(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記裏面に前記画像を印刷するときは、前記表面基準点と前記裏面基準点の間の距離情報と、前記画像における主走査方向の幅情報の少なくとも一方を用いて印刷開始位置が規定されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。また、この実施の形態によって本発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者等により考え得る実施可能な他の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれるものとする。
【0015】
以下の説明では、後述するキャリッジ4bが基材10の上を往復走査する主走査方向を「X方向」とし、このX方向と直交する副走査方向を「Y方向」と称する。つまり、
図1において、テーブル2の載置面における幅方向(左右方向)がX方向であり、テーブル2の奥行き方向(上下方向)がY方向である。
【0016】
また、本実施形態の構成を説明する上で、便宜上「表面」、「裏面」といった表現を用いるが、基材10における「表面」と「裏面」は相対的な関係であるため、基材10の印刷面に特段の表裏指定がない場合は何れが表面であっても裏面であってもよい。
【0017】
さらに、印刷媒体となる基材10は、少なくとも直線状の辺を1辺有するものであればよい。従って、基材10の形状として、頂点に直角を有する長方形のような整った矩形形状の他、三角形、四角形、五角形などの直線状の辺で囲まれた多角形形状、これら多角形において曲率を持った円弧状の辺で囲まれた形状も含めることができる。また、円弧状の辺においては、多角形の外側に凸状になっていてもよいし、多角形の内側に凹状になっていてもよい。さらに、基材10は透明又は不透明、着色の有無については特に限定されない。
【0018】
なお、本明細書では、添付する各図を参照した以下の説明において、方向乃至位置を示すために上、下、左、右の語を使用した場合、これはユーザが各図を図示の通りに見た場合の上、下、左、右に一致する。また、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比、形状などについて、実物から変更し模式的に表現される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0019】
[1.画像形成装置の構成]
まず、本発明に係る画像形成装置1の構成について説明する。
図1又は
図2に示すように、画像形成装置1は、基材10を載置する矩形の台であり、その一対の長辺を案内辺2aとするテーブル2を備えている。本実施形態において、案内辺2aは、副走査方向であるY方向に平行な側辺である。
【0020】
図1又は
図2に示すように、画像形成装置1は、テーブル2の案内辺2aに沿って副走査方向であるY方向へ移動可能な副走査ユニット3を備えている。この副走査ユニット3は、テーブル2に載置された基材10とY方向に相対的に移動しながら基材10の印刷面に画像を印刷する。本実施形態において、副走査ユニット3は、案内辺2aに沿って移動する一対の脚部3aと、一対の脚部3aの各上端を結合する基部3bとを備え、案内辺2aを跨ぐように配置された門型形状の構造体である。また、副走査ユニット3は、図示しない駆動機構により、テーブル2上に載置された基材10の上方をY方向に沿って任意のピッチで移動する。
【0021】
また、
図1に示すように、副走査ユニット3は、基部3bの側面に主走査方向であるX方向と平行なレール部材4aと、このレール部材4aに沿ってX方向へ移動可能なキャリッジ4bとを有する主走査ユニット4を備えている。主走査ユニット4におけるキャリッジ4bは、複数のノズルを有するインクジェットヘッドが搭載され、基材10に印刷する画像情報に基づいてX方向に往復移動しながら、図示しないインクカートリッジから供給されるインクを各ノズルから吐出して、基材10に画像を形成する。画像形成装置1では、副走査ユニット3と主走査ユニット4とが協働することで、基材10に画像を印刷する印刷ユニットとして機能する。
【0022】
図2に示すように、画像形成装置1は、記憶部5と、制御部6と、設定部7とを備えている。
【0023】
記憶部5は、例えばフラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive )等で構成されており、画像形成装置1の各部を駆動するのに必要な各種情報(コンピュータプログラムやアプリケーションソフトウェア等)を記憶するとともに、設定された印刷ジョブを一時的に記憶する。また、記憶部5は、後述する画像の位置合わせ処理を行う際に必要な演算プログラムや設定部7で設定された位置合わせ処理に必要な設定情報など、画像の位置合わせ処理に必要な各種データも記憶する。
【0024】
制御部6は、例えばCPU(Central Processing Unit )等のプロセッサで構成され、記憶部5に記憶されるコンピュータプログラムや各種アプリケーションソフトウェアを読み込んでプログラム処理することで、印刷ジョブに基づく印刷処理の他、画像形成装置1全体の制御処理及び各種処理に必要な演算処理を実行する。
【0025】
また、制御部6は、記憶部5に記憶される位置合わせ処理に必要な演算プログラムを読み込み、設定部7で設定された位置合わせ処理に必要な各種設定情報と、印刷される画像情報とに基づき、基材10の表面及び裏面に印刷する画像の印刷開始位置(キャリッジ4bの印刷開始位置に相当)に基づく印刷領域E内の座標情報を取得する。なお、画像の位置合わせ処理に基づく詳細な演算処理内容については、後段で詳述する。
【0026】
また、制御部6は、図示しないインターフェース部を内蔵しており、通信ネットワーク経由で図示しない外部端末から印刷ジョブを受信し、受信した印刷ジョブを記憶部5に記憶させる。
【0027】
設定部7は、例えば操作キーや表示/入力パネルなどで構成される入力機器である。設定部7は、ユーザによる印刷ジョブの設定などの画像形成装置1に必要な各種設定情報の他、後述する画像の位置合わせ処理に基づき設定された各種情報(位置合わせ処理に必要な情報のうち、テーブル2における位置合わせ辺S1上の表面基準点P1及び裏面基準点P2の位置情報、表面画像IAの印刷開始位置を設定するための画像原点Pからのオフセット量など)を設定する際に所定操作されると、その操作に基づく設定内容(設定信号)が制御部6に出力される。
【0028】
[2.画像の位置合わせ処理について]
次に、本発明の画像形成装置1における画像の位置合わせ処理について説明する。
本発明における画像の位置合わせ処理は、テーブル2に設定した基準となる位置合わせ位置に対して基材10を位置合わせした状態で表面画像IAを印刷し、基材10を裏返した後、裏面画像IBが表面画像IAの印刷位置と一致するように裏面画像IBの印刷開始位置を規定するための処理である。
【0029】
<2−1.位置合わせ処理に必要な情報>
位置合わせ処理に必要な情報は、基材10に設定される情報(基材位置合わせ情報)と、テーブル2に設定される情報(テーブル位置合わせ情報)と、表面画像IAを印刷するときの印刷開始位置を設定するための情報(オフセット情報)がある。
【0030】
(基材位置合わせ情報)
基材位置合わせ情報は、基材10をテーブル2の位置合わせ辺S1に位置合わせするための基準辺Saと、この基準辺Sa上に設定されテーブル2の基準点(表面基準点P1、裏面基準点P2)に位置合わせするための基準点Paを示す情報である。基材位置合わせ情報は、使用する基材10に合わせて設定する情報であり、基準辺Saは基材10の各辺における直線状の辺に設定され、基準点Paは基準辺S1上の任意の位置に設定される。つまり、これら情報は、基材10の形状、基材10に対して印刷される画像サイズ、基材10一枚あたりの画像の印刷数、テーブル2のサイズなど、画像形成装置1の仕様や印刷条件に応じて適宜設定されるものである。
本実施形態では、
図3(a)に示すように、基準辺S1は基材10の下辺(図中における太線)とし、基準点Paは基準辺S1の右側端部(図中の白丸)としている。
【0031】
(テーブル位置合わせ情報)
テーブル位置合わせ情報は、基材10の基準辺Saを位置合わせするための位置合わせ辺S1と、この位置合わせ辺S1上に設定され表面画像IAを印刷するときに基材10の基準点Paを位置合わせするための表面基準点P1と、位置合わせ辺S1上に設定され裏面画像IBを印刷するときに基材10の基準点Paを位置合わせするための裏面基準点P2を設定した情報である。テーブル位置合わせ情報のうち、位置合わせ辺S1は、例えばキャリッジ4bの待機位置(印刷開始位置)近傍となるテーブル2の辺に設定され、表面基準点P1と裏面基準点P2は、位置合わせ辺S1上における任意の位置に設定される。つまり、これら情報は、基材10の形状、基材10に対して印刷される画像サイズ、基材10一枚あたりの画像の印刷数、テーブル2のサイズなど、画像形成装置1の仕様や印刷条件に応じて適宜設定されるものである。
本実施形態では、
図3(b)に示すように、位置合わせ辺S1はテーブル2の下辺(図中における太点線)とし、表面基準点P1は位置合わせ辺S1の右側端部となるテーブル2の角部(図中における白三角)、裏面基準点P2は位置合わせ辺S1の左側端部となるテーブル2の角部(図中における白四角)としている。
なお、
【0032】
(オフセット情報)
オフセット情報は、表面画像IAを基材10の表面に印刷するときの印刷開始位置を、画像原点Pからオフセットした位置とするための画像原点Pからの距離を示す情報である。表面画像IAの印刷開始位置は、XY座標としてのテーブル2の載置面上に設定された印刷領域E(図中の斜線領域)において、テーブル2の右角部を画像原点Pとし、そこからX方向に所定量(α)、Y方向に所定量(β)だけオフセットした位置としている。よって、表面画像IAを印刷する場合、予め設定されたオフセット情報に基づいて待機位置に待機するキャリッジ4bをX、Y方向に適宜移動してから印刷が開始される。
なお、
図3(b)の例では、テーブル2の載置面全体が印刷領域Eとして設定され、画像原点Pがテーブル2の右下角、つまり表面基準点P1と同位置に設定され、表面画像IAの印刷開始位置(xα、yβ)が印刷領域E内(図中における白菱形)に設定されている。この画像原点Pの位置は、画像形成装置1の仕様に応じて適宜設定されるため、画像原点Pが表面基準点P1や裏面基準点P2と異なる位置であっても、同位置であってもよい。
【0033】
<2−2.位置合わせ処理の実施形態>
次に、本発明の画像形成装置1における位置合わせ処理の実施形態(第1形態〜第4形態)について説明する。
なお、以下に示す各実施形態では、基材10における基準辺S1と基準点Pa、オフセット情報は事前に設定されているものとし、画像原点Pは、表面基準点P1(裏面基準点P2)と同位置とする。各形態の位置合わせ処理において、表面画像IAや裏面画像IBの印刷開始位置をオフセットする際の演算処理や決定した印刷開始位置からの印刷制御については、制御部6によって実行されるものとする。また、各図において、基準点Paは白丸、表面基準点P1は白三角、裏面基準点P2は白四角、表面の印刷開始位置を白菱形、裏面の印刷開始位置を黒菱形で示す。
【0034】
(第1形態)
第1形態の位置合わせ処理では、まずテーブル2上に位置合わせ辺S1、表面基準点P1及び裏面基準点P2を設定する。
図4に示すように、第1形態における位置合わせ情報の設定例として、位置合わせ辺S1は平面視したテーブル2の下辺、表面基準点P1はテーブル2の右下角、裏面基準点P2はテーブル2の左下角とする。また、画像原点Pは、表面印刷時では表面基準点P1と同位置とし、裏面印刷時では裏面基準点P2と同位置とする。
【0035】
次に、基材10の基準点Paをテーブル2に設定した表面基準点P1に位置合わせするとともに、基材10の基準辺Saをテーブル2の位置合わせ辺S1に位置合わせする。この状態で、表面基準点P1からオフセット情報に基づくオフセット量だけオフセットした座標位置から表面画像IAの印刷を開始する。
図4では、オフセット情報におけるX方向へのオフセット量をα、Y方向へのオフセット量をβとしたとき、画像原点Pとなる表面基準点P1からオフセットした座標位置(xα、yβ)を示している。また、印刷動作としては、キャリッジ4bを待機位置から取得した座標位置(xα、yβ)まで移動させ、往動作により表面画像IAを印刷する。
【0036】
表面画像IAの印刷が終了すると、基材10を裏返し、基材10の基準点Paをテーブル2に設定した裏面基準点P2に位置合わせするとともに、基材10の基準辺Saをテーブル2の位置合わせ辺S1に位置合わせする。この状態で、裏面画像IBの印刷開始位置におけるX座標については、オフセット情報におけるX方向のオフセット量に相当する距離A分だけ裏面基準点P2からオフセットした位置とし、Y座標については、表面画像IAと同様、オフセット情報におけるY座標の位置とし、この座標位置から裏面画像IBの印刷を開始する。
図4では、裏面画像IBの印刷開始位置におけるX座標を、オフセット情報におけるX方向のオフセット量(距離A)分だけ裏面印刷時の画像原点Pとなる裏面基準点P2からオフセットした位置(xα1)とし、Y座標については、オフセット情報におけるY座標の位置(yβ)とし、この座標位置(xα1、yβ)を裏面画像IBの印刷開始位置としている。また、印刷動作としては、キャリッジ4bを待機位置から取得した座標位置(xα1、yβ)まで移動させ、復動作により裏面画像IBを印刷する。
【0037】
以上のように、第1形態の位置合わせ処理において、位置合わせ辺S1に基材10の基準辺Saを位置合わせするとともに、位置合わせ辺S1上に設定された表面基準点P1及び裏面基準点P2に基材10の基準点Paを位置合わせするため、図中一点鎖線で示すように、表面画像IA及び裏面画像IBの印刷開始位置におけるy座標(yβ)は一致する。
よって、表面画像IAは、印刷開始位置におけるX座標を、表面基準点P1から予め設定されたオフセット情報に基づくオフセット量(α)だけ表面基準点P1からオフセットした位置(xα、yβ)から印刷を開始し、裏面画像IBは、印刷開始位置におけるX座標を、オフセット情報におけるX方向のオフセット量に相当する距離A分だけ裏面印刷時の画像原点Pとなる裏面基準点P2からオフセットした位置(xα1、yβ)から印刷を開始することで、表面画像IAと裏面画像IBの画像位置を一致させることができる。
【0038】
(第2形態)
第2形態の位置合わせ処理では、まずテーブル2上に位置合わせ辺S1、表面基準点P1及び裏面基準点P2を設定する。
図5に示すように、第2形態における位置合わせ情報の設定例として、位置合わせ辺S1は平面視したテーブル2の下辺、表面基準点P1はテーブル2の右下角、裏面基準点P2はテーブル2の左下角とする。また、画像原点Pは、表面印刷時では表面基準点P1と同位置とし、裏面印刷時では裏面基準点P2と同位置とする。
【0039】
次に、基材10の基準点Paをテーブル2に設定した表面基準点P1に位置合わせするとともに、基材10の基準辺Saをテーブル2の位置合わせ辺S1に位置合わせする。この状態で、表面基準点P1からオフセット情報に基づくオフセット量だけオフセットした座標位置から表面画像IAの印刷を開始する。
図5では、オフセット情報におけるX方向へのオフセット量をα、Y方向へのオフセット量をβとしたとき、画像原点Pとなる表面基準点P1からオフセットした座標位置(xα、yβ)を示している。また、印刷動作としては、キャリッジ4bを待機位置から取得した座標位置(xα、yβ)まで移動させ、往動作により表面画像IAを印刷する。
【0040】
表面画像IAの印刷が終了すると、基材10を裏返し、基材10の基準点Paをテーブル2に設定した裏面基準点P2に位置合わせするとともに、基材10の基準辺Saをテーブル2の位置合わせ辺S1に位置合わせする。この状態で、裏面画像IBの印刷開始位置におけるX座標については、オフセット情報におけるX方向のオフセット量に相当する距離Aと、裏面画像IBのX方向の幅Bを足した距離分だけ裏面印刷時の画像原点Pとなる裏面基準点P2からオフセットした位置とし、Y座標については、表面画像IAと同様、オフセット情報におけるY座標の位置とし、この座標位置から裏面画像IBの印刷を開始する。
図5では、裏面画像IBの印刷開始位置におけるX座標を、オフセット情報におけるX方向のオフセット量(距離A)と、裏面画像IBの主走査方向における幅Bを足した距離(A+B)分だけ裏面基準点P2からオフセットした位置(xα2)とし、Y座標については、オフセット情報におけるY座標の位置(yβ)とし、この座標位置(xα2、yβ)を裏面画像IBの印刷開始位置としている。また、印刷動作としては、キャリッジ4bを待機位置から取得した座標位置(xα2、yβ)まで移動させ、復動作により裏面画像IBを印刷する。
【0041】
以上のように、第2形態の位置合わせ処理では、第1形態と同様、位置合わせ辺S1に基材10の基準辺Saを位置合わせするとともに、位置合わせ辺S1上に設定された表面基準点P1及び裏面基準点P2に基材10の基準点Paを位置合わせするため、図中一点鎖線で示すように、表面画像IA及び裏面画像IBの印刷開始位置におけるy座標(yβ)は一致する。
よって、表面画像IAは、印刷開始位置におけるX座標を、表面基準点P1から予め設定されたオフセット情報に基づくオフセット量(α)だけ表面基準点P1からオフセットした位置(xα、yβ)から印刷を開始し、裏面画像IBは、印刷開始位置におけるX座標を、オフセット情報におけるX方向のオフセット量に相当する距離Aと、裏面画像IBの主走査方向における幅Bを足した距離(A+B)分だけ裏面印刷時の画像原点Pとなる裏面基準点P2からオフセットした位置(xα2、yβ)から印刷を開始することで、表面画像IAと裏面画像IBの画像位置を一致させることができる。
【0042】
(第3形態)
第3形態の位置合わせ処理では、まずテーブル2上に位置合わせ辺S1、表面基準点P1及び裏面基準点P2を設定する。
図6に示すように、第3形態における位置合わせ情報の設定例として、位置合わせ辺S1は平面視したテーブル2の下辺、表面基準点P1はテーブル2の右下角、裏面基準点P2はテーブル2の左下角とする。また、画像原点Pは、表面印刷時、裏面印刷時共に表面基準点P1と同位置とする。
【0043】
次に、基材10の基準点Paをテーブル2に設定した表面基準点P1に位置合わせするとともに、基材10の基準辺Saをテーブル2の位置合わせ辺S1に位置合わせする。この状態で、表面基準点P1からオフセット情報に基づくオフセット量だけ移動した座標位置から表面画像IAの印刷を開始する。
図6では、オフセット情報におけるX方向へのオフセット量をα、Y方向へのオフセット量をβとしたとき、画像原点Pとなる表面基準点P1からオフセットした座標位置(xα、yβ)を示している。また、印刷動作としては、キャリッジ4bを待機位置から取得した座標位置(xα、yβ)まで移動させ、往動作により表面画像IAを印刷する。
【0044】
表面画像IAの印刷が終了すると、基材10を裏返し、基材10の基準点Paをテーブル2に設定した裏面基準点P2に位置合わせするとともに、基材10の基準辺Saをテーブル2の位置合わせ辺S1に位置合わせする。この状態で、裏面画像IBの印刷開始位置におけるX座標については、表面基準点P1と裏面基準点P2との間の距離Cから、オフセット情報におけるX方向への距離Aを差し引いた距離(距離C−距離A)分だけオフセットした位置とし、Y座標については、表面画像IAと同様、オフセット情報におけるY座標の位置とし、この座標位置から裏面画像IBの印刷を開始する。
図6では、裏面画像IBの印刷開始位置におけるX座標を、表面基準点P1と裏面基準点P2との間の距離Cから、オフセット情報におけるX方向のオフセット量(距離A)を差し引いた距離(C−A)分だけ画像原点Pとなる表面基準点P1からオフセットした位置(xα3)とし、Y座標については、オフセット情報におけるY座標の位置(yβ)とし、この座標位置(xα3、yβ)を裏面画像IBの印刷開始位置としている。また、印刷動作としては、キャリッジ4bを待機位置から取得した座標位置(xα3、yβ)まで移動させ、復動作により裏面画像IBを印刷する。
【0045】
以上のように、第3形態の位置合わせ処理では、第1形態、第2形態と同様、位置合わせ辺S1に基材10の基準辺Saを位置合わせするとともに、位置合わせ辺S1上に設定された表面基準点P1及び裏面基準点P2に基材10の基準点Paを位置合わせするため、図中一点鎖線で示すように、表面画像IA及び裏面画像IBの印刷開始位置におけるy座標(yβ)は一致する。
よって、表面画像IAは、印刷開始位置におけるX座標を、表面基準点P1から予め設定されたオフセット情報に基づくオフセット量(α)だけ表面基準点P1からオフセットした位置(xα、yβ)から印刷を開始し、裏面画像IBは、印刷開始位置におけるX座標を、表面基準点P1と裏面基準点P2との間の距離Cから、オフセット情報におけるX方向のオフセット量に相当する距離Aを差し引いた距離(C−A)分だけ画像原点Pとなる表面基準点P1からオフセットした位置(xα3)から印刷を開始することで、表面画像IAと裏面画像IBの画像位置を一致させることができる。
【0046】
(第4形態)
第4形態の位置合わせ処理では、まずテーブル2上に位置合わせ辺S1、表面基準点P1及び裏面基準点P2を設定する。
図7に示すように、第4形態における位置合わせ情報の設定例として、位置合わせ辺S1は平面視したテーブル2の下辺、表面基準点P1はテーブル2の右下角、裏面基準点P2はテーブル2の左下角とする。また、画像原点Pは、表面印刷時、裏面印刷時共に表面基準点P1と同位置とする。
【0047】
次に、基材10の基準点Paをテーブル2に設定した表面基準点P1に位置合わせするとともに、基材10の基準辺Saをテーブル2の位置合わせ辺S1に位置合わせする。この状態で、表面基準点P1からオフセット情報に基づくオフセット量だけ移動した座標位置から表面画像IAの印刷を開始する。
図7では、オフセット情報におけるX方向へのオフセット量をα、Y方向へのオフセット量をβとしたとき、画像原点Pとなる表面基準点P1からオフセットした座標位置(xα、yβ)を示している。また、印刷動作としては、キャリッジ4bを待機位置から取得した座標位置(xα、yβ)まで移動させ、往動作により表面画像IAを印刷する。
【0048】
表面画像IAの印刷が終了すると、基材10を裏返し、基材10の基準点Paをテーブル2に設定した裏面基準点P2に位置合わせするとともに、基材10の基準辺Saをテーブル2の位置合わせ辺S1に位置合わせする。この状態で、裏面画像IBの印刷開始位置におけるX座標については、表面基準点P1と裏面基準点P2との間の距離Cから、オフセット情報におけるX方向への距離Aと裏面画像IBの主走査方向における幅Bを差し引いた距離(距離C−距離A−幅B)分だけオフセットした位置とし、Y座標については、表面画像IAと同様、オフセット情報におけるY座標の位置とし、この座標位置から裏面画像IBの印刷を開始する。
図7では、裏面画像IBの印刷開始位置におけるX座標を、表面基準点P1と裏面基準点P2との間の距離Cから、オフセット情報におけるX方向のオフセット量に相当する距離Aと裏面画像IBの主走査方向における幅Bを差し引いた距離(C−A−B)分だけ画像原点Pとなる表面基準点P1からオフセットした位置(xα4)とし、Y座標については、オフセット情報におけるY座標の位置(yβ)とし、この座標位置(xα4、yβ)を裏面画像IBの印刷開始位置としている。また、印刷動作としては、キャリッジ4bを待機位置からオフセットした座標位置(xα4、yβ)まで移動させ、往動作により裏面画像IBを印刷する。
【0049】
以上のように、第4形態の位置合わせ処理では、第1形態〜第3形態と同様、位置合わせ辺S1に基材10の基準辺Saを位置合わせするとともに、位置合わせ辺S1上に設定された表面基準点P1及び裏面基準点P2に基材10の基準点Paを位置合わせするため、図中一点鎖線で示すように、表面画像IA及び裏面画像IBの印刷開始位置におけるy座標(yβ)は一致する。
よって、表面画像IAは、印刷開始位置におけるX座標を、表面基準点P1から予め設定されたオフセット情報に基づくオフセット量(α)だけ表面基準点P1からオフセットした位置(xα、yβ)から印刷を開始し、裏面画像IBは、印刷開始位置におけるX座標を、表面基準点P1と裏面基準点P2との間の距離Cから、オフセット情報におけるX方向のオフセット量に相当する距離Aと裏面画像IBの主走査方向における幅Bを差し引いた距離(C−A−B)分だけ画像原点Pとなる表面基準点P1からオフセットした位置(xα4)から印刷を開始することで、表面画像IAと裏面画像IBの画像位置を一致させることができる。
【0050】
[3.処理動作について]
次に、本発明の画像形成装置1における処理動作について説明する。ここでは、上述した第1形態の位置合わせ処理を用いた際の印刷処理例について説明する。
【0051】
基材10に対して印刷処理を行う場合、まず使用する基材10に合わせて基準辺Saと基準点Paの設定とテーブル2の位置合わせ辺S1を設定するとともに、設定部7から位置合わせ辺S1上の表面基準点P1及び裏面基準点P2を設定する。また、表面画像IAの印刷開始位置を規定するオフセット情報についても設定部7から設定する。
【0052】
次に、基材10の表面となる面をキャリッジ4bと対向させた状態で、基準辺Saをテーブル2の位置合わせ辺S1に位置合わせするとともに、基材10の基準点Paをテーブル2に設定した表面基準点P1に位置合わせする。制御部6は、表面基準点P1からオフセット情報に基づくオフセット量だけオフセットした座標位置を取得し、この座標位置から表面画像IAの印刷が開始されるように、副走査ユニット3及び主走査ユニット4を駆動制御しつつ取得した座標位置までキャリッジ4bを移動させた後、表面画像IAを基材10に印刷する。
【0053】
表面画像IAの印刷が終了すると、基材10を裏返し、基材10の基準辺Saをテーブル2の位置合わせ辺S1に位置合わせするとともに、基材10の基準点Paをテーブル2に設定した裏面基準点P2に位置合わせする。
【0054】
裏面画像IBの位置合わせ処理として上述した第1形態による位置合わせ処理を実施する場合、制御部6は、裏面画像IBの印刷開始位置におけるX座標について、オフセット情報におけるX方向のオフセット量に相当する距離A分だけ裏面印刷時の画像原点Pとなる裏面基準点P2からオフセットした位置とし、Y座標については、オフセット情報におけるY座標の位置とする座標位置を取得する。
【0055】
そして、制御部6は、取得した座標位置から裏面画像IBの印刷が開始されるように、副走査ユニット3及び主走査ユニット4を駆動制御し、取得した印刷開始位置からキャリッジ4bを駆動して裏面画像IBを基材10に印刷する。
【0056】
以上説明したように、上述した画像形成装置1において、基材10に表面画像IAを印刷するときは、基材10の基準点Paを表面基準点P1に位置合わせするとともに、基材10の基準辺Saをテーブル2に設定した位置合わせ辺S1に位置合わせした状態で、予め設定されたオフセット情報に基づいて画像原点Pからオフセットした位置を印刷開始位置として表面画像IAを印刷する。
また、裏面画像IBを印刷するときは、基材10を裏返し、基材10の基準点Paを裏面基準点P2に位置合わせするとともに、基材10の基準辺Saを位置合わせ辺S1に位置合わせし、オフセット情報におけるX方向へのオフセット量に相当する距離A、裏面画像IBの主走査方向における幅B、表面基準点P1と裏面基準点P2の間の距離Cのうち少なくとも距離Aを用いて裏面印刷時における画像原点Pからオフセットした位置が印刷開始位置となるように副走査ユニット3及び主走査ユニット4を制御して裏面画像IBを印刷する。
【0057】
これにより、基材10に両面印刷を行う際に、ユーザは基材10をテーブル2上の所定の位置に位置合わせするだけで、簡易的に表面画像IAと裏面画像IBの画像位置を一致させた状態で印刷することができる。本発明の位置合わせ処理は、特に、外角に直角が出ずテーブル2への載置が煩雑なメーターオーダーのサイズで不透明な基材10に対して有効である。
【0058】
また、基材10の表裏に印刷した画像が位置合わせされるため、基材10を外枠抜き加工を精度良く行う必要もなく、加工業者の負担を減らすことができる。さらに、従来文献として例示した発明のように、位置合わせに必要なマーカーを印字する余白を設ける必要もないため、基材10を無駄なく効率的に使うことができる。
【0059】
[その他の実施形態について]
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下に示すように使用環境等に応じて適宜変更して実施することもできる。また、以下の変更例は、本発明の要旨を逸脱しない範囲の中で任意に組み合わせて実施することもできる。
【0060】
ところで、上述した形態では、基材10をテーブル2上に固定し、キャリッジ4bをX方向に移動させつつ、副走査ユニット3をテーブル2の案内辺2aに沿ってY方向に所定ピッチで移動させながら基材10に画像を印刷する構成としたが、これに限定されることはない。本装置は、少なくともキャリッジ4bと基材10とを相対的に移動させながら画像を印刷する構成とすればよいため、例えば副走査ユニット3の位置を固定した状態とし、キャリッジ4bで1ライン分の印刷終了後、基材10をY方向に1ライン分だけ送った後に次のライン分の画像を印刷する構成としてもよい。また、キャリッジ4bの移動は、1ライン毎に往復動作若しくは1ライン毎に往動作又は復動作を繰り返してもよい。
【0061】
また、上述した形態では、テーブル2上に設定される表面基準点P1や裏面基準点P2をテーブル2の角部に設定した例で説明したが、位置合わせ辺S1上の任意の位置に設定するような場合、例えば位置合わせ辺S1と当接する位置決めピンや罫書きによって基材10を載置する際の目印を設ける構成や位置決め辺S1上で移動可能な構成とした各種センサ(接触式センサ、投受光式や反射式などの光学センサ)を設置する構成とすれば、ユーザが基材10の形状やサイズに応じて適宜設定可能となる。
【0062】
また、上述した形態では、画像形成装置1の構成としてテーブル2上をキャリッジ4bが副走査方向(X方向)に移動しつつ、副走査方向(Y方向)に所定ピッチずつ移動しながら画像を形成する、所謂フラットベッドプリンタとして説明したが、少なくともテーブル2上に基材10を位置合わせした状態で印刷が可能な装置であれば、画像形成方式については特に限定されない。