特許第6755364号(P6755364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6755364動作実行装置、動作実行方法および動作実行プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6755364
(24)【登録日】2020年8月27日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】動作実行装置、動作実行方法および動作実行プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/44 20180101AFI20200907BHJP
【FI】
   G06F9/44
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-100118(P2019-100118)
(22)【出願日】2019年5月29日
【審査請求日】2020年1月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 啓介
(72)【発明者】
【氏名】河合 優佑
(72)【発明者】
【氏名】廣木 健人
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】 石川 雄太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−164785(JP,A)
【文献】 特開2018−185720(JP,A)
【文献】 特開2015−079484(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/072977(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0245315(US,A1)
【文献】 特開2011−170643(JP,A)
【文献】 特開2005−250732(JP,A)
【文献】 特開2017−134572(JP,A)
【文献】 特開2017−211902(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/087076(WO,A1)
【文献】 特開2005−107823(JP,A)
【文献】 KOFAX,Kofax RPA ユーザガイド [online],2019年 1月22日,バージョン:10.4.0,p.1, 82-88,URL,https://docshield.kofax.com/RPA/ja_JA/10.4.0_rp4hrvtqrq/print/KofaxRPAUsersGuide_JA.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/44−9/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部および記憶部を備える動作実行装置であって、
前記記憶部には、
画面上で実行される複数の動作が、実行される順に定義されており、かつ、前記動作終了後に待機処理を行う旨または行わない旨が各々の前記動作に対して設定されている実行定義データと、
ある前記動作を終了してから次の前記動作に遷移する際の速度を識別するための実行速度識別データと、前記待機処理を行う時間である待機処理時間と、を紐付けて含む実行速度設定マスタと、
が格納されており、
前記制御部は、
前記実行速度設定マスタから、指定された実行速度識別データと紐付く待機処理時間を取得する取得手段と、
前記実行定義データで定義されている前記複数の動作を、前記定義されている順に、前記実行定義データで前記待機処理を行う旨が設定されている前記動作については前記動作終了後に前記取得手段で取得した待機処理時間だけ待機処理を行いながら実行する動作実行手段と、
を備えること、
を特徴とする動作実行装置。
【請求項2】
前記待機処理時間が、前記動作の終了後に前記実行定義データの設定に起因せず発生した待ち時間である外部待ち時間を含めて最低限待機するべき時間として定めた最低待機処理時間、または、前記動作の終了後に前記外部待ち時間の後に更に附加して待機するべき時間として定めた附加待機処理時間であり、
前記動作実行手段は、
前記待機処理時間が前記最低待機処理時間であって、かつ、前記最低待機処理時間が前記外部待ち時間より長い場合、前記最低待機処理時間だけ待機処理を行いながら前記動作を実行し、
前記待機処理時間が前記最低待機処理時間であって、かつ、前記最低待機処理時間が前記外部待ち時間より短い場合、前記外部待ち時間だけ待機処理を行いながら前記動作を実行し、
前記待機処理時間が前記附加待機処理時間である場合、前記外部待ち時間に前記附加待機処理時間を附加した時間だけ待機処理を行いながら前記動作を実行すること、
を特徴とする請求項1に記載の動作実行装置。
【請求項3】
制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される動作実行方法であって、
前記記憶部には、
画面上で実行される複数の動作が、実行される順に定義されており、かつ、前記動作終了後に待機処理を行う旨または行わない旨が各々の前記動作に対して設定されている実行定義データと、
ある前記動作を終了してから次の前記動作に遷移する際の速度を識別するための実行速度識別データと、前記待機処理を行う時間である待機処理時間と、を紐付けて含む実行速度設定マスタと、
が格納されており、
前記制御部で実行される、
前記実行速度設定マスタから、指定された実行速度識別データと紐付く待機処理時間を取得する取得ステップと、
前記実行定義データで定義されている前記複数の動作を、前記定義されている順に、前記実行定義データで前記待機処理を行う旨が設定されている前記動作については前記動作終了後に前記取得ステップで取得した待機処理時間だけ待機処理を行いながら実行する動作実行ステップと、
を含むこと、
を特徴とする動作実行方法。
【請求項4】
制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための動作実行プログラムであって、
前記記憶部には、
画面上で実行される複数の動作が、実行される順に定義されており、かつ、前記動作終了後に待機処理を行う旨または行わない旨が各々の前記動作に対して設定されている実行定義データと、
ある前記動作を終了してから次の前記動作に遷移する際の速度を識別するための実行速度識別データと、前記待機処理を行う時間である待機処理時間と、を紐付けて含む実行速度設定マスタと、
が格納されており、
前記制御部に実行させるための、
前記実行速度設定マスタから、指定された実行速度識別データと紐付く待機処理時間を取得する取得ステップと、
前記実行定義データで定義されている前記複数の動作を、前記定義されている順に、前記実行定義データで前記待機処理を行う旨が設定されている前記動作については前記動作終了後に前記取得ステップで取得した待機処理時間だけ待機処理を行いながら実行する動作実行ステップと、
を含むこと、
を特徴とする動作実行プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作実行装置、動作実行方法および動作実行プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画面の操作を伴うテストに利用されるテストスクリプトの修正の精度を向上させることを目的とするテストスクリプト修正装置及びテストスクリプト修正プログラムが開示されている(特許文献1の0001段落および0015段落等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−92362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような画面操作の自動化に関する技術を扱う分野においては、近年、RPA(Robotic Process Automation)ツールを様々な利用目的で使いたいという要望がある。RPAにより、画面上の項目に自動的に値を入力することや、画面上の項目を自動でクリックすること等ができる。前記様々な利用目的とは、例えば、データ入力におけるRPAの利用、デモンストレーションにおけるRPAの利用および負荷テストにおけるRPAの利用等である。
【0005】
ここで、前記利用目的に応じて、PRAの実行速度を変更したいという要望がある。例えば、図2に示すように、利用目的が「データ入力」である場合には、RPAの実行速度を「最速」に設定し(図2のPRA実行定義1)、利用目的が「デモンストレーション」である場合には、2秒の待機処理を動作間に設定することでRPAの実行速度を「視認可能速度」に設定し(図2のPRA実行定義2)、利用目的が「負荷テスト」である場合には、乱数秒の待機処理を動作間に設定することでRPAの実行速度を「人間入力を再現した速度」に設定する(図2のPRA実行定義3)というものである。しかしこの場合、画面上の同じ項目に同じ値を入力するにも関わらず、実行したい速度ごとに実行定義データを作成する必要がある(すななち、複数の実行定義データを作成する必要がある)ため、実行定義データの作成に多大な労力およびコストがかかるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、実行定義データとは別に、実行したい速度を設定するためのマスタ(実行速度設定マスタ)を有することにより、予め設定したたった1つの実行定義データに基づいて、ユーザが所望する速度で動作を実行できる動作実行装置、動作実行方法および動作実行プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る動作実行装置は、制御部および記憶部を備える動作実行装置であって、前記記憶部には、画面上で実行される複数の動作が、実行される順に定義されており、かつ、前記動作終了後に待機処理を行う旨または行わない旨が各々の前記動作に対して設定されている実行定義データと、ある前記動作を終了してから次の前記動作に遷移する際の速度を識別するための実行速度識別データと、前記待機処理を行う時間である待機処理時間と、を紐付けて含む実行速度設定マスタと、が格納されており、前記制御部が、前記実行速度設定マスタから、指定された実行速度識別データと紐付く待機処理時間を取得する取得手段と、前記実行定義データで定義されている前記複数の動作を、前記定義されている順に、前記実行定義データで前記待機処理を行う旨が設定されている前記動作については前記動作終了後に前記取得手段で取得した待機処理時間だけ待機処理を行いながら実行する動作実行手段と、を備えること、を特徴とする。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る動作実行装置は、前記待機処理時間が、前記動作の終了後に前記実行定義データの設定に起因せず発生した待ち時間である外部待ち時間を含めて最低限待機するべき時間として定めた最低待機処理時間、または、前記動作の終了後に前記外部待ち時間の後に更に附加して待機するべき時間として定めた附加待機処理時間であり、前記動作実行手段が、前記待機処理時間が前記最低待機処理時間であって、かつ、前記最低待機処理時間が前記外部待ち時間より長い場合、前記最低待機処理時間だけ待機処理を行いながら前記動作を実行し、前記待機処理時間が前記最低待機処理時間であって、かつ、前記最低待機処理時間が前記外部待ち時間より短い場合、前記外部待ち時間だけ待機処理を行いながら前記動作を実行し、前記待機処理時間が前記附加待機処理時間である場合、前記外部待ち時間に前記附加待機処理時間を附加した時間だけ待機処理を行いながら前記動作を実行すること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る動作実行方法は、制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される動作実行方法であって、前記記憶部には、画面上で実行される複数の動作が、実行される順に定義されており、かつ、前記動作終了後に待機処理を行う旨または行わない旨が各々の前記動作に対して設定されている実行定義データと、ある前記動作を終了してから次の前記動作に遷移する際の速度を識別するための実行速度識別データと、前記待機処理を行う時間である待機処理時間と、を紐付けて含む実行速度設定マスタと、が格納されており、前記制御部で実行される、前記実行速度設定マスタから、指定された実行速度識別データと紐付く待機処理時間を取得する取得ステップと、前記実行定義データで定義されている前記複数の動作を、前記定義されている順に、前記実行定義データで前記待機処理を行う旨が設定されている前記動作については前記動作終了後に前記取得ステップで取得した待機処理時間だけ待機処理を行いながら実行する動作実行ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る動作実行プログラムは、制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための動作実行プログラムであって、前記記憶部には、画面上で実行される複数の動作が、実行される順に定義されており、かつ、前記動作終了後に待機処理を行う旨または行わない旨が各々の前記動作に対して設定されている実行定義データと、ある前記動作を終了してから次の前記動作に遷移する際の速度を識別するための実行速度識別データと、前記待機処理を行う時間である待機処理時間と、を紐付けて含む実行速度設定マスタと、が格納されており、前記制御部に実行させるための、前記実行速度設定マスタから、指定された実行速度識別データと紐付く待機処理時間を取得する取得ステップと、前記実行定義データで定義されている前記複数の動作を、前記定義されている順に、前記実行定義データで前記待機処理を行う旨が設定されている前記動作については前記動作終了後に前記取得ステップで取得した待機処理時間だけ待機処理を行いながら実行する動作実行ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、実行定義データとは別に、実行したい速度を設定するためのマスタ(実行速度設定マスタ)を有することにより、予め設定したたった1つの実行定義データに基づいて、ユーザが所望する速度で動作を実行できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、動作実行装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、従来における実行定義の作成の一例を示す図である。
図3図3は、RPAツール実行画面の一例を示す図である。
図4図4は、実行速度設定マスタの一例を示す図である。
図5図5は、実行定義データの一例を示す図である。
図6図6は、最低待機処理時間を用いる場合の動作実行の一例を示す図である。
図7図7は、附加待機処理時間を用いる場合の動作実行の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る動作実行装置、動作実行方法および動作実行プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0014】
[1.背景と概要]
同じ操作を行うRPAツールを、様々な目的で使いたいという要望が近年ある。例えば、システムを導入するフロー(提案→開発→テスト→お客様利用)において、提案の段階では、デモンストレーションでRPAを使いたいという要望があり、テストの段階では、負荷テスト等でRPAを使いたいという要望がり、お客様利用の段階では、動画マニュアルやデータ入力でRPAを使いたいという要望がある。なお、各用語の意味は、次段落に示すとおりである。
【0015】
・PRAツール・・・パソコン作業を自動化する業務効率化ツールのこと。アプリケーションへの入力を自動で行うことができる。
・デモンストレーション・・・自社ソフトを実際に動かし、お客様に製品イメージをつけてもらう。
・負荷テスト・・・繁忙期や朝の時間帯など、アプリケーションを同時に複数人使用した場合のサーバの負荷を調べるテストのこと。
・動画マニュアル・・・自社ソフトの操作手順がわかる動画のこと。文章のマニュアルより視覚的でわかりやすい。
【0016】
このように、RPAツールには様々な利用目的が存在するため、利用目的ごとにRPAの実行速度を変更したいという要望がある。具体的には、
(1)利用目的が「データ入力(伝票入力等)」等である場合には、効率的に入力をするために、RPAの実行速度を「最速」にし、
(2)利用目的が「デモンストレーション、動画マニュアルおよびPRAツール作成中」等である場合には、RPAの実行速度を「視認できる一定速度」にし、
(3)利用目的が「負荷テスト(DBサーバやアプリケーションサーバに対する負荷を調べるテスト)」等である場合には、適切な負荷を再現するため、RPAの実行速度を「人の入力を再現する速度」にし、
(4)利用目的が「日中のデータ投入時は標準速度で入力し、夜間および土日は最速で入力」等である場合には、サーバの負荷を考慮するため、RPAの実行速度を「状況に応じて変更可能な速度」にする
という設定である。
【0017】
当該設定を実現するためには、従来においては、全く同じ項目に同じ値を入力する実行定義であったとしても、実行したい速度ごとに定義を複数作成する必要があった。具体的には、従来においては、図2に示すように、最速で実行したい場合(「データ入力」を行う場合等)には、RPA実行定義1に示すように待機処理を設定せず、視認できる速度で実行したい場合(「デモンストレーション」を行う場合等)には、RPA実行定義2に示すように例えば2秒間の待機処理を動作間に設定し、人の入力を再現したい場合(「負荷テスト」を行う場合等)には、RPA実行定義3に示すように例えば乱数を生成する待機処理を動作間に設定するという対応を行っていた。
【0018】
しかしながら、このようにRPAの実行速度に応じた複数の実行定義を作成すると、作成コストが高くなるという問題があった。また、実行定義の中に待機処理を挟むことで、定義項目(実行定義中の1つ1つの項目)が増加し実行定義が複雑になってしまう(見通しが悪くなる)という問題や、待機処理の定義項目を増やす手間がかかるという問題や、実行定義の変更が難しくなるという問題があった。
【0019】
そこで、本実施形態においては、例えば、RPA実行定義を設定するためのデータ(実行定義データ)と実行速度設定を設定するためのマスタ(実行速度設定マスタ)とを分離することで、1つの実行定義データを利用目的に応じて使い分けることができるようにした。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0020】
[2.構成]
本実施形態に係る動作実行装置100の構成の一例について、図1を参照して説明する。図1は、動作実行装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
動作実行装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、動作実行装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0022】
動作実行装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。動作実行装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0023】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、動作実行装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、動作実行装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する各種マスタ等のデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0024】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0025】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0026】
記憶部106は、例えば、実行定義データ106aと、実行速度設定マスタ106bと、を備えている。
【0027】
実行定義データ106aには、画面上で実行される複数の動作が、実行される順に定義されており、かつ、前記動作終了後に待機処理を行う旨または行わない旨が各々の前記動作に対して設定されている。具体的には、図5に示す実行定義データ106aは、「テキストボックスAに値を代入」という実行定義項目(図5の実行定義項目A)と、「テキストボックスBに値を代入」という実行定義項目(図5の実行定義項目B)と、「チェックボックスAにチェック」という実行定義項目(図5の実行定義項目C)と、「ボタンAを押下」という実行定義項目(図5の実行定義項目D)と、を含む。そして、実行定義項目Aは、「テキストボックスAに代入して値をセット」という動作(図5の動作A)と当該動作終了後の待機処理(図5の待機処理A)とを含み、実行定義項目Bは、「テキストボックスBに代入して値をセット」という動作(図5の動作B)と当該動作終了後の待機処理(図5の待機処理B)とを含み、実行定義項目Cは、「チェックボックスAにチェックして値をセット」という動作(図5の動作C)と当該動作終了後の待機処理(図5の待機処理C)とを含み、実行定義項目Dは、「ボタンAを押下してクリック」という動作(図5の動作D)と当該動作終了後の待機処理(図5の待機処理D)とを含む。
【0028】
なお、図5に示す実行定義データ106aの例においては、すべての動作の終了後に待機処理を行う旨が設定されているが、特定の動作の終了後には待機処理を行わない旨を設定してもよい。また、各動作終了後の待機処理を行う時間は、同じ長さではなく、異なる長さ(すなわち可変)であってもよい。
【0029】
このように、実行定義データ106aにおいて、待機処理を実行定義項目A〜Dの内部に組み込む設定を行うことで、例えば、少ない実行定義項目で処理を定義できるようになり、また、実行定義データ106aが見やすくなり、そして、実行定義データ106aの作成コストを削減することができる。
【0030】
実行速度設定マスタ106bは、図4に示すように、ある前記動作を終了してから次の前記動作に遷移する際の速度を識別するための実行速度識別データ(実行速度設定)と、前記待機処理を行う時間である待機処理時間(待機処理(秒))と、を紐付けて含む。前記実行速度設定および前記待機処理(秒)の組合せの例としては、図4の実行速度設定マスタ106bに示すように、実行速度設定「最速」および待機処理「0秒」の組合せ(つまり、ある動作を終了してから次の動作に遷移するまでの間隔が0秒)、実行速度設定「視認可能速度」および待機処理「2秒」の組合せ(つまり、ある動作を終了してから次の動作に遷移するまでの間隔が2秒)、ならびに、実行速度設定「人間入力再現」および待機処理「2〜4秒」の組合せ(つまり、ある動作を終了してから次の動作に遷移するまでの間隔が2〜4秒)等が挙げられる。
【0031】
ここで、ある動作を終了してから次の動作に遷移するまでの間隔は、前段落で説明したように、待機処理時間として設定された時間と同じとなるのが原則である。しかしながら例外的に、データベースのロード等に要する外部の待ち時間を考慮する場合には、ある動作を終了してから次の動作に遷移するまでの間隔は、最低待機処理時間や附加待機処理時間を考慮した時間となる。
【0032】
前記最低待機処理時間とは、動作の終了後に実行定義データ106aの設定に起因せず発生した待ち時間である外部待ち時間を含めて最低限待機するべき時間として定めた待機処理時間である。
【0033】
前記附加待機処理時間とは、動作の終了後に前記外部待ち時間の後に更に附加して待機するべき時間として定めた待機処理時間である。
【0034】
制御部102は、動作実行装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0035】
制御部102は、機能概念的に、例えば、(1)前記実行速度設定マスタから、指定された実行速度識別データと紐付く待機処理時間を取得する取得手段としての取得部102aと、(2)前記実行定義データで定義されている前記複数の動作を、前記定義されている順に、前記実行定義データで前記待機処理を行う旨が設定されている前記動作については前記動作終了後に前記取得手段で取得した待機処理時間だけ待機処理を行いながら実行する動作実行手段としての動作実行部102bと、を備えている。
【0036】
取得部102aは、実行速度識別データ(実行速度設定)と待機処理時間(待機処理(秒))とを含む実行速度設定マスタ106b(図4参照)から、指定された実行速度識別データ(実行速度設定)と紐付く待機処理時間(待機処理(秒))を取得する。
【0037】
動作実行部102bは、実行定義データ106a(図5参照)で定義されている複数の動作を、前記定義されている順に、実行定義データ106a(図5参照)で待機処理を行う旨が設定されている動作については動作終了後に取得手段102aで取得した待機処理時間だけ待機処理を行いながら実行する。なお、動作実行部102bは、前記外部待ち時間を考慮する場合は、以下で説明するように動作を実行する。
【0038】
前記待機処理時間が前記最低待機処理時間であって、かつ、前記最低待機処理時間が前記外部待ち時間より長い場合、動作実行部102bは、前記最低待機処理時間だけ待機処理を行いながら前記動作を実行する。これに対して、前記待機処理時間が前記最低待機処理時間であって、かつ、前記最低待機処理時間が前記外部待ち時間より短い場合、動作実行部102bは、前記外部待ち時間だけ待機処理を行いながら動作を実行する。
【0039】
一方で、前記待機処理時間が前記附加待機処理時間である場合、動作実行部102bは、前記外部待ち時間に前記附加待機処理時間を附加した時間だけ待機処理を行いながら動作を実行する。
【0040】
[3.処理]
本項目では、本実施形態に係る処理の具体例を説明する。ここで、パソコン等の画面上で動作が実行される際には、[2.構成]の実行速度設定マスタ106bについての説明箇所で説明したように、前記外部待ち時間が発生する場合もある。このため、以下においては、前記外部待ち時間を考慮しない場合の動作実行を[3−1]で説明し、前記外部待ち時間を考慮する場合の動作実行を[3−2]で説明する。
【0041】
[3−1.外部待ち時間を考慮しない場合の動作実行]
まず、オペレータによって、RPAツール実行画面(図3参照)から、「最速」、「視認可能速度」および「人間入力再現」のいずれかの実行速度が指定される。実行速度が指定された上で、RPAツール実行画面(図3参照)内の「実行」のボタンが押下されると、取得部102aおよび動作実行部102bは、以下の処理を実行する。本例においては、「視認可能速度」が指定された場合について説明する。また、本例においては、実行定義データ106aの設定内容は図5に示すとおりであり、実行速度設定マスタ106bの設定内容は図4に示すとおりであるものとして、説明を進める。
【0042】
はじめに、取得部102aは、実行速度設定マスタ106b(図4参照)から、指定された実行速度である「視認可能速度」と紐付く待機処理時間として、「2秒」を取得する。
【0043】
続いて、動作実行部102bは、実行定義データ106a(図5参照)で定義されている動作である「テキストボックスAに値を代入」、「テキストボックスBに値を代入」、「チェックボックスAにチェック」および「ボタンAを押下」を、この順に、実行定義データ106a(図5参照)で待機処理を行う旨が設定されている箇所については取得部102aで取得した待機処理時間「2秒」だけ待機処理を行いながら実行する。
【0044】
具体的には、動作実行部102bは、テキストボックスAに値を代入→2秒待機→テキストボックスBに値を代入→2秒待機→チェックボックスAにチェック→2秒待機→ボタンAを押下→2秒待機という順で動作を実行する。
【0045】
以上、[3−1]で説明したように、本実施形態に係る動作実行装置100によれば、従来のように事前に実行速度に応じた複数の定義を作成する必要がなく、RPAツールを実行するタイミングで、RPAツール実行画面(図3参照)からの指定により実行速度を設定することができる。
【0046】
[3−2.外部待ち時間を考慮する場合の動作実行]
前記外部待ち時間を考慮する場合、「待機処理時間」は、前記最低待機処理時間としてもよいし、前記附加待機処理時間としてもよい。以下、前記最低待機処理時間を用いる場合における動作実行部102bの動作実行について図6を用いて説明し、前記附加待機処理時間を用いる場合における動作実行部102bの動作実行について図7を用いて説明する。なお、以下の説明ならびに図6および図7においては、前記外部待ち時間を「実際処理時間」と表現することがあるが、意味は同じである。
【0047】
(1)最低待機処理時間を用いる場合
図6の(A)の例では、最低待機処理時間が1秒であるのに対し、実際処理時間は0.7秒である。すなわち、最低待機処理時間>実際処理時間となるため、動作実行部102bは、待ち時間として、最低待機処理時間1秒を採用する。このため、動作実行部102bは、ある動作を実行→1秒待機→次の動作を実行という様に処理を実行する。
【0048】
これに対して、図6の(B)の例では、最低待機処理時間が1秒であるのに対し、実際処理時間は1.3秒である。すなわち、最低待機処理時間<実際処理時間となるため、動作実行部102bは、待ち時間として、実際処理時間1.3秒を採用する。このため、動作実行部102bは、ある動作を実行→1.3秒待機→次の動作を実行という様に処理を実行する。
【0049】
以上、(1)で説明した最低待機処理時間を利用すれば、1処理ごとの実行時間のバラツキを少なくでき、視認しやすくなるため、最低待機処理時間は、一定速度で処理を実行したい場合(例えば、デモンストレーション)に用いると効果的である。
【0050】
(2)附加待機処理時間を用いる場合
図7の例では、実際処理時間が0.7秒であり、附加待機処理時間が1秒である。このため、動作実行部102bは、待ち時間として、0.7秒と1秒の和である1.7秒を採用する。したがって、動作実行部102bは、ある動作を実行→1.7秒待機→次の動作を実行という様に処理を実行する。
【0051】
以上、(2)で説明した附加待機処理時間を利用すれば、実際処理時間の後に確実に待機処理を行うことができるため、附加待機処理時間は、サーバ負荷を軽減したい場合(例えば、利用人数の多い時間帯でのRPA実行)に用いると効果的である。
【0052】
(3)まとめ
以上、[3−2]で説明したように、本実施形態に係る動作実行装置100によれば、(1)で説明した最低待機処理時間および(2)で説明した附加待機処理時間を、状況や利用目的に応じて使い分けることが可能である。
【0053】
[4.本実施形態のまとめ]
このように、本実施形態に係る動作実行装置100によれば、実行定義データとは別に、実行したい速度を設定するためのマスタ(実行速度設定マスタ)を有することにより、予め設定したたった1つの実行定義データに基づいて、ユーザが所望する速度で動作を実行できる。
【0054】
ここで、アプリケーション自動操作時に実行速度の調整をするためには、従来においては、以下の1〜2の対応が必要であった。
1.全く同じ項目に同じ値を入力する実行定義であったとしても、実行したい速度ごとに定義を複数作成する必要があった。
2.実行速度を遅らせる場合には、実行定義項目として待機処理を挟む必要があった。
上記1〜2に起因して、従来においては、実行定義作成にコストがかかってしまうという問題があった。
【0055】
そこで、本実施形態においては、例えば、RPA実行定義(実行定義データ106a)と実行速度設定(実行速度設定マスタ106b)とを分離して定義し、RPAを実行するタイミングで実行速度を設定できるようにした。これにより、例えば、以下の1〜2の効果を奏する。
1.全く同じ項目に同じ値を入力する実行定義を実行速度に応じて複数作成する必要がなくなり、同じ定義を使い回せるようになった。
2.実行定義の項目に待機処理を挟む必要がなく、1つの定義作成にかかるコストを削減できるようになった。
【0056】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0057】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0058】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0059】
また、動作実行装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0060】
例えば、動作実行装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて動作実行装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0061】
また、このコンピュータプログラムは、動作実行装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0062】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0063】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0064】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0065】
また、動作実行装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、動作実行装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0066】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、あらゆる業界および業種において有用であるが、特に、パソコン作業を自動化することによる業務効率化を課題とする分野においては極めて有用である。
【符号の説明】
【0068】
100 動作実行装置
102 制御部
102a 取得部
102b 動作実行部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 実行定義データ
106b 実行速度設定マスタ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
【要約】
【課題】実行定義データとは別に、実行したい速度を設定するためのマスタ(実行速度設定マスタ)を有することにより、予め設定したたった1つの実行定義データに基づいて、ユーザが所望する速度で動作を実行できる動作実行装置、動作実行方法および動作実行プログラムの提供を課題とする。
【解決手段】本実施形態では、(1)実行速度識別データと待機処理時間とを含む実行速度設定マスタから、指定された実行速度識別データと紐付く待機処理時間を取得し、(2)実行定義データで定義されている複数の動作を、前記定義されている順に、前記実行定義データで待機処理を行う旨が設定されている前記動作については前記動作終了後に前記(1)で取得した待機処理時間だけ待機処理を行いながら実行する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7