(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。
図1は、バッテリ1に接続された本実施形態に係る推定装置10の機能ブロックを示す図である。
【0011】
本実施形態のバッテリ1の推定装置10は、電気自動車又はハイブリッド電気自動車などの車両に用いられる。このような車両には、車両を駆動する電気モータ、バッテリ、及びこれらのコントローラなどが搭載される。そして、電気モータへの電力の供給(放電)、並びに制動時における電気モータからの制動エネルギの回生、及び地上充電設備からのバッテリへの電力回収(充電)が行われる。このような充放電電流のバッテリへの入出力により、バッテリ内部の状態は変化する。この内部状態を推定装置10により推定しながらモニタしていくことで、バッテリ残量などの必要な情報が収集される。
【0012】
図1に示すように、バッテリ1の推定装置10は、電圧センサ(端子電圧検出部)2と、電流センサ(充放電電流検出部)3と、推定部4と、電荷量算出部5と、充電率算出部6と、健全度算出部7と、を備える。推定部4、電荷量算出部5、充電率算出部6、及び健全度算出部7は、例えば車載のマイクロコンピュータで構成される。
【0013】
バッテリ1は、例えばリチャージャブルバッテリ(二次電池)である。バッテリ1は、本実施の形態においてリチウムイオンバッテリであるものとして説明するが、これに限定されない。バッテリ1は、他の種類のバッテリであってもよい。
【0014】
端子電圧検出部2は、例えば電圧センサであって、バッテリ1の端子電圧値vを検出する。端子電圧検出部2は、検出した端子電圧値vを推定部4に出力する。
【0015】
充放電電流検出部3は、例えば電流センサであって、バッテリ1の充放電電流値iを検出する。充放電電流検出部3は、検出した充放電電流値iを推定部4に出力する。
【0016】
推定部4は、バッテリ1の等価回路モデル41と、カルマンフィルタ42と、を有する。推定部4は、カルマンフィルタ42を用いて、等価回路モデル41のパラメータ値と、バッテリ1の開放電圧OCV(Open Circuit Voltage)と、バッテリ1の内部状態量と、を推定(算出)可能である。本実施形態において、推定部4は、端子電圧検出部2からの端子電圧v及び充放電電流検出部3からの充放電電流iに基づいて、パラメータ値及び内部状態量を同時に推定する。推定部4は、推定したパラメータ値に基づいて開放電圧OCVを算出する。推定部4が行う推定及び算出の処理の詳細については後述する。また、推定部4は、算出した開放電圧OCVを、充電率算出部6及び健全度算出部7に出力する。
【0017】
等価回路モデル41は、抵抗とコンデンサとの並列回路を接続した、無限級数の和による近似で表されるフォスタ型RC梯子回路、又は、直列接続した抵抗間をコンデンサで接地した、連分数展開による近似で表されるカウエル型RC梯子回路等で構成される。なお、抵抗及びコンデンサは、等価回路モデル41のパラメータとなる。
【0018】
カルマンフィルタ42は、対象となるシステムのモデル(本実施形態では等価回路モデル41)と実システムとに同一の入力信号を入力した場合の両者の出力を比較する。カルマンフィルタ42は、両者の出力に誤差があれば、この誤差にカルマンゲインを乗算して上記のモデルへとフィードバックする。これにより、カルマンフィルタ42は、両者の誤差が最小になるようにモデルを修正する。カルマンフィルタ42は、これらを繰り返すことで、モデルのパラメータを推定する。
【0019】
電荷量算出部5は、充放電電流検出部3で検出したバッテリ1の充放電電流値iを取得する。電荷量算出部5は、この値を逐次積算していくことで、バッテリ1から出力された電荷量、及びバッテリ1へと入力された電荷量を求める。電荷量算出部5は、入出力された電荷量を、逐次積算演算前に記憶した残存電荷量から減算することで、現在のバッテリ1が有する電荷量Qを算出する。この電荷量Qは、健全度算出部7へ出力される。
【0020】
充電率算出部6は、開放電圧OCVと充電率SOC(State of Charge)との関係が温度及びバッテリ1の劣化に影響されにくいことから、これらの関係を予め実験等で求めて得た相関データを記憶する。充電率算出部6は、例えば、SOC−OCV特性を表として記憶してもよい。充電率算出部6は、対応する表に基づき、推定部4で推定した開放電圧OCVから、該当する時点での充電率SOCを推定する。推定された充電率SOCは、バッテリ1のバッテリマネージメントに利用される。
【0021】
健全度算出部7は、所定幅で区分けした健全度SOH(State of Health)毎に電荷量Qと開放電圧OCVとの相関を表す特性表を有する。当該特性表の詳細については、例えば、本出願人の出願による特開2012−57956号公報に開示されている。健全度算出部7には、推定部4で推定した開放電圧OCVと電荷量算出部5で算出した電荷量Qとが入力される。健全度算出部7は、入力されたこれらの値が上記特性表のいずれの健全度SOHの範囲に入るのかを算出する。健全度算出部7は、当てはまる健全度SOHを出力する。
【0022】
次に、推定部4の処理について説明する。
【0023】
本実施形態において、推定部4は、等価回路モデル41において、カルマンフィルタ42を用いてバッテリ1の内部状態量とパラメータ値とを同時に推定する。バッテリ1の内部状態量は、バッテリ1の充電率SOCを含み、パラメータ値は、後述する拡散容量C
d又は拡散抵抗R
dの少なくとも1つを含むのが好適である。本実施形態において、カルマンフィルタ42は、例えば無香料カルマンフィルタ(UKF: Unscented Kalman Filter)であるが、これに限定されない。UKFは、シグマポイントという重み付きサンプル点を使って確率分布を近似し、それぞれの重み付き遷移を計算する。具体的には、UKFは、シグマポイントごとに遷移後の平均値と分散とを計算し、それらを重みに従って加算する。これにより、UKFは、遷移後の確率分布について、より真値に近く、かつ、計算量も増大し過ぎないような近似を行うことができる。また、UKFは、システムを近似するのではなく、確率分布をシグマポイントで近似しているので、システムの非線形性について制約がない。
【0024】
実際のバッテリでは、充電後と放電後とで異なるSOC−OCV特性を示すヒステリシス現象が発生することがある。この場合、バッテリのSOC−OCV特性を正確に表すことができない。ヒステリシス現象は電極の材料により発生し、特にリン酸リチウムを用いた場合にはヒステリシス現象の影響が大きく表れる。
【0025】
図2は、リン酸鉄リチウムイオン電池のSOC−OCV特性の測定結果である。
図2(a)に着目すると、充電時の特性と放電時の特性との間でOCVの差が生じていることが分かる。また、
図2(a)の破線囲み部を拡大した
図2(b)において、SOCが68%の時点で放電するようにしてもヒステリシス特性を示すことが分かる。より具体的には、SOCが68%から38%に低下するまで放電が行われた後に、SOCが38%から68%に上昇するまで充電が行われた場合の小ループにおいても、充電時の特性と放電時の特性との間でOCVの差が生じている。このような小ループは、
図2(a)に示す全体ループの内側に形成される。すなわち、ヒステリシスによって生じる充電時の特性と放電時の特性との間のOCV差の最大値を2×mとすると、ヒステリシス電圧v
hは、以下の式(1)のような制約を受ける。
【数5】
【0026】
このようなヒステリシス現象を表すモデルの1つとして、Plettのヒステリシスモデルが知られている。本実施形態の推定装置10は、
図3に示す等価回路のように、並列接続された可変抵抗R
h及び可変コンデンサC
hによって構成されるPlettのヒステリシスモデルを組み込んだ等価回路モデル41を採用する。
【0027】
図3は、バッテリ1の等価回路モデル41を示す回路図である。
図3(a)は、バッテリ1の等価回路モデル41の全体を示す回路図である。
図3(b)は、等価回路モデル41を構成するワールブルグインピーダンスZ
wの等価回路モデルを示す回路図である。
【0028】
図3を用いて、バッテリ1の等価回路モデル41について説明する。
図3に示すように、バッテリ1の等価回路モデル41として、開放電圧OCVを有し、並列接続された可変抵抗R
h及び可変コンデンサC
hと、内部抵抗R
0と、ワールブルグインピーダンスZ
wと、が直列に接続される開回路を想定する。
【0029】
図3に示すモデルにおいて、入力を電流u=i、出力を端子電圧y=vとして、状態変数を、
【数6】
とすると、連続時間系の状態空間表現は、
【数7】
となる。ただし、
【数8】
である。また、
【数9】
である。この状態空間表現で、FCCはバッテリ1の満充電容量、R
0はバッテリ1の直達抵抗である。また,C
d及びR
dはバッテリ1の拡散現象を表すパラメータであり、それぞれ拡散容量及び拡散抵抗である。C
h及びR
hはバッテリ1のヒステリシス現象を表すパラメータであり、それぞれヒステリシス容量及びヒステリシス抵抗である。パラメータγはヒステリシスの速さを表すパラメータである。さらに、f
OCV(SOC(t))は、充電側及び放電側のSOC-OCV特性の平均を表す非線形な関数(
図1のOCV
mとSOCとの関係に相当)である。
【0030】
ここで、推定部4は、バッテリ1の等価回路モデル41において推定したいパラメータを状態変数として加えた拡大系を構成し、バッテリ1の内部状態量とパラメータ値とを同時に推定する。推定するパラメータとして、直達抵抗R
0、拡散抵抗R
d、及び拡散容量C
dを選択し、パラメータベクトルを
【数10】
と選ぶと、拡大系状態ベクトルは、
【数11】
となる。このとき、拡大系は、
【数12】
となる。ただし、
【数13】
である。ここで、パラメータベクトルを、式(12)のように定義したが、ヒステリシスの最大値mは、上述のとおり、充放電のSOC-OCV特性の幅(の2分の1)に相当する量であるので、予め計測しておくことができる。そのため、この値については既知として、推定するパラメータから除外してもよい。すなわち、
【数14】
であってもよい。これにより、推定するパラメータが少なくなるので、他のパラメータの推定精度が向上する。以下では、説明の簡略化のために、式(18)のパラメータベクトルを用いる。
【0031】
上記の拡大系をそのまま利用すると、推定するパラメータのオーダの差が大きく、計算機による数値計算の精度が劣化する。そこで、各パラメータを対数化し、指数部分を推定することで数値計算の精度が向上する。パラメータベクトルを対数化すると、
【数15】
となる。これにより、拡大系状態ベクトルは、
【数16】
となる。このとき、拡大系は、
【数17】
となる。ただし、
【数18】
である。
【0032】
ここで、本実施形態に係る推定装置10は、上述した式(1)により表わされるヒステリシスによる制約を考慮するために、以下の処理を行う。すなわち、推定部4は、ヒステリシス電圧v
hを以下のように置換して、ヒステリシス電圧v
hに代えて変数x
h(t)を推定する。
【数19】
より具体的には、式(1)により定義される制約の範囲内において、ヒステリシス電圧v
hは、変数x
hの変化に対して傾きが略1となるような関数によって置換される。一方で、制約の範囲外では、ヒステリシス電圧v
hは、変数x
hの変化に対して傾きが1よりも大きいような関数によって置換される。
【0033】
上記の両方の条件を満たす微分可能な1つの関数は、以下のとおりである。
【数20】
図4は、式(27)に従った、ヒステリシス電圧v
hと変数x
hとの関係を示す図である。
図4に示すとおり、ヒステリシス電圧v
hは、式(1)により定義される制約の範囲内においては、傾き略1で変化する。一方で、ヒステリシス電圧v
hは、制約の範囲外では、変数x
hの絶対値が大きくなるにつれて、その傾きを増大させる。以下では、式(27)におけるx
h(t)/mを改めてx
h(t)と置き直す。すなわち、以下では、変数x
h(t)の軸をm分の1倍にして、各式の導出を行う。
【0034】
ここで、式(23)よりヒステリシス電圧v
hについての方程式を抽出すると、
【数21】
となる。式(28)のヒステリシス電圧v
hを式(27)で置き換えると、
【数22】
が得られる。ただし、式(29)の導出過程において、
【数23】
と仮定した。すなわち、ヒステリシスの最大値mは、時間変化しないものと仮定する。
【0035】
推定部4は、上記の結果を、対数化した拡大系に入れ込む。より具体的には、以下のとおりである。すなわち、初めに、状態ベクトル及びパラメータベクトルを
【数24】
とすると、拡大系状態ベクトルは、
【数25】
と表せる。このとき、拡大系は、
【数26】
となる。ただし、
【数27】
である。
【0036】
上記のように対数化して、かつ、ヒステリシスの制約を考慮した拡大系は、連続系の状態空間表現である。従って、推定部4は、最後にルンゲクッタ法又はオイラー法などを用いて離散化を行う。本実施形態では、一例として、推定部4は、ルンゲクッタ法により離散化を行う。これにより、推定部4は、通常よく用いられるオイラー法と比べて、離散化誤差を低減できる。
【0037】
サンプリング周期をT
S秒とすると、
【数28】
となる。ただし、
【数29】
である。また、
【数30】
である。
【0038】
続いて、上記の推定部4の処理によって得られる、制約を考慮したUKFによる推定結果について説明する。
【0039】
図5は、制約を考慮しない、従来のPlettによるヒステリシスモデルに対してUKFによる推定を行った場合のヒステリシス電圧v
hの推定結果を示す図である。
図6は、本実施形態に係る推定装置10において、制約を考慮した場合のUKFによるヒステリシス電圧v
hの推定結果を示す図である。
図6(a)は、Plettのヒステリシスモデルによる出力値とUKFによる推定値とを比較した図である。
図6(b)は、ヒステリシス電圧v
hの推定誤差を示した図である。
【0040】
初めに比較のために、
図5を用いて、制約を考慮しない、従来のPlettによるヒステリシスモデルを用いた場合のヒステリシス電圧v
hの推定結果について説明する。
図5では、従来のPlettのヒステリシスモデルによる出力値を破線で示し、UKFによる推定値を実線で示す。
図5に示すとおり、上記のように制約を考慮しない場合、従来のPlettのヒステリシスモデルによる出力値とUKFによる推定値とは、一部の時間領域において大きく異なる。特に、
図5の2つの破線囲み部では、出力値と推定値とは、一致しない。さらに、2つの破線囲み部において、ヒステリシス電圧v
hのUKFによる推定値は、制約(約−10mV)を大きく超えることもある。
【0041】
一方で、
図6を用いて、制約を考慮した場合のUKFによるヒステリシス電圧v
hの推定結果について説明する。
図6(a)では、
図5と同様にPlettのヒステリシスモデルによる出力値を破線で示し、UKFによる推定値を実線で示す。制約を考慮した、本実施形態に係る推定装置10では、
図6(a)に示すとおり、Plettのヒステリシスモデルによる出力値とUKFによる推定値とは、よく一致している。実際、
図6(b)に示すとおり、ヒステリシス電圧v
hの推定誤差は、数mVの範囲内に収まっている。さらに、ヒステリシス電圧v
hのUKFによる推定値は、全ての時間領域において制約内(約±10mV)に収まっている。
【0042】
続いて、2倍のヒステリシス電圧v
hを観測値としてUKFに入力する場合を考える。
図7は、等価回路モデル41とカルマンフィルタ42との関係を示した模式図である。
図8はカルマンフィルタ42に入力される電流値と電圧観測値とを示した図である。
図9は、本実施形態に係る推定装置10において、2倍のヒステリシス電圧v
hを観測値としてUKFに入力した場合のヒステリシス電圧v
hの推定結果を示す図である。
図9(a)は、Plettのヒステリシスモデルによる出力値とUKFによる推定値とを比較した図である。
図9(b)は、ヒステリシス電圧v
hの推定誤差を示した図である。
【0043】
図7に示すとおり、推定部4は、等価回路モデル41、すなわちPlettのヒステリシスモデルからの電圧真値の出力を分岐して、分岐された出力において電圧真値を2倍(α=2)する。推定部4は、倍になった電圧真値を電圧観測値としてカルマンフィルタ42に入力する。
【0044】
このとき、
図8に示すとおり、ヒステリシス電圧v
hについて、実線で示した観測値は、全ての時間領域において、破線で示した真値の倍となる。すなわち、観測値は、一部の時間領域において、制約の範囲(約±10mV)を超える。
【0045】
一方で、
図9に着目すると、電圧観測値が制約の範囲を超える場合であっても、Plettのヒステリシスモデルによる出力値、すなわち真値と、カルマンフィルタ42を構成するUKFによる推定値とは、よく一致している。実際、
図9(b)に示すとおり、ヒステリシス電圧v
hの推定誤差は、略0である。さらに、ヒステリシス電圧v
hのUKFによる推定値は、破線囲み部において一部制約の範囲を超えるものの、直ちに制約の範囲内に収まり、略全ての時間領域において制約内(約±10mV)に収まる。
【0046】
以上のような推定装置10は、実際のヒステリシス現象に起因する制約を考慮して、より正確な推定を可能にする。すなわち、推定装置10は、実際のヒステリシス現象の制約範囲内に収まるヒステリシス電圧v
hを推定可能である。特に、推定装置10は、式(27)によりヒステリシス電圧v
hを置き換えることで、
図6及び
図9に示すとおり、推定誤差を低減できる。また、推定装置10は、
図9に示すとおり、電圧観測値が制約の範囲を超える場合であっても、ヒステリシス電圧v
hを制約の範囲内で精度良く推定可能である。これは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、式(27)では、変数x
hが+m以上、又は−m以下になると、ヒステリシス電圧v
hの絶対値が急激に増大する。一方で、実際の現象では、ヒステリシス電圧v
hは、−m以上+m以下の値をとる。従って、式(27)で置換しない場合と比べて、推定値と測定値との乖離が増大する。乖離が増大すると、カルマンフィルタ42がそれを低減するようにカルマンゲインを調整して直ちにフィードバックする。これにより、推定装置10は、推定値を制約の範囲内から大きく逸脱しない範囲に留めることができる。
【0047】
本発明は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。従って、先の記述は例示的なものであり、これに限定されるものではない。発明の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるものとする。
【0048】
例えば、本実施形態に係る推定装置10は、ヒステリシス電圧v
hを式(27)で置き換えたが、これに限定されない。例えば、推定装置10は、以下の式でヒステリシス電圧v
hを置き換えてもよい。
【数31】
ただし、kは1よりも大きな値の係数である。
【0049】
図10は、式(46)に従った、ヒステリシス電圧v
hと変数x
hとの関係を示す図である。
図10に示すとおり、ヒステリシス電圧v
hは、式(1)により定義される制約の範囲内(−m≦x
h≦m)においては、傾き1で変化する。一方で、ヒステリシス電圧v
hは、制約の範囲外では、傾きkで変化する。これにより、推定装置10は、ヒステリシス電圧v
hを単純な線形関数に置き換えるので、推定処理における計算式を簡素化できる。
【0050】
このように、推定装置10は、式(25)及び(26)の条件を満たす関数であれば、任意の関数でヒステリシス電圧v
hを置き換えてもよい。