(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記対象ユーザ抽出部は、前記一のユーザクラスタに属するユーザのうち一定割合のユーザについて、同一の前記対象物についての所定期間内における前記上昇傾向が検出された場合に、前記対象ユーザの抽出を行う
請求項1に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施の形態を添付図に沿って説明する。なお、以下の示す各例では、ユーザの操作に基づいてお気に入り登録された商品や店舗、或いはジャンル等に基づいて、ユーザに適切な情報を提供する環境の一例として、電子商取引を例に挙げる。即ち、電子商取引をユーザが利用する上で行った各種操作に基づいて、商品や店舗等がお気に入り登録される。更に、お気に入り登録された情報に基づいて、ユーザに適切な情報提供が行われる。
【0019】
<1.システム構成>
本実施の形態としての情報提供装置7を含むネットワークシステム全体の構成について、
図1を用いて説明する。
ネットワークシステム1は、通信ネットワーク2を介して各種の端末装置が相互に通信可能とされている。
ネットワークシステム1は、電子商取引システム3とユーザ端末4と店舗端末5を含んで構成されている。
【0020】
なお、
図1に示した通信ネットワーク2の構成は特に限定されるものではなく、上記したインターネット以外にも、例えばイントラネット、エキストラネット、LAN(Local Area Network)、CATV(Community Antenna TeleVision)通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網などが想定される。
また、通信ネットワーク2の全部又は一部を構成する伝送媒体についても多様な例が想定される。例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、電話線などの有線でも、IrDA(Infrared Data Association)のような赤外線、ブルートゥース(登録商標)、802.11無線、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網などの無線でも利用可能である。
【0021】
電子商取引システム3は、ユーザが商品を購入するために利用する各種のサービスを提供するショッピングサーバ6、ユーザに適切な情報を提供する処理を行う情報提供装置7を備えている。また、電子商取引システム3は、各種サービスを提供するためのポータルサイトとしてECサイトを管理・運営している。ECサイトは、例えば、トップページを最上位とした複数のウェブページからなる階層構造を有している。
【0022】
ショッピングサーバ6が提供する各種機能は、例えば、該システムを用いて運営される電子商取引に加盟している複数の店舗がある場合に、該店舗の管理者(以降、販売者と記載)が販売する商品の情報(商品情報)を登録するための機能や、登録された商品情報を変更する機能などである。また、そのために、ショッピングサーバ6は、加盟店舗情報や販売者情報や商品情報を管理する機能を備える。
更に、ショッピングサーバ6は、電子商取引で扱っている商品群の中からユーザが所望する商品を検索して提示する機能や、ユーザが商品の購入操作を行った際に、販売者へ商品を発注する機能や、商品の売買が成立した際の代金のやりとりを仲介する決済処理機能、各ユーザへ商品を配送するための機能、そして、商品の購入が確定した際のユーザへの通知機能や商品を購入したユーザ情報を販売者へ通知する機能などを有する。
ユーザが商品を購入する際には、商品の送付先(住所)情報や、クレジットカード番号や連絡先(電子メールアドレスなど)の情報が必要とされる。ユーザが商品を購入するたびにこれらの情報を入力する手間を省くため、ショッピングサーバ6は、ユーザ情報を管理する機能を備える。
【0023】
そして、ショッピングサーバ6は、上記の各種機能を実現するためのユーザインタフェースとしてのウェブページを他の情報処理装置(ユーザ端末4や店舗端末5)上に表示させるために、ウェブページデータの生成と送信を行う。
ウェブページデータは、例えば、HTML(Hyper Text Markup Language)やXHTML(Extensible HyperText Markup Language)などの構造化文書ファイルである。構造化文書ファイルには、商品の説明などのテキストデータや商品画像などの画像データと、それらの配置や表示態様(文字色やフォントや大きさや装飾など)が記述されている。
ウェブページとしては、例えば、ユーザや販売者にログイン情報を入力させるためのログインページや、商品検索の結果を表示させるための検索結果表示ページや、商品情報が表示される商品ページなどである。
また、ショッピングサーバ6は、ユーザや販売者の認証機能や各種データベースへの情報の登録機能、各種データベースから情報を取得する機能などを備える。
【0024】
情報提供装置7は、ユーザに適切な情報を提供する情報処理装置である。適切な情報とは、例えば、ユーザの購買意欲を惹起させるような商品や店舗などの情報などである。
そのために、情報提供装置7は、ユーザが行った各種操作に基づいて、商品、店舗或いはジャンルごとの興味関心の度合いを数値化して管理する。以下の各例においては、興味関心の度合いを少なくとも3段階以上で表したものを「お気に入り指標」として説明する。なお、以下の例においては、お気に入り度合いを0〜3の4段階で表したお気に入り指標を用いて説明する。
【0025】
お気に入り指標は、数値が高い程お気に入り度合いが高いことを表すものとする。即ち、お気に入り指標が「3」とされた商品、店舗或いはジャンルは、お気に入り度合いが非常に高いことを示す。また、お気に入り度合いがニュートラルな状態、即ち該商品や商店、或いはジャンルに対して無関心の状態や無知の状態を「1」として表す。そして、お気に入り度合いがマイナスな状態、即ち、商品、店舗或いはジャンルが嫌いな状態を「0」として表す。なお、嫌いの度合いにも複数の段階を設けてもよい。また、嫌いな状態と無関心の状態を区別しなくてもよい。例えば、お気に入り度合いを0〜2の3段階で表し、「0」が無関心または嫌いである状態を示し、「1」がどちらかと言えばお気に入りである状態を示し、「2」がかなりお気に入りである状態を示すように構成されていてもよい。
【0026】
以下の説明においては、商品、店舗或いはジャンルの少なくとも何れかに属するものを「対象物」として記載する。換言すれば、対象物は、ある商品を示すこともあれば、ある店舗を示すこともあり、また、あるジャンルを示すこともある。
【0027】
また、情報提供装置7は、お気に入り情報に基づいて各ユーザをユーザクラスタUCにクラスタリングする。更に、情報提供装置7は、ユーザクラスタUCとお気に入り情報に基づいて適切な情報提供を行う。お気に入り情報とは、対象物とお気に入り指標の対応関係の情報である。
【0028】
これまで説明してきた各種機能を実現するために、電子商取引システム3は、ユーザ情報が記憶されるユーザDB(Database)50、電子商取引で扱う商品の情報が記憶される商品DB51、商品を販売する販売者(店舗)の情報が記憶される店舗DB52、ユーザの操作履歴等が記憶される履歴DB53、ユーザのお気に入り情報が記憶される指標DB54や、ユーザクラスタUCに関する情報が記憶されるクラスタDB55を備えている。
他にも、各種ウェブページのウェブページデータが記憶される図示しないウェブページDBなどを管理する。
これらのDBは、例えばLAN等のネットワークを介して電子商取引システム3のショッピングサーバ6や情報提供装置7と通信可能とされており、このようなネットワークは通信ネットワーク2と同様に特に限定されるものではない。
【0029】
ユーザ端末4は、電子商取引システム3が提供する各種のサービスを受けるためにユーザが使用する情報処理装置である。具体的には、商品情報の閲覧や商品の購入等を行う場合などに用いられる。
【0030】
店舗端末5は、電子商取引システム3に自身が販売する商品を登録することにより、ユーザに商品情報を提供する店舗側で使用する情報処理装置である。店舗端末5は、電子商取引システム3に対して商品情報の登録や削除、変更などを行うための送受信処理などが行われる。
【0031】
ユーザ端末4や店舗端末5は、例えば、通信機能を備えたPC(Personal Computer)やフィーチャーフォンやPDA(Personal Digital Assistants)、或いは、スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイスなどである。
【0032】
<2.コンピュータ装置のハードウェア構成>
情報提供装置7をはじめとした各装置(ショッピングサーバ6、ユーザ端末4、店舗端末5、ユーザDB50、商品DB51、店舗DB52、履歴DB53、指標DB54、クラスタDB55)を構成するコンピュータ装置のハードウェア構成を
図2に示す。各コンピュータ装置のCPU(Central Processing Unit)101は、ROM( Read Only Memory)102に記憶されているプログラム、または記憶部108からRAM( Random Access Memory )103にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM103にはまた、CPU101が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
CPU101、ROM102、およびRAM103は、バス104を介して相互に接続されている。このバス104には、入出力インタフェース105も接続されている。
入出力インタフェース105には、入力部106、出力部107、記憶部108、通信部109が接続されている。
入力部106はキーボード、マウス、タッチパネルなどにより構成される。
出力部107はLCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)、有機EL(Electroluminescence)パネルなどよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどにより構成される。
記憶部108はHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ装置などにより構成される。
通信部109はネットワーク2を介しての通信処理や機器間通信を行う。
入出力インタフェース105にはまた、必要に応じてメディアドライブ110が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア111が適宜装着され、リムーバブルメディア111に対する情報の書込や読出が行われる。
【0033】
このようなコンピュータ装置では、通信部109による通信によりデータやプログラムのアップロード、ダウンロードが行われる。またリムーバブルメディア111を介したデータやプログラムの受け渡しが可能である。
CPU101が各種のプログラムに基づいて処理動作を行うことで、情報提供装置7などの各装置(ショッピングサーバ6、ユーザ端末4、店舗端末5、ユーザDB50、商品DB51、店舗DB52、履歴DB53、指標DB54、クラスタDB55)としての必要な情報処理や通信が実行される。
なお、情報提供装置7などの各装置(ショッピングサーバ6、ユーザ端末4、店舗端末5、ユーザDB50、商品DB51、店舗DB52、履歴DB53、指標DB54、クラスタDB55)を構成する情報処理装置は、
図2のようなコンピュータ装置が単一で構成されることに限らず、複数のコンピュータ装置がシステム化されて構成されてもよい。複数のコンピュータ装置は、LAN等によりシステム化されていてもよいし、インターネット等を利用したVPN等により遠隔地に配置されたものでもよい。複数の情報処理装置には、クラウドコンピューティングサービスによって利用可能なサーバ群(クラウド)としての情報処理装置が含まれてもよい。
【0034】
情報処理装置の各機能は、情報処理装置においてCPU101でプログラムに応じて実行される処理により実現される機能である。但し以下説明する全部または一部の各構成の処理をハードウェアにより実現してもよい。
また各機能をソフトウェアで実現する場合に、各機能がそれぞれ独立したプログラムで実現される必要はない。一つのプログラムにより複数の機能の処理が実行されてもよいし、一つの機能が複数のプログラムモジュールの連携で実現されてもよい。
また各機能は複数の情報処理装置に分散されていてもよい。更に機能の一つが、複数の情報処理装置によって実現されてもよい。
【0035】
<3.情報提供装置の機能構成>
情報提供装置7の具体的な構成について、
図3を参照して説明する。
情報提供装置7は、指標管理部7a、クラスタ管理部7b、変化傾向検出部7c、対象ユーザ抽出部7d、情報提供部7eを備えている。
【0036】
指標管理部7aは、ユーザ及び対象物ごとのお気に入り指標を管理する。即ち、お気に入り情報を管理する。具体的には、ユーザの操作に応じて、対象物に対するお気に入り指標を算出して記憶する。なお、対象物が商品である場合には、店舗Aで販売している商品Aと店舗Bで販売している商品Aは異なるものとして扱ってもよいし、同じものとして扱ってもよい。
【0037】
クラスタ管理部7bは、ユーザのお気に入り情報に基づいてユーザクラスタUCを生成し、管理する。対象物に対する嗜好傾向が似ているユーザが同一のユーザクラスタUCに属するように管理する。
【0038】
具体的に
図4に示す一例を挙げて説明する。
図4は、ユーザU1とユーザU2の嗜好傾向が似ているか否かをどのように判定するかを説明するための図である。対象物としては、商品S1〜S7を例示している。
【0039】
例えば、商品S1については、ユーザU1のお気に入り指標が「1:無関心」とされ、ユーザU2のお気に入り指標が「3:非常にお気に入り」とされている。また、商品S1についてのユーザU1とユーザU2の嗜好傾向の距離は、算出対象外を示す「−」とされている。
嗜好傾向の距離は、ユーザU1とユーザU2の嗜好傾向が似ているほど小さな値とされ、似ていないほど大きな値とされている。
【0040】
お気に入り指標の指標値が「1」とされた商品は、前述のようにユーザが知らないような商品であり、いわば無関心の商品である。即ち、該ユーザがその商品を気に入るか否かは不明とされた状態である。そのような状態で他ユーザと嗜好傾向が似ているか否かを判定することは適切ではないため、本例においては、算出対象外としている。
【0041】
従って、
図4の例では、商品S1,S2は、ユーザU1またはユーザU2のお気に入り指標の指標値が「1」とされているため、算出対象外とされている。また、商品S3,S6については、ユーザU1とユーザU2の嗜好傾向が似ている(即ち指標値が同値である)ため、距離は「0」とされている。
【0042】
商品S4については、ユーザU1のお気に入り指標が「3:非常にお気に入り」とされているのに対し、ユーザU2のお気に入り指標が「2:どちらかと言えばお気に入り」とされている。即ち、嗜好傾向が若干異なるため、距離は「1」とされている。
【0043】
商品S5については、ユーザU1のお気に入り指標が「3:非常にお気に入り」とされているのに対し、ユーザU2のお気に入り指標が「0:気に入らない」とされている。即ち、嗜好傾向が真逆のため、距離は「2」とされている。
【0044】
商品S7については、ユーザU1,U2共にお気に入り指標が「1:無関心」とされているため、距離は算出対象外を示す「−」とされている。
【0045】
商品S8については、ユーザU1のお気に入り指標が「0:気に入らない」とされており、ユーザU2のお気に入り指標が「2:どちらかと言えばお気に入り」とされている。即ち、嗜好傾向はほぼ逆のため、距離は「2」とされている。なお、後述で算出する距離があまり大きな値とならないように、「3:非常にお気に入り」と「0:気に入らない」の距離、及び、「2:どちらかと言えばお気に入り」と「0:気に入らない」の距離は共に「2」としている。
もちろん、何れか一方のユーザのお気に入り指標が「1:無関心」でない場合については、指標値の差分をそのまま距離としてもよい。
【0046】
図4に示す対象物ごとの距離に応じて、ユーザU1とユーザU2の嗜好傾向の近さを判定し、嗜好傾向が近いと判定した場合には該ユーザは同一のユーザクラスタUCに分類される。
図4に示す商品S1〜S8についてのユーザU1とユーザU2の嗜好傾向の近さを平均距離として算出する場合、例えば、距離の総和(5=0+1+2+0+2)を、距離の算出対象となった商品数(5個:商品S3,S4,S5,S6,S8)で除算することにより求めてもよい。
図4に示す例では、平均距離は「1(=5/5)」として算出される。
【0047】
嗜好傾向が近いか否かを判定するための方法については、いくつかの例が考えられる。
例えば、電子商取引システム3が扱う商品全てについて
図4に示すような距離をそれぞれ求め、その平均値が所定値(例えば0.2)未満である場合に二人のユーザの嗜好傾向が近いと判定してもよい。また、対象物が商品である場合には、商品を各ジャンルに分類し、ジャンルごとにユーザの嗜好傾向の近さを判定してもよい。例えば、「スポーツ」ジャンルに属する商品を対象としてそれぞれ距離を算出し、その平均値が所定値未満である場合には、「スポーツジャンルに属する商品においては、ユーザU1とユーザU2の嗜好傾向は近い」と判定してもよい。なお、平均値の比較対象である「所定値」については、予め恣意的に決定された閾値とされていてもよい。
【0048】
また、他にも、対象物が店舗である場合には、同一のジャンルに属する商品を販売している商店群について、ユーザ同士の嗜好傾向の近さを判定してもよい。例えば、スポーツ用品を販売している店舗群について、ユーザU1とユーザU2の嗜好傾向の近さを判定する。
【0049】
対象物がジャンルである場合、「スポーツ」という大ジャンルに「サッカー」、「野球」、「ゴルフ」、「水泳」などの小ジャンルが紐付けられた階層構造とし、小ジャンルについてのユーザ同士の嗜好傾向の近さに応じて大ジャンルの嗜好傾向が似ているか否かを判定してもよい。
【0050】
ユーザクラスタUCの一つ一つには、そのユーザクラスタUCの嗜好傾向を特徴付けるための基準モデルが設定されていてもよい。基準モデルは、例えば、各商品についてお気に入り指標の集合体として設定される。
【0051】
基準モデルは、当該ユーザクラスタUCに属する代表ユーザの嗜好傾向であってもよい。その場合には、代表ユーザと嗜好傾向が似ているユーザが同一のユーザクラスタUCに分類される。
例えば、
図4のユーザU1が基準モデルとされた場合には、商品S2のお気に入り指標が「2」とされ、商品S3,S4,S5についてのお気に入り指標がそれぞれ「3」とされ、商品S6,S8についてのお気に入り指標がそれぞれ「0」とされる。ユーザU1のお気に入り指標が「1」とされた各商品(商品S1,S7)については、ユーザU1と同一ユーザクラスタに属する他のユーザの嗜好傾向に基づいて設定されてもよい。
【0052】
なお、上記のように、無関心な状態を表す指標値を設けること、及び、二人のユーザの嗜好傾向が似ているか否かを判定する際にいずれかのユーザが無関心な商品、即ち評価値が「1」とされた商品については、距離の平均値の算出に用いないことにより、ユーザ間の嗜好傾向の類似度合いを適切に算出することができる。
【0053】
変化傾向検出部7cは、一つのユーザクラスタUCに属するユーザの嗜好傾向の変化の傾向を検出する処理を行う。
【0054】
対象ユーザ抽出部7dは、変化傾向検出部7cによってあるユーザクラスタUC内の変化傾向が検出された場合において、変化傾向が見られたユーザとそうでないユーザを判定する。更に、変化傾向が見られないユーザを情報提供の対象者である「対象ユーザ」として抽出する処理を行う。
【0055】
具体的に説明する。例えば、あるユーザクラスタUC1に属する各ユーザのうち一定割合のユーザについて、所定期間(例えば1週間)の間に商品S1についてのお気に入り指標が「1:無関心」とされている状態から、「3:非常にお気に入り」とされている状態へと変化した場合について考える。
変化傾向検出部7cは、このような変化傾向を検出する。即ち、ユーザクラスタUC1に属するユーザの間では商品S1の人気が急上昇していることを検出する。更に、対象ユーザ抽出部7dは、ユーザクラスタUC1に属する各ユーザについて、商品S1のお気に入り指標が「3」になっていないユーザ、換言すれば「2」以下のユーザを情報提供の「対象ユーザ」として抽出する。
【0056】
情報提供部7eは、抽出されたユーザに対する情報提供を行うための各種処理を行う。具体的には、情報提供の手段に応じて提供情報の生成を行い、ユーザに対して適切な手段で送信する。
例えば、情報提供の手段として電子メールを用いることが考えられる。上記の例を用いると、対象物である商品S1の情報を含む電子メールデータを生成する処理を行い、ユーザに送信する処理を行う。電子メールの送信は、送信予約を設定することにより、適切な時間帯にユーザに配信されるようにしてもよい。
【0057】
また、情報提供の手段として、ユーザが閲覧しているウェブページ上に電子商取引システム3が提供する各種サービスに関する広告を掲示することが考えられる。上記の例を用いると、ユーザクラスタUC1に属するユーザのうち対象ユーザがウェブページを閲覧している状態において、使用しているユーザ端末4から広告情報の送信要求を受信する。情報提供部7eは、該要求の受信に応じて、対象物である商品S1の情報を含む広告情報を抽出し、ユーザ端末4へ送信する処理を行う。
【0058】
更に、例えば電子商取引システム3が管理するポータルサイトのトップページに来訪したユーザに合わせてお勧め商品を表示する表示欄が設けられている場合には、該表示欄に提供情報を掲示してもよい。上記の例であれば、来訪したユーザがユーザクラスタUC1に属する対象ユーザである場合に、対象物である商品S1の情報を該お勧め商品表示欄に掲示する。
【0059】
また、電子商取引システム3が提供する各種サービスを利用するためにユーザ端末4に搭載されたソフトウェア(以降「端末アプリ」と記載)をユーザが利用する場合について考える。このような場合においては、端末アプリに設けられた所定のボタン等の操作子(例えば「お勧め情報を見る」ボタン)をユーザが操作したことに応じて、対象物である商品S1の情報をユーザに提示してもよい。
他にも、ユーザが対象物に関連した他の商品(同じジャンルに属する商品や販売店舗が同一である商品や関連性の高い商品など)についての情報を閲覧した際に、別ウィンドウを表示させることにより対象物である商品S1の情報を提供してもよい。
【0060】
<4.DB>
電子商取引システム3が管理する各種DBについて説明する。
[4−1.ユーザDB]
ユーザDB50には電子商取引システム3が提供する各種サービスを利用するユーザの情報が記憶される。例えば、一人のユーザを特定可能な一つのユーザID(Identification)に対して、ログインパスワード、氏名、年齢、性別、年収、住所、メールアドレス、趣味などの個人的な情報が紐付けられて記憶される。また、決済情報や商品の購入履歴、商品のお気に入り登録情報などが記憶されてもよい。購入履歴や閲覧歴の詳細については、別途履歴DB53に記憶される。また、お気に入り情報の詳細については、別途指標DB54に記憶される。
【0061】
[4−2.商品DB]
商品DB51には、電子商取引システム3を利用して売買が可能な各商品についての情報が記憶される。例えば、商品を一意に識別可能な商品IDに対して、商品ジャンル、商品画像、製造者(メーカー)情報、製造者によって付与される型番情報、販売開始日、取扱商品提供者情報、在庫情報などが紐付けられて記憶される。
商品画像の情報は、画像データそのものでもよいし、保存されている画像データのリンク情報として、URL(Uniform Resource Locator)情報でもよい。
また、商品DB51には、上記以外にも、生産地や商品のスペック(色、大きさ、性能情報)などが記憶されてもよい。
【0062】
[4−3.店舗DB]
店舗DB52は、電子商取引システム3を利用して商品を販売する店舗や買い取りを行う店舗の情報が記憶される。
例えば、店舗を一意に特定可能な店舗IDに対して、ジャンル情報、販売商品情報、代表者情報、連絡先情報などが記憶される。
【0063】
[4−4.履歴DB]
履歴DB53には、ユーザの操作に関する各種履歴(購入履歴や閲覧履歴など)が記憶される。
具体的には、ユーザが行った操作ごとに、履歴ID、操作種別、操作対象(「購入操作」や「閲覧操作」であれば対象となった商品ID、「ユーザ情報変更操作」であれば変更対象となった項目名など)、操作日時、操作結果(「ログイン操作」であればログイン可否、「ユーザ情報変更操作」であれば変更可否、「購入操作」であれば購入したのかキャンセルしたのかを示す情報)などが記憶される。
【0064】
[4−5.指標DB]
指標DB54には、ユーザのお気に入り情報が記憶される。お気に入り情報は、商品、店舗或いはジャンルのような対象物ごとのお気に入り指標の情報である。お気に入り情報は、ユーザ毎に記憶される。
以下の例においては、前述のように、お気に入り度合いを0〜3の4段階で表したお気に入り指標を用いる。お気に入り指標は、お気に入り度合いが高いほど高い数値(指標値)とされる。お気に入り指標が「1」とされた対象物は、ユーザが無関心な対象物であることを示す。
【0065】
[4−6.クラスタDB]
クラスタDB55には、ユーザクラスタUCの情報が記憶される。
ユーザクラスタ情報は、一つのユーザクラスタUCを一意に特定可能なユーザクラスタIDに対して、所属ユーザ情報、嗜好傾向の情報などが紐づけられて記憶されている。
【0066】
嗜好傾向の情報は、前述したように、基準モデルの情報などである。具体的には、そのユーザクラスタUCにおいて標準的な嗜好傾向を持つユーザを一人特定し、該ユーザの嗜好傾向(お気に入り情報)を基準モデルとして採用してもよい。
【0067】
[4−7.DBの態様]
これらの各DB(ユーザDB50、商品DB51、店舗DB52、履歴DB53、指標DB54、クラスタDB55)は、電子商取引システム3を構成する各情報処理装置が必要に応じてアクセス可能とされていればどのような形態で実現されていてもよい。例えば電子商取引システム3と同一システム内の記憶部に各DB(ユーザDB50、商品DB51、店舗DB52、履歴DB53、指標DB54、クラスタDB55)のすべてが形成されていてもよいし、各DB(ユーザDB50、商品DB51、店舗DB52、履歴DB53、指標DB54、クラスタDB55)の一部又は全部が別体、遠隔地等のコンピュータシステムに設けられていてもよい。もちろん各DB(ユーザDB50、商品DB51、店舗DB52、履歴DB53、指標DB54、クラスタDB55)が一つの装置(例えば一つのHDD等)内に形成されている必要はない。また各DB(ユーザDB50、商品DB51、店舗DB52、履歴DB53、指標DB54、クラスタDB55)のそれぞれが、それぞれ一つのDBとして構成される必要もない。例えばユーザDB50に記憶される情報が、複数のユーザDB(例えばログイン用のユーザDBとユーザの属性情報が記憶されるユーザDBなど)により記憶管理されてもよい。以下説明する各DB(ユーザDB50、商品DB51、店舗DB52、履歴DB53、指標DB54、クラスタDB55)は、実施の形態の処理に関連する情報の記憶部を、それぞれ一つのDBの形態で例示したものに過ぎない。
【0068】
<5.第1の実施の形態>
[5−1.全体の流れ]
ユーザが行う操作に基づいて電子商取引システム3の各情報処理端末が実行する処理について説明する。
一連の処理の流れについて、
図5に一例を挙げて説明する。
【0069】
先ず、ユーザは、ユーザ端末4を用いて、ログインページを表示させる操作を行う。これに応じて、ユーザ端末4はステップS101で、ログインページ情報要求処理を実行する。ログインページ情報要求処理は、ログインを実行するためのウェブページ情報を要求する処理である。
ユーザ端末4から電子商取引システム3へログインページ情報要求が送信されると、電子商取引システム3はステップS201において、ログインページ情報送信処理を実行する。
これにより、例えば、電子商取引システム3から受信したECサイトへのログインページ情報(ウェブページデータ)に応じたウェブページがユーザ端末4上に表示される。
【0070】
次に、ユーザ端末4はステップS102において、ユーザによって入力されたログイン情報(ユーザIDとパスワード)を電子商取引システム3へ送信するログイン情報送信処理を実行する。ユーザ端末4から電子商取引システム3へログイン情報が送信されると、電子商取引システム3はステップS202において認証処理を実行し、続くステップS203においてログイン履歴をDBに記憶する処理を行う。更に、電子商取引システム3はステップS204において、認証結果通知処理を実行する。
【0071】
具体的には、電子商取引システム3は、ユーザ端末4上で入力されたユーザIDとパスワードをユーザDB50に記憶された情報と比較して当該ユーザのログイン可否を判定し、認証結果をユーザ端末4へ通知する。尚、認証結果をユーザ端末4へ返すと共に、ECサイトのトップページのウェブページデータを送信してもよい。これにより、ユーザ認証がなされると共に、ユーザ端末4上にECサイトのトップページが表示される。
尚、
図5に示す一連の流れは、ステップS202の認証処理においてログイン可と判定された場合を示している。ステップS202においてログイン不可と判定した場合は、ユーザ端末4は再度ステップS102の処理を実行し、これに応じて電子商取引システム3はステップS202の処理を実行する。
【0072】
ECサイトへのログインに成功したユーザは、ECサイトを利用するための各種操作を行う。これに応じて、ユーザ端末4はステップS103で、各種操作を受け付ける。ステップS103の処理では、ユーザが行った操作種別に応じて各種の情報が電子商取引システム3へ送信される。例えば、商品の検索をユーザが行った場合には、検索クエリなどの情報が電子商取引システム3へ送信される。また、商品ページを閲覧するための操作を行った場合には、ユーザが所望する商品ページを特定するための情報が電子商取引システム3へ送信される。
【0073】
電子商取引システム3では、ステップS103におけるユーザの操作に応じて適切な処理を行う。具体的には、商品の検索操作に応じた検索処理や通知処理、商品ページの閲覧操作に応じたウェブページ情報取得処理や送信処理などを行う。なお、
図5においては、これらの処理は省略している。
図5では、ユーザの各種操作に応じて電子商取引システム3の情報提供装置7が実行する各処理をステップS205乃至S207で示している。具体的に説明する。
【0074】
ステップS205では、ユーザ操作に基づいてお気に入り指標の変更を行う。また、ステップS206では、ユーザクラスタ情報の変更を行う。更にステップS207では、変更されたお気に入り指標やユーザクラスタ情報に応じた情報提供を行う。
【0075】
ユーザ端末4では、ステップS104において、提供された情報を表示させるための処理を行う。これによって、ユーザは電子商取引システム3の情報提供装置7から受信した情報を閲覧することができる。
以降では、ステップS205乃至S207の各処理について、具体的に説明する。
【0076】
[5−2.お気に入り指標変更処理]
お気に入り指標変更処理は、ユーザの操作に応じてお気に入り指標の指標値の変更を行うための処理である。
具体的に、
図6を参照して説明する。なお、以降の説明においては、お気に入り指標の指標値を単に「指標値」とも記載する。
【0077】
情報提供装置7はステップS301で、ユーザが行った操作の種別を特定する処理を行う。ユーザが行った操作とは、
図5のステップS103でユーザ端末4が受け付けたユーザの操作である。以降の説明では、操作を行ったユーザを「操作ユーザ」と記載する。
操作種別としては、例えば、商品ページの閲覧操作、商品購入操作、商品をショッピングカートへ追加する操作、商品や店舗を検索するための操作、商品や店舗或いはジャンル(対象物)をお気に入りに登録する操作などが考えられる。
【0078】
情報提供装置7はステップS302で、対象物を特定する処理を行う。例えば、操作ユーザが行った操作が商品ページの閲覧操作である場合、該商品を対象物として特定する。また、商品が属するジャンルを更に対象物としてもよい。即ち対象物は一つとは限らない。
ジャンルは、「スポーツ用品」などの大きなジャンルであってもよいし、「ゴルフ用品」のように細かなジャンルであってもよい。また、更に細分化された「ゴルフのアイアンセット」などのジャンルであってもよい。
また、操作ユーザが行った操作が店舗ページの閲覧操作である場合、該店舗を対象物として特定すると共に、店舗が販売している商品ジャンルを更に対象物としてもよい。
【0079】
情報提供装置7はステップS303で、履歴情報を取得する。この処理では、操作ユーザの閲覧履歴や購入履歴の情報などを履歴DB53から取得する。
続いて、情報提供装置7はステップS304で、対象物に対する操作ユーザの指標値を算出する。このとき、ステップS303で取得した履歴情報を参照する。
【0080】
具体的な例を説明する。なお、操作前における対象物についての操作ユーザの指標値が「1」である場合を例に挙げる。
例えば、直近の10分などの所定期間内に同一の商品ジャンルに属する複数の商品の商品ページを閲覧していた場合には、該商品ジャンルに対する興味関心が著しく向上していると判定し、指標値に反映させる。即ち、当該ジャンルの指標値を、無関心を表す「1」から「3」へと変更する。
また、例えば、直近の10分などの所定期間内において、対象物と同一の商品ジャンルに属する他の商品の商品ページを閲覧していなかった場合、該商品ジャンルに対する興味関心が著しく向上しているとは言い切れないため、当該ジャンルの指標値を無関心を表す「1」から「2」へと変更する。なお、一度の指標値の変更処理においては、指標値の変動が「1」となるように構成してもよい。即ち、同一商品ジャンルの商品ページを所定期間内に所定回数閲覧していた場合に、指標値を「1」から「2」へと変更するように構成してもよい。
【0081】
また、購入履歴に基づいて指標値を算出することも考えられる。例えば、あるジャンルに属する商品を所定期間内に複数回購入している場合には、当該ジャンルの指標値を「1」から「3」へと変更する。また、所定期間内にあるジャンルに属する商品を一つ購入している場合には、当該ジャンルの指標値を「1」から「2」へと変更する。
更には、定期的に購入している商品がある場合には、該商品についての指標値を上昇させることが考えられる。また、定期的に購入していた商品を購入しなくなった場合には、該商品についての指標値を減少させることが考えられる。
【0082】
また、ある商品ページを頻繁に閲覧している場合などは、当該商品についての指標値を上昇させることが考えられるが、それに伴い、該商品に類似した他商品についての指標値も上昇させてもよい。例えば、閲覧された商品の指標値を「3」へ変更すると共に、類似した他商品の指標値を「2」へ変更してもよい。
【0083】
即ち、ステップS304では、購入回数や購入頻度、或いは閲覧回数や閲覧頻度に応じて指標値を算出することが望ましい。
このような処理をステップS304で行うことにより、履歴に応じて対象物の嗜好を推定し、適切な指標値を算出する処理を行う。
なお、履歴情報を参照する際に、操作が行われた時間情報を元に重み付けを行うことにより、直近に行われた操作ほど指標値の算出に大きな影響を及ぼすようにしてもよい。
【0084】
他にもユーザの操作がお気に入り登録を能動的に行うための操作であるか、或いはお気に入り登録が非能動的に行われてしまう操作であるかに基づいて指標値を算出してもよい。
例えば、ある商品をお気に入り登録することを意図してユーザが行った操作を能動的操作と定義する。逆に、ユーザがある商品を購入するための購入操作を行ったことに応じて意図せず購入商品がお気に入り登録されてしまうような場合は、該購入操作を非能動的操作と定義する。
この場合に、能動的操作によってお気に入り登録される場合やお気に入り指標を上昇させる場合は、非能動的操作によってお気に入り登録される場合やお気に入り指標を上昇させる場合に比べて指標値の増加幅を大きくすることが考えられる。具体的には、ある商品の指標値が無関心を表す「1」とされているユーザがお気に入り登録についての能動的操作を行った場合は、指標値を「3」へと変更する。一方、当該ユーザがお気に入り登録についての非能動的操作を行った場合は、指標値を最高値の「3」よりも低い「2」へと変更する。
【0085】
情報提供装置7はステップS305において、ステップS304で算出した指標値が最高値(=3)であるか否かを判定する。算出した指標値が最高値である場合、情報提供装置7はステップS306で、操作ユーザのお気に入り情報の中で指標値が最高値とされた対象物が所定数(例えば10個)あるか否かを判定する。この判定処理では、今回の処理対象とされている商品以外に指標値が最高値とされた対象物が10個以上であるかを判定してもよいし、所定数を11個として今回の処理対象とされている商品も含めて指標値が最高値とされた対象物が11個以上あるかを判定してもよい。
【0086】
指標値が最高値に設定された対象物が所定数以上あると判定した場合、情報提供装置7はステップS307で、入替処理を行う。入替処理では、最高値の指標値が設定された対象物の一つを選択し、指標値を1段階下げる(即ち「3」から「2」へ変更)処理を行う。これによって、今回の対象物の指標値が最高値に設定されると共に、最高値に指標値が設定された対象物の総数を所定数以下に抑える。
【0087】
指標値が最高値とされた対象物が増えすぎてしまうと、ユーザに適切な情報提供を行う場合に、何れの対象物についての情報を提供するかを決定するための処理負担が増加してしまう虞がある。また、指標値が最高値とされた対象物の数だけ情報提供を行うとした場合には、ユーザへの情報提供が増えすぎてしまい、ユーザが煩わしさを感じてしまう虞が生じる。また、本当にユーザが気に入った商品が分からないということも考えられる。
図6に示すステップS305乃至S307の各処理を行うことにより、指標値が最高値に設定された対象物が所定数以下とされるため、適切な情報提供を行うことが容易となる。
【0088】
なお、ステップS307の入替処理において指標値を「3」から「2」へ下げる対象物の選択方法については各種考えられる。
例えば、ユーザの操作の中には、商品購入操作のように、対象物のお気に入り指標を上昇させるものが含まれる。このような操作には、操作対象とされた対象物が存在する。操作が行われた時間が直近であるほど、該操作の対象とされた対象物における現時点でのお気に入り度合いが高いと推測可能である。換言すれば、該操作が行われた時間が古いほど、対象物における現時点でのお気に入り度合いが低くなっている可能性がある。従って、ある対象物についてお気に入り指標を上昇させる操作が最後に行われた時間が最も古い対象物をステップS307で選択することが考えられる。
【0089】
他にも、お気に入り指標を上昇させる操作にランク付けを行い、お気に入り指標を上昇させる度合いが大きい操作の対象とされた対象物は、ステップS307における選択対象から省くことが考えられる。換言すれば、お気に入り指標を上昇させる度合いが少ない操作の対象にしかなっていない対象物がステップS307における選択対象とされる。
【0090】
情報提供装置7はステップS308で、対象物と新たに設定された指標値の対応関係を指標DB54に記憶する。
また、ステップS305で指標値が最高値でないと判定した場合や、ステップS306で指標値が最高値とされた対象物が所定数未満と判定した場合は、ステップS307の入替処理を行わずにステップS308の記憶処理を行う。即ち、今回の操作の対象物に関する指標値が更新される。
【0091】
[5−3.クラスタ情報変更処理]
情報提供装置7は、
図5のステップS205のお気に入り指標変更処理を実行した後、ステップS206のクラスタ情報変更処理を行う。
クラスタ情報変更処理は、操作ユーザについてのお気に入り情報が変更されたことによって、該操作ユーザが所属すべきユーザクラスタUCに変更は無いかどうかを判定する処理を行う。また、操作ユーザが何れのユーザクラスタUCに属していない状態の場合は、このクラスタ情報変更処理において属すべき適切なユーザクラスタUCを特定する処理を行う。
【0092】
クラスタ情報変更処理で実行する各処理の一例について、
図7を参照して説明する。
情報提供装置7はステップS401で、操作ユーザを特定する。操作ユーザは、即ち
図5のステップS103の操作を行ったユーザである。
次に、情報提供装置7はステップS402で、対象物を特定する。対象物は、操作ユーザが行ったステップS103の操作の対象となった商品や店舗やジャンル等である。
【0093】
情報提供装置7はステップS403で、所属クラスタ変更要否判定を行う。この処理では、操作ユーザが所属しているクラスタを特定すると共に、所属クラスタに属することが適切であるか否かを判定する。
例えば、所属クラスタの基準モデルの情報をクラスタDB55から取得し、操作ユーザの嗜好傾向と基準モデルが所定以上乖離しているか否かを判定する。基準モデルと嗜好傾向が乖離しているか否かを判定する方法としては、例えば、
図4を参照して説明したように、対象物ごとの距離を算出し、その平均値が所定値(例えば0.2)未満であるか否かに応じて判定してもよい。
【0094】
なお、操作ユーザが何れのユーザクラスタUCにも属していない場合には、所属クラスタの変更が「要」であると判定する。
【0095】
情報提供装置7はステップS404で、判定結果による分岐処理を行う。具体的には、所属クラスタの変更が「要」である場合、即ちステップS404の判定結果が「Y」である場合、情報提供装置7はステップS405で、最適なユーザクラスタUCを特定する処理を行う。
この処理では、例えば、各ユーザクラスタUCにおいて、操作ユーザの対象物ごとの指標値と基準モデルの距離の平均値を算出し、距離の平均値が最も小さいユーザクラスタUCを最適なユーザクラスタUCとして特定する。但し、距離の平均値が最も小さいユーザクラスタUCであっても、該平均値が所定値以上となってしまった場合は、操作ユーザを該ユーザクラスタUCに所属させることは不適切であるため、最適なユーザクラスタUCは「該当なし」と判定してもよい。換言すれば、最適なユーザクラスタUCは特定できなかったと判定する。
【0096】
情報提供装置7はステップS406で最適なユーザクラスタUCの特定ができたか否かに応じた分岐処理を行う。
最適なユーザクラスタUCが特定できなかった場合、情報提供装置7はステップS407で新たなユーザクラスタUCを生成する。このとき、操作ユーザの各指標値を該新たなユーザクラスタUCの基準モデルとして設定してもよい。
【0097】
情報提供装置7はステップS408で、所属クラスタの変更を行う。ステップS406で最適なユーザクラスタUCが特定できた場合には、特定したユーザクラスタUCに操作ユーザを所属させることにより、所属クラスタの変更を行う。
また、ステップS407で新たなユーザクラスタUCを生成した場合には、新たなユーザクラスタUCに操作ユーザを所属させることにより、所属クラスタの変更を行う。
【0098】
なお、ステップS404において所属クラスタの変更が不要と判定した場合、情報提供装置7は
図7に示す一連の処理を終了する。
【0099】
[5−4.情報提供処理]
図5のステップS205でお気に入り指標の変更を行い、続くステップS206でクラスタ情報の変更を行った後、ステップS207において、お気に入り指標やユーザクラスタUCの変更に応じて新たに情報提供することが必要となった対象物を検出し情報提供を行うものである。
この情報提供処理は、ステップS206の直後に情報提供を行うことにより実現してもよいが、ステップS206を実行する時点では提供する情報の選択と提供のタイミングを決定する処理を行い、実際の情報提供は決定したタイミング(例えば数時間後や数日後、或いは特定の操作をユーザが行ったタイミングなど)に応じて行ってもよい。
【0100】
情報提供処理の一例について、
図8を参照して説明する。
先ず、情報提供装置7はステップS501で、お気に入り情報を指標DB54から取得する。続いて、情報提供装置7はステップS502で、嗜好傾向の変化した対象物を検出する処理を実行する。
次に、情報提供装置7はステップS503で、該当する対象物の有無に応じた分岐処理を行う。
【0101】
ここでステップS502及びS503の具体例として、あるユーザクラスタUC内に属するユーザのうち3割以上のユーザについて所定期間内の嗜好傾向の変化を検出した場合に情報提供を行う例について説明する。
【0102】
例えば、10人のユーザU1〜U10が属するユーザクラスタUC1を例に挙げる。
ある時点で、ユーザU1〜U10の商品S1に対する指標値が「1」だったとする。その後、ユーザU1及びU2については、所定期間内において、商品S1に対する指標値が「3」へと上昇したとする。この時点では、商品S1に対する嗜好傾向の変化が検出されたユーザの割合は、10人中2人であるため、2割と算出される。
次に、ユーザU3が商品S1を購入する操作などを行ったことに応じて、
図5のステップS205でユーザU3の商品S1についてのお気に入り指標の指標値が「3」へと上昇したとする。このとき、ユーザクラスタUC1に属するユーザU1〜U10のうち3割のユーザが所定期間内に商品S1についての指標値が「3」へと上昇したこととなる。即ち、ユーザクラスタUC1において商品S1の指標値の上昇傾向を検出したこととなる。
【0103】
このようなケースでは、情報提供装置7はステップS503において、ユーザU3の操作に基づいて情報提供が必要になった対象物(即ち商品S1)があると判定する。
嗜好傾向の変化した対象物ありと判定した場合、情報提供装置7はステップS504で、対象ユーザを特定する。具体的に、商品S1についての情報を提供することでユーザの購買意欲を惹起させることを目的としている場合、対象ユーザは商品S1の指標値が「3」へと上昇していないユーザとなる。即ち、この例においては、ユーザU4〜U10の7人のユーザが対象ユーザとして特定される。
【0104】
次に、情報提供装置7はステップS505で、情報提供処理を実行する。この処理では、即座に各ユーザに対する情報提供を行ってもよいし、情報提供の送信トリガを設定することで、情報提供の予約を行ってもよい。
情報提供の手段は、上述のように各種考えられる。
一方、嗜好傾向の変化した対象物なしと判定した場合、情報提供装置7は
図8に示す一連の処理を終了する。即ち、情報提供は行われない。
【0105】
なお、ユーザが操作を行うたびに
図8に示す一連の処理が実行されることにより、お気に入り指標の変化やユーザクラスタUCの変化が起きるたびに情報提供を実行することが適切な対象物の抽出が行われるため、情報提供のタイミングを逸することがなくなり、効果的な情報提供を行うことが可能となる。
【0106】
<6.第2の実施の形態>
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、ユーザの操作に応じて
図5のステップS205のお気に入り指標変更処理とステップS206のクラスタ情報変更処理を実行する。しかし、ステップS207の情報提供処理は、ユーザの操作に応じたタイミングで行うものではなく、別のタイミングで行う。
例えば、
図9に示すクラスタ内トレンド検出処理をバッチ処理などで定期的に行うことにより、適切な情報提供を実現する。第1の実施形態のように、ユーザによる各種操作が行われるごとにステップS207の処理を実行してしまうと、情報提供装置7の処理負担が過度に増大してしまう虞がある。本例は、処理負担を過度に増大させることなく情報提供を行うものである。
【0107】
情報提供装置7はステップS601で、対象ユーザクラスタUCを特定する処理を実行する。この処理は、一つのユーザクラスタUCを選択する処理である。
図9に示す一連の処理を全てのユーザクラスタUCに対して行う場合には、未処理のユーザクラスタUCをステップS601で選択する。
【0108】
情報提供装置7はステップS602で、所定期間内に指標値が上昇した対象物を特定する。例えば、
図9に示す各処理を1日1回バッチ処理で実行する場合には、前回のバッチ処理を実行してから現在までの期間を「所定期間」とすることにより、バッチ処理の処理負担を軽減しつつ指標値が上昇傾向にある対象物を検出することができる。
ステップS602の処理では、対象ユーザクラスタUCに属する各ユーザのお気に入り指標が所定期間内に上昇した商品等の対象物を全て特定する。
【0109】
続いて、情報提供装置7はステップS603で、特定した全ての対象物のうち、対象ユーザクラスタUCにおける所定割合以上の所属ユーザにおいて同様の上昇傾向が見られる対象物を絞り込む。ステップS602及びS603の処理を行うことにより、対象ユーザクラスタUC内で所定期間内に流行している商品等の対象物が特定される。
【0110】
情報提供装置7はステップS604で、絞り込んだ対象物についての提供情報を生成する処理を行う。
ユーザに対してどのような手法で情報を提供するかは、上述したように各種考えられるが、手法に応じた適切な情報生成が行われる。
【0111】
情報提供装置7はステップS605で、ユーザに対する情報提供を行う。この処理では、ユーザに情報提供を送信する処理を行ってもよいし、ユーザにとって適切なタイミングに情報提供が行われるように情報提供の予約処理を実行してもよい。また、前述のように、ユーザの行動に応じて情報提供が行われるようにフラグの設定などを行ってもよい。例えば、ユーザが次にECサイトのトップページを閲覧した際に該ウェブページ上で情報提供が行われるようにしてもよい。
【0112】
なお、バッチ処理の実行間隔と指標値の上昇傾向を検出する所定期間は、異なる期間としてもよい。例えば、直近の1週間において指標値が上昇した対象物を特定する場合について考える。このとき、バッチ処理は1日に1回実行してもよい。上昇傾向を検出についての所定期間(例えば1週間)よりも短い間隔(例えば1日間隔)でバッチ処理を実行することにより、指標値の上昇傾向の検出漏れを防止することができる。
【0113】
<7.その他の処理例>
[7−1.情報提供効果チェック処理]
第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、ユーザに対して適切な情報提供を行う処理について述べた。
ここでは、それぞれの情報提供の後に情報提供装置7が実行する処理の一例について説明する。
【0114】
具体的には、情報提供の効果を確認すると共に確認結果に応じた処理を行う。
図10を参照して説明する。
情報提供装置7はステップS701において、情報提供を行ったユーザクラスタUCを特定する。なお、ステップS701の処理では、情報提供から所定期間(例えば1週間など)経過したユーザクラスタUCを特定してもよい。情報提供のタイミングと影響が表れ始めるタイミングにはタイムラグが存在するためである。
【0115】
続いて、情報提供装置7はステップS702において、情報提供によって情報提供の対象物の指標値が上昇しなかった所属ユーザを特定する。
【0116】
次に、情報提供装置7は、特定した所属ユーザが所属するユーザクラスタUCを変更するべきか否かを判定する。具体的には、情報提供装置7はステップS703において、所属に適切なユーザクラスタUCが他に存在するか否かを判定する。
【0117】
所属に適切なユーザクラスタUCが他に存在すると判定した場合、情報提供装置7はステップS704で所属ユーザクラスタを変更する。これにより、情報提供を行ったユーザクラスタUCに所属しているユーザであって且つ情報提供によって指標値が変化しなかったユーザについて、他に所属すべきユーザクラスタUCが存在する場合は、所属クラスタの変更が行われ、ユーザクラスタUCの嗜好傾向の統一性が保たれる。
【0118】
一方、所属に適切なユーザクラスタが他に存在しない場合は、
図10に示す一連の処理を終了する。但し、ステップS703で「N」判定となった場合、ステップS702で特定したユーザを新たに所属させるためのユーザクラスタUCを新たに生成してもよい。
【0119】
また、ステップS703の処理を実行する前に、特定したユーザごとに基準モデルとの距離の平均値を算出し、該平均値が所定値を以上となったユーザを他のユーザクラスタに移動させるユーザとして特定する処理を実行してもよい。これによれば、情報提供によって指標値が変化しなかったユーザであっても、現在所属しているユーザクラスタUCの基準モデルとの距離が近いユーザである場合には、所属の変更が行われない。一方、情報提供によって指標値が変化しなかったユーザであって、且つ、現在所属しているユーザクラスタUCの基準モデルとの距離が遠くなってしまったユーザである場合には、所属するユーザクラスタUCの変更が行われる。
これによっても、ユーザクラスタUCの嗜好傾向の統一性を保つことができる。
【0120】
[7−2.一般トレンド検出処理]
上述した各種の例では、ユーザクラスタUCごとの嗜好傾向に基づいてユーザに情報提供を行う例を述べた。ここでは、ユーザクラスタUCを横断して嗜好傾向の変化を検出し、ユーザに情報提供を行う例について述べる。
【0121】
情報提供装置7はステップS801で、所定期間内に指標値が上昇した対象物を特定する。例えば、各ユーザクラスタUCに属する何れかのユーザ(即ち全ユーザ)について、直近の一週間で指標値が上昇した対象物を特定する。
【0122】
情報提供装置7はステップS802で、特定した対象物の中から、全ユーザのうちの一定の割合以上のユーザの指標値が上昇した対象物を絞り込む。
全ユーザのうち一定割合のユーザの指標値が上昇した対象物は、ユーザクラスタUCごとの指標傾向によらず世間一般的に流行している、或いは流行しつつある商品等であることが推測される。
【0123】
情報提供装置7はステップS803で、対象物についての提供情報を生成する処理を実行する。この処理は、情報を提供する手段に応じて適切な情報を生成するものである。
情報提供装置7はステップS804で、情報提供処理を行う。この処理は、提供情報を送信する処理であってもよいし、提供情報の送信を行うタイミングを設定する処理であってもよい。
【0124】
[7−3.お気に入り情報の提示処理]
ユーザに対して該ユーザのお気に入り情報を提示する処理について説明する。
ユーザに対してお気に入り情報を提示する処理を行うのは、例えば、ユーザがお気に入り管理ページを閲覧する場合などである。
このとき、ユーザに対して、お気に入り指標の指標値が分かるようにお気に入り情報を提示することや、お気に入り指標の指標値がわからないようにお気に入り情報を提示することが考えられる。
【0125】
ユーザに提示するお気に入り管理ページの一例を
図12に示す。なお、
図12は、商品についてのお気に入り情報を管理するためのお気に入り管理ページの例を示している。
お気に入り管理ページには、複数のお気に入り商品の情報が上下に並べられている。一つのお気に入り商品の情報は、お気に入り商品の画像が表示される商品画像領域8、商品名が表示される商品名表示欄9、店舗名が表示される店舗名表示欄10、価格の情報が表示される価格情報表示欄11、当該商品をお気に入り商品から外すための削除アイコン12によって構成されている。
【0126】
図12では、指標値がユーザに分からないようにお気に入り情報の提示を行っている。指標値がユーザに分かるように提示する場合、ユーザが意図的に指標値を変動させるための操作を行うことが可能となる。即ち、特定の商品の指標値を下げるために他の商品を無駄に閲覧するための閲覧操作を行うことが可能となる。
これによって、ユーザの嗜好傾向を適切に表現し得る指標値がユーザの意図的な操作で歪められてしまう虞が生じる。換言すれば、ユーザに対して適切な情報を提供できない虞が生じる。
【0127】
本例では、これを防止するために、指標値がユーザに分からないようにお気に入り情報の提供を行っている。
【0128】
<8.変形例>
上記では、指標値を減少させる例として、定期的な商品購入を取りやめた場合を説明した。他にも、指標値を減少させる場合がある。例えば、ユーザが興味を持ってチェックしている商品は、指標値を上昇させることにより、ユーザに情報提供を行うことが考えられる。しかし、当該商品を実際に購入した場合、そのユーザが購入商品について同程度の興味を維持し続けることが困難なこともある。そのような場合は、商品についての指標値を減少させることが考えられる。購入商品が消耗品ではなく、長い間使用可能なものであり、且つ、一人のユーザが一つ所持していれば事足りるような商品である場合には、このような傾向が強く見られる。
従って、商品の性質及びユーザの購買情報を考慮して、商品に対する指標値を減少させることが望ましい。
【0129】
なお、商品が消耗品である場合には、その商品の指標値を高いまま維持してもよい。また、他の方法として、購入直後は一時的に商品の指標値を下げることにより不要な情報提供を抑制すると共に、当該商品の購入間隔や消費感覚を考慮して再購入が行われそうな時期が到来する直前などに再度商品の指標値を向上させることも有効である。
これによれば、ユーザの購入に応じて不適当な情報提供を抑制することができ、ユーザに煩わしさを感じさせないと共に、代わりの商品等に関する情報提供を行うことによりユーザの購買意欲を惹起させることができる。
【0130】
また、例えば、お気に入り指標が高い商品(以降、商品S1)ではないが、それに類似する商品(以降商品S1’)の購入が行われた場合に、商品S1についての指標値を下げることが考えられる。即ち、指標値が高い商品S1の代替となる商品S1’を購入したことにより商品S1に対する興味が下降しているにも関わらず、商品S1の購入が為されていないことにより商品S1についての興味が下降していないと誤判定してしまい、不要な情報提供が行われてしまう虞がある。
代替商品S1’の購入により元の商品S1の指標値を適切に設定し直すことにより、不要でありユーザにとって好ましくない情報提供情がなされてしまうことを防止することができる。
【0131】
なお、他にも、ユーザがお気に入り登録を解除した商品等の対象物については、指標値を下降させることが好ましい。
【0132】
図5などを参照して説明した例では、操作ユーザの操作に基づいて、ステップS206のクラスタ情報変更処理を行った後、ステップS207で情報提供処理を行う例を述べた。この処理順によれば、ユーザのお気に入り指標が変更されたことにより、操作ユーザがその時点で所属しているユーザクラスタUCの基準モデルとの乖離が一定以上となってしまった場合、ステップS206で所属クラスタの変更が行われてしまう。ここで、所属クラスタ変更前に操作ユーザが所属していたユーザクラスタUCを「変更前ユーザクラスタUC」、所属クラスタ変更後に操作ユーザが所属するユーザクラスタUCを「変更後ユーザクラスタUC」と記載する。
【0133】
この場合、ステップS207の情報提供処理の一例(
図8)において、情報提供する対象物があるか否かを判定する場合に、変更前ユーザクラスタUCにおいては、操作ユーザが所属ユーザではなくなっていることから、対象物に対する嗜好傾向の変化は起きていないと判定されてしまう虞がある。
そこで、ステップS206のクラスタ情報変更処理を行う前にステップS207の情報提供処理を行うことが考えられる。具体的には、お気に入り指標変更処理を行った後、該お気に入り指標の変更に基づいたユーザクラスタUC内の嗜好傾向の変化を検出して情報提供処理を行う。情報提供のあと、該嗜好傾向の変化に追随したユーザとそうでないユーザが出現すると共に、該嗜好傾向の変化に追随するユーザの増加が落ち着くまで一定時間(一定期間)待機する。嗜好傾向の変化が落ち着いた後、ステップS206のクラスタ情報変更処理を行う。
また、例えば、
図5のステップS205の処理を実行した後、ステップS207の処理を行い、一定期間経過後に
図10に示す情報提供効果チェック処理を実行してもよい。
【0134】
これにより、ユーザが行った操作に応じて、適切にユーザクラスタUC内の嗜好傾向を検出することができると共に、ユーザクラスタUC内の嗜好傾向の変化に応じて適切にユーザクラスタ情報を変更することができる。
【0135】
<9.まとめ>
上述の各種の例で説明したように、商品、店舗或いはジャンルの少なくとも何れかに属する対象物についての
ユーザのお気に入り度合いを3段階以上で表すお気に入り指標を対象物ごとに管理する指標管理部7aと、お気に入り指標に基づいてユーザがクラスタリングされたユーザクラスタUCを管理するクラスタ管理部7bと、一のユーザクラスタUCに属するユーザのお気に入り指標の変化傾向を検出する変化傾向検出部7cと、検出されたお気に入り指標の変化傾向がお気に入り度合いの上昇傾向である場合に、一のユーザクラスタUCに属するユーザであって且つ上昇傾向が検出されなかったユーザを対象ユーザとして抽出する対象ユーザ抽出部7dと、お気に入り度合いの上昇傾向が検出された対象物に関する情報を対象ユーザに提供する情報提供部7eと、を備えている。
お気に入り度合いを3段階以上で表したお気に入り指標を管理することで、ユーザが単にお気に入りであるか否かを2値で表した指標を用いるよりもユーザの嗜好情報がきめ細やかに管理される。
例えば、ユーザの意図に反してお気に入り度合いが高いと判定された商品と、ユーザが意図してお気に入り度合いが高いと指定した商品は、異なるお気に入り度合いとして管理することが可能となる。
これによって、ユーザにとって本当にお気に入り度合いが高い商品等が他の商品と区別されて管理されると共に、ユーザに適切な情報提供を行うことができる。
また、ユーザクラスタUCにおいてお気に入り度合いの上昇傾向が検出された商品等は、該ユーザクラスタUCに属するユーザが好みそうな商品等であることが推測される。そのような商品は、同じユーザクラスタUCに属しているユーザであって、且つその商品等を知らないユーザにとっても好みのものである可能性が高く、本構成によれば、ユーザ同士の嗜好傾向の類似具合を考慮した適切な情報提供を行うことが可能となる。特に、お気に入り指標が3段階以上とされることで、嗜好の共通性がより強調されたユーザのクラスタリングが為されることにより、情報提供についても高い効果を得ることが可能となる。
【0136】
第2の実施の形態や
図9などで説明したように、対象ユーザ抽出部7dは、一のユーザクラスタUCに属するユーザのうち一定割合のユーザについて、同一の対象物についての所定期間内における上昇傾向が検出された場合に、対象ユーザの抽出を行ってもよい。
即ち、ユーザクラスタUC内で対象物の評価が上昇する現象がある程度の規模で起こった場合に対象ユーザの抽出が行われる。
これにより、同一ユーザクラスタUC内に属するお気に入り傾向の類似したユーザに対して、効果的な情報提供を行うことができる。特に、所定期間内における上昇傾向とすることで、あるユーザクラスタUC内で起こった瞬間的なトレンドの変化を同一のお気に入り傾向を示すユーザにも展開することで、大きなトレンドへと変化させることができる。これによって、各種の情報提供の効果を増加させることができる。
【0137】
情報提供効果チェック処理や
図10などで説明したように、クラスタ管理部7bは、情報の提供を行った結果、変化傾向に沿ったユーザと沿わなかったユーザを異なるユーザクラスタUCに分離してもよい。
情報提供の結果変化傾向に沿ったユーザと沿わなかったユーザは、異なるお気に入り傾向を有していることが推測される。本構成によれば、このようなユーザは異なるユーザクラスタUCに分類される。
従って、ユーザクラスタUC内の各ユーザのお気に入り傾向のばらつきを抑えることができ、有用な情報提供を行うための効率化を図ることができる。また、ユーザクラスタUC内の各ユーザのお気に入り傾向の経時的な変化を考慮した適切なクラスタリング処理が行われ、情報提供による効果が時間経過と共に薄れていくことを防止することができる。
【0138】
お気に入り指標変更処理の例や
図6のステップS304などで説明したように、指標管理部7aは、購入回数や購入頻度に応じてお気に入り指標を算出してもよい。
商品を購入する行為は、ユーザにとって日常的な行為である。そのような日常的に行われる行為に基づいて商品や店舗、或いはジャンルに関するお気に入り指標を算出し更新することは、ユーザのお気に入り傾向を反映するだけでなく、経時的な変化についても迅速に反映することが可能である。
このようなユーザの最新のお気に入り傾向が反映されたユーザクラスタUCに応じて適切な情報提供がなされることにより、情報提供の効果を最大限に引き出すことが可能である。
【0139】
お気に入り指標変更処理の例や
図6のステップS304などで説明したように、お気に入り指標は、お気に入り度合いが高いほど高く設定される指標とされ、指標管理部7aは、ユーザの能動的操作に基づいて操作対象とされた対象物のお気に入り指標を上昇させる場合には、ユーザの非能動的操作に基づくよりも大きく上昇させてもよい。
ユーザが能動的に行ったお気に入り登録のための操作は、ユーザが対象物を気に入っていることを自ら宣言するものであり、そのような対象物は、非能動的な操作によって自動的にお気に入り登録された対象物とは異なるものである。本構成によれば、操作の能動性の有無に応じて対象物のお気に入り指標の上昇値(或いは上昇率)が異なる。
これによって、ユーザの操作内容に応じた適切なお気に入り指標の管理が行われ、それに基づく適切な情報提供を行うことができる。
【0140】
お気に入り指標変更処理の例や
図6のステップS305乃至S307などで説明したように、お気に入り指標は、お気に入り度合いが高いほど高く設定される指標とされ、指標管理部7aは、お気に入り指標が最高値とされた対象物の数が所定数以下となるように管理してもよい。
これにより、お気に入り指標が最高値とされ情報提供の対象となり得る商品等の対象物が一定数以下に抑えられる。
従って、ユーザに対して過剰な情報提供が行われてしまうことを防止することができる。特に、ユーザに対して電子メールを発行することにより情報提供が行われる場合においては、ユーザが過剰な電子メールを閲覧することができず、未読のまま放置されてしまうような事態を防止することができる。
【0141】
お気に入り情報の提示処理や
図12などで説明したように、ユーザに対して所定値以上とされたお気に入り指標
に対応する対象
物を提示する場合には、お気に入り指標の多寡が分からないように提示してもよい。
例えば、お気に入り指標が1〜10で表される指標であり、無関心とされた対象物が5で表され、お気に入りの対象物が6〜10で表される場合に、お気に入り指標が6とされた対象物よりもお気に入り指標が10とされた対象物の方がユーザのお気に入り度合いが高い対象物とされている。このとき、お気に入り指標が6とされた対象物と10とされた対象物はその指標値の多寡が分からないように、同様の表示態様でユーザに提示されるため、ユーザは、そのお気に入り指標の数値の違いを見分けられない。従って、ユーザが意図的にお気に入り指標が最高値(=10)とされた対象物を増やすことができなくなる。
これによって、お気に入り指標が最高値とされた対象物が増えすぎてしまうことが防止され、ユーザに対して過剰な情報提供が行われてしまうことを抑制することができる。
【0142】
お気に入り指標変更処理の例や
図6のステップS304で説明したように、お気に入り指標は、n以下(例えば3以下)で表されると共にお気に入り度合いが高いほど高い数値で設定される指標とされ、指標管理部7aは、ユーザのお気に入り登録操作が為されていない無関心な対象物のお気に入り指標にはm(例えば1)を設定し、ユーザのお気に入り登録操作が為された対象物のお気に入り指標にmよりも大きな値(例えば最高値である3)を設定し、操作の主目的がお気に入り登録以外の目的とされたお気に入り登録操作の対象とされた対象物についてお気に入り指標を上昇させる場合には、お気に入り指標にn未満の値(例えば2)を設定してもよい。
例えば、ユーザが商品を購入した際に該購入対象の商品がお気に入り登録されるような場合には、該商品をお気に入り登録することをユーザが意図していない場合がある。そのような場合において、該商品のお気に入り指標は最高値であるnよりも低い値に設定される。
これによって、意図せずお気に入り登録されてしまった商品等の対象物について、過剰に情報提供が行われてしまうことを防止することができる。
【0143】
一般トレンド検出処理の例や
図11で説明したように、変化傾向検出部7cは、ユーザクラスタUCを横断した全体的な変化傾向を検出してもよい。
ユーザクラスタUCは、各対象物についてのお気に入り傾向が同様であるユーザがまとめられたものであるが、そのユーザクラスタUCを横断的に分析することで、全体的な変化傾向を把握することが可能である。
即ち、ユーザクラスタUCによらず流行の兆しが見える商品等の対象物を抽出することが可能となり、各ユーザに対して効果的な情報提供を行うことが可能となる。
【0144】
上述した第1の実施の形態、第2の実施の形態、その他の処理例及び変形例で説明した各例は、その組合せが不可能でない限り、いかように組み合わせられてもよい。
【0145】
<10.プログラム及び記憶媒体>
実施の形態のプログラムは、情報提供装置7の演算処理装置(CPU等)に各種の処理を実行させるプログラムである。
【0146】
実施の形態のプログラムは、商品、店舗或いはジャンルの少なくとも何れかに属する対象物についてのお気に入り度合いを3段階以上で表すお気に入り指標を対象物ごとに管理する指標管理機能を演算処理装置に実行させる。
また、お気に入り指標に基づいてユーザがクラスタリングされたユーザクラスタを管理するクラスタ管理機能を演算処理装置に実行させる。
更に、一のユーザクラスタに属するユーザのお気に入り指標の変化傾向を検出する変化傾向検出機能を演算処理装置に実行させる。
更にまた、検出されたお気に入り指標の変化傾向がお気に入り度合いの上昇傾向である場合に、一のユーザクラスタに属するユーザであって且つ上昇傾向が検出されなかったユーザを対象ユーザとして抽出する対象ユーザ抽出機能を演算処理装置に実行させる。
加えて、お気に入り度合いの上昇傾向が検出された対象物に関する情報を対象ユーザに提供する情報提供機能を演算処理装置に実行させる。
即ちこのプログラムは、情報処理装置の演算処理装置に対して
図5のステップS205乃至S207の各処理,
図6乃至
図11に示す各処理を実行させるプログラムである。
【0147】
このようなプログラムにより、上述した情報提供装置7としての1または複数の情報処理装置を実現できる。
そしてこのようなプログラムはコンピュータ装置等の機器に内蔵されている記憶媒体としてのHDDや、CPUを有するマイクロコンピュータ内のROM等に予め記憶しておくことができる。あるいはまた、半導体メモリ、メモリカード、光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスクなどのリムーバブル記憶媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記憶)しておくことができる。またこのようなリムーバブル記憶媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、このようなプログラムは、リムーバブル記憶媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。