(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
食品を充填する前の容器を洗浄する容器洗浄設備と、洗浄後の容器に不活性ガス環境下において食品を充填する充填設備とを有する容器入り食品製造工場に設置され、前記充填設備から排気される、不活性ガス及び食品成分を含む排ガスから前記食品成分を除去する排ガス処理システムであって、
本体の内部に散水ノズルが設けられ、前記散水ノズルの下方に前記充填設備から排気される排ガスが給気される給気口が設けられ、前記給気口より下方にドレンが設けられ、前記散水ノズルの上方に少なくとも前記食品成分が除去された排ガスを排気する排気口が設けられた排ガス処理装置と、
前記容器洗浄設備において前記容器を洗浄するために散布した洗浄水及び該容器洗浄設備を洗浄するために散布した熱水を少なくとも前記散水ノズルに供給する供給機構と、が備えられている排ガス処理システム。
食品を充填する前の容器を洗浄する容器洗浄設備と、食品が充填された容器に不活性ガス環境下において蓋をする巻締設備とを有する容器入り食品製造工場に設置され、前記巻締設備から排気される、不活性ガス及び食品成分を含む排ガスから前記食品成分を除去する排ガス処理システムであって、
本体の内部に散水ノズルが設けられ、前記散水ノズルの下方に前記巻締設備から排気される排ガスが給気される給気口が設けられ、前記給気口より下方にドレンが設けられ、前記散水ノズルの上方に少なくとも前記食品成分が除去された排ガスを排気する排気口が設けられた排ガス処理装置と、
前記容器洗浄設備において前記容器を洗浄するために散布した洗浄水及び該容器洗浄設備を洗浄するために散布した熱水を少なくとも前記散水ノズルに供給する供給機構と、が備えられている排ガス処理システム。
前記供給配管は、前記供給ポンプから前記散水ノズルに至る途中で分岐し、前記散水ノズルに至る第一供給配管と、前記給気口と前記散水ノズルとの間の壁面に設けられた給水口に至る第二供給配管と、を有し、
少なくとも前記第二供給配管に流量調節バルブが備えられている請求項3に記載の排ガス処理システム。
食品を充填する前の容器を洗浄する容器洗浄設備と、洗浄後の容器に不活性ガス環境下において食品を充填する充填設備とを有する容器入り食品製造工場に設置され、前記充填設備から排気される、不活性ガス及び食品成分を含む排ガスから前記食品成分を除去するために設置された排ガス処理装置の運転方法であって、
前記排ガス処理装置は、本体の内部に散水ノズルが設けられ、前記散水ノズルの下方に前記充填設備から排気される排ガスが給気される給気口が設けられ、前記給気口より下方にドレンが設けられ、前記散水ノズルの上方に少なくとも前記食品成分が除去された排ガスを排気する排気口が設けられて構成され、
前記排ガスの処理時に、前記容器洗浄設備において前記容器を洗浄するために散布した洗浄水を前記散水ノズルに供給する洗浄水供給ステップが実行され、前記排ガス処理装置の洗浄時に、前記容器洗浄設備を洗浄するために散布した熱水を少なくとも前記散水ノズルに供給する熱水供給ステップが実行される運転方法。
食品を充填する前の容器を洗浄する容器洗浄設備と、食品が充填された容器に不活性ガス環境下において蓋をする巻締設備とを有する容器入り食品製造工場に設置され、前記巻締設備から排気される、不活性ガス及び食品成分を含む排ガスから前記食品成分を除去するために設置された排ガス処理装置の運転方法であって、
前記排ガス処理装置は、本体の内部に散水ノズルが設けられ、前記散水ノズルの下方に前記巻締設備から排気される排ガスが給気される給気口が設けられ、前記給気口より下方にドレンが設けられ、前記散水ノズルの上方に少なくとも前記食品成分が除去された排ガスを排気する排気口が設けられて構成され、
前記排ガスの処理時に、前記容器洗浄設備において前記容器を洗浄するために散布した洗浄水を前記散水ノズルに供給する洗浄水供給ステップが実行され、前記排ガス処理装置の洗浄時に、前記容器洗浄設備を洗浄するために散布した熱水を少なくとも前記散水ノズルに供給する熱水供給ステップが実行される運転方法。
前記熱水供給ステップは、前記ドレン及び前記給気口を閉じた状態で実行され、前記排ガス処理装置に供給された熱水は前記排気口から排水される請求項6から9のいずれか一項に記載の運転方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されているミストセパレータは、排ガス処理時に使用する散水ノズルからの散水に利用する新水が必要になるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、排ガス処理時の散水及び排ガス処理装置自体の洗浄を安価に可能な排ガス処理システム及び排ガス処理装置の運転方法を提供することを目的とする。
【0008】
上述の目的を達成するための、本発明に係る排ガス処理システムの特徴構成は、食品を充填する前の容器を洗浄する容器洗浄設備と、洗浄後の容器に不活性ガス環境下において食品を充填する充填設備とを有する容器入り食品製造工場に設置され、前記充填設備から排気される、不活性ガス及び食品成分を含む排ガスから前記食品成分を除去する排ガス処理システムであって、本体の内部に散水ノズルが設けられ、前記散水ノズルの下方に前記充填設備から排気される排ガスが給気される給気口が設けられ、前記給気口より下方にドレンが設けられ、前記散水ノズルの上方に少なくとも前記食品成分が除去された排ガスを排気する排気口が設けられた排ガス処理装置と、前記容器洗浄設備において前記容器を洗浄するために散布した洗浄水及び該容器洗浄設備を洗浄するために散布した熱水を少なくとも前記散水ノズルに供給する供給機構と、が備えられている点にある。
【0009】
上述の構成によると、排ガス処理装置において排ガス処理を行うときは、供給機構によって、容器洗浄設備において容器の洗浄のために使用された洗浄水を散水ノズルに供給することによって、給気口から供給された充填設備からの排ガスと、散水ノズルから散布した洗浄水とを気液接触させて、排ガスに含まれる食品成分を除去することができる。排ガス処理装置自体の洗浄を行うときは、供給機構によって、容器洗浄設備において該容器洗浄設備を洗浄するために使用された熱水を少なくとも散水ノズルに供給することによって、排ガス処理装置の内部に付着した食品成分を洗浄することができる。
【0010】
容器洗浄設備において洗浄水及び熱水の使用をするときと、排ガス処理装置において洗浄水及び熱水の使用をするときとがそれぞれ同じであるため、上述のような使用が可能となる。排ガス処理装置における排ガスの処理に使用する洗浄水と、排ガス処理装置自体の洗浄の際に使用する熱水とを、別に用意する必要がなくなる。
【0011】
上述の目的を達成するための、本発明に係る排ガス処理システムの特徴構成は、食品を充填する前の容器を洗浄する容器洗浄設備と、食品が充填された容器に不活性ガス環境下において蓋をする巻締設備とを有する容器入り食品製造工場に設置され、前記巻締設備から排気される、不活性ガス及び食品成分を含む排ガスから前記食品成分を除去する排ガス処理システムであって、本体の内部に散水ノズルが設けられ、前記散水ノズルの下方に前記巻締設備から排気される排ガスが給気される給気口が設けられ、前記給気口より下方にドレンが設けられ、前記散水ノズルの上方に少なくとも前記食品成分が除去された排ガスを排気する排気口が設けられた排ガス処理装置と、前記容器洗浄設備において前記容器を洗浄するために散布した洗浄水及び該容器洗浄設備を洗浄するために散布した熱水を少なくとも前記散水ノズルに供給する供給機構と、が備えられている点にある。
【0012】
上述の構成によると、排ガス処理装置において排ガス処理を行うときは、供給機構によって、容器洗浄設備において容器の洗浄のために使用された洗浄水を散水ノズルに供給することによって、給気口から供給された巻締設備からの排ガスと、散水ノズルから散布した洗浄水とを気液接触させて、排ガスに含まれる食品成分を除去することができる。排ガス処理装置自体の洗浄を行うときは、供給機構によって、容器洗浄設備において該容器洗浄設備を洗浄するために使用された熱水を少なくとも散水ノズルに供給することによって、少なくとも充填材に付着した食品成分を洗浄することができる。
【0013】
容器洗浄設備において洗浄水及び熱水の使用をするときと、排ガス処理装置において洗浄水及び熱水の使用をするときとがそれぞれ同じであるため、上述のような使用が可能となる。排ガス処理装置における排ガスの処理に使用する洗浄水と、排ガス処理装置自体の洗浄の際に使用する熱水とを、別に用意する必要がなくなる。
【0014】
本発明においては、前記供給機構は、前記容器洗浄設備において使用された前記洗浄水又は前記熱水を貯留する貯留タンクと、前記貯留タンクに貯留された前記洗浄水又は前記熱水を前記散水ノズルに供給する供給配管と、前記供給配管に設けられた供給ポンプと、が備えられていると好適である。
【0015】
上述の構成によると、貯留タンクに洗浄水や熱水を一旦貯留することができるため、容器洗浄設備と排ガス処理装置において、使用する洗浄水や熱水の量の差や、洗浄水や熱水を使用するタイミングにずれがあったとしてもそれらの影響を受けることなく、洗浄水や熱水を排ガス処理装置に供給できる。
【0016】
本発明においては、前記供給配管は、前記供給ポンプから前記散水ノズルに至る途中で分岐し、前記散水ノズルに至る第一供給配管と、前記給気口と前記散水ノズルとの間の壁面に設けられた給水口に至る第二供給配管と、を有し、少なくとも前記第二供給配管に流量調節バルブが備えられていると好適である。
【0017】
上述の構成によると、排ガス処理装置によって排ガスを処理するときは、第一供給配管のみを介して散水ノズルから洗浄水を供給し、排ガス処理装置の洗浄時には、第二供給配管を介して、熱水をすばやく本体の内部に供給することができる。
【0018】
本発明においては、前記ドレンにドレンバルブが備えられ、前記給気口に至る給気管に流量調節バルブが備えられていると好適である。
【0019】
上述の構成によると、排ガス処理装置の洗浄中にドレンバルブを閉じることによって本体の内部に熱水を満たし、本体の内部全体を洗浄することができる。なお、洗浄に使用した熱水は排気口から排水される。また、排ガス処理装置の洗浄中に流量調節バルブを閉じることによって、排ガスの発生源の充填設備又は巻締設備を洗浄のための洗浄水が、給気口を介して排ガス処理装置に流れ込まない。
【0020】
上述の目的を達成するための、本発明に係る運転方法の特徴構成は、食品を充填する前の容器を洗浄する容器洗浄設備と、洗浄後の容器に不活性ガス環境下において食品を充填する充填設備とを有する容器入り食品製造工場に設置され、前記充填設備から排気される、不活性ガス及び食品成分を含む排ガスから前記食品成分を除去するために設置された排ガス処理装置の運転方法であって、前記排ガス処理装置は、本体の内部に散水ノズルが設けられ、前記散水ノズルの下方に前記充填設備から排気される排ガスが給気される給気口が設けられ、前記給気口より下方にドレンが設けられ、前記散水ノズルの上方に少なくとも前記食品成分が除去された排ガスを排気する排気口が設けられて構成され、前記排ガスの処理時に、前記容器洗浄設備において前記容器を洗浄するために散布した洗浄水を前記散水ノズルに供給する洗浄水供給ステップが実行され、前記排ガス処理装置の洗浄時に、前記容器洗浄設備を洗浄するために散布した熱水を少なくとも前記散水ノズルに供給する熱水供給ステップが実行される点にある。
【0021】
上述の目的を達成するための、本発明に係る運転方法の特徴構成は、食品を充填する前の容器を洗浄する容器洗浄設備と、食品が充填された容器に不活性ガス環境下において蓋をする巻締設備とを有する容器入り食品製造工場に設置され、前記巻締設備から排気される、不活性ガス及び食品成分を含む排ガスから前記食品成分を除去するために設置された排ガス処理装置の運転方法であって、前記排ガス処理装置は、本体の内部に散水ノズルが設けられ、前記散水ノズルの下方に前記巻締設備から排気される排ガスが給気される給気口が設けられ、前記給気口より下方にドレンが設けられ、前記散水ノズルの上方に少なくとも前記食品成分が除去された排ガスを排気する排気口が設けられて構成され、前記排ガスの処理時に、前記容器洗浄設備において前記容器を洗浄するために散布した洗浄水を前記散水ノズルに供給する洗浄水供給ステップが実行され、前記排ガス処理装置の洗浄時に、前記容器洗浄設備を洗浄するために散布した熱水を少なくとも前記散水ノズルに供給する熱水供給ステップが実行される点にある。
【0022】
本発明においては、前記容器洗浄設備において使用された前記洗浄水又は前記熱水を貯留する貯留ステップを備え、前記洗浄水供給ステップにおいて、前記貯留ステップにおいて貯留された前記洗浄水を使用し、前記熱水供給ステップにおいて、前記貯留ステップにおいて貯留された前記熱水を使用すると好適である。
【0023】
本発明においては、前記洗浄水供給ステップは、前記散水ノズルのみを介して洗浄水を供給し、前記熱水供給ステップは、前記散水ノズル及び前記給気口と前記散水ノズルとの間の壁面に設けられた給水口を介して前記熱水を供給すると好適である。
【0024】
本発明においては、前記熱水供給ステップは、前記ドレン及び前記給気口を閉じた状態で実行され、前記排ガス処理装置に供給された熱水は前記排気口から排水されると好適である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明の案内機構の実施形態について図面を参照しながら説明をする。
【0027】
食品製造工場の一例として、缶ビール製造工場1は、
図1に示すように、ビールを充填する前の缶2を貯蔵する貯蔵設備3、ビールを充填する前の缶2を洗浄する容器洗浄設備4、缶2にビールを充填する充填設備5、ビールが充填された缶2蓋をする巻締設備6、蓋が締められた缶2(以下、缶ビール2ともいう。)を所定数量ずつ梱包する梱包設備7等を備えている。
【0028】
本実施形態においては、ビールが本発明に係る食品であり、缶2が本発明に係る容器である。缶2は、金属缶(二ピース缶)から構成されている。缶2は蓋が取り付けられていない状態のまま、パレット8上に所定数量ずつ段積みされ、貯蔵設備3に貯蔵されている。
【0029】
貯蔵設備3は開梱装置、いわゆるデパレタイザを備えている。該開梱装置によってパレット8に段積みされている缶2が開梱され容器洗浄設備4に搬送される。
【0030】
容器洗浄設備4は、貯蔵設備3に貯蔵されていた缶2を洗浄する設備である。容器洗浄設備4は、缶2を倒立状態で搬送する搬送手段9、搬送手段9による缶2の搬送経路に沿って缶2に洗浄水を噴射する洗浄水ノズル10、缶2の洗浄に使用された洗浄水を集水する集水パン11等を備えている。なお、容器洗浄設備4の筐体自体が集水パン11の役割を果たしている場合は、集水パン11はなくてもよい。
【0031】
洗浄水ノズル10に洗浄水の供給機構が接続されている。前記供給機構は、缶2の洗浄時は洗浄水ノズル10に常温の新水を洗浄水として供給し、容器洗浄設備4の洗浄時は洗浄水ノズル10に、たとえば図示しない加熱装置によって加熱された新水(以下、熱水という。)を洗浄水として供給する。
【0032】
充填設備5は、容器洗浄設備4において洗浄された缶2を受け取り、該缶2に所定の入味量のビールを充填する設備である。充填設備5に、筐体の内部に、ビールの充填装置12と、ビールを充填する前の缶2に不活性ガスとして炭酸ガスを噴射する噴射機構13とが備えられている。筐体の内部は、ビールを缶2に充填する際の飛沫や、噴射機構13から噴射された炭酸ガスが漂う環境となっている。なお、不活性ガスは炭酸ガスに限らない。たとえば窒素ガスであってもよく、噴射機構13はビールの充填装置12に内蔵されていてもよい。
【0033】
巻締設備6は、充填設備5から所定の入味量のビールが充填された缶2を受け取り、該缶2に蓋を巻締する設備である。巻締設備6に、筐体の内部に、缶2に蓋を巻き締める巻締装置14と、缶2に蓋を巻き締める前に缶2の液面上に不活性ガスとして炭酸ガスを噴射する噴射機構15とが備えられている。筐体の内部は、缶2に蓋を巻き締める際に噴射機構13から噴射された炭酸ガスや、炭酸ガスの噴射によって発生するビールの飛沫が漂う環境となっている。
【0034】
梱包設備7は、巻締設備6によって蓋が締められた缶ビール2を所定本数ずつ梱包する設備である。梱包設備7によって梱包された缶ビール2は、その後出荷される。
【0035】
上述のように充填設備5の筐体の内部や、巻締設備6の筐体の内部は、炭酸ガスとビールの飛沫が漂う環境であり、したがって、充填設備5や巻締設備6から排出される排ガスは炭酸ガス及びビール成分を含んでいる。
【0036】
このような排ガスからビール成分を除去するために、缶ビール製造工場1に、
図2に示すような排ガス処理システム16が備えられている。
【0037】
排ガス処理システム16は、充填設備5から排出される排ガスを処理する排ガス処理装置17及び巻締設備6から排出される排ガスを処理する排ガス処理装置18と、容器洗浄設備4において集水パン11に集水された洗浄水や熱水を排ガス処理装置17及び排ガス処理装置18に供給する供給機構19とを備えている。
【0038】
排ガス処理装置17及び排ガス処理装置18は構造的に同一であるため、排ガス処理装置17及び排ガス処理装置18の区別が不要な構成については、排ガス処理装置17のみについて説明し、排ガス処理装置18の説明は省略する。
【0039】
排ガス処理装置17は、底面と天面が閉じられた筒状の本体20を備えている。本体20はステンレス鋼等から構成されている。
【0040】
本体20の天面付近の側面には、排気口21が形成されている。排気口21には排出配管22が接続されている。排出配管22には、排気口21から排出される排ガスの排気配管23と、排気口21から排出される洗浄水の排水配管24とが接続されている。
【0041】
排気配管23に排気バルブ25が備えられ、下流側が図示しない吸引ファンに接続されている。排水配管24に排水バルブ26が備えられている。排水配管24の下流側は図示しない排水設備に接続されている。排気バルブ25及び排水バルブ26は、手動により、又は図示しない制御部からの指示に応じて電動により、開度が全閉状態から全開状態までの間で可変に構成されている。
【0042】
本体20の下方側面には、充填設備5から排出される排ガスが給気される給気口27が形成されている。給気口27には、充填設備5に通じる給気管28が先下がり勾配をつけて接続されている。給気管28に流量調節バルブ29が備えられている。給気管28には、流量調節バルブ29の上流側に、返送バルブ30を備えた返送配管31が接続されている。流量調節バルブ29及び返送バルブ30は、手動により、又は図示しない制御部からの指示に応じて電動により、開度が全閉状態から全開状態までの間で可変に構成されている。
【0043】
本体20の底部の側面にはドレンとしてのドレン管32が接続されている。ドレン管32にドレンバルブ33と排水トラップ34とが備えられている。ドレン管32の下流側は図示しない排水設備に接続されている。排水トラップ34は、弁箱にフロート式のトラップを内蔵して構成されている。排水トラップ34により、排ガスの処理中にドレン管32を介して排ガスが流れ出る虞がない。ドレンバルブ33は、手動により、又は図示しない制御部からの指示に応じて電動により、開度が全閉状態から全開状態までの間で可変に構成されている。
【0044】
本体20の内部には、充填材35が設けられている。充填材35は、ステンレス鋼からなる平板に多数の細孔が形成された、いわゆるパンチンメタルが、鉛直方向に所定の間隙をもって多段に積層して構成されている。各パンチングメタルに形成された多数の細孔が排ガスの流通経路となる。なお、上下に隣り合うパンチングメタルは、平面視で細孔どうしが重なりあわないように配置されている。
【0045】
なお、充填材35は、一枚のパンチングメタルから構成されてもよい。また、充填材35は、メッシュ体を鉛直方向に所定の間隙をもって多段に積層して構成されてもよいし、ステンレス鋼からなる波板を水平方向に所定の間隙をもって多段に積層して構成されてもよい。また、充填材35は、耐熱性を有する樹脂から構成されてもよい。
【0046】
充填材35の上方には、供給機構19によって供給される洗浄水及び熱水を充填材35に向けて散水する一つ以上の散水ノズル36が設けられている。
【0047】
なお、供給機構19に、集水パン11に接続された貯留タンク37と、貯留タンク37と散水ノズル36とを接続する供給配管38と、供給配管38に設けられた供給ポンプ39と、が備えられている。
【0048】
供給配管38は、その途中で排ガス処理装置17に至る経路38aと、排ガス処理装置18に至る経路38bとに分岐している。
【0049】
供給配管38は、供給ポンプ39から散水ノズル36に至る途中で分岐し、散水ノズル36に至る第一供給配管41と、本体20の給気口27と充填材35との間の壁面に設けられた給水口40に至る第二供給配管42と、を有する。
【0050】
第一供給配管41に流量調節バルブ43が備えられ、第二供給配管42に流量調節バルブ44が備えられている。流量調節バルブ43及び流量調節バルブ44は、手動により、又は図示しない制御部からの指示に応じて電動により、開度が全閉状態から全開状態までの間で可変に構成されている。
【0051】
排ガス処理装置17は、缶ビール製造工場1が缶ビール2を製造する際に充填設備5から排出される排ガスを処理するために稼動する。
【0052】
排ガスの処理中においては、前記吸引ファンは稼動され、排気バルブ25、流量調節バルブ29、ドレンバルブ33及び流量調節バルブ43は開かれ、排水バルブ26、返送バルブ30及び流量調節バルブ44は閉じられる。
【0053】
容器洗浄設備4から排水された缶2の洗浄に使用した洗浄水が貯留タンク37を介して散水ノズル36に供給される。散水ノズル36から充填材35に散水され続ける洗浄水によって、各パンチングメタルの上に洗浄水の液相が形成される。換言すると、各パンチングメタルの上に洗浄水の液相が形成できるように、パンチングメタルの細孔からの滴下量に対する散水ノズル36からの洗浄水の散水量が調節される。
【0054】
本体20に給気された排ガスは、本体20の内部を上昇し、充填材35を通過する際に、洗浄水の液相と気液接触が行われ、ビール成分は洗浄水側へ除去される。なお、ビール成分を含んだ洗浄水自体は、充填材35を構成するパンチングメタルの細孔を介して本体20の底部に滴下し、ドレン管32から排水される。なお、充填材35は備えられていなくてもよい。
【0055】
散水ノズル36の上方には、エリミネータ45が設置されている。エリミネータ45は、ステンレス鋼からなる波板を水平方向に所定の間隙をもって多段に積層して構成されている。隣り合う波板どうしの間の波状通路が排ガスの流通経路となる。また、エリミネータ45は、耐熱性を有する樹脂から構成されてもよい。なお、エリミネータ45は備えられていなくてもよい。
【0056】
ビール成分が除去された排ガスがエリミネータ45の下方から上方に通り抜ける際に、排ガス中の水分が波板に衝突することによって該水分が除去される。
【0057】
このように、缶ビール2を製造中に充填設備5から排出された排ガスは、排ガス処理装置17の内部でビール成分及び水分が除去され、排気口21から排気される。
【0058】
ところで、缶ビール製造工場1は、定期的に、たとえば所定時間ごとや、製造ロットごとに洗浄が行われる。その際、容器洗浄設備4は、高温の熱水によって洗浄される。なお、熱水とは、容器洗浄設備4において使用される約60℃以上約100℃未満、好ましくは約80℃以上約100℃未満、さらに好ましくは、約90℃以上約100℃未満の水である。また、充填設備5や巻締設備6は、酸性やアルカリ性の薬液や、熱水等によって洗浄及び殺菌される。
【0059】
その際、排ガス処理装置17も洗浄が行われる。
図3に示すように、排ガス処理装置17の洗浄中においては、排水バルブ26、返送バルブ30、流量調節バルブ43及び流量調節バルブ44は開かれ、排気バルブ25、流量調節バルブ29、及びドレンバルブ33は閉じられ、前記吸引ファンは停止される。
【0060】
流量調節バルブ29が閉じられるため、充填設備5からの薬液や熱水は排ガス処理装置17に流れ込むことはない。なお、流量調節バルブ29の上流まで流れ込んできた薬剤や熱水は返送配管31を介して充填設備5に返送される。
【0061】
容器洗浄設備4おいて使用された洗浄水としての熱水は、集水パン11を介して貯留タンク37に貯留され、供給ポンプ39によって第一供給配管41及び第二供給配管42を介して排ガス処理装置17に供給される。このように、散水ノズル36及び給水口40から熱水を供給することによって、散水ノズル36のみから洗浄水を供給するよりも早く本体20の内部を洗浄水で満たすことができる。
【0062】
洗浄水は本体20に溜まり、本体20の内部すなわち天面、底面及び壁面や充填材、散水ノズル、エリミネータ等が洗浄される。本体20に満たされた洗浄水は、排気口21から排水配管24へと溢流する。なお、ビール成分は、60℃から70℃程度もあれば十分に洗浄できるため、排ガス処理装置17に供給されるまでに70℃から80℃程度まで下がっていてもよい。
【0063】
容器洗浄設備4において使用された熱水を洗浄水として再利用して本体20の内部を洗浄するため、別に新水を用意する必要がないためランニングコストを抑えることが可能である。
【0064】
容器洗浄設備4、充填設備5及び巻締設備6の洗浄が終了すると、缶ビール2の製造のために、容器洗浄設備4、充填設備5及び巻締設備6の立ち上げが行われる。容器洗浄設備4においては、洗浄ノズルから10から洗浄水としての常温の新水の噴射が開始され、充填設備5においては充填装置12が稼動され、巻締設備6においては、巻締装置14が稼動される。そして、排ガス処理装置17においては、前記吸引ファンによる排ガスの吸引が開始される。
【0065】
容器洗浄設備4、充填設備5及び巻締設備6が立ち上がると、貯蔵設備3から容器洗浄設備4への缶2の供給が開始され、
図1及び
図2に示すように、各設備が所定の処理を行うことによって缶ビール2が製造される。
【0066】
上述した実施形態においては、排ガス処理システム16は貯留タンク37を備えていたが、貯留タンク37を備えずに、集水パン11に集水された洗浄水をそのまま排ガス処理装置17及び排ガス処理装置18に供給してもよい。
【0067】
また、洗浄水を供給する場合のみ貯留タンク37を使用し、熱水を供給する場合は貯留タンク37を使用しないようにすることも可能である。
【0068】
ただし、排ガス処理システム16は貯留タンク37を備えることにより以下の利点がある。あるロットの終盤の、容器洗浄設備4には缶2が存在せず、充填設備5及び巻締設備6には缶2がまだ存在するような状況において、排ガス処理装置17及び排ガス処理装置18は、貯留タンク37に貯留された洗浄水を利用しながらも、容器洗浄設備4における洗浄水としての新水の噴射を停止することができる。
【0069】
上述した実施形態においては、貯留タンク37からの洗浄水及び熱水を供給配管38によって排ガス処理装置17に供給する構成について説明したが、洗浄水用の供給配管と熱水用の供給配管とを分けて備えてもよい。
【0070】
上述した実施形態においては、充填設備5の洗浄時に排出される薬剤や熱水を返送配管31を介して充填設備5に返送する構成について説明したがこれに限らない。流量調節バルブ29の上流に流れ込んできた薬剤や熱水を、充填設備5に返送することなく図示しない排水設備に排水してもよい。
【0071】
上述した実施形態においては、排ガス処理システム16に、充填設備5からの排ガスを処理する排ガス処理装置17と、巻締設備6からの排ガスを処理する排ガス処理装置18とがそれぞれ設けられたが、充填設備5からの排ガスと巻締設備6からの排ガスを、共通の排ガス処理装置で処理してもよい。
【0072】
ただし、排ガス処理システム16が、上述のように排ガス処理装置17と排ガス処理装置18とをそれぞれ別に備えることにより以下の利点がある。あるロットの終盤の、容器洗浄設備4及び充填設備5には缶2が存在せず、巻締設備6には缶2がまだ存在するような状況において、排ガス処理装置18においてのみ巻締設備6から排出される排ガスの処理を続行するが、排ガス処理装置17においては充填設備5から排出される排ガスがなくなるため、排ガスの処理を終了することができる。
【0073】
上述した実施形態においては、一つの充填設備5と一つの排ガス処理装置17とが接続され、一つの巻締設備6と一つの排ガス処理装置18とが接続される場合について説明したが、これに限らない。一つの充填設備5と複数の排ガス処理装置17とが接続され、一つの巻締設備6と複数の排ガス処理装置18とが接続されてもよい。さらに、缶ビール製造工場1に複数の充填設備5が備えられている場合に、各充填設備5と一つの排ガス処理装置17とが接続されてもよい。同様に、缶ビール製造工場1に複数の巻締設備6が備えられている場合に、各巻締設備6と一つの排ガス処理装置18とが接続されてもよい。
【0074】
上述した実施形態においては、貯留タンク37に貯留された容器洗浄設備4において噴射した洗浄水や熱水を排ガス処理装置17及び排ガス処理装置18のみで利用したが、貯留タンク37に貯留した洗浄水及び熱水を容器洗浄設備4、巻締設備6と梱包設備7との間に設置されたパストライザー(図示せず)、巻締後の缶の洗浄設備(図示せず)等において利用してもよい。
【0075】
上述の実施形態においては、本発明に係る排ガス処理システム及び排ガス処理装置の運転方法を食品製造工場としての缶ビール製造工場に適用する例について説明したが、これに限らない。本発明に係る排ガス処理システム及び排ガス処理装置の運転方法は、食品製造工場としての缶ジュース製造工場や、PETボトル入り飲料製造工場や、生鮮食品、加工食品等の缶詰や瓶詰め製造工場にも適用することができる。
【0076】
以下に、本発明に係る排ガス処理装置の運転方法について説明する。排ガス処理装置17は、排ガスの処理時に、容器洗浄設備4において缶2を洗浄するために散布した洗浄水を散水ノズル36に供給する洗浄水供給ステップが実行される。排ガス処理装置17は、排ガス処理装置17の洗浄時に、容器洗浄設備4を洗浄するために散布した熱水を少なくとも散水ノズル36に供給する熱水供給ステップが実行される。
【0077】
該運転方法は、容器洗浄設備4において使用された洗浄水又は熱水を貯留する貯留ステップを備え、洗浄水供給ステップにおいて、貯留ステップにおいて貯留された洗浄水を使用し、熱水供給ステップにおいて、貯留ステップにおいて貯留された熱水を使用する。
【0078】
洗浄水供給ステップは、散水ノズル36のみを介して洗浄水を供給する。熱水供給ステップは、散水ノズル36及び本体20の給気口27と充填材35との間の壁面に設けられた給水口40を介して熱水を供給する。その際ドレンバルブ33及び流量調節バルブ29は閉じた状態で実行される。以上により、排ガス処理時の散水及び排ガス処理装置自体の洗浄を安価に可能な排ガス処理装置の運転方法が実現される。
【0079】
上述した実施形態は、いずれも本発明の一例であり、当該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲において適宜変更設計可能である。