特許第6755250号(P6755250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6755250ゲートドライバ、表示装置及びゲート駆動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6755250
(24)【登録日】2020年8月27日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】ゲートドライバ、表示装置及びゲート駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3266 20160101AFI20200907BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
   G09G3/3266
   G09G3/20 611J
   G09G3/20 622C
   G09G3/20 622E
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-535948(P2017-535948)
(86)(22)【出願日】2015年1月30日
(65)【公表番号】特表2017-533474(P2017-533474A)
(43)【公表日】2017年11月9日
(86)【国際出願番号】CN2015071918
(87)【国際公開番号】WO2016045290
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2018年1月22日
(31)【優先権主張番号】201410510753.7
(32)【優先日】2014年9月28日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王儷蓉
(72)【発明者】
【氏名】段立業
(72)【発明者】
【氏名】呉仲遠
【審査官】 越川 康弘
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0285840(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/3266
G09G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートドライバであって、複数組の駆動ユニットを含み、各組の駆動ユニットは、N行のシフトレジスタと、N行のシフトレジスタのそれぞれに対するN個の論理回路とを含み、Nは2より大きい整数であり、各行のシフトレジスタは、トリガ信号入力端と、クロック信号端と、リセット端と、出力端とを含み、N個の論理回路のそれぞれは、入力端と、クロック信号端と、出力端とを含み、各行のシフトレジスタの出力端は、当該行に対する論理回路の入力端に接続され、
第m行の論理回路の出力端は、第m行の画素のゲート走査線に接続されると共に、第m+1行のシフトレジスタのトリガ信号入力端に接続され、mの取りうる値の範囲は、[1,M−1]であり、Mは画素の総行数であり、
第k行の論理回路の出力端は、第k−(N−1)行のシフトレジスタのリセット端に接続され、kの取りうる値の範囲は、[N,M]であり、かつ、
複数組の駆動ユニットにおけるすべての論理回路のクロック信号端は、一つの論理回路クロック信号を受信するように接続され、前記論理回路クロック信号は、パルス幅が第一パルス幅で、パルス周期が第一パルス周期であり、
各組の駆動ユニットにおいては、N行のシフトレジスタのクロック信号端のそれぞれは、それぞれが異なる時系列を有するN個のシフトレジスタクロック信号の1つを受信するように接続され、前記N個のシフトレジスタクロック信号は、パルス幅がすべて第二パルス幅で、パルス周期がすべて第二パルス周期であり、かつ、前記第二パルス幅は、前記第一パルス幅の2*(N−1)倍であり、前記第二パルス周期は、前記第一パルス周期のN倍であり、
前記N個の論理回路のそれぞれは、入力端により受信されたシフトレジスタ出力信号のそれぞれを論理回路クロック信号と論理積、論理否定、および、論理和の論理演算を行うことによって、1つの出力信号を出力するように配置されており、N個の論理回路は、異なる時系列のN個の出力信号を出力し、前記N個の出力信号のそれぞれは、パルス幅が前記論理回路クロック信号のパルス幅に等しいN−1個のパルスを含み、
第m行の論理回路は、第一薄膜トランジスタと、第二薄膜トランジスタと、前記第一薄膜トランジスタのゲートと前記第二薄膜トランジスタのゲートの間に接続されるインバータとを含み、
第一薄膜トランジスタのドレインは、第二薄膜トランジスタのドレインに接続され、当該論理回路の出力端とし、第一薄膜トランジスタのソースは、論理回路クロック信号の入力端とし、第一薄膜トランジスタのゲートは、第m行のシフトレジスタの出力端に接続される入力端とし、第二薄膜トランジスタのソースは、低レベル信号の入力端とし、
第m行のシフトレジスタは、第三薄膜トランジスタ(M1)と、第四薄膜トランジスタ(M2)と、第五薄膜トランジスタ(M3)と、第六薄膜トランジスタ(M4)と、第一コンデンサと、第二コンデンサと、電気抵抗とを含み、
第三薄膜トランジスタのゲートとソースは短絡接続され、mが1である場合、初期トリガ信号の入力端とし、mが1より大きい場合、当該シフトレジスタのトリガ信号入力端として、第m−1行の論理回路の出力端に接続され、
第三薄膜トランジスタは第四薄膜トランジスタに直列接続され、第三薄膜トランジスタと第四薄膜トランジスタの接続点は、第一コンデンサの一端及び第五薄膜トランジスタのゲートに接続され、第五薄膜トランジスタは第六薄膜トランジスタに直列接続され、第五薄膜トランジスタと第六薄膜トランジスタの接続点は、第一コンデンサの他端及び電気抵抗の一端に接続され、当該シフトレジスタの出力端とし、第五薄膜トランジスタのソースはクロック信号の入力端とし、第四薄膜トランジスタのゲートと第六薄膜トランジスタのゲートはいずれも当該シフトレジスタのリセット端とし、電気抵抗の他端は第二コンデンサの一端に接続され、第二コンデンサの他端、第四薄膜トランジスタのドレイン、および第六薄膜トランジスタのドレインはいずれも低レベル信号の入力端とする
ことを特徴とするゲートドライバ。
【請求項2】
各組の駆動ユニットにおいて、
第n+1のシフトレジスタクロック信号のパルスは、第nのシフトレジスタクロック信号のパルスに対して前記第一パルス周期遅くなり、各行の論理回路の出力端は、N−1個のパルスを含む出力信号を出力し、第n+1行の論理回路の出力信号のパルスは、第n行の論理回路の出力信号のパルスに対して一つの前記第一パルス周期だけ遅くなり、nの取りうる値の範囲は、[1,N−1]であることを特徴とする請求項1に記載のゲートドライバ。
【請求項3】
各行は、一つのシフトレジスタと、一つの論理回路とを含むことを特徴とする請求項に記載のゲートドライバ。
【請求項4】
請求項1〜のうちいずれか1項に記載のゲートドライバを含む表示装置。
【請求項5】
請求項1〜のうちいずれか1項に記載のゲートドライバを用いるゲート駆動方法であって、
各組の駆動ユニットにおいて、
各行のシフトレジスタのクロック信号端に異なる時系列のシフトレジスタクロック信号が入力され、かつ、
各行の論理回路のクロック信号端に論理回路クロック信号が入力されて、各行の論理回路の入力端で受信したシフトレジスタ出力信号のそれぞれを前記論理回路クロック信号と論理演算を行うことによって、それぞれにN−1個のパルスを含む異なる時系列のN個の出力信号が出力され、前記N−1個のパルスのそれぞれのパルス幅は、前記論路回路クロック信号のパルス幅に等しいことを含むことを特徴とするゲート駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ技術分野に関し、特に、ゲートドライバ、表示装置及びゲート駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、アクティブマトリクス有機発光ダイオードディスプレイ(Active Matrix OLED)において、各行の走査線(scan line)と各列のデータ線(data line)は交差してアクティブマトリクスを構成している。一般的に、順次走査を用いる方法では、各行のゲート・ダイオードを順次にオンにし、データ線の電圧を画素駆動ダイオードに伝送し、電流に変換して有機発光ダイオード(OLED)を駆動して発光表示させる。
【0003】
走査線の駆動回路は通常シフトレジスタ(shift register)により実現され、シフトレジスタはその類型に応じて、ダイナミックシフトレジスタとスタティックシフトレジスタに分けることができ、通常、ダイナミックシフトレジスタの構造は比較的簡単で、より少ない数の薄膜トランジスタ(TFT)が必要であるが、その消費電力はわりに大きく、しかも動作の周波数の帯域幅に限りがある。そして、スタティックシフトレジスタはより多いTFT部品が必要であるが、その動作の周波数の帯域幅はわりに大きく、しかも消費電力が低い。表示パネルのサイズが増大することに伴い、行走査駆動回路は通常アモルファスシリコン(a-Si)やポリシリコン(p-Si)によるTFTトランジスタを用いて実現され、パネルの上に直接作製され、こうして周辺駆動回路との間の相互接続を低減させ、サイズとコストを低減させることができる。パネルに基づいて設計された行走査駆動回路は速度に対する要求がそれほど高くないが、コンパクトな構造、小さな占める面積が必要であるため、多くはダイナミックシフトレジスタにより実現される。また伝統的な、Pチャネル金属酸化物半導体(Positive channel Metal Oxide Semiconductor,PMOS)とN型金属酸化物半導体(N-Mental-Oxide-Semiconductor,NMOS)のトランジスタを用いて設計されたシフトレジスタは、プロセス実現上で比較的複雑で、コストが高く(通常7〜9層のマスクプレートが必要)、しかも過渡電流が比較的大きいため、パネルに基づく設計は、NMOSまたはPMOSのダイナミック回路だけを用いることが多い。シフトレジスタの性能を考慮する時、その動作電圧、消費電力、信頼性及び面積の要素を総合して考慮しなければならない。しかし、表示パネルのサイズが増大することに伴い、消費電力と信頼性はすでに重要な性能パラメーターの指標になっている。通常、材料や膜厚の原因によって、アモルファスシリコンと低温ポリシリコンのプロセスに基づく薄膜トランジスタの閾値電圧Vth(絶対値)はいずれも大きく、シフトレジスタの動作電圧と消費電力はいずれも大きくなるようにさせる。
【0004】
従来のアレイ基板のゲートドライバ(GOA)は単一パルス波形を発生する論理回路であり、図2に示すように、Vthのドリフトによるパネルの表示ムラを防止するために、OLED画素構造は大体、内部閾値電圧補償機能付きの画素回路である。従来のGOA回路は、ダブルパルスが入力される際に、図3に示すシミュレーション結果が現れることになる。
【0005】
図3のシミュレーション結果からみれば、従来のGOAは、ダブルパルス波形が入力されて、ダブルパルス波形を出力することができず、Qポイントにおける波形は二番目のパルスが来るときに、引き上げられることができないため、Qポイントは正常に動作させず、GOA回路は、マルチパルス波形の出力する機能を完成することができない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施例は、ゲートドライバがマルチパルス波形を出力する機能を実現できるゲートドライバ、表示装置及びゲート駆動方法を提供する。
【0007】
本発明の実施例にかかるゲートドライバは、複数組の駆動ユニットを含み、各組の駆動ユニットは、N行のシフトレジスタと論理回路とを含み、Nは1より大きい整数であり、各行のシフトレジスタの出力端は、当該行の論理回路に接続され、
第m行の論理回路の出力端は、第m行の画素のゲート走査線に接続されると共に、第m+1行のシフトレジスタのトリガ信号入力端に接続され、mの取りうる値の範囲は、[1,M−1]であり、Mは画素の総行数であり、
第k行の論理回路の出力端は、第k−(N−1)行のシフトレジスタのリセット端に接続され、kの取りうる値の範囲は、[N,M]であり、
複数組の駆動ユニットにおける論理回路のすべては、一つの論理回路クロック信号を共用する。
【0008】
好ましくは、各組の駆動ユニットにおいて、各行のシフトレジスタは、N個の異なる時系列のシフトレジスタクロック信号を多重し、各行の論理回路は、異なる時系列の、それぞれに複数のパルスが含まれる出力信号を出力し、前記複数のパルスのそれぞれのパルス幅は、前記論理回路クロック信号のパルス幅に等しい。
従って、当該ゲートドライバにおけるシフトレジスタは複数の異なる時系列のクロック信号を多重して対応する論理回路に出力することによって、対応する論理回路は、異なる時系列のクロック信号を選択出力して、ゲートドライバがマルチパルス波形を出力する機能を実現し、閾値電圧補償機能付きのシフトレジスタのために準備して、表示パネルにマルチライン走査シフトレジスタを可能にして、ガラスパネルにマルチライン走査の技術問題を解決する
【0009】
好ましくは、第m行の論理回路は、第一薄膜トランジスタと、第二薄膜トランジスタと、前記第一薄膜トランジスタのゲートと前記第二薄膜トランジスタのゲートの間に接続されるインバータとを含み、
第一薄膜トランジスタのドレインは、第二薄膜トランジスタのドレインに接続され、当該論理回路の出力端とし、第一薄膜トランジスタのソースは、論理回路クロック信号の入力端とし、第一薄膜トランジスタのゲートは、第m行のシフトレジスタの出力端に接続される入力端とし、第二薄膜トランジスタのソースは、低レベル信号の入力端とする。
【0010】
好ましくは、論理回路クロック信号は、パルス幅が第一パルス幅で、パルス周期が第一パルス周期であり、
前記シフトレジスタクロック信号は、パルス幅がすべて第二パルス幅で、パルス周期がすべて第二パルス周期であり、かつ、前記第二パルス幅が前記第一パルス幅より大きく、前記第二パルス周期が前記第一パルス周期より大きい。
【0011】
好ましくは、前記第二パルス幅は、前記第一パルス幅の2*(N−1)倍であり、前記第二パルス周期は、前記第一パルス周期のN倍であり、
各組の駆動ユニットにおいて、第n+1のシフトレジスタクロック信号の時系列は、第nのシフトレジスタクロック信号より一つの前記第一パルス周期だけ遅くなり、各行の論理回路は、パルス幅が前記第一パルス幅であるN−1個のパルスを含む出力信号を出力し、第n+1行の論理回路の出力信号の時系列は、第n行の論理回路の出力信号より一つの前記第一パルス周期だけ遅くなり、nの取りうる値の範囲は、[1,N−1]である。
【0012】
好ましくは、各行は、一つのシフトレジスタと、一つの論理回路とを含む。
【0013】
好ましくは、第m行のシフトレジスタは、第一薄膜トランジスタと、第二薄膜トランジスタと、第三薄膜トランジスタと、第四薄膜トランジスタと、第一コンデンサと、第二コンデンサと、電気抵抗とを含み、
第一薄膜トランジスタのゲートとソースは短絡接続され、mが1である場合、初期トリガ信号の入力端とし、mが1より大きい場合、当該シフトレジスタのトリガ信号入力端として、第m−1行の論理回路の出力端に接続され、
第一薄膜トランジスタは第二薄膜トランジスタに直列接続され、第一薄膜トランジスタと第二薄膜トランジスタの接続点は、第一コンデンサの一端及び第三薄膜トランジスタのゲートに接続され、第三薄膜トランジスタは第四薄膜トランジスタに直列接続され、第三薄膜トランジスタと第四薄膜トランジスタの接続点は、第一コンデンサの他端及び電気抵抗の一端に接続され、当該シフトレジスタの出力端とし、第三薄膜トランジスタのソースはクロック信号の入力端とし、第二薄膜トランジスタのゲートと第四薄膜トランジスタのゲートはいずれも当該シフトレジスタのリセット端とし、電気抵抗の他端は第二コンデンサの一端に接続され、第二コンデンサの他端、第二薄膜トランジスタのドレイン、および第四薄膜トランジスタのドレインはいずれも低レベル信号の入力端とする。
【0014】
本発明の実施例にかかる表示装置は、本発明の実施例のいずれか一つに記載のゲートドライバを含む。
【0015】
本発明の実施例にかかる、上記のいずれか一つに記載のゲートドライバを用いるゲート駆動方法は、各組の駆動ユニットにおいて、各行のシフトレジスタに異なる時系列のシフトレジスタクロック信号が入力され、各行の論理回路に論理回路クロック信号が入力されて、各行の論理回路で受信したシフトレジスタ出力信号のそれぞれを前記論理回路クロック信号と論理演算を行うことによって、それぞれに複数のパルスを含む異なる時系列の出力信号が出力され、前記複数のパルスのそれぞれのパルス幅は、前記論路回路クロック信号のパルス幅に等しいことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来技術におけるアクティブマトリックスの模式図である。
図2】従来GOAの回路構造模式図である。
図3】従来のGOA回路のダブルパルスが入力されるときの出力信号のシミュレーション結果模式図である。
図4】本発明の実施例にかかるゲートドライバの回路構造模式図である。
図5】本発明の実施例にかかる8行毎のシフトレジスタに多重されるクロック信号と、全ての論理回路に共用されるクロック信号、および第1行のシフトレジスタに入力される初期トリガ信号STVとの間の時系列関係模式図である。
図6】本発明の実施例にかかるシフトレジスタの回路構造模式図である。
図7】本発明の実施例にかかる論理回路の回路構造模式図である。
図8】本発明の実施例にかかる図7に示す論理回路の等価回路構造模式図である。
図9】本発明の実施例にかかるゲートドライバのシミュレーション結果模式図である。
図10】本発明の実施例にかかるゲートドライバを用いるゲート駆動方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施例はゲートドライバ、表示装置及びゲート駆動方法を提供しており、ゲートドライバがマルチパルス波形を出力する機能を実現するために用いられる。
【0018】
本発明の実施例にかかるゲートドライバにおいて、シフトレジスタは、N(Nは1より大きい整数)行毎に1組のクロック信号を共用し、各シフトレジスタの出力信号は、対応する論理回路に入力され、シフトレジスタの出力信号は論理回路の処理を経て、クロック信号を選択出力し、結果としては、マルチパルスのシフト信号は出力され、各行の画素のゲート走査線のGate端に伝送され、マルチライン走査を実現する。これによって、ゲートドライバがマルチパルス波形を出力する機能を実現し、閾値電圧補償機能付きのシフトレジスタのために準備して、表示パネルにマルチライン走査シフトレジスタを可能にして、ガラスパネルにマルチライン走査の技術問題を解決する。
【0019】
以下に、本発明の実施例においてNが8である場合を例にして説明するが、Nは他の値を取ってもよく、例えば、9であってもよく、Nの具体的な値は、一行の画素を走査するために必要な時間によるものである。
【0020】
薄膜トランジスタ(TFT)の閾値電圧(Vth)のドリフトによってOLED表示がムラを生じることになるため、このようなムラを解消するために、多数のOLED画素回路構造は、内部閾値電圧補償の作用を有し、動作過程は一般的に、プリチャージ、補償、データ書き込み、および発光段階を含むようになり、従来の液晶ディスプレイゲート駆動(LCD GATE Driving)走査波形とは異なり、OLEDゲートドライバ(GATE Driver)はより複雑であり、本発明の実施例にかかるGOAは、マルチパルス波形を出力する機能を有し、あらかじめ閾値電圧補償機能付きの波形を有する画素回路のために準備することができる。
【0021】
図4を参照して、本発明の実施例にかかるゲートドライバは、複数組の駆動ユニットを含み、各組の駆動ユニットは、N行のシフトレジスタと論理回路を含み、本実施例において、各行には一つのシフトレジスタと一つの論理回路を含み、1行の画素に対応し、Nは、1より大きい整数であり、本実施例において、N=8であり、各行にシフトレジスタの出力端は当該行の論理回路に接続される。図4において、ON1は第1行のシフトレジスタの出力端を示し、ON2は第2行のシフトレジスタの出力端を示し、ON3は第3行のシフトレジスタの出力端を示し、これによって類推して、ON16は第16行のシフトレジスタの出力端を示す。
第m行の論理回路の出力端は第m行の画素のゲート走査線に接続され、第m行の画素のためにゲート駆動信号を提供する。第m行の論理回路の出力端はさらに第m+1行のシフトレジスタの入力端INに接続され、mの取り得る値の範囲は[1,M−1]であり、Mは画像の総行数である。すなわち、図4に示すように、第1行の論理回路の出力端は第2行のシフトレジスタの入力端INに接続され、第2行の論理回路の出力端は第3行のシフトレジスタの入力端INに接続され、第3行の論理回路の出力端は第4行のシフトレジスタの入力端INに接続され、これによって類推して、第15行の論理回路の出力端は第16行のシフトレジスタの入力端INに接続される。
【0022】
図4において、Output1は第1行の論理回路の出力端を示し、Output2は第2行の論理回路の出力端を示し、Output3は第3行の論理回路の出力端を示し、これによって類推して、Output16は第16行の論理回路の出力端を示す。シフトレジスタ1は第1行のシフトレジスタを示し、シフトレジスタ2は第2行のシフトレジスタを示し、シフトレジスタ3は第3行のシフトレジスタを示し、これによって類推して、シフトレジスタ16は第16行のシフトレジスタを示す。論理回路1は第1行の論理回路を示し、論理回路2は第2行の論理回路を示し、論理回路3は第3行の論理回路を示し、これによって類推して、論理回路16は第16行の論理回路を示す。
【0023】
第k行の論理回路の出力端は第k−(N−1)行のシフトレジスタのリセット端(reset)に接続され、kの取り得る値の範囲は[N,M]である。本実施例において、kは8から値を取り、即ち、第8行の論理回路の出力端は第1行のシフトレジスタのリセット端に接続され、第9行の論理回路の出力端は第2行のシフトレジスタのリセット端に接続され、第10行の論理回路の出力端は第3行のシフトレジスタのリセット端に接続され、これによって類推する。
【0024】
全ての論理回路は、パルス幅が第一パルス幅で、パルス周期が第一パルス周期であるクロック信号(図4において、以下にすべてがCLKで示す)を共用する。
各組の駆動ユニット(即ち8行毎に)において、各行のシフトレジスタは、N個の異なる時系列のクロック信号を多重し、各クロック信号は、パルス幅が第二パルス幅で、パルス周期が第二パルス周期であり、前記第二パルス幅は前記第一パルス幅の2*(N−1)倍であり、前記第二パルス周期は前記第一パルス周期のN倍である。第n行のシフトレジストは、第nのクロック信号が入力され、第n+1のクロック信号の時系列は、第nのクロック信号より一つの前記第一パルス周期だけ遅くなり、各行の論理回路出力は、パルス幅が前記第一パルス幅のN−1個のパルスの信号を含み、第n+1行の論理回路の出力信号の時系列は、第n行の論理回路の出力信号より一つの前記第一パルス周期だけ遅くなり、nの取りうる値の範囲は[1,N−1]である。
【0025】
本実施例において、N=8であり、図4に示すように、8行毎のシフトレジストに多重される8つの異なる時系列のクロック信号は、それぞれCLK1、CLK2、…、CLK8である。各組の駆動ユニットにおいて、第1行のシフトレジストにCLK1信号が入力され、第2行のシフトレジスタにCLK2信号が入力され、これによって類推して、第8行のシフトレジスタにCLK8信号が入力される。
【0026】
8行毎のシフトレジストに多重される8つの異なる時系列のクロック信号CLK1、CLK2、…、CLK8と、すべての論理回路に共用されるクロック信号CLK、および第1行のシフトレジスタに入力される初期トリガ信号STVとの間の時系列関係は、図5に示す通りである。
【0027】
図6を参照して、第m行のシフトレジスタは、第一薄膜トランジスタM1と、第二薄膜トランジスタM2と、第三薄膜トランジスタM3と、第四薄膜トランジスタM4と、第一コンデンサC1と、第二コンデンサC2と、電気抵抗R1とを含む。
第一薄膜トランジスタM1のゲートとソースは短絡され、mが1であるときに、初期トリガ信号STVの入力端として、mが1より大きいときに、このシフトレジスタのトリガ信号入力端として、第m−1行の論理回路の出力端Output(m−1)に接続される。
第一薄膜トランジスタM1と第二薄膜トランジスタM2とは直列に接続され、第一薄膜トランジスタM1と第二薄膜トランジスタM2の接続点は、第一コンデンサC1の一端および第三薄膜トランジスタM3のゲートに接続され、第三薄膜トランジスタM3と第四薄膜トランジスタM4とは直列に接続され、第三薄膜トランジスタM3と第四薄膜トランジスタM4の接続点は、第一コンデンサC1の他端および電気抵抗R1の一端に接続され、このシフトレジスタの出力端ON(m)とし、第三薄膜トランジスタM3のソースはクロック信号CLK(n)の入力端とし、第二薄膜トランジスタM2のゲートと第四薄膜トランジスタM4のゲートは、いずれもこのシフトレジスタのリセット端resetとし、電気抵抗R1の他端は第二コンデンサC2の一端に接続され、第二コンデンサC2の他端、第二薄膜トランジスタM2のドレインおよび第四薄膜トランジスタM4のドレインは、いずれも低レベル信号VSSの入力端とする。本発明は、GOAの具体的な回路が限定されるものではない。
【0028】
図7を参照して、第m行における論理回路は、第一薄膜トランジスタT1と、第二薄膜トランジスタT2と、前記第一薄膜トランジスタT1のゲートと前記第二薄膜トランジスタT2のゲートの間に接続されるインバータP1とを含む。
その中で、第一薄膜トランジスタT1のドレインと第二薄膜トランジスタT2のドレインとは接続され、この論理回路の出力端Output(m)とする。第一薄膜トランジスタT1のソースは、論理回路に共用されるクロック信号CLKの入力端とする。第一薄膜トランジスタT1のゲートは、第m行におけるシフトレジスタの出力端ON(m)に接続される入力端とする。第二薄膜トランジスタT2のソースは、低レベル信号VSSの入力端とする。
【0029】
図8は、図7に示す論理回路の等価回路を示しており、ただし、OP(m)はON(m)出力信号の反転信号を示す。即ち、本実施例にかかる論理回路は、一つのインバータ、二つのANDゲート、および一つのORゲートから構成されることに相当する。
【0030】
図9を参照して、本実施例において、シフトレジスタのためのクロック信号は8つの異なる時系列のクロック信号CLK1、CLK2、…、CLK8を含み、シフトレジスタは、この8つの異なる時系列のクロック信号を多重して、一つのクロック信号を生成し、この一つのクロック信号の広いパルス幅は、論理回路において薄膜トランジスタT1のソースに入力されたクロック信号CLKの狭いパルス幅の14倍であり、即ち、シフトレジスタのクロック信号の一つパルスは、論理回路のクロック信号の7つパルスに対応し、この二つのクロック信号は論理積、論理否定、論理和の演算を介して、7つパルスを有するマルチパルス出力Outputnを選択する。
【0031】
図9に示すシミュレーション結果から分かるように、シフトレジスタは、クロック信号CLK1、CLK2、…、CLK8を多重した後、ON1〜ON8出力信号の波形を生じており、本シミュレーションにおいて、ON出力信号のパルス幅は、選択されたクロック信号CLKの狭いパルス幅の14倍であり、ONは論理否定演算を経て、図7における薄膜トランジスタT2に入力されて論理和回路として予備し、ON出力信号とクロック信号CLKは論理積演算によって選択され、さらに論理和演算によって、最終にCLK信号を、7つのパルスを有する出力Outputnに処理し、それによってゲートドライバがマルチパルス波形を出力する機能を実現し、閾値電圧補償機能付きのシフトレジスタのために準備して、表示パネルにマルチライン走査シフトレジスタを可能にして、ガラスパネルにマルチライン走査の技術問題を解決する。
【0032】
本発明の実施例にかかる表示装置は、上記本発明の実施例に記載されたゲートドライバ(GOA)を含み、この表示装置は、例えば、OLEDディスプレイであってもよい。
【0033】
図10を参照して、本発明の実施例にかかる、前記ゲートドライバを用いるゲート駆動方法は、各組の駆動ユニットにおいて、操作1001で、各行のシフトレジスタに異なる時系列のシフトレジスタクロック信号が入力され、操作1002で、各行の論理回路に論理回路クロック信号が入力されて、各行の論理回路で受信したシフトレジスタ出力信号のそれぞれと論理回路クロック信号に対して論理演算を行うことによって、異なる時系列の、それぞれに複数のパルスを含む信号が出力され、複数のパルスのそれぞれのパルス幅が論理回路クロック信号のパルス幅に等しいことを含む。
【0034】
好ましくは、論理回路クロック信号は、パルス幅が第一パルス幅で、パルス周期が第一パルス周期である。
各組の駆動ユニットにおいて、シフトレジスタクロック信号のそれぞれは、パルス幅が第二パルス幅で、パルス周期が第二パルス周期であり、前記第二パルス幅は前記第一パルス幅より大きく、前記第二パルス周期は前記第一パルス周期より大きい。
【0035】
好ましくは、前記第二パルス幅は、前記第一パルス幅の2*(N−1)倍であり、前記第二パルス周期は、前記第一パルス周期のN倍である。
各組の駆動ユニットにおいて、第n+1のシフトレジスタクロック信号の時系列は、第nのシフトレジスタクロック信号より一つの前記第一パルス周期だけ遅くなり、各行の論理回路は、パルス幅が前記第一パルス幅であるN−1個のパルスを含む出力信号を出力し、第n+1行の論理回路の出力信号の時系列は、第n行の論理回路の出力信号より一つの前記第一パルス周期だけ遅くなり、その中でnの取り得る値の範囲は[1,N−1]である。
【0036】
言うまでもなく、当業者は、本発明の精神や範囲を脱出しない限り、本発明について様々な変更や変形が可能である。このように、本発明のこれらの改修や変形は、本発明の請求の範囲及びその均等な技術範囲に属すると、これらの改修や変形も本発明の範囲内であることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10