(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記2つの側縁部は、前記後縁部から前記前縁部に至る方向に互いに向かって収束する又は相互に平行である、請求項23に記載の眼科インターポジションインプラント。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述に鑑みて、本発明は、追加の介入、濾過、または別様ありまたはなしに、解剖学的構造に有害に影響しないインプラントを強膜および毛様体の間にインターポジションすることによって、生理的なぶどう膜強膜流の降圧効果を増大させかつ永久的にすることを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明の対象は強膜およびぶどう膜組織の間の永久的な眼科インターポジションインプラントであり、インプラントが、単一の部分から形成されたぶどう膜生体適合性を有する本体を含み、薄い本体が、本体の他の2つの寸法のより小さいものよりも少なくとも10倍小さい実質的に均一の単一の厚さを有し、インプラントの本体が、厚さに対して垂直な2つの寸法の1つに沿って互いから隔たった2つの反対縁部を含み、前縁部と言われる2つの縁部の1つが、厚さに対して垂直な平面への投影像において、本体の外部に面する凹状の湾曲を有することを特徴とする。
【0011】
インプラントの本体の凹状の前縁部は、前記の前縁部が可能な限り線維柱帯の近くにかつ円周上に位置することを許し、それによってインプラントが最善の可能な位置においてその分離効果を果たすことを許す(前縁部の凹形は一般的に角膜の半径に合う)。凹状の前縁部のこの構成は、房水が可能な限りぶどう膜強膜流の領域の近くにおいて永久的に収集されることを許す。それゆえに、かかるインプラントは生理的なぶどう膜強膜流の増大のかなりの改善を提供する。
【0012】
インプラントの本体は、厚さに対して垂直な平面への投影像において、凹状の前縁部を含む本体の部分を例外として、その幾何学的形状が凸状である辺縁外輪郭を有し得る。本体の残りの部分はこの平面への投影像において凸状の幾何学的形状を有し、すなわち、この残りの部分の2つの点AおよびBが取られるときには常に、それらをつなぐセグメントABが完全に前記の残りの部分に含有される。換言すると、前記の平面への投影像において凹状の前縁部を包含する本体の部分を除けば(この部分は、1つの側においては凹状の前縁部によって、反対側においては縁部の凹状の湾曲の頂点に接する本体の内部の直線によって、かつそれぞれ凹状の前縁部および接線直線に隣接する2つの反対縁部によって画定され得る)、本体の残りの部分はくぼみもしくは隆起または凹角または凹部分を有さない。
【0013】
その上、種々の厚さのプロファイル(例えば勾配のあるプロファイル、段状または銃眼装飾のプロファイル)を本体に与えるであろうそれぞれ異なる厚さを有するいくつかの部分から本体が形成されていないという意味で、本体の厚さは単一の厚さである。厚さに沿ってかつ厚さに対して垂直にそれが均質であり、幾何学的形状の局所的変動を有する(切れ込み、くぼみ、リターン部などを有する)複雑な形状を有さないという意味で、本体は1つの単一の部分から形成されている。
【0014】
一般的に、本体は、その反対面の対のそれぞれについて、平らな、または単一の湾曲を有する全体的な湾曲した形状を有し、すなわち、波形または鋸歯形を有するかかる形状は除外される。
【0015】
本体は、特に厚さに対して垂直な平面への投影像の図において、切れ込みを有する形状を一般的には有さない。
【0016】
一般的に、本体の全体的な形状は従来技術のインプラントの本体の形状と比較して単純である。
【0017】
より具体的には、本発明のインプラントの本体は、国際公開第95/35078(厚さに対して垂直な異なる幅を有する異なる厚さの2つの部分を有する本体)、米国特許第4521210(1つの枝が他方よりも長い十字状の本体)、米国特許出願公開第2004/0015140(その幅が本体の残りと比較して低減された前部分と、側部切れ込みおよびインプラントを装着するための工具の組み入れのための軸上の後部の切れ込みとを有するスパーテル形状の本体)、および米国特許出願公開第2004/0092856(Tの残りの部分のものよりも大きい厚さのTの横棒の2つの反対先端を有する、T形状の本体)のインプラントの本体とは異なる。
【0018】
インプラントの本体は、強膜およびぶどう膜組織を互いから分離し、その結果、それらの間に永久的にインターポジションされるようになり(永久的な空間を作る)、それゆえに房水の流れに対してより低い抵抗がある部位を作ることを意図される。本明細書において上で記載されている薄い本体は、上側および下側の構造(強膜およびぶどう膜組織)の十分な分離をもたらして、生理的なぶどう膜強膜流を有効に排液する。
【0019】
ぶどう膜適合性の本体によって意味されるものは、その構成材料または複数の材料が周辺の眼の構造、この場合にはぶどう膜の構造を浸食または変性させない本体である。本体のそれらの生体適合性は、それだけでは、本体がぶどう膜に、より具体的には強膜およびぶどう膜組織の間に永久的にインプラント可能なほど十分ではない。
【0020】
独立してまたは互いとの組み合わせで考えられる他の可能な特徴によれば、
− 可能な限り線維柱帯の近くに、しかしながら強膜岬の構造を妨害することなしに強膜岬下に挿入可能なように、例えば本体が本体の残りに対して前縁部においては薄化している。
− より具体的には、凹状の前縁部が、100μmから400μmの間に含まれる寸法に渡って薄化しており、この寸法は、本体の2つの反対縁部の間を伸展する方向に取られる。前縁部が薄化するこの距離は、可能な限り線維柱帯の近くに、しかしながら強膜岬の構造を妨害することなしにインプラントを位置させる効率の観点から、良好な結果をもたらす。例えば、反対の後縁部はインプラントの本体の残りと同一の厚さを有する。それゆえに、本体は、薄化した縁部を含まない部分に渡って(薄化した縁部が存在するとき)実質的に均一の(本体の厚さの可能な局所的変動内の)厚さを維持する。
− 本体の2つの反対縁部、すなわち前縁部および反対の後縁部が、厚さに対して垂直な2つの寸法のより小さい方に沿って互いから隔たっている。
− 前縁部の凹状の湾曲が5mmから7mmの間の湾曲の半径を有する。前縁部の湾曲のかかる半径は、この縁部が角膜縁(角膜および強膜の間の移行)と同心に位置することを許し、それゆえに房水の最大限の可能な収集を保証する。
− インプラントの本体が弾性変形可能であり、その結果、永久的な変形を引き起こすことなしにこれが折り曲げられ得、その結果、これはマイクロ器具を用いて操作または眼科挿入システムを用いて挿入され得る。静置の状態において、変形していない本体は平らであり、ひとたび強膜およびぶどう膜組織の間に永久的にインプラントされたら、これは変形した使用状態と言われる状態に変形する。それから、これは可能な限り密接に強膜および毛様体の湾曲に契合する。
− それが強膜およびぶどう膜組織の間の眼科インターポジションインプラントとして使用可能である変形した状態において、インプラントの本体が、厚さに対して垂直であるインプラントの2つの寸法によって定義される平面に対して垂直な方向に、別の凹状の湾曲を含む。この第2の湾曲は、(毛様体の下側の)眼球の部分にぴったり合わさることによって、それが可能な限り密接に毛様体の湾曲に契合することを許す。それゆえに、インプラントは二重の湾曲を有する。
− インプラントの本体が、30kg/cm
2から60kg/cm
2の間のヤング率を有する材料から作られる。この剛性/柔軟性特徴は、それが眼に挿入される際に本体が弾性変形し、それから、眼の上側および下側の構造によって永久的に変形した状態に保たれ、それらの構造の自然な湾曲に追従することを許す(現実的に、本体の過剰な剛性は、それらの機能(単数または複数)を損ない得るそれらの構造の変形を引き起こすであろう)。注意すべきは、上で定義されている剛性は強膜のものよりも低く(またはさらには非常に低い)、それによって、インプラントがそれを変形させることなく強膜を覆うことを許す。
− インプラントの本体が弾性変形可能ではなく、厚さに対して垂直であるインプラントの2つの寸法によって定義される平面に対して垂直な方向に、第2の凹状の湾曲を永久的に含む。凹状の第2の湾曲は、その間に本体がインプラントされる眼の上側および下側の構造の自然な湾曲に追従するように選ばれる。
− 第2の凹状の湾曲は10mmから15mmの間の湾曲の半径を有する。湾曲のこの半径は、インプラントの本体が下側の毛様体の球状部分にぴったり合わさることに特に適する。
− インプラントの本体が、3次元図において、球冠の部分という全体的な形状を有する。
− インプラントの本体が、前記の本体を通るおよび/またはそれに沿った房水の液流を可能にする。毛様体および強膜の間にインターポジションされるインプラントは、それが本体に沿って(その前縁部からその反対の後縁部に)および/または本体を通ってであろうとなかろうと、眼の後部分に向かう線維柱帯のレベルで収集される房水の流れを促進する必要がある。
− インプラントの本体が、本体の厚さに沿って互いから分離された2つの大きい反対面を有する。2つの大きい反対面は一般的に相互に平行であり、静置時におよび/またはインプラントがインプラントされるときに同じ湾曲を有する(2つの大きい反対面は、インプラントの後にのみ有効に湾曲し得る)。
− 2つの大きい反対面が実質的に平らであるかまたは湾曲する。
− 2つの大きい反対面それぞれが、10μmから20μmの間の厚さの1つのまたはいくつかの局所的変動を有する。厚さのそれらの局所的変動は厚さに対して垂直な1つまたは2つの寸法に沿って起こり、それらは厚さに対して垂直な本体の寸法または複数の寸法と比較して小さい(寸法または複数の寸法よりも約10倍小さい)。また注意すべきは、厚さの可能な変動は本体の均一の全体的な厚さの10%のオーダーである。それゆえに、実質的に均一の厚さは、本明細書において上で定義されている厚さの1つ以上の変動を局所的に許容する、所与のノミナルのまたは全体的な値を有する厚さを意味するものとして理解されるべきである。
− インプラントの本体が、その厚さを貫通するオリフィスによって貫かれる。それらのオリフィスは、本体を通る房水の流れの貫通を許す。
− インプラントの本体が、その2つの大きい反対面の少なくとも1つの上に、前記の少なくとも1つの大きい面に沿った房水の流れを促進可能なレリーフを含む。
− 本体の前記の少なくとも1つの大きい面上のレリーフが、前記の少なくとも1つの大きい面上に形成された溝の、またはその上に付与された粗さの形態を取る。このレリーフは、例えば、本体の前縁部からその反対の後縁部に伸展する方向に実質的に平行に表面上に配置された溝またはチャネルの形態を取り得る。
− インプラントの本体は、次の材料、PTFE、ポリシロキサン、吸水性または疎水性のアクリレートハイドロゲルから選ばれる少なくとも1つの材料を含む。
− インプラントの本体が、前記の本体の2つの最も大きい寸法の投影像を含有する平面において見られるときに、2mm×2mmの最小寸法から7mm×7mmの最大寸法の間に含まれる寸法を有する。それらの寸法の遵守は、インプラントが望ましいぶどう膜強膜流作用を保証することを許す。最小寸法は、流れに対する抵抗を減少させるであろう十分なインターポジション効果が得られるであろうということを保証し、最大寸法は、大き過ぎる流れによって房水の動態が妨害されないということを意味する(かかる妨害は、低眼圧に至るリスクがあるであろう)。
− インプラントの本体の厚さが50μmから400μmの間である。かかる厚さは有効な分離を提供する。
− インプラントの本体が0.8mm
3から8mm
3の間の体積を有する。かかる体積は、ぶどう膜強膜流を過剰までではなく増大させることを可能にする。
− インプラントの本体が1つ以上の物質を放出するという特性を有する。
− 本体が、鋭い縁部も鋭い角も示さない外表面を有する。それゆえに、外表面は、角丸の角または縁部のみを有して(空間的な向きがどうあろうとも、すなわち、厚さに対して垂直な平面または厚さが伸展する方向を包含する平面への投影像において)、インプラントを装着することを容易にし、かつ周辺組織の外傷の何らかのポテンシャルを取り除く。
− 本体が、厚さに対して垂直な平面への投影像において見られると、前記の本体の外輪郭を画定する4つの縁部または側、前縁部および反対の後縁部と、前記の前および後縁部に隣接しかつそれらの縁部を互いにつなぐ2つの側縁部とを有する(4辺の多角形)。
− 2つの側縁部が、後縁部から前縁部に至る方向に互いに向かって収束するか(前縁部が後縁部よりも短い)、または相互に平行である。
− 本体が、厚さに対して垂直な平面への投影像において見られると、環状セグメントの全体的な形状を有する。
【0021】
さらなる特徴および利点は、もっぱら限定しない例として与えられかつ添付の図面の参照をしてなされる次の記載の過程において明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、強膜およびぶどう膜組織の間に永久的にインプラントされ、従ってそれらの間に永久的にインターポジションされることを意図される眼科インプラントに関する。
【0024】
本発明のインプラントは薄い本体を含み、その結果、ひとたび強膜およびぶどう膜組織の間にインターポジションされたら、上側および下側の組織を許容不可能な程度までは変形させない。組織の許容可能な変形は、それらの組織の1つまたは両方どちらかの機能または複数の機能を損なわない変形である。
【0025】
インプラントの本体は、空間の3つの寸法、厚さ、厚さに対して垂直である長さおよび幅(または、長さおよび幅が等しい場合には2つの同一の寸法)を有する。「薄い本体」によって理解されるべきものは、その厚さが本体の他の2つの寸法の最短のもの(すなわち幅)またはそれらが等しい場合には他の2つの寸法のどちらか1つよりも少なくとも10倍小さい本体である。1つの例示的な態様において、厚さは本体の幅よりも13倍小さい。例として、4×5mmの寸法(幅および長さ)を有する本体について、その厚さは0.3mmである。
【0026】
インプラントの本体は、厚さに対して垂直な2つの寸法の1つ、例えば幅(2つの寸法のより小さいもの)において互いから隔たった2つの反対縁部を含む。
【0027】
2つの隔たった縁部の1つは前縁部と言われ、厚さに対して垂直な平面への投影像において、本体の外部に面する凹状の湾曲を有する。
【0028】
前縁部の凹状の湾曲は、房水の最も大きい可能な量を収集するように、インプラントのこの縁部が可能な限り線維柱帯の近くに、すなわちぶどう膜強膜流の部位に位置することを許す。
【0029】
凹状の縁部の湾曲の半径は例えば5および7mmの間に含まれ、これは、この縁部が角膜縁と同心に、従って可能な限り線維柱帯の近くに位置することを許す。同心性は、瞳孔の中心と必ずしも整列していない角膜の中心(円の中心)に対して定義される。湾曲の半径は例えば5.5mmに等しい。
【0030】
他方の反対縁部は後縁部と言われ、厚さに対して垂直な平面において必ずしも湾曲しない(外部に面する凸面)。実際に、それは直線的であるか、またはさらには異なる形状を取り得る。
【0031】
インプラントの本体は、そのぶどう膜適合性特性が公知である少なくとも1つの材料を含み、それゆえに本体はぶどう膜適合性である。かかる特性は眼組織への非常に低い癒着を本体に与える。換言すると、前記の少なくとも1つの材料は、本体がそれらの構造と接触する結果として、および経時的なそれらの反復的な動きの結果として、上側および下側の構造に有害に影響する傾向がない。
【0032】
凹状の前縁部を含む本体の部分を例外として、一般的に、インプラントの本体は、厚さに対して垂直な平面への投影像において、凸状の幾何学的形状を有する辺縁外輪郭を示し得る。本体の残りの部分は、この平面への投影像において凸状の幾何学的形状を有し、すなわち、この残りの部分の2つの点AおよびBが取られるときには常に、それらをつなぐセグメントABが完全に前記の残りの部分に含有される。換言すると、前記の平面への投影像において凹状の前縁部を包含する本体の部分を除けば(この部分は、1つの側においては凹状の前縁部によって、反対側においては縁部の凹状の湾曲の頂点に接する本体の内部の架空の直線によって、かつそれぞれ凹状の前縁部および接線直線に隣接する2つの反対縁部によって画定され得る)、本体の残りの部分はくぼみもしくは隆起または凹角または凹部分を有さない。
【0033】
その上、種々の厚さのプロファイル(例えば勾配のあるプロファイル、段状または銃眼装飾のプロファイル)を本体に与えるであろうそれぞれ異なる厚さを有するいくつかの部分から本体が形成されていないという意味で、本体の厚さは単一の厚さである。
【0034】
一般的に、本体は、その反対面の対のそれぞれについて、平らな、または単一の湾曲を有する全体的な湾曲した形状を有し、すなわち、波形または鋸歯形を有するかかる形状は除外される。
【0035】
特に厚さに対して垂直な平面への投影像において見られるときに、本体は、一般的に、切れ込みを有する形状を有さない。
【0036】
図1に図示されている眼10は、中心の角膜12および瞳孔14によって非常に模式的に正面図で図示されている。
【0037】
本発明の眼科インプラントの態様の3つの可能な形態が、本体の厚さに対して垂直な平面(
図1の平面)への投影像の図において、角膜の周りにインプラントされた位置で図示されている。
【0038】
20、30、および40として参照されるインプラントのこれらの3つの可能な形態それぞれは凹状の前縁部22、32、42を共通に有し、その凹形(すなわち湾曲の半径)は、前記の縁部が角膜縁と同心に、すなわち可能な限り線維柱帯の近くに配置され得るように調整される。
【0039】
これらの3つのインプラントそれぞれは、前縁部とは異なる反対の後縁部24、34、44と、1つのインプラントと別のものとで異なる側縁部とを有する。
【0040】
インプラント20の後縁部24は直線的であり、本体は、前および後縁部に隣接しかつそれらを互いにつなぐ2つの側縁部26、28を含む。側縁部26、28は、前縁部22が後縁部24よりも長いという意味で後縁部から前縁部に向けて互いに対して発散する。側縁部26、28は互いに対して対称であるが、図示されていない代替的な形態において、それらは互いに対して非対称であり得る。
【0041】
インプラント30の後縁部34は凸状であり(本体の外部に面する凸面。代替的には後縁部は直線的であり得る)、湾曲の半径は凹状の縁部32のものと同一であるかまたはそうでなくあり得る。本体は、前および後縁部に隣接しかつそれらをつなぐ2つの側縁部36、38を含む。側縁部36、38は、前縁部32が後縁部34よりも短いという意味で後縁部から前縁部に向けて互いに向かって収束する。一般的に、インプラント30の本体は、上から(その厚さに対して垂直に)見られるときに、その下が凹状でありその上が凸状である台形に、または所与の円弧に渡って伸展する環状セグメントもしくは部分に類似した形状を有する。
【0042】
ここで、インプラント30の本体は、凹状の前縁部32を含む本体の部分32aを例外として、厚さに対して垂直な平面への投影像において凸状の幾何学的形状を有する辺縁外輪郭を有する。本体の残りの部分32bは、この平面への投影像において凸状の幾何学的形状を有し、すなわち、この残りの部分の2つの点AおよびBが取られるときには常に、それらをつなぐセグメントABが完全に前記の残りの部分に含有される。この部分は、1つの側においては凹状の前縁部32によって、反対側においては縁部の凹状の湾曲の(湾曲の凸面の側の)頂点に接する本体の内部の架空の直線または軸Lによって、かつそのそれぞれが凹状の前縁部および直線または接線軸Lに隣接する2つの反対縁部によって画定される。換言すると、前記の平面への投影像において凹状の前縁部を包含する本体の部分32aを除けば、本体の残りの部分はくぼみもしくは隆起または凹角または凹部分を有さない。注意すべきは、本体については他の凸状の幾何学的形状が企図され得る。
【0043】
図示されていない代替的な形態によれば、側縁部同士は互いに平行であり得る。図示されていない別の代替的な形態によれば、本体の全体的な形状は、上から見られるときに、凹状の前縁部を例外として長方形のものであり得、後縁部は直線的または凸状であることが可能である。
【0044】
インプラント40の凸状の後縁部44(本体の外部に面する凸面)は直接的に前縁部42に合流する。隣接する側縁部はない。それゆえに、本体は上から見られるときに三日月形という全体的な形状を有し(
図1)、それゆえに、2つの前42および後44縁部の間において、2つの縁部が互いからより広く離間されているインプラント20および30と比較して相対的に小さい寸法を示す。インプラント40の形状は、後ろ(後縁部)に向かう分離効果を延長させながらも、インプラント20および30よりも小さいサイズの切れ目からのその挿入をより容易にする。
【0045】
インプラントのある種の構成では、前縁部の長さが最大化されることが企図され、後縁部の構成および/または長さそれら自体はより自由である。
【0046】
注意すべきは、一般的に、インプラントの側縁部は(それらが存在するとき。これは
図1のインプラント40にはあてはまらない)インプラント30のように放射状に配置されるか(それに対してインプラントの凹状の縁部が位置させられる架空の円の中心と相対的に、放射状の縁部。それゆえに、縁部同士は円の中心に向かって収束する)、またはインプラント20のように口広であり得る。
【0047】
一般的に(インプラントの形状が何であろうと)、後縁部は有効な分離効果をもたらすために前縁部から十分離れている必要がある。実際的には、後縁部は前縁部から少なくとも3mmの距離だけ離れている。
【0048】
一般的に(インプラントの形状が何であろうと)、後縁部の長さは前縁部の長さを10%よりも多く超過しない。
【0049】
しかしながら、図示されていない代替的な形態によれば、異なる形状および/または寸法を示す他のインプラントもまた適し得る。例えば、インプラントは、角膜12の周りの
図1に図示されたよりも大きい円周(または円弧)上に伸展し得る。
【0050】
注意すべきは、一般的に(インプラントの形状が何であろうと)、前縁部の長さ(円の円周の部分)は例えば3および7mmの間に含まれる。その長さを超えると、インプラントは挿入することがより困難になる(切れ目のより大きいサイズなど)。
【0051】
一般的な意味で本発明のインプラントによってもたらされる効果(生理的なぶどう膜強膜流を増大させること)は、1つまたはいくつかのインプラントが互いにくっついてまたは代替的には互いから分離されて角膜の周りに配置されることによって得られ得る。
【0052】
一般的に(インプラントの形状が何であろうと)、インプラントの外表面を画定しかつ互いに隣接する様々な縁部または面または縁部面または側面は、角丸である辺、角度、または角によって互いに結ばれている。換言すると、インプラントの本体は鋭い縁部を有さない。
【0053】
上に示されているように、インプラントの本体は、均一である厚さをもまた有し、3次元で見られるときに、静置時に平らな形状(本体が、
図1のように上から見られるときに本体の2つの寸法によって定義される平面に対して垂直な方向に第2の湾曲を有さない)または湾曲した形状(他の2つの寸法の平面に対して垂直なこの方向に存在する少なくとも1つの第2の湾曲がある)を有する。
【0054】
図2aは、「e」で表されるその厚さの方向、すなわち
図1の平面に含まれる方向から見られたインプラント50を図示している。かかるインプラントは凹状の前縁部を有し、その凹形はここでは見られ得ない。
【0055】
従って、このインプラントは、本体の他の2つの寸法によって定義される平面において前縁部の凹状の湾曲を含むが(その厚さを除外する)、静置時においては(変形していない状態においては)この平面に垂直な方向において平らである(第2の湾曲の不在)。
【0056】
このインプラントの本体は弾性変形可能な材料から作られ、その結果、永久的な変形を引き起こすことなしにこれが折り曲げられ得、その結果、これはマイクロ器具を用いて操作され得、または眼科挿入システムを用いて挿入され得る。かかる本体がもはや折り曲げ力を受けていないときには、これはその変形していない元々の(静置)位置に戻る。
【0057】
図2bおよび2cは、変形した状態の(
図2b:厚さの方向のプロファイル図。
図2c:上からの遠近図)、例えばそれが強膜およびぶどう膜組織の間にインプラントされたときの
図2aの本体を図示している。この変形した状態は、マイクロ器具または挿入のための眼科挿入システムなどの工具によって本体に外からの折り曲げ力がかけられているときにもまた得られ得る。
【0058】
図2cに図示されている本体は球状の表面の部分に契合し、球冠の部分という全体的な形状を有する。従って、本体の形状は、インプラントの下側の毛様体の球状の表面の部分に契合することに特に適する。この本体は凹状の前縁部52を含む。
【0059】
この変形した状態の本体によって取られる形状は、この本体が、(前縁部の凹状の湾曲に加えて)
図1に図示されている本体の他の2つの寸法(長さおよび幅)によって定義される平面に対して垂直な方向に二重の湾曲を含むということを示している。
図2bにおいては、(前縁部の凹状の湾曲に加えて)それらの他の湾曲の1つのみが図示されている。
【0060】
このように変形した本体は、厚さに沿って互いから分離された2つの大きい反対面、二重に湾曲した1つの凸状の上面50aと、球状の表面の部分に契合することを意図される、これもまた二重に湾曲した反対の凹状の下面(図示されていない)とを含む。この二重の湾曲は、インプラントが組織の間で分離効果を正しく配分することを許す。
【0061】
凸状の上面50aは強膜と向かい合わせになることを意図され、一方で凹状の下面はぶどう膜組織と向かい合わせになることを意図される。
【0062】
注意すべきは、上述の二重の湾曲のそれぞれの湾曲が、10および15mmの間に含まれる、例えば11mmに等しい同じ湾曲の半径を有する。
【0063】
インプラントの本体は、30および60kg/cm
2の間に含まれるヤング率を有する材料から作られる。かかる率は柔軟性の特徴を本体に与え、これは、それが眼に挿入されたときに弾性変形し、それから眼の上側および下側の構造によって永久的に変形した状態に保たれ、それらの構造の自然な湾曲に契合することを許す。かかる率は、それらの機能(単数または複数)を損なう傾向があり得るそれらの構造のどちらか1つの変形を引き起こさないようにする。
【0064】
1つの例示的な態様において、ヤング率は、例えば25%まで吸水性である吸水性のアクリル材料から作られた弾性変形可能な本体について、40kg/cm
2に等しい。
【0065】
注意すべきは、
図2a〜cの態様に関して述べられたあらゆることは、その本体が異なる全体的な形状を有するインプラントにもまた適用される。
【0066】
本体の輪郭は、
図1のように2つの最も大きい寸法によって定義される平面(または、換言すると、厚さに対して垂直な平面)への投影像において見られると、凹状のままである前縁部52を例外として、
図2cに図示されているものとは異なり得る。
【0067】
その上、前縁部が
図2aのように薄化していないことが可能である。
【0068】
図2a〜cにおいては、本体の厚さ方向に伸展する本体の縁部、側面、または縁部面は隣接する面同士が出会うところに鋭い縁部を有するように見えるが、これはあてはまらない。全てのそれらの縁部は、インプラントを挿入することを容易にするように、幾何学的な向きがどうあろうとも角丸である。
【0069】
態様の代替的な形態によれば、インプラントの本体は、
図2bに図示されているように、他の2つの寸法(
図1の幅および長さ)の平面に対して垂直な方向に少なくとも1つの第2の湾曲を永久的に有する、弾性変形可能ではない材料から作られる。
【0070】
従って、この他の湾曲は本体が静置されているときに存在する。ひとたび強膜およびぶどう膜組織の間の永久的なインターポジションのその最終位置にインプラントされたら、本体はそれ以上変形せず、この他の永久的な湾曲を維持する。
【0071】
注意すべきは、この代替的な形態によれば、本体は、
図2cの全体的な形状、または
図2a〜cに適用される代替的な形態について本明細書において上で説明されている異なる全体的な形状を取り得る。
【0072】
用いられ得る弾性変形可能ではない材料の1つの例はポリシロキサンである。
【0073】
インプラントの本体は、前記の本体の2つの最も長い寸法の投影像を含有する平面、すなわち
図1の平面の図において、一般的に2×2mmの最小寸法および7×7mmの最大寸法の間に含まれる寸法を有する。かかる寸法は、本発明の不在下においてはヒトの眼においておよそ10%である生理的なぶどう膜強膜流を増大させるために必要な作用を、インプラントが果たすことを許す。これは眼内圧を低減することを可能にする。
【0074】
これらの寸法は、組織を分離する効果が有効であり、それゆえに房水の流れに対する抵抗が低減されるために十分であり、この流れの動態を妨害するほどには高くない。それゆえに、
図2cに図示されているインプラントは大体30から40%の生理的なぶどう膜強膜流を得ることを可能にし、眼内圧(IOP)をかなり低減することを可能にする。
【0075】
図2aおよび2bにおいて、本体の厚さは本体全体に渡って同一であるものとして図示されている。
【0076】
しかしながら、凹状の前縁部は薄化してあり得る。
【0077】
図2aの例において(これは
図2bおよび2cにもまた当てはまるであろうが)、凹状の前縁部52は、100および400μmの間に含まれる距離または寸法「l」に渡って薄化しているものとして図示されている。この寸法は、本体の2つの反対の前52および後54縁部の間を伸展する方向に測定される。薄化した部分は55で表される。57で表される長さ「L」の本体の残りの部分は、例えば、後縁部まで含めて一定のままである同一の厚さを有する。
【0078】
しかしながら、図示されていない代替的な形態によれば、長さ「L」の本体の残りの部分の厚さは、この長さの全てまたは部分に渡って必ずしも均一ではない値を有する。
【0079】
一般的に(インプラントの形状が何であろうと)、後縁部の厚さは少なくとも前縁部のものに等しい。
【0080】
注意すべきは、インプラントの本体の均一の厚さは一般的に50および400μmの間に含まれ、それゆえに組織同士の十分で有効な分離をもたらす。50μmよりも下では、分離効果はせいぜい僅かにしか存在しない。400μmよりも上では、圧力低下のリスクがあり得る。
【0081】
前縁部の薄化(部分55)の長さlは、可能な限り線維柱帯の近くに、しかしながら強膜岬の構造、従って毛様体におけるその組み入れを妨害することなしにインプラントを位置させる有効性の観点から、良好な結果をもたらす。
【0082】
インプラントの本体は0.8および8mm
3の間に含まれる体積を有し、上側および下側の組織の許容不可能な変形と房水の動態の妨害という問題を生ずることなしに、それが所望のぶどう膜強膜流を保証することを許す。
【0083】
図3から5は本発明の別の態様のインプラントの別の側面を図示しており、プロファイルにおいて、すなわちそれらの厚さの方向から見られた3つのインプラント60、70、および80を図示している。単純のために、これらの図は、
図2bおよび2cに図示されている湾曲(単数または複数)などの何らかの湾曲を図示していない。しかしながら、次の記載は、インプラントの形状および寸法にかかわらず、厚さの方向に単純なまたは二重の湾曲を有する、その本体が弾性変形可能であるかまたはそうではないインプラントに適用される。
図3から5において、寸法は理解のために故意に誇張されている。
【0084】
この側面によれば、インプラントの本体は、前記の本体を通る(
図3)、またはそれに沿った(
図4)、またはさらには本体を通るおよびそれにもまた沿った(
図5)房水の液流を可能にする。具体的には、毛様体および強膜の間にインターポジションされるインプラントは、眼の後部分に向かう線維柱帯において収集される房水の流れ/排液を促進する必要がある。この流れは本体に沿って(その前縁部からその反対の後縁部に)および/または本体を通って促進され得る。
【0085】
図3に図示されているように、インプラント60の本体は、その厚さを貫通するオリフィス62によって貫かれている。それらのオリフィス62は、房水が本体を通ってその2つの大きい反対面の1つ60aから他方の大きい反対面60bに流れることを許す。ここでは、オリフィスは、凹状の前縁部64から反対の後縁部66に伸展する方向に整列しているものとして断面で図示されている。本体は、
図3の断面の前および後ろの他の平面に在る複数の他のオリフィス(図示されていない)によってもまた貫かれている。
【0086】
しかしながら、本体を貫通するオリフィスは、必ずしも
図3に図示されているように整列していない。例として、それぞれのオリフィスは50μmの直径を有し、本体の厚さは200μmである。
【0087】
図4に図示されているように、インプラント70の本体は、その2つの大きい反対面70a、70bの少なくとも1つの上に、前記の少なくとも1つの大きい面に沿った房水の流れを促進可能なレリーフを含む。
【0088】
図示されている例においては、見られ得るように、2つの大きい面70aおよび70bは、1つの面と他方で必ずしも同一ではないかかるレリーフを備える。しかしながら、このレリーフは1つの面と他方で同じであり得る。
【0089】
レリーフは、例えば、それぞれ面70a、70b上に、その表面に形成された溝またはチャネル72、74の形態を取る。それらの溝またはチャネル72、74は、好ましくは、本体の凹状の前縁部からその反対の後縁部に伸展する方向に実質的に平行に整列している。
【0090】
図4において、この方向は図の平面に対して垂直であり、前および後縁部は図示されていない。反対の隣接する縁部76、78のみが図示されている。
【0091】
それぞれの厚さを局所的に低減することによって本体の構造を弱めないために、2つの溝またはチャネルが互いに向かい合わせになり得るところでは常に、溝またはチャネル72は溝またはチャネル74に向かい合わせでは配置されない。
【0092】
注意すべきは、インプラントの本体は貫通したオリフィスおよび溝を組み合わせ得る。オリフィスは、例えば溝の底に、または1つの同じ面上に配置された2つの隣接する溝の間に置かれる。
【0093】
図5のインプラント80は、大きい面80a上に作られた溝またはチャネル82と、それらとずらして、反対の大きい面80b上に形成された溝またはチャネル84とを含む。貫通したオリフィス89が、2つの面の溝の間のおよび/または溝のそれぞれの側の様々な場所において本体の厚さに作られている。溝およびオリフィスの数、サイズ、および位置は異なり得る。
【0094】
図4のように、同じ理由で、2つの反対面の溝は互い違いの構成で配置される。
【0095】
図5において、前および後縁部は
図4のように図示されず、反対の隣接する縁部86、88のみが図示されている。
【0096】
図示されていない代替的な形態によれば、レリーフは、公知の方法によって本体の2つの大きい反対面の1つおよび/または1つの他方に与えられた粗さまたはテクスチャーの形状を取り得る。
【0097】
図示されていないが、より一般的に、
図5のインプラントの代替的な形態のインプラントは、貫通したオリフィスと上述の溝またはチャネルとは異なるレリーフとを両方組み込む。このレリーフは1つの場所と他方とで同じであるかまたは異なることが可能である。
【0098】
注意すべきは、
図4および5に関して本明細書において上で記載されているレリーフは、本体の2つの大きい反対面のそれぞれ(または1つのみ)において、10および20μmの間の厚さの局所的変動と同様であり得る。厚さのそれらの局所的変動は、厚さに対して垂直な1つまたは2つの寸法において起こり、それらは、厚さに対して垂直な本体の寸法または複数の寸法と比較して小さい(寸法または複数の寸法よりもおよそ10倍小さい)。注意すべきは、厚さの変動は本体の均一の全体的な厚さの10%のオーダーである。それゆえに、
図4および5に図示されている本体は、実質的に均一である厚さ、すなわち10および20μmの間の厚さの変動を局所的に許容する所与のノミナルのまたは全体的な値を有する厚さを有する。
【0099】
一般的に、それからインプラントの本体が作られる材料または複数の材料は、次の材料、PTFE、ポリシロキサン、吸水性または疎水性のアクリレートハイドロゲルから選ばれる。
【0100】
インプラントの本体は1つ以上の物質を放出するという特性を有する。かかる物質は例えば抗感染および/または抗炎症物質である。それらは抗生物質および/またはコルチゾンもしくは抗コルチゾン物質であり得る。
【0101】
図6は、本発明の1つの態様のインプラントの第一の方法を用いるインプラント90の挿入を図示している。この第一の方法は、眼内圧の低下が望ましいときに、従来の抗緑内障外科介入を補足してまたはいずれかの眼内介入を補足して用いられる。トラベクレクトミーおよび強膜切開は眼に1つまたはいくつかの強膜フラップを切ることを必要とし、それらのフラップは介入を続けるために持ち上げられるであろう。強膜フラップ92(
図6に点線で図示されている)は、強膜を、1つまたは2つの平面において種々の深さまで3つの辺に沿って切開することによって得られる。それから離れるように角膜12から伸展する実質的に互いに平行な2つの切れ目92a、92bと、他の2つの切れ目に対して垂直でかつ角膜から距離を隔てた第3の切れ目92cである。このように作られた3つの切れ目の切れ込みは、1つまたはいくつかの強膜フラップ(単数または複数)として公知であるものを形成する。強膜フラップ(単数または複数)が持ち上げられた後に、2つの切れ目(
図6の94a、94b)がフラップ92内に毛様体まで作られ、その結果、インプラントが深部強膜平面および毛様体の間に差し込まれ得る。例として、切れ目は互いから少なくとも2mmだけ離間される。
【0102】
図示されていない代替的な形態によれば、同じ目的を達成するために、深部強膜平面に単一の切れ目が作られる。
【0103】
それから、用いられるインプラント法は、以前には連結されていたそれらの2つの組織を分離するように、作られた切れ目の少なくとも1つから強膜および毛様体の間に例えばヒアルロン酸型の粘弾性物質を導入するステップを含む。これは、上側および下側の構造の外傷なしにインプラントが挿入されることを許すであろう。
【0104】
このステップは、20から30gのオーダーの直径を有するインジェクションカニューラなどの挿入器具を用いて果たされる。
【0105】
物質の小量、例えば0.05mm
3が注入される。
【0106】
インプラント法は、深さ方向に毛様体まで伸展する2つの切れ目94a、94bの1つから軟質先端の鉗子などの器具を導入するステップをもまた含む。鉗子は第2の切れ目から再び出現し、それを強膜および毛様体の間に置くようにインプラントを把持する。
【0107】
続くステップにおいて、鈍端のスパーテルなどのマイクロサージェリー器具を用いて、インプラント90は、房水の最大限を収集するように、上で説明されているように可能な限り線維柱帯の近くに(それが角膜縁と同心であるように)位置させられる。
【0108】
強膜および毛様体の間に在る空間に(脈絡膜上腔に)インプラントが装着される、留置される、および位置することを許す器具または装置の別の型、例えばインジェクターが用いられ得る。
【0109】
別のステップにおいては、強膜フラップまたは複数のフラップが縫合されるかまたはされずに閉じられる。
【0110】
図7は、本発明の1つの態様の第2のインプラント法を用いるインプラント100の装着を図示している。
【0111】
この方法は、第2の方法が従来の介入を補足するのではなく、それ自体が介入となるという事実を例外として、第一の方法に非常に似ている。
【0112】
この方法によれば、
− 角膜に対して放射状であるかまたは(
図6の切れ目94a、94bのように)相互に平行である2つの切れ目102a、102bが、角膜縁(角膜および強膜の間の移行をマークする部位)から例えば1から4mmの範囲の長さに渡って作られ、毛様体まで続き、
− 例えばヒアルロン酸型の粘弾性物質が2つの切れ目の1つから注入され、
− インプラント100が組み入れられ、置かれることを許すように、強膜が持ち上げられる。
【0113】
これらのステップは、第一の方法について本明細書において上で記載されているものと同一である。
【0114】
切れ目を縫合する最終ステップは尚任意である。
【0115】
図示されていない態様の代替的な形態によれば、この第2の方法においては1つの単一の切れ目が作られ、強膜および毛様体の間のインターポジションの位置にインプラントを装着するために十分である。
【0116】
注意すべきは、
図6および7に図示されているインプラント90および100は、本明細書において上で記載されているインプラントのいずれか1つであり得る。本明細書において上で記載されているインプラント挿入方法は、本発明のいずれかのインプラント、特に、単一の部分から形成されたぶどう膜適合性の薄い本体を含む強膜およびぶどう膜組織の間の永久的な眼科インターポジションインプラントに適用され、本体は、本体の他の2つの寸法の最小のものよりも少なくとも10倍小さい実質的に均一の単一の厚さeを有し、インプラントの本体は、厚さに対して垂直な2つの寸法の1つに沿って互いから隔たった2つの反対縁部を含み、前縁部と言われる縁部の1つは、厚さに対して垂直な平面への投影像において、本体の外部に面する凹状の湾曲を有する。インプラントは、一般的な記載ならびに様々な態様および代替的な形態に記述されている特徴のいずれか1つ(またはいくつか、またはさらには全て)をさらに含み得る。
【0117】
記載される第2の方法は、本発明のいくつかのインプラントの挿入に適用される。一般的に、それぞれの異なるインプラントの挿入のためには、少なくとも1つの異なる切れ目(または、さらには
図7の例の2つ)が作られる必要がある。
【0118】
図8は、本明細書において上で記載されている方法の1つを用いて挿入された本発明のある態様のインプラントを断面図で図示している。
【0119】
眼110の部分のこの断面図は前眼房112を図示しており、これは角膜114および水晶体116の間に位置し、その辺縁部分においては虹彩118によって画定される。
【0120】
虹彩118の後ろは後眼房120である。
【0121】
強膜122は角膜縁124(強膜および角膜の間の湾曲の半径の変化の領域)を介して角膜114の辺縁につながれている。強膜122は毛様体128をカバーし、これは虹彩118につながれかつ毛様体筋130を含有し、その上に強膜122が乗っている。
【0122】
角膜および虹彩の間に位置する線維柱帯134はフィルターとして作用し、前眼房112を循環する房水によって貫通される。
【0123】
シュレム管136は線維柱帯134の後ろ、強膜および角膜の間に在る。
【0124】
様々な矢印F1、F2、F3、およびF4は、房水によって辿られる軌道または経路を図示している。
− F1は、前眼房112に入る房水によって辿られる従来の軌道または流れに相当する。
− F2は、前眼房112に入るために房水によって辿られる拡散軌道または流れに相当する。
− F3は、前眼房112を出る房水によって辿られる、線維柱帯134を通ってシュレム管136に向かって進む従来の軌道または流れに相当する。
− F4は、前眼房112を出る房水の従来の生理的なぶどう膜強膜流に相当する。
【0125】
本発明の1つの態様のインプラント140が、本明細書において上で記載されているように強膜122および毛様体筋130の間にインターポジションされた。このインプラントは(その凹状の前縁部のおかげで)可能な限り線維柱帯の近くに位置し、その結果、これは、強膜岬における毛様体筋130の組み入れに配慮しながらも、最も適切な位置においてその永久的な分離効果を果たし得る。
図9は、インプラントなしの隅角の構造のより詳細な拡大図である。この図に図示されているように、そこに毛様体筋130が組み入れられる強膜岬132は、線維柱帯134の後部分134aの上に在る。
【0126】
この位置において、強膜および毛様体の間に作られる分離は、可能な限り生理的なぶどう膜強膜流の部位の近くにおいて房水が一定して収集されることを許す(分離効果は、房水の流れに対するより小さい抵抗の部位を作る)。このように位置したかかるインプラントは、生理的なぶどう膜強膜流の増大のかなりの増加をもたらす。
【0127】
インプラントの上および下に在る矢印F5によって
図8に示されているように、生理的なぶどう膜強膜流は、線維柱帯の後部分(毛様体側の線維柱帯)を通る流れの追加分によって増大する。この追加分の流れは、可能な限り線維柱帯の近くにおいて、しかしながらそれを害することなしに、強膜および毛様体を分離するインプラントの分離効果のおかげで得られる。
【0128】
図10aおよび10bは、角膜グラフトに用いられ得ないアイバンクからの眼によって実施した実験の結果を図示している。
【0129】
緑内障の状態をシミュレーションする眼内圧(IOP)に対応する15gの重りを眼の角膜の上に置いた。
【0130】
圧力センサを眼内に置いて、IOPを測定した。例えばインプラントが房水の流れに、従ってIOPに有し得る何らかの効果を測定するために、連続的なIOP(トノグラフィー)測定をインプラントなし、それからインプラントありの眼について記録した。
【0131】
図7を参照して記載されている外科インプラント法を用いて、本発明の、特に本発明の1つの態様のインプラントを2つの強膜の切れ目から眼に挿入した。インプラントを毛様体上腔に導入した。
【0132】
問題のインプラントは、寸法5×3mmを有し、150μm厚、そのぶどう膜適合性が公知の25%吸水性のアクリル材料から作られたインプラントである。インプラントの形状は
図1のインプラント30のものである。
【0133】
房水が流れる容易さを同定するために、ここでは12分に渡って連続的なIOP測定を取り、(mmHgで)記録した。この技術はトノグラフィーの名称によって公知である。この技術は例えば次の参照J Glaucoma. 2003 June;12(3):237-42 “Tonography demonstrates reduced facility of outflow of aqueous humor in myocilin mutation carriers”, Wilkinson CH1, Van der Straaten D, Craig JE, Coote MA, McCartney PJ, Stankovitch J, Stone EM, Mackey DAに記載されている。
【0134】
図10aに図示されている測定の結果の様々な曲線(正方形、三角形、および菱形を包含する曲線)は、異なる局所圧力を眼に課すことによって、インプラントなしの眼について得られたものである。課された異なる圧力は、緑内障において遭遇され得るIOPの変動とそれらが流れに対して有する影響とをシミュレーションする。正方形および三角形を有する2つの曲線は、局所圧力が課されたものである。
【0135】
図10bに図示されている測定の結果の様々な曲線(正方形、三角形、および菱形を包含する曲線)は、異なる局所圧力を眼に課すことによって、上述のインプラントありの眼について得られたものである(正方形および三角形を有する曲線)。
【0136】
2つの図の間において対応する曲線同士を比較することによって、
図10bの曲線が
図10aのものよりも急な傾き(より大きいIOP勾配)を有するということ、それゆえに、IOPが10および20mmHgの間の生理的な圧力に戻るためにかかる時間がより短いということが示される。
【0137】
生理的なIOPが本発明のインプラントによって改善されるより大きいスピードは、房水の流れが非常に大きく改善されたということを意味する。
【0138】
図10aおよび10bの間の曲線の反転は、インプラントの存在下において、課される圧力がより高くなると流れがより大きいということに由来する。