特許第6755061号(P6755061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6755061採寸装置、採寸システム、採寸情報生成方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6755061
(24)【登録日】2020年8月27日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】採寸装置、採寸システム、採寸情報生成方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A41H 1/02 20060101AFI20200907BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20200907BHJP
   A61B 5/107 20060101ALN20200907BHJP
【FI】
   A41H1/02 Z
   G06T7/00 300F
   !A61B5/107 100
【請求項の数】12
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-209378(P2019-209378)
(22)【出願日】2019年11月20日
【審査請求日】2020年3月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390026147
【氏名又は名称】東英産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】來 慧
(72)【発明者】
【氏名】西里 尚浩
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特表2019−525853(JP,A)
【文献】 特開2016−123587(JP,A)
【文献】 特開2009−11734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41H 1/02
G06T 7/00
A61B 5/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被採寸者の身体的特徴に適合した被服を作製するための前記被採寸者の3次元仮想人体モデルの表面に位置する予め設定された複数の点それぞれの3次元座標を示す人体モデル情報を生成する採寸装置であって、
前記被採寸者を少なくとも予め設定された第1方向から撮影することにより得られる第1被採寸者画像から、前記被採寸者の第1輪郭を示す第1輪郭情報を生成し、前記第1方向に直交する予め設定された第2方向から撮影して得られる第2被採寸者画像から、前記被採寸者の第2輪郭を示す第2輪郭情報を生成する輪郭情報生成部と、
前記人体モデル情報を生成する人体モデル生成部と、
前記人体モデル情報で表される3次元仮想人体モデルを前記第1方向から見たときの第3輪郭上の予め設定された複数の第1評価点における前記第1輪郭と前記第3輪郭との差分量と、前記3次元仮想人体モデルを前記第2方向から見たときの第4輪郭上の予め設定された複数の第2評価点における前記第2輪郭と前記第4輪郭との差分量と、を算出する差分算出部と、
前記複数の第1評価点および前記複数の第2評価点それぞれにおける差分量と前記複数の第1評価点および前記複数の第2評価点それぞれについて予め設定された重み係数との積を算出し、算出した積の総和から前記3次元仮想人体モデルの前記身体的特徴の再現度を示す再現度評価指標値を算出する評価指標値算出部と、
前記再現度評価指標値に基づいて、前記被採寸者の前記被服の作製に用いる人体モデル情報を選定する選定部と、を備える、
採寸装置。
【請求項2】
前記重み係数は、前記被服について要求される前記被採寸者の身体の表面と前記被服との許容寸法差が小さいほど、大きくなるように設定される、
請求項1に記載の採寸装置。
【請求項3】
前記人体モデル生成部は、前記差分量に基づいて、前記人体モデル情報が表す前記3次元仮想人体モデルにおける関節角度と、前記複数の点それぞれの3次元座標の絶対位置と、を補正する、
請求項1または2に記載の採寸装置。
【請求項4】
少なくとも1つの主成分に対応する前記3次元仮想人体モデルの体格を決定する少なくとも1つの体格パラメータを記憶する体格パラメータ記憶部を更に備え、
前記人体モデル生成部は、前記体格パラメータ記憶部が記憶する前記少なくとも1つの体格パラメータに基づいて、前記人体モデル情報を生成する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の採寸装置。
【請求項5】
前記複数の点は、前記3次元仮想人体モデルを予め設定された基準平面に平行且つ3次元仮想人体モデルと交差する複数の仮想平面で切断して得られる断面の輪郭曲線と、前記輪郭曲線の重心から放射状に延在する複数の仮想直線と、の交点に相当し、
前記複数の仮想直線は、前記重心周りで隣り合う2つの仮想直線のなす角度が等しい、
請求項1から4のいずれか1項に記載の採寸装置。
【請求項6】
前記複数の点は、前記3次元仮想人体モデルを予め設定された基準平面に平行且つ3次元仮想人体モデルと交差する複数の仮想平面で切断して得られる断面の輪郭曲線と、前記輪郭曲線の重心から放射状に延在する複数の仮想直線と、の交点に相当し、
前記複数の仮想直線は、前記輪郭曲線の重心からの距離が長い点を通る仮想直線ほど、前記重心周りで隣り合う2つの仮想直線のなす角度が小さくなるように設定されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の採寸装置。
【請求項7】
前記輪郭情報生成部は、深度カメラを用いて前記被採寸者を前記第1方向から撮影することにより得られる第1被採寸者画像と、前記深度カメラを用いて前記被採寸者を前記第2方向から撮影して得られる第2被採寸者画像と、のそれぞれから、前記第1輪郭情報と前記第2輪郭情報とを生成する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の採寸装置。
【請求項8】
被採寸者の身体的特徴に適合した被服を作製するための前記被採寸者の採寸を実行する採寸システムであって、
撮影装置と、
前記撮影装置から、少なくとも予め設定された第1方向から前記被採寸者を撮影することにより得られる第1被採寸者画像から、前記被採寸者の第1輪郭を示す第1輪郭情報を生成し、前記第1方向に直交する予め設定された第2方向から前記被採寸者を撮影して得られる第2被採寸者画像から、前記被採寸者の第2輪郭を示す第2輪郭情報を生成する輪郭情報生成部と、
前記被採寸者の3次元仮想人体モデルの表面に位置する予め設定された複数の点それぞれの3次元座標を示す人体モデル情報を生成する人体モデル生成部と、
前記人体モデル情報で表される3次元仮想人体モデルを前記第1方向から見たときの第3輪郭上の予め設定された複数の第1評価点における前記第1輪郭と前記第3輪郭との差分量と、前記3次元仮想人体モデルを前記第2方向から見たときの第4輪郭上の予め設定された複数の第2評価点における前記第2輪郭と前記第4輪郭との差分量と、を算出する差分算出部と、
前記複数の第1評価点および前記複数の第2評価点それぞれにおける差分量と前記複数の第1評価点および前記複数の第2評価点それぞれについて予め設定された重み係数との積を算出し、算出した積の総和から前記3次元仮想人体モデルの前記身体的特徴の再現度を示す再現度評価指標値を算出する評価指標値算出部と、
前記再現度評価指標値に基づいて、前記被採寸者の前記被服の作製に用いる人体モデル情報を選定する選定部と、
前記選定部により選定された人体モデル情報に基づいて、前記被採寸者の身体的特徴を反映した採寸情報を生成する採寸情報生成部と、
前記採寸情報をユーザに通知する通知部と、を備える、
採寸システム。
【請求項9】
複数の人それぞれの実測寸法に基づいて生成された複数の3次元仮想人体モデルの表面に位置する予め設定された複数の点それぞれの3次元座標を示す複数種類の人体モデル情報を記憶する実寸情報記憶部と、
前記実寸情報記憶部が記憶する複数種類の人体モデル情報について、主成分分析を行うことにより少なくとも1つの主成分に対応する前記3次元仮想人体モデルの体格を決定する少なくとも1つの体格パラメータを特定する体格パラメータ特定部と、を更に備え、
前記人体モデル生成部は、前記体格パラメータ特定部により特定された前記少なくとも1つの体格パラメータに基づいて、前記人体モデル情報を生成する、
請求項8に記載の採寸システム。
【請求項10】
前記体格パラメータ特定部は、累積寄与率95%に含まれる主成分それぞれに対応する体格パラメータを特定する、
請求項9に記載の採寸システム。
【請求項11】
被採寸者の身体的特徴に適合した被服を作製するための前記被採寸者の3次元仮想人体モデルの表面に位置する予め設定された複数の点それぞれの3次元座標を示す人体モデル情報を生成する採寸情報生成方法であって、
少なくとも予め設定された第1方向から前記被採寸者を撮影することにより得られる第1被採寸者画像から、前記被採寸者の第1輪郭を示す第1輪郭情報を生成するステップと、
前記第1方向に直交する予め設定された第2方向から前記被採寸者を撮影して得られる第2被採寸者画像から、前記被採寸者の第2輪郭を示す第2輪郭情報を生成するステップと、
前記人体モデル情報を生成するステップと、
前記人体モデル情報で表される3次元仮想人体モデルを前記第1方向から見たときの第3輪郭上の予め設定された複数の第1評価点における前記第1輪郭と前記第3輪郭との差分量と、前記3次元仮想人体モデルを前記第2方向から見たときの第4輪郭上の予め設定された複数の第2評価点における前記第2輪郭と前記第4輪郭との差分量と、を算出するステップと、
前記複数の第1評価点および前記複数の第2評価点それぞれにおける差分量と前記複数の第1評価点および前記複数の第2評価点それぞれについて予め設定された重み係数との積を算出し、算出した積の総和から前記3次元仮想人体モデルの前記身体的特徴の再現度を示す再現度評価指標値を算出するステップと、
前記再現度評価指標値に基づいて、前記被採寸者の前記被服の作製に用いる人体モデル情報を選定するステップと、を含む、
採寸情報生成方法。
【請求項12】
コンピュータを、
少なくとも予め設定された第1方向から被採寸者を撮影することにより得られる第1被採寸者画像から、前記被採寸者の第1輪郭を示す第1輪郭情報を生成し、前記第1方向に直交する予め設定された第2方向から前記被採寸者を撮影して得られる第2被採寸者画像から、前記被採寸者の第2輪郭を示す第2輪郭情報を生成する輪郭情報生成部、
前記被採寸者の身体的特徴に適合した被服を作製するための前記被採寸者の3次元仮想人体モデルの表面に位置する予め設定された複数の点それぞれの3次元座標を示す人体モデル情報を生成する人体モデル生成部、
前記人体モデル情報で表される3次元仮想人体モデルを前記第1方向から見たときの第3輪郭上の予め設定された複数の第1評価点における前記第1輪郭と前記第3輪郭との差分量と、前記3次元仮想人体モデルを前記第2方向から見たときの第4輪郭上の予め設定された複数の第2評価点における前記第2輪郭と前記第4輪郭との差分量と、を算出する差分算出部、
前記複数の第1評価点および前記複数の第2評価点それぞれにおける差分量と前記複数の第1評価点および前記複数の第2評価点それぞれについて予め設定された重み係数との積を算出し、算出した積の総和から前記3次元仮想人体モデルの前記身体的特徴の再現度を示す再現度評価指標値を算出する評価指標値算出部、
前記再現度評価指標値に基づいて、前記被採寸者の前記被服の作製に用いる人体モデル情報を選定する選定部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採寸装置、採寸システム、採寸情報生成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
被測定者を撮影して得られる画像から被測定者の身体の各部のサイズを求める身体サイズ測定システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。この身体サイズ測定システムは、予め体形を特定するための多数の体形情報が保存されたデータベースを備え、被測定者の撮影画像から被測定者の正面と側面との身体画像情報を取得し、取得した身体画像情報に対応する体形情報をデータベースから取得する。そして、身体サイズ測定システムは、取得した体形情報から被測定者の身体の各部のサイズを求める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−51558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されているような、被測定者を撮影して得られる撮影画像から被測定者の身体の各部のサイズを求める技術を利用して、被測定者の被服を作製するための採寸を行う技術が提供されつつある。この場合、データベースに保存された多数の体形情報の中から、被測定者の被服の作製に適した体形情報を的確に選択することが要請される。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、ユーザの被服の作製に適した人体モデル情報を生成することができる採寸装置、採寸システム、採寸情報生成方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る採寸装置は、
被採寸者の身体的特徴に適合した被服を作製するための前記被採寸者の3次元仮想人体モデルの表面に位置する予め設定された複数の点それぞれの3次元座標を示す人体モデル情報を生成する採寸装置であって、
前記被採寸者を少なくとも予め設定された第1方向から撮影することにより得られる第1被採寸者画像から、前記被採寸者の第1輪郭を示す第1輪郭情報を生成し、前記第1方向に直交する予め設定された第2方向から撮影して得られる第2被採寸者画像から、前記被採寸者の第2輪郭を示す第2輪郭情報を生成する輪郭情報生成部と、
前記人体モデル情報を生成する人体モデル生成部と、
前記人体モデル情報で表される3次元仮想人体モデルを前記第1方向から見たときの第3輪郭上の予め設定された複数の第1評価点における前記第1輪郭と前記第3輪郭との差分量と、前記3次元仮想人体モデルを前記第2方向から見たときの第4輪郭上の予め設定された複数の第2評価点における前記第2輪郭と前記第4輪郭との差分量と、を算出する差分算出部と、
前記複数の第1評価点および前記複数の第2評価点それぞれにおける差分量と前記複数の第1評価点および前記複数の第2評価点それぞれについて予め設定された重み係数との積を算出し、算出した積の総和から前記3次元仮想人体モデルの前記身体的特徴の再現度を示す再現度評価指標値を算出する評価指標値算出部と、
前記再現度評価指標値に基づいて、前記被採寸者の前記被服の作製に用いる人体モデル情報を選定する選定部と、を備える。
【0007】
他の観点から見た本発明に係る採寸システムは、
被採寸者の身体的特徴に適合した被服を作製するための前記被採寸者の採寸を実行する採寸システムであって、
撮影装置と、
前記撮影装置から、少なくとも予め設定された第1方向から前記被採寸者を撮影することにより得られる第1被採寸者画像から、前記被採寸者の第1輪郭を示す第1輪郭情報を生成し、前記第1方向に直交する予め設定された第2方向から前記被採寸者を撮影して得られる第2被採寸者画像から、前記被採寸者の第2輪郭を示す第2輪郭情報を生成する輪郭情報生成部と、
前記被採寸者の3次元仮想人体モデルの表面に位置する予め設定された複数の点それぞれの3次元座標を示す人体モデル情報を生成する人体モデル生成部と、
前記人体モデル情報で表される3次元仮想人体モデルを前記第1方向から見たときの第3輪郭上の予め設定された複数の第1評価点における前記第1輪郭と前記第3輪郭との差分量と、前記3次元仮想人体モデルを前記第2方向から見たときの第4輪郭上の予め設定された複数の第2評価点における前記第2輪郭と前記第4輪郭との差分量と、を算出する差分算出部と、
前記複数の第1評価点および前記複数の第2評価点それぞれにおける差分量と前記複数の第1評価点および前記複数の第2評価点それぞれについて予め設定された重み係数との積を算出し、算出した積の総和から前記3次元仮想人体モデルの前記身体的特徴の再現度を示す再現度評価指標値を算出する評価指標値算出部と、
前記再現度評価指標値に基づいて、前記被採寸者の前記被服の作製に用いる人体モデル情報を選定する選定部と、
前記選定部により選定された人体モデル情報に基づいて、前記被採寸者の身体的特徴を反映した採寸情報を生成する採寸情報生成部と、
前記採寸情報をユーザに通知する通知部と、を備える。
【0008】
他の観点から見た本発明に係る採寸情報生成方法は、
被採寸者の身体的特徴に適合した被服を作製するための前記被採寸者の3次元仮想人体モデルの表面に位置する予め設定された複数の点それぞれの3次元座標を示す人体モデル情報を生成する採寸情報生成方法であって、
少なくとも予め設定された第1方向から前記被採寸者を撮影することにより得られる第1被採寸者画像から、前記被採寸者の第1輪郭を示す第1輪郭情報を生成するステップと、
前記第1方向に直交する予め設定された第2方向から前記被採寸者を撮影して得られる第2被採寸者画像から、前記被採寸者の第2輪郭を示す第2輪郭情報を生成するステップと、
前記人体モデル情報を生成するステップと、
前記人体モデル情報で表される3次元仮想人体モデルを前記第1方向から見たときの第3輪郭上の予め設定された複数の第1評価点における前記第1輪郭と前記第3輪郭との差分量と、前記3次元仮想人体モデルを前記第2方向から見たときの第4輪郭上の予め設定された複数の第2評価点における前記第2輪郭と前記第4輪郭との差分量と、を算出するステップと、
前記複数の第1評価点および前記複数の第2評価点それぞれにおける差分量と前記複数の第1評価点および前記複数の第2評価点それぞれについて予め設定された重み係数との積を算出し、算出した積の総和から前記3次元仮想人体モデルの前記身体的特徴の再現度を示す再現度評価指標値を算出するステップと、
前記再現度評価指標値に基づいて、前記被採寸者の前記被服の作製に用いる人体モデル情報を選定するステップと、を含む。
【0009】
他の観点から見た本発明に係るプログラムは、
コンピュータを、
少なくとも予め設定された第1方向から被採寸者を撮影することにより得られる第1被採寸者画像から、前記被採寸者の第1輪郭を示す第1輪郭情報を生成し、前記第1方向に直交する予め設定された第2方向から前記被採寸者を撮影して得られる第2被採寸者画像から、前記被採寸者の第2輪郭を示す第2輪郭情報を生成する輪郭情報生成部、
前記被採寸者の身体的特徴に適合した被服を作製するための前記被採寸者の3次元仮想人体モデルの表面に位置する予め設定された複数の点それぞれの3次元座標を示す人体モデル情報を生成する人体モデル生成部、
前記人体モデル情報で表される3次元仮想人体モデルを前記第1方向から見たときの第3輪郭上の予め設定された複数の第1評価点における前記第1輪郭と前記第3輪郭との差分量と、前記3次元仮想人体モデルを前記第2方向から見たときの第4輪郭上の予め設定された複数の第2評価点における前記第2輪郭と前記第4輪郭との差分量と、を算出する差分算出部、
前記複数の第1評価点および前記複数の第2評価点それぞれにおける差分量と前記複数の第1評価点および前記複数の第2評価点それぞれについて予め設定された重み係数との積を算出し、算出した積の総和から前記3次元仮想人体モデルの前記身体的特徴の再現度を示す再現度評価指標値を算出する評価指標値算出部、
前記再現度評価指標値に基づいて、前記被採寸者の前記被服の作製に用いる人体モデル情報を選定する選定部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、差分算出部が、人体モデル情報で表される3次元仮想人体モデルを第1方向から見たときの第3輪郭上の予め設定された複数の第1評価点における第1輪郭と第3輪郭との差分量と、3次元仮想人体モデルを第2方向から見たときの第4輪郭上の予め設定された複数の第2評価点における前記第2輪郭と前記第4輪郭との差分量と、を算出する。また、評価指標値算出部が、複数の第1評価点および複数の第2評価点それぞれにおける差分量と複数の第1評価点および複数の第2評価点それぞれについて予め設定された重み係数との積を算出し、算出した積の総和から3次元仮想人体モデルの身体的特徴の再現度を示す再現度評価指標値を算出する。そして、選定部が、再現度評価指標値に基づいて、被採寸者の被服の作製に用いる人体モデル情報を選定する。これにより、複数の第1評価点および第2評価点のうち、被服における特に被採寸者の身体的特徴を反映させる必要がある部分に対応する第1評価点および第2評価点に対応する重み係数を大きくすることにより、それらの部分について被採寸者の身体的特徴をより忠実に再現することができる。従って、被採寸者の被服の作製に適した人体モデル情報を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る採寸システムの概略構成図である。
図2】実施の形態に係る採寸装置および2つの端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】(A)は実施の形態に係る一方の端末装置の機能構成図であり、(B)は実施の形態に係る他方の端末装置の機能構成図である。
図4】実施の形態に係る採寸装置の機能構成を示すブロック図である。
図5】実施の形態に係る3次元仮想人体モデルの表面に位置する複数の点を示し、(A)は斜視図であり、(B)は一部の概略図である。
図6】実施の形態に係る採寸システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
図7】(A)は実施の形態に係る端末装置の操作画面画像の一例を示す図であり、(B)は実施の形態に係る端末装置の画面の一例を示す図である。
図8】実施の形態に係る採寸装置が実行する採寸情報生成処理の一例を示すフローチャートである。
図9】実施の形態に係る採寸装置が実行する採寸情報生成処理の一例を示すフローチャートである。
図10】変形例に係る3次元仮想人体モデルの表面に位置する複数の点の一部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る採寸システムについて、図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る採寸システムは、ユーザの身体的特徴に適合した被服を作製するためのユーザの採寸を実行するものである。この採寸システムは、撮影装置と、輪郭情報生成部と、人体モデル生成部と、差分算出部と、評価指標値算出部と、採寸情報生成部と、通知部と、を備える。輪郭情報生成部は、被採寸者を少なくとも予め設定された第1方向から撮影することにより得られる第1被採寸者画像から、被採寸者の第1輪郭を示す第1輪郭情報を生成し、第1方向に直交する予め設定された第2方向から撮影して得られる第2被採寸者画像から、被採寸者の第2輪郭を示す第2輪郭情報を生成する。人体モデル生成部は、ユーザの3次元仮想人体モデルの表面に位置する予め設定された複数の点それぞれの3次元座標を示す人体モデル情報を生成する。差分算出部は、人体モデル情報で表される3次元仮想人体モデルを第1方向から見たときの第3輪郭上の予め設定された複数の第1評価点における、前述の第1輪郭と第3輪郭との差分量と、3次元仮想人体モデルを第2方向から見たときの第4輪郭上の予め設定された複数の第2評価点における、前述の第2輪郭と第4輪郭との差分量と、を算出する。評価指標値算出部は、複数の第1評価点および複数の第2評価点それぞれにおける差分量と複数の第1評価点および複数の第2評価点それぞれについて予め設定された重み係数との積を算出する。そして、評価指標値算出部は、算出した積の総和から3次元仮想人体モデルのユーザの身体的特徴の再現度を示す再現度評価指標値を算出する。選定部は、再現度評価指標値に基づいて、被採寸者の被服の作製に用いる人体モデル情報を選定する。採寸情報生成部は、選定部が設定した人体モデル情報に基づいて、採寸情報を生成し、通知部は、採寸情報生成部が生成した採寸情報をユーザに通知する。
【0013】
本実施の形態に係る採寸システムは、図1に示すように、採寸装置1と、端末装置2、3と、を備える、採寸装置1と端末装置2、3とは、互いにネットワークNWを介して接続されている。ネットワークNWは、例えばインターネットのような広域ネットワークである。
【0014】
端末装置2は、例えばスマートフォンのような携帯端末であり、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)201と、主記憶部202と、補助記憶部203と、表示部204と、入力部205と、通信部206と、撮像部207と、各部を接続するバス209と、を有する。主記憶部202は、例えばRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリであり、CPU201の作業領域として使用される。補助記憶部203は、磁気ディスク、半導体メモリ等の不揮発性メモリであり、端末装置2の各種機能を実現するためのプログラムを記憶する。表示部204は、液晶ディスプレイ、有機ELパネル等を有し、CPU201から入力される情報を表示する。入力部205は、例えば表示部204に重ねて配置された透明なタッチパッドであり、ユーザにより操作されると操作内容に応じた操作情報をCPU201へ出力する。通信部206は、CPU201から入力される情報を、ネットワークNWを介して採寸装置1へ送信する。撮像部207は、例えば深度カメラを有し、深度カメラにより撮影して得られる撮影画像を示す撮影画像情報をCPU201へ出力する。ここで、撮影画像情報には、深度カメラから被採寸者の各部までの距離を示す深度情報が含まれる。
【0015】
CPU201は、補助記憶部203が記憶する前述のプログラムを主記憶部202に読み出して実行することにより、図3(A)に示すように、受付部211、表示制御部212、撮像制御部213および送信部215として機能する。また、図2に示す補助記憶部203は、図3(A)に示すように、撮像部207から入力される撮影画像情報を記憶する撮影画像記憶部231と、被採寸者に関する被採寸者情報を記憶する被採寸者情報記憶部232と、を有する。ここで、被採寸者情報は、被採寸者を識別する識別番号を示す被採寸者識別情報と、被採寸者の氏名を示す氏名情報と、被採寸者の身長を示す身長情報と、を含む。
【0016】
受付部211は、ユーザが入力部205に対して操作を行うと、入力部205から操作情報を受け付ける。表示制御部212は、撮像制御部213から撮影画像情報が入力されると、入力された撮影画像情報が示す撮影画像を表示部204に表示させる。撮像制御部213は、ユーザが入力部205に対して被写体を撮影する操作を行い、受付部211から撮影操作を示す操作情報が入力されると、撮像部207を制御して被採寸者を撮影する。そして、撮像制御部213は、撮像部207から被写体の撮影画像を示す撮影画像情報を取得し、取得した撮影画像情報を撮影画像記憶部231に記憶させる。また、撮像制御部213は、撮像部207から取得した撮影画像情報を表示制御部212へ出力する。被採寸者情報取得部214は、ユーザが入力部205に対して被採寸者の識別番号、氏名、身長等の情報を入力する操作を行い、受付部211から入力された各種情報を含む操作情報が入力されると、入力された各種情報を含む被採寸者情報を生成して被採寸者情報記憶部232に記憶させる。送信部215は、ユーザが入力部205に対して撮影画像情報および被採寸者情報を採寸装置1へ送信する操作を行い、受付部211から送信操作を示す操作情報が入力されると、撮影画像記憶部231が記憶する撮影画像情報と被採寸者情報記憶部232が記憶する被採寸者情報とを採寸装置1へ送信する。ここで、送信部215は、撮影画像情報を送信する場合、被採寸者情報に含まれる被採寸者識別情報を撮影画像情報に結合してから送信する。
【0017】
CPU201は、補助記憶部203が記憶する前述のプログラムを主記憶部202に読み出して実行することにより、図3(A)に示すように、受付部211、表示制御部212、撮像制御部213および送信部215として機能する。また、図2に示す補助記憶部203は、図3(A)に示すように、撮像部207から入力される撮影画像情報を記憶する撮影画像記憶部231を有する。
【0018】
受付部211は、ユーザが入力部205に対して操作を行うと、入力部205から操作情報を受け付ける。表示制御部212は、被服の採寸を行うための操作画面画像を表示部204に表示させる。撮像制御部213は、表示部204に前述の操作画面画像が表示された状態で、ユーザが入力部205に対して被写体を撮影する操作を行い、受付部211からその操作内容を示す操作情報が入力されると、撮像部207を制御して被写体を撮影する。そして、撮像制御部213は、撮像部207から被写体の撮影画像を示す撮影画像情報を取得し、取得した撮影画像情報を撮影画像記憶部231に記憶させる。また、撮像制御部213は、撮像部207から取得した撮影画像情報を表示制御部212へ出力する。このとき、表示制御部212は、撮像制御部213から撮影画像情報が入力されると、入力された撮影画像情報が示す撮影画像を前述の操作画面画像に合成して表示部204に表示させる。送信部215は、ユーザが入力部205に対して撮影画像情報を送信する操作を行い、受付部211から撮影画像情報の送信操作を示す操作情報が入力されると、撮影画像記憶部231が記憶する撮影画像情報を採寸装置1へ送信する。
【0019】
図2に戻って、端末装置3は、例えばパーソナルコンピュータであり、CPU301と、主記憶部302と、補助記憶部303と、表示部304と、入力部305と、通信部306と、各部を接続するバス309と、を有する。補助記憶部303は、端末装置3の各種機能を実現するためのプログラムを記憶する。表示部304は、液晶ディスプレイ、有機ELパネル等を有し、CPU301から入力される情報を表示する。入力部305は、例えばキーボードであり、ユーザにより操作されると操作内容に応じた操作情報をCPU301へ出力する。通信部306は、CPU301から入力される情報を、ネットワークNWを介して採寸装置1へ送信したり、採寸装置1からネットワークNWを介して受信した情報をCPU301へ出力したりする。
【0020】
CPU301は、補助記憶部303が記憶する前述のプログラムを主記憶部302に読み出して実行することにより、図3(B)に示すように、受付部311、表示制御部312および採寸情報取得部313として機能する。また、図2に示す補助記憶部303は、図3(B)に示すように、採寸装置1から取得した採寸情報を記憶する採寸情報記憶部331を有する。
【0021】
受付部311は、ユーザが入力部305に対して操作を行うと、入力部305から操作情報を受け付ける。表示制御部312は、ユーザが入力部305に対して採寸情報を表示部304に表示させるための操作を行い、受付部311からその操作内容を示す操作情報が入力されると、採寸情報記憶部331から採寸情報を取得して表示部304に表示させる。採寸情報取得部313は、採寸装置1に対して採寸情報の送信を要求する採寸情報要求情報を採寸装置1へ送信することにより、採寸装置1から採寸情報を取得する。ここで、採寸情報取得部313は、ユーザが入力部305に対して採寸情報を採寸装置1から取得するための操作を行い、受付部311からその操作内容を示す操作情報が入力されると、採寸情報要求情報を採寸装置1へ送信する。そして、採寸情報取得部313は、採寸装置1から採寸情報を取得すると、取得した採寸情報を採寸情報記憶部331に記憶させる。
【0022】
図2に戻って、採寸装置1は、例えばサーバ装置であり、CPU101と、主記憶部102と、補助記憶部103と、通信部106と、各部を接続するバス109と、を有する。補助記憶部103は、採寸装置1の各種機能を実現するためのプログラムを記憶する。通信部106は、CPU101から入力される情報を、ネットワークNWを介して端末装置3へ送信したり、端末装置2、3からネットワークNWを介して受信した情報をCPU101へ出力したりする。
【0023】
CPU101は、補助記憶部103が記憶する前述のプログラムを主記憶部102に読み出して実行することにより、図4に示すように、撮影画像取得部111、被採寸者情報取得部122、輪郭情報生成部112、人体モデル生成部113、仮想人体モデル輪郭抽出部114、差分算出部115、評価指標値算出部116、選定部117、サイズ選択部118、採寸情報生成部119、通知部120および体格パラメータ取得部121として機能する。また、図2に示す補助記憶部103は、図4に示すように、撮影画像記憶部131と被採寸者情報記憶部139と輪郭記憶部132と体格パラメータ記憶部133と人体モデル記憶部134と評価式記憶部135と被服サイズ記憶部136と採寸情報記憶部137とを有する。
【0024】
撮影画像記憶部131は、端末装置2から取得した撮影画像情報を記憶する。ここで、撮影画像記憶部131は、被採寸者の正面画像情報と側面画像情報とを、被採寸者を識別する被採寸者識別情報に対応づけて記憶する。ここで、正面画像情報は、被採寸者を正面から撮影することにより得られる第1被採寸者画像を示す情報であり、側面画像情報は、被採寸者を側方から撮影することにより得られる第2被採寸者画像を示す情報である。被採寸者情報記憶部139は、端末装置2から取得した被採寸者情報を、被採寸者情報に対応づけて記憶する。輪郭記憶部132は、正面画像情報が示す被採寸者の正面画像の第1輪郭を示す第1輪郭情報と、側面画像情報が示す被採寸者の側面画像の第2輪郭を示す第2輪郭情報と、を、被採寸者識別情報に対応づけて記憶する。第1輪郭情報としては、例えば被採寸者の正面画像情報が示す正面画像の二値化画像に基づいて算出された、被採寸者の輪郭部分からの距離を反映した情報を採用することができる。また、第2輪郭情報としては、例えば被採寸者の側面画像情報が示す側面画像の二値化画像に基づいて算出された、被採寸者の輪郭部分からの距離を反映した情報を採用することができる。
【0025】
体格パラメータ記憶部133は、3次元仮想人体モデルを生成するための体格パラメータを示す情報を記憶する。ここで、3次元仮想人体モデルは、予め設定された数の複数の三角パッチから構成されるサーフェスモデルである。人体モデル記憶部134は、3次元仮想人体モデルを示す人体モデル情報を記憶する。ここで、人体モデル情報は、例えば図5(A)に示すように、3次元仮想人体モデルを予め設定された基準平面に平行であり且つ3次元仮想人体モデルと交差する複数(例えば86枚)の仮想平面で切断して得られる断面の輪郭曲線OL1と、各輪郭曲線OL1の重心から放射状に延在する複数の仮想直線と、の交点に相当する複数の点P1それぞれの3次元座標を示す座標情報の集合である。ここで、図5(B)に示すように、複数の仮想直線VL1は、重心C1周りで隣り合う2つの仮想直線VL1のなす角度θ1が等しくなっている。なお、角度θ1は、例えば10度に設定される。この場合、1つの輪郭曲線OL1上に36個の点P1が設定される。
【0026】
評価式記憶部135は、被採寸者の3次元仮想人体モデルを正面から見たときの第3輪郭と第1輪郭との差分量と、被採寸者の3次元仮想人体モデルを側方から見たときの第4輪郭と第2輪郭との差分量と、から再現度評価指標値を算出するための再現度評価式を示す情報を記憶する。ここで、再現度評価式は、例えば下記式(1)で表される。
【0027】
【数1】
【0028】
ここで、Dは、再現度評価指標値を表し、C[i](iは正の整数)は、重み係数を表し、S[i]は、差分量を表す。また、iは、第3輪郭上の予め設定された複数の第1評価点または第4輪郭上の予め設定された複数の第2評価点それぞれを識別する識別番号を表し、Nは、第1評価点の数と第2評価点の数との総和に相当する数を表す。そして、評価式記憶部135は、複数の第1評価点および複数の第2評価点それぞれについて予め設定された重み係数C[i]を示す重み係数情報を記憶する。また、重み係数は、被服について要求される被採寸者の身体の表面と被服との許容寸法差が小さいほど、大きくなるように設定されている。例えば、被服の肩部分について被採寸者の身体の表面との許容寸法差が小さい、即ち、被服の肩部分をより被採寸者の身体にフィットさせる必要があるとする。この場合、第3輪郭、第4輪郭上における肩部分に対応する第1評価点および第2評価点に対応する重み係数が他の重み係数に比べて大きくなるように設定される。
【0029】
被服サイズ記憶部136は、被服のサイズを示す被服サイズ情報を、3次元仮想人体モデルにおける予め設定された部分の寸法の範囲を示す寸法範囲情報に対応づけて記憶する。採寸情報記憶部137は、被採寸者の被服サイズ情報と、被採寸者の3次元仮想人体モデルにおける予め設定された部分の寸法を示す寸法情報と、を含む採寸情報を、被採寸者を識別する被採寸者識別情報に対応づけて記憶する。
【0030】
撮影画像取得部111は、端末装置2から送信される撮影画像情報を取得する。そして、撮影画像取得部111は、取得した撮影画像情報を、被採寸者識別情報に対応づけて撮影画像記憶部131に記憶させる。被採寸者情報取得部122は、端末装置2から送信される被採寸者情報を取得する。そして、被採寸者情報取得部122は、取得した被採寸者情報を、被採寸者識別情報に対応づけて記憶する。
【0031】
輪郭情報生成部112は、被採寸者の正面画像情報と側面画像情報とに基づいて、前述の第1輪郭情報と前述の第2輪郭情報とを生成する。輪郭情報生成部112は、まず、被採寸者の正面画像、側面画像それぞれの撮影画像情報に含まれる深度情報に基づいて、被採寸者の正面画像および側面画像それぞれに含まれる被採寸者が写っている領域とそれ以外の領域とで二値化した二値化画像を生成する。次に、輪郭情報生成部112は、生成した被採寸者の正面画像の二値化画像に基づいて、被採寸者の輪郭部分からの距離値を反映した第1輪郭情報を生成する。また、輪郭情報生成部112は、被採寸者の側面画像の二値化画像に基づいて、被採寸者の輪郭部分からの距離値を反映した第2輪郭情報を生成する。ここで、距離値としては、例えば、二値画像を構成する各画素について、その画素から被採寸者の輪郭部分に位置する複数の画素の中で最も近くに位置する画素までの間の距離を示す値が採用される。
【0032】
体格パラメータ取得部121は、体格パラメータ特定装置4へ体格パラメータ要求情報を送信することにより、体格パラメータ特定装置4から体格パラメータ情報を取得する。体格パラメータ取得部121は、取得した体格パラメータ情報を体格パラメータ記憶部133に記憶させる。
【0033】
人体モデル生成部113は、体格パラメータ記憶部133が記憶する人体モデル表現式を示す情報を参照して、被採寸者の3次元人体モデルを示す人体モデル情報を生成する。具体的には、人体モデル生成部113は、式(6)に示す人体モデル表現式における重み係数を設定することにより、3次元仮想人体モデルの表面の複数の頂点の3次元座標の集合である人体モデル情報を生成する。また、人体モデル生成部113は、後述する差分算出部115により算出される差分量に基づいて、人体モデル情報が表す3次元仮想人体モデルにおける関節角度と、人体モデル情報を構成する予め設定された数の複数の頂点の3次元座標それぞれの絶対位置と、を補正する。このとき、人体モデル生成部113は、例えば3次元仮想人体モデルにおける両脇近傍の関節並びに股関節の4箇所それぞれにおいて予め設定された1つの回転軸周りに回転させることにより関節角度を補正する。なお、人体モデル生成部113が3次元仮想人体モデルにおける関節角度を補正する際の補正対象となる関節の数は、4つに限定されるものではなく、5つ以上であってもよいし、3つ以下であってもよい。また、人体モデル生成部113が3次元仮想人体モデルにおける関節角度を補正する際に回転させる関節の回転軸の数は、1つに限定されるものではなく、2つ以上であってもよい。
【0034】
仮想人体モデル輪郭抽出部114は、人体モデル記憶部134が記憶する人体モデル情報で表される三次元仮想人体モデルを正面から見たときの第3輪郭と、三次元仮想人体モデルを側方から見たときの第4輪郭と、を抽出する。
【0035】
差分算出部115は、前述の第3輪郭上の予め設定された複数の第1評価点における、前述の第1輪郭と第3輪郭との差分量と、前述の第4輪郭上の予め設定された複数の第2評価点における、前述の第2輪郭と第4輪郭との差分量と、を算出する。具体的には、差分算出部115は、輪郭記憶部132が記憶する第1輪郭からの距離値を反映した第1輪郭情報を参照して、第3輪郭上の複数の第1評価点それぞれにおける第1輪郭情報が示す距離値を差分量として算出する。また、差分算出部115は、輪郭記憶部132が記憶する第2輪郭からの距離値を反映した第2輪郭情報を参照して、第4輪郭上の複数の第2評価点それぞれにおける第2輪郭情報が示す距離値を差分量として算出する。
【0036】
評価指標値算出部116は、評価式記憶部135が記憶する重み係数情報を参照して、前述の式(1)で表される再現度評価式を用いて再現度評価指標値を算出する。具体的には、評価指標値算出部116は、まず、複数の第1評価点および複数の第2評価点それぞれにおける差分量と、複数の第1評価点および複数の第2評価点それぞれについて設定された重み係数と、の積を算出する。そして、評価指標値算出部116は、算出した積の総和から3次元仮想人体モデルの身体的特徴の再現度を示す再現度評価指標値を算出する。
【0037】
選定部117は、評価指標値算出部116が算出した再現度評価指標値に基づいて、被採寸者の被服の作製に用いる人体モデル情報を選定する。具体的には、選定部117は、
まず、再現度評価指標値が少なくとも2回算出されたか否かを判定し、少なくとも2回再現度評価指標値が算出されたと判定すると、直近の2回分の再現度評価指標値の差分に相当する指標値変化量を算出する。そして、選定部117は、算出した指標値変化量が予め設定された閾値以下か否かを判定し、指標値変化量が閾値以下であると判定すると、直近に算出した再現度評価指標値に対応する人体モデル情報を選定する。
【0038】
サイズ選択部118は、被服サイズ記憶部136が記憶する被服サイズ情報を参照して、選定部により選定された人体モデル情報が示す3次元仮想人体モデルにおける予め設定された部分の寸法情報に基づいて、被採寸者の被服サイズを示す被服サイズ情報を選択する。
【0039】
採寸情報生成部119は、被採寸者の被服サイズ情報と、被採寸者の3次元仮想人体モデルにおける予め設定された部分の寸法を示す寸法情報と、を含む採寸情報を生成する。そして、採寸情報生成部119は、生成した採寸情報を、被採寸者を識別する被採寸者識別情報に対応づけて採寸情報記憶部137に記憶させる。通知部120は、端末装置3から採寸情報要求情報を受信すると、受信した採寸情報要求情報に対応する採寸情報を採寸情報記憶部137から取得する。そして、通知部120は、取得した採寸情報を採寸情報要求情報の送信元の端末装置3へ送信することにより、採寸情報をユーザに通知する。
【0040】
図2に戻って、体格パラメータ特定装置4は、例えばサーバ装置であり、CPU401と、主記憶部402と、補助記憶部403と、通信部406と、各部を接続するバス409と、を有する。補助記憶部403は、体格パラメータ特定装置4の各種機能を実現するためのプログラムを記憶する。通信部406は、CPU401から入力される情報を、ネットワークNWを介して採寸装置1へ送信する。
【0041】
CPU401は、補助記憶部403が記憶する前述のプログラムを主記憶部402に読み出して実行することにより、図4に示すように、体格パラメータ特定部411および体格パラメータ送信部412として機能する。また、図2に示す補助記憶部403は、図4に示すように、実寸情報記憶部431を有する。
【0042】
実寸情報記憶部431は、複数の人それぞれの実測寸法に基づいて生成された複数の3次元仮想人体モデルの表面に位置する予め設定された複数の点それぞれの3次元座標を示す複数種類の人体モデル情報を記憶する。この複数種類の3次元仮想人体モデルは、それぞれ、予め設定された頂点数を有し、同一幾何学的構造の形状を有する。また、3次元仮想人体モデルは、例えば複数の人それぞれをボディラインスキャナ(例えば、C9036−02 浜松ホトニクス社製)で計測して得られる複数種類の人体形状データから構築される。具体的には、まず、複数の三角パッチそれぞれの頂点の3次元座標情報から構成される人体形状データに対して、例えば3次元Thin−Plate−Splineを用いた人体形状の非剛性レジストレーションを行う。これにより、人体形状データを、例えば前述の図5(A)に示すような、3次元仮想人体モデルを予め設定された基準平面に平行であり且つ3次元仮想人体モデルと交差する複数の仮想平面で切断して得られる断面の輪郭曲線OL1と、各輪郭曲線OL1の重心から放射状に延在する複数の仮想直線と、の交点に相当する複数の点P1それぞれの3次元座標を示す座標情報に変換する。次に、非構成レジストレーションにより生成された複数の点P1それぞれを頂点とする複数の三角パッチそれぞれの法線ベクトル方向での頂点位置の調整を行うことにより、複数種類の3次元仮想人体モデルが生成される。
【0043】
体格パラメータ特定部411は、実寸情報記憶部431が記憶する複数種類の人体モデル情報に基づいて、3次元仮想人体モデルの体格を決定する少なくとも1つの体格パラメータを特定する。ここで、体格パラメータ特定部411は、複数種類の人体モデル情報について、主成分分析を行うことにより少なくとも1つの主成分に対応する体格パラメータを特定する。具体的には、体格パラメータ特定部411は、まず、複数種類の人体モデル情報それぞれが示す3次元仮想人体モデルの平均モデルを特定する。即ち、体格パラメータ特定部411は、下記式(2)に示す関係式を用いて、複数種類の3次元仮想人体モデルそれぞれの各頂点における平均3次元座標を各頂点の3次元座標とする3次元仮想人体モデルの人体モデル情報を生成する。ここで、人体モデル情報は、3次元仮想人体モデルの頂点の3次元座標を要素とする1次元の人体モデルベクトルを示す情報を表す。
【0044】
【数2】
【0045】
ここで、Nは、複数種類の3次元仮想人体モデルの種類数を示す。また、xは、複数種類の3次元仮想人体モデルそれぞれに対応する人体モデルベクトルを表す。更に、xaveは、複数種類の3次元仮想人体モデルそれぞれに対応する人体モデルベクトルの平均ベクトルを表す。即ち、3次元仮想人体モデルの頂点数がKであり、各頂点が3次元座標(xjk,yjk,zjk)で表されるとすると、xは、下記式(3)の関係式で表される。
【0046】
【数3】
【0047】
次に、体格パラメータ特定部411は、複数種類の3次元仮想人体モデルそれぞれに対応する人体モデルベクトルと前述の平均ベクトルとの差分ベクトルを算出し、算出した差分ベクトルに基づいて主成分分析を実行する。具体的には、体格パラメータ特定部411は、まず、下記式(4)で表される主成分分析用行列Mを算出する。
【0048】
【数4】
【0049】
なお、式(4)において、N、x、xaveは、式(2)および(3)における意味と同様である。次に、体格パラメータ特定部411は、式(5)の関係式を用いて、固有値を算出し、固有値の大きさに基づいて主成分を特定する。
【0050】
【数5】
【0051】
ここで、eは、固有ベクトルを示し、λは、固有ベクトルeに対応する固有値を示す。そして、体格パラメータ特定部411は、算出した固有値の大きい順に固有ベクトルを選択する。ここで、体格パラメータ特定部411は、複数の固有ベクトルの中から、それらの累積寄与率が95%に含まれる主成分それぞれに対応する固有ベクトルを特定する。そして、体格パラメータ特定部411は、選択した固有ベクトルを用いて、下記式(6)で表される3次元仮想人体モデルを表す人体モデル表現式を示す情報を生成して、体格パラメータ記憶部133に記憶させる。
【0052】
【数6】
【0053】
ここで、e、e、・・・、eは、それぞれ、累積寄与率が95%に含まれる主成分それぞれに対応する固有ベクトルを表し、b、b、・・・、bは、各固有ベクトルに対応する重み係数を示す。また、xは、式(6)を用いて算出される統計的人体モデルに対応する人体モデルベクトルを示す。本実施の形態では、平均ベクトルと、選択された少なくとも1つの固有ベクトルとが、体格パラメータに相当する。
【0054】
体格パラメータ送信部412は、採寸装置1から体格パラメータ要求情報を受信すると、体格パラメータ特定部411が特定した体格パラメータを示す体格パラメータ情報を採寸装置1へ送信する。
【0055】
次に、本実施の形態に係る採寸システムの動作について図6を参照しながら説明する。まず、ユーザが、端末装置2に対して被採寸者の正面画像と側面画像とを撮影するための操作を行うと、端末装置2が、被採寸者の正面画像と側面画像とを撮影する(ステップS1)。ここで、ユーザは、端末装置2を使用して、少なくとも1種類の正面画像と少なくとも1種類の側面画像とを撮影する。ユーザが、端末装置2を使用して、複数種類の正面画像を撮影する場合、被採寸者が複数種類の姿勢をとった状態でそれぞれの正面画像を撮影すればよい。例えば、ユーザは、被採寸者が鉛直方向に対する腕の角度が互いに異なる2種類の姿勢をとった状態それぞれについて正面画像を撮影することにより2種類の正面画像を得ることができる。ここで、例えば被採寸者の鉛直方向に対する腕の角度が比較的小さい場合、被採寸者の肩の形状が強調された正面画像を得ることができる。一方、被採寸者の鉛直方向に対する腕の角度が比較的大きい場合、被採寸者の胴部分の形状が強調された正面画像を得ることができる。そして、端末装置2は、被採寸者の少なくとも1種類の正面画像それぞれを示す撮影画像情報と少なくとも1種類の側面画像それぞれを示す撮影画像情報とを生成する。また、ユーザが、例えば図7(A)に示すような操作画面画像GA1が端末装置2の表示部204に表示されている状態で、端末装置2に対して被採寸者の識別番号、氏名、身長等の採寸者に関する情報を入力する操作を行ったとする。ここで、操作画面画像GA1は、被採寸者の識別番号、被採寸者を撮影した日付、被採寸者の氏名および被採寸者の身長を入力する入力欄B11、B12、B13、B14を有する。そして、ユーザは、端末装置2の入力部205における各入力欄B11、B12、B13、B14に対応する部分をタッチすることにより被採寸者に関する各種情報を入力することができる。また、操作画面画像GA1には、被採寸者の正面画像GAF1と側面画像GAS1とが合成された部分を有する。図6に戻って、端末装置2は、前述のように被採寸者に関する各種情報が入力されると、これらの各種情報を含む被採寸者情報を生成する(ステップS2)。
【0056】
次に、ユーザが、端末装置2に対して被採寸者の正面画像と側面画像とを示す撮影画像情報および被採寸者情報を送信するための操作を行うと、生成された撮影画像情報および被採寸者情報が、端末装置2から採寸装置1へ送信される(ステップS3)。ここで、撮影画像情報は、少なくとも1種類の正面画像と少なくとも1種類の側面画像とを示す。
【0057】
一方、採寸装置1は、撮影画像情報を受信すると、受信した撮影画像情報に含まれる深度情報に基づいて、前述の第1輪郭情報および第2輪郭情報を生成する(ステップS4)。ここで、採寸装置1は、少なくとも1種類の正面画像それぞれに対応する第1輪郭情報と少なくとも1種類の側面画像それぞれに対応する第2輪郭情報とを生成する。例えば、採寸装置1は、2種類の正面画像を示す撮影画像情報を受信した場合、2種類の正面画像それぞれに対応する2種類の第1輪郭情報を生成する。また、採寸装置1は、例えば撮影画像に含まれる被採寸者が写っている領域とそれ以外の領域とで二値化した画像から、第1輪郭情報および第2輪郭情報を生成する。続いて、採寸装置1は、被採寸者情報に基づいて、少なくとも1種類の人体モデル情報を生成する(ステップS5)。ここで、採寸装置1は、被採寸者の姿勢の種類数と同数の種類数の人体モデル情報を生成する。例えば、ユーザが、端末装置2を使用して、被採寸者が前述のように2種類の姿勢をとった状態それぞれについて正面画像を撮影したとする。この場合、採寸装置1は、2種類の正面画像それぞれを示す撮影画像情報を、端末装置2から受信し、受信した2種類の正面画像それぞれに対応する2種類の被採寸者の姿勢それぞれに応じた2種類の人体モデル情報を生成する。その後、採寸装置1は、生成した少なくとも1種類の人体モデル情報それぞれが示す少なくとも1種類の3次元仮想人体モデルについて、正面から見たときの第3輪郭および側方から見たときの第4輪郭を抽出する(ステップS6)。
【0058】
次に、採寸装置1は、第3輪郭上の予め設定された複数の第1評価点における、前述の第1輪郭と第3輪郭との差分量と、第4輪郭上の予め設定された複数の第2評価点における、前述の第2輪郭と第4輪郭との差分量と、を算出する(ステップS7)。続いて、採寸装置1は、前述の式(1)を用いて、算出した差分量から再現度評価指標値を算出する(ステップS8)。その後、採寸装置1は、選定部117は、評価指標値算出部116が過去の直前に算出した人体モデル情報についての再現度評価指標値との差分に相当する指標値変化量が閾値以下であると判定したとする(ステップS9)。この場合、採寸装置1は、直近に生成した人体モデル情報を選定する(ステップS10)。
【0059】
次に、採寸装置1は、被服サイズ記憶部136が記憶する被服サイズ情報の中から、選定された人体モデル情報に基づいて、被採寸者の被服サイズを示す被服サイズ情報を選択する(ステップS11)。続いて、採寸装置1は、被採寸者の被服サイズ情報と、被採寸者の3次元仮想人体モデルにおける予め設定された部分の寸法を示す寸法情報と、を含む採寸情報を生成し、生成した採寸情報を採寸情報記憶部137に記憶させる(ステップS12)。
【0060】
その後、ユーザが、端末装置3に対して採寸装置1から採寸情報を取得するための操作を行ったとする。この場合、採寸装置1に対して採寸情報の送信を要求する採寸情報要求情報が、端末装置3から採寸装置1へ送信される(ステップS13)。一方、採寸装置1は、採寸情報記憶部137が記憶する採寸情報の中から、採寸情報要求情報を受信すると、受信した採寸情報要求情報に対応する採寸情報を特定する(ステップS14)。次に、特定された採寸情報が、採寸装置1から端末装置3へ送信される(ステップS15)。一方、端末装置3は、採寸情報を受信すると、受信した採寸情報を表示部304に表示させる(ステップS16)。このとき、端末装置3は、例えば図7(B)に示すような複数の被採寸者それぞれの被服サイズ情報(「Size」)、被採寸者の肩幅(「Overarm」)、胸囲(「Bust」)、胴囲(「Waist」)それぞれを示す情報を、被採寸者の識別番号(「ID」)、被採寸者を撮影した日付(「Date」)、氏名(「Name」)に対応づけて、表示部304に表示させる。
【0061】
次に、本実施の形態に係る採寸装置1が実行する採寸情報生成処理について図8および図9を参照しながら説明する。この採寸情報生成処理は、採寸装置1へ電源が投入された後、採寸装置1において採寸情報生成処理を実行するための操作が行われたことを契機として開始される。
【0062】
まず、撮影画像取得部111が、端末装置2から撮影画像情報を取得するとともに、被採寸者情報取得部122が、端末装置2から被採寸者情報を取得したか否かを判定する(ステップS101)。ここで、撮影画像情報は、ユーザは、端末装置2を使用して被採寸者を撮影することにより得られる、少なくとも1種類の正面画像と少なくとも1種類の側面画像とを示す。撮影画像取得部111が、撮影画像情報を取得していない、或いは、被採寸者情報取得部122が、被採寸者情報を取得していないと判定すると(ステップS101:No)、後述するステップS114の処理が実行される。一方、撮影画像取得部111が、撮影画像情報を取得するとともに、被採寸者情報取得部122が、端末装置2から被採寸者情報を取得したと判定したとする(ステップS101:Yes)。この場合、輪郭情報生成部112は、被採寸者の正面画像情報が示す正面画像の第1輪郭を示す第1輪郭情報と、被採寸者を側方から撮影して得られる側面画像の第2輪郭を示す第2輪郭情報と、を生成する(ステップS102)。ここで、輪郭情報生成部112は、まず、被採寸者の正面画像、側面画像それぞれの撮影画像情報に含まれる深度情報に基づいて、被採寸者の正面画像および側面画像それぞれに含まれる被採寸者が写っている領域とそれ以外の領域とで二値化した二値化画像を生成する。次に、輪郭情報生成部112は、生成した被採寸者の正面画像の二値化画像に基づいて、被採寸者の輪郭部分からの距離を反映した第1輪郭情報を生成する。また、輪郭情報生成部112は、被採寸者の側面画像の二値化画像に基づいて、被採寸者の輪郭部分からの距離を反映した第2輪郭情報を生成する。
【0063】
次に、人体モデル生成部113は、体格パラメータ記憶部133が記憶する人体モデル表現式を示す情報を参照して、被採寸者の3次元人体モデルを示す人体モデル情報を生成する(ステップS103)。ここで、人体モデル生成部113は、被採寸者の姿勢の種類数と同数の種類数の被採寸者を表す3次元人体モデルの人体モデル情報を生成する。人体モデル生成部113は、人体モデル情報を生成する際、まず、例えば前述の式(6)で表される人体モデルベクトルにおける重み係数bj(j=0、1、2、・・・)を全て0に設定して人体モデルベクトルを表す人体モデル情報を生成する。その後、人体モデル生成部113は、後述する再現度評価指標値が小さくなるように、重み係数bj(j=0、1、2、・・・)を変更しながら新たな人体モデルベクトルを表す人体モデル情報を生成する。また、人体モデル生成部113は、差分算出部115により算出される差分量に基づいて、人体モデル情報が表す3次元仮想人体モデルにおける関節角度と、人体モデル情報を構成する各頂点の3次元座標の絶対位置と、を補正する。そして、人体モデル生成部113は、生成した複数の人体モデル情報を人体モデル記憶部134に記憶させる。
【0064】
続いて、仮想人体モデル輪郭抽出部114は、人体モデル記憶部134が記憶する複数の人体モデル情報それぞれが表す3次元仮想人体モデルを正面から見たときの第3輪郭と、3次元仮想人体モデルを側方から見たときの第4輪郭と、を抽出する(ステップS104)。
【0065】
その後、差分算出部115は、前述の第3輪郭上の予め設定された複数の第1評価点における、前述の第1輪郭と第3輪郭との差分量と、前述の第4輪郭上の予め設定された複数の第2評価点における、前述の第2輪郭と第4輪郭との差分量と、を算出する(ステップS105)。
【0066】
次に、人体モデル生成部113は、差分算出部115により算出される差分量に基づいて、人体モデル情報が表す3次元仮想人体モデルにおける関節角度と、人体モデル情報が示す3次元仮想人体モデルの絶対位置と、を補正する(ステップS106)。続いて、差分算出部115は、再度、複数の第1評価点における第1輪郭と第3輪郭との差分量と、複数の第2評価点における第2輪郭と第4輪郭との差分量と、を算出する(ステップS107)。
【0067】
その後、評価指標値算出部116は、評価式記憶部135が記憶する重み係数情報を参照して、複数の人体モデル情報それぞれについて、実施の形態で説明した式(1)を用いて再現度評価指標値を算出する(ステップS108)。続いて、選定部117は、過去に少なくとも2回再現度評価指標値が算出されたか否かを判定する(ステップS109)。選定部117が、1回だけ再現度評価指標値を算出したと判定すると(ステップS109:No)、再びステップS103の処理が実行される。一方、選定部117が、過去に少なくとも2回再現度評価指標値を算出したと判定すると(ステップS109:Yes)、直近の2回分の再現度評価指標値の差分に相当する指標値変化量を算出する(ステップS110)。
【0068】
その後、選定部117は、算出した指標値変化量が予め設定された閾値以下か否かを判定する(ステップS111)。選定部117により指標値変化量が予め設定された閾値を超えていると判定されると(ステップS111:No)、再びステップS103の処理が実行される。
【0069】
一方、選定部117は、指標値変化量が閾値以下であると判定されると(ステップS111:Yes)、直近に算出した再現度評価指標値に対応する人体モデル情報を選定する。そして、サイズ選択部118は、被服サイズ記憶部136が記憶する被服サイズ情報を参照して、選定部117により選定された人体モデル情報が示す3次元仮想人体モデルにおける予め設定された部分の寸法情報に基づいて、被採寸者の被服サイズを示す被服サイズ情報を選択する(ステップS112)。
【0070】
その後、採寸情報生成部119は、被採寸者の被服サイズ情報と、被採寸者の3次元仮想人体モデルにおける予め設定された部分の寸法を示す寸法情報と、を含む採寸情報を生成する。そして、採寸情報生成部119は、生成した採寸情報を、被採寸者を識別する被採寸者識別情報に対応づけて採寸情報記憶部137に記憶させる(ステップS113)。
【0071】
次に、図9に示すように、通知部120は、端末装置3から採寸情報要求情報を受信したか否かを判定する(ステップS114)。通知部120が、採寸情報要求情報を受信していないと判定すると(ステップS114:No)、再びステップS101の処理が実行される。一方、通知部120が、採寸情報要求情報を受信したと判定すると(ステップS114:Yes)、採寸情報記憶部137が記憶する採寸情報の中から、受信した採寸情報要求情報に対応する採寸情報を特定する(ステップS115)。続いて、通知部120は、取得した採寸情報を採寸情報要求情報の送信元の端末装置3へ送信する(ステップS116)。その後、再びステップS101の処理が実行される。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態に係る採寸システムでは、差分算出部115が、人体モデル情報で表される3次元仮想人体モデルを正面から見たときの第3輪郭上の複数の第1評価点における、第1輪郭と第3輪郭との差分量と、3次元仮想人体モデルを側方から見たときの第4輪郭上の複数の第2評価点における、第2輪郭と前記第4輪郭との差分量と、を算出する。また、評価指標値算出部116が、複数の第1評価点および複数の第2評価点それぞれにおける差分量と複数の第1評価点および複数の第2評価点それぞれについて重み係数との積を算出し、算出した積の総和から再現度評価指標値を算出する。そして、選定部117が、再現度評価指標値に基づいて、被採寸者の被服の作製に用いる人体モデル情報を選定する。これにより、複数の第1評価点および第2評価点のうち、被服における特に被採寸者の身体的特徴を反映させる必要がある部分に対応する第1評価点および第2評価点に対応する重み係数を大きくすることにより、それらの部分について被採寸者の身体的特徴をより忠実に再現することができる。従って、被採寸者の被服の作製に適した人体モデル情報を生成することができる。
【0073】
また、本実施の形態に係る再現度評価式に含まれる重み係数は、被服について要求される被採寸者の身体の表面と被服との許容寸法差が小さいほど、大きくなるように設定される。これにより、被服の特性に応じて重み係数を変更することができるので、被服の特性に応じた採寸が可能となる。
【0074】
更に、本実施の形態に係る人体モデル生成部113は、差分算出部115により算出される差分量に基づいて、人体モデル情報が表す3次元仮想人体モデルにおける関節角度および3次元仮想人体モデルの表面に位置する複数の点それぞれの3次元座標の絶対位置と、を補正する。これにより、被採寸者の身体的特徴をより忠実に再現した3次元人体モデルを示す人体モデル情報を生成することができるので、被採寸者の被服の作製に適した人体モデル情報を生成することができる。
【0075】
また、本実施の形態に係る体格パラメータ特定部411は、実寸情報記憶部431が記憶する複数種類の人体モデル情報について、主成分分析を行うことにより前述の少なくとも1つの固有ベクトルを特定する。ここで、体格パラメータ特定部411は、累積寄与率95%に含まれる主成分それぞれに対応する少なくとも1つの固有ベクトルを特定する。そして、人体モデル生成部113は、前述の少なくとも1つの固有ベクトルを含む人体モデル表現式を用いて、人体モデル情報を生成する。これにより、複数の3次元仮想人体モデルを示す人体モデル情報を比較的高速に生成することができるので、撮影画像情報を取得してから採寸情報を生成するまでの時間を短縮することができる。
【0076】
更に、本実施の形態に係る3次元仮想人体モデルの表面に位置する複数の点は、3次元仮想人体モデルを予め設定された基準平面に平行であり且つ3次元仮想人体モデルと交差する複数の仮想平面で切断して得られる断面の輪郭曲線と、輪郭曲線の重心から放射状に延在する複数の仮想直線と、の交点に相当する。そして、複数の仮想直線は、輪郭曲線の重心周りで隣り合う2つの仮想直線のなす角度が等しい。これにより、複数の点の3次元位置座標を示す座標情報を比較的容易に生成することができる。
【0077】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、図10に示すように3次元仮想人体モデルと交差する複数の仮想平面で切断して得られる断面の輪郭曲線OL2の重心C2から放射状に延在する複数の仮想直線VL2が、重心C2からの距離が長い点P2を通る仮想直線VL2ほど、重心C2周りで隣り合う2つの仮想直線VL2のなす角度が小さくなるように設定されているものであってもよい。例えば点P2b1、P2b2は、点P2a1、P2a2に比べて、重心C2からの距離が長い。そして、点P2b1、P2b2を通る仮想直線VL2b1、VL2b2のなす角度θ22は、点P2a1、P2a2を通る仮想直線VL2a1、VL2a2のなす角度θ21に比べて小さい。
【0078】
本構成によれば、輪郭曲線上における重心からの距離が長い部分と短い部分とで輪郭曲線上に設定される点の密度を均等にすることができるので、3次元仮想人体モデルをより忠実に再現できる。
【0079】
実施の形態では、輪郭情報生成部112が、深度カメラを用いて、被採寸者を正面から撮影することにより得られる正面画像および側面画像に基づいて、前述の第1輪郭情報と第2輪郭情報とを生成する例について説明した、但し、これに限らず、例えば輪郭情報生成部112が、いわゆるGrabCut法を利用して、被採寸者を正面から撮影することにより得られる背景画像を含む正面画像と、被採寸者を側方から撮影して得られる側面画像と、のそれぞれから、被採寸者の正面の輪郭と側面の輪郭とを特定して、第1輪郭情報および第2輪郭情報を生成するものであってもよい。この場合、輪郭情報生成部112は、被採寸者が写っている領域と背景画像の領域との間の境界部分を大まかに特定した後、境界部分の色分布に基づいて、被採寸者が写っている領域と背景画像の領域との境界部分を算出する。次に、輪郭情報生成部112は、新たに算出した境界部分を挟んだ両側における色分布に基づいて、再度、境界部分を算出する。そして、輪郭情報生成部112は、このような境界部分の算出を繰り返し実行することにより、被採寸者が写っている領域と背景画像の領域との境界部分を特定し、特定した境界部分に基づいて第1輪郭情報および第2輪郭情報を生成する。
【0080】
本構成によれば、深度カメラを使用する必要が無いので、深度カメラ機能を備えていない端末装置2についても適用が可能となる。
【0081】
実施の形態では、被採寸者を正面から撮影して得られる撮影画像と側方から撮影して得られる撮影画像とを用いる例について説明したが、被採寸者を撮影する方向は、これに限定されない。例えば、採寸装置が、被採寸者を被採寸者の斜め側方の第1方向から撮影することにより得られる第1被採寸者画像と、第1方向に直交する第2方向から被採寸者を撮影して得られる第2被採寸者画像と、を用いるものであってもよい。
【0082】
以上、本発明の実施の形態および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態および変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、店舗、工場等の作業員が着るためのユニフォームを作製するための作業員の採寸を行うための採寸システムとして好適である。
【符号の説明】
【0084】
1:採寸装置、2,3:端末装置、4:体格パラメータ特定装置、101,201,301,401:CPU、102,202,302,402:主記憶部、103,203,303,403:補助記憶部、204,304:表示部、205,305:入力部、106,206,306,406:通信部、207:撮像部、109,209,309,409:バス、111:撮影画像取得部、112:輪郭情報生成部、113:人体モデル生成部、114:仮想人体モデル輪郭抽出部、115:差分算出部、116:評価指標値算出部、117:選定部、118:サイズ選択部、119:採寸情報生成部、120:通知部、121:体格パラメータ取得部、122,214:被採寸者情報取得部、131,231:撮影画像記憶部、132:輪郭記憶部、133:体格パラメータ記憶部、134:人体モデル記憶部、135:評価式記憶部、136:被服サイズ記憶部、137,331:採寸情報記憶部、139,232:被採寸者情報記憶部、211,311:受付部、212,312:表示制御部、213:撮像制御部、215:送信部、313:採寸情報取得部、411:体格パラメータ特定部、412:体格パラメータ送信部、431:実寸情報記憶部、C1,C2:重心、GA1:操作画面画像、GAF1:正面画像、GAS1:側面画像、VL1,VL2,VL2a1.VL2a2,VL2b1,VL2b2:仮想直線
【要約】
【課題】被採寸者の被服の作製に適した人体モデル情報を生成することができる採寸装置、採寸システム、採寸情報生成方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】差分算出部115は、被採寸者の3次元仮想人体モデルを正面から見たときの第3輪郭上の予め設定された複数の第1評価点における第1輪郭と第3輪郭との差分量と、3次元仮想人体モデルを側面から見たときの第4輪郭上の予め設定された複数の第2評価点における第2輪郭と第4輪郭との差分量と、を算出する。評価指標値算出部116は、第1評価点および第2評価点それぞれにおける差分量と第1評価点および第2評価点それぞれについて予め設定された重み係数との積の総和から3次元仮想人体モデルの身体的特徴の再現度を示す再現度評価指標値を算出する。選定部117は、再現度評価指標値に基づいて、被採寸者の被服の作製に用いる人体モデル情報を選定する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
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図5
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図10