(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
顧客の入力操作に応じて設定されたルール情報に基づいて、当該顧客の資金口座から所定の蓄積口座へ資金を振り替えて、所定の目標金額を蓄積させるためのシステムであって、
入力操作に応じて設定された所定の資金計算ルール情報を記憶する資金計算ルール記憶手段と、
前記顧客の資金口座に関する口座情報を記憶する口座情報記憶手段と、
前記資金計算ルール情報に基づいて、前記顧客の資金口座から所定の蓄積口座に振り替えるべき振替資金の振替金額を計算する資金計算手段と、
前記計算された振替金額に基づいて、前記顧客の資金口座を管理する所定の金融機関装置に所定の資金振替指示情報を送信する資金振替指示手段と、
前記振替金額を含む所定の蓄積資金情報を生成する蓄積資金情報生成手段と、を備え、
前記資金計算ルールとして、
所定の利用明細情報又は取引情報の金額と所定の設定金額との差で示される端数金額を、前記振替金額として算出する端数ルールを設定可能であり、
ユーザにより設定された所定期間毎に所定の固定金額を前記振替金額として算出する定期ルールを設定可能であり、
ユーザにより予め設定された所定のキャッシュバックサービスが行われた場合に、そのキャッシュバックの対象金額分を前記振替金額として算出するルールを設定可能である
ことを特徴とする端数資金振替蓄積システム。
顧客の入力操作に応じて設定されたルール情報に基づいて、当該顧客の資金口座から所定の蓄積口座へ資金を振り替えて、所定の目標金額を蓄積させるためのシステムであって、
入力操作に応じて設定された所定の資金計算ルール情報を記憶する資金計算ルール記憶手段と、
前記顧客の資金口座に関する口座情報を記憶する口座情報記憶手段と、
前記資金計算ルール情報に基づいて、前記顧客の資金口座から所定の蓄積口座に振り替えるべき振替資金の振替金額を計算する資金計算手段と、
前記計算された振替金額に基づいて、前記顧客の資金口座を管理する所定の金融機関装置に所定の資金振替指示情報を送信する資金振替指示手段と、
前記振替金額を含む所定の蓄積資金情報を生成する蓄積資金情報生成手段と、を備え、
前記資金計算ルールとして、
所定の利用明細情報又は取引情報の金額と所定の設定金額との差で示される端数金額を、前記振替金額として算出する端数ルールを設定可能であり、
ユーザにより設定された所定期間毎に所定の固定金額を前記振替金額として算出する定期ルールを設定可能であり、
ユーザにより予め設定された所定のポイント付与サービスが行われた場合に、そのポイント付与の対象金額分を前記振替金額として算出するルールを設定可能である
ことを特徴とする端数資金振替蓄積システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る
情報処理システムとして、端数資金振替蓄積システムの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
ここで、以下に示す本発明の端数資金振替蓄積システムは、プログラム(ソフトウェア)の命令によりコンピュータで実行される処理,手段,機能によって実現される。プログラムは、コンピュータの各構成要素に指令を送り、以下に示す本発明に係る所定の処理や機能等を行わせることができる。すなわち、本発明における各処理や手段,機能は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段によって実現される。
【0015】
なお、プログラムの全部又は一部は、例えば、磁気ディスク,光ディスク,半導体メモリ,その他任意のコンピュータで読取り可能な記録媒体により提供され、記録媒体から読み出されたプログラムがコンピュータにインストールされて実行される。また、プログラムは、記録媒体を介さず、通信回線を通じて直接にコンピュータにロードし実行することもできる。また、本発明に係る端数資金振替蓄積システムは、単一の情報処理装置(例えば1台のパーソナルコンピュータ等)で構成することもでき、複数の情報処理装置(例えば複数台のサーバコンピュータ群等)で構成することもできる。
【0016】
[システム構成]
図1に、本発明の一実施形態に係る端数資金振替蓄積システムの構成を示す。
同図に示す本発明の一実施形態に係るシステムは、端数資金振替蓄積サーバ10と、金融機関装置20,30、顧客端末40を備えた端数資金振替蓄積システム1として構成されている。
これら端数資金振替蓄積システム1を構成する端数資金振替蓄積サーバ10,金融機関装置20,30,顧客端末40は、例えばインターネット等の所定のネットワークを介して、相互にデータ通信可能に接続される。
【0017】
[端数資金振替蓄積サーバ10]
端数資金振替蓄積サーバ10は、顧客の入力操作に応じて設定されたルール情報に基づいて、当該顧客の資金口座から所定の蓄積口座へ資金を振り替えて、所定の目標金額を蓄積させるための情報処理装置であり、本発明に係る端数資金振替蓄積システムを構成している。
具体的には、端数資金振替蓄積サーバ10は、例えば1又は2以上のサーバコンピュータや、クラウドコンピューティングサービス上に構築された1又は2以上の仮想サーバからなるサーバシステム等によって構成することができる。なお、
図1に示される端数資金振替蓄積サーバ10の構成要素を、適宜、顧客端末40に持たせることも可能であり、例えば、資金計算ルールDB11、資金計算手段13及び資金計算結果DB14を顧客端末40上で実装することもできる。
この端数資金振替蓄積サーバ10には、図示しないOS(Operating System)やDBMS(DataBase Management System)などが備えられ、サーバコンピュータとして運用されるようになっている。
【0018】
そして、端数資金振替蓄積サーバ10には、Webサーバプログラムなどのミドルウェア上で稼働するソフトウェアが実装されるようになっている。
このソフトウェアは、1又は2以上の顧客端末40に対して、インターネット等のネットワークを介して、例えばAPI(Application Programming Interface)という形で利用可能なアプリケーションを公開、提供する。
これにより、各顧客端末40では、金融機関の顧客(以下「ユーザ」という)に対して提供される、例えば資産運用の提案,アドバイス等のサービスを提供するために運用される専用のアプリケーションプログラムやウェブブラウザ等を呼び出すことにより、本発明に係る端数資金振替蓄積システムの機能を実行させることができる。
【0019】
また、端数資金振替蓄積サーバ10には、データベース等として実装される後述する資金計算ルールDB11,口座情報DB12,資金振替結果DB16を備えるとともに、本発明に係る端数資金振替蓄積システムの運用に必要となる所定の情報を取得・蓄積する記憶手段が備えられる。
記憶手段には、各種の情報リソースとして、後述する金融機関のユーザの口座情報や属性情報,取引履歴情報などが記憶されるとともに、本実施形態に係る端数資金振替蓄積サーバ10に必要となる所定の情報が格納され、端数資金振替蓄積サーバ10の運用に伴って随時必要な情報が読み出されて、記憶・更新される。
【0020】
なお、このように端数資金振替蓄積サーバ10に記憶・蓄積される情報は、例えば金融機関装置20,30を備える各金融機関が有する勘定系・情報系の情報処理システムとなる自前の金融機関システムや、複数の金融機関に対して勘定系・情報系の情報処理システムを提供する金融機関基幹システムから、日次処理等により定期的に抽出して、端数資金振替蓄積サーバ10で取得、蓄積することができる。また、金融機関が連携できる自前の情報処理システムや外部の基幹システム等を有していない場合には、例えば手動で各種情報を端数資金振替蓄積サーバ10に登録・蓄積することもできる。
さらに、端数資金振替蓄積サーバ10に蓄積された情報は、ネットワークを介して、他のプログラム(例えば顧客端末40のアプリケーション等)において取得・参照することができる。また、例えば、端数資金振替蓄積サーバ10に蓄積された情報を、ネットワークを介して、金融機関装置20又は30のプログラムにおいて取得・参照することができる場合、金融機関(カード会社または銀行)は、ユーザが設定したルールや取引履歴情報から、ユーザのライフスタイルや嗜好を分析して、マーケティングに利用することができる。
【0021】
そして、以上のような端数資金振替蓄積サーバ10は、具体的には、
図1に示すように、資金計算ルールDB11,口座情報DB12,資金計算手段13,資金計算結果DB14,資金振替指示手段15,資金振替結果DB16,蓄積資金参照手段17として機能するように構成されている。
資金計算ルールDB11は、後述する顧客端末40から入力操作に応じて設定された目標金額を含む所定の資金計算ルール情報を記憶する手段である。
ここで、資金計算ルールDB11に記憶される資金計算ルール情報としては、後述するように、ユーザが顧客端末40を介して設定する所定情報として、所定の目標金額や、目標金額を達成するための各種のルール(端数ルール,節約ルール,定期ルール,その他ルール等)などがある(後述する
図2参照)。
【0022】
口座情報DB12は、ユーザの資金口座等を管理する金融機関装置20,30から、当該顧客の資金口座等に関する口座情報を受信して記憶する記憶手段である。
ここで、口座情報DB12に記憶される口座情報としては、後述するカード会社の金融機関装置20から送信されるカードの利用明細情報、銀行の金融機関装置30から送信される資金口座の取引情報などがある(後述する
図3,4,9,11参照)。
【0023】
資金計算手段13は、上述の資金計算ルール情報及び口座情報に基づいて、当該ユーザの資金口座から所定の蓄積口座へ振り替えるべき振替資金の振替金額を計算する手段である(後述する
図3,4,9,11参照)。
具体的には、資金計算手段13は、ユーザの資金口座の引落金額と所定の設定金額との差で示される端数金額を、本発明に係る「振替金額」として算出するようになっている。
また、資金計算手段13は、上記の端数金額とともに、又は端数金額に換えて、所定の固定金額を、本発明に係る「振替金額」として算出することができる。
また、資金計算手段13は、所定のイベント情報が入力された場合に、上述した固定金額を「振替金額」として算出することができる。
【0024】
さらに、資金計算手段13は、上述したユーザの資金口座の引落金額が所定値に達したことを算出することができ、後述する蓄積資金参照手段17に、引落金額が所定値に達したことを示す情報、例えばアラート通知を顧客端末40に送信させることできる。
また、資金計算手段13は、所定期間(例えば1カ月等)の目標金額が設定されている場合に、その所定期間内の振替金額の総計が目標金額に達しない可能性があることを算出することができ、蓄積資金参照手段17に、そのような振替金額の総計が目標金額に達しない可能性があることを示す情報(アラート通知等)を顧客端末40に送信させることができる。振替金額が目標金額に到達しない可能性については、過去(例えば前月)の実績と比較することで推定することができる。
このようなアラート通知等の報知を行うことで、例えば引落金額が多くなって後述する節約ルールが守れなくなったり、目標金額の達成が困難になる可能性がある場合に、その旨をユーザに通知して、無駄遣いを止めて節約を促すことができるようになる。
【0025】
資金計算結果DB14は、資金計算手段13で算出される振替資金を含む資金計算結果を示す情報を記憶する記憶手段である。
資金計算結果DB14に記憶される資金計算結果情報は、上記のような資金計算手段13で計算・算出された「振替金額」を含む、後述する資金口座から蓄積口座への振替処理を実行するために必要となる所定の情報である(後述する
図3,4,9,11参照)。
資金振替指示手段15は、資金計算結果DB14に記憶される資金計算結果情報に基づいて、金融機関装置30に所定の資金振替指示情報を送信する手段である。
【0026】
資金振替結果DB16は、資金振替指示情報を送信した金融機関装置30から、当該資金振替指示情報に基づく資金振替結果を示す情報を受信して記憶する手段である。
資金振替結果DB16に記憶される資金振替結果情報は、上記のような資金振替指示手段15の指示によって金融機関装置30で実行された資金口座から蓄積口座への振替処理の結果を示す所定の情報である(後述する
図3,4,9,11参照)。
【0027】
蓄積資金参照手段17は、資金振替結果を含む所定の蓄積資金情報を生成して、ユーザが操作可能な顧客端末40に参照可能に送信する手段である。この蓄積資金参照手段17が、本発明に係る蓄積資金情報生成手段を構成する。
蓄積資金参照手段17で生成・出力される蓄積資金情報としては、上記のような振替処理が実行される金融機関装置30の蓄積口座の現在の蓄積資金の金額等を示す所定の情報である(後述する
図5,10,12参照)。
以上のような本実施形態に係る端数資金振替蓄積サーバ10で実現される各手段の具体的な機能・動作については、顧客端末40に出力・表示される表示画面例を参照しつつ後述する(
図2〜13参照)。
【0028】
[金融機関装置20,30]
金融機関装置20,30は、例えばカード会社や銀行などの金融機関に備えられる情報処理装置であって、上述した端数資金振替蓄積サーバ10とデータ通信可能に接続されるようになっている。
図1に示す例では、金融機関装置20はカード会社に設置される情報処理装置、金融機関装置30は銀行に設置される情報処理装置となっている。
【0029】
[カード会社]
カード会社に設置される金融機関装置20は、当該カード会社が運営するカードの利用明細情報が記憶される記憶手段としてカード利用明細DB21が備えられる。
カード利用明細DB21に記憶される情報としては、当該カード会社が管理・運営する各カードについてのユーザの属性情報と、当該カードの利用日時や利用金額,利用内容等を示す利用明細情報などがある。
このカード会社が保有・管理する利用明細情報が、ユーザが目標金額の蓄積のための振替金額を算出するための、本発明に係る「引落金額」となる。
【0030】
ここで、カード会社が運営するカードとしては、例えばクレジットカード,交通系カード,流通系プリペイドカード,各種電子マネーカード,ポイントカードなどがある。
そして、カード利用明細DB21に記憶される情報が、ネットワークを介して端数資金振替蓄積サーバに送信され、各ユーザの口座情報として口座情報DBに記憶されるようになっている。
【0031】
[銀行]
銀行に設置される金融機関装置30は、当該銀行が運営する預金口座の情報が記憶される記憶手段として資金口座DB31が備えられる。
資金口座DB31に記憶される情報としては、当該銀行が管理・運営する各種の預金口座(例えば普通預金・当座預金等の口座)についてのユーザの属性情報と、当該預金口座の残高や出入金履歴等の取引情報などがある。
この預金口座が、ユーザが目標金額の蓄積のために振り返る資金の振替元となる、本発明に係る「資金口座」を構成している。
また、この預金口座の取引情報が示す当該預金口座からの引落金額が、ユーザが目標金額の蓄積のための振替金額を算出するための、本発明に係る「引落金額」となる。
【0032】
ここで、銀行が管理・運営する預金口座としては、例えば普通預金や当座預金,貯蓄預金,通常貯金などの流動性の高い預金(貯金)口座や、定期預金や通知預金,積立預金などの流動性の低い預金(貯金)口座がある。
そして、カードや公共料金などの引落口座として利用可能な口座、具体的には普通預金や当座預金が、本発明に係る「資金口座」となる。
この資金口座DB31に記憶される情報が、ネットワークを介して端数資金振替蓄積サーバに送信され、各ユーザの口座情報として口座情報DBに記憶されるようになっている。
【0033】
また、金融機関装置30は、当該銀行が運営する預金口座として、ユーザが目標金額の蓄積のために振り返る資金の振替先となる、本発明に係る「蓄積口座」(資金貯金口座)の情報が記憶される記憶手段として蓄積口座DB32が備えられる。
蓄積口座は、本発明に係る振替資金を蓄積・貯金するために用いられる口座であり、ユーザが入出金等の取引を行うことができない専用の口座、例えば当該金融機関の別段預金や債券購入用のプール口座等が割り当てられる。この蓄積口座が、ユーザが目標金額の蓄積のために振り返る資金の振替先となる、本発明に係る「蓄積口座」を構成している。
蓄積口座DB32に記憶される情報としては、当該口座を利用する各ユーザの属性情報と、ユーザ毎の蓄積口座の残高や出入金履歴等の取引情報などがある。
この蓄積口座DB32に記憶される取引情報が、ユーザが目標金額の蓄積のための資金の振替結果を含む所定情報を示す、本発明に係る「蓄積参照情報」となる。
【0034】
なお、以上のような蓄積口座は、後述するように、一人(単一)のユーザによって複数の蓄積口座を設定することが可能である。これによって、例えば蓄積口座として、純粋な資金貯蓄用の口座と募金用の口座というように、貯蓄の目的や目標金額、節約対象などに応じて、複数の蓄積口座を設けることができ(後述する
図8〜12参照)、より積極的かつ前向きな貯蓄や節約行動を促すことができるようになる。
また、蓄積口座は、複数のユーザによって一つ(共通)の蓄積口座を設定することも可能である。これによって、例えば家族三人で一つの蓄積口座に端数資金や節約資金を貯蓄することができ(後述する
図13参照)、より効率的な貯蓄が行えるようにすることができる。
【0035】
そして、金融機関装置30では、上記のような蓄積口座の振替金額が所定金額になると、その振替資金によって、所定の金融商品の購入処理(資金の移動)を実行することができる。金融商品の購入処理は、金融機関装置30において自動的に、あるいは、ユーザの承認・依頼を得た後に実行することができる。
ここで、蓄積口座の振替資金によって購入(資金移動)可能な金融商品としては、例えば定期預金や外貨預金、投資信託や株式・債券等の証券などがある。
なお、金融商品の購入(資金移動)は、金融機関装置30が備えられる同一の金融機関(銀行)において、当該金融機関が販売する金融商品(定期預金等)を購入することもできるが、金融機関装置30が備えられる金融機関とは異なる他の金融機関、例えば他の銀行や証券会社、外国銀行等が販売する金融商品を購入することもできる。その場合には、購入資金となる振替資金を、他の金融機関に送金・振替等を行って所望の金融商品を購入することができる。
【0036】
以上のような金融機関装置20,30が備えられる各金融機関は、自前の金融機関システムを備えるか、あるいは、外部の金融機関基幹システムによって、各金融機関が販売する投資商品や融資商品の情報や、当該金融機関のユーザの属性情報、口座取引の履歴情報、アクセス履歴の情報、カードの利用明細情報などを記憶・管理することができる。
このような金融機関システム・金融機関基幹システムは、対応する金融機関が有する勘定系・情報系の情報処理システムとして機能するものである。
なお、金融機関基幹システムとは、例えば1又は2以上の金融機関の外部委託に応じて当該金融機関のデータシステムの運用を業務として請け負う、所謂システム・インテグレーターと呼ばれる情報システム企業が所有する巨大なサーバシステム群によって構成・運用される。このような金融機関基幹システム50としては、例えば株式会社野村総合研究所が運用する、証券基幹系システム(STAR(登録商標))、銀行の金融商品仲介システム(BESTWAY(登録商標))などが知られている。
【0037】
[顧客端末40]
顧客端末40は、上述した金融機関(銀行・カード会社)のユーザ(顧客・投資家)が利用可能な情報処理装置であり、例えばユーザが自己所有するスマートフォンや携帯端末,PC,タブレット,金融機関装置20,30が備えられる金融機関側に設置されるPCや専用端末装置などで構成される。
この顧客端末40をユーザが操作して、端数資金振替蓄積サーバ10が提供するプログラムを呼び出すことができ、本発明に係る端数資金振替蓄積システムで提供される機能・サービスを実行・利用することができる。
【0038】
具体的には、本実施形態に係る顧客端末40は、資金計算ルール設定手段41と、表示手段42を備えている。
資金計算ルール設定手段41は、顧客端末40の入力手段(例えばタッチパネルやマウス,キーボード等)を介して行われるユーザの入力操作に応じて、貯蓄目標となる目標金額や所定の資金計算ルール情報を設定する手段である。
ここで、資金計算ルール設定手段41で設定可能な資金計算ルール情報としては、後述するように、貯蓄金額の目標となる所定の目標金額と、目標金額を達成するための各種のルール(端数ルール,節約ルール,定期ルール,その他ルール等)などがある(後述する
図2参照)。
【0039】
表示手段42は、顧客端末40に備えられる表示部・ディスプレイであり、例えばスマートフォンやタブレットのタッチパネル表示部や、PCに接続された液晶ディスプレイなどで構成される。この表示手段42を介して、上述した端数資金振替蓄積サーバ10の蓄積資金参照手段17で生成された所定の蓄積資金情報が、ユーザに視認可能に表示されるようになる。
ここで、表示手段42において出力・表示される蓄積資金情報は、上述した端数資金振替蓄積サーバ10で指示・実行される振替処理が実行される金融機関装置30の蓄積口座の現在の蓄積資金の金額等を示す所定の情報である(後述する
図5,10,12参照)。
【0040】
以上のようにして、本実施形態に係るユーザは、顧客端末40を使用して、インターネット等を介して端数資金振替蓄積サーバ10が提供するWebアプリケーション等にアクセスし、本発明に係る端数資金振替蓄積システムの機能を実行させることができるものである。
但し、このような本実施形態の構成に限られず、例えば、顧客端末40に専用のソフトウェアを導入・インストールして、金融機関装置20,30と直接通信することにより、本発明に係る端数資金振替蓄積システムの機能を実行させることもできる。この場合には、顧客端末40自身が、端数資金振替蓄積サーバ10を構成することになる。
また、例えば銀行の金融機関装置30に専用のソフトウェアを導入することにより、金融機関装置30と顧客端末40との間で直接的に本発明に係る端数資金振替蓄積システムの機能を実行させることもできる。この場合には、金融機関装置30が、端数資金振替蓄積サーバ10を構成することになる。
【0041】
[端数資金振替蓄積方法]
次に、以上のような構成からなる本実施形態に係る端数資金振替蓄積システム1の具体的な処理動作(端数資金振替蓄積方法)について、
図2〜13を参照しつつ説明する。
まず、端数資金振替蓄積システム1の処理動作の前提として、ユーザの入力操作に応じて、顧客端末40から端数資金振替蓄積サーバ10に対して所定の資金計算ルールが設定される。
図2は、本実施形態に係る端数資金振替蓄積サーバ10において設定可能な「資金計算ルール」の一例を示す説明図である。
【0042】
[資金計算ルール]
資金計算ルールの設定は、ユーザが、自己が操作可能な顧客端末40(例えばスマートフォンやPC)を介して、専用アプリケーション又は指定のウェブサイト上で、所定の「資金計算ルール」の画面(
図6(b)参照)を開き、各種設定を行うことができる。設定された資金計算ルールは、端数資金振替蓄積サーバ10側の資金計算ルールDB11に格納される。
本実施形態では、資金計算ルールとして、
図2に示すように、所望の「目標金額」が設定されるとともに、「端数ルール」,「節約ルール」,「定期ルール」,「その他ルール」がそれぞれ設定されるようになっている。
【0043】
具体的には、
図2に示す例では、所定の「目標金額」達成のために以下のような「ルール」が設定可能であり、設定されたルールに従って算出される金額が「振替資金」として所定の資金口座から蓄積口座への振替対象とされ、「自動」又は「手動」の振替モードによって振替処理されるようになる。
[端数ルール]
・100円〜999円の引落:1000円との差額の下2桁・手動
・1,000円〜9,999円の引落:10,000円との差額の下3桁・手動
・10,000円以上の引落:10,000円単位との差額の下3桁・手動
[節約ルール]
・電気料金:20,000円との差額・自動
・水道料金:10,000円との差額・自動
・通信料金:10,000円との差額・自動
・外食:40,000円との差額・自動
[定期ルール]
・毎月:5,000円・自動
・毎週:0円・自動
・毎日:0円・自動
[その他ルール]
・キャッシュバック:全額・自動
・●●ポイント:全額・自動
・巨人勝利:100円・自動
・10Km走:100円・自動
【0044】
以上のような「資金計算ルール」が設定されることにより、まず「端数ルール」により、ユーザが日々の買い物等でカードを利用して引落口座からの引落があると、現金の紙幣(お札)で支払いをした場合に発生する釣銭(おつり)に相当する端数が資金計算手段13で算出され、その金額が振替資金として資金口座から蓄積口座に振り替えられることになる。例えば、「4,860円」の引落がある場合には、資金計算手段13で「5,000円−4,860円=140円」の計算処理が行われ、振替資金が「140円」と算出される。
なお、カードの利用・引落は、カード会社の金融機関装置20から送信されるカード利用明細情報に基づいて資金計算手段13によって参照・判別される。
【0045】
また、「節約ルール」により、電気料金等の光熱費や公共料金,あるいは外食等について、設定金額の差額が節約金として資金計算手段13で算出され、その金額が振替資金として資金口座から蓄積口座に振り替えられることになる。例えば、「電気料金」の設定金額として「20,000円」が設定され、ある月の電気料金の引落が「15,220円」であった場合には、資金計算手段13で「20,000円−15,220円=4,780円」の計算処理が行われ、振替資金が「4,780円」と算出される。
したがって、例えば電気料金の引落金額が設定金額(20,000円)を超える場合には、振替資金は算出されず、振替処理は実行されないことになる。
【0046】
なお、光熱費・公共料金の引落は、銀行の金融機関装置30から送信される引落情報に基づいて、あるいは、カード利用の場合にはカード会社の金融機関装置20から送信されるカード利用明細情報に基づいて、資金計算手段13によって参照・判別される。
また、外食の引落は、上述しカード利用明細情報に基づいて判別される。例えば、カード会社のカード利用明細情報から業種コードを取得できる場合には、業種コードで判別することができる。また、業種コードがない場合には、店舗等の名称で判別することができる。また、ユーザが既存のカード明細から外食に分類する明細を指定することも可能である。
【0047】
また、「定期ルール」が設定されることにより、例えば毎月・毎週・毎日等の所定周期ごとに、ユーザが設定した所定の固定金額を蓄積口座に振り替えることができる。
これは、既存の積立預金等とほぼ同様のものであるが、積立預金と比較して、少額でもよく、また、細かい周期を設定することができることから、金額や期間の自由度が高まり、ユーザが無理のない範囲で、少額の資金をコツコツと貯蓄することができるという利点がある。
【0048】
さらに、「その他ルール」として、キャッシュバックやポイント付与のサービスについて、それらを受け取らなかったことにして全額を蓄積口座に振り替えることができる。
また、ユーザが任意でルールを設定することができ、所定のイベントが発生した場合、例えば贔屓とするスポーツチーム(例えば巨人,浦和レッズ等)が勝利した場合には一定金額(例えば100円)を貯蓄することができ、貯蓄することが楽しみになるという効果が得られる。
なお、このようなイベント発生の有無は、例えばインターネット上のニュースサイトから該当するイベント情報が入力されることで判定することができる。
【0049】
また、「その他ルール」に該当する所定のイベントとしては、ユーザが例えば何か目標を達成した場合(例えばランニングで10Km走破)に、自分に対する報酬(ご褒美)として、一定金額(例えば100円)を貯蓄することができる。このようにすると、ユーザのランニング等の目標の達成感と相俟って貯蓄の喜びをさらに増大させることが可能となる。
なお、ユーザがランニングした走行距離は、例えばウェアラブル端末やスマホ端末などのランニングを識別できる機器を用いて距離を測定することができ、測定された距離データを、端数資金振替蓄積サーバ10のアプリケーションから取得することできる。
【0050】
また、上記のように設定されたルールに基づく資金の振替は、振替モードとして「手動」と「自動」のいずれかのモードを選択的に設定することができる。
資金の振替モードを「手動」に設定した場合には、振替対象となる金額が抽出されると、その金額について振替対象であることが表示され、ユーザの入力操作に応じて、資金振替指示手段15による振替指示が実行されるようになる(後述する
図5,10,12参照)。したがって、ユーザの判断により、例えば資金事情(懐具合)によっては、振替処理を行わせないことも可能となる。
この場合、ユーザによる「手動」操作がなされるまでは、資金振替ステータスとしては「未貯金」となり、「手動」操作により振替処理が実行されると「貯金済」、また、口座の残高不足により振替処理が実行されなかった場合には「貯金失敗」となる(後述する
図3,4参照)
【0051】
一方、資金の振替モードを「自動」に設定した場合には、振替対象となる金額が抽出されると、自動的に資金振替指示手段15による振替指示が実行されるようになる。なお、この場合には、銀行の資金口座の残高が不足する場合には、振替処理は行われず、また、その旨を示す所定の報知(アラート通知等)が行われるようにすることができる。さらに、「自動」とした場合に、対象とした振替対象となる金額の抽出としては、銀行口座の引き落としレコードやクレジットカード利用明細のレコードが処理対象となり、内容(引き落とし件名、明細件名)から抽出することもできるし、支払先会社名から抽出することもできる。ここで、内容や支払先会社名から内容を分類化し、分類内容に応じて抽出対象とするかどうかを判断してもよい。
この場合、「自動」により振替処理が実行されると、資金振替ステータスとしては「貯金済」となり、また、口座の残高不足により振替処理が実行されなかった場合には「貯金失敗」となる(後述する
図3,4参照)
【0052】
[動作]
以上のような「資金計算ルール」が設定されている場合の、本実施形態における端数資金振替蓄積システム1の動作の一例について、
図3,4を参照しつつ説明する。
図3及び4は、本実施形態における端数資金振替蓄積システム1の動作の一例を示す説明図である。
まず、端数資金振替蓄積サーバ10では、
図3に示すように、定期的に口座情報DB12に格納されている銀行口座やカード利用明細の情報が参照され、資金計算ルールDB11に設定された資金計算ルールに従って、資金計算手段13で資金計算が実行され、その資金計算結果が資金計算結果DB14に出力され記憶される。
なお、口座情報DB12に格納される口座情報は、カード会社の金融機関装置20及び銀行の金融機関装置30から所定のタイミング(例えば日次処理)で必要な情報が送信され、口座情報DB12の情報が更新されるようになっている。
【0053】
図3に示す例では、4月11日の処理動作が示されており、銀行の金融機関装置30からの口座情報として、当該ユーザの普通預金口座の取引として「4月3日:電気料金・15,220円」、「4月11日:テニススクール・4,860円」の引落情報が送信され、また、カード会社の金融機関装置20からのカード利用明細情報として「4月11日:NIFTY・6,230円」の利用明細情報が送信され、それぞれ口座情報DB12の口座情報として記憶されている。
この状態で、所定のタイミング(例えば毎日,一日2回等)で資金計算手段13による資金計算処理が実行される。
資金計算処理は、上述した予め設定された「資金計算ルール」が参照されて所定の計算処理が行われる。
【0054】
図3に示す例では、4月11日の資金計算処理として、「4月11日:テニススクール・4,860円」について、「資金額:140円・資金振替モード:手動・資金振替ステータス:未貯金」の計算・判別が行われ、また、「4月11日:NIFTY・6,230円」について、「資金額:770円・資金振替モード:手動・資金振替ステータス:未貯金」の計算・判別が行われる。
さらに、「資金計算ルール」に基づいて、「4月11日:定期ルール(毎月)・資金額5,000円・資金振替モード:自動・資金振替ステータス:未貯金」の計算・判別が実行される。
この資金計算手段13での計算結果は、資金計算結果DB14に格納される。
【0055】
その後、資金計算結果DB14の格納された資金計算結果情報に基づいて、資金振替指示手段15により銀行の金融機関装置30に対して資金振替指示情報が送信される。
この資金振替指示では、資金計算結果DB14の資金振替モードが「自動」、又は資金振替ステータスが「貯金する」(
図4参照)に設定されている明細を処理対象とする。
資金振替モードが「手動」に設定されている場合には、ユーザの手動操作が行われるまでは、資金振替指示は送信されない。
【0056】
資金振替指示が送信されると、対象となる金融機関装置30では、該当する資金口座(普通預金口座等)の残高が不足しない範囲で、銀行内の別口座(蓄積口座)への振替処理が実行される。
その後、振替指示の結果が、振替指示を金融機関装置30に送信した後、所定のタイミングで送信され、端数資金振替蓄積サーバ10で取得され、その情報が資金振替結果DB16に格納される。
なお、この金融機関装置30からの振替処理の結果は、振替処理が実行されるのと同時にリアルタイムで送信され、あるいは、金融機関の振替処理が終了した後に、所定のタイミングで金融機関装置30から通知を受けることができる。また、この金融機関装置30から振替結果が取得されるまでは、端数資金振替蓄積サーバ10側での資金振替ステータスは「未貯金」のままとなる。
【0057】
図3に示す例では、「4月11日:テニススクール・4,860円・資金額:140円・資金振替モード:手動」と、「4月11日:NIFTY・6,230円・資金額:770円・資金振替モード:手動」については資金振替指示が実行されず、資金振替ステータスは「未貯金」のままとなっている。
一方、「4月11日:定期ルール(毎月)・資金額5,000円・資金振替モード:自動」については、資金振替指示が行われ、その結果、資金振替ステータスは「貯金済」となっている。
また、同図に示すように、「4月3日:電気料金・15,220円・資金額:4,780円・資金振替モード:自動」については、資金振替ステータスが「貯金失敗」となっており、口座の残高不足によって、振替処理が実行されなかったことが分かる。
このようにして、金融機関装置30からの振替結果に応じて、資金振替ステータスを示す情報、振替が成功した場合には「貯金済」と、また、振替が失敗した場合には「貯金失敗」と変更され、この変更後の情報が、資金振替結果情報として資金振替結果DB16に格納され更新される。
【0058】
この振替結果は、振替処理の終了後に、顧客端末40の表示手段42の画面上で表示・確認することができる(
図5参照)。
そして、この顧客端末40の画面上で、上述した「未貯金」又は「貯金失敗」の資金振替ステータスを、「貯金する」に変更することができる。資金振替ステータスが「貯金する」に変更されると、次回の資金振替指示の処理対象となり、「貯金する」が資金振替指示の入力データとして記憶・更新される。
この点について、
図4を参照しつつ説明する。
【0059】
図4は、
図3に示した処理の翌日の4月12日に、資金振替ステータスが「貯金する」に変更される場合の例を示している。
まず、
図4に示す4月12日の処理では、口座情報DB12の口座情報に変更はなく、また、資金計算手段13での計算処理も行われていない。したがって、資金計算結果DB14の格納データにも変動はない。
この状態で、ユーザが顧客端末40を操作して、
図3に示す「4月11日:NIFTY・6,230円・資金額:770円・資金振替モード:手動・資金振替ステータス:未貯金」について、資金振替ステータスを「貯金する」に変更する。
【0060】
このように顧客端末40から、「未貯金」(又は「貯金失敗」)の資金振替ステータスが、「貯金する」に変更されると、資金振替結果DB16の格納情報が更新される。
その後、所定の処理タイミングで、資金振替指示手段15により該当する「4月11日:NIFTY・6,230円・資金額:770円」が資金振替指示の処理対象として抽出され、金融機関装置30に資金振替指示が送信される。
資金振替指示が送信された金融機関装置30では、該当する資金口座から蓄積口座への振替処理が実行され、その振替指示結果が端数資金振替蓄積サーバ10に送信される。
これによって、資金振替結果DB16の情報が更新される。
図4に示す例では、「4月11日:NIFTY・6,230円・資金額:770円・資金振替モード:手動」の資金振替ステータスが、「未貯金」から「貯金済」に更新されていることが分かる。
【0061】
そして、以上にようにして行われる資金振替処理の結果は、顧客端末40からの参照要求に応じて、蓄積資金参照手段17によって蓄積資金情報として生成され、顧客端末40の表示手段42において表示・閲覧することができる。
図5は、本実施形態に係る顧客端末40の表示手段42に表示される蓄積資金情報の表示画面の一例を示しており、(a)は
図3に対応する時点の蓄積資金情報、(b)は
図4に対応する時点の蓄積資金情報である。
【0062】
図5(a)に示す例では、現在の「貯金中の資金額:5,000円」、目標金額「10,000円」が示されるとともに、「4月11日・4,860円・テニススクール・+140円」については「未貯金」、「4月11日・6,230円・NIFTY・+770円」については「未貯金」、「4月11日・定期ルール(毎月)・+5,000円」については「貯金済」であることが示されている。
また、前日4月10日に金融商品の購入資金として「−13,121円」が資金振替(金融商品への資金移動)されていることが示されている。
さらに、「4月3日・15,220円・電気料金・+4,780円」については「貯金失敗」であることが示されている。
【0063】
一方、
図5(b)に示す例では、
図5(a)の画面とほぼ同様のとなっているが、「4月11日・6,230円・NIFTY・+770円」についてが、「未貯金」から「貯金済」に表示が変わっており、また、現在の「貯金中の資金額:5,770円」に増加していることが分かる。
このようにして、ユーザは、自己が操作する顧客端末40を介して、随時、現在の蓄積資金や振替処理の状況を閲覧・参照することができ、また、資金振替ステータスを変更することができる。
【0064】
なお、資金振替ステータスの変更は、
図5(a)に示す「未貯金」のアイコン表示をタップ操作等することにより、「未貯金」と「貯金する」の設定を切り替えることができる。
同様に、「貯金失敗」のアイコン表示を、タップ操作等することで「貯金する」に切り替えることができる。
また、
図5(a),(b)に示す「手動」又は「自動」の資金振替ステータスについても、タップ操作等によって「自動」・「手動」を切り替えることができる。
【0065】
また、上述した
図3〜5では特に図示していないが、上述した「節約ルール」として「電気料金:20,000円以下」と設定されている場合には(
図2参照)、その月の電気料金が20,000円近くになったら(例えば設定金額の80%(16,000円)を超えたら)、所定のアラートを通知することができる。アラート通知としては、例えば表示画面の「電気料金」の項目中に所定の文字や警告表示等を表示させることができる。
アラート通知のタイミングは、例えば端数資金振替蓄積サーバ10側でデフォルト値を予め設定しておくことができ、必要であれば、ユーザが専用アプリケーションやウェブサイト上の設定画面で変更することもできる。なお、アラート通知を「しない」の設定もできる。
【0066】
また、上述したように、例えばその月の目標貯金額を設定している場合に、その金額に到達しそうでない場合にもアラート通知を行うことができる。目標金額に到達しそうかしそうでないかは、例えば前月の実績と比較することで推定・判別することができる。
また、目標貯金額に、連続して早い段階で達成している場合、設定金額を引き上げるように、所定のメッセージを通知することができる。例えば、毎月20日より前に設定金額の100%に到達する月が、所定回数(例えば、3回)連続した場合、過去の実績を表示するとともに、現在の目標金額に所定金額を加算した金額を新たな目標金額に設定して「目標金額15,000円に挑戦しませんか?」といったメッセージを表示して、ユーザの資金状況に合致した、より効率よい貯蓄を提案することができる。
【0067】
そして、上記のような資金振替の処理動作を行うことによって、金融機関装置30の蓄積口座の振替金額が所定金額になると、その振替資金によって、所定の金融商品の購入処理(資金の移動)が実行される。
この金融商品の購入は、例えば月に一度、設定された「月締め日」(
図6(c)参照)における蓄積口座の金額が「月間目標貯金額」(
図7(c)参照)を超えている場合に、所定の金融商品の購入(資金移動)が行われるようにすることができる。
これによってユーザは、日々の端数資金や節約資金で貯めた蓄積資金を、より有利な配当や利回りが得られる金融商品にシフトさせることができ、効率的な資産運用等が実現されることになる。
【0068】
[設定表示画面]
次に、以上のような端数資金振替蓄積システム1において、顧客端末40側で入力・設定可能な端数資金振替蓄積サーバ10に対する設定項目の入力表示画面の一例を
図6,7に示す。
図6(a)は、端数資金振替蓄積サーバ10に設定可能な各種設定項目を選択可能に表示する画面である。
同図に示すように、この画面から、「資金計算ルール」,「月締め日」,「アラート通知」,「月間目標金額」,「資金貯金用口座」の各項目を選択し、それぞれ詳細な設定を行うことができる。
【0069】
図6(b)は、「資金計算ルール」の設定画面である。
この画面から、上述した「資金計算ルール」としての「端数ルール」,「節約ルール」,「定期ルール」,「その他ルール」の各項目の要否と、それぞれについての「手動」又は「自動」の資金振替モードを選択して設定することができる。
図6(c)は、「月締め日」の設定画面である。
この画面から、蓄積口座に振り替えられた貯蓄資金についての月締め処理が行われる基準日を設定することができ、同図では月締め日として「月末」が選択・設定されている場合である。
【0070】
図7(a)は、「アラート通知」の設定画面である。
同図に示すように、本実施形態では、「アラート通知」を行う場合として、「月間目標貯金額」と「節約ルール」のそれぞれについて設定が行えるようになっている。
「アラート通知」を「月間目標金額」に設定した場合(
図7(b)参照)、その金額に到達しそうでないと推定・判定された場合に、所定のアラート通知が行われるようにすることができる。また、「アラート通知」を「節約ルール」に設定する場合には、「節約ルール」として設定した上限金額(節約金額)、例えば「電気料金:20,000円以下」や「外食:40,000円以下」に対して、所定の比率(例えば設定金額の80%)に達した場合に、所定のアラート通知が行われるようにすることができる(
図7(b)参照)。
図7(c)は、「月間目標貯金額」の設定画面である。
この画面から、端数資金振替蓄積システム1を用いて蓄積口座に振り替える資金の「月間目標貯金額」(本発明に係る目標金額)を設定することができる。
【0071】
[複数口座設定]
以上のような本発明の一実施形態に係る端数資金振替蓄積システム1では、振替資金を貯蓄するための蓄積口座として、一人(単一)のユーザによって複数の蓄積口座を設定することができる。
図8は、顧客端末40の設定画面から、蓄積口座を複数設定する場合の表示画面の一例であり、
図8(a)は、
図6(a)で選択された「資金貯金用口座」の設定画面で「新しい資金貯金用口座を作成する」が選択された場合であり、
図8(b)は、その結果、「募金用」口座が作成された場合の画面を、また、
図8(c)は(b)で選択・設定された「募金用」口座の設定画面である。
【0072】
このような顧客端末40からの設定により、金融機関では、例えば別段預金やプール口座等に、複数の蓄積口座が割り当てられるようになっている。
図8に示す例では、「資金貯金用口座」として、メインとなる「標準」口座に加えて、「募金用」口座が設けられ、その「募金用」口座には、所定のポイント付与(●●ポイント)が行われると、「自動」で振替処理が実行されるようになっている。
このように、本実施形態では、純粋な資金貯蓄用の「標準」口座と、「募金用」の口座というように、貯蓄の目的や目標金額、節約対象などに応じて、複数の蓄積口座を設けることができ、多様な貯蓄や節約が行えるようになっている。
【0073】
以下、
図9〜12を参照して、蓄積口座として「標準」と「募金用」の2つの口座を設定した場合の振替処理動作について説明する。
図9は、「標準」口座に加えて「募金用」口座を設定した場合において、上述した
図3に対応する引落取引が行われた場合を示しており、
図3の場合と比較して、各引落取引について、いずれの蓄積口座を指定するかの情報(項目)が追加されている。
すなわち、
図9の例では、上述した
図3の場合と同様の銀行取引・カード利用が行われることで、「4月11日:テニススクール・4,860円・資金額:140円」、「4月11日:NIFTY・6,230円・資金額:770円」、「4月11日:定期ルール(毎月)・資金額5,000円」、「4月3日:電気料金・15,220円・資金額:4,780円」の各引落取引については、「資金貯金口座:標準」として処理が行われている。
そして、これに加えて、「4月1日:●●ポイント・500円」については、「資金貯金口座:募金用」として、全額が自動で「募金用」口座に振替処理されていることが分かる。
【0074】
この振替結果は、顧客端末40の表示手段42の画面上で表示・確認することができる(
図10参照)。
図10(a)は、4月11日現在の「標準」口座の貯金状況を示しており、上述した
図5(a)に示した内容と同様となっている。
一方、
図10(b)は、同じ4月11日現在の「募金用」口座の貯金状況が示されており、「4月1日・●●ポイント・+500円」が、「自動」処理によって「貯金済」であることが示されている。
なお、この「標準」口座と「募金用」口座の表示画面(蓄積資金参照情報)の切り替えは、例えば表示画面上の所定の箇所(
図10の表示画面上部の「標準」・「募金用」の文字部分)をスワイプ操作等することで行うことができる。
【0075】
図11は、「標準」口座に加えて「募金用」口座を設定した場合において、上述した
図4に対応する引落取引が行われた場合を示している。
同図に示す例では、上述した
図4の場合と同様の銀行取引・カード利用が行われているところ、
図9に示す「4月11日:NIFTY・6,230円・資金額:770円・資金振替モード:手動・資金振替ステータス:未貯金」について、資金振替ステータスが「貯金する」に変更され、さらに、指定する蓄積口座を「標準」から「募金用」に変更している場合となっている。
蓄積口座の変更は、例えば「未貯金」を「貯金する」に変更する場合に、使用する口座を選択可能な表示画面を生成・表示させることで、「標準」又は「募金用」のいずれかの口座を選択させることができる。
【0076】
このようにして、顧客端末40からの入力操作により、「未貯金」を「貯金する」に変更できるとともに、指定の口座についても選択・変更することができる。これによって、より柔軟で多様性のある貯蓄パターン・節約パターンを提供することができる。
なお、この振替結果についても、顧客端末40の表示手段42の画面上で表示・確認することができる(
図12参照)。
図12(a)は、4月12日現在の「標準」口座の貯金状況を示しており、上述した
図5(a)に示した内容と同様となっている。
一方、
図12(b)は、同じ4月12日現在の「募金用」口座の貯金状況が示されており、「4月1日・●●ポイント・+500円」に加えて、「4月11日・6,230円・NIFTY・+770円」が、「手動」処理によって「貯金済」となっており、「貯金中の資金額:1,270円」に増加していることが確認・参照できる。
【0077】
[共有口座設定]
上記のとおり、本実施形態に係る端数資金振替蓄積システム1においては、貯蓄用の蓄積口座として、一人のユーザが複数の口座を設定することができるようになっている。
さらに、本実施形態では、蓄積口座は、複数のユーザによって一つ(共通)の蓄積口座を設定することができる。
例えば家族三人で一つの蓄積口座に端数資金や節約資金を貯蓄することができる。
図13は、顧客端末40の設定画面から、複数ユーザで共有する一つの蓄積口座を設定する場合の表示画面の一例であり、
図13(a)は、
図6(a)で選択された「資金貯金用口座」の設定画面で「新しい資金貯金用口座を作成する」が選択された場合であり、
図8(b)は、その結果、「共有」口座が作成された場合の画面を、また、
図8(c)は(b)で選択・設定された「共有」口座の設定画面である。
【0078】
このような顧客端末40からの設定により、金融機関では、例えば別段預金やプール口座等に設定される一つの蓄積口座に対して、複数のユーザを割り当てるようになっている。
図13に示す例では、「資金貯金用口座」として、上述した「標準」口座,「募金用」口座に加えて、別途、「共有」口座が設けられ、その「共有」口座に、3人のユーザが設定されるようになっている。
このように、本実施形態に係る蓄積口座を「共有」とすることで、複数(3人)のユーザの個々の銀行取引やカード利用によって発生する端数金額や節約金額等について、一つの蓄積口座に集約して貯蓄・蓄積させることができ、より効率的な貯蓄・資産形成が可能となる。
なお、「共有」口座に設定可能なユーザの数や、共有できる属性等については特に限定されるものではなく、金融機関が設定するユーザ数や属性のユーザ間で共有口座を保有することが可能である。
【0079】
以上説明したように、本実施形態によれば、ユーザが端数資金振替蓄積サーバ10に任意の資金計算ルールを設定することにより、目標となる貯蓄資金に対して、ユーザの日々の支払い等に基づいて算出される端数金額を、貯蓄金として振り替えることができる。
特に、資金計算ルールとして、端数ルール・節約ルール・定期ルール・その他ルールという異なる複数のルールを設定可能とすることで、ユーザにとって無理のない範囲で、効率的かつ継続的な貯蓄を行わせることできる。
また、光熱費や外食等の節約や、好きなイベントや自分への報酬など、ユーザの支出の抑制や節約観念等を促すことができるルール設定により、積極的な貯蓄行動を自然な形で奨励・喚起することが可能となる。
【0080】
したがって、特に個人向けの資産運用アドバイス等を行う際に、個人ユーザの多様なニーズや消費パターン,生活パターン等に柔軟に対応しつつ、金融商品の購入資金を貯蓄させるのに好適なサービスを提供することが可能となる。
このようにして、本発明に係る端数資金振替蓄積システムの一実施形態によれば、様々な個人ユーザの多様なニーズに柔軟に対応することが可能となり、特に日々の生活サイクル等に即した具体的・計画的な資産運用や投資計画等を検討している個人投資家等に好適な提案を行うことができるフィンテック(Fin Tech)として実現することができる。
【0081】
なお、以上説明した本実施形態では、顧客端末40側に出力・表示される表示画面の例として、スマートフォンや携帯電話機のディスプレイのように、比較的小さな画面の表示手段に表示される場合を示している(
図5〜8,10,12,13)。
但し、本発明で生成・表示される表示画面は、例えばPCやタブレット端末の表示手段のように、比較的大きな画面の表示手段に表示することも勿論可能である。
【0082】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、本発明に係る「資金計算ルール」として、「端数ルール」,「節約ルール」,「定期ルール」,「その他ルール」を示したが、これらは「資金計算ルール」の一例であり、これらのみに限定されるものではない。すなわち、本発明に係る「資金計算ルール」は、上述した「端数ルール」,「節約ルール」,「定期ルール」,「その他ルール」の一部又は全部を採用することができ、また、それらとは異なるルールを追加したり置換することができる。ユーザの貯蓄意識や投資意欲を刺激して、効率よく継続的な貯蓄を行わせるためのルール・条件等であれば、本発明に係る「資金計算ルール」として採用することができる。
【0083】
また、上述した実施形態においては、端数資金振替蓄積サーバと金融機関装置とを別々の独立した装置として構成していたが、これらを単一(共通)の装置やシステムによって構成することもできる。
その場合には、本発明に係る端数資金振替蓄積システムが、金融機関に備えられる金融機関装置の一部として実現されることになる。
【0084】
また、上述した実施形態では、本発明に係る資金口座・蓄積口座が備えられる金融機関の具体例として銀行を示しているが、特に銀行のみに限定されるものではない。
ユーザの日々の消費や決済に使われる引落口座を備えることができる金融機関としては、銀行以外にも例えば郵便局や信託銀行,信用金庫,信用組合などであっても良い。
また、資金の振替先となる蓄積口座を備えることができる金融機関としても、上記のような郵便局や信託銀行,信用金庫,信用組合、あるいは証券会社や投資信託会社などであっても良い。
【0085】
また、資金口座を備える金融機関(例えば銀行)と、蓄積口座を備える金融機関(例えば証券会社)とが、異なる金融機関であっても良い。その場合には、資金口座を備える金融機関から、蓄積口座を備える金融機関に対して、送金や振替によって振替資金を移し替えることができる。ここで、上述し実施形態では、資金振替指示手段15は、所定のタイミングで、資金計算結果DB14に記憶される資金計算結果情報に基づいて、金融機関装置30に所定の資金振替指示情報を送信すると説明したが、所定のタイミングとしては処理対象となるレコードが資金計算結果DB14に格納されたタイミング、1日毎、月毎等の所定の定期的なタイミングがある。特に、定期的なタイミングの場合には、複数レコードを合算して合計金額を送金や振替することになるため、銀行手数料がかかる場合には低コストで運用することができる。例えば、支店間の振込であれば手数料無料としている金融機関もあり、銀行手数料が無料であればレコードの追加のタイミングで振込を行い、銀行手数料が有料であれば定期的なタイミングで処理を行うという構成にすることもできる。
また、上記実施形態で示した顧客端末で表示・閲覧可能な表示画面は一例であり、画面の構成や内容は任意に設定・変更できることは言うまでもない。