特許第6755107号(P6755107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6755107
(24)【登録日】2020年8月27日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】多層型自動車用パイプ
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/08 20060101AFI20200907BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20200907BHJP
   B32B 27/28 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
   F16L11/08 B
   B32B1/08
   B32B27/28 102
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-51982(P2016-51982)
(22)【出願日】2016年3月16日
(65)【公開番号】特開2016-173180(P2016-173180A)
(43)【公開日】2016年9月29日
【審査請求日】2018年12月6日
(31)【優先権主張番号】15159473.6
(32)【優先日】2015年3月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503126212
【氏名又は名称】ティ・アイ・オートモーティヴ(フルダブリュック)・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー・ツィンマー
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ファーレンホルツ
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第01/023796(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0276985(US,A1)
【文献】 特開2004−132549(JP,A)
【文献】 特開2013−194808(JP,A)
【文献】 特開昭56−142062(JP,A)
【文献】 特開2005−232327(JP,A)
【文献】 特開2000−110971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 11/08
B32B 1/08
B32B 27/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層型自動車用燃料系パイプであり、その際、該パイプ(1)は合成樹脂からなる少なくとも三つの層(4、5、6)を有しており、その際、別の層に接合されている少なくとも一つの層の少なくとも一つの表面がプロフィル化されて形成されており、その際、そのプロフィル体が、最高部分(9)及び最低部分(10)を有し、そしてその際、該最高部分(9)と、該最高部分(9)のすぐ隣にある最低部分(10)との間の高低差Δhが、1〜100μmであり、プロフィル化された表面の一つの最高部分(9)と、その最高部分(9)のすぐ隣にある最低部分(10)との間の距離が、1〜100μmであり、
前記少なくとも一つのプロフィル化された表面が設けられた少なくとも一つの層が、前記パイプの一つの中間の層であり、これが、その二つの表面を介して、前記パイプの更なる層とそれぞれ結合されている、上記の自動車用燃料系パイプ。
【請求項2】
前記プロフィル化された表面を有する第一の層と結合する表面が、別の又は第二の層に、同様にプロフィル化されて形成されており、その際該第二の層のプロフィル体が、同様に、最高部分(9)及び最低部分(10)を有し、そして、その際、該最高部分(9)と、該最高部分(9)のすぐ隣にある最低部分(10)との間の高低差Δhが、1〜100μmである、請求項1に記載の自動車用燃料系パイプ。
【請求項3】
前記第一の層のプロフィル化された表面の最高部分(9)が、ぴったり合うよう前記第二の層のプロフィル化された表面の最低部分(10)中へ、はまり込み、そしてその逆である、請求項1又は2に記載の自動車用燃料系パイプ。
【請求項4】
前記少なくとも一つのプロフィル化された層及び/又はこの層の少なくとも一つのプロフィル化された表面が、前記パイプ(1)の周囲の長さの少なくとも80%にわたって存在する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の自動車用燃料系パイプ。
【請求項5】
プロフィル化された表面の一つの最高部分(9)と、その最高部分(9)のすぐ隣にある最低部分(10)との間の距離が、1〜50μmである、請求項1〜4のいずれか一つに記載の自動車用燃料系パイプ。
【請求項6】
前記一つのプロフィル化された表面が設けられた少なくとも一つの層が、前記パイプ(1)の粘着剤層(4、6)であり、該粘着剤層が、前記パイプ(1)の別の層において、少なくとも一つのプロフィル化された表面と接合されている、請求項1〜5のいずれか一つに記載の自動車用燃料系パイプ。
【請求項7】
前記少なくとも一つのプロフィル化された表面が設けられた少なくとも一つの層、及び該プロフィル化された表面に接合された少なくとも一つの層が、共押し出しによって製造される、請求項1〜6のいずれか一つに記載の自動車用燃料系パイプ。
【請求項8】
前記少なくとも一つのプロフィル化された表面のプロフィルが、その横断面において波形に又は波状に形成されている、請求項1〜7のいずれか一つに記載の自動車用燃料系パイプ。
【請求項9】
前記少なくとも一つのプロフィル化された表面のプロフィル体が前記パイプ(1)の長さ方向に延在している、波形の山部分及び波形の谷部分の形態に形成されている、請求項1〜8のいずれか一つに記載の自動車用燃料系パイプ。
【請求項10】
前記最高部分(9)と、該最高部分(9)のすぐ隣にある最低部分(19)との間の高低差Δhが、1〜20μmである、請求項1〜9のいずれか一つに記載の自動車用燃料系パイプ。
【請求項11】
少なくとも二つの粘着剤(4、6)が設けられ、そして、その際、それぞれの粘着剤層(4、6)の少なくとも一つの表面にプロフィル体が形成される、請求項1〜10のいずれか一つに記載の自動車用燃料系パイプ。
【請求項12】
二つの粘着剤層(4、6)の間に、少なくとも一つの障壁層(5)が介在しており、そしてその際、該二つの粘着剤層(4、6)が、それらのプロフィル化された表面によって障壁層の表面直接接合されている、請求項11に記載の自動車用燃料系パイプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層型自動車用パイプ、特に、自動車の燃料系パイプに関し、その際、該パイプは、合成樹脂からなる少なくとも二つの層、好ましくは、合成樹脂からなる少なくとも三つの層を有する。その場合、該層は、特に、熱可塑性プラスチックの合成樹脂から構成される。
【背景技術】
【0002】
上記の種類の多層型自動車用パイプ、又は燃料系パイプは、実践上、様々な実施形態が知られている。問題の一つは、しばしば、積層体における個々の層の間の粘着である。この種類の多くの公知の多層型パイプは、より長時間の運転時間後に、望ましくない剥離特性を示し、これは、最終的に自動車用パイプを使用不能にする恐れがある。これは、漏れ及び自動車の故障を招き得る。その剥離は、一般に、外部の化学的、熱的、及び機械的影響によって更に強まるかあるいは速まる。この剥離の問題は、原則的に、パイプの層積層体中の全ての層について多かれ少なかれ当てはまる問題である。しかしながら、特に影響を受けるのは、しばしば、その積層複合体中に配置された粘着剤層又はそれを介して接合された層である。層複合体中に設けられた障壁層又は透過型及び/又は拡散型障壁層、例えば、エチレン−ビニルアルコールコポリマー(EVOH)からなる障壁層にも同様の問題がしばしば見受けられる。実践から知られている多層型自動車用パイプは、その点で改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/276985A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それとは対照的に、本発明は、冒頭に述べた種類の多層型自動車用パイプに挙げられた技術的な問題に基づいており、上述した欠点を回避することができるか、又は最小限にすることができ、そして、特に、剥離に対して長期的に安定な多層型複合体を達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その技術的な問題を解決するために、本発明は、多層型自動車用パイプ、特に、自動車のための多層型自動車用燃料系パイプを教示し、その際、該パイプは、合成樹脂からなる少なくとも二つ、好ましくは、合成樹脂からなる少なくとも三つの層を有し、
その際、別の層に接合されている少なくとも一つの層の少なくとも一つの表面がプロフィル化されて形成されており、その際、該プロフィル体は最高部分及び最低部分を有しており、そしてその際、該最高部分とその最高部分に隣接するか、又はその最高部分のすぐ隣にある最低部分との間の高低差Δhは、1〜100μm、好ましくは1〜50μmであり、特に、1〜25μm、そして就中、1〜20μmである。−熱可塑性の合成樹脂からなるか又は本質的に熱可塑性の合成樹脂からなる少なくとも二つの層、好ましくは三つの層は、本発明の範囲内にある。さらに、本発明に従ってプロフィル化された少なくとも一つの層が、それの対向する二つの表面において、本発明に従ってプロフィル化されて形成されており、その際、好ましくは、その二つの表面のそれぞれのプロフィル化が、上記で特定した最高部分及び最低部分を有することは、本発明の範囲内にある。
【0006】
本発明に従ってプロフィル化された少なくとも一つの層、又は、本発明に従ってプロフィル化された、その層の表面を、該パイプの周囲の長さの少なくとも80%にわたって、好ましくは、90%、特に好ましくは95%にわたって存在させることが推奨される。特に好ましくは、本発明に従ってプロフィル化されたその少なくとも一つの層、又は、本発明に従ってプロフィル化された、その層の少なくとも一つの表面を、該パイプの周囲長さの全体にわたって存在させる。合目的的に、プロフィル体の最高部分及び最低部分は、パイプの周囲長さにわたって均一又は本質的に均一に分布して配置される。
【0007】
本発明に従ってプロフィル化された、第一の層の表面に接合される、別の層、又は第二の層の表面も、同様に、本発明に従ってプロフィル化されて形成されており、その際、好ましくは、その別の層、又は第二の層のプロフィル体を、該第一の層のプロフィル体に類似的に又は相補的に形成することは、本発明の範囲内にある。それ故、該第二の層は、合目的的に、同様に、最高部分及び最低部分を有しており、そして、該最高部分と、その最高部分のすぐ隣にある最低部分との間の高低差Δhは、1〜100μm、好ましくは1〜50μm、特に好ましくは1〜25μm、そして就中、1〜20μmである。推奨される本発明の一実施形態によれば、少なくとも一つの層、又は、第一の層は、それの二つの面において、本発明に従ってプロフィル化されて形成されており、そして、少なくとも一つ、そして好ましくは、本発明に従ってプロフィル化された表面のそれぞれが、別の層の、本発明に従ってプロフィル化された表面に係合する。好ましくは、本発明に従ってプロフィル化された、その層又は第一の層表面のプロフィル体は、本発明に従ってプロフィル化された、別の層又は第二の層の表面の係合するプロフィル体に相補的に対して形成される。
【0008】
本発明に従ってプロフィル化された、第一の層の表面の最高部分が、それと係合する別の層又は第二の層の、本発明に従ってプロフィル化された表面の最低部分中にぴったり合うように−そして、好ましくは、力により−はまり込み、そして、その逆に、合目的的に、本発明に従ってプロフィル化された、別の又は第二の層の表面の最高部分が、本発明に従ってプロフィル化された第一の層の表面の最低部分中へ、ぴったり合うように、−そして、推奨されるように力により−はまり込むことは、本発明の範囲内にある。したがって、その最高部分と、そのすぐ隣にある最低部分との間の高低差Δhは、第一の層の場合と別の、つまり第二の層の場合とで同じであるか、又は本質的に同じである。さらに、第一の層の最高部分及び最低部分、及びそれと係合する別の、又は第二の層の最高部分及び最低部分は、同じ形態、又は実質的に同じ形態を有することは、本発明の範囲内にある。
【0009】
本発明の特に推奨される一実施形態は、本発明に従ってプロフィル化された表面の最高部分と、その最高部分のすぐ隣にある最低部分との間の距離が、1〜100μm、好ましくは1〜50μm、特に、1〜25μm、そして就中、2〜20μmであることを特徴とする。その際、該距離aが、パイプの周囲方向において測定されることは、本発明の範囲内にある。
【0010】
本発明の推奨される一実施形態のバリエーションによれば、本発明に従ってプロフィル化された少なくとも一つの表面が設けられた、少なくとも一つの層が、パイプの中間層であり、該層は、それの両方の面にわたり、該パイプの別の面とそれぞれ接合される。その場合、好ましい実施形態によれば、その中間層の両方の表面は、本発明に従ってプロフィル化された表面として形成される。合目的的に、本発明に従ってプロフィル化された、該中間層の表面と接合される、別の層の表面はプロフィル化された表面として、特に、本発明に従ってプロフィル化された表面として製造される。本発明の特に好ましい実施形態によれば、その中間層は、パイプの積層体の二つの層の間の粘着剤層である。その場合それらは、障壁層、又は透過型障壁層及び/又は拡散型障壁層でもある。
【0011】
実証された本発明の実施形態は、本発明に従ってプロフィル化された層が粘着剤層であり、該層がその両方の表面により、それぞれが別の層に係合し、その際、好ましくは、該粘着剤層の両方の表面がプロフィル化されており、そして、推奨されるように、本発明に従ってプロフィル化されて形成されることを特徴とする。そのような粘着剤層は、合目的的に、0.02mm〜0.15mmの厚さ、好ましくは0.03mm〜0.12mmの厚さ、そして特に好ましくは、0.03mm〜0.10mmの厚さを有する。本発明の特に好ましい実施形態は、本発明に従ってプロフィル化された、該粘着剤層の少なくとも一つの表面が、障壁層、又は透過型障壁層及び/又は拡散型障壁層に係合されることを特徴とする。合目的的に、該粘着剤層に係合される障壁層の表面もまた、本発明に従ってプロフィル化される。本発明の好ましい実施形態は、多層型パイプ中に二つの粘着剤層が設けられ、それらの表面はいずれも本発明に従ってプロフィル化されており、そして、好ましくは、対向するそれらの表面のいずれもプロフィル化されており、そして特に好ましくは本発明に従ってプロフィル化されていることを特徴とする。推奨される一実施形態によれば、二つの粘着剤層の間には、一つの層、又は単一の層が挿入されており、その際、この挿入された層は、好ましくは、障壁層である。その場合、合目的的に、その障壁層に接合される粘着剤層の表面のいずれも、本発明に従ってプロフィル化されている。推奨されるように、その際該障壁層は、その対向する表面のいずれも、本発明に従ってプロフィル化されている。好ましくは、粘着剤層はいずれも、粘着剤層について上記に示した厚さを有する。合目的的に、多層型パイプの別の層は、二つの粘着剤層の、障壁層に面していない表面、又は、本発明に従ってプロフィル化された表面に接合される。その場合、一実施形態によれば、粘着剤層に接合されているすぐ外側の層の少なくとも一つが、ポリアミド、又は実質的にポリアミドからなる。好ましくは、直接接合されている層の両方が、ポリアミド、又は実質的にポリアミドからなる。粘着剤層とは、それの表面に接合される二つの層の間の粘着を保証するか、又は確保するものであると解される。該粘着剤層、又は複数の粘着剤層は、例えば、ポリアミドをベースとする粘着剤層、又は複数の粘着剤層であることができる。本発明の一実施形態によれば、障壁層はエチレン−ビニルアルコールコポリマー(EVOH)からなるか、又は実質的にエチレン−ビニルコポリマー(EVOH)からなる。その障壁層の厚さは、合目的的に、0.05〜0.3mm、好ましくは0.10〜0.25mm、そして特に好ましくは0.11〜0.20mmであり、例えば0.15mmである。本発明のより好ましい実施形態によれば、層複合体中に、表面が本発明に従ってプロフィル化された、又は表面のいずれもが本発明に従ってプロフィル化された少なくとも一つの、好ましくは少なくとも二つの粘着剤層が設けられる場合、本発明に従ってプロフィル化された表面にそれぞれ接合される層、又はその接合される表面もまた、本発明に従ってプロフィル化されることは、本発明の範囲内にある。本発明のプロフィル化とは、特に、上記において特定した高低差Δh、そして、好ましくは、上記において特定された距離aが企図されることを意味する。さらに、上記において示した層の層厚は、本発明に従ってプロフィル化された表面が存在する場合、単に、該層の最低部分から測定されることは、本発明の範囲内にある。
【0012】
本発明の更なる実施形態のバリエーションは、本発明に従ってプロフィル化された表面が設けられた層が、パイプの内側の層であり、本発明に従ってプロフィル化されたそれの外側の表面により、該層が別の層に接合されることを特徴とする。この、内側の表面を有する内側の層が、パイプを通って流れる流体媒体と接触することは本発明の範囲内にある。合目的的に、パイプの内側の層のこの内側の表面はプロフィル化されることなく、又は実質的にプロフィル化されることなく形成される。−さらに、本発明により好ましい実施形態によれば、パイプの外側の層の外側表面はプロフィル化されることなく、又は実質的にプロフィル化されることなく形成される。
【0013】
特に推奨される本発明の実施形態によれば、本発明の多層型自動車用パイプ、又は燃料系パイプは、共押し出しによって製造される。それ故、合成樹脂からなる、又は熱可塑性プラスチックからなる多層型パイプの層又は全ての層が、本発明の範囲内にある。−合目的的に、本発明に従ってプロフィル化された表面が設けられた少なくとも一つの層及び本発明に従ってプロフィル化された少なくとも一つの表面が接合された層は、共押し出しによって製造される。共押し出しに使用される押し出し機が、共押し出しの際に、該少なくとも一つの層に、本発明に従ってプロフィル化されて形成された少なくとも一つの表面を生じさせるという条件で形成されることは、本発明の範囲内にある。本発明のパイプを押し出し成形するために使用される押し出し機が、そのパイプの個々の層を押し出し成形するのに使用される環状チャンネルを有することは、本発明の範囲内にある。少なくとも一つの層の本発明に従ってプロフィル化された少なくとも一つの表面を実現するために、合目的的に、少なくとも一つの環状チャンネルに、径方向において走行する横断ブリッジ部が設けられる。その場合、該横断ブリッジ部は、環状チャンネルの径方向の幅全体にわたって延在させることができる。しかしながら、特に、本発明に従ってプロフィル化された表面を一つしか有さない層を製造すべき場合、関係する環状チャンネルの径方向における幅の一部にのみわたって、該横断ブリッジ部を延在させることもできる。その横断ブリッジ部によって生じた遮断部は、本発明に従って製造されたプロフィル化された表面、又は複数の表面の最高部分及び最低部分の構築に寄与する。それ故、本発明に従ってプロフィル化されて形成された、二つの対向する表面が、上記に該当するパイプの層に形成されることは、本発明の範囲内にある。
【0014】
合目的的に、本発明に従ってプロフィル化された表面の最高部分及び最低部分は、パイプの長手方向に延在させる。そのために、最高部分及び最低部分が、パイプの長手方向において走行するブリッジ部及びノッチ部から形成された形態にあることが推奨される。その場合−必ずしも必要ではないが−、該最高部分及び最低部分の間の高低差Δhは、パイプの長手方向において一定に維持される、又は実質的に一定に維持されるのが好ましい。このことは、その最高部分と最低部分との間の距離にも当てはまる。本発明に従ってプロフィル化された少なくとも一つの層、又は本発明に従ってプロフィル化された、この層の表面自体、及び、本発明に従ってプロフィル化された層、又は本発明に従ってプロフィル化された、それら層の表面のうちの好ましくは少なくとも二つ、好ましくは全てが、パイプの周囲長さの少なくとも80%にわたって、好ましくは少なくとも90%にわたって、そして特に好ましくは少なくとも95%にわたって延在していることは、本発明の範囲内にある。とりわけ推奨される実施形態によれば、本発明に従ってプロフィル化された少なくとも一つの層、又は該層の、本発明に従ってプロフィル化された少なくとも一つの表面を、そして、特に実証された実施形態のバリエーションによれば、本発明に従ってプロフィル化された少なくとも二つの層を、そして好ましくは、本発明に従ってプロフィル化された少なくとも全ての層、又はそれらの、本発明に従ってプロフィル化された表面を、パイプの周囲長さ全体にわたって走行させる。
【0015】
本発明の特に推奨される実施形態は、本発明に従ってプロフィル化された少なくとも一つの表面のプロフィル体が、断面において波形に形成されていることを特徴とする。この実施形態の場合、該波形の山部分は、本発明のパイプの最高部分に相当し、そして、その波形の谷部分は、本発明のパイプの最低部分に相当する。その場合、この断面において波形のプロフィル体の波形の山部分及び/又は波形の谷部分は、先端が鋭角を有するように及び/又は丸みを帯びるように形成することができる。
【0016】
ブリッジ部及びノッチ部の形態にある、最高部分及び最低部分自体、又は波形の山部分及び波形の谷部分を、パイプの長手方向に延在させることは本発明の範囲内にある。本発明の推奨される実施形態によれば、これらのブリッジ部及びノッチ部は、パイプの長手方向Lに対して平行に、又はパイプの長手方向Lに対して実質的に平行に配置される。本発明に従ってプロフィル化された表面のブリッジ部を、本発明に従ってプロフィル化された、該ブリッジ部に接合させる表面のノッチ部中へはめ込む、好ましくは、ぴったり合わせて、特に、力により、はまり込み及びその逆であることは、本発明の範囲内にある。本発明は、層の少なくとも一つの表面の本発明のプロフィル体に基づき、本発明のパイプが非常に有効であり、そして、該パイプの適当な互いに隣接する層の間の信頼し得る粘着性が達成できるという知見に基づく。このことは、二つの隣接する層の二つの互いに接合された表面がプロフィル化されて形成された場合、そして、その際、一方の層のプロフィル体が、他方の層のプロフィル体に対して相補的である、本発明の好ましい実施形態にとりわけ当てはまる。非常に簡単に、かつ、少ない費用で本発明のこの利点が達成できることもまた重要である。本発明のプロフィル体は、押し出し時又は共押し出し時に問題なく、対応して設計された押し出し機で製造できる。特に、本発明の自動車用パイプの積層体における中央の層は、該積層体中でしっかり粘着して保持することができ、そして、化学的な作用並びに熱的及び機械的な負荷に長期的に曝される場合でさえも、優れた粘着性又は接着性を有することを特徴とする。本発明のプロフィル体が粘着剤層であることが特に推奨される。そのとき、これらの粘着剤層は、それらが接合される層に、特に効果的かつ堅固な接合部を安全にもたらす。それ故、粘着力を向上させるための更なる経費をかけることないため、本発明のパイプは、少ない手間暇かつ少ない費用という点によって特徴付けられる。
【0017】
以下に、本発明を、単に実施例として示す図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、従来技術による多層型、又は6層型のパイプの断面図を示す。
図2図2は、本発明によるプロフィル体に設計された多層型、又は6層型パイプを示す。
図3図3は、図2の対象物を透視図で示す。
図4図4は、本発明によるパイプを製造するための押し出し機の断面を示す、非常に概略的な図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図による実施例において、パイプ1は、全部で6つの層2〜7を有する。そこには中央障壁層5が設けられており、それの表面5.1及び5.2のそれぞれに、粘着剤層4又は6が接合されている。内側の粘着剤層4には、二つの内側層3及び2が接合されており、そして、外側の粘着剤層6には、一つの外側層7が接合されている。図1は、従来技術から公知の、6層型自動車用パイプを示している。層の表面、特に、内側の粘着剤層4の表面4.1及び4.2、並びに、外側の粘着剤層6の表面6.1及び6.2、及び中央の障壁層5の二つの表面5.1及び5.2は、ここでは滑らかに、又はプロフィル化されずに形成されている。
【0020】
それとは対照的に、図2及び図3は本発明によるパイプを示している。この場合、内側の粘着剤層4の外側の表面4.2、並びに外側の粘着剤層6の内側の表面6.1は、本発明に従ってプロフィル化されて形成されている。そのプロフィル体は、最高部分9及び最低部分10を有しており、その際、該最高部分9と、その最高部分9のすぐ隣にある最低部分10との間の高低差Δhは、1〜20μm、好ましくは5〜15μmである。その実施例において、該高低差Δhは約10μmであるのが好ましい。最高部分9と最低部分10との間の高低差Δhは、合目的であり、そして、この実施例においては、最高部分と最小部分との間の径方向における距離として測定される。これについては、図2の拡大部分図に示されている。好ましくは、そして本発明の実施例においては、内側の粘着剤層4の外側の表面4.2に面する、障壁層5の内側の表面5.1もまた、本発明に従ってプロフィル化されて形成されている。同様に、外側の粘着剤層6の内側の表面6.1に面する、障壁層5の外側の表面5.2もまた、本発明に従ってプロフィル化されて形成されている。障壁層5の表面5.1及び5.2のプロフィル体は、好ましくは、そして、この実施例においては、粘着剤層4、6にそれぞれに割り当てられた表面4.2及び6.1のプロフィル体に対して相補的に形成されている。推奨されるのは、内側の粘着剤層4の外側の表面4.2の最高部分9が、障壁層5の内側表面5.1の最低部分10中にぴったり合うように、そしてより好ましくは力によりはめ込まれ、そして逆もまた同様である。合目的的に、外側の粘着剤層6の内側の表面6.1の最低部分9は、障壁層5の外側の表面5.2の最低部分10中へぴったり合うように、そして好ましくは力によりはまり込み、そして逆もまた同様である。そのため、粘着剤層4、6と障壁層5とのかみ合いは、プロフィル体、又は最高部分9と最小部分10とが相互にかみ合うことによって行われる。パイプ1の周囲方向において測定される、最高部分9と、その最高部分9のすぐ隣にある最低部分10との間の距離は、好ましくは1〜20μmであり、特に好ましくは5〜15μmである。とりわけ図2においては、プロフィル化された表面4.2、5.1、5.2及び6.1が非常に好ましく、そして、その実施例では、断面において波形に形成されていることが認められる。その場合、一般に、多少不規則な波形形状が得られる。
【0021】
この実施例において、中央の障壁層5は、エチレン−ビニルアルコールコポリマー(EVOH)から構成することが好ましい。該層に接合される粘着剤層4、6は、合目的的に、ポリアミドをベースとする。該中央の障壁層5の厚さは、好ましくは、そして、この実施例では、0.1〜0.2mmであり、例えば0.15mmである。該粘着剤層の厚さは、好ましくは、そしてこの実施例では、0.02mm〜0.1mmであり、好ましくは0.3mm〜0.07mm、そして例えば、0.05mmである。
【0022】
本発明の多層型自動車用パイプの層は、本発明の好ましい実施形態によれば、熱可塑性の合成樹脂から構成される。本発明の多層型自動車用パイプは、共押し出しによって製造されることは、本発明の範囲内にある。図4は、そのような共押し出しのための押し出し機11の断面を示しており、その際、この押し出し機11を用いて、本発明に従ってプロフィル化された、層の表面を生じさせることができる。そのために、該押し出し機11は、径方向の横断ブリッジ部13を有する環状チャンネル12を有する。この環状チャンネル12中の径方向の横断ブリッジ部13を使って、本発明に従ってプロフィル化された、又は波形の表面を、該当する押し出された層に設けることができる。更なるプロフィル化された表面を生じさせるべき場合には、押し出し機11が、パイプ1の層のための更なる適当な環状チャンネル12を有し得ると理解される。しかしながら、これらの環状チャンネル12は、図4において、更には示されていない。これに関連して、図4は、対応する押し出し機11の高度に簡略化された断面のみを示している。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.多層型自動車用パイプ、特に、自動車用の燃料系パイプであり、その際、該パイプ(1)は、少なくとも二つの層、好ましくは、合成樹脂からなる少なくとも三つの層(4、5、6)を有しており、その際、別の層に接合されている少なくとも一つの層の少なくとも一つの表面がプロフィル化されて形成されており、その際、そのプロフィル体が、最高部分(9)及び最低部分(10)を有し、そしてその際、該最高部分(9)と、該最高部分(9)のすぐ隣にある最低部分(10)との間の高低差Δhが、1〜100μm、好ましくは1〜50μm、特に好ましくは1〜25μmである、上記の自動車用パイプ。
2.前記プロフィル化された表面を有する第一の層と結合する表面が、別の又は第二の層に、同様にプロフィル化されて形成されており、その際、好ましくは、該第二の層のプロフィル体が、同様に、最高部分(9)及び最低部分(10)を有し、そして、その際、該最高部分(9)と、該最高部分(9)のすぐ隣にある最低部分(10)との間の高低差Δhが、1〜100μm、好ましくは、1〜50μm、特に好ましくは1〜25μmである、上記1に記載の自動車用パイプ。
3.前記第一の層のプロフィル化された表面の最高部分(9)が、ぴったり合うように−そして好ましくは力により−前記第二の層のプロフィル化された表面の最低部分(10)中へ、はまり込み、そしてその逆である、上記1又は2に記載の自動車用パイプ。
4.前記少なくとも一つのプロフィル化された層及び/又はこの層の少なくとも一つのプロフィル化された表面が、前記パイプ(1)の周囲の長さの少なくとも80%にわたって、好ましくは、少なくとも90%にわたって、特に好ましくは、少なくとも95%にわたって存在して、そして、就中、該パイプ(1)の周囲長さ全部にわたって存在する、上記1〜3のいずれか一つに記載の自動車用パイプ。
5.プロフィル化された表面の一つの最高部分(9)と、その最高部分(9)のすぐ隣にある最低部分(10)との間の距離が、1〜100μm、好ましくは1〜50μm、特に好ましくは1〜25μm、そして就中2〜20μmである、上記1〜4のいずれか一つに記載の自動車用パイプ。
6.前記少なくとも一つのプロフィル化された表面が設けられた少なくとも一つの層が、前記パイプの一つの(中間の)層であり、これが、それら二つの表面を介して、前記パイプの更なる層とそれぞれ結合されている、上記1〜5のいずれか一つに記載の自動車用パイプ。
7.前記一つのプロフィル化された表面が設けられた少なくとも一つの層が、前記パイプ(1)の粘着剤層(4、6)であり、該粘着剤層が、前記パイプ(1)の別の層、好ましくは前記パイプ(1)の中間の障壁層(5)において、少なくとも一つのプロフィル化された表面と接合されている、上記1〜6のいずれか一つに記載の自動車用パイプ。
8.前記少なくとも一つのプロフィル化された表面が設けられた少なくとも一つの層、及び該プロフィル化された表面に接合された少なくとも一つの層が、共押し出しによって製造される、上記1〜7のいずれか一つに記載の自動車用パイプ。
9.前記少なくとも一つのプロフィル化された表面のプロフィルが、その横断面において波形に又は波状に形成されている、上記1〜8のいずれか一つに記載の自動車用パイプ。
10.前記少なくとも一つのプロフィル化された表面のプロフィル体が、ブリッジ部及びノッチ部の形態に形成されており、その際、該ブリッジ部及びノッチ部自体は、前記パイプ(1)の長さ方向に延びている、上記1〜9のいずれか一つに記載の自動車用パイプ。
11.前記最高部分(9)と、該最高部分(9)のすぐ隣にある最低部分(19)との間の高低差Δhが、1〜20μm、好ましくは2〜15μmである、上記1〜10のいずれか一つに記載の自動車用パイプ。
12.少なくとも二つの、好ましくは二つの粘着剤中間層(4、6)が設けられ、そして、その際、それぞれの粘着剤層(4、6)の少なくとも一つの表面にプロフィル体が形成される、上記1〜11のいずれか一つに記載の自動車用パイプ。
13.二つの粘着剤層(4、6)の間に、少なくとも一つの障壁層(5)が介在しており、そしてその際、該二つの粘着剤層(4、6)が、それらのプロフィル化された表面によって、好ましくは同様にプロフィル化された障壁層の表面又は障壁層に直接接合されている、上記12に記載の自動車用パイプ。
図1
図2
図3
図4