特許第6754961号(P6754961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754961
(24)【登録日】2020年8月27日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/173 20060101AFI20200907BHJP
   H02K 15/14 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
   H02K5/173 A
   H02K15/14 A
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-121174(P2016-121174)
(22)【出願日】2016年6月17日
(65)【公開番号】特開2017-225318(P2017-225318A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2019年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古川 敬三
(72)【発明者】
【氏名】岩下 絵里
【審査官】 小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−274434(JP,A)
【文献】 特開2013−150484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/173
H02K 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータの少なくとも一部が収容されたモータハウジングと、
回転軸であるシャフトを含むロータと、
前記シャフトを回転可能に支持する第1軸受および第2軸受と、を有するモータであって、
前記モータハウジングは、
前記ステータの径方向外側に配置されて、軸方向に延びる外壁部と、
前記外壁部の軸方向一方向側の外側縁部から径方向内側に延びるフランジ部と、
前記フランジ部の径方向内側の内側縁部の少なくとも一部から軸方向に延びる内壁部と、を有しており、
前記内壁部には、少なくとも一部が軸方向に延びる軸受ハウジングが固定されており、
前記第1軸受および前記第2軸受の内輪は、前記シャフトに固定されており、
前記第1軸受の外輪は前記内壁部の内面に固定され、前記第2軸受の外輪は前記軸受ハウジングの内面に固定されていることを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記内壁部の少なくとも一部が、前記外壁部と径方向において重なっている請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記外壁部の軸方向長さは、前記内壁部の前記外壁部と径方向に重なっている部分の軸方向の長さよりも長い請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記軸受ハウジングは、軸方向の一方の端部に前記内壁部に固定された固定部と、他方の端部に前記第2軸受を保持した軸受保持部と、を備えている請求項1から請求項3のいずれかに記載のモータ。
【請求項5】
前記固定部が、前記内壁部の内側に配置されている請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記固定部の外周面の外径は、前記軸受ハウジングの他の部分の外径よりも小径である請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
前記固定部は、前記固定部の前記軸方向の先端から径方向内側に延び、かつ、前記回転軸を中心に軸方向に貫通する貫通孔を備える端面部を有し、
前記貫通孔を前記シャフトが貫通する請求項5または請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
前記第1軸受と前記固定部の間に、前記端面部と前記第1軸受の外輪とに接触する第1弾性部材を有する請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記軸受保持部の内周面の内径が、前記軸受ハウジングの他の部分の内径よりも大きい請求項4から請求項8のいずれかに記載のモータ。
【請求項10】
前記軸受保持部は、前記固定部側の端部に径方向内側に屈曲する段差部を備えており、
前記第2軸受と前記段差部の間に、前記段差部と前記第2軸受の外輪とに接触する第2弾性部材を有する請求項9に記載のモータ。
【請求項11】
前記軸受保持部の軸方向先端は、軸方向先端から径方向外側に延びる円環部を備えている請求項9又は請求項10に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のインナーロータ型ブラシレスモータは、例えば、特許文献1に記載される。特許文献1において、インナーロータ型ブラシレスモータは、略有底円筒形のモータハウジングと、モータハウジングの内周面に配置されたステータと、ステータの内周に配置されるロータとを含んでいる。そして、ロータは、一対の軸受によって回転可能に支持されたロータ軸を有する。一対の軸受は、軸受ホルダによって保持される。軸受ホルダは、軸方向両端に一対の軸受それぞれを取り付ける軸受取付孔を有する。軸受取付孔に軸受を取り付けることで、一対の軸受は軸方向へ一定の間隔をあけて保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−216707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
軸受ホルダの軸方向の両端に、軸受が取り付けられる場合、軸受取付孔を設ける必要があり、構造が複雑になる。例えば、特許文献1では、軸受ホルダを亜鉛合金ダイカスト等による成形品としており、製造にコストがかかる。
【0005】
そこで、本発明は、簡単な構成を有するとともに、回転の精度が高いモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なモータは、ステータの少なくとも一部が収容されたモータハウジングと、回転軸であるシャフトを含むロータと、前記シャフトを回転可能に支持する第1軸受および第2軸受と、を有するモータであって、前記モータハウジングは、前記ステータの径方向外側に配置されて、軸方向に延びる外壁部と、前記外壁部の軸方向一方向側の外側縁部から径方向内側に延びるフランジ部と、前記フランジ部の径方向内側の内側縁部の少なくとも一部から軸方向に延びる内壁部と、を有しており、前記内壁部には、少なくとも一部が軸方向に延びる軸受ハウジングが固定されており、前記第1軸受および前記第2軸受の内輪は、前記シャフトに固定されており、前記第1軸受の外輪は前記内壁部の内面に固定され、前記第2軸受の外輪は前記軸受ハウジングの内面に固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
例示的な本発明のモータによれば、簡単な構成で、回転の精度を高く維持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の第1実施形態のモータを軸方向と平行な面で切断した縦端面図である。
図2図2は、ロータ、第1軸受および第2軸受を示す図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態にかかるモータの他の例の軸受ハウジングの周囲の端面図である。である。
図4図4は、本発明の第2実施形態にかかるモータの一例の軸受ハウジングの周囲の端面図である。
図5図5は、本発明の第3実施形態にかかるモータの一例の軸受ハウジングの周囲の端面図である。
図6図6は、本発明の第4実施形態にかかるモータの一例の軸受ハウジングの周囲の端面図である。
図7図7は、本発明の第5実施形態にかかるモータの一例の軸受ハウジングの周囲の端面図である。
図8】本発明の第5実施形態にかかるモータを軸方向と平行な面で切断した縦端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明において、モータの回転軸が延びる方向を「軸方向」とする。モータの回転軸を中心として回転軸と直交する方向を「径方向」とする。さらに、モータの回転軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」とする。また、図1の状態を基準として、すなわち、軸方向を「左右方向」とし、右回り方向を「時計回り方向」とし、左回り方向を「反時計回り方向」とする。以下の説明では、上述した各方向を利用して、各部の形状および位置関係を説明する。なお、この左右方向の定義は、説明の便宜上、定義するものであって、モータの使用時の向きおよび位置を限定するものではない。
【0010】
以下の説明では、軸方向と平行な端面図を、「縦断面図」と称する。さらに、以下の説明中において、「平行」、「垂直」は、厳密な意味での平行、垂直を表すだけでなく、略平行および略垂直も含むものとする。
【0011】
<1.第1実施形態>
<1.1 モータの概略構成>
本発明の例示的な第1実施形態にかかるモータの概略構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態のモータを軸方向と平行な面で切断した縦端面図である。図1に示すように、本実施形態にかかるモータAは、モータハウジング1と、ステータ2と、ロータ3と、第1軸受41と、第2軸受42と、軸受ハウジング5と、モータカバー6と、駆動基板7とを有する。ステータ2の一部は、モータハウジング1の内部に配置される。すなわち、ステータ2の少なくとも一部がモータハウジング1に収容される。
【0012】
ロータ3は、回転軸であるシャフト31を含む。そして、シャフト31が、第1軸受41及び第2軸受42を介して、モータハウジング1および軸受ハウジング5に回転可能に支持される。すなわち、第1軸受41および第2軸受42が、シャフト31を回転可能に支持する。モータAのロータ3は、径方向において、ロータ3がステータ2の内部に配置される。すなわち、本実施形態にかかるモータAは、インナーロータ型のDCブラシレスモータである。
【0013】
<1.2 モータハウジングの構成>
モータハウジング1は、外壁部11と、内壁部12と、フランジ部13とを有する。本実施形態において、外壁部11は、シャフト31を中心とし、軸方向に延びる中空の円筒形状である。すなわち、外壁部11は、ステータ2の径方向外側に配置されて、軸方向に延びる筒状である。なお、外壁部11は、周方向において外壁部11の一部が切り欠かれた形状であってもよい。フランジ部13は、円板状であり、中央に貫通孔を有する。フランジ部13の外周縁部は、外壁部11の図1における左端部と連結する。すなわち、フランジ部13は、外壁部11の軸方向一方向側の外側縁部から径方向内側に延びる。
【0014】
内壁部12は、シャフト31を中心とし、軸方向に延びる中空の円筒形状である。フランジ部13の貫通孔の縁部が内壁部12の図1における左端部と連結する。つまり、内壁部12はフランジ部の径方向内側の内側縁部から軸方向に延びる筒状である。なお、内壁部12は、周方向において内壁部12の一部が切り欠かれた形状であってもよい。外壁部11および内壁部12は、同軸で配置される。内壁部12は、外壁部11と径方向に重なって配置される。すなわち、内壁部12の少なくとも一部は、外壁部11と径方向において重なる。フランジ部13は、外壁部11および内壁部12それぞれの軸方向の左端部を連結する。すなわち、フランジ部13を基準として、軸方向の同じ側に配置される。しかしながら、この構成に限定されない。モータハウジング1は、板金等の金属板をプレス加工することで成形される。しかしながら、これに限定されない。例えば、切削加工によって成形されてもよい。
【0015】
モータハウジング1の内壁部12は、内面に第1軸受41が固定される。第1軸受41は、シャフト31を回転可能に支持する。そのため、内壁部12の内周面は、寸法精度が高い、すなわち、内壁部12の内周面は、少なくとも真円度が高く表面が円滑である。また、内壁部12の内側には、第1軸受41と軸方向に並んで、軸受ハウジング5の、後述する、固定部51が固定される。すなわち、内壁部12には、軸方向に延びる筒状の軸受ハウジング5が固定される。
【0016】
<1.3 ステータの構成>
ステータ2は、径方向において、モータハウジング1の外壁部11と内壁部12との間に配置される。ステータ2は、ステータコア21と、インシュレータ22と、コイル23とを有する。ステータコア21は、複数枚の磁性鋼板を軸方向(図1、左右方向)に積層して固定した積層体である。ステータコア21は、円環状のヨーク(不図示)と、ヨークから径方向内側に向かって延びる複数のティース(不図示)とを有する。インシュレータ22は、ステータコア21と、コイル23との間に配置され、例えば、合成樹脂を用いた電気絶縁部材により形成される。なお、インシュレータ22は、合成樹脂以外にもエナメル、ゴム等、電気絶縁性を有する材料で形成される。コイル23は、ステータコア21の外面を被覆したインシュレータ22の外周に電線を巻きつけることで形成される。ステータ2は、円環状である。
【0017】
<1.4 ロータの構成>
ロータ3は、ステータ2の径方向内側に、所定の隙間をあけて配置される。ロータ3は、シャフト31と、ロータ筒部32と、ボス部33と、天面部34と、マグネット35とを有する。ロータ筒部32と、ボス部33と、天面部34とは、例えば、板金等の金属板をプレス加工することで、形成される。なお、プレス加工に限定されず、切削加工等であってもよい。
【0018】
シャフト31は、モータAの回転軸である。シャフト31は、軸方向(図1の左右方向)に延びる円柱形状である。シャフト31は、モータAの図1における左方に突出し、その先端に従動部材(不図示)が取り付けられる。なお、従動部材としては、回転によって空気の流れを発生する羽根車、歯車等を挙げることができるが、これに限定されない。シャフト31は、第1軸受41および第2軸受42を介して、モータハウジング1およびモータハウジング1に固定された軸受ハウジング5に、回転可能に支持される。
【0019】
ロータ筒部32は、シャフト31を中心とし、軸方向に沿って延びる中空の円筒形状である。天面部34は、シャフト31を中心とした円板形状であり、中央に貫通孔を備える。天面部34は、ロータ筒部32の右端部から径方向内側に向かって延びる。すなわち、天面部34の中央に備えられた貫通孔にシャフト31が配置される。貫通孔の縁は、シャフト31の外周面に近接する。ボス部33は、天面部34の貫通孔の縁から、軸方向左向きに延びる円筒形状である。ボス部33の内周面にシャフト31が固定される。なお、ボス部33とシャフト31の固定としては、圧入が採用されるが、これ以外にも、例えば、接着、溶接、ねじ止め等を挙げることができる。
【0020】
マグネット35は、シャフト31を中心とし、軸方向に延びる円筒形状である。マグネット35の内周面は、ロータ筒部32の外周面に接触する。そして、マグネット35は、ロータ筒部32の外周面に固定される。マグネット35は、表面磁石型(SPM:Surface Permanent Magnet)であり、異なるN極とS極とが周方向に交互に配列される。本実施形態において、マグネット35は、ロータ筒部32へ挿入され、接着剤によって固定される。
【0021】
しかしながら、マグネット35の固定方法は上述の固定方法に限定されず、例えば、圧入、軽圧入、溶着等を採用することが可能である。マグネット35とロータ筒部32とが別体の場合、マグネット35の仕様、例えば、磁極数、磁力の変更が容易である。また、ロータ筒部32およびボス部33を形成した後、別途金型を用いて、ロータ筒部32の外側に、射出成型でマグネット35を成形するアウトサート成形で、ロータ3を製造してもよい。ロータ筒部32とマグネット35とを、成形体として、製造する場合、圧入をする場合の力または溶接をする場合の熱等による、マグネット35の変性を抑制することが可能である。
【0022】
以上示したように、ロータ3では、ロータ筒部32、ボス部33および天面部34を介して、シャフト31とマグネット35とが、固定される。つまり、シャフト31とマグネット35とは、相対的に移動しない。これにより、シャフト31が、第1軸受41および第2軸受42に回転可能に支持されることから、マグネット35は、シャフト31の回転と一緒に回転する。
【0023】
<1.5 軸受の構成>
モータAにおいて、シャフト31は第1軸受41および第2軸受42に取り付けられる。第1軸受41および第2軸受42は、軸方向の異なる位置で、シャフト31を回転可能に支持する。第1軸受41は、外輪411と、内輪412と、ボール413とを有する。外輪411と内輪412とは、同軸に配置されており、外輪411と内輪412との間の部分には、複数個のボール413が周方向に配置される。第1軸受41は、いわゆる、転がり軸受(ボールベアリング)である。なお、第1軸受41は、含油軸受が用いられてもよい。ボールの代わりに、円柱状の回転体であるコロを用いた構成であってもよい。また、第1軸受41は、第2軸受42と異なった軸受を用いてもよい。例えば、第1軸受41が含油軸受であり、第2軸受がボールベアリングであってもよい。
【0024】
第1軸受41の外輪411は、モータハウジング1の内壁部12の内周面と接触する。そして、外輪411は、内筒12の内周面に固定される。第1軸受41の内輪412は、中央をシャフト31が配置される。内輪412はシャフト31の外周面に固定される。シャフト31は、内輪412に圧入によって固定され、外輪411は、内壁部12に軽圧入によって固定される。すなわち、第1軸受41の外輪411は内壁部12の内面に固定される。
【0025】
なお、シャフト31と内輪412との固定は、圧入に限定されず、例えば、挿入、軽圧入、接着、溶接、ねじ止め等を採用することができる。また、外輪411と内壁部12との固定も、軽圧入に限定されず、例えば、圧入、挿入、接着、溶接、ねじ止め等を採用することができる。第1軸受41において、内輪412とシャフト31の外周面との固定による摩擦力が、外輪411と内壁部12の内周面との固定による摩擦力よりも大きくなる固定方法を広く採用することができる。
【0026】
第1軸受41は、モータハウジング1の内壁部12の軸方向の左端から、左方に向けて一部が突出している。第1軸受41のモータハウジング1から軸方向に突出した部分は、モータAと他の部材とをインロー結合に利用される。なお、モータAと結合する部材が無い場合、あるいは、インロー結合以外の方法で取り付けられる場合、第1軸受41は、軸方向において内壁部12に収まって配置されてもよい。
【0027】
第2軸受42は、外輪421と、内輪422と、ボール423とを有する。第2軸受42は、第1軸受41と同様の構成を有する、いわゆる、ボールベアリングである。第2軸受42は、外輪421が軸受ハウジング5の後述する軸受保持部52の内周面に接触する。そして、外輪421は、軸受保持部52の内周面に固定される。すなわち、第2軸受42の外輪421は軸受ハウジング5の内面に固定される。
【0028】
内輪422は、シャフト31の外周面に固定される。内輪422は、シャフト31に圧入によって固定される。外輪421は、軸受保持部52に軽圧入によって固定される。なお、第2軸受42においても、第1軸受41と同様に、圧入、軽圧入、接着、溶接、ねじ止め等で、外輪421および内輪422をそれぞれ、軸受保持部52およびシャフト31に固定することができる。なお、第2軸受42において、内輪422とシャフト31の外周面との固定による摩擦力が、外輪421と軸受保持部52の内周面との固定による摩擦力よりも大きくなる固定方法を広く採用することができる。すなわち、第1軸受41および第2軸受42の内輪412、422は、シャフト31に固定される。
【0029】
<1.6 軸受ハウジングの構成>
軸受ハウジング5は、シャフト31を中心とし、軸方向に延びる筒状である。なお、軸受ハウジング5は、周方向において一部が切り欠かれた形状であってもよい。軸受ハウジング5は、モータハウジング1の外壁部11および内壁部12と同軸である。軸受ハウジング5は、図1における左方の端部に固定部51を、右方の端部に軸受保持部52をそれぞれ有する。すなわち、軸受ハウジング5は、軸方向の一方の端部に内壁部12に固定された固定部51と、他方の端部に第2軸受42を保持した軸受保持部52とを備える。
【0030】
固定部51は、軸受ハウジング5の他の部分に比べて、外周面の外径が小さい円筒形状である。すなわち、固定部51の外周面の外径は、軸受ハウジング5の他の部分の外径よりも小径である。固定部51は、モータハウジング1の内壁部12の内周面に固定される。すなわち、固定部51は、内壁部12の内側に配置されている。なお、固定部51は、内壁部12に圧入によって固定されるが、これに限定されない。例えば、軽圧入、接着、溶着、ねじ止め等の固定方法を採用されてもよい。また、内壁部12の内周面に雌ねじを形成し、固定部51の外周面に雄ねじを形成して、内壁部12に固定部51をねじ込んで固定する構成であってもよい。
【0031】
内壁部12の内周面には、第1軸受41の外輪411が固定される。そのため、内壁部12の内周面は、寸法精度が高い。軸受ハウジング5の固定部51の寸法精度を高くすることで、軸受ハウジング5を内壁部12の内周面に圧入することが可能である。
【0032】
固定部51が内壁部12に固定されることで、軸受ハウジング5は、外壁部11と径方向に重なる。すなわち、軸受ハウジング5は、モータハウジング1の内部に配置される。なお、図1に示すモータAでは、軸受ハウジング5は、径方向および軸方向にもモータハウジング1の内部に収容されるが、これに限定されない。例えば、軸受ハウジング5は、右側、すなわち、軸受保持部52側が、軸方向において、モータハウジング1から突出してもよい。
【0033】
固定部51の先端側、すなわち、図1において左端側は、内側に向かって延びる端面部511を有する。換言すると、固定部51は、固定部51の軸方向の先端から径方向内側に延び、かつ、回転軸を中心に軸方向に貫通する貫通孔を備える端面部511を有する。
端面部511は、円板状であり、中央に貫通孔を有する。シャフト31が、貫通孔を貫通する。なお、貫通孔を貫通したシャフト31は、端面部511と接触しない、すなわち、貫通孔の縁とシャフト31の間には、隙間が形成される。また、端面部511が備えられることで、固定部51の強度が高くなる。そのため、固定部51を内壁部12に圧入するとき、固定部51が変形して、固定されなかったり、摩擦力が弱くなったりするのを抑制することが可能である。
【0034】
軸受ハウジング5において、固定部51は、固定部51以外の部分に比べて、外径が小さい。軸受ハウジング5の外周面は、固定部51の軸受保持部52側の端部、すなわち、右端部が径方向外側に屈曲した段差を有している。固定部51の段差は、固定部51を内壁部12に圧入するとき、内壁部12の軸方向右端部と接触する。そして、内壁部12の右端部と段差とが接触することで、固定部51を内壁部12の内周面への軸方向の移動を止める。つまり、固定部51が段差を有していることで、軸受ハウジング5の固定部51が内壁部12の内部に入りすぎるのを抑制することができる。
【0035】
固定部51は、モータハウジング1の内壁部12の内周面の右側の貫通孔から圧入される。そして、内壁部12の内周面の左側の貫通孔から第1軸受41が軽圧入される。内壁部12の内周面は左方に、第1軸受41が固定される。また、内壁部12の内周面は右側に、軸受ハウジング5の固定部51が固定される。第1軸受41と端面部511とは、内壁部12の内部に隙間をあけて固定される。そして、内壁部12の隙間には、第1弾性部材14が配置される。第1弾性部材14は、円環状の部材である。第1弾性部材14は、周方向に沿って波打つ形状を有する、いわゆる、波ワッシャである。なお、第1弾性部材14は、波ワッシャに限定されず、例えば、コイルばね、皿ばね等であってもよい。また、第1弾性部材14は、円環状に限定されない。例えば、ゴム等の不定形な弾性体や空気、オイル等の流体を利用した弾性体等を利用してもよい。
【0036】
端面部411の一部を切って、引き起こして、第1弾性部材14としてもよい。第1弾性部材14として、第1軸受41の外輪411に、軸方向の力を、作用させることができる構成を、広く採用できる。
【0037】
第1弾性部材14は、予め軸方向に弾性変形された状態で、第1軸受41の外輪411と、固定部51の端面部511とに接触する。すなわち、第1弾性部材14は、第1軸受41と固定部51の間に配置される。そして、第1弾性部材14は、端面部511と第1軸受41の外輪411とに接触する。第1弾性部材14は、予め弾性変形されており、且つ、外輪411および端面部511に接触している。そのため、第1弾性部材14の軸方向に元に戻ろうとする力が、外輪411および端面部511に作用する。
【0038】
内壁部12と第1軸受41の外輪411との固定による摩擦力は、内壁部12と固定部51の外周面との固定による摩擦力よりも小さい。そのため、第1弾性部材14の弾性力によって、外輪411が、端面部511から離れる方向、すなわち、左方に移動する。これにより、外輪411とボール413の隙間によるがた、および、ボール413と内輪412の隙間によるがたを抑制できる。第1軸受41のがたつきを抑制することで、第1軸受41の回転が安定し、第1軸受41の寿命を延ばすことが可能である。また、第1軸受41のがたつきを抑制することで、モータAの駆動時のシャフト31の振動および振れを抑制できる。
【0039】
軸受保持部52は、軸受ハウジング5の他の部分に比べて、内周面の内径が大きい円筒形状である。つまり、軸受保持部52の内周面の内径は、軸受ハウジング5の他の部分の内径よりも大きい。軸受保持部52は、内周面に第2軸受42の外輪421と接触する。そして、第2軸受42の外輪421は、軸受保持部52の内周面に固定される。軸受保持部52の先端、すなわち、図1の右端において、軸受保持部52は、外側に向かって延びる円環部521が備えられる。すなわち、軸受保持部52の軸方向先端は、軸方向先端から径方向外側に延びる円環部521を備えている。円環部521によって、軸受保持部52の強度が高くなり、軸受保持部52が変形しにくい。
【0040】
軸受ハウジング5では、軸受ハウジング5の固定部51以外の部分は、固定部51よりも大径である。そのため、断面係数および極断面係数を大きくすることができ、軸受ハウジング5の曲げ、ねじれ等の変形を抑制できる。
【0041】
本実施形態で示した、軸受ハウジング5を用いることで、第2軸受42を第1軸受41と同じ構成とすることが可能である。これにより、構成部材の種類を減らすことが可能であり、製造コストを低減することが可能となる。
【0042】
第1軸受41と第2軸受42とによるシャフト31の支持について説明する。図2は、ロータ、第1軸受および第2軸受を示す図である。図2において、ロータ3の自重による荷重W、第1軸受41からシャフト31に作用する荷重F1および第2軸受42からシャフト31に作用する荷重F2の方向を矢印で示している。
【0043】
図2において、ロータ3の重心の軸方向の位置をC1とする。第1軸受41および第2軸受42は、軸方向に、ロータ3の重心位置C1に対して同じ側、図2において左側に配置される。換言すると、シャフト31は、第1軸受41および第2軸受42によって、片持ち状態で支持される。図2において、ロータ3の重心位置C1は、第2軸受42の右側にある。そのため、シャフト31には、第2軸受42を中心として、重心が下がる方向、図2において、時計回り方向のモーメントMが作用する。
【0044】
シャフト31は、第1軸受41および第2軸受42によって水平に維持される。そのため、シャフト31で発生するモーメントMは、第2軸受42を挟んで、重心位置C1と反対側に配置された第1軸受41によって支持される。つまり、シャフト31が片持ち状態で支持されている場合、第1軸受41にモーメントMによる荷重F1が作用する。時計回り方向のモーメントMが作用しているものであり、第1軸受41に作用する荷重F1は、上向きの荷重である。
【0045】
ここで、第1軸受41に対してシャフト31から作用する荷重F1と、第2軸受42に対してシャフト31から作用する荷重F2について説明する。第1軸受41と第2軸受42との軸方向の距離をL0、第2軸受42から重心位置C1までの軸方向の距離をL1、ロータ3の自重による荷重をWとする。第2軸受42を中心として、シャフト31に作用するモーメントMは、次の式で表される。
M=W×L1
そして、このモーメントMが作用しているときの、第1軸受41からシャフト31に対し作用する荷重F1は、次の式で表される。
F1=M/L0=W×L1/L0
なお、モーメントMが時計回りであるため、第1軸受41に作用する荷重は上向きである。第1軸受41からシャフト31に作用する荷重F1は下向きである。また、第2軸受からシャフト31に作用する荷重F2は、上向きである。また、シャフト31には、ロータ3の自重による荷重Wが下向きに作用する。シャフト31に作用する荷重を整理すると、第2軸受42に作用する荷重F2は、次の式で表される。
F2=W(1+L1/L0)
【0046】
作用反作用の法則より、第1軸受41からシャフト31に作用する荷重F1と、シャフト31から第1軸受41に作用する荷重は同じである。同様に、第2軸受42からシャフト31に作用する荷重F2と、シャフト31から第2軸受42に作用する荷重は同じである。そのため、説明では、便宜上、第1軸受41に作用する荷重F1、第2軸受42に作用する荷重F2として説明する。
【0047】
上の式から、第1軸受41に作用する荷重F1は、第2軸受42から重心位置C1までの軸方向の距離L1が長くなるほど、また、第1軸受41と第2軸受42の距離が短くなるほど大きくなる。同様に、第2軸受42に作用する荷重F2も第2軸受42から重心位置C1までの軸方向の距離L1が長くなるほど、また、第1軸受41と第2軸受42の距離が短くなるほど大きくなる。
【0048】
モータAにおいて、ステータ2およびロータ3の形状が同じ場合、第1軸受41とロータ31の重心位置C1との距離(L0+L1)は、第2軸受42の位置にかかわらず、一定または略一定とできる。このとき、第1軸受41と第2軸受42の軸方向の距離L0が長くなると、第2軸受42とロータ3の重心位置C1との軸方向距離L1は短くなる。
【0049】
本実施形態で示した、モータAの場合、軸受ハウジング5の固定部51が内壁部12に固定され、固定部51と反対側の端部の軸受保持部52で第2軸受42が固定される。これにより、第1軸受41と第2軸受42の軸方向の距離L0が長くなり、第2軸受42から重心位置C1までの軸方向の距離L1が短くなる。第1軸受41に作用する荷重F1および第2軸受42に作用する荷重F2が小さくなることがわかる。
【0050】
すなわち、本実施形態で示すモータAのように、第2軸受42を軸受ハウジング5に固定されることで、第1軸受41および第2軸受42に作用する荷重を減らすことができる。これにより、第1軸受41の外輪411および内輪412とボール413との間に作用する摩擦力を低減できる。また、第2軸受42の外輪421および内輪422とボール423との間に作用する摩擦力を低減できる。第1軸受41および第2軸受42の摩擦力が低減されることで、第1軸受41および第2軸受42の長寿命化が可能である。また、モーメントMも小さくなるため、モータAの駆動時における、シャフト31の回転の振れおよび振動を抑制することが可能である。
【0051】
なお、軸受ハウジング5の長さを調整することで、ロータ3の重心の軸方向の位置を第1軸受41と第2軸受42の間とすることも可能である。この場合、モータAの軸方向の長さは長くなるが、第1軸受41および第2軸受によるシャフト31の支持が、片持ち状態でなくなる。これにより、シャフト31から第1軸受41および第2軸受42に作用する荷重F1およびF2をさらに低減することができる。すなわち、第1軸受41および第2軸受42をさらに長寿命化できる。また、シャフト31の支持が、片持ち状態でなくなることで、モータAの駆動時の回転の振れおよび振動の低減効果をより高めることが可能である。
【0052】
ここで、第1軸受41と第2軸受42の軸方向の距離を長くする他の構成と、本実施形態の軸受ハウジング5を用いる構成とを比較する。図1に示すモータハウジング1において、例えば、内壁部12の長さを長くすることで、第1軸受41と第2軸受42の長さを長くすることが可能である。しかしながら、モータハウジング1がプレス加工で作製される場合、内壁部12の軸方向の長さを長くすると、内壁部12が薄肉化してしまう。内壁部12が薄くなると、軸受を保持する部分の強度が低下して、振動または回転の振れが発生する。
【0053】
一方で、本実施形態に示すモータAでは、軸受ハウジング5を用いることで、内壁部12の厚みを薄くして、軸方向に長くする必要がなく、強度を維持することができる。且つ、第1軸受41と第2軸受42の軸方向の距離を長くすることができる。これにより、第1軸受41および第2軸受42への負荷を低減し、且つ、モータAの駆動時のシャフト31の振動および回転の振れを低減することができる。また、モータハウジング1および軸受ハウジング5の両方をプレス加工で作製するので、製造に要するコストを低く抑えることが可能である。なお、本実施形態のモータAでは、第2軸受42を軸受ハウジング5が保持する。そして、軸受ハウジング5が内壁部12に固定されるため、外壁部11の軸方向の長さは、内壁部12の軸受方向の長さよりも長い。すなわち、外壁部11の軸方向長さは、内壁部12の外壁部11と径方向に重なっている部分の軸方向の長さよりも長い。
【0054】
<1.7 モータカバーおよび駆動基板の構成>
モータカバー6は、モータAの右側を覆う外装部材である。モータカバー6は、軸方向に延びる筒形状であり、且つ、軸方向の右方の端部が閉じられている。すなわち、モータカバー6は、有底の筒形状である。モータカバー6は、モータカバー6の左側に貫通孔を有する。モータカバー6の左側の貫通孔は、ステータコア21を被覆しているインシュレータ22と接触する。なお、ステータコア21は、インシュレータ22に固定される。モータカバー6は、モータAの内部に、塵、埃、水分等の異物が侵入するのを抑制するとともに、電磁波のシールドとしての役割も果たす。
【0055】
駆動基板7は、ステータコア21の右方に配置される。駆動基板7は、インシュレータ22に固定される。駆動基板7は、インバータ回路、制御回路等(いずれも不図示)が実装されている。駆動基板7は、ステータコア21のティースに巻きつけられた複数のコイル23のそれぞれに、電流を供給する。上述のとおり、マグネット35は、周方向に異なる磁極が交互に配置される。コイル23に電流を供給することで、マグネット35の磁極の周方向の位置に応じて、磁力が発生し、ロータ3が回転する。すなわち、所定のタイミングで電流を供給するコイル23を切り替えることで、ロータ3が回転する。ロータ3を正確に回転させるために、マグネット35の周方向の正確な位置が要求される。
【0056】
そこで、マグネット35の右方において、駆動基板7には、回転検出部71が実装される。回転検出部71は、上面に磁束密度を検出するための検出面711を有する。回転検出部71は、検出面711を通過する磁気の磁束密度を電圧に変換するホール素子を有する。回転検出面711は、マグネット35の右端と軸方向に空間を挟んで対向する。上述のとおり、マグネット35は、周方向に異なる磁極が並んで配置される。マグネット35が回転すると、検出面711を通過する磁気の磁束密度が変化する。これにより、ホール素子によって変換される電圧も変化する。回転検出部71は、電圧の変化を制御回路に送信する。制御回路は、電圧の変化に基づいて、マグネット35、すなわち、ロータ3の周方向の位置を検出する。
【0057】
<1.8 第1実施形態の変形例1>
本発明の例示的な第1実施形態にかかるモータの変形例について、図面を参照して説明する。図3は、本発明の第1実施形態にかかるモータの他の例の軸受ハウジングの周囲の端面図である。図3に示すモータA1は、軸受保持部52に第2弾性部材15をさらに有する構成となっている。それ以外は、図1に示すモータAと同じ構成である。
【0058】
図3に示すように、軸受保持部52の内側の左端部分には、シャフト31方向に屈曲する段差部522が備えられる。すなわち、軸受保持部52は、固定部51側の端部に径方向内側に屈曲する段差部522を備えている。そして、軸受保持部52の内部に配置された第2軸受42の左側に、第2弾性部材15が配置されている。すなわち、第2弾性部材15は、第2軸受42と段差部522の間に、配置される。
【0059】
第2弾性部材15は、円環状であり、波ワッシャである。なお、第2弾性部材15も、波ワッシャ以外の、構成、例えば、コイルばね、皿ばね等を採用することが可能である。また、第2弾性部材15は、円環状に限定されない。例えば、ゴム等の不定形な弾性体や空気、オイル等の流体を利用した弾性体等を利用してもよい。
【0060】
第2弾性部材15は、第2軸受42の外輪421および軸受保持部52の段差部522と接触する。すなわち、第2弾性部材15は、段差部522と第2軸受42の外輪421とに接触する。第2弾性部材15は、予め弾性変形されており、且つ、外輪421および段差部522に接触する。これにより、第2弾性部材15の軸方向に元に戻ろうとする力が、外輪421および段差部522に作用する。
【0061】
第2弾性部材15は、外輪421を、軸方向に沿って、段差部522から離れる方向に押される。これにより、外輪421とボール423の隙間によるがたおよびボール423と内輪422の隙間によるがたをなくすことができる。第2弾性部材15は、第1弾性部材14と同様の構成を有しており、また、軸受保持部52に段差部522が設けられていることから、第2弾性部材15を配置することも容易である。
【0062】
なお、本変形例で示すモータA1では、第1弾性部材14および第2弾性部材15を有しているが、これに限定されない。第2弾性部材15だけを有していていもよい。また、第1軸受41および第2軸受42のがたつきが少ない場合、第1弾性部材14および第2弾性部材15を省略してもよい。
【0063】
<2. 第2実施形態>
本発明の例示的な第2実施形態にかかるモータについて、図面を参照して説明する。図4は、本発明の第2実施形態にかかるモータの一例の軸受ハウジングの周囲の端面図である。図4に示すモータBは、軸受ハウジング5bおよび第2軸受42bを有する。それ以外は、図1に示すモータAと同じ構成である。そのため、実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0064】
図4に示す軸受ハウジング5bは、軸受保持部52bの内周面の内径が、内壁部12の内周面の内径よりも大きい。このような構成の軸受ハウジング5bを用いることで、第1軸受41の外輪411の外径よりも大きい外輪421bを含む第2軸受42bを使用可能である。なお、第1軸受41の内輪412および第2軸受42bの内輪422bはいずれもシャフト31が貫通し、シャフト31の外周面に固定される。そのため、内輪412および内輪422bの内径は同じである。外輪421bの外径は、外輪411の外径よりも大きい。そのため、第2軸受42bは、第1軸受41のボール413よりも径が大きいボール423bを有する。ボール423bの外径を、第1軸受41のボール413の外径よりも大きくことで、第2軸受42bの径方向の耐荷重を、第1軸受41よりも大きくすることが可能である。
【0065】
例えば、シャフト31が、第1軸受41および第2軸受42bに片持ち支持されているとする。この場合、上述したように、第2軸受42bには第1軸受41よりも大きな荷重が作用する。そのため、シャフト31からの荷重が大きくなる第2軸受42bとして、第1軸受41よりも大きな荷重を支持できる第2軸受42bを採用している。これにより、第2軸受42bが、長寿命化される。
【0066】
また、軸受保持部52bの内周面の内径を大きくすることで、段差部522の内径の差(段差)を大きくすることができる。これにより、第2弾性部材15を取り付ける場合に、第2弾性部材15との接触面積を大きくすることが可能である。そのため、第2弾性部材15の取り付けが容易になる。
【0067】
なお、本実施形態では、軸受の外輪が大きくなると、ボールの径も大きくなる例を挙げているが、これに限定されない。例えば、外輪が大きくなると、ボールの個数が増える軸受もある。軸受において、ボールの個数が増えると、がたが発生しにくくなり、回転の精度が高くなる。つまり、ボールの個数を増やした軸受を採用することで、シャフト31の振動、回転の振れ等を抑制する効果が高くなる。
【0068】
<2.1 第2実施形態の変形例>
図4に示す第2実施形態の例では、軸受ハウジング5bは、第1軸受41よりも大径の外輪421bを有する第2軸受42bを配置可能な、軸受保持部52bを有する。しかしながら、これに限定されるものではなく、軸受ハウジング5bは、第1軸受41よりも小径の外輪を有する第2軸受を配置可能な、軸受保持部52bを備えていてもよい。この場合、第2軸受52bの内周面は、軸受ハウジング5bの、固定部51を除く部分の内周面よりも小径に形成される。
【0069】
<3. 第3実施形態>
本発明の例示的な第3実施形態にかかるモータの一例について、図面を参照して説明する。図5は、本発明の第3実施形態にかかるモータの一例の軸受ハウジングの周囲の端面図である。図5に示すモータCは、軸受ハウジング5cを有する。それ以外は、図1に示すモータAと同じ構成である。そのため、実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0070】
軸受ハウジング5cは、軸方向に延びる、筒形状である。そして、軸受ハウジング5cは左端に外周面が他の部分よりも小径に形成された固定部51を備えている。軸受ハウジング5cにおいて、固定部51以外の部分は、軸方向のどの部分でも同じ内径および外径を有する、円筒である。そして、軸受ハウジング5cは、右端に、第2軸受42が保持される軸受保持部52cを備える。軸受保持部52cの外径および内径は、軸受ハウジング5cの軸方向の中間部分の外径および内径と同じである。
【0071】
軸受ハウジング5cは、固定部51以外の部分は、円筒形状であるため、製造にかかる手間を省くことが可能である。また、軸受保持部52cの内径が中間部分と同じであるため、第2軸受42を保持する位置を調節可能である。
【0072】
本実施形態の軸受ハウジング5cでは、軸受保持部52cの内周面の内径が、内壁部12の内周面の内径と同じである。そのため、第2軸受42は、第1軸受41と同じものを利用可能である。しかしながら、これに限定されない。第2軸受が第1軸受41と異なる外径の軸受を用いる場合、軸受保持部52cの内種面の内径は、内壁部12の内周面の内径よりも、小さくてもよいし、大きくてもよい。軸受ハウジング5cが、固定部51を内壁部12の内周面に固定する構成である。本実施形態の軸受ハウジング5cは、外径が、固定部51の内周面の内径よりも大きい第2軸受を使用するモータに使用可能である。
【0073】
<4. 第4実施形態>
本発明の例示的な第4実施形態にかかるモータの一例について、図面を参照して説明する。図6は、本発明の第4実施形態にかかるモータの一例の軸受ハウジングの周囲の端面図である。図6に示すモータDは、軸受ハウジング5dおよび第2軸受42dを採用している。それ以外は、図1に示すモータAと同じ構成である。そのため、実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0074】
図6に示す軸受ハウジング5dは、軸方向に延びる、筒形状である。そして、軸受ハウジング5dは、軸方向のどの部分でも同じ内径および外径を有する、円筒である。そして、軸受ハウジング5dでは、左端部の固定部51cが内壁部12の内周面に固定される。そのため、軸受ハウジング5dの外径は、内壁部12の内周面の内径と同じか略同じである。そして、軸受ハウジング5dの内周面の内径は、内壁部12の内周面の内径よりも小さい。
【0075】
軸受ハウジング5dは、右端に第2軸受42dを保持する軸受保持部52dを有する。第1軸受41は内壁部12の内周面に保持され、第2軸受42は軸受保持部52dの内周面に保持される。そのため、第2軸受42dの外輪421dの外径は、第1軸受41の外輪411の外径よりも小さい。第1軸受41および第2軸受42dの内輪412、422dはいずれもシャフト31に固定されるため、同じ内径を有する。そのため、第2軸受42dのボール423dは、第1軸受41のボール413よりも小径である。軸受では、ボールの径が小さいほど、回転時の内輪と外輪の軸がずれにくい。すなわち、回転の精度が高い。第2軸受42dを採用することで、シャフト31の振動、回転の振れを抑制することが可能である。
【0076】
また、本実施形態における軸受ハウジング5dは、円筒形状であるため、軸受ハウジング5cの加工に要する製造コストを減らすことが可能である。なお、本実施形態の軸受ハウジング5dは、外径が、固定部51の内周面の内径よりも小さい第2軸受を使用するモータに使用可能である。
【0077】
<5. 第5実施形態>
本発明の例示的な第5実施形態にかかるモータの例について、図面を参照して説明する。図7は、本発明の第5実施形態にかかるモータの一例の軸受ハウジングの周囲の端面図である。図7に示すモータEは、軸受ハウジング5eおよび第2軸受42eを採用している。それ以外は、図1に示すモータAと同じ構成である。そのため、実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0078】
図7に示す軸受ハウジング5eは、円筒形状である。すなわち、軸受ハウジング5eの外周面は、軸方向の全ての部分で同じ外径を有する。また、軸受ハウジング5eの内周面は、軸方向の全ての部分で同じ外径を有する。そして、軸受ハウジング5eでは、左端部の固定部51eが内壁部12の外周面に固定される。内壁部12が固定部51eの内周面に圧入される。なお、内壁部12と固定部51eの固定は、圧入に限定されない。例えば、接着、溶接、ねじ止め等であってもよい。
【0079】
軸受ハウジング5eは、右端部に軸受保持部52eを有している。軸受保持部52eは、内周面に第2軸受42eの外輪421eが配置され、固定されている。軸受ハウジング5eに内壁部12を圧入する構成であるため、第2軸受42eの外輪421eは、第1軸受41の外輪411よりも大きい。すなわち、本実施形態の軸受ハウジング5eは、外輪が、第1軸受41の外輪411よりも大きい第2軸受を使用するモータに使用可能である。
【0080】
また、本実施形態の軸受ハウジング5eは、内壁部12の内周面に圧入する軸受ハウジングよりも、外周面の外径および内周面の内径が大きい。これにより、軸受ハウジング5eの断面係数および極断面係数が大きい。このことから、軸受ハウジング5eの曲げ、ねじれ等の変形を抑制できる。
【0081】
本実施形態のモータEでは、内壁部12の外周面に軸受ハウジング5eの固定部51eが固定され、内周面に第1軸受41が固定される。そのため、固定部51eを第1軸受41に軸方向に重ねて、内壁部12に固定することが可能である。これにより、内壁部12の軸方向の長さを短くすることが可能である。
【0082】
<5.1 第5実施形態の変形例>
本実施形態の軸受ハウジング5eとして、固定部51eの内周面の内径を、軸受ハウジング5eの他の部分の内周面の内径よりも大径としてもよい。また、軸受保持部52eの内周面の内径を、軸受ハウジング5eの他の部分の内周面の内径よりも小径としてもよい。なお、軸受保持部52eの内周面の内径を、内壁部12の内周面の内径と同じとすることで、第2軸受の外輪の外径を第1軸受の外輪の外径と同じとすることができる。
【0083】
<6. 第6実施形態>
本発明の例示的な第5実施形態にかかるモータの例について、図面を参照して説明する。図8は、本発明の第5実施形態にかかるモータを軸方向と平行な面で切断した縦端面図である。図8に示すモータFは、モータハウジング1fを採用している。それ以外は、図1に示すモータAと同じ構成である。そのため、実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0084】
図8に示すように、モータFのモータハウジング1fでは、内壁部12fが、フランジ部13の径方向内側の辺縁から、軸方向の左側に延びた円筒形である。換言すると、内壁部12fは、フランジ部13を挟んで、外壁部11と反対側に軸方向に延びる。
【0085】
内壁部12fの内周面には、左側、すなわち、フランジ部13から見て、軸方向の先端側に第1軸受41が固定されている。また、内壁部12fの内周面の右側、すなわち、フランジ部13に近い側には、軸受ハウジング5の固定部51が固定されている。
【0086】
モータハウジング1fでは、内壁部12fが外部に突出している。そして、軸方向に突出した内壁部12fの内周面で、第1軸受41および軸受フランジ5の固定部51が固定される。これにより、第1軸受41と第2軸受42との距離を長くすることが可能である。また、フランジ部13とロータ筒部32との間に、内壁部が配置されない。このため、内壁部がモータハウジングの内部に延びる構成に比べて、フランジ部13をロータ筒部32に近接させることが可能である。
【0087】
以上のことから、本実施形態のモータFは、内壁部が、内側に延びる構成のモータハウジングを有するモータに比べて、外壁部11の長さを短くすることができ、小型化することが可能である。なお、内壁部12fの外周面を外部装置とのインロー結合に用いてもよい。
【0088】
また、本実施形態において、軸受ハウジング5を採用しているが、これに限定されない。例えば、第2実施形態で示した軸受ハウジング5b等を採用しても同様の構成とすることが可能である。本実施形態では、固定部を内壁部の内周面に固定して、モータハウジングと軸受ハウジングとを固定する構成の軸受ハウジングを広く採用することができる。
【0089】
以上の各実施形態で示したモータでは、軸受ハウジングで第1軸受と第2軸受との距離を調整することが可能である。また、モータハウジングと軸受ハウジングを組み合わせることで、構成、例えば、外輪の外径、ボールの径が異なる第2軸受を取り付けることが可能である。
【0090】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、例えば、モータにおいて利用可能である。
【符号の説明】
【0092】
A・・・モータ、A1・・・モータ、B・・・モータ、C・・・モータ、D・・・モータ、E・・・モータ、F・・・モータ、1・・・モータハウジング、1f・・・モータハウジング、11・・・外壁部、12・・・内壁部、13・・・フランジ部、14・・・第1弾性部材、15・・・第2弾性部材、2・・・ステータ、21・・・ステータコア、22・・・インシュレータ、23・・・コイル、3・・・ロータ、31・・・シャフト、32・・・ロータホルダ、33・・・ボス部、34・・・天面部、35・・・マグネット、41・・・第1軸受、411・・・外輪、412・・・内輪、413・・・ボール、42・・・第2軸受、421・・・外輪、422・・・内輪、423・・・ボール、42b・・・第2軸受、421b・・・外輪、422b・・・内輪、423b・・・ボール、42d・・・第2軸受、421d・・・外輪、422d・・・内輪、423d・・・ボール、42e・・・第2軸受、421e・・・外輪、422e・・・内輪、423e・・・ボール、5・・・軸受ハウジング、51・・・固定部、511・・・端面部、52・・・軸受保持部、521・・・円環部、522・・・段差部、5b・・・軸受ハウジング、52b・・・軸受保持部、5c・・・軸受ハウジング、52c・・・軸受保持部、5d・・・軸受ハウジング、51d・・・固定部、52d・・・軸受保持部、5e・・・軸受ハウジング、51e・・・固定部、52e・・・軸受保持部
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8