特許第6755295号(P6755295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6755295
(24)【登録日】2020年8月27日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】再チャージ式陰圧閉鎖療法
(51)【国際特許分類】
   F04B 53/20 20060101AFI20200907BHJP
【FI】
   F04B53/20 A
【請求項の数】13
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-234356(P2018-234356)
(22)【出願日】2018年12月14日
(62)【分割の表示】特願2015-551687(P2015-551687)の分割
【原出願日】2013年12月13日
(65)【公開番号】特開2019-90414(P2019-90414A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2019年1月7日
(31)【優先権主張番号】61/748,707
(32)【優先日】2013年1月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508268713
【氏名又は名称】ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ロック,クリストファー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】クルサード,リチャード ダニエル,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,ティモシー,マーク
【審査官】 井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表平11−504833(JP,A)
【文献】 特表2009−502297(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0292263(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 53/20
F04B 53/12
A61M 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプにおいて、
ピストン室と;
ポートと;
前記ピストン室内に配置されたピストンであって、前記ピストンが前記ピストン室を第1の室および第2の室に分割し、前記第1の室が前記ポートに流体的に結合され、前記第2の室が外部環境に流体的に結合され、かつ前記ピストンが前記ポートから離れるように移動するときに、前記ポートを通して流体を前記第1の室に引き入れるように適合されたピストンと;
前記ポートに動作可能に結合され、かつ前記ピストンが前記ポートの方へ移動するときに、前記ポートを通って前記流体が前記ピストン室から出るのを阻止するように構成されたバルブと;
前記第1の室と前記第2の室とを流体的に結合する通路と;
前記ピストンが前記ポートの方へ移動するときに、前記通路を通る前記第1の室から前記第2の室への一方向の流体の流れとなるように構成された第2のバルブと;
前記ピストン室内に配置された第1のフィルターであって、前記ピストンが前記第1のフィルターの方へ移動するときに、前記流体中の液体から気体を分離する一方で、前記ピストン室に前記液体を保持するように構成された第1のフィルターと
を含むことを特徴とする、ポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載のポンプにおいて、
前記第1のフィルターが、前記第1の室に前記液体を保持するように構成されていることを特徴とする、ポンプ。
【請求項3】
請求項1に記載のポンプにおいて、
容器が、前記第1の室内に配置され、かつ前記ポートに流体的に結合され;
前記第1のフィルターが、前記ピストンが前記ポートの方へ移動するときに、前記容器に前記液体を保持するように構成されていることを特徴とする、ポンプ。
【請求項4】
請求項1に記載のポンプにおいて、
前記ピストンが前記ポートから離れるように移動するときに、前記第2の室内に液体を保持するように構成された第2のフィルターをさらに含むことを特徴とする、ポンプ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のポンプにおいて、前記通路が、前記ピストンを貫通して前記第1の室と前記第2の室とを流体的に結合することを特徴とする、ポンプ。
【請求項6】
陰圧療法を行うためのポンプにおいて、
前記ポンプを第1の室および第2の室に分割するピストンと;
前記第1の室に流体的に結合されたポートであって、前記ピストンが前記ポートから離れるように移動するときに、前記第1の室に流体を引き入れるように適合されたポートと;
前記ポートに動作可能に結合され、かつ前記ピストンが前記ポートの方へ移動するときに、前記ポートを通る前記第1の室からの流体の流れを阻止するように構成された第1のバルブと;
前記第2の室に流体的に結合された周囲圧力源と;
前記ピストンが前記ポートの方へ移動するときに、前記第1の室から前記第2の室への一方向の流体の流れとなるように構成された第2のバルブと;
前記第1の室内に配置されたフィルターであって、前記ピストンが前記フィルターの方へ移動するときに、液体から気体を分離するように構成されたフィルターと
を含むことを特徴とする、ポンプ。
【請求項7】
請求項6に記載のポンプにおいて、さらに、前記第1の室内に配置されかつ前記ポートに流体的に結合された膨張性容器を含むことを特徴とする、ポンプ。
【請求項8】
請求項6または7に記載のポンプにおいて、さらに、前記第2の室を前記周囲圧力源に流体的に結合する通気孔を含むことを特徴とする、ポンプ。
【請求項9】
請求項6乃至8の何れか1項に記載のポンプにおいて、さらに、前記第2の室に、前記ピストンに動作可能に係合された弾性要素を含み、前記弾性要素は、前記ピストンが前記ポートから離れるように移動するときに収縮し、かつ前記ピストンが前記ポートの方へ移動するときに拡張するように構成されていることを特徴とする、ポンプ。
【請求項10】
請求項9に記載のポンプにおいて、前記弾性要素がバネであることを特徴とする、ポンプ。
【請求項11】
請求項6乃至10の何れか1項に記載のポンプにおいて、前記第2のバルブが、前記ピストンが前記ポートの方へ移動するときに、前記ピストンを通る前記第1の室から前記第2の室への一方向の流体の流れとなるように構成されていることを特徴とする、ポンプ。
【請求項12】
請求項6乃至10の何れか1項に記載のポンプにおいて、さらに、前記第1の室と前記第2の室とを流体的に結合する通路を含むことを特徴とする、ポンプ。
【請求項13】
請求項6乃至10の何れか1項に記載のポンプにおいて、さらに、前記ピストンを貫通して、前記第1の室と前記第2の室とを流体的に結合する通路を含むことを特徴とする、ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、35USC§119(e)下において、Lockeらによる、2013年1月3日出願の米国仮特許出願第61/748,707号明細書(名称「RECHARGING NEGATIVE−PRESSURE WOUND THERAPY」)の出願の利益を主張し、これをあらゆる目的において本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、概して、組織治療システムに関し、より詳細には、限定されるものではないが、再チャージ式陰圧閉鎖療法装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
臨床試験および診療から、組織部位に近接して減圧をもたらすことによって、組織部位における新しい組織の成長を増強および加速できることが示されている。この現象の適用例は多数あるが、創傷の治療に特に有利であることが分かっている。外傷、手術、または別の原因であるかという創傷の病因に関わらず、創傷を適切にケアすることが、結果に対し重要である。減圧による創傷の治療は、一般に「陰圧療法」と称し得るが、例えば「陰圧閉鎖療法」、「減圧創傷療法」、「減圧療法」、「真空療法」、および「真空補助閉鎖(vacuum−assisted closure)」を含む他の名称によっても知られている。陰圧療法はいくつもの利点を提供し、それら利点には、上皮組織および皮下組織の移動、血流の改善、および組織部位における組織の微小変形が含まれ得る。同時に、これらの利点は、肉芽組織の発生を増やし、および治癒にかかる時間を短縮し得る。
【0004】
陰圧療法の臨床的利点は広く知られているものの、陰圧療法のコストおよび複雑さがその適用の制限要因であり得、陰圧システム、構成要素、およびプロセスの開発および操作が、製造者、ヘルスケア提供者、および患者に重大な課題を突き付け続けている。
【発明の概要】
【0005】
例示的な一実施形態では、概して、真空室と、周囲圧力室と、チャージストローク中は真空室から周囲圧力室への一方向の流れとなるように構成されたバルブと、ポンプに液体を保持するように構成された液体フィルターとを含むシステムが、本明細書に説明されている。より特定の実施形態では、液体フィルターは、チャージストローク中に真空室に液体を保持するように構成されている。他の実施形態では、液体フィルターは、動作ストローク中、周囲圧力室に液体を保持するように構成されている。さらにより特定の実施形態では、ポンプは、さらに、真空室と周囲圧力室との間に配置されたピストンと、真空室と周囲圧力室とを流体的に結合する通路とを含んでもよく、およびバルブが、通路を通る流体の流れを制御するように構成されている。さらに、説明に役立ついくつかの実施形態では、ルーメンが真空室をドレッシングに結合して、ドレッシングに陰圧を送達し得る。
【0006】
他の説明に役立つ実施形態では、ポンプは、ピストン室と、ポートと、ピストンであって、ピストン室内に配置され、かつピストンがポートから離れるように移動するときに、ポートを通して流体をピストン室に引き入れるように適合されたピストンとを含み得る。バルブが、ポートに動作可能に結合され、かつピストンがポートの方へ移動するときに、ポートを通って流体がピストン室から出るのを阻止するように構成されてもよく、およびフィルターが、ピストンがフィルターの方へ移動するときに、流体中の液体から気体を分離する一方で、ピストン室に液体を保持するように構成され得る。
【0007】
容器を備えるポンプも本明細書で説明されており、説明に役立ついくつかの実施形態では、容器は、ポンプの第1の室内に配置され得る。容器は、ポンプにあるポートに流体的に結合され得る。ポンプの第2の室は、外部環境、例えば局所的な周囲環境に流体的に結合され得る。第1の室と第2の室とを通路が流体的に結合し得、およびバルブが、チャージストローク中は、通路を通る第1の室から第2の室への一方向の流体の流れとなるように構成され得る。フィルターは、チャージストローク中に、容器に流体を保持するように構成できる。
【0008】
さらに他の説明に役立つ実施形態では、陰圧療法を行うための装置が、第1の室と、第1の室に流体的に結合され、かつ動作ストローク中に、第1の室に流体を引き入れるように適合されたポートと、ポートに動作可能に結合され、かつチャージストローク中、ポートを通る第1の室からの流体の流れを阻止するように構成された第1のバルブと、周囲圧力源に流体的に結合された第2の室とを含む。ピストンが、第1の室および第2の室を分離してもよく、および第2のバルブが、チャージストローク中は、第1の室から第2の室への一方向の流体の流れとなるように構成され得る。フィルターが、ピストンがフィルターの方へ移動するときに、流体中の液体から気体を分離するように構成できる。
【0009】
陰圧療法の最中に流体を管理する方法も本明細書において説明されている。方法の説明に役立つ実施形態は、多孔質ドレッシングにポンプを結合するステップと、動作ストローク中、ポンプにおいて蓄えられたエネルギーを放出して、ポンプの真空室内に陰圧を生成するステップと、ドレッシングに陰圧を分配するステップとを含む。動作ストローク中、真空室に液体および気体を受け入れることができる。チャージストローク中、ポンプがチャージされて、エネルギーを蓄える一方で、ポンプ内に液体を保持することができる。
【0010】
本明細書で説明する実施形態の他の目的、特徴、および利点は、以下の図面および詳細な説明を参照することにより、明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本明細書に従って流体を管理できる陰圧療法システムの例示的な実施形態の機能的なブロック図である。
図2A図2A図1の陰圧療法システムの陰圧源の例示的な実施形態に関連付けられ得る、追加的な詳細を示す概略図である。
図2B図2Bは、図1の陰圧療法システムの陰圧源の例示的な実施形態に関連付けられ得る、追加的な詳細を示す概略図である。
図2C図2Cは、図1の陰圧療法システムの陰圧源の例示的な実施形態に関連付けられ得る、追加的な詳細を示す概略図である。
図2D図2Dは、図1の陰圧療法システムの陰圧源の例示的な実施形態に関連付けられ得る、追加的な詳細を示す概略図である。
図3A図3Aは、図1の陰圧療法システムの陰圧源の別の例示的な実施形態に関連付けられ得る、追加的な詳細を示す概略図である。
図3B図3Bは、図1の陰圧療法システムの陰圧源の別の例示的な実施形態に関連付けられ得る、追加的な詳細を示す概略図である。
図4図4は、図1の陰圧療法システムの陰圧源のさらに別の例示的な実施形態に関連付けられ得る、追加的な詳細を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
陰圧療法を行うための、新しくかつ有用な装置、システム、および方法が、添付の特許請求の範囲において記載される。装置、システム、および方法を作製および使用する目的、利益、および好ましい態様は、添付図面と併せて、以下の詳細な説明を参照することにより、最も理解され得る。説明は、当業者が、特許請求する主題を作製および使用できるようにする情報を提供するが、当技術分野で既に周知のいくつかの詳細な情報については省略し得る。さらに、文脈によって明確に要求されない限り、「または」などの用語を使用する様々な代替形態の説明は、必ずしも相互排他性である必要はない。特許請求する主題はまた、具体的に詳細には説明されない代替的な実施形態を含んでもよい。それゆえ、以下の詳細な説明は、限定ではなく、説明のためのものであるとみなされるべきである。
【0013】
例示的な実施形態はまた、本明細書では、添付の図面に示す様々な要素間の空間関係または様々な要素の空間定位を参照して、説明され得る。概して、そのような関係または定位は、治療を受ける位置にいる患者と一致するかまたは患者に対する基準系とする。しかしながら、当業者によって認識される必要があるように、この基準系は、厳密な規定ではなく、単に説明手段である。
【0014】
図1は、本明細書に従って再チャージできる陰圧療法システム100の例示的な実施形態の単純な機能ブロック図である。図示の通り、陰圧療法システム100は、陰圧源104に流体的に結合されたドレッシング102を含み得る。調整器106などの調整器またはコントローラも、ドレッシング102および陰圧源104に流体的に結合され得る。ドレッシング102は、一般的に、ドレープ108などのドレープと、圧力分配マニホールド110などのマニホールドとを含む。陰圧療法システム100はまた、ドレッシング102および陰圧源104に結合された、容器112などの流体容器を含み得る。
【0015】
概して、陰圧療法システム100の構成要素は、直接または間接的に結合され得る。例えば、陰圧源104は、調整器106には直接結合され、およびドレッシング102には調整器106を介して間接的に結合され得る。構成要素は互いに流体的に結合されて、構成要素間で流体(すなわち、液体および/または気体)を移送する経路を提供し得る。一部の実施形態では、構成要素は、例えばチューブに流体的に結合され得る。本明細書では、「チューブ」は、チューブ、パイプ、ホース、導管、または2つの端部間で流体を運ぶように適合された1つ以上のルーメンを備える他の構造体を広く指す。一般に、チューブは、ある程度可撓性のある、細長いシリンダー状の構造体であるが、幾何学的形状および剛性は様々とし得る。それに加えてまたはその代わりに、一部の実施形態では、構成要素は、単一の構造体に一体化されているかまたは同じ材料部片から形成されている物理的近接手段によって、結合され得る。結合はまた、いくつかの状況において、機械的、空気圧的、熱的、電気的、または化学的な結合(ケミカルボンドなど)を含み得る。
【0016】
動作中、圧力分配マニホールド110は、組織部位内に、その上を覆うように、その上に、または他の方法でそれに隣接して、配置され得る。ドレープ108は、圧力分配マニホールド110の上を覆うように配置され、かつ組織部位の近くで組織に対し密封され得る。組織部位に近接した組織は、組織部位の周辺にある無傷の表皮であることが多い。それゆえ、ドレッシング102は、組織部位に近接して、外部の周囲環境から実質的に隔離された、密閉された治療環境を提供でき、および陰圧源104は、密閉された治療環境内の圧力を低下させることができる。圧力分配マニホールド110を通して、密閉された治療環境にある組織部位にわたって適用された陰圧は、組織部位においてマクロ歪みおよび微小歪みを誘発でき、ならびに組織部位から滲出液および他の流体を除去でき、それらを容器112に収集して適切に廃棄できる。
【0017】
「陰圧」は、一般的に、ドレッシング102によってもたらされた密閉された治療環境の外側にある局所環境における周囲圧力などの、局所的な周囲圧力を下回る圧力を指す。多くの場合、局所的な周囲圧力はまた、患者がいる場所の大気圧とし得る。あるいは、圧力は、組織部位における組織に関連する静水圧を下回り得る。他に指定のない限り、本明細書で述べる圧力の値はゲージ圧である。同様に、陰圧の上昇の言及は、一般に絶対圧の低下を指す一方、陰圧の低下は、一般に絶対圧の上昇を指す。
【0018】
密閉された治療環境内などの別の構成要素または場所における圧力を低下させるために陰圧源を使用する流体力学は、数学的に複雑となり得る。しかしながら、陰圧療法に適用できる流体力学の基本原理は、一般的に当業者によく知られており、および圧力を低下させるプロセスは、例えば陰圧の「送達」、「分配」、または「生成」として、本明細書で説明的に記載され得る。
【0019】
概して、滲出液および他の流体は、流体流路に沿って、より低い圧力の方へ流れ、この現象は、「吸込み」または「吸引」と呼ばれることが多い。それゆえ、用語「下流」は、一般に、流体流路において、陰圧源の比較的近くにあるものを意味し、逆に、用語「上流」は、陰圧源から比較的離れているものを意味する。同様に、そのような基準系における流体の「入口」または「出口」に関して、いくつかの特徴を説明するのが好都合であり得る。この定位は、一般的に、本明細書の陰圧療法システムの様々な特徴および構成要素を説明するために想定される。しかしながら、流体流路はまた、一部の適用例では逆にされてもよく(陽圧源を陰圧源の代わりにすることによってなど)、この説明の慣例は、限定的な慣例であるとみなされるべきではない。
【0020】
これに関連して用語「組織部位」は、骨組織、脂肪組織、筋組織、神経組織、皮膚組織、脈管組織、結合組織、軟骨、腱、または靭帯を含むがこれらに限定されない組織上にあるまたはその内部の、創傷または欠損を広範に指す。創傷は、例えば、慢性、急性、外傷性、亜急性、および離開した創傷、中間層熱傷、潰瘍(例えば糖尿病潰瘍、圧迫潰瘍、または静脈不全潰瘍)、弁(flap)、およびグラフトを含み得る。用語「組織部位」はまた、必ずしも傷ついても欠損してもいない組織領域を指し得るが、その代わりに、追加的な組織の成長を支援または促進することが望ましいとし得る領域である。例えば、いくつかの組織領域において陰圧療法を使用して、追加的な組織を成長させ、それら組織を採取し、別の組織の箇所に移植してもよい。
【0021】
陰圧源104などの陰圧源は、陰圧での空気の溜め部としてもよいし、または密閉された体積部の圧力を低下させ得る手動または電動の装置、例えば、真空ポンプ、吸引ポンプ、多くのヘルスケア施設で利用可能な壁面吸い込みポート、またはマイクロポンプとしてもよい。陰圧源は、陰圧療法をさらに容易にするセンサー、処理装置、アラームインジケータ、メモリ、データベース、ソフトウェア、表示装置、またはユーザインターフェースなどの他の構成要素内に収容され得るかまたはそれらと一緒に使用され得る。
【0022】
圧力分配マニホールド110は、一般的に、組織部位に接触するように適合され得る。圧力分配マニホールド110は、組織部位と部分的にまたは全体的に接触し得る。組織部位が創傷である場合、例えば、圧力分配マニホールド110は、創傷を部分的にまたは完全にふさいでもよいし、または創傷の上側を覆って配置されてもよい。圧力分配マニホールド110は多くの形態をとってもよく、および様々な要因、例えば、施されている治療のタイプ、または組織部位の性質およびサイズなどに依存して、多くのサイズ、形状、または厚さを有し得る。例えば、圧力分配マニホールド110のサイズおよび形状は、深くて不規則な形状の組織部位の輪郭に適合され得る。
【0023】
より一般的に、マニホールドは、陰圧下で組織部位にわたって流体を収集するように適合された物体または構造体である。しかし、一部の実施形態では、例えば流体流路を逆にする場合、または副流体流路が設けられる場合、マニホールドはまた、組織部位にわたって流体を送達するのを促し得る。マニホールドは、マニホールドの周りの組織部位に提供されかつそこから除去される流体を分配する流路または流れ経路を含み得る。説明に役立ついくつかの実施形態では、流路または流れ経路は相互に接続されて、組織部位にわたる流体の除去または分配の均一性を改善し得る。例えば、気泡質の発泡体、連続気泡発泡体、多孔性組織集合体、およびガーゼまたはフェルトのマットなどの他の多孔質材は、一般的に、流路を形成するように配置された構造要素を含む。液体、ゲル、および他の発泡体はまた、流路を含み得るか、または硬化して流路を含み得る。
【0024】
説明に役立ついくつかの実施形態では、圧力分配マニホールド110は、組織部位にわたって陰圧を適用するように適合された連続気泡または細孔を有する多孔質の発泡材料とし得る。発泡材料は、疎水性としてもまたは親水性としてもよい。非限定的な一例では、圧力分配マニホールド110は、連続気泡の網状ポリウレタン発泡体、例えばKinetic Concepts,Inc.(San Antonio、Texas)から入手可能なGranuFoam(登録商標)ドレッシングとし得る。
【0025】
圧力分配マニホールド110が親水性材料から作製され得る例では、圧力分配マニホールド110はまた、組織部位に陰圧を適用し続ける間に組織部位から流体を吸い上げ得る。圧力分配マニホールド110の吸い上げ特性は、毛細管流動または他の吸い上げ機構によって組織部位から流体を引き出し得る。親水性発泡体の例は、Kinetic Concepts,Inc.(San Antonio、Texas)から入手可能なポリビニルアルコール製の連続気泡発泡体、例えばV.A.C.WhiteFoam(登録商標)ドレッシングである。他の親水性発泡体は、ポリエーテルから作製されたものを含み得る。親水性を示し得る他の発泡体は、親水性をもたらすように処理または被覆された疎水性発泡体を含み得る。
【0026】
圧力分配マニホールド110は、さらに、密閉された治療環境内の圧力が低下すると、組織部位における肉芽形成を促進させ得る。例えば、陰圧が圧力分配マニホールド110を通じて適用される場合、圧力分配マニホールド110の表面の何れかまたは全ては、凸凹した、粗い、またはギザギザしたプロファイルを有することがあり、組織部位において微小歪みおよび応力を誘発し得る。
【0027】
一実施形態では、圧力分配マニホールド110は、生体再吸収性材料から構成され得る。好適な生体再吸収性材料は、限定されるものではないが、ポリ乳酸(PLA)とポリグリコール酸(PGA)のポリマーブレンドを含み得る。ポリマーブレンドはまた、限定されるものではないが、ポリカーボネート、ポリフマレート、およびカプララクトン(capralactones)を含み得る。圧力分配マニホールド110は、新しい細胞増殖のための足場としての機能をさらに果たしてもよいし、または細胞増殖を促進するために圧力分配マニホールド110と足場材料が一緒に使用されてもよい。足場は、一般的に、細胞増殖または組織形成を増進させるまたは促進するのに使用される物体または構造体であり、例えば、細胞増殖のテンプレートを提供する三次元の多孔質構造体である。足場材料の説明に役立つ例は、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コーラルヒドロキシアパタイト(coral hydroxy apatite)、カーボネート、または加工された同種移植片材料を含む。
【0028】
ドレープ108は、シール部材の例である。シール部材は、2つの構成要素間または2つの環境間、例えば治療環境と局所的な周囲環境との間に流体シールをもたらし得る材料から構成され得る。シール部材は、例えば、所与の陰圧源に関して組織部位において圧力を維持するのに適切なシールをもたらし得る不透過性または半透過性のエラストマー材料とし得る。半透過性材料に関し、透過性は、一般的に、所望の圧力が維持され得るように十分に低い必要がある。シール部材を取付面、例えば無傷の表皮、ガスケット、または別のシール部材に取り付けるために、取付装置が使用され得る。取付装置は、多くの形態をとり得る。例えば、取付装置は、シール部材の周辺、一部分、または全体に延在する医学的に容認できる感圧接着剤とし得る。取付装置の他の例示的な実施形態は、両面テープ、糊、親水コロイド、ヒドロゲル、シリコーンゲル、オルガノゲル、またはアクリル接着剤を含み得る。
【0029】
容器112は、組織部位から引き出された滲出液および他の流体を管理するために使用され得る容器、キャニスター、パウチ、または他の貯蔵部品を代表する。多くの環境では、流体を収集、貯蔵、および廃棄するためには剛性容器が好ましいとし得るかまたは必要とされ得る。他の環境では、流体は、剛性容器に貯蔵されていなくても、適切に廃棄され、かつ再使用可能な容器は、陰圧療法に関連する廃棄物およびコストを削減し得る。
【0030】
概して、陰圧療法は、全ての重症度の創傷に有益とし得るが、陰圧療法システムのコストおよび複雑さが、救急または慢性的な処置を受けている患者の大きくて滲出が多い創傷、ならびに陰圧を適用しないと簡単には治癒しにくい他の重症状態への、陰圧療法の適用を制限することが多い。例えば、多くの陰圧療法システムの複雑さは、ほとんどまたは全く専門知識のない人が陰圧療法を実施する能力を制限し得る。多くの陰圧療法システムのサイズはまた、移動性を損ない得る。多くの陰圧療法システムはまた、各治療後に念入りに洗浄する必要があり、および治療のために陰圧を供給するために、電気部品または他の電動装置を必要とし得る。
【0031】
電力条件をなくすことによって、移動性を高めることができ、および一般的に、コストも削減する。例えば、電動ポンプの代わりに、手動作動式ポンプが陰圧源として使用され得る。大まかに言えば、手動作動式ポンプを用いた陰圧の生成は、オペレータからエネルギーを受け取り、エネルギーを蓄え、および流体に機械的に作用するためにエネルギーを消費することに応じる。エネルギーを受け取って蓄えるプロセスは、「チャージ」と呼ばれることが多い。エネルギーは、例えば、機械的方法と空気作用による方法との組み合わせによって蓄えられ得る。例えば、オペレータは、クランクまたはプランジャーに力を加えて、弾性要素、例えばバネを圧縮または伸長させ得る。
【0032】
弾性要素に蓄えられ得るエネルギーの量は、一般的に、フックの弾性の法則(Hooke’s law of elasticity)によって説明されており、この法則は、弾性要素の伸びは、その要素に加えられた荷重に正比例することを述べる近似的な法則である。それゆえ、例えば、バネに蓄えられたエネルギーの量は、平衡状態からある距離でバネを撓ませるのに必要な力によって、決定され得る。
【0033】
しかし、所与のシステムにおいてバネが受け得る撓みの量は、バネが入れられている構造体の物理的なサイズによって抑制されることが多い。そのような抑制されたシステムでは、バネのバネ定数が増加して、バネのエネルギー蓄積容量を増大させ得る。しかしながら、バネ定数の増加はまた、バネを圧縮または伸長させるために必要な力を増大させ、かつオペレータは、メカニカルアドバンテージがないと、バネを撓ませるのが困難になる可能性がある。メカニカルアドバンテージを提供する手段は、例えば、レバー、ねじ山、およびラチェットを含む。メカニカルアドバンテージを用いて、オペレータは、バネを再チャージするために同じ量のエネルギーを消費するが、必要とされる力は小さくなる。エネルギーは同じであるが、力は小さいため、力が加えられる距離は長くなり得るか、または力は繰り返し加えられ得る。
【0034】
しかしながら、ドレッシングにおける漏れは、ポンプの弾性要素に蓄えられたエネルギーを徐々に減じ得る。ドレッシングが最初に適用されるときには、大きな漏れもよく見られる。手動によって作動される陰圧療法システムは、漏れに対して特に敏感であり得る。なぜなら、陰圧を生成するそのようなシステムの能力は、一般に、電動ポンプよりも制限されているためである。例えば、バネを使用してエネルギーを蓄える場合、オペレータは、蓄えられたエネルギーが枯渇するため、バネを周期的に圧縮または伸長させる必要があり得る。それゆえ、陰圧療法システムにおける手動作動式ポンプは、治療的圧力を維持するために、周期的にチャージする必要があり得る。
【0035】
滲出液用の貯蔵容量をなくすことまたは減らすことはまた、移動性を高め得る。例えば、創傷液は、大型のキャニスターの代わりに、ドレッシングの吸収性溜め部に貯蔵され得るか、または創傷液は、ポンプハウジング内にある遠く離れた容器に引き入れられ得る。しかしながら、ドレッシングへの創傷液の貯蔵は、ドレッシングのコストおよび複雑さを増し得る一方、遠く離れた容器に創傷液を引き入れることは、追加的なエネルギーを必要とし、かつポンプハウジングのコストおよび複雑さを増し得る。
【0036】
本明細書で開示するように、陰圧療法システム100は、流体を手動作動式ポンプのピストン室内に保持しかつそこで管理することによって、これらの課題および他の課題を克服できる。陰圧療法システム100は、システム内に漏れる空気の流れが、組織部位からの他の流体の流れを上回る、重症度の低い状態への適用に特に好都合とし得る。例えば、ドレッシングのシールが、漏れを10ml/時未満に制限することができ、および創傷が、3日間で60ccの流体を生じる場合、システム内に漏れる空気は、組織部位からの流体の流れを大きく上回る。
【0037】
陰圧療法システム100の一部の実施形態は、弾性要素に結合されかつピストン室内に配置されたピストンを有するポンプを含み得る。弾性要素を圧縮または伸長させるためにチャージ力が適用され、それにより、ピストンを、ピストン室にあるポートの方へ移動させ得る。チャージ力が除去されると、弾性要素のバネ力が、ピストンをポートから離れるように動かし、ポートを通して陰圧を生成し得る。弾性要素がピストンをポートから離れるように動かすとき、陰圧によって、ポートを通してピストン室に流体を引き入れる。例えば、ポンプがドレッシング102に流体的に結合されているとき、ポンプは、ドレッシング102を通して組織部位から滲出液を、ならびにドレッシング102にある漏出部から空気を引き入れ得る。弾性要素に蓄えられたエネルギーが枯渇するかまたはピストンが他の方法で限界値に達した場合、弾性要素は、治療的圧力を維持するために、再チャージされ得る。例えば、ここでも、チャージ力が適用されて、弾性要素を圧縮または伸長させ、それにより、ここでも、ピストンをポートの方へ動かす。ピストンがポートの方へ移動すると、流体がポートを通ってピストン室から出るのを阻止するようにバルブが適合され得る。ピストンがフィルターの方へ移動すると、流体中の液体から気体を分離する一方でピストン室に液体を保持するように、フィルターが構成され得る。例えば、漏出部からの空気はフィルターを通って吐き出され得る一方、滲出液は、ピストン室に保持され得る。
【0038】
説明に役立ついくつかの実施形態では、例えば、少なくとも1つの液体遮断フィルターを備える可撓性パウチが、室内において、ピストンと室にあるポートとの間に配置され得る。ピストンがポートから離れるように移動するときには、室に陰圧が生成され得、陰圧はフィルター、パウチ、およびポートを通して組織部位に送達され得る。ピストンがポートから離れるように移動するとき、一方向弁が、流体を、組織部位からパウチへ流入させることができる。ピストンがポートの方へ前進するとき、ピストン内の別の一方向弁が、流体を、室から流出させることができる。ポンプを再チャージするために、ピストンは、パウチおよびポートの方へ移動され得る。ピストンがパウチに接触して圧縮するとき、空気および他の気体は、パウチからフィルターを通って吐き出され得るが、液体遮断フィルターは、組織部位からの滲出液および他の液体をパウチに保持する。気体が実質的にパウチおよび室から吐き出されるまで、ピストンはポートの方へ前進し続けることができる。
【0039】
他の説明に役立つ実施形態では、流体は、組織部位から、ポンプのピストンとポートとの間の室の方へ引き入れられ得る。ピストンがポートから離れるように移動するとき、一方向弁によって、流体を、組織部位からパウチへ流入させることができる。ピストンがポートの方へ前進するとき、ピストン内の別の一方向弁によって、流体を、室から流出させることができる。ポンプを再チャージするとき、流体は室からピストン内のバルブを通って第2の室まで吐き出され得る。第2の室は、ピストンに対向して、液体遮断フィルターを備える通気孔を含み得る。ピストンがポートから離れるように移動して、漏れを補償するとき、ピストンは、通気孔の方へ移動し、かつ通気孔から空気および他の気体を吐き出す一方、液体遮断フィルターは、第2の室内に滲出液および他の液体を保持する。
【0040】
さらに他の説明に役立つ実施形態では、流体は、組織部位から、ピストンと第1のポートとの間の室まで引き入れられ、その後、第2のポートから外部容器またはドレーンまで吐き出され得る。例えば、第2のポートは、後で廃棄するために数回分のチャージからの流体を入れる容量を有するキャニスターまたは袋に接続され得るか、または第2のポートは、配管されたドレーンに接続され得る。
【0041】
図2A〜2Dは、陰圧源104の例示的な実施形態に関連付けられ得る追加的な詳細を示す、様々な動作状態にあるポンプ200の概略図である。この説明に役立つ実施形態では、ポンプ200は、ピストン室202、ピストン204、弾性要素206、吸気ポート208、および排気ポート210を含み得る。ピストン室202は、実質的に閉鎖空間であり、例えば、全体的に、側壁212、ベース214、およびヘッド216を有するシリンダーによって規定されてもよく、ベース214およびヘッド216は、一般的に、側壁212の対向端部で側壁212に結合される。この例示的な実施形態では、それぞれベース214およびヘッド216内に配置されるかまたはそれらと流体的に結合されているように示す、吸気ポート208および排気ポート210が通る部分を除いて、ピストン室202は、周囲環境から流体的に隔離されている。
【0042】
概して、弾性要素206は、バネ、または機械的エネルギーを蓄えるための他の手段とし得る。例えば、一部の実施形態では、弾性要素206は、引張バネ、圧縮バネ、トーションバネ、定荷重バネ、または可変荷重バネとし得る。弾性要素206は、ピストン204に動作可能に係合されて、ピストン204を吸気ポート208から離れるように付勢し得る。図2A〜2Dでは、弾性要素206は、一般的に、一方の端部でピストン室202の内部に、および対向端部でピストン204に結合されたかまたは他の方法で動作可能に係合された、引張コイルバネを表す。
【0043】
ピストン204は、ピストン室202内で往復運動でき、および全体的に、ピストン室202を第1の室および第2の室に、例えば真空室218および周囲圧力室220に分割する。ピストン204と側壁212との間には、ピストン204の側壁にある溝などに、シール221が配置されて、真空室218と周囲圧力室220との間の側壁212に沿った流体の流れを防止し得る。吸気ポート208は、真空室218を、ドレッシング、例えばドレッシング102に流体的に結合し得る。排気ポート210は、周囲圧力室220を周囲環境に流体的に結合し得る。排気ポート210は、好ましくは、動作ストローク中にピストン204が排気ポート210の方へ移動するとき、周囲圧力室220から気体を吐き出すことができるように構成される。
【0044】
図2A〜2Dに示すように、ピストン204は、ピストン室202内で往復運動できる実質的に剛性のバリアとし得る。ピストン204は、例えば、ピストン室202内に配置されたシリンダーまたはディスクとし得る。しかしながら、他の実施形態は、代替的なタイプのバリア、例えば、ピストン室202内で曲がる可撓性のバリアを含み得る。
【0045】
図2A〜2Dの例示的な実施形態では、ピストン204は、導管、通路、またはポート、例えばピストン204を通して真空室218と周囲圧力室220を流体的に結合する通路222を除いて、実質的に中実である。それゆえ、この説明に役立つ実施形態では、周囲圧力室220は、通路222が通る部分を除いて、真空室218から流体的に隔離される。ピストン204にはバルブ224が動作可能に結合されて、通路222を通る真空室218と周囲圧力室220との間の流体の流れを制御し得る。例えば、バルブ224は、ピストン204内にある逆止弁または他の一方向弁とし、流体が真空室218から周囲圧力室220へ流れることができるようにするが、周囲圧力室220から真空室218への流れは遮断する。他の実施形態では、通路222は、ピストン204と側壁212との間の間隙としてもよく、およびバルブ224は、流体が間隙を通って真空室218から周囲圧力室220へ流れることができるように構成された、ピストン204の周りに配置された可撓性シールとしてもよく、その場合、シール221を省略してもよい。
【0046】
ポンプ200はまた、真空室218内に配置された容器226を含み得る。容器226は、容器112の例示的な実施形態であり、図2A〜2Dの説明に役立つ実施形態では、膨張および収縮するように適合された可撓性の液不透過性パウチである。一部の実施形態では、容器226は、ベローズまたはアコーディオン型の容器とし得る。概して、容器226はまた、ポートまたはアパーチャ、例えばアパーチャ227を含んでもよく、このアパーチャは、吸気ポート208に流体的に結合され得る。容器226の内部とバルブ224との間には、少なくとも1つの液体バリアが、容器226の第2のアパーチャ内にまたはそれに近接するなどして、配置され得る。図2A〜2Dに示すように、液体バリアは、アパーチャ227に対向しかつピストン204に対面して容器226のアパーチャに配置されたフィルター228とし得る。
【0047】
フィルター228は、好ましくは気体透過性の液体遮断フィルターである。さらにより特定の実施形態では、フィルター228は、水と接触すると膨潤する焼結ポリマーフィルターとし得る。好適なポリマーは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、またはフッ素化エチレンプロピレン(FEP:fluorinated ethylenepropylene)などのフルオロポリマー;ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などのクロロフルオロポリマー(chlorofluoropolymers);高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、またはポリメチルペント−1−エン(PMP:polymethylpent−1−ene)などのポリオレフィン;ポリ酢酸ビニル(PVAc)またはエチレン酢酸ビニル(EVA);ポリカーボネート(PC);ポリエチレンテレフタレート(PET)またはPETコポリマー(PETG)などのポリエステル;あるいはポリスルホンまたはポリエーテルスルホンを含む。ポリマーはまた、臭気を減らすために木炭を含有し得る。さらに、一部の実施形態では、フィルター228は、疎水性を高めるために被覆され得る。ポリマーは、膜に形成され得るか、または焼結され得る(特にPVAc、EVA、ポリオレフィン、およびフルオロポリマーに関して)。
【0048】
より特定の実施形態では、バルブ230が吸気ポート208に結合されて、吸気ポート208を通る流体の流れを制御し得る。例えば、バルブ230は、逆止弁または他の一方向弁とし、流体が吸気ポート208を通って容器226に流入できるようにするが、容器226内の流体が吸気ポート208から流出するのを阻止し得る。
【0049】
動作中、ポンプ200は、ピストン204を吸気ポート208の方へ移動させるために、チャージ力を加えることによってチャージされ、それにより、弾性要素206を伸長させ、かつそこに機械的エネルギーを蓄え得る。オペレータが、例えば、ピストン204に結合されたハンドル(図示せず)に手で圧力を加えることによって、またはレバーベースのラチェット機構(図示せず)をクランク操作することによって、チャージ力を供給し得る。チャージストローク中、チャージ力は、ピストン204を吸気ポート208の方へ移動させ、真空室218の体積を減少させる。バルブ230は、吸気ポート208からの流体の流出を阻止するように構成され得るため、真空室218の体積の減少はまた、真空室218の圧力を上昇させ得る。真空室218の圧力の上昇により、バルブ224を開放して、チャージストローク中に、流体が、真空室218から周囲圧力室220へ流れることができるようにする。
【0050】
図2Aは、例えば、ピストン204がチャージストロークの限界値にまたはその近くにあるポンプ200の状態を示す。チャージストロークの限界値は、いくつかの基準によって、例えば、ピストン室202内の戻り止め、弾性要素206の力にオペレータが打ち勝つことができること、容器226の非圧縮性、または容器226内の流体の非圧縮性によって、決定され得る。
【0051】
チャージ力が取り除かれる場合、ピストン204は、入口ポート208から離れるように移動し、真空室218の体積を増加させ得る。本明細書では、入口ポート208から離れるようなピストン204の運動は、「動作ストローク」と称し得る。図2Bは、例えばピストン204が、動作ストロークの限界値にまたはその付近にあり得るポンプ200の状態を示す。バルブ224は、動作ストローク中に、通路222を通る流体の流れを遮断するように構成され得る。それゆえ、動作ストローク中、真空室218は、閉鎖システムの一部となり、そこでは、真空室218内の気体は、一般的にボイルの法則(Boyle’s law)に従って振る舞い得る。大まかに言えば、ボイルの法則は、閉鎖システム内の温度が変化しない場合、所与の質量の閉じ込められた気体の絶対圧および体積は、反比例することを述べている。それゆえ、予期した動作条件では、動作ストローク中、真空室218の体積が増加するにつれ、真空室218内の圧力は低下する。フィルター228は、好ましくは気体透過性であるため、真空室218と容器226の圧力は、フィルター228を通して均一になり、容器226内に減圧を生じ得る。
【0052】
動作ストローク中の真空室218の拡張に起因する真空室218の圧力低下は、ピストン204の前後にわたって差圧を生じる。さらなる説明を単純にするために、ピストン204の反対側での差圧から生じるピストン204に加わる力は、「差分力」と称し得る。弾性要素206も、一般的にピストン204に弾性力を加える。予期した動作範囲では、弾性要素206の力は、弾性要素206のバネ定数に、および弾性要素206の端部の平衡状態からの変位に、比例する。それゆえ、真空室218内の圧力が周囲圧力室220内の圧力を下回る場合、ピストン204に加わる差分力によって弾性要素206を伸長させる傾向があり、それゆえ、弾性要素206の力は、差分力に対抗する。差分力と弾性要素206の力を組み合わせて、ピストン204に作用する正味の力を決定できる。正味の力は、ピストン204を、側壁212に平行な軸に沿ってなど、ピストン室202内で往復運動式に動かし得る。
【0053】
弾性要素206は、圧力が閾値超に上昇する場合、正味の力によってピストン204を移動させて真空室218の体積を増加させ得るように、選択、調節、修正、調整、または他の方法で較正され得る。多くの適用例では、この閾値は、陰圧療法に定められた標的圧力にほぼ相関し、かつ本明細書では、「治療圧」または「治療的圧力」と称し得る。組織部位に適用される圧力の量および性質は、治療条件に従って変化し得るが、治療圧は、一般に−5mm Hg(−667Pa)〜−500mm Hg(−66.7kPa)の範囲である。一般的な治療範囲は、−75mm Hg(−9.9kPa)〜−300mm Hg(−39.9kPa)である。
【0054】
組織部位に陰圧療法を行うために、真空室218および容器226は、遠くにある室、環境、または他の箇所、例えば、陰圧療法システム100に関連付けられた密閉された治療環境に流体的に結合され得る。例えば、チューブ(図示せず)の第1の端部が入口ポート208に、および第2の端部がドレッシング、例えばドレッシング102に結合され得る。動作ストローク中、真空室218内の減圧によって、組織部位から流体がドレッシングを通ってポンプ200に引き入れられるようにすることができる。図2Cは、例えば、真空室218内の容器226に滲出液232が引き入れられたポンプ200の状態を示す。漏出部から空気、ならびに他の流体も容器226に引き入れられる可能性があり、および容器226は、滲出液、空気、および他の流体が容器226に流入するにつれて、膨張するように適合されている。
【0055】
周囲環境からの空気がシステム内に漏れる場合、真空室218内の圧力は一般的に上昇する。真空室218内の圧力が上昇することによって、ピストン203に加わる差分力が低下し、および正味の力が変化することによって、ピストン204を、ポート208から離れるように移動させ、真空室218の体積を増加させ得る。真空室218の体積の増加によって、真空室218の圧力を低下させて、周囲環境から真空室218内への空気の漏れに起因する圧力上昇を補償する。それゆえ、治療的圧力は、ピストン204が動作ストロークの限界値に達するまで、実質的に安定したレベルに維持され得る。動作ストロークの限界値は、いくつかの基準によって決定され得る。例えば、ピストン室202内の戻り止めが、ポート208から離れるようなピストン204の運動を制限してもよいし、または弾性要素206が平衡状態に戻ってもよい。
【0056】
ポンプ200は、治療的圧力を維持または拡大するために、動作ストローク中はいつでも再チャージされ得る。例えば、ポンプ200は、動作ストロークの最後に再チャージされて、治療的圧力を維持し得る。ポンプ200を再度チャージするために、チャージ力がピストン204に再度適用され得、それによりピストン204を吸気ポート208の方へ移動させ、かつ弾性要素206を再度伸長させる。バルブ224は、ピストン204が吸気ポート208の方へ移動するときに、空気および他の気体を周囲圧力室220に排気できるように構成され得る一方、バルブ230は、流体が、吸気ポート208を通って組織部位へ逆流しないように構成できる。さらに、ピストン204が容器226を圧縮する場合、空気および他の気体は、フィルター228を通して吐き出され得るが、液体はフィルター228によって遮断され、かつ容器226内に保持される。それゆえ、ピストン204は、図4Dに示すように実質的に全ての気体が容器226から吐き出されるまで、吸気ポート208の方へ移動し続けかつ容器226を圧縮し続けてもよく、および気体は、チャージストローク中に、液体から効果的に分離される。
【0057】
図3A〜3Bは、2つの動作状態におけるポンプ300の概略図であり、陰圧源104の他の例示的な実施形態に関連付けられ得る追加的な詳細を示す。この例示的な実施形態では、ポンプ300は、ピストン室302、ピストン304、弾性要素306、吸気ポート308、および排気ポート310を含み得る。ピストン室302は、多くの点でピストン室202と同様である。例えば、ピストン室302は、実質的に閉鎖空間であり、全体的に、側壁312、ベース314、およびヘッド316を有するシリンダーによって規定されてもよく、ベース314およびヘッド316は、一般的に、側壁312の対向端部に結合されている。この例示的な実施形態では、ピストン室302は、吸気ポート308および排気ポート310を通る部分を除いて、一般的に、周囲環境から隔離されている。
【0058】
弾性要素306も、大部分の点で弾性要素206と類似している。それゆえ、弾性要素306は、バネ、または機械的エネルギーを蓄える他の手段を表す。一部の実施形態では、例えば、弾性要素306は、引張バネ、圧縮バネ、トーションバネ、定バネ、または可変バネとし得る。弾性要素306は、ピストン304に動作可能に係合されて、ピストン304を吸気ポート308から離れるように付勢し得る。
【0059】
ピストン304は、一般的に、ピストン室302内に配置され、かつピストン室302内で往復運動式に動くように構成される。ピストン304は、ピストン室302を第1の室および第2の室、例えば真空室318および周囲圧力室320に分割する。ピストン304と側壁312との間の、ピストン304の側壁にある溝などにシール321が配置されて、側壁312に沿った真空室318と周囲圧力室320との間の流体の流れを防止し得る。吸気ポート308は、真空室318をドレッシング、例えばドレッシング102に流体的に結合し得る。排気ポート310は、周囲圧力室320を周囲環境に流体的に結合し得る。
【0060】
図3A〜3Bに示すように、ピストン304は、ピストン室302内で往復運動できる実質的に剛性のバリアとし得る。ピストン304は、例えば、ピストン室302内に配置されたシリンダーまたはディスクとし得る。他の実施形態は、代替的なタイプのバリア、例えばピストン室302内で曲がる、例えば可撓性のバリアを含み得る。
【0061】
図3A〜3Bの例示的な実施形態では、ピストン304は、導管、通路、またはポート、例えば真空室318と周囲圧力室320を流体的に結合する通路322を除いて、実質的に中実である。それゆえ、この説明に役立つ実施形態では、周囲圧力室320は、通路322を通る部分を除いて、真空室318から流体的に隔離され得る。ピストン304にはバルブ324が動作可能に結合されて、通路322を通じた真空室318と周囲圧力室320との間の流体の流れを制御し得る。例えば、バルブ324は、ピストン304または通路322に結合された逆止弁または他の一方向弁とし、流体が真空室318から周囲圧力室320へ流れることができるようにするが、周囲圧力室320から真空室318への流れは遮断し得る。他の説明に役立つ実施形態では、通路322は、ピストン304と側壁312との間の間隙としてもよく、およびバルブ324は、流体が真空室318から周囲圧力室320へ間隙を通って流れることができるように構成された、ピストン304の周りに配置された可撓性シールとし得る。
【0062】
周囲圧力室320と周囲環境との間に少なくとも1つの液体バリアが配置され得る。例えば、図3A〜3Bに示すように、液体バリアは、周囲圧力室320と周囲環境との間で、排気ポート310内に、排気ポートに近接して、配置されたか、または排気ポートに他の方法で流体的に結合されたフィルター328とし得る。排気ポート310は、好ましくは、動作ストローク中にピストン304が排気ポート310の方へ移動するときに、周囲圧力室320から気体を吐き出すことができるように構成され、およびフィルター328は、滲出液および他の液体を濾過するように構成され得る。
【0063】
フィルター328は、大部分の点でフィルター228と類似しているかまたは同様である。例えば、フィルター328は、好ましくは気体透過性の液体遮断フィルターである。さらにより特定の実施形態では、フィルター328は、水と接触すると膨潤する焼結ポリマーフィルターとし得る。好適なポリマーは、例えば、PTFE、PVdF、またはFEPなどのフルオロポリマー;PCTFEなどのクロロフルオロポリマー;HDPE、PP、COC、またはPMPなどのポリオレフィン;PVAcまたはEVA;PC;PETまたはPETGなどのポリエステル;あるいはポリスルホンまたはポリエーテルスルホンを含む。ポリマーはまた、木炭を含んで、臭気を低減させ得る。さらに、一部の実施形態では、フィルター328は被覆されて疎水性を高めてもよい。ポリマーは、膜に形成され得るか、または焼結され得る(特に、PVAc、EVA、ポリオレフィン、およびフルオロポリマーに関して)。
【0064】
より特定の実施形態では、吸気ポート308にはバルブ330が結合されて、吸気ポート308を通る流体の流れを制御し得る。例えば、バルブ330は、逆止弁または他の一方向弁とし、特にチャージストローク中に、流体が吸気ポート308を通って真空室318へ流入できるようにするが、真空室318内の流体が吸気ポート308を通って吐き出されるのを阻止し得る。
【0065】
動作中、ポンプ300は、チャージ力を加えることによってチャージされ、ピストン304を吸気ポート308の方へ移動させ、それにより、弾性要素306を伸長させ得る。例えば、オペレータが、ピストン304に結合されたハンドル(図示せず)に手で圧力を加えることによって、またはレバーベースのラチェット機構(図示せず)をクランク操作することによって、チャージ力を供給し得る。チャージストロークは、真空室318の体積を減少させる。バルブ330は、チャージストローク中の吸気ポート308を通した流体の流出を阻止するように構成され得るため、真空室318の体積の減少はまた、真空室318の圧力を上昇させる。真空室318の圧力上昇によって、バルブ324を開いて、チャージストローク中に流体が真空室318から周囲圧力室320へ流れることができるようにする。
【0066】
図3Aは、動作ストローク中のポンプ300の状態を示し、ここでは、ピストン304は、ピストン室302内で吸気ポート308から離れるように移動している。図3Aに示すように、動作ストロークは、滲出液332を真空室318に引き入れ得る。漏出部から空気、ならびに他の流体も、動作ストローク中に真空室318に引き入れられ得る。しかしながら、バルブ324は、動作ストローク中は一般的に閉鎖しており、滲出液332および他の流体の周囲圧力室320への流入を阻止する。
【0067】
周囲環境からの空気が真空室318内に漏れる場合、真空室318の圧力は一般的に上昇する。ポンプ200のピストン204と同様に、差分力および弾性力がピストン304に作用する。真空室318の圧力上昇によって、差分力が小さくなるため、弾性要素306は、ピストン304を吸気ポート308から離れるように移動させ、真空室318の体積を増加させ得る。真空室318の体積の増加により、差分力と弾性力との間が平衡状態に達するまで真空室318内の圧力が低下する。それゆえ、ピストン304が動作ストロークの限界値に達するまで、治療的圧力が実質的に安定したレベルに維持され得る。
【0068】
ポンプ300は、治療的圧力を維持または拡大させるために、動作ストローク中はいつでも再チャージされ得る。例えば、ポンプ300は、動作ストロークの最後に再チャージされて、治療的圧力を維持し得る。図3Bに示すように、ポンプ300は、再度チャージ力をピストン304に加え、それにより、ピストン304を吸気ポート308の方へ移動させかつ弾性要素306を再度伸長させることによって、再チャージされ得る。バルブ330は、チャージストローク中に、真空室318内の流体が吸気ポート308を通って吐き出されないようにするように構成できる。同様に図3Bに示すように、バルブ324は、チャージストローク中に、滲出液、空気、および他の流体が通路322を通って吐き出され、流体を真空室318から周囲圧力室320へ移すことができるように構成できる。バルブ324はまた、動作ストローク中に、周囲圧力室320内の流体が通路322を通って真空室320まで吐き出されることを阻止するように構成され得る(図3A参照)。それゆえ、動作ストローク中、ピストン304は、周囲圧力室320内の流体を排気ポート310の方へ押す。ピストン304が排気ポート310の方へ移動するにつれ、空気および他の気体は、排気ポート310を通って吐き出され得るが、フィルター328は、滲出液および他の液体を周囲圧力室320に保持する。それゆえ、気体は液体から効果的に分離され、およびピストン304は、全てまたは実質的に全ての気体が周囲圧力室320から周囲環境に吐き出されるまで、または他の方法で動作ストロークの限界値に達するまで、排気ポート310の方へ移動し続け得る。
【0069】
図4は、陰圧源104のさらに別の例示的な実施形態に関連付けられ得る追加的な詳細を示す、ポンプ400の概略図である。この例示的な実施形態では、ポンプ400は、ピストン室402、ピストン404、弾性要素406、吸気ポート408、排気ポート410、および廃棄ポート411を含み得る。ピストン室402は、ピストン室202およびピストン室302と多くの点で同様である。例えば、ピストン室402は、全体的に、側壁412、ベース414、およびヘッド416を有するシリンダーによって規定される、実質的に閉鎖空間としてもよく、ベース414およびヘッド416は、一般的に、側壁412の対向端部に結合されている。この例示的な実施形態では、ピストン室402は、吸気ポート408、排気ポート410、および廃棄ポート411を通る部分を除いて、全体的に周囲環境から隔離されている。図4に示すように、吸気ポート408および廃棄ポート411は、好ましくは、ベース414内に配置されるかまたはそれに流体的に結合され、および排気ポート410は、好ましくは、ヘッド416内に配置されるかまたはそれに流体的に結合される。
【0070】
弾性要素406はまた、大部分の点で弾性要素206および弾性要素306と類似している。それゆえ、弾性要素406は、バネ、または機械的エネルギーを蓄える他の手段を表す。一部の実施形態では、例えば、弾性要素406は、引張バネ、圧縮バネ、トーションバネ、定バネ、または可変バネとし得る。弾性要素406はピストン404に動作可能に係合されて、ピストン404を吸気ポート408から離れるように付勢し得る。
【0071】
ピストン404は、一般的に、ピストン室402内に配置され、かつピストン室402内で往復運動式に移動するように構成される。ピストン404はピストン室402を、2つの室、例えば真空室418および周囲圧力室420に分割する。ピストン404と側壁412との間には、ピストン404の側壁にある溝などに、シール421も配置されて、側壁412に沿った真空室418と周囲圧力室420との間の流体の流れを防止し得る。吸気ポート408は、真空室418をドレッシング、例えばドレッシング102に流体的に結合し得る。排気ポート410は、周囲圧力室420を周囲環境に流体的に結合し得る。廃棄ポート411は、真空室418を、例えば外部容器、例えば、遠くにあるキャニスターまたは袋に、または配管されたドレーンに、流体的に結合し得る。
【0072】
ピストン404は、ピストン室402内で往復運動できる実質的に剛性のバリアとし得る。ピストン404は、例えば、ピストン室402内に配置されたシリンダーまたはディスクとし得る。他の実施形態は、代替的なタイプのバリア、例えば、ピストン室402内で曲がる、例えば可撓性のバリアを含み得る。
【0073】
図4の例示的な実施形態では、ピストン404は実質的に中実である。それゆえ、この説明に役立つ実施形態では、周囲圧力室420は真空室418から流体的に隔離され得る。
【0074】
より特定の実施形態では、吸気ポート408にはバルブ430が結合されて、吸気ポート408を通る流体の流れを制御し、および廃棄ポート411にはバルブ432が結合されて、廃棄ポート411を通る流体の流れを制御し得る。例えば、バルブ430またはバルブ432の何れか、または双方とも、逆止弁または他の一方向弁とし得る。バルブ430は、特にチャージストローク中、流体が吸気ポート408を通って真空室418まで流れることができるようにするが、真空室418内の流体が吸気ポート408を通って吐き出されることを阻止するように構成され得る。バルブ432は一方向弁とし、流体が真空室418から廃棄ポート411を通って流れることができるが、流体が廃棄ポート411を通って真空室418に流入することを阻止するように構成され得る。
【0075】
動作中、ポンプ400は、ポンプ200またはポンプ300と同様にチャージされ得る。例えば、ポンプ400は、ピストン404を吸気ポート408の方へ移動させるようにチャージ力を加え、それによって弾性要素406を伸長させることによって、チャージされ得る。チャージストロークは、真空室418の体積を減少させる。バルブ430は、チャージストローク中に流体が吸気ポート408を通って吐き出されることを阻止するように構成され得るため、真空室418内に入っている流体は全て、チャージストローク中に、廃棄ポート411およびバルブ432を通って吐き出され得る。
【0076】
周囲環境からの空気が真空室418内に漏れる場合、真空室418の圧力は一般的に上昇する。ピストン204およびピストン304と同様に、差分力および弾性力がピストン404に作用する。真空室418の圧力上昇は、差分力を低下させ、およびそれによって生じる正味の力の変化によって、ピストン404を吸気ポート408から離れるように移動させ、真空室418の体積を増加させる。真空室418の体積の増加は、差分力と弾性力との間が平衡に達するまで、真空室418の圧力を低下させる。それゆえ、ピストン404が動作ストロークの限界値に達するまで、治療的圧力が実質的に安定したレベルに維持され得る。
【0077】
ポンプ400はまた、治療的圧力を維持または拡大するために、動作ストローク中、いつでも再チャージされ得る。例えば、ポンプ400は、動作ストロークの最後に再チャージされて、治療的圧力を維持し得る。ポンプ400は、チャージ力をピストン404に再度加え、それによりピストン404を吸気ポート408の方へ移動させ、かつ弾性要素406を再度伸長させることによって、再チャージされ得る。バルブ430は、チャージストローク中に、真空室418内の流体が吸気ポート408を通って吐き出されないようにするように構成できる。バルブ432は、チャージストローク中に、滲出液、空気、および他の流体が、廃棄ポート411を通って吐き出されることができるように構成できる。それゆえ、チャージストローク中、ピストン404は、真空室418内の流体を、廃棄ポート411を通して吐き出し、それにより、例えば、外部容器に、直接、または配管されたドレーンを通して、流体的に結合され得る。外部容器は、好ましくは、2回以上のチャージストロークからの流体を貯蔵する容量を有する。
【0078】
本明細書で説明したシステムおよび方法は、大きな利点をもたらし得、そのうちのいくつかを既に説明した。例えば、陰圧療法システム100は、創傷液を管理して、手動によって作動される陰圧源を再チャージできる。一部の実施形態では、滲出液は、空気から分離され、および流体貯蔵部は陰圧源と一体化されて、構成要素数を削減し得る。他の実施形態では、滲出液および他の流体は、外部容器に吐き出され得る。陰圧療法システム100は、陰圧源との接続を切らずに再チャージされてもよく、かつまた、一般的に、治療中の漏れに対して寛容である。陰圧療法システム100は、外部流体貯蔵部がなくても、治療を施すのに特に有利であり得るが、陰圧療法システム100の一部の実施形態はまた、吸収層または外部キャニスターを備えるドレッシングなど、外部流体貯蔵部と組み合わせられ得るかまたはそれを含み得る。
【0079】
上記から、著しい利点を有する新規のかつ有用な装置、システム、および方法を説明したことが明らかである。ほんのいくつかの形態のみを示したが、図示の装置、システム、および方法は、相互排他的ではない。それゆえ、一実施形態の特徴を、他の実施形態の特徴と組み合わせてもよい。さらに、添付の特許請求の範囲から逸脱せずに、説明に役立つ実施形態に対する様々な変更形態および修正形態が可能である。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4