特許第6755213号(P6755213)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6755213
(24)【登録日】2020年8月27日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/12 20060101AFI20200907BHJP
   F24C 7/04 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
   H05B6/12 317
   H05B6/12 305
   F24C7/04 B
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-67986(P2017-67986)
(22)【出願日】2017年3月30日
(65)【公開番号】特開2018-170204(P2018-170204A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2019年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉元 信夫
(72)【発明者】
【氏名】田仲 導生
(72)【発明者】
【氏名】須永 隆司
(72)【発明者】
【氏名】杉本 芳之
(72)【発明者】
【氏名】大久保 直也
(72)【発明者】
【氏名】星野 晃一
(72)【発明者】
【氏名】横井川 裕司
【審査官】 根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/190128(WO,A1)
【文献】 特開2013−168262(JP,A)
【文献】 特開2011−179691(JP,A)
【文献】 特開2012−009248(JP,A)
【文献】 特開2009−218098(JP,A)
【文献】 特開2014−148704(JP,A)
【文献】 特開2002−107828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/04、15/10
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口を有する箱形状の本体ケースと、
前記本体ケースの上部開口を覆い、被加熱物を載置可能な天板部と、
前記天板部の下方に配設された加熱手段と、
前記本体ケースの上面に形成され、前記本体ケース内の部品を冷却するための冷却風を通す開口部と、
前記開口部を覆うカバーと、
前記本体ケースの上面に取り付けられ、前記カバーを上面に載置させて支持するカバー受け部材と、を備え、
前記カバーには、前記カバー受け部材に向かって突き出す突起部が該カバーの長手方向に沿って設けられ、
前記突起部の長手方向の長さが、前記カバーの長手方向の長さよりも短い構成とされ、
前記カバー受け部材には、前記突起部が嵌め込まれる溝部又は孔部が形成されており、
前記カバーは、前記突起部が前記溝部又は前記孔部に嵌め込まれ、前記本体ケースの上面との間に前記開口部と連通する隙間を設けて前記カバー受け部材に支持されており、
前記カバー受け部材は、平面的に見た場合に前記カバーに覆われて外部から見えない配置で、前記本体ケースの上面に取り付けられている、加熱調理器。
【請求項2】
前記カバーと前記本体ケースの上面との間に設けた隙間は、前記本体ケースの前面側よりも背面側が幅広に形成されている、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記突起部は、前記カバー受け部材と対向する端面を、前記本体ケースの背面側から前面側に向かって前記カバー受け部材側に傾斜する傾斜面とした構成である、請求項1又は2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記カバーの上面は、前面側が前記本体ケースに向かって下る湾曲面とした形状である、請求項1〜のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記カバーは、前記本体ケースの長手方向に沿って分割した複数体で構成されている、請求項1〜のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記カバー受け部材は、前記本体ケースの長手方向に沿って間隔をあけて配置された複数個で構成されており、前記カバーの長手方向における両端を支持する構成である、請求項1〜のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記カバー受け部材の前記溝部又は前記孔部は、少なくとも1つの前記カバーを支持する前記カバー受け部材の対向する端面に切り欠き状として形成されている、請求項に記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記カバーは、アルミニウムの押し出し成形品である、請求項1〜のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記カバーは、ブラスト処理が施されたアルミニウムの押し出し成形品に、アルマイト処理が施されて形成されている、請求項に記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記カバーは、ヘアライン処理が施されたアルミニウムの押し出し成形品に、アルマイト処理が施されて形成されている、請求項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気口及び排気口を覆うカバーを備えた加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、誘導加熱コイルに高周波電流を流すことによって生じる高周波磁束で渦電流を誘起し、それによって発生するジュール熱で被加熱物の加熱を行う加熱調理器が知られている。この加熱調理器には、本体ケース内の部品を冷却するための冷却風を吸込み或いは排出する吸気口と排気口が設けられ、その吸気口と排気口を覆うカバーが本体ケースに取り付けられている。
【0003】
このカバーは、例えば特許文献1に開示されているように、通気性を有するパンチングメタル又は格子状の金属部材等で構成されており、通気性があり、冷却風の吸気及び排気、調理室からの排気の気流を通気抵抗が少なくスムースに通過させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−214677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、意匠性を重視した加熱調理器として、本体の上面に通気用の孔を有しないフラットでシンプルなデザインとした構成が求められている。そのため、特許文献1に開示されたパンチングメタル又は格子状の金属部材等からなるカバーでは、外観の意匠性が劣るとの指摘がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、通気用の孔を有しないフラットでシンプルなデザインのカバーを備えることで、意匠性の高い加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る加熱調理器は、上部に開口を有する箱形状の本体ケースと、前記本体ケースの上部開口を覆い、被加熱物を載置可能な天板部と、前記天板部の下方に配設された加熱手段と、前記本体ケースの上面に形成され、前記本体ケース内の部品を冷却するための冷却風を通す開口部と、前記開口部を覆うカバーと、前記本体ケースの上面に取り付けられ、前記カバーを上面に載置させて支持するカバー受け部材と、を備え、前記カバーには、前記カバー受け部材に向かって突き出す突起部が該カバーの長手方向に沿って設けられ、前記突起部の長手方向の長さが、前記カバーの長手方向の長さよりも短い構成とされ、前記カバー受け部材には、前記突起部が嵌め込まれる溝部又は孔部が形成されており、前記カバーは、前記突起部が前記溝部又は前記孔部に嵌め込まれ、前記本体ケースの上面との間に前記開口部と連通する隙間を設けて前記カバー受け部材に支持されており、前記カバー受け部材は、平面的に見た場合に前記カバーに覆われて外部から見えない配置で、前記本体ケースの上面に取り付けられているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る加熱調理器によれば、カバーは、突起部が溝部又は孔部に嵌め込まれ、本体ケースの上面との間に開口部と連通する隙間を設けてカバー受け部材に支持される構成なので、通気用の孔を有していないフラットでシンプルなデザインとすることができ、外観の意匠性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る加熱調理器を示した斜視図である。
図2】本発明に実施の形態に係る加熱調理器であって、カバーをカバー受け部材から取り外した状態を示した要部拡大斜視図である。
図3】本発明に実施の形態に係る加熱調理器のカバーを裏面側から見た斜視図である。
図4】本発明に実施の形態に係る加熱調理器であって、右側カバー受け部材を取り付けた部分を側面方向から見た要部拡大断面図である。
図5】本発明に実施の形態に係る加熱調理器であって、中央カバー受け部材を取り付けた部分を側面方向から見た要部拡大断面図である。
図6図2に示したA部拡大図である。
図7図2に示したB部拡大図である。
図8図2に示したC部拡大図である。
図9】本発明に実施の形態に係る加熱調理器であって、カバー及びカバー受け部材を支持部から取り外した状態を示した要部拡大斜視図である。
図10】本発明の実施の形態に係る加熱調理器を背面側から見た要部拡大断面図である。
図11図10に示したD部拡大図である。
図12図10に示したE部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略または簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ、及び配置等は、本発明の範囲内で適宜変更することができる。
【0011】
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器を示した斜視図である。図2は、本発明に実施の形態に係る加熱調理器であって、カバーをカバー受け部材から取り外した状態を示した要部拡大斜視図である。図3は、本発明に実施の形態に係る加熱調理器のカバーを裏面側から見た斜視図である。図4は、本発明に実施の形態に係る加熱調理器であって、右側カバー受け部材を取り付けた部分を側面方向から見た要部拡大断面図である。図5は、本発明に実施の形態に係る加熱調理器であって、中央カバー受け部材を取り付けた部分を側面方向から見た要部拡大断面図である。
【0012】
本実施の形態に係る加熱調理器100は、誘導加熱コイルに高周波電流を流すことによって生じる高周波磁束で渦電流を誘起し、それによって発生するジュール熱で被加熱物の加熱を行う、据え置き型あるいはビルトイン型の誘導加熱調理器である。加熱調理器100は、図1及び図2に示すように、上部に開口を有する箱形状の本体ケース1と、本体ケース1の上部開口を覆う天板部2と、天板部2の下方に配設された加熱手段と、本体ケース1に間隔をあけて形成され、本体ケース1内の部品を冷却するための冷却風を吸込み或いは排出する開口部として吸気口5及び排気口6と、を備えている。更に、加熱調理器100は、吸気口5及び排気口6を覆うカバー4と、カバー4を上面に載置させて支持するカバー受け部材として右側カバー受け部材7、左側カバー受け部材8、及び中央カバー受け部材9と、を備えている。
【0013】
本体ケース1の内部には、加熱手段として電磁誘導加熱コイル(以下、加熱コイル11という)と、この加熱コイル11の電力を制御する制御基板と、制御基板及び加熱コイル11等を冷却するための冷却風を発生させる冷却装置(冷却ファン)等が配置されている。本体ケース1の上面には、本体ケース1の一部として、ステンレス材等の錆難く剛性を持った素材で構成された支持枠3が着脱自在に取り付けられており、支持枠3の中央に天板部2、前面側に操作部10がそれぞれ配置されている。操作部10は、加熱調理器100における加熱動作の設定を受け付けるための操作ボタン及びスイッチ等で構成されている。支持枠3の背面側には、本体ケースの1内部と連通する開口部として、本体ケース1の内部に空気を取り込むための吸気口5と、本体ケース1の内部に取り込んだ空気を排気するための排気口6とが形成されている。
【0014】
天板部2は、平板形状に形成された例えば結晶化ガラス又はセラミック等の非金属材料で構成され、本体ケース1の上面の開口に設けられている。天板部2は、シリコン接着剤等によって外縁が支持枠3に接着され、支持枠3と一体化されている。天板部2の上面には、被加熱物の載置位置を示す載置位置表示部2a、2bが印刷等により表示されている。これらの載置位置表示部2a、2bの下方には、加熱手段である加熱コイル11が対向して配置されている。なお、載置位置表示部2a、2bは、図示した印刷等による表示に限らず、例えば電源を入れると光って載置位置を表示する構成でもよい。
【0015】
加熱手段は、本体ケース1内に配置された例えば2つの加熱コイル11からなり、これらの加熱コイル11の電力を制御する制御基板によって制御される。なお、加熱源として2つの加熱コイル11を用いているが、全てを加熱コイル11とする必要は無く、例えば、載置位置表示部2a、2bの下方にラジエントヒーターを設置しても良い。また、加熱コイル11を2つとしているが、3つ又は4つとしても良い。
【0016】
吸気口5及び排気口6は、図2及び図3に示すように、支持枠3の上面を少し内方へ凹ませた部分に形成されている。吸気口5は、本体ケース1の長手方向に沿って等間隔に複数形成された長円形状の開口として構成されている。排気口6は、略長方形状となる開口と、本体ケース1の長手方向に沿って等間隔に複数形成された長円形状の開口とで構成されている。なお、吸気口5及び排気口6は、図示した構成に限定されない。例えば、吸気口5は、排気口6と同じように略長方形状からなる開口としてもよい。また、中央に排気口を設け、その両側に吸気口をそれぞれ設けてもよい。更に、すべての開口を排気口又吸気口としてもよい。つまり、吸気口5及び排気口6は、実施の状況に応じて種々の形態で実施するものとする。
【0017】
カバー4は、吸気口5及び排気口6を覆って、該吸気口5及び排気口6の中に使用者の指又は異物等が入り込まないようにするために設けられている。カバー4は、図1及び図2に示すように、本体ケース1の長手方向に沿って分割した複数体で構成されている。例えば図1及び図2に示した本実施の形態のカバー4は、吸気口5を覆う吸気口カバー40と、排気口6を覆う排気口カバー41とで構成されている。吸気口カバー40と排気口カバー41は、同形、同大であり、それぞれ支持枠3の上面に取り付けられたカバー受け部材7、8、9によって支持されている。
【0018】
吸気口カバー40の下面には、図2図5に示すように、カバー受け部材7、9に向かって突き出す突起部40aが設けられている。一方、カバー受け部材7、9には、突起部40aが嵌め込まれる溝部72、92がそれぞれ形成されている。つまり、吸気口カバー40は、突起部40aが溝部72、92に嵌め込まれて右側カバー受け部材7と中央カバー受け部材9に支持され、本体ケース1の上面との間に吸気口5と連通する隙間を設けている。なお、排気口カバー41の下面にも、図2及び図3に示すように、カバー受け部材8、9に向かって突き出す突起部41aが設けられ、カバー受け部材8、9には、突起部41aが嵌め込まれる溝部82、93がそれぞれ形成されている。
【0019】
カバー4は、一例としてアルミニウムの押し出し成形品である。アルミニウムの押し出し成形品としたカバー4は、洗練されたデザインを呈することができ、使用者に高級感を与えることができる。カバー4は、アルミニウムの押し出し成形品をブラスト処理した後、アルマイト処理を施すことが望ましい。ブラスト処理を行うことで、裏面に突起部40a、41aを設けたことにより発生するヒケを隠すことができ、意匠的効果を高めることができる。また、アルマイト処理を施すことで、耐食性と耐摩耗性を向上させることができる。なお、カバー4は、アルミニウムの押し出し成形品をヘアライン処理した後、アルマイト処理を施してもよい。ヘアライン処理は、意匠面の傷等を目立たなくする効果を有するため、意匠的効果を高めることができる。なお、カバー4は、アルミニウムの押し出し成形品に限定されず、他の金属材或いは合成樹脂材による成形品でもよい。
【0020】
吸気口カバー40及び排気口カバー41の上面は、図4及び図5に示すように、支持枠3に向かって下方に緩やかに下る湾曲面を成しており、使用者に柔らかくスタイリッシュな印象を与える構成としている。但し、吸気口カバー40及び排気口カバー41の上面は、図示した湾曲面に限定されず、例えば支持枠3に向かって下方に傾斜させた傾斜面とした構成でもよい。また、カバー4の上面は、湾曲面又は傾斜面とすることなく、略水平面とした構成でもよい。
【0021】
カバー4は、図1図2図4及び図5に示すように、支持枠3の上面との間に、前面側が例えば1mm程度の隙間を設け、背面側が例えば10mm程度の隙間を設けて支持されている。つまり、カバー4と支持枠3の上面との間に設けた隙間は、本体ケース1の前面側よりも背面側が幅広である。カバー4の前面側と支持枠3の上面との隙間を小さくしている理由は、加熱調理器100の前方に立った使用者の視界から吸気口5及び排気口6を隠して意匠性を高めるためである。また、調理中に吹き零れた調理物が吸気口5及び排気口6に進入しないようにするためでもある。なお、カバー4の前面側と支持枠3の上面との隙間は、できるだけ小さい方が良いが、カバー4と支持枠3との干渉を避けるため、少なくとも1mm程度設けることが望ましい。
【0022】
吸気口カバー40に設けられた突起部40aは、図2及び図3に示すように、吸気口カバー40の前面側において、同吸気口カバー40の長手方向に沿って設けられている。突起部40aの長手方向の長さは、吸気口カバー40の長手方向の長さよりも短い。また、突起部40aは、図2図5に示すように、カバー受け部材7、9と対向する端面を、本体ケース1の背面側から前面側に向かって下方に傾斜する傾斜面40bとした構成である。突起部40aをカバー受け部材7、9の溝部72、92に嵌め込み易くするためである。なお、突起部40aは、図示した長手方向に沿って連続して設けた構成に限定されない。詳細に図示することは省略したが、突起部40aは、長手方向に沿って間隔をあけて複数設けた構成でもよい。また、突起部40aは、吸気口カバー40の背面側に設けた構成でもよい。
【0023】
排気口カバー41に設けられた突起部41aも、図2及び図3に示すように、吸気口カバー40に設けられた突起部40aと同様の構成である。
【0024】
次に、図1図5を参照しながら、図6図12に基づいて、カバー受け部材7、8、9について説明する。図6は、図2に示したA部拡大図である。図7は、図2に示したB部拡大図である。図8は、図2に示したC部拡大図である。図9は、本発明に実施の形態に係る加熱調理器であって、カバー及びカバー受け部材を支持部から取り外した状態を示した要部拡大斜視図である。図10は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器を背面側から見た要部拡大断面図である。図11は、図10に示したD部拡大図である。図12は、図10に示したE部拡大図である。
【0025】
カバー受け部材は、図2に示すように、本体ケース1の背面側における右側縁部と吸気口5との間に配置された右側カバー受け部材7と、本体ケース1の背面側における左側縁部と排気口6との間に配置された左側カバー受け部材8と、吸気口5と排気口6との間に配置された中央カバー受け部材9とで構成されている。右側カバー受け部材7と中央カバー受け部材9は、吸気口カバー40を支持するものである。左側カバー受け部材8と中央カバー受け部材9は、排気口カバー41を支持するものである。つまり、中央カバー受け部材9は、吸気口カバー40と排気口カバー41とを支持するために共通に使用される。
【0026】
各カバー受け部材7、8、9は、一例として合成樹脂材からなり、支持枠3の上面に取り付けられている。図6図8に示すように、各カバー受け部材7、8、9の上面は、カバー4の上面と同じく支持枠3に向かって下方に下る湾曲面とした構成である。載置させたカバー4を安定させて支持するためである。
【0027】
右側カバー受け部材7と左側カバー受け部材8は、図6及び図7に示すように、左右対称とした形状である。右側カバー受け部材7は、図4図9図10、及び図11に示すように、支持枠3に形成された係止孔70に差し込まれる係止部71が設けられている。つまり、右側カバー受け部材7は、支持枠3の係止孔70へ係止部71を差し込んで、支持枠3の上面に取り付けられている。同様に、左側カバー受け部材8の下面にも、支持枠3に形成された係止孔80に差し込まれる係止部が設けられている。左側カバー受け部材8も、支持枠3の係止孔80へ係止部を差し込んで、支持枠3の上面に取り付けられている。また、図5図9図10及び図12に示すように、中央カバー受け部材9の下面にも、支持枠3に形成された係止孔90に差し込まれる係止部91が設けられている。中央カバー受け部材9も、支持枠3の係止孔90へ係止部91を差し込んで、支持枠3の上面に取り付けられている。
【0028】
右側カバー受け部材7と中央カバー受け部材9の対向する端面には、吸気口カバー40の突起部40aが嵌め込まれる切り欠き状の溝部72、92がそれぞれ形成されている。同様に、左側カバー受け部材8と中央カバー受け部材9の対向する端面には、排気口カバー41の突起部41aが嵌め込まれる切り欠き状の溝部82、93がそれぞれ形成されている。なお、溝部72、82、92、93は、切り欠き状に限定されず、周囲が溝壁に囲まれた形状でもよい。また、溝部72、82、92、93に限定されず、カバー部受け部材を貫通する孔部であってもよい。要するに、カバー4の突起部40a、41aの形状に対応させた形状であれば、他の構成でもよい。因みに、右側カバー受け部材7及び左側カバー受け部材8には、支持枠3を本体ケース1へ接合するために設けたネジ部材との干渉を避けるために、切り欠き孔73、83が形成されている。
【0029】
吸気口カバー40を支持枠3に取り付ける際には、吸気口カバー40を右側カバー受け部材7の上面と中央カバー受け部材9の上面に載せる。すると、吸気口カバー40の突起部40aの傾斜面40bが、湾曲面を成す右側カバー受け部材7の上面及び中央カバー受け部材9の上面を滑り、溝部72、92へ向かう。つまり、突起部40aの傾斜面40bが、該突起部40aを溝部72、92へと導くガイドとして機能するため、吸気口カバー40を支持枠3に簡単に且つ確実に取り付けることができる。吸気口カバー40は、突起部40aが右側カバー受け部材7の切り欠き状の溝部72と、中央カバー受け部材9の切り欠き状の溝部92に嵌め込まれて前後左右においてしっかりと固定されているので、調理中に不用意に位置ずれを起こす虞はない。なお、排気口カバー41を支持枠3に取り付ける際にも同様である。
【0030】
上述したように、本実施の形態の加熱調理器100は、上部に開口を有する箱形状の本体ケース1と、本体ケース1の上部開口を覆い、被加熱物を載置可能な天板部2と、天板部2の下方に配設された加熱手段と、本体ケース1に形成され、本体ケース1内の部品を冷却するための冷却風を通す開口部5、6と、開口部5、6を覆うカバー4と、本体ケース1の上面に取り付けられ、カバー4を上面に載置させて支持するカバー受け部材7、8、9と、を備えている。カバー4には、カバー受け部材7、8、9に向かって突き出す突起部40a、41aが設けられ、カバー受け部材7、8、9には、突起部40a、41aが嵌め込まれる溝部72、82、92、93が形成されている。そして、カバー4は、突起部40a、41aが溝部72、82、92、93に嵌め込まれてカバー受け部材7、8、9に支持されて、本体ケース1の上面との間に開口部と連通する隙間を形成している。よって、加熱調理器100は、通気用の孔を有していないフラットでシンプルなデザインとしたカバー4で構成することができるので、外観の意匠性を高めることができる。
【0031】
また、パンチングメタル又は格子状の金属部材等で構成した従来のカバーでは、通気孔が吸気口5及び排気口6の開口面の真上となる位置に設けられているため、調理中に飛び跳ねた調理物又は油が通気孔を通じて吸気口5及び排気口6に進入しやすく、吸気口5及び排気口6の内部が汚れる問題がある。また、制御基板又は冷却装置に付着する調理物又は油が、装置の故障の原因となる。
【0032】
本実施の形態の加熱調理器100では、上面に通気用の孔を有しないカバー4を有する構成なので、調理中に飛び跳ねた調理物又は油が、カバー4の上面から進入することがなく、吸気口5及び排気口6の内部の汚れを軽減することができる。また、カバー4は、通気用の孔を有しないので、パンチングメタル又は格子状のカバーに比べて強度が高い。したがって、洗浄作業中にカバー4の変形を抑制することもできる。
【0033】
また、本実施の形態に係る加熱調理器100は、カバー4の突起部40a、41aがカバー受け部材7、8、9の溝部72、82、92、93に嵌め込まれて前後左右においてしっかりと固定されているので、カバー4が調理中に不用意に位置ずれして、本体ケース1から落下することがなく、安全且つ安心して使用することができる。また、カバー4は、溝部72、82、92、93に突起部40a、41aを嵌め込んだだけの簡易な構成なので、取り付け作業及び取り外し作業が容易であり、使い勝手に優れている。
【0034】
また、カバー4と本体ケース1の上面との間に設けた隙間は、本体ケース1の前面側よりも背面側が幅広である。よって、加熱調理器100は、調理中に吹き零れた調理物が前面側の隙間を通じて吸気口5及び排気口6に入り難くなり、また幅広に設けた背面側の隙間で効率良く吸排気を行うことができる。
【0035】
カバー4に設けた突起部40a、41aは、カバー4の長手方向に沿って設けられ、突起部40a、41aの長手方向の長さが、カバー4の長手方向の長さよりも短い構成とされている。そして、カバー受け部材7、8、9は、平面的に見てカバー4に覆われた配置で、本体ケース1の上面に取り付けられている。よって、加熱調理器100は、カバー受け部材7、8、9が使用者から見えないようにカバー4で覆われているので、シンプルですっきりしたデザインを呈することができ、外観の意匠性を高めることができる。
【0036】
また、突起部40a、41aは、カバー受け部材7、8、9と対向する端面を、本体ケース1の背面側から前面側に向かってカバー受け部材7、8、9側に傾斜する傾斜面40b、41bとした構成である。よって、加熱調理器100は、カバー4をカバー受け部材7、8、9へ設置する際に、カバー4をカバー受け部材7、8、9の上面に載置するだけで、突起部40a、41aが傾斜面40b、41bによって溝部72、82、92、93へ誘導されるので、カバー4を設置する作業が容易となる。
【0037】
また、カバー4の上面は、前面側が本体ケース1に向かって下る湾曲面とした形状なので、使用者に柔らかくスタイリッシュな印象を与えることができ、意匠的効果を高めることができる。
【0038】
また、カバー4は、本体ケース1の長手方向に沿って分割した複数体で構成されているので、例えば汚れた部分のカバーのみを取り外して洗浄することができ、清掃性を向上させることができる。また、カバー4の一部が破損等した場合には、破損した部分のカバー4のみを新しいカバーと交換することができるので、経済的である。更に、分割したカバーを同形、同大とすることで、部品の共通化を図ることができ、製造が容易で生産性を高めることができる。
【0039】
カバー受け部材7、8、9は、本体ケース1の長手方向に沿って間隔をあけて配置された複数個で構成されており、カバー4の長手方向における両端を支持する構成である。また、カバー受け部材7、8、9に形成された溝部72、82、92、93は、少なくとも1つのカバー4を支持するカバー受け部材7、8、9の対向する端面に切り欠き状として形成されているので、カバー4の長手方向における両端をしっかりと位置決めして支持することができる。よって、この加熱調理器100は、調理中にカバー4が不用意に位置ずれして、本体ケース1から落下することがなく、安全且つ安心して使用することができる。
【0040】
また、カバー4は、アルミニウムの押し出し成形品とすることで、洗練されたデザインを呈することができ、使用者に高級感を与えることができる。
【0041】
また、カバー4は、ブラスト処理が施されたアルミニウムの押し出し成形品に、アルマイト処理を施して形成することで、裏面に突起部40a、41aを設けたことにより発生するヒケを隠すことができ、意匠的効果を高めることができ、且つ耐食性と耐摩耗性を向上させることができる。
【0042】
また、カバー4は、ヘアライン処理が施されたアルミニウムの押し出し成形品に、アルマイト処理を施して形成することで、意匠面の傷等を目立たなくなり意匠的効果を高めることができ、且つ耐食性と耐摩耗性を向上させることができる。
【0043】
以上に本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、カバー4は、本体ケース1の長手方向に沿って2分割した構成を示したが、1枚で吸気口5及び排気口6を覆う構成でもよいし、3分割以上とした構成でもよい。また、図示した加熱調理器100の構成は、一例であって、上述した内容に限定されるものではなく、他の構成要素を含んだ加熱調理器であっても同様に実施することができる。要するに、いわゆる当業者が必要に応じてなす種々なる変更、応用、利用の範囲をも本発明の要旨(技術的範囲)に含むことを念のため申し添える。
【符号の説明】
【0044】
1 本体ケース、2 天板部、2a、2b 載置位置表示部、3 支持枠、4 カバー、5 吸気口(開口部)、6 排気口(開口部)、7 右側カバー受け部材、8 左側カバー受け部材、9 中央カバー受け部材、10 操作部、11 加熱コイル、40 吸気口カバー、40a 突起部、40b 傾斜面、41 排気口カバー、41a 突起部、41b 傾斜面、70 係止孔、71 係止部、72 溝部、73 切り欠き孔、80 係止孔、82 溝部、83 切り欠き孔、90 係止孔、91 係止部、92、93 溝部、100 加熱調理器。
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