(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6755345
(24)【登録日】2020年8月27日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】不連続相および連続相からなる凝集単位を含む微粒剤形
(51)【国際特許分類】
A61K 9/16 20060101AFI20200907BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20200907BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20200907BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20200907BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20200907BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20200907BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20200907BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20200907BHJP
A61K 31/53 20060101ALI20200907BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20200907BHJP
A61K 31/4045 20060101ALI20200907BHJP
A61K 31/137 20060101ALI20200907BHJP
A61K 31/4178 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
A61K9/16
A61K45/00
A61K47/26
A61K47/20
A61K47/22
A61K47/18
A61K31/445
A61K31/519
A61K31/53
A61K31/4985
A61K31/4045
A61K31/137
A61K31/4178
【請求項の数】7
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-9936(P2019-9936)
(22)【出願日】2019年1月24日
(62)【分割の表示】特願2015-550330(P2015-550330)の分割
【原出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2019-89798(P2019-89798A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2019年2月15日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0158630
(32)【優先日】2012年12月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516111007
【氏名又は名称】株式会社コアファーム
【氏名又は名称原語表記】CorePharm Co., Ltd.
(73)【特許権者】
【識別番号】516111018
【氏名又は名称】株式会社コアファームバイオ
【氏名又は名称原語表記】CorePharmbio Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(74)【代理人】
【識別番号】100094570
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼野 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】ク ヨンサム
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョンテ
【審査官】
古閑 一実
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−119122(JP,A)
【文献】
国際公開第00/048575(WO,A1)
【文献】
特開平11−116466(JP,A)
【文献】
特開平11−116465(JP,A)
【文献】
特開2003−176242(JP,A)
【文献】
特開平09−309821(JP,A)
【文献】
国際公開第95/020380(WO,A1)
【文献】
国際公開第99/047124(WO,A1)
【文献】
J. Pharm. Pharmacol.,1998年,Vol.50,p.375-382
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/69
A61K 41/00−45/08
A61K 31/00−33/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の成分を含む不連続相および第2の成分を含む連続相からなる凝集単位と、
薬剤学的に許容される賦形剤と、
を含み、口腔内で速やかに溶解される薬剤学的粒子組成物を製造する方法であって、
(a)第2の成分の全部または一部を溶媒に溶解させるステップと、
(b)前記溶媒に第1の成分を分散させて分散液を得るステップと、
(c)前記溶液を乾燥させて凝集単位を得るステップと、
を含むが、凝集単位を得るときに糖と糖アルコールを除く結合剤を使用せず、
ここで、前記第1の成分は、薬理学的に活性を示す有効成分であり、
前記第2の成分は糖または糖アルコールである製造方法。
【請求項2】
前記ステップ(a)においては、第2の成分および高甘味剤を一緒に溶媒に溶解させることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記高甘味剤は、スクロース、デキストロース、フルクトース、グルコース、液状グルコース、マルトースサッカリン、シクラメート、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、アリテームおよびネオテームよりなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第2の成分は、キシリトール、マンニトール、イソマルト、ソルビトール、マルチトール、精製白糖、乳糖、イノシトール、エリスリトール、結晶果糖、トレハロース、リビトール、アラビトール、ガラクチトール、ラクチトールおよびマルトトリイトールよりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記第2の成分は、キシリトールであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第1の成分は、ドネペジル、ウデナフィル、シルデナフィル、バルデナフィル、タダラフィル、スマトリプタン、ダポキサティン、オンダンセトロンおよびこれらの化合物の薬剤学的に許容される塩よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1、請求項4または請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記第1の成分は、ドネペジル、ウデナフィル、シルデナフィル、タダラフィル、これらの化合物の薬剤学的に許容される塩および塩酸バルデナフィル、コハク酸スマトリプタン、塩酸ダポキサティン、塩酸オンダンセトロンよりなる群から選択されることを特徴とする請求項1、請求項4または請求項5に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水なしに服用可能であり、経口投与時に口腔内で速やかに溶解される微粒剤形に関する。より具体的には、苦味を遮蔽できるように、苦味を有する主成分からなる第1の成分を不連続相とし、糖または糖アルコール類からなる第2の成分を連続相とする凝集単位を含む微粒剤形に関する。本発明の微粒剤形は、苦味を遮蔽するとともに、経口投与時に口腔内の異物感および残留感がなく、さらに、口腔内で速やかに崩壊および溶解される特性がある。
【背景技術】
【0002】
通常の錠剤またはカプセル剤が投与し難い患者、例えば、老人患者または嚥下障害を示す患者に投与可能な代替投与剤形としては、口腔内速崩壊錠(ODT)、口腔内速崩壊フィルム(ODF)または口腔内速崩壊散剤が言及される。
【0003】
一方、このような特殊の剤形の場合、特定の有効成分を適用するに際しては、各剤形が有している固有の属性に起因して様々な制限が加えられる。例えば、口腔内速崩壊フィルムの場合、搭載可能な有効成分の量に制限があるとか、苦味を有する薬物を搭載する際に適用可能な苦味隠蔽の手段を講じ難いとか、いろいろな問題があり、口腔内速崩壊錠も同様に、苦味を有する薬物に適用し難いという制限がある。同様に、散剤の場合にも、散剤に含まれる有効成分の量が増えると、一回の容量が多過ぎるため投薬し難さがあり、且つ、苦味を有する薬物の場合に苦味の隠蔽のための別途の手段、例えば、シクロデキストリンとの包接化合物などを用いる場合、生産コストが高騰するため、実際に産業現場で適用可能な適切な産業的解決策であるとはいえない。
【0004】
特に、ODTまたはODFの場合、従来より様々な苦味隠蔽の手段が知られているが、散剤の場合には、通常の苦味隠蔽の手段を借用しようとする試みがなされてきただけであり、これまで苦味を有する薬物を散剤として製造するに当たって、散剤に特化された苦味隠蔽の手段が開発されていないのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明においては、苦味を有する薬物を散剤にするに当たって、比較的工程が簡単でありながらも、優れた苦味隠蔽効果を達成し得る技術的手段を提供するとともに、口腔内崩壊時間が非常に短く、且つ、口腔内における異物感および残留感がない新規な散剤剤形(従来にない剤形であるため、本明細書においてはこれを「微粒剤形」と称する。)を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明によれば、下記の技術的手段が提供される。
すなわち、(a)第1の成分を含む不連続相および第2の成分を含む連続相からなる凝集単位と、(b)薬剤学的に許容される賦形剤と、を含み、口腔内で速やかに溶解される薬剤学的組成物において、前記第1の成分は、薬理学的に活性を示す有効成分であり、前記第2の成分は、糖または糖アルコールであることを特徴とする薬剤学的組成物が提供される。
【0007】
また、前記薬剤学的組成物において、第2の成分は、キシリトール、マンニトール、イソマルト、ソルビトール、マルチトール、精製白糖、乳糖、イノシトール、エリスリトール、結晶果糖、トレハロース、リビトール、アラビトール、ガラクチトール、ラクチトールおよびマルトトリイトールよりなる群から選択されることを特徴とする薬剤学的組成物が提供される。
【0008】
さらに、前記薬剤学的組成物において、前記薬剤学的組成物は、高甘味剤をさらに含むことを特徴とする薬剤学的組成物が提供される。
【0009】
さらに、前記薬剤学的組成物において、前記高甘味剤は、連続相内に存在することを特徴とする薬剤学的組成物が提供される。
【0010】
さらに、前記薬剤学的組成物において、前記高甘味剤は、スクロース、デキストロース、フルクトース、グルコース、液状グルコース、マルトースサッカリン、シクラメート、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、アリテームおよびネオテームよりなる群から選択されることを特徴とする薬剤学的組成物が提供される。
【0011】
さらに、前記薬剤学的組成物を製造する方法として、(a)第2の成分の全部または一部を溶媒に溶解させるステップと、(b)前記溶媒に第1の成分を分散させて分散液を得るステップと、(c)前記溶液を乾燥して凝集単位を得るステップと、を含むことを特徴とする製造方法が提供される。
【0012】
また、前記製造方法において、凝集単位を得るときに結合剤を使用しないことを特徴とする製造方法が提供される。
【0013】
さらに、前記製造方法において、前記ステップ(a)においては、第2の成分および高甘味剤を一緒に溶媒に溶解させることを特徴とする製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、既存の通常の散剤や顆粒剤とは異なり、経口投与時に口腔内で速やかに崩壊される経口投与用微粒剤形を提供することができ、苦味を有する薬物の苦味隠蔽効果に優れており、投与後に口腔内における異物感および残留感がないという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、苦味隠蔽効果の評価結果を示す図である。
【
図4】
図4は、口腔内における溶解時間の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明における定義は、下記の通りである。
【0017】
本発明における「微粒剤形」とは、大韓薬典(韓国における薬局方)に規定されている散剤、細粒剤および顆粒剤を通称するもののことを言うが、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、微細粒子状あるいは一般粒子状の剤形のことをいう。
【0018】
特に、本発明の微粒剤形は、従来の通常の乾式法や湿式法を用いて造粒する過程において使用する結合剤を使用せず、且つ、特殊の製造方法を採用することにより連続相および不連続相からなる凝集単位の集合体のことをいう。
【0019】
本発明の「凝集単位」とは、有効成分と薬剤学的に許容される賦形剤または添加剤が物理的結合により凝集して接触している状態のことをいう。
【0020】
本発明における「不連続相」とは、凝集単位を構成する一つの要素である第1の成分が凝集単位において存在する様子を示すものであり、凝集単位内において第2の成分により全体的に取り囲まれて独立して存在する形態のことをいう。
【0021】
本発明における「連続相」とは、凝集単位を構成する他の一つの要素である第2の成分が凝集単位において存在する様子を示すものであり、凝集単位内において第1の成分を不連続相として存在させる形態のことをいう。
【0022】
本発明における「薬物」とは、本発明の剤形に含有可能であり、薬理学的に活性を示す有効成分のことをいい、苦味を有する薬物を含む。本発明は、剤形そのものに特徴を有する発明であり、単に有効成分がこの剤形に含有可能であるということをその基本的な前提としているため、このような有効成分に制限はない。但し、本発明に含有可能な有効成分としては、シルデナフィル、タダラフィル、ウデナフィル、ドネペジル、グリメピリド、デクスイブプロフェン、アセトアミノフェン、ピタバスタチン、レバミピド、アジスロマイシン、デスモプレシン、プランルカスト、塩酸偽性 エフェドリン、塩酸ラニチジン、塩酸レボセチリジンなどが挙げられ、上記の化合物の薬剤学的に許容される塩も含まれる。
【0023】
本発明における「糖または糖アルコール」とは、第2の成分を構成する要素であり、口腔内に投与したときに速やかに溶解され、本発明の製造工程を経て連続相を構成し得る担体である。その具体例としては、特に制限はないが、キシリトール、マンニトール、イソマルト、ソルビトール、マルチトール、精製白糖、乳糖、イノシトール、エリスリトール、結晶果糖、トレハロース、リビトール、アラビトール、ガラクチトール、ラクチトールおよびマルトトリイトールなど薬剤学的に許容可能な糖または糖アルコールおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0024】
本明細書における「異物感」とは、医薬品を口腔内に投与した後、服用した患者が投与された医薬品を異物として認識することにより不快感を引き起こす食感のことであり、例えば、砂のようなざらざらとした食感や口腔粘膜や舌に対する刺激的な食感、または、粘液性物質のようなべたべたとした食感を含む。
【0025】
本明細書における「残留感」とは、剤形を投与した後に相当の時間が経過して、例えば、経口投与後に約20秒が経過して有効成分を含む剤形が溶解されて吸収されたにも拘わらず、剤形または剤形の一部が口腔内に留まっているという感覚または口腔内から剤形の味や食感が除去されずに剤形服用の痕跡に関する感覚が口腔内に残っていることであり、異物感に達するほどではないが、患者によっては不快感を引き起こし得る食感のことをいう。
【0026】
このような残留感がある場合、さらに水や飲料を飲用しようとする欲求をもたらすことがあり、この場合、水なしに服用するという製剤の特性が発揮されないため、製剤の品質の向上のために異物感とともに必ず考慮すべき要素である。
【0027】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0028】
有効成分を散剤または顆粒剤の形で製造して投薬する場合には投薬量、口腔内における残留感または異物感の存在、苦味隠蔽などの様々な制約事項が存在する。これらの中で、苦味隠蔽の手段に関しては、通常の甘味剤を剤形に含める方法が伝統的であるが、薬物によっては、甘味剤だけで苦味を効果的に隠蔽することができない。このため、苦味を隠蔽し得る手段として、有効成分のpHを変化させて溶解度を調整するためにアルカリ化剤を用いること、包接化合物を用いること、または、高分子により有効成分をコーティングすることなどが考えられるが、このような方法では、優れた散剤を提供するために欠かせない特性、すなわち、口腔内における残留感または異物感がないこと、および口腔内で速やかに溶解されることを毀損し易い。一方、本発明による微粒剤形の場合、口腔に留まる滞留時間が短くは数秒、長くても約20〜30秒未満であるため、このような短い時間の間に剤形が瞬時に溶解されて胃腸管に移動するため、口腔内に留まる間に苦味が発現されないように隠蔽する手段を提供すれば、患者は苦味を感じないという点に着目して本発明を完成するに至った。
【0029】
すなわち、本発明は、有効成分の苦味を化学的な手段を用いて遮蔽しようとする従来の試みとは異なり、剤形を構成する凝集単位の内部構造の調節により苦味隠蔽を行うという点に特徴がある。
【0030】
より具体的に、本発明の凝集単位は、有効成分(第1の成分)と薬剤学的に許容される賦形剤(第2の成分)、すなわち、糖または糖アルコール類からなり、その他の製剤学的に通常的に添加可能な添加剤が含有されてもよい。本発明の凝集単位内には、前記第1の成分が不連続相として存在しなければならず、前記第2の成分は連続相として存在しなければならない。すなわち、前記第2の成分が第1の成分を取り囲む形で存在し、このとき、第1の成分は独立した不連続相を構成しながら第2の成分により取り囲まれることになる。また、第1の成分は第2の成分中に均一に分布されていることが好ましい。このような凝集単位を含む本発明の散剤を患者に投与する場合、不連続相を構成する第1の成分が有している苦味は、連続相を構成する第2の成分により口腔内で溶解されて苦味を感知する速度が瞬間的に遅延されるとともに、甘味を有している第2の成分と苦味を有する第1の成分が略同時に味蕾の微細胞を刺激することにより患者が苦味を感じないものと推測される。
【0031】
特に、凝集単位の形を本発明のように不連続相と連続相に区別せずに、通常の顆粒状にしたときには、苦味隠蔽効果が現れないという点で、本発明のような凝集単位の内部構造をとることにより、苦味隠蔽効果を発揮するということは非常に特殊な現象であると考えられる。
【0032】
一方、このように、凝集単位を不連続相および連続相からなるものに製造するためには、第2の成分を適切な溶媒に溶解した後に、この溶液に第1の成分を分散させることが必要である。このとき、溶媒としては、水、1〜4個の炭素原子を有する直鎖、側鎖または環状アルコールおよび3〜6個の炭素原子を有する直鎖、側鎖または環状ケトンよりなる群から選択される少なくとも一つの有機溶液を含む溶媒、またはこれらの混合溶液が使用可能である。最も好ましい一実施形態において、前記溶媒は、水である。前記第1の成分を分散させた後、分散液を乾燥することにより本発明の凝集単位を含む組成物が得られるが、このときの乾燥方式としては、溶媒蒸発法、噴霧乾燥法または凍結乾燥法などが採用可能であり、凝集単位の内部構造が連続相および不連続相により構成可能である限り、いかなる乾燥方式を採用しても構わない。このように乾燥された組成物を必要に応じて粉砕したり篩にかけたりして投与に適した大きさにし、且つ、薬剤学的に許容可能な賦形剤または添加剤を後混合することにより、本発明のマイクログラニュール製剤を得る。
【0033】
また、本発明においては、前記凝集単位に高甘味剤を含めてもよく、例えば、スクロース、デキストロース、フルクトース、グルコース、液状グルコース、マルトースサッカリン、シクラメート、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、アリテームおよびネオテームよりなる群から選択される高甘味剤を含めてもよい。このような高甘味剤は、後混合工程、すなわち、凝集単位とともに混合させて本発明の剤形に含めてもよく、苦味が激しい有効成分の場合、このような高甘味剤を連続相により構成することにより、苦味遮蔽の効果を一層高めてもよい。
【0034】
本発明においては、製剤の風味を改善して服用順応度を高めるために、薬剤学的に一つ以上の着香料が使用可能である。許容可能な着香料としては、オレンジフレーバー、ブドウフレーバー、リンゴフレーバー、レモンフレーバー、イチゴフレーバー、チェリーフレーバー、パイナップルフレーバー、バナナフレーバー、トゥッティフルッティフレーバー、ブルーベリーフレーバー、ペパーミントフレーバー、ココアフレーバー、ピーチフレーバーおよび牛乳フレーバーまたは薬剤学的に許容可能な着香料およびこれらの混合物が使用可能である。
【0035】
このようにして得られたマイクログラニュール製剤は、苦味隠蔽効果とともに、口腔内における崩壊速度が速く、口腔内における残留感および異物感がないという効果を有する。
【0036】
口腔内における異物感とは、上述したように、製剤を投与したときに口腔内でこれを異物として認識し、人に不快感を感じさせる感覚のことをいうが、本発明者の研究によれば、このような異物感は、投与した製剤が口腔内における微視的な崩壊および溶解パターンと密接な関連があるということに気付いた。すなわち、異物感を減らすためには投与直後に口腔内における崩壊および溶解が始まる必要があり、且つ、口腔内で崩壊および溶解される速度が非常に一定ではなければならないという知見を得た。
【0037】
特に、これを達成するためには、従来より顆粒剤を製造するときに必須的に使用せねばならないと考えられていた結合剤を使用しないことが重要であるという知見を得た。そこで、本発明においては、連続相を構成する第2の成分および/または甘味剤を溶媒に溶解させ、ここに第1の成分を分散させて乾燥するときに結合剤を使用しないことを他の特徴とする。すなわち、従来の顆粒剤とは異なり、結合剤を使用せず、凝集単位の内部構造を連続相および不連続相により構成することにより、製剤を投与したときに口腔内で瞬時に崩壊および溶解が始まるようにし、数秒から数十秒に至る微視的な区間において速やかに継続的な崩壊および溶解を発現させることにより、異物感が全くない新規な剤形を得るに至った。
【0038】
さらに、本発明者の研究によれば、このような凝集単位の内部構造は口腔内における残留感にも影響を及ぼすという知見を得、結合剤を使用しない場合、有効成分とともに製剤を構成する不活性賦形剤が口腔内に残留せずに、唾液とともに胃腸管に瞬時に移動することにより、製剤の投与後に口腔内への製剤の投与によるいかなる感じも残留していないということを確認した。
【0039】
特に、本発明の微粒剤形は、口腔内で速やかに崩壊および溶解されるという特性を有するが、これもまた、凝集単位を連続相および不連続相により構成するとともに、結合剤を使用しないことにより得られる効果であると考えられる。すなわち、本発明のように水なしに服用するその他の剤形、例えば、商業的に利用可能なODFまたはODTの場合、最小限の投与後に数十秒以上口腔内に留まるが、本発明は数秒内に(実質的には略投与と同時に)完全に崩壊および溶解されて胃腸管に移動し、これは、既存の「水なしに服用する剤形」とは非常に差別化されるものである。
【実施例】
【0040】
以下、実施例を挙げて本発明を説明する。但し、下記の実施例は本発明の例示的な実現例であり、本発明の権利範囲を制限するものではなく、本発明の技術思想内において様々な変形例が存在し得ることに留意されたい。
【0041】
実施例1〜7
様々な有効成分を用いて、本発明による凝集単位を含む薬剤学的組成物を製造した。すなわち、下記表1に示す成分および含量に応じて、第2の成分を溶媒に溶解させた後、第1の成分を加えて攪拌して分散させる。この分散液を乾燥させて本発明による凝集単位を得た。得られた凝集単位に粒子状態の糖または糖アルコールを後混合して本発明による薬剤学的組成物を製造した。且つ、製造された凝集単位を観察して内部構造が不連続相/連続相を帯びるか否かを確認した。
【0042】
【表1】
【0043】
比較例1〜7
実施例1〜7に対応するものであり、不連続相/連続相の区別がないように従来の技術の顆粒製造方式(湿式法)を用いて下記表2の含量を有するように製造した。
【0044】
【表2】
【0045】
実施例8〜実施例14
実施例1〜7の方法と同様にして薬剤学的組成物を製造するが、連続相内に高甘味剤を含めた。すなわち、第2の成分を溶媒に溶解させるときに高甘味剤を一緒に溶解させた後、ここに第1の成分を分散させて実施例1〜7の方法と同様にして本発明の薬剤学的組成物を製造した。具体的な含量および成分を下記表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
実験例1:苦味隠蔽効果の確認
前記実施例1〜14および比較例1〜7において製造した薬剤学的組成物に対して健常な成人20名を対象に苦味に対する官能評価を行った。その試験結果を下記の評価基準に基づき、評価して示す。このとき、全ての試験において試験対象者に盲検を維持した。
【0048】
0点:苦味が全くない。
1点:苦味がほとんどない。
2点:やや苦味がある。
3点:苦味がある。
4点:苦味が非常に激しい。
【0049】
下記表4〜6にそれぞれの被験者が採点した結果を示す。
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】
上記表4〜6に基づいて、同じ主成分に対して実施例と比較例のt−検定により有意性の判断をすれば、下記表7〜8の通りである。すなわち、実施例1〜7および8〜14は、いずれも比較例1〜7と統計的に有意差があることが立証された。
【0054】
【表7】
【0055】
【表8】
【0056】
実験例2:口腔内における異物感の実験
前記実施例1〜14および比較例1〜7において製造した薬剤学的組成物に対して健常な成人20名を対象に口腔内における異物感に対する官能評価を行った。その試験結果を下記の評価基準に基づき、評価して示す。このとき、全ての試験において試験対象者に盲検を維持した。
【0057】
0点:異物感が全くない。
1点:異物感がほとんどない。
2点:やや異物感がある。
3点:異物感がある。
4点:異物感が非常に激しい。
【0058】
下記表9〜11にそれぞれの被験者が採点した結果を示す。
【0059】
【表9】
【0060】
【表10】
【0061】
【表11】
【0062】
上記表9〜11に基づいて、同じ主成分に対して実施例と比較例のt−検定により有意性の判断をすれば、下記表12〜13の通りである。すなわち、実施例1〜7および8〜14は、いずれも比較例1〜7と統計的に有意差があることが立証された。
【0063】
【表12】
【0064】
【表13】
【0065】
実験例3:口腔内における残留感の実験
前記実施例1〜14および比較例1〜7において製造した薬剤学的組成物に対して健常な成人20名を対象に口腔内における残留感に対する官能評価を行った。その試験結果を下記の評価基準に基づき、評価して示す。このとき、全ての試験において試験対象者に盲検を維持した。
【0066】
0点:残留感が全くない。
1点:残留感がほとんどない。
2点:やや残留感がある。
3点:残留感がある。
4点:残留感が非常に激しい。
【0067】
下記表14〜16にそれぞれの被験者が採点した結果を示す。
【0068】
【表14】
【0069】
【表15】
【0070】
【表16】
【0071】
上記表14〜16に基づいて、同じ主成分に対して実施例と比較例のt−検定により有意性の判断をすれば、下記表17〜18の通りである。すなわち、実施例1〜7および8〜14は、いずれも比較例1〜7と統計的に有意差があることが立証された。
【0072】
【表17】
【0073】
【表18】
【0074】
実験例4:口腔内における溶解時間の試験
前記実施例1〜14および比較例1〜7において製造した薬剤学的組成物に対して健常な成人20名を対象に口腔内における溶解時間に対する試験を行った。口腔内における溶解時間は、口腔内に製剤を投与した時間から完全に溶解される時間までストップウォッチを用いて測定した。下記表19〜21にそれぞれの被験者が測定した結果を示す。このとき、全ての試験において試験対象者に盲検を維持した。
【0075】
【表19】
【0076】
【表20】
【0077】
【表21】
【0078】
上記表19〜21に基づいて、同じ主成分に対して実施例と比較例のt−検定により有意性の判断をすれば、下記表22〜23の通りである。すなわち、実施例1〜7および8〜14は、いずれも比較例1〜7と統計的に有意差があることが立証された。
【0079】
【表22】
【0080】
【表23】
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の微粒剤形は、苦味を有する有効成分の苦味隠蔽を凝集単位の内部構造を用いて調節した剤形であり、異物感および残留感がなく、口腔内で速やかに崩壊および溶解される新規な剤形である。特に、本発明の剤形は、有効成分の種類とは無関係に発明の効果を達成することができるので、様々な有効成分に適用可能である。なお、製造工程が比較的に単純であるため、安価に高い効率の工程を実現することができる。