(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
燃料電池パワープラントなどの分散型発電機は、配電網相互接続規定に従うことが要求される。相互接続規定は、分散型発電機が配電網電圧の著しい持続的低下にいかに対処すべきかを規定している。既存の相互接続規定(例えばIEEE−1547、UL−1741)は、分散型発電機が、障害状態時に配電網から迅速に切断し、電気システムが安定するまで切断状態を維持することを要求している。分散型発電量の増大により、システムの安定化を容易にするために、配電網障害状態時に分散型発電機を接続したままにしておくことが望ましいと判断されている。例えば、カリフォルニア州は、障害事象時に、分散型発電機が配電網に接続された状態を維持し、最大30秒間まで低電圧で電流を供給し続けることを要求する、新たな配電網相互接続規定要件を提案している。このような低電圧は、分散型発電機の通常出力電圧の約50ないし88%とされ得る。障害事象時に低電圧を供給するこの処理を、低電圧ライドスルー(Low Voltage Ride Through:LVRT)と呼ぶ。
【0009】
風力タービンおよびソーラーパネル用にLVRT状況に対処するインバータが開発されており、将来は燃料電池インバータ用に適応化される可能性がある。しかし、燃料電池パワープラントは、燃料電池システムによる発電を支援するために継続的な電力を必要とする送風機、ポンプ、ヒータ、およびその他のバランスオブプラント補助構成要素など、かなりの寄生負荷を有する。燃料電池インバータの電圧出力は、LVRT状態時にはこれらの寄生負荷を支援するには低過ぎることが多い。したがって、寄生負荷を低電圧で支援することができないため、燃料電池インバータまたはLVRT対応インバータを使用してパワープラント動作を支援することができない。この問題に対処するために、従来のシステムは、LVRT過渡時に寄生負荷に電力を供給するために大型のバッテリ供給無停電電源(UPS)装置またはフライホイール発電機を採用することが考えられる。しかし、このような解決策は、費用および必要スペースを増大させると同時に、パワープラントの電気効率を低下させ、望ましくない保守要件を生じさせる。
【0010】
本明細書に記載の実施形態は、少なくともクリティカルなバランスオブプラント補助構成要素が、スペースの犠牲や大幅な費用追加なしに配電網擾乱時に十分な電力を受け取ることができるようにする。
図1は、例示の一実施形態による、低電圧ライドスルー状態時にバランスオブプラントアセンブリ110に電力を供給するようになされた燃料電池システム100を示す図である。燃料電池システム100は、燃料電池アセンブリ102と、燃料電池インバータ104および106と、燃料電池出力変圧器108と、バランスオブプラントシステム110と、プラントコントローラ130とを含む。燃料電池システム100は、燃料電池システム100を配電網112に対して接続/切断するスイッチの役割を果たすタイブレーカ114を介して配電網112に接続されている。他の実施形態では、燃料電池システム100は、より少ない構成要素、追加の構成要素および/または異なる構成要素を含んでよい。
【0011】
燃料電池アセンブリ102は、2列の燃料電池列からなり、それぞれの列が2つの燃料電池スタックを含む。他の実施形態では、これより少ないかまたは追加の燃料電池列を使用してもよい。同様に、他の実施形態では、各燃料電池列がより少ないかまたは追加の燃料電池スタックを有してもよい。例示の一実施形態では、燃料電池アセンブリ102の燃料電池は、溶融炭酸塩燃料電池である。他の実施形態では、他の種類の燃料電池を使用してもよい。別の例示の一実施形態では、燃料電池アセンブリ102は、全出力での動作時に1400キロワット(kW)の有効出力を発生し、補助構成要素のために約50kWの寄生負荷を有する。しかし、これらは例示の値に過ぎず、本明細書に記載の実施形態は、より小規模または大規模な燃料電池アセンブリおよび/または寄生負荷にも適用可能である。
【0012】
燃料電池アセンブリ102の列は、バス線116を介して燃料電池インバータ104および106に接続される。燃料電池アセンブリ102によって発生されたDC電流を受け取ると、燃料電池インバータ104および106はそのDC電流をAC電流に変換し、このAC電流が燃料電池出力変圧器108に供給される。燃料電池出力変圧器108は、燃料電池インバータ104および106から受け取ったAC電流を、配電網112に対応する所望の値に逓減する。他の実施形態では、燃料電池出力変圧器108は、燃料電池インバータ104および106から受け取った信号を昇圧してもよい。例示の一実施形態では、通常の全出力動作時に、バス線116の電圧が610ボルト(V)DCであり、燃料電池変圧器108からの出力は480VACである。他の実施形態では、バス線116および/または燃料電池出力変圧器108の出力における電圧は異なっていてもよい。
【0013】
バス線118が、燃料電池出力変圧器108の出力をバランスオブプラントシステム110に接続する。また、タイブレーカ114が閉位置にある場合に、バス線118はバランスオブプラントシステム110を配電網112に接続する。バス線118は、バランスオブプラントシステム110を燃料電池出力変圧器108の出力および配電網112から切断することができるように、タイブレーカ120も含む。バス線118は、バランスオブプラントシステム110の補助構成要素に電力供給するために使用される。例えば、プロセスヒータに電力供給するためにバス線118からの第1の分岐122が使用され、水処理ユニットに電力供給するためにバス線118からの第2の分岐124が使用され、HVACシステムに電力供給するためにバス線118からの第3の分岐126が使用される。プロセスヒータは、燃料電池スタックに供給される燃料および/または酸化剤ガスを予熱するために使用することができる。水処理ユニットは、燃料の加湿および/または燃料電池アセンブリ102から回収された水を洗浄するための水を蒸発させるために使用することができる。HVACは、燃料電池システム100を換気し、熱制御を行うために使用することができる。
【0014】
バス線118からの第4の分岐128が、送水ポンプ138の可変周波数ドライブ(VFD)136に送られ、バス線118からの第5の分岐129が送風機142のVFD140に送られる。VFDは、実装形態に応じて商用オフザシェルフ構成要素または特注構成要素とすることができ、これについては以下で詳述する。第1の分岐122、第2の分岐124、第3の分岐126、第4の分岐128および第5の分岐129はそれぞれ、分岐をバス線118から選択的に切断することができるように、タイブレーカを含む。他の実施形態では、バス線118からの分岐の数は、電力供給される必要があるバランスオブプラント補助構成要素の数に応じてより少なくてもよく、または追加の分岐が含まれてもよい。
【0015】
バス線118には変圧器132も接続される。変圧器132は、必要電圧がより低い補助構成要素に電力供給することができるように、バス線118の電圧を逓減するために使用される。例示の一実施形態では、バス線118の電圧は480VACであり、変圧器132はこの電圧を120VACに変圧する。あるいは、変圧器132は、208Vなどの異なる電圧を発生することができる。120VのAC信号は、バランスオブプラントシステム110の1つまたは複数の非クリティカル補助構成要素に供給される。非クリティカル補助構成要素は、燃料電池システム100の動作にとってクリティカルではない任意の構成要素を含み得る。変圧器132の出力は、無停電電源(UPS)134にも供給され、UPS134は燃料電池システム100の計器類およびコントロール類に接続される。UPS134は、一実施形態では3キロボルトアンペア(kVA)120VAC電源とすることができる。あるいは、計器類およびコントロール類の負荷要件に応じてより小規模または大規模なUPSを使用してもよい。
図1に示すように、非クリティカル構成要素のそれぞれと計器およびコントロール構成要素のそれぞれとに、適切なタイブレーカまたはバスカップラを使用してもよい。
【0016】
例示の一実施形態では、変圧器132からの出力がUPS134を充電し、次にUPS134が計器類およびコントロール類に電力を供給する。その結果、計器類およびコントロール類はバス線118の電圧が低下またはなくなっても一定期間電力を受け取ることができる。計器類およびコントロール類は、燃料電池システム100の異なる構成要素の動作状態および温度を検出するためのセンサを含み得る。計器類およびコントロール類は、センサから受信したデータを格納および/または処理するために使用可能なプロセッサ、メモリ、ユーザインターフェースなどのコンピュータハードウェアも含み得る。計器類およびコントロール類は、燃料電池アセンブリ102、バランスオブプラント補助構成要素などの動作および機能を制御するためのプログラミング(コンピュータ可読命令の形態でメモリに格納されてもよい)も含み得る。計器類およびコントロール類は、タイブレーカ114および
図1の他のタイブレーカのいずれかの開閉も制御することができる。計器類およびコントロール類は、システムの温度、流量、モードなどを監視し、制御するようになされたプラントコントローラ130も含み得る。
【0017】
例示の一実施形態では、送水ポンプ138のVFD136と送風機142のVFD140とはそれぞれ、送水ポンプ138および送風機142にそれぞれ電力供給するために、バス線118からの第4の分岐128および第5の分岐129からの入力をAC信号からDC信号に変換するために使用される内部整流器を含み得る。送水ポンプ138は、燃料電池に水蒸気改質反応を与えるために、燃料電池システム100に水を供給するために使用することができる。送風機142は、燃料電池スタックに空気または酸化剤ガスを供給するためと、燃料電池システム100の冷却を助けるために使用することができる。送風機142のVFD140は、パワープラントの状態に基づいて、送風機速度を変化させるためと、異なる空気流量を可能にするために使用される。一実施形態では、送風機142に電力供給するために商用オフザシェルフ(Commercial−Off−The−Shelf(COTS))VFDを使用してもよい。しかし、他の実施形態では、VFDは送風機142の特定の構成または燃料電池システム100の特定の構成用にカスタマイズされてもよい。送水ポンプ138のVFD136は、送水ポンプ138の速度および/または圧力を変化させるために使用することができ、COTS構成要素とすることもできる。商用VFD技術は、480VACの60ヘルツ(Hz)入力電力を、700VDCで動作させるDCリンク用に整流する。このDC電力は次に逆変換され、可変周波数480V三相電力をモータに出力する。市販のVFDデバイスは、VFD DCリンクに対する直接DC電力が供給される装備も有する。
【0018】
送水ポンプ138および送風機142は480Vの三相負荷とすることができるが、本明細書に記載の実施形態では他の大きさの負荷を扱うことも可能である。一実施形態では、送水ポンプ138は、2馬力モータを含むことができ、送風機142は150馬力モータを含むことができる。あるいは、異なる規模の送水ポンプおよび/または送風機を使用することもできる。多くのシステムでは、送風機142を動作させるのに必要な電力は、バランスオブプラント補助構成要素が必要とする総電力の約80%を占める。さらに、送風機142および送水ポンプ138は、多くのシステムでは、これらがなければ約30秒間の低電圧ライドスルー(LVRT)状態時であっても燃料電池システムが動作することができない重要な構成要素である。そのため、LVRT状態時に送風機142および送水ポンプ138が動作可能であることが重要である。
【0019】
通常動作時、送水ポンプ138と送風機142とは、バス線118から電力供給される。燃料電池システム100の初期始動時、送水ポンプ138および送風機142用の電力は配電網112を供給源とすることができる。燃料電池システムの全出力動作時、送水ポンプ138および送風機142用の電力は、燃料電池出力変圧器108の出力から供給されることができる(すなわち、燃料電池アセンブリ102を供給源とする)。しかし、配電網112に電圧低下があって、燃料電池アセンブリ100が低電圧で動作可能状態を維持する必要があるLVRT状態時に、燃料電池アセンブリの出力は、バランスオブプラント補助構成要素のすべてに電力供給するバス線118に電力を供給するには十分ではない。
【0020】
LVRT状態時に、送水ポンプ138および送風機142が動作可能状態を維持することができるようにするために、
図1の燃料電池システム100は、燃料電池アセンブリの出力を、送水ポンプ138と送風機142の両方に電力供給するバスにバス線116から直接結合するバス線144を含む。燃料電池アセンブリ102からのDC電圧の範囲がVFD136およびVFD140のDCリンクに対応しているため、燃料電池アセンブリ102は、通常のAC電圧が送風機142および送水ポンプ138に利用可能でない場合に送風機142および送水ポンプ138に電力を直接供給することができる。例示の一実施形態では、バス線144は公称650Vのバスを形成するが、他の実施形態では異なる値を使用してもよい。
図1の燃料電池システム100は、バス線144に結合されたオークショニアリング電力ダイオード146も含む。以下で詳述するように、オークショニアリング電力ダイオードは、システムが燃料電池システム100と配電網112との両方の動作状態に基づいて送水ポンプ138および送風機142の入力源を自動的に制御することができるようにする。具体的には、オークショニアリング電力ダイオードは、VFD136およびVFD140に電力供給するために、バス線144または(バス線118の)第4の分岐128および第5の分岐129のいずれかから最高DC電圧を選択する。また、オークショニアリングダイオードは、VFDの内部リンクからのDC電流がDCバス線144のDC電流よりも高い場合に、VFDの内部リンクからのDC電流を防ぐ。例示の一実施形態では、短絡保護のためにオークショニアリング電力ダイオード内またはオークショニアリング電力ダイオードに隣接してフューズを備える。別の例示の一実施形態では、バス線144は、プラント運転停止時またはプラント昇温時など、燃料電池アセンブリ102が電流を供給することができない場合に、燃料電池アセンブリ102を負荷(すなわちVFD136およびVFD140)から分離する手段を提供する、DC接触器も含む。例示の一実施形態では、DC接触器145はプラントコントローラ130によって制御される。したがって、バス線144は、バス線118のAC電力が不十分なときに、VFD136およびVFD140に代替電源を提供する。他の実施形態では、より少数の、追加の、および/または異なる補助バランスオブプラント構成要素に電力供給するためにバス線144を使用することができる。
【0021】
図2は、例示の一実施形態による燃料電池システムのための始動動作を示す流れ図である。他の実施形態では、より少数の、追加の、および/または異なる動作を行ってもよい。また、流れ図の使用は、実行される動作の順序に関して限定的であることを意図したものではない。動作200において、燃料電池システムの始動時に、通常のAC配電網電力がクリティカル補助バランスオブプラント構成要素に供給される。VFDはこのAC入力電力を約650VDCに変換するが、他の実施形態では他の値を使用してもよい。燃料電池システムは、
図1を参照しながら説明した燃料電池システム100とすることができる。クリティカル構成要素は、送水ポンプ138、送風機142および/または、燃料電池アセンブリ102の始動にとって重要または必要とみなされる他の任意の構成要素とすることができる。始動時に燃料電池アセンブリ102が動作温度に達しておらず、発電することができない場合、バス線118が配電網112と連通するようにタイブレーカ114を閉位置にすることができる。したがって、始動時に、クリティカル補助構成要素に供給される電力は配電網112を供給源とすることができる。他の実施形態では、始動時にバス線118に電力供給するために、配電網112の代わりに、バッテリ、UPS、発電設備などの別の電源を使用してもよい。
【0022】
動作205において、燃料電池アセンブリが動作温度に達したか否かが判断される。動作温度は、所定の値または使用されている燃料電池の種類および燃料電池プラントの仕様に固有の値の範囲とすることができる。一例に過ぎないが、この判断は、温度センサを備えるかまたは温度センサと通信することができる、
図1のプラントコントローラ130を使用して行うことができる。動作205において燃料電池アセンブリが動作温度に達していないと判断された場合、動作200でシステムは配電網を介してクリティカル構成要素に電力を供給し続ける。動作205において、燃料電池アセンブリが動作温度に達していると判断された場合、動作210において、燃料電池アセンブリの出力とクリティカル構成要素との間の直接接続部を使用可能にするDC接触器が閉じられる。DC接触器は、プラントコントローラ130によって閉じることができる。他の実施形態では、DC接触器の代わりに他の任意の種類の切り替え機構を使用してもよい。例示の一実施形態では、直接接続部は、燃料電池アセンブリ102の出力を送水ポンプ138のVFD136の入力と送風機142のVFD140の入力とに接続する
図1のバス線144が相当する。
【0023】
動作215において、直接接続部から利用可能な電圧がVFDの内部整流器の電圧より大きいか否かが判断される。例示の一実施形態では、始動時に燃料電池アセンブリが最初に所望の動作温度に達するとき、燃料電池アセンブリはまだ配電網に電力を供給しておらず、したがって無負荷状態である。所望の始動温度に達したときに無負荷状態である結果として、燃料電池アセンブリから出力される電圧(すなわち、バス線116の電圧、したがって
図1のバス線144の電圧)は約800VDCとなり、これは燃料電池アセンブリが負荷状態であるときのそれらのバス線の電圧よりも高い。したがって、直接接続部の(すなわちバス線144の)約800VDCの信号は、公称480VAC入力AC電力で約650VDCであるVFDの内部整流器の出力よりも大きい。このような状況において、動作215の判断は肯定となり、動作225で直接接続部を介してクリティカル構成要素に電力が供給される。
【0024】
燃料電池アセンブリが動作温度に達し、発電のために燃料電池インバータがDC電流を引き出し始めると、燃料電池スタック対の電圧が負荷に比例して低下し、それによって通常の全出力動作においてバス線116およびバス線114の電圧が約610VDCとなる。したがって、直接接続部の約610VDCの信号は、VFDの内部整流器の約650VDCの出力よりも小さくなる。このような状況において、動作215の判断は否定となり、動作220においてAC配電網から(または燃料電池インバータの出力から)VFDへの入力電力を介してクリティカル構成要素に電力が供給される。
【0025】
例示の一実施形態では、動作215の判断は
図1のオークショニアリング電力ダイオード146などのオークショニアリング電力ダイオードによって自動的に行うことができる。別の例示の一実施形態では、この判断はプラントコントローラ130または、電圧を監視する別のコンピューティングシステムおよび/または当業者に知られている他の任意の電圧比較方法によって行ってもよい。
【0026】
図3は、例示の一実施形態による、低電圧ライドスルー状態となっている燃料電池システムのための配電動作を示す流れ図である。他の実施形態では、より小数の、追加の、および/または異なる動作が行われてもよい。また、流れ図の使用は実行される動作の順序に関して限定的であることを意図したものではない。動作300において、燃料電池システムの通常の全出力動作時に燃料電池インバータのAC出力を介してクリティカル補助バランスオブプラント構成要素に電力が供給される。例示の一実施形態では、燃料電池システムは燃料電池システム100とすることができ、クリティカル構成要素は
図1の送水ポンプ138および送風機142とすることができる。他の実施形態では、異なる構成要素がシステムにとってクリティカルであるとみなされてもよい。
【0027】
動作305において、AC入力電力からVFDの内部整流器によって導出されたDC電圧が、システムのクリティカル構成要素に電力供給するのに十分であるか否かが判断される。燃料電池システムがLVRT状態になっている場合、少なくとも部分的に、課された低電圧動作要件のために燃料電池インバータ(例えば
図1の燃料電池インバータ104および106)の出力が低下する。このようなLVRT状況において、燃料電池インバータの出力はVFDに十分なAC電力を供給するには低すぎる。一実施形態では、この判断は
図1を参照しながら説明したオークショニアリング電力ダイオードによって行うことができ、VFDの内部整流器の電圧が十分ではないとの判断は、オークショニアリング電力ダイオードがバス線144の電圧がバス線118の第4の分岐128および第5の分岐129の電圧よりも大きいと判断することに基づくことができる。別の例示の一実施形態では、この判断は、プラントコントローラ130、コンピューティングシステム、または当業者に知られている他の任意の電圧監視装置によって行うことができる。動作305においてVFDの内部整流器の電圧が十分であると判断された場合、動作300においてシステムはクリティカル構成要素に電力を供給し続けることができる。動作305においてVFDの内部整流器の電圧が十分ではないと判断された場合、動作310においてシステムは直接接続部を介してクリティカル構成要素に電力を供給する。直接接続部は
図1を参照しながら例示したバス線144とすることができる。
【0028】
動作315において、直接接続部のDC電圧がAC入力電圧から導出されるVFDの内部整流器の電圧よりも大きいか否かが判断される。上述のように、LVRT状態時は、VFDにとって利用可能なAC入力電圧が低下し、クリティカル構成要素に電力を供給するのに不十分となる。しかし、配電網が復旧し、LVRT動作状態が終了すると、燃料電池アセンブリの出力が再び上昇し、その結果、VFDによってAC入力電力から導出されるDC電圧が直接接続部の電圧を再び超える。したがって、VFDの内部整流器の電圧が直接接続部の電圧より大きい値まで上昇し、動作315が否定になると、動作300においてVFDへの燃料電池インバータのAC出力によってクリティカル構成要素に電力が再び供給される。このような状況は、LVRT状態の終了を示す。DC整流器の電圧が低いままであって、動作315における判断が肯定の場合、動作310においてシステムは直接接続部を介してクリティカル構成要素に電力を供給し続ける。
図3には図示されていないが、LVRT状態時、計器類およびコントロール類には、
図1を参照しながら説明したようにUPS134から蓄電された電力が供給される。したがって、燃料電池システムの動作にとって必要または重要なコンピューティング構成要素、コントロール類、センサなどは、LVRT状態時に動作可能状態を維持することができる。
【0029】
本明細書に記載の実施形態により、バランスオブプラントシステムのクリティカル補助構成要素は、配電網の低電圧状態時に電力供給されることができ、それによって燃料電池パワープラントは配電網電圧が通常に復旧するまで動作し続けることができる。また、これによって燃料電池システムは、配電網の復旧および安定化を支援するように配電網に出力電流を供給し続けることができる。低電圧状態時に電力が失われることによって非クリティカル寄生負荷が動作不能状態であっても、燃料電池パワープラントは、配電網が復旧するのに十分な期間および新たな相互接続規定によって規定された十分な期間動作し続けることができる。別の一実施形態では、パワープラントの残りの寄生負荷の動作のための電力を供給するために、バス線144から電力が供給される比較的小型のCOTSインバータを含むように
図1の燃料電池システム100を変更することができる。この残りの非クリティカル寄生負荷は、燃料電池システムの総寄生負荷の約20%を占める。この変更構成では、燃料電池システムは配電網または燃料電池インバータからの電力なしに無制限に動作可能となる。
【0030】
いかなる場合でも、上述の各構成は、記載されている主題の適用を表す多くの可能な具体的実施形態の例示に過ぎないものと理解される。本発明の思想および範囲から逸脱することなく、本主題の原理に従って他の多くの変更構成を容易に考案することができる。また、本明細書に記載の動作のいずれも、コンピュータメモリなどの非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータ可読命令として実装可能であることに留意されたい。
【0031】
また、代表的実施形態において示されているようなシステムおよび方法の要素の構造および構成は、例示に過ぎないものと理解すべきである。本開示のいくつかの実施形態のみを詳細に説明したが、本開示を精査する当業者は、開示されている主題の新規な教示および利点から実質的に逸脱することなく、多くの変更(例えば、様々な要素の大きさ、寸法、構造、形状および特性の変動、パラメータの値、取り付け構成、材料の使用、色、向きなど)が可能であることが容易にわかるであろう。
【0032】
さらに、上述の機能および手順は、それらの特定の機能および手順を実行するように設計された専用装置によって実行されてもよい。機能は、それらの機能および手順に係る命令を実行する汎用装置によって実行されてもよく、または各機能および手順が、制御の役割を果たす1つの装置または別個の制御装置を備える異なる装置によって実行されてもよい。