【文献】
プラスチックの熱電導率の一覧,オンライン,2013年 5月14日,インターネット:<URL:https://www.toishi.info/sozai/plastic/thermalconductivity.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0025】
図1は、本発明に係る熱転写用遮熱装飾シートの一実施形態を模式的に示す断面図である。なお、
図1においては、保護層3、第1色層41、第2色層42等が階段状に誇張して描かれ、補強層5や接着層6が逆U字状に描かれているが、各層は極めて薄い層であるので、実際には略面一となっている。
図1に示すように、本実施形態に係る熱転写用遮熱装飾シート10は、ベースシート1と、離型層2と、保護層3と、図柄層4と、補強層5と、接着層6とを備える。すなわち、ベースシート1、離型層2、保護層3、図柄層4及び補強層5が順次積層され、保護層3、図柄層4及び補強層5を覆うように接着層6が設けられた構造となっている。
【0026】
なお、本明細書においては、熱転写用遮熱装飾シート10のうち、ベースシート1及び離型層2を取り除いたものを「遮熱装飾シート」という。
したがって、熱転写用遮熱装飾シート10は、遮熱装飾シート10aと、離型層2と、ベースシート1とが積層されたものであり、熱転写により、被転写材に接着されるようになっている。
具体的には、熱転写用遮熱装飾シート10を被転写材に載置し、熱と圧を加えて、熱転写することにより、熱転写用遮熱装飾シート10の接着層6が被転写材に接着される。
そして、熱転写用遮熱装飾シート10のベースシート1及び離型層2を取り除くことにより、遮熱装飾シート10aが接着された被転写材が得られることになる。
【0027】
熱転写用遮熱装飾シート10によれば、図柄用樹脂として、熱伝導率が後述する範囲の樹脂を用いることにより、遮熱効果を発揮することができる。これにより、熱転写用遮熱装飾シートが蓄熱することを抑制できる。
【0028】
ここで、被転写材としては、紙、プラスチック製品、繊維製品、革製品等が挙げられる。これらの中でも、熱転写用遮熱装飾シートは、遮熱効果を発揮するため、繊維製品であることが好ましく、特に、衣類に採用することが好ましい。
【0029】
熱転写用遮熱装飾シート10において、ベースシート1は、シート状であり、熱転写用遮熱装飾シート10を製造する際に、ベースとなる層である。
ベースシート1としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等のプラスチックフィルム、セロファン、合成紙、天然紙、ラミネート紙、ラミネート布、金属薄板等を採用できる。これらの中でも、ベースシート1は、汎用性の観点から、ポリエステルフィルムであることが好ましい。
【0030】
ベースシート1は、その厚みが、20〜180μmであることが好ましく、50〜125μmであることがより好ましい。
ベースシート1の厚みが20μm未満であると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、ハンドリングが悪くなり、熱転写用遮熱装飾シートの生産性が低下する恐れがあり、ベースシート1の厚みが180μmを超えると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、熱転写用遮熱装飾シートの接着層への熱の伝わりが悪くなる場合がある。ちなみに、接着層の接着用樹脂がホットメルト樹脂である場合、熱の伝わりが悪いと、当該ホットメルト樹脂が十分に軟化せず、十分な接着性を発現することができない恐れがある。
【0031】
熱転写用遮熱装飾シート10において、離型層2は、ベースシート1の上に直接設けられる樹脂(以下「離型用樹脂」という。)からなる層であり、ベースシート1と遮熱装飾シート10aとを付着する機能を発揮する。
離型用樹脂としては、公知の樹脂を適宜採用できる。具体的には、離型用樹脂としては、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等を採用できる。
【0032】
離型層2は、その厚みが、0.5〜10μmであることが好ましい。
離型層2の厚みが0.5μm未満であると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、離型力が不十分となり、遮熱装飾シート10aからベースシート1が剥れ難くなる恐れがあり、離型層2の厚みが10μmを超えると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、図柄層の色がくすむ傾向にある。
【0033】
熱転写用遮熱装飾シート10において、保護層3は、樹脂皮膜からなり、離型層2の上に直接設けられる層である。すなわち、保護層3は、離型層2と図柄層4との間に設けられる層である。
保護層3は、図柄層4に対して、接着層6側とは反対側に位置するため、ベースシート1及び離型層2を取り除いた後は、図柄層4を、外部からの摩擦、衝撃、薬品付着、溶剤付着等の物理的、化学的影響から保護する機能を発揮する。
また、保護層3は、図柄層4の視認性を妨げないように、透明又は半透明であることが好ましい。
【0034】
保護層3において、樹脂皮膜は、樹脂(以下「保護用樹脂」という。)を含む。
保護用樹脂は、後述する図柄用樹脂と同質のものを採用することができる。なお、保護用樹脂は、図柄用樹脂と同一であっても異なっていてもよい。但し、保護用樹脂は、図柄用樹脂と親和性の高いものを採用することが好ましい。これにより、保護層3及び図柄層4の層間剥離を抑制できる。
【0035】
保護層3には、透明性を阻害しない範囲で添加剤(以下「保護用添加剤」という。)を含んでいてもよい。
保護用添加剤としては、保護用樹脂を強化するためのシランカップリング剤、耐光性を向上させるための耐光向上剤、見た目の品質を向上させるための着色剤や艶出し剤、反射を抑えるための艶消し剤、保護用樹脂に強度を付与するための架橋剤や、その他にも、酸化防止剤、流動性改良剤、充填剤、鎖延長剤、消泡剤等が挙げられる。なお、これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
【0036】
保護層3は、全面が離型層2に接触しており、且つ、保護層3の面方向の大きさは、ベースシート1の面方向の大きさ、及び、離型層2の面方向の大きさよりも小さくなっている。
なお、保護層3の面方向の大きさが、遮熱装飾シート10aの面方向の大きさの基準となる。
【0037】
保護層3は、その厚みが、2〜20μmであることが好ましい。
保護層3の厚みが2μm未満であると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、保護層3自体が外部から物理的、化学的影響により、破損し易くなる恐れがあり、保護層3の厚みが20μmを超えると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、遮熱装飾シート10aの柔軟性が損なわれる恐れがある。
【0038】
熱転写用遮熱装飾シート10において、図柄層4は、保護層3の上に直接設けられる層であり、ベタ柄、模様、絵表示、文字、記号等の図柄が描かれた層である。
図柄層4は、着色剤と、樹脂(以下「図柄用樹脂」という。)とを含む。
【0039】
図柄用樹脂は、熱伝導率が、0.2W/(m・K)以下であり、0.15W/(m・K)以下であることが好ましい。
熱伝導率が0.2W/(m・K)を超えると、遮熱効果を十分に発揮できない。
具体的には、図柄用樹脂は、熱伝導率が低い、変性ポリオレフィン又はポリフッ化ビニリデンを含むことが好ましい。この場合、熱伝導率が十分に低いので、遮熱効果が効果的に発揮される。
なお、変性ポリオレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン、有機酸等で変性したポリオレフィンが挙げられる。その中でも、変性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸変性ポリエチレン又は無水マレイン酸変性ポリプロピレンを用いることが好ましい。また、変性ポリオレフィンは、分子内に水酸基、カルボキシル基等の官能基を有していることが好ましい。
【0040】
図柄層4において、図柄用樹脂には、変性ポリオレフィン又はポリフッ化ビニリデンの他に、添加用樹脂が含まれていてもよい。但し、混合した樹脂の熱伝導率が上記範囲を超えない必要がある。
添加用樹脂としては、ポリスチレン、水添スチレン樹脂、スチレン−イソプチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−塩素化パラフィン共重合体等のポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリグルシジルメタクリレート、メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体、エチルメタクリレート−アクリル酸共重合体等のアクリル樹脂、スチレン−n−ブチルメタクリレート共重合体、スチレン−ジエチルアミノエチルメタクリレート共重合体、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン−メチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−N−エトキシメチルアクリルアミド共重合体、スチレン−n−ブチルメタクリレート−無水マレイン酸共重合体、スチレン−n−ブチルメタクリレート−アクリル酸共重合体等のスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、低分子量ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、低分子量ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、フマル酸/エーテル化ジフェノール系ポリエステル等のポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、テルペン樹脂、イミド樹脂、エチルセルロース、ロジン、アルキッド樹脂等が挙げられる。なお、これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
【0041】
これらの中でも、添加用樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の軟質樹脂であることが好ましく、ポリウレタン樹脂であることがより好ましい。この場合、ポリウレタン樹脂が伸縮性、耐磨耗性、反発弾性及び圧縮疲労強さに優れるため、図柄層4に経時的に層剥離や亀裂が生じることを抑制できる。
【0042】
図柄層4は、添加剤(以下「図柄用添加剤」という。)を含んでいてもよい。
図柄用添加剤としては、分散用樹脂、界面活性剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、消泡剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、鎖延長剤、充填剤、架橋剤等が挙げられる。なお、これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
これらの中でも、図柄層4は、架橋剤を含むことが好ましい。
【0043】
架橋剤としては、シランカップリング剤、イソシアネート等が挙げられる。これらの中でも、架橋剤としてシランカップリング剤を用いることが好ましい。この場合、樹脂強度が向上するため、洗濯堅牢度が優れるものとなる。
【0044】
図柄層がシランカップリング剤を含む場合、シランカップリング剤の配合割合は、図柄層の1〜6wt%であることが好ましく、1〜4wt%であることがより好ましい。
シランカップリング剤の配合割合が1wt%未満であると、配合割合が上記範囲内にある場合と比較して、樹脂が脆くなるため、屈曲や引張りで亀裂が生じる恐れがあり、シランカップリング剤の配合割合が6wt%を超えると、配合割合が上記範囲内にある場合と比較して、樹脂硬度が高くなり過ぎ、伸度低下を引き起こす恐れがある。
【0045】
図柄層4においては、分散用樹脂を添加することにより、着色剤の分散性及び定着性を向上させることができ、界面活性剤を添加することにより、例えば、着色剤の分散性を向上させる分散剤としての機能を発揮することができる。
【0046】
分散用樹脂としては、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン,エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン樹脂、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体等のアクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体等の酢酸ビニル共重合樹脂、蛋白質、天然ゴム類、グルコシド、セルロース誘導体、ポリアミド樹脂、ロジン又はロジンエステル類、テルぺンフェノール樹脂、アルキッド樹脂、スチレン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。なお、これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
【0047】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレン化合物の脂肪酸エステル型、ポリエチレンオキサイド縮合型等のノニオン界面活性剤、高級脂肪酸塩、高級アルキルジカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、スルホ琥珀酸エステル塩、ナフテン酸塩等のアニオン界面活性剤、脂肪酸アミン塩、第4アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスフォニウム塩等のカチオン界面活性剤、ベタイン型等の両性界面活性剤が挙げられる。なお、これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
【0048】
なお、図柄層4は、後述する着色剤及び図柄用樹脂を、溶媒に、溶解又は分散させた状態で、保護層3に付与することにより形成される。
かかる溶媒としては、高沸点溶媒が好適に用いられる。例えば、溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等の高沸点低揮発性の多価アルコール類、又はこれらのモノアルキルエ一テル化物、ジアルキルエーテル化物、エステル化物、石油ナフサ系溶剤類、ナフテン系炭化水素類、芳香族系炭化水素類等が挙げられる。なお、これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
【0049】
着色剤としては、有機顔料、無機顔料、光輝性顔料、マット顔料、蛍光顔料、有色樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。なお、有色樹脂とは、分子内に有色の原子団を有する樹脂であり、その自体が有色である樹脂を意味する。
【0050】
具体的には、有機顔料としては、シアニンブラック等のブラック系着色剤、アセト酢酸アリリド−モノアゾ系、アセト酢酸アリリド−ジスアゾ系等のアゾレーキ系(難溶性金属塩)顔料、スレン系顔料、金属錯体顔料、キノフタロン顔料等のイエロー系着色剤、アゾレーキ系顔料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系等の不溶性アゾ系顔料、アントラキノン系、チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ピロコリン系、赤色系フルオルビン系等の縮合多環系顔料、染付けレーキ系顔料等のマゼンタ系着色剤、フタロシアニン系顔料、スレン系顔料、塩基性染料レーキ顔料等のシアン系着色剤が挙げられる。
無機顔料としては、カーボンブラック、四三酸化鉄等のブラック系着色剤、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタン黄、オーカー等のイエロー系着色剤、カドミウムレッド、ベンガラ、銀朱、鉛丹、アンチモン朱等のマゼンタ系着色剤、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー等のシアン系着色剤、炭酸カルシウム、酸化チタン(チタン白)、亜鉛華、リトポン、鉛白、沈降性硫酸バリウム等のホワイト系着色剤、アルミニウム等のシルバー系着色剤が挙げられる。なお、シルバー系顔料であるアルミニウムは、一般に公知の樹脂でコーティングされたものである。
光輝性顔料としては、貝殻の内側部、真珠の粉砕物、酸化チタン被覆の雲母等のパール顔料、金、銀、銅等の1〜120μmの粒状、鱗片状又は箔片の金属粉、ポリエステルフィルムにアルミニウム等の金属を蒸着して粉砕した銀色粉、ポリエステルフィルムにアルミニウム等の金属を蒸着した後、着色剤で透明な黄色に塗装してから粉砕した金色粉等の蒸着プラスチックフィルム片、数μm以下の厚さの屈折率の異なる2種以上の樹脂層を多数積層して、光の干渉による虹彩色を生じる複合フィルムとし、これを細断した箔粉等が挙げられる。
マット顔料としては、カオリナイト、ハロサイト、白雲母、タルク等の粘土鉱物、無水シリカ、無水アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の無彩色顔料が挙げられる。
蛍光顔料としては、蛍光染料で着色したアミノ樹脂の塊状物を微粉砕化して得られた着色顔料等が挙げられる。
なお、上述した着色剤は、それぞれを単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
【0051】
図柄層4は、積層した複数の色層を有する。具体的には、図柄層4は、保護層3の上に直接設けられた第1色層41と、第1色層41の上に直接設けられた第2色層42とからなる。このように、図柄層4を複数の色層を積層したものとすることにより、多彩な色彩表現が可能となる。
ここで、第1色層41及び第2色層42は、共に、上述した着色剤と、図柄用樹脂と、必要に応じて図柄用添加剤とを含んでいる点で共通するが、描かれる図柄が異なっている。
【0052】
図柄層4においては、上述した着色剤のうち、ホワイト系着色剤を含むことが好ましく、その中でも、ルチル型の酸化チタンを含むことが好ましい。これに加え、このときの酸化チタンの粒径は、0.4〜1.0μmであることが好ましい。この場合、通常の酸化チタンの粒径(0.26μm)よりも大きい酸化チタンを採用することにより、赤外線日射反射率を向上させることができる。なお、赤外線反射率は75%以上とすることが好ましい。
酸化チタンの粒径が、0.4μm未満であると、粒径が上記範囲内にある場合と比較して、赤外線日射反射率が十分に得られない傾向にあり、酸化チタンの粒径が、1.0μmを超えると、粒径が上記範囲内にある場合と比較して、白度が低くなるため、被転写材が透けて見える欠点がある。
【0053】
また、図柄層4においては、ホワイト系着色剤の代わりに、上述した着色剤のうち、シルバー系着色剤を含めてもよい。これに加え、このときのアルミニウムの粒径は、5〜100μmであることが好ましく、3〜90μmであることがより好ましい。この場合、赤外線日射反射率を向上させることができる。
アルミニウムの粒径が、5μm未満であると、粒径が上記範囲内にある場合と比較して、赤外線日射反射率が十分に得られない傾向にあり、アルミニウムの粒径が、100μmを超えると、粒径が上記範囲内にある場合と比較して、例えば、版を用いて図柄層を設ける場合、当該版がアルミニウムにより目詰まりを引き起こす恐れがある。このため、付与方法が制限されるという欠点がある。
なお、アルミニウムは、その粒径が5〜100μmであることに加え、平均粒径が、約34μmであることが好ましい。
【0054】
例えば、図柄層4においては、第1色層41を、模様、絵表示、文字、記号等の図柄が描かれた層とする。
そして、第2色層42を、ホワイト系着色剤又はシルバー系着色剤によるベタ柄の図柄とする。第2色層42を設けることにより、被転写材の地色が濃色であっても透過しないように隠蔽することができる。その結果、異なる地色の被転写材に、同じ遮熱装飾シート10aを接着する場合であっても、第1色層41の図柄の色の同一性を高めることができる。
このように、図柄が描かれた第1色層41の裏面側にホワイト系着色剤又はシルバー系着色剤の第2色層42を設けることにより、図柄の品質を向上させることができる。
【0055】
また、第2色層42がホワイト系着色剤を含む場合、第2色層42における酸化チタンの配合割合は、図柄用樹脂1質量部に対し、酸化チタンが0.8〜3.75質量部であることが好ましい。
酸化チタンの配合割合が、図柄用樹脂1質量部に対し0.8質量部未満であると、配合割合が上記範囲内にある場合と比較して、赤外線日射反射率が十分に得られない傾向にあり、酸化チタンの配合割合が、図柄用樹脂1質量部に対し3.75質量部を超えると、配合割合が上記範囲内にある場合と比較して、樹脂強度が不十分となる恐れがある。
【0056】
一方、第2色層42がシルバー系着色剤を含む場合、第2色層42におけるアルミニウムの配合割合は、図柄用樹脂1質量部に対し、アルミニウムが0.33〜0.44質量部であることが好ましい。
アルミニウムの配合割合が、図柄用樹脂1質量部に対し0.33質量部未満であると、配合割合が上記範囲内にある場合と比較して、赤外線日射反射率が十分に得られない傾向にあり、アルミニウムの配合割合が、図柄用樹脂1質量部に対し0.44質量部を超えると、配合割合が上記範囲内にある場合と比較して、樹脂強度が不十分となる恐れがある。
【0057】
図柄層4において、第1色層41は、全面が保護層3に接触しており、且つ、第1色層41の面方向の大きさは、保護層3と略同じである。
第2色層42は、全面が第1色層41に接触しており、且つ、第2色層42の面方向の大きさは、第1色層41の面方向の大きさよりも僅かに小さくなっている。
【0058】
第1色層41は、その厚みが、2〜20μmであることが好ましい。
第1色層41の厚みが2μm未満であると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、第1色層41の図柄に亀裂が生じ易くなる恐れがあり、第1色層41の厚みが20μmを超えると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、遮熱装飾シート10aの柔軟性が損なわれる恐れがある。
また、第2色層42は、その厚みが、2〜30μmであることが好ましい。
第2色層42の厚みが2μm未満であると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、第2色層42の図柄に亀裂が生じ易くなる恐れがあり、第2色層42の厚みが30μmを超えると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、遮熱装飾シート10aの柔軟性が損なわれる恐れがある。
【0059】
熱転写用遮熱装飾シート10において、補強層5は、図柄層4(第1色層41及び第2色層42)を被覆するように、図柄層4の上に直接設けられる層である。すなわち、補強層5は、図柄層4と接着層6との間に設けられる層である。
このように、補強層5は、図柄層4に積層されているので、図柄層4を補強し、且つ、図柄層4に柔軟性を付与することができる。
【0060】
補強層5は、樹脂(以下「補強用樹脂」という。)を含む。
補強用樹脂としては、上述した添加用樹脂と同質のものを採用することができる。なお、補強用樹脂は、図柄用樹脂が添加用樹脂を含む場合の当該添加用樹脂と同一であっても異なっていてもよい。但し、補強用樹脂は、図柄用樹脂に含まれる添加用樹脂と親和性の高いものを採用することが好ましい。これにより、図柄層4及び補強層5の層間剥離を抑制できる。
【0061】
補強層5は、この他にも添加剤(以下「補強用添加剤」という。)を含んでいてもよい。
補強用添加剤としては、充填剤、鎖延長剤、架橋剤等が挙げられる。なお、これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
これらの中でも、補強層5は、架橋剤を含むことが好ましい。この場合、補強層の強度を向上させることができる。なお、補強層5が架橋剤を含む場合は、当該架橋剤の配合割合が、3〜15wt%であることが好ましい。
【0062】
補強層5は、図柄層4の第2色層42を被覆しており、且つ、補強層5の面方向の大きさは、図柄層4の第1色層41の面方向の大きさと略同一となっている。
【0063】
補強層5は、その厚みが、5〜30μmであることが好ましい。
補強層5の厚みが5μm未満であると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、5を補強する効果が十分に得られない場合があり、補強層5の厚みが30μmを超えると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、接着層6を形成し難くなるという欠点がある。
【0064】
熱転写用遮熱装飾シート10において、接着層6は、保護層3、図柄層4(第1色層41及び第2色層42)及び補強層5を被覆するように、設けられる層である。すなわち、接着層6は、補強層5の上に設けられる。
接着層6は、熱転写により、保護層3、図柄層4(第1色層41及び第2色層42)及び補強層5と、被転写材とを接着する機能を発揮する。
【0065】
接着層6は、樹脂(以下「接着用樹脂」という。)を含む。
接着用樹脂としては、上述した添加用樹脂と同質のものを採用することができる。その中でも、接着用樹脂は、接着性の観点から、ホットメルト樹脂であることが好ましい。
なお、接着用樹脂は、図柄用樹脂が添加用樹脂を含む場合の当該添加用樹脂又は補強用樹脂と同一であっても異なっていてもよい。但し、接着用樹脂は、図柄用樹脂が添加用樹脂を含む場合の当該添加用樹脂又は補強用樹脂と親和性の高いものを採用することが好ましい。各層の層間剥離を抑制できる。
【0066】
接着層6は、この他にも添加剤(以下「接着用添加剤」という。)を含んでいてもよい。
接着用添加剤としては、充填剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。なお、これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
【0067】
接着層6は、その厚みが、10〜200μmであることが好ましい。
接着層6の厚みが10μm未満であると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、熱転写による遮熱装飾シート10aと被転写材との接着性が不十分となる恐れがあり、接着層6の厚みが200μmを超えると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、転写時に接着用樹脂が被転写材の裏面まで通過してしまったり、図柄の横に大きくはみだし外観を損ねる恐れがある。
【0068】
本発明の熱転写用遮熱装飾シートは、いわゆるラベル、ステッカー、ワッペン、シール、タグ等の用途に適宜採用できる。
【0069】
本実施形態に係る熱転写用遮熱装飾シート10は、ベースシート1の上に、離型層2、保護層3、図柄層4の第1色層41、図柄層4の第2色層42、補強層5及び接着層6を順次付与することにより製造される。
付与方法は、特に限定されず、コーティング、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷等が適宜採用できる。
【0070】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0071】
本実施形態に係る熱転写用遮熱装飾シート10においては、接着層6が、保護層3、図柄層4及び補強層5を覆うように設けられているが、
図2に示すように、接着層61は 全面が補強層5に接触しており、且つ、接着層61の面方向の大きさが、補強層5と略同じであってもよい。
【0072】
本実施形態に係る熱転写用遮熱装飾シート10は、ベースシート1と、離型層2と、保護層3と、図柄層4の第1色層41と、図柄層4の第2色層42と、補強層5と、接着層6とを備えているが、保護層3及び補強層5は必ずしも必須ではない。
例えば、
図3に示すように、熱転写用遮熱装飾シートにおいては、ベースシート1と、離型層2と、図柄層4の第1色層41と、図柄層4の第2色層42と、接着層6とを備えている。
この場合、第1色層41は、離型層2の上に直接設けられることになり、接着層6は、図柄層4(第1色層41及び第2色層42)を被覆するように設けられることになる。
【0073】
本実施形態に係る熱転写用遮熱装飾シート10は、図柄層4として、第1色層41及び第2色層42を備えているが、
図4に示すように、図柄層44は、単層からなるものであってもよく、3層以上からなるものであってもよい。
例えば、
図4に示すように、熱転写用遮熱装飾シートにおいては、ベースシート1と、離型層2と、図柄層44、補強層5と、接着層6とを備えている。
この場合、図柄層44が、ホワイト系着色剤又はシルバー系着色剤を含むことが好ましい。
【0074】
本実施形態に係る熱転写用遮熱装飾シート10において、第1色層41の面方向の大きさは、保護層3と略同じであり、第2色層42の面方向の大きさは、第1色層41の面方向の大きさよりも僅かに小さくなっているが、これに限定されない。
【実施例】
【0075】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0076】
(実施例1)
まず、ベースシートとして、厚さ100μmのポリエステルフィルムを載置し、その上に、厚さ約0.6μmとなるようにコーターにて、アクリル樹脂(離型用樹脂)を付与し、離型層を形成した。
次に、離型層の上に、厚さ約5μmとなるようにスクリーン印刷にて、熱伝導率が0.13W/(m・K)の変性ポリオレフィン樹脂(保護用樹脂)約23質量部と、イソシアネート化合物(架橋剤)を約2.7質量部との混合物を付与し、保護層を形成した。
次に、保護層の上に、厚さ約5μmとなるようにスクリーン印刷にて、熱伝導率が0.13W/(m・K)の無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(図柄用樹脂)約18質量部と、粒径0.26μmの酸化チタン(ホワイト系着色剤)約30質量部と、イソシアネート化合物(架橋剤)約2.7質量部との混合物を付与し、ベタ柄の第1色層を形成した。
次に、第1色層の上に、厚さ約5μmとなるようにスクリーン印刷にて、熱伝導率が0.13W/(m・K)の無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(図柄用樹脂)約18質量部と、カーボンブラック(ブラック系着色剤)約15質量部と、イソシアネート化合物(架橋剤)約2.7質量部との混合物を付与し、ベタ柄の第2色層を形成した。
次に、第2色層の上に、厚さ約15μmとなるようにスクリーン印刷にて、ポリウレタン樹脂(補強用樹脂)約20質量部と、イソシアネート化合物(架橋剤)約5質量部との混合物を付与し、補強層を形成した。
最後に、補強層の上に、厚さ20μm以上となるようにスクリーン印刷にて、ポリエステル樹脂(接着用樹脂)約10質量部と、ポリウレタン樹脂(接着用樹脂)約35質量部との混合物を付与し、接着層を形成した。
こうして、サンプル(熱転写用遮熱装飾シート)を得た。
【0077】
(実施例2)
実施例1と同様にして、ベースシートの上に離型層を形成した。
次に、離型層の上に、厚さ約5μmとなるように、市松模様(生地被覆率50%)の図柄層を設けた。すなわち、離型層の上に、スクリーン印刷にて、熱伝導率が0.13W/(m・K)のポリフッ化ビニリデン樹脂(図柄用樹脂)約28質量部と、粒径0.4μmの酸化チタン(ホワイト系着色剤)約30質量部と、イソシアネート化合物(架橋剤)約10質量部との混合物を付与し、市松模様の図柄層を形成した。
そして、実施例1と同様にして、図柄層の上に、補強層及び接着層を形成した。
こうして、サンプル(熱転写用遮熱装飾シート)を得た。
【0078】
(実施例3)
実施例1と同様にして、ベースシートの上に離型層を形成した。
次に、離型層の上に、厚さ約5μmとなるように、市松模様(生地被覆率50%)の図柄層を設けた。すなわち、離型層の上に、スクリーン印刷にて、熱伝導率が0.13W/(m・K)のマレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(図柄用樹脂)約23質量部と、粒径0.4μm以上の酸化チタン(ホワイト系着色剤)約30質量部と、エポキシ系シランカップリング剤(架橋剤)約2.5質量部との混合物を付与し、市松模様の図柄層を形成した。
そして、実施例1と同様にして、図柄層の上に、補強層及び接着層を形成した。
こうして、サンプル(熱転写用遮熱装飾シート)を得た。
【0079】
(実施例4)
実施例1と同様にして、ベースシートの上に離型層を形成した。
次に、離型層の上に、厚さ約5μmとなるように、スクリーン印刷にて、熱伝導率が0.13W/(m・K)無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(図柄用樹脂)約22質量部と、平均粒径34μmのアルミニウム(シルバー系着色剤)約13質量部と、エポキシ系シランカップリング剤(架橋剤)約2.5質量部との混合物を付与し、市松模様の第1色層を形成した。
次に、第1色層の上に、厚さ約5μmとなるようにスクリーン印刷にて、熱伝導率が0.13W/(m・K)の無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(図柄用樹脂)約23質量部と、粒径0.4μm以上の酸化チタン(ホワイト系着色剤)約30質量部と、エポキシ系シランカップリング剤(架橋剤)約2.5質量部との混合物を付与し、第2色層を形成した。
そして、実施例1と同様にして、第2色層の上に、補強層及び接着層を形成した。
こうして、サンプル(熱転写用遮熱装飾シート)を得た。
【0080】
(実施例5)
実施例1と同様にして、ベースシートの上に離型層を形成した。
次に、離型層の上に、厚さ約5μmとなるように、市松模様(生地被覆率50%)の図柄層を設けた。すなわち、離型層の上に、スクリーン印刷にて、熱伝導率が0.13W/(m・K)の無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(図柄用樹脂)約22質量部と、平均粒径34μmのアルミニウム(シルバー系着色剤)約13質量部との混合物を付与し、市松模様の図柄層を形成した。
そして、実施例1と同様にして、図柄層の上に、補強層及び接着層を形成した。
こうして、サンプル(熱転写用遮熱装飾シート)を得た。
【0081】
(実施例6)
実施例3で得られたサンプルを、市販のグレーのTシャツの生地(ポリエステル100%)に熱転写した。
そして、ベースシートと離型層とを取り除くことにより、熱転写サンプルを得た。
【0082】
(実施例7)
実施例3で得られたサンプルを、市販のブラックのTシャツの生地(ポリエステル100%)に熱転写した。
そして、ベースシートと離型層とを取り除くことにより、熱転写サンプルを得た。
【0083】
(比較例1)
実施例1と同様にして、ベースシートの上に離型層を形成した。
次に、離型層の上に、厚さ約5μmとなるようにスクリーン印刷にて、熱伝導率が0.21W/(m・K)のポリウレタン樹脂約14質量部と、イソシアネート化合物(架橋剤)約5質量部との混合物を付与し、保護層を形成した。
次に、保護層の上に、厚さ約5μmとなるように、スクリーン印刷にて、熱伝導率が0.21W/(m・K)のポリウレタン樹脂約16質量部と、粒径0.26μmの酸化チタン(ホワイト系着色剤)約36質量部と、イソシアネート化合物(架橋剤)約3.6質量部との混合物を付与して、ベタ柄の第1色層を形成した。
次に、第1色層の上に、スクリーン印刷にて、熱伝導率が0.21W/(m・K)のポリウレタン樹脂(図柄用樹脂)約20質量部と、カーボンブラック(ブラック系着色剤)約6質量部と、イソシアネート化合物(架橋剤)約4.6質量部との混合物を付与し、ベタ柄の第2色層を形成した。
そして、実施例1と同様にして、第2色層の上に、補強層及び接着層を形成した。
こうして、サンプルを得た。
【0084】
(比較例2)
実施例1と同様にして、ベースシートの上に離型層を形成した。
次に、離型層の上に、厚さ約5μmとなるようにスクリーン印刷にて、熱伝導率が0.21W/(m・K)のポリウレタン樹脂約14質量部と、イソシアネート化合物(架橋剤)約5質量部との混合物を付与し、保護層を形成した。
次に、保護層の上に、厚さ約5μmとなるように、スクリーン印刷にて、熱伝導率が0.21W/(m・K)のポリウレタン樹脂約16質量部と、粒径0.26μmの酸化チタン(ホワイト系着色剤)約36質量部と、イソシアネート化合物(架橋剤)約3.6質量部との混合物を付与し、市松模様の図柄層を形成した。
そして、実施例1と同様にして、図柄層の上に、補強層及び接着層を形成した。
こうして、サンプルを得た。
【0085】
(比較例3)
実施例1と同様にして、ベースシートの上に離型層を形成した。
次に、離型層の上に、厚さ約5μmとなるようにスクリーン印刷にて、熱伝導率が0.21W/(m・K)のポリウレタン樹脂約14質量部と、イソシアネート化合物(架橋剤)約5質量部との混合物を付与し、保護層を形成した。
次に、保護層の上に、厚さ約5μmとなるように、スクリーン印刷にて、熱伝導率が0.21W/(m・K)のポリウレタン樹脂約30質量部と、平均粒径34μmのアルミニウム(シルバー系着色剤)約15質量部と、イソシアネート化合物(架橋剤)約3質量部との混合物を付与し、市松模様の第一色層を形成した。
次に、第一色層の上に厚さ約5μmとなるように、スクリーン印刷にて、熱伝導率が0.21W/(m・K)のポリウレタン樹脂約16質量部と、粒径0.26μmの酸化チタン(ホワイト系着色剤)約36質量部と、イソシアネート化合物(架橋剤)約3.6質量部との混合物を付与し、市松模様の第二色層を形成した。
そして、実施例1と同様にして、図柄層の上に、補強層及び接着層を形成した。
こうして、サンプルを得た。
【0086】
(評価1:遮熱性測定)
実施例1〜5及び比較例1、2のサンプルと、ブランクとして市販の白のTシャツの生地(ポリエステル100%)のサンプルに対し、遮熱性測定を行った。
黒画用紙の約5mm上方にサンプルを配置し、サンプルの約50cm上方からランプ光を照射して、サンプルの裏面側の画用紙の温度を熱電対で経時的に測定した。なお、試験は、位置を入れ替えて4回測定し、得られた値を平均した結果を表1に示す。
【0087】
(表1)
【0088】
(評価2:赤外線反射率)
実施例3及び4、並びに、比較例2及び3の熱転写サンプルに対し、赤外線反射率を測定した。
具体的には、V−570型分光光度計(日本分光株式会社製)を用い、各サンプルの波長240nm〜2600nmの領域における反射率を測定した。得られたグラフを
図5に示す。
【0089】
(評価3:遮熱性測定)
実施例6及び7の熱転写サンプルと、ブランクとして市販のグレーのTシャツの生地(ポリエステル100%)及び市販のブラックのTシャツの生地(ポリエステル100%)のサンプルとに対し、遮熱性測定を行った。
具体的には、黒画用紙の約5mm上方にサンプルを配置し、サンプルの約50cm上方からランプ光を照射して、サンプルの裏面側の画用紙の温度を熱電対で経時的に測定した。なお、試験は、位置を入れ替えて4回測定し、得られた値を平均した結果を表2に示す。
【0090】
(表2)
【0091】
(評価4:赤外線反射率)
実施例6及び7の熱転写サンプルと、ブランクとして市販のグレーのTシャツの生地(ポリエステル100%)及び市販のブラックのTシャツの生地(ポリエステル100%)のサンプルとに対し、赤外線反射率を測定した。
具体的には、V−570型分光光度計(日本分光株式会社製)を用い、各サンプルの波長250nm〜400nmの紫外線、400nm〜800nmの可視光線、800nm〜2000nmの近赤外線に対する反射率を測定した。得られた値を平均した結果を表3に示す。
【0092】
(表3)
【0093】
(評価5:実着による遮熱性測定)
実施例6の熱転写サンプルを実際に試着し、太陽光の下での温度上昇を、ハンディ型サーモグラフィ(FLIR製E5)を用いて測定した。
得られた結果を
図6に示す。
【0094】
以上の結果より、本発明による実施例1〜5のサンプル並びに実施例6及び7の熱転写サンプルによれば、遮熱効果を発揮することにより蓄熱を抑制できることが確認された。