特許第6754920号(P6754920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6754920着陸管理装置、着陸管理方法、及び着陸管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6754920
(24)【登録日】2020年8月26日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】着陸管理装置、着陸管理方法、及び着陸管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/02 20060101AFI20200907BHJP
   B64C 31/00 20060101ALI20200907BHJP
   G05D 1/00 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
   G08G5/02 A
   B64C31/00
   G05D1/00
【請求項の数】24
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2020-515776(P2020-515776)
(86)(22)【出願日】2019年3月26日
(86)【国際出願番号】JP2019012788
【審査請求日】2020年3月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】周 清楠
(72)【発明者】
【氏名】田爪 敏明
【審査官】 白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2017/0197729(US,A1)
【文献】 特表2019−502594(JP,A)
【文献】 特開平07−144699(JP,A)
【文献】 特表2017−510511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 5/02
B64C 31/00
G05D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定部と、
前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行う処理部と、
を備え
他の無人航空機用として既に設定されたパーティションがあることで新たな前記パーティションを設定できない場合に、前記設定部は、前記他の無人航空機用として既に設定されたパーティションを前記着陸エリア内で移動し、当該移動の後に新たな前記パーティションを前記着陸エリアに設定することを特徴とする着陸管理装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記他の無人航空機の現在位置または前記着陸エリアへの着陸予定時刻に基づいて、前記他の無人航空機用として既に設定されたパーティションを移動するか否かを決定することを特徴とする請求項に記載の着陸管理装置。
【請求項3】
所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定部と、
前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行う処理部と、
を備え、
前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機が着陸した後、当該無人航空機が離陸するまでの予定時間が第1所定時間以上である場合に、前記設定部は、当該パーティションを縮小することを特徴とする着陸管理装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記無人航空機の着陸時から第2所定時間後であって、前記無人航空機の離陸予定時の第3所定時間前までの時間帯に限り前記パーティションを縮小することを特徴とする請求項に記載の着陸管理装置。
【請求項5】
所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定部と、
前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行う処理部と、
前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機が着陸し、当該無人航空機が退避した後に当該部分エリアで認識された物品のサイズを取得する取得部と、
を備え、
前記設定部は、前記物品のサイズに基づいて、当該パーティションを縮小することを特徴とする着陸管理装置。
【請求項6】
飛行中の前記無人航空機の現在位置から着陸エリアまでの距離が所定距離以下になった場合、または現在時刻から前記無人航空機の前記着陸エリアへの着陸予定時刻までの時間が所定時間以下になった場合に、前記設定部は、前記パーティションを前記着陸エリアに設定することを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の着陸管理装置。
【請求項7】
所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定部と、
前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行う処理部と、
を備え、
飛行中の前記無人航空機の現在位置から着陸エリアまでの距離が所定距離以下になった場合、または現在時刻から前記無人航空機の前記着陸エリアへの着陸予定時刻までの時間が所定時間以下になった場合に、前記設定部は、前記設定された前記パーティションに代えて、新たな前記パーティションを前記着陸エリアに再設定することを特徴とする着陸管理装置。
【請求項8】
所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定部と、
前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行う処理部と、
を備え、
前記設定部は、前記無人航空機が着陸予約する予約要求時間において前記着陸エリアにおける前記パーティションの設定状況に基づいて、新たな前記パーティションを前記着陸エリアに設定することを特徴とする着陸管理装置。
【請求項9】
他の無人航空機用として既に設定されたパーティションがあることで新たな前記パーティションを設定できない場合に、前記設定部は、前記予約要求時間を前または後にシフトさせ、当該シフトさせた後の予約要求時間において前記着陸エリアにおける前記パーティションの設定状況に基づいて、新たな前記パーティションを前記着陸エリアに設定することを特徴とする請求項に記載の着陸管理装置。
【請求項10】
前記設定部は、前記無人航空機の情報に基づいて、前記無人航空機の着陸に適した平面サイズを特定し、当該平面サイズに応じた前記パーティションを前記着陸エリアに設定することを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の着陸管理装置。
【請求項11】
前記着陸エリアの上空または周囲の気象情報を取得する取得部を更に備え、
前記設定部は、前記気象情報にさらに基づいて前記平面サイズを特定することを特徴とする請求項10に記載の着陸管理装置。
【請求項12】
前記無人航空機の情報には、前記無人航空機の形状、及びサイズのうち少なくとも何れか一つの情報を含むことを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載の着陸管理装置。
【請求項13】
前記設定部は、他の無人航空機用として既に設定されたパーティションと重複しないように、新たな前記パーティションを前記着陸エリアに設定することを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の着陸管理装置。
【請求項14】
前記無人航空機の着陸タイプは、垂直に着陸することが可能なタイプであることを特徴とする請求項1乃至13の何れか一項に記載の着陸管理装置。
【請求項15】
1以上のコンピュータにより無人航空機の着陸を管理する着陸管理方法であって、
所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定ステップと、
前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行うステップと、
を含み、
他の無人航空機用として既に設定されたパーティションがあることで新たな前記パーティションを設定できない場合に、前記設定ステップにおいて、前記他の無人航空機用として既に設定されたパーティションを前記着陸エリア内で移動し、当該移動の後に新たな前記パーティションを前記着陸エリアに設定することを特徴とする着陸管理方法。
【請求項16】
1以上のコンピュータにより無人航空機の着陸を管理する着陸管理方法であって、
所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定ステップと、
前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行うステップと、
を含み、
前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機が着陸した後、当該無人航空機が離陸するまでの予定時間が第1所定時間以上である場合に、前記設定ステップにおいて、当該パーティションを縮小することを特徴とする着陸管理方法
【請求項17】
1以上のコンピュータにより無人航空機の着陸を管理する着陸管理方法であって、
所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定ステップと、
前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行うステップと、
前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機が着陸し、当該無人航空機が退避した後に当該部分エリアで認識された物品のサイズを取得するステップと、
を含み、
前記設定ステップにおいて、前記物品のサイズに基づいて、当該パーティションを縮小することを特徴とすることを特徴とする着陸管理方法
【請求項18】
1以上のコンピュータにより無人航空機の着陸を管理する着陸管理方法であって、
所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定ステップと、
前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行うステップと、
を含み、
飛行中の前記無人航空機の現在位置から着陸エリアまでの距離が所定距離以下になった場合、または現在時刻から前記無人航空機の前記着陸エリアへの着陸予定時刻までの時間が所定時間以下になった場合に、前記設定ステップにおいて、前記設定された前記パーティションに代えて、新たな前記パーティションを前記着陸エリアに再設定することを特徴とする着陸管理方法。
【請求項19】
1以上のコンピュータにより無人航空機の着陸を管理する着陸管理方法であって、
所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定ステップと、
前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行うステップと、
を含み、
前記設定ステップにおいて、前記無人航空機が着陸予約する予約要求時間において前記着陸エリアにおける前記パーティションの設定状況に基づいて、新たな前記パーティションを前記着陸エリアに設定することを特徴とする着陸管理方法。
【請求項20】
無人航空機の着陸を管理する着陸管理装置と、当該無人航空機の着陸を制御する制御装置と、を備える着陸管理システムであって、
前記着陸管理装置は、
所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定部と、
前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための着陸制御情報を前記制御装置へ送信する送信部と、
を備え、
他の無人航空機用として既に設定されたパーティションがあることで新たな前記パーティションを設定できない場合に、前記設定部は、前記他の無人航空機用として既に設定されたパーティションを前記着陸エリア内で移動し、当該移動の後に新たな前記パーティションを前記着陸エリアに設定し、
前記制御装置は、前記着陸管理装置から受信した前記着陸制御情報に基づいて無人航空機の着陸を制御することを特徴とする着陸管理システム。
【請求項21】
無人航空機の着陸を管理する着陸管理装置と、当該無人航空機の着陸を制御する制御装置と、を備える着陸管理システムであって、
前記着陸管理装置は、
所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定部と、
前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための着陸制御情報を前記制御装置へ送信する送信部と、
を備え、
前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機が着陸した後、当該無人航空機が離陸するまでの予定時間が第1所定時間以上である場合に、前記設定部は、当該パーティションを縮小し、
前記制御装置は、前記着陸管理装置から受信した前記着陸制御情報に基づいて無人航空機の着陸を制御することを特徴とする着陸管理システム。
【請求項22】
無人航空機の着陸を管理する着陸管理装置と、当該無人航空機の着陸を制御する制御装置と、を備える着陸管理システムであって、
前記着陸管理装置は、
所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定部と、
前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための着陸制御情報を前記制御装置へ送信する送信部と、
前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機が着陸し、当該無人航空機が退避した後に当該部分エリアで認識された物品のサイズを取得する取得部と、
を備え、
前記設定部は、前記物品のサイズに基づいて、当該パーティションを縮小し、
前記制御装置は、前記着陸管理装置から受信した前記着陸制御情報に基づいて無人航空機の着陸を制御することを特徴とする着陸管理システム。
【請求項23】
所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定部と、
前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行う処理部と、
を備え、
飛行中の前記無人航空機の現在位置から着陸エリアまでの距離が所定距離以下になった場合、または現在時刻から前記無人航空機の前記着陸エリアへの着陸予定時刻までの時間が所定時間以下になった場合に、前記設定部は、前記設定された前記パーティションに代えて、新たな前記パーティションを前記着陸エリアに再設定し、
前記制御装置は、前記着陸管理装置から受信した前記着陸制御情報に基づいて無人航空機の着陸を制御することを特徴とする着陸管理システム。
【請求項24】
所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定部と、
前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行う処理部と、
を備え、
前記設定部は、前記無人航空機が着陸予約する予約要求時間において前記着陸エリアにおける前記パーティションの設定状況に基づいて、新たな前記パーティションを前記着陸エリアに設定し、
前記制御装置は、前記着陸管理装置から受信した前記着陸制御情報に基づいて無人航空機の着陸を制御することを特徴とする着陸管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の着陸エリアに無人航空機を着陸させるための着陸管理システム等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無人航空機の着陸要求に応じて、無人航空機が離着陸するための離着陸施設(以下、「ポート」という)を管理する技術が知られている。例えば、特許文献1には、ポート管理装置が飛行体から着陸要求を受け取ると着陸の可否を判断し、ポート内に別の飛行体が存在する場合、当該ポートへの着陸を許可せず、当該飛行体をポート上で待機させたり、他のポートへ移動させたりすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/155700号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術では、ある無人航空機がポートに着陸してから離陸または退避するまでは他の無人航空機が当該ポートを利用することが困難であるため、無人航空機の着陸が非効率的になる可能性がある。また、無人航空機をポート上で待機させたり、或いは他のポートへ移動させる場合、無人航空機のバッテリの消費電力や待機時間の観点で非効率的である。
【0005】
そこで、本発明は、複数の無人航空機が着陸するためのポートにおける着陸エリアを効率的に活用することが可能な着陸管理装置、着陸管理方法、及び着陸管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定部と、前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行う処理部と、を備え、他の無人航空機用として既に設定されたパーティションがあることで新たな前記パーティションを設定できない場合に、前記設定部は、前記他の無人航空機用として既に設定されたパーティションを前記着陸エリア内で移動し、当該移動の後に新たな前記パーティションを前記着陸エリアに設定することを特徴とする。これにより、複数の無人航空機が着陸するためのポートにおける着陸エリアを効率的に活用することができる。また、より多くの無人航空機の要求に応じることが可能となり、より多くのパーティションを1つの着陸エリアに設定することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の着陸管理装置において、前記設定部は、前記他の無人航空機の現在位置または前記着陸エリアへの着陸予定時刻に基づいて、前記他の無人航空機用として既に設定されたパーティションを移動するか否かを決定することを特徴とする。これにより、既に設定されたパーティションに対応する部分エリアを予約している無人航空機が既に着陸エリアの近くまで到達し着陸まであまり時間のない場合等に応じた適切な対応を図ることができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定部と、前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行う処理部と、を備え、前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機が着陸した後、当該無人航空機が離陸するまでの予定時間が第1所定時間以上である場合に、前記設定部は、当該パーティションを縮小することを特徴とする着陸管理装置。これにより、縮小された部分を他の無人航空機の着陸のために解放することができる。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の着陸管理装置において、前記設定部は、前記無人航空機の着陸時から第2所定時間後であって、前記無人航空機の離陸予定時の第3所定時間前までの時間帯に限り前記パーティションを縮小することを特徴とする。これにより、縮小された部分を他の無人航空機の着陸のために時間的な余裕をもって解放することができる。
【0010】
請求項5に記載の発明は、所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定部と、前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行う処理部と、前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機が着陸し、当該無人航空機が退避した後に当該部分エリアで認識された物品のサイズを取得する取得部と、を備え、前記設定部は、前記物品のサイズに基づいて、当該パーティションを縮小することを特徴とする。これにより、縮小された部分を他の無人航空機の着陸のために解放することができる。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の着陸管理装置において、飛行中の前記無人航空機の現在位置から着陸エリアまでの距離が所定距離以下になった場合、または現在時刻から前記無人航空機の前記着陸エリアへの着陸予定時刻までの時間が所定時間以下になった場合に、前記設定部は、前記パーティションを前記着陸エリアに設定することを特徴とする。これにより、飛行中の無人航空機用としてより好適なパーティションを設定することができる。
【0012】
請求項7に記載の発明は、所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定部と、前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行う処理部と、を備え、飛行中の前記無人航空機の現在位置から着陸エリアまでの距離が所定距離以下になった場合、または現在時刻から前記無人航空機の前記着陸エリアへの着陸予定時刻までの時間が所定時間以下になった場合に、前記設定部は、前記設定された前記パーティションに代えて、新たな前記パーティションを前記着陸エリアに再設定することを特徴とする。これにより、飛行中の無人航空機用としてより好適なパーティションを設定することができる。
【0013】
請求項8に記載の発明は、所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定部と、前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行う処理部と、を備え、前記設定部は、前記無人航空機が着陸予約する予約要求時間において前記着陸エリアにおける前記パーティションの設定状況に基づいて、新たな前記パーティションを前記着陸エリアに設定することを特徴とする。これにより、より多くの無人航空機の要求に応じることが可能となり、将来の時間帯毎にパーティションを着陸エリアに設定することができる。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項に記載の着陸管理装置において、他の無人航空機用として既に設定されたパーティションがあることで新たな前記パーティションを設定できない場合に、前記設定部は、前記予約要求時間を前または後にシフトさせ、当該シフトさせた後の予約要求時間において前記着陸エリアにおける前記パーティションの設定状況に基づいて、新たな前記パーティションを前記着陸エリアに設定することを特徴とする。これにより、無人航空機の要求に応じて臨機応変に対応することが可能となる。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至の何れか一項に記載の着陸管理装置において、前記設定部は、前記無人航空機の情報に基づいて、前記無人航空機の着陸に適した平面サイズを特定し、当該平面サイズに応じた前記パーティションを前記着陸エリアに設定することを特徴とする。これにより、様々な大きさや形状の無人航空機に応じたパーティションを設定することができる。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の着陸管理装置において、前記着陸エリアの上空または周囲の気象情報を取得する取得部を更に備え、前記設定部は、前記気象情報にさらに基づいて前記平面サイズを特定することを特徴とする。これにより、気象情報に応じて部分エリアへの着陸し易さが考慮された、より適切なパーティションを設定することができる。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項1乃至11の何れか一項に記載の着陸管理装置において、前記無人航空機の情報には、前記無人航空機の形状、及びサイズのうち少なくとも何れか一つの情報を含むことを特徴とする。
【0018】
請求項13に記載の発明は、請求項1乃至12の何れか一項に記載の着陸管理装置において、前記設定部は、他の無人航空機用として既に設定されたパーティションと重複しないように、新たな前記パーティションを前記着陸エリアに設定することを特徴とする。これにより、複数の無人航空機が接触することなく同時に1つの着陸エリアを利用することができる。
【0019】
請求項14に記載の発明は、請求項1乃至13の何れか一項に記載の着陸管理装置において、前記無人航空機の着陸タイプは、垂直に着陸することが可能なタイプであることを特徴とする。
【0021】
請求項15に記載の発明は、1以上のコンピュータにより無人航空機の着陸を管理する着陸管理方法であって、所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定ステップと、前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行うステップと、を含み、他の無人航空機用として既に設定されたパーティションがあることで新たな前記パーティションを設定できない場合に、前記設定ステップにおいて、前記他の無人航空機用として既に設定されたパーティションを前記着陸エリア内で移動し、当該移動の後に新たな前記パーティションを前記着陸エリアに設定することを特徴とする。請求項16に記載の発明は、1以上のコンピュータにより無人航空機の着陸を管理する着陸管理方法であって、所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定ステップと、前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行うステップと、を含み、前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機が着陸した後、当該無人航空機が離陸するまでの予定時間が第1所定時間以上である場合に、前記設定ステップにおいて、当該パーティションを縮小することを特徴とする。請求項17に記載の発明は、1以上のコンピュータにより無人航空機の着陸を管理する着陸管理方法であって、所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定ステップと、前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行うステップと、前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機が着陸し、当該無人航空機が退避した後に当該部分エリアで認識された物品のサイズを取得するステップと、を含み、前記設定ステップにおいて、前記物品のサイズに基づいて、当該パーティションを縮小することを特徴とすることを特徴とする。請求項18に記載の発明は、1以上のコンピュータにより無人航空機の着陸を管理する着陸管理方法であって、所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定ステップと、前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行うステップと、を含み、飛行中の前記無人航空機の現在位置から着陸エリアまでの距離が所定距離以下になった場合、または現在時刻から前記無人航空機の前記着陸エリアへの着陸予定時刻までの時間が所定時間以下になった場合に、前記設定ステップにおいて、前記設定された前記パーティションに代えて、新たな前記パーティションを前記着陸エリアに再設定することを特徴とする。請求項19に記載の発明は、1以上のコンピュータにより無人航空機の着陸を管理する着陸管理方法であって、所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定ステップと、前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行うステップと、を含み、前記設定ステップにおいて、前記無人航空機が着陸予約する予約要求時間において前記着陸エリアにおける前記パーティションの設定状況に基づいて、新たな前記パーティションを前記着陸エリアに設定することを特徴とする。
【0022】
請求項20に記載の発明は、無人航空機の着陸を管理する着陸管理装置と、当該無人航空機の着陸を制御する制御装置と、を備える着陸管理システムであって、前記着陸管理装置は、所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定部と、前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための着陸制御情報を前記制御装置へ送信する送信部と、を備え、他の無人航空機用として既に設定されたパーティションがあることで新たな前記パーティションを設定できない場合に、前記設定部は、前記他の無人航空機用として既に設定されたパーティションを前記着陸エリア内で移動し、当該移動の後に新たな前記パーティションを前記着陸エリアに設定し、前記制御装置は、前記着陸管理装置から受信した前記着陸制御情報に基づいて無人航空機の着陸を制御することを特徴とする。請求項21に記載の発明は、無人航空機の着陸を管理する着陸管理装置と、当該無人航空機の着陸を制御する制御装置と、を備える着陸管理システムであって、前記着陸管理装置は、所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定部と、前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための着陸制御情報を前記制御装置へ送信する送信部と、を備え、前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機が着陸した後、当該無人航空機が離陸するまでの予定時間が第1所定時間以上である場合に、前記設定部は、当該パーティションを縮小し、前記制御装置は、前記着陸管理装置から受信した前記着陸制御情報に基づいて無人航空機の着陸を制御することを特徴とする。請求項22に記載の発明は、無人航空機の着陸を管理する着陸管理装置と、当該無人航空機の着陸を制御する制御装置と、を備える着陸管理システムであって、前記着陸管理装置は、所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定部と、前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための着陸制御情報を前記制御装置へ送信する送信部と、前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機が着陸し、当該無人航空機が退避した後に当該部分エリアで認識された物品のサイズを取得する取得部と、を備え、前記設定部は、前記物品のサイズに基づいて、当該パーティションを縮小し、前記制御装置は、前記着陸管理装置から受信した前記着陸制御情報に基づいて無人航空機の着陸を制御することを特徴とする。請求項23に記載の発明は、所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定部と、前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行う処理部と、を備え、飛行中の前記無人航空機の現在位置から着陸エリアまでの距離が所定距離以下になった場合、または現在時刻から前記無人航空機の前記着陸エリアへの着陸予定時刻までの時間が所定時間以下になった場合に、前記設定部は、前記設定された前記パーティションに代えて、新たな前記パーティションを前記着陸エリアに再設定し、前記制御装置は、前記着陸管理装置から受信した前記着陸制御情報に基づいて無人航空機の着陸を制御することを特徴とする。請求項24に記載の発明は、所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、前記着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを前記着陸エリアに設定する設定部と、前記パーティションに対応する部分エリアに前記無人航空機を着陸させるための処理を行う処理部と、を備え、前記設定部は、前記無人航空機が着陸予約する予約要求時間において前記着陸エリアにおける前記パーティションの設定状況に基づいて、新たな前記パーティションを前記着陸エリアに設定し、前記制御装置は、前記着陸管理装置から受信した前記着陸制御情報に基づいて無人航空機の着陸を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、複数の無人航空機が着陸するためのポートにおける着陸エリアを効率的に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】無人航空機システムSの概要構成例を示す図である。
図2】UAV1の概要構成例を示す図である。
図3】管理サーバMSの概要構成例を示す図である。
図4】制御部33における機能ブロック例を示す図である。
図5】UAV1の着陸に適した平面サイズの例を示す図である。
図6】気象情報に基づいて拡大される平面サイズの例を示す図である。
図7】着陸エリアArに設定されたパーティションを示す概念図である。
図8】既に設定されたパーティションが着陸エリアAr内で移動することにより新たなパーティションが設定される様子を示す概念図である。
図9】管理サーバMSにより実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図10】垂直着陸タイプとスライディング着陸タイプとの双方の着陸が許容される着陸エリアArに設定されたパーティションを示す概念図である。
図11】設定されたパーティションが縮小される様子を示す概念図である。
図12】管理サーバMSにより実行される処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る無人航空機システムについて説明する。
【0026】
1.無人航空機システムSの構成及び動作概要
先ず、図1を参照して本実施形態に係る無人航空機システムSの構成及び動作概要について説明する。図1は、無人航空機システムSの概要構成例を示す図である。図1に示すように、無人航空機システムSは、複数の無人航空機(以下、「UAV(Unmanned Aerial Vehicle)」と称する)1a,1b,1c・・・、運航管理システム(以下、「UTMS(UAV Traffic Management System)」と称する)2、及びポート管理システム(以下、「PMS(Port Management System)」と称する)3を含んで構成される。以下の説明において、複数のUAV1a,1b・・・を総称してUAV1と称するものとする。UAV1、UTMS2、及びPMS3は、通信ネットワークNWを介して互いに通信可能になっている。通信ネットワークNWは、例えば、インターネット、移動体通信ネットワーク及びその無線基地局等から構成される。なお、UTMS2とPMS3とは、1つの管理システムとして構成されてもよい。
【0027】
UAV1は、大気中を遠隔操作より飛行または自律的に飛行することが可能になっている。UAV1は、ドローン、またはマルチコプタとも呼ばれる。UAV1は、例えば、物品の運搬(例えば、配送)、または地上の状況観察等に利用される。UAV1により運搬される物品は貨物ともいう。UAV1が物品の配送に利用される場合、物品は、UAV1が着陸するポートにおいてUAV1から受取人へ受け渡される。また、地上を移動して物品を配送する無人地上機(以下、「UGV(Unmanned Ground Vehicle)」と称する)がポートに待機している場合、物品は、UAV1からUGVへ受け渡される。なお、UAV1は、GCS(Ground Control Station)により管理され、地上からオペレータにより遠隔操作可能になっている。GCSは、例えば、アプリケーションとして通信ネットワークNWに接続可能な操縦端末に搭載される。この場合、オペレータは、例えば、操縦端末を操作する人、または操縦端末が備えるコントローラである。或いは、GCSは、サーバ等によりシステム化されてもよい。この場合、オペレータは、例えば、システム管理者、またはサーバが備えるコントローラである。
【0028】
UTMS2は、1以上のサーバ等を備えて構成される。UTMS2は、複数のUAV1の運航を管理する。UAV1の運航管理には、UAV1の飛行前の運航計画の管理、及び飛行中のUAV1の飛行状況の管理及び制御が含まれる。UAV1の飛行前の運航計画とは、UAV1の出発地から目的地までの予定経路等を含む飛行計画である。飛行計画には、離陸予定時刻、予定経路上における各地点の通過予定時刻、及び着陸予定時刻が含まれてもよい。UAV1の飛行状況の管理及び制御は、UAV1の位置情報に基づいて行われる。UAV1の位置情報は、UAV1の現在位置(例えば、緯度、経度、及び高度)を示す。UAV1の現在位置とは、飛行中のUAV1の飛行位置である。UAV1の飛行状況の管理及び制御は、UAV1の位置情報とUAV1の速度情報等に基づいて行われてもよい。UAV1の速度情報は、UAV1の飛行速度を示す。UTMS2は、例えばGCSからUAV1の飛行計画申請があった場合に、その飛行計画が予め定められた基準を満たすか否かを判断し、当該飛行計画が当該基準を満たす場合に、当該飛行計画を承認する。また、UTMS2は、UAV1に対して情報及び指示を与えるなどの航空管制を行う。UTMS2からUAV1に対して与えられる情報の例として、安全な飛行経路の情報、飛行可能エリアの情報などが挙げられる。
【0029】
PMS3は、管理サーバMSを含む1以上のサーバ等を備えて構成される。管理サーバMSは、着陸管理装置の一例である。PMS3は、ポートにおける着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを管理する。ここで、着陸エリアとは、複数のUAV1が着陸可能な広さ(面積)を有するエリアである。着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたとは、コンピュータ(サーバ)により認識(例えば、実際のサイズ及び位置を示すデータとして認識)された着陸エリアの一部分がコンピュータ上で区切られたことを意味する。従って、パーティションとは、コンピュータ上で着陸エリアの一部分が区切られた部分エリアのデータである。UAV1は、パーティションに対応する部分エリア(つまり、着陸エリア中の実際のエリア)に着陸することになる。このようなパーティションが1つのポートにおける着陸エリアに複数設定されることで、複数のUAV1が同時に1つの着陸エリアを分け合って利用することができる。
【0030】
ところで、例えば複数のポートをまとめて(近接して)設けることにより、効率化を図ることも考えられる。しかし、UAV1には様々な大きさや形状のものがあるので、各々のUAV1に応じて着陸に必要なポートのサイズや形状が異なる。複数のポートの各々が全てのUAV1により着陸可能に設計されると、各ポートのサイズが非常に大きくなってしまい、広大な土地が必要になってしまうという不都合が生じる。或いは、いくつかのサイズや形状のパターンごとにポートを設けることも考えられる。しかし、その場合には、特定パターンのポートは特定のUAV1しか利用することができない、または、特定パターンのポートは特定のUAV1には利用することができない、といった不都合が生じ得る。本実施形態によれば、これらの不都合を解消し、複数のUAV1が着陸するためのポートを、より効率的に活用することが可能となる。
【0031】
1−1.UAV1の構成及び機能概要
次に、図2を参照してUAV1の構成及び機能概要について説明する。図2は、UAV1の概要構成例を示す図である。図2に示すように、UAV1は、駆動部11、測位部12、無線通信部13、撮像部14、及び制御部15等を備える。なお、図示しないが、UAV1は、水平回転翼であるロータ(プロペラ)、各種センサ、及びUAV1の各部へ電力を供給するバッテリ等を備える。UAV1の飛行制御に用いられる各種センサには、気圧センサ、3軸加速度センサ、及び地磁気センサ等が含まれる。各種センサにより検出された検出情報は、制御部15へ出力される。気圧センサにより検出された検出情報は、UAV1の飛行速度の算出に用いられる。
【0032】
駆動部11は、モータ及び回転軸等を備える。駆動部11は、制御部15から出力された制御信号に従って駆動するモータ及び回転軸等により複数のロータを回転させる。測位部12は、電波受信機及び高度センサ等を備える。測位部12は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)の衛星から発信された電波を電波受信機により受信し、当該電波に基づいてUAV1の水平方向の現在位置(緯度及び経度)を検出する。なお、UAV1の水平方向の現在位置は、撮像部14により撮像された画像や上記無線基地局から発信された電波に基づいて補正されてもよい。
【0033】
さらに、測位部12は、高度センサによりUAV1の垂直方向の現在位置(高度)を検出してもよい。測位部12により検出された現在位置を示す位置情報は、制御部15へ出力される。なお、UAV1の位置情報は、UAV1の水平方向の現在位置(緯度及び経度)を示す位置情報(つまり、2次元的な位置情報)であっても本実施形態で適用可能である。無線通信部13は、通信ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。撮像部14は、カメラ等を備える。撮像部14は、カメラの画角に収まる範囲(UAV1の周囲)内の実空間を連続的に撮像する。撮像部14により撮像された画像情報は、制御部15へ出力される。
【0034】
制御部15は、プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び不揮発性メモリ等を備える。制御部15は、例えばROMまたは不揮発性メモリに記憶された制御プログラム(プログラムコード群)に従ってUAV1の各種制御を実行する。各種制御には、離陸制御、飛行制御、及び着陸制御が含まれる。制御部15またはGCSは、UAV1の着陸を制御する制御装置の一例であり、当該制御装置と管理サーバMSとにより着陸管理システムが構成される。飛行制御及び着陸制御においては、測位部12から取得された位置情報、撮像部14から取得された画像情報、各種センサから取得された検出情報、予め登録された飛行計画を示す飛行計画情報、及びPMS3等から受信された着陸制御情報等が用いられて、ロータの回転数の制御、UAV1の位置、姿勢及び進行方向の制御が行われる。これにより、UAV1は、出発地から目的地(ポート)までを自律的に飛行し、ポートにおける着陸エリア内の部分エリアに上空から垂直に着陸することができる。
【0035】
ここで、着陸制御情報は、UAV1用として設定されたパーティションに対応する部分エリアにUAV1を着陸させるための情報であり、例えば当該部分エリアの位置情報を含む。また、UAV1の自律的な飛行は、当該UAV1に備えられる制御部15が飛行制御を行うことによる自律飛行に限定されるものではなく、当該UAV1の自律的な飛行には、例えば無人航空機システムS全体として自律制御を行うことによる自律飛行も含まれる。なお、制御部15は、操縦端末からの指示信号に従って飛行制御を行うこともできる。そして、UAV1の飛行中、制御部15は、UAV1の機体IDとともに、当該UAV1の位置情報と当該UAV1の飛行速度を示す速度情報の少なくとも何れか一方の情報を、無線通信部13を介してUTMS2へ定期的に送信する。UAV1の機体ID、及び位置情報と速度情報の少なくとも何れか一方の情報は、UAV1からGCSを介してUTMS2へ送信されてもよい。
【0036】
1−2.管理サーバMSの構成及び機能概要
次に、図3及び図4を参照して管理サーバMSの構成及び機能概要について説明する。図3は、管理サーバMSの概要構成例を示す図である。図3に示すように、管理サーバMSは、通信部31、記憶部32、制御部33等を備える。通信部31は、通信ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。記憶部32は、例えば、ハードディスクドライブ等を備える。記憶部32は、設定されたパーティションに対応する部分エリアのサイズ情報、当該部分エリアの位置情報、及び当該部分エリアの予約情報等を対応付けて記憶する。ここで、パーティションの形状(換言すると、部分エリアの形状)は、特に限定されるものではないが、形状が四角形である場合の部分エリアのサイズ情報は、縦寸法及び横寸法で表され、形状が円形である場合の部分エリアのサイズ情報は、半径で表されるとよい。部分エリアの位置情報は、例えば、部分エリアの中心地点またはその付近の緯度及び経度で表される。部分エリアの予約情報には、部分エリアを予約(着陸予約)したUAV1の機体ID、予約日時、及びUAV1の着陸状況等が含まれる。UAV1の機体IDは、UAV1を識別する識別情報である。予約日時は、予約日及び予約時間帯(開始時刻(例えば10時)〜終了時刻(例えば13時))であってもよい。UAV1の着陸状況は、UAV1が予約された部分エリアに着陸したか否かを示す。
【0037】
なお、UAV1は、部分エリアへの着陸後、例えばスタッフにより部分エリアから退避(退去)される場合と、部分エリアから離陸する場合とがある。UAV1が部分エリアから離陸する場合、部分エリアの予約情報には、UAV1の離陸予定時刻が含まれる。また、UAV1が着陸後に部分エリアから退避または離陸した場合、当該部分エリアのサイズ情報、位置情報、及び予約情報は記憶部32から削除される。これにより、当該部分エリアは他のUAV1の着陸のために解放され、その部分には新たなパーティションが設定可能となる。なお、当該部分エリアのサイズ情報、位置情報、及び予約情報は、記憶部32から削除される代わりに、パーティションの占有が終了したことが記録されて、当該予約の終了時刻前であっても当該パーティションに対応する部分エリアを使用可能に解放してもよい。
【0038】
制御部33は、プロセッサであるCPU、ROM、RAM、及び不揮発性メモリ等を備える。図4は、制御部33における機能ブロック例を示す図である。制御部33は、例えばROMまたは不揮発性メモリに記憶されたプログラムに従って、図4に示すように、予約要求受信部33a、パーティション設定部33b、予約処理部33c、及び送信処理部33dとして機能する。なお、パーティション設定部33bは、着陸管理装置の取得部及び設定部の一例である。送信処理部33dは、着陸管理装置の処理部の一例である。
【0039】
予約要求受信部33aは、部分エリアの予約要求を、UAV1またはGCSから受信する。この予約要求には、予約要求に係るUAV1の機体ID、UAV1の固有情報、予約日時、及び着陸予定時刻等が含まれる。UAV1の固有情報は、UAV1の形状(例えば、正方形、長方形)、サイズ(例えば、縦×横×高さ)、機種、及び型番のうち少なくとも何れか一つの情報である。予約日時は、例えば、UAV1のオペレータからの指示に応じて選定される。なお、予約要求には、着陸エリアへのUAV1の進入方向を示す進入方向情報が含まれる場合もある。また、予約要求には、UAV1の離陸予定時刻が含まれる場合もある。
【0040】
パーティション設定部33bは、予約要求受信部43aにより受信された予約要求に応じて、ポートにおける着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを着陸エリアに設定する。例えば、パーティション設定部33bは、UAV1の固有情報に基づいて、UAV1の着陸に適した(好適な)平面サイズを特定し、特定した平面サイズに応じたパーティションを着陸エリアに設定するとよい。UAV1には様々な大きさや形状のものがあるので、各々のUAV1に応じた平面サイズが特定される。そのため、様々な大きさや形状のUAV1に応じたパーティションを設定することができる。ここで、着陸に適した平面サイズとは、1台のUAV1が着陸するために必要以上に広くならず(着陸エリア内に、より多くのUAV1の着陸を可能にするため)、かつ、1台のUAV1がある程度の余裕をもって着陸できる広さの平面サイズを意味する。
【0041】
図5は、UAV1の着陸に適した平面サイズの例を示す図である。図5に示す例1は、UAV1xの着陸に適した平面サイズ(縦Xcm×横Xcm)であり、四角形となっているが五角形以上の多角形や円形であってもよい。一方、図5に示す例2は、UAV1yの着陸に適した平面サイズ(縦1.2×Ycm×横Ycm)であり、長方形となっているが三角形または楕円形であってもよい。このように、平面サイズは、UAV1の形状(つまり、上空から見た形状)によって変わり得る。また、着陸エリアへの着陸が許可されるUAV1のサイズが形状毎に固定である場合、UAV1の形状(例えば、長方形)に応じた平面サイズが特定される。この場合、UAV1のサイズが予約要求に含まれなくてもよい。或いは、UAV1の機種または型番から、UAV1のサイズまたは形状が特定できる場合、UAV1の機種または型番から特定されたサイズまたは形状に応じた平面サイズが特定される。この場合も、UAV1のサイズ及び形状が予約要求に含まれなくてもよい。なお、UAV1の形状及びサイズは、例えばポートの周辺に設置されたカメラ等のセンサによりUAV1が認識(検知)されることで特定されてもよい。例えば、UAV1から着陸要求があったときにセンサにより認識されたUAV1の形状及びサイズが制御部33により特定される。この場合も、UAV1のサイズ及び形状が予約要求に含まれなくてもよい。
【0042】
また、パーティション設定部33bは、例えば着陸予定時刻における着陸エリアの上空または周囲の気象情報を取得し、取得した気象情報にさらに基づいて平面サイズを特定してもよい。つまり、パーティション設定部33bは、UAV1の固有情報に基づいて特定された平面サイズを気象情報に基づいて調整(拡大または縮小)し、調整した平面サイズに応じたパーティションを着陸エリアに設定する。これにより、気象情報に応じて部分エリアへの着陸し易さが考慮された、より適切なパーティションを設定することができる。気象情報の例として、風速、風向き、雨、雪等が挙げられる。ここで、風速及び風向きは、例えば数分間の平均で表される。また、風向きは、例えば方位(例えば、北、南西、北東など)で表される。なお、気象情報は、ポートの周辺に設置されたセンサにより検知された情報から得られてもよいし、数日先の気象予報を管理するサーバから得られてもよい。
【0043】
図6は、気象情報に基づいて拡大される平面サイズの例を示す図である。例えば風速に基づく場合、図6に示す例1のように、風速が速い(高い)ほど、大きくなる拡大率で上記特定された平面サイズが拡大される(つまり、図6に示す例1おいて、破線L1で示される平面サイズが、破線L2で示される平面サイズに拡大される)。或いは、風速が閾値以上の場合に、上記特定された平面サイズが所定割合拡大されてもよい。また、風向きに基づく場合、図6に示す例2のように、風向きの方向(例えば、風向きが東であれば、東の方向)に上記特定された平面サイズが所定割合拡大される(つまり、図6に示す例2おいて、破線L1で示される平面サイズが、破線L2で示される平面サイズに拡大される)。また、風速及び風向きに基づく場合、風速が速いほど大きくなる拡大率で、且つ、風向きの方向に上記特定された平面サイズが拡大される。或いは、風速が閾値以上の場合に、風向きの方向に上記特定された平面サイズが所定割合拡大される。また、雨または雪の場合に、上記特定された平面サイズが所定割合拡大されてもよい。
【0044】
図7は、着陸エリアArに設定されたパーティションを示す概念図である。図7に示す着陸エリアArは、所定長間隔で仮想的に予め区切られることで複数の単位エリアUを有するようになっているが、予約要求があったときに着陸エリアArから上記平面サイズに応じたパーティションが動的に区切られてもよい。図7の例では、着陸エリアArの上側を北とし下側を南としている。図7の例において、パーティションP1は、UAV1a用として設定され、パーティションP2は、UAV1b用として設定され、パーティションP3は、UAV1c用として設定され、パーティションP4は、UAV1d用として設定されたものとする。例えば、着陸エリアArの左上端部分にパーティションP1が設定された後、その右側にパーティションP2が設定される。このようにパーティションP1がUAV1a用として設定されると、パーティションP1に対応する部分エリアがUAV1aにより予約され、パーティションP2がUAV1b用として設定されると、パーティションP2に対応する部分エリアがUAV1bにより予約されることになる。その後、図7の例では、さらに、パーティションP1の下の左端部分にパーティションP3が設定された後、その右側にパーティションP4が設定される。このようにパーティションP3がUAV1c用として設定されると、パーティションP3に対応する部分エリアがUAV1cにより予約され、パーティションP4がUAV1d用として設定されると、パーティションP4に対応する部分エリアがUAV1dにより予約されることになる。
【0045】
例えば、パーティション設定部33bは、UAV1bが着陸するための部分エリアの予約要求が受信された場合に、UAV1a用として既に設定されたパーティションP1と重複しないようにUAV1b用として新たなパーティションP2を着陸エリアArに設定する。つまり、他のUAV1により予約されていない部分エリア(つまり、現在未使用の部分エリア)に対応する部分が新たなパーティションとして設定される。このように、既に設定されたパーティションと重複しないように新たなパーティションが設定されるので、複数のUAV1が接触することなく同時に1つの着陸エリアArを利用することができる。また、図7の例では、着陸エリアArの端部分から優先してパーティションが設定されるので、無駄なく効率的にパーティションを設定することができる。なお、着陸エリアArにおいてパーティションとして設定された部分の位置は、当該パーティションに対応する部分エリアの位置情報により管理することができる。また、図7の例では、パーティションP1とパーティションP2との間、パーティションP1とパーティションP3との間、パーティションP2とパーティションP4との間、及びパーティションP3とパーティションP4との間は、それぞれ、1つの単位エリアU分のスペースが設けられている。このようなスペースは、後述するパーティションの移動に利用することができるが、当該スペースを設けずにパーティションが設定されてもよい。
【0046】
また、パーティション設定部33bは、予約要求に含まれる進入方向情報に基づいて、着陸エリアArへのUAV1の進入方向から、より近い部分を優先してパーティションを設定してもよい。例えば、UAV1が南方向(図7に示す矢印方向)から着陸エリアArに進入してくる場合、着陸エリアArの右下端部分Ar11へのパーティションの設定が優先されてもよい。これにより、UAV1は着陸エリアArを迂回することなく、また、UTMS2により承認された予定経路を変更することなく、着陸エリアAr内に着陸することができる。なお、着陸エリアArの右下端部分Ar11に既にパーティションが設定されている場合、パーティション設定部33bは、当該既に設定されたパーティションを着陸エリアAr内で仮想的に移動し、当該移動の後に新たなパーティションを設定してもよい。
【0047】
ところで、既に設定されたパーティションがあることで新たなパーティションを設定できない場合(つまり、着陸エリアAr内に上記平面サイズ分のスペース(空き)がない場合)に、新たな予約要求に応じることができない。そこで、この場合、パーティション設定部33bは、当該既に設定されたパーティションを着陸エリアAr内で仮想的に移動し、当該移動の後に新たなパーティションを設定してもよい。すなわち、既に設定されたパーティションの移動により、着陸エリアAr内に上記平面サイズ分のスペースが確保され、確保されたスペースに新たなパーティションが設定される。
【0048】
図8は、既に設定されたパーティションが着陸エリアAr内で移動することにより新たなパーティションが設定される様子を示す概念図である。図8の左側に示すように、パーティションP4が左斜め上方向に移動し、パーティションP5が真上方向方向に移動することにより、図8の右側に示すように、新たなパーティションP7を設定することができる。これにより、新たな予約要求が受信されたときに、既に設定されたパーティションがあることで新たなパーティションを設定できない場合であっても、当該新たな予約要求に応じることが可能となり、より多くのパーティションを1つの着陸エリアArに設定することができる。ただし、既に設定されたパーティションに対応する部分エリアを予約しているUAV1が既に着陸エリアArの近くまで到達し、着陸まであまり時間のない場合等には、既に設定されたパーティションを移動させないことが望ましい。そのため、パーティション設定部33bは、UAV1の現在位置または着陸エリアArへの着陸予定時刻に基づいて、当該UAV1用として既に設定されたパーティションを移動するか否かを決定するとよい。例えば、UAV1の現在位置から着陸エリアArまでの距離が所定距離(例えば、500〜1000m)以下、または現在時刻からUAV1の着陸エリアArへの着陸予定時刻までの時間が所定時間(例えば、5〜10分)以下である場合、当該UAV1用として既に設定されたパーティションは移動されない。
【0049】
予約処理部33cは、パーティション設定部33bにより設定されたパーティションに対応する部分エリアを予約する予約処理を行う。この予約処理において、予約処理部33cは、パーティション設定部33bにより設定されたパーティションに対応する部分エリアのサイズ情報、当該部分エリアの位置情報、及び当該部分エリアの予約情報が対応付けられて記憶されることで、UAV1が着陸する部分エリアが予約される。ここで、部分エリアの予約情報には、予約要求に係るUAV1の機体ID、予約日時、及びUAV1の着陸状況が含まれる。予約情報に含まれる着陸状況は、予約時には未着陸であるが、UAV1が着陸すると、着陸中に更新される。なお、予約要求にUAV1の離陸予定時刻が含まれる場合、部分エリアの予約情報には、UAV1の離陸予定時刻が含まれることになる。
【0050】
送信処理部33dは、パーティション設定部33bにより設定されたパーティションに対応する部分エリア(つまり、UAV1により予約された部分エリア)にUAV1を着陸させるための送信処理を行う。この送信処理は、直接的な送信処理であってもよいし、間接的な送信処理であってもよい。直接的な送信処理では、送信処理部33dは、UAV1を着陸させる部分エリアの位置情報を含む着陸制御情報を、通信ネットワークNWを介してUAV1へ送信する。これにより、UAV1は、着陸制御情報に基づく制御により部分エリアに着陸する。一方、間接的な送信処理では、送信処理部33dは、UAV1を着陸させる部分エリアの位置情報を含む着陸制御情報を、通信ネットワークNWを介してGCSまたはUTMS2へ送信する。これにより、GCSまたはUTMS2は、着陸制御情報に基づく制御によりUAV1を部分エリアに着陸させる。なお、GCSまたはUTMS2は、受信した着陸制御情報をUAV1へ送信してもよい。
【0051】
2.無人航空機システムSの動作例
次に、図9を参照して、本実施形態に係る無人航空機システムSの動作例について説明する。図9は、管理サーバMSにより実行される処理の一例を示すフローチャートである。図9に示す処理は、例えばUAV1aまたはGCSから送信された予約要求(部分エリアの予約要求)が管理サーバMSにより受信された場合に開始される。この予約要求は、UAV1aの飛行開始前に送信されてもよいし、UAV1aの飛行中に送信されてもよい。後者の場合において、UAV1aまたはGCSは、UAV1aの現在位置から着陸エリアArまでの距離が所定距離(例えば、500〜1000m)以下になった場合、または現在時刻からUAV1aの着陸エリアArへの着陸予定時刻までの時間が所定時間(例えば、5〜10分)以下になった場合に予約要求を送信するとよい。これにより、UAV1aの飛行開始時には着陸エリアAr内にUAV1aが着陸可能なスペースがなく部分エリアを予約できない場合であっても、UAV1aが着陸エリアArの近くに到達するまでの間に他のUAV1が着陸エリアArから退避等することでスペースができれば、UAV1a用としてパーティションが着陸エリアArに設定され、当該設定されたパーティションに対応する部分エリアをUAV1aが予約することが可能となる。
【0052】
或いは、予約要求はUAV1aの飛行開始前とUAV1aの飛行中(例えば、UAV1aが着陸エリアArの近くに到達したとき)との双方で送信されてもよい。この場合、飛行開始前の予約要求は仮予約要求となり、飛行中の予約要求は本予約要求となる。これにより、飛行開始前の予約要求時には部分エリアを予約できないか、または予約できたとしても着陸エリアArを迂回する必要がある場合に、UAV1aが着陸エリアArの近くに到達するまでの間に他のUAV1が着陸エリアArから退避等することでスペースができれば、UAV1a用としてより好適な(例えば、迂回する必要がない)パーティションが着陸エリアArに設定され、当該設定されたパーティションに対応する部分エリアをUAV1aが予約することが可能となる。
【0053】
図9に示す処理が開始されると、管理サーバMSは、予約要求に係るUAV1aの固有情報等に基づいて、上述したようにパーティション設定部33bにより、UAV1aの着陸に適した平面サイズを特定する(ステップS1)。次いで、管理サーバMSは、ステップS1で特定された平面サイズに応じた新たなパーティション(例えば、上記平面サイズに合致するパーティション)を着陸エリアArから探索する(ステップS2)。つまり、予約要求が受信されたときの着陸エリアArにおけるパーティションの設定状況に基づいて、当該平面サイズに応じた新たなパーティションが探索される。このとき、他のUAV1用として既に設定されたパーティションは探索範囲から除外される(重複しないようにするため)。また、予約要求に係るUAV1a用として既にパーティションが設定(つまり、仮予約要求により設定)されている場合、探索範囲から除外されずに当該パーティションも含めて新たなパーティションが探索される。
【0054】
次いで、管理サーバMSは、ステップS2の探索結果から、新たなパーティションを着陸エリアArに設定可能であるか否かを判定する(ステップS3)。管理サーバMSは、ステップS2の探索により上記平面サイズに応じたパーティションを抽出できない場合、着陸エリアArに設定可能でないと判定し(ステップS3:NO)、ステップS4へ進む。一方、管理サーバMSは、ステップS2の探索により上記平面サイズに応じたパーティションを抽出できた場合、着陸エリアArに設定可能であると判定し(ステップS3:YES)、ステップS9へ進む。
【0055】
ステップS4では、管理サーバMSは、他のUAV1用として設定されたパーティションを移動(例えば、他のUAV1用として設定されたパーティションの移動シミュレーションを実行)することで上記平面サイズ以上のスペースを確保でき、新たなパーティションを設定可能になるか否かを判定する。なお、平面サイズ以上のスペースを確保するために、複数のパーティションの移動が必要となる場合もある。管理サーバMSは、他のUAV1用として設定されたパーティションを移動することで新たなパーティションを設定可能になると判定した場合(ステップS4:YES)、ステップS5へ進む。一方、管理サーバMSは、他のUAV1用として設定されたパーティションを移動しても新たなパーティションを設定可能とならないと判定した場合(ステップS4:NO)、ステップS14へ進む。
【0056】
ステップS5では、管理サーバMSは、パーティションの移動対象となる他のUAV1の現在位置から着陸エリアまでの距離を算出し、算出した距離が所定距離以下であるか否かを判定する。ここで、他のUAV1の現在位置を示す位置情報は、管理サーバMSが当該UAV1の機体IDをUTMS2へ送信することでUTMS2から取得されてもよいし、当該UAV1またはGCSから取得されてもよい。或いは、ステップS5において、管理サーバMSは、現在時刻から他のUAV1の着陸エリアArへの着陸予定時刻までの時間を算出し、算出した時間が所定時間以下であるか否かを判定してもよい。ここで、着陸予定時刻を示す情報は、管理サーバMSが当該UAV1の機体IDをUTMS2へ送信することでUTMS2から取得されてもよいし、当該UAV1またはGCSから取得されてもよい。
【0057】
そして、パーティションの移動対象となる他のUAV1の現在位置から着陸エリアまでの距離が所定距離以下でないと判定された場合(ステップS5:NO)、ステップS6へ進み、当該他のUAV1の現在位置から着陸エリアまでの距離が所定距離以下であると判定された場合(ステップS5:YES)、ステップS14へ進む。或いは、現在時刻から他のUAV1の着陸エリアArへの着陸予定時刻までの時間が所定時間以下でないと判定された場合(ステップS5:NO)、ステップS6へ進み、現在時刻から当該他のUAV1の着陸エリアArへの着陸予定時刻までの時間が所定時間以下であると判定された場合(ステップS5:YES)、ステップS14へ進む。ステップS5の処理により、パーティションを移動させる処理が終わる前、或いは、移動後のパーティションに対応する部分エリアが後述するステップS8でUAV1に通知される前に、UAV1が到着してしまった場合にUAV1が移動前のパーティションに対応する部分エリアに着陸してしまうことを防ぐことができる。
【0058】
ステップS6では、管理サーバMSは、他のUAV1用として設定されたパーティションを着陸エリアAr内で仮想的に移動する。次いで、管理サーバMSは、ステップS6で移動されたパーティションに対応する部分エリアを予約(予約変更)する予約変更処理を行う(ステップS7)。この予約変更処理では、パーティションの移動前に他のUAV1により予約された部分エリアの予約情報に対応付けられているサイズ情報及び位置情報が更新(つまり、パーティションの移動により変更)される(予約情報については変更されない)。
【0059】
次いで、管理サーバMSは、部分エリアが変更された他のUAV1に対して、当該部分エリアの位置情報を含む部分エリア変更情報を送信する送信処理を行い(ステップS8)、ステップS9へ進む。この送信処理では、部分エリア変更情報が通信ネットワークNWを介して他のUAV1(GCSまたはUTMS2でもよい)へ送信される。なお、ステップS4で複数のパーティションを移動することになった場合、それぞれのパーティションに対応するUAV1毎に、ステップS5〜S8の処理が行われる。この場合のステップS5では、パーティションの移動対象となる複数のUAV1のそれぞれの現在位置から着陸エリアまでの距離が、それぞれ、所定距離以下でないと判定された場合、ステップS6へ進む。或いは、現在時刻から複数のUAV1のそれぞれの着陸予定時刻までの時間が、それぞれ、所定時間以下でないと判定された場合、ステップS6へ進む。
【0060】
ステップS9では、管理サーバMSは、設定可能なパーティションが複数あるか否かを判定する。管理サーバMSは、設定可能なパーティションが複数ないと判定した場合(ステップS9:NO)、ステップS11へ進む。一方、管理サーバMSは、設定可能なパーティションが複数あると判定した場合(ステップS9:YES)、ステップS10へ進む。
【0061】
ステップS10では、管理サーバMSは、設定可能な複数のパーティションから1つのパーテョションを選定し、ステップS11へ進む。例えば、設定可能な複数のパーティションのうち、設定済のパーティションと最も近いパーティション、または着陸エリアArの端部分を含むパーティションが選定される。なお、予約要求に進入方向情報が含まれる場合、設定可能な複数のパーティションのうち、進入方向情報が示す進入方向から最も近いパーティションが選定されるとよい。
【0062】
ステップS11では、管理サーバMSは、予約要求に係るUAV1a用として新たなパーティションを設定する。つまり、ステップS2で探索されたパーティション(複数の探索された場合、ステップS10で選定されたパーティション)が新たなパーティションとして設定される。
【0063】
なお、上述したように、予約要求がUAV1aの飛行開始前とUAV1aの飛行中(例えば、UAV1aが着陸エリアArの近くに到達したとき)との双方で送信される場合、管理サーバMSは、ステップS11の処理前に、予約要求に係るUAV1a用として既にパーティションが設定されているか否かを判定する。そして、管理サーバMSは、既にパーティションが設定されていないと判定した場合(つまり、仮予約要求の場合)、上述したように新たなパーティションを設定する(ステップS11)。
【0064】
一方、管理サーバMSは、既にパーティションが設定されていると判定した場合(つまり、本予約要求の場合)、既に設定されたパーティションに代えて、新たなパーティション(つまり、ステップS2で探索されたパーティション)を着陸エリアに再設定する(ステップS11)。このとき、管理サーバMSは、既に設定されたパーティションと、新たなパーティション(つまり、ステップS2で探索されたパーティション)とを比較(例えば、位置やサイズを比較)し、より適した方のパーティションを設定するとよい。既に設定されたパーティションがより適したパーティションである場合、パーティションの再設定は行われない(つまり、既に設定されたパーティションが維持される)。一方、新たなパーティションがより適したパーティションである場合、既に設定されたパーティションに代えて、新たなパーティションが設定される。これにより、UAV1a用としてより好適な(例えば、迂回する必要がない)パーティションを設定することができる。
【0065】
次いで、管理サーバMSは、ステップS11で設定されたパーティションに対応する部分エリアを予約する予約処理を行う(ステップS12)。なお、既に設定されたパーティションに代えて新たなパーティションが設定された場合の予約処理では、予約要求に係るUAV1aにより仮予約された部分エリアの予約情報に対応付けられているサイズ情報及び位置情報が更新(つまり、本予約により変更)される。
【0066】
次いで、管理サーバMSは、予約要求に係るUAV1aに対して、ステップS12で予約された部分エリアの位置情報を含む着陸制御情報を送信する送信処理(つまり、当該部分エリアにUAV1aを着陸させるための送信処理)を行い(ステップS13)、図9に示す処理を終了する。なお、既に設定されたパーティションに代えて新たなパーティションが設定された場合の送信処理では、ステップS12で本予約された部分エリアの位置情報を含む着陸制御情報が送信される。
【0067】
ステップS14では、管理サーバMSは、予約要求に係るUAV1aに対して、部分エリアの予約ができないことを示す予約不可情報を送信する送信処理を行い、図9に示す処理を終了する。この送信処理では、予約不可情報が通信ネットワークNWを介して他のUAV1(GCSまたはUTMS2でもよい)へ送信される。
【0068】
以上説明したように、上記実施形態によれば、管理サーバMSが所定の着陸エリアに着陸するUAV1の情報に基づいて、当該着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを当該着陸エリアに設定し、当該設定したパーティションに対応する部分エリアにUAV1を着陸させるための処理を行うように構成したので、複数のUAV1が着陸するためのポートにおける着陸エリアを、より効率的に活用することができる。換言すると、上記実施形態によれば、UAV1をポート上で待機させたり、或いは他のポートへ移動させることを低減することができ、そのため、UAV1のバッテリの消費電力や待機時間の観点で効率化を図ることができる。また、UAV1が物品の配送に利用される場合、当該物品の受取人の移動も低減することが可能となるので、この点でも効率化を図ることができる。
【0069】
なお、上記実施形態において、UAV1の着陸タイプは着陸エリアの上空から垂直に下降して着陸するタイプ(以下、「垂直着陸タイプ」と称する)であることを想定したが、UAV1の着陸タイプが着陸エリアの上空から斜めに下降して(換言すると、スライディングしつつ)着陸するタイプ(以下、「スライディング着陸タイプ」と称する)に対しても適用可能である。垂直着陸タイプとスライディング着陸タイプとの双方の着陸が許容される着陸エリアにおいて部分エリアがUAV1により予約される場合、その予約要求には、UAV1の着陸タイプが含まれる。この場合、パーティション設定部33bは、UAV1の固有情報及び着陸タイプに基づいて、UAV1の着陸に適した平面サイズを特定し、特定した平面サイズに応じたパーティションを着陸エリアに設定する。例えば、着陸タイプがスライディング着陸タイプである場合、パーティション設定部33bは、UAV1の着陸に適した平面サイズとして、UAV1のサイズ等に応じた部分に加え、UAV1が着陸の際に地面を滑走するための部分(滑走路に相当する部分)を含む平面サイズを特定する。図10は、垂直着陸タイプとスライディング着陸タイプとの双方の着陸が許容される着陸エリアArに設定されたパーティションを示す概念図である。図10の例では、スライディング着陸タイプのUAV1h用としてパーティションP8が設定されている。図10に示すように、パーティションP8は、UAV1hの進入方向の長さが、直行する方向の長さに比べて長くとられている。パーティションP8に対応する部分エリアにおいて、UAV1hは着陸の際に地面を滑走して停止することになる。なお、パーティション設定部33bは、スライディング着陸タイプのUAV1の固有情報に基づいて特定された平面サイズを、気象情報に基づいてUAV1の向かい風の場合に縮小し、縮小した平面サイズに応じたパーティションを着陸エリアに設定してもよい。
【0070】
また、上記実施形態において、設定されたパーティションに対応する部分エリアにUAV1が着陸した後、当該UAV1が離陸するまでの予定時間(つまり、着陸時刻から離陸予定時刻までの時間)が第1所定時間(例えば、30〜60分)以上である場合に、パーティション設定部33bは、当該パーティションを縮小してもよい。これにより、UAV1部分エリアに着陸している時間が比較的長い場合において、縮小前のパーティションに対応する部分エリアから、縮小後のパーティションに対応する部分エリアへの予約変更が行われる。そのため、縮小された部分を他のUAV1の着陸のために解放することができる。図11は、設定されたパーティションが縮小される様子を示す概念図である。図11の例では、UAV1c用として設定されたパーティションP3が縮小されることでパーティションP3”となっており、UAV1h用として設定されたパーティションP8が縮小されることでパーティションP8”となっている。例えば、UAV1c及びUAV1hが、それぞれ、その場所に留まるのに必要な広さまでパーティションが縮小される。ただし、このようにパーティションが縮小された場合、UAV1が離陸するまでには離陸に必要なエリアが確保される必要がある。特に、図11に示すUAV1hスライディング着陸タイプのように離陸の際に地面を滑走するためのエリアが必要な場合、縮小されたパーティションP8”を、元のパーティションP8の広さまで拡大、または拡大時に空いている部分を利用して拡大する必要がある。なお、パーティション設定部33bは、UAV1の着陸時から第2所定時間(例えば、3分〜5分)後であって、UAV1の離陸予定時の第3所定時間(例えば、3分〜5分)前までの時間帯(上記第1所定時間以上の時間帯)に限りパーティションを縮小するとよい。ここで、第2所定時間はUAV1が着陸してから安定するまでの時間が考慮されたものあり、第3所定時間はUAV1の離陸準備等に要する時間が考慮されたものある。これにより、縮小された部分を他のUAV1の着陸のために時間的な余裕をもって解放することができる。
【0071】
また、上記実施形態において、図9の例では、管理サーバMSは予約要求を受信したときのパーティションの設定状況に基づいて、新たなパーティションを探索する(ステップS2)しているが、予約日時近辺(未来)のパーティションの設定状況に基づいて新たなパーティションを探索してもよい。図12は、管理サーバMSにより実行される処理の変形例を示すフローチャートであり、予約日時近辺のパーティションの設定状況に基づいて新たなパーティションを探索する場合の例である。図12の例において、図9と同様に行われる処理ステップについては同一の符号を付している。図12において、管理サーバMSは、UAV1aの着陸に適した平面サイズを特定すると(ステップS1)、受信された予約要求に含まれる予約日時に基づいて、予約要求時間(つまり、UAV1aが着陸予約する予約要求時間)を設定する(ステップS15)。例えば、管理サーバMSは、予約日における予約時間帯(開始時刻〜終了時刻)または当該開始時刻を予約要求時間として設定するとよい。例えば、現在時刻が10:00であり、その7時間後の予約時間帯15:00〜16:00がパーティションの予約要求時間として設定される。この予約要求時間は、パーティションの探索時間である。そして、管理サーバMSのパーティション設定部33bは、ステップS15で設定された予約要求時間において着陸エリアArにおけるパーティションの設定状況に基づいて、ステップS1で特定された平面サイズに応じた新たなパーティションを着陸エリアAr(つまり、予約要求時間における着陸エリアAr)から探索し(ステップS16)、ステップS3へ進んで以降の処理を行う。これにより、より多くのUAV1の要求に応じることが可能となり、将来の時間帯毎にパーティションを着陸エリアArに設定することができる。
【0072】
ここで、予約要求時間におけるパーティションの設定状況は、例えば過去の予約情報(例えば、日付、曜日、時間帯等)を学習(機械学習)して得られた設定状況予測モデルに対して、受信された予約要求(現時点の予約要求)にかかる予約日、曜日、及び予約要求時間を入力することで取得(つまり、予測)される。なお、予測される設定状況は、図7のような具体的なパーティションの配置情報でもよいし、パーティションのサイズと数の情報でもよいし、予約され得る最大のパーティションサイズの情報でもよいし、大きなサイズのパーティションが予約され得る確率でもよいし、単なる混雑度でもよい。例えば、大きなパーティションが予約される可能性が低かったり、予測混雑度が低かったりすれば、受信された現時点の予約要求に係るUAV1aにとって最も好適な配置でパーティションが設定される。一方、大きなパーティションが予約される可能性が高かったり、予測混雑度が高かったりすれば、受信された現時点の予約要求に係るUAV1aの利便性を損なったとしても、将来受け付けられる予約要求のために、広いスペースを残したり、よりスペースに無駄がないように他のパーティションに隣接させたりするように、現時点の予約要求に係るUAV1aのパーティションが設定される。かかる構成により、図8を参照して説明したパーティションを移動させる処理が発生し難くなる。なお、予約可否については、予測された設定状況にかかわらず、現時点の設定状況に基づいて判定されてもよい。かかる場合、例えば予測された混雑度が高かったり、まだ予約されていないが非常に大きなサイズのパーティションが予約される可能性が高いからといって、設定済みパーティションの設定状況に余裕があれば、予約自体は受け付けられる。そして、この場合、パーティションの配置のみが予測された設定状況に基づいて探索される。
【0073】
また、図12の例では、他のUAV1用として設定されたパーティションを移動しても新たなパーティションを設定可能とならないと判定された場合(ステップS4:NO)、または、他のUAV1の現在位置から着陸エリアまでの距離が所定距離以下であると判定された場合(ステップS5:YES)、ステップS17へ進むことになる。ステップS17では、管理サーバMSは、予約要求時間を前または後にシフト可能であるか(ずらせるか)否かを判定する。例えば、受信された予約要求に予約日時をシフト可能な時間範囲が含まれている場合、予約要求時間を前または後にシフト可能であると判定される。或いは、ステップS17の処理の際に管理サーバMSが予約要求に係るUAV1aまたはGCSに対して予約日時をシフト可能であるか否かの問合せ情報を送信し、UAV1aまたはGCSから予約日時のシフト許可を示す情報(シフト可能な時間範囲を含む)が受信された場合に、予約要求時間を前または後にシフト可能であると判定されてもよい。そして、管理サーバMSは、予約要求時間を前または後にシフト可能であると判定した場合(ステップS17:YES)、シフト可能な時間範囲内で予約要求時間をシフトし(ステップS18)、当該シフトされた新たな予約要求時間を設定し(ステップS15)、ステップS16へ進む。これにより、UAV1の要求に応じて臨機応変に対応することが可能となる。このように、予約要求時間がシフトされることでパーティションが設定された場合、ステップS12の予約処理において記憶される予約情報には、シフトされた予約日時が含まれる。一方、管理サーバMSは、予約要求時間を前または後にシフト可能でないと判定した場合(ステップS17:NO)、ステップS14へ進む。なお、ステップS17の処理は、ステップS3において着陸エリアArに設定可能でないと判定された場合(ステップS3:NO)に行われてもよい。つまり、管理サーバMSのパーティション設定部33bは、他のUAV1用として既に設定されたパーティションがあることで新たなパーティションを設定できない場合に、予約要求時間を前または後にシフト可能であるか否かを判定し、当該シフト可能であると判定した場合に、上記予約要求時間を前または後にシフトさせ、当該シフトさせた後の予約要求時間において着陸エリアArにおけるパーティションの設定状況に基づいて、新たなパーティションを着陸エリアArに設定する。
【0074】
また、上記実施形態において、設定されたパーティションに対応する部分エリアにUAV1が着陸した後に積載する物品を部分エリア上に降ろして退避する場合がある。この場合、パーティション設定部33bは、UAV1が退避した後に、例えばポートの周辺に設置されたカメラ等のセンサにより当該部分エリアで認識(検知)された物品のサイズを特定し、当該物品のサイズに基づいて、当該パーティションを縮小するように構成してもよい。これにより、縮小された部分を他のUAV1の着陸のために解放することができる。物品のサイズは、部分エリア上で認識された物品のサイズは、部分エリアのサイズから特定(推定)することができる。
【0075】
なお、上記実施形態は本発明の一実施形態であり、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態から種々構成等に変更を加えてもよく、その場合も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、上記実施形態においては、UAV1の着陸に適した平面サイズを特定し、当該平面サイズに応じたパーティションを着陸エリアに設定するように構成したが、UAV1の着陸に適した平面サイズを特定せずに、UAV1の固有情報等に基づいてパーティションを着陸エリアに設定するように構成することも可能である。例えば、着陸エリアへの着陸が許可されるUAV1のサイズ及び形状が固定である場合(つまり、特定のUAV1のみ着陸が許可される場合)、UAV1の機体ID(機種または型番でもよい)から特定のUAV1であると判定することにより固定サイズのパーティションを設定することができる。また、上記実施形態においては、着陸管理装置として管理サーバMSを例にとって説明したが、着陸管理装置はUAV1の制御部15であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 UAV
2 UTMS
3 PMS
11 駆動部
12 測位部
13 無線通信部
14 撮像部
15 制御部
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
33a 予約要求受信部
33b パーティション設定部
33c 予約処理部
33d 送信処理部
MS 管理サーバ
S 無人航空機システム
【要約】
着陸管理装置は、所定の着陸エリアに着陸する無人航空機の情報に基づいて、着陸エリアの一部分が仮想的に区切られたパーティションを着陸エリアに設定し、前記パーティションに対応する部分エリアに無人航空機を着陸させるための着陸制御情報を制御装置へ送信する。制御装置は、着陸管理装置から受信した着陸制御情報に基づいて無人航空機の着陸を制御する。
図1
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図12