域との重複領域を示す平面図である。
図5】本発明の実施形態に係る第1固有モードの第1腹領域の中央部におけるアクセレランスを示す線図である。
図6】本発明の実施形態に係る第2固有モードの第2腹領域の中央部におけるアクセレランスを示す線図である。
図7】本発明の実施形態に係るTMDを示す平面図である。
図8図7のA−A断面図である。
図9】本発明の実施形態に係るTMDの振動系モデルを示す正面図である。
図10】本発明の実施形態に係る床構造を評価するためのケース1〜5において、床スラブ上に設置するTMDの配置を示す表である。
図11】本発明の実施形態に係る第1固有モードの第1腹領域の中央部におけるアクセレランスを示す線図である。
図12】本発明の実施形態に係る第2固有モードの第2腹領域の中央部におけるアクセレランスを示す線図である。
図13】本発明の実施形態に係る第1固有モードの第1腹領域の中央部におけるアクセレランスを示す線図である。
図14】本発明の実施形態に係る第2固有モードの第2腹領域の中央部におけるアクセレランスを示す線図である。
図15】本発明の実施形態に係る床スラブに生じる固有モードを示す平面図である。
図16】本発明の実施形態に係る第1固有モードの腹領域と、固有モードの腹領域との重複領域を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。まず、本発明の実施形態に係る床構造について説明する。
【0016】
図1の平面図に示すように、本実施形態の床構造10は、集合住宅としての建物12を構成する鉄筋コンクリート製の床スラブ14と、TMD(Tuned Mass Damper)16とを有して構成されている。
【0017】
床スラブ14は、平面形状が略長方形となっており、床スラブ14の四隅に配置された鉄筋コンクリート製の柱18により支持されている。
【0018】
TMD16は、集合住宅を構成する床スラブの下階に発生する重量床衝撃音の一般的な決定帯域とされている63Hz帯域(45Hz以上90Hz以下)で床スラブ14に生じる固有モードである、第1固有モード20の第1腹領域22(図2の平面図を参照のこと)と、第2固有モード24の第2腹領域26(図3の平面図を参照のこと)との重なる重複領域28(図4の平面図を参照のこと)に配置されるように床スラブ14上に設置されている。本例では、図4の設置点P3の位置に1つのTMD16が設置されている。
【0019】
パラメトリックスタディでは、図1に示すように、床スラブ14の短辺方向Yの長さを6.5m、厚さを250mmに固定した状態で、床スラブ14の長辺方向Xの長さを、板状集合住宅における一般的な長さである10.5m〜13.5mの範囲で推移させた場合、床スラブ14の長辺方向Xに対して3つに割れる固有モードの振動数は、45Hz〜60Hzとなり、床スラブ14の長辺方向Xに対して4つに割れる固有モードの振動数は、59Hz〜77Hzとなる。
【0020】
図2及び図3の例では、床スラブ14に主に生じる2つの固有モードの腹領域の内、振幅が最も大きい腹領域を第2腹領域26とするとともにこの第2腹領域26を有する一方の固有モードを第2固有モード24としている。そして、他方の固有モードを第1固有モード20とするとともに、第2腹領域26の最も近くに位置する第1固有モード20の腹領域を第1腹領域22としている。このとき、第1固有モード20の振動数f1は50Hz、第2固有モード24の振動数f2は68Hzとなっている。すなわち、第1固有モード20及び第2固有モード24の振動数は、45Hz以上90Hz以下となっている。
【0021】
図2及び図3の例は、TMDを設置していない状態の1スパンの床スラブ14を解析モデルにして行われた解析結果を示したものである。解析モデルでは、床スラブ14の短辺方向Yの長さを6.5m、長辺方向Xの長さを11.5m、厚さを250mmとしている。
【0022】
図2及び図3の例に示されているように、63Hz帯域において、床スラブ14には、長辺方向Xに対して3つに割れる第1固有モード20と、長辺方向Xに対して4つに割れる第2固有モード24とが生じる。そして、第1固有モード20と第2固有モード24とは、振幅が大きくなる腹領域(第1腹領域22、第2腹領域26)の位置が近接している。
【0023】
図5のグラフの値30は、第1固有モード20の第1腹領域22の中央部P1図2を参照のこと)をハンマー等で打撃したときの、第1腹領域22の中央部P1に発生する振動の振動数(横軸)に対するアクセレランス(縦軸)を示したものである。図6のグラフの値32は、第2固有モード24の第2腹領域26の中央部P2図3を参照のこと)をハンマー等で打撃したときの、中央部P2に発生する振動の振動数(横軸)に対するアクセレランス(縦軸)を示したものである。アクセレランスは、中央部P1、P2をハンマー等で打撃したときに中央部P1、P2に発生する振動の加速度を、この打撃の打撃力で割った値である。
【0024】
図5のグラフの値30に示すように、図2に示す第1固有モード20の第1腹領域22の中央部P1におけるアクセレランスは、50Hz(f1)でピーク値となっている。さらに、図6のグラフの値32に示すように、図3に示す第2固有モード24の第2腹領域26の中央部P2におけるアクセレランスは、68Hz(f2)でピーク値となっている。
【0025】
TMD16は、図7の平面図、及び図7のA−A断面図である図8に示すように、板状の粘弾性ゴム部材34と、粘弾性ゴム部材34上に設けられた質量体36と、質量体36の上面に形成された溝部38の底面上に設けられた板状の粘弾性ゴム部材40と、粘弾性ゴム部材40上に設けられた質量体42とを有して構成されている。すなわち、TMD16は、2質点系のTMDを構成している。TMD16は、床スラブ14上に構築される二重床の懐に納めるために、質量体36に溝部38を設けるとともに溝部38内に粘弾性ゴム部材40及び質量体42を収容して、2質点系のTMDの高さを抑える構成としている。
【0026】
TMD16をモデル化した図9に示すように、粘弾性ゴム部材40のバネ定数をk1、減衰係数をC1、質量体42の質量をm1、粘弾性ゴム部材34のバネ定数をk2、減衰係数をC2、質量体36の質量をm2としたときに、第1固有モード20の振動数f1(50Hz)と第2固有モード24の振動数f2(68Hz)に同調するように、k1、k2、m1、m2を設定する。
【0027】
例えば、パラメトリックスタディでは、床スラブ14の短辺方向Yの長さを6.5m、厚さを250mmに固定した状態で、床スラブ14の長辺方向Xの長さを、板状集合住宅における一般的な長さである10.5m〜13.5mの範囲で推移させたときに、f2/f1が1.25〜1.40範囲で推移するので、これに基づいて、m1/m2が0.05〜0.15となるように、質量体42、36の質量m1、m2を設定する。
【0028】
次に、本発明の実施形態に係る床構造の作用と効果について説明する。
【0029】
本実施形態の床構造10では、図2図3、及び図4に示すように、第1固有モード20の第1腹領域22と第2固有モード24の第2腹領域26との重なる重複領域28に、第1固有モード20と第2固有モード24の振動数に同調させた2質点系のTMD16を配置することによって、床スラブ14に生じる第1固有モード20と第2固有モード24の振動をTMD16により低減し、床スラブ14の下階で発生する重量床衝撃音を低減することができる。
【0030】
また、第1固有モード20の第1腹領域22と、第2固有モード24の第2腹領域26との重なる重複領域28に2質点系のTMD16を配置することによって、第1腹領域22と第2腹領域26にTMDをそれぞれ配置するのと比べて、床スラブ14に設置するTMDの数、種類、及びトータルとしての質量を減らすことができる。
【0031】
ここで、図10の表に示す、比較例としてのケース1〜4と、本実施形態の床構造10としてのケース5との振動低減効果を評価した例を示す。この評価は、図2及び図3に示すような、第1固有モード20と第2固有モード24が生じる床スラブ14に対して行ったものである。図4に示す中央部P1と中央部P2とは約530mm離れており、設置点P3は、中央部P1と中央部P2との中央(中央部P1から設置点P3までの距離と、中央部P2から設置点P3までの距離とは同じ)に位置している。図10の表中の丸印は、TMDが設定されていることを意味している。
【0032】
ケース1は、床スラブ14上にTMDを設置していないケースであり、ケース2は、床スラブ14上の中央部P1に141kgの質量体を有する1質点系のTMD(以下、「1質点系TMD」とする)を1つ設置したケースであり、ケース3は、床スラブ14上の中央部P2に1質点系TMDを1つ設置したケースであり、ケース4は、床スラブ14上の中央部P1と中央部P2とに1質点系TMDをそれぞれ1つ設置したケースである。また、ケース5は、床スラブ14上の設置点P3に2質点系のTMD16を設置したケースである。TMD16の質量体36と質量体42との合計質量が141kgとなっている。
【0033】
図11のグラフに示す値44、46、48は、ケース1、2、5において、床スラブ14上の第1腹領域22の中央部P1図2を参照のこと)をハンマー等で打撃したときの、中央部Pに発生する振動の振動数(横軸)に対するアクセレランス(縦軸)を数値解析により求めて示したものである。アクセレランスは、中央部P1をハンマー等で打撃したときに中央部P1に発生する振動の加速度を、この打撃の打撃力で割った値である。ケース1の値が値44、ケース2の値が値46、ケース5の値が値48となっている。
【0034】
図11の値46、48より、50Hz付近において、ケース5(値48)はケース2(値46)と同等の振動低減効果が得られることがわかる。
【0035】
図12のグラフに示す値50、52、54は、ケース1、3、5において、床スラブ14上の第2腹領域26の中央部P2図3を参照のこと)をハンマー等で打撃したときの、中央部P2に発生する振動の振動数(横軸)に対するアクセレランス(縦軸)を数値解析により求めて示したものである。アクセレランスは、中央部P2をハンマー等で打撃したときに中央部P2に発生する振動の加速度を、この打撃の打撃力で割った値である。ケース1の値が値50、ケース3の値が値52、ケース5の値が値54となっている。
【0036】
図12の値52、54より、68Hz付近において、ケース5(値54)はケース3(値52)と同等の振動低減効果が得られることがわかる。
【0037】
図13のグラフに示す値56、58、60は、ケース1、4、5において、床スラブ14上の第1腹領域22の中央部P1図2を参照のこと)をハンマー等で打撃したときの、中央部P1に発生する振動の振動数(横軸)に対するアクセレランス(縦軸)を数値解析により求めて示したものである。アクセレランスは、中央部P1をハンマー等で打撃したときに中央部P1に発生する振動の加速度を、この打撃の打撃力で割った値である。ケース1の値が値56、ケース4の値が値58、ケース5の値が値60となっている。
【0038】
図13の値58、60より、50Hz付近において、ケース5(値60)はケース4(値58)と同等の振動低減効果が得られることがわかる。
【0039】
図14のグラフに示す値62、64、66は、ケース1、4、5において、床スラブ14上の第2腹領域26の中央部P2図3を参照のこと)をハンマー等で打撃したときの、中央部P2に発生する振動の振動数(横軸)に対するアクセレランス(縦軸)を数値解析により求めて示したものである。アクセレランスは、中央部P2をハンマー等で打撃したときに中央部P2に発生する振動の加速度を、この打撃の打撃力で割った値である。ケース1の値が値62、ケース4の値が値64、ケース5の値が値66となっている。
【0040】
図14の値64、66より、68Hz付近において、ケース5(値66)はケース4(値64)と同等の振動低減効果が得られることがわかる。
【0041】
また、図13の値58、60、及び図14の値64、66より、第1固有モード20の第1腹領域22の中央部P1と、第2固有モード24の第2腹領域26の中央部P2とに1質点系TMDをそれぞれ1台設置する、すなわち2台の1質点系TMD(2台分の質量282kg)を設置するのと同等の振動低減効果を、床スラブ14上の設置点P3に1台のTMD16(1台分の質量141kg)を設置することによって得ることができることがわかる。これにより、ケース5は、TMDの質量を削減することができ、コストダウンや省スペース化を図ることがわかる。
【0042】
さらに、本実施形態の床構造10では、図2及び図3に示すように、第1固有モード20及び第2固有モード24の腹領域が、床スラブ14の長辺方向Xへ複数並んだ配置となるので、図4に示すように、重複領域28を形成し易くすることができる。
【0043】
また、本実施形態の床構造10では、第1固有モード20及び第2固有モード24の振動数を、45Hz以上90Hz以下とすることにより、集合住宅等の建物の床スラブの下階で発生する重量床衝撃音を効果的に低減することができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明した。
【0045】
なお、本実施形態では、図2及び図3に示すように、2つの固有モード(第1固有モード20、第2固有モード24)が生じる床スラブ14に床構造10を適用した例を示したが、3つ以上の固有モードが生じる床スラブに本実施形態の床構造10を適用してもよい。この場合には、3つ以上の固有モードの中から、2つの固有モードを適宜選択し、その2つの固有モードを第1固有モードと第2固有モードにすればよい。選択する2つの固有モードは、例えば、最大振幅が大きい腹領域を有する固有モードや、振動低減したい振動数の固有モードとすればよい。
【0046】
また、本実施形態では、図4に示すように、第1固有モード20の第1腹領域22と、第2固有モード24の第2腹領域26との重なる重複領域28に配置されるように、床スラブ14上にTMD16を設置した例を示したが、固有モードの腹領域(第1固有モード20の第1腹領域22、第2固有モード24の第2腹領域26)は、基準振幅値を適宜決めこの基準振幅値よりも振幅が大きくなる領域を腹領域とすればよい。例えば、基準振幅値を振幅のピーク値の1/2としてもよい。
【0047】
さらに、本実施形態では、図2及び図3に示すように、長辺方向Xに対して3つに割れる第1固有モード20と、長辺方向Xに対して4つに割れる第2固有モード24とが床スラブ14に生じる例を示したが、例えば、63Hz帯域において、図2に示すような長辺方向Xに対して3つに割れる第1固有モード20と、図15の平面図に示すような長辺方向Xに対して2つ割れるとともに短辺方向Yに対して2つ割れる固有モード68とが床スラブ14に生じる場合がある。
【0048】
この場合においては、固有モード68を第2固有モードとし、図16の平面図に示すように、固有モード68の腹領域70を第2腹領域として、第1固有モード20の第1腹領域22(図2を参照のこと)と、固有モード68の腹領域70との重なる重複領域72に配置されるように、床スラブ14上にTMD16を設置すればよい。図16では、重複領域72の設置点P5の位置に配置されるように、床スラブ14上にTMD16を設置する。図15及び図16では、腹領域70の中央部を中央部P4としている。
【0049】
また、本実施形態では、図1に示すように、第1固有モード20の第1腹領域22と、第2固有モード24の第2腹領域26との重なる重複領域28に配置されるように、床スラブ14上の設置点P3の位置に1つのTMD16を設置した例を示したが、重複領域28に同じ種類のTMD16を複数配置してもよいし、重複領域28に異なる種類のTMD16を複数配置してもよい。この場合、複数のTMD16からなる領域の代表点が重複領域28に位置するようにすればよい。この代表点は、複数のTMD16が効果的に振動低減できる位置とするのがよい。
【0050】
また、本実施形態では、鉄筋コンクリート製の床スラブ14に床構造10を適用した例を示したが、プレキャストコンクリート製の床スラブ等の他の構成の床スラブに本実施形態の床構造10を適用してもよい。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
10 床構造
12 建物
14 床スラブ
16 TMD
20 第1固有モード
22 第1腹領域
24 第2固有モード
26 第2腹領域
28、72 重複領域
68 固有モード(第2固有モード)
70 腹領域(第2腹領域)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16