特許第6754785号(P6754785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754785
(24)【登録日】2020年8月26日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】免疫治療投与レジメンおよびその組合せ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/454 20060101AFI20200907BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20200907BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20200907BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200907BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20200907BHJP
   C07K 16/30 20060101ALN20200907BHJP
【FI】
   A61K31/454ZNA
   A61K31/573
   A61P35/00
   A61P43/00 121
   A61K39/395 N
   !C07K16/30
【請求項の数】11
【全頁数】61
(21)【出願番号】特願2017-568264(P2017-568264)
(86)(22)【出願日】2016年6月28日
(65)【公表番号】特表2018-522881(P2018-522881A)
(43)【公表日】2018年8月16日
(86)【国際出願番号】US2016039723
(87)【国際公開番号】WO2017003990
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2019年6月19日
(31)【優先権主張番号】62/185,968
(32)【優先日】2015年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/239,965
(32)【優先日】2015年10月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/262,574
(32)【優先日】2015年12月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・リー・マリガン
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン・ブレイク・バートレット
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ダロン・ロビンス
【審査官】 伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−500370(JP,A)
【文献】 特表2010−500371(JP,A)
【文献】 特表2006−514689(JP,A)
【文献】 KUMAR S,THALIDOMIDE AND LENALIDOMIDE IN THE TREATMENT OF MULTIPLE MYELOMA,EUROPEAN JOURNAL OF CANCER,NL,ELSEVIER,2006年 6月 5日,VOL:42, NR:11,,PAGE(S):1612 - 1622,URL,https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S095980490600308X
【文献】 EFSTATHIOS KASTRITIS,TARGETED THERAPIES IN MULTIPLE MYELOMA,TARGETED ONCOLOGY,SPRINGER-VERLAG,2009年 3月 1日,VOL:4, NR:1,,PAGE(S):23 - 36,URL,http://dx.doi.org/10.1007/s11523-008-0102-9
【文献】 SZMANIA SUSANN; GREENWAY AMY D,IMPACT OF ELOTUZUMAB THERAPY ON CIRCULATING AND EX VIVO ACTIVATED/EXPANDED AUTOLOGOUS 以下備考,BLOOD,米国,AMERICAN SOCIETY OF HEMATOLOGY,2013年11月,VOL:122, NR:21,,PAGE(S):5389,NATURAL KILLER (AUTO-ENK) CELL ACTIVITY,URL,http://www.bloodjournal.org/content/122/21/5389?sso-checked=true
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最初の処置を受けた後に進行した多発性骨髄腫患者を処置する方法における使用のための医薬組成物であって、該方法は(i)治療上有効量のポマリドミド;(ii)治療上有効量のエロツズマブ、および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せの各成分が別々に投与される組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、該進行を止め、該患者の多発性骨髄腫を効果的に処置する、医薬組成物。
【請求項2】
該最初の処置がレナリドマイドでの処置である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
レナリドマイドに耐性である多発性骨髄腫患者を処置するための方法における使用のための医薬組成物であって、該方法は(i)治療上有効量のポマリドミド;(ii)治療上有効量のエロツズマブ、および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せの各成分が別々に投与される組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、該患者のレナリドマイド耐性を克服し、該患者の多発性骨髄腫を効果的に処置する、医薬組成物。
【請求項4】
ポマリドミドが約4 mgの用量にて投与され、該エロツズマブが約10 mg/kgの用量にて投与され、デキサメタゾンが約28 mg〜40 mgの用量にて経口で、または約8 mgの用量にてIVにより投与される、請求項1−3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
ポマリドミドが21日間毎日約4 mgの用量にて投与され、エロツズマブ毎週約10 mg/kgの用量にて投与され、デキサメタゾンが21日間毎日約28 mg〜40 mgの用量にて経口で、または毎週約8 mgの用量にてIVにより投与される、請求項1−3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
(i)ポマリドミドが各サイクルの1−21日目に約4 mgの用量にて経口で投与される、
(ii)エロツズマブがサイクル1および2の1、8、15および22日目に約10 mg/kgの用量にて静脈内(IV)で投与され、その後、サイクル3以降1日目に約20 mg/kgの用量にてIVで投与される、および
(iii)デキサメタゾンが、
対象体≦75歳で、エロツズマブ投与の日(サイクル1および2の1、8、15および22日目およびサイクル3以降の1日目)に約28 mgの用量にて経口で、かつ約8 mgの用量にてIVで投与され、エロツズマブ投与の無い週に週当たり約40 mgの用量にて経口で投与される、および
対象体>75歳で、エロツズマブ投与の日(サイクル1および2の1、8、15および22日目およびサイクル3以降の1日目)に約8 mgの用量にて経口で、かつ約8 mgの用量にてIVで投与され、エロツズマブ投与の無い週に週当たり約20 mgの用量にて経口で投与される、
ここで、サイクルは28日間として定義される、
請求項1−3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
多発性骨髄腫患者を処置するための方法における使用のための医薬組成物であって、該方法は(i)治療上有効量のポマリドミド;(ii)治療上有効量のエロツズマブ、および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せの各成分が別々に投与される組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、該患者の多発性骨髄腫を効果的に処置する、医薬組成物。
【請求項8】
ポマリドミドが約4 mgの用量にて投与され、該エロツズマブが約10 mg/kgの用量にて投与され、デキサメタゾンが約28 mg〜40 mgの用量にて経口で、または約8 mgの用量にてIVにより投与される、請求項7に記載の医薬組成物
【請求項9】
ポマリドミドが21日間毎日約4 mgの用量にて投与され、エロツズマブ毎週約10 mg/kgの用量にて投与され、デキサメタゾンが28日間の投与サイクル全体において、21日間毎日約28 mg〜40 mgの用量にて経口で、または毎週約8 mgの用量にてIVにより投与され、適宜、該エロツズマブが最初および第二のサイクル以外のその後の投与サイクルにおいて約20 mg/kgの用量にて投与される、請求項7に記載の医薬組成物
【請求項10】
(i)ポマリドミドが各サイクルの1−21日目に約4 mgの用量にて経口で投与される、
(ii)エロツズマブがサイクル1および2の1、8、15および22日目に約10 mg/kgの用量にて静脈内(IV)で投与され、その後、サイクル3以降1日目に約20 mg/kgの用量にてIVで投与される、および
(iii)デキサメタゾンが、
対象体≦75歳で、エロツズマブ投与の日(サイクル1および2の1、8、15および22日目およびサイクル3以降の1日目)に約28 mgの用量にて経口で、かつ約8 mgの用量にてIVで投与され、エロツズマブ投与の無い週に週当たり約40 mgの用量にて経口で投与される、および
対象体>75歳で、エロツズマブ投与の日(サイクル1および2の1、8、15および22日目およびサイクル3以降の1日目)に約8 mgの用量にて経口で、かつ約8 mgの用量にてIVで投与され、エロツズマブ投与の無い週に週当たり約20 mgの用量にて経口で投与される、
ここで、サイクルは28日間として定義される、
請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項11】
該組合せが腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらす、請求項1−10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、35 U.S.C. §119(e)の下2015年6月29日出願の米国仮出願第62/185,968号、2015年10月11日出願の米国仮出願第62/239,965号、および2015年12月3日出願の米国仮出願第62/262,574号の利益を主張する。引用出願の開示全体を出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。
【0002】
(発明の分野)
本明細書に記載の発明は、1つ以上の免疫治療剤と組み合せて抗CS1抗体の治療有効性を向上させるのに用いるための、治療投与レジメンおよびその組合せに関する。
【背景技術】
【0003】
国立がん研究所は、米国だけで3人に1人が一生涯で癌に襲われると推測している。さらに、癌に罹患している人々のおよそ50%〜60%が最終的に当該疾患で亡くなる。この疾患の広範な発生は、悪性腫瘍を処置するための抗癌レジメンの改善の必要性を強調している。
【0004】
癌は、身体のいずれの組織または器官でも発生し得る。骨の「孤立性」骨髄腫である多発性骨髄腫、髄外性形質細胞腫、形質細胞白血病、マクログロブリン血症(ワルデンストレームマクログロブリン血症を含む)、重鎖病、原発性アミロイド症、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)を含む、形質細胞新生物は、免疫グロブリンの発現増加を伴う。非形質細胞新生物である慢性リンパ性白血病(CLL)はまた、高レベルの免疫グロブリン発現を伴う。
【0005】
免疫グロブリンの発現増加は、悪性疾患においても見られ得る。自己免疫障害のように、癌の病因は、同様に多くの要因を起源とする。米国において死亡原因の第2である癌は、細胞の無制限の増殖を引き起こすDNAの変異に関連している。遺伝的要因は、喫煙や化学的変異誘発などの環境要因と組み合わさって、多くの癌の発生に大きな役割を果たす。
【0006】
骨髄腫は、典型的には二次リンパ組織で発生し、その後骨髄組織に転移して、そこに居着く、単一のクローンに由来する形質細胞の腫瘍である。骨髄腫は、通常、骨痛および病的骨折または病変(溶骨性骨病変)、異常出血、貧血および易感染性の上昇の一次症状を伴って、骨髄および隣接する骨構造に影響を及ぼす。当該疾患の進行した段階には、腎不全、骨格変形、脊髄の圧迫および高カルシウム血症が含まれる。骨髄腫は、骨の破骨細胞再吸収を誘導し、これにより骨構造の多くを破壊し、血漿中のカルシウム濃度を増加させることによって、骨細胞に影響を及ぼす。骨髄腫の病因は、現在不明である。放射線損傷、癌遺伝子の変異、家族性の原因および異常なIL6発現との関連が仮定されている。
【0007】
多発性骨髄腫は、多数の起源を有する形質細胞腫瘍である。多発性骨髄腫はすべての形質細胞悪性腫瘍のほぼ10%を占め、成人で最も一般的な骨腫瘍癌であり、年間発症率は100,000人当たり3〜4例であり、診断時の年齢中央値は63〜70歳である。米国では、多発性骨髄腫は、非ホジキンリンパ腫に次いで2番目に多い血液悪性腫瘍であり、米国だけでおよそ50,000例あり、毎年およそ13,500例が新たに報告されている。欧州では、多発性骨髄腫の発症率は、1年に100,000人当たり6例である。多発性骨髄腫と診断された患者の予後の見通しは厳しく、進行型の疾患の患者ではわずか数ヵ月から1年である。
【0008】
骨髄腫および多発性骨髄腫(以後、「骨髄腫」と称する)のための伝統的な処置領域は、化学療法、放射線療法および外科手術からなる。また、他は健康である患者には、骨髄移植が推奨される。患者の治癒率は30%近くであり、骨髄腫を治癒できる唯一の既知の方法である。しかしながら、高齢であるか、または骨髄移植処置に耐えられない個体には、化学療法が最も適切である。
【0009】
近年、自己幹細胞移植(ASCT)の導入ならびにサリドマイド、レナリドマイド(免疫調節薬またはIMiD)およびボルテゾミブの利用などの多発性骨髄腫治療における重要な進歩が、これらの患者の管理を変え、全生存期間(OS)の延長を可能にした(Kristinsson et al., J. Clin. Oncol., 25:1993-1999 (2007); Brenner et al., Blood, 111:2521-2526 (2008);およびKumar et al., Blood, 111:2516-2520 (2008))。60歳未満の患者の10年生存確率は、約30%である(Raab et al., Lancet, 374:324-339 (2009))。サリドマイド(Rajkumar et al., J. Clin. Oncol., 26:2171-2177 (2008))、レナリドマイド(Rajkumar et al., Lancet Oncol., 11:29-37 (2010));またはボルテゾミブ(Harousseau et al., J. Clin. Oncol., 28:4621-4629 (2010))を、ASCT前の誘導治療レジメンの一部としてデキサメタゾンと組合せることにより、それぞれ8%、15%および16%のほぼCR率をもたらし;一方、ボルテゾミブ-デキサメタゾンとドキソルビシン(Sonneveld et al., Blood (ASH Annual Meeting Abstracts), 116:23 (2010))、シクロフォスファミド(Reeder et al., Leukemia, 23:1337-1341 (2009))、サリドマイド(Cavo et al., Lancet, 376:2075-2085 (2010));またはレナリドマイド(Richardson et al., Blood, 116:679-686 (2010))の3剤導入計画は、それぞれ7%、39%、32%および57%のほぼCR率の達成を可能にした。しかしながら、これらの進歩にも拘わらず、ほぼすべての多発性骨髄腫患者は再発する。
【0010】
Mタンパクとして知られる異常抗体の出現は、多発性骨髄腫の診断指標である。Mタンパクの産生増加は、疲労、頭痛、息切れ、精神錯乱、胸痛、腎臓損傷および不全、視力障害ならびにレイノー現象(血行不良、特に指、つま先、鼻、耳)を含む、衰弱性の副作用を引き起こす多発性骨髄腫における過粘稠度症候群に関連している。血中のMタンパクが低温条件下で粒子を形成するとき、クリオグロブリン血症は生じる。これらの粒子は、寒い気候中に小さい血管を塞ぎ、つま先、指および他の四肢に痛みおよびしびれを引き起こし得る。染色体欠失、β2ミクログロブリンレベルの上昇、血清クレアチニンレベルおよびIgAアイソタイピングなどの予後の指標もまた研究されている。Tricot, G. et al., "Poor Prognosis in Multiple Myeloma", Blood, 86:4250-4252 (1995)。
【0011】
ポマリドミドは、強力な第2世代IMiDである。それは、レナリドマイドおよびサリドマイドと比べてより良好な毒性プロファイルを達成しながら、多発性骨髄腫における活性を示している(Lacy et al., Am. J. Hematol., 85(2):95-96 (2009))。第II相臨床試験において、63%の全体奏効率が観察され、ポマリドミドを投与された患者における無増悪生存期間中央値は11.6ヵ月であり、これらの患者の33%が非常に良い奏効率(VGPR)または完全奏効(CR)を達成した(Lacy et al. (2009))。これは、レナリドマイド処置患者の40%〜50%奏効率(von Lilienfield-Toal et al., Eur. J. Haematol., 81:247-252 (2008))、およびボルテゾミブ処置患者の38%奏効率(Richardson et al., N. Eng. J. Med., 348:2609-2617 (2003))に匹敵する。POMALYST(登録商標)は、他の制癌剤で処置した後疾患が進行した進行性の多発性骨髄腫の処置のために、2013年に米国FDAにより承認された。
【0012】
エロツズマブは、多発性骨髄腫において高度で不均一に発現する細胞表面糖タンパク質であるCS-1に対するヒト化モノクローナルIgG1抗体である。エロツズマブは、末梢リンパ球の存在下で原発性多発性骨髄腫細胞に対する著しい抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導する(Tai et al., Blood, 112:1329-1337 (2008))。再発または難治性多発性骨髄腫の患者の処置のために、単独で(Zonder et al., Blood, 120(3):552-559 (2012))、ボルテゾミブ(Jakubowiak et al., J. Clin. Oncol., 30(16):1960-1965 (Jun. 1, 2012))、またはレナリドマイドおよび低用量デキサメタゾン(Lonial et al., J. Clin. Oncol., 30:1953-1959 (2012); and Richardson et al., Blood (ASH Annual Meeting Abstracts), 116:986 (2010))と組み合せて投与されるこの薬物の安全性および有効性を評価する3つの研究の結果が報告されている。3剤の組合せすべてが、管理可能な安全性プロファイルおよび有望な活性を示した。例えば、再発または難治性多発性骨髄腫の処置のためのレナリドマイドおよび低用量デキサメタゾンと組合せたエロツズマブの安全性および有効性を評価する第I/II相試験は、10 mg/kg用量を受けた患者について33ヵ月のPFSおよび92%奏効率を示した(Lonial et al., J. Clin. Oncol., 31(Suppl.), Abstr. 8542) (2013))。以前に処置されていない多発性骨髄腫患者におけるエロツズマブ有りまたは無しのレナリドマイド/デキサメタゾンの第III相臨床試験が進行中であり、この同じ組合せを一次治療で評価するようにデザインされた別の第III相試験もまた進行中である。
【0013】
エロツズマブは、直接的なNK細胞活性化およびNK細胞介在性ADCCを含む二重の機構を示す。NK細胞活性化に関して、エロツズマブは、抗体のFc部分から独立した方法でCD69およびグランザイムB発現の上方制御によりNK細胞を活性化すると示されている(Collins et al., Cancer Immunol. Immunother., 62(12):1841-1849 (2013)参照)。それ故に、CD16結合(ADCCの重要な構成要素)の非存在下でNK細胞機能およびヒトMM細胞株の死滅を調節するエロツズマブ能力によりさらに支持される。また、エロツズマブは、初代NK細胞を活性化し得て(IFNγの誘導)、エロツズマブの役割をサポートするCD16欠損NK細胞株は、EAT-2の存在下でCD16介在性ADCCから独立してSLAMF7によりNK細胞の直接的な活性化において働く。したがって、これは、NK細胞上における共活性化受容体としてのSLAMF7の役割と一致する(Cruz-Munoz et al., Nat. Immunol., 10(3):297-305 (2009))。最後に、エロツズマブの作用機構は、NK細胞介在性ADCC(抗体依存性細胞傷害)がインビトロで観察される活性の主要な構成要素である(Tai et al., Blood, 112:1329-1337 (2008);およびHsi et al., Clin. Cancer Res., 14(9):2775-2784 (2008))。
【0014】
本願発明者らは、治療上有効量の抗CS1抗体およびデキサメタゾンとの治療上有効量のポマリドミドの投与が多発性骨髄腫細胞および腫瘍の相乗的退縮をもたらすことを初めて発見し、それ故に、この組合せを多発性骨髄腫患者のための可能性のある処置選択肢として確立した。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;および(ii)治療上有効量のポマリドミドを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらす、方法を提供する。
【0016】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;および(ii)治療上有効量のポマリドミドを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該癌は、とりわけ、骨髄腫、多発性骨髄腫、再発多発性骨髄腫、難治性多発性骨髄腫およびくすぶり型多発性骨髄腫からなる群より選択される、方法を提供する。
【0017】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;および(ii)治療上有効量のポマリドミドを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該癌は、骨髄腫、多発性骨髄腫、再発多発性骨髄腫、難治性多発性骨髄腫およびくすぶり型多発性骨髄腫からなる群より選択され、該抗CS1抗体は、エロツズマブである、方法を提供する。
【0018】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;および(ii)治療上有効量のポマリドミドを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、約10mg/kg〜20 mg/kgの間の用量にて投与される、方法を提供する。
【0019】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;および(ii)治療上有効量のポマリドミドを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、10 mg/kgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0020】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;および(ii)治療上有効量のポマリドミドを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、3週間毎に10 mg/kgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0021】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;および(ii)治療上有効量のポマリドミドを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、1サイクル当たり28日間毎に1、8、15および22日目に10 mg/kgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0022】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;および(ii)治療上有効量のポマリドミドを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、サイクル1および2では1サイクル当たり28日間毎に1、8、15および22日目に10 mg/kgの用量にて投与され、その後、サイクル3以降では1サイクル当たり28日間毎に1および15日目に10 mg/kgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0023】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;および(ii)治療上有効量のポマリドミドを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、約10mg/kg〜20 mg/kgの間の用量にて投与され、ポマリドミドは、約1 mg〜4 mgの間の用量にて投与される、方法を提供する。
【0024】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;および(ii)治療上有効量のポマリドミドを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、10 mg/kgの用量にて投与され、ポマリドミドは、4 mgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0025】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;および(ii)治療上有効量のポマリドミドを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、3週間毎に10 mg/kgの用量にて投与され、ポマリドミドは、毎日4 mgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0026】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;および(ii)治療上有効量のポマリドミドを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、3週間毎に10 mg/kgの用量にて投与され、ポマリドミドは、28日間のサイクルにわたって21日間毎日4 mgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0027】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;および(ii)治療上有効量のポマリドミドを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、1サイクル当たり28日間毎に1、8、15および22日目に10 mg/kgの用量にて投与され、ポマリドミドは、28日間のサイクルにわたって21日間毎日4 mgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0028】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;および(ii)治療上有効量のポマリドミドを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、サイクル1および2では1サイクル当たり28日間毎に1、8、15および22日目に10 mg/kgの用量にて投与され、その後、サイクル3以降では1サイクル当たり28日間毎に1および15日目に10 mg/kgの用量にて投与され、ポマリドミドは、28日間のサイクルにわたって21日間毎日4 mgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0029】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;(ii)治療上有効量のポマリドミド;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらす、方法を提供する。
【0030】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;(ii)治療上有効量のポマリドミド;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該癌は、骨髄腫、多発性骨髄腫、再発多発性骨髄腫、難治性多発性骨髄腫およびくすぶり型多発性骨髄腫などからなる群より選択される、方法を提供する。
【0031】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;(ii)治療上有効量のポマリドミド;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該癌は、とりわけ、骨髄腫、多発性骨髄腫、再発多発性骨髄腫、難治性多発性骨髄腫およびくすぶり型多発性骨髄腫からなる群より選択され、該抗CS1抗体は、エロツズマブである、方法を提供する。
【0032】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;(ii)治療上有効量のポマリドミド;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、約10mg/kg〜20 mg/kgの間の用量にて投与され、ポマリドミドは、約1 mg〜4 mgの間の用量にて投与され、デキサメタゾンは、経口投与により約28 mg〜40 mgの用量、またはIV投与により約8 mgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0033】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;(ii)治療上有効量のポマリドミド;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、10 mg/kgの用量にて投与され、ポマリドミドは、4 mgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、経口投与により28 mgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0034】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;(ii)治療上有効量のポマリドミド;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、10 mg/kgの用量にて投与され、ポマリドミドは、4 mgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、経口投与により40 mgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0035】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;(ii)治療上有効量のポマリドミド;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、10 mg/kgの用量にて投与され、ポマリドミドは、4 mgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、IV投与により8 mg。の用量にて投与される、方法を提供する。
【0036】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;(ii)治療上有効量のポマリドミド;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、3週間毎に10 mg/kgの用量にて投与され、ポマリドミドは、毎日4 mgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、経口投与により毎日28 mgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0037】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;(ii)治療上有効量のポマリドミド;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、3週間毎に10 mg/kgの用量にて投与され、ポマリドミドは、毎日4 mgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、経口投与により毎日40 mgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0038】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;(ii)治療上有効量のポマリドミド;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、3週間毎に10 mg/kgの用量にて投与され、ポマリドミドは、毎日4 mgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、IV投与により毎週8 mgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0039】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;(ii)治療上有効量のポマリドミド;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、3週間毎に10 mg/kgの用量にて投与され、ポマリドミドは、28日間のサイクルにわたって21日間毎日4 mgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、28日間のサイクルにわたって経口投与により毎日28 mgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0040】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;(ii)治療上有効量のポマリドミド;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、3週間毎に10 mg/kgの用量にて投与され、ポマリドミドは、28日間のサイクルにわたって21日間毎日4 mgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、28日間のサイクルにわたって経口投与により毎日40 mgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0041】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;(ii)治療上有効量のポマリドミド;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、3週間毎に10 mg/kgの用量にて投与され、ポマリドミドは、28日間のサイクルにわたって21日間毎日4 mgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、28日間のサイクルにわたって経口投与により毎週8 mgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0042】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;(ii)治療上有効量のポマリドミド;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、1サイクル当たり28日間毎に1、8、15および22日目に10 mg/kgの用量にて投与され、ポマリドミドは、28日間のサイクルにわたって21日間毎日4 mgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、28日間のサイクルにわたって経口投与により毎日28 mgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0043】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;(ii)治療上有効量のポマリドミド;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、1サイクル当たり28日間毎に1、8、15および22日目に10 mg/kgの用量にて投与され、ポマリドミドは、28日間のサイクルにわたって21日間毎日4 mgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、28日間のサイクルにわたって経口投与により毎日40 mgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0044】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;(ii)治療上有効量のポマリドミド;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、1サイクル当たり28日間毎に1、8、15および22日目に10 mg/kgの用量にて投与され、ポマリドミドは、28日間のサイクルにわたって21日間毎日4 mgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、28日間のサイクルにわたってIVにより毎週8 mgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0045】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;(ii)治療上有効量のポマリドミド;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、サイクル1および2では1サイクル当たり28日間毎に1、8、15および22日目に10 mg/kgの用量にて投与され、その後、サイクル3以降では1サイクル当たり28日間毎に1および15日目に10 mg/kgの用量にて投与され、ポマリドミドは、28日間のサイクルにわたって21日間毎日4 mgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、28日間のサイクルにわたって経口投与により毎日28 mgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0046】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;(ii)治療上有効量のポマリドミド;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、サイクル1および2では1サイクル当たり28日間毎に1、8、15および22日目に10 mg/kgの用量にて投与され、その後、サイクル3以降では1サイクル当たり28日間毎に1および15日目に10 mg/kgの用量にて投与され、ポマリドミドは、28日間のサイクルにわたって21日間毎日4 mgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、28日間のサイクルにわたって経口投与により毎日40 mgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0047】
本発明は、多発性骨髄腫の患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量の抗CS1抗体;(ii)治療上有効量のポマリドミド;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、腫瘍量における相乗的減少、腫瘍退縮、腫瘍成長における減少、Mタンパクレベルおよび/もしくは形質細胞の低下ならびに/または該癌の退縮をもたらし、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、サイクル1および2では1サイクル当たり28日間毎に1、8、15および22日目に10 mg/kgの用量にて投与され、その後、サイクル3以降では1サイクル当たり28日間毎に1および15日目に10 mg/kgの用量にて投与され、ポマリドミドは、28日間のサイクルにわたって21日間毎日4 mgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、28日間のサイクルにわたって経口投与により毎週8 mgの用量にて投与される、方法を提供する。

【0048】
別の一態様において、ヒト患者における多発性骨髄腫を処置する方法であって、有効量の:
(a)配列番号2に記載の配列を含む重鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインと、配列番号1に記載の配列を含む軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む、抗CS1抗体;および
(b)ポマリドミド
を患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0049】
別の一態様において、ヒト患者における多発性骨髄腫を処置する方法であって、有効量の:
(a)配列番号2に記載の配列を含む重鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインと、配列番号1に記載の配列を含む軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む、抗CS1抗体;および
(b)ポマリドミド
を患者に投与することを含み;
抗CS1抗体は、約10mg/kg〜20 mg/kgの間の用量にて投与され;
ポマリドミドは、約1 mg〜4 mgの間の用量にて投与される、
方法を提供する。
【0050】
別の一態様において、ヒト患者における多発性骨髄腫を処置する方法であって、有効量の:
(a)配列番号2に記載の配列を含む重鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインと、配列番号1に記載の配列を含む軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む、抗CS1抗体;および
(b)ポマリドミド
を患者に投与することを含み;
抗CS1抗体は、約10 mg/kgの用量にて投与され;
ポマリドミドは、約4 mgの用量にて投与される、
方法を提供する。
【0051】
別の一態様において、ヒト患者における多発性骨髄腫を処置する方法であって、有効量の:
(a)配列番号2に記載の配列を含む重鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインと、配列番号1に記載の配列を含む軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む、抗CS1抗体;および
(b)ポマリドミド
を患者に投与することを含み;
抗CS1抗体は、各28日間のサイクルについて21日間毎に1回約10 mg/kgの用量にて投与され;
ポマリドミドは、各28日間のサイクルについて21日間毎日約4 mgの用量にて投与される、
方法を提供する。
【0052】
別の一態様において、ヒト患者における多発性骨髄腫を処置する方法であって、有効量の:
(a)配列番号2に記載の配列を含む重鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインと、配列番号1に記載の配列を含む軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む、抗CS1抗体;および
(b)ポマリドミド
を患者に投与することを含み;
抗CS1抗体は、各28日間のサイクルについて1、8、15および21日目に約10 mg/kgの用量にて投与され;
ポマリドミドは、各28日間のサイクルについて21日間毎日約4 mgの用量にて投与される、
方法を提供する。
【0053】
別の一態様において、ヒト患者における多発性骨髄腫を処置する方法であって、有効量の:
(a)配列番号2に記載の配列を含む重鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインと、配列番号1に記載の配列を含む軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む、抗CS1抗体;
(b)ポマリドミド;および
(c)デキサメタゾン
を患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0054】
別の一態様において、ヒト患者における多発性骨髄腫を処置する方法であって、有効量の:
(a)配列番号2に記載の配列を含む重鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインと、配列番号1に記載の配列を含む軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む、抗CS1抗体;
(b)ポマリドミド;および
(c)デキサメタゾン
を患者に投与することを含み;
抗CS1抗体は、約10mg/kg〜20 mg/kgの間の用量にて投与され;
ポマリドミドは、約1 mg〜4 mgの間の用量にて投与され;
デキサメタゾンは、経口投与により28 mg〜40 mgの用量、またはIV投与により約8 mgの用量にて投与される、
方法を提供する。
【0055】
別の一態様において、ヒト患者における多発性骨髄腫を処置する方法であって、有効量の:
(a)配列番号2に記載の配列を含む重鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインと、配列番号1に記載の配列を含む軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む、抗CS1抗体;
(b)ポマリドミド;および
(c)デキサメタゾン
を患者に投与することを含み;
抗CS1抗体は、約10 mg/kgの用量にて投与され;
ポマリドミドは、約4 mgの経口用量にて投与され;
デキサメタゾンは、約28 mgの用量にて投与される、
方法を提供する。
【0056】
別の一態様において、ヒト患者における多発性骨髄腫を処置する方法であって、有効量の:
(a)配列番号2に記載の配列を含む重鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインと、配列番号1に記載の配列を含む軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む、抗CS1抗体;
(b)ポマリドミド;
(c)デキサメタゾン
を患者に投与することを含み;
抗CS1抗体は、約10 mg/kgの用量にて投与され;
ポマリドミドは、約4 mgの経口用量にて投与され;
デキサメタゾンは、約28 mgの用量にて投与される、
方法を提供する。
【0057】
別の一態様において、ヒト患者における多発性骨髄腫を処置する方法であって、有効量の:
(a)配列番号2に記載の配列を含む重鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインと、配列番号1に記載の配列を含む軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む、抗CS1抗体;
(b)ポマリドミド;および
(c)デキサメタゾン
を患者に投与することを含み;
抗CS1抗体は、約10 mg/kgの用量にて投与され;
ポマリドミドは、約4 mgの経口用量にて投与され;
デキサメタゾンは、IVにより約8 mgの用量にて投与される、
方法を提供する。
【0058】
別の一態様において、ヒト患者における多発性骨髄腫を処置する方法であって、有効量の:
(a)配列番号2に記載の配列を含む重鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインと、配列番号1に記載の配列を含む軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む、抗CS1抗体;
(b)ポマリドミド;および
(c)デキサメタゾン
を患者に投与することを含み;
抗CS1抗体は、各28日間のサイクルについて21日間毎に1回約10 mg/kgの用量にて投与され;
ポマリドミドは、各28日間のサイクルについて21日間毎日約4 mgの経口用量にて投与され;
デキサメタゾンは、各28日間のサイクルについて毎日約28 mgの用量にて投与される、
方法を提供する。
【0059】
別の一態様において、ヒト患者における多発性骨髄腫を処置する方法であって、有効量の:
(a)配列番号2に記載の配列を含む重鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインと、配列番号1に記載の配列を含む軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む、抗CS1抗体;
(b)ポマリドミド;および
(c)デキサメタゾン
を患者に投与することを含み;
抗CS1抗体は、各28日間のサイクルについて21日間毎に1回約10 mg/kgの用量にて投与され;
ポマリドミドは、各28日間のサイクルについて21日間毎日約4 mgの経口用量にて投与され;
デキサメタゾンは、各28日間のサイクルについて毎日約40 mgの経口用量にて投与される、
方法を提供する。
【0060】
別の一態様において、ヒト患者における多発性骨髄腫を処置する方法であって、有効量の:
(a)配列番号2に記載の配列を含む重鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインと、配列番号1に記載の配列を含む軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む、抗CS1抗体;
(b)ポマリドミド;および
(c)デキサメタゾン
を患者に投与することを含み;
抗CS1抗体は、各28日間のサイクルについて21日間毎に1回約10 mg/kgの用量にて投与され;
ポマリドミドは、各28日間のサイクルについて21日間毎日約4 mgの経口用量にて投与され;
デキサメタゾンは、各28日間のサイクルについて毎週約8 mgのIV用量にて投与される、
方法を提供する。
【0061】
別の一態様において、ヒト患者における多発性骨髄腫を処置する方法であって、有効量の:
(a)配列番号2に記載の配列を含む重鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインと、配列番号1に記載の配列を含む軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む、抗CS1抗体;
(b)ポマリドミド;および
(c)デキサメタゾン
を患者に投与することを含み;
抗CS1抗体は、各28日間のサイクルについて1、8、15および21日目に約10 mg/kgの用量にて投与され;
ポマリドミドは、各28日間のサイクルについて21日間毎日約4 mgの用量にて投与され;
デキサメタゾンは、各28日間のサイクルについて毎日約28 mgの用量にて投与される、
方法を提供する。
【0062】
別の一態様において、ヒト患者における多発性骨髄腫を処置する方法であって、有効量の:
(a)配列番号2に記載の配列を含む重鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインと、配列番号1に記載の配列を含む軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む、抗CS1抗体;
(b)ポマリドミド;および
(c)デキサメタゾン
を患者に投与することを含み;
抗CS1抗体は、各28日間のサイクルについて1、8、15および21日目に約10 mg/kgの用量にて投与され;
ポマリドミドは、各28日間のサイクルについて21日間毎日約4 mgの用量にて投与され;
デキサメタゾンは、各28日間のサイクルについて毎日約40 mgの経口用量にて投与される、
方法を提供する。
【0063】
別の一態様において、ヒト患者における多発性骨髄腫を処置する方法であって、有効量の:
(a)配列番号2に記載の配列を含む重鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインと、配列番号1に記載の配列を含む軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む、抗CS1抗体;
(b)ポマリドミド;および
(c)デキサメタゾン
を患者に投与することを含み;
抗CS1抗体は、各28日間のサイクルについて1、8、15および21日目に約10 mg/kgの用量にて投与され;
ポマリドミドは、各28日間のサイクルについて21日間毎日約4 mgの用量にて投与され;
デキサメタゾンは、各28日間のサイクルについて毎週約8 mgのIV経口用量にて投与される、
方法を提供する。
【0064】
ある特定の実施態様において、ポマリドミドの各用量は、約1、2、3または4 mgで経口投与される。好ましい実施態様において、抗CS1抗体の各用量は、4 mgで経口投与される。別の実施態様において、抗CS1抗体の各用量は、約0.1、0.3、1、3、6、10または20 mg/kg体重で投与される。好ましい実施態様において、抗CS1抗体の各用量は、10 mg/kgで投与される。別の実施態様において、デキサメタゾンの各用量は、経口で約28 mgもしくは40 mg、またはIVにより8 mgで投与される。好ましい実施態様において、デキサメタゾンの各用量は、経口で28 mg/kg、またはIVにより8 mg投与される。
【0065】
一実施態様において、ポマリドミドおよび抗CS1抗体は、次の用量にて投与される:
(a)1 mg ポマリドミドおよび10 mg/kgの抗CS1抗体;
(b)2 mg ポマリドミドおよび10 mg/kgの抗CS1抗体;
(c)3 mg ポマリドミドおよび10 mg/kgの抗CS1抗体;または
(d)4 mg ポマリドミドおよび10 mg/kgの抗CS1抗体。
【0066】
一実施態様において、ポマリドミド、抗CS1抗体およびデキサメタゾンは、次の用量にて投与される:
(a)1 mg ポマリドミド、10 mg/kgの抗CS1抗体、および28 mg デキサメタゾン;
(b)2 mg ポマリドミド、10 mg/kgの抗CS1抗体、および28 mg デキサメタゾン;
(c)3 mg ポマリドミド、10 mg/kgの抗CS1抗体、および28 mg デキサメタゾン;または
(d)4 mg ポマリドミド、10 mg/kgの抗CS1抗体、および28 mg デキサメタゾン。
【0067】
一実施態様において、ポマリドミド、抗CS1抗体およびデキサメタゾンは、次の用量にて投与される:
(a)1 mg ポマリドミド、10 mg/kgの抗CS1抗体、および40 mg デキサメタゾン;
(b)2 mg ポマリドミド、10 mg/kgの抗CS1抗体、および40 mg デキサメタゾン;
(c)3 mg ポマリドミド、10 mg/kgの抗CS1抗体、および40 mg デキサメタゾン;または
(d)4 mg ポマリドミド、10 mg/kgの抗CS1抗体、および40 mg デキサメタゾン。
【0068】
一実施態様において、ポマリドミド、抗CS1抗体およびデキサメタゾンは、次の用量にて投与される:
(a)1 mg ポマリドミド、10 mg/kgの抗CS1抗体、および8 mg デキサメタゾン IV;
(b)2 mg ポマリドミド、10 mg/kgの抗CS1抗体、および8 mg デキサメタゾン IV;
(c)3 mg ポマリドミド、10 mg/kgの抗CS1抗体、および8 mg デキサメタゾン IV;または
(d)4 mg ポマリドミド、10 mg/kgの抗CS1抗体、および8 mg デキサメタゾン IV。
【0069】
一実施態様において、抗CS1抗体およびポマリドミドは、処置のファースト(「フロント」)ラインとして投与される(例えば、初期または最初の処置)。別の一実施態様において、抗CS1抗体およびポマリドミドは、処置のセカンドラインとして投与される(例えば、再発後および/または最初の処置が失敗した場合を含む、同一または異なる治療で初期の処置後)。
【0070】
一実施態様において、抗CS1抗体、ポマリドミド、およびデキサメタゾンは、処置のファーストとして投与される(「フロント」)ライン(例えば、初期または最初の処置)。別の一実施態様において、抗CS1抗体、ポマリドミド、およびデキサメタゾンは、処置のセカンドラインとして投与される(例えば、再発後および/または最初の処置が失敗した場合を含む、同一または異なる治療で初期の処置後)。
【0071】
本明細書で提供される処置方法の有効性は、任意の適切な手段により評価され得る。一実施態様において、処置は、完全奏効、非常に良い部分奏効、部分奏効および病勢安定からなる群より選択される少なくとも1つの治療効果を生じる。別の一実施態様において、ポマリドミドと抗CS1抗体の投与は、いずれかの治療単独の投与と比較して処置に相乗効果を有する。
【0072】
本明細書で提供される処置方法の有効性は、任意の適切な手段により評価され得る。一実施態様において、処置は、完全奏効、非常に良い部分奏効、部分奏効および病勢安定からなる群より選択される少なくとも1つの治療効果を生じる。別の一実施態様において、ポマリドミドと抗CS1抗体とデキサメタゾンは、いずれかの治療単独の投与と比較して処置に相乗効果を有する。
【0073】
(a)配列番号2に記載の配列を含む重鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインと、配列番号1に記載の配列を含む軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む、抗CS1抗体;および
(b)ポマリドミド
を含む組成物もまた提供する。
【0074】
(a)配列番号2に記載の配列を含む重鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインと、配列番号1に記載の配列を含む軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む、抗CS1抗体;
(b)ポマリドミド;および
(c)デキサメタゾン
を含む組成物もまた提供する。
【0075】
本発明は、最初の処置を受けた後に進行した多発性骨髄腫患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量のポマリドミド;(ii)治療上有効量の抗CS1抗体;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せの各成分が別々に投与される組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、該進行を止め、該患者の多発性骨髄腫を効果的に処置する、方法を提供する。
【0076】
本発明は、最初の処置を受けた後に進行した多発性骨髄腫患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量のポマリドミド;(ii)治療上有効量の抗CS1抗体;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せの各成分が別々に投与される組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、該進行を止め、該患者の多発性骨髄腫を効果的に処置し、該抗CS1抗体は、エロツズマブである、方法を提供する。
【0077】
本発明は、最初の処置を受けた後に進行した多発性骨髄腫患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量のポマリドミド;(ii)治療上有効量の抗CS1抗体;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せの各成分が別々に投与される組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、該進行を止め、該患者の多発性骨髄腫を効果的に処置し、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、ポマリドミドは、約4 mgの用量にて投与され、該エロツズマブは、約10 mg/kgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、約28 mg〜40 mgの用量にて経口で、または約8 mgの用量にてIVにより投与される、方法を提供する。
【0078】
本発明は、最初の処置を受けた後に進行した多発性骨髄腫患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量のポマリドミド;(ii)治療上有効量の抗CS1抗体;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せの各成分が別々に投与される組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、該進行を止め、該患者の多発性骨髄腫を効果的に処置し、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、該エロツズマブは、21日間毎日約10 mg/kgの用量にて投与され、抗CS1抗体は、3週間毎に1回約10 mg/kgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、21日間毎日約28 mg〜40 mgの用量にて経口で、または毎週約8 mgの用量にてIVにより投与される、方法を提供する。
【0079】
本発明は、レナリドマイドに耐性である多発性骨髄腫患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量のポマリドミド;(ii)治療上有効量の抗CS1抗体;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せの各成分が別々に投与される組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、該患者のレナリドマイド耐性を克服し、該患者の多発性骨髄腫を効果的に処置する、方法を提供する。
【0080】
本発明は、レナリドマイドに耐性である多発性骨髄腫患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量のポマリドミド;(ii)治療上有効量の抗CS1抗体;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せの各成分が別々に投与される組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、該患者のレナリドマイド耐性を克服し、該患者の多発性骨髄腫を効果的に処置し、該抗CS1抗体は、エロツズマブである、方法を提供する。
【0081】
本発明は、レナリドマイドに耐性である多発性骨髄腫患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量のポマリドミド;(ii)治療上有効量の抗CS1抗体;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せの各成分が別々に投与される組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、該患者のレナリドマイド耐性を克服し、該患者の多発性骨髄腫を効果的に処置し、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、ポマリドミドは、約4 mgの用量にて投与され、該抗CS1抗体は、約10 mg/kgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、約28 mg〜40 mgの用量にて経口で、または約8 mgの用量にてIVにより投与される、方法を提供する。
【0082】
本発明は、レナリドマイドに耐性である多発性骨髄腫患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量のポマリドミド;(ii)治療上有効量の抗CS1抗体;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せの各成分が別々に投与される組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、該患者のレナリドマイド耐性を克服し、該患者の多発性骨髄腫を効果的に処置し、該抗CS1抗体は、エロツズマブであり、該エロツズマブは、21日間毎日約10 mg/kgの用量にて投与され、抗CS1抗体は、3週間毎に1回約10 mg/kgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、21日間毎日約28 mg〜40 mgの用量にて経口で、または毎週約8 mgの用量にてIVにより投与される、方法を提供する。
【0083】
本発明は、多発性骨髄腫患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量のポマリドミド;(ii)治療上有効量の抗CS1抗体;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せの各成分が別々に投与される組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、該患者の多発性骨髄腫を効果的に処置し、該免疫調節剤は、約4 mgの用量にて投与され、該抗CS1抗体は、約10 mg/kg(適宜20 mg/kg)の用量にて投与され、デキサメタゾンは、約28 mg〜40 mgの用量にて経口で、または約8 mgの用量にてIVにより投与される、方法を提供する。
【0084】
本発明は、多発性骨髄腫患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量のポマリドミド;(ii)治療上有効量の抗CS1抗体;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せの各成分が別々に投与される組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、該患者の多発性骨髄腫を効果的に処置し、該免疫調節剤は、約4 mgの用量にて投与され、該抗CS1抗体は、約10 mg/kg(適宜20 mg/kg)の用量にて投与され、デキサメタゾンは、約28 mg〜40 mgの用量にて経口で、または約8 mgの用量にてIVにより投与される、該免疫調節剤は、21日間毎日約4 mgの用量にて投与され、抗CS1抗体は、3週間毎に1回約10 mg/kgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、28日間の投与サイクル全体において、21日間毎日約28 mg〜40 mgの用量にて経口で、または毎週約8 mgの用量にてIVにより投与され、適宜、該抗CS1抗体は、最初のサイクル以外のその後の投与サイクルにおいて約20 mg/kgの用量にて投与される、方法を提供する。
【0085】
本発明は、多発性骨髄腫患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量のポマリドミド;(ii)治療上有効量の抗CS1抗体;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せの各成分が別々に投与される組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、該患者の多発性骨髄腫を効果的に処置し、該免疫調節剤は、約4 mgの用量にて投与され、該抗CS1抗体は、約10 mg/kg(適宜20 mg/kg)の用量にて投与され、デキサメタゾンは、約28 mg〜40 mgの用量にて経口で、または約8 mgの用量にてIVにより投与される、該免疫調節剤は、21日間毎日約4 mgの用量にて投与され、抗CS1抗体は、3週間毎に1回約10 mg/kgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、28日間の投与サイクル全体において、21日間毎日約28 mg〜40 mgの用量にて経口で、または毎週約8 mgの用量にてIVにより投与され、適宜、該抗CS1抗体は、投与サイクル3まで約20 mg/kgの用量にて開始し、その後の投与サイクルにおいてその用量にて継続して投与される、方法を提供する。
【0086】
本発明は、多発性骨髄腫患者を処置するための方法であって、(i)治療上有効量のポマリドミド;(ii)治療上有効量の抗CS1抗体;および(iii)治療上許容される量のデキサメタゾンを含む、組合せの各成分が別々に投与される組合せ治療レジメンの投与を含み、該組合せは、該患者の多発性骨髄腫を効果的に処置し、該免疫調節剤は、約4 mgの用量にて投与され、該抗CS1抗体は、約10 mg/kg(適宜20 mg/kg)の用量にて投与され、デキサメタゾンは、約28 mg〜40 mgの用量にて経口で、または約8 mgの用量にてIVにより投与される、該免疫調節剤は、21日間毎日約4 mgの用量にて投与され、抗CS1抗体は、3週間毎に1回約10 mg/kgの用量にて投与され、デキサメタゾンは、サイクル1および2では28日間の投与サイクル全体において、21日間毎日約28 mg〜40 mgの用量にて経口で、または毎週約8 mgの用量にてIVにより投与され、適宜、該抗CS1抗体は、投与サイクル3まで約20 mg/kgの用量にて開始し、その後の投与サイクルにおいてその用量にて継続して投与される、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1図1は、OPM2多発性骨髄腫異種移植におけるポマリドミド処置の抗腫瘍活性を示す。ポマリドミドを0.5 mg/kg、5 mg/kgまたは50 mg/kgのいずれかにて投与した。OPM2異種移植腫瘍が生着したマウスを無作為に群に割付けた(8マウス/群)。群1を未処置のままにし(コントロール、丸)、群2をポマリドミドで処置し(50 mg/kg、三角)、群3をポマリドミドで処置し(5 mg/kg、四角)、群4をポマリドミドで処置した(0.5 mg/kg、ひし形)。すべての処置セットを14日目より5日間毎日経口投与し、その後21日目より5日間再び投与した。データを平均+/-標準偏差として示す。この実験から、最適下限の5 mg/kg用量をエロツズマブおよび/またはデキサメタゾンと組合せ研究において用いるために選択した。
【0088】
図2図2A〜Bは、研究番号1(OPM2-15)のOPM2多発性骨髄腫異種移植における、ポマリドミドおよびデキサメタゾンと組み合せたエロツズマブ有効性の抗腫瘍活性を示す。OPM2異種移植腫瘍が生着したマウスを無作為に2群(1群当たり8匹のマウス)に割り付け、次のレジメンセットの1つを投与した:(A)コントロール群を未処置のままにした(黒丸)、エロツズマブ(0.5 mg/kgを16日目より週2回、計7回IP投与、白丸)、デキサメタゾン(5 mg/kgを16日目より毎日計7回IP投与、白三角)、エロツズマブ+デキサメタゾンの組合せ(黒三角)、ポマリドミド(5 mg/kg16日目より5日間毎日経口投与、その後23日目より5日間再び投与)+デキサメタゾンの組合せ(ダッシュ);または(B)コントロール群を未処置のままにした(黒丸)、エロツズマブ(0.5 mg/kg16日目より週2回、計7回IP投与、白丸)、ポマリドミド(5 mg/kg16日目より5日間毎日経口投与、その後23日目より5日間再び投与、白四角)、エロツズマブ(0.5 mg/kg16日目より週2回、計10回IP投与)+ポマリドミドの組合せ(黒四角)、エロツズマブ(計10回投与)+ポマリドミド+デキサメタゾンの組合せ(アスタリスク)。データを平均+/-標準偏差として示す。示されるように、エロツズマブとポマリドミドとデキサメタゾンの3剤の組合せは、いずれかの薬剤単独と比較してOPM-2腫瘍モデルにおける腫瘍増殖の相乗的抑制をもたらした。
【0089】
図3図3A〜Hは、研究番号1(OPM2-15)の、OPM2多発性骨髄腫異種移植腫瘍モデルにおける、単剤としてエロツズマブ、ポマリドミドおよびデキサメタゾンならびに組合せ処置の抗腫瘍活性を示す。OPM2異種移植腫瘍が生着したマウス1群当たり8匹のマウスの群に割り付け、次のレジメンの1つを投与した:(A):未処置(コントロール);(B):エロツズマブ;(C):ポマリドミド;(D):デキサメタゾン;(E):エロツズマブ+ポマリドミド;(F):エロツズマブ+デキサメタゾン;(G):ポマリドミド+デキサメタゾン;または(H):エロツズマブ+ポマリドミド+デキサメタゾン。データは、個々の動物において測定した腫瘍重量を表す。投与およびレジメンを図2および実施例1に示す。示されるように、腫瘍増殖は、エロツズマブとポマリドミドとデキサメタゾンの3剤の組合せを投与されたマウスにおいてのみ有意に抑制された。
【0090】
図4図4A〜Bは、研究番号2(OPM2-16)の、OPM2多発性骨髄腫異種移植における、ポマリドミドおよびデキサメタゾンと組み合せたエロツズマブ有効性である抗腫瘍活性を示す。OPM2異種移植腫瘍が生着したマウスを無作為に2群(1群当たり8匹のマウス)に割り付け、次のレジメンセットの1つを投与した:(A)コントロール群を未処置のままにした(黒丸)、エロツズマブ(0.5 mg/kgを12日目より週2回、計6回IP投与、白丸)、デキサメタゾン(5 mg/kgを12日目より毎日、計7回IP投与、白三角)、エロツズマブ(0.5 mg/kgを12日目より週2回、計8回IP投与)+デキサメタゾンの組合せ(黒三角)、ポマリドミド(5 mg/kgを12日目より、5日間毎日経口投与、その後19日目より5日間再び投与)+デキサメタゾンの組合せ(ダッシュ);または(B)コントロール群を未処置のままにした(黒丸)、エロツズマブ(0.5 mg/kgを12日目より週2回、計6回IP投与、白丸)、ポマリドミド(5 mg/kgを12日目より5日間毎日経口投与、その後19日目より5日間再び投与、白四角)、エロツズマブ(0.5 mg/kgを12日目より週2回、計8回IP投与)+ポマリドミドの組合せ(黒四角)、エロツズマブ(0.5 mg/kg12日目より週2回、計8回IP投与)+ポマリドミド+デキサメタゾンの組合せ(アスタリスク)。データを平均+/-標準偏差として示す。示されるように、エロツズマブとポマリドミドとデキサメタゾンの3剤の組合せは、いずれかの薬剤単独と比較してOPM-2腫瘍モデルにおける腫瘍増殖の相乗的抑制をもたらした。
【0091】
図5図5A〜Hは、研究番号2(OPM2-16)の、OPM2多発性骨髄腫異種移植腫瘍モデルにおける、単剤としてエロツズマブ、ポマリドミドおよびデキサメタゾンならびに組合せ処置の抗腫瘍活性を示す。OPM2異種移植腫瘍が生着したマウス1群当たり8匹のマウスの群に割り付け、次のレジメンの1つを投与した:(A):未処置(コントロール);(B):エロツズマブ;(C):ポマリドミド;(D):デキサメタゾン;(E):エロツズマブ+ポマリドミド;(F):エロツズマブ+デキサメタゾン;(G):ポマリドミド+デキサメタゾン;または(H):エロツズマブ+ポマリドミド+デキサメタゾン。データは、個々の動物において測定した腫瘍重量を表す。投与およびレジメンを図4および実施例1に示す。示されるように、腫瘍増殖は、エロツズマブとポマリドミドとデキサメタゾンの3剤の組合せを投与されたマウスにおいてのみ有意に抑制された。
【0092】
図6図6は、再発性および難治性多発性骨髄腫におけるエロツズマブ有りまたは無しでのポマリドミド/デキサメタゾンの組合せを検討する非盲検無作為第2相試験である、CA204125の概要を示す。
【0093】
図7図7は、エロツズマブおよびレナリドマイド/デキサメタゾン(HuLuc63)の第2相試験において処置された対象体からの骨髄の骨髄腫試料におけるSLAMF7標的の飽和を示す。
【発明を実施するための形態】
【0094】
本発明は、多発性骨髄腫細胞株OPM-2をSC移植(皮下移植)された雌性SCIDマウス(6〜8週齢)であって、エロツズマブIP(腹腔内投与)単独で処置されたか、ポマリドミド単独で処置されたか、デキサメタゾン単独で処置されたか、または互いと組み合せて処置された、マウスにおいて実施した前臨床試験からの結果に基づく。結果は、ポマリドミドとエロツズマブの組合せがいずれかの薬剤単独より良い有効性を示すことを初めて実証した。また、ポマリドミドとエロツズマブの組合せもまたいずれかの薬剤単独より良い有効性を示した。しかしながら、驚くべきことに、エロツズマブとポマリドミドとデキサメタゾンの3剤の組合せは、16匹の処置マウスのうち8匹において完全な腫瘍退縮を誘発し、16匹の処置マウスのうち5匹において部分的な腫瘍退縮を誘発した。重要なことに、完全な腫瘍退縮は、試験した他の処置について観察されず、3剤の組合せの有意性を実証した。すべての処置は、良好な忍容性を示し、体重の顕著な変化または臨床毒性の明白な徴候はなかった。これらの結果に基づいて、3剤の組合せを臨床評価のために選択した。
【0095】
本発明の教示は、ポマリドミドと組み合わせた抗CS1剤の投与と、向上した、いくつかの場合では相乗的な、有効性、安全性および忍容性に関する成果とを、初めて関連づけるものと確信される。
【0096】
また、本発明の教示は、ポマリドミドおよびデキサメタゾンと組み合わせた抗CS1剤の投与と、有効性、安全性および忍容性の点で相乗的な成果とを、初めて関連づけるものと確信される。
【0097】
語句「抗CS1サイクル」または「抗CS1剤のサイクル」または「治療上有効量の抗CS1抗体のサイクル」は、抗CS1剤の1以上の投与サイクル、または1つ以上の抗CS1剤を含む組合せの1以上の投与サイクルを包含することを意味する。
【0098】
本発明の目的のために、「抗CS1投与サイクルの1以上のサイクル」および/または「抗CS1剤の1以上の投与サイクル」および/または「抗CS1投与サイクルの1以上のサイクル」および/または「抗CS1剤の1以上の投与サイクル」は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9または少なくとも10サイクルのいずれかの薬剤での最初の処置と、それに続く、いずれかの薬剤での1以上の任意の維持サイクルを意味する。維持サイクルは、患者の疾患および/または重篤度に応じて、最初の治療について概説したものと同様のサイクル数に従ってもよく、またはサイクル数の点で有意に長くてももしくは短くてもよい。
【0099】
語句「同時投与レジメン」は、一般的に、同時または互いに短期間内いずれかに1つ以上の治療で患者を処置することを指す。例えば、同時投与レジメンは、本質的に同時にエロツズマブおよびポマリドミドで患者を処置することを伴い得るか、または本質的に同時にエロツズマブ、ポマリドミドおよびデキサメタゾンで患者を処置することを伴い得る。
【0100】
語句「連続投与レジメン」は、一般的に、第1の薬剤の1サイクルを投与し、その後別の薬剤のサイクルを投与する、特定の順序で少なくとも2剤で患者を処置することを指す。また、語句「連続投与レジメン」は、医薬分野で伝統的に指すように、語句「段階的投与レジメン」を包含する。ある文脈において、「連続投与レジメン」は、サイクルが投与される順序だけでなく、患者の処置全体も指す。例えば、「連続投与レジメン」は、抗CS1剤の1以上のサイクルと、それに続くポマリドミドまたはポマリドミドおよび1つ以上の抗CS1剤を含む組合せいずれかの1以上のサイクルを含む、患者の完全な投与レジメンを含み得る。
【0101】
本発明の目的のために、抗CS1剤のポマリドミドとの同時投与、または抗CS1剤とそれに続くポマリドミドの連続投与は、患者の前の治療が終わった後十分な期間後投与され得て、この期間は、患者の前の治療が終わった後、および/または医師が前の治療が失敗したと判断した後、少なくとも約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、またはそれ以上であり得る。
【0102】
語句「臨床的有用性」または「有用性」は、完全奏効;部分奏効;病勢安定;または本明細書に記載のほかのものを達成する患者の状態を指す。
【0103】
本発明の別の一態様において、抗CS1剤のポマリドミドとの同時投与、または抗CS1剤とそれに続くポマリドミドの連続投与は、1つ以上の免疫調節剤、共刺激経路調節剤とさらに組み合せて投与され得る。
【0104】
語句「免疫調節剤」は、一般的に、免疫系の機能を増加もしくは減少させる、および/または本明細書の他の箇所で定義される薬剤を指し、本明細書に開示される他のもののうち、共刺激経路調節剤、イピリムマブ;またはENCIA(登録商標);Belatacept;CD28アンタゴニスト、CD80アンタゴニスト、CD86アンタゴニスト、PD1アンタゴニスト、PDL1アンタゴニスト、CTLA-4アンタゴニスト、およびKIRアンタゴニストを含む。またIMiDは、一般的に、免疫調節剤を指し、を含むが、サリドマイド(THALOMID(登録商標))、レナリドマイド(REVLIMID(登録商標))、およびポマリドミド(POMALYST(登録商標))これらに限定されない。
【0105】
語句「抗CS1剤」は、一般的に、エロツズマブを含む、CS1に結合し、CS1活性を調節および/または抑制し得て、NK細胞を活性化し得て、抗CS1抗体であり得る、薬剤を指す。
【0106】
語句「抗PD1剤」は、一般的に、ニボルマブおよびペムブロリズマブを含む、PD1に結合し、PD1活性を調節および/または抑制し得て、そのリガンド(PDL1、PDL2など)の1つがPD1受容体に結合することを阻害し得て、抗PD1抗体であり得る、薬剤を指す。
【0107】
本発明の別の一実施態様において、抗CS1剤とIMiDとデキサメタゾンの組合せは、抗PD1剤をさらに含み得る。特定の実施態様において、本発明は、次の組合せを包含する::抗CS1剤+ポマリドミド+デキサメタゾン+抗PD1剤;抗CS1剤+ポマリドミド+低用量デキサメタゾン+抗PD1剤;抗CS1剤+ポマリドミド+高用量デキサメタゾン+抗PD1剤;抗CS1剤+ポマリドミド+デキサメタゾン錠+抗PD1剤;ここで、該抗PD1剤は、ニボルマブまたはペムブロリズマブを含む、本明細書に開示の抗PD1剤である。
【0108】
語句「共刺激経路調節剤」は、一般的に、共刺激経路を調節することにより免疫系の機能を増加または低下させることにより機能する薬剤を指す。本発明の一態様において、共刺激経路調節剤は、免疫刺激剤またはT細胞活性化剤アクティベーターであり、そして、CD28抗原がその同族リガンドに結合する能力を妨害し、CTLA-4がその同族リガンドに結合する能力を抑制し、共刺激経路を介してT細胞応答を増強し、B7がCD28および/またはCTLA-4に結合する能力を妨害し、B7が共刺激経路を活性化する能力を妨害し、CD80がCD28および/またはCTLA-4に結合する能力を妨害し、CD80が共刺激経路を活性化する能力を妨害し、CD86がCD28および/またはCTLA-4に結合する能力を妨害し、CD86が共刺激経路を活性化する能力を妨害し、共刺激経路の活性化を一般的に妨害することができる、任意の薬剤も包含し得る。これは、必然的に、共刺激経路の他のメンバーの中でも、CD28、CD80、CD86、CTLA-4の小分子阻害剤;共刺激経路の他のメンバーの中でも、CD28、CD80、CD86、CTLA-4に対する抗体;共刺激経路の他のメンバーの中でも、CD28、CD80、CD86、CTLA-4を対象とするアンチセンス分子;共刺激経路の他のメンバーの中でも、CD28、CD80、CD86、CTLA-4を対象とするアドネクチン、共刺激経路の他のメンバーの中でも、CD28、CD80、CD86、CTLA-4のRNAi阻害剤(一本鎖および二本鎖の両方)、とりわけ抗CTLA-4アンタゴニストを含む。
【0109】
本発明の方法で用いられる抗CTLA-4アンタゴニスト剤は、抗CTLA-4抗体、ヒト抗CTLA-4抗体、マウス抗CTLA-4抗体、哺乳類抗CTLA-4抗体、ヒト化抗CTLA-4抗体、モノクローナル抗CTLA-4抗体、ポリクローナル抗CTLA-4抗体、キメラ抗CTLA-4抗体、MDX-010(イピリムマブ)、トレメリムマブ、抗CD28抗体、抗CTLA-4アドネクチン、抗CTLA-4ドメイン抗体、一本鎖抗CTLA-4フラグメント、重鎖抗CTLA-4フラグメント、軽鎖抗CTLA-4フラグメント、共刺激経路の調節剤、国際公開第2001/014424号に開示される抗体、国際公開第2004/035607号に開示される抗体、米国特許出願公開第2005/0201994号に開示される抗体、および欧州特許第1212422号B1に開示される抗体を含むが、これらに限定されない。更なるCTLA-4抗体は、米国特許第5,811,097号、第5,855,887号、第6,051,227号、および第6,984,720号;国際公開第01/14424号および第00/3750号4;および米国特許出願公開第2002/0039581号および第2002/086014号に記載されている。本発明の方法で用いられ得る他の抗CTLA-4抗体は、例えば、国際公開第98/42752号;米国特許第6,682,736号および第6,207,156号;Hurwitz et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95(17):10067-10071 (1998);Camacho et al., J. Clin. Oncology, 22(145):Abstract No. 2505 (2004) (antibody CP-675206);Mokyr et al., Cancer Res., 58:5301-5304 (1998)、および米国特許第5,977,318号、第6,682,736号、第7,109,003号、および第7,132,281号に開示されるものを含む。これらの参考文献は、CTLA-4抗体の説明のために、出展明示により特に本明細書の一部とする。好ましい臨床CTLA-4抗体は、国際公開第01/14424号に開示される、ヒトモノクローナル抗体10Dl(MDX-010およびイピリムマブとも称され、Medarex, Inc., Bloomsbury, NJから入手可能である)である。
【0110】
当該技術分野で公知のように、エロツズマブは、抗CS1抗体を指し、そして骨髄腫細胞を発現するCS1のナチュラルキラー細胞介在性抗体依存性細胞傷害を増大させるヒト化抗体抗CS1モノクローナル抗体である。エロツズマブはまた、BMS-901608またはそのCAS登録番号で915296-00-3と称され得て、抗体HuLuc63として国際公開第2004/100898号(出典明示により本明細書の一部とする)に開示される。具体的には、エロツズマブは、CS-1に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、配列番号1を含んでなる軽鎖可変領域および配列番号2を含んでなる重鎖領域を有する軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含むもの、またはその結合フラグメントおよび変異体を表す。エロツズマブはまた、配列番号2のアミノ酸31-35を有する重鎖CDR1:配列番号2のアミノ酸50-66を有する重鎖CDR2;配列番号2のアミノ酸99-108を有する重鎖CDR3;加えて、配列番号1のアミノ酸24-34を有する軽鎖CDR1;配列番号1のアミノ酸50-56を有する軽鎖CDR2;および、配列番号1のアミノ酸89-97を有する軽鎖CDR3を含む抗体と説明され得る。エロツズマブの医薬組成物は、エロツズマブと1つ以上の希釈剤、ビヒクルおよび/または添加剤を含む、すべての医薬的に許容される組成物を含む。エロツズマブは、約1 mg/kg、10 mg/kg、約20 mg/kg、または約10〜約20 mg/kgの用量でI.V.により投与され得る。
【0111】
エロツズマブの軽鎖可変領域:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQDVGIAVAWYQQKPGKVPKLLIYWASTRHTGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCQQYSSYPYTFGQGTKVEIK(配列番号1)
【0112】
エロツズマブの重鎖可変領域:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFDFSRYWMSWVRQAPGKGLEWIGEINPDSSTINYAPSLKDKFIISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARPDGNYWYFDVWGQGTLVTVSS(配列番号2)
【0113】
当該技術分野で公知のように、ポマリドミドは、(RS)-4-アミノ-2-(2,6-ジオキソ-ピペリジン-3-イル)-イソインドール-1,3-ジオンと称され、次の構造(I)を有する化合物で記載される:
【化1】
(I)
【0114】
化合物(I)は、CAS登録番号19171-19-8を有し、C13H11N3O4の組成式を有し;グラム分子量は273.24であり、R(+)およびS(-)エナンチオマーのラセミ混合物として存在するキラル炭素原子を有し、1997年6月3日公開の米国特許第5,635,517号(すべての目的のためにその全体として出典明示より本明細書の一部とする)に記載されている。用語「(RS)-4-アミノ-2-(2,6-ジオキソ-ピペリジン-3-イル)-イソインドール-1,3-ジオン」の使用は、(他に断らない限り)化合物(I)またはその塩の溶媒和物(水和物を含む)および多形(例えば、2012年4月17日に付与された米国特許第8,158,653号(すべての目的のためにその全体として出典明示より本明細書の一部とする)に記載される、(I)の酸付加塩)を包含する。(RS)-4-アミノ-2-(2,6-ジオキソ-ピペリジン-3-イル)-イソインドール-1,3-ジオンの医薬組成物は、(RS)-4-アミノ-2-(2,6-ジオキソ-ピペリジン-3-イル)-イソインドール-1,3-ジオンと1つ以上の希釈剤、ビヒクルおよび/または添加剤を含む、すべての医薬的に許容される組成物、例えば米国特許第6,316,471号、第6,476,052号、第8,158,653号、第8,198,26号、第8,673,939号、第8,735,428号および第8,828,427号(すべての目的のためにその全体として出典明示より本明細書の一部とする)に記載の組成物を含む。(RS)-4-アミノ-2-(2,6-ジオキソ-ピペリジン-3-イル)-イソインドール-1,3-ジオンを含む医薬組成物の1つの例は、POMALYST(登録商標)(Celgene Corporation)である。POMALYST(登録商標)は、活性成分としてポマリドミドとも称される(RS)-4-アミノ-2-(2,6-ジオキソ-ピペリジン-3-イル)-イソインドール-1,3-ジオンと、非活性成分:マンニトール、α化デンプンおよびステアリルフマル酸ナトリウムとを含む。POMALYST(登録商標)は、1 mg、2 mg、3 mgおよび4 mg経口投与カプセル剤で利用可能である。1 mgカプセル殻は、ゼラチン、二酸化チタン、FD&C青色2号、黄色酸化鉄、白色インクおよび黒色インクを含有する。2 mgカプセル殻は、ゼラチン、二酸化チタン、FD&C青色2号、黄色酸化鉄、FD&C red 3および白色インクを含有する。3 mgカプセル殻は、ゼラチン、二酸化チタン、FD&C青色2号、黄色酸化鉄および白色インクを含有する。4 mgカプセル殻は、ゼラチン、二酸化チタン、FD&C青色1号、FD&C青色2号および白色インクを含有する。
【0115】
本明細書の他の箇所でも記載されるように、抗CS1剤および/またはポマリドミドの投与は、単独で、またはペプチド抗原(例えば、gp100)と組み合せて投与され得る。ペプチド抗原の非限定的例は、IMDQVPFSV(配列番号3)およびYLEPGPVTV(配列番号4)からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらからなる、gp100ペプチドであろう。このようなペプチドは、経口で投与され得るか、または好ましくは不完全フロイントアジュバント(IFA)に乳化された1 mgにて一の四肢においてs.c.注射され、IFAに乳化された同一または異なるペプチド1 mgが別の四肢において注射され得る。
【0116】
本発明の組合せ治療が処置される患者において有用であり得る好ましい障害としては:骨髄腫、多発性骨髄腫、再発多発性骨髄腫、難治性多発性骨髄腫、くすぶり型多発性骨髄腫、高リスク多発性骨髄腫、進行性の多発性骨髄腫、レナリドマイドに耐性である多発性骨髄腫、レナリドマイドでの処置後進行した多発性骨髄腫、サリドマイドに耐性である多発性骨髄腫およびサリドマイドでの処置後進行した多発性骨髄腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
本発明の組合せ治療が処置される患者において有用であり得る更なる障害としては:多発性骨髄腫、黒色腫、原発性黒色腫、切除不能なステージIIIまたはIVの悪性黒色腫、肺癌、非小細胞性肺癌、小細胞肺癌、前立腺癌;固形腫瘍、膵臓癌、前立腺新生物、乳癌、神経芽腫、腎臓癌、卵巣癌、肉腫、骨癌、精巣癌、造血癌、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫および骨髄異形成症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
本発明の組合せ治療が処置において有用であり得る更なる障害としては:神経膠腫、消化管癌、腎臓癌、卵巣癌、肝臓癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、甲状腺癌、神経芽腫、膵臓癌、多形神経膠芽腫、子宮頚部癌、胃癌、膀胱癌、肝細胞癌、乳癌、結腸癌腫、および頭頚部癌、胃癌、胚細胞腫瘍、骨癌、骨腫瘍、成人骨悪性線維性組織球腫;小児骨悪性線維性組織球腫、肉腫、小児肉腫、副鼻腔ナチュラルキラー、新生物、形質細胞新生物;骨髄異形成症候群;神経芽腫;精巣胚細胞腫瘍、眼内黒色腫、骨髄異形成症候群;骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、滑膜肉腫、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病(Ph+ ALL)、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、肥満細胞症および肥満細胞症に関連するいずれかの症状、およびそれらのいずれかの転移が挙げられるが、これらに限定されない。また疾患は、色素性蕁麻疹、肥満細胞症、例えばびまん性皮膚肥満細胞症、ヒトの孤立性肥満細胞症ならびにイヌの肥満細胞症およびいくつかの稀なサブタイプ、例えば水疱性、紅皮症性および末梢血管拡張性の肥満細胞症、血液系障害に関連する肥満細胞症、例えば骨髄増殖性または骨髄異形成症候群、または急性白血病、肥満細胞症に関連する骨髄増殖性障害、マスト細胞白血病を、他の癌に加えて含む。他の癌はまた、以下を含むがこれらに限定されない障害の範囲内に含まれる:膀胱、尿路上皮癌腫、乳房、結腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、膵臓、胃、子宮頸、甲状腺、精巣、特に精巣精上皮腫および皮膚のものを含む、癌腫;扁平上皮細胞癌腫を含み;消化管間質腫瘍(「GIST」);白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫およびバーキットリンパ腫を含む、リンパ系造血性腫瘍;急性および慢性骨髄性白血病および前骨髄球性白血病を含む、骨髄系造血性腫瘍;線維肉腫および横紋筋肉腫を含む、間葉系起源の腫瘍;他の腫瘍、を含む黒色腫、精上皮腫、奇形癌腫、神経芽腫および神経膠腫;星状細胞腫、神経芽腫、神経膠腫およびシュワン腫を含む、中枢および末梢神経系の腫瘍;線維肉腫、横紋筋肉腫および骨肉腫を含む、間葉系起源の腫瘍;および黒色腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、精上皮腫、甲状腺濾胞性癌、奇形癌腫、化学療法抵抗性非セミノーマ胚細胞腫瘍およびカポジ肉腫を含む、他の腫瘍、およびそれらのいずれかの転移。
【0119】
本明細書で用いる用語「処置する」、「処置」および「治療」は、根治治療、予防的治療、予防治療および疾患緩和治療を指す。
【0120】
本明細書で用いる語句「より積極的な投与レジメン」または「投与頻度増加レジメン」は、投与頻度の増加(約1週間に1回、約週2回(bi-weekly)、約1日に1回、約1日に2回など)、用量の増加または漸増(抗CS1抗体の場合:約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約35、約40 mg/kg)により、または該抗CS1剤および/またはポマリドミドのバイオアベイラビリティの増加をもたらし得る投与経路の変更により、投与レジメンの抗CS1部分の基礎的および/または処方される投与レジメンを必然的に超える投与レジメンを指す。
【0121】
本発明は、特定の方法、試薬、化合物、組成物または生物系に限定されず、これらは当然変化し得ることを理解すべきである。また、本明細書で用いられる用語は、特定の態様を説明するためだけのものであり、限定することを意図しないことを理解すべきである。
【0122】
本明細書および付随する特許請求の範囲において用いる単数形「a」、「an」および「the」は、他に明確に断らない限り、複数形の言及も含む。したがって、例えば「ペプチド」の言及は、2以上のペプチドの組合せなどを含む。
【0123】
本明細書で用いる「約」は、量や期間などの測定可能な値を指す場合、他に明記されない限り、特定された値から±20%または±10%、好ましくは±5%または±1%、またはわずか±0.1%の変動を、該変動が開示の方法を実施するのに適当であるので、包含すること意味する。
【0124】
本明細書で用いる用語CS1、SLAMF7、SLAM Family Member 7、CD2 Subset、CRACC、CD2-Like Receptor-Activating Cytotoxic Cells、19A24 Protein、19A、CD2-Like Receptor-Activating Cytotoxic Cells、CD319、Novel LY9 (Lymphocyte Antigen 9) Like Protein、Membrane Protein FOAP-12、CD319 Antigen、Protein 19A、APEX-1、FOAP12および Novel Ly93は、相互交換可能に用いられ、変異体、アイソフォーム、ヒトCS1の種ホモログ、および少なくとも1つの共通エピトープを有する類似体を含む。
【0125】
CS1は、多発性骨髄腫細胞に高度に発現する細胞表面糖タンパク質である。CS1は、2つの細胞外免疫グロブリン(Ig)様ドメイン、および免疫受容体チロシンベースのスイッチモチーフを有する細胞内シグナル伝達ドメインにより特徴付けられる(Tai, Y.-T. et al., Blood, 113(18):4309-4318 (Apr. 30, 2009);Bhat, R. et al., J. Leukoc. Biol., 79:417-424 (2006);Fischer, A. et al., Curr. Opin. Immunol., 19:348-353 (2007);Boles, K.S. et al., Immunogenetics, 52:302-307 (2001);Lee, J.K. et al., J. Immunol., 179:4672-4678 (2007);およびVeillette, A., Immunol. Rev., 214:22-34 (2006))。CS1は、正常および悪性の形質細胞において高レベルで発現されるが、正常な器官、固形腫瘍またはCD34+幹細胞においては発現されない。NK細胞およびCD8+T細胞のサブセットを含む、休止リンパ球の小サブセットのみが、検出可能であるが低いレベルのCS1を発現する(His, E.D. et al., Clin. Cancer Res., 14:2775-2784 (2008)およびMurphy, J.J. et al., Biochem. J., 361:431-436 (2002))。
【0126】
CS1は、Bolesらにより単離され、複製された。(Immunogenetics, 52(3-4):302-307 (2001))。完全なCS1配列は、GENBANK(登録商標)アクセション番号NM_021181.3の下見つけることができ、以下のとおりである:
MAGSPTCLTLIYILWQLTGSAASGPVKELVGSVGGAVTFPLKSKVKQVDSIVWTFNTTPLVTIQPEGGTIIVTQNRNRERVDFPDGGYSLKLSKLKKNDSGIYYVGIYSSSLQQPSTQEYVLHVYEHLSKPKVTMGLQSNKNGTCVTNLTCCMEHGEEDVIYTWKALGQAANESHNGSILPISWRWGESDMTFICVARNPVSRNFSSPILARKLCEGAADDPDSSMVLLCLLLVPLLLSLFVLGLFLWFLKRERQEEYIEEKKRVDICRETPNICPHSGENTEYDTIPHTNRTILKEDPANTVYSTVEIPKKMENPHSLLTMPDTPRLFAYENV(配列番号5)。
【0127】
任意の所与の患者のための特定の治療投与レジメンは、患者が診断された特定の疾患に基づいて、または患者の疾患のステージに関連して確立され得る。例えば、患者が攻撃性の低い癌または初期ステージにある癌と診断される場合、患者は、抗CS1剤とそれに続くポマリドミドの同時投与および/または抗CS1剤とそれに続くポマリドミドの連続投与への臨床的有用性および/または免疫関連応答を達成する可能性の増加を有し得る。あるいは、患者が攻撃性の高い癌または後期ステージにある癌と診断される場合、患者は、該同時および/または連続投与への臨床的有用性および/または免疫関連応答を達成する可能性の低下を有し得て、それ故に、より高用量の該抗CS1剤および/または該ポマリドミド治療が投与されるべきである、またはより積極的な投与レジメンまたは薬剤もしくは組合せ治療のいずれかが是認されてもよいことを提案し得る。一態様において、エロツズマブなどの抗CS1抗体の増加した投与レベルは、特定の適応症または個体のための典型的な抗CSI剤の用量より約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%多い(例えば、約0.3 mg/kg、約1 mg/kg、約3 mg/kg、約10 mg/kg、約15 mg/kg、約20 mg/kg、約25 mg/kg、約30 mg/kg)か、または特定の適応症または個体のための典型的な用量より約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍多い抗CS1剤である。別の一態様において、ポマリドミドの増加した投与レベルは、特定の適応症または個体のための典型的なポマリドミドの用量より約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%多い(例えば、約1 mg、約2 mg、約3 mg、約4 mg、約5 mg、約6 mg)であるか、または特定の適応症または個体のための典型的な用量より約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍多いポマリドミドである。
【0128】
別の一態様において、相乗的組合せは、典型的な処方される用量と比較してより低い用量のポマリドミドおよび/または抗CS1抗体を用いることを可能にし得る。例えば、エロツズマブなど抗CS1抗体の減少した投与レベルは、特定の適応症または個体のための典型的な抗CSI剤の用量より約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%少ない(例えば、約0.3 mg/kg、約1 mg/kg、約3 mg/kgまたは約10 mg/kg)か、または特定の適応症または個体のための典型的な用量より約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍少ない抗CS1剤である。別の一態様において、ポマリドミドの減少した投与レベルは、 特定の適応症または個体のための典型的なポマリドミドの用量より約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%少ない(例えば、約0.1 mg/kg、0.5 mg/kg、1 mg、約2 mgまたは約3 mg)か、または特定の適応症または個体のための典型的な用量より約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍少ないポマリドミドである。
【0129】
あるいは、患者が、適宜デキサメタゾンを含む、抗CS1抗体(例えば、エロツズマブ)とポマリドミドの組合せへの好ましい奏効を達成できない場合には、本発明は、プロテオソーム阻害剤、例えばボルテゾミブ、または別のプロテオソーム阻害剤、例えばカルフィルゾミブ、イキサゾミブ、またはオプロゾミブの追加を包含する。ボルテゾミブの場合、推奨用量は、3〜5秒ボーラスIVとして投与される1.3 mg/m2である。
【0130】
治療上有効量の抗CS1剤および/またはポマリドミドは、小分子調節剤の場合、例えば経口投与され得るか、または生物学的薬剤の場合、好ましくは患者に注射され得る。用いられる実際の用量は、患者の必要とするものおよび処置される病態の重篤度に応じて変化し得る。特定の状況に適当な開始投与量の決定は、当業者の能力の範囲内であるが、処置レジメンの割当ては、適応症および疾患のステージを考慮することで利益を得る。それにもかかわらず、任意の患者のための具体的な用量レベルおよび投与頻度は、変化し得て、用いられる具体的な化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用の長さ、患者の種、年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食事、投与様式および時間、排泄速度、薬物の組合せ、具体的な病態の重篤度を含む要因に依存することを理解されるべきである。処置に好ましい患者は、動物、最も好ましくは哺乳類の種、例えばヒトおよび飼育動物、例えば、イヌ、ネコなどの、癌患者を含む。
【0131】
本明細書で用いる用語「誘導」および「誘導期」は、相互交換可能に用いられ、臨床試験における処置の第1の期間を指す。例えば誘導の間に、対象体は、抗CS1抗体と組み合せたポマリドミドの静脈内投与を受け得る。
【0132】
本明細書で用いる用語「維持」および「維持期」は、相互交換可能に用いられ、臨床試験における処置の第2の期間を指す。例えば、維持の間に、対象体は、抗CS1抗体と組み合せてアゴニストのCD137を受け得る。ある特定の実施態様において、処置は、臨床的有用性が観察される限り、または対処不能な毒性もしくは疾患の進行が生じるまで継続される。
【0133】
本明細書で用いる用語「固定用量」、「均一用量」および「均一固定用量」は、相互交換可能に用いられ、患者の体重または体表面積(BSA)にかかわらず患者に投与される用量を指す。したがって、固定または均一用量は、mg/kg用量として提供されないが、むしろ薬剤の絶対量(例えば、ポマリドミドおよび/または抗CS1抗体)として提供される。
【0134】
本明細書で用いる「体表面積(BSA)に基づく用量」は、個々の患者の体表面積(BSA)に調節された用量(例えば、ポマリドミドおよび/または抗CS1抗体の)を指す。BSAに基づく用量は、mg/kg体重として提供され得る。直接測定することなくBSAに到達するために様々な計算が公開されており、最も広く用いられているのはDu Boisの式(Du Bois, D. et al., Arch. Intern. Med., 17(6):863-871 (Jun. 1916);およびVerbraecken, J. et al., Metabolism - Clinical and Experimental, 55(4):515-514 (Apr. 2006)参照)である。他の例示的なBSA式としては、Mostellerの式(Mosteller, R.D., N. Engl. J. Med., 317:1098 (1987))、Haycockの式(Haycock, G.B. et al., J. Pediatr., 93:62-66 (1978))、GehanとGeorgeの式(Gehan, E.A. et al., Cancer Chemother. Rep., 54:225-235 (1970))、Boydの式(Current, J.D., The Internet Journal of Anesthesiology, 2(2) (1998); and Boyd, E., University of Minnesota, The Institute of Child Welfare, Monograph Series, No. 10, Oxford University Press, London (1935))、Fujimotoの式(Fujimoto, S. et al., Nippon Eiseigaku Zasshi, 5:443-450 (1968))、Takahiraの式(Fujimoto, S. et al., Nippon Eiseigaku Zasshi, 5:443-450 (1968))、およびSchlichの式(Schlich, E. et al., Ernaehrungs Umschau, 57:178-183 (2010))が挙げられる。
【0135】
本明細書で用いる用語「組合せ(combination)」および「組合せ(combinations)」は、抗CS1抗体のポマリドミドとの組合せ、抗CS1抗体のポマリドミドとデキサメタゾンとの組合せ、抗CS1剤とポマリドミドと適宜デキサメタゾンの同時投与;または抗CS1剤のポマリドミドと適宜デキサメタゾンとの連続投与;またはより複雑な組合せを指し、これは、例えば、抗CS1剤および/またはポマリドミドと、別の薬剤、例えば免疫治療剤または共刺激経路調節剤、好ましくはアゴニスト(すなわち、免疫刺激剤)、PROVENGE(登録商標)、チューブリン安定化剤(例えば、パクリタキセル、エポチロン、タキサンなど)、ベバシズマブ、IXEMPRA(登録商標)、ダカルバジン、PARAPLATIN(登録商標)、ドセタキセル、1つ以上のペプチドワクチン、MDX-1379黒色腫ペプチドワクチン、1つ以上のgp100ペプチドワクチン、fowlpox-PSA-TRICOM(登録商標)ワクチン、vaccinia-PSA-TRICOM(登録商標)ワクチン、MART-1抗原、サルグラモスチム、チシリムマブ、複合アンドロゲン除去療法との組合せ;共刺激経路調節剤との組合せ;チューブリン安定化剤(例えば、パクリタキセル、エポチロン、タキサンなど)との組合せ;IXEMPRA(登録商標)との組合せ、ダカルバジンとの組合せ、PARAPLATIN(登録商標)との組合せ、イピリムマブのドセタキセルとの組合せ、1つ以上のペプチドワクチンとの組合せ、MDX-1379黒色腫ペプチドワクチンとの組合せ、1つ以上のgp100ペプチドワクチンとの組合せ、fowlpox-PSA-TRICOM(登録商標)ワクチンとの組合せ、vaccinia-PSA-TRICOM(登録商標)ワクチンとの組合せ、MART-1抗原との組合せ、サルグラモスチムとの組合せ、チシリムマブとの組合せ、および/または複合アンドロゲン除去療法との組合せを含み得る。本発明の組合せはまた、処置される病態に対する特定の有用性のために選択される他の周知の治療と併せて用いられ得る。該組合せは、より攻撃的な徴候を示す患者に治療選択肢を提供し得る。
【0136】
本発明の別の一実施態様において、ポマリドミドおよび/または抗CS1剤と、少なくとも1つの他の薬剤との組合せは、アガトリモド、ベラタセプト、ブリナツモマブ、CD40リガンド、抗B7-1抗体、抗B7-2抗体、抗B7-H4抗体、AG4263、エリトラン、抗CD137モノクローナル抗体、抗OX40抗体、ISF-154およびSGN-70を含み得る。
【0137】
本発明の別の一実施態様において、ポマリドミドおよび/または抗CS1剤、と少なくとも1つの他の薬剤との組合せは、化学療法剤を含み得る。
【0138】
種々の化学療法剤が当該技術分野で公知であり、これらのいくつかは本明細書に記載されている。一タイプの化学療法剤は、金属配位錯体と称される。このタイプの化学療法剤は、細胞の核内でDNA鎖間架橋を主に形成し、これにより細胞の複製を防止すると考えられている。結果として、腫瘍増殖が最初に抑圧され、その後逆転する。別のタイプの化学療法剤は、アルキル化剤と称される。これらの化合物は、外来組成物または分子を分裂している癌細胞のDNAに挿入することにより機能する。これらの外来分子の結果として、癌細胞の正常な機能が破壊され、増殖が防止される。別のタイプの化学療法剤は、抗新生物剤である。このタイプの薬剤は、癌細胞の増殖および拡散を防止し、殺し、遮断する。さらに他のタイプの抗癌剤としては、非ステロイド性アロマターゼ阻害剤、二官能性アルキル化剤などが挙げられる。
【0139】
本発明の別の一実施態様において、化学療法剤は、微小管安定化剤、例えばイクサベピロン(IXEMPRA(登録商標))およびパクリタキセル(TAXOL(登録商標))を含み得て、これらは、多くのタイプの癌の処置のために一般的に用いられ、CTLA-4遮断薬と組み合せるための魅力的な薬剤のクラスである。
【0140】
語句「マイクロチューブリン(microtubulin)調節剤」は、マイクロチューブリンを安定させるか、またはマイクロチューブリンの合成および/または重合を不安定化する薬剤を指すことを意味する。
【0141】
一のマイクロチューブリン調節剤は、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)として販売されている)であり、これは、有糸分裂の異常および停止を引き起こし、細胞複製の阻害をもたらすカルシウム安定凝集構造への微小管の会合を促進することが知られている。
【0142】
エポチロンは、TAXOL(登録商標)の生物学的効果を模倣し(Bollag et al., Cancer Res., 55:2325-2333 (1995))、競合研究では、微小管へ結合するTAXOL(登録商標)の競合的阻害剤として作用する。しかしながら、エポチロンは、多剤耐性細胞株に対するTAXOL(登録商標)と比較してエポチロンが極めて小さい効力の低下を示す点で、TAXOL(登録商標)に対する有意な利点を有する(Bollag et al. (1995))。さらにエポチロンは、TAXOL(登録商標)よりかなり低い効率でP糖タンパク質による細胞から排出される(Gerth et al. (1996))。エポチロンの更なる例は、2009年1月4日に出願された共願の国際出願第PCT/US2009/030291号において提供され、すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする。
【0143】
イクサベピロンは、チューブリンに結合し、チューブリン重合および微小管安定化を促進し、これにより細胞周期のG2/M期において細胞を停止させ、腫瘍細胞アポトーシスを誘導する、パツピロン(patupilone)の半合成ラクタム類似体である。
【0144】
免疫療法と組み合せて有用である微小管調節剤の更なる例としては、アロコルヒチン(allocolchicine)(NSC 406042)、ハリコンドリンB(NSC 609395)、コルヒチン(NSC 757)、コルヒチン誘導体(例えば、NSC 33410)、ドラスタチン10(NSC 376128)、マイタンシン(NSC 153858)、リゾキシン(NSC 332598)、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、NSC 125973)、TAXOL(登録商標)誘導体(例えば、誘導体(例えば、NSC 608832)、チオコルヒチン NSC 361792)、トリチルシステイン(NSC 83265)、硫酸ビンブラスチン(NSC 49842)、硫酸ビンクリスチン(NSC 67574)、天然および合成エポチロン、これらにはエポチロンA、エポチロンB、エポチロンC、エポチロンD、デスオキシエポチロンA、デスオキシエポチロンB、[1S-[1R*,3R*(E),7R*,10S*,11R*,12R*,16S*]]-7-11-ジヒドロキシ-8,8,10,12,16-ペンタメチル-3-[1-メチル-2-(2-メチル-4-チアゾリル)エテニル]-4-アザ-17オキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン-5,9-ジオン(2001年7月17日発行の米国特許第6,262,094号に開示)、[1S-[1R*,3R*(E),7R*,10S*,11R*,12R*,16S*]]-3-[2-[2-(アミノメチル)-4-チアゾリル]-1-メチルエテニル]-7,11-ジヒドロキシ-8,8,10,12,16-ペンタメチル-4-17-ジオキサビシクロ[14.1.0]-ヘプタデカン-5,9-ジオン(2000年2月17日出願の米国特許出願第09/506,481号、および当該明細書の実施例7および8に開示)、およびそれらの誘導体が含まれるが、これらに限定されない;およびほかの微小管破壊剤が挙げられるが、これらに限定されない。更なる抗新生物剤としては、ディスコデルモライド(Service, Science, 274:2009 (1996)参照)エストラムスチン、ノコダゾール、MAP4などが挙げられる。該薬剤の実施例はまた、科学文献および特許文献に記載されており、例えば、Bulinski, J. Cell Sci., 110:3055-3064 (1997); Panda, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94:10560-10564 (1997); Muhlradt, Cancer Res., 57:3344-3346 (1997); Nicolaou, Nature, 387:268-272 (1997); Vasquez, Mol. Biol. Cell., 8:973-985 (1997); and Panda, J. Biol. Chem., 271:29807-29812 (1996)参照。
【0145】
本発明の方法で用いるのに好ましい治療剤の組合せおよび例示的な投与量を以下に記載する。
【表1】
【0146】
この表は、抗CS1、ポマリドミドおよびデキサメタゾンの例示的な投与量範囲を提供するが、本発明の医薬組成物を製剤化するときには、臨床医は、好ましい投与量を利用し得る。例えば、エロツズマブは、好ましくは、3週間毎に約10 mg/kgにて投与され得る。ポマリドミドは、好ましくは、3週間毎に約1 mg、2 mg、3 mgまたは4 mgにて投与され得る。デキサメタゾンは、経口で28 mgまたは40 mg、またはIVにより8 mgを投与され得る。
【0147】

抗CS1抗体は、好ましくは、約0.1〜20 mg/kgまたは最大耐量にて投与され得る。本発明のある実施態様において、抗CS1抗体の投与量は、約3週間毎に投与される。あるいは、抗CS1抗体は、約1 mg/kgの抗CS1抗体の第1の投与量、約3 mg/kgの抗CS1抗体の第2の投与量および約10 mg/kgの抗CS1抗体の第3の投与量を含む、漸増投与レジメンにより投与され得る。
【0148】
別の一特定の実施態様において、漸増投与レジメンは、約3 mg/kgの抗CS1抗体の第1の投与量および約10 mg/kgの抗CS1抗体の第2の投与量を投与することを含む。
【0149】
ポマリドミドは、好ましくは、約1〜4 mgまたは最大耐量にて投与され得る。本発明のある実施態様において、ポマリドミドの投与量は、毎日投与される。あるいは、ポマリドミドは、約1 mgのポマリドミドの第1の投与量、約2 mgのポマリドミドの第2の投与量、約3 mgのポマリドミドの第3の投与量および約4 mgの第4またはその後のポマリドミドの投与量を含む、漸増投与レジメンにより投与され得る。
【0150】
別の一特定の実施態様において、漸増投与レジメンは、約1 mgのポマリドミドの第1の投与量および約3 mgのポマリドミドの第2の投与量を投与することを含む。
【0151】
別の一特定の実施態様において、漸増投与レジメンは、約3 mgのポマリドミドの第1の投与量および約4 mgのポマリドミドの第2の投与量を投与することを含む。
【0152】
さらに本発明は、約6週間毎に増加する抗CS1抗体の投与量を投与することを含む漸増投与レジメンを提供する。
【0153】
一実施態様において、抗CS1抗体は、誘導期の(1)1週1日目、(2)2週1日目、(3)3週1日目、(4)4週1日目、(5)5週1日目、(6)6週1日目、(7)7週1日目および(8)8週1日目に投与される。別の一実施態様において、ポマリドミドは、誘導期の(1)1週1日目、(2)4週1日目および(3)7週1日目に投与される。別の一実施態様において、抗CS1抗体は、維持期の(1)10週1日目および(2)15週1日目に投与される。別の一実施態様において、ポマリドミドは、維持期の(1)10週1日目に投与される。別の一実施態様において、維持期は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20またはそれ以上のサイクルで繰り返される。
【0154】
使用される実際の投与量は、患者の必要とするものおよび処置される病態の重篤度に応じて変化し得る。一般的に、処置は化合物の最適用量より低いより小さい投与量で開始される。その後、投与量はその状況での最適な効果に達するまで少量ずつ増加される。便宜上、総1日投与量は、所望によりその日の間に数回に分割され、投与され得る。間欠治療(例えば、3週間のうち1週間または4週間のうち3週間)がまた用いられ得る。
【0155】
本明細書における本発明の多くの態様を実施する際、生物学的試料は、好ましくは血液、血球(赤血球または白血球)から選択され得る。試料からの細胞を用いることができ、または細胞試料の溶解物を用いることができる。ある特定の実施態様において、生物学的試料は血球を含む。
【0156】
本発明における使用のための医薬組成物は、所望の目的を達成するのに有効な量で共刺激経路調節剤の1つまたは組合せを含む、組成物を含む。治療上有効な用量は、症状または病態を改善する活性成分の量を指す。ヒトにおける治療有効性および毒性は、細胞培養および実験動物における標準的な薬学手段、例えば、ED50(集団の50%において治療上有効である用量)およびLD50(集団の50%に対して致死的である用量)により予測され得る。
【0157】
抗CS1剤の「治療上有効量」は、患者の適応症および疾患の重篤度に応じて、典型的な用量より1〜14倍またはそれ以上に高い任意の範囲であり得る。従って、本明細書に記載の任意の障害に治療上適切な抗CS1剤の用量は、例えば、処方または標準用量より約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、225、250または300倍高くてもよい。あるいは、抗CS1剤の治療上適切な用量は、例えば、処方用量より約1.0倍、約0.9倍、0.8倍、0.7倍、0.6倍、0.5倍、0.4倍、0.3倍、0.2倍、0.1倍、0.09倍、0.08倍、0.07倍、0.06倍、0.05倍、0.04倍、0.03倍、0.02倍または0.01倍高くてもよい。
【0158】
抗CS1剤の「治療上有効量」は、患者の適応症および疾患の重篤度に応じて、典型的な用量より1〜14倍またはそれ以上に低い任意の範囲であり得る。従って、本明細書に記載の任意の障害に治療上適切な抗CS1剤の用量は、例えば、処方または標準用量約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、225、250または300倍より低くてもよい。あるいは、抗CS1剤の治療上適切な用量は、例えば、処方用量より約1.0倍、約0.9倍、0.8倍、0.7倍、0.6倍、0.5倍、0.4倍、0.3倍、0.2倍、0.1倍、0.09倍、0.08倍、0.07倍、0.06倍、0.05倍、0.04倍、0.03倍、0.02倍または0.01倍低くてもよい。
【0159】
ポマリドミドの「治療上有効量」は、患者の適応症および疾患の重篤度に応じて、典型的な用量より1〜14倍またはそれ以上に高い任意の範囲であり得る。従って、本明細書に記載の任意の障害に治療上適切なポマリドミドの用量は、例えば、処方または標準用量より約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、225、250または300倍高くてもよい。あるいは、ポマリドミドの治療上適切な用量は、例えば、処方用量より約1.0倍、約0.9倍、0.8倍、0.7倍、0.6倍、0.5倍、0.4倍、0.3倍、0.2倍、0.1倍、0.09倍、0.08倍、0.07倍、0.06倍、0.05倍、0.04倍、0.03倍、0.02倍または0.01倍高くてもよい。
【0160】
ポマリドミドの「治療上有効量」は、患者の適応症および疾患の重篤度に応じて、典型的な用量より1〜14倍またはそれ以上に低い任意の範囲であり得る。従って、本明細書に記載の任意の障害に治療上適切なポマリドミドの用量は、例えば、処方または標準用量より約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、225、250または300倍低くてもよい。あるいは、ポマリドミドの治療上適切な用量は、例えば、処方用量より約1.0倍、約0.9倍、0.8倍、0.7倍、0.6倍、0.5倍、0.4倍、0.3倍、0.2倍、0.1倍、0.09倍、0.08倍、0.07倍、0.06倍、0.05倍、0.04倍、0.03倍、0.02倍または0.01倍低くてもよい。
【0161】
デキサメタゾンの追加を包含する組合せについて、処置に推奨される用量を提供することは処方する医師の技術の範囲内である。低用量デキサメタゾンに提案される用量は:1日1回28 mgを含み、1ヵ月サイクルの一部として投与されるとき、低用量デキサメタゾンを1、8、15、22日目に(サイクル1および2について);1および15日目に(サイクル3〜18);および1日目に(サイクル19以降)投与する。高用量デキサメタゾンに提案される用量は:1日1回40 mgを含み、1ヵ月サイクルの一部として投与されるとき、低用量デキサメタゾンを8および22日目に(サイクル3〜18について);および8、15および22日目に(サイクル19以降)投与する。IVデキサメタゾンに提案される用量は:1日1回8 mg IVを含み、1ヵ月サイクルの一部として投与されるとき、デキサメタゾンを1、8、15および22日目に(サイクル1および2について);1および15日目に(サイクル3〜18)および1日目に(サイクル19以降)IV投与する。
【0162】
連続投与レジメンが処置するのに有用であり得る障害は、以下の障害の1つ以上:黒色腫、前立腺癌および肺癌を含み、例えば、白血病(例えば、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ芽球性白血病およびフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病(Ph+ ALL)を含む)、扁平上皮細胞癌腫、小細胞肺癌、非小細胞性肺癌、神経膠腫、消化管癌、腎臓癌、卵巣癌、肝臓癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、神経芽腫、膵臓癌、多形神経膠芽腫、子宮頚部癌、胃癌、膀胱癌、肝細胞癌、乳癌、結腸癌腫および頭頚部癌、胃癌、胚細胞腫瘍、小児肉腫、副鼻腔ナチュラルキラー、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、肥満細胞症および肥満細胞症に関連するいずれかの症状もまた含む。また疾患は、色素性蕁麻疹、肥満細胞症、例えばびまん性皮膚肥満細胞症、ヒトの孤立性肥満細胞症ならびにイヌの肥満細胞症およびいくつかの稀なサブタイプ、例えば水疱性、紅皮症性および末梢血管拡張性の肥満細胞症、血液系障害に関連する肥満細胞症、例えば骨髄増殖性または骨髄異形成症候群、または急性白血病、肥満細胞症に関連する骨髄増殖性障害およびマスト細胞白血病を含む。種々の更なる癌はまた、例えば以下を含む、タンパク質チロシンキナーゼ-関連障害の範囲に含まれる:膀胱、乳房、結腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、膵臓、胃、子宮頸、甲状腺、精巣、特に精巣精上皮腫および皮膚のもの;扁平上皮細胞癌腫を含む癌腫;消化管間質腫瘍(「GIST」);白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫およびバーキットリンパ腫を含む、リンパ系造血性腫瘍;急性および慢性骨髄性白血病および前骨髄球性白血病を含む、骨髄系造血性腫瘍;線維肉腫および横紋筋肉腫を含む、間葉系起源の腫瘍;黒色腫、精上皮腫、奇形癌腫、神経芽腫および神経膠腫を含む、他の腫瘍;星状細胞腫、神経芽腫、神経膠腫およびシュワン腫を含む、中枢および末梢神経系の腫瘍;線維肉腫、横紋筋肉腫および骨肉腫を含む、間葉系起源の腫瘍;および黒色腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、精上皮腫、甲状腺濾胞性癌、奇形癌腫、化学療法抵抗性非セミノーマ胚細胞腫瘍およびカポジ肉腫を含む、他の腫瘍。ある特定の好ましい実施態様において、障害は、白血病、乳癌、前立腺癌、肺癌、結腸癌、黒色腫または固形腫瘍である。ある特定の好ましい実施態様において、白血病は、慢性骨髄性白血病(CML)、Ph+ ALL、AML、イマチニブ抵抗性CML、イマチニブ非忍容性CML、加速化CML、リンパ系急性期CMLである。
【0163】
用語「癌」、「癌性」または「悪性」は、典型的には制御されない細胞増殖により特徴付けられる哺乳類または他の生物体における生理学的状態を指すかまたは説明する。癌の例としては、例えば、固形腫瘍、黒色腫、白血病、リンパ腫、芽細胞腫、癌腫および肉腫が挙げられる。該癌のより具体的な例としては、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病(Ph+ ALL)、扁平上皮細胞癌腫、小細胞肺癌、非小細胞性肺癌、神経膠腫、消化管癌、腎臓癌、卵巣癌、肝臓癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、神経芽腫、膵臓癌、多形神経膠芽腫、子宮頚部癌、胃癌、膀胱癌、肝細胞癌、乳癌、結腸癌腫および頭頚部癌、胃癌、胚細胞腫瘍、小児肉腫、副鼻腔ナチュラルキラー、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)および慢性リンパ性白血病(CML)が挙げられる。
【0164】
「固形腫瘍」としては、例えば、肉腫、黒色腫、結腸癌腫、乳癌腫、前立腺癌腫または他の固形腫瘍の癌が挙げられる。
【0165】
「白血病」は、造血器官の進行性の悪性疾患を指し、一般的に、血液および骨髄における白血球およびその前駆体の異常な増殖および発生により特徴付けられる。白血病は、一般的に、(1)疾患の期間および特徴−急性または慢性;(2)関連する細胞のタイプ;骨髄(骨髄性)、リンパ系(リンパ性)または単球;および(3)血液中の異常細胞数の増加の有無−白血病性または無白血病性(亜白血性)に基づいて臨床分類される。白血病としては、例えば、急性非リンパ球性白血病、慢性リンパ性白血病、急性顆粒球白血病、慢性顆粒球白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、無白血病性白血病、白血性(leukocythemic)白血病、好塩基球性白血病、芽細胞白血病、ウシ白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚白血病、胚性白血病、好酸球性白血病、グロス(Gross')白血病、ヘアリー細胞白血病、血芽球性(hemoblastic)白血病、血球芽細胞性(hemocytoblastic)白血病、組織球性白血病、幹細胞白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ行性白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ向性白血病、リンパ様白血病、リンパ肉腫細胞白血病、マスト細胞白血病、巨核球性白血病、小骨髄芽球性(micromyeloblastic)白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄球性白血病、骨髄性顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ型(Naegeli)白血病、形質細胞白血病、形質細胞性白血病、前骨髄球性白血病、リーダー(Rieder)細胞白血病、シリング型(Schilling's)白血病、幹細胞白血病、亜白血性白血病および未分化細胞白血病が挙げられる。ある特定の態様において、本発明は、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病および/またはフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病(Ph+ ALL)のための処置を提供する。
【0166】
本明細書において、抗CS1抗体およびアゴニストのCD137を患者に投与することを含む、患者において癌(例えば、多発性骨髄腫を含む血液癌)を処置するための方法が提供される。好ましくは、組合せ治療は治療的相乗効果を示す。
【0167】
「治療的相乗効果」は、治療剤の組合せでの患者の処置がその最適用量で用いられる組合せの個々の構成成分により達成される結果より治療上優れた結果を示す現象を指す(Corbett, T.H. et al., Cancer Treat. Rep., 66:1187 (1982))。例えば、治療上優れた結果は、患者が、a)組合せの個々の構成成分が組合せ中と同一の用量で単独治療として各々投与される場合と等しいまたはより大きい治療的利益を受け、一方で有害事象のより低い発生率を示すか、またはb)各構成成分が個々の構成要素として投与されるのと同じ用量で投与されるときの組合せの個々の構成要素での処置のものと等しいまたはより大きい治療的利益を受け、一方で用量限定毒性を示さない、ものである。従って、一実施態様において、デキサメタゾン有または無しでの抗CS1抗体、ポマリドミドの投与は、いずれかの治療単独投与と比較して、少なくとも相加的およびいくつかの場合には(デキサメタゾンと)相乗的効果を有する。
【0168】
あるいは、抗CS1抗体とアゴニストのCD137の組合せ治療は、いずれかの抗体単独での単独治療と比較して、癌(例えば、多発性骨髄腫)の抑制に対して相加的または超相加的効果を有し得る。「相加的」は、個々の構成要素での単独治療により達成される最良の別個の結果よりたかい程度の結果を意味し、一方、「超相加的」は、該別個の結果の合計を超える程度の結果(例えば、相乗的)を示すために用いられる。一実施態様において、相加的効果は、例えば、パラプロテインの減少、Mタンパクの減少、形質細胞の減少、経時的骨病変の減少、全奏効率の増加または平均もしくは全生存期間の延長として測定される。
【0169】
多発性骨髄腫病勢奏効または進行は、特に、典型的にはパラプロテインの減少(または増加)の大きさに従って測定される。しかしながら、骨髄における形質細胞の程度(骨髄における形質細胞の割合の増加)、骨病変の進行および軟組織形質細胞腫の存在(軟組織内での悪性形質細胞腫瘍の増殖)がまた考慮される(Smith, D. et al., BMJ, 346:f3863 (Jun. 26, 2013))。治療への奏効は以下を含み得る:
【表2】
【0170】
本明細書に開示の方法にしたがって処置される患者は、好ましくは多発性骨髄腫の少なくとも1つの兆候の改善を経験する。一実施態様において、処置される患者は、完全奏効(CR)、非常に良い部分奏効(VGPR)、部分奏効(PR)または病勢安定(SD)を示す。
【0171】
一実施態様において、改善は、パラプロテインの減少および/または軟組織形質細胞腫の縮小もしくは消失により測定される。別の一実施態様において、病変は、X線検査により測定され得る。別の一実施態様において、細胞学または組織学が治療への奏効性を評価するために用いられる。
【0172】
別の実施態様において、本明細書で提供される方法のいずれかに従うデキサメタゾン有または無しでのポマリドミドおよび抗CS1抗体の有効量の投与は、パラプロテインの減少、Mタンパクの減少、軟組織形質細胞腫の縮小もしくは消失、CR、VGPR、PRまたはSDからなる群より選択される少なくとも1つの治療効果を生じる。また他の実施態様において、処置方法は、ポマリドミドまたは抗CS1抗体単独により達成されるものより良好な同等臨床的有用率(CBR=CR+PR+SD≧6ヵ月)を生じる(特にデキサメタゾンが追加されるとき)。別の実施態様において、臨床的有用率の向上は、ポマリドミドまたは抗CS1抗体単独と比較して約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%またはそれ以上である(特にデキサメタゾンが追加されるとき)。
【0173】
抗体
用語「抗体」は、少なくとも1つの抗体由来の抗原結合部位(例えば、VH/VL領域またはFvまたはCDR)を含むポリペプチドを説明する。抗体は、抗体の公知の形態を含む。例えば抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体またはキメラ抗体であり得る。抗体はまた、Fab、Fab′2、ScFv、SMIP、AFFIBODY(登録商標)、ナノボディまたはドメイン抗体であり得る。抗体はまた、次のアイソタイプのいずれかであり得る:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgAsec、IgDおよびIgE。抗体は、天然型の抗体であり得るか、または変更された抗体(例えば、変異、欠失、置換、非抗体部分への結合による)であり得る。例えば、抗体は、抗体の特性(例えば、機能的特性)を変更する1つ以上の変異アミノ酸(天然型の抗体と比較して)を含み得る。例えば、例えば、半減期、エフェクター機能および/または抗体への免疫応答に患者において影響を及ぼす多数のこのような変更が当該技術分野において公知である。用語抗体はまた、少なくとも1つの抗体由来の抗原結合部位を含む人工ポリペプチドコンストラクトを含む。
【0174】
抗体はまた、抗体の公知の形態を含む。例えば抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体またはキメラ抗体であり得る。抗体はまた、Fab、Fab′2、ScFv、SMIP、AFFIBODY(登録商標)、ナノボディまたはドメイン抗体であり得る。抗体はまた、次のアイソタイプのいずれかであり得る:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgAsec、IgDおよびIgE。抗体は、天然型の抗体であり得るか、または変更された抗体(例えば、変異、欠失、置換、非抗体部分への結合による)であり得る。例えば、抗体は、抗体の特性(例えば、機能的特性)を変更する1つ以上の変異アミノ酸(天然型の抗体と比較して)を含み得る。例えば、例えば、半減期、エフェクター機能および/または抗体への免疫応答に患者において影響を及ぼす多数のこのような変更が当該技術分野において公知である。用語抗体はまた、少なくとも1つの抗体由来の抗原結合部位を含む人工ポリペプチドコンストラクトを含む。
【0175】
本発明の同時投与レジメンは、組合せの1つの構成要素としての抗体の使用を含み得る。例えば、CS-1ポリペプチドに特異的に結合する抗体、好ましくはエロツズマブ。
【0176】
用語「抗体」はまた、最も広い意味で用いられ、具体的には、所望の生物学的活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、複数のエピトープ特異性を有する抗体組成物、二重特異性抗体(bispecific antibody)、二重特異性抗体(diabody)、キメラ、一本鎖およびヒト化抗体、ならびに抗体フラグメント(例えば、Fab、F(ab′)2およびFv)に及ぶ。抗体は、生物学的アッセイにおける使用のために抗体の検出を助けるように標識され得る(例えば、放射性同位体標識、蛍光標識)。
【0177】
抗体は、例えば、対象の小ペプチドを含有する完全なままのポリペプチドまたはフラグメントを用いて、製造され得て、これは、免疫抗原として用いるために組み換えにより製造させ得る。動物を免疫にするために用いられるポリペプチドまたはオリゴペプチドは、RNAの翻訳に由来するかまたは化学的に合成されてもよく、所望により担体タンパク質に結合させてもよい。一般的に用いられる、ペプチドに化学的に結合させる抗体としては、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)およびサイログロブリンが挙げられる。その後、結合させたペプチドは、動物(例えば、マウス、ラットまたはウサギ)を免疫にするために用いられる。
【0178】
用語「抗原決定基」は、特定の抗体と接触をなす分子の部分(すなわち、エピトープ)を指す。タンパク質またはタンパク質のフラグメントが宿主動物を免疫にするとき、タンパク質の多数の領域が、タンパク質上の所与の領域または三次元構造に特異的に結合する抗体の産生を誘導し得て;これらの領域または構造の各々が抗原決定基と称される。抗原決定基は、完全なままの抗原(すなわち、免疫応答を誘発するのに用いられる免疫源)と抗体に結合するために競合し得る。
【0179】
語句「特異的に結合する」は、他の生物製剤の異種集団の存在下で標的の存在を限定する結合反応を指す。したがって、設定されたアッセイ条件下で、特定の結合領域は、特定の標的に優先的に結合し、試験検体中に存在する他の構成要素に有意な量で結合しない。当該条件下での標的への特異的結合は、特定の標的についてその特異性のために選択される結合部分が必要とされ得る。特定の分析物と特異的反応性である結合領域を選択するために、様々なアッセイ形式が用いられ得る。典型的には、特異的または選択的反応は、バックグランドシグナルまたはノイズより少なくとも2倍であり、より典型的にはバックグランドの10倍より大きい。
【0180】
抗CS1抗体
本発明の使用に適する抗ヒトCS1抗体(またはそれに由来するVHおよび/またはVLドメイン)は、当該技術分野で周知な方法を用いて生成され得る。あるいは、当該技術分野で認められている抗CS1抗体が用いられ得る。例えば、Bouchon et al., J. Immunol., 167:5517-5521 (2001)Bouchon et al., J. Immunol., 167:5517-5521 (2001)に記載のモノクローナル抗体mAb 162が用いら得て、この教示は、その全体、特にこの抗体に直接関連する部分について出典明示により本明細書の一部する。別の公知のCS1抗体としては、Matthew et al.(米国特許第7,041,499号)に記載の抗CS1抗体が挙げられ、この教示は、その全体、特にこの抗体に直接関連する部分について出典明示により本明細書の一部する。他の公知のCS1抗体としては、抗CS1抗体Luc63、およびLuc4、Luc12、Luc23、Luc29、Luc32およびLuc37を含む同じエピトープを共有する他の抗体、抗CS1抗体Luc90、およびLuc34、Luc69およびLucXを含む同じエピトープを共有する他の抗体、ならびに抗CS1抗体Luc2、Luc3、Luc15、Luc22、Luc35、Luc38、Luc39、Luc56、Luc60、LucX.1、LucX.2およびPDL-241が挙げられ、これらはWilliams et al.(米国特許第7,709,610号)に記載されており、この教示は、その全体、特にこの抗体に直接関連する部分について出典明示により本明細書の一部する。これらの当該技術分野で認められている抗体のいずれかとCS1に結合するために競合する抗体もまた用いられ得る。
【0181】
例示的な抗CS1抗体は、配列番号17および18にそれぞれ示される配列を有する重鎖および軽鎖を含むエロツズマブ(BMS-901608およびHuLuc63とも称される)、または抗原結合フラグメントおよびそれらの変異体である。エロツズマブは、国際公開第号2004/100898、第2005/10238号、第2008/019376号、第2008/019378号、第2008/019379号、第2010/051391号、第2011/053321号および第2011/053322号に記載のヒト化IgG抗CS-1モノクローナル抗体であり、これらの教示は出典明示により本明細書の一部とする。エロツズマブは、NK細胞を介してADCCを媒介すると知られている(van Rhee, F. et al., Mol. Cancer Ther., 8(9):2616-2624 (2009))。
【0182】
別の実施態様において、抗体は、エロツズマブの重鎖および軽鎖CDRまたは可変領域を含む。従って、一実施態様において、抗体は、配列番号2に記載の配列を有するエロツズマブのVHのCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに配列番号1に記載の配列を有するエロツズマブのVHのCDR1、CDR2およびCDR3を含む。別の一実施態様において、抗体は、配列番号2のアミノ酸31-35を有する重鎖CDR1:配列番号2のアミノ酸50-66を有する重鎖CDR2;および配列番号2のアミノ酸99-108を有する重鎖CDR3;加えて配列番号1のアミノ酸24-34を有する軽鎖CDR1;配列番号1のアミノ酸50-56を有する軽鎖CDR2;および配列番号1のアミノ酸89-97を有する軽鎖CDR3を含む。別の一実施態様において、抗体は、配列番号2および/または配列番号1にそれぞれ記載のアミノ酸配列を有するVHおよび/またはVL領域を含む。別の一実施態様において、抗体は、上記抗体と同じCS1上のエピトープに結合するのを競合する、および/またはそれに結合する。別の一実施態様において、抗体は、上記抗体と少なくとも約90%の可変領域アミノ酸配列の同一性を有する(例えば、配列番号2または配列番号1と少なくとも約90%、95%または99%の可変領域の同一性)。
【0183】
キット
上で記載または示唆される診断的および治療的適用における使用のために、キットもまた本発明により提供される。このようなキットは、例えば、1つ以上のバイアル、チューブなどの容器手段をぴったりと収容するように分画された支持手段を含み、この容器手段の各々は、本方法で用いられる別個の構成要素の1つを含む。例えば、容器手段の1つは、医薬的に許容される量の抗CS1抗体、および/またはデキサメタゾンと、別々に投与されるポマリドミド;または抗CS1抗体、および別々に投与されるデキサメタゾンおよびポマリドミド(経口でまたはデキサメタゾンの場合、いくつかの場合にIV)を含有する1つ以上のバイアルを含み得る。
【0184】
本発明のキットは、典型的には、上記の容器、ならびに緩衝液、希釈液、フィルター、針、シリンジ、使用のための指示を有する添付文書を含む商業および使用者の立場から望ましい物を含む、1つ以上の他の容器を含む。組成物が特定の治療または非治療的適用のために用いられることを示すためにラベルが容器上に存在し得て、それは、上記のようなインビボまたはインビトロいずれかにおける使用のための指示を示し得る。
【0185】
加えて、キットは、本発明の方法の実施のための指示(すなわち、手順)を含む使用説明書を含み得る。使用説明書は、典型的には、記述または印刷された材料を含むが、このようなものに限定されない。このような説明書を保管でき、末端使用者に伝えることができるいかなる媒体も、本明細書により企図される。このような媒体としては、電子的記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップなど)、光学媒体(例えば、CDROM)などが挙げられるが、これらに限定されない。このような媒体は、このような使用説明書を提供するインターネットサイトのアドレスを含み得る。
【0186】
キットはまた、例えば、個体から生物学的試料を得るための手段を含み得る。個体から生物学的試料を得るための手段は、例えばカテーテル、シリンジなど当該技術分野で周知であり、本明細書では詳述しない。
【0187】
ポマリドミドおよび抗CS1抗体、例えばエロツズマブ、および/またはデキサメタゾン、および医薬的に許容される担体を上記の方法での使用に適合させた治療上有効量で含有する医薬組成物を含むキットもまた本明細書で提供される。キットはまた、例えば、癌(例えば、多発性骨髄腫などの血液癌)を有する患者に組成物を投与するために、実施者(例えば、医師、看護師または患者)がそれに含まれる組成物を投与することを可能にする投与スケジュールを含む、説明書を適宜含み得る。キットはまたシリンジを含み得る。
【0188】
適宜、キットは、上記で提供される方法に従う単回(分離)投与のために、有効量のポマリドミド、抗CS1抗体およびデキサメタゾンを各々含有する単回用量の医薬組成物の複数の包装を含む。医薬組成物を投与するのに必要な器具またはデバイスもまた、キットに含まれ得る。例えば、キットは、ある量の抗CS1抗体および/またはデキサメタゾンを含有する1つ以上のプレフィルドシリンジを提供し得る。
【0189】
一実施態様において、本発明は、ヒト患者において癌(例えば、多発性骨髄腫などの血液癌)を処置するためのキットであって:
(a)ある用量のポマリドミド;
(b)配列番号2に記載の配列を含む重鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインと、配列番号1に記載の配列を含む軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む、ある用量の抗CS1抗体;および
(c)本明細書に記載の方法においてポマリドミドおよび抗CS1抗体を使用するための説明書
を含む、キットを提供する。
【0190】
一実施態様において、本発明は、ヒト患者において癌(例えば、多発性骨髄腫などの血液癌)を処置するためのキットであって:
(a)ある用量のポマリドミド;
(b)配列番号2に記載の配列を含む重鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインと、配列番号1に記載の配列を含む軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む、ある用量の抗CS1抗体;
(c)ある用量のデキサメタゾン(経口またはIV);および
(c)本明細書に記載の方法においてポマリドミド、抗CS1抗体およびデキサメタゾンを使用するための説明書
を含む、キットを提供する。
【0191】
本発明は、本発明の個々の態様の個別の例示と意図される本明細書に開示の実施態様によりその範囲を限定されず、機能的に均等なものは本発明の範囲に含まれる。本発明のモデルおよび方法に対する様々な改変は、本明細書に記載のものに加えて、上記の説明および教示から当業者に明らかであり、同様に本発明の範囲内にあると意図されている。そのような改変または他の実施態様は、本発明の真の範囲および精神から逸脱せずに実施され得る。
【0192】
以下の代表的な実施例は、様々な実施態様およびそれらの均等物における本発明の実施に合わせられる、重要なさらなる情報、例示およびガイダンスを含む。これらの実施例は、本発明の例示を補助することを意図しており、その範囲を限定することを意図せず、また、その範囲を限定すると解釈されるべきではない。
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【0193】
配列表の簡単な説明
配列番号1〜配列番号5を含む「12585.US.PCT_ST25」と題する配列表の全体を引用により本明細書の一部とし、これは本明細書に開示される核酸および/またはアミノ酸を含む。配列表は、ASCIIテキストフォーマットで、EFSを介して提出した。配列表は、2015年6月17日に最初に作成され、そのサイズは6KBである。
【実施例】
【0194】
実施例1−OMP-2多発性骨髄腫異種移植腫瘍マウスモデルにおけるポマリドミドと抗CS1抗体を組み合せる治療効果を評価するための方法−研究番号1 OPM2-15
インビボにおけるマウス研究は、腹腔内(IP)投与されたエロツズマブがヒト骨髄腫異種移植の腫瘍増殖を抑制することを実証した(Hsi et al., Clin. Cancer Res., 14:2775-2784 (2008); and Tai et al., Blood, 112:1329-1337 (2008) in a dose-dependent fashion (Tai et al. (2008))。異種移植モデルにおけるエロツズマブの抗腫瘍活性は、小分子、ボルテゾミブ(哺乳類細胞における26Sプロテアソームキモトリプシン様活性の可逆性阻害剤)およびレナリドマイド(免疫調節、抗血管新生および抗新生物特性を有するサリドマイドの類似体)の共投与により向上し得る(Balasa et al., Cancer Immunol. Immunother., 64:61-73 (2015))。レナリドマイドに加えて、第二世代ImidのポマリドミドがMM処置のために承認されている。その直接的な抗腫瘍活性のために、デキサメサゾンもまたMMを処置するために用いられ、しばしばレナリドマイドを含む他の薬剤と組み合わされる。この研究において、OPM2異種移植を利用して、単独、およびエロツズマブおよび/またはエロツズマブおよびデキサメサゾンとの組合せの両方でポマリドミド処置の有効性を評価した。
【0195】
ポマリドミド処置は、用量依存的に腫瘍増殖を抑制した。さらに、ポマリドミドとエロツズマブの組合せ処置は、いずれかの薬剤単独での処置より効果的であった。
【0196】
最後に、エロツズマブとポマリドミドとデキサメサゾンの3剤の組合せは、16匹の処置マウスのうち8匹において完全な腫瘍退縮を誘発し、16匹の処置マウスのうち5匹において部分的な腫瘍退縮を誘発した。
【0197】
方法
インビボ抗腫瘍活性
動物:すべてのマウスは、Taconic Biosciences(Germantown, NY)から入手し、所定の病原体のないコロニー中のアンモニアを含まない環境で維持した。すべての動物手順は、Bristol-Myers Squibb (BMS) Institutional Animal Care and Use Committeeにより承認されている。BMSにおける動物の世話および使用計画は、Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care International (AAALAC) により完全に認定されている。
【0198】
動物モデル:ヒト腫瘍異種移植OPM2は、IcrTac scidマウス(ICRPrkdcscid)において増殖させた。処置される動物は、処置に関連する毒性/死亡率について毎日チェックされた。各群の動物は、処置の開始前に体重を測定し(Wt1)、その後最後の処置投与後に再び体重を測定した(Wt2)。体重の差(Wt2-Wt1)は、処置に関連する毒性の尺度を提供する。毒性をモニターするために更なる体重を各測定日において記録した。
【0199】
腫瘍が所定の「標的」サイズの1 gに達するまで、週2回キャリパーでの腫瘍の測定により腫瘍奏功を決定した。腫瘍重量(mg)は、式:腫瘍重量=(縦×横2)/2から推定される。
【0200】
腫瘍奏功の終点は、腫瘍細胞死滅および腫瘍増殖抑制の点で表現された。腫瘍増殖遅延は、コントロール群(C)のものと比較して処置される腫瘍(T)が所定の標的サイズに達するのに必要とする時間(日間)の差として定義された。この目的のために、群の腫瘍重量は、平均腫瘍重量(MTW)として表された。
【0201】
腫瘍細胞死滅は、対数細胞死滅(LCK)の点で表現され、方程式LCK=T-C /(3.32×TVDT)により表され、式中、腫瘍体積が2倍になる時間(TVDT)は、式:TVDT=コントロール腫瘍重量について標的サイズに達する平均時間(日間)−コントロール腫瘍重量について標的サイズの半分に達する平均時間(日間)で最初に計算された。腫瘍増殖抑制を推定するために、腫瘍奏功は、腫瘍増殖阻害率(%TGI)の点で表現され、以下のとおり計算された:%腫瘍増殖抑制={1-[(Tt-To)/(Ct-Co)]}×100、式中、Ct=処置終了時のコントロールの腫瘍サイズ中央値、Co=処置開始時のコントロールの腫瘍サイズ中央値、Tt=処置終了時の処置群の腫瘍サイズ中央値、およびTo=処置開始時の処置群の腫瘍サイズ中央値。
【0202】
抗腫瘍活性の定義は、評価中の腫瘍モデルにおける研究薬剤の薬物作用、すなわち細胞毒性対細胞増殖抑制作用の様式に依存した。細胞毒性効果について、有意な活性は、>0.5 LCKまたは1.7×TVDTに等しい腫瘍増殖遅延の達成として定義された。細胞増殖抑制作用について、活性は、処置の終わりまでに腫瘍体積が2倍になるものからの増殖抑制>70% TGIの達成として定義された。
【0203】
腫瘍細胞の調製:OPM2細胞を2014年7月28日に最初に解凍した。細胞は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により外来性薬剤について先に試験され、陰性であった。細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS;Gibco, Cat. #26140-079)を添加したRPMI(RPMI;Gibco, Cat. # 11875-079)に維持した。細胞は、48時間の倍加時間を示した。1週間におよそ3回、1つのT150フラスコに含有される細胞を、100匹のマウス、240匹のマウスおよび245匹のマウスそれぞれにおける腫瘍移植のために十分な数の細胞が得られるまで、1:2希釈で2つのT150フラスコに分け、増やした。対数増殖期中の間に細胞を回収し、洗浄し、HBSSに再分散させて、各研究動物のフラスコに1×107細胞の皮下(SC)注射を提供した。
【0204】
腫瘍移植:研究番号1について、0日目に25ゲージ針で1×108/mlのOPM2細胞0.1 mlを240匹のマウスに皮下注射した。腫瘍は、所定のサイズウィンドウの48〜200 mg(範囲外の腫瘍は除去した)まで成長し、16日目にn=8で種々の処置およびコントロール群に動物を均等に分配した。研究番号2について、0日目に25ゲージ針で1×108/mlのOPM2細胞0.1 mlを245匹のマウスに皮下注射した。腫瘍は、所定のサイズウィンドウの48〜200 mg(範囲外の腫瘍は除去した)まで成長し、12日目にn=8で種々の処置およびコントロール群に動物を均等に分配した。
【0205】
化合物調製および投与:両方の研究について、エロツズマブ(ELO、BMS-901608)をIP投与のためにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の25 mg/mlストックから調製した。エロツズマブの投与レジメンは、2QWx5または5週間週2回、計10回投与であった。デキサメサゾン(DEX、MJ-006209;Bell MedicalvCat. #APP0165-30)をIP投与のためにH2O中の4 mg/mlから調製した。デキサメサゾンの投与レジメンは、QDx7であった。ポマリドミド(POM、BMT-227758;Selleck Chem, Cat. #S1567POM)の10 mg/mlストック溶液を毎週10%DMSO中に調製し、各週に必要な数の用量に分割した。PO投与のために各用量を解凍し、毎日生食塩水に希釈した。ポマリドミドの投与レジメンは、研究番号1においてQDx5;16,23であり、研究番号2においてQDx5;12,19であった。具体的には、14日目(ポマリドミド用量漸増実験について腫瘍移植後)、16日目(第1のエロツズマブ/ポマリドミド/デキサメサゾン組合せ研究、OPM2-15について腫瘍移植後)、または12日目(第2のエロツズマブ/ポマリドミド/デキサメサゾン組合せ研究、OPM2-16について腫瘍移植後)に、各動物は記載のように処置された。各動物の処置は個々の体重に基づき、投与されるすべての化合物の容量は、0.01 ml/gマウスであった。投与レジメンの完了前に腫瘍が標的サイズに達した場合、投与を中止した。
【0206】
研究終了:腫瘍重量中央値が2つの連続した測定で1 gの標的サイズに達したとき、処置群を終了させた。腫瘍重量中央値が標的サイズに達しない場合、残りの動物が>10 TVDTの期間に停滞した腫瘍変化を有するとき、処置群を終了させた。
【0207】
統計分析:統計的有意差を、ノンパラメトリックMann-Whitney U検定、GraphPad Prism Version 4.00 for Windows(GraphPad Software, San Diego, CA)を用いて決定した。
【0208】
結果
OPM2異種移植の増殖に対するポマリドミド処置の影響を評価するために、生着した腫瘍を有するscidマウスを、0.5 mg/kg、5 mg/kgおよび50 mg/kgの用量のポマリドミドで経口処置した。図1および表1のデータは、ポマリドミドでの処置が用量依存的に腫瘍増殖を抑制したことを示す。0.5 mg/kg用量、5 mg/kg用量および50 mg/kg用量それぞれについて、45%、63.1%および87.1%のTGI値が観察された(表1)。この実験から、準最適な5 mg/kg用量が組合せ試験(研究番号1、OPM2-15および研究番号2、OPM2-16)において用いる用量として選択された。
【表3】
ソース:ELN6
a 腫瘍増殖抑制
b 対数細胞死滅
c 完全な退縮
d 部分的退縮
e P値対未処置コントロール:0.0003
f P値対未処置コントロール:0.0006
g P値対未処置コントロール:0.0022
【0209】
次の一連の研究(研究番号1 OPM2-15)において、腫瘍増殖におけるエロツズマブとポマリドミドとデキサメサゾンの組合せ処置を評価した。OPM2異種移植腫瘍が生着したScidマウスは、未処置、エロツズマブ単独での処置、ポマリドミド単独での処置、デキサメサゾン単独での処置、エロツズマブ+ポマリドミドでの処置、エロツズマブ+デキサメサゾンでの処置、ポマリドミド+デキサメサゾンでの処置、またはエロツズマブ+ポマリドミド+デキサメサゾンでの処置のいずれかがなされた。図2のデータは、研究番号1(OPM2-15)におけるすべての群についての増殖曲線が平均+/-標準偏差として示されることを示し、図3のデータは、研究番号1の各処置群におけるすべての個々の動物の腫瘍体積の測定値を示す。未処置マウスと比較したとき、単独の薬剤としてのエロツズマブ、ポマリドミドまたはデキサメサゾンでの処置は、それぞれ70.3%、52%および50.4%のTGI値を有した(表2)。ポマリドミドとエロツズマブの組合せは、いずれかの薬剤単独より良好な有効性を示した(TGI=89.6%、表2)。加えて、ポマリドミドとデキサメサゾンの組合せもまた、いずれかの薬剤単独より良好な有効性を示した(TGI=99.2%、表2)。エロツズマブとポマリドミドとデキサメサゾンの3剤の組合せは、8匹の処置マウスのうち2匹において完全な腫瘍退縮を誘発し、8匹の処置マウスのうち5匹において部分的な腫瘍退縮を誘発した(表2)。
【表4】
ソース:ELN7
a 最大体重減少は、当該研究中任意の時点でのその処置群について記録した
b エロツズマブ投与レジメンは、2QWx5;16、5週間週2回、計10回投与である
c デキサメサゾン投与レジメンは、QDx7;16である
d ポマリドミド投与レジメンは、QDx5;16、23である
e P値は、ELO+POM対ELOについて0.0207およびELO+POM対POMについて0.03823である
f P値は、EL0+DEX対ELOについて0.5969およびELO+DEX対DEXについて0.0104である
g 研究は、3/8の腫瘍のみが標的サイズに達する100日目に終了した
h P値は、EL0+POM+DEX対POM+DEXについて0.0002である
【0210】
実施例2−OMP-2多発性骨髄腫異種移植腫瘍マウスモデルにおけるポマリドミドと抗CS1抗体を組み合せる治療効果を評価するための方法−研究番号2 OPM2-16
実施例1に記載される研究番号1 OPM2-15において観察された相乗的結果を繰り返した。この一連の実験において用いられる材料および方法は、他に明記されない限り、実施例1に記載のものと同一であった。
【0211】
結果
図4A〜Bに示す結果は、研究番号2(OPM2-16)におけるすべての群について腫瘍増殖曲線が平均+/-標準偏差として示されることを示し、図5A〜Hのデータは、研究番号2の各処置群におけるすべての個々の動物の腫瘍体積の測定値を示す。この研究(OPM2-16)において、未処置マウスと比較したとき、単独の薬剤としてエロツズマブ、ポマリドミドまたはデキサメサゾンでの処置は、それぞれ57.7%、41.4%および62.8%のTGI値を有した(表3)。ポマリドミドとエロツズマブの組合せは、いずれかの薬剤単独より良好な有効性を示した(TGI=72.5%、表3)。加えて、ポマリドミドとデキサメサゾンの組合せもまた、いずれかの薬剤単独より良好な有効性を示した(TGI=88.3%、表3)。重要なことに、エロツズマブとポマリドミドとデキサメサゾンの3剤の組合せは、8匹の処置マウスのうち6匹において完全な腫瘍退縮を誘発した(表3)。
【0212】
研究のすべてにおいて、処置は、良好な忍容性のように見え、体重の顕著な変化(表1、表2、表3)または観察された臨床毒性の明白な徴候はなく、組合せが安全であることを示した。
【表5】
ソース:ELN8
a 最大体重減少は、当該研究中任意の時点でのその処置群について記録した
b エロツズマブ投与レジメンは、2QWx5;12、5週間週2回、計10回投与である
c ポマリドミド投与レジメンは、QDx5;12、19である
d デキサメサゾン投与レジメンは、QDx7;12である
e P値は、ELO+POM対ELOについて0.0404およびELO+POM対POMについて0.0047である
f P値は、EL0+DEX対ELOについて0.0258およびELO+DEX対DEXについて0.0379である
g 研究は、2/8の腫瘍のみが標的サイズに達する75日目に終了した
h P値は、EL0+POM+DEX対POM+DEXについて0.0002である
【0213】
結論
単剤として0.5 mg/kgのエロツズマブまたは5 mg/kgのポマリドミドでのOPM2異種移植を有するscidマウスの処置は、腫瘍増殖を抑制したが、エロツズマブとポマリドミド処置の組合せは、いずれかの単剤単独より良好に腫瘍増殖を抑制した。5 mg/kgのデキサメサゾンでの処置は、腫瘍増殖にほとんど効果がないかまたは全くないが、デキサメサゾンとポマリドミド処置の組合せは、いずれかの1つの薬剤単独より良好に腫瘍増殖を抑制した。しかしながら、3剤の組合せ(エロツズマブ+ポマリドミド+デキサメサゾン)のみが相乗的であり、部分的または完全な腫瘍退縮をもたらした。処置のすべては、良好な忍容性のように見え、体重の顕著な変化または観察された臨床毒性の明白な徴候はなく、組合せが少なくとも最適下限レベルにおいて安全であることを示した。
【0214】
実施例3−再発性および難治性多発性骨髄腫におけるエロツズマブ有りまたは無しでのポマリドミド/デキサメサゾンの組合せを検討する非盲検無作為第2相試験
治験実施の仮説
ポマリドミドおよびデキサメサゾンへのエロツズマブの追加(治験組合せ治療)は、再発性および難治性多発性骨髄腫の対象体において無増悪生存期間(PFS)を増加させる。
【0215】
目的
第一目的は、処置群間の無増悪生存期間(PFS)を比較することである。
【0216】
第二目的は、処置群間の客観的奏効率を比較すること、および処置群間の全生存期間を比較することである。
【0217】
更なる調査目的は、以下を評価することである:治験組合せ治療の安全性および忍容性;奏功までの時間および奏功の期間;ポマリドミドおよびデキサメサゾン存在下でのエロツズマブの薬物動態および免疫原性;ベースラインからの可溶性SLAMF7(sSLAMF7)の変化と奏功との間の関係;sSLAMF7のベースライン測定とPFSとの間の関係;進行時のMM細胞およびNK細胞におけるSLAMF7発現のベースラインからの変化;MM細胞およびNK細胞におけるSLAMF7発現レベルと処置の奏功との間の関係;ベースライン時と治療中における循環多発性骨髄腫細胞(CMMC)の関係;細胞遺伝学的リスクと奏功との間の関係;Mタンパクと微少残存病変(MRD)状態との間の関係;ならびにMDASI-MMおよびEQ-5Dを用いる疾患関連症状における患者報告の結果。
【0218】
研究設計および期間
この研究は、再発性および難治性多発性骨髄腫(rrMM)の対象体においてポマリドミドおよびデキサメサゾン(Pd;コントロール群)と比較するときエロツズマブ、ポマリドミドおよびデキサメサゾンの組合せ治療(E-Pd;エロツズマブ群)の臨床的有用性を評価するために設計された多施設非盲検無作為第2相試験である。
【0219】
ポマリドミド/デキサメタゾン(Pd)またはエロツズマブ/ポマリドミド/デキサメタゾン(E-Pd)のいずれかを受けるように対象体を1:1の無作為化する。(i)前の治療のライン数(2〜3対≧4);および(ii)研究エントリー時のISSステージ(I〜II対III)により無作為化を層別化する。
【0220】
投与
この研究のための10 mg/kgおよび20 mg/kgのエロツズマブの用量選択は、エロツズマブの薬物動態学(PK)、安全性および予備有効性の評価を行った第1および2相試験からのデータに基づく。最初の2サイクルにおける毎週投与は、前臨床モデルに基づいて予測された標的レベルに達し、それを超えるための負荷用量として働く。
【0221】
PK分析に基づくシミュレーションは、10および20 mg/kg用量で処置されるほとんどの対象体(>90%)におけるエロツズマブのトラフ血清濃度が前臨床モデルに基づいて予測された標的レベルを超えることを示唆する。同様に、シミュレーションに基づくモデルは、平均トラフ濃度が毎月20 mg/kgエロツズマブ投与での前臨床モデルからの標的レベルを超えて維持されることを示唆する。レナリドマイドと組み合せて10および20 mg/kgのエロツズマブ投与後、観察された定常状態のCmin値は、一貫して70μg/mL、最小有効トラフ濃度を越えて維持した(Lonial et. al., J Clin Oncol. 30(16):1953-1959. (2012))。エロツズマブ投与はまた、用量≧10 mg/kgにおいて骨髄形質細胞上のSLAMF7の完全な飽和をもたらした(図7参照)。10と20 mg/kgとの間に有効性、安全性、PKおよびSLAMF7飽和における差異がないことを考慮すると、最初の2サイクルについて毎週10 mg/kg、その後毎月20 mg/kgが、患者の便宜性およびコンプライアンスを向上するために選択された。
【0222】
この研究の概要を図6に示す。要するに、群、用量、投与様式および処置期間の概要は以下のとおりである:

コントロール群
ポマリドミド:4 mg、PO、QD、各サイクルの1〜21日目
デキサメタゾン:
・対象体≦75歳:40 mg、PO、各サイクルの1、8、15および22日目
・対象体>75歳:20 mg、PO、各サイクルの1、8、15および22日目

エロツズマブ群
エロツズマブ:
・サイクル1〜2:10 mg/kg、IV、各サイクルの1、8、15および22日目
・サイクル3以降:20 mg/kg、IV、各サイクルの1日目
ポマリドミド:4 mg、PO、QD、各サイクルの1〜21日目
デキサメタゾン:各サイクルの1、8、15および22日目
・対象体≦75歳:エロツズマブ投与の有る週:28 mg、PO+8 mg、IVおよびエロツズマブ投与の無い週に40 mg、PO
・対象体>75歳:エロツズマブ投与の有る週:8 mg、PO+8 mg、IVおよびエロツズマブ投与の無い週に20 mg、PO

サイクルは28日間として定義される。研究薬物での処置は、疾患の進行、許容できない毒性(研究薬物に関連する有害事象)または対象体が研究薬物の中止ための他の基準を満たすまで継続する。
【0223】
研究集団
再発性および難治性多発性骨髄腫と診断される対象体は、以下として定義される:(i)単独または組合せでレナリドマイドおよびプロテオソーム阻害剤の少なくとも2つの連続サイクルを含んでいなければならない、2つ以上の前の治療ライン(附属書1参照)を受けていなければならない;(ii)難治性または再発性および難治性(R/R)多発性骨髄腫が文書で記録されている;(iii)最後の処置に難治性である(処置の60日または60日以内に進行);および(iv)対象体が以下の方法の1つでプロテオソーム阻害剤およびレナリドマイドでの処置に失敗していなければならない:
a. プロテオソーム阻害剤およびレナリドマイド、ならびに最後の処置に「難治性である」
b. 「再発性および難治性」=患者が、プロテオソーム阻害剤もしくはレナリドマイドまたはその両方での前の処置に少なくとも部分奏効を達成しているが、6ヵ月以内に進行し、最後の処置に難治性であった
【0224】
研究評価
改変IMWG基準による腫瘍奏効評価(次の表4参照)は、すべての無作為化対象体について試験中に評価される。PFSの第1エンドポイントは、調査者の評価に基づく。
【表6】
a すべての再発カテゴリーは、任意の新しい治療の設定前に任意の時点でなされる2つの連続評価を必要とし;すべてのカテゴリーはまた、X線写真検査が行われた場合、進行性または新しい骨病変の既知のエビデンスを必要としない。X線写真検査は、これらの奏効要件を満たすために必要とされない。骨髄評価を確認する必要はない。
b 測定可能な病勢のみが血清FLCレベルによる患者においてCRおよびVGPRにコードするためのIMWG基準への明確化に注意すべきである:当該患者におけるCRは、上記CR基準に加えて0.26〜1.65の正常FLC比として定義される。当該患者におけるVGPRは、involvedとuninvolved FLCレベル間の差が90%超の減少として定義される。
c クローン性細胞の有無はκ/λ比に基づいている。免疫組織化学検査及び/又は免疫蛍光検査によるκ/λ比の異常は、分析するのに最低100個の形質細胞が必要である。異常なクーロン性細胞の存在を反映する異常なκ/λ比は4:1超又は1:2未満である。
d 病勢進行について、最初の血清M成分が5g/dL以上であれば、進行を定義するには1g/dL以上の増加で十分である。
【0225】
統計考察
サンプルサイズ。研究の第1目的は、すべての無作為化対象体中の処置群間の無増悪生存期間を比較することである。この研究の事象数および検定力は、各群におけるPFSの指数分散を仮定して計算された。
【0226】
研究は、両側実験当たりα=0.2層別ログランク検定のために少なくとも71のPFS事象(進行または死亡)を必要として、実験群対コントロール群の真のハザード比が0.57であるとき85%検定力を有する処置群間のPFSにおいて統計学的有意差を示す。これは、Pd群における4.0ヵ月からE-Pd群における7.0ヵ月のPFS中央値へのPFS中央値の増加を示すことと同等である。合計105の対象体が無作為化される。
【0227】
およそ10%の対象体が第1エンドポイントデータのフォローアップに失われていると仮定すると、更なる9対象体が研究において無作為化される。114対象体の完全な集積におよそ9か月かかかることが推定される(1ヵ月当たり13対象体の一定集積率を仮定する)。
【0228】
客観的奏効率(ORR)は、この研究の第2エンドポイントである。奏効率の分析は、すべての無作為化対象体において実施される。114対象体のサンプルサイズでは、Pd群における35%の奏効率と比較して、E-Pd群において両側0.2レベル検定を用いて奏効率の23%増加(58%まで)を検出する少なくとも90%検定力がある。
【0229】
全生存期間(OS)は、この研究の第2目的である。OS分析は、すべての無作為化対象体において実施される。OSの最終分析は、78の死亡が114対象体から観察された後実施される。これは、最終PFS分析のときから18ヵ月(1.5年)で生じると予想される。78事象では、当該研究は、α=0.2レベルの両側層別ログランク検定を用いて75%検定力を有して、真のハザード比が0.64であるとき統計学的有意差を示す。これは、12.7ヵ月のPd群におけるOS中央値と比較して、E-Pd群におけるOS中央値の56%増加、すなわち19.8ヵ月を示すことと同等である。
【0230】
East version 5.4がサンプルサイズ/検定力計算のために用いられた。
【0231】
エロツズマブ点滴静注
エロツズマブは、インフュージョンリアクションを引き起こし得る。インフュージョンリアクションは、研究CA204004においてエロツズマブ、レナリドマイドおよびデキサメタゾンで処置された患者の10%、ならびに研究CA204009においてエロツズマブ、ボルテゾミブおよびデキサメタゾンで処置された患者の7%で報告された。インフュージョンリアクションのすべての報告は、≦グレード3であった。グレード3のインフュージョンリアクションは、研究CA204004における患者の1%で生じ、研究CA204009における患者では生じなかった。インフュージョンリアクションの最も一般的な症状には、発熱、悪寒および高血圧が含まれた。研究CA204004において、5%の患者が、25分の中央値でインフュージョンリアクションのためエロツズマブの投与の中断を必要とし、1%の患者がインフュージョンリアクションのため中止を必要とした。研究CA204009において、20%の患者が、40分の中央値でエロツズマブの投与の中断を必要としたが、インフュージョンリアクションのために中止は必要とされなかった。インフュージョンリアクションを経験した患者のうち、研究CA204004において70%(23/33)および研究CA204009において80%(4/5)が最初の投与中に経験した。
【0232】
デキサメタゾン、H1ブロッカー、H2ブロッカーおよびアセトアミノフェンからなる前投薬は、エロツズマブ点滴前に投与されるべきである。
【0233】
エロツズマブ点滴速度
2 ml/分の最大点滴速度が最初に第1および2相エロツズマブ臨床試験において調査された。しかしながら、CA204003(1703)およびCA204009研究の第2相の部分は、2 ml/分での最低4サイクルの研究治療でインフュージョンリアクションのない対象体において点滴速度の漸増が可能であった。点滴速度は、1サイクル当たり1 ml/分ずつ、5 ml/分まで増加させることが可能であった。
【0234】
5 ml/分の点滴速度の予備安全性データは、CA204003(1703)およびCA204009研究において5 ml/分までエロツズマブ点滴を漸増した対象体の分析に基づく。CA204003(1703)研究の部分では、すべての研究点滴の33%および対象体の42.5%が、5 ml/分にて点滴を受けた。≦2 ml/分で点滴投与された対象体において、7つのグレード1〜2インフュージョンリアクション、および1つのグレード3〜4インフュージョンリアクションがあった。速度>2 ml/分にてエロツズマ点滴を受けた対象体において、1つのグレード1〜2インフュージョンリアクション(悪心)がありグレード3〜4インフュージョンリアクションは無かった。無作為化第2相CA204009研究において、治験群のすべての対象体の27%およびすべての点滴の9%が5 ml/分での点滴を受けた。点滴速度>2 ml/分に達する対象体について、いずれのグレードのインフュージョンリアクションも無かった。
【0235】
予備データは、新たに診断されたおよび再発/難治性骨髄腫においてレナリドマイド/デキサメタゾンと組み合せて<1時間(5 ml/分)でのエロツズマブ投与を有する進行中の研究CA204112で利用可能である。この試験において、点滴速度は、第3のエロツズマブ投与までに5 ml/分に漸増させた。この漸増ストラテジーを用いて、69処置対象体のうち67は、5 ml/分の最大点滴速度に達し、これは点滴の>80%を占め(764点滴のうち621)、インフュージョンリアクション頻度の増加は無かった。
【0236】
同様の点滴速度漸増パラダイムは、前のエロツズマブ点滴で≧グレード2インフュージョンリアクションを経験していない対象体に適用される。最大点滴速度は5 ml/分である。
【0237】
ポマリドミドの論理的根拠
前臨床試験は、エロツズマブをポマリドミドと同様の2つの他の免疫調節薬(IMiD)と組み合せることの安全性を示した。第1、2および3相試験は、エロツズマブが安全にサリドマイドおよびレナリドマイドと組み合されることを示した。これらの研究における有害反応は、前投与レジメンで緩和される、エロツズマブにより引き起こされるインフュージョンリアクションを除いて、サリドマイドまたはレナリドマイドいずれか単独の過去の試験の結果と同様であった。レナリドマイドおよびポマリドミドは、同類の薬物であって、同様の安全性および薬物動態プロファイルを有するので、エロツズマブは、レナリドマイド−エロツズマブ組合せと同様な安全性プロファイルを誘発すると予測される。ポマリドミドは、この臨床試験に選択される集団に承認される標準治療薬である。
【0238】
デキサメタゾンと組み合せるポマリドミドは、第1/2相試験において評価された(Richardson et al., Blood, 121(11):1961-1967 (2013))。
【0239】
再発性および難治性MMの38の対象体が、第1相部分に登録され、これは、奏効または病勢進行を欠く4サイクル後にデキサメタゾン40 mg/週を加える選択肢を有する、各28日間のサイクルの1〜21日目に1日1回投与される4つの用量レベルのポマリドミド(2、3、4、5 mg)を評価した。年齢中央値は67であって、対象体のレナリドマイドおよびボルテゾミブを含む、前MMレジメン中央値は6であった。5 mgにおいて4つのDLT(グレード4の好中球減少症)があったので、MTDおよび第2相用量は4 mg/日であった。最も一般的な処置創発グレード3/4のAEは、好中球減少症(53%)、貧血(21%)、血小板減少症(18%)および疲労(16%)であった。登録された38の対象体(デキサメタゾンを加えた22の対象体を含む)のうち、42%が≧MRまたはより良好を達成し、21%が≧PRを達成し、3%がCRを達成した。この研究は、より高い奏効率がより高用量のポマリドミドを受ける対象体において生じることを示唆するが(Richardson et al., Blood, 123(12):1826-1832 (2014))、別の研究は、レナリドマイドおよびボルテゾミブの両方に失敗した患者において、毎週40 mgデキサメタゾンを伴った1日当たり2または4 mgの用量(28/28日間)でのポマリドミド間で同等奏効率、持続的奏効および全体的毒性を実証した(Lacy et al., Blood, 118(11):2970-2975 (2011))。最近のフォローアップは、2 mg/日対4 mg/日にてポマリドミドで処置した対象体が、4 mg/日の対象体において29%対35%のORR(≧PR)ならびに14.1対14.5ヵ月の奏効期間中央値および5.5対6.9ヵ月のPFS中央値をそれぞれ達成することを示した(Lacy et al., ASH Abstract 4780 (2014))。
【0240】
ポマリドミドの効果は、腎不全の患者において見られる。腎不全(クレアチニンクリアランス<60 mL/分)有りまたは腎不全(クレアチニンクリアランス>60 mL/分)無しの再発/難治性MM患者におけるポマリドミドおよび低用量DEXの非盲検第3相試験、STRATUS単独群において、両群間に同等ORR(両群について33%)、PFS中央値(3.7対4.7ヵ月)、奏効期間(6.7対8.4ヵ月)および忍容性があった(Weisel et al., Abstract, European Hematology Association, P286 (June 2015))。第3b相STRATUS試験(MM-010)においてポマリドミド+低用量デキサメタゾンで処置される難治性または再発性および難治性多発性骨髄腫および腎臓障害の患者の分析((Weisel et al., Abstract, European Hematology Association, P286 (June 2015))。
【0241】
米国FDAは、第2相試験(MM-002)に基づいてポマリドミドの迅速承認を与え、ここで該試験は、レナリドマイドおよびボルテゾミブを含む少なくとも2つの前レジメン後再発性および難治性疾患を有する対象体を無作為化し、該対象体は、最後の治療の60日以内に進行して、ポマリドミド単独(28日間のサイクルの1〜21日目に4 mg/日;n=108)または40 mg/週のデキサメタゾンとの組合せ(n=113)のいずれかで受けた(Richardson et al., Blood, 123(12):1826-1832 (2014))。両群の対象体は、レナリドマイド(約79%)、ボルテゾミブ(約71%)または両方(約62%)に対して同程度に難治性であり、95%が>2の前治療レジメンを有する。ポマリドミド+デキサメタゾン群についてポマリドミド単独群と比較してそれぞれ、14.2ヵ月のフォローアップ中央値を有し、PFS中央値は4.2および2.7ヵ月(HR=0.68、P=0.003)であり、ORR(≧PR)は33%対18%(P=.013)であり、奏効期間中央値は8.3対10.7ヵ月であり、OS中央値は16.5対13.6ヵ月であった。最も一般的な血液学的グレード3/4のAEは、ポマリドミド+デキサメタゾン群をポマリドミド単独群と比較してそれぞれ肺炎(22%対15%)および疲労(14%対11%)であった。DVTの発生率のように(2%対3%)、発熱性好中球減少症の頻度は低かった(3%対5%)。報告された末梢ニューロパシーのグレード3または4事象は無かった。
【0242】
EMAは、第3相試験(MM-003/NIMBUS試験)に基づいて欧州においてポマリドミドの承認を与え、ここで該試験は、難治性または再発性および難治性MM対象体において低用量デキサメタゾン対高用量デキサメタゾンとのポマリドミドの組合せを評価した。計455名の患者が2:1の比で無作為に割り当てられ、ポマリドミド+低用量デキサメタゾン(N=302)または高用量デキサメタゾン(N=153)を受けた。
【0243】
ポマリドミドは、各28日間のサイクルの1〜21日目に経口で4 mgにて投与され、デキサメタゾンは、1、8、15および22日目に40 mg/日の低用量にて、または1〜4、9〜12および17〜20日目に40 mg/日の高用量にて与えられた。処置は、病勢進行または許容されない毒性まで継続した。研究の第1エンドポイントは、無増悪生存期間(PFS)であった。ポマリドミド+低用量デキサメタゾンでのPFS中央値は、4.0ヵ月(95% CI 3.6〜4.7)であるのに対し、高用量デキサメタゾンでは1.9ヵ月(1.9〜2.2)(HR 0.48 [95% CI 0.39〜0.60];p<0.0001)であった。OS中央値もまた有意に長かった(12.7ヵ月 [95% CI 10.4〜15.5]対8.1ヵ月 [6.9〜10.8];HR 0.74 [0.56〜0.97];p=0.0285)。10.0ヵ月のフォローアップ中央値後の客観的奏効率は、ポマリドミド+低用量デキサメタゾン群において31%対高用量デキサメタゾン群において10%(オッズ比 [OR] 4.22 [2.35〜7.58];p <0.0001)であった。
【0244】
ポマリドミド+低用量デキサメタゾンおよび高用量デキサメタゾン群それぞれにおいて、最も一般的なグレード3〜4の血液学的有害事象は、好中球減少症(48%対16%)、貧血(33%対37%)および血小板減少症(22%対26%)であった。最も一般的なグレード3〜4の非血液学的有害事象は、肺炎(13%対8%)、骨痛(7%対5%)および疲労(5%対6%)であった。
【0245】
この研究におけるポマリドミドの計画用量は、低用量デキサメタゾン(経口で1、8、15および22日目に40 mg/日)と組み合せた、各28日間のサイクルの1〜21日目に経口で4 mgであり、これはこの集団における処置のための承認用量およびスケジュールである。
【0246】
エンドポイント
第1エンドポイント
PFSは、無作為化から最初に文書で記録された腫瘍進行または任意の原因による死亡の日までの、月での時間として定義される。臨床的悪化は、進行とはみなされない。進行または死亡しない対象体は、最後の腫瘍評価の日に打ち切られる。ベースライン後の腫瘍評価が全くなく、死亡していない対象体は、無作為化された日に打ち切られる。
【0247】
第2エンドポイント
第2エンドポイントには、(i)調査者の評価のように表4の基準を用いて部分奏効(PR)の最も良好なまたはより良好な奏効を達成する無作為化対象体の割合として定義される、客観的奏効率;ならびに(ii)無作為化から任意の原因での死亡の日までの時間として定義される、全生存期間が含まれる。対象体が死亡しない場合、生存時間は、最後の接触日(「最後の既知の生存日」)に打ち切られる。無作為化されたがフォローアップがない場合、対象体は無作為化の日に打ち切られる。
【0248】
統計的分析
中間分析
奏効率およびPFSを含む有効性データを中間分析の時点で調査される。
【0249】
最終分析
この研究の第1の目的は、2つの無作為化間でのPFSを比較することである。前治療のライン数(2〜3対≧4)および研究エントリー時のISSステージ(I〜II対III)により層別化される、両側α=0.2ログランク検定が、E-Pdを受けるよう無作為化される対象体のPFSをPdに無作為化される対象体のものと比較するために用いられる。1つの共変数として処置群のPFSのための層別化Cox比例ハザードモデルが、HRおよび対応する80%信頼区間(CI)を報告するために用いられる。PFS中央値は、Kaplan-Meier積極限法により推定される。PFS中央値の両側80%CIは、Brookmeyer-Crowley法により各無作為化群について計算される。PFS中央値の両側95%CIもまた計算される。PFSのKaplan-Meierプロットが示される。
【0250】
客観的奏効率は第2エンドポイントである。PFSにおけるものと同じ因子を用いて層別化される、両側α=0.2レベルCochran-Mantel-Haenszel(CMH)検定が、処置群間の奏効率を比較するために用いられる。奏効率は、正確な両側80%CIと共に、各処置群内で計算される。処置群間の奏効率の差についての両側、95%CIもまた計算される。
【0251】
OSは第2エンドポイントである。OSは、両側、α=0.2レベル層別ログランク検定を用いて(PFSにおけるものと同じ因子を用いて)全ての無作為化対象体のうち処置群間を比較する。PFSおけるものと同様の分析をOSについて行う。
【0252】
発明の背景、詳細な説明、図面の簡単な説明および実施例で引用される各文書の開示全体(特許、特許出願、学術雑誌記事、抄録、実験室マニュアル、書籍、GENBANK(登録商標)アクセション番号、SWISS-PROT(登録商標)アクセション番号または他の開示を含む)は、出典明示によりその全体として本明細書の一部する。また、本明細書と共に提出される配列表のハードコピーは、対応する読み取り形式に加えて、出典明示により本明細書の一部する。
【0253】
本発明は、本明細書に開示された実施形態により範囲が限定されるべきではなく、これらの実施形態は本発明の個々の態様を単に例示するものとして意図されたものであり、機能的に同等のものはいずれも本発明の範囲内である。本発明のモデルおよび方法に対する様々な改変は、本明細書に記載のモデルおよび方法に加えて、先の記述および教示から当業者に明らかであろうし、同様に本発明の範囲内に入ることが意図されている。これらの改変または他の改変は、本発明の真の範囲および精神から逸脱することなく行われ得る。
図1
図2-A】
図2-B】
図3-A】
図3-B】
図3-C】
図3-D】
図3-E】
図3-F】
図3-G】
図3-H】
図4-A】
図4-B】
図5-A】
図5-B】
図5-C】
図5-D】
図5-E】
図5-F】
図5-G】
図5-H】
図6
図7
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]