(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のような構成の情報送受信機器は、操作機器との間で情報の送受信を行うにあたり、情報送受信機器と操作機器とを接続する有線ケーブルの接続作業が必要となるため、作業が煩雑になるという問題がある。
【0007】
なお、このような問題に対しては、例えば、無線通信を用いて情報の送受信を行う方法が考えられる。
しかし、情報送受信機器と操作機器との間で無線通信を行う場合、複数の情報送受信機器が設置された環境では、目標とする情報送受信機器とは異なる情報送受信機器との間で無線通信が行われる可能性がある。つまり、目標ではない情報送受信機器と操作機器との間で意図しない情報の送受信が行われて、誤った情報の送受信が発生する可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は、操作機器との間で情報の送受信を行うにあたり、有線ケーブルの接続作業が不要であるとともに、誤った情報の送受信を抑制できる情報送受信機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの局面は、情報保有機器との間で情報の送受信を行う情報送受信機器であって、制御部と、無線通信部と、筐体と、を備える。
情報保有機器には、バッテリパックおよび電動作業機のうち少なくとも一方が含まれている。情報は、情報保有機器に設定するための設定情報と、情報保有機器から取得する取得情報と、のうち少なくとも一方を有している。
【0010】
制御部は、情報保有機器との情報の送受信処理を少なくとも含む制御処理を実行するよう構成されている。無線通信部は、情報保有機器とは異なる操作機器との間で近接無線通信無線通信により情報の送受信を行う。筐体は、制御部および無線通信部を収容するよう構成されている。
【0011】
筐体は、自身の外表面に、情報送受信機器の設置箇所に当接する背面領域と、無線通信部が内部に配置される通信領域と、を備えている。通信領域は、背面領域とは異なる位置に形成される領域である。
【0012】
このような構成の情報送受信機器を設置箇所に固定した場合、筐体の外表面のうち背面領域は設置箇所が当接するため、操作機器を背面領域に近づけることができない。これに対して、筐体の外表面のうち背面領域とは異なる領域は、情報送受信機器を設置箇所に固定した場合であっても、設置箇所によって覆われることなく露出した状態となるため、操作機器を近づけることが可能である。
【0013】
そして、通信領域が背面領域とは異なる位置に形成される領域であるため、情報送受信機器を設置箇所に固定した状態でも、操作機器を通信領域に近づけることができ、操作機器と無線通信部との間の無線通信を実現できる。
【0014】
また、この情報送受信機器においては、無線通信部は、近接無線通信により操作機器との間で情報の送受信が可能に構成されており、近接無線通信による通信可能範囲よりも離れて配置された操作機器との間で情報の送受信を行うことができない。このため、通信領域を起点とした所定範囲(換言すれば、近接無線通信による通信可能範囲)に操作機器を配置しない限り、情報送受信機器と操作機器との間で意図しない情報の送受信が行われることを抑制でき、誤った情報の送受信が発生することを抑制できる。
【0015】
よって、本発明の情報送受信機器は、操作機器との間で情報の送受信を行うにあたり、有線ケーブルの接続作業が不要であるとともに、誤った情報の送受信を抑制できる。
なお、無線通信部は、例えば、平面アンテナなどを備えて構成してもよい。無線通信部は、近接無線通信による通信可能範囲が数cm〜数mの範囲に設定されたものであってもよい。近接無線通信は、例えば、負荷変調方式の近接無線通信であってもよい。負荷変調方式の近接無線通信は、RFIDタグやICカードの通信方式(例えば、NFC(Near Field Communication))で実用化されており、外部の通信端末(操作機器)からの送信信号(搬送波)を利用して返信するものである。また、電動作業機は、バッテリパックが接続される構成であってもよい。
【0016】
次に、上述の情報送受信機器においては、無線通信部は、筐体の内部のうち通信領域から20mm以内の領域に配置される構成であっても良い。
このような構成の場合には、通信領域(換言すれば、筐体の外表面)から無線通信部までの距離を一定範囲内に制限できるとともに、操作機器を通信領域に近接させることで無線通信部と操作機器との距離を一定範囲内とすることができる。このように、無線通信部と操作機器との距離を一定範囲内とすることで、無線通信部と操作機器との間の無線通信状態が良好になる。
【0017】
次に、上述の情報送受信機器においては、通信領域が正面領域に形成される構成であってもよい。正面領域とは、背面領域に対する垂直方向において、筐体を背面領域とは反対
の正面側から見た時に視認できる外表面の領域である。
【0018】
ここで、筐体の外表面のうち、背面領域(設置箇所)に平行な方向から筐体を見た時に視認できる外表面の領域であって正面領域と重複しない領域を側面領域とする。
側面領域は筐体の外表面のうち背面領域に隣接する領域であるため、例えば、側面領域に通信領域を形成した場合、側面領域よりも大きい操作機器を通信領域に近づけるにあたり、操作機器と設置箇所とが物理的に干渉してしまう可能性がある。そのような場合には、操作機器の信号送受信部を通信領域に近づけることができず、操作機器(詳細には信号送受信部)と無線通信部との間での無線通信が不可能となるおそれがある。
【0019】
これに対して、上述のように通信領域が正面領域に形成される構成であれば、通信領域に操作機器を近づける時に、操作機器と設置箇所(例えば、壁面など)とが互いに干渉する可能性を低減できる。このため、筐体に対する操作機器の配置の自由度が高まり、操作機器を通信領域に対して適切な位置に配置できるため、操作機器と無線通信部との間での無線通信を容易に実現できる。
【0020】
次に、上述の情報送受信機器においては、筐体は、正面側筐体と背面側筐体とを備えて構成されてもよく、情報送受信機器は、背面側筐体の内面から正面側筐体のうち通信領域の内面に向けて延びる延設部を備えてもよい。無線通信部は、延設部のうち通信領域の内面に対向する部位に配置されてもよい。
【0021】
このような構成であれば、正面側筐体と背面側筐体とを連結することで、背面側筐体から延設された延設部の一部を正面側筐体のうち通信領域の内面に配置できるとともに、延設部に配置された無線通信部を通信領域の内面に配置することができる。
【0022】
なお、背面側筐体は、制御部が固定される構成であってもよい。
次に、延設部を備える上述の情報送受信機器においては、延設部は、背面側筐体と分離可能な形態で背面側筐体の内面に固定される構成であってもよい。
【0023】
このような構成は、延設部が背面側筐体と分離不可能に一体に形成される形態に比べて、延設部の交換が容易となる。これにより、無線通信部または延設部を交換する必要が生じた場合に、交換作業を容易に実現できる。あるいは、情報送受信機器の設計変更などによって延設部の形状変更が必要となった場合に、設計変更に伴う延設部の形状変更を容易に実現できる。
【0024】
次に、背面側筐体と分離可能な延設部を備える上述の情報送受信機器においては、制御部は回路基板を備えており、延設部および制御部を背面側筐体に固定する固定部材を備えてもよい。
【0025】
このような構造であれば、延設部(無線通信部)、制御部(回路基板)、背面側筐体が固定部材によって一体に固定されるため、延設部(無線通信部)および制御部(回路基板)に対して振動などの外力が印加されても、制御部(回路基板)と無線通信部との相対位置が変化しがたくなる。これにより、例えば、制御部(回路基板)と無線通信部とが内部配線によって電気的に接続される構成において、延設部および制御部(回路基板)に対して振動などの外力が印加されても、内部配線が断線するのを抑制できる。
【0026】
次に、上述の情報送受信機器においては、無線通信部は、近接無線通信の通信方向に通信領域が含まれるように配置されてもよい。
このように無線通信部を配置することで、無線通信部で送受信される無線信号は、少なくとも通信領域を通過する領域を伝播する。このような構成であれば、操作機器を通信領
域に当接させることで、操作機器および無線通信部のそれぞれの通信方向を容易に一致させることができるとともに、両者間での無線通信を容易に実現できる。
【0027】
なお、「近接無線通信の通信方向」とは、例えば、電波を用いた無線通信の場合には、電波の進行方向を意味している。近接無線通信の通信方向に通信領域が含まれるように無線通信部が配置される構成の一例としては、例えば、「無線通信部における近接無線通信の通信方向」の少なくとも一部と「無線通信部と通信領域とを結ぶ方向」とが一致する構成が挙げられる。
【0028】
次に、上述の情報送受信機器においては、筐体は、情報保有機器が装着される機器装着部を備えており、通信領域は、非装着部領域のうち装着部配置領域よりも正面領域の外周縁に近い領域である外周領域に配置されてもよい。
【0029】
正面領域は、背面領域に対する垂直方向において、筐体を背面領域とは反対の正面側から見た時に視認できる外表面の領域である。正面領域には、機器装着部が配置される装着部配置領域と、装着部配置領域ではない非装着部領域と、が備えられている。
【0030】
通信領域が非装着部領域のうち外周領域に配置される構成であれば、操作機器を通信領域に近づける場合に、操作機器と情報保有機器との干渉が生じがたくなる。これにより、操作機器を用いて無線通信部との間で通信を行う場合に、操作機器の配置の自由度が高くなるため、操作機器と無線通信部との間での無線通信状態が良好となる。
【0031】
次に、上述の情報送受信機器においては、筐体は、情報保有機器が装着される機器装着部を備えており、通信領域は、平面形状に形成されるとともに、自身を延長した仮想延長平面が機器装着部に装着された情報保有機器と交差しない形態であってもよい。
【0032】
このような構成であれば、情報送受信機器よりも大きい操作機器を通信領域に近づける場合であっても、操作機器と情報保有機器とが干渉することを抑制できる。これにより、情報送受信機器よりも大きい操作機器を用いて無線通信部との間で通信を行う場合であっても、筐体に対する操作機器の配置の自由度が高まり、操作機器を通信領域に対して適切な位置に配置できるため、操作機器と無線通信部との間での無線通信を実現できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の情報送受信機器によれば、操作機器との間で情報の送受信を行うにあたり、有線ケーブルの接続作業が不要であるとともに、誤った情報の送受信を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
尚、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0036】
[1.第1実施形態]
[1−1.全体構成]
本実施形態に係る情報送受信機器120について説明する。
【0037】
情報送受信機器120は、バッテリパック40、情報入力装置100、外部機器150などと接続されて、これらとの間で各種情報の送受信を行うとともに、各種処理を実行するように構成されている。なお、情報送受信機器120は、バッテリパック40および外部機器150とは有線通信により接続され、情報入力装置100とは近接無線通信により接続される。
【0038】
図1は、バッテリパック40が接続(装着)された状態の情報送受信機器120の外観を表した斜視図である。
図2は、情報送受信機器120の正面図であり、
図3は、
図2に示す情報送受信機器120におけるA−A視断面の断面図であり、
図4は、情報送受信機器120の背面図であり、
図5は、情報送受信機器120の分解斜視図である。
【0039】
情報送受信機器120は、バッテリ接続部132と、バッテリ装着部133と、表示部135と、通信領域137と、を備える。
バッテリ接続部132は、通信用コネクタ132a(
図3参照)、正極側接続端子(図示省略)、負極側接続端子(図示省略)を備えており、バッテリパック40のコネクタ部(図示省略)と接続される。正極側接続端子および負極側接続端子は、バッテリパック40からの電力供給を受けるための電力供給経路を形成する。通信用コネクタ132aは、バッテリパック40との間で各種信号を送受信するための信号経路を形成する。
【0040】
バッテリ装着部133は、バッテリパック40を情報送受信機器120の装着方向に沿って案内しつつ、バッテリパック40のコネクタ部をバッテリ接続部132に接続するように、バッテリパック40を摺動可能に構成されている。つまり、バッテリ装着部133は、コネクタ部をバッテリ接続部132に向けた状態のバッテリパック40を装着方向に移動させることで、バッテリパック40を装着可能に構成されている。
【0041】
表示部135は、情報送受信機器120の状態を表すために備えられており、本実施形態では、3個の点灯部を備えて構成されている。各点灯部の内部には、それぞれLED155(発光ダイオード155)が備えられている。
【0042】
通信領域137は、内部に無線通信部127が備えられており、情報送受信機器120が近接無線通信を行う際に、近接無線通信の相手機器である情報入力装置100を近づけるための領域である。
【0043】
バッテリパック40は、情報送受信機器120に着脱可能に構成されている。バッテリパック40は、複数の充電式バッテリセル(リチウムイオンセルなど)を備えている。
また、バッテリパック40は、例えば、
図6に示すように、電動作業機10に対して着脱可能に構成されている。具体的には、バッテリパック40は、静止状態の電動作業機1
0に対して後方側に移動させることで装着でき、静止状態の電動作業機10に対して前方側に移動させることで離脱できるよう構成されている。そして、バッテリパック40は、電動作業機10に装着されて電動作業機10に電力供給するように構成されている。
【0044】
本実施形態の電動作業機10は、手持式動力工具であり、具体的には、ドライバドリルである。
電動作業機10(ドライバドリル10)の作業機本体12は、モータハウジング14と、モータハウジング14の前方に位置するギアハウジング16と、ギアハウジング16の前方に位置するドリルチャック18と、モータハウジング14の下方に位置するハンドグリップ20と、を備えて構成されている。
【0045】
モータハウジング14は、ドリルチャック18を回転駆動させる駆動力を発生するモータ(図示省略)を収容している。ギアハウジング16は、モータの駆動力をドリルチャック18に伝達するギア機構(図示省略)を収容している。ドリルチャック18は、ドリルチャック18の前端部に工具ビット(図示省略)を着脱自在に接続する接続機構(図示省略)を備えている。
【0046】
ハンドグリップ20は、ドライバドリル10の使用者がハンドグリップ20を片手で把持可能な形状に形成されている。そして、ハンドグリップ20の上部前方には、ドライバドリル10の使用者がモータをON/OFFするためのトリガスイッチ22が設けられている。ハンドグリップ20の下端部には、バッテリパック40を着脱可能に接続するバッテリパック接続部24が設けられている。電動作業機10は、バッテリパック40の電力を用いて作動するように構成されている。
【0047】
[1−2.情報送受信機器のハードウェア構成]
次に、情報送受信機器120のハードウェア構成について説明する。
図3および
図5に示すように、情報送受信機器120は、ハウジング129を備えている。ハウジング129は、少なくとも、制御部122と、無線通信部127と、延設部159と、を内部に備えている。
【0048】
ハウジング129は、第1ハウジング130と、第2ハウジング131と、を備えている。制御部122、無線通信部127、延設部159などが第2ハウジング131に固定された状態で、第1ハウジング130と第2ハウジング131とが連結されることで、ハウジング129の内部に、制御部122、無線通信部127、延設部159などが収容される。
【0049】
制御部122は、各種制御処理を実行するマイクロコンピュータ122a(マイコン122a)と、マイコン122aが搭載された絶縁性樹脂で形成された回路基板122bと、を備えている。回路基板122bには、USB接続部134、ブザー151、LED155などの電子部品が搭載されている。回路基板122bは、複数の貫通孔122cを有している。固定用ネジ153が貫通孔122cを介して第2ハウジング131のネジ固定部148と螺合することで、制御部122が第2ハウジング131の内面に固定される。
【0050】
無線通信部127は、制御部122からの指令に基づいて、情報入力装置100との間で近接無線通信により各種情報の送受信を行う。つまり、無線通信部127は、制御部122と情報入力装置100との間で送受信される各種情報を中継する。近接無線通信の方式としては、例えば、国際規格ISO/IEC 14443、日本工業規格JISX6319-4、等に準拠した近距離無線通信方式(いわゆるNFC(Near Field Communication))などが挙げられる。無線通信部127は、内部配線127aを介して制御部122の配線接続部122dと接続されている。無線通信部127は、平面アンテナを備えて構成されている。
【0051】
延設部159は、長尺形状に形成されており、長手方向における一端に無線通信部127が配置され、他端に鍔部159aを備えて構成されている。鍔部159aは、複数の貫通孔159bを備えている。
【0052】
固定用ネジ153が貫通孔122cおよび貫通孔159bを介して第2ハウジング131のネジ固定部148と螺合することで、延設部159は、制御部122とともに第2ハウジング131の内面に固定される。このときの固定用ネジ153は、制御部122および延設部159をまとめて第2ハウジング131に固定するための固定部材である。
【0053】
このとき、
図3に示すように、延設部159は、第2ハウジング131の内面から第1ハウジング130の内面(詳細には、通信領域137の内面)に向けて突出するように、第2ハウジング131に固定される。延設部159のうち無線通信部127が配置される端部は、第1ハウジング130の内面のうち通信領域137の内面に対して平行となるように形成されている。
【0054】
このように、無線通信部127は、延設部159の先端部分に固定されることで、近接無線通信の通信方向に通信領域137が含まれるように配置される。このように無線通信部127を配置することで、無線通信部127で送受信される無線信号は、少なくとも通信領域137を通過する領域を伝播する。本実施形態では、「無線通信部127における近接無線通信の通信方向」の少なくとも一部と「無線通信部127と通信領域137とを結ぶ方向」とが一致する構成となる。
【0055】
また、無線通信部127は、自身の表面から第1ハウジング130の外表面(詳細には、通信領域137)までの距離D1が5mmとなる位置に配置される。つまり、無線通信部127は、第1ハウジング130の外表面(詳細には、通信領域137)から内側方向における20mm以内の領域に配置される。
【0056】
さらに、無線通信部127は、負荷変調方式の近接無線通信(本実施形態では、NFC)により操作機器(情報入力装置100)との間で情報の送受信が可能に構成されている。そして、無線通信部127は、少なくとも通信領域137から100mm以内に配置された操作機器(情報入力装置100)との間で情報の送受信が可能に構成されている。
【0057】
第1ハウジング130は、バッテリ装着部133の中央部分に内部から外部に通じる開口部130aを備えている。ブザー151は、回路基板122bのうち開口部130aに近い位置に配置されている。これにより、ブザー151の発する音が開口部130aを通じて情報送受信機器120の外部に伝達される。
【0058】
[1−3.第2ハウジング]
次に、
図3および
図5に示すように、第2ハウジング131は、ナット部143と、連結部145と、を備えている。
【0059】
ナット部143は、六角ナット143aが埋め込まれた構造であり、第2ハウジング131のうち4箇所に形成されている。ナット部143の六角ナット143aは、ネジ部材144と螺合可能に構成されている。これにより、例えば、
図3に示すように、第2ハウジング131の背面領域131aとネジ部材144との間に取付板180を挟み込むことで、情報送受信機器120を取付板180に固定することができる。
【0060】
このような構成にすることで、情報送受信機器120を取付板180から取り外すには、取付板180の裏側からネジ部材144を取り外す必要があり、その作業は容易には実
施できないため、情報送受信機器120の盗難を抑制することができる。もし、バッテリパック40および情報送受信機器120の両者が盗まれた場合、バッテリパック40への作動許可時間Tremainの再設定を繰り返すことで、バッテリパック40の継続使用が可能となる。これに対して、少なくとも情報送受信機器120の盗難を抑制することで、バッテリパック40および情報送受信機器120の両者が盗まれてバッテリパック40の継続使用が可能となることを抑制できる。
【0061】
連結部145は、
図3に示すように、第1ハウジング130の突起部146を嵌め込み可能な形状に形成されるとともに、第2ハウジング131のうち4箇所に形成されている。連結部145に突起部146が嵌め込まれることで、第1ハウジング130および第2ハウジング131が互いに連結されてハウジング129が形成されると共に、情報送受信機器120が形成される。
【0062】
連結部145は中心に貫通孔を有しており、突起部146は中心が中空に形成されている。連結部145の貫通孔から突起部146の中空領域にかけて、ネジ部材147が螺合挿入される。これにより、第1ハウジング130と第2ハウジング131との連結状態が、ネジ部材147によって強固になる。
【0063】
USB接続部134は、第2ハウジング131の側面に配置されており、第1ハウジング130および第2ハウジング131が互いに連結されて情報送受信機器120が形成された状態では、情報送受信機器120の側面に配置された状態で備えられる。ハウジング129(第1ハウジング130および第2ハウジング131)のうちUSB接続部134の開口部には、変形可能な樹脂材料(ゴムなど)で形成された保護カバー158が配置される。
【0064】
また、
図4に示すように、第2ハウジング131は、背面領域131aに電池カバー部139を備えている。電池カバー部139は、内部電池170(コイン電池170)の収容空間に通じる背面開口部131bを覆うように構成されている。
【0065】
電池カバー部139は、
図3および
図5に示すように、内部に向けて突出して内部電池170に当接する電池当接部139aを備えている。電池当接部139aは、内部電池170の移動を制限することで、内部電池170が端子電極(図示省略)から外れることを抑制する。
【0066】
電池カバー部139は、
図3〜5に示すように、細長い形状に切り取られて形成された切欠部139bを備えている。電池カバー部139は、切欠部139bが形成された端部に、第2ハウジング131の内部に向けて突出する突出部139cを備えている。突出部139cの先端には、第2ハウジング131の内面と係合する係合部139dが備えている。切欠部139bが小さくなる方向に突出部139cを移動(変形)させて、係合部139dと第2ハウジング131との係合を解除することで、電池カバー部139を背面開口部131bから取り外すことができる。電池カバー部139を背面開口部131bから取り外すことで、内部電池170の交換作業が可能となる。
【0067】
なお、突出部139cと第2ハウジング131との隙間領域CLは、その隙間寸法が5mm以下に設定されている。このため、電池カバー部139を背面開口部131bから取り外す場合には、隙間領域CLにマイナスドライバなどの工具を挿入して、突出部139cを移動(変形)させる作業を実施する。隙間領域CLの隙間寸法をこのように制限することで、使用者が自身の指によって突出部139cを直接移動させることを抑制できる。これにより、内部電池170の交換作業には工具が必要となるため、安易に電池カバー部139が取り外されることを抑制できる。また、電池カバー部139の取り外し作業は、
工具を用いて突出部139cを移動するという単一動作で実行可能である。これにより、複数の動作が必要となる構成に比べて、電池カバー部139の取り外し作業の煩雑さを軽減できる。
【0068】
電池カバー部139は、突出部139cの反対側端部に段差部139eを備えている。電池カバー部139の取り付け作業は、まず、段差部139eを第2ハウジング131の内面(背面開口部131bの周縁内面)に係合させて、その後、係合部139dと第2ハウジング131の内面に係合することで実現できる。
【0069】
[1−4.通信領域]
通信領域137は、ハウジング129(第1ハウジング130および第2ハウジング131)の外表面のうち正面領域に形成されている。
【0070】
ここで、正面領域とは、背面領域131aに対する垂直方向において、情報送受信機器120(ハウジング129)を背面領域131aとは反対の正面側から見た時に視認できる外表面の領域である。具体的には、
図2に現れている情報送受信機器120(ハウジング129)の外表面が、正面領域である。
【0071】
また、正面領域には、
図7に示すように、バッテリ装着部133が配置される装着部配置領域A1と、装着部配置領域A1ではない非装着部領域A2と、が備えられている。
非装着部領域A2を装着部配置領域A1に接する領域と接しない領域とに二等分することで、第1仮想領域A2aおよび第2仮想領域A2bに分けることができる。つまり、第1仮想領域A2aは、正面領域の外周縁(換言すれば、非装着部領域A2の外周縁)のみに接する領域であり、第2仮想領域A2bは、少なくとも装着部配置領域A1と接する領域である。
【0072】
情報送受信機器120においては、通信領域137は、非装着部領域A2のうち第1仮想領域A2aに配置されている。換言すれば、通信領域137は、非装着部領域A2のうち装着部配置領域A1よりも正面領域の外周縁に近い領域(第1仮想領域A2a。外周領域。)に配置されている。
【0073】
通信領域137が非装着部領域A2のうち第1仮想領域A2aに配置される構成であれば、通信領域137とバッテリパック40との距離が大きくなるため、情報入力装置100を通信領域137に近づける場合に、情報入力装置100とバッテリパック40との干渉が生じがたくなる。
【0074】
通信領域137は、平面形状に形成されるとともに、自身を延長した仮想延長平面VF(
図3参照)がバッテリ装着部133に装着されたバッテリパック40と交差しない形態で構成されている。このような構成であれば、情報送受信機器120よりも大きい情報入力装置100を通信領域137に近づける場合であっても、情報入力装置100とバッテリパック40とが干渉することを抑制できる。
【0075】
[1−5.情報送受信機器の電気的構成]
図8は、情報送受信機器120の電気的構成を表すブロック図である。
図8に示すように、情報送受信機器120は、電気的構成として、制御部122と、無線通信部127と、バッテリ接続部132と、USB接続部134と、表示部135と、リアルタイムクロック160と、を少なくとも備えている。
【0076】
制御部122は、少なくとも一つのプロセッサ123と、少なくとも一つのメモリ126と、を有するマイクロコンピュータ122a(マイコン122a)を備えて構成されて
いる。プロセッサ123は、中央演算処理装置(CPU)を備えており、情報送受信機器120における各種制御処理を実行する。メモリ126は、ROMおよびRAMを備えており、プロセッサ123にて実行される各種制御処理の処理内容を表すプログラム、各種制御処理に用いられるデータを少なくとも記憶している。
【0077】
無線通信部127は、上述のように、制御部122からの指令に基づいて、情報入力装置100との間で近接無線通信により各種情報の送受信を行う。
情報入力装置100は、例えば、無線通信機能を有する携帯型情報処理端末装置(例えば、ノートパソコン、タブレット端末装置、スマートフォン等)を用いて構成できる。
【0078】
バッテリ接続部132は、上述のように、バッテリパック40のコネクタ部(図示省略)と接続されて、バッテリパック40からの電力供給を受けるための電力供給経路と、バッテリパック40との間で各種信号を送受信するための信号経路と、を形成するように構成されている。
【0079】
バッテリ接続部132(詳細には、正極側接続端子および負極側接続端子)で受電したバッテリパック40の出力電圧(例えば、18V)は、第1電圧変換部162で第1駆動電圧Vc1(例えば、3.3V)に電圧変換される。第1電圧変換部162から出力される第1駆動電圧Vc1は、第1駆動電圧供給部166を介して情報送受信機器120の各部に供給される。
【0080】
なお、第1電圧変換部162は、例えば、入力された電圧を降圧して出力する降圧レギュレータを用いて構成される。また、第1電圧変換部162は、バッテリ接続部132を介したバッテリパック40の出力電圧を第1駆動電圧Vc1に電圧変換する機能のみならず、USB接続部134を介した外部機器150からのUSB電圧(例えば、5V)を第1駆動電圧Vc1に電圧変換する機能を有している。
【0081】
第1駆動電圧供給部166は、第1電圧変換部162からの電圧供給が無い場合には、内部電池170の出力電圧を用いて、第1駆動電圧Vc1を情報送受信機器120の各部に供給する。内部電池170は、第1駆動電圧Vc1と同等の電圧を出力する一次電池(例えば、コイン電池など)を用いて構成されている。
【0082】
また、情報送受信機器120は、第2電圧変換部164を備えている。第2電圧変換部164は、第1駆動電圧供給部166からの第1駆動電圧Vc1を第2駆動電圧Vc2(例えば、5.0V)に電圧変換する。そして、第2電圧変換部164は、第2駆動電圧供給部168を介して第2駆動電圧Vc2を情報送受信機器120の各部に供給する。
【0083】
第2電圧変換部164は、制御部122からの指令信号に基づいて、電圧変換を実行する電圧変換実行状態と、電圧変換を停止する電圧変換停止状態とを切替可能に構成されている。なお、情報送受信機器120の動作状態が、第2駆動電圧Vc2を必要としない動作状態である場合には、制御部122が第2電圧変換部164を電圧変換停止状態に制御することで、情報送受信機器120の内部における電力消費量を低減できる。
【0084】
また、バッテリ接続部132(詳細には、通信用コネクタ132a)は、バッテリ検出部172および情報伝達部174を介して、制御部122と接続されている。
バッテリ検出部172は、バッテリパック40の出力電圧を検出しており、検出結果に基づきバッテリ接続部132がバッテリパック40の出力電圧を受電しているか否かを判定し、判定結果を制御部122に通知する。情報伝達部174は、制御部122からの指令に基づいて、制御部122とバッテリパック40との間での各種情報の送受信を行う。
【0085】
USB接続部134は、外部機器150のUSB接続端子(図示省略)と接続されて、外部機器150からの電力供給を受けるための電力供給経路と、外部機器150との間で各種信号を送受信するための信号経路と、を形成するために備えられている。
【0086】
USB接続部134は、信号変換部176を介して、制御部122と接続されている。信号変換部176は、制御部122との間でのシリアル通信により送受信されるシリアル通信信号と、USB接続部134との間でのUSB通信により送受信されるUSB通信信号と、を相互に変換する。つまり、信号変換部176は、制御部122と外部機器150との間での各種情報の送受信を行うための信号変換を行う。
【0087】
外部機器150は、USB接続端子を有する情報処理端末装置(例えば、デスクトップパソコン、ノートパソコン、タブレット端末、スマートフォン等)を用いて構成できる。この情報処理端末装置は、使用者が入力操作を行うユーザーインターフェースとして、少なくとも情報送受信機器120に設定したい情報を入力可能なユーザーインターフェースを備えている。すなわち、この情報処理端末装置は、電動作業機10の作動制限を開始する制限開始時刻情報(日時、曜日、時刻など)を入力可能なユーザーインターフェースを少なくとも備えている。
【0088】
表示部135は、制御部122からの指令信号に基づいて点灯状態または消灯状態に制御される点灯部(LED155(発光ダイオード155))を備えて構成されている。本実施形態では、表示部135は、3個の点灯部(
図1参照)を備えている。制御部122から表示部135への指令信号は、情報送受信機器120の状態に応じて設定されており、表示部135は、情報送受信機器120の状態を表すために備えられている。
【0089】
リアルタイムクロック160は、時計機能およびカレンダー機能を有しており、現在時刻、現在年月日、現在曜日を少なくとも含んだ現在時刻情報を有している。リアルタイムクロック160は、制御部122からの要求に応じて現在時刻情報を制御部122に対して送信する。
【0090】
情報送受信機器120は、電気的構成として上記のような各構成を備えており、バッテリパック40、情報入力装置100、外部機器150などと接続されて、これらとの間で各種情報の送受信を行うとともに、各種処理を実行する。
【0091】
情報送受信機器120は、各種処理として、例えば、情報入力装置100または外部機器150から制限開始時刻情報を受信する処理や、制限開始時刻情報に基づいてバッテリパック40に対して作動制限情報を設定する処理などを実行する。なお、制限開始時刻情報とは、バッテリパック40の電力を用いた電動作業機10の作動制限を開始する時刻(制限開始時刻)を示す情報である。
【0092】
情報送受信機器120がバッテリパック40との間で送受信する情報には、情報送受信機器120がバッテリパック40に設定するための設定情報と、情報送受信機器120がバッテリパック40から取得する取得情報と、が少なくとも含まれている。設定情報としては、例えば、盗難抑制用認証情報、作動制限情報などが挙げられる。取得情報としては、例えば、充電回数情報、電池残量履歴情報、温度履歴情報、充電特性情報、電池パック型式情報、過去診断情報などが挙げられる。
【0093】
[1−6.バッテリパック]
バッテリパック40は、
図8に模式的に示すように、バッテリセル部42と、バッテリ制御部44と、を備える。
【0094】
バッテリセル部42は、複数の充電式バッテリセル(リチウムイオンセルなど)を備えている。
バッテリ制御部44は、少なくとも一つのプロセッサ46と、少なくとも一つのメモリ48と、を有するマイクロコンピュータ(マイコン)を備えて構成されている。プロセッサ46は、中央演算処理装置(CPU)を備えており、バッテリパック40における各種制御処理を実行する。メモリ48は、ROMおよびRAMを備えており、プロセッサ46にて実行される各種制御処理の処理内容を表すプログラム、各種制御処理に用いられるデータを少なくとも記憶している。
【0095】
プロセッサ46が実行する制御処理としては、例えば、監視処理や充放電制御処理などが挙げられる。監視処理は、充電電流,放電電流,セル電圧、セル温度などが正常であるか否かを監視する処理である。充放電制御処理は、情報送受信機器120により設定されたカウント時間(後述する作動許可時間Tremain)に基づいてタイマーカウントを行い、タイマーカウント中は充放電を許可し、タイマーカウントが終了すると充放電を禁止する処理である。
【0096】
[1−7.情報送受信機器が実行する処理]
情報送受信機器120は、各種処理を実行する。
処理としては、例えば、情報送受信機器120が情報入力装置100から制限開始時刻情報を受信する処理(制限開始時刻情報受信処理)、および情報送受信機器120が制限開始時刻情報に基づいてバッテリパック40に対して作動制限情報を設定する処理(作動制限情報設定処理)が挙げられる。
【0097】
情報送受信機器120が制限開始時刻情報受信処理を実行することで、情報入力装置100を用いた使用者の入力操作によって、情報送受信機器120に制限開始時刻情報Tset1を設定することができる。また、情報送受信機器120が作動制限情報設定処理を実行することで、制限開始時刻情報Tset1および現在日時情報Tnow1に基づいて充放電可能な作動許可時間Tremainを演算して、バッテリパック40に対して作動許可時間Tremainを設定することができる。
【0098】
なお、作動許可時間Tremainは、バッテリパック40の電力を用いた電動作業機10の作動を制限するための作動制限情報である。
作動許可時間Tremainが設定されたバッテリパック40は、作動許可時間Tremainが経過するまでは充放電が許可されるため、このバッテリパック40の電力を用いた電動作業機10の作動が可能となる。また、作動許可時間Tremainが設定されたバッテリパック40は、作動許可時間Tremainが経過すると充放電が禁止されるため、このバッテリパック40の電力を用いた電動作業機10の作動が制限される。
【0099】
なお、情報送受信機器120は、制限開始時刻情報の設定時における動作モードとして、少なくとも「日時モード」および「曜日時刻モード」を有している。動作モードが「日時モード」の場合には、制限開始時刻情報は「年月日および時刻」であり、動作モードが「曜日時刻モード」の場合には、制限開始時刻情報が「曜日および時刻」である。
【0100】
[1−8.効果]
以上説明したように、本実施形態の情報送受信機器120は、通信領域137が正面領域に形成されており、通信領域137が背面領域131aとは異なる位置に形成されている。より詳細には、通信領域137は、正面領域における非装着部領域A2のうち装着部配置領域A1よりも正面領域の外周縁に近い領域(第1仮想領域A2a。外周領域。)に配置されている。
【0101】
このような構成の情報送受信機器120は、通信領域137が背面領域131aとは異なる位置に形成される領域であるため、情報送受信機器120を取付板180に固定した状態でも、情報入力装置100を通信領域137に近づけることができ、情報入力装置100と無線通信部127との間の近接無線通信を実現できる。
【0102】
とりわけ、通信領域137は、情報送受信機器120(ハウジング129)の外表面における背面領域131aではない領域のうち、側面領域ではなく正面領域に形成される。なお、側面領域とは、情報送受信機器120(ハウジング129)の外表面のうち、背面領域131a(取付板180)に平行な方向から情報送受信機器120(ハウジング129)を見た時に視認できる外表面の領域であって正面領域と重複しない領域である。
【0103】
側面領域は、情報送受信機器120(ハウジング129)の外表面のうち背面領域131aに隣接する(近接する)領域であるため、例えば、側面領域に通信領域を形成した場合、側面領域よりも大きい情報入力装置100を通信領域に近づけるにあたり、情報入力装置100と取付板180(設置箇所)とが物理的に干渉してしまう可能性がある。そのような場合には、情報入力装置100の信号送受信部を通信領域に近づけることができず、情報入力装置100(詳細には信号送受信部)と無線通信部127との間での近接無線通信が不可能となるおそれがある。
【0104】
これに対して、情報送受信機器120のように、通信領域137が正面領域に形成される構成であれば、通信領域137に情報入力装置100を近づける時に、情報入力装置100と取付板180とが互いに干渉する可能性を低減できる。このため、情報送受信機器120は、自身に対する情報入力装置100の配置の自由度が高まり、情報入力装置100を通信領域137に対して適切な位置に配置できるため、情報入力装置100と無線通信部127との間での近接無線通信を容易に実現できる。
【0105】
また、無線通信部127は、負荷変調方式の近接無線通信(本実施形態では、NFC)により情報入力装置100との間で情報の送受信が可能に構成されている。無線通信部127は、第1ハウジング130における通信領域137の内側に配置されており、通信領域137から100mm以内に配置された情報入力装置100との間で情報の送受信が可能に構成されている。
【0106】
このような構成の情報送受信機器120は、通信領域137から100mmよりも離れて配置された情報入力装置100との間で情報の送受信を行うことができない。このため、通信領域137から100mm以内の範囲(換言すれば、近接無線通信による通信可能範囲)に情報入力装置100を配置しない限り、情報送受信機器120と情報入力装置100との間で意図しない情報の送受信が行われることを抑制でき、誤った情報の送受信が発生することを抑制できる。
【0107】
よって、情報送受信機器120は、情報入力装置100との間で情報の送受信を行うにあたり、有線ケーブルの接続作業が不要であるとともに、誤った情報の送受信を抑制できる。
【0108】
なお、負荷変調方式の近接無線通信では、通信距離は短いものの、極めて少ない消費電力で、信頼性の高い通信を行うことができることから、バッテリパック40から電力供給を受ける構成の情報送受信機器120に適用することで、その効果を発揮することができる。
【0109】
次に、情報送受信機器120においては、無線通信部127は、自身の表面から第1ハウジング130の外表面(詳細には、通信領域137)までの距離D1が5mmとなる位
置に配置されており、第1ハウジング130の外表面(詳細には、通信領域137)から内側方向における20mm以内の領域に配置される。
【0110】
このような構成であれば、通信領域137(換言すれば、第1ハウジング130の外表面)から無線通信部127までの距離を一定範囲内に制限できるとともに、情報入力装置100を通信領域に近接させることで無線通信部127と情報入力装置100との距離を一定範囲内とすることができる。このように、無線通信部127と情報入力装置100との距離を一定範囲内とすることで、無線通信部127と情報入力装置100との間の無線通信状態が良好になる。
【0111】
次に、情報送受信機器120においては、ハウジング129は、第1ハウジング130と第2ハウジング131とを備えて構成されている。情報送受信機器120は、第2ハウジング131の内面から第1ハウジング130のうち通信領域137の内面に向けて延びる延設部159を備えている。無線通信部127は、延設部159のうち通信領域137の内面に対向する部位に配置されている。
【0112】
このような構成であれば、第1ハウジング130と第2ハウジング131とを連結することで、第2ハウジング131の内面から延設された延設部159の一部を第1ハウジング130のうち通信領域137の内面に配置できると共に、延設部159に固定された無線通信部127を通信領域137の内面に配置することができる。
【0113】
次に、延設部159は、第2ハウジング131と分離可能な形態で第2ハウジング131の内面に固定される構成である。
このような構成は、延設部159が第2ハウジング131と分離不可能に一体に形成される形態に比べて、延設部159の交換が容易となるため、無線通信部127または延設部159を交換する必要が生じた場合に、交換作業を容易に実現できる。あるいは、情報送受信機器120の設計変更などによって延設部159の形状変更が必要となった場合に、設計変更に伴う延設部159の形状変更を容易に実現できる。
【0114】
次に、制御部122は回路基板122bを備えており、情報送受信機器120は、延設部159および制御部122を第2ハウジング131に固定する固定用ネジ153を備えている。
【0115】
このような構造であれば、延設部159(無線通信部127)、制御部122(回路基板122b)、第2ハウジング131が固定用ネジ153によって一体に固定されるため、延設部159(無線通信部127)および制御部122(回路基板122b)に対して振動などの外力が印加されても、制御部122(回路基板122b)と無線通信部127との相対位置が変化しがたくなる。これにより、制御部122(回路基板122b)と無線通信部127とが内部配線127aによって電気的に接続される構成において、延設部159および制御部122(回路基板122b)に対して振動などの外力が印加されても、内部配線127aが断線するのを抑制できる。
【0116】
次に、無線通信部127は、延設部159の先端部分に固定されることで、近接無線通信の通信方向に通信領域137が含まれるように配置される。このように無線通信部127を配置することで、無線通信部127で送受信される無線信号は、少なくとも通信領域137を通過する領域を伝播する。このような構成であれば、情報入力装置100を通信領域137に当接させることで、情報入力装置100および無線通信部127のそれぞれの通信方向を容易に一致させることができるとともに、両者間での無線通信を容易に実現できる。
【0117】
ハウジング129は、バッテリパック40が装着されるバッテリ装着部133を備えており、通信領域137は、非装着部領域A2のうち装着部配置領域A1よりも正面領域の外周縁に近い領域である第1仮想領域A2a(外周領域)に配置されている。つまり、通信領域137は、非装着部領域A2のうち第2仮想領域A2b(少なくとも装着部配置領域A1と接する領域)ではなく、第1仮想領域A2a(正面領域の外周縁(換言すれば、非装着部領域A2の外周縁)のみに接する領域)に配置される構成である。
【0118】
このような構成であれば、通信領域137とバッテリパック40との距離が大きくなるため、情報入力装置100を通信領域137に近づける場合に、情報入力装置100とバッテリパック40との干渉が生じがたくなる。これにより、情報入力装置100を用いて無線通信部127との間で無線通信を行う場合に、情報入力装置100の配置の自由度が高くなるため、情報入力装置100と無線通信部127との間での無線通信状態が良好となる。
【0119】
通信領域137は、平面形状に形成されるとともに、自身を延長した仮想延長平面VFがバッテリ装着部133に装着されたバッテリパック40と交差しない形態で構成されている。このような構成であれば、情報送受信機器120よりも大きい情報入力装置100を通信領域137に近づける場合であっても、情報入力装置100とバッテリパック40とが干渉することを抑制できる。
【0120】
これにより、情報送受信機器120よりも大きい情報入力装置100を用いて無線通信部127との間で通信を行う場合であっても、ハウジング129に対する情報入力装置100の配置の自由度が高まり、情報入力装置100を通信領域137に対して適切な位置に配置できるため、情報入力装置100と無線通信部127との間での無線通信を実現できる。
【0121】
[1−9.文言の対応関係]
ここで、文言の対応関係について説明する。
情報送受信機器120が情報送受信機器の一例に相当し、バッテリパック40および電動作業機10(ドライバドリル10)が情報保有機器の一例に相当し、情報入力装置100が操作機器の一例に相当する。
【0122】
盗難抑制用認証情報および作動制限情報が設定情報の一例に相当し、充電回数情報、電池残量履歴情報、温度履歴情報、充電特性情報、電池パック型式情報、過去診断情報が取得情報の一例に相当する。
【0123】
制御部122が制御部の一例に相当し、無線通信部127が無線通信部の一例に相当し、ハウジング129が筐体の一例に相当し、背面領域131aが背面領域の一例に相当し、通信領域137が通信領域の一例に相当する。
【0124】
第1ハウジング130が正面側筐体の一例に相当し、第2ハウジング131が背面側筐体の一例に相当し、延設部159が延設部の一例に相当し、固定用ネジ153が固定部材の一例に相当し、バッテリ装着部133が機器装着部の一例に相当する。
【0125】
装着部配置領域A1が装着部配置領域の一例に相当し、非装着部領域A2が非装着部領域の一例に相当し、第1仮想領域A2aが外周領域の一例に相当し、仮想延長平面VFが通信領域を延長した仮想延長平面の一例に相当する。
【0126】
[2.第2実施形態]
[2−1.全体構成]
第2実施形態として、バッテリパック40の充電機能を有する充電装置220について説明する。
【0127】
充電装置220は、充電機能に加えて、第1実施形態の情報送受信機器120と同様に、各種情報の送受信機能を備えている。つまり、充電装置220は、バッテリパック40、情報入力装置100、外部機器150などと接続されて、これらとの間で各種情報の送受信を行うとともに、各種処理を実行するように構成されている。なお、充電装置220は、バッテリパック40および外部機器150とは有線通信により接続され、情報入力装置100とは近接無線通信により接続される。
【0128】
このため、充電装置220に関する以下の説明では、充電装置220のうち情報送受信機器120とは異なる部分を中心に説明する。また、充電装置220のうち情報送受信機器120と同様の構成については、同一符号で表すとともに、その説明を省略する。
【0129】
図9は、充電装置220の正面図であり、
図10は、
図9に示す充電装置220におけるB−B視断面の断面図であり、
図11は、充電装置における装着部配置領域A1、非装着部領域A2、第1仮想領域A2a、第2仮想領域A2bを示す説明図である。
【0130】
充電装置220は、電源ケーブル240を介して外部から供給される電力を用いて、バッテリパック40の充電に適した充電電圧を生成し、バッテリ装着部133に接続されたバッテリパック40を充電可能に構成されている。
【0131】
充電装置220は、少なくとも正面領域の大きさが情報送受信機器120よりも大きい形態で構成されている。
充電装置220は、情報送受信機器120と同様に、バッテリ接続部(図示省略)と、バッテリ装着部133と、表示部135と、通信領域137と、を備える。
【0132】
図10に示すように、充電装置220は、ハウジング229を備えている。ハウジング229は、少なくとも、制御部222と、無線通信部127と、延設部159と、を内部に備えている。
【0133】
ハウジング229は、第1ハウジング230と、第2ハウジング231と、を備えている。制御部222、無線通信部127、延設部159などが第2ハウジング231に固定された状態で、第1ハウジング230と第2ハウジング231とが連結されることで、ハウジング229の内部に、制御部222、無線通信部127、延設部159などが収容される。
【0134】
制御部222は、制御部122と同様に、各種制御処理を実行するマイクロコンピュータ222a(マイコン222a)と、マイコン222aが搭載された絶縁性樹脂で形成された回路基板222bと、を備えている。制御部222の回路基板222bは、ハウジング229に応じた形状に形成されており、第1実施形態の回路基板122bとは異なる形状である。
【0135】
制御部222の回路基板222bが、第1ハウジング230と第2ハウジング231との間に挟み込む形式で固定されることで、制御部222が第2ハウジング231の内面に固定される。制御部222の回路基板222bには、USB接続部(図示省略)、ブザー(図示省略)、LED(図示省略)などの電子部品が搭載されている。
【0136】
なお、回路基板222bの固定方法は、挟み込み形式に限られることはなく、第1実施形態の回路基板122bと同様に、固定用ネジ(図示省略)を用いた固定方法を採用して
もよい。
【0137】
[2−2.通信領域]
通信領域137は、ハウジング229(第1ハウジング230および第2ハウジング231)の外表面のうち正面領域に形成されている。
【0138】
ここで、正面領域とは、第2ハウジング231の背面領域231aに対する垂直方向において、充電装置220(ハウジング229)を背面領域231aとは反対の正面側から見た時に視認できる外表面の領域である。具体的には、
図9に現れている充電装置220(ハウジング229)の外表面が、正面領域である。
【0139】
また、正面領域には、
図11に示すように、バッテリ装着部133が配置される装着部配置領域A1と、装着部配置領域A1ではない非装着部領域A2と、が備えられている。
非装着部領域A2を装着部配置領域A1に接する領域と接しない領域とに二等分することで、第1仮想領域A2aおよび第2仮想領域A2bに分けることができる。つまり、第1仮想領域A2aは、正面領域の外周縁(換言すれば、非装着部領域A2の外周縁)のみに接する領域であり、第2仮想領域A2bは、少なくとも装着部配置領域A1と接する領域である。
【0140】
充電装置220においては、通信領域137は、非装着部領域A2のうち第1仮想領域A2aに配置されている。換言すれば、通信領域137は、非装着部領域A2のうち装着部配置領域A1よりも正面領域の外周縁に近い領域(第1仮想領域A2a。外周領域。)に配置されている。
【0141】
通信領域137が非装着部領域A2のうち第1仮想領域A2aに配置される構成であれば、通信領域137とバッテリパック40との距離が大きくなるため、情報入力装置100を通信領域137に近づける場合に、情報入力装置100とバッテリパック40との干渉が生じがたくなる。
【0142】
[2−3.効果]
以上説明したように、第2実施形態の充電装置220は、通信領域137が背面領域231aとは異なる位置に形成される領域であるため、充電装置220の設置箇所に配置された状態でも、情報入力装置100を通信領域137に近づけることができ、情報入力装置100と無線通信部127との間の近接無線通信を実現できる。
【0143】
次に、ハウジング229は、バッテリパック40が装着されるバッテリ装着部133を備えており、通信領域137は、非装着部領域A2のうち装着部配置領域A1よりも正面領域の外周縁に近い領域である第1仮想領域A2a(外周領域)に配置されている。
【0144】
このような構成であれば、通信領域137とバッテリパック40との距離が大きくなるため、情報入力装置100を通信領域137に近づける場合に、情報入力装置100とバッテリパック40との干渉が生じがたくなる。これにより、情報入力装置100を用いて無線通信部127との間で無線通信を行う場合に、情報入力装置100の配置の自由度が高くなるため、情報入力装置100と無線通信部127との間での無線通信状態が良好となる。
【0145】
[2−4.文言の対応関係]
ここで、文言の対応関係について説明する。
充電装置220が情報送受信機器の一例に相当し、制御部222が制御部の一例に相当し、無線通信部127が無線通信部の一例に相当し、ハウジング229が筐体の一例に相
当し、背面領域231aが背面領域の一例に相当し、通信領域137が通信領域の一例に相当する。
【0146】
第1ハウジング230が正面側筐体の一例に相当し、第2ハウジング231が背面側筐体の一例に相当し、延設部159が延設部の一例に相当し、バッテリ装着部133が機器装着部の一例に相当する。
【0147】
装着部配置領域A1が装着部配置領域の一例に相当し、非装着部領域A2が非装着部領域の一例に相当し、第1仮想領域A2aが外周領域の一例に相当する。
[3.他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0148】
上記の各実施形態では、通信領域が正面領域に配置される形態について説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、
図12に示す充電装置220のように、外表面のうち側面領域に通信領域137が配置される構成であってもよい。
【0149】
なお、
図12は、充電装置220の側面図であり、
図13は、
図12に示す充電装置におけるC−C断面の断面図である。この充電装置220においては、無線通信部127は、第1ハウジング230のうち側面領域の内面に固定されている。また、無線通信部127は、内部配線(図示省略)を介して制御部(図示省略)に接続されている。なお、制御部は、第2ハウジング231に固定されている。
【0150】
この充電装置220は、通信領域137が背面領域231aとは異なる位置に形成される領域であるため、充電装置220の設置箇所に配置された状態でも、情報入力装置100を通信領域137に近づけることができ、情報入力装置100と無線通信部127との間の無線通信を実現できる。
【0151】
また、負荷変調方式の近接無線通信は、NFCに限られることはなく、例えば、RFIDタグを用いた近接無線通信であってもよい。さらに、近接無線通信としては、負荷変調方式に限られることはなく、通信可能範囲が数cm〜数mの範囲に設定されたものであれば、他の通信方式であってもよい。