(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754736
(24)【登録日】2020年8月26日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】タッチディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20200907BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
G06F3/041 430
G06F3/041 422
G06F3/041 450
G09F9/30 338
G09F9/30 349Z
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-145996(P2017-145996)
(22)【出願日】2017年7月28日
(65)【公開番号】特開2018-22485(P2018-22485A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2017年8月24日
【審判番号】不服2019-2440(P2019-2440/J1)
【審判請求日】2019年2月22日
(31)【優先権主張番号】62/369,187
(32)【優先日】2016年7月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/415,471
(32)【優先日】2016年10月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506249381
【氏名又は名称】▲し▼創電子股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】林 志祐
(72)【発明者】
【氏名】林 春生
【合議体】
【審判長】
稲葉 和生
【審判官】
▲吉▼田 耕一
【審判官】
岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−244958(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第105278748(CN,A)
【文献】
特表2015−509245(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0116997(US,A1)
【文献】
特開2014−238816(JP,A)
【文献】
特開2015−122057(JP,A)
【文献】
特開2015−129941(JP,A)
【文献】
特表2016−535882(JP,A)
【文献】
特表2009−540374(JP,A)
【文献】
特開2016−126321(JP,A)
【文献】
特開2002−40468(JP,A)
【文献】
特開平5−323354(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0293499(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/041
G09F9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルと駆動チップを含むタッチディスプレイ装置であって、
前記パネルは、
薄膜トランジスタガラス基板と、
カラーフィルターガラス基板と、
前記薄膜トランジスタガラス基板上に設置された配線層と、
前記薄膜トランジスタガラス基板と前記カラーフィルターガラス基板との間に位置し、かつ、複数個の検出電極が設けられたタッチ電極層と、
少なくとも一部の前記検出電極に接続される接続構造とを含み、
前記パネルは、表示領域および前記表示領域以外の領域である非表示領域を有し、
前記複数個の検出電極が前記表示領域に位置し、前記接続構造および前記駆動チップが前記非表示領域に位置し、
前記駆動チップは前記配線層上に設置され、かつ、上面視において前記タッチ電極層および前記カラーフィルターガラス基板と重ならず、
各前記検出電極が前記表示領域から前記非表示領域まで延伸し、かつ、前記接続構造および前記配線層によって駆動チップに接続される、タッチディスプレイ装置。
【請求項2】
前記パネルの前記表示領域における前記タッチ電極層にビア(Via)またはリード線が存在しない、請求項1に記載のタッチディスプレイ装置。
【請求項3】
前記接続構造は前記非表示領域に設置された複数個の導電粒子を含む、請求項1に記載のタッチディスプレイ装置。
【請求項4】
前記タッチ電極層はカラーフィルターガラス基板に設置され、かつ、前記接続構造は薄膜トランジスタガラス基板上の配線層によって前記駆動チップに接続される、請求項3に記載のタッチディスプレイ装置。
【請求項5】
前記接続構造は前記非表示領域に設置されたビア(Via)を含む、請求項1に記載のタッチディスプレイ装置。
【請求項6】
前記タッチ電極層は薄膜トランジスタガラス基板上の画素アレイ隔離層の第一側に設置され、
前記駆動チップに接続された配線層は前記画素アレイ隔離層の第二側に設置され、かつ前記接続構造のビアが前記画素アレイ隔離層を貫通して前記タッチ電極層および前記配線層を接続する、請求項5に記載のタッチディスプレイ装置。
【請求項7】
前記複数個の検出電極中の第一検出電極および第二検出電極が前記非表示領域まで延伸し、前記非表示領域内で互いに接続される、請求項1に記載のタッチディスプレイ装置。
【請求項8】
前記複数個の検出電極中の第一検出電極および第二検出電極が前記駆動チップまで延伸し、前記駆動チップ内で互いに接続される、請求項1に記載のタッチディスプレイ装置。
【請求項9】
パネル、駆動チップおよび複数個のマルチプレクサを含むタッチディスプレイ装置であって、
前記パネルは、
薄膜トランジスタガラス基板と、
カラーフィルターガラス基板と、
前記薄膜トランジスタガラス基板上に設置された配線層と、
前記薄膜トランジスタガラス基板と前記カラーフィルターガラス基板との間に位置し、かつ、複数個の検出電極が設けられたタッチ電極層とを含み、
前記パネルは、表示領域および前記表示領域以外の領域である非表示領域を有し、
前記複数個の検出電極が前記表示領域に位置し、前記駆動チップおよび前記複数個のマルチプレクサーが前記非表示領域に位置し、
前記駆動チップは前記配線層上に設置され、かつ、上面視において前記タッチ電極層および前記カラーフィルターガラス基板と重ならず、
少なくとも一つの前記マルチプレクサーが複数個の第一接続部材によって前記複数個の検出電極に接続され、かつ第二接続部材によって前記駆動チップに接続される、タッチディスプレイ装置。
【請求項10】
前記パネルの前記表示領域中のタッチ電極層にビア(Via)またはリード線が存在しない、請求項9に記載のタッチディスプレイ装置。
【請求項11】
各前記検出電極は前記表示領域から前記非表示領域まで延伸し、かつ、前記複数個の第一接続部材が前記タッチディスプレイ装置の非表示領域に位置する、請求項9に記載のタッチディスプレイ装置。
【請求項12】
前記タッチ電極層はカラーフィルターガラス基板に設置され、
少なくとも一つの前記マルチプレクサーと前記第二接続部材が薄膜トランジスタガラス基板上に設置され、かつ前記複数個の第一接続部材が複数個の導電粒子であり、前記複数個のマルチプレクサーを前記非表示領域中の複数個の導電粒子によって前記複数個の検出電極に接続させ、かつ前記第二接続部材によって前記駆動チップに接続させる、請求項11に記載のタッチディスプレイ装置。
【請求項13】
前記タッチ電極層は薄膜トランジスタガラス基板上の画素アレイ隔離層の第一側に設置され、
前記マルチプレクサーは前記画素アレイ隔離層の第二側に設置され、
前記複数個の第一接続部材は前記画素アレイ隔離層を貫通する複数個のビアを含み、かつ、前記第二接続部材は前記画素アレイ隔離層の前記第二側の配線層に設置される、請求項11に記載のタッチディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタッチディスプレイ装置に関し、特に低コストかつ高開口率のタッチディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチ検出技術の発展に伴い、便利で実用的なタッチ装置は携帯電話、グローバルポジショニングシステム、タブレットパソコン、パーソナルデジタルアシスタント、ノート型パソコンといった様々な製品に広く応用されている。
【0003】
時間が進むと共に、パネルメーカーは外形がより薄型軽量で、かつタッチ精度がより高いタッチパネルを開発し続けている。近年はインセル式(In−Cell)構造のタッチパネルが流行である。パネルの表示構造中に検出素子を設置することにより、インセル式構造を実現する層数を一つ減らすことができる。これにより、ユーザの指と表示パネル上ユーザが実際に接触した点との間の可視距離が減縮されるため、ユーザはより直観的に表示内容をクリックし、かつタッチパネルはクリック操作および手の形をより簡単に判断できる。また、インセル式構造で層数が減少するため、タッチパネルがより薄型軽量になる。
【0004】
一般的に言うと、従来技術の表示構造において、通常はビア(Via)またはリード線を利用して形成されたジャンパー線接続構造によって、パネル中の検出素子間または検出素子と外部駆動チップ間の接続を実現する。例を挙げると、台湾特許201624249、I537635、201616304はいずれもビアを含むジャンパー線接続構造を用いてパネル中の検出素子間または検出素子と外部駆動チップ間の接続を実現するものである。しかし、ジャンパー線接続を用いると、多くの配線空間が増加されることになり、構造的に画素透過の空間が減少するため、パネルの開口率が低減し、またパネル製造時に必要なマスク層数が増加して、パネルの製造コストが増加する。従って、如何にしてパネルの開口率を向上させ、およびパネルの製造コストを低減させるかは業界が当面検討すべき課題であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はタッチディスプレイ装置、特に低コストかつ高開口率のタッチディスプレイ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明はタッチディスプレイ装置を提供する。
【0007】
一つの側面において、本発明はタッチディスプレイ装置を開示する。前記タッチディスプレイ装置は表示領域および非表示領域を有し、かつタッチ電極層を含み、前記タッチ電極層に複数個の検出電極が設けられ、各前記検出電極が前記表示領域から前記非表示領域まで延伸し、かつ各前記検出電極が接続構造によって駆動チップに接続され、前記接続構造が前記非表示領域に位置する。
【0008】
別の側面において、本発明はタッチディスプレイ装置を開示する。前記タッチディスプレイ装置は表示領域および非表示領域を有し、かつタッチ電極層、駆動チップおよび複数個のマルチプレクサーを含み、前記タッチ電極層に複数個の検出電極が設けられ、前記複数個のマルチプレクサーが前記非表示領域に設置され、なお、少なくとも一つの前記マルチプレクサーが複数個の第一接続部材によって複数個の検出電極に接続され、かつ一つの第二接続部材によって前記駆動チップに接続される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例のタッチディスプレイ装置の概略図である。
【
図2】本発明の実施例のタッチディスプレイ装置の概略図である。
【
図3】本発明の実施例のタッチディスプレイ装置中の一部検出電極の概略図である。
【
図4】
図1が示すタッチディスプレイ装置の一実施例の断面図である。
【
図5】
図1が示すタッチディスプレイ装置の別の実施例の断面図である。
【
図6】
図1が示すタッチディスプレイ装置のさらに別の実施例の断面図である。
【
図7】本発明の実施例のタッチディスプレイ装置お概略図である。
【
図8】
図7が示すタッチディスプレイ装置の一実施例の断面図である。
【
図9】
図7が示す所示タッチディスプレイ装置の別の実施例の断面図である。
【
図10】
図7が示すタッチディスプレイ装置のさらに別の実施例の断面図である。
【
図11】本発明の実施例のタッチディスプレイ装置の概略図である。
【
図12】本発明の実施例においてタッチディスプレイ装置が動作する際の関連信号の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、
図1は本発明の実施例のタッチディスプレイ装置10の概略図である。タッチディスプレイ装置10は例えばスマートフォーン、タブレットパソコンなどタッチパネルを有する電気製品であるが、これらに限定されない。
図1が示すように、タッチディスプレイ装置10はパネル100および駆動チップ102を含む。パネル100は表示領域および非表示領域を含み、なお、表示領域に表示素子(例えば画素アレイであり、
図1には図示せず)とタッチ電極層に設けられた複数個の検出電極E1〜E12とが設置されている。検出電極E1〜E12は、電気容量の変化量を検出し、タッチディスプレイ装置10に外部物体が接触しているか否かおよび接触位置を判断するための情報を生成する。一実施例において、タッチ電極層はタッチディスプレイ装置10において共同電圧を提供するための導電層である。なお、検出電極E1〜E12は駆動信号を提供する駆動電極または検出信号を受ける検出電極であってもよい。例を挙げると、パネル100が相互容量(mutual capacitance)式タッチパネルである場合、検出電極E1〜E3、E5〜E7、E9〜E11が駆動電極であり、検出電極E4、E8、E12が検出電極であってもよい。また、
図2が示すように、パネル100が自己容量(self capacitance)式タッチパネルである場合、タッチ電極層はタッチポイント毎にタッチ電極E13〜E30を設置してもよい。その他、
図1、
図2では例として検出電極E1〜E30が示されているが、タッチディスプレイ装置10に含まれる検出電極は
図1が示す検出電極E1〜E12または
図2が示す検出電極E13〜E30に限定されない。
【0011】
図1が示す実施例において、検出電極E1〜E12はそれぞれパネル100上の表示領域から非表示領域まで延伸し、かつ非表示領域中の接続構造104によって駆動チップ102に接続されている。ここで、駆動チップ102はチップオングラス(Chip on Glass、COG)プロセス、チップオンフィルム(Chip on Film、COF)プロセス、テープキャリアパッケージ(Tape Carrier Package、TCP)プロセス、クワッドフラットパッケージ(Quad Flat Package、qfp)、チップオンボード(Chip on Board、COB)などのプロセスを利用して構成された駆動チップであってもよいが、これに限定されない。検出電極E1〜E12は直接非表示領域まで延伸するため、パネル100上の表示領域中にはビア(Via)を利用して形成されるジャンパー線接続構造が含まれない。従って、パネル100の表示領域の開口率が向上し、かつパネル100を製造するために必要なマスク数が低減されるため、パネル100の製造コストが低減される。
【0012】
異なる応用および設計理念によって、検出電極の形状を様々な方式で実現してもよい。
図3を参照すると、
図3は本発明の実施例のタッチディスプレイ装置中の一部検出電極の概略図である。例を挙げると、
図3が示す検出電極E31〜E34は
図1の検出電極E1〜E4であってもよいが、これに限定されない。
図3において、各四角がタッチディスプレイ装置中の一つの表示素子(例えば、画素アレイの共用電極)を示す。
図3が示すように、検出電極E31〜E34は互いに交叉して配列され、かつそれぞれ非表示領域まで延伸して、非表示領域の接続構造によってタッチディスプレイ装置の駆動チップに接続される。
【0013】
図4を参照すると、
図4は本発明の一実施例の
図3に示された断面線
(外1)
に沿った断面図である。
図4が示すタッチディスプレイ装置10において、カラーフィルターガラス基板(CF glass)と薄膜トランジスタガラス基板(TFT glass)はエッジシール樹脂によって接続され、タッチ電極層はカラーフィルターガラス基板において薄膜トランジスタガラス基板に対向する側に設置され、画面を表示するための画素アレイは薄膜トランジスタガラス基板においてカラーフィルターガラス基板に対向する側の画素アレイ隔離層に設置されている。
図2が示すように、検出電極E1〜E12を設置するためのタッチ電極層は表示領域から非表示領域まで延伸し、かつ接続構造104およびタッチディスプレイ装置10の配線層によって駆動チップ102と互いに接続し、なお、接続構造104は非表示領域に位置する導電粒子を含む。例を挙げると、導電粒子はパネルプロセス中の異方導電材で実現され、配線層は透明または金属導電電極であってもよい。表示領域中のタッチ電極層に余分な接続構造(例えばビアまたはリード線)が設置されていないため、検出電極E1〜E12と駆動チップ102間の画素透過のための空間が余分な接続構造に占用されることなく、かつパネル100の製造に必要なマスク数が減らされて、パネル100の製造コストを低減することができる。
【0014】
図5を参照すると、
図5は本発明の別の実施例の断面図である。
図5が示すタッチディスプレイ装置10と
図4が示すタッチディスプレイ装置10は類似するため、機能が類似する素子に同じ名称を用いる。
図4に比べて、
図5が示す実施例において、タッチ電極層を画素アレイ隔離層の上方に設置するように変更した。この実施例において、接続構造104は非表示領域に位置しかつ画素アレイ隔離層を貫通するビアを含み、タッチ電極層中の検出電極は、非表示領域に位置しかつ画素アレイ隔離層を貫通するビアによって配線層に接続された後、さらに駆動チップ102に接続される。
【0015】
図6を参照すると、
図6は本発明のさらに別の実施例の断面図である。
図6が示すタッチディスプレイ装置10と
図5が示すタッチディスプレイ装置10は類似するため、機能が類似する素子に同じ名称を用いる。
図6が示す実施例において、検出電極E1〜E12を含むタッチ電極層を画素アレイ隔離層と薄膜トランジスタガラス基板との間に設置するように変更した。この実施例において、接続構造104は上記と同じく非表示領域に位置しかつ画素アレイ隔離層を貫通するビアを含み、タッチ電極層中の検出電極は、非表示領域に位置しかつ画素アレイ隔離層を貫通するビアおよび配線層によって、駆動チップ102に接続される。
【0016】
異なる応用および設計理念によって、検出電極E1〜E12と駆動チップ104の間の接続を異なる方式で実現してもよい。一実施例において、検出電極E1〜E12中の一部検出電極が互いに接続
されてもよい。例を挙げると、検出電極E1、E5、E9は非表示領域まで延伸した後互いに接続
され、検出電極E2、E6、E10は非表示領域まで延伸した後互いに接続
され、かつ検出電極E3、E7、E11は非表示領域まで延伸した後互いに接続
されることで、タッチ電極層上のタッチ電極が非表示領域中において並列に接続されてもよい。一部の検出電極を互いに接続させることで、駆動チップ102に接続される接続線の数
を減らし、これによって駆動チップ102に必要なピン(pin)の数を減らすことができる。これにより、駆動チップ102のサイズを縮小させ、かつ駆動チップ102を薄膜トランジスタガラス基板に設置する(例えば、ボンディング(Bonding))
工程の歩留まり率を向上させることができる。
【0017】
別の実施例において、検出電極E1〜E12中の一部検出電極がタッチチップ102の内部
で互いに接続
されてもよい。この実施例において、検出電極E1〜E12間の接続がパネル100上の面積を占用することなく、パネル100のフルスクリーンまたは細いエッジなど設計規格を実現するうえ有利である。
【0018】
さらに別の実施例において、検出電極E1〜E12はそれぞれタッチチップ102に接続される。この実施例において、駆動チップ102は検出電極E1〜E12に対しゾーンを分けて走査を行うことが可能であり、かつ、駆動チップ102は検出電極E1〜E12中の駆動電極によって構成される駆動線および検出電極E1〜E12中の検出電極によって構成される走査線に対し、連続かつ重複して時分割走査を行うことができる。
【0019】
図7を参照すると、
図7は本発明の実施例のタッチディスプレイ装置70の概略図である。タッチディスプレイ装置70は
図1が示すタッチディスプレイ装置10に類似するため、機能が類似する素子に同じ符号を用いる。
図1が示すタッチディスプレイ装置10に比べて、駆動チップ702に接続される接続線の数を減らすよう、タッチディスプレイ装置70には複数個のマルチプレクサーMUXが新たに設置されている。
図7が示すように、検出電極E1〜E3は表示領域から直接非表示領域まで延伸した後、一つのマルチプレクサーMUXによって駆動チップ702に接続され、検出電極E4〜E7は表示領域から直接非表示領域まで延伸した後、別のマルチプレクサーMUXによって駆動チップ702に接続され、検出電極E8〜E11は表示領域から直接非表示領域まで延伸した後、更に別のマルチプレクサーMUXによって駆動チップ502に接続される。この実施例において、駆動チップ702はマルチプレクサーMUXによってゾーン分け走査または時分割走査を行って、タッチ機能を実現できる。マルチプレクサーMUXを新たに設置することで、駆動チップ702に接続される接続線の数を減らし、さらに駆動チップ502に必要なピンの数を減らすことができる。これにより、駆動チップ702のサイズを縮小させ、かつ駆動チップ502を薄膜トランジスタガラス基板に設置する歩留まり率を向上させることもできる。また、マルチプレクサーMUXはパネル700上に実現される駆動回路(例えば、ゲート電極駆動回路)と整合できるため、マルチプレクサーMUXの追加によってマスク数が増えることない。言い換えれば、マルチプレクサーMUXを新たに設置することで、製造コストを増加させない条件において、タッチディスプレイ装置70の歩留まり率を向上させることができる。
【0020】
なお、マルチプレクサーMUXの位置はパネル700の底側に設置されることに限定されず、非表示領域中の任意の位置に設置することができる。例を挙げると、マルチプレクサーMUXをパネル700の天井側、左側または右側の非表示領域に設置してもよい。また、異なる応用および設計理念によって、タッチディスプレイ装置中のマルチプレクサーの数および各マルチプレクサーが接続される検出電極の数を変更することができる。
【0021】
その他、
図7が示す検出電極E1〜E3、E5〜E7、E9〜E11は複数個の第一接続部材によって直接または間接的にマルチプレクサーMUXに接続され、かつマルチプレクサーMUXがさらに一つの第二接続部材によって駆動チップ502に接続されてもよい。詳しくは、複数個の検出電極が複数個の第一接続部材を介して直接マルチプレクサーMUXに接続され、または、複数個の検出電極が複数個の第一接続部材によって配線層に接続されてから、間接的に配線層を介してマルチプレクサーMUXに接続されてもよいが、本発明はこれに限定されない。第一接続部材は非表示領域に位置する導電粒子またはビアによって実現され、第二接続部材は配線層中の導電経路によって実現されてもよい。マルチプレクサーMUXを用いることで、第二接続部材の数を第一接続部材の数より少なくすることができる。従って、依然として駆動チップ702に必要なピンの数を減らし、さらに駆動チップ702のサイズを縮小させ、かつ駆動チップ702およびパネル700の接合歩留まり率を向上させることができる。
【0022】
なお、マルチプレクサーMUXの数は異なる応用および設計理念によって変更することができる。例を挙げると、パネル700中のすべての検出電極E1〜E12を単一のマルチプレクサーMUXによって駆動チップ702に接続することができる。言い換えれば、パネル700に最低限一つのマルチプレクサーMUX、およびマルチプレクサーMUXと駆動チップ702との間の単一の配線さえあれば、すべての検出電極E1〜E12と駆動チップ702の間の接続を完成できる。
【0023】
図8を参照すると、
図8は
図7が示すタッチディスプレイ装置70の一実施例の断面図である。
図8が示すタッチディスプレイ装置70において、カラーフィルターガラス基板と薄膜トランジスタガラス基板はエッジシール樹脂によって接続され、タッチ電極層はカラーフィルターガラス基板において薄膜トランジスタガラス基板に対向する側に設置され、画面を表示するための画素アレイは薄膜トランジスタガラス基板においてカラーフィルターガラス基板に対向する側の画素アレイ隔離層に設置されている。
図6が示すように、検出電極E1〜E12を設置するためのタッチ電極層は表示領域から非表示領域まで延伸した後、導電粒子(即ち、第一接続部材)によってマルチプレクサーMUXに接続され、そして配線層中の導電経路(即ち、第二接続部材)によって駆動チップ502と互いに接続する。表示領域中のタッチ電極層に余分な接続構造(例えば、ビア)が設置されていないため、検出電極E1〜E12と駆動チップ502の間の画素透過のための空間が余分な接続部案に占用されることなく、かつパネル500の製造に必要なマスク数を低減させて、パネル500の製造コストを低減させることができる。
【0024】
図9を参照すると、
図9は
図7が示すタッチディスプレイ装置70の別の実施例の断面図である。
図9が示すタッチディスプレイ装置70と
図8が示すタッチディスプレイ装置70が類似するため、機能が類似する素子に同じ名称を用いる。
図8に比べて、
図9が示す実施例ではタッチ電極層を画素アレイ隔離層の上方に設置するように変更した。この実施例において、タッチ電極層は、非表示領域に位置しかつ画素アレイ隔離層を貫通するビア(即ち、第一接続部材)によってマルチプレクサーMUXに接続される。続いて、マルチプレクサーMUXは配線層中の導電経路(即ち、第二接続部材)によって駆動チップ702に接続される。
【0025】
図10を参照すると、
図10は
図7が示すタッチディスプレイ装置70のさらに別の実施例の断面図である。
図10が示すタッチディスプレイ装置70と
図9が示すタッチディスプレイ装置70は類似するため、機能が類似する素子沿に同じ名称を用いる。
図10が示す実施例において、検出電極E1〜E12を含むタッチ電極層を画素アレイ隔離層と薄膜トランジスタガラス基板との間に設置するように変更した。この実施例において、タッチ電極層は、非表示領域に位置しかつ画素アレイ隔離層を貫通するビア(即ち、第一接続部材)によってマルチプレクサーMUXに接続される。そして、マルチプレクサーMUXは配線層(即ち、第二接続部材)によって駆動チップ502に接続される。
【0026】
図11を参照すると、
図11は本発明の実施例のタッチディスプレイ装置が自己容量式タッチパネルを含む概略図である。この実施例において、検出電極の形状がジグザグ状であるが、前記検出電極が自己容量式タッチ制御を実現可能な各種の電極形状であれば、本発明はこれについて限定しない。かつ、同一列に位置する検出電極は検出電極間の隙間を通って非表示領域まで延伸した後、同一マルチプレクサーMUXに接続される。マルチプレクサーMUXに接続されることで、駆動チップは時分割走査またはゾーン分け走査の方式で、タッチ機能を実現できる。
【0027】
異なる応用および設計理念によって、単一のマルチプレクサーMUXが同一列の検出電極に接続されることに限定されない。一実施例において、マルチプレクサーMUXを同一行に位置する検出電極に接続されるように変更してもよい。
【0028】
電気容量変化量を検出する際に受信されるノイズを低減させるために、タッチディスプレイ装置中の駆動チップが検出電極を駆動する駆動信号を生成する際に、タッチディスプレイ装置の表示素子(例えば、画素アレイ)の駆動信号上に同じ波形が生成される。
図12を参照すると、
図12は本発明の実施例のタッチディスプレイ装置が動作する際の関連信号の概略図である。説明しやすいよう、
図12においてタッチディスプレイ装置中の表示素子(例えば、画素)のデータ信号、走査信号および共同電圧信号が示され、なお、データ信号は画素中の一画素電極上のデータ電圧を調整するものであり、走査信号は画素中の一ゲート電極上のゲート電極電圧を調整するものであり、共同電圧信号はこの画素に対応する一共同電極上の共同電圧を調整するものである。本発明の実施例において、画素中の共同電極とは、電気容量変化量を検出して、外部物体の接触を判断する情報を生成する検出電極である。
図12が示すように、表示モードの場合、共同電圧信号が一定値を維持し、データ信号および走査信号が表示画面および表示走査時間順に従って変動する。タッチモードに入った場合、共同電圧信号上に周期性のパルスが生成されて、電気容量変化量を検出し、かつ、データ信号および走査信号上にも同じ波形が発生する。共同電極、画素電極およびゲート電極がタッチモード中に同じ波形を受けるため、共同電極、画素電極およびゲート電極間の電圧差の変動幅を低減させることができる。この場合、共同電極上の電気容量変化量が画素電極およびゲート電極の影響を受けないため、共同電極上の電気容量変化量が環境から受ける影響を低減できる。従って、駆動チップが電気容量変化量を検出する際に受けるノイズも減少される。
【0029】
以上を纏めると、タッチディスプレイ装置の検出電極はそれぞれパネル上の表示領域から非表示領域まで延伸した後、非表示領域に設置された接続構造によってタッチディスプレイ装置の駆動チップに接続される。この場合、パネル上の表示領域中にビアを利用して形成されるジャンパー線連接構造を含まないため、パネル表示領域の開口率を向上させることができる。また、パネルの製造に必要なマスク数も低減されるため、パネルの製造コストを低減できる。さらに、接続構造はマルチプレクサーを用いて、駆動チップに接続される経路数を低減させることで、駆動チップおよびパネルの接合歩留まり率を向上させることができる。
【0030】
以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の請求の範囲において行った均等な変更および修正も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
10、70 タッチディスプレイ装置
100、700 パネル
102、702 駆動チップ
104、704 接続構造
E1〜E34 検出電極
MUX マルチプレクサー