(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カラー画像を生成するための複数のピクセルを備える電気泳動ディスプレイであって、各ピクセルは、8色を下回らず、かつ、32色を上回らない色をレンダリング可能であり、前記8色は、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄、白、黒であり、前記カラー画像は、各ピクセルに対して前記色のうちの1つを割り当てることと、各ピクセルに割り当てられた色の間でディザリングすることとによって、前記電気泳動ディスプレイによって生成され、前記色のそれぞれは、黒と白との間でディザリングするだけで利用可能なグレーレベルを有し、前記色のそれぞれのグレーレベルは、前記8色と同一の色空間を用いることによって割り当てられる、電気泳動ディスプレイ。
カラー画像を生成するための複数のピクセルを備える電気泳動ディスプレイであって、各ピクセルは、16色を下回らず、かつ、32色を上回らない色をレンダリング可能であり、前記16色は、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄、白、黒、濃黄、濃マゼンタ、濃シアン、薄赤、薄緑、薄青、薄グレー、濃グレーであり、前記カラー画像は、各ピクセルに対して前記色のうちの1つを割り当てることと、各ピクセルに割り当てられた色の間でディザリングすることとによって、前記電気泳動ディスプレイによって生成され、前記色のそれぞれは、黒と白との間でディザリングするだけで利用可能なグレーレベルを有し、前記色のそれぞれのグレーレベルは、前記16色と同一の色空間を用いることによって割り当てられる、電気泳動ディスプレイ。
前記32色は、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄、白、黒、濃黄、濃マゼンタ、濃シアン、薄赤、薄緑、薄青、濃赤、濃青、濃緑、緑と黄との間の中間色、緑とシアンとの間の中間色、赤とマゼンタとの間の中間色、赤と黄との間の中間色、マゼンタと青との間の中間色、シアンと青との間の中間色、薄シアン、薄マゼンタ、薄黄、黒と白との間の6つの中間グレーである、請求項10に記載の電気泳動ディスプレイ。
カラー画像を生成するための複数のピクセルを備える電気泳動ディスプレイであって、各ピクセルは、8色を下回らず、かつ、16色を上回らない色をレンダリング可能であり、前記16色は、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄、白、黒、濃黄、濃マゼンタ、濃シアン、薄赤、薄緑、薄青、薄グレー、濃グレーであり、前記カラー画像は、各ピクセルに対して前記色のうちの1つを割り当てることと、各ピクセルに割り当てられた色の間でディザリングすることとによって、前記電気泳動ディスプレイによって生成され、前記色のそれぞれは、黒と白との間でディザリングするだけで利用可能なグレーレベルを有し、前記色のそれぞれのグレーレベルは、前記8色と同一の色空間を用いることによって割り当てられる、電気泳動ディスプレイ。
【背景技術】
【0003】
背景技術
【0004】
本発明は、カラー画像を反射型ディスプレイ上にレンダリングするための方法を提供し、各ピクセル場所において、所定の色のパレットのうちの1つをレンダリングすることが可能である。
【0005】
本明細書で使用されるとき、色という用語は、黒および白を含む。白粒子は、多くの場合、光散乱型である。
【0006】
本明細書において、グレー状態という用語は、画像化技術分野におけるその従来的な意味で使用され、2つの極端なピクセルの光学的状態の中間の状態を指し、必ずしも黒と白とのこれらの2つの極端な状態の間の遷移を意味するわけではない。例えば、下記に参照されるいくつかの電気泳動インクに関する特許および公開された出願は、極端な状態が白および濃青であり、中間のグレー状態が実際には薄青になる電気泳動ディスプレイを説明している。実際、すでに述べたように、光学的状態の変化は、色の変化では全くない場合もある。黒および白という用語は以下において、ディスプレイの2つの極端な光学的状態を指すように以下で使用される場合があり、例えば、前述の白および濃青状態等の厳密には黒および白ではない極端な光学的状態を通常含むものとして理解されるべきである。
【0007】
いくつかのタイプの電気光学ディスプレイが、公知である。1つのタイプの電気光学ディスプレイは、例えば、米国特許第5,808,783号、第5,777,782号、第5,760,761号、第6,054,071号、6,055,091号、第6,097,531号、第6,128,124号、第6,137,467号、および第6,147,791号に説明されるような回転二色部材タイプである(本タイプのディスプレイは、多くの場合、「回転二色ボール」ディスプレイと称されるが、前述の特許のうちのいくつかでは、回転部材が球状ではないため、用語「回転二色部材」の方がより正確なものとして好ましい)。そのようなディスプレイは、異なる光学特性を伴う2つまたはそれを上回る区分と、内部双極子とを有する、多数の小さい本体(典型的には、球状または円筒形)を使用する。これらの本体は、マトリクス内に液体が充填された空胞の中に懸濁され、空胞は、本体が自由に回転するように、液体で充填されている。ディスプレイの外観は、そこに電場を印加し、したがって、本体を種々の位置に回転させ、視認表面を通して見られる本体の区分を変動させることによって、変更される。本タイプの電気光学媒体は、典型的には、双安定性である。
【0008】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、エレクトロクロミック媒体、例えば、少なくとも部分的に半導体金属酸化物から形成される電極と、電極に付着して色の変化を反転可能な複数の染色分子とから成る、ナノクロミックフィルムの形態におけるエレクトロクロミック媒体を使用する。例えば、O’Regan, B., et al, Nature 1991,353,737,およびWood, D., Information Display, 18(3),24(2002年3月)を参照されたい。また、Bach, U., et al, Adv. Mater., 2002,14(11),845も参照されたい。本タイプのナノクロミックフィルムはまた、例えば、米国特許第6,301,038号、第6,870,657号、および第6,950,220号にも説明されている。本タイプの媒体もまた、典型的には、双安定性である。
【0009】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、Philipsによって開発され、Hayes, R.A., et al,「Video−Speed Electronic Paper Based on Electro wetting」, Nature, 425,383−385(2003)に説明されている、エレクトロウェッティングディスプレイである。米国特許第7,420,549号には、そのようなエレクトロウェッティングディスプレイが双安定性となり得ることが示されている。
【0010】
粒子ベース電気泳動ディスプレイは、長年にわたり研究および開発の関心の対象である。そのようなディスプレイ中において、複数の帯電粒子(顔料粒子と称される場合もある)が、電場の影響下で流体を通って移動する。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較したときに、良好な輝度および対比、広視野角、状態双安定、ならびに低電力消費の属性を有することができる。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期の画像品質に伴う問題は、その広範な利用を妨げている。例えば、電気泳動ディスプレイを構成する粒子は、沈降する傾向があり、これらのディスプレイの不十分な使用可能寿命をもたらす。
【0011】
上述のように、電気泳動媒体は、流体の存在を必要とする。殆どの先行技術の電気泳動媒体では、この流体は、液体であるが、電気泳動媒体は、ガス状流体を使用して生成され得る(例えば、Kitamura, T., et al. Electrical toner movement for electronic paper−like display, IDW Japan, 2001,Paper HCS1−1、およびYamaguchi, Y., et al., Toner display using insulative particles charged triboelectricaily, IDW Japan, 2001,Paper AMD4−4を参照)。同様に、米国特許第7,321,459号および第7,236,291号も参照されたい。そのようなガスベース電気泳動媒体は、例えば、媒体が垂直プレーンに配置される看板等、媒体がそのような沈降を可能にする配向で使用されるときに、粒子沈降のために液体ベース電気泳動媒体と同じタイプの問題の影響を受けやすいと考えられる。実際、粒子沈降は、電気泳動粒子のより高速の沈降を可能にする流体の粘度と比較して、ガス状懸濁流体のより低い粘度のため、液体ベース電気泳動媒体よりもガスベース電気泳動媒体において深刻な問題であると考えられる。
【0012】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)およびE Ink Corporationに譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化された電気泳動および他の電気光学媒体に使用される種々の技術を説明している。そのようなカプセル化された媒体は、多数の小型カプセルを含み、そのそれぞれはそれ自体、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含有する内相と、内相を包囲するカプセル壁とを含む。典型的には、カプセルはそれ自体が、ポリマー接着剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられる密着した層を形成する。これらの特許および出願に説明される技術としては、以下が挙げられる。
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号を参照)
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号を参照)
(c)電気光学材料を含むフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号を参照)
(d)バックプレーン、接着剤層、および他の補助層、ならびにディスプレイに使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号を参照)
(e)色形成および色調節(例えば、米国特許第6,017,584号、第6,664,944号、第6,864,875号、第7,075,502号、第7,167,155号、第7,667,684号、第7,791,789号、第7,956,841号、第8,040,594号、第8,054,526号、第8,098,418号、第8,213,076号、および第8,363,299号、ならびに米国特許出願第2004/0263947号、第2007/0109219号、第2007/0223079号、第2008/0023332号、第2008/0043318号、第2008/0048970号、第2009/0004442号、第2009/0225398号、第2010/0103502号、第2010/0156780号、第2011/0164307号、第2011/0195629号、第2011/0310461号、第2012/0008188号、第2012/0019898号、第2012/0075687号、第2012/0081779号、第2012/0134009号、第2012/0182597号、第2012/0212462号、第2012/0157269号、および第2012/0326957号を参照)
(f)ディスプレイを駆動するための方法(例えば、米国特許第5,930,026号、第6,445,489号、第6,504,524号、第6,512,354号、第6,531,997号、第6,753,999号、第6,825,970号、第6,900,851号、第6,995,550号、第7,012,600号、第7,023,420号、第7,034,783号、第7,116,466号、第7,119,772号、第7,193,625号、第7,202,847号、第7,259,744号、第7,304,787号、第7,312,794号、第7,327,511号、第7,453,445号、第7,492,339号、第7,528,822号、第7,545,358号、第7,583,251号、第7,602,374号、第7,612,760号、第7,679,599号、第7,688,297号、第7,729,039号、第7,733,311号、第7,733,335号、第7,787,169号、第7,952,557号、第7,956,841号、第7,999,787号、第8,077,141号、第8,125,501号、第8,139,050号、第8,174,490号、第8,289,250号、第8,300,006号、および第8,314,784号、ならびに米国特許出願公開第2003/0102858号、第2005/0122284号、第2005/0179642号、第2005/0253777号、第2007/0091418号、第2007/0103427号、第2008/0024429号、第2008/0024482号、第2008/0136774号、第2008/0150888号、第2008/0291129号、第2009/0174651号、第2009/0179923号、第2009/0195568号、第2009/0322721号、第2010/0045592号、第2010/0220121号、第2010/0220122号、第2010/0265561号、第2011/0187684号、第2011/0193840号、第2011/0193841号、第2011/0199671号、および第2011/0285754号(これらの特許および出願は、以下、MEDEOD(Methods for Driving Elctro−optic Displays)出願と称される場合もある)を参照)
(g)ディスプレイの適用(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号を参照)
(h)非電気泳動ディスプレイ(米国特許第6,241,921号、第6,950,220号、第7,420,549号、および第8,319,759号、ならびに米国特許出願公開第2012/0293858号に説明)
【0013】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化電気泳動媒体内の離散マイクロカプセルを囲繞する壁が、連続相と置換され得、したがって、いわゆる高分子分散電気泳動ディスプレイを生成し、その中で、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の離散液滴と、高分子材料の連続相と、を備え、そのような高分子分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の離散液滴が、離散カプセル膜が、各個々の液滴と関連付けられない場合でも、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する。例えば、前述の米国特許第6,866,760号を参照されたい。故に、本願の目的のために、そのような高分子分散電気泳動媒体は、カプセル化電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0014】
関連タイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、帯電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されないが、代わりに、担体媒体、典型的には、高分子フィルム内に形成される、複数の空洞内に留保される。例えば、米国特許第6,672,921号および第6,788,449号を参照されたい(両方とも、Sipix Imaging, Incに譲渡されている)。
【0015】
多くの場合、電気泳動媒体は不透明であり(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子は、ディスプレイを通る可視光の透過を実質的に遮断するため)、反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、1つのディスプレイ状態が実質的に不透明であり、1つは、光透過性である、いわゆる遮蔽モードで動作するように作製され得る。例えば、米国特許第5,872,552号、第6,130,774号、第6,144,361号、第6,172,798号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。誘電泳動ディスプレイは、電気泳動ディスプレイと類似するが、電場強度の変動に依存し、類似のモードで動作し得る。米国特許第4,418,346号を参照されたい。他のタイプの電気光学ディスプレイもまた、遮蔽モードで動作することが可能なことがある。遮蔽モードで動作する電気光学媒体は、フルカラーディスプレイ用の多層構造で使用されることができ、そのような構造では、ディスプレイの画面に隣接する少なくとも1つの層は、遮蔽モードで動作して、画面からより遠くにある第2の層を露出させるか、または隠す。
【0016】
カプセル化された電気泳動ディスプレイは、典型的には、従来的な電気泳動機器のクラスタ化および沈降故障モードに悩まされることがなく、多様な柔軟性および剛性基材上にディスプレイを印刷またはコーティングする能力等のさらなる利点を提供する。(印刷という語の使用は、全ての形態の印刷およびコーティングを含むことが意図され、限定ではないが、前計量コーティング、例えば、パッチダイコーティング、スロットまたは押出コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング等、ロールコーティング、例えば、ナイフオーバーロールコーティング、フォワードおよびリバースロールコーティング等、グラビアコーティング、浸漬コーティング、吹き付けコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電気印刷プロセス、熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動析出(米国特許第7,339,715号を参照)、ならびに他の同様の技術が挙げられる。)したがって、得られるディスプレイは、柔軟性であり得る。さらに、ディスプレイ媒体は(種々の方法を使用して)印刷され得るため、ディスプレイ自体は、安価に作製され得る。
【0017】
前述の米国特許第6,982,178号は、大量生成に非常に適した固体電気光学ディスプレイ(カプセル化された電気泳動ディスプレイを含む)を組み立てる方法を説明している。本質的に、この特許は、光透過性導電性層、導電性層と電気接点を有する固体電気光学媒体の層、接着剤層、および剥離シートを順に備える、いわゆるフロントプレーンラミネート(FPL)を説明している。典型的には、光透過性導電性層は、光透過性基材上に担持され、好ましくは、基材が永久的な変形を伴わずに、(例えば)直径10インチ(254mm)のドラムの周囲に手で巻き付けられ得るという意味で柔軟性である。この出願および本明細書において、光透過性という用語は、そのように指定される層が、その層を通して見ている観察者が、電気光学媒体のディスプレイ状態の変化を観察することを可能にするために十分な光を透過させ、通常、導電性層および隣接する基材(存在する場合)を通して見られることを意味するように使用され、電気光学媒体ディスプレイが非可視波長における反射率において変化する場合、光透過性という用語は、当然ながら、関連する非可視波長の透過に関して解釈されるべきである。基板は、典型的には、ポリマーフィルムであって、通常、約1〜約25ミル(25〜634μm)、好ましくは、約2〜約10ミル(51〜254μm)の範囲内の厚さを有するであろう。導電性層は、便宜上、例えば、アルミニウムもしくはITOの薄金属または金属酸化物層である、または伝導性ポリマーであってもよい。アルミニウムまたはITOでコーティングされたポリ(エチレンテレフタレート)(PET)フィルムは、例えば、E.I. du Pont de Nemours & Company(Wilmington DE)からのアルミ被覆Mylar(Mylarは、登録商標である)として商業上利用可能であって、そのような商業上の材料は、フロントプレーンラミネートにおける良好な結果と併用され得る。
【0018】
そのようなフロントプレーンラミネートを使用した電気光学ディスプレイの組立は、剥離シートをフロントプレーンラミネートから除去し、接着剤層をバックプレーンに接着させるのに効果的な条件下で接着剤層をバックプレーンに接触させ、それによって、接着剤層、電気光学媒体の層、および導電性層をバックプレーンに固定することによって達成されてもよい。このプロセスは、フロントプレーンラミネートが、典型的にはロールからロールへのコーティング技術を使用して大量生成され、次に、特定のバックプレーンとの使用に必要とされる任意のサイズの片に切断されてもよいため、大量生成に非常に適している。
【0019】
米国特許第7,561,324号は、いわゆる二重剥離シートを説明しており、これは、本質的には、前述の米国特許第6,982,178号のフロントプレーンラミネートの単純化された変形である。二重剥離シートの1つの形態は、2つの接着剤層間に挟まれた固体電気光学媒体の層を備え、接着剤層の一方または両方は、剥離シートによって被覆される。二重剥離シートの別の形態は、2つの剥離シート間に挟まれた固体電気光学媒体の層を備える。二重剥離フィルムのどちらの形態も、すでに説明されたフロントプレーンラミネートから電気光学ディスプレイを組み立てるためのプロセスに概して類似するプロセスにおける使用を意図されるが、2つの分離したラミネート加工を含み、典型的には、第1のラミネート加工において、二重剥離シートはフロント電極にラミネート加工されて、フロントプレーン組み立て部品を形成し、次に、第2のラミネート加工において、フロントプレーン組立部品は、バックプレーンにラミネート加工されて、最終的なディスプレイを形成するが、但し、これらの2つのラミネート加工の順序は所望により逆転され得る。
【0020】
米国特許第7,839,564号は、いわゆる反転されたフロントプレーンラミネートを説明しており、これは、前述の米国特許第6,982,178号に説明されるフロントプレーンラミネートの変形である。この反転されたフロントプレーンラミネートは、光透過性保護層および光透過性導電性層のうちの少なくとも1つ、接着剤層、固体電気光学媒体の層、ならびに剥離シートを順に備える。この反転されたフロントプレーンラミネートは、電気光学層とフロント電極またはフロント基材との間にラミネート加工接着剤の層を有する電気光学ディスプレイを形成するために使用され、第2の、典型的には薄接着剤の層が、電気光学層とバックプレーンとの間に存在してもよく、または存在しなくてもよい。そのような電気光学ディスプレイは、良好な解像度と良好な低温性能とを組み合わせることができる。
【0021】
上記に示されるように、最も単純な先行技術の電気泳動媒体は、2つの色のみを本質的に表示する。そのような電気泳動媒体は、第2の異なる色を有する着色流体内の第1の色を有する1タイプの電気泳動粒子(この場合、粒子がディスプレイの画面に隣接しているときには第1の色が表示され、粒子が画面から離れているときには第2の色が表示される)か、または無着色流体内の異なる第1および第2の色を有する第1および第2のタイプの電気泳動粒子(この場合、第1のタイプの粒子がディスプレイの画面に隣接しているときには第1の色が表示され、第2のタイプの粒子が画面に隣接しているときには第2の色が表示される)かのいずれかを使用する。典型的には、2つの色は、黒および白である。フルカラーディスプレイが所望される場合、カラーフィルタ配列が、モノクロ(黒および白)ディスプレイの画面上に堆積されてもよい。カラーフィルタ配列を有するディスプレイは、領域共有および色配合を利用して色刺激を作成する。利用可能なディスプレイ領域が、赤/緑/青(RGB)または赤/緑/青/白(RGBW)等の3つまたは4つの原色間で共有され、フィルタが、1次元(縦縞)または2次元(2×2)の反復パターンで配設され得る。他の原色の選択または3つを上回る原色の選択も、当該技術分野において既知である。意図される視距離において均一な色刺激を有する単一のピクセルに視覚的に混ざり合うために、十分に小さい3つ(RGBディスプレイの場合)または4つ(RGBWディスプレイの場合)のサブピクセルが選択される(「色配合」)。領域共有特有の不利点は、着色剤が常に存在し、色は、その下部のモノクロディスプレイの対応するピクセルを白または黒に切り替える(対応する原色を入または切に切り替える)ことによってのみ調整され得るということである。例えば、理想的なRGBWディスプレイでは、赤、緑、青、および白原色のそれぞれは、ディスプレイ領域の4分の1(4つのサブピクセルのうちの1つ)を占め、白サブピクセルは、その下部のモノクロディスプレイの白と同程度の輝度であり、着色サブピクセルのそれぞれは、モノクロディスプレイの白の3分の1より明るくない。全体としてディスプレイによって示される白色の輝度は、白サブピクセルの輝度の2分の1超にはなり得ない(ディスプレイの白領域は、各4つのうち1つの白サブピクセルと、白サブピクセルの3分の1に等しいその着色形態である各着色サブピクセルとを表示することによって生成され、したがって、組み合わされた3つの着色サブピクセルは、1つの白サブピクセルより寄与しない)。色の輝度および飽和度は、黒に切り替えられた色ピクセルを有する領域共有によって低下される。黄は等輝度のいかなる他の色よりも明るく、飽和した黄は白とほぼ同程度の輝度であるため、領域共有は、黄を混合するときに特に問題である。青ピクセル(ディスプレイ領域の4分の1)の黒への切り替えは、黄を暗くし過ぎる。
【0022】
多積層電気泳動ディスプレイは、当該技術分野において既知である。J. Heikenfeld, P. Drzaic, J−S Yeo and T. Koch, Journal of the SID, 19(2),2011,pp.129−156を参照されたい。そのようなディスプレイでは、周辺光は、従来的な色印刷と同様に3つの減法混色の原色のそれぞれにおいて画像を通過する。米国特許第6,727,873号は、切り替え可能なセルの3つの層が反射性背景上に定置された積層電気泳動ディスプレイを説明している。着色粒子が、横方向に移動される(国際出願第WO2008/065605号を参照)か、または縦および横方向の動きの組み合わせを使用してマイクロピット内に隔離される、類似のディスプレイが既知である。どちらの場合においても、各層は、着色粒子をピクセルベースで集中または分散させるように働く電極とともに提供され、その結果、3つの層のそれぞれは、薄膜トランジスタ(TFT)の層(TFTの3つの層のうちの2つは実質的に透明でなければならない)と光透過性対電極とを必要とする。そのような電極の複雑な配設は、製造費用がかかり、当該技術分野の現在の状況では、ピクセル電極の適切に透明なプレーンを提供することは、特に、ディスプレイの白状態は、電極の複数の層を通して見られなければならないため、困難である。多層ディスプレイはまた、ディスプレイの積み重ねの厚さがピクセルサイズに近付くか、またはそれを超過するため、視差の問題を有する。
【0023】
米国出願公開第2012/0008188号および第2012/0134009号は、独立してアドレス可能なピクセル電極と共通の光透過性フロント電極とを備える単一のバックプレーンを有する、多色電気泳動ディスプレイを説明している。バックプレーンとフロント電極との間に、複数の電気泳動層が配置される。これらの出願に説明されるディスプレイは、任意のピクセル場所で原色(赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄、白、および黒)のいずれかをレンダリングすることが可能である。しかしながら、1セットのアドレス電極間に設置される複数の電気泳動層の使用に対して不利点が存在する。特定の層内の粒子が経験する電場は、同一の電圧でアドレスされる単一の電気泳動層の場合よりも低い。それに加えて、画面最近傍電気泳動層における光学的損失(例えば、光の散乱または不要な吸収によって引き起こされる)は、その下部の電気泳動層に形成される画像の見た目に影響を及ぼす場合がある。
【0024】
単一の電気泳動層を使用するフルカラー電気泳動ディスプレイを提供する試みが行われてきた。例えば、米国特許出願公開第2013/0208338号は、クリアかつ無色または着色溶媒中に分散された1つまたは2つのタイプの顔料粒子を含む電気泳動流体を備え、電気泳動流体が共通電極と複数の駆動電極との間に狭入される、カラーディスプレイについて説明している。駆動電極は、背景層を暴露するために、ある距離に保たれる。米国特許出願公開第2014/0177031号は、反対電荷極性を担持し、2つの対比色の2つのタイプの帯電粒子を含む電気泳動流体で充填された、ディスプレイセルを駆動するための方法について説明している。2つのタイプの顔料粒子は、着色溶媒中または非帯電もしくは若干帯電された着色粒子がその中に分散された溶媒中に分散される。本方法は、完全駆動電圧の約1〜約20%の駆動電圧を印加することによって、ディスプレイセルを駆動し、溶媒の色または非帯電もしくは若干帯電された着色粒子の色を表示するステップを含む。米国特許出願公開第2014/0092465号および第2014/0092466号は、電気泳動流体と、電気泳動ディスプレイを駆動するための方法とについて説明している。流体は、第1、第2、および第3のタイプの顔料粒子を備え、全て、溶媒または溶媒混合物中に分散される。第1および第2のタイプの顔料粒子は、反対電荷極性を担持し、第3のタイプの顔料粒子は、第1または第2のタイプの電荷レベルの約50%未満である電荷レベルを有する。3つのタイプの顔料粒子は、異なるレベルの閾値電圧、または異なるレベルの移動性、または両方を有する。これらの特許出願のいずれも、その用語が以下で使用される意味において、フルカラーディスプレイを開示していない。
【0025】
米国特許出願公開第2007/0031031号は、各ピクセルが白、黒、および1つの他の色を表示可能である、ディスプレイ媒体上に画像を表示するために、画像データを処理するための画像処理デバイスについて説明している。米国特許出願公開第2008/0151355号、第2010/0188732号、および第2011/0279885号は、可動粒子が多孔性構造を通して移動する、カラーディスプレイについて説明している。米国特許出願公開第2008/0303779号および第2010/0020384号は、異なる色の第1、第2、および第3の粒子を備える、ディスプレイ媒体について説明している。第1および第2の粒子は、凝集体を形成することができ、より小さい第3の粒子は、凝集された第1の粒子と第2の粒子との間に残された開口を通して移動することができる。米国特許出願公開第2011/0134506号は、一対の基板の間に封入された複数のタイプの粒子を含む、電気泳動ディスプレイ要素であって、基板のうちの少なくとも1つが、半透明であって、個別の複数のタイプの粒子がそれぞれ、同一極性で帯電され、光学特性が異なり、かつ移動するための移動速度および/または電場閾値のいずれかが異なり、半透明ディスプレイ側電極が、半透明基板が配置される、基板側に提供され、第1の裏側電極が、ディスプレイ側電極に面する他方の基板側に提供され、第2の裏側電極が、ディスプレイ側電極に面する他方の基板側に提供される、電気泳動ディスプレイ要素と、複数のタイプの粒子からの最速移動速度を有する粒子のタイプまたは複数のタイプの粒子からの最低閾値を有する粒子のタイプが、異なるタイプの粒子のそれぞれずつ順に、第1の裏側電極または第2の裏側電極に移動され、次いで、第1の裏側電極に移動される粒子が、ディスプレイ側電極に移動されるように、ディスプレイ側電極、第1の裏側電極、および第2の裏側電極に印加される電圧を制御する、電圧制御区分とを含む、ディスプレイデバイスについて説明している。米国特許出願公開第2011/0175939号、第2011/0298835号、第2012/0327504号、および第2012/0139966号は、複数の粒子の凝集および閾値電圧に依拠にする、カラーディスプレイについて説明している。米国特許出願公開第2013/0222884号は、帯電基含有ポリマーおよび着色剤を含有する着色粒子と、着色粒子に付着され、共重合成分として、反応性モノマーおよびモノマーの具体的群から選択された少なくとも1つのモノマーを含有する、分岐型シリコーンベースのポリマーとを含有する、電気泳動粒子について説明している。米国特許出願公開第2013/0222885号は、分散媒体と、分散媒体中に分散され、電場内を移動する、着色電気泳動粒子群と、移動せず、電気泳動粒子群のものと異なる色を有する、非電気泳動粒子群と、中性極性基および疎水性基を有し、分散液体全体に基づいて、約0.01〜約1質量%の比率で分散媒体中に含有される、化合物とを含有する、電気泳動ディスプレイのための分散液体について説明している。米国特許出願公開第2013/0222886号は、着色剤および親水性樹脂を含むコア粒子と、コア粒子のそれぞれの表面を被覆し、7.95(J/cm
3)
1/2またはそれを上回る溶解度パラメータに差異を伴う疎水性樹脂を含有する、シェルとを含有する、浮遊粒子を含む、ディスプレイのための分散液体について説明している。米国特許出願公開第2013/0222887号および第2013/0222888号は、規定された化学組成物を有する電気泳動粒子について説明している。最後に、米国特許出願公開第2014/0104675号は、電場に応答して移動する第1および第2の着色粒子と、分散媒体とを含み、第2の着色粒子が、第1の着色粒子より大きい直径および第1の色粒子の帯電特性と同一の帯電特性を有し、ディスプレイの単位面積あたりの第1の着色粒子の電荷量Csと第2の着色粒子の電荷量Clの比率(Cs/Cl)が5未満またはそれに等しい、粒子分散について説明している。前述のディスプレイのうちのいくつかは、フルカラーを提供するが、その代わり、長期かつ煩雑な対処方法を要求する。
【0026】
米国特許出願公開は、絶縁液体中に含まれる複数の第1および第2の電気泳動粒子を含み、第1および第2の粒子が、相互と異なる異なる帯電特性を有する、電気泳動デバイスであって、さらに、絶縁液体内に含まれ、線維構造から形成される、多孔性層を備える、デバイスについて説明している。これらの特許出願は、その用語が以下に使用される意味において、フルカラーディスプレイではない。
【0027】
また、米国特許出願公開第2011/0134506号および前述の出願第14/277,107号も参照されたい。後者は、着色流体中に3つの異なるタイプの粒子を使用するフルカラーディスプレイについて説明しているが、着色流体の存在は、ディスプレイによって達成され得る、白状態の品質を制限する。
【0028】
要するに、最先端技術では、色を産生するその機構が異なる、色反射型ディスプレイのいくつかの実施形態が、存在する。そのようなディスプレイは、典型的には、最先端技術において、全てのピクセル場所において複数の色をレンダリング可能であるが(例えば、黒、白、減法混色の三原色(シアン、マゼンタ、および黄)、ならびに加法混色の三原色(赤、緑、および青))、全てのピクセル場所において256RGBレベルに対応する色をレンダリング可能ではない。これは、各ピクセル場所において、合計2
24の異なる色のために、赤、緑、および青チャネル内で少なくとも256の異なる強度レベルを提供可能である、典型的発光型ディスプレイ(液晶ディスプレイまたは発光ダイオードを使用して作製されるディスプレイ等)とは対照的である。
【0029】
本発明は、画像をディスプレイ上に全体としてレンダリングするために要求されるものより少ない色を含む(すなわち、ピクセルレベルにおいて利用可能な色は、特定の用途のための十分な品質の画像をレンダリングするために要求されるものより粗いレベルで量子化される)、色のパレットを各ピクセル場所に提供可能である、フルカラー画像を反射型ディスプレイ上にレンダリングするための方法を提供することを模索する。本発明の方法は、ディスプレイ上にレンダリングされる画像の空間分解能が低減されるが、色深度が増加されるように、各ピクセルの色パレットにおいて利用可能な色間のディザリングを伴う。そのようなディザリングは、印刷技術において周知である。ディザリングされた画像は、十分な距離で視認されるとき、個々の着色されたピクセルは、ヒト視覚系によって、知覚される均一色の中にマージされる。色深度と空間分解能との間のトレードオフのため、近くから視認されるときのディザリングされた画像は、各ピクセル場所において利用可能な色パレットが、画像をディスプレイ上に全体としてレンダリングするために要求されるものと同一深度を有する画像と比較して、特徴的粒状性を有する。
【0030】
特定の色を特定のピクセルに割り当てるためのアルゴリズムが、ディザリングによってレンダリングされた画像内の好ましくないパターンおよびテクスチャを回避するために開発されている。そのようなアルゴリズムは、誤差拡散を伴い得る、すなわち、あるピクセルにおいて要求される色とピクセルあたりパレット内の最も近い色との間の差異から生じる誤差(すなわち、量子化残差)が、まだ処理されていない近隣ピクセルに分散される技法である。欧州特許第0677950号は、そのような技法を詳細に説明している一方、米国特許第5,880,857号は、ディザリング技法の比較のための測定基準を説明している。
【発明を実施するための形態】
【0043】
1つのタイプの反射型ディスプレイは、電気泳動媒体を含有する、電気泳動ディスプレイである。電気泳動媒体は、流体である第1の光散乱性粒子(典型的には、白)と、減法混色の三原色(典型的には、マゼンタ、シアン、および黄)を有する、第2、第3、および第4の粒子とを含み、これらの着色された粒子のうちの少なくとも2つは、非光散乱性である。第1および第2の粒子は、第3および第4の粒子によって形成される凝集体を分離するために要求される電場が、任意の他の2つのタイプの粒子から形成される凝集体を分離するために要求されるものを上回るように、ポリマーコーティングを帯びる。白(「W」)、黒(「K」)、マゼンタ(「M」)、シアン(「C」)、黄(「Y」)、赤(「R」)、緑(「G」)、および青(「B」)色を生成するように媒体を駆動する方法もまた、説明される。
【0044】
すでに述べたように、付随の図面の
図1は、黒、白、減法混色の三原色、および加法混色の三原色を表示するときの本発明の電気泳動媒体中の種々の粒子の位置を示す、概略断面図である。
図1では、ディスプレイの画面は、上部にある(図示されるように)、すなわち、ユーザは、ディスプレイを本方向から視認し、光は、本方向から入射すると仮定される。すでに述べたように、好ましい実施形態では、本発明の電気泳動媒体において使用される4つの粒子のうちの1つのみが、光を実質的に散乱させ、
図1では、本粒子は、白顔料であると仮定される。基本的に、本光散乱性白粒子は、白粒子の上方の任意の粒子(
図1に図示されるように)が視認される、白反射体を形成する。ディスプレイの画面に進入する光は、これらの粒子を通して通過し、白粒子から反射され、これらの粒子を通して逆通過し、ディスプレイから出現する。したがって、白粒子の上方の粒子は、種々の色を吸収し得、ユーザに現れる色は、白粒子の上方の粒子の組み合わせから生じるものである。白粒子の下方(ユーザの視点から背後)に配置される任意の粒子は、白粒子によってマスクされ、表示される色に影響を及ぼさない。第2、第3、および第4の粒子は、実質的に非光散乱性であるため、相互に対するその順序または配列は、重要ではないが、すでに述べられた理由から、白(光散乱性)の粒子に対するその順序または配列は、重要である。
【0045】
より具体的には、シアン、マゼンタ、および黄粒子が、白粒子の下方にあるとき(
図1における状況[A])、白粒子の上方に粒子が存在せず、ピクセルは、単に、白色を表示する。単一粒子が白粒子の上方にあるとき、それぞれ、
図1における状況[B]、[D]、および[F]での黄、マゼンタ、およびシアンのように、その単一粒子の色が、表示される。2つの粒子が白粒子の上方にあるとき、表示される色は、これらの2つの粒子のそれらの組み合わせである。すなわち、
図1における状況[C]では、マゼンタおよび黄粒子は、赤色を表示し、状況[E]では、シアンおよびマゼンタ粒子は、青色を表示し、状況[G]では、黄およびシアン粒子は、緑色を表示する。最後に、全3つの着色粒子が白粒子の上方にあるとき(
図1における状況[H])、全入射光は、減法混色の三原色着色粒子によって吸収され、ピクセルは、黒色を表示する。
【0046】
1つの減法混色の原色が、ディスプレイが2つのタイプの光散乱性粒子を備え、その一方が白であって、他方が着色されるであろうように、光を散乱させる粒子によってレンダリングされ得ることが可能性として考えられる。しかしながら、この場合、白粒子を覆う他の着色粒子に対する光散乱性着色粒子の位置は、重要となるであろう。例えば、黒色をレンダリングする際(全3つの着色粒子が白粒子にわたってあるとき)、散乱性着色粒子は、非散乱性着色粒子にわたって存在することができない(そうでなければ、部分的または完全に、散乱性粒子の背後に隠され、レンダリングされる色は、黒ではない、散乱性着色粒子のものとなるであろう)。
【0047】
1つを上回るタイプの着色粒子が光を散乱させた場合、黒色をレンダリングすることは、容易ではないであろう。
【0048】
図1は、色が汚染されない(すなわち、光散乱性白粒子が白粒子の背後にある任意の粒子を完全にマスクする)、理想的状況を示す。実際は、白粒子によるマスクは、不完全であり得、理想的には完全にマスクされるであろう粒子によって、わずかな光の吸収が存在し得る。そのような汚染は、典型的には、レンダリングされている色の明度および彩度の両方を低減させる。本発明の電気泳動媒体では、そのような色汚染は、形成される色が色レンダリングのための産業標準に準拠する点まで最小限にされるはずである。特に、好ましい標準は、SNAP(新聞広告制作のための標準)であって、これは、上記で参照した8つの原色毎に、L*、a*、およびb*値を規定するものである。ディスプレイデバイスは、先行技術において公知のいくつかの方法において、本発明の電気泳動流体を使用して構築されてもよい。電気泳動流体は、マイクロカプセル内にカプセル化される、またはマイクロセル構造の中に組み込まれ、その後、ポリマー層で密閉されてもよい。マイクロカプセルまたはマイクロセル層は、導電性材料の透明コーティングを帯びるプラスチック基板またはフィルム上にコーティングまたはエンボス加工されてもよい。本アセンブリは、導電性接着剤を使用して、ピクセル電極を支承するバックプレーンにラミネートされてもよい。
【0049】
図1に示される粒子配列のそれぞれを達成するために使用される波形の第1の実施形態が、ここで、
図2−4を参照して説明される。以降、本駆動方法は、本発明の「第1の駆動スキーム」と称される。本議論では、第1の粒子のセットは、白であって、負に帯電され、第2の粒子のセットは、シアンであって、正に帯電され、第3の粒子のセットは、黄であって、負に帯電され、第4の粒子のセットは、マゼンタであって、正に帯電されると仮定される。当業者は、粒子色のこれらの割当が変更される場合、色遷移がどのように変化するであろうかを理解するであろう。同様に、全粒子上の電荷の極性は、反転されることができ、電気泳動媒体は、媒体を駆動するために使用される波形の極性(次の段落参照)も同様に反転されることを前提として、依然として、同一様式で機能するであろう。
【0050】
以下の議論では、本発明のディスプレイのバックプレーンのピクセル電極に印加される波形(電圧対時間曲線)について説明およびプロットされるが、フロント電極は、接地される(すなわち、ゼロ電位)と仮定される。電気泳動媒体によって被られる電場は、当然ながら、バックプレーンとフロント電極との間の電位の差異とそれらを分離する距離とによって判定される。ディスプレイは、典型的には、そのフロント電極を通して視認され、したがって、ピクセルによって表示される色を制御するのは、フロント電極に隣接する粒子であって、バックプレーンに対するフロント電極の電位が検討される場合、時として、伴われる光学遷移を理解するのがより容易である。これは、単に、以下に論じられる波形を反転することによって行われることができる。
【0051】
これらの波形は、ディスプレイの各ピクセルが、
図2−4では、30V、15V、0、−15V、および−30Vとして図示される、+V
high、+V
low、0、−V
low、および−V
highとして指定される、5つの異なるアドレス指定電圧において駆動され得ることを要求する。実際は、より多い数のアドレス指定電圧を使用することが好ましくあり得る。3つの電圧のみが利用可能である場合(すなわち、+V
high、0、および−V
high)、1/nのデューティサイクルを伴うV
highのパルスを用いてアドレス指定することによって、より低い電圧におけるアドレス指定と同一結果を達成することが可能であり得る(例えば、V
high/nであって、nは、正の整数>1である)。
【0052】
本発明において使用される波形は、3つの相、すなわち、以下に説明されるように、ピクセルに印加される前の波形に起因するDC不平衡が補正される、または後続色レンダリング遷移において被られるDC不平衡が補正される(当技術分野において公知のように)、DC平衡化相と、ピクセルが、ピクセルの前の光学状態にかかわらず、少なくとも略同一である開始構成に戻される、「リセット」相と、「色レンダリング」相とを備えてもよい。DC平衡化およびリセット相は、随意であって、特定の用途の需要に応じて、省略されてもよい。「リセット」相は、採用される場合、ディスプレイを後続色が再現可能に得られ得る状態に戻すことを前提として、以下に説明される、マゼンタレンダリング波形と同一であってもよい、または最大可能正および負電圧を連続して駆動することを伴ってもよい、またはある他のパルスパターンであってもよい。
【0053】
図2Aおよび2Bは、理想形態における、本発明のディスプレイにおいて黒および白状態を生成するために使用される波形の典型的色レンダリング相を示す。
図2Aおよび2Bにおけるグラフは、ディスプレイのバックプレーン(ピクセル)電極に印加される電圧を示す一方、トッププレーン上の透明共通電極は、接地される。x−軸は、任意単位で測定される時間を表す一方、y−軸は、ボルト単位の印加される電圧である。ディスプレイを黒(
図2A)または白(
図2B)状態に駆動することは、前述のように、V
lowに対応する場(または電流)において、マゼンタおよび黄顔料がともに凝集されるため、それぞれ、好ましくは、電圧V
lowにおける正または負インパルスのシーケンスによってもたらされる。したがって、白およびシアン顔料は、移動する一方、マゼンタおよび黄顔料は、定常のままであって(またははるかにより低い速度で移動する)、ディスプレイは、白状態とシアン、マゼンタ、および黄顔料による吸収に対応する状態(多くの場合、当技術分野では、「複合黒」と称される)との間で切り替える。黒および白を駆動するためのパルスの長さは、約10〜1000ミリ秒に変動し得、パルスは、10〜1000ミリ秒の範囲内の長さのリセット(ゼロ印加ボルト時)によって分離される。
図2は、黒および白を生成するために、それぞれ、正および負電圧のパルスを示し、これらのパルスは、ゼロ電圧が供給される、「リセット」によって分離されるが、時として、これらの「リセット」期間は、駆動パルスと反対極性であるが、より低いインパルスを有する(すなわち、より短い持続時間、または主要駆動パルスより低い印加される電圧、または両方を有する)パルスを備えることが好ましい。
【0054】
図3A−3Dは、マゼンタおよび青(
図3Aおよび3B)および黄および緑(
図3Cおよび3D)色を生成するために使用される波形の典型的色レンダリング相を示す。
図3Aでは、波形は、正インパルスと負インパルスとの間で発振するが、正インパルスの長さ(t
p)は、負インパルスのもの(t
n)より短い一方、正インパルスにおいて印加される電圧(V
p)は、負インパルスのもの(V
n)を上回る。以下であるとき、
V
pt
p=V
nt
n
全体としての波形は、「DC平衡化」される。正および負インパルスの1サイクルの期間は、約30〜1000ミリ秒の範囲であり得る。
【0055】
正インパルスの終了時、ディスプレイは、青状態にある一方、負インパルスの終了時、ディスプレイは、マゼンタ状態にある。これは、シアン顔料の運動に対応する光学密度の変化が、マゼンタまたは黄顔料の運動に対応する変化より大きい(白顔料に対して)ということと一貫する。上記に提示される仮説に従って、これは、マゼンタ顔料と白顔料との間の相互作用がシアン顔料と白顔料との間のものより強い場合、予期されるであろう。黄および白顔料(両方とも負に帯電される)の相対的移動性は、シアンおよび白顔料(反対に帯電される)の相対的移動性よりはるかに低い。したがって、マゼンタまたは青を生成するための好ましい波形では、V
pt
p後、V
nt
nが続く、少なくとも1つのサイクルを備える、インパルスのシーケンスが、好ましく、V
p>V
nおよびt
p<t
nである。青色が要求されるとき、シーケンスは、V
pで終了する一方、マゼンタ色が要求されるとき、シーケンスは、V
nで終了する。
【0056】
図3Bは、3つのみの電圧レベルを使用する、マゼンタおよび青状態のための代替波形を示す。本代替波形では、V
pt
p後、V
nt
nが続く、少なくとも1つのサイクルが、好ましく、V
p=V
n=V
highおよびt
n<t
pである。本シーケンスは、DC平衡化されることができない。青色が要求されるとき、シーケンスは、V
pで終了する一方、マゼンタ色が要求されるとき、シーケンスは、V
nで終了する。
【0057】
図3Cおよび3Dに示される波形は、それぞれ、
図3Aおよび3Bに示されるものの逆であって、対応する相補的色黄および緑を生成する。
図3Cに示されるような黄または緑を生成するための一好ましい波形では、V
pt
p後、V
nt
nが続く、少なくとも1つのサイクルを備える、インパルスのシーケンスが、使用され、V
p<V
nおよびt
p>t
nである。緑色が要求されるとき、シーケンスは、V
pで終了する一方、黄色が要求されるとき、シーケンスは、V
nで終了する。
【0058】
3つのみの電圧レベルを使用する、黄または緑を生成するための別の好ましい波形は、
図3Dに示される。この場合、V
pt
p後、V
nt
nが続く、少なくとも1つのサイクルが、使用され、V
p=V
n=V
highおよびt
n>t
pである。本シーケンスは、DC平衡化されることができない。緑色が要求されるとき、シーケンスは、V
pで終了する一方、黄色が要求されるとき、シーケンスは、V
nで終了する。
【0059】
図4Aおよび4Bは、本発明のディスプレイ上に赤およびシアン色をレンダリングするために使用される波形の色レンダリング相を示す。これらの波形もまた、正インパルスと負インパルスとの間で発振するが、正および負インパルスの1サイクルの期間が、典型的には、より長く、使用されるアドレス指定電圧が、より低くあり得る(但し、必ずしもではない)という点において、
図3A−3Dの波形と異なる。
図4Aの赤波形は、黒(
図2Aに示される波形に類似する)を生成するパルス(+V
low)後、反対極性のより短いパルス(−V
low)が続き、これは、シアン粒子を除去し、黒をシアンの相補的色である赤に変化させる。シアン波形は、赤のものの逆であって、白(−V
low)を生成する区分後、短パルス(V
low)が続き、画面に隣接するシアン粒子を移動させる。
図3A−3Dに示される波形と同様に、シアンは、白に対して、マゼンタまたは黄顔料のいずれかより高速に移動する。しかしながら、
図3の波形とは対照的に、
図4の波形における黄顔料は、マゼンタ粒子と同一の白粒子側にとどまる。
【0060】
図2−4を参照して前述の波形は、5レベル駆動スキーム、すなわち、任意の所与の時間において、ピクセル電極が、共通フロント電極に対して、2つの異なる正電圧、2つの異なる負電圧、またはゼロボルトのうちの任意の1つにあり得る、駆動スキームを使用する。
図2−4に示される具体的波形では、5つのレベルは、0、±15V、および±30Vである。しかしながら、少なくともいくつかの場合には、7つの異なる電圧、すなわち、3つの正、3つの負、およびゼロを使用する、7レベル駆動スキームを使用することが有利であることが見出されている。本7レベル駆動スキームは、以降、本発明の「第2の駆動スキーム」と称され得る。ディスプレイをアドレス指定するために使用される電圧の数の選択肢は、ディスプレイを駆動するために使用される電子機器の制限を考慮すべきである。一般に、駆動電圧の数が多いほど、異なる色のアドレス指定においてより柔軟性を提供するであろうが、このようなより多数の駆動電圧を従来のデバイスディスプレイドライバに提供するために必要な配列を複雑にする。本発明者らは、7つの異なる電圧の使用が、ディスプレイアーキテクチャの複雑性と色域との間の良好な妥協を提供することを見出した。
【0061】
本発明のディスプレイ(
図1に示されるもの等)に印加される本第2の駆動スキームを使用する、8つの原色(白、黒、シアン、マゼンタ、黄、赤、緑、および青)の生成において使用される一般原理が、ここで、
図5を参照して説明される。
図2−4におけるように、第1の顔料は、白であって、第2の顔料は、シアンであって、第3顔料は、黄であって、第4顔料は、マゼンタであると仮定される。顔料色の割当が変更される場合、ディスプレイによって呈される色も変化するであろうことは、当業者に明白となるであろう。
【0062】
ピクセル電極に印加される最大正および負電圧(
図5では±Vmaxとして指定される)は、それぞれ、第2および第4の粒子の混合物(シアンおよびマゼンタ、青色を生成する−
図1E参照)、または第3の粒子単独(黄−
図1B参照−白顔料が、光を散乱させ、着色顔料間にある)によって形成される色を生成する。これらの青および黄色は、必ずしも、ディスプレイによって達成される最良青および黄ではない。ピクセル電極に印加される中間レベル正および負電圧(
図5では±Vmidとして指定される)は、それぞれ、黒および白である、色を生成する。
【0063】
これらの青、黄、黒、または白光学状態から、他の4つの原色は、第2の粒子(この場合、シアン粒子)のみを最低印加電圧(
図5では±Vminとして指定される)を使用して達成される第1の粒子(この場合、白粒子)に対して移動させることによって得られ得る。したがって、シアンを青から移動させること(−Vminをピクセル電極に印加することによって)は、マゼンタを生成し(それぞれ、青およびマゼンタに関する
図1Eおよび1D参照)、シアンを黄に移動させること(+Vminをピクセル電極に印加することによって)は、緑を提供し(それぞれ、黄および緑に関する
図1Bおよび1G参照)、シアンを黒から移動させること(−Vminをピクセル電極に印加することによって)は、赤を提供し(それぞれ、黒および赤に関する
図1Hおよび1C参照)、シアンを白に移動させること(+Vminをピクセル電極に印加することによって)は、シアンを提供する(それぞれ、白およびシアンに関する
図1Aおよび1F参照)。
【0064】
これらの一般原理は、本発明のディスプレイにおいて特定の色を生成するための波形の構築において有用であるが、実際は、前述の理想的挙動は、観察され得ず、基本スキームの修正が、望ましくは、採用される。
【0065】
前述の基本原理の修正を具現化する一般的波形は、
図5に図示され、横座標は、時間(任意単位)を表し、縦座標は、ピクセル電極と共通フロント電極との間の電圧差を表す。
図5に図示される駆動スキームにおいて使用される3つの正電圧の大きさは、約+3V〜+30Vにあって、3つの負電圧の大きさは、約−3V〜−30Vにあり得る。一経験上好ましい実施形態では、最高正電圧+Vmaxは、+24Vであって、中間正電圧+Vmidは、12Vであって、最低正電圧+Vminは、5Vである。類似様式において、負電圧−Vmax、−Vmid、および−Vminは、ある好ましい実施形態では、−24V、−12V、および−9Vである。3つの電圧レベルのいずれかに関する電圧の大きさは、|+V|=|−V|である必要はないが、ある場合には、そうであることが好ましくあり得る。
【0066】
図5に図示される一般的波形には、4つの固有の相が存在する。第1の相(
図5では「A」)では、ディスプレイ上にレンダリングされた前の画像を消去する(すなわち、ディスプレイを「リセット」する)役割を果たす、+Vmaxおよび−Vmaxにおけるパルスが供給される(「パルス」は、単極方形波、すなわち、所定の時間の間の一定電圧の印加を示す)。これらのパルス(t
1およびt
3)ならびにリセット(すなわち、それらの間のゼロ電圧の期間(t
2およびt
4))の長さは、波形全体(すなわち、
図5に図示されるように全体的波形にわたる時間に対する電圧の積分)がDC平衡化される(すなわち、積分が実質的にゼロである)ように選定されてもよい。DC平衡は、相Aにおいて供給される正味インパルスが、大きさが等しく、相BおよびCの組み合わせにおいて供給される正味インパルスと符号が反対であるように、本相においてパルスおよびリセットの長さを調節することによって達成されることができ、本相の間、以下に説明されるように、ディスプレイは、特定の所望の色に切り替えられる。
【0067】
図5に示される波形は、一般的波形の構造の例証目的のためのものにすぎず、本発明の範囲をいかようにも限定することを意図するものではない。したがって、
図5では、負パルスは、相Aにおいて正パルスに先行して示されるが、これは、本発明の要件ではない。また、相Aに単一負および単一正パルスのみ存在することも要件ではない。
【0068】
前述のように、一般的波形は、本質的に、DC平衡化され、これは、本発明のある実施形態では、好ましくあり得る。代替として、相Aにおけるパルスは、先行技術のある黒および白ディスプレイに提供されるものに類似する様式において、DC平衡を、単一遷移にではなく、一連の色遷移に提供してもよい。例えば、米国特許第7,453,445号を参照されたい。
【0069】
波形の第2の相(
図5では相B)では、最大および中間電圧振幅を使用するパルスが、供給される。本相では、白、黒、マゼンタ、赤、および黄色が、好ましくは、
図2−4を参照して前述の様式でレンダリングされる。
【0070】
前述のように(
図2Bおよび関連説明参照)、白は、−Vmidにおけるパルスまたは複数のパルスによってレンダリングされてもよい。しかしながら、ある場合には、このように生成される白色は、黄顔料によって汚染され、淡黄に現れ得る。本色汚染を補正するために、正極性のいくつかのパルスを導入する必要があり得る。したがって、例えば、白は、単一インスタンス、または長さT
1および振幅+Vmaxまたは+Vmidを伴うパルス後、長さT
2および振幅−Vmidを伴うパルスが続く、パルスのシーケンス(T
2>T
1)のインスタンスの反復によって得られてもよい。最終パルスは、負パルスであるはずである。
図5では、時間t
5の間の+Vmax後、時間t
6の間の−Vmidが続く、4つのシーケンスの反復が、示される。本パルスのシーケンスの間、ディスプレイの外観は、マゼンタ色(但し、典型的には、理想的マゼンタ色ではない)と白との間で発振する(すなわち、白色は、最終白状態より低いL
*およびより高いa
*の状態が先行するであろう)。これは、マゼンタと青との間の発振が観察された、
図3Aに示されるパルスシーケンスに類似する。ここでの差異は、パルスシーケンスの正味インパルスが、
図3Aに示されるパルスシーケンスより負であって、したがって、発振が、負に帯電される白顔料に向かってバイアスされることである。
【0071】
前述のように(
図3Aおよび関連説明参照)、黒は、+Vmidにおけるパルスまたは複数のパルス(ゼロ電圧の期間によって分離される)によるレンダリングによって得られ得る。
【0072】
前述のように(
図3Aおよび3Bおよび関連説明参照)、マゼンタは、単一インスタンス、または長さT
3および振幅+Vmaxまたは+Vmidを伴うパルス後、長さT
4および振幅−Vmidを伴うパルスが続く、パルスのシーケンス(T
4>T
3)を備える、インスタンスの反復によって得られ得る。マゼンタを生成するために、波形の本相における正味インパルスは、白を生成するために使用される正味インパルスより正であるはずである。マゼンタを生成するために使用されるパルスのシーケンスの間、ディスプレイは、本質的に、青およびマゼンタである、状態間で発振するであろう。マゼンタ色は、最終マゼンタ状態より負a
*およびより低いL
*の状態が先行するであろう。
【0073】
前述のように(
図4Aおよび関連説明参照)、赤は、単一インスタンス、または長さT
5および振幅+Vmaxまたは+Vmidを伴うパルス後、長さT
6および振幅−Vmaxまたは−Vmidを伴うパルスが続く、パルスのシーケンスを備える、インスタンスの反復によって得られ得る。赤を生成するために、正味インパルスは、白または黄を生成するために使用される正味インパルスより正であるはずである。好ましくは、赤を生成するために、使用される正および負電圧は、実質的に同一の大きさ(両Vmaxまたは両Vmidのいずれか)であって、正パルスの長さは、負パルスの長さより長く、最終パルスは、負パルスである。赤を生成するために使用されるパルスのシーケンスの間、ディスプレイは、本質的に、黒および赤である、状態間で発振するであろう。赤色は、最終赤状態より低いL
*、より低いa
*、およびより低いb
*の状態が先行するであろう。
【0074】
黄(
図3Cおよび3Dおよび関連説明参照)は、単一インスタンス、または長さT
7および振幅+Vmaxまたは+Vmidを伴うパルス後、長さT
8および振幅−Vmaxを伴うパルスが続く、パルスのシーケンスを備える、インスタンスの反復によって得られ得る。最終パルスは、負パルスであるはずである。代替として、前述のように、黄色は、−Vmaxにおける単一パルスまたは複数のパルスによって得られ得る。
【0075】
波形の第3の相(
図5では相C)では、中間および最小電圧振幅を使用するパルスが、供給される。波形の本相では、青およびシアン色は、波形の第2の相における白に向かう駆動後に生成され、緑色は、波形の第2の相における黄に向かう駆動後に生成される。したがって、本発明のディスプレイの波形過渡が観察されるとき、青およびシアン色は、b
*が最終シアンまたは青のb
*値より正である色が先行し、緑色は、L
*が最終緑のL
*、a
*、およびb
*より高く、a
*およびb
*がより正である、より黄が先行するであろう。より一般的には、本発明のディスプレイが、第1および第2の粒子の着色されたものに対応する色をレンダリングするとき、その状態は、本質的に、白である(すなわち、約5未満のC*を有する)、状態が先行するであろう。本発明のディスプレイが、第1および第2の粒子の着色されたものと本粒子の反対電荷を有する第3および第4の粒子の粒子の組み合わせに対応する色をレンダリングするとき、ディスプレイは、最初に、本質的に、第1および第2の粒子の着色されたものと反対電荷を有する、第3および第4の粒子の粒子の色をレンダリングするであろう。
【0076】
典型的には、シアンおよび緑は、+Vminが使用されなければならない、パルスシーケンスによって生成されるであろう。これは、本最小正電圧においてのみ、シアン顔料が、白顔料に対してマゼンタおよび黄顔料から独立して移動され得るためである。シアン顔料のそのような運動は、白から開始するシアンまたは黄から開始する緑をレンダリングするために必要である。
【0077】
最後に、波形の第4の相(
図5では相D)では、ゼロ電圧が、供給される。
【0078】
本発明のディスプレイは、8つの原色を生成するように説明されたが、実際は、可能な限り多くの色がピクセルレベルで生成されることが好ましい。フルカラーグレースケール画像が、次いで、撮像技術における当業者に周知であって、以下により詳細に説明される技法を使用して、これらの色間でディザリングすることによってレンダリングされてもよい。例えば、前述のように生成される8つの原色に加え、ディスプレイは、付加的8つの色をレンダリングするように構成されてもよい。一実施形態では、これらの付加的色は、薄赤、薄緑、薄青、濃シアン、濃マゼンタ、濃黄、および黒と白との間の2つのレベルのグレー色である。本文脈において使用される用語「薄」および「濃」は、基準色とCIEL
*a
*b
*等の色空間内で実質的に同一色相角であるが、それぞれ、より高いまたはより低いL
*を有する、色を指す。
【0079】
一般に、薄色は、濃色と同一様式においてであるが、相BおよびCにおいて、若干異なる正味インパルスを有する波形を使用して得られる。したがって、例えば、薄赤、薄緑、および薄青波形は、相BおよびCにおいて、対応する赤、緑、および青波形より負の正味インパルスを有する一方、濃シアン、濃マゼンタ、および濃黄は、相BおよびCにおいて、対応するシアン、マゼンタ、および黄波形より正の正味インパルスを有する。正味インパルスの変化は、相BおよびCにおいて、パルスの長さ、パルスの数、またはパルスの大きさを改変することによって達成されてもよい。
【0080】
グレー色は、典型的には、低または中電圧間で発振するパルスのシーケンスによって達成される。
【0081】
薄膜トランジスタ(TFT)アレイを使用して駆動される本発明のディスプレイでは、
図5の横座標上で利用可能な時間インクリメントが、典型的には、ディスプレイのフレームレートによって量子化されるであろうことは、当業者に明白となるであろう。同様に、ディスプレイは、フロント電極に対するピクセル電極の電位を変更することによってアドレス指定され、これは、ピクセル電極またはフロント電極のいずれかまたは両方の電位を変更することによって遂行され得ることも明白となるであろう。本最先端技術では、典型的には、ピクセル電極のマトリクスは、バックプレーン上に存在する一方、フロント電極は、全ピクセルに共通である。したがって、フロント電極の電位が変更されると、全ピクセルのアドレス指定が、影響される。
図5を参照して前述の波形の基本構造は、可変電圧がフロント電極に印加されるかどうかにかかわらず、同一である。
【0082】
図5に図示される一般的波形は、駆動電子機器が、ディスプレイの選択された列の更新の間、7つ程度の異なる電圧をデータラインに提供することを要求する。7つの異なる電圧を送達可能な多重レベルソースドライバが利用可能であるが、電気泳動ディスプレイのための多くの商業上利用可能なソースドライバは、3つのみの異なる電圧が単一フレームの間に送達されることを可能にする(典型的には、正電圧、ゼロ、および負電圧)。本明細書では、用語「フレーム」は、ディスプレイ内の全列の単一更新を指す。パネルに供給される3つの電圧(典型的には、+V、0、および−V)が、あるフレームから次のフレームに変更され得ることを前提として、
図8の一般的波形を修正し、3レベルソースドライバアーキテクチャに対応させることが可能である。(すなわち、例えば、フレームnでは、電圧(+Vmax、0、−Vmin)が供給され得る一方、フレームn+1では、電圧(+Vmid、0、−Vmax)が供給され得るように)。
【0083】
ソースドライバに供給される電圧への変更は、全てのピクセルに影響を及ぼすため、波形は、各色を生成するために使用される波形が供給される電圧と整合されなければならないように、適宜、修正される必要がある。
図6は、
図5の一般的波形に対する適切な修正を示す。相Aでは、3つのみの電圧(+Vmax、0、−Vmax)が必要とされるため、変更は、必要ない。相Bは、それぞれ、長さL
1およびL
2として定義される、サブ相B1およびB2によって置換され、そのそれぞれの間、特定のセットの3つの電圧が使用される。
図6では、相B1において、電圧+Vmax、0、−Vmaxが、利用可能である一方、相B2では、電圧+Vmid、0、−Vmidが、利用可能である。
図6に示されるように、波形は、サブ相B1における時間t
5の間、+Vmaxのパルスを要求する。サブ相B1は、時間t
5より長く(例えば、t
5より長いパルスが必要とされ得る別の色のための波形に対応するために)、したがって、ゼロ電圧が、時間L
1−t
5の間に供給される。長さt
5のパルスおよびサブ相B1内の長さL
1−t
5のゼロパルスまたは複数のパルスの場所は、要求に応じて調節されてもよい(すなわち、サブ相B1は、必ずしも、図示されるように、長さt
5のパルスから開始しない)。3つの正電圧のうちの1つ、3つの負電圧のうちの1つ、およびゼロの選択肢が存在する、相BおよびCをサブ相に再分割することによって、より長い波形(必要ゼロパルスに対応するため)を犠牲にはするが、多重レベルソースドライバを使用して得られるであろうものと同一光学結果を達成することが可能である。
【0084】
トッププレーン切替が、3レベルソースドライバとの組み合わせにおいて使用されるとき、同一の一般原理が、
図6を参照して前述のように適用される。トッププレーン切替は、ソースドライバが好ましいVmaxほど高い電圧を供給することができないとき、好ましくあり得る。トッププレーン切替を使用して電気泳動ディスプレイを駆動するための方法は、当技術分野において周知である。
【0085】
本発明の第2の駆動スキームに従う典型的波形は、以下の表1に示され、括弧内の数字は、示されるバックプレーン電圧を用いて駆動されるフレームの数に対応する(ゼロ電位にあると仮定されるトッププレーンに対して)。
【0087】
リセット相では、最大負および正電圧のパルスは、ディスプレイの前の状態を消去するために提供される。各電圧におけるフレームの数は、色がレンダリングされる、高/中電圧および低/中電圧相における正味インパルスを補償する、量(色xに関してΔ
xとして示す)だけオフセットされる。DC平衡を達成するために、Δ
xは、その正味インパルスの半分となるように選定される。リセット相は、表に図示される精密な様式で実装される必要はない。例えば、トッププレーン切替が使用されるとき、特定の数のフレームを負および正駆動に配分する必要がある。そのような場合、DC平衡の達成と一貫した最大数の高電圧パルスを提供することが好ましい(すなわち、必要に応じて、2Δ
xを負または正フレームから減算する)。
【0088】
高/中電圧相では、前述のように、各色に適切なパルスシーケンスのN回の反復シーケンスが、提供され、Nは、1〜20であり得る。示されるように、本シーケンスは、大きさVmaxまたはVmidの正もしくは負電圧またはゼロが配分される、14のフレームを備える。示されるパルスシーケンスは、前述の議論と一致する。波形の本相では、白、青、およびシアン色をレンダリングするためのパルスシーケンスは、同一であることが分かる(青およびシアンが、この場合、前述のように、白状態から開始して達成されるため)。同様に、本相では、黄および緑をレンダリングするためのパルスシーケンスも、同一である(緑が、前述のように、黄状態から開始して達成されるため)。
【0089】
低/中電圧相では、青およびシアン色は、白から得られ、緑色は、黄から得られる。
【0090】
表2は、本発明のディスプレイを駆動させることからの典型的結果を示す。使用される波形は、表1に図示されるものに類似し、N=18であって、ディスプレイは、前述のように、好ましい電圧を用いて、65フレーム/秒でアドレス指定された。
【0092】
表1から、特定の色を本発明のディスプレイ上にレンダリングするために使用される典型的波形は、100〜1000フレームを使用してもよく、そのそれぞれの間、ピクセルに印加され得る3〜7つの異なる電圧の選択肢が存在することが明白となるであろう。したがって、使用され得る膨大な数の可能性として考えられる波形が、存在する。しかしながら、実際は、比較的に小数の波形のみが、波形ルックアップテーブル内に記憶される可能性が高い。最先端の技術では、典型的には、16(4ビット)または32(54ビット)の異なる色状態が、サポートされる(但し、当業者に明白となるであろうように、色状態毎に、例えば、ディスプレイの以前の状態、温度、更新の性質(全体または局所)等に応じて要求される、異なる波形が存在し得るため、はるかに多くの波形が記憶される)。したがって、多数の可能性として考えられる波形によってレンダリングされ得る、多数の可能性として考えられる色から、ピクセルレベルでレンダリングされるべき小数の色のセット(最小で8つであるが、好ましくは、16または32)を選択する必要性がある。フルカラー画像は、当技術分野において公知のように、これらのピクセル色間でディザリングすることによって生成される。色をこのようにレンダリングすることは、典型的発光型ディスプレイまたは従来のカラー印刷において色をレンダリングすることと異なる。
【0093】
図7Aは、インクジェットジェットプリンタまたはCMYKハーフトーンプロセス等のプリンタを使用して、フルカラー画像を反射媒体(白い紙等)上にレンダリングするための従来の方法を示す。透明または半透明インクが、減法混色の三原色ならびに随意の黒において利用可能である。インクのドットが、オーバーレイされ得るように、連続して適用される。したがって、例えば、赤色は、マゼンタおよび黄ドットのオーバーレイによって得られる。フルカラー画像は、減法混色のわずか三原色のドットを要求する。
【0094】
図7Bは、黒、白、およびグレー色をレンダリングする反射型ディスプレイ(例えば、反射電気泳動ディスプレイ)が、カラーフィルタ配列とオーバーレイされる状況を示す。フルカラー画像は、相互から別個であって、並列に配列される、変調された赤、緑、青、随意に、黒および白ピクセルの複合である。そのようなディスプレイの全体的面積にわたって特定の色をレンダリングすることは、不可能である。例えば、赤色をレンダリングするために、青および緑カラーフィルタの背後の電気泳動インクは、黒に切り替えられなければならず、黒および白ピクセルは、黒、白、またはグレーであり得る(所望される赤色の明度に応じて)。
【0095】
図7Cは、少なくとも、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄、白、および黒色を各ピクセル場所にレンダリングし得る、本発明の電気泳動ディスプレイを示す。これらの色を達成するために必要とされる顔料の精密な配列は、前述されている。この場合、ピクセルは、依然として、並列に配列され、減法混色が、加法混色の三原色を形成するようにオーバーレイされることができないため、減法混色の三原色のみを採用することは、不十分である(印刷におけるように)ことに留意されたい。また、この場合、減法混色の三原色が100%の面積被覆率でレンダリングされることができないため、加法混色の三原色のみを採用することも不十分である。
【0096】
本発明の電気泳動ディスプレイは、典型的には、多くの異なる色を各ピクセル場所にレンダリング可能であるが、これらの色は、3つの制御変数の独立操作によって選択不可能となるであろう(例えば、赤ピクセルの反射率が緑ピクセルの反射率から独立して制御され得る、
図1Bを参照して説明されたようなカラーフィルタ配列を有するディスプレイとは対照的に)。前述のように、本発明の電気泳動ディスプレイでは、色は、典型的には、電気泳動材料の単一の層内において、白、シアン、マゼンタ、および黄の色であり得る、顔料粒子の運動を制御することによって、レンダリングされる。これらの顔料粒子の運動は、典型的には、独立して、制御可能ではない(すなわち、1つの顔料粒子の運動がまた、他の顔料粒子も移動させるであろう、電気インパルス)。したがって、本発明のディスプレイでは、あるRGB組み合わせは、ピクセルレベルでレンダリングすることを可能にし得る一方、他は、そうではない。
【0097】
本発明の一実施形態では、フルカラー画像は、[255,0,0]、[0,255,0]、[0,0,255]、[0,255,255]、[255,0,255]、[255、255,0]、[255,255,255]、および[0,0,0]のソース空間(すなわち、レンダリングされる画像の色空間)内のRGB値に対応する、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄、白、および黒から成る、ピクセルレベルにおける色パレットを用いてディザリングすることによって得られる。これらの三原色は、
図8に示され、以降、ピクセルあたりパレット三原色と称され、また、本明細書では、「デバイス原色」または「第1の色セット」とも称される。
【0098】
デバイス原色としてのピクセルレベルで本発明のディスプレイに利用可能な特定の色の割当は、例えば、ピクセルレベルでディスプレイに利用可能な全色をサンプリングし、特定の色空間内の標準に最も近い8つの色を選択することによって行われてもよい。例えば、ディスプレイによってレンダリングされる色は、CIELab色空間内で測定されてもよく、その色に最も近いベクトル距離を伴うものは、8つのデバイス原色として選定されてもよい。
【0099】
実際は、
図8に示される理想的色に正確に合致することは、不可能である可能性が高く、理想に最も近似する色を判定するためのある方法が、提供されなければならない。1つのアプローチは、表1に示されるもの等の波形パラメータが変動される波形を用いて、ディスプレイをアドレス指定し、レンダリングされる色を測定することである。本レンダリングされる色のセットから、特定の色空間内の標準に最も近い近似を伴うものが、識別され得る。本アプローチは、表2に示される色を生成するために使用された。
【0100】
表3は、光学密度の単位において、表1および2に関して前述のようにアドレス指定されたディスプレイを使用して得られる、いくつかの色を示す。
【0102】
赤、緑、および青色に関して、それぞれ、650nm、550nm、および450nmにおいて測定される光学密度(表内に太字で示される)は、3つの波長のうちの他の2つにおいて測定される光学密度の平均を少なくとも0.2OD下回り、3つの波長のうちの他の2つにおいて測定される光学密度のいずれかを少なくとも0.1OD下回るべきである。本特定のディスプレイにおいてレンダリングされる緑色は、本基本の好ましい仕様内になかったことが分かる。
【0103】
シアン、マゼンタおよび黄色に関して、それぞれ、650nm、550nm、および450nmにおいて測定される光学密度(表内に下線で示される)は、3つの波長のうちの他の2つにおいて測定される光学密度の平均を少なくとも0.2OD上回り、3つの波長のうちの他の2つにおいて測定される光学密度のいずれかを少なくとも0.1OD上回るべきである。
【0104】
黒(K)および白色に関して、それぞれ、650nm、550nm、および450nmにおいて測定される光学密度は、0.2ODを上回って異ならないべきである。
【0105】
デバイス三原色がソース空間内の標的色(表3に示される色等)から大きく異なるとき、以下の手順が、画像をディスプレイ上にレンダリングするために使用されてもよい。
【0106】
最初に、L
*a
*b
*(CIELAB1978、D65/2)値が、色毎に測定される。これらのL
*a
*b
*値は、公知の変換マトリクスを使用して、sRGB(0−255)色空間に変換される。結果は、sRGB空間内の実際のデバイス三原色を表す、点のセットである。
【0107】
本点のセットは、カラー画像をレンダリングするために使用されるディザリングを促進するために、恣意的に変換されてもよい。例えば、測定された原色のsRGB値は、ソース空間内の標的点のより近くに移動されてもよい。ソース空間内の標的画像はまた、例えば、ディスプレイの測定された黒および白状態に対応するように線形にスケーリングされることによって変換されてもよい(すなわち、画像内の各点は、ディスプレイの測定されたダイナミックレンジに正規化されてもよい)。
【0108】
そのような変換に続き、画像ディザリングが、Floyd−Steinbergディザリング等の当技術分野において公知のアルゴリズムを使用して行われてもよい。
【0109】
ディスプレイの分解能が十分に高く、視認距離が十分に長い場合、8つのデバイス原色のみの間でディザリングすることが適正であり得る。しかしながら、実際は、これらの8つの三原色のみより多くのピクセルあたりパレット成分を提供することが必要であり得る。
【0110】
例えば、1メートルの距離で視認されるように設計された情報表示に関して、個々のピクセルは、辺長0.25mmの正方形であるとき、典型的視認者にとって不快ではなくなる。しかしながら、本ピクセル分解能で8つのみのデバイス原色を使用して画像をレンダリングすることは、先行技術ディザリングアルゴリズムのうちのいずれが採用されても、容認不可能な画像アーチファクトにつながる。典型的には、薄色と濃色との間のグレースケールランプ(すなわち、明度における勾配)において、急峻な遷移は、中間トーンの斑点外観につながり得る。本問題は、より高いピクセル分解能を使用する(例えば、0.125mm未満の辺長の、例えば、正方ピクセルを使用する)ことによって対処され得る。しかしながら、そのようなディスプレイは、より多くの駆動回路を要求し、そのコストを増加させるであろう。
【0111】
本発明によると、ディスプレイの分解能を維持し、ピクセルあたりパレット内で利用可能な色の数を増加させることが好ましい。前述のように、ピクセルあたりパレットは、8色(すなわち、2
3)から成る。しかしながら、4ビット波形を用いると、16のピクセルあたり色が、アドレス指定可能であり得、5ビット波形を用いると、32のピクセルあたり色が、アドレス指定可能であり得、したがって、ピクセルあたり色パレットは、拡張され得る。
【0112】
図9は、前述のグレースケールランプにおける斑点の問題に対する1つの解決策または実施形態を示す。8つのみのデバイス原色を使用して、グレーレベルが、黒と白との間でディザリングするだけで利用可能である。
図9に示されるように、ソース空間内に[127,127,127]のRGB値(実際は、黒状態と白状態との間の中間のL
*値)を有する、単一中間グレー点を導入することは、問題を軽減させる。実際には、本発明の一実施形態によると、4ビット波形を用いて利用可能な付加的8つのアドレス指定可能状態が存在するため、これらは、[0,0,0]と[255,255,255]との間の中間グレーレベルが割り当てられる(すなわち、
図9に黒/白対角線に沿って離間される)。
【0113】
ピクセルあたりパレット内の中間色の実際の割当は、デバイス三原色を割り当てるために使用されたものと同一色空間を使用して行われる。例えば、CIELab色空間を使用すると、これらの色は、異なるレベルグレーであって、したがって、C
*>5を有するべきではない(式中、C
*は、L*軸からの距離であって、
【化1】
として定義される)。
【0114】
図10は、本発明による、4ビット波形と併用される、ピクセルあたりパレット内の中間色の代替実施形態を示す。前述で定義されたデバイス原色に加え、色立方体の面の中心を備える、付加的6つの中間色が、存在する。これらの6つの中間色は、[127,127,0](濃黄)、[127,0,127](濃マゼンタ)、[0,127,127](濃シアン)、[127,127,255](薄赤)、[127,255,127](薄緑)、および[255,127,127](薄青)のソース空間内のRGB値に対応する。残りの2つの中間色は、白/黒対角線に沿って割り当てられ得る(すなわち、CIELab色空間を使用すると、これらの色は、異なるレベルのグレーであって、したがって、C
*>5を有するべきではない)。
【0115】
本発明による、ピクセルあたりパレットの中間色の実際の色は、前述の8つのデバイス原色のいずれかを参照して、CIELab(または他の)色空間内で測定されてもよい。例えば、色立方体の白/黄/赤/マゼンタ面内の中間色は、色立方体の面上にほぼ心合されるように、各対角線対の主要(角)点からほぼ等距離にある(すなわち、10dE
*単位を上回って等距離から異ならない)べきである。
【0116】
表4は、表3に示される色を得るために前述で使用されたものと同一の本発明のディスプレイを使用して得られた中間色の光学密度を示す。
【0118】
表3を参照して前述のような同一基準は、「赤」、「緑」、「青」、「シアン」、「マゼンタ」、および「黄」と指定される、より薄いおよび濃い色にも適用される。赤、緑、および青の薄バージョンは、それぞれ、「赤」、「緑」、および「青」のものを少なくとも0.1OD下回る、650nm、550nm、および450nmにおいて測定される光学密度を有するべきである。
【0119】
「シアン」、「マゼンタ」、および「黄」の濃バージョンは、「シアン」、「マゼンタ」、および「黄」のものを少なくとも0.1OD上回る、光学密度を有するべきである。
【0120】
本発明による、ピクセルあたりパレットのための中間色のさらに別の代替選択肢は、
図11に示される。この場合、一次立方体の1/3である辺長を有する、第2の色立方体が、採用される。第2の色立方体の座標は、[170,85,85]、[85,170,85]、[85,85,170]、[85,170,170]、[170,85,170]、[170、170,85]、[170,170,170]、および[85,85,85]のソース空間内のRGB値に対応する。
【0121】
図10および11に示される本発明の色パレットでは、それぞれ、グレー軸上に3および4点のみが存在する。5ビットアドレス指定波形が利用可能である場合、グレー軸に沿った付加的点が、
図10または11に追加され得る。
図11に追加されるそのような単一点は、
図12に示される。
【0122】
本発明による、5ビットアドレス指定(32状態)を伴うピクセルあたりパレットのための中間色のさらに別の代替選択肢は、
図13に示される。この場合、前述で定義されたピクセルあたりパレット一次成分に加え、色立方体の面および縁のそれぞれの中間点対応する、19の中間色が存在する。これらの座標は、[0,0,127]、[0,127、0]、[0,127,127]、[0,127,255]、[0,255,127]、[127,0、0]、[127,0,127]、[127,0,255]、[127,127、0]、[127,127,127]、[127,127,255]、[127,255、0]、[127,255,127]、[127,255,255]、[255,0,127]、[255,127、0]、[255,127,127]、[255,127,255]、および[255,255,127]のソース空間内のRGB値に対応する。これらは、ネイビーブルー、オフィスグリーン、ティール、純青、シアンライム、マルーン、紫、バイオレット、オリーブ、グレー、薄青、緑、薄ライム、薄シアン、ピンク、オレンジ、薄赤、薄マゼンタ、および薄黄色に対応する。前述のように、グレー軸に沿ってあるように選定され得る、または他の中間色に割り当てられ得る、付加的5色が利用可能である。
【0123】
実際は、ディスプレイが、実際には、8つのピクセルあたりパレット一次成分から構築された凸包から成るCIElab空間内の多面体の外側にある、色立方体の縁または面の中心に対応する色をレンダリング可能となることもあり得る。そのような場合、中間色の色相角および明度は、前述で定義されたように維持されるべきであるが、彩度は、拡張可能であるべきである。例えば、縁の中間点として定義される中間色は、2つのピクセルあたりパレット一次成分から等距離の点のものに実質的に等しい色相角および明度(すなわち、それぞれ、10度および10dE
*以内)を有するべきである。
【0124】
5ビットを上回るアドレス指定が可能である場合、付加的中間色が、ピクセルあたりパレットに追加され得る。6ビットアドレス指定を要求する、拡張されたピクセルあたりパレットの実施例は、
図14に示される。
【0125】
図15A−Cは、CIELab色空間内で定義されるような好ましいピクセルあたりパレットのための色を描写する、概略図であって、色は、a
*/b
*平面上に投影されるように示される(a
*は、水平軸であって、b*は、垂直軸である)。L
*軸は、a
*/b
*平面と垂直である。色相角(h°)は、反時計回りに移動する水平軸から測定され、以下の方程式によって計算される。
【数1】
【0126】
図15Aでは、ピクセルあたりパレットは、ソース空間がsRGBである
図8を参照して前述のパレットに対応する、8つの色によって定義される。これらの8色のうち、6つの色は、10を上回るC
*値を有し、2つの色は、5未満のC
*値を有する。5未満のC
*値を伴う2つの色は、好ましくは、白および黒である。好ましくは、10を上回るC
*値を伴う6つの色は、1つの色がn色相角における6つのセクタのそれぞれ内に割り当てられるように、CIELab色空間内でほぼ等しく分布される。例えば、1つの色は、角度1〜60度のh°を有し、1つの色は、60〜120度であって、1つの色は、120〜180度のh°を有し、1つの色は、180〜240度のh°を有し、1つの色は、240〜310度のh°を有し、1つの色は、310〜360度のh°を有する。
【0127】
図15Bでは、ピクセルあたりパレットは、ソース空間がsRGBである
図10を参照して前述のように、16の色によって定義される。これらの16色のうち、12の色は、10を上回るC*値を有し、4つの色は、5未満のC
*値を有する。好ましくは、5未満のC
*値を伴う4つの色のうちの2つは、白および黒であって、他の2つは、黒と白との間に分布される、好ましくは、L
*内の黒と白との間にほぼ等間隔を伴って分布されるグレートーンである。好ましくは、10を上回るC
*値を伴う12色は、2つの色が色相角における6つのセクタのそれぞれ内に割り当てられるように、CIELab色空間内に分布される。例えば、2つの色は、角度1〜60度のh°を有し、2つの色は60〜120度のh°を有し、2つの色は、120〜180度のh°を有し、2つの色は、180〜240度のh°を有し、2つの色は、240〜310度のh°を有し、2つの色は、310〜360度のh°を有する。各区画内の対の色は、L
*内で相互から異なる(例えば、より薄いおよびより濃い赤が、前述のように提供される)。
【0128】
図15Cでは、ピクセルあたりパレットは、ソース空間がsRGBである、
図13を参照して前述のように、32の色によって定義される。これらの32色のうち、24の色は、10を上回るC
*値を有し、8つの色は、5未満のC
*値を有する。好ましくは、5未満のC
*値を伴う8つの色のうち2つは、白および黒であって、他の6つは、黒と白との間に分布され、好ましくは、L
*内の黒と白との間にほぼ等間隔を伴って分布される。10を上回るC*値を伴う24色は、好ましくは、全色が色相角における7つのセクタのそれぞれ内に割り当てられるように、CIELab色空間内に分布される。例えば、3つの色は、h°=360°を含むセクタ内において、角度15〜45度のh°を有し、1つの色は、45〜75度のh°を有し、3つの色は、75〜110度のh°を有し、5つの色は、110〜180度のh°を有し、3つの色は、180〜250度のh°を有し、8つの色は、250〜345度のh°を有し、1つの色は、345〜15度のh°を有する。
【0129】
本発明では、次いで、画像が、ピクセルあたりパレット色間でディザリングすることによって、反射型ディスプレイ上にレンダリングされる。ピクセルあたりパレット色に対応する、レンダリングされる画像内の色は、ディザリングせずにレンダリングされてもよい。したがって、ディスプレイが、1つを上回るピクセルの拡張面積にわたって、ピクセルあたりパレット色のうちの1つを表示するように命令されるとき、その面積全体は、別の色の任意のピクセルを伴わないピクセルあたりパレット色であろう。しかしながら、高度に多様な色(すなわち、第2の色セット)を伴う複合画像では、画像ピクセルは、他の色を近隣ピクセル内にレンダリングするために必要とされるディザリングアルゴリズムによって導入される誤差のため、そのピクセルあたりパレット色(すなわち、第1の色セット)が割り当てられなくてもよい。