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特許6754900無線通信システム、ユーザ装置、無線基地局及び無線通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754900
(24)【登録日】2020年8月26日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】無線通信システム、ユーザ装置、無線基地局及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/04 20090101AFI20200907BHJP
   H04W 80/02 20090101ALI20200907BHJP
   H04W 16/32 20090101ALI20200907BHJP
   H04W 8/22 20090101ALI20200907BHJP
【FI】
   H04W72/04 111
   H04W80/02
   H04W16/32
   H04W8/22
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-525499(P2019-525499)
(86)(22)【出願日】2018年6月14日
(86)【国際出願番号】JP2018022661
(87)【国際公開番号】WO2018230623
(87)【国際公開日】20181220
【審査請求日】2020年4月22日
(31)【優先権主張番号】特願2017-116576(P2017-116576)
(32)【優先日】2017年6月14日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100169797
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】内野 徹
(72)【発明者】
【氏名】ウリ アンダルマワンティ ハプサリ
【審査官】 石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】 NTT DOCOMO, INC.,Further analysis of unified split bearer - NW aspects [online],3GPP TSG RAN WG2 #98 R2-1704152,2017年 5月 6日,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_98/Docs/R2-1704152.zip>
【文献】 NEC,Security mechanism for EN-DC (E-UTRAN - New Radio Dual Connectivity) [online],3GPP TSG SA WG3 #87 S3-171185,2017年 5月 9日,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG3_Security/TSGS3_87_Ljubljana/Docs/S3-171185.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 − 99/00
H04B 7/24 − 7/26
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方式の第1無線基地局から、シグナリング無線ベアラに関する設定情報を受信する受信部と、
前記第1無線基地局と第2方式の第2無線基地局とのデュアルコネクティビティにおいて、前記設定情報に基づいて、前記シグナリング無線ベアラのPDCPエンティティを前記第2方式のPDCPエンティティに設定する制御部と備えるユーザ装置。
【請求項2】
前記第2方式のPDCPエンティティは、コアネットワークから前記第1無線基地局を経由して前記第2無線基地局に分岐するスプリットベアラに用いられる請求項1に記載のユーザ装置。
【請求項3】
前記第1無線基地局用のPDCPエンティティと、前記第2無線基地局用のPDCPエンティティとに関する情報を示す指示を前記第1無線基地局に送信する送信部
を備える請求項1に記載のユーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デュアルコネクティビティをサポートする無線通信システム、ユーザ装置、無線基地局及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3rd Generation Partnership Project(3GPP)は、Long Term Evolution(LTE)を仕様化し、LTEのさらなる高速化を目的としてLTE-Advanced(以下、LTE-Advancedを含めてLTEという)を仕様化している。また、3GPPでは、さらに、5G New Radio(NR)などと呼ばれるLTEの後継システムの仕様が検討されている。
【0003】
具体的には、LTE方式の無線基地局(eNB)と、NR方式の無線基地局(gNB)とを用いたデュアルコネクティビティ(DC)におけるベアラの種類として、スプリットベアラが規定されている。
【0004】
スプリットベアラとしては、マスタセルグループ(MCG)に属するセル(無線基地局)から分岐するSplit bearer via MCGと、セカンダリセルグループ(SCG)に属するセル(無線基地局)から分岐するSplit bearer via SCGとが規定されている。なお、分岐しない通常ベアラ(MCGベアラ, SCGベアラ)も規定されている。
【0005】
また、ユーザ装置(UE)に実装するオプションを削減する観点から、Split bearer via MCGとSplit bearer via SCGとを統合し、同一種類のスプリットベアラ(Unified split bearer)として規定することも検討されている。このようにスプリットベアラを統合する場合、さらに、MCGベアラとスプリットベアラとにおいて、同一のパケット・データ・コンバージェンス・プロトコル・レイヤのエンティティであるPDCPエンティティを用いる、つまり、単一のPDCPエンティティを両ベアラにおいて共用することが提案されている(非特許文献1参照)。これにより、MCGベアラからスプリットベアラへの切り替え時などに、PDCPエンティティの再設定が不要となる。
【0006】
また、スプリットベアラ及びMCGベアラに対して同一のPDCPエンティティを用いる場合、NR向けのPDCPエンティティ(以下、NR-PDCP)を用いることも提案されている(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“On the different bearer options”, R2-1704414, 3GPP TSG-RAN WG2 #98, 3GPP, 2017年5月
【非特許文献2】“Possibilities to unify split bearer type options for LTE-NR DC”, R2-1704271, 3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #98, 3GPP, 2017年5月
【発明の概要】
【0008】
LTE方式の無線基地局(eNB)が、ユーザプレーンのデータ伝送に用いられるデータ無線ベアラ(DRB)をMCGベアラとして設定する場合、eNBは、UEから送信される能力情報(UE Capability Information)に基づいて、当該UEがスプリットベアラ及びMCGベアラに対して同一のPDCPエンティティ(具体的には、NR-PDCP)を用いることに対応しているか否かを認識できる。従って、eNBは、UE Capability Informationに基づいて、MCGベアラにNR-PDCPを適用するかを決定し、何れのPDCPエンティティ(NR-PDCPまたはLTE-PDCP)の設定を選択したかをUEに通知できる。
【0009】
一方、制御プレーンのデータ伝送に用いられるシグナリング無線ベアラ(SRB)の場合、eNBは、UEに通知することなくPDCPエンティティを設定する(3GPP TS36.331 5.3.10.1SRB addition/modification参照)ため、SRBをMCGベアラとして設定する場合、UEは、何れのPDCPエンティティが設定されたのかを認識することができない。
【0010】
特に、eNBによるUE Capability Informationの取得前に設定されるSRB1の場合、eNBは、UEがMCGベアラにNR-PDCPの設定を適用できるかを認識できないため、何れのPDCPエンティティを設定すべきかを決定することが難しい。
【0011】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、スプリットベアラ及びMCGベアラに対して同一のPDCPエンティティを適用する場合、特に、シグナリング無線ベアラ(SRB)をMCGベアラとして設定する場合でも、適切なPDCPエンティティを設定し得る無線通信システム、ユーザ装置、無線基地局及び無線通信方法の提供を目的とする。
【0012】
本発明の一態様は、ユーザ装置(UE200)と無線基地局(eNB100A)とを含む無線通信システム(無線通信システム10)であって、コアネットワーク(EPC20)から前記無線基地局を経由して他の無線基地局(gNB100B)に分岐するスプリットベアラ(Unified split bearer)と、前記コアネットワークから前記無線基地局を経由する通常ベアラ(MCGベアラ)とが設定される。前記ユーザ装置は、前記スプリットベアラに用いられるパケット・データ・コンバージェンス・プロトコル・レイヤのエンティティであるPDCPエンティティと、前記通常ベアラに用いられるPDCPエンティティとを同一とすることのサポートを示すサポート表示を前記無線基地局に送信するサポート表示送信部(サポート表示送信部240)を備える。前記無線基地局は、前記サポート表示を受信するサポート表示受信部(サポート表示受信部115)と、前記サポート表示を受信した場合、前記PDCPエンティティの設定内容を示す無線リソース制御レイヤのメッセージを前記ユーザ装置に送信するメッセージ送信部(RRC制御部120)とを備える。
【0013】
本発明の一態様は、無線基地局と無線通信を実行するユーザ装置であって、コアネットワークから前記無線基地局を経由して他の無線基地局に分岐するスプリットベアラと、前記コアネットワークから前記無線基地局を経由する通常ベアラとが設定され、前記スプリットベアラに用いられるパケット・データ・コンバージェンス・プロトコル・レイヤのエンティティであるPDCPエンティティと、前記通常ベアラに用いられるPDCPエンティティとを同一とすることのサポートを示すサポート表示を前記無線基地局に送信するサポート表示送信部と、前記PDCPエンティティの設定内容を示す無線リソース制御レイヤのメッセージを前記無線基地局から受信するメッセージ受信部とを備える。
【0014】
本発明の一態様は、ユーザ装置と無線通信を実行する無線基地局であって、コアネットワークから前記無線基地局を経由して他の無線基地局に分岐するスプリットベアラと、前記コアネットワークから前記無線基地局を経由する通常ベアラとが設定され、前記スプリットベアラにも用いられるパケット・データ・コンバージェンス・プロトコル・レイヤのエンティティであるPDCPエンティティと、前記通常ベアラに用いられるPDCPエンティティとを同一とすることのサポートを示すサポート表示を受信するサポート表示受信部と、前記サポート表示を受信した場合、前記PDCPエンティティの設定内容を示す無線リソース制御レイヤのメッセージを前記ユーザ装置に送信するメッセージ送信部とを備える。
【0015】
本発明の一態様は、ユーザ装置と無線基地局とを用いた無線通信方法であって、コアネットワークから前記無線基地局を経由して他の無線基地局に分岐するスプリットベアラと、前記コアネットワークから前記無線基地局を経由する通常ベアラとが設定され、前記ユーザ装置が、前記スプリットベアラに用いられるパケット・データ・コンバージェンス・プロトコル・レイヤのエンティティであるPDCPエンティティと、前記通常ベアラに用いられるPDCPエンティティとを同一とすることのサポートを示すサポート表示を前記無線基地局に送信するステップと、前記無線基地局が、前記サポート表示を受信するステップと、前記無線基地局が、前記サポート表示を受信した場合、前記PDCPエンティティの設定内容を示す無線リソース制御レイヤのメッセージを前記ユーザ装置に送信するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、無線通信システム10の全体概略構成図である。
図2図2は、eNB100A、gNB100B及びUE200におけるプロトコルスタックを示す図である。
図3図3は、eNB100Aの機能ブロック構成図である。
図4図4は、UE200の機能ブロック構成図である。
図5図5は、eNB100A及びUE200によるPDCPエンティティの設定を含むRRCコネクションの設定シーケンスを示す図である。
図6図6は、RRC Connection Requestメッセージの構成例を示す図である。
図7図7は、論理チャネルの識別子の割当例を示す図である。
図8図8は、RadioResourceConfigDedicatedの構成例を示す図である。
図9図9は、RadioResourceConfigDedicatedの別の構成例を示す図である。
図10図10は、eNB100A及びUE200のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0018】
(1)無線通信システムの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る無線通信システム10の全体概略構成図である。無線通信システム10は、Long Term Evolution(LTE)及び5G New Radio(NR)に従った無線通信システムである。なお、LTEは4Gと呼ばれてもよいし、NRは、5Gと呼ばれてもよい。
【0019】
無線通信システム10は、LTE(E-UTRA)側のコアネットワークであるEvolved Packet Core 20(以下、EPC20)と、NR側のコアネットワークであるNG Core 25(以下、NGC 25)とを含む。なお、NGC 25は、5GCと呼ばれてもよい。
【0020】
EPC20には、Mobility Management Entity(MME)及びServing Gateway(SGW)などが含まれ、NGC 25も、MME及SGWと対応する機能を備えるノード(Access and Mobility Management Function (AMF)及びSession Management Function (SMF)など)が含まれるが、図1では省略されている。
【0021】
EPC20には、無線基地局100A(以下、eNB100A)が接続される。eNB100Aは、LTE方式の無線基地局である。本実施形態では、eNB100Aは、MeNBと適宜標記する。eNB100Aは、マスタセルグループ(MCG)に属する。
【0022】
NGC 25には、無線基地局100B(以下、gNB100B)が接続される。gNB100Bは、NR方式の無線基地局である。本実施形態では、gNB100Bは、SgNBと適宜標記する。gNB100Bは、セカンダリセルグループ(SCG)に属する。
【0023】
ユーザ装置200(以下、UE200)は、eNB100A及びgNB100Bと無線通信を実行する。具体的には、UE200は、eNB100AとLTE方式に従った無線通信を実行し、gNB100BとNR方式に従った無線通信を実行する。特に、本実施形態では、UE200は、eNB100A及びgNB100Bの両方に同時に接続するデュアルコネクティビティ(DC)を実行することができる。
【0024】
また、UE200は、EPC20またはNGC 25と、論理的な通信路であるベアラを設定する。具体的には、eNB100Aは、UE200向けにMCGベアラを設定する。また、eNB100A及びgNB100Bは、UE200向けにスプリットベアラを設定する。さらに、gNB100Bは、UE200向けにSCGベアラを設定できる。なお、本実施形態では、SCGベアラは、後述するように、スプリットベアラの一種として取り使うこともできる。
【0025】
スプリットベアラは、コアネットワーク(EPC20またはNGC 25)からeNB100AまたはgNB100Bを経由して、他方の無線基地局に分岐するベアラである。
【0026】
図2は、eNB100A、gNB100B及びUE200におけるプロトコルスタックを示す。本実施形態では、eNB100Aは、MCGベアラ用として、LTE向けのMAC(媒体アクセス制御レイヤ)エンティティ(LTE MAC)、RLC(無線リンク制御レイヤ)エンティティ(LTE RLC)、及びPDCP(パケット・データ・コンバージェンス・プロトコル・レイヤ)エンティティ(LTE PDCP)を備える。
【0027】
また、本実施形態では、Split bearer via MCGとSplit bearer via SCGとが統合されたUnified split bearerを設定することが可能である。この場合、SCGベアラもUnified split bearerとして取り扱われてもよい。
【0028】
スプリットベアラは、コアネットワーク(EPC20またはNGC 25)からeNB100AまたはgNB100Bを経由して、他方の無線基地局に分岐するベアラである。本実施形態では、スプリットベアラ(Unified split bearer)は、コアネットワーク(EPC20またはNGC 25)からeNB100Aを経由してgNB100B(他の無線基地局)に分岐する。一方、MCGベアラは、コアネットワーク(EPC20またはNGC 25)からeNB100Aを経由する通常ベアラである。
【0029】
eNB100Aは、スプリットベアラ(Unified split bearer)用として、LTE MAC、LTE RLC及びPDCPを備える。PDCPエンティティは、gNB100B側と共用される。gNB100Bは、当該スプリットベアラ用として、NR向けのNR MAC及びNR RLCを備える。このように、スプリットベアラ(Unified split bearer)は、MeNBからSgNBに分岐する。
【0030】
一方、UE200も、eNB100A及びgNB100Bと対応するプロトコルスタックを備える。図2に示すように、UE200におけるスプリットベアラ用のPDCPエンティティは、MeNB及びSgNB向けで共用される。
【0031】
つまり、本実施形態では、従来のSplit bearer via MCGとSplit bearer via SCG(SCGベアラが含まれてもよい)とが統合されており、UE200では、スプリットベアラ用のPDCPエンティティの位置(MeNBまたはSgNB)に関わらず、共用の一つのPDCPエンティティが用いられる。
【0032】
さらに、本実施形態では、スプリットベアラ(Unified split bearer)と、MCGベアラ(通常ベアラ)に用いられるPDCPエンティティとを同一とすることもできる。つまり、スプリットベアラ(Unified split bearer)用のPDCPエンティティと、MCGベアラ用のPDCPエンティティとを共用し、一つのPDCPエンティティとすることができる(図2の点線枠内参照)。これにより、MCGベアラからスプリットベアラへの切り替え時などに、PDCPエンティティの再設定が不要となる。
【0033】
また、この場合、共用されるPDCPエンティティとして、LTE-PDCPではなく、NR向けのPDCPであるNR-PDCPを用いることができる。つまり、LTE方式の無線基地局であるeNB100Aにおいて、NR-PDCPが設定される。
【0034】
(2)無線通信システムの機能ブロック構成
次に、無線通信システム10の機能ブロック構成について説明する。具体的には、eNB100A及びUE200の機能ブロック構成について説明する。
【0035】
(2.1)eNB100A
図3は、eNB100Aの機能ブロック構成図である。図3に示すように、eNB100Aは、無線通信部110、サポート表示受信部115、RRC制御部120及びPDCP設定部130を備える。
【0036】
無線通信部110は、LTE方式に従った無線通信を実行する。具体的には、無線通信部110は、UE200とLTE方式に従った無線信号を送受信する。当該無線信号には、ユーザデータまたは制御データが多重される。また、制御データは、無線リソース制御レイヤ(RRCレイヤ)のメッセージによって送受信される。
【0037】
サポート表示受信部115は、UE200からPDCPエンティティの設定に関するサポート表示を受信する。具体的には、サポート表示受信部115は、スプリットベアラに用いられるPDCPレイヤのエンティティであるPDCPエンティティと、MCGベアラ(通常ベアラ)に用いられるPDCPエンティティとを同一とすることのサポートを示すサポート表示を受信する。つまり、サポート表示とは、UE200が、スプリットベアラ(Unified split bearer)用のPDCPエンティティと、MCGベアラ用のPDCPエンティティとの共用が可能なことを示す。
【0038】
本実施形態では、複数の方法によってサポート表示をeNB100Aに送信することができるが、具体的なサポート表示の送信方法については、後述する。
【0039】
RRC制御部120は、RRCレイヤにおける制御を実行する。具体的には、RRC制御部120は、LTEに従ったRRCエンティティを構成し、RRCレイヤのメッセージの送受信を実行する。これにより、RRC制御部120は、UE200とのRRCコネクションの確立及び解放などを制御する。
【0040】
特に、本実施形態では、RRC制御部120は、サポート表示受信部115がサポート表示を受信した場合、PDCPエンティティの設定内容を示すRRCレイヤのメッセージをUE200に送信する。本実施形態において、RRC制御部120は、メッセージ送信部を構成する。
【0041】
具体的には、RRC制御部120は、当該設定内容を示すRRC Connection Setup、またはRRC Connection ReconfigurationをUE200に送信することができる。
【0042】
より具体的には、RRC制御部120は、設定内容が記述されたコンテナ(nr-PDCP-ConfigContainer)を含むRRC Connection SetupまたはRRC Connection ReconfigurationをUE200に送信することができる。或いは、RRC制御部120は、eNB100Aが設定するPDCPエンティティの種別(具体的には、NR-PDCP)を示す情報要素(IE, PDCP-SpecConfig-r15)を含むRRC Connection SetupまたはRRC Connection ReconfigurationをUE200に送信することもできる。なお、当該設定内容を含むRRCレイヤのメッセージの構成例については、さらに後述する。
【0043】
PDCP設定部130は、eNB100AにおけるPDCPエンティティを設定する。具体的には、PDCP設定部130は、サポート表示受信部115が受信したサポート表示に基づいて、スプリットベアラ(Unified split bearer)、及びMCGベアラに用いられるPDCPエンティティを設定する。
【0044】
具体的には、PDCP設定部130は、当該サポート表示に基づいて、スプリットベアラ(Unified split bearer)及びMCGベアラに用いられるPDCPエンティティを共用するか、及び共用する場合、何れのPDCP(LTE-PDCPまたはNR-PDCP)を設定するかを決定する。
【0045】
上述したように、本実施形態では、スプリットベアラ(Unified split bearer)と、MCGベアラ(通常ベアラ)とに用いられるPDCPエンティティとを同一とすることができるため、PDCP設定部130は、共用されるPDCPエンティティとして、LTE-PDCPではなく、NR-PDCPを設定することができる。
【0046】
(2.2)UE200
図4は、UE200の機能ブロック構成図である。図4に示すように、UE200は、無線通信部210、LTE-RRC制御部220、NR-RRC制御部230、サポート表示送信部240及びPDCP設定部250を備える。
【0047】
無線通信部210は、LTE方式及びNR方式に従った無線通信を実行する。具体的には、無線通信部210は、eNB100AとLTE方式に従った無線信号を送受信する。また、無線通信部210は、gNB100BとNR方式に従った無線信号を送受信する。当該無線信号には、RRCレイヤのメッセージ及びユーザデータなどが多重される。
【0048】
LTE-RRC制御部220は、LTE向け(eNB100A)向けのRRCレイヤにおける制御を実行する。具体的には、LTE-RRC制御部220は、LTEに従ったRRCエンティティを構成し、RRCレイヤのメッセージ(RRC Connection Setup Complete及びRRC Connection Reconfiguration Completeなど)の送受信を実行する。これにより、LTE-RRC制御部220は、eNB100AとのRRCコネクションの確立及び解放などを実行する。
【0049】
特に、本実施形態では、LTE-RRC制御部220は、PDCPエンティティの設定内容を示すRRCレイヤのメッセージ(RRC Connection SetupまたはRRC Connection Reconfiguration)をeNB100Aから受信することができる。本実施形態において、LTE-RRC制御部220は、メッセージ受信部を構成する。
【0050】
NR-RRC制御部230は、NR向け(gNB100B)向けのRRCレイヤにおける制御を実行する。具体的には、NR-RRC制御部230は、NRに従ったRRCエンティティを構成し、RRCレイヤのメッセージの送受信を実行する。これにより、NR-RRC制御部230は、gNB100BとのRRCコネクションの確立及び解放などを実行する。
【0051】
サポート表示送信部240は、UE200がサポートしているPDCPエンティティの設定に関するサポート表示をeNB100A(またはgNB100B)に送信する。具体的には、サポート表示送信部240は、スプリットベアラに用いられるPDCPレイヤのエンティティであるPDCPエンティティと、MCGベアラに用いられるPDCPエンティティとを同一とすることのUE200によるサポートを示すサポート表示を送信する。
【0052】
より具体的には、サポート表示送信部240は、サポート表示と対応付けられたランダムアクセス・プレアンブル(RA preamble)をeNB100Aに送信することができる。また、サポート表示送信部240は、サポート表示を対応付けられたビット(スペアビット)を含むRRCレイヤのメッセージ、具体的には、RRC Connection RequestをeNB100Aに送信することもできる。
【0053】
或いは、サポート表示送信部240は、サポート表示と対応付けられた論理チャネルの識別子(LCID)を含む媒体アクセス制御レイヤのプロトコルデータユニット(MAC-PDU)をeNB100Aに送信することもできる。この場合、MAC-PDUは、RRCレイヤのメッセージ(RRC Connection Request)を含む。
【0054】
なお、このようなサポート表示の具体的な構成例については、さらに後述する。
【0055】
PDCP設定部250は、UE200におけるPDCPエンティティを設定する。具体的には、PDCP設定部250は、LTE-RRC制御部220が受信したPDCPエンティティの設定内容に基づいて、スプリットベアラ(Unified split bearer)、及びMCGベアラに用いられるPDCPエンティティを設定する。
【0056】
上述したように、本実施形態では、スプリットベアラ(Unified split bearer)と、MCGベアラ(通常ベアラ)に用いられるPDCPエンティティとを同一とすることができるため、PDCP設定部250は、共用されるPDCPエンティティとして、LTE-PDCPではなく、NR-PDCPを設定することができる。
【0057】
(3)無線通信システムの動作
次に、無線通信システム10の動作について説明する。具体的には、eNB100A、gNB100B及びUE200におけるPDCPエンティティの設定に関する動作について説明する。
【0058】
(3.1)PDCPエンティティの設定シーケンス
図5は、eNB100A及びUE200によるPDCPエンティティの設定を含むRRCコネクションの設定シーケンスを示す。
【0059】
本動作例では、スプリットベアラ(Unified split bearer)用のPDCPエンティティと、MCGベアラ用のPDCPエンティティとを共用し、一つのPDCPエンティティが設定される。具体的には、図2に示したように、共用されるPDCPエンティティとしてNR-PDCPが設定される。
【0060】
また、本動作例では、RA preambleまたはRRC Connection Requestによって、上述したサポート表示をeNB100Aに通知できる。また、RRC Connection SetupまたはRRC Connection Reconfigurationによって、共用されるPDCPエンティティの設定内容を通知できる(図5において、該当メッセージを枠線付きで示す)。
【0061】
図5に示すように、UE200は、無線通信システム10、具体的には、LTEによる無線通信を開始するため、RA preambleをeNB100Aに送信する(S10)。UE200はRA preambleに上述したサポート表示を含めることができる。eNB100Aは、受信したRA preambleに基づいて、RA responseを返送する(S20)。
【0062】
UE200は、受信したRA responseに基づいてランダムアクセス手順を完了し、RRC Connection RequestをeNB100Aに送信する(S30)。UE200はRRC Connection Requestに上述したサポート表示を含めることができる。
【0063】
eNB100Aは、受信したRRC Connection Requestに基づいて、RRCコネクションの設定に必要な情報を含むRRC Connection SetupをUE200に送信する(S40)。eNB100Aは、RRC Connection Setupに上述したPDCPエンティティの設定内容を含めることができる。
【0064】
UE200は、受信したRRC Connection Setupに基づいてRRCコネクションを設定し、RRCコネクションの設定が完了したことを示すRRC Connection Setup CompleteをeNB100Aに送信する(S50)。この段階において、シグナリング無線ベアラ(SRB)のうち、SRB1が設定される。また、SRB1用のPDCPエンティティが、上述したPDCPエンティティの設定内容に基づいて設定される。本動作例では、上述したように、NR-PDCPが設定される。
【0065】
次いで、eNB100Aは、UE200の能力を問い合わせるUE Capability EnquiryをUE200に送信する(S60)。UE200は、受信したUE Capability Enquiryに基づいて、UE200の能力情報を含むUE Capability InformationをeNB100Aに返送する(S70)。
【0066】
また、eNB100Aは、セキュリティ関連の設定を通知するSecurity Mode Command、及びRRCコネクションの設定に関する情報を含むRRC Connection ReconfigurationをUE200に送信する(S80及びS90)。eNB100Aは、RRC Connection Reconfigurationに上述したPDCPエンティティの設定内容を含めることができる。
【0067】
UE200は、受信したSecurity Mode Command及びRRC Connection Reconfigurationに基づいて、セキュリティ関連の設定及びRRCコネクションに関する設定(リソースブロックの設定、変更または解放を含む)を実行する。UE200は、当該設定が完了したことを示すSecurity Mode Complete及びRRC Connection Reconfiguration CompleteをeNB100Aに送信する(S100及びS110)。この段階において、シグナリング無線ベアラ(SRB)のうち、SRB2、及びデータ無線ベアラ(DRB)が設定される。また、SRB2、及び一つまたは複数のDRB用のPDCPエンティティが、上述したPDCPエンティティの設定内容に基づいて設定される。本動作例では、上述したように、NR-PDCPが設定される。
【0068】
(3.2)サポート表示及びPDCPエンティティの設定内容の通知例
データ無線ベアラ(DRB)をMCGベアラとして設定する場合、DRBは、eNB100AがUE Capability Informationを受信した後に設定されるため、UE Capability Informationに上述したようなサポート表示が含まれていればよい。eNB100Aは、UE Capability Informationに含まれるサポート表示に基づいて、UE200が共用のPDCPエンティティ(NR-PDCP)をサポートしているかを認識できるからである。
【0069】
一方、シグナリング無線ベアラ(SRB)の場合、eNB100Aは、UE200に通知することなくPDCPエンティティを設定する(3GPP TS36.331 5.3.10.1 SRB addition/modification参照)ため、SRBをMCGベアラとして設定する場合、UE200は、何れのPDCPエンティティ(LTE-PDCPまたはNR-PDCP)が設定されたのかを認識することができない。このため、図5に示したように、RRCレイヤのメッセージ、具体的には、RRC Connection SetupまたはRRC Connection ReconfigurationによるPDCPエンティティの設定内容の通知が必要となる。
【0070】
特に、eNB100AによるUE Capability Informationの取得前に設定されるSRB1の場合、eNB100Aは、UE200がMCGベアラにNR-PDCPの設定を適用できるかを認識できないため、上述したRA preambleまたはRRC Connection Requestによるサポート表示の通知が必要となる。
【0071】
以下、上述したサポート表示及びPDCPエンティティの設定内容の通知例について、さらに具体的に説明する。
【0072】
(3.2.1)サポート表示の例
上述したように、本実施形態では、以下の方法によって、UE200からeNB100Aにサポート表示が送信される。
【0073】
(a) RA preambleを利用
(b) RRC Connection Requestのスペアビットを利用
(c) RRC Connection Requestに含まれる論理チャネルの識別子を利用
(a)の場合、セル毎に1つまたは複数のRA preambleが確保される。確保されたRA preambleは、スプリットベアラ(Unified split bearer)用のPDCPエンティティと、MCGベアラ用のPDCPエンティティとを共用し、一つのPDCPエンティティ(本実施形態では、NR-PDCP)とすることをUE200がサポートすることを示す。
【0074】
UE200がPDCPエンティティの共用をサポートしている場合、UE200は、確保された1つまたは複数のRA preambleのうちの少なくとも何れかをeNB100Aに送信する。eNB100Aは、確保されたRA preambleをUE200から受信した場合、UE200がPDCPエンティティの共用、つまり、NR-PDCPをサポートしていることを認識する。
【0075】
(b)の場合、RRC Connection Requestに含まれる「RRCConnectionRequest-r8-IEs」のスペアビットを用いることができる。図6は、RRC Connection Requestメッセージの構成例を示す。図6に示すように、RRCConnectionRequest-r8-IEsには、「nr-PDCP-r15」のフィールド(本来はスペアビット)が含まれる。nr-PDCP-r15は、3GPP TS38.323において規定されるNR-PDCPをサポートしていることを意味(ENUMERATED(supported))する。
【0076】
(c)の場合、RRC Connection Requestを含むMAC-PDUの論理チャネルの識別子(LCID)を用いることができる。具体的には、RRC Connection RequestをCommon Control Channel(CCCH)のサービスデータユニット(SDU)として含むMAC-PDUが対象となる。当該SDUを含むMAC-PDUのMACヘッダ内のLCIDが用いられる。
【0077】
図7は、論理チャネルの識別子の割当例を示す。図7に示すように、「01101」のLCIDもCCCHと対応付けられる。「01101」は、CCCHと対応付けられるが、3GPP TS38.323において規定されるNR-PDCPをサポートしていることを意味する。
【0078】
(3.2.2)PDCPエンティティの設定内容の通知例
ここでは、特に、SRBをMCGベアラとして設定する場合において、共用されるPDCPエンティティとしてNR-PDCPを設定することを設定内容として通知する例について説明する。
【0079】
上述したように、当該設定内容の通知には、RRC Connection SetupまたはRRC Connection Reconfigurationが用いられる。当該RRCレイヤのメッセージには、情報要素「RadioResourceConfigDedicated」が含まれる。RadioResourceConfigDedicatedは、SRB設定に関するフィールドである「SRB-ToAddMod」を含む。本実施形態では、SRB-ToAddModに当該設定内容が含められる。
【0080】
図8は、RadioResourceConfigDedicatedの構成例を示す。なお、図8では、RadioResourceConfigDedicatedを構成する情報要素のうち、関連する部分のみが示されている。図8に示すように、RadioResourceConfigDedicatedのSRB-ToAddModは、「nr-PDCP-ConfigContainer」のフィールドを含む。nr-PDCP-ConfigContainerは、オクテットのストリングで記述される。nr-PDCP-ConfigContainerは、NR-PDCPの設定情報(NR PDCP-Config)をNR RRCからインポートするためのコンテナである。つまり、nr-PDCP-ConfigContainerは、当該RRCレイヤのメッセージと関連するSRBに適用されるNR-PDCPの設定情報を含む。
【0081】
nr-PDCP-ConfigContainerは、SRB向けとしてもNR-PDCP用の何らかのパラメータを設定する場合に好適に用い得る。
【0082】
図9は、RadioResourceConfigDedicatedの別の構成例を示す。なお、図9では、RadioResourceConfigDedicatedを構成する情報要素のうち、関連する部分のみが示されている。
図9に示すように、RadioResourceConfigDedicatedのSRB-ToAddModは、「PDCP-SpecConfig-r15」のフィールドを含む。PDCP-SpecConfig-r15は、数値(ENUMERATED(nr))で示される。PDCP-SpecConfig-r15は、NR-PDCPによってPDCPエンティティ(共用されるPDCPエンティティ)が設定されることを示す。
【0083】
PDCP-SpecConfig-r15は、SRB向けとしてNR-PDCP用のパラメータが明示的に通知されず、従来のLTEと同様に、デフォルトのPDCP用のパラメータが適用される場合に好適に用い得る。
【0084】
(4)作用・効果
上述した実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。具体的には、UE200は、スプリットベアラ(Unified split bearer)に用いられるPDCPエンティティと、MCGベアラに用いられるPDCPエンティティとを同一とする(共用する)ことのサポートを示すサポート表示をeNB100Aに送信する。また、eNB100Aは、当該サポート表示に基づいて、スプリットベアラ(Unified split bearer)、及びMCGベアラに用いられるPDCPエンティティを共用するか、及び共用する場合には、NR-PDCPを設定することができる。
【0085】
このため、シグナリング無線ベアラ(SRB)をMCGベアラとして設定する場合でも、eNB100Aは、UE Capability Informationよりも前に送信されるRA preambleまたはRRC Connection Requestによって、UE200が、スプリットベアラ(Unified split bearer)、及びMCGベアラに用いられるPDCPエンティティの共用をサポートしていることを確実に認識できる。さらに、eNB100Aは、UE200が当該PDCPエンティティの共用(NR-PDCP)をサポートしている場合のみ、当該PDCPエンティティとしてNR-PDCPを設定することができる。
【0086】
つまり、無線通信システム10によれば、スプリットベアラ及びMCGベアラに対して同一のPDCPエンティティを適用する場合、特に、SRBをMCGベアラとして設定する場合でも、適切なPDCPエンティティを設定し得る。
【0087】
本実施形態では、UE Capability Informationよりも前に送信されるRA preambleまたはRRC Connection Requestによって、eNB100Aにサポート表示を通知することができる。或いは、サポート表示と対応付けられたLCIDと、RRC Connection Requestとを含むMAC-PDUをeNB100Aに送信することもできる。
【0088】
このため、RRC Connection Setup及びRRC Connection Reconfiguration Completeの段階で設定されるSRB1をMCGベアラとして設定する場合でも、適切な当該PDCPエンティティを設定し得る。
【0089】
本実施形態では、eNB100Aは、当該PDCPエンティティの設定内容が記述されたコンテナ(nr-PDCP-ConfigContainer)を含むRRC Connection SetupまたはRRC Connection ReconfigurationをUE200に送信することができる。或いは、eNB100Aは、eNB100Aが設定するPDCPエンティティの種別(NR-PDCP)を示す情報要素(PDCP-SpecConfig-r15)を含むRRC Connection SetupまたはRRC Connection ReconfigurationをUE200に送信することもできる。
【0090】
このため、当該PDCPエンティティの設定内容を確実にUE200に通知することができる。特に、nr-PDCP-ConfigContainerによれば、NR-PDCPのパラメータも通知可能である。一方、PDCP-SpecConfig-r15によれば、デフォルトのパラメータ設定に従ったNR-PDCPを迅速に通知でき、通知に必要なデータ量の削減にも寄与する。
【0091】
(5)その他の実施形態
以上、実施形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
【0092】
例えば、上述した実施形態では、スプリットベアラ(Unified split bearer)、及びMCGベアラに用いられるPDCPエンティティとして、NR-PDCPが設定される例について説明したが、NR-PDCPではなく、LTE-PDCPであってもよい。
【0093】
上述した実施形態では、スプリットベアラ(Unified split bearer)及びMCGベアラが対象となっていたが、MCGベアラではなく、スプリットベアラのように分岐しない通常ベアラであるSCGベアラが対象となってもよい。
【0094】
上述した実施形態では、PDCPエンティティの設定に関するサポート表示がeNB100Aに送信されていたが、当該サポート表示は、gNB100Bに送信されてもよい。さらに、この場合、gNB100Bが、スプリットベアラ(Unified split bearer)、及びSCGベアラに用いられるPDCPエンティティを設定してもよい。
【0095】
また、上述した実施形態の説明に用いたブロック構成図(図3,4)は、機能ブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/またはソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/または論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/または論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/または間接的に(例えば、有線及び/または無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
【0096】
さらに、上述したeNB100A及びUE200(当該装置)は、本発明の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図10は、当該装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図10に示すように、当該装置は、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006及びバス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0097】
当該装置の各機能ブロック(図3,4参照)は、当該コンピュータ装置の何れかのハードウェア要素、または当該ハードウェア要素の組み合わせによって実現される。
【0098】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインタフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU)で構成されてもよい。
【0099】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、上述した実施形態に係る方法を実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0100】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記録媒体は、例えば、メモリ1002及び/またはストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0101】
通信装置1004は、有線及び/または無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0102】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0103】
また、プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0104】
また、情報の通知は、上述した実施形態に限られず、他の方法で行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block))、その他の信号またはこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC Connection Setupメッセージ、RRC Connection Reconfigurationメッセージなどであってもよい。
【0105】
さらに、入出力された情報は、特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報は削除されてもよい。入力された情報は他の装置へ送信されてもよい。
【0106】
上述した実施形態におけるシーケンス及びフローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。
【0107】
また、上述した実施形態において、eNB100A(gNB100B、以下同)によって行われるとした特定動作は、他のネットワークノード(装置)によって行われることもある。また、複数の他のネットワークノードの組み合わせによってeNB100Aの機能が提供されても構わない。
【0108】
なお、本明細書で説明した用語及び/または本明細書の理解に必要な用語については、同一のまたは類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、該当する記載がある場合、チャネル及び/またはシンボルは信号(シグナル)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用されてもよい。
【0109】
さらに、パラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスで指示されるものであってもよい。
【0110】
eNB100A(基地局)は、1つまたは複数(例えば、3つ)のセル(セクタとも呼ばれる)を収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局RRH:Remote Radio Head)によって通信サービスを提供することもできる。
【0111】
「セル」または「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局、及び/または基地局サブシステムのカバレッジエリアの一部または全体を指す。
さらに、「基地局」「eNB」、「セル」、及び「セクタ」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。基地局は、固定局(fixed station)、NodeB、eNodeB(eNB)、gNodeB(gNB)、アクセスポイント(access point)、フェムトセル、スモールセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
【0112】
UE200は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0113】
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0114】
また、「含む(including)」、「含んでいる(comprising)」、及びそれらの変形の用語は、「備える」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書或いは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0115】
本明細書で使用した「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0116】
本明細書の全体において、例えば、英語でのa, an, 及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
【0117】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【産業上の利用可能性】
【0118】
上述した実施形態によれば、スプリットベアラ及びMCGベアラに対して同一のPDCPエンティティを適用する場合、特に、シグナリング無線ベアラ(SRB)をMCGベアラとして設定する場合でも、適切なPDCPエンティティを設定し得るため、有用である。
【符号の説明】
【0119】
10 無線通信システム
20 EPC
25 NGC
100A eNB
100B gNB
110 無線通信部
115 サポート表示受信部
120 RRC制御部
130 PDCP設定部
200 UE
210 無線通信部
220 LTE-RRC制御部
230 NR-RRC制御部
240 サポート表示送信部
250 PDCP設定部
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 ストレージ
1004 通信装置
1005 入力装置
1006 出力装置
1007 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10