特許第6754792号(P6754792)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754792
(24)【登録日】2020年8月26日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 57/00 20060101AFI20200907BHJP
   A01D 61/00 20060101ALI20200907BHJP
   A01D 67/00 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
   A01D57/00 A
   A01D61/00 301M
   A01D67/00 D
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-48114(P2018-48114)
(22)【出願日】2018年3月15日
(62)【分割の表示】特願2014-197175(P2014-197175)の分割
【原出願日】2014年9月26日
(65)【公開番号】特開2018-110593(P2018-110593A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2018年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】小林 宜泰
(72)【発明者】
【氏名】タン チア ユアン
(72)【発明者】
【氏名】林 茂幸
(72)【発明者】
【氏名】成田 靖
(72)【発明者】
【氏名】一二三 慶城
【審査官】 田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−183680(JP,A)
【文献】 特許第2511553(JP,B2)
【文献】 特開2004−123284(JP,A)
【文献】 実開昭60−173514(JP,U)
【文献】 実開昭62−068528(JP,U)
【文献】 特開2007−068409(JP,A)
【文献】 実開昭64−028828(JP,U)
【文献】 米国特許第05768868(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 61/00−61/04
A01D 57/00−57/30
A01D 67/00−67/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に植立する作物を収穫するとともに、後部に開口が形成された収穫ヘッダと、
前記収穫ヘッダよりも幅狭に形成されるともに前記開口に連結され、前記収穫ヘッダにおいて収穫された収穫作物を後方に向けて搬送するフィーダと、
前記収穫ヘッダに左右方向に沿う横軸心周りで回転可能に支持され、前記開口に向けて収穫作物を横送りするオーガと、が備えられ、
前記収穫ヘッダは、左右方向において前記フィーダよりも幅広に構成され、且つ、前記フィーダに対して左右方向一方側に偏倚した状態で前記フィーダに連結され、
前記オーガに、前記横軸心周りで回転駆動する円筒状のドラムと、螺旋状に連続する状態で前記ドラムの外周面に巻き回され、前記ドラムの回転駆動によって回転して収穫作物に横送り作用するスクリュー羽根と、前記ドラムのうちの前記開口に対応する箇所に左右方向において分散した状態で設けられ、前記スクリュー羽根によって横送りされた収穫作物を前記ドラムの回転駆動によって前記フィーダに掻き込む複数の掻込フィンガと、が備えられ、
前記スクリュー羽根は、前記開口の左右方向中央部を挟んで、前記左右方向一方側の第1スクリュー羽根と、左右方向他方側の第2スクリュー羽根とを有し、
前記第1スクリュー羽根及び前記第2スクリュー羽根は、前記開口の縁部よりも前記左右方向中央部の側まで延ばされ、
前記第1スクリュー羽根は、前記第2スクリュー羽根よりも前記左右方向中央部寄りに延ばされ、
前記第1スクリュー羽根は、前記ドラムの径方向外側に位置するほど前記開口に近づくように前記ドラムの外周面の鉛直面に対して前記開口側に向けて傾斜した状態で、前記ドラムにおける左右方向の端部から、前記複数の掻込フィンガのうち、左右方向で最も前記開口の縁部に近い位置にある掻込フィンガよりも前記左右方向中央部の側まで延ばされて、前記複数の掻込フィンガのうちの複数個と左右方向で重複している収穫機。
【請求項2】
前記スクリュー羽根は、前記ドラムの周方向において分割された複数の分割羽根を接合することで一連の羽根に構成され、
前記複数の分割羽根は、搬送方向下流側の前記分割羽根の搬送面における搬送方向上流側端部が搬送方向上流側の前記分割羽根の搬送面における搬送方向下流側端部よりも段下がりとなるように、互いに接合され、
前記分割羽根の搬送方向中間箇所における搬送面とは反対側の面と前記ドラムの外周面とに亘る補強プレートが備えられている請求項に記載の収穫機。
【請求項3】
前記開口が前記収穫ヘッダの中間箇所に形成され、かつ、前記オーガが前記開口を挟んで左右に延ばされ、
前記開口に対して左右方向一方側に位置する前記スクリュー羽根及び前記開口に対して左右方向他方側に位置する前記スクリュー羽根の両方が、前記ドラムの外周面の鉛直面に対して前記開口側に向けて傾斜している請求項1または2に記載の収穫機。
【請求項4】
前記フィーダは、前記収穫ヘッダのうち、前記収穫ヘッダの左右方向中心位置に対して左右方向一方側に偏倚した箇所に接続され、
前記スクリュー羽根は、前記開口を挟んで左右両側に設けられ、
左右の前記スクリュー羽根のうち、左右方向他方側に位置するスクリュー羽根は、左右の前記スクリュー羽根のうち、左右方向一方側に位置するスクリュー羽根よりも、前記縁部からの突出長さが長い請求項1からのいずれか一項に記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に植立する作物を収穫する収穫ヘッダと、収穫ヘッダに形成された開口に連結され、収穫ヘッダにおいて収穫された収穫作物を後方に向けて搬送するフィーダと、が備えられている収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記の特許文献1に、従来の収穫機が記載されている。この収穫機には、圃場に植立する作物を収穫する収穫ヘッダ(特許文献1では「収穫部フレーム」)と、収穫ヘッダに形成された開口(特許文献1では「接続用開口部」)に連結され、収穫ヘッダにおいて収穫された収穫作物を後方に向けて搬送するフィーダと、収穫ヘッダに左右方向に沿う横軸心周りで回転可能に支持され、開口に向けて収穫作物を横送りするオーガ(特許文献1では「横送りオーガ」)と、が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−183680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的に、フィーダは、収穫ヘッダのうち収穫ヘッダの左右方向中心よりも左右方向一方側に偏倚した箇所に連結されている。このため、上記のような従来の収穫機では、回転駆動されるオーガからフィーダに供給される収穫作物の供給量が左右いずれか一方に偏りがちとなり、フィーダにおいて収穫作物の詰まりが発生しやすくなっていた。
【0005】
上記実情に鑑み、フィーダにおける収穫作物の詰まりの発生を抑制できる収穫機の提供が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る収穫機の特徴構成は、圃場に植立する作物を収穫する収穫ヘッダと、前記収穫ヘッダに形成された開口に連結され、前記収穫ヘッダにおいて収穫された収穫作物を後方に向けて搬送するフィーダと、前記収穫ヘッダに左右方向に沿う横軸心周りで回転可能に支持され、前記開口に向けて収穫作物を横送りするオーガと、前記開口に配置され、前記オーガにより横送りされる収穫作物を前記開口における左右方向中心側に向けて案内するガイド部材と、が備えられている点にある。
【0007】
本発明によると、収穫ヘッダにおいて収穫された収穫作物が、回転駆動されるオーガにより開口に向けて横送りされてから、さらに、開口に配置されるガイド部材により開口における左右方向中心側に案内される。これにより、フィーダに供給される収穫作物が左右方向に偏ることが回避され、フィーダにおける左右方向中心側に収穫作物が供給されるものとなるので、フィーダにより収穫作物の搬送をスムーズに行うことが可能となり、フィーダにおいて収穫作物の詰まりが発生する可能性を効果的に低減させることができる。
したがって、本発明によれば、フィーダにおける収穫作物の詰まりの発生を抑制できる。
【0008】
本発明において、前記ガイド部材が、前記開口の外周部から前記開口における左右方向中心側へ突出する状態で設けられていると好適である。
【0009】
本構成によれば、ガイド部材により収穫作物が開口の外周部から開口における左右方向中心側まで案内されてからフィーダに供給されるので、フィーダにおいて収穫作物が左右に偏りにくくなり、フィーダ内における収穫作物の詰まりの発生を好適に抑制できる。
【0010】
本発明において、前記ガイド部材が、前記開口の上縁部及び前記開口の下縁部と離間した状態で設けられていると好適である。
【0011】
本構成によれば、開口の上縁部とガイド部材の上端部との間の空間、及び、開口の下縁部とガイド部材の下端部との間の空間において、収穫作物の流通が可能となる。これにより、例えば、フィーダにおいて収穫作物の詰まりが生じた際等に、フィーダ側から収穫ヘッダ側に向けて収穫作物を排出する場合に、ガイド部材が収穫作物の排出を阻害することがなく、フィーダから収穫作物をスムーズに排出させることができる。
【0012】
本発明において、前記フィーダが、前記収穫ヘッダのうち前記収穫ヘッダにおける左右方向中心から左右方向一方側に偏倚した箇所に連結され、前記ガイド部材が、前記開口における左右方向中心よりも左右方向他方側に偏倚した箇所に設けられていると好適である。
【0013】
本構成によれば、収穫ヘッダのうち収穫ヘッダにおける左右方向中心よりも左右方向一方側に偏倚した箇所にフィーダが連結されているので、開口に供給される収穫作物の供給量は、左右方向他方側の領域の方が左右方向一方側の領域よりも多くなる傾向にある。しかし、ガイド部材により、左右方向他方側から開口に向けて供給される収穫作物を開口の左右方向中心側へ案内するようしているので、フィーダの左右方向他方側に収穫作物が偏って供給される状態が生じることが回避され、フィーダにおける収穫作物の詰まりの発生を好適に抑制できる。
【0014】
本発明において、前記フィーダに、駆動力が入力される駆動輪体と、前記駆動輪体と前後方向に離間して配置される従動輪体と、前記駆動輪体と前記従動輪体とに亘って巻回される左右一対の無端回動体と、前記左右一対の無端回動体に亘って架設され、前記左右一対の無端回動体の回動方向に沿って並べて配置される複数の搬送体と、が備えられ、前記ガイド部材が、前記開口における左右方向他方側の側部から前記左右一対の無端回動体のうち左右方向他方側の無端回動体に対応する位置まで左右方向に沿って延ばされていると好適である。
【0015】
本構成によれば、フィーダでは、回動駆動される左右一対の無端回動体の回動方向に沿って並べて配置される複数の搬送体を用いて収穫作物が搬送される。ガイド部材が、開口左右方向一方側の側部から左右方向他方側の無端回動体に対応する位置まで左右方向に沿って延ばされているので、ガイド部材により案内されてフィーダに供給される収穫作物が、回動駆動される搬送体にスムーズに引き継がれる。よって、フィーダにおいて収穫作物の詰まりが発生することを好適に抑制可能となり、フィーダにより収穫作物を安定して搬送できる。
【0016】
本発明において、前記ガイド部材が、前記収穫ヘッダの後壁に沿った状態で前記後壁に支持されていると好適である。
【0017】
本構成によれば、収穫ヘッダの後壁を利用して後壁に沿った状態でガイド部材を支持するので、ガイド部材が安定して支持されると共に、簡素な構造にできる。
【0018】
本発明において、前記後壁に、前記オーガにより横送りされる収穫作物に対して掻き落とし作用を及ぼすスクレーパが備えられ、前記ガイド部材が、前記スクレーパに取り付けられていると好適である。
【0019】
本構成によれば、後壁に備えられるスクレーパによって、オーガにより横送りされる収穫作物のうち遠心力によりオーガの径方向外側へ飛び出そうとする収穫作物が掻き落とされる。これにより、オーガに対する藁の絡み付きが生じにくくなる。オーガにより横送りされる収穫作物を開口における左右方向中心側に向けて案内するガイド部材が、このようなスクレーパを利用して取り付けられているので、簡素な構造にできる。
【0020】
本発明において、前記オーガに、前記横軸心周りに回転駆動されるドラムと、前記ドラムの外周に螺旋状に取り付けられ、前記ドラムの回転駆動により収穫作物に対して横送り作用を及ぼす左右のスクリュー羽根と、が備えられ、前記ガイド部材が位置する側の前記スクリュー羽根の搬送終端位置が、左右方向において、前記ガイド部材よりも前記開口における左右方向中心側寄りの箇所に設定されていると好適である。
【0021】
本構成によれば、オーガのスクリュー羽根によって収穫作物がガイド部材よりも開口の中心側へ横送りされるので、フィーダにおける左右方向中心側寄りの箇所に収穫作物が供給されるようになり、フィーダにおける収穫作物の詰まりの発生を好適に抑制できる。
【0022】
本発明において、前記オーガに、前記横軸心周りに回転駆動されるドラムと、前記ドラムの外周に螺旋状に取り付けられ、前記ドラムの回転駆動により収穫作物に対して横送り作用を及ぼす左右のスクリュー羽根と、が備えられ、前記スクリュー羽根のうち前記開口近傍に位置する部位における搬送面が、前記ドラムの径方向外側に位置するほど前記開口側に近付くように傾斜していると好適である。
【0023】
本構成によれば、スクリュー羽根のうち開口近傍に位置する部位における搬送面が、ドラムの径方向外側に位置するほど開口側に近付くように傾斜しているので、収穫作物が開口近傍においてドラムの径方向外側に飛散しにくくなると共に、収穫作物を開口に向けて効率良く送り込むことができる。
【0024】
本発明において、側面視において、前記フィーダの底部と前記収穫ヘッダの底部とが直線状になるように連結されていると好適である。
【0025】
本構成によれば、フィーダの底部と収穫ヘッダの底部との間で収穫作物の滞留が生じにくい構造にできる。これにより、収穫ヘッダからフィーダへ供給される収穫作物の供給量が安定し、フィーダにおいて収穫作物の詰まりが発生することを好適に抑制できる。
尚、「フィーダの底部と収穫ヘッダの底部とが直線状になるように連結されている」という概念には、フィーダの底部と収穫ヘッダの底部とが180度の角度をなすように連結されているものだけでなく、フィーダの底部と収穫ヘッダの底部とが180度近傍の角度をなすように連結されているものが含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】全稈投入型コンバインの全体側面図である。
図2】全稈投入型コンバインの全体平面図である。
図3】収穫部の内部構造を示す側面図である。
図4】収穫ヘッダを示す背面図である。
図5】収穫部を示す平面図である。
図6】収穫部の内部構造を示す平面図である。
図7】収穫ヘッダの周辺を示す側面図である。
図8】刈刃ガードの周辺を示す背面図である。
図9】ウェイトの周辺を示す正面図である。
図10】別実施形態におけるオーガを示す斜視図である。
図11】別実施形態におけるオーガを示す断面図である。
図12】別実施形態における収穫部の内部構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一例である実施形態を、図面に基づいて説明する。尚、以下の説明では、図1図2に示される普通型コンバイン(「収穫機」の一例)の前進方向を基準に左右を定めるものとする。
【0028】
普通型コンバインは、稲、小麦、大豆等の作物を収穫するように構成されている。図1図2に示されるように、普通型コンバインには、左右一対のクローラ走行装置10に支持された機体フレーム11を有する走行機体が備えられている。そして、普通型コンバインには、駆動力を供給するエンジン12、植立作物を収穫する収穫部13、収穫部13により収穫された収穫作物を脱穀処理する脱穀装置14、脱穀装置14により脱穀処理された穀粒を貯留する穀粒貯留部15、穀粒貯留部15に貯留された穀粒を機外に排出可能なアンローダ16、操縦者が搭乗して運転操作する運転部17等が備えられている。
【0029】
収穫部13は、走行機体の前部側に配置されている。脱穀装置14は、収穫部13の後方側に配置されている。穀粒貯留部15は、脱穀装置14の横側方側に配置されている。
運転部17は、走行機体の中央部側に位置しており、穀粒貯留部15の前方側に配置されている。運転部17には、操縦者が着座する運転座席18、入力操作用の各種の操作レバー19等が備えられている。
【0030】
図1に示されるように、収穫部13は、油圧シリンダからなる収穫昇降シリンダ20の伸縮駆動により、横向きの収穫昇降軸心P1周りに揺動操作となっており、収穫作業を行う下降作業状態と収穫作業を行わない上昇非作業状態との間で、機体フレーム11側に対して上下昇降可能に構成されている。収穫部13には、圃場に植立する作物を収穫するように構成されている収穫ヘッダ21と、収穫ヘッダ21により収穫された収穫作物を後方に向けて脱穀装置14まで搬送するフィーダ22と、が備えられている。
【0031】
[収穫ヘッダについて]
図2に示されるように、収穫ヘッダ21の左右幅(刈幅)は、左右のクローラ走行装置10の横外端部間の距離よりも大きくなっている。すなわち、収穫ヘッダ21による植立作物の刈跡に形成される左右のクローラ走行装置10の踏みしろが、左右方向に大きく確保されるようになっている。説明を加えると、運転部17から遠い側に位置して未刈側となる場合が多い左のクローラ走行装置10の踏みしろの左右幅の方が、右のクローラ走行装置10の踏みしろの左右幅よりも大きくなっている。これにより、走行機体の旋回時等に、左右のクローラ走行装置10による未収穫作物の踏みつけが生じにくくなっている。
【0032】
図1図2に示されるように、収穫ヘッダ21には、収穫フレーム23と、左右一対のデバイダ24と、回転リール25と、刈刃装置26と、オーガ27と、が備えられている。デバイダ24、回転リール25、刈刃装置26、オーガ27は、収穫フレーム23に支持されている。デバイダ24は、圃場に植立する作物を、収穫対象の作物と、非収穫対象の作物とに梳き分けるように構成されている。回転リール25は、ベルト機構等により構成されるリール伝動機構(図示なし)等を介してエンジン12から伝達される駆動力に基づいて回転駆動されることにより、圃場に植立する収穫対象の作物の掻き込みを行うように構成されている。回転リール25は、図1図7に示される左右一対の支持アーム28を介して、収穫ヘッダ21に支持されている。回転リール25は、左右の支持アーム28毎に設けられる油圧シリンダからなるリール昇降シリンダ29の伸縮駆動により、左右の支持アーム28を介して横向きのリール昇降軸心P2周りに揺動可能となっており、収穫フレーム23に対して上下昇降可能に構成されている。図1図3図7図9に示される刈刃装置26は、バリカン形に形成され、回転リール25により掻き込まれる植立作物の株元を切断するように構成されている。図1図3図5図7に示されるオーガ27は、刈刃装置26により切断された収穫作物を左右中央側へと横送りして集め、後方側に位置するフィーダ22へ搬送するように構成されている。
【0033】
図1図7に示されるように、収穫フレーム23には、オーガ27の下方に位置する搬送デッキ30と、搬送デッキ30の左右両端に夫々立設される左右一対の側壁31と、搬送デッキ30の後端部及び左右の側壁31の後端部に連設される後壁32と、が備えられている。図2図6に示されるように、後壁32には、収穫ヘッダ21における左右方向中心C1よりも左右方向一方側である左側に偏倚した箇所に、フィーダ22側へ収穫作物を搬送する開口Aが形成されている。図4図6に示されるように、後壁32に形成される開口Aには、収穫作物を案内するガイド部材34が備えられている。また、図3図6に示されるように、後壁32には、オーガ27により横送りされる収穫作物に対して掻き落とし作用を及ぼす上スクレーパ35(「スクレーパ」の一例)及び上スクレーパ35の下方に位置する下スクレーパ36(「スクレーパ」の一例)が備えられている。上スクレーパ35は、開口Aを挟んで左右一対で備えられている。下スクレーパ36は、開口Aを挟んで左右一対で備えられている。上スクレーパ35及び下スクレーパ36は、夫々、左右方向に沿って延びるL字状のアングル材で構成され、後壁32にボルト連結されている。
【0034】
[フィーダについて]
図2図3図5図6に示されるように、フィーダ22は、収穫ヘッダ21に形成された開口Aに連結されている。フィーダ22は、収穫ヘッダ21のうち収穫ヘッダ21の左右方向中心C1から左右方向一方側である左側に偏倚した箇所に連結されている。
【0035】
図1図6に示されるように、フィーダ22には、フィードケース40と、駆動輪体41と、従動輪体42と、左右一対の無端回動チェーンからなる無端回動体43と、複数の搬送体44と、が備えられている。
【0036】
フィードケース40は、角筒状に構成されている。フィードケース40には、底板部45と、底板部45の左右端部から夫々立設される左右の側板部46と、左右の側板部46の上側を覆う天板部47と、が備えられている。フィードケース40の前端部には、収穫ヘッダ21に形成された開口Aに連通される入口部が形成されている。また、フィードケース40の後端部には、脱穀装置14の投入口に連通される出口部が形成されている。
【0037】
駆動輪体41には、エンジン12からの駆動力が入力されるようになっている。図1に示されるように、従動輪体42は、駆動輪体41と前後方向に離間して配置され、駆動輪体41の前方側に位置している。図1図6に示されるように、左右の無端回動体43は、夫々、駆動輪体41と従動輪体42とに亘って巻回されている。複数の搬送体44は、夫々、左右方向に沿って延び、左右一対の無端回動体43に亘って架設されている。各搬送体44は、左右一対の無端回動体43の回動方向に沿って並べて配置されている。各搬送体44の左右両端部は、夫々、無端回動体43よりもフィードケース40の側板部46に近付くように左右方向に長く延出されている。
【0038】
フィーダ22は、収穫ヘッダ21から脱穀装置14に向けて収穫作物を搬送するように左右の無端回動体43を駆動する正転状態と、脱穀装置14から収穫ヘッダ21に向けて収穫作物を搬送するように左右の無端回動体43を駆動する逆転状態と、に切り換えることが可能に構成されている。通常時は、フィーダ22は、正転状態で駆動され、収穫ヘッダ21から開口Aを通じて供給される収穫作物を脱穀装置14に向けて搬送する。一方、フィーダ22において収穫作物の詰まり等が生じた際には、逆転状態で駆動され、フィーダ22内の収穫作物を、開口Aを通じて収穫ヘッダ21側へ排出可能となっている。
【0039】
[収穫ヘッダとフィーダの連結について]
図3に示されるように、収穫ヘッダ21の後端下部に位置する下部被連結部37Aとフィーダ22の前端下部に位置する下部連結部37Bとが、左右方向の複数箇所においてボルト等(図示なし)で連結されるようになっている。フィーダ22の前端上部に位置する上部連結部38の前端部の爪体が収穫ヘッダ21の開口Aに入り込んで、収穫ヘッダ21を下方から支持するようになっている。また、フィーダ22の右側に連結固定される支持構造体39の前端部の爪体が、後壁32において収穫ヘッダ21における左右方向中心C1を挟んで開口Aの反対側に形成された収穫ヘッダ21の連結口B(図4図5等参照)に入り込んで、収穫ヘッダ21を下方から支持するようになっている。
【0040】
図3に示されるように、収穫ヘッダ21とフィーダ22とは、側面視において、フィーダ22の底部に位置する底板部45と、収穫ヘッダ21の底部に位置する搬送デッキ30とが、直線状になるように連結されている。具体的には、フィーダ22の底部に位置する底板部45と、収穫ヘッダ21の底部に位置する搬送デッキ30とが、180度の角度をなすように一直線に連結されている。
【0041】
[ガイド部材について]
図4図6に示されるガイド部材34は、耐摩耗性を有する剛体状のプレートとされている。図4に示されるように、ガイド部材34は、背面視で、矩形状の形状とされている。図4図6に示されるように、ガイド部材34は、平板状の支持部材48により、後壁32に支持されている。ガイド部材34は、上スクレーパ35及び下スクレーパ36と共に後壁32に対してボルトで共締め固定されている。つまり、ガイド部材34は、上スクレーパ35及び下スクレーパ36に取り付けられている。
【0042】
図4図6に示されるように、ガイド部材34は、開口Aに配置されている。ガイド部材34は、開口Aにおける左右方向中心C2よりも左右方向他方側に偏倚した箇所に設けられている。ガイド部材34は、オーガ27により横送りされる収穫作物を開口Aにおける左右方向中心C2側に向けて案内するように構成されている。ガイド部材34は、収穫ヘッダ21の後壁32に沿った状態で後壁32に支持されている。ガイド部材34は、開口Aの外周部から開口Aにおける左右方向中心C2側へ全体が突出する状態で設けられている。ガイド部材34は、開口Aにおける左右方向他方側の側部から左右一対の無端回動体43のうち左右方向他方側の無端回動体43に対応する位置まで左右方向に沿って延ばされている。ガイド部材34は、開口Aの上縁部AU及び開口Aの下縁部ADと隙間を空けて離間した状態で設けられている。つまり、ガイド部材34は、上下方向において開口Aを部分的に塞ぐような状態で設けられている。このため、フィーダ22を逆転状態で駆動した際に、開口Aの上縁部AUとガイド部材34の上端部との間に形成される上側空間S1、及び、開口Aの下縁部ADとガイド部材34の下端部との間に形成される下側空間S2から、フィーダ22側から収穫ヘッダ21側に向けてスムーズに収穫作物を排出できるようになっている。
【0043】
[オーガについて]
図1図2図5図6に示されるように、オーガ27は、収穫ヘッダ21に左右方向に沿う横軸心X周りで回転可能に支持されている。オーガ27は、開口Aに向けて収穫作物を横送りするように構成されている。
【0044】
図5図6に示されるように、オーガ27には、収穫フレーム23の左右の側壁31に回動自在に支持され、左右向きの横軸心X周りに回転駆動される左右方向に沿った駆動軸49と、駆動軸49に連結され、横軸心Xから偏心した左右方向に沿った偏心軸50と、複数の中間部材51を介して駆動軸49に固定される円筒状のドラム52と、偏心軸50に固定される複数のフィンガ53と、左右一対のスクリュー羽根54と、搬送プレート55と、が備えられている。駆動軸49における左右方向一方側は、左の側壁31に回動自在に支持されている。駆動軸49における左右方向他方側は、右の側壁31に回動自在に支持されると共に、右の側壁31よりも横外側に突出する突出端部56が形成されている。この突出端部56に、エンジン12の駆動力をオーガ27に伝達するオーガ伝動機構の入力回転体57が連結されている。ドラム52は、エンジン12の駆動力により左右向きの横軸心X周りに回転駆動されるように構成されている。図3図5図6図7に示されるように、左右のスクリュー羽根54は、夫々、ドラム52の回転駆動により収穫作物に対して横送り作用を及ぼすように構成されている。ドラム52の回転駆動に伴い、各フィンガ53がドラム52と連れ回りして偏心軸50が横軸心X周りに回転されることにより、各フィンガ53がドラム52の外周面を出退動するようになっている。左右のスクリュー羽根54の搬送面Dと反対側の面と、ドラム52の外周面との間には、三角形状の補強プレート58が溶接等により固定されて備えられている。
【0045】
[スクリュー羽根の長さについて]
図5図6に示されるように、右のスクリュー羽根54(第1スクリュー羽根の一例)は、左のスクリュー羽根54(第2スクリュー羽根の一例)よりも左右方向に長く形成されている。ガイド部材34が位置する側である右のスクリュー羽根54の搬送終端位置は、左右方向において、ガイド部材34よりも開口Aにおける左右方向中心C2寄りの箇所に設定されている。左のスクリュー羽根54の搬送終端位置は、左右方向において、開口Aの左端部よりも、開口Aにおける左右方向中心C2寄りの箇所に設定されている。これにより、左右のスクリュー羽根54によって、開口Aにおける左右方向中心C2寄りの箇所まで収穫作物が横送りされ、フィーダ22の左右方向中心(開口Aにおける左右方向中心C2)側へ収穫作物を供給することができる。
【0046】
フィーダ22の左の側板部46と、左のスクリュー羽根54の搬送終端部との間の左右方向の距離W1は、ガイド部材34の開口Aにおける左右方向中心C2側の端部と、右のスクリュー羽根54の搬送終端部との間の左右方向の距離W2とは、略等しい距離に設定されている。
【0047】
[スクリュー羽根の傾斜について]
図6に示されるように、左右のスクリュー羽根54は、夫々、ドラム52の外周面に対して90度から所定角度R(例えば、約20度)だけ開口A側へ内向きに傾斜した状態で接合されている。すなわち、スクリュー羽根54のうち開口A近傍に位置する部位における搬送面Dは、ドラム52の径方向外側に位置するほど開口A側に近付くように傾斜している。これにより、左右のスクリュー羽根54により、収穫作物がドラム52の径方向外側へ飛び出すことが抑制される。その結果、オーガ27の駆動軸49等に対して収穫作物の巻き付き等が生じにくくなり、オーガ27における収穫作物の詰まりの発生を好適に抑制できる。
【0048】
尚、左右のスクリュー羽根54は、夫々、ドラム52の外周面を180度ずつ囲む分割羽根を複数接合することに構成されている。補強プレート58は、分割羽根の搬送始端部と搬送終端部との中間箇所に位置している。補強プレート58により、ドラム52の外周面に対する左右のスクリュー羽根54の取り付け角度が一定に保たれるように位置決めされている。分割羽根同士は、搬送下流側の分割羽根の搬送面Dの搬送下流端部が、搬送上流側の分割羽根の搬送面Dの搬送上流端部よりも段下がりとなって接合されるようになっている。これにより、分割羽根同士の接合箇所において、収穫作物の引っ掛かりが生じにくくなっている。
【0049】
[スクリュー羽根とフィンガとの関係について]
図3図5図7に示されるように、ドラム52の外周面からドラム52の径方向外側にフィンガ53が突出する際に、フィンガ53により収穫作物がドラム52の径方向外側に押されるが、左右のスクリュー羽根54が、夫々、ドラム52の径方向外側に向かうにつれて開口A側に位置するように傾斜した状態でドラム52の外周面に接続されているので、収穫作物が、左右のスクリュー羽根54の作用により、ドラム52の径方向外側に飛び出すことが抑制されるようになっている。
【0050】
[フィンガの配置態様について]
図6に示されるように、オーガ27には、10個のフィンガ53が備えられている。10個のフィンガ53のうち、開口Aに対応する箇所には、7個の掻込フィンガ53Aが備えられている。これら7個の掻込フィンガ53Aよりも左側には、1個のフィンガ53Bが備えられている。また、これら7個の掻込フィンガ53Aよりも右側には、間隔を空けて2個のフィンガ53Cが備えられている。このように、収穫ヘッダ21において開口Aの左側の領域よりも左右方向における搬送距離が長い右側の領域に2個のフィンガ53Cを、間隔を空けて配置しているので、収穫ヘッダ21の右側の領域において収穫作物の絡み付きが発生することが好適に抑制されるようになっている。
【0051】
[搬送プレートについて]
図3図5図7に示される搬送プレート55は、オーガ27の中央部側に配置されている。搬送プレート55は、左のスクリュー羽根54と右のスクリュー羽根54との間に位置している。搬送プレート55は、側面視で三角形状となっている。オーガ27の外周面には、左右方向に長く形成された取付プレート59が固定されている。搬送プレート55は、開口Aの左右幅と略等しい左右幅に形成されている。搬送プレート55は、取付プレート59に対して、左右方向に間隔を空けて複数のボルトで連結固定されている。搬送プレート55は、回転駆動されるドラム52と一体的に回転して、収穫作物を開口A側へ搬送するようになっている。この搬送プレート55は、従来のものに比べて全体のサイズが大きく形成されている。説明を加えると、搬送プレート55は、従来のものに比べて、ドラム52の径方向での長さが長く、且つ、ドラム52の円周方向での長さが長くなるように形成されている。これにより、収穫ヘッダ21における収穫作物の処理量が増加したとしても、搬送プレート55により収穫作物が好適に搬送されるようになっている。
【0052】
[ウェイトについて]
図7図9に示されるように、刈刃装置26は、機体フレーム11側に固定される固定フレーム60に連結固定される受刃体61と、固定フレーム60に対して相対動可能な可動フレーム62に固定支持され、受刃体61に対して左右方向に可動される可動刃63と、が備えられている。可動刃63は、エンジン12からの駆動力が入力される刈刃伝動機構64から駆動力に基づいて駆動されるように構成されている。
【0053】
図7に示されるように、刈刃伝動機構64には、左右方向に沿った刈刃駆動軸65と、前後方向に沿った中継伝動軸66と、変換機構67と、揺動アーム68と、ウェイト69と、が備えられている。刈刃駆動軸65は、エンジン12からの駆動力が入力されて回転駆動される。変換機構67は、刈刃駆動軸65の一方向の回転を中継伝動軸66の往復回転に変換するように刈刃駆動軸65と中継伝動軸66とを連結している。揺動アーム68は、中継伝動軸66の前端部に連結固定されている。図9に示されるように、揺動アーム68の枢支部68Aの下端に位置する遊端部68Bは、第一軸受部材70を介してリンク72の一端に回動自在に連結されている。リンク72の他端は、第二軸受部材71を介して可動フレーム62に回動自在に連結されている。揺動アーム68は、枢支部68Aの中心である前後軸心Y周りに遊端部68Bが揺動する。これにより、可動刃63が左右方向に往復駆動される。ウェイト69は、枢支部68Aに対して遊端部68Bの反対側に設けられている。このようなウェイト69を設けることにより、刈刃装置26における可動刃63の駆動により発生する振動や騒音を抑えることができる。これにより、収穫ヘッダ21やフィーダ22の耐久性が向上すると共に、運転部17における乗車感が良好なものとなる。
【0054】
[刈刃ガードについて]
図7図8に示されるように、刈刃装置26を保護する刈刃ガード75が備えられている。刈刃ガード75は、プレート部材76と、丸棒部材77と、が備えられている。丸棒部材77は、プレート部材76の後部側に溶接等により固定されている。丸棒部材77は、側面視で、前側が開放された横向きのU字状の部材となっている。丸棒部材77は、ブラケット78を介して収穫フレーム23の側壁31に連結されている。丸棒部材77には、泥や藁などを通過させる排出空間Eが形成されている。つまり、泥や藁等が排出空間Eを通じて後方または横外側へ抜けることが可能になっているので、刈刃ガード75と右の側壁31との間において泥や藁等の詰まりが生じにくくなり、第一軸受部材70等の劣化が生じにくい構造にできる。
【0055】
[別実施形態]
以下、上記実施形態を変更する別実施形態について説明する。以下の各別実施形態は、説明事項以外は上記実施形態と同様である。また、上記実施形態及び以下の各別実施形態は、矛盾が生じない限り適宜組み合わせることができる。尚、本発明の範囲は、上記実施形態及び以下の各別実施形態に限定されるものではない。
【0056】
(1)上記した実施形態では、ドラム52の外周面に対して傾斜した状態で取り付けられたスクリュー羽根54により、収穫作物がドラム52の径方向外側に飛散しないようにしているものが例示されているが、これに限られない。以下の(1−1)や(1−2)に示されるようなものであってもよい。
【0057】
[別付けの誘導プレートについて]
(1−1)例えば、図10図11に示されるように、スクリュー羽根54のうち開口A近傍に位置する部位における搬送面Dが、ドラム152の外周面に対して90度の角度で接合されている他のスクリュー羽根154が備えられたオーガ127であってもよい。
そして、このスクリュー羽根154の夫々の搬送端部には、誘導プレート100が備えられていると好適である。誘導プレート100は、スクリュー羽根154の搬送面Dに対して一定角度(約20度)だけ傾斜した状態で開口A側へ向けて内向きに傾斜する搬送面Dを形成するように、スクリュー羽根154に、夫々溶接等により固定されている。誘導プレート100には、両端に位置してスクリュー羽根154の搬送面Dに取り付けされる一対の取付部101と、一対の取付部101の間に位置し、取付部101よりも搬送面Dから離れる山部102と、が備えられている。これにより、スクリュー羽根154を特別仕様のものとすることなく、既存のスクリュー羽根154に誘導プレート100を後付けするだけで、誘導プレート100における取付部101と山部102と間の傾斜により、収穫作物が押さえつけられてオーガ27の径方向外側へ飛び出すことを抑制できる。尚、誘導プレート100は、スクリュー羽根154の夫々について、複数備えられていてもよい。また、誘導プレート100は、スクリュー羽根154にボルト連結等により固定されていてもよい。
【0058】
[飛散防止プレートについて]
(1−2)例えば、図12に示されるように、収穫ヘッダ21の後壁32の前側に、飛散防止プレート170が備えられていてもよい。飛散防止プレート170は、オーガ27の径方向外側においてオーガ27の上側に位置し、オーガ27の外周に沿った覆い面が備えられている。特に図示しないが、飛散防止プレート170は、開口Aよりも収穫作物の搬送量が多い右側に位置し、スクリュー羽根が360度螺旋するピッチと同等の左右幅を有している。飛散防止プレート170は、上スクレーパ35とボルトで共締めされている。言い換えれば、飛散防止プレート170は、上スクレーパ35に取り付けられている。
飛散防止プレート170と左右のスクリュー羽根54との距離は、搬送デッキ30と左右のスクリュー羽根54との距離と、略同じに設定されている。覆い面により、オーガ27の径方向外側に飛び出そうとする収穫作物が抑えられる。これにより、オーガ27に収穫作物の巻き付きが発生しにくくなり、オーガ27が収穫作物の詰まりによりロックしてしまうことを好適に回避できる。尚、飛散防止プレート170は、開口Aの左右両側に設けられていてもよい。
【0059】
(2)上記した実施形態では、開口Aの外周部から開口Aにおける左右方向中心C2側へ全体が突出する状態で設けられているガイド部材34が例示されているが、これに限られない。開口Aの外周部から開口Aにおける左右方向中心C2側へ一部分のみが突出する状態で設けられている他のガイド部材であってもよい。
【0060】
(3)上記した実施形態では、矩形状の形状とされたガイド部材34が例示されているがこれに限られない。例えば、三角形状、円形状等の他の形状に形成されたガイド部材であってもよい。
【0061】
(4)上記した実施形態では、開口Aの上縁部AU及び開口Aの下縁部ADと離間した状態で設けられているガイド部材34が例示されているが、これに限られない。例えば、開口Aの上縁部AUまたは開口Aの下縁部ADのいずれか一方のみと離間した他のガイド部材であってもよい。
【0062】
(5)上記した実施形態では、開口Aにおける左右方向他方側の側部から左右一対の無端回動体43のうち左右方向他方側の無端回動体43に対応する位置まで左右方向に沿って延ばされているガイド部材34が例示されているが、これに限られない。例えば、左右方向他方側の無端回動体43に対応する位置まで至らない長さに形成されている他のガイド部材であってもよい。
【0063】
(6)上記した実施形態では、ガイド部材34が、収穫ヘッダ21の後壁32に沿った状態で後壁32に支持されているものが例示されているが、これに限られない。例えば、フィーダ22側へ少し入り込むように、収穫ヘッダ21の後壁32と角度をなした状態で後壁32に支持されている他のガイド部材であってもよい。
【0064】
(7)上記した実施形態では、ガイド部材34が、上スクレーパ35及び下スクレーパ36に取り付けられているものが例示されているが、これに限られない。例えば、ガイド部材34が、後壁32のうち、上スクレーパ35や下スクレーパ36とは異なる箇所に取り付けられていてもよい。
【0065】
(8)上記した実施形態では、ガイド部材34が位置する側のスクリュー羽根54の搬送終端位置が、左右方向において、ガイド部材34よりも開口Aにおける左右方向中心C2寄りの箇所に設定されているものが例示されているが、これに限られない。例えば、左右方向において、ガイド部材34よりも開口Aにおける左右方向中心C2から遠い側に、ガイド部材34が位置する側のスクリュー羽根54の搬送終端位置が設定されていてもよい。
【0066】
(9)上記した実施形態では、フィーダ22の底部に位置する底板部45と、収穫ヘッダ21の底部に位置する搬送デッキ30とが、180度の角度をなすように連結されているものが例示されているが、これに限られない。例えば、フィーダ22の底部に位置する底板部45と、収穫ヘッダ21の底部に位置する搬送デッキ30とが、略180度の角度をなすように略一直線に連結されていてもよい。
【0067】
(10)上記した実施形態では、「無端回動体」として無端回動体43が例示されていうが、これに限られる無端回動ベルトであってもよい。
【0068】
(11)上記した実施形態では、左右の表現が用いられているが、左と右とが逆の構造であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、圃場に植立する作物を収穫する収穫ヘッダと、収穫ヘッダに形成された開口Aに連結され、収穫ヘッダにおいて収穫された収穫作物を後方に向けて搬送するフィーダと、が備えられている各種収穫機において利用可能であり、例えば、上記した普通型コンバインの他、トウモロコシ収穫機等の他の収穫機にも利用できる。
【符号の説明】
【0070】
21 :収穫ヘッダ
22 :フィーダ
27 :オーガ
32 :後壁
34 :ガイド部材
35 :上スクレーパ(スクレーパ)
36 :下スクレーパ(スクレーパ)
41 :駆動輪体
42 :従動輪体
43 :無端回動体
44 :搬送体
52 :ドラム
54 :スクリュー羽根
A :開口
AD :下縁部
AU :上縁部
C1 :左右方向中心
C2 :左右方向中心
D :搬送面
X :横軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12