特許第6755306号(P6755306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6755306すす触媒とSCR触媒を有する触媒フィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6755306
(24)【登録日】2020年8月27日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】すす触媒とSCR触媒を有する触媒フィルタ
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/83 20060101AFI20200907BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20200907BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20200907BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20200907BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20200907BHJP
   F01N 3/035 20060101ALI20200907BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20200907BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20200907BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
   B01J23/83 AZAB
   B01J29/76 A
   F01N3/10 A
   F01N3/08 B
   F01N3/24 E
   F01N3/035 A
   F01N3/28 301P
   B01D53/94 223
   B01D53/94 241
   B01J35/04 301E
【請求項の数】19
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-516036(P2018-516036)
(86)(22)【出願日】2016年9月21日
(65)【公表番号】特表2018-535818(P2018-535818A)
(43)【公表日】2018年12月6日
(86)【国際出願番号】GB2016052943
(87)【国際公開番号】WO2017055810
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2019年6月7日
(31)【優先権主張番号】62/234,123
(32)【優先日】2015年9月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラー, ガイ リチャード
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス, ポール リチャード
【審査官】 山口 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−501210(JP,A)
【文献】 特表2014−522306(JP,A)
【文献】 特開平08−229404(JP,A)
【文献】 特開2009−106913(JP,A)
【文献】 特表2010−506724(JP,A)
【文献】 特表2010−531227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/73
B01D 53/86− 53/90
B01D 53/94
B01D 53/96
B01J 21/00− 38/74
F01N 3/00− 3/38
F01N 9/00− 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SCR触媒と、銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアを含むすす触媒との混合物を含む組成物であって、前記SCR触媒は、小細孔モレキュラーシーブを含み、前記組成物は、フィルタへの適用のために配合される組成物。
【請求項2】
銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアが、(a)ジルコニア,(b)ジルコニア及びプラセオジム,(c)ジルコニア及びネオジム、又は(d)ジルコニア、プラセオジム及びネオジムでドープされる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
すす触媒とSCR触媒がそれぞれ、5:95から95:5の重量比で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
銅又はマンガンが、セリアの重量に対して0.5から15重量%で存在するか、又は鉄がセリアの重量に対して0.5から10重量%で存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
一又は複数の追加の金属酸化物を更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
一又は複数の追加の金属酸化物が、ジルコニウム、プラセオジム若しくはネオジムの酸化物、又は前記酸化物のうちの二つ以上の組み合わせを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物を含む触媒フィルタ。
【請求項8】
希薄燃焼排気ガスを処理するためのシステムであって、(a)窒素性還元剤インジェクタ、及び(b)請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物を含むフィルタを備え、前記インジェクタが、前記触媒フィルタの上流に配置されて且つ前記触媒フィルタと流体連通する、システム。
【請求項9】
インジェクタの上流に配置されたディーゼル酸化触媒、フィルタの下流に配置された一又は複数のフロースルーSCR触媒、及びフロースルーSCR触媒(複数可)の下流に配置されたアンモニアスリップ触媒のうちの一又は複数を更に備える、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
希薄燃焼排気ガスを処理するための、請求項7に記載の触媒フィルタの使用。
【請求項11】
(a)すす、NOx、及び窒素性還元剤を含む希薄燃焼排気ガス流を、請求項7に記載の触媒フィルタを通して流す工程であって、SCR触媒及びすす触媒フィルタ上に混合物として存在する、請求項7に記載の触媒フィルタを通して流す工程、
b)触媒フィルタ上のすすの少なくとも一部を酸化する工程、並び
c)前記NOxの少なくとも一部を還元する工程
含む、希薄燃焼排気ガスの処理方法。
【請求項12】
SCR含有フィルタ上のすす燃焼を改善するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項13】
フィルタに請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物を提供することを含む、SCR含有フィルタ上のすす燃焼を改善する方法。
【請求項14】
フィルタに請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物を提供することを含む、フィルタ上に含まれるSCR触媒の劣化に対する感受性を低下させる方法。
【請求項15】
フィルタ上のすすのすす燃焼温度を低下させるための、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項16】
フィルタに請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物を提供することを含む、フィルタ上のすすのすす燃焼温度を低下させる方法。
【請求項17】
エンジンから排出される排気ガスから粒子状物質を補促するための、請求項7に記載の触媒フィルタの使用。
【請求項18】
粒子状物質を含む排気ガスを、請求項7に記載の触媒フィルタと接触させることを含む、エンジンから排出された排気ガスから粒子状物質を捕捉するための方法。
【請求項19】
希薄燃焼排気ガスを処理するための、請求項7に記載の触媒フィルタの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素燃料の燃焼の間に生成される排気ガス、特にディーゼルエンジンによって生成されるすす及び窒素酸化物を含む希薄燃焼排気ガスを処理するために有用な触媒、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
排気ガスは、天然ガス、ガソリン、ディーゼル燃料、燃料オイル又は石炭といった燃料の燃焼の間に生成される。燃焼がエンジン又は炉などのチャンバ内で起こるとき、その結果として生じる排気ガスは、一般に、排気管、排煙脱硝などを通じて大気中に放出される前に処理される。排気ガスの大部分は、無害な化合物と考えられる窒素(N)、水蒸気(HO)、及び二酸化炭素(CO)からなるが、未処理の排気ガスは比較的少量の望ましくない有害な及び/又は毒性の物質、例えば不完全燃焼に起因する一酸化炭素(CO)、未燃燃料に起因する炭化水素(HC)、過度の燃焼温度に起因する窒素酸化物(NO)(例えば、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、及び亜酸化窒素(NO))、並びに粒子状物質(不溶性の炭素すす粒子)も含んでいる。加えて、少量の液体炭化水素(例えば潤滑油及び未燃燃料)、及び他の様々な有機化合物が存在している場合がある。本発明は、一般に高い空気燃料混合比を用いて(即ち、極めて希薄な条件で)動作するディーゼルエンジンから排出される排気ガスに関する。このような希薄燃焼条件は、もっと良性の物質へと効率的に変換することが困難であることが分かっている二つの成分、即ち粒子状物質とNOの排出量が比較的多い排気ガスを生じさせることが多い。
【0003】
ディーゼルエンジンは、多くの場合、大気中への排出に先だって排気ガスを処理するために別々に又は組み合わされて働く一又は複数の触媒成分を含む排気システムを備えている。例えば、NOを、一般に選択的触媒還元(SCR)と呼ばれるプロセスを介して、特定の担持触媒の存在下で排気ガス中のNOをNHと反応させることにより、窒素(N)と水の元素に変換できることが既知である。既知のSCR触媒には、セリア(CeO)とアルミナ(Al)の混合物により支持体上に担持されるバナジウム(V)(EP0246859参照)、又はTiO上に担持されるV/WO(国際公開第99/39809号参照)が含まれる。混合金属酸化物、例えばFe−W/CeZrO(国際公開第2009/001131号)及びアルミノシリケート、並びにCu:SAPO−34のようなフレームワーク外金属を充填したシリコアルミノホスフェートモレキュラーシーブ(米国特許出願公開第2010/0290963号)といった他のSCR触媒も提案されている。NOxの処理には、NOxの、窒素ガス(N)及び水蒸気(HO)への気相変態が伴う。
【0004】
NO処理とは異なり、排気ガス中のすす修復は、通常機械的濾過を利用する。例えば、すすの排出は、すすを含有する排気ガスを、コーディエライトウォールフロー型フィルタ(米国特許出願公開第2010/0170230号参照)といったディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)に通すことにより低減することができる。すす含有排気ガスがフィルターを通過するとき、粒子を含むすすが、ガスから除去されて、フィルタ上又はフィルタ内に位置することになる。このプロセスは粒子の除去に有効でありうるが、フィルタ上又はフィルタ内におけるすす粒子の蓄積は、フィルタ全体に望ましくない背圧の上昇を引き起こす可能性がある。このような背圧の上昇は、典型的にはエンジンの性能及び効率の低下を招く。蓄積した炭素ベースのすすは、フィルタの再生によりフィルタから除去することができ、これは一般に周期的にすすを燃焼させることにより達成される。このような一つの燃焼技術は、フィルタ上に組み込まれたすす酸化触媒(即ち、触媒すすフィルタ(CSF))(米国特許第4902487号)を介した低温でのすすの触媒的酸化を伴う。
【0005】
従来の排気システムは、Noxの処理(SCR)とすすの処理(CSF)のために別々のコンポーネントを含む。しかし、排気システムに必要な総スペースを低減する、コストを削減するなどのために、個々の排気コンポーネントを、複数の機能を実施するように設計することがしばしば望ましい。例えば、フィルタ基材にSCR触媒を適用すること(SCRF)は、一つの基材が二つの機能、即ちSCR触媒によるNOの触媒的変換とフィルタによるすすの除去を担うことを可能にすることにより、排気処理システム全体のサイズを低減するために役立つ。例えば、米国特許出願公開第2010/0180580号は、SCR触媒がウォールフロー型DPFに適用可能であることを開示している。しかしながら、SCRF内のすす酸化触媒の除去には、フィルタ表面に蓄積したすすを極めて高い温度で燃焼することが必要である。したがって、希薄燃焼排気ガス中のすすとNOxを処理するための効率的なシステムが望まれている。本発明は、特にこの需要を満たすものである。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、SCR触媒と、銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアを含むすす酸化触と組み合わせて一緒に有する触媒フィルタが、SCR反応に影響を及ぼすことなく、すす燃焼温度を低下させることができるという発見に関する。フィルタ基材を、微粒子を燃焼させることのできるすす酸化触媒と、SCR触媒との混合物でコーティングすることにより、排気ガス処理システムの複雑さ、サイズ、及びコストを低減することができる。更に、すす酸化触媒は、下流のSCR反応に必要な窒素ベースの還元剤(尿素、アンモニアなど)を消費しない。したがって、本発明は、すす酸化触媒を含むフィルタの上流の排気ガスに還元剤を投入することを可能にする。
【0007】
本発明の一態様において、組成物は、SCR触媒と、銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアを含むすす酸化触媒とを含み、この組成物は、フィルタへの適用のために配合されており、SCR触媒とすす酸化触媒はフィルタ内に混合物として存在する。
【0008】
本発明の別の態様において、フィルタは、SCR触媒と、銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアを含むすす酸化触媒との混合物を含む。
【0009】
本発明のまた別の態様において、希薄燃焼排気ガスを処理するためのシステムは:(a)窒素性還元剤インジェクタ;及び(b)(i)SCR触媒と(ii)銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアを含むすす触媒とを含む触媒フィルタを備え、SCR触媒とすす触媒はフィルタ上に混合物として存在し、インジェクタは触媒フィルタの上流に、触媒フィルタと流体連通するように配置される。
【0010】
本発明のまた別の態様において、希薄燃焼排気ガスを処理するための方法は、(a)すす、Nox、及び窒素性還元剤を含む希薄燃焼排気ガス流を、(i)SCR触媒と、(ii)銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアを含むすす触媒とを備える触媒フィルタを通して流すことであって、SCR触媒とすす触媒がフィルタ上に混合物として存在する、流すこと、(b)触媒フィルタ上のすすの少なくとも一部を酸化すること、並びに(c)NOxの少なくとも一部を還元することを含む。
【0011】
本発明のまた別の態様において、フィルタを含むSCR上でのすす燃焼を改善する方法は、フィルタに、銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアを含むすす酸化触媒を提供することを含む。
【0012】
本発明の別の態様において、フィルタ上に含まれるSCR触媒の劣化に対する感受性を低下させる方法は、フィルタに、銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアを含むすす酸化触媒を提供することを含む。
【0013】
本発明のまた別の態様において、フィルタ上のすすのすす燃焼温度を低下させる方法は、フィルタに、銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアを含むすす酸化触媒を提供することを含む。
【0014】
本発明のまた別の態様において、毒作用に対するフィルタ上のSCR触媒の耐性を向上させる方法は、フィルタに、銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアを含むすす酸化触媒を提供することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】分解温度に対する銅負荷の影響を示すグラフである。
図2】フレッシュな試料中に異なる銅負荷を有する触媒について波数とクベルカ−ムンク関数との関係を示すグラフである。
図3】異なる銅負荷を用いた場合のすすの分解温度におけるフレッシュ触媒と老化後の触媒との差異を示すグラフである。
図4】CeZr Cuを含む触媒とCeZrを含まない触媒のNOx変換(%)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、希薄燃焼排気ガスからすすとNOを除去することのできる触媒フィルタを目的とする。この触媒フィルタは、SCR触媒と、銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアを含むすす触媒とを備え、SCR触媒とすす酸化触媒は混合物としてフィルタ内に存在する。
【0017】
すす燃焼触媒
すす燃焼触媒は、銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアを含む。
【0018】
銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアは:(a)ジルコニア,(b)ジルコニア及びプラセオジム,(c)ジルコニア及びネオジム、又は(d)ジルコニア、プラセオジム及びネオジム
でドープすることができる。
【0019】
銅又はマンガンは、ドープされたセリアの量に対して0.5から15重量%で存在することができる。
【0020】
鉄は、ドープされたセリアの量に対して0.5から10重量%で存在することができる。
【0021】
SCR触媒
SCR触媒は、卑金属、卑金属の酸化物、混合酸化物上に担持された金属,モレキュラーシーブ、金属含有モレキュラーシーブ又はこれらの混合物を含むことができる。
【0022】
卑金属は、セリウム(Ce)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、銅(Cu)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、及びバナジウム(V)、並びにこれらの混合物からなる群より選択することができる。
【0023】
アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア及びこれらの組み合わせといった耐熱金属酸化物上に担持されたバナジウムからなるSCR組成物は、自動車用途において周知であり、商業的に広く使用されている。一般的な組成物は、米国特許第4010238号及び同第4085193号に記載されており、これらの内容全体は参照により本明細書に包含される。特に自動車用途において、商業的に使用される組成物は、それぞれ5から20重量%及び0.5から6重量%の範囲の濃度でWO及びVが分散されたTiOを含む。このような触媒は、バインダー及びプロモーターとして作用するSiO及びZrOなどの他の無機材料を含んでもよい。
【0024】
SCR触媒は、少なくとも一つの触媒成分を含む混合酸化物上に担持された金属を含むことができ、少なくとも一つの触媒成分は、(i)セリウム及びジルコニウムからなる担持材料としての混合酸化物又は複合酸化物又はそれらの混合物上に分散された少なくとも一つの遷移金属;或いは(ii)不動酸化物担体材料上に分散された単独酸化物又はその複合酸化物又は単独酸化物と複合酸化物との混合物としてのセリウム酸化物及びジルコニウム酸化物からなり、少なくとも一つの遷移金属がSCR触媒の上に分散され、前記少なくとも一つの遷移金属は、VIB族金属、IB族金属、IVA族金属、VB族金属、VIIB族金属、VIII族金属及びこれらの二つ以上の混合物からなる群より選択され、但し、少なくとも一つの選択される遷移金属はタングステンであり、且つ触媒成分中の酸化物としてのセリウム及びジルコニウムの含有物はCeZr1−X(Xv0.1−0.5、好適にはX=0.2−0.5)である。SCR触媒の種類は米国特許出願公開第2012/0141347号に記載されている。少なくとも一つの遷移金属は、Cr、Ce、Mn、Fe、Co、Ni、W及びCuからなる群より選択することができる。好適には、少なくとも一つの遷移金属は、Fe、W、Ce、Mn及びCuからなる群より選択される。更に好適には、少なくとも一つの遷移金属は鉄及びマンガンを含む。少なくとも一つの遷移金属は、鉄及びタングステンを含むことができる。
【0025】
触媒成分中に存在する少なくとも一つの遷移金属の総量は、触媒成分の総重量に基づき0.1から30重量%である。
【0026】
触媒成分は、(ii)不動酸化物担体材料上に分散された単独酸化物又はその複合酸化物又は単独酸化物と複合酸化物との混合物としてのセリウム酸化物及びジルコニウム酸化物からなることができ、不動酸化物担体は、アルミナ、チタニア、非ゼオライトシリカ−アルミナ、セリア、ジルコニア、及びこれらのうちのいずれか二つ以上の混合物、複合酸化物及び混合酸化物からなる群より選択される。
【0027】
触媒成分は、少なくとも600℃の温度で活性化されたものでもよい。
【0028】
触媒組成物は、ジルコニア上に分散された鉄及びタングステンからなる第2の触媒成分を更に含むことができる。第1の触媒成分と第2の触媒成分は、別々のゾーン又は層に分散させることができるか、或いは触媒組成物は、第1及び第2の触媒成分のブレンドとすることができる。
【0029】
SCR触媒は、(i)セリウム及びジルコニウムからなる担体材料としての混合酸化物又は複合酸化物又はそれらの混合物の上に分散された二つ以上の遷移金属;或いは(ii)不動酸化物担体材料上に分散された単独酸化物又はその複合酸化物又は単独の酸化物と複合酸化物との混合物としてのセリウム酸化物及びジルコニウム酸化物からなる少なくとも一つの触媒成分を含むことができ、その上に少なくとも二つの遷移金属が分散される。これら二つ以上の遷移金属は、VIB族金属、IB族金属、IVA族金属、VB族金属、VIIB族金属、VIII族金属、及びこれらのうちのいずれか二つ以上の混合物からなる群より選択することができる。好適には、二つ以上の遷移金属はタングステンを含む。触媒中の酸化物としてのセリウム及びジルコニウムの含有量は、CeZr1−X(X=0.1−0.9、好適にはX=0.1−0.5)とすることができる。この種のSCR触媒は、米国特許出願公開第2012/0141347号に記載されており、この内容全体は参照により本明細書に包含される。
【0030】
SCR触媒が卑金属であるとき、触媒物品は少なくとも一つの卑金属プロモーターを更に含むことができる。本明細書において使用される「プロモーター」は、触媒中に添加されると触媒の活性を増大させる物質を意味する。卑金属プロモーターは、金属、金属の酸化物、又はそれらの混合物の形態であってよい。少なくとも一つの卑金属触媒プロモーターは、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、ランタン(La)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ネオジム(Nd)、ニオブ(Nb)、プラセオジム(Pr)、ストロンチウム(Sr)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、及びこれらの酸化物より選択することができる。少なくとも一つの卑金属触媒プロモーターは、好適には、CeO、CoO、CuO、Fe、MnO、Mn、SnO、及びこれらの混合物とすることができる。
【0031】
少なくとも一つの卑金属触媒プロモーターは、硝酸塩又は酢酸塩といった水溶液中の塩の形態で触媒に添加されてもよい。
【0032】
少なくとも一つの卑金属触媒プロモーターと少なくとも一つの卑金属触媒、例えば銅は、水溶液から酸化物担体材料(複数可)上に含浸させても、酸化物担体材料(複数可)を含むウオッシュコート中に添加しても、又は事前にウオッシュコートでコーティングした担体中に含浸させてもよい。
【0033】
SCR触媒は、プロモーター金属と担体の総重量に基づいて少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、又は少なくとも約2重量%から最大約10重量%、約7重量%、約5重量%のプロモーター金属を含むことができる。
【0034】
SCR触媒は、モレキュラーシーブ又は金属含有モレキュラーシーブを含むことができる。本明細書において使用される「モレキュラーシーブ」は、気体又は液体の吸着剤として使用されうる正確で均一なサイズの小さな孔を含む準安定な材料を意味する。孔を通過するために十分に小さい分子は吸着され、それよりも大きな分子は吸着されない。本明細書において使用される「金属含有モレキュラーシーブ」は、金属交換又は金属置換モレキュラーシーブを意味する。SCR触媒は、アルミノシリケートモレキュラーシーブ、アルミノホスフェートモレキュラーシーブ、シリコアルミノホスフェートモレキュラーシーブ、金属含有アルミノシリケートモレキュラーシーブ、金属含有アルミノホスフェートモレキュラーシーブ、又は金属含有シリコアルミノホスフェートモレキュラーシーブを含むことができる。好適には、モレキュラーシーブは金属含有モレキュラーシーブである。本明細書において使用される用語モレキュラーシーブは、以下の材料、即ち:アルミノシリケート、金属含有アルミノシリケート、アルミノホスフェート(AlPO)、金属含有アルミノホスフェート(MeAlPO)、シリコアルミノホスフェート(SAPO)、及び金属含有シリコアルミノホスフェート(MeAPSO)モレキュラーシーブから作製されたモレキュラーシーブを含む。この用語には従来のゼオライト系モレキュラーシーブが含まれ、これはInternational Zeolite Association(IZA)によって公開されているゼオライト構造のデータベースに列挙されているフレームワーク構造のいずれか一つを有するミクロ多孔質性アルミノシリケートに限定されている。当業者であれば、上述の他のファミリーも当業者はゼオライトと考えることを認識するであろう。
【0035】
SCR触媒は小細孔モレキュラーシーブを含むことができる。小細孔モレキュラーシーブは、最大8個の四面体原子によって画定されるチャネルを含んでいる。SCR触媒は、アルミノシリケートモレキュラーシーブ、金属含有アルミノシリケートモレキュラーシーブ、アルミノホスフェート(AlPO)モレキュラーシーブ、金属含有アルミノホスフェート(MeAlPO)モレキュラーシーブ、シリコアルミノホスフェート(SAPO)モレキュラーシーブ、及び金属含有シリコアルミノホスフェート(MeAPSO)モレキュラーシーブ、並びにこれらの混合物からなる群より選択される小細孔モレキュラーシーブを含むことができる。
【0036】
SCR触媒は、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG、及びZON、並びにこれらの混合物及び/又は連晶からなるフレームワークタイプの群より選択される小細孔モレキュラーシーブを含むことができる。好適には、小細孔モレキュラーシーブは、AEI、AFX、CHA、DDR、ERI、ITE、KFI、LEV及びSFWからなるフレームワークタイプの群より選択される。
【0037】
SCR触媒はモレキュラーシーブ又は金属含有モレキュラーシーブを含むことができ、モレキュラーシーブ又は金属含有モレキュラーシーブ内のモレキュラーシーブは、AEI、BEA(ベータゼオライト)、CHA(チャバサイト)、FAU(ゼオライトY)、FER(フェリエライト)、MFI(ZSM−5)及びMOR(モルデナイト)からなる群より選択されるフレームワークタイプを含む。このような構造を有するゼオライトの非限定的な例には、チャバサイト、フォージャサイト、ゼオライトY、超安定ゼオライトY、ベータゼオライト、モルデナイト、シリカライト、ゼオライトX、及びZSM−5が含まれる。
【0038】
アルミノシリケートゼオライトは、約10から200の有効測定範囲で、少なくとも約5、好適には少なくとも約20からの、SiO/Alと規定されるシリカ/アルミナモル比(SAR)を有することができる。
【0039】
金属含有モレキュラーシーブは、モレキュラーシーブの外表面上又はチャネル、キャビティ、又はケージ内部の余分なフレームワークの部位に堆積された、周期表のVB族、VIB族、VIIB族、VIIIB族、IB族、又はIIB族の一つ由来の少なくとも一つの金属を有することができる。金属は、限定されないが、零価の金属原子又はクラスター、単離されたカチオン、単核若しくは多核のオキシカチオン、又は拡張された金属酸化物を含む複数の形態のうちの一つをとることができる。好適には、金属は、セリウム、クロム、コバルト、銅、ガリウム、インジウム、イリジウム、鉄、マンガン、モリブデン、ニッケル、パラジウム、白金、ルテニウム、レニウム、銀、スズ及び亜鉛からなる群より選択される。更に好適には金属は銅である。
【0040】
適切な溶媒中における金属前駆体の混合物又は溶液を用いて、金属をモレキュラーシーブと組み合わせることができる。用語「金属前駆体」は、モレキュラーシーブ上に分散させて触媒的に活性な金属成分を提供することのできる任意の化合物又は複合体を意味する。本発明は、特定の種類、組成、又は純度の金属前駆体に限定されない。好適には、他の溶媒を用いることの経済的及び環境的側面により、溶媒は水である。好ましい金属である銅が使用されるとき、適切な複合体又は化合物には、限定されないが、無水及び水和型硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、銅アセチルアセトナート、酸化銅、水酸化銅、及び銅アミンの塩(例えば[Cu(NH2+)が含まれる。
【0041】
モレキュラーシーブを金属成分の溶液に加えて懸濁液を形成することができ、次いでこれを、金属成分がモレキュラーシーブ上に分配されるように反応させることができる。
【0042】
金属は、孔チャネル内とモレキュラーシーブの外表面上に分配することができる。
【0043】
金属は、イオン形態で又は金属酸化物として分配することができる。例えば、銅は、銅(II)イオン、銅(I)イオン、又は酸化銅として分配してもよい。
【0044】
金属を含有するモレキュラーシーブは、懸濁液の液相から分離し、洗浄し、乾燥させることができる。結果として得られた金属含有モレキュラーシーブは、次いでか焼して金属をモレキュラーシーブに固定することができる。
【0045】
金属含有モレキュラーシーブは、モレキュラーシーブの外表面上又はチャネル、キャビティ、又はケージ内部の余分なフレームワークの部位に位置する約0.10から約10重量%の範囲のVB族、VIB族、VIIB族、VIIIB族、IB族、又はIIB族の金属を含むことができる。好適には、余分なフレームワークの金属は、約0.2%から約5重量%の範囲の量で存在することができる。金属含有モレキュラーシーブ中の金属の重量%は、金属の重量を金属とモレキュラーシーブの総量で除したものに100を乗じたものである。
【0046】
SCR触媒は、約0.5から2.0g/inの濃度で触媒物品中に存在しうる。触媒物品中に存在するSCRの量は、物品中のSCR触媒の種類に応じて決まる。SCR触媒が卑金属又はその酸化物を含むとき、卑金属は、SCR触媒の総重量に基づいて0.01から20重量%の濃度で存在しうる。SCR触媒がモレキュラーシーブ又は金属含有モレキュラーシーブを含むとき、モレキュラーシーブは、SCR触媒の総重量に基づいて40から80重量%の濃度で存在しうる。
【0047】
特定のSCR触媒組成物は、典型的にはウオッシュコートスラリーとしてフィルタに適用される。他のSCR触媒は、水溶液としてフィルタに適用することができる。
【0048】
すす酸化触媒とSCR触媒はそれぞれ、5:95から95:5、好適には5:95から50:50、更に好適には10:90から30:70の重量比で存在することができる。
【0049】
すす触媒とSCR触媒は、担体、安定剤及びプロモーターといった他の非触媒成分を含みうる。これらの追加的な成分は、必ずしも望ましい反応を触媒しないが、代わりに、例えば、その動作温度範囲を拡大すること、触媒の接触表面領域を増加させることなどによって、触媒材料の有効性を改善する。
【0050】
触媒成分を含む触媒は、追加の非触媒成分も同様に含むことができる。このような任意選択的な非触媒成分の例は、触媒組成物中に存在するが、一又は複数の非触媒的目的に寄与する非ドープアルミナ、チタニア、非ゼオライトシリカ−アルミナ、セリア、及びジルコニアを含みうる。
【0051】
本発明のために使用されるDPF基材の種類は、フィルタがSCR触媒とすす酸化触媒の両方に適切な基材であり、且つSCRとすす酸化触媒に適合する多孔質性、平均孔サイズといった適切な物理的特性を有する限りにおいて、特に限定されない。適切なDPFは、不織布フィルタ及び金属又はコーディエライトハニカム、並びにその他の種類のディーゼルパティキュレートフィルタを含みうる。自動車用途に使用される好適なフィルタ基材は、各々が典型的に正方形、円形、六角形、又は三角形の断面を有する複数の隣接する平行チャネルを含む、いわゆるハニカム幾何学計上を有するモノリスである。ハニカム形状により、最小の全体サイズ及び圧力降下で大きな触媒表面が得られる。他の基材には、例えば、中心軸の周りで積み重ねる、回転させる、配列させることを含む任意の適切な様式でゾーン化することのできる、シート又はスクリーンが含まれる。他の基材は、好適にはバインダーによりまとめて保持されるか又は凝集塊を形成するように焼結される、吸着剤のペレットで形成することのできる充填床を含む。
【0052】
本発明に使用されるすすフィルタは、焼結した金属、セラミック、又は金属繊維などを含む様々な材料を用いて製造することができる。好適な種類のフィルタは、いわゆる「ウォールフロー型」フィルタであり、これは、フィルタ本体の大部分の長さにわたって実質的に平行に延びる多数の小さなチャネルのモノリシックアレイの形態の多孔質性セラミック又は他の材料から作製され、これらチャネルは、チェッカーボード式に交互の端部でキャッピングされる。ウォールフロー型モノリスの構築の特定の材料には、コーディエライト、α−アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア、ムライト、スポジュメン、アルミナ−シリカ−マグネシア又はジルコニウムシリケート、セラミック複合繊維、又は多孔質性耐熱金属が含まれる。好適な材料は、コーディエライト、炭化ケイ素、及びチタン酸アルミナを含む。
【0053】
ウォールフロー型フィルタのチャネルの末端を交互にキャッピング又はプラギングすることにより、排気ガスは必然的に多孔質性のセラミックチャネル壁を通過する。多孔質性ではあるが、これら壁は微粒子の大部分の通過を妨げる。即ち、触媒フィルタによって処理されない排気ガスは、基材のチャネル中へと(即ち、フィルタ入口へと)流れ、そこで基材壁の上流側に接触する。エンジンの運転中、基材の入口面と出口面の間に圧力差が存在し(出口面と比べて入口面で圧力が高い)、したがって基材壁の上流側と下流側の間にも圧力差が存在する。壁のガス透過性と共に、この圧力差は、入口面に開口しているチャンネルに流入する排気ガスが、多孔質性の壁の上流からその壁の下流側へ通過し、次いで排気システムの下流区域に開口している隣接チャンネル(即ち、フィルタ出口)中に流入することを可能にする。本発明において有用なウォールフロー型フィルタは、断面の1平方インチ当たり最大約700個のチャネル(セル)を有する。ウォールフロー型フィルタは、約100から400個の1平方インチ当たりセル(「cpsi」)を含むことができる。
【0054】
フィルタ基材の実際の形状及び寸法と、チャネル壁の厚さ、その多孔質性などの特性とは、考慮される特定の用途に応じて決まる。多孔質基材の平均孔サイズは、濾過にとって重要である。平均孔サイズは、水銀ポロシメトリーを含む、許容可能な任意の手段によって決定されうる。多孔質性基材の平均孔サイズは、十分な効率を提供しながら、背圧の低下を促すために十分に大きな値でなければならない。好適な多孔質性基材は、約5から約50μm、例えば、約10から約40μm、約20から約30m、約10から約25μm、約10から約20μm、約20から約25μm、約10から約15μm、及び約15から約20の平均孔サイズを有する。
【0055】
ウォールフロー型フィルタは、少なくとも約30、好適には少なくとも40%(例えば、45%から75%)及び更に好適には少なくとも55%(例えば、55%から75%)の多孔質性を有することができる。
【0056】
本発明に使用されるウォールフロー型フィルターは、好適には、少なくとも70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%の効率を有する。効率は、約75から約99%、約75から約90%、約80から約90%、又は約85から約95%でありうる。効率は、すす及び他の同様のサイズの粒子、及び従来のディーゼル排気ガス中に典型的に見出される微粒子濃度に関するものである。例えば、ディーゼル排気中の微粒子のサイズは、0.05ミクロンから2.5ミクロンの範囲でありうる。よって、効率はこの範囲、又は0.1から0.25ミクロン、0.25から1.25ミクロン、若しくは1.25から2.5ミクロンといったサブレンジに基づきうる。コーディエライトフィルタに好適な多孔質性は、約60から約75%である。
【0057】
排気システムの通常運転中、すす及び他の微粒子は、フィルタの上流、又は入口側に蓄積し、背圧の上昇を招く。このような背圧の上昇を緩和するために、フィルタ基材は、蓄積したすすを燃焼させることにより連続的に又は周期的に再生される。燃焼プロセスは、すす酸化触媒によって促進される。排気ガスは、すす酸化触媒と混合されたSCR触媒にも接触し、反応して大部分のNO成分を排気ガスから排除する。
【0058】
すす酸化触媒とSCR触媒は、二つの触媒の混合がフィルタ上に存在することを可能にする任意の実用的手段によりフィルタ中又は上に組み込むことができる。例えば、二つの触媒の混合物を含むウオッシュコートを、フィルタの入口側(面)に適用することができる。適用方法及びウオッシュコートの特性は、圧力又は真空の適用といった当業者に既知の技術を用いて修正することができる。ウオッシュコートは、適用後、乾燥させ、次いでか焼する。か焼に用いられる温度及び時間は、使用されるすす触媒とSCR触媒の特定の組み合わせに応じて変化しうる。か焼は、約400oCから約600oCの温度で約1から約3時間実施することができる。すす触媒とSCR触媒のいくつかの組み合わせでは、触媒コーティングは、好適には約100oCから約300oCの温度で約1から約3時間活性化させることができる。
【0059】
本発明の別の態様は、希薄燃焼排気ガスを処理するためのシステムを目的とする。このような排気ガスシステムは、各々が他から独立して排気ガスの組成を修正し、且つ他と相互作用して排気ガスを処理するためのコヒーレントスキームを形成することのできる二つ以上の個別のデバイス又はコンポーネントの構成である。好適には、排気ガスシステムのコンポーネントのうちの一又は複数が相互作用して相乗効果を生じる。
【0060】
本発明のシステムは、インジェクタ又は窒素性還元剤を排気ガス中に導入するためのその他デバイスと流体連通する、本明細書に記載されるすす酸化触媒とSCR触媒の混合物を含むフィルタを備えることができ、インジェクタ又はその他デバイスはフィルタの上流に配置される。
【0061】
すす酸化触媒は、SCR反応に必要な窒素ベースの還元剤(尿素、アンモニアなど)を消費しないことが分かった。したがって、本発明は、すす酸化触媒とSCR触媒の混合物を含むフィルタの上流で還元剤を排気ガス中に投入することを可能にする。
【0062】
システムは、希薄燃焼内燃機関によって生成される排気ガス流、流れている排気ガスを運ぶための一又は複数のコンジットをさらに含むことができ、コンジットは、排気システムのコンポーネントの少なくともいくつか及び/又は窒素性還元剤供給源と流体連通する。
【0063】
インジェクタは、ガス状のアンモニア、水溶液中のアンモニア、水性尿素、又はアンモニア発生器からのアンモニアといった還元剤を、下流のSCR反応の最適化に有効な投入量で排気ガス中に、連続的に、周期的に、又は間欠的に導入することができる。インジェクタは、排気ガス流と流体連通し、排気ガスシステムの少なくとも一部を通るように排気を導くための、パイプなどのコンジットに取り付ける、接続する、及び/又は一体化させることがでる。インジェクタは、還元剤を繰り返し注入するために、還元剤供給タンクとも流体連通してよい。
【0064】
システムに導入された窒素性還元剤の計量は、排気ガス中の窒素酸化物の量に応答して制御することができる。還元剤の量は、直接(適切なNOxセンサを用いて)又は間接的に、例えばエンジンの状態を示す任意の測定値を予測された排気ガスのNOx含有量と相関させる制御手段に格納される事前相関ルックアップテーブル又はマップを用いることにより、決定することができる。窒素系還元剤の計量は、SCR触媒に入る排気ガス中に、1:1のNH/NO及び4:3のNH/NOで計算して60%から200%の理論上のアンモニアが存在するように調整することができる。制御手段は、電子制御ユニット(ECU)のような、事前にプログラムされたプロセッサを備えることが可能である。計量の制御は、SCR触媒が、例えば100℃、150℃、又は175℃などを上回る温度において、所望の効率以上で、NOx還元を触媒することができると決定されたときにのみ、流れている排ガス中への窒素性還元剤の導入を制限することを伴う。制御手段による決定は、排気ガス温度、触媒床温度、アクセル開度、システム内の排気ガスの質量流量、マニホールドバキューム、点火タイミング、エンジン速度、排気ガスのラムダ値、エンジン内に注入された燃料の分量、排気ガス再循環(EGR)バルブの位置とそれによるEGR量、及び給気圧からなる群より選択されたエンジンの状態を示す、一又は複数の適切なセンサ入力によって支援されうる。
【0065】
排気流中のNHが、消費されないように又は排気ガス流に入った後でフィルタ上のSCR触媒と接触する前に利用されるように、インジェクタは、インジェクタとフィルタの間に介在するSCR又は他の触媒成分なしで、触媒フィルタの上流に配置することができる。
【0066】
窒素ベースの還元剤、特にNHのすべて又は少なくとも一部は、触媒フィルタの上流に配置されるNO吸蔵触媒(NAC)、リーンNOトラップ(LNT)、又はNO吸蔵/還元触媒(NSRC)から供給されうる。本発明のNACの機能の一つは、下流のSCR反応のためのNHの供給源を提供することである。したがって、NACは、システム内において、インジェクタ内と同様の方式で、即ち、触媒フィルタの上流に、好適にはNACとフィルタの間に介在するSCR又は他の触媒成分なしで、構成される。本発明に有用なNAC成分には、塩基性材料(例えば、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、及びこれらの組み合わせを含む、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は希土類金属など)及び貴金属(白金など)、及び任意選択的にロジウムなどの還元性触媒成分の触媒組み合わせが含まれる。NACにおいて有用な塩基性材料の具体的な種類には、酸化セシウム、酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、及びこれらの組み合わせが含まれる。貴金属は、好適には約10から約200g/ft、例えば20から60g/ftで存在する。或いは、触媒の貴金属は、約40から約100グラム/ftでありうる平均濃度によって特徴付けられる。
【0067】
特定の条件下、例えば周期的にリッチな再生イベントの間に、NHがNOx吸蔵触媒上で生成されうる。NOx吸蔵触媒の下流にSCR触媒を位置させることにより、システム全体のNOx還元効率が向上しうる。複合システムでは、SCR触媒は、リッチ再生イベントの間に、NAC触媒から放出されたNH3を吸蔵することができ、通常のリーン運転状態の間に、吸蔵されたNH3を利用して、NAC触媒を通過したNOxの一部又は全部を選択的に還元する。
【0068】
システムは、以下の単純な酸化によりディーゼル排気の炭化水素ベースの可溶性有機成分(SOF)及び一酸化炭素の含有物を酸化するための、ディーゼル酸化触媒(DOC)を更に含むことができる。
CO+1/2 → CO
[HC]+O → CO+H
【0069】
DOCは、NOをNOに酸化するためにも役立ち、NOは次いでパティキュレートフィルタ内の粒子状物質を酸化するために使用されうる。加えて、DOCは、排気ガス中の粒子状物質(PM)を低減するために役立つ。
【0070】
好適には、DOCは、触媒フィルタの上流の上流、更に好適にはSCR還元剤インジェクタ又はNACの上流に配置される。
【0071】
排気ガス中の一酸化窒素を二酸化窒素に酸化するための酸化触媒は、窒素系還元剤を排気ガス中に計量する地点の上流に設置されうる。酸化触媒は、例えば、250℃から450℃の酸化触媒入口における排ガス温度で、約4:1から約1:3のNO:NO体積比を有する、SCRゼオライト触媒に流入するガス流を作り出すように適合されうる。システムは、DOCの上流に近位連結触媒(CCC)を更に含むことができる。
【0072】
酸化触媒は、フロースルーモノリス基材上にコーティングされた、白金、パラジウム、又はロジウムのような少なくとも一つの白金族金属(又は、それら金属の二つ以上の組み合わせ)を含んでもよい。DOCに使用することのできる他の金属触媒には、アルミニウム、バリウム、セリウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、又はこれらの二つ以上の組み合わせが含まれる。少なくとも一種の白金族金属は、白金、パラジウム、又は白金とパラジウム両方の組合せでありうる。白金族金属は、アルミナ、アルミノシリケートゼオライトなどのゼオライト、シリカ、非ゼオライトシリカアルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、又はセリアとジルコニアの両方を含有する混合酸化物若しくは複合酸化物といった、高表面積のウォッシュコートコンポーネント上に担持されうる。ディーゼル酸化触媒組成物は、高表面積の耐熱酸化物担体(例えば、γ−アルミナ)上に分散された、約10から120g/ftの白金属金属(例えば、白金、パラジウム又はロジウム)を含むことができる。
【0073】
排気ガス中のNOの濃度を更に低下させるために、一又は複数の追加のSCR触媒成分が、システムの、好適には触媒フィルタの下流に含まれてよい。例えば、既存の触媒フィルタ上で、排気ガスは、SCR触媒でコーティングされたフロースルー基材を通過することができる。この例では、フロースルーSCR触媒は、触媒フィルタの下流に配置される。排気ガス中のNO濃度は、ガスが触媒フィルタを通過するときに低下し、次いでガスが連続して一又は複数のSCRフロースルー基材を通過するとき更に低下する。システムは、SCRフロースルー触媒の上流、触媒フィルタの下流に、追加の還元剤インジェクタを更に含むことができる。一又は複数の下流のSCRフロースルー触媒は、押し出し成型品とすることができる。
【0074】
追加のSCR触媒フロースルーコンポーネントの数は、いずれかの実際的な数、例えば1、2、3、又は4とすることができる。下流のSCR触媒(複数可)は、触媒フィルタ上にコーティングされたSCR触媒と同じでも異なってもよい。好適なSCR触媒は、Cu:SSZ−13及びCu:SAPO−34を含む余分なフレームワーク又は遊離した銅を有する銅含有小細孔モレキュラーシーブ、例えばチャバサイトを含む。
【0075】
システムは、触媒フィルタの下流に配置されるアンモニアスリップ触媒(ASC)を更に含むことができる。アンモニアスリップ触媒は、フロースルーSCRコンポーネントの下流に配置することができる。ASCは、排気ガスを大気中へ排出する前に、又は排気ガスがエンジンに流入/再流入する前に排気ガスを再循環ループに通過させる前に、すべてではないとしても大部分のアンモニアを酸化するように作用する。ASCは:(a)SCR反応からのアンモニアスリップの濃度,(b)急速な温度上昇中の触媒表面からのアンモニアの放出、及び/又は(c)化学量論的に過剰の還元剤の使用を低下させる。好適には、ASC材料は、NO又はNOの形成ではなく、アンモニアの酸化に有利に選択されるべきである。好適な触媒材料は、白金、パラジウム、又はこれらの組み合わせを含み、白金又は白金/パラジウムの組み合わせが好ましい。好適には、触媒は、高表面積の担体上に配置され、アルミナを含むが、それに限定されるものではない。
【0076】
ASC触媒は、基材、好ましくはフロースルー金属ハニカム又はコーディエライトハニカムのような、最小の背圧で大きな接触面を提供するように設計された基材に適用される。例えば、好ましい基材は、低背圧を保証するために約25から約300個の1平方インチ当たりセル(cpsi)を有する。
【0077】
低背圧を達成することは、低圧のEGR性能に対するASCの影響を最小化するために特に重要である。ASCをウオッシュコートとして基材に塗布し、好適には約0.3から2.3g/inの負荷を達成することができる。更なるNO変換を提供するために、基材の前方部分をSCRコーティングのみで、後方をアルミナ担体上のPt又はPt/PdといったNH酸化触媒及びSCRでそれぞれコーティングすることができる。
【0078】
本発明の別の態様は、少なくとも100℃、好適には約150℃から750℃の温度で窒素性還元剤を用いて窒素酸化物を還元するための排気ガス処理方法に関する。この方法は、すす、NO、及び窒素性還元剤、好適にはNHを含む希薄燃焼排気ガスを、SCR触媒と、銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアを含むすす酸化触媒とを備える触媒フィルタを通して流す工程を含み、ここで、SCR触媒及びすす触媒はフィルタ上に混合物として存在し、フィルタを流出する排気ガス中のすす及びNOの濃度は、フィルタに流入する排気ガスと比較して低下している。
【0079】
この排気ガス処理方法は、更に:(a)触媒フィルタの入口と接触するすすを蓄積及び/又は燃焼させる工程;(b)好適にはNOxと還元剤の処理を含む触媒工程の介在なしに、触媒フィルタと接触する前に窒素性還元剤を排気ガス流中に導入する工程、(c)NOx吸着触媒上でNHを生成し、好適には下流のSCR反応においてこのNHを還元剤として使用する工程、(d)排気ガス流をDOCと接触させて、炭化水素ベースの可溶性有機成分(SOF)及び/又は一酸化炭素をCO2へと酸化し、及び/又はNOをNO2へと酸化し、これを次にパティキュレートフィルタにおいて粒子状物質を酸化するために使用してもよく、及び/又は、排気ガス中の粒子状物質(PM)を還元する工程、(e)還元剤の存在下において、排気ガスを、好適には触媒フィルタの下流に配置される一又は複数のフロースルーSCR触媒デバイス(複数可)と接触させて、排気ガス中のNOx濃度を更に低下させる工程、及び(f)排気ガスを、好適には触媒フィルタの下流でアンモニアスリップ触媒と、及び存在する場合は一又は複数のフロースルーSCR触媒デバイスと接触させて、排気ガスを大気中へ放出する前に、又は排気ガスがエンジンに流入/再流入する前に排気ガスを再循環ループに通過させる前に、すべてではないとしても大部分のアンモニアを酸化する工程のうちの一又は複数を更に含むことができる。
【0080】
SCR反応は、試験されるエンジン及び/又は排気ガスのタイプに応じて、広範囲の温度で、通常約175℃から約900℃で起こりうる。好適には、温度は、350から800℃の範囲、更に好適には400から700℃の範囲である。窒素酸化物の還元は、酸素の存在下において実施することができる。
【0081】
本明細書に記載される方法では、窒素性還元剤の添加を制御して、触媒入口におけるNHが、1:1のNH/NO及び4:3のNH/NOで計算された理論的アンモニアの60%から200%となるように制御することができる。触媒入口ガス中の一酸化窒素:二酸化窒素の比は、体積で4:1から1:3でありうる。ガス中の一酸化窒素:二酸化窒素の比は、触媒の上流に位置する酸化触媒を用いて一酸化窒素を二酸化窒素に酸化することにより調整することができる。
【0082】
窒素性還元剤は、尿素((NHCO)、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、及びギ酸アンモニウムからなる群から選択されるアンモニアそのもの、ヒドラジン又はアンモニア前駆体を含むいずれかの適切な供給源から得ることができる。NHは、フィルタの上流に配置されるリーンNOxトラップ又は同様のデバイスによって供給することもできる。
【0083】
本排気ガスの処理方法は、内燃機関(移動式又は固定式)、ガスタービン、及び石炭や石油火力発電所等の燃焼プロセスに由来するガスに対して実施することができる。本方法は、更に、精製などの工業的プロセスからのガス、製油所の加熱器やボイラー、炉、化学プロセス工業、コークス炉、都市廃棄物プラント、及び焼却炉からのガスを処理するために使用されてもよい。本方法は、ディーゼルエンジン、希薄燃焼ガソリンエンジン、又は、液化石油ガス或いは天然ガスから動力を得るエンジンといった車両の希薄燃焼内燃機関からの排気ガスを処理するために使用することができる。
【0084】
SCR触媒と、銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアを含むすす触媒とを含み、これらSCR触媒とすす触媒がフィルタ上に混合物として存在するフィルタは、現在利用されているSCR含有フィルタと比較して、すす燃焼を改善することができる。SCRFコーティングは、現在、SCR触媒(典型的にはFe又はCuゼオライト)と、SCR触媒の基材に対する接着を確保するためのバインダー材料からなる。良好なSCR性能を維持しながらすす燃焼を改善するために、特定の追加的コンポーネントをコーティングに取り込むことができる。すす燃焼コンポーネント、例えばアルカリ金属含有要素又はその化合物が周知である。しかしながら、これら材料は、SCR触媒に有意な悪影響を与えうる。本発明に使用されるすす燃焼触媒(銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリア)は、SCRの性能に対するいかなる影響も最小化するように設計される。ドープセリアは、好適には、(a)ジルコニア,(b)ジルコニア及びプラセオジム,(c)ジルコニア及びネオジム、又は(d)ジルコニア、プラセオジム及びネオジムを含む。SCRFのすす燃焼を改善することは、NOによりすす燃焼を促進するためにPtを使用することができる触媒化すすフィルタ(CSF)とは異なり、SCRFは、アンモニアに起因してPtがSCR反応に対して劇的な効果を与えることによりそのような成分を使用できないため、特に重要である。
【0085】
SCR触媒と銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアを含むすす触媒とを含み、これらSCR触媒とすす触媒がフィルタ上に混合物として存在するフィルタは、現行のSCR含有フィルタと比較して、毒作用に対する耐性を改善することができる。すす触媒は、PGM、無機灰成分といったSCR触媒毒と相互作用することにより、灰又はPGMのSCR触媒との相互作用と、その後のSCR性能の低下を最小化することもできる。フロースルーSCR触媒の場合、灰はSCR触媒の性能を低下させることがある。SCRF触媒の場合、特にすす再生の間に触媒が曝される非常な高温により、毒作用の影響はさらに重大でありうる。更に、エンジン由来の灰のかなりの部分がフィルタ内部に収集されるため、且つSCR触媒の負荷がはるかに低下しうるため、触媒に対する灰の濃度比ははるかに高い。
【0086】
エンジンから排出された排気ガスから粒子状物質を補足する方法は、粒子状物質を含有する排気ガスを、SCR触媒と、銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアを含むすす酸化触媒との混合物を含むフィルタと接触させることを含む。銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアは、(a)ジルコニア,(b)ジルコニア及びプラセオジム,(c)ジルコニア及びネオジム、又は(d)ジルコニア、プラセオジム及びネオジムでドープすることができる。
【0087】
すす触媒とSCR触媒は、それぞれ5:95から95:5、好適には5:95から50:50、更に好適には10:90から30:70の重量比で存在することができる。
【0088】
銅又はマンガンは、セリアの重量に対して0.5から15重量%で存在しうる。
【0089】
鉄は、セリアの重量に対して0.5から10重量%で存在しうる。
【0090】
組成物は、一又は複数の追加の金属酸化物を更に含むことができる。一又は複数の追加の金属酸化物は、ジルコニウム、プラセオジム又はネオジムの酸化物、或いはこれら酸化物の二つ以上の組み合わせを含むことができる。
【0091】
フィルタ中のSCR触媒の量は、銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアを含まない同様のフィルタと比較して少なくてよい。
【0092】
希薄燃焼排気ガスを処理するための方法は、(a)すす、Nox、及び窒素性還元剤を含む希薄燃焼排気ガス流を、SCR触媒と、銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアを含むすす酸化触媒との混合物を含む触媒フィルタを通して流すこと,(b)すす酸化触媒を用いてすすの少なくとも一部を酸化すること;及び(c)SCR触媒を用いてNOxの少なくとも一部を還元することを含む。銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はドープマンガンセリアは、(a)ジルコニア,(b)ジルコニア及びプラセオジム,(c)ジルコニア及びネオジム、又は(d)ジルコニア、プラセオジム及びネオジムでドープすることができる。
【0093】
すす触媒とSCR触媒は、それぞれ5:95から95:5、好適には5:95から50:50、更に好適には10:90から30:70の重量比で存在することができる。
【0094】
銅又はマンガンは、セリアの重量に対して0.5から15重量%で存在しうる。
【0095】
鉄は、セリアの重量に対して0.5から10重量%で存在しうる。
【0096】
組成物は、一又は複数の追加の金属酸化物を更に含むことができる。一又は複数の追加の金属酸化物は、ジルコニウム、プラセオジム又はネオジムの酸化物、或いはこれらの酸化物の二つ以上の組み合わせを含むことができる。
【0097】
フィルタ中のSCR触媒の量は、銅ドープセリア、鉄ドープセリア又はマンガンドープセリアを含まない同様のフィルタと比較して少なくてよい。
【実施例】
【0098】
以下の非限定的な実施例は、本発明の特定の実施形態の特定の態様を更に実証するために提供される。
【0099】
実施例1:
試料1〜6が、以下に示すように、CeZr及び様々な量のCuを含むウオッシュコートを不活性基材の表面上に適用することにより調製された。試料7は、CeZr及び5wt%のFeを含むウオッシュコートを不活性基材の表面上に適用することにより調製された。試料2〜8はゼオライトを含まなかった。試料は、乾燥させ、次いで500℃で1時間か焼された。
【0100】
【0101】
試料の各々は、触媒の表面上に添加された約10%のすすを有していた。
【0102】
すす燃焼特性を決定するために、試料を、TA Q600 TGAにおいて、約20℃の温度から開始して20℃/分の温度勾配を用いて600℃まで、80ml/分での、20ml/分での流動空気中で、熱重量分析(TGA)により分析し、燃焼したすすの量を決定した。試料1〜6は、球体付属品が内蔵されたPerkin Elmer Lambda 650sを用いるUV/可視分光法によっても分析された。
【0103】
下の表は、すす触媒のピーク酸化温度に対する銅負荷の影響を示している。10%のCu負荷を有するCeZrは、最も低いすす酸化温度を呈した。
【0104】
【0105】
図1は、フレッシュな(老化させていない)試料において銅負荷のレベルが分解の温度の低下と関連していることを示すグラフである。0.5〜10%のCuを含むフレッシュな試料は、Cuを含まないか又は5%のFeを含むフレッシュな試料より、酸化温度の低下に効果的であった。
【0106】
図2は、フレッシュな試料中の異なる銅負荷を有する触媒について波数対クベルカ−ムンク関数の影響を示している。銅負荷が増加するにつれて、ピーク酸化温度は低下する。
【0107】
実施例2:
実施例1の試料を800℃で16時間老化させた。試料を、実施例1に記載されるようにして、熱重量分析(TGA)及びUV/可視分光法により分析した。
【0108】
下の表は、老化後のすす触媒中のすす触媒のピーク酸化温度に対する銅負荷の影響を示している。2%のCu負荷を有するCeZrは、最も低いピークすす酸化温度を呈した。
【0109】
【0110】
任意の量でCuを含むすべての老化後の試料が、5%のFeを含む老化後の試料より、酸化温度の低下についてより効果的であった。0.5〜5%のCuを含む老化後の試料は、0%のCuを含む老化後の試料より、酸化温度の低下についてより効果的であった。
【0111】
図3は、フレッシュな試料と老化後の試料の間に触媒活性の差異が存在すること、及び2%及び10%の銅負荷が老化後の試料とフレッシュな試料にそれぞれに最も低い分解温度を提供することを示している。
【0112】
老化後のすす触媒の銅負荷の増加は、フレッシュな試料とは異なる傾向を有する。もっとも低いピーク酸化温度を有する老化後のすす触媒は、2%の銅負荷を有し、5%及び10%のCu負荷を有するすす触媒は、それよりも高いピークすす酸化温度を有している。エージング後の、銅の負荷が高い試料は、おそらくは焼結のレベルに起因して、より大きな酸化効率の低下を示した。
【0113】
実施例3
フレッシュな触媒及び熱水エージングにより老化させた触媒の性能を、受動的(3000rpmのエンジン、490℃の触媒)及び能動的(100kg/時の排気流、630℃で12分間の触媒)条件下でのエンジンベンチ試験において評価した。
【0114】
v標準触媒は、0.81g/inの負荷でCu−CHAを含んでいた。本発明の触媒は、0.81g/inの負荷でCu−CHAを、0.1g/inの負荷でCeZr+Cu(2重量%)を、それぞれ含んでいた。図4は、約225℃から約450℃の温度でのNOx変換(%)を示す。Cu−CHA及びCeZr - Cu(2wt%)の両方を含む触媒は、CeZr−Cuを含まない標準試料より高いNOx変換を提供した。この温度範囲におけるNO:NOx比は、約15%から約35%の間であった。このような結果は、SCR触媒との混合物中に必要なすす触媒の存在が、SCR触媒の性能に悪影響を有さないことを実証するものである。
【0115】
触媒の再生効率が、上述のように受動的及び能動的条件下で決定された。結果を下の表に示す。
【0116】
【0117】
上の表は、CeZr−Cuすす触媒を含むフレッシュな触媒及び老化後の触媒の両方が、受動的条件下においてフィルタ再生の量に約15%から約25%の増加を、能動的条件下においてフィルタ再生の量に約5%の増加を提供しうることを示している。
【0118】
本明細書においては、本発明を、特定の実施形態を参照して図示及び説明しているが、本発明が示された詳細に限定されることは意図されていない。むしろ、特許請求の範囲の均等物の範囲内で、且つ本発明から逸脱することなく、様々な修正を詳細に行うことができる。
図1
図2
図3
図4