特許第6754964号(P6754964)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754964
(24)【登録日】2020年8月27日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20200907BHJP
   H02K 3/38 20060101ALI20200907BHJP
   H02K 3/04 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
   H02K3/50 A
   H02K3/38 A
   H02K3/04 J
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-534424(P2017-534424)
(86)(22)【出願日】2016年8月5日
(86)【国際出願番号】JP2016073187
(87)【国際公開番号】WO2017026413
(87)【国際公開日】20170216
【審査請求日】2019年7月19日
(31)【優先権主張番号】特願2015-158395(P2015-158395)
(32)【優先日】2015年8月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 英博
(72)【発明者】
【氏名】朝日 優
(72)【発明者】
【氏名】新子 剛央
(72)【発明者】
【氏名】村上 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】武井 慧美
【審査官】 尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−204528(JP,A)
【文献】 特開2010−220289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に伸びる中心軸に沿って配置されるシャフトと、
前記シャフトに取り付けられるロータアセンブリと、
前記ロータアセンブリと隙間を介して径方向に対向するステータと、
前記ステータと電気的に接続される複数のバスバーと、
を備え、
前記バスバーは、第1バスバーと、第2バスバーと、を含み、
前記第1バスバーは、前記第2バスバーの上側に配置される上側配置部を有し、
前記第2バスバーは、前記上側配置部と軸方向に重なる位置に、下側に窪むバスバー凹部を有し、
前記第1バスバーは、周方向に延びる第1バスバー本体部と、前記第1バスバー本体部から径方向に延びる第1接続端子部と、を有し、
前記第2バスバーは、周方向に延びる第2バスバー本体部と、前記第2バスバー本体部から径方向に延びる第2接続端子部と、を有し、
前記第1バスバー本体部と前記第2バスバー本体部とは、径方向に並び、
前記上側配置部は、前記第1接続端子部の少なくとも一部であり、
前記バスバー凹部は、前記第2バスバー本体部に配置され、
前記第2バスバー本体部は、前記バスバー凹部と軸方向に重なる位置に、下側に突出するバスバー凸部を有する、モータ。
【請求項2】
前記第1バスバー本体部と前記第2バスバー本体部とは、軸方向において、同じ位置にある、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記バスバーを保持するバスバーホルダを備え、
前記バスバーホルダは、下側に窪むホルダ凹部を有し、
前記バスバー凸部の少なくとも一部は、前記ホルダ凹部内に配置される、請求項1または2に記載のモータ。
【請求項4】
前記バスバーホルダは、前記ホルダ凹部と軸方向に重なる位置に、下側に突出するホルダ凸部を有する、請求項に記載のモータ。
【請求項5】
前記バスバーを保持するバスバーホルダを備え、
前記バスバーホルダは、前記バスバーホルダを軸方向に貫通するホルダ貫通孔を有し、
前記バスバー凸部の少なくとも一部は、前記ホルダ貫通孔内に配置される、請求項1または2に記載のモータ。
【請求項6】
前記第2バスバー本体部の周方向と直交する断面の面積は、前記バスバー凹部が配置される部分、および前記バスバー凹部の周方向両側に配置される部分において、一様である、請求項1から5のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項7】
前記上側配置部は、前記バスバー凹部よりも上側に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項8】
前記上側配置部の少なくとも一部は、前記バスバー凹部内に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項9】
前記上側配置部の全体は、前記バスバー凹部内に配置される、請求項8に記載のモータ。
【請求項10】
前記ステータは、複数のコイルを有し、
前記コイルは、導電線の端部であるコイル端を有し、
前記第1接続端子部は、前記第1バスバー本体部から径方向に延びる第1延出部と、前記第1延出部の径方向の端部に配置され前記コイル端と接続される第1接続部と、を有し、
前記第2接続端子部は、前記第2バスバー本体部から径方向に延びる第2延出部と、前記第2延出部の径方向の端部に配置され前記コイル端と接続される第2接続部と、を有し、
前記上側配置部は、前記第1延出部の少なくとも一部である、請求項1から9のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項11】
前記第1接続部と前記第2接続部とは、軸方向において、同じ位置にある、請求項10に記載のモータ。
【請求項12】
前記第2バスバー本体部における前記バスバー凹部が配置される部分は、湾曲する、請求項1から11のいずれか一項に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のバスバーを有するモータが知られている。例えば、特許文献1に開示されているモータでは、複数のバスバーは、絶縁保持部材に所定間隔を置いて同心円上にそれぞれ形成された円環溝内に、挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−141953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなモータにおいて、例えば、各バスバーのコイル接続部のフック部を同一円周上に配置する場合、あるバスバーのコイル接続部を、他のバスバーの上側を通して配置する必要が生じることがある。
【0005】
特許文献1に開示されている構造においては、あるバスバーのコイル接続部に上側に延びる起立部が設けられ、コイル接続部が上側に延びることにより、あるバスバーと他のバスバーとの絶縁を確保することができる。しかし、この構成では、起立部が設けられた分だけ、バスバーの軸方向の寸法が長くなり、結果としてモータ全体が軸方向に長くなり、大型化しやすい問題があった。
【0006】
本発明の一つの態様は、上記問題点に鑑みて、軸方向に大型化することを抑制しつつ、複数のバスバー間の絶縁を確保できる構造を有するモータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様のモータは、上下方向に伸びる中心軸に沿って配置されるシャフトと、前記シャフトに取り付けられるロータアセンブリと、前記ロータアセンブリと隙間を介して径方向に対向するステータと、前記ステータと電気的に接続される複数のバスバーと、を備え、前記バスバーは、第1バスバーと、第2バスバーと、を含み、前記第1バスバーは、前記第2バスバーの上側に配置される上側配置部を有し、前記第2バスバーは、前記上側配置部と軸方向に重なる位置に、下側に窪むバスバー凹部を有し、前記第1バスバーは、周方向に延びる第1バスバー本体部と、前記第1バスバー本体部から径方向に延びる第1接続端子部と、を有し、前記第2バスバーは、周方向に延びる第2バスバー本体部と、前記第2バスバー本体部から径方向に延びる第2接続端子部と、を有し、前記第1バスバー本体部と前記第2バスバー本体部とは、径方向に並び、前記上側配置部は、前記第1接続端子部の少なくとも一部であり、前記バスバー凹部は、前記第2バスバー本体部に配置され、前記第2バスバー本体部は、前記バスバー凹部と軸方向に重なる位置に、下側に突出するバスバー凸部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、モータにおいて、軸方向に大型化することを抑制しつつ、複数のバスバー間の絶縁を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態のモータを示す断面図である。
図2図2は、本実施形態の下側バスバーアッシーを示す平面図である。
図3図3は、本実施形態の下側バスバーアッシーの一部を示す斜視図である。
図4図4は、本実施形態の下側バスバーアッシーの一部を示す断面図である。
図5図5は、本実施形態の他の一例である下側バスバーアッシーの一部を示す断面図である。
図6図6は、本実施形態の他の一例である下側バスバーアッシーの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータについて説明する。本明細書では、上下方向に伸びる中心軸Jの軸方向における図1の上側を単に「上側」と呼び、下側を単に「下側」と呼ぶ。なお、上下方向は、実際の機器に組み込まれたときの位置関係や方向を示さない。また、中心軸Jに平行な方向を「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0011】
本明細書において、「軸方向に延びる」とは、厳密に軸方向に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。本明細書において、「径方向に延びる」とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0012】
図1に示すように、本実施形態では、モータ10は、インナーロータ型のモータである。モータ10は、ハウジング20と、ロータ30と、筒状のステータ40と、ベアリングホルダ50と、ハウジング20に保持される下ベアリング60と、ベアリングホルダ50に保持される上ベアリング61と、下側バスバーアッシー70と、上側バスバーアッシー80と、端子92A,92Bと、を備える。ハウジング20は、各部品を内部に収容可能である。
【0013】
ロータ30は、中心軸Jに沿って配置されるシャフト31と、第1ロータコア33Aと、第2ロータコア33Bと、第3ロータコア33Cと、第1マグネット34Aと、第2マグネット34Bと、第3マグネット34Cと、を有する。シャフト31は、下ベアリング60および上ベアリング61によって中心軸J周りに回転可能に支持される。ロータ30は、ステータ40の径方向内側において、ステータ40に対して回転可能である。言い換えると、ステータ40はロータ30を囲う。
【0014】
第1ロータコア33A、第2ロータコア33B、および第3ロータコア33Cは、筒状である。第1ロータコア33Aと、第2ロータコア33Bと、第3ロータコア33Cとは、軸方向の下側から上側に向かって、この順で並ぶ。本実施形態において、第1ロータコア33Aの内側面、第2ロータコア33Bの内側面、および第3ロータコア33Cの内側面は、中心軸Jを中心とする円筒状である。シャフト31には、1ロータコア33A、第2ロータコア33B、および第3ロータコア33Cに、例えば圧入等により嵌め合わされることにより、固定される。なお、シャフト31は、第1ロータコア33A、第2ロータコア33B、および第3ロータコア33Cに、他の部材を介して間接的に固定されてもよい。
【0015】
本実施形態において、第1マグネット34A、第2マグネット34B、および第3マグネット34Cは、周方向に延びる板状である。第1マグネット34Aは、第1ロータコア33Aの外側面に固定される。第2マグネット34Bは、第2ロータコア33Bの外側面に固定される。第3マグネット34Cは、第3ロータコア33Cの外側面に固定される。
【0016】
第1マグネット34A、第2マグネット34B、および第3マグネット34Cは、それぞれ周方向に沿って複数設けられる。なお、第1マグネット34A、第2マグネット34B、および第3マグネット34Cは、それぞれ単一部材であってもよい。この場合、第1マグネット34A、第2マグネット34B、および第3マグネット34Cは、例えば、円環状である。
【0017】
ステータ40は、ロータ30と、隙間を介して径方向に対向する。ステータ40は、ロータ30の径方向外側に配置される。ステータ40は、ステータコア40aと、複数のコイル43と、複数のインシュレータ44と、を有する。ステータコア40aは、例えば、複数の電磁鋼板が積層されて構成される。ステータコア40aは、周方向に延びる環状のコアバック41と、コアバック41から径方向に延びる複数のティース42と、を有する。すなわち、ステータ40は、コアバック41と、ティース42と、を備える。
【0018】
本実施形態において、コアバック41は、中心軸Jを中心とした円環状である。コアバック41の外周面は、ハウジング20の内周面に、例えば圧入等により固定される。この実施形態では、複数のティース42は、コアバック41の内側面から径方向内側に延びる。複数のティース42は、周方向に沿って等間隔に配置される。
【0019】
コイル43は、インシュレータ44を介してティース42に巻き回された導電線43aより構成される。コイル43は、各ティース42に配置される。コイル43は、導電線43aの端部であるコイル端43bを有する。コイル端43bは、コイル43のティース42に巻き回された部分から上側に延びる。インシュレータ44の少なくとも一部は、ティース42とコイル43との間に配置される。インシュレータ44は、ティース42の少なくとも一部を覆う。
【0020】
下側バスバーアッシー70は、略円筒状である。下側バスバーアッシー70は、ステータ40の上側に配置される。下側バスバーアッシー70は、中性点バスバー90と、中性点バスバー90を保持する略円筒状の下側バスバーホルダ71と、を有する。すなわち、モータ10は、中性点バスバー90と、下側バスバーホルダ71と、を備える。
【0021】
本実施形態において、下側バスバーホルダ71は、絶縁性を有する樹脂製である。下側バスバーホルダ71は、インシュレータ44に固定される。中性点バスバー90は、コイル43と電気的に接続される。より詳細には、中性点バスバー90は、コイル端43bと接続される。これにより、中性点バスバー90は、ステータ40と電気的に接続される。中性点バスバー90は、複数のコイル端43bを中性点として繋ぐ。
【0022】
上側バスバーアッシー80は、略円筒状である。上側バスバーアッシー80は、下側バスバーアッシー70の上側に配置される。上側バスバーアッシー80は、相用バスバー91と、相用バスバー91を保持する上側バスバーホルダ81と、を有する。すなわち、モータ10は、相用バスバー91と、上側バスバーホルダ81と、を備える。
【0023】
上側バスバーホルダ81は、略円筒状である。本実施形態において、上側バスバーホルダ81は絶縁性を有する樹脂製である。上側バスバーホルダ81は、ハウジング20に固定される。相用バスバー91は、コイル43と電気的に接続される。より詳細には、相用バスバー91は、コイル端43bと接続される。相用バスバー91は、端子92A,92Bと接続される。これにより、相用バスバー91は、ステータ40と電気的に接続される。
【0024】
端子92A,92Bは、上側に延びる板状の部材である。端子92A,92Bの上側の端部は、ハウジング20の上側の端部よりも上側に配置される。端子92A,92Bは、外部電源(図示省略)と接続される。
【0025】
図2に示すように、下側バスバーホルダ71は、第1コイルサポート72と、下側ホルダ筒部73と、内側周壁部74と、外側周壁部75と、を有する。
【0026】
第1コイルサポート72は、中心軸Jを中心とする略円環板状である。第1コイルサポート72は、コイル43の上側に位置する。第1コイルサポート72は、コイル端43bを支持する第1支持部72aを有する。そのため、コイル43の導電線43aを、絶縁性を確保しつつ容易に這い回すことができる。
【0027】
第1支持部72aは、第1コイルサポート72の内縁から径方向外側に窪む凹部である。第1支持部72aの内側には、コイル端43bが通される。第1支持部72aの内側を通るコイル端43bは、第1支持部72aの内側面によって周方向両側から支持される。
【0028】
下側ホルダ筒部73は、中心軸Jを中心とする円筒状である。下側ホルダ筒部73は、第1コイルサポート72から上側に延びる。内側周壁部74および外側周壁部75は、周方向に延びる略環状である。内側周壁部74は、下側ホルダ筒部73よりも径方向内側に位置し、第1コイルサポート72から上側に延びる。外側周壁部75は、下側ホルダ筒部73よりも径方向外側に位置し、第1コイルサポート72から上側に延びる。
【0029】
下側バスバーホルダ71は、下側に窪み周方向に延びる第1下側溝部71aおよび第2下側溝部71bを有する。第1下側溝部71aは、下側ホルダ筒部73と内側周壁部74との径方向の間に位置する。第2下側溝部71bは、下側ホルダ筒部73と外側周壁部75との径方向の間に位置する。
【0030】
中性点バスバー90は、第1バスバー90Aと、第2バスバー90Bと、を含む。第1バスバー90Aは、周方向に延びる第1バスバー本体部90Aaと、第1バスバー本体部90Aaから径方向に延びる第1接続端子部98Aと、を有する。
【0031】
第1バスバー本体部90Aaは、平面視で略環状である。第1バスバー本体部90Aaは、第1下側溝部71a内に配置される。第1バスバー本体部90Aaは、第1下側溝部71a内に嵌め込まれる。
【0032】
第1接続端子部98Aは、第1バスバー本体部90Aaから径方向外側に延びる。この実施形態では、第1バスバー90Aは、9つの第1接続端子部98Aを有する。第1接続
端子部98Aは、周方向に沿ってほぼ等間隔に並ぶ。
【0033】
第1接続端子部98Aは、第1延出部96Aと、第1接続部97Aと、を有する。すなわち、第1バスバー90Aは、第1延出部96Aと、第1接続部97Aと、を有する。
【0034】
第1延出部96Aは、第1バスバー本体部90Aaから径方向に延びる。第1接続部97Aは、第1延出部96Aの径方向の端部に配置され、コイル端43bと接続される。
【0035】
図3に示すように、第1接続部97Aの形状は、U字状である。そのため、下側バスバーアッシー70をステータ40の上側に配置する際に、第1接続部97Aによってコイル端43bを保持することができる。これにより、第1接続部97Aとコイル端43bとを容易に接続することができる。
【0036】
第1接続部97Aは、下側に開口するU字状である。そのため、下側バスバーアッシー70をステータ40の上側に配置する際に、第1接続部97Aによってコイル端43bを掴みやすい。より詳細には、下側バスバーアッシー70をステータ40の上側に配置する際に、第1接続部97Aによって後述する這回し線45gを容易に掴むことができる。これにより、第1接続部97Aをコイル端43bに容易に配置することができる。
【0037】
図2に示すように、第2バスバー90Bは、周方向に延びる第2バスバー本体部90Baと、第2バスバー本体部90Baから径方向に延びる第2接続端子部98Bと、を有する。
【0038】
第2バスバー本体部90Baは、平面視で略環状である。第2バスバー本体部90Baは、第2下側溝部71b内に配置される。第2バスバー本体部90Baは、第2下側溝部71b内に嵌め込まれる。
【0039】
第1バスバー本体部90Aaと第2バスバー本体部90Baとは、軸方向において、同じ位置にある。第1バスバー本体部90Aaと第2バスバー本体部90Baとは、径方向に重なる。
【0040】
第2接続端子部98Bは、第2バスバー本体部90Baから径方向外側に延びる。この実施形態では、第2バスバー90Bは、9つの第2接続端子部98Bを有する。第2接続端子部98Bは、周方向に沿ってほぼ等間隔に並ぶ。
【0041】
第2接続端子部98Bは、第2延出部96Bと、第2接続部97Bと、を有する。すなわち、第2バスバー90Bは、第2延出部96Bと、第2接続部97Bと、を有する。
【0042】
第2延出部96Bは、第2バスバー本体部90Baから径方向に延びる。第2接続部97Bは、第2延出部96Bの径方向の端部に配置され、コイル端43bと接続される。第2接続部97Bの形状は、第1接続部97Aの形状と同様である。
【0043】
本実施形態において、第1接続部97Aと第2接続部97Bとは、軸方向において、同じ位置にある。そのため、各接続部とコイル端43bとを接続する軸方向の位置を同じにできる。これにより、モータ10の製造時において、第1バスバー90Aおよび第2バスバー90Bとコイル端43bとの接続作業を容易に行うことができる。
【0044】
図3に示すように、第1バスバー90Aは、第2バスバー90Bの上側に配置される上側配置部99を有する。上側配置部99は、第1接続端子部98Aaの一部である。より詳細には、上側配置部99は、第1延出部96Aの一部である。
【0045】
そのため、コイル端43bと接続される第1接続部97Aを第2バスバー90Bと軸方向に重ならない位置に容易に配置することができる。これにより、第1接続部97Aとコイル端43bとを容易に接続することができる。また、第1接続部97Aと、第2接続部97Bと、を径方向において同じ位置に容易に配置することができ、各接続部とコイル端43bとの接続作業を効率的に行うことができる。
【0046】
第2バスバー90Bは、上側配置部99と軸方向に重なる位置に、下側に窪むバスバー凹部90Bbを有する。そのため、上側配置部99の軸方向位置を第2バスバー90Bに近づけて配置しても、バスバー凹部90Bbによって、第1バスバー90Aと第2バスバー90Bとの間の絶縁距離を確保できる。これにより、モータ10が軸方向に長くなり、モータ10が大型化することを抑制しつつ、複数のバスバー間の絶縁を確保できる。
【0047】
バスバー凹部90Bbは、第2バスバー本体部90Baに配置される。上述したように、上側配置部99は、第1接続端子部98Aaの一部である。そのため、例えば、第1バスバー本体部90Aaと第2バスバー本体部90Baとが軸方向において同じ位置に配置される。そのような場合、第1接続端子部98Aaの軸方向位置が第1バスバー本体部90Aaの位置とほぼ同じだとしても、バスバー凹部90Bbによって、第1接続端子部98Aaと第2バスバー本体部90Baとの間の絶縁距離を確保できる。これにより、モータ10が軸方向に長くなってモータ10が大型化することをより抑制しつつ、複数のバスバー間の絶縁を確保できる。
【0048】
図4では、バスバー凹部90Bbの内部の径方向に視た形状は、上底が下底よりも長い台形状である。バスバー凹部90Bbの内部の径方向に視た形状は、特に限定されず、例えば、半円形状であってもよいし、半楕円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。図3に示すように、バスバー凹部90Bbは、第2バスバー本体部90Baの径方向両側に開口する。
【0049】
図4に示すように、第2バスバー本体部90Baは、バスバー凹部90Bbと軸方向に重なる位置に、下側に突出するバスバー凸部90Bcを有する。そのため、第2バスバー本体部90Baにおけるバスバー凹部90Bbが配置される部分の軸方向の寸法を、第2バスバー本体部90Baにおけるバスバー凹部90Bbの周方向両側に配置される部分の軸方向の寸法と、同じにすることができる。
【0050】
例えば、バスバー凹部90Bbが設けられることにより第2バスバー本体部90Baの軸方向の寸法が部分的に小さくなると、バスバー凹部90Bbが配置される部分において、第2バスバー本体部90Baの周方向と直交する断面の面積が部分的に小さくなる。この場合、第2バスバー本体部90Baの電気抵抗が部分的に大きくなる。そのため、バスバー凹部90Bbが配置された部分においてより多く発熱し、第2バスバー本体部90Baにおけるバスバー凹部90Bbが配置される部分が高温となる虞がある。
【0051】
これに対して、バスバー凹部90Bbが配置された部分の軸方向の寸法を、バスバー凹部90Bbの周方向両側に配置される部分と同じとする、あるいは近づけることにより、第2バスバー本体部90Baにおける周方向と直交する断面の面積が部分的に小さくなることを抑制できる。したがって、第2バスバー本体部90Baにおけるバスバー凹部90Bbが配置される部分が高温となることを抑制できる。
【0052】
図4では、バスバー凸部90Bcの径方向に視た形状は、上底が下底よりも長い台形状である。バスバー凸部90Bcの径方向に視た形状は、特に限定されず、例えば、半円形状であってもよいし、半楕円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。バスバー凸部90Bcの径方向に視た形状は、例えば、バスバー凹部90Bbの内部の径方向に視た形状と同様である。
【0053】
バスバー凸部90Bcの軸方向の寸法は、軸方向に重なるバスバー凹部90Bbの部分における軸方向の寸法と同じである。そのため、第2バスバー本体部90Baの径方向の寸法を均一にすることにより、バスバー凹部90Bbが配置される部分において、第2バスバー本体部90Baの周方向と直交する断面の面積を他の部分の断面の面積と、同じにすることができる。
【0054】
第2バスバー本体部90Baの周方向と直交する断面の面積は、バスバー凹部90Bbが位置する部分、およびバスバー凹部90Bbの周方向両側に位置する部分において、一様である。これにより、第2バスバー本体部90Baの一部の発熱量が部分的に増加し、第2バスバー本体部90Baの一部が高温となることを防止できる。
【0055】
本実施形態では、上側配置部99は、バスバー凹部90Bbよりも上側に配置される。例えば、上側配置部99がバスバー凹部90Bb内に配置される場合、上側配置部99と第2バスバー本体部90Baとの間の絶縁距離が短くなる虞がある。これに対して、上側配置部99がバスバー凹部90Bbよりも上側に配置される場合、上側配置部99と第2バスバー本体部90Baとの間の絶縁距離を十分に確保することができる。
【0056】
第2バスバー本体部90Baにおけるバスバー凹部が配置される部分が、鋭角に屈曲する場合、第1延出部96Aが第2バスバー本体部90Ba上を通過するために必要な幅のバスバー凹部を設けると、第2バスバー本体部90Baにおけるバスバー凹部が配置される面積の割合が大きくなる。そのため、例えば、第2バスバー本体部90Baの周方向と直交する断面の面積を一様にしにくい等によって、第2バスバー本体部90Baの製造工程が複雑化する場合がある。
【0057】
これに対して、図3に示される構造では、第2バスバー本体部90Baにおけるバスバー凹部90Bbが配置される部分は、湾曲する。そのため、第2バスバー本体部90Baにおけるバスバー凹部90Bbが配置される部分が、鋭角に屈曲する場合に比べて、第2バスバー本体部90Baにおけるバスバー凹部90Bbが配置される面積を小さくできる。これにより、第2バスバー本体部90Baの製造が容易になる。
【0058】
図4に示すように、下側バスバーホルダ71は、下側に窪むホルダ凹部77を有する。バスバー凸部90Bcの少なくとも一部は、ホルダ凹部77内に配置される。そのため、バスバー凸部90Bcが設けられても、下側バスバーアッシー70の軸方向の寸法が増加することを抑制できる。
【0059】
図4では、バスバー凸部90Bcの全体は、ホルダ凹部77内に配置される。そのため、下側バスバーアッシー70が軸方向に長くなることを、より抑制できる。ホルダ凹部77の内部の形状は、バスバー凸部90Bcの形状と同じである。ホルダ凹部77には、バスバー凸部90Bcの全体が嵌め込まれる。
【0060】
下側バスバーホルダ71は、ホルダ凹部77と軸方向に重なる位置に、下側に突出するホルダ凸部76を有する。そのため、下側バスバーホルダ71における、バスバー凸部90Bcの下側に配置される部分において、軸方向の寸法を大きくできる。これにより、バスバー凸部90Bcを絶縁しやすい。ホルダ凸部76の径方向に視た形状は、矩形状である。
【0061】
図3に示すように、下側ホルダ筒部73は、下側に窪む筒部凹部73aを有する。図3および図4に示すように、筒部凹部73a内には、第1延出部96Aの一部が配置される。図3に示すように、外側周壁部75は、下側に窪む第1周壁部凹部75aおよび第2周壁部凹部75bを有する。第1周壁部凹部75aには、第1延出部96Aの一部が配置される。第2周壁部凹部75bには、第2延出部96Bの一部が配置される。
【0062】
第1延出部96Aは、筒部凹部73aおよび第1周壁部凹部75aを介して、第1バスバー本体部90Aaから外側周壁部75よりも径方向外側に延びる。そのため、軸方向において第1延出部96Aが第1バスバー本体部90Aaの位置よりも上側に大きく延ばす必要がなく、下側バスバーアッシー70を軸方向により短くでき、下側バスバーアッシー70を小型化することができる。
【0063】
第2延出部96Bは、第2周壁部凹部75bを介して、第2バスバー本体部90Baから外側周壁部75よりも径方向外側に延びる。そのため、軸方向において第2延出部96Bが第2バスバー本体部90Baの位置よりも上側に大きく延ばす必要がなく、下側バスバーアッシー70をより軸方向に短くすることができ、下側バスバーアッシー70を小型化できる。
【0064】
上側配置部を上側に延ばして第2バスバー本体部との絶縁距離を確保する場合に、モータが軸方向に長くなって大型化することを抑制する方法として、下側バスバーアッ
シー全体をステータ40に近づける方法がある。しかし、図3に示すように、下側バスバーホルダ71の下側には、コイル43が配置される。そのため、下側バスバーアッシー70とステータ40との軸方向の距離が小さくなると、コイル43のコイル端43bを這い回しにくい問題がある。
【0065】
これに対して、本実施形態によれば、バスバー凹部90Bbが設けられるため、上側配置部99を上側に延ばすことなく、上側配置部99と第2バスバー本体部90Baとの絶縁距離を確保できる。その結果、下側バスバーアッシー70をステータ40に近づけることなく、モータ10が軸方向に長くなりモータ10が大型化することを抑制できる。これにより、下側バスバーアッシー70とステータ40との軸方向の距離を適切に維持することができ、コイル端43bを容易に這い回すことができる。
【0066】
また、本実施形態のようにホルダ凸部76を設ける場合であっても、ホルダ凸部76は上側配置部99が配置される位置のみに部分的に設ければよい。そのため、モータ10の組立時において、コイル端43bを這い回す際に邪魔になりにくい。
【0067】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。以下の説明において上記説明と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
【0068】
下側バスバーアッシー70は、例えば、図5および図6に示す構成であってもよい。図5に示すように、上側配置部199の一部は、バスバー凹部90Bb内に配置される。そのため、上側配置部199を第2バスバー本体部90Baに、より近づけることができる。これにより、下側バスバーアッシー170を軸方向に短くでき、下側バスバーアッシー170を小さくできる。したがって、モータ10の軸方向の寸法を短くでき、モータ10を小型化できる。
【0069】
なお、この構成においては、上側配置部199の少なくとも一部が、バスバー凹部90Bb内に配置されてもよい。例えば、上側配置部199の全体が、バスバー凹部90Bb内に配置されてもよい。この場合、下側バスバーアッシー170を軸方向により短くすることができ、下側バスバーアッシー170全体を小型化できる。したがって、モータ10をより軸方向に小型化できる。
【0070】
図6に示すように、下側バスバーホルダ271は、下側バスバーホルダ271を軸方向に貫通するホルダ貫通孔277を有する。バスバー凸部90Bcの少なくとも一部は、ホルダ貫通孔277内に配置される。そのため、バスバー凸部90Bcが設けられても、下側バスバーアッシー270が軸方向に大きくなることを抑制できる。また、ホルダ凸部76が設けられないため、下側バスバーアッシー270の寸法が軸方向に長くなり、下側バスバーアッシー270が大型化することを抑制できる。
【0071】
バスバー凸部90Bcの全体は、ホルダ貫通孔277内に配置される。バスバー凸部90Bcの下端は、第1コイルサポート272の下端よりも上側に配置される。そのため、バスバー凹部90Bbおよびバスバー凸部90Bcが設けられても、下側バスバーアッシー270が軸方向に長くなって大型化することがなく、かつ、第1バスバー90Aと第2バスバー90Bとの間の絶縁を確保できる。
【0072】
ホルダ貫通孔277は、第1コイルサポート272に配置される。すなわち、ホルダ貫通孔277は、第1コイルサポート272を軸方向に貫通する孔である。ホルダ貫通孔277の内部の径方向に視た形状は、バスバー凸部90Bcとほぼ同様の形状である。
【0073】
なお、上側配置部99は、第1接続端子部98Aaの全体であってもよい。すなわち、上側配置部99が第1接続端子部98Aaの少なくとも一部であってもよい。また、上側配置部99は、第1延出部96Aの全体であってもよい。すなわち、上側配置部99が、第1延出部96Aの少なくとも一部であってもよい。
【0074】
第2バスバー本体部90Baでは、バスバー凸部90Bcが設けられる代わりに、バスバー凹部90Bbが配置される部分において、径方向の寸法が大きくなってもよい。例えば、この構成により、第2バスバー本体部90Baの周方向と直交する断面の面積を、バスバー凹部90Bbが配置される部分、およびバスバー凹部90Bbの周方向両側に配置される部分において一様としてもよい。
【0075】
ロータ30におけるロータコアの数は、1つであってもよい。モータ10は、例えば、アウターロータ型のモータであってもよい。
【0076】
上記の各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0077】
10 モータ、30 ロータ、31 シャフト、40 ステータ、43 コイル、43b コイル端、71 下側バスバーホルダ(バスバーホルダ)、76 ホルダ凸部、77 ホルダ凹部、90A 第1バスバー、90B 第2バスバー、99,199 上側配置部、277 ホルダ貫通孔、90Aa 第1バスバー本体部、90Ba 第2バスバー本体部、90Bb バスバー凹部、90Bc バスバー凸部、96A 第1延出部、96B 第2延出部、97A 第1接続部、97B 第2接続部、98A 第1接続端子部、98B 第2接続端子部、J 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6