【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した効果の一部または全てを達成するため、本発明は、一連の処理ステップを経てパッケージング容器を輸送するための輸送システムを提供し、当該輸送システムは、ガイド要素および少なくとも一つの駆動要素を含む経路をたどる少なくとも一つのエンドレスコンベアを具備し、ベース要素が、エンドレスコンベアの長さに沿って割り当てられ、かつ、当該ベース要素はコンベアの長さに沿って連続的に調整可能な位置に解放可能に配置される。
【0005】
ベース要素がエンドレスコンベアの長さに沿って連続的に調整可能であるという特徴は、本発明の重要な態様にとって可能因子である。と言うのは、それは、エンドレスコンベアの長さの周囲に自由にベース要素を配置することを可能とするからである。特定のベース要素がエンドレスコンベアを形成するループを閉じるために使用される実施形態が存在し、この特定のベース要素は、そうした連続的に調整可能な位置を持たず、むしろそれは接合部の位置に固定される。さらに、全ての実用的な目的のために、この単一の固定された要素の位置は本発明の目的の範囲内で連続的に調整可能と考えることができる。と言うのは、それは、どのように、残るベース要素を配置できるかに関して実際的な制限をもたらさないからである。動作中、ベース要素がエンドレスコンベアに関して固定的にまたは堅固に配置されることを知るのは重要であるが、これは許容範囲が非常に小さいので必要である。
【0006】
本発明の装置(および方法)は、エンドレスコンベアがその経路に沿って配置され、(その使用位置にある間)使用中に予想される張力まで緊張させられることを可能とし、その後、ベース要素はミリメートルの数分の一以下の正確な位置に配置される。これは、動作条件が60〜80℃のあるいはそれ以上の温度を伴う場合に非常に重要である。
【0007】
一つ以上の実施形態によれば、駆動要素はベース要素を受け取るためのリセスを備え、ベース要素は、このベース要素を介した駆動要素から輸送システムへの推進力の伝達のためにリセスと係合するよう設計される。
【0008】
いくつかの好ましい実施形態では、ベース要素の位置はリセスと一致させられ、すなわちベース要素は、その位置が、特にピッチ(隣接するベース要素/リセス間の距離)に関してリセスと一致するように積極的に配置される。詳細は、本発明の方法の実施形態に関連して提示される。これは、ピッチ、すなわち隣接するベース要素間の距離ならびにベース要素の絶対位置の両方に関して、1mmの数分の一を意味する、ガイド要素あるいは駆動要素にリセスを機械加工するツールのために利用可能な許容誤差と同じくらい小さい位置許容誤差をもたらす。特定の実施形態では許容範囲は0.01mmの小ささである。なぜなら、駆動あるいはガイド要素のリセスの機械加工をするツールは0.001度の精度を有するからである。適切な許容範囲は約0.5mmであってもよいが、性能が0.5〜0.1mm、さらには0.1mm未満であることから利益を得ることができる実施形態が存在する。パッケージング容器への印刷の施工、パッケージング容器へのラベルの付与、パッケージング容器への開封デバイスの配置、パッケージング容器の一部の折り畳み中といった、精密な位置決めの重要性が過大評価できない、いくつかの用途が存在する。目下、パッケージング機械においてたとえ必要とされなくても、本開示によって提供される増大した精度は、パッケージング機械のさらなる動作、極端な精度によって可能となる動作を包含するために利用可能である。
【0009】
位置決めをさらに改善するために、駆動要素およびガイド要素はエンドレスコンベアあるいは二つ以上のエンドレスコンベアの位置決めのためのリセスを備えることができる。このようにして、ベース要素の垂直位置決めは同様に高度に制御されてもよい。一方が他方の上に載った状態で並列に配置された二つのエンドレスコンベアを用いることで、ベース要素の多数の取り付けポイントによって、エンドレスコンベアの長さ方向におけるさらに改善された安定性が提供される。これは詳細な説明において可視化される。
【0010】
一つ以上の実施形態では、駆動要素が駆動ホイールであることが好ましく、そして別な実施形態では、ガイド要素もまたガイドホイールを備えていてもよい。
【0011】
コンポーネントまたは機能要素の数を減らすために、ガイドホイールのリセスおよび駆動ホイールが、ベース要素を、そしてそれによって、充填(充填ノズルとの整列)、引き渡し(別のコンベアまたは引き渡しユニットとの整列)などといった処理ステップに関連してそれと関連付けられたパッケージング容器を位置決めするために使用されることが好ましい。
【0012】
一つ以上の実施形態では、ベース要素は二部構成を有することが好ましく、二つの部分は、ネジ、ボルト、偏心レバーなどの取り付け手段の締め込みによって、エンドレスコンベアに対して締結されてもよい。
【0013】
多くの好ましい実施形態では、二つのエンドレスコンベアが存在し、その上にはベース要素が配置され、これによって増大した安定性が提供される。
【0014】
さらに、一つ以上の実施形態では、グリッパー手段がその輸送中にパッケージング容器を把持するために使用できるように、ベース要素はグリッパー手段あるいはグリッパー手段の配置のための結合手段を含むことが好ましであろう。
【0015】
そうしたグリッパー手段は、一つ以上の実施形態では、経路の全体または一部に沿って増大した安定性が得られるように、外部フレームの対応するガイド手段と協働するよう配置された、ピン、フランジなどのガイド手段を備えてもよい。そうした「対応するガイド」手段は、カムトラック、溝、隆起等、あるいはその組み合わせから構成されてもよい。
【0016】
さらに、少なくとも一つの方向に、例えば輸送方向に垂直な面内でグリッパー手段が回動することを可能とするために、グリッパー手段がベース要素に対して回動可能に取り付けてもよい。別な実施形態では、グリッパー手段は、より自由に回動することが可能とされてもよい。
【0017】
ガイドホイールは別個のユニットとして設けられてもよいが、駆動ホイールは充填カルーセルの一部を形成することが好ましい。というのは、それはまた、輸送システムに対して駆動力を提供することとは別に、ベース要素を、そして充填ノズルに関して関連するグリッパー手段およびパッケージング容器を整列させる役割を果たすからからである。二重目的あるいは三重目的要素の概念は簡素さの観点から魅力的であり、しかも充填カルーセルは一般に最大数のリセスを有する充填機械のコンポーネントであろうために、伝達された駆動力は輸送システムの可能な限り最大の長さにわたって分配されるであろう。
【0018】
本発明の別な態様によれば、それはまた、エンドレスコンベア上にベース要素を配置する方法に関するものであってもよい。当該方法は、
少なくとも駆動ホイール上の経路に沿ってエンドレスコンベアを配置するステップであって、駆動ホイールは、動作中、ベース要素を受け取るための固定リセスを有する、ステップと、
固定リセスの位置でエンドレスコンベアに沿ってベース要素を配置するステップと、
空の固定リセスが出現するように駆動ホイールを回転させるステップと、
固定されたリセスの位置にベース要素を配置するステップと、
ベース要素がエンドレスコンベアの全長に沿って配置されるまで上記を繰り返すステップと、を備える。
【0019】
充填中の許容誤差は極めて小さく、そして引き渡し中、許容誤差はさらに小さいであろう。本発明のこの態様に係る本発明の方法は、輸送システムが使用される機械に関連して配置を直接較正することによって、いくつかの製造公差を相殺する。本発明のデバイスの実施形態の説明に再度関連して、固定位置を有する単一のベース要素が実際的制限を導入しないが特定のベース要素はリセス内に配置されるべき最初のものであるべきであることは上記説明から明らかである。
【0020】
一つ以上の実施形態では、エンドレスコンベアは、充填ホイールの円周に関して接線方向に充填ホイールを離れる。
【0021】
エンドレスコンベアが接線方向に充填ホイールから離れることを可能とすることによって、ベース要素によって運搬されるパッケージング容器は、(充填ホイールを離れる前の)求心加速度がある状態から(充填ホイールを離れた際の)加速力がない状態への移行を経験する。これは、充填されたパッケージング容器からの製品の飛散を最小限に抑える。これは、ある場合にはパッケージング容器が別なスターホイールのキャリアへと移送されることによって充填ホイールを離れ、したがって一方向の加速から本質的に反対方向への加速へと素早い切り替えを経験する既存のシステムに比べて、重要な利点である。この解決策はネックを経て充填されたパッケージに関する液跳ねに帰着し、そして開放底端部を経て充填されるパッケージ関して、この開口は非常に大きいので、さらにそうなることが予期される。
【0022】
理論的には、本発明のシステムを使用することによって、さらに液跳ねを低減するために、パッケージング容器の内部で変位した流体を「捕捉」するための形状とされた湾曲に沿ってパッケージング容器(エンドレスコンベア)が充填ホイールを離れることを可能とすることができるであろう。可能性ではあるが、そうした解決策はエンドレスコンベア、充填された製品および充填されていない製品の速度に依存するであろうし、それは不必要に複雑な解決策と見なされるべきである。
【0023】
接線方向に充填ホイールを離れた後、エンドレスコンベアは、そこでパッケージング容器が密封される密封ユニットに到達するまで直線経路に沿って移動することが好ましい。密封ステップの後に液体飛散のリスクが排除される。
【0024】
一つ以上の実施形態では、ベース要素は、それらがグリッパー手段を解放可能カップリング内に受けることができるように、カップリング部分を備えることができる。カップリング部分の存在は、例えば、さまざまなサイズのパッケージング容器、スリーブ部分においてあるいは(ネックリングの下方といった)ネック部分において把持されたパッケージング容器等の輸送に対応するために、さまざまなグリッパー手段の多用途使用を可能とする。それについてベース要素が左ターンならびに右ターンを可能とすることが好ましい先の実施形態に関して、ベース要素と駆動ホイールまたはガイドホイールとの間の係合が妨害されないように、カップリング部分をベース要素の上側あるいは下側端部付近に配置することが好ましいであろう。
【0025】
一つ以上の実施形態では、カップリング部分は、ベース要素とグリッパー手段との間のヒンジ式結合を可能とする。より具体的な例は、グリッパー要素がエンドレスコンベアに対して取り付け可能なベース要素を備え、かつ、グリッパーセグメントがベース要素に回動可能に取り付けられ、グリッパーセグメントがパッケージング容器を把持するために使用されるグリッパー要素を備えることであろう。
【0026】
この構成を使用することによって、グリッパー手段に関して1自由度を導入することが可能である。この直接の効果は、グリッパー手段を、そしてこれによってさまざまな処理ステップの間に関連するパッケージング容器を傾けることができることである。例えば、求心効果を調整するために、充填中に半径方向内向きにパッケージング容器を傾けることが可能である。続いて、それが(わずかに増大した重力を伴って)静止フィラーで充填されたかのようにパッケージング容器を充填することが可能となり、液跳ねおよび発泡が抑えられる。関連する実施形態では、旋回運動が輸送方向と直交する平面に制限されることが好ましい。これは、実施形態の詳細な説明においてさらに詳しく言及する。
【0027】
(ベース要素およびグリッパー手段を備える)二部分グリッパーを持つことには、いくつかの利点があるが、本発明は、エンドレスコンベアに対する取り付けおよびパッケージング容器の把持の両方の役割を果たす単一の要素の使用を排除しない。これまで使用された用語と合致するために、そのような実施形態では、ベース要素は両方の役割を提供すると言われてもよく、すなわちそのような組み合わされた要素は、本出願において説明するようなベース要素の特性を有し、そしてこれに加えて、それはパッケージング容器を把持する能力を有する。ベース要素およびグリッパー要素は機能要素であり、そのそれぞれは、それらがその機能を実行するために必要な多数のコンポーネントを備えていてもよいことを理解されたい。一例。
【0028】
本実施形態の目的のために、グリッパー要素のガイド手段、例えばガイドピンは、充填中に傾斜をガイドするように一つ以上のカム曲線と協働することができる。一つ以上の関連する実施形態では、カム曲線は、(充填ホイールが水平面内で回転する基準システムにおいて)垂直位置でシフトされてもよい。これは、充填ホイールの回転速度に対する傾斜に対応するように、充填中の傾斜を容易に変化させるために使用することができる。例えば、半径方向外側カム曲線は半径方向内側カム曲線に関して上方にシフトすることができ、半径方向内向きの傾きが生じる(すなわちバンクターン)。充填中、これは特に望ましいが、例えば充填されたパッケージング容器のために横方向の加速度を相殺またはを最小化するために、機能がそれ以外のターンにおいて使用されてもよい。
【0029】
一つ以上の実施態様において輸送システムは、パッケージング容器が殺菌デバイスにおいて処理された後に輸送システムに配置されるという意味で、殺菌デバイスの後で、パッケージング容器をピックアップする。輸送システムは、その後、パッケージング容器が確実に密封されるまでパッケージング容器と接触した状態のままであり、その後、パッケージング容器は、さらなる処理のために送り出されてもよく、輸送システムは、最初に戻るようにガイドされる(エンドレス構造である)。
【0030】
別な実施形態では、輸送システムは同様に、この輸送システムが殺菌デバイスの一端においてパッケージング容器を供給し、そして滅菌デバイスの他端において、再度、それらをピックアップするように、殺菌デバイスの前にあるセグメントを含むことができる。
【0031】
一つ以上の実施態様では、輸送システムは、さらなる処理へとパッケージングデバイスを引き渡す前に、充填デバイスおよび密封デバイスを経て、滅菌デバイスからパッケージング容器を輸送するよう構成される。
【0032】
一つ以上の実施形態では、輸送システムは、左および右への湾曲に追従するように構成されることが、すなわち左ターンおよび右ターンにおいてガイドホイールに追従するよう構成されることが好ましい。これを可能にする特徴は、エンドレスコンベアがフレキシブルであり、かつ、グリッパー要素、特にそのベース要素がその外観および左ターンならびに右ターンの間の挙動において対称であることである。これは重要ではない。というのは、ガイドホイールは、それらが左ターンあるいは右ターンを提供すべきかどうかに依存して異なる方式で設計することができるからであり、そしてまた、一方向のみのターンを生じるただ二つのホイールを備えた実施形態が存在する。しかしながら、その他の要件によって妨げられない場合、均一な設計を有する利点が存在する。一実施形態を詳細な説明において例示する。
【0033】
一つ以上の実施形態では、エンドレスコンベアはある長さのフレキシブルラインを備え、その端部は結合要素によって互いに接続される。エンドレスコンベアにおける張力の微調整を可能としながら、例えば張力の変化あるいは摩耗による有効長さの変化を補償するために、エンドレスコンベアの有効長さが調整可能であるように、結合要素は調節可能な結合を可能にすることが好ましい。
【0034】
一つ以上の実施形態では、エンドレスコンベアは、プラスチックケーシング内にフレキシブルな金属ワイヤを備える。一例では、フレキシブルな金属ワイヤは2mmの直径を有するステンレススチール製マルチスレッドワイヤであり、かつ、ケーシングは55°ショアDの硬度および9.5mmの直径を有するポリエステルエラストマーであり、別な実施形態では、それはポリウレタンエラストマーであってもよい。必要な場合、全ての材料は、FDA承認済(または対応する承認)であるべきである。このタイプの輸送は、食品業界での用途に十分に適して外面を依然として有する、十分な強度を備えたエンドレスコンベアを提供する。エンドレスコンベアの特定のタイプは、いくつかの有益な特徴を有するが、用途の種類に応じて、同様に使用することができる多数の別なものが存在する。
【0035】
本発明のさまざまな態様が独立請求項に記載されているが、本発明のその他の態様は、特許請求の範囲において明記された組み合わせだけでなく、説明される実施形態および/または独立請求項の特徴を備えた従属請求項からの特徴の組み合わせを含み得る。