特許第6755249号(P6755249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6755249
(24)【登録日】2020年8月27日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】複合型の多極磁石および双極子走査磁石
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/147 20060101AFI20200907BHJP
   H01J 37/317 20060101ALI20200907BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
   H01J37/147 D
   H01J37/317 A
   H01L21/265 603B
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-530662(P2017-530662)
(86)(22)【出願日】2015年12月28日
(65)【公表番号】特表2018-506134(P2018-506134A)
(43)【公表日】2018年3月1日
(86)【国際出願番号】US2015067730
(87)【国際公開番号】WO2016106425
(87)【国際公開日】20160630
【審査請求日】2018年12月5日
(31)【優先権主張番号】62/096,968
(32)【優先日】2014年12月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505413587
【氏名又は名称】アクセリス テクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】アイズナー,エドワード
【審査官】 鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06292538(US,B1)
【文献】 特開2004−103555(JP,A)
【文献】 特開2006−313750(JP,A)
【文献】 カナダ国特許出願公開第01104630(CA,A1)
【文献】 BIALLAS Geroge H., et al.,"COMBINED PANOFSKY QUADRUPOLE & CORRECTOR DIPOLE",Proceedings of PAC07,2007年 8月,MOPAS074,Page 602-604,URL,http://accelconf.web.cern.ch/AccelConf/p07/PAPERS/MOPAS074.PDF
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/317
H01L 21/265
H01J 29/64
H01J 29/76
H01J 35/00
H01J 3/20
H01J 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンビームを発生させるイオン源と、
上記イオンビームを質量分解する質量分解磁石と、
上記質量分解磁石の下流に配置された質量分解開口と、
上記質量分解磁石の下流に配置された複合型の走査磁石および集束磁石と、を備えており、
上記質量分解開口は、上記イオンビームから選択された質量対電荷比を有するイオンをフィルタリングし、
上記イオンビームは、上記質量分解開口を通過した後に散し、
上記複合型の走査磁石および集束磁石において、上記イオンビームの経路が電磁的に走査されるとともに、上記イオンビームが集束されることを特徴とするイオン注入システム。
【請求項2】
上記複合型の走査磁石および集束磁石は、
高い透磁率を有するヨークと、
上記ヨークに動作可能に接続された1つまたは複数の走査コイルと、
上記ヨークに動作可能に接続された1つまたは複数の集束コイルと、を備えており、
上記ヨークは、イオンビームが通過する穴を規定し、
上記1つまたは複数の走査コイルは、電源に電気的に接続された場合に、時間変化する極子の磁界を発生させ、
上記1つまたは複数の集束コイルは、極の磁界を発生させ、
上記極の磁界は、静磁界または時間変化する磁界の一方であることを特徴とする請求項に記載のイオン注入システム。
【請求項3】
上記ヨークは、形の鋼鉄ヨークを含んでいることを特徴とする請求項に記載のイオン注入システム。
【請求項4】
上記ヨークは、複数の積層された鉄のシートを含んでいることを特徴とする請求項に記載のイオン注入システム。
【請求項5】
上記1つまたは複数の集束コイルは、パノフスキー型の多極コイルを含んでいることを特徴とする請求項に記載のイオン注入システム。
【請求項6】
上記1つまたは複数の集束コイルは、1つまたは複数のベッドステッドコイルを含んでいることを特徴とする請求項に記載のイオン注入システム。
【請求項7】
上記1つまたは複数の走査コイルは、1つまたは複数のベッドステッドコイルを含んでいることを特徴とする請求項に記載のイオン注入システム。
【請求項8】
上記イオン源と、上記質量分解磁石と、上記複合型の走査磁石および集束磁石とに動作可能に接続された制御器をさらに備え、
上記制御器は、ワークピースの内部に注入されるイオンの所望の注入量および分布に少なくとも部分的に基づいて、上記イオン源と、上記質量分解磁石と、上記複合型の走査磁石および集束磁石との少なくとも1つの動作を制御することを特徴とする請求項に記載のイオン注入システム。
【請求項9】
交流電源をさらに備え、
上記制御器は、上記複合型の走査磁石および集束磁石の、(i)1つまたは複数の走査コイル、および、(ii)1つまたは複数の集束コイルに、選択的に交流電流を供給することを特徴とする請求項に記載のイオン注入システム。
【請求項10】
直流電源をさらに備え、
上記制御器は、上記複合型の走査磁石および集束磁石の、(i)1つまたは複数の走査コイル、および、(ii)1つまたは複数の集束コイルに、選択的に直流電流を供給することを特徴とする請求項に記載のイオン注入システム。
【請求項11】
上記イオンビームの1つまたは複数の特性を判定する測定部材をさらに備え、
上記制御器は、上記測定部材に動作可能にさらに接続されており、
上記制御器は、上記イオンビームの判定された1つまたは複数の特性に少なくとも部分的に基づいて、上記イオン源と、上記質量分解磁石と、上記複合型の走査磁石および集束磁石との少なくとも1つの動作をさらに制御することを特徴とする請求項に記載のイオン注入システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の参照〕
本願は、「複合型の多極磁石および双極子走査磁石」(COMBINED MULTIPOLE MAGNET AND DIPOLE SCANNING MAGNET)というタイトルが付された米国仮出願No.62/096,968(2014年12月26日出願)の優先権およびその利益を主張する。当該出願の全体の内容は、本明細書中において完全に開示されるように、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔本発明の分野〕
本発明は、一般的にはイオン注入システムおよびイオン注入方法に関し、より具体的には、イオンビームを制御するための複合型の多極集束磁石およびビーム走査磁石に関する。
【0003】
〔本発明の背景〕
従来より、ワークピース内または半導体ウェハの内部に、特定の量のドーパントまたは不純物を位置させるために、イオン注入器が使用されている。標準的なイオン注入システムにおいて、ドーパント材料をイオン化および加速させることにより、イオンビームが生成される。半導体ウェハの内部にイオンを注入するために、イオンビームは当該半導体ウェハの表面に向けられる。そして、イオンがウェハの表面を貫通し、当該イオンはウェハ内に所望の導電性の領域を形成する。例えば、イオン注入は、半導体ワークピースにおけるトランジスタの製造に特に利用される。標準的なイオン注入器は、(i)イオンビームを発生させるためのイオン源と、(ii)ビーム内にイオンを向かわせるための、および/または、ビーム内においてイオンをフィルタリングする(例:質量分解する)ための、質量分析装置を有するビームラインアセンブリと、(iii)処理の対象となる1つまたは複数のウェハまたはワークピースを収容するターゲットチャンバと、を備えている。
【0004】
様々なタイプの注入器は、ワークピースにおいて実現されるべき所望の特性に基づいて、注入される対象となるイオンの注入量およびエネルギーを様々に変化させることができる。例えば、高電流のイオン注入器は、多量の注入に使用されることが一般的である。また、中電流から低電流のイオン注入器は、より少量の注入の用途に使用される。さらに、イオンのエネルギーを変化させることもできる。当該エネルギーは、例えば半導体装置における接合深さを制御するために、イオンがワークピースの内部に注入される深さを概ね決定する。一般的に、低電流から中電流の注入器では、イオンビームがワークピースに衝突するまでの、イオンビームの経路(注入器のビームラインとも称される)は十分に長い。しかしながら、一般的に、高電流の注入器では、イオンビームに関連する低エネルギーに少なくとも起因して、ビームラインははるかに短い。このため、ビームラインが長くなると、高電流のイオンビームはコヒーレンスを失う傾向にある。
【0005】
イオンビームは、不動であってよい。この場合、ワークピースは、注入時において、不動のビームを通過するように走査される。ワークピースのこのような走査には、不動のイオンビームを通過するようにワークピースを一様に移動させるための、複雑な機構が必要となることが多い。ワークピースを移動のみさせる1つの代替例は、ワークピースをほぼ垂直方向に移動させている間に、イオンビームをある方向に走査または移動させることである。制御された方法によってイオンビームの経路を変更するためには、電磁石が一般的に使用される。しかしながら、このような走査磁石は、ビームラインに沿った位置の多くの部分の妨げとなることが多い。さらに、イオンビームを走査させる場合には、ビームを最適に走査するために、イオンビームを集束させる必要がさらに生じることが多い。しかしながら、走査磁石はビームライン長の大部分を占めるため、従来では、このような集束磁石または集束光学素子を設けることは制約されていた。
【0006】
〔本発明の概要〕
本開示は、複合型の走査・集束磁石(走査磁石および集束磁石)を用いた、イオンビームの走査および集束をともに制御するシステム、装置、および方法を提供することによって、従来技術の制約を克服する。そこで、以下では、本発明の複数の態様に対する基本的な理解を提供するために、簡略的な本開示の概要を示す。本概要は、本発明の広い範囲での概要ではない。本発明の主要な点または重要な部材を特定することを意図しているわけでもないし、本発明の範囲を規定することを意図しているわけでもない。本概要の目的は、後述するより詳細な説明の序文として、簡略化された形態によって、本開示の複数のコンセプトを示すことにある。
【0007】
走査ビームおよび移動するペンシルビームの両方を用いたイオン注入器において、イオンビームの形状、入射角、および当該イオンビームの他の所望の特性を調整するために、可能な限り多くの様々な特性を制御できることが好ましい。多くの場合、走査磁石は、イオン注入器のビームラインの主要な部分であるが、全体的に静的な集束を提供できないことが一般的である。スキャナを多極磁石(例:四重極磁石または六重極磁石)または一連の多極磁石(例:長いスキャナの場合)と組み合わせることで、ビームライン長を大幅に低減することが可能となる。
【0008】
走査磁石は、走査角応じた集束を提供できる。つまり、走査磁石は、イオンビームがまっすぐ通過する場合には集束を提供しないが、イオンビームが最大の曲げ角およびその近くの角度にある場合には、より強い集束を提供することが一般的である。このため、このような角度に依存する集束を促進または低減することは有益である。これにより、多極磁石には、任意の静的なDC成分に加え、走査磁石を駆動する波形に類似した、時間依存する波形が供給される。
【0009】
走査磁石は、イオンビームのくびれ(例:x方向において最も狭い部分)が、走査頂点およびその近傍で生じるように配置されている。また、イオンビームのくびれは、本開示の多極磁石にとって好適な位置である。くびれ方向においてビームに大きい影響を及ぼすことなく、くびれに垂直な方向(例:y方向)に集束を付加できるためである。さらに、スキャナの後にコレクタ(corrector)が使用されるであろう。コレクタは、くびれ方向における任意の焦点ずれを平行化する。このように、本開示は、有益なことに、双極子走査磁石と組み合わされた複合型の多極磁石を提供する。
【0010】
複合型の磁石は、例えば、鋼鉄ヨークにおける渦電流損を低減するために、鋼鉄のラミネーション(積層物)によって構成されている。走査コイルは、任意の形状を有していてよく、様々な設計基準に基づき設計されてよい。例えば、図面に示されている単純なコイルは、ヨークの周りに巻き付けられてもよい。あるいは、ベッドステッドコイルまたは他のコイルが用いられてもよい。コイルは、例えば、真空中または空気中に配置されている。多極コイルもまた、例えば、磁束の補償に付加に関して、同様のコイルであってよい。複数の図面のうち1つは、双極子コイルの内側に配置されたパノフスキー(Panofsky)型の四重極コイルを示す。
【0011】
本開示によれば、イオン注入システムが提供される。イオン注入システムは、イオンビームを発生させるイオン源を備えている。イオン源は、例えば、スポットイオンビームまたはリボンビームを発生させてよい。イオン注入システムは、イオンビームを質量分解する質量分析器または質量分解磁石をさらに備えている。質量分析器の下流には、質量分解開口がさらに配置されている。質量分解開口は、イオンビームから好ましくない種類をフィルタリングする。
【0012】
本開示の例示的な態様において、複合型の走査・集束磁石は、質量分解磁石の下流に配置されている。複合型の走査・集束磁石は、(i)イオンビームを走査または移動させるために、質量分解磁石の下流におけるイオンビームの経路を制御し、かつ、(ii)多極磁石を用いて、イオンビームをともに集束させる。
【0013】
上述の目的および関連する目的を達成するために、本発明は、以下に十分に説明され、かつ、特許請求の範囲において具体的に示された構成を備えている。以下の説明および添付の図面は、本発明の所定の例示的な実施形態を詳細に開示する。これらの実施形態は、本発明の原則において採用されうる様々な方法の一部を例示している。本発明の他の目的、利点、および新たな構成は、図面とともに考慮されることにより、以下の本発明の詳細な説明から、さらに明確になるであろう。
【0014】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、本開示の様々な態様に基づく、例示的なイオン注入システムを示すブロック図である。
【0015】
図2は、本開示の一態様に基づく、例示的な複合型の走査・集束磁石の斜視図である。
【0016】
図3Aは、本開示の別の態様に基づく、図2の複合型の走査・集束磁石における、例示的な双極子走査コイルの斜視図である。
【0017】
図3Bは、本開示の別の態様に基づく、図2の複合型の走査・集束磁石における、例示的なパノフスキー型の四重極集束コイルの斜視図である。
【0018】
図3Cは、本開示の別の態様に基づく、図2の複合型の走査・集束磁石における、走査コイルおよび集束コイルの斜視図である。
【0019】
図4は、本開示のさらに別の態様に基づく、例示的な複合型の走査・集束磁石の斜視図である。
【0020】
図5Aは、本開示のさらに別の態様に基づく、図4の複合型の走査・集束磁石における、ヨークの斜視図である。
【0021】
図5Bは、本開示のさらに別の態様に基づく、図4の複合型の走査・集束磁石における、例示的な双極子走査コイルの斜視図である。
【0022】
図5Cは、本開示のさらに別の態様に基づく、図4の複合型の走査・集束磁石における、例示的なパノフスキー型の四重極集束コイルの斜視図である。
【0023】
図6は、本開示のさらなる例示的な態様に基づく、ワークピースの内部にイオンを注入するための例示的な方法を示す。
【0024】
〔本発明の詳細な説明〕
本開示は、ワークピースにイオンを注入するためのイオン注入システムおよび方法を全般的に対象としている。本開示では、複合型の多極・双極の走査・集束磁石(走査磁石および集束磁石)によって、イオンビームは、概ね同時に磁気的に走査および集束される。以降、本発明は、図面を参照して説明される。同様の参照番号は、同様の部材を一貫して参照するために用いられてよい。様々な態様についての説明は単なる例示であると理解されるべきであり、限定を意図したものと解釈されるべきではない。以下の記載では、説明のために、様々な具体的な詳細が、本開示に対する十分な理解を与えるために開示されている。但し、本開示はこれらの具体的な詳細がなくとも実施されてよいことは、当業者にとって明白であろう。
【0025】
図面を参照する。図1は、本開示の様々な例示的な態様に基づくイオン注入システム100を示している。システム100は、例示を目的として示されたものである。このため、本開示の各態様は描写されたイオン注入システムに限定されず、他の好適なイオン注入システムの様々な構成が適用されてもよいことが理解される。
【0026】
システム100は、ターミナル112、ビームラインアセンブリ114、およびエンドステーション116を有している。ターミナル112は、高電圧電源122によって給電されるイオン源120を備えている。高電圧電源122は、イオンビーム124を発生させ、かつ、イオンビーム124をイオンビームアセンブリ114に向かわせる。イオン源120は、荷電イオンを発生させる。当該荷電イオンは、励起され、イオンビーム124の形となる。イオンビーム124は、ビームラインアセンブリ114におけるビーム経路に沿って、エンドステーション116へと向けられる。
【0027】
イオンを発生させるために、イオン化の対象となるドーパント材料(不図示)のガスが、イオン源120の生成チャンバ121の内部に配置されている。ドーパントガスは、例えば、ガス源(不図示)からチャンバ121の内部へと供給されてよい。電源122に加え、任意の数の好適な機構(いずれも不図示)が、イオン生成チャンバ121内において自由電子を励起するために使用されてよいことが理解されるであろう。当該機構としては、例えば、RFまたはマイクロ波の励起源、電子ビーム注入源、電磁源、および/または、チャンバ内にアーク放電を発生させるカソード等が挙げられる。励起された電子は、ドーパントガスの分子と衝突し、その結果イオンが生成される。一般的には、正イオンが生成されるが、本明細書の開示は、負イオンが生成させるシステムに対しても、同様に適用可能である。
【0028】
本実施例では、イオンは、イオン抽出アセンブリ123によって、チャンバ121内のスリット118を介して制御可能に抽出される。イオン抽出アセンブリ123は、複数の抽出および/または抑制電極125を備えている。イオン抽出アセンブリ123は、例えば、生成チャンバ121からのイオンを加速させるために、抽出および/または抑制電極125をバイアスさせるための個別の抽出電源(不図示)を備えていてもよい。イオンビームは同種の荷電粒子を含むため、同種の荷電粒子が互いに反発した場合には、当該ビームはブローアップまたは半径方向に外側に拡張する傾向を有しうることが理解されるであろう。また、ビームのブローアップは、低エネルギーの高電流(高パービアンス)のビームにおいて激しくなりうることが理解されるであろう。当該ビームでは、多数の同種の荷電粒子(例:高電流)が比較的低速(例:低エネルギー)で同方向に移動し、粒子間の反発力が大きくなるためである。
【0029】
そこで、イオン抽出アセンブリ123は、ビームがブローアップしないように、当該ビームが高エネルギーで抽出されるように構成されることが一般的である。さらに、本実施例では、ビーム124は、システム全体を通じて比較的高エネルギーで輸送され、ビームの閉じ込めを促進するために、ワークピース130の直前で低減されることが一般的である。
【0030】
ビームラインアセンブリ114は、ビームガイド132、質量分析器126、複合型の走査・集束システム135、およびパラレライザ139を備えている。質量分析器126は、質量分析を行い、イオンビーム124に対して角度の修正/調整を行う。本実施例において、質量分析器126は、約90°の角度に形成されている。また、質量分析器126は、1つまたは複数の磁石(不図示)を備えている。当該磁石は、(双極子)磁界を質量分析器の内部に発生させる役割を担う、ビーム124が質量分析器126に流入すると、不適切な電荷質量比を有するイオンが受け入れられないように、当該ビームは磁界によって曲げられる。より具体的には、過大または過小な電荷質量比を有するイオンは、質量分析器126の側壁127に偏向させられる。この方法により、質量分析器126は、イオンビーム124内の所望の電荷質量比を有するイオンのみに、当該質量分析器を通過させ、かつ、当該イオンを開口アセンブリ133の分解開口134から放出させることができる。
【0031】
質量分析器126は、双極子磁界の振幅を制御または調整することで、イオンビーム124に対して角度の修正を行う。当該磁界の調整により、所望の/選択された電荷質量比を有する選択されたイオンを、異なる経路または変更された経路に沿って移動させることができる。
【0032】
結果として、分解開口134は、変更された経路に応じて調整されてよい。一例として、開口134を通過する変更された経路を調整できるように、開口アセンブリ133はx軸に関して可動であってよい。別の例として、変更された経路の選択された範囲を調整できるように、開口134が形成されてもよい。質量分析器126および分解開口134は、システム100に対する好適な質量分解能を維持しつつ、磁界を変化させて経路を変更させることが可能である。好適な質量分析器および分解開口のシステムのより詳細な例については、以下に示されている。
【0033】
システム100において、イオンビームが他の粒子と衝突することは、ビームの品質を劣化させることが理解されるであろう。そこで、1つまたは複数のポンプ(不図示)が、少なくともビームガイド132および質量分析器126を排気するために、設けられていてもよい。
【0034】
本開示では、走査後のイオンビームを集束させることは難しい場合があると評価している。このため、スキャナのできるだけ近くに集束部材を設けることが望ましいであろう。本開示に基づく複合型の走査・集束システム135は、磁気走査部材136と、集束および/またはステアリング部材138とを備えている。磁気走査部材136と集束および/またはステアリング部材138とは、好適なことに、単一のユニットとして組み合わせられている。このため、走査ビームを集束させるための極めて複雑なアセンブリを用いることなく、集束部材を下流のできるだけ遠くに配置させることができる。電源149,150はそれぞれ、走査部材136と集束・ステアリング部材138に動作可能に接続されている。より具体的には、電源149,150はそれぞれ、走査部材136の内部に配置された走査コイル136a,136bと、集束・ステアリング部材138の内部に配置された集束コイル138a,138bに動作可能に接続されている。
【0035】
集束・ステアリング部材138は、質量分析された比較的狭い形状を有するイオンビーム124(例:図示されたシステム100における、「ペンシル」ビームまたは「スポット」ビーム)を受ける。本開示では、イオンビーム124が比較的狭い形状を有するものとして、はじめに説明を行う。但し、当該イオンビームは、伸張された形状(例えば、計画通りのビーム経路に沿った方向から観察された場合、概ね卵状の断面。一般的には「リボン」イオンビームと称される)を有していてもよく、このようなイオンビームの全てが、本開示の範囲に含まれると考慮されていることに留意されたい。
【0036】
一実施例において、電源150によって集束コイル138aおよび138bに印加される電圧(例:交流(AC,alternating current)電圧または直流(DC,direct current)電圧)は、走査部材136の走査頂点151に対して、イオンビーム124を集束およびステアリングするように動作する。そして、本実施例において、電源149(電源150と同一の電源であってもよい)によって走査コイル136aおよび136bに印加される電圧波形は、ビーム124を往復させるように走査する。走査頂点151は、光路におけるある点として規定できることが理解されるであろう。ビームの各ビームレットまたは走査された部分が、走査部材136によって走査された後に、上記ある点(走査頂点151)から生じているように見える。
【0037】
そして、走査ビーム124は、パラレライザ/コレクタ139を通過する。図示された例において、パラレライザ/コレクタ139は、2つの双極子磁石139a,139bを備えている。これらの双極子磁石はほぼ台形状であり、ビーム124をほぼS字状に曲げるように、互いに鏡合わせに向かい合うように配置されている。換言すれば、本実施例のパラレライザ/コレクタ139の双極子磁石は、同じ角度と半径とを有しており、かつ、逆方向に湾曲している。パラレライザ/コレクタ139は、走査角によらずビーム124がビーム軸に平行に進行するように、走査ビーム124の経路を変更させる。その結果、ワークピース130に対する注入角は、比較的均一となる。
【0038】
本実施例では、1つまたは複数の減速ステージ157が、平行化部材139の下流に配置されている。システム100におけるここまでの位置では、ビームのブローアップが発生する可能性を低減するために、イオンビーム124は比較的高エネルギーレベルで輸送されることが一般的である。ビームのブローアップが発生する可能性は、例えば、ビーム密度が増加する位置(例:走査頂点151)において、特に高くなりうる。減速ステージ157は、1つまたは複数の電極157a,157bを備えている。電極157a,157bは、ビーム124を減速させるように動作可能である。一般的には、図1において直線で描画されているように、電極157はビームが通過する開口であってよい。
【0039】
例示的なイオン抽出アセンブリ123と走査部材136と集束・ステアリング部材138と減速ステージ157とには、電極またはコイル125aおよび125bと、136aおよび136bと、138aおよび138bと、157aおよび157bとがそれぞれ2つずつ図示されている。但し、これらの部材123と136と138と157とは、(i)イオンを加速および/または減速させ、また、(ii)イオンビーム124を集束、屈曲、偏向、収斂、発散、走査、平行化、および/または浄化できるように、配置およびバイアスされた、任意の好適な個数の電極またはコイルを備えていてもよいことが理解できるであろう。当該構成の例は、US特許No.6,777,696号(Rathmell et al.)に示されており、その内容の全てが参照によって本明細書に含まれている。
【0040】
そして、エンドステーション116は、ワークピース130に向かうイオンビーム124を受ける。注入器100において、様々な種類のエンドステーション116が採用されてもよいことが理解される。例えば、「一括(batch)」型のエンドステーションは、回転する支持構造物上において、複数のワークピース130を同時に支持できる。この場合、複数のワークピース130は、全てのワークピース130に対して注入が完了するまで、イオンビームの経路を通過するよう回転させられる。他方、「逐次(serial)」型のエンドステーションは、注入のために、ビーム経路に沿って1つのワークピース130を支持する。この場合、複数のワークピース130は、1回につき1つずつ逐次的に注入される。次のワークピース130の注入が開始される前に、各ワークピース130の注入が完了する。ハイブリッドシステムでは、ワークピース130を第1の方向(Y方向または低速走査方向)に機械的に移動させつつ、ビームを第2の方向(X方向または高速走査方向)に走査して、ワークピース130全体にビーム124を照射させてもよい。
【0041】
図示された例におけるエンドステーション116は、注入のために、ビーム経路に沿って1つのワークピース130を支持する「逐次」型のエンドステーションである。注入操作に先立つ較正測定のために、エンドステーション116内におけるワークピースの近くには、注入量測定システム152が設けられている。較正中において、ビーム124は注入量測定システム152を通過する。注入量測定システム152は、プロファイラ経路158を連続的に横断する1つまたは複数のプロファイラ156を備えている。これにより、走査ビームの形状を測定できる。
【0042】
本実施例において、プロファイラ156は、電流密度センサを備えていてもよい。当該電流密度センサは、例えば、走査ビームの電流密度を測定するファラデーカップ等であってよい。電流密度は、注入角(例えば、ビームとワークピースの機械的な表面との間の相対的な向き、および/または、ビームとワークピースの結晶格子構造との間の相対的な向き)の関数である。電流密度センサは、走査ビームに対して概ね直交するように移動する。従って、電流密度センサは、通常はリボンビームを幅方向に横断する。一例として、注入量測定システムは、ビームの密度分布および角度分布の両方を測定する。
【0043】
制御システム154が設けられている。制御システム154は、イオン源120と、質量分析器127と、開口アセンブリ133と、走査部材136と集束および/またはステアリング部材138とを有する走査・集束システム135と、パラレライザ139と、注入量測定システム152とを制御し、かつ、これらの部材と通信し、および/または、これらの部材を調整できる。制御システム154は、コンピュータまたはマイクロプロセッサを備えていてよい。制御システム154は、ビーム特性の測定値を取得し、これに応じてパラメータを調整できるように動作可能であってよい。制御システム154は、イオンビームの生成元であるターミナル112に接続されてもよい。同様に、制御システム154は、ビームラインアセンブリ114の質量分析器126と、(例:電源149を介して)走査部材136と、(例:電源150介して)集束・ステアリング部材138と、パラレライザ139と、減速ステージ157とに接続されてもよい。これにより、これらの部材のいずれもが制御システム154によって調整可能となり、所望のイオン注入が容易化できる。例えば、接合深さを調整するために、イオン抽出アセンブリ123および減速ステージ157内の電極に印加されるバイアスを調整することで、ビームのエネルギーレベルを変化させてもよい。
【0044】
例えば、質量分析器の内部の界磁巻線を流れる電流の大きさを調整し、ビームの電荷質量比を変更することによって、質量分析器126の内部に生じる磁界の強度および向きが調整されてよい。開口アセンブリ133と連携して、質量分析器126の内部に生じる磁界の強度または向きを調整することで、注入角が制御されてよい。本実施例では、制御システム154は、プロファイラ156からの測定データに応じて、質量分析器126の磁界と分解開口134の位置とを調整してよい。制御システム154は、付加的な測定データを用いて調整を確認してもよいし、必要に応じて、質量分析器126と分解開口134とを用いてさらなる調整を行ってもよい。
【0045】
図2に示されるように、本開示の1つまたは複数の態様において、複合型の走査・集束システム135は、複合型の走査・集束磁石(複合型の走査磁石および集束磁石)200を備えている。複合型の走査・集束磁石200は、図1の走査部材136および多極の集束部材138の両方を備えている。複合型の走査・集束磁石は、イオンビーム124を電磁的に走査し、ともにイオンビームに対する付加的な集束を施すように構成されている。
【0046】
図2の複合型の走査・集束磁石200は、例えば、高い透磁率を有するヨーク202(鉄ヨーク)を備えている。当該ヨークは、図1のイオンビームが通過するように構成された穴204を概ね規定する。ヨーク202は、例えば、概ね矩形の鋼鉄ヨークを含んでいてよく、複数の積層された鉄のシートによって構成されていてもよい。さらに、例えば図3Aに示されている1つまたは複数の走査コイル206A,206Bは、図2のヨーク202に動作可能に接続されている。1つまたは複数の走査コイルは、電源149に電気的に接続された場合に、時間変化する主に双極子の磁界を発生させるように構成されている。図2および図3Aに示されているように、1つまたは複数の走査コイル206A,206Bは、1つまたは複数のベッドステッドコイル208を含んでいる。
【0047】
本開示の別の例示的な態様において、1つまたは複数の集束コイル210A〜210Dは、図2のヨーク202に動作可能に接続されている。1つまたは複数の集束コイルは、図1の電源150に電気的に接続された場合に、主に多極(例:四重極または六重極)の磁界を発生させるように構成されている。例えば、主に多極の磁界は、静磁界または時間変化する磁界の一方であってよい。例えば、1つのイオンビームに対して多極磁界がセットされ、その後、別のイオンビームに対して当該磁界が変更されてもよい。あるいは、交流電流が使用されてもよい。当該交流電流は、走査電流と位相が一致していてもよいし、当該走査電流と位相が一致していなくてもよい。図3Bは、1つまたは複数の集束コイル210A〜210Dを示す。1つまたは複数の集束コイルは、パノフスキー型の多極(例:四重極)のコイルを含んでいる。あるいは、1つまたは複数の集束コイルは、任意の個数のベッドステッドコイル(不図示)を含んでいる。
【0048】
図3Cは、さらなる明確性のために、図2のヨークを取り除いた状態における、1つまたは複数の走査コイル206A,206Bおよび1つまたは複数の集束コイル210A〜210Dを示す。本開示において、図1のイオンビーム124の走査は、図3Cの1つまたは複数の走査コイル206A,206Bに電流を流すことで行われる。その一方で、当該イオンビームの集束およびステアリングは、1つまたは複数の集束コイル210A〜210Dに電流を流すことで行われる。
【0049】
図4は、別の例示的な複合型の走査・集束磁石300を示す。図4の複合型の走査・集束磁石300は、例えば、図1のイオンビームが通過するように構成された穴304を概ね規定するヨーク302を備えている。図4のヨーク302は、例えば図5Aに示されている。
【0050】
特定の個数の走査コイル206および集束コイル210が開示されているが、本開示では、任意の個数の走査コイルおよび集束コイルが考慮されていることに留意されたい。これらのコイルは、任意の個数の各コイルと共に、様々な構成によって取り付けられてよい。このような変形例は全て、本開示の範囲に含まれるものと考慮されている。
【0051】
このため、例えば、図1の複合型の走査・集束システム135、および、図2図4の複合型の走査・集束磁石200・300は、従来の個別の走査システムおよび集束システムに対して有利である。本開示の複合型の走査・集束磁石のコンセプトは、走査部材のみによって占められていた空間における、制御性および集束のさらなる自由度を提供するためである。このため、走査・集束システム135の構成に少なくとも部分的に起因して、全体的により短いビームラインが実現可能となる。
【0052】
ある例示的な態様において、多極コイルの対称性によって、図1の走査コイル136の双極子磁界と多極集束コイル138との間には、0次に至るまで、カップリング(磁気結合)が生じない。このようなカップリングまたは相互インダクタンスは、両磁石の制御に悪影響を与える場合があり、かつ、電源にダメージを与えうる。しかしながら、実際には、コイル136,138の巻線および配置の不完全性と、高透磁率のコアまたはヨーク202,302とに起因して、程度が比較的小さいカップリングが存在しうる。このような小さいカップリングは、例えば、アクティブフィルタリングまたはパッシブフィルタリングによって、最小限まで低減できる。電源149,150(例:多極電源)の入力電圧が、電源の仕様の範囲内にある場合、多極磁石に流入する電流のリップルは避けられる。
【0053】
一部の例において、特にスキャナが高い周波数帯に亘って駆動されている場合には。フィルタの使用が問題を孕みうる。このような例では、フィルタリングを全体的に避けるため、または、供給されるフィルタリングの量を少なくとも最小限にするために、相互インダクタンスを可能な限り最大限に低減することが望ましい。カップリングを最小限にする1つの方法は、相互インダクタンスを相殺するために、走査磁石のフリンジ磁界を十分に捕捉するように、集束コイル138のリード線を配線することである。但し、これでもカップリングを低減するために十分でない場合、以下に述べるように、集束コイルにさらなる構成を設けてもよい。
【0054】
このようなカップリングを低減するための1つの例は、1つまたは複数の調整可能な磁束ループコイル(不図示)を含んでいる。当該磁束ループコイルは、多極集束コイル138の内部に位置しており、所望の磁界には大きく寄与しないが、相互インダクタンスを概ね相殺する。磁束ループコイルは、多極集束コイル138の入力端または出力端に位置していてもよいし、あるいは入力端および出力端の両方に位置していてもよい。磁束ループコイルは、スキャナの双極子のフリンジ磁界中に位置していてもよい(例えば、スキャナのヨークによって、イオンビーム124から遮蔽されていてよい)。これにより、イオンビームの摂動が最小化されうる。このようなループを通過する磁束は、(i)コイルの位置を変更することによって、(ii)付加的な鋼鉄の部材によってコイルを遮蔽することによって、または、(iii)ヨークをコイルの内外に移動させることによって、調整されてよい。磁束ループコイルのターン数は、例えば、相殺することが望まれる磁束の量によって決定されてよい。磁石が分解または動かされないと仮定すれば、このような調整が1度行われた後に、当該調整が固定されてよい。
【0055】
集束コイル138のリード線は、例えば、集束磁石と走査磁石との間の相互インダクタンスを除去するように配置されてよい。一例として、1つまたは複数の補助コイル(不図示)が、1つまたは複数の集束コイル138に接続されている。1つまたは複数の補助コイルは、1つまたは複数の走査コイル136に関連するフリンジ磁界領域に配置されている。これにより、1つまたは複数の集束磁石と1つまたは複数の走査磁石との間の相互インダクタンスは、概ね除去される。別の例として、調整可能な補助ヨーク(不図示)は、当該補助ヨークの周りに巻き付けられた1つまたは複数の補助コイル(不図示)を有している。1つまたは複数の補助コイルは、1つまたは複数の走査コイル136に関連するフリンジ磁界領域に配置されている。これにより、1つまたは複数の集束磁石138と1つまたは複数の走査磁石との間の相互インダクタンスは、概ね除去される。
【0056】
本開示の別の態様において、図6は、ワークピースの内部にイオンを注入するための例示的な方法500を示す。例示的な方法は、本明細書では一連の動作またはイベントとして図示および説明されているが、本開示はこのような例示された動作またはイベントの順序に限定されないと理解できることに留意されたい。このため、本開示において、一部のステップは、異なる順序で実行されてもよいし、あるいは本明細書に図示および説明された他のステップと共に実行されてもよい。また、本開示に係る方法を実行するために、図示された全てのステップが必ずしも実行される必要があるわけではない。さらに、当該方法は、本明細書において図示または説明されたシステムに関連して実施されてもよいし、本明細書において図示されていない他のシステムにも関連して実施されてもよい。
【0057】
図6に示されるように、方法500は、イオンビームが形成される動作502から開始される。イオンビームは、例えば、図1のイオン注入システム100によって形成されてよい。動作504において、イオンビームは質量分析される。そして、動作506において、複合型の走査・集束磁石(例:図1の複合型の走査・集束システム135)を用いて、イオンビームの走査および集束がともに行われる。イオンビームの走査および集束をともに行う工程は、例えば、図2図4の例示的な複合型の走査・集束磁石200・300を用いて実行されてよい。
【0058】
本発明は特定の実施形態に関して図示および説明されているが、本明細書および添付の図面を読んで理解することにより、等価的な変形および修正が当業者によって想到されることは明白である。特に、上述の部材(アセンブリ、デバイス、および回路等)によって実現される様々な機能に関して、これらの部材を説明するために使用される用語(「手段」(means)への言及を含む)は、特に明示されない限り、説明された部材の特定の機能を実現する任意の部材(つまり、機能的に等価である部材)に対応するものであると意図されている。このことは、例え当該任意の部材が、本明細書において、本開示の例示的な実施形態にて説明された機能を実現する開示された構造と、構造的に等価でない場合にも当てはまる。さらに、本開示の特定の構成は、複数の実施形態のうちの1つの実施形態のみに関して開示されている。但し、任意または特定の応用例について、望ましくかつ有益である場合には、このような構成は、他の実施形態の1つまたは複数の構成と組み合わせられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】本開示の様々な態様に基づく、例示的なイオン注入システムを示すブロック図である。
図2】本開示の一態様に基づく、例示的な複合型の走査・集束磁石の斜視図である。
図3A】本開示の別の態様に基づく、図2の複合型の走査・集束磁石における、例示的な双極子走査コイルの斜視図である。
図3B】本開示の別の態様に基づく、図2の複合型の走査・集束磁石における、例示的なパノフスキー型の四重極集束コイルの斜視図である。
図3C】本開示の別の態様に基づく、図2の複合型の走査・集束磁石における、走査コイルおよび集束コイルの斜視図である。
図4】本開示のさらに別の態様に基づく、例示的な複合型の走査・集束磁石の斜視図である。
図5A】本開示のさらに別の態様に基づく、図4の複合型の走査・集束磁石における、ヨークの斜視図である。
図5B】本開示のさらに別の態様に基づく、図4の複合型の走査・集束磁石における、例示的な双極子走査コイルの斜視図である。
図5C】本開示のさらに別の態様に基づく、図4の複合型の走査・集束磁石における、例示的なパノフスキー型の四重極集束コイルの斜視図である。
図6】本開示のさらなる例示的な態様に基づく、ワークピースの内部にイオンを注入するための例示的な方法を示す。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図6