特許第6755425号(P6755425)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6755425
(24)【登録日】2020年8月27日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】燃料電池装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04746 20160101AFI20200907BHJP
   H01M 8/0612 20160101ALI20200907BHJP
   H01M 8/2475 20160101ALI20200907BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20200907BHJP
   H01M 8/043 20160101ALI20200907BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20200907BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20200907BHJP
【FI】
   H01M8/04746
   H01M8/0612
   H01M8/2475
   H01M8/04537
   H01M8/043
   H01M8/0432
   !H01M8/12 101
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-54990(P2020-54990)
(22)【出願日】2020年3月25日
【審査請求日】2020年3月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】宅和 雄也
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 雅也
(72)【発明者】
【氏名】井上 修一
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 聡
(72)【発明者】
【氏名】太田 光国
【審査官】 橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−162746(JP,A)
【文献】 特開2015−204172(JP,A)
【文献】 特開2013−073903(JP,A)
【文献】 特開2012−156121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M8/00−8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原燃料ガスを水蒸気改質して水素を含む燃料ガスを生成する改質部と、
前記改質部で生成された前記燃料ガスが供給されるアノード及び酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料電池と、
発電反応で用いられた後に前記アノードから排出される排出燃料ガスに含まれる前記燃料ガスを燃焼させ、その燃焼熱によって前記改質部を加熱する燃焼部と、
前記改質部への原燃料ガスの供給量を調節する原燃料供給量調節部と、
前記改質部への改質用水の供給量を調節する水供給量調節部と、
前記カソード及び前記燃焼部への前記酸素ガスの供給量を調節する酸素供給量調節部と、
前記原燃料供給量調節部及び前記酸素供給量調節部及び前記水供給量調節部の動作を制御する運転制御部とを備え、
前記改質部と前記燃料電池と前記燃焼部とは筐体の内部に収容され、
前記運転制御部は、前記燃料電池の出力電流が安定した状態で、前記改質部への原燃料ガスの供給量を目標原燃料供給量まで減少させ且つ前記改質部への改質用水の供給量を目標水供給量まで減少させることで前記燃料電池での燃料利用率を上昇させる燃料利用率上昇処理を行う場合、前記水供給量調節部の動作を制御して前記改質部への改質用水の供給量の減少を開始した後に所定の処理継続条件が満たされたか否かを判定し、前記処理継続条件が満たされた後に前記改質部への原燃料ガスの供給量の減少を開始させる燃料電池装置。
【請求項2】
前記筐体の内部の所定部位の温度を検出する内部温度検出部を備え、
前記運転制御部は、前記内部温度検出部が検出する前記筐体の内部の温度が所定期間連続して基準内部温度以上である場合、前記処理継続条件が満たされたと判定する請求項1に記載の燃料電池装置。
【請求項3】
前記燃料電池の出力電圧を検出する出力電圧検出部を備え、
前記運転制御部は、前記改質部への改質用水の供給量の減少を開始した後、前記出力電圧検出部が検出する前記燃料電池の出力電圧が所定期間連続して基準電圧以上である場合、前記処理継続条件が満たされたと判定する請求項1又は2に記載の燃料電池装置。
【請求項4】
前記運転制御部は、所定の待機時間が経過した場合、前記処理継続条件が満たされたと判定する請求項1〜3の何れか一項に記載の燃料電池装置。
【請求項5】
前記燃料電池の出力電力及び出力電流のうちの少なくとも出力電流を出力情報として検出する出力情報検出部を備え、
前記運転制御部は、前記出力情報検出部の検出結果に基づいて前記燃料電池の前記出力情報が前記燃料利用率上昇処理を行う条件を満たしたと判定した場合に当該燃料利用率上昇処理を行う請求項1〜4の何れか一項に記載の燃料電池装置。
【請求項6】
前記運転制御部は、前記出力情報検出部の検出結果に基づいて、前記燃料電池が定格出力で設定期間動作した場合に前記燃料利用率上昇処理を行う条件を満たしたと判定する請求項5に記載の燃料電池装置。
【請求項7】
前記運転制御部は、前記燃料利用率上昇処理を行っている間に前記燃料電池の出力が定格出力ではなくなった場合、前記燃料利用率上昇処理を中止して、前記燃料電池での燃料利用率が元の値に戻るように前記改質部への原燃料ガスの供給量と前記改質部への改質用水の供給量を調節する請求項6に記載の燃料電池装置。
【請求項8】
前記運転制御部は、前記燃料利用率上昇処理において、前記改質部への原燃料ガスの供給量を前記目標原燃料供給量まで段階的に減少させる請求項1〜7の何れか一項に記載の燃料電池装置。
【請求項9】
前記運転制御部は、前記燃料利用率上昇処理において、前記改質部への改質用水の供給量を前記目標水供給量まで段階的に減少させる請求項1〜8の何れか一項に記載の燃料電池装置。
【請求項10】
前記筐体の内部の所定部位の温度を検出する内部温度検出部を備え、
前記運転制御部は、前記燃料利用率上昇処理を行っている間、前記内部温度検出部が検出する温度が目標内部温度に近づくように、前記酸素供給量調節部の動作を制御する請求項1〜9の何れか一項に記載の燃料電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原燃料ガスを水蒸気改質して水素を含む燃料ガスを生成する改質部と、改質部で生成された燃料ガスが供給されるアノード及び酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料電池と、発電反応で用いられた後にアノードから排出される排出燃料ガスに含まれる前記燃料ガスを燃焼させ、その燃焼熱によって改質部を加熱する燃焼部とを備え、改質部と燃料電池と燃焼部とは筐体の内部に収容される燃料電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
改質部で原燃料ガスを水蒸気改質して水素を含む燃料ガスを生成し、その燃料ガスが供給されるアノード及び酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料電池で発電を行う場合、その効率を向上させるためには、アノードに供給される燃料ガスの量に対応する原燃料ガスの量に対する、アノードで発電反応に用いられる燃料ガスの量に対応する原燃料ガスの量の比率である燃料利用率を上昇させるという手法がある。例えば、燃料電池の出力電流が安定した状態で燃料利用率を上昇させるためには、改質部への原燃料ガスの供給量を減少させればよい。但し、その場合には、燃焼部で燃焼される、発電反応で用いられた後にアノードから排出される排出燃料ガスに含まれる燃料ガスの量が減少するため、燃料電池を収容している筐体の内部の温度が低下するという問題がある。
【0003】
尚、改質部への改質用水の供給量を減少させると、改質用水によって奪われる熱量が減少するため、筐体の内部の温度を上昇させることができる。そこで、特許文献1(特開2017−162746号公報)に記載の発明では、燃料利用率Ufを上げるとともに水の投入量(S/C)も減らすことで、筐体の内部の温度を高温に保とうとしている。
つまり、燃料電池の出力電流が安定した状態で、改質部に供給する原燃料ガスの量及び改質用水の量を減少させることで、燃料利用率を上げながら、筐体の内部の温度を高温に保とうとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−162746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
但し、改質部に供給する原燃料ガスの量及び改質用水の量の減少を同時に開始しても、改質用水は気化してから水蒸気として改質部での改質処理に利用されるため、改質部では、原燃料ガスの減少の方が、水蒸気(改質用水)の減少よりも先に現れると考えてもよい。そのため、原燃料ガスの減少による筐体の内部の温度の低下が先に現れる可能性が高い。そして、場合によっては燃料電池の運転状態が不安定になる。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料電池の運転状態が安定したままで燃料利用率を上げることができる燃料電池装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る燃料電池装置の特徴構成は、原燃料ガスを水蒸気改質して水素を含む燃料ガスを生成する改質部と、
前記改質部で生成された前記燃料ガスが供給されるアノード及び酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料電池と、
発電反応で用いられた後に前記アノードから排出される排出燃料ガスに含まれる前記燃料ガスを燃焼させ、その燃焼熱によって前記改質部を加熱する燃焼部と、
前記改質部への原燃料ガスの供給量を調節する原燃料供給量調節部と、
前記改質部への改質用水の供給量を調節する水供給量調節部と、
前記カソード及び前記燃焼部への前記酸素ガスの供給量を調節する酸素供給量調節部と、
前記原燃料供給量調節部及び前記酸素供給量調節部及び前記水供給量調節部の動作を制御する運転制御部とを備え、
前記改質部と前記燃料電池と前記燃焼部とは筐体の内部に収容され、
前記運転制御部は、前記燃料電池の出力電流が安定した状態で、前記改質部への原燃料ガスの供給量を目標原燃料供給量まで減少させ且つ前記改質部への改質用水の供給量を目標水供給量まで減少させることで前記燃料電池での燃料利用率を上昇させる燃料利用率上昇処理を行う場合、前記水供給量調節部の動作を制御して前記改質部への改質用水の供給量の減少を開始した後に所定の処理継続条件が満たされたか否かを判定し、前記処理継続条件が満たされた後に前記改質部への原燃料ガスの供給量の減少を開始させる点にある。
【0008】
上記特徴構成によれば、燃料電池の出力電流が安定した状態で、改質部への原燃料ガスの供給量を目標原燃料供給量まで減少させ且つ改質部への改質用水の供給量を目標水供給量まで減少させることで燃料電池での燃料利用率を上昇させる燃料利用率上昇処理を行うことで、燃料電池の効率を向上させることができる。
加えて、燃料利用率上昇処理を行う場合、改質部への改質用水の供給量の減少を開始した後に改質部への原燃料ガスの供給量の減少を開始させる。つまり、改質部への改質用水の供給量を減少させて、筐体の内部の温度が上昇し得る状態にした後で、改質部への原燃料ガスの供給量を減少させる。その結果、改質部への原燃料ガスの供給量の減少に伴って筐体の内部の温度が低下傾向になるとしても、先に開始されている改質部への改質用水の供給量の減少に伴って筐体の内部の温度が上昇傾向になることと相殺されるため、筐体の内部の温度に大きな変化が生じないことが期待される。
従って、燃料電池の運転状態が安定したままで燃料利用率を上げることができる燃料電池装置を提供できる。
【0009】
本発明に係る燃料電池装置の別の特徴構成は、前記筐体の内部の所定部位の温度を検出する内部温度検出部を備え、
前記運転制御部は、前記内部温度検出部が検出する前記筐体の内部の温度が所定期間連続して基準内部温度以上である場合、前記処理継続条件が満たされたと判定する点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、燃料利用率上昇処理を行う場合、改質部への改質用水の供給量を減少させた後、筐体の内部の温度が所定期間連続して基準内部温度以上であるという処理継続条件が満たされた後で、改質部への原燃料ガスの供給量を減少させる。つまり、筐体の内部の温度が十分に安定して高い状態で、改質部への原燃料ガスの供給量の減少が行われる。その結果、改質部への原燃料ガスの供給量の減少に伴って筐体の内部の温度が低下傾向になるとしても、筐体の内部の温度が低くなり過ぎることを回避できる。
【0011】
本発明に係る燃料電池装置の更に別の特徴構成は、前記燃料電池の出力電圧を検出する出力電圧検出部を備え、
前記運転制御部は、前記改質部への改質用水の供給量の減少を開始した後、前記出力電圧検出部が検出する前記燃料電池の出力電圧が所定期間連続して基準電圧以上である場合、前記処理継続条件が満たされたと判定する点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、燃料利用率上昇処理を行う場合、改質部への改質用水の供給量を減少させた後、燃料電池の出力電圧が所定期間連続して基準電圧以上であるという処理継続条件が満たされた後で、改質部への原燃料ガスの供給量を減少させる。つまり、燃料電池の出力電圧が十分に安定して高い状態、即ち、燃料電池の運転状態が安定した状態で、改質部への原燃料ガスの供給量の減少が行われる。その結果、改質部への原燃料ガスの供給量の減少に伴って筐体の内部の温度が低下傾向になるとしても、燃料電池の運転状態が悪化することを回避できる。
【0013】
本発明に係る燃料電池装置の更に別の特徴構成は、前記運転制御部は、所定の待機時間が経過した場合、前記処理継続条件が満たされたと判定する点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、燃料利用率上昇処理を行う場合、改質部への改質用水の供給量を減少させた後、所定の待機時間が経過したという処理継続条件が満たされた後で、改質部への原燃料ガスの供給量を減少させる。つまり、改質部への改質用水の供給量を減少させて所定の待機時間が経過することで筐体の内部の温度が上昇し得る状態にした後で、改質部への原燃料ガスの供給量の減少が行われる。その結果、改質部への原燃料ガスの供給量の減少に伴って筐体の内部の温度が低下傾向になるとしても、先に開始されている改質部への改質用水の供給量の減少に伴って筐体の内部の温度が上昇傾向になることと相殺されるため、筐体の内部の温度に大きな変化が生じないことが期待される。
【0015】
本発明に係る燃料電池装置の更に別の特徴構成は、前記燃料電池の出力電力及び出力電流のうちの少なくとも出力電流を出力情報として検出する出力情報検出部を備え、
前記運転制御部は、前記出力情報検出部の検出結果に基づいて前記燃料電池の前記出力情報が前記燃料利用率上昇処理を行う条件を満たしたと判定した場合に当該燃料利用率上昇処理を行う点にある。
【0016】
例えば燃料電池の出力が低すぎる場合や変動している場合などでは、燃料利用率を上昇させるために改質部への原燃料ガスの供給量を目標原燃料供給量まで減少させ且つ改質部への改質用水の供給量を目標水供給量まで減少させることを行うと、燃料電池の運転状態が不安定になる可能性がある。
そこで本特徴構成では、運転制御部は、出力情報検出部の検出結果に基づいて燃料電池の出力情報が燃料利用率上昇処理を行う条件を満たしたと判定した場合に燃料利用率上昇処理を行う。つまり、燃料電池の出力が所定の条件を満たす場合にのみ燃料利用率上昇処理を行うことで、燃料電池の運転状態が不安定になる可能性を低くできる。
【0017】
本発明に係る燃料電池装置の更に別の特徴構成は、前記運転制御部は、前記出力情報検出部の検出結果に基づいて、前記燃料電池が定格出力で設定期間動作した場合に前記燃料利用率上昇処理を行う条件を満たしたと判定する点にある。
ここで、前記運転制御部は、前記燃料利用率上昇処理を行っている間に前記燃料電池の出力が定格出力ではなくなった場合、前記燃料利用率上昇処理を中止して、前記燃料電池での燃料利用率が元の値に戻るように前記改質部への原燃料ガスの供給量と前記改質部への改質用水の供給量を調節してもよい。
【0018】
上記特徴構成によれば、改質部への原燃料ガスの供給量が十分に多い状態が安定して設定期間経過し且つ改質部への改質用水の供給量が十分に多い状態が安定して設定期間経過した場合に燃料利用率上昇処理が行われる。つまり、改質部への原燃料ガスの供給量を減少させることによる影響が小さく且つ改質部への改質用水の供給量を減少させることによる影響が小さい状況で燃料利用率上昇処理が行われる。その結果、燃料利用率上昇処理を行うことで燃料電池の運転状態が不安定になる可能性を低くできる。
【0019】
本発明に係る燃料電池装置の更に別の特徴構成は、前記運転制御部は、前記燃料利用率上昇処理において、前記改質部への原燃料ガスの供給量を前記目標原燃料供給量まで段階的に減少させる点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、燃料利用率上昇処理において、改質部への原燃料ガスの供給量の減少が段階的に行われるので、改質部への原燃料ガスの供給量を減少することに伴って筐体の内部の温度が低下することも段階的に発生する。つまり、改質部への原燃料ガスの供給量を目標原燃料供給量まで減少させる場合に筐体の内部の温度が急激に変化することが回避される。その結果、燃料電池の運転状態が不安定になることを回避できる。
【0021】
本発明に係る燃料電池装置の更に別の特徴構成は、前記運転制御部は、前記燃料利用率上昇処理において、前記改質部への改質用水の供給量を前記目標水供給量まで段階的に減少させる点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、燃料利用率上昇処理において、改質部への改質用水の供給量の減少が段階的に行われるので、改質部への改質用水の供給量を減少することに伴って筐体の内部の温度が上昇することも段階的に発生する。つまり、改質部への改質用水の供給量を目標水供給量まで減少させる場合に筐体の内部の温度が急激に変化することが回避される。その結果、燃料電池の運転状態が不安定になることを回避できる。
【0023】
本発明に係る燃料電池装置の更に別の特徴構成は、前記筐体の内部の所定部位の温度を検出する内部温度検出部を備え、
前記運転制御部は、前記燃料利用率上昇処理を行っている間、前記内部温度検出部が検出する温度が目標内部温度に近づくように、前記酸素供給量調節部の動作を制御する点にある。
【0024】
酸素供給量調節部によって酸素ガスの単位時間当たりの供給量を増加すると筐体の内部の温度は低下傾向になり、酸素供給量調節部によって酸素ガスの単位時間当たりの供給量を減少すると筐体の内部の温度は上昇傾向になる。
そこで本特徴構成では、燃料利用率上昇処理を行っている間、酸素供給量調節部の動作を制御することで、内部温度検出部が検出する温度を目標内部温度に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】燃料電池装置の構成を示す図である。
図2】燃料電池の出力電流と燃料電池での燃料利用率との関係を示すグラフである。
図3】燃料電池の出力電流と改質部での改質処理のS/Cとの関係を示すグラフである。
図4】第1実施形態の燃料利用率上昇処理を説明する図である。
図5】第2実施形態の燃料利用率上昇処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の第1実施形態に係る燃料電池装置について説明する。
図1は、燃料電池装置の構成を示す図である。燃料電池装置は、原燃料ガスを水蒸気改質して水素を含む燃料ガスを生成する改質部7と、改質部7で生成された燃料ガスが供給されるアノード9a及び酸素ガスが供給されるカソード9bを有する燃料電池10と、発電反応で用いられた後にアノード9aから排出される排出燃料ガスに含まれる燃料ガスを燃焼させ、その燃焼熱によって改質部7を加熱する燃焼部11とを備える。加えて、燃料電池装置は、原燃料供給量調節部2と、水供給量調節部4と、酸素供給量調節部15と、出力情報検出部20と、運転制御部16とを備える。本実施形態では、筐体1の内部に改質部7と燃料電池10と燃焼部11とが収容される。加えて、筐体1の内部には、供給される改質用水を気化する気化部6も収容されている。燃焼部11で発生した燃焼熱は気化部6にも与えられる。
【0027】
燃料電池10は、改質部7で生成された水素を主成分とする燃料ガスが供給されるアノード9aと酸素ガス(空気)が供給されるカソード9bとを備えた固体酸化物形のセル9を複数個電気的に直列接続した状態で備えたセルスタックにて構成されている。図示は省略するが、セル9は、アノード9aとカソード9bとの間に固体電解質層を備えた固体酸化物形で構成される。アノード9aには燃料ガスが通流するように構成され、カソード9bには空気が通流するように構成される。燃料電池10は、複数のセル9がアノード9aの燃料ガス排出口(図示せず)及びカソード9bの空気排出口(図示せず)が上向きになる姿勢で横方向に並ぶ状態で、筐体1の内部に設置されている。尚、セル9の形状や構造は図1に例示したものに限定されない。
【0028】
燃料電池10には、改質部7から燃料ガス流路8を通して供給される燃料ガスを受け入れるガスマニホールド21が設けられる。複数のセル9は、ガスマニホールド21の上方側に上述のように並ぶ状態で配置され、ガスマニホールド21と複数のセル9におけるアノード9aの下端のガス導入口(図示せず)とが連通接続されている。そして、ガスマニホールド21に供給された燃料ガスが、複数のセル9の夫々のアノード9aに対して下端のガス導入口から供給され、各アノード9aに対して下方側から上方側に通流して発電反応に供される。発電反応に供された後の燃料ガスは、上端の燃料ガス排出口から排出燃料ガスとして排出される。アノード9aから排出される排出燃料ガスには、発電反応で用いられなかった燃料ガスも含まれている。
【0029】
筐体1には、空気導入口22が設けられ、ブロアなどを用いて実現される酸素供給量調節部15によって、酸素ガス(空気)がその空気導入口22を介して筐体1内に供給される。複数のセル9の夫々におけるカソード9bの下端部近傍には、筐体1内とカソード9bとを連通する空気供給孔(図示せず)が設けられている。複数のセル9の夫々のカソード9bには筐体1内の空気がこの空気供給孔を通して供給され、各カソード9bに対して下方側から上方側に通流して発電反応に供される。発電反応に供された後の空気は、上端の空気排出口から排出酸素ガスとして排出される。また、筐体1の内部に供給された酸素ガス(空気)は、排出燃料ガスを燃焼部11で燃焼させるためにも利用される。つまり、酸素供給量調節部15は、カソード9b及び燃焼部11への酸素ガスの供給量を調節する役割を担う。
酸素供給量調節部15の動作は運転制御部16が制御する。
【0030】
燃料電池10の上方には、各セル9のアノード9aの燃料ガス排出口から排出される排出燃料ガスを燃焼させる燃焼空間が形成される。この燃焼空間が燃焼部11となる。気化部6と改質部7とが燃料電池10の上方の燃焼空間(燃焼部11)に隣接して設けられており、燃焼熱によって改質部7及び気化部6が加熱される。
【0031】
筐体1には、燃焼部11にて発生した燃焼排ガスを外部に排出させる排出部23が下面部等に形成されている。そして、筐体1内には、筐体1の内部から排気される、燃焼部11で発生した燃焼排ガスを含む排気ガスに含まれる燃料ガスを触媒燃焼する燃焼触媒部12が設けられている。
【0032】
気化部6には、原燃料ガスが供給される原燃料流路3と、改質用水が供給される改質用水流路5とが接続される。そして、気化部6の内部に、原燃料ガス及び改質用水が供給される。そして、気化部6へ供給された原燃料ガス及び改質用水は、全て改質部7へ供給される。原燃料流路3には、気化部6への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量(即ち、改質部7への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量)を調節する原燃料供給量調節部2が設けられる。改質用水流路5には、気化部6への改質用水の単位時間当たりの供給量(即ち、改質部7への改質用水の単位時間当たりの供給量)を調節する水供給量調節部4が設けられる。
燃料電池装置が備える原燃料供給量調節部2及び水供給量調節部4の動作は運転制御部16が制御する。
【0033】
本実施形態において、原燃料供給量調節部2によって気化部6への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を調節することを、改質部7への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量を調節する、と記載することもある。また、水供給量調節部4によって気化部6への改質用水の単位時間当たりの供給量を調節することを、改質部7への改質用水の単位時間当たりの供給量を調節する、と記載することもある。
【0034】
気化部6では、供給される改質用水を、燃焼部11から伝えられる燃焼熱を用いて加熱して蒸発させる。更に、気化部6では、改質用水の蒸発によって生成された水蒸気と、供給される原燃料ガスとが混合される。
【0035】
改質部7は、供給される原燃料ガスを気化部6にて生成された水蒸気を用いて改質処理する。具体的には、改質部7の内部には改質触媒が充填されており、この改質触媒の触媒作用によって原燃料ガスが改質処理される。
改質部7に供給される原燃料ガスの量及び水蒸気の量を調節することで改質部7での燃料ガスの生成量、即ち、改質部7からアノード9aへの燃料ガスの供給量が調節される。
【0036】
燃料電池10には、例えばインバータ装置などの電力変換装置(図示せず)が接続されており、この電力変換装置を介して、燃料電池10の発電電力が様々な電力消費装置に供給される。
【0037】
本実施形態では、燃料電池10のセルスタックの出力電圧を検出する出力電圧検出部18と、燃料電池10のセルスタックの出力電流を検出する出力電流検出部19とが設けられる。これら出力電圧検出部18及び出力電流検出部19は、燃料電池10の出力電力及び出力電流のうちの少なくとも出力電流を出力情報として検出する出力情報検出部20として利用される。出力電圧検出部18の検出結果及び出力電流検出部19の検出結果は運転制御部16に伝達される。
【0038】
燃料電池装置の筐体1の内部には、その筐体1の内部の温度を検出する内部温度検出部13が設けられる。内部温度検出部13が検出する温度は、例えば筐体1の内部での燃料電池10の周囲の温度である。内部温度検出部13の検出結果は運転制御部16に伝達される。
【0039】
燃料電池10では電力変換装置に出力される出力電流に応じた発電反応(即ち、出力電流に応じた燃料ガスの消費)が行われる。尚、燃料電池10の出力電流が所望の値になるためには、燃料電池10のアノード9aに対して適切な量の燃料ガスが供給されていること及びカソード9bに対して適切な量の酸素ガスが供給されていることが必要である。そのため、運転制御部16は、原燃料供給量調節部2及び水供給量調節部4の動作を制御して改質部7へ供給される原燃料の量及び改質用水の量を調節することで、改質部7で生成される燃料ガスの量、即ち、改質部7から燃料電池10のアノード9aに供給される燃料ガスの量を調節する。また、運転制御部16は、酸素供給量調節部15の動作を制御して、燃料電池10のカソード9bに供給される酸素ガスの量を調節する。
【0040】
図2は、燃料電池10の出力電流Iと燃料電池10での燃料利用率Ufとの関係を示すグラフである。図3は、燃料電池10の出力電流Iと改質部7での改質処理のS/Cとの関係を示すグラフである。図2に示すような燃料電池10の出力電流Iと燃料電池10での燃料利用率Ufとの関係、及び、図3に示すような燃料電池10の出力電流Iと改質部7での改質処理のS/Cとの関係は、運転制御部16が参照可能な状態で記憶部17に記憶されている。本実施形態において、燃料利用率Ufは、アノード9aに供給される燃料ガスの量に対応する原燃料ガスの量(即ち、改質部7に供給される原燃料ガスの量)に対する、アノード9aで発電反応に用いられる燃料ガスの量に対応する原燃料ガスの量の比率であり、S/Cは、改質部7に供給される原燃料中のカーボンに対する水蒸気のモル比である。
【0041】
そして、運転制御部16は、出力電流検出部19で検出される出力電流と、燃料利用率の目標値を出力電流の関数として定めている図2の基準燃料利用率特性曲線と、S/Cの目標値を出力電流の関数として定めている図3の基準S/C特性曲線とに基づいて、原燃料供給量調節部2及び水供給量調節部4の動作を制御して改質部7(気化部6)への原燃料ガス及び改質用水の供給量を調節することで、改質部7での燃料ガスの生成量、即ち、改質部7からアノード9aへの燃料ガスの供給量を調節する。
【0042】
以下に、改質部7(気化部6)に供給する原燃料ガスの量及び水蒸気の量が運転制御部16により決定される場合の手順例について説明する。
先ず、出力電流Iが決まると、その出力電流Iを燃料電池10で発生させるのに要する燃料ガスの量が決まる。つまり、燃料電池10のアノード9aで発電反応に用いられる燃料ガスの量が決まる。また、図2に示したように、出力電流Iが決まると、燃料利用率Ufが決まる。その結果、燃料電池10のアノード9aで発電反応に用いられる燃料ガスの量と、燃料利用率とから、燃料電池10のアノード9aで発電反応に用いられずに排出される排出燃料ガス中の燃料ガスの量も決まる。従って、出力電流Iに対して、図2の基準燃料利用率特性曲線で決定される燃料利用率を満たすための、燃料電池10のアノード9aに供給する必要がある燃料ガスの量(発電反応に用いられる燃料ガスの量、及び、発電反応に用いられずに排出される排出燃料ガス中の燃料ガスの量の合計)が決まる。そして、その燃料電池10のアノード9aに供給する必要がある燃料ガスの量は、改質部7で生成するべき燃料ガスの量であるので、その燃料ガスを生成するために必要な、改質部7(気化部6)に供給する原燃料ガスの量が決まる。
【0043】
図3に示したように、出力電流Iが決まると、S/Cが決まる。上述したように、出力電流Iに応じた、改質部7に供給する原燃料ガスの量が決まるので、その原燃料ガスの量と、図3の基準S/C特性曲線とで決定されるS/Cを満たすための、改質部7(気化部6)に供給する必要のある水蒸気(改質用水)の量が決まる。
【0044】
次に、燃料電池10の運転状態が安定したままで燃料利用率を上げる場合の燃料電池装置の運転方法について説明する。
【0045】
燃料電池10で発電を行う場合、その効率を向上させるためには燃料利用率を上昇させるという手法がある。例えば、燃料電池10の出力電流が安定した状態で燃料利用率を上昇させるためには、改質部7への原燃料ガスの供給量を減少させればよい。但し、その場合には、燃焼部11で燃焼される、燃料電池10の発電反応で消費されずに排出される排出燃料ガス中の燃料ガスの量が減少するため、燃料電池10の筐体1の内部の温度が低下するという問題がある。尚、改質部7への改質用水の供給量を減少させると、燃料電池10の筐体1の内部の温度を上昇させることができるが、改質部7に供給する原燃料ガスの量及び改質用水の量を減少させる場合、先に改質部7への燃料ガスの供給量を減らすと、燃料電池10の筐体1の内部の温度が下がる現象が先に出て燃料電池10の運転状態が不安定になる可能性がある。但し、改質部7に供給する原燃料ガスの量及び改質用水の量の減少を同時に開始しても、改質用水は気化してから水蒸気として改質部7での改質処理に利用されるため、改質部7では、原燃料ガスの減少の方が、水蒸気(改質用水)の減少よりも先に現れると考えてもよい。そのため、原燃料ガスの減少による筐体1の内部の温度の低下が先に現れる可能性が高い。そして、場合によっては燃料電池10の運転状態が不安定になる。
【0046】
図4は、第1実施形態の燃料利用率上昇処理を説明する図である。具体的には、図4は、改質部7(気化部6)への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量及び改質用水の単位時間当たりの供給量の推移を示す図である。具体的には、運転制御部16が行う燃料利用率上昇処理は、燃料電池10の出力電流が安定した状態で、改質部7への原燃料ガスの供給量を目標原燃料供給量まで減少させ且つ改質部7への改質用水の供給量を目標水供給量まで減少させることで燃料電池10での燃料利用率を上昇させる処理である。つまり、この燃料利用率上昇処理は、燃料電池10の出力電流が変化している間には行われない。
【0047】
本実施形態では、運転制御部16は、出力情報検出部20(出力電圧検出部18、出力電流検出部19)の検出結果に基づいて燃料電池10の出力情報が燃料利用率上昇処理を行う条件を満たしたと判定した場合に当該燃料利用率上昇処理を行う。図4に示す例では、運転制御部16は、出力情報検出部20(出力電圧検出部18、出力電流検出部19)の検出結果に基づいて燃料電池10が定格出力で設定期間動作した場合に燃料利用率上昇処理を行う条件を満たしたと判定する。燃料電池10の定格出力(定格出力電力、定格出力電流)の値は記憶部17に記憶されており、運転制御部16は、記憶部17に記憶されている燃料電池10の定格出力の値と、出力情報検出部20(出力電圧検出部18、出力電流検出部19)の検出結果とに基づいて、燃料電池10が定格出力であるか否かを判定できる。また、この場合の所定期間の長さは適宜設定される値であり、記憶部17に予め記憶されている。
図4に示す例では、時刻t10において運転制御部16は、燃料電池10が定格出力で設定期間動作したことで、燃料利用率上昇処理を行う条件を満たしたと判定する。
【0048】
運転制御部16は、時刻t10以前では、図2の基準燃料利用率特性曲線上の点Aで示すような、燃料電池10の出力電流(定格出力電流Ia)に対応した燃料利用率Ufaを決定し、その燃料利用率Ufaを達成するために改質部7(気化部6)に供給する原燃料ガスの量(基準原燃料供給量Qfa)を決定する。そして、運転制御部16は、決定した基準原燃料供給量Qfaの原燃料ガスを原燃料供給量調節部2から気化部6に供給させている。
また、運転制御部16は、時刻t10以前では、図3の基準S/C特性曲線上の点Cで示すような、燃料電池10の出力電流(定格出力電流Ia)に対応したS/Cの値Raを決定し、上述した改質部7に供給する原燃料ガスの量(基準原燃料供給量Qfa)とS/Cの値Raとを達成するために改質部7に供給する改質用水の量(基準水供給量Qwa)を決定する。そして、運転制御部16は、決定した基準水供給量Qwaの改質用水を水供給量調節部4から気化部6に供給させている。
【0049】
時刻t10において運転制御部16は、燃料利用率上昇処理によって燃料利用率を上昇させるにあたっての目標原燃料供給量Qfb及び目標水供給量Qwbを決定する。例えば、図2に示すように、燃料電池10の出力電流が定格出力電流Iaの場合、燃料利用率上昇処理によって燃料利用率をUfaから、図2の点Bで示すようなUfbへと変化(上昇)させることが記憶部17に予め記憶されている。また、図3に示すように、燃料電池10の出力電流が定格出力電流Iaの場合、燃料利用率上昇処理によってS/CをRaから、図3の点Dで示すようなRbへと変化(低下)させることが記憶部17に予め記憶されている。そして、運転制御部16は、燃料電池10の出力電流が定格出力電流Iaの場合に、燃料利用率の値Ufb及びS/Cの値Rbを達成するための目標原燃料供給量Qfb及び目標水供給量Qwbを決定する。
【0050】
本実施形態では、運転制御部16は、燃料電池10の出力電流が安定した状態で、改質部7への原燃料ガスの供給量を目標原燃料供給量Qfbまで減少させ且つ改質部7への改質用水の供給量を目標水供給量Qwbまで減少させることで燃料電池10での燃料利用率をUfbまで上昇させる燃料利用率上昇処理を行う場合、水供給量調節部4の動作を制御して改質部7への改質用水の供給量の減少を開始した後に所定の処理継続条件が満たされたか否かを判定し、処理継続条件が満たされた後に改質部7への原燃料ガスの供給量の減少を開始させる。
【0051】
つまり、時刻t10において運転制御部16は、時間的に先に改質部7への改質用水の供給量を基準水供給量Qwaから目標水供給量Qwbへと減少させるが、改質部7への原燃料ガスの供給量は変化させずに基準原燃料供給量Qfaのまま維持する。
そして、運転制御部16は、所定の処理継続条件が満たされたか否かを判定する。
【0052】
その後、時刻t11において運転制御部16は、以下のように、処理継続条件が満たされたと判定した場合、改質部7への原燃料ガスの供給量を基準原燃料供給量Qfaから目標原燃料供給量Qfbへと減少させる。このように、運転制御部16は、改質部7への改質用水の供給量の減少を開始した後に、改質部7への原燃料ガスの供給量の減少を開始させる。
【0053】
例えば、運転制御部16は、内部温度検出部13が検出する筐体1の内部の温度が所定期間連続して基準内部温度以上である場合、処理継続条件が満たされたと判定する。この場合の所定期間の長さ及び基準内部温度の値は適宜設定される値であり、記憶部17に予め記憶されている。つまり、筐体1の内部の温度が十分に安定して高い状態で、改質部7(気化部6)への原燃料ガスの供給量の減少が行われる。その結果、改質部7への原燃料ガスの供給量の減少に伴って筐体1の内部の温度が低下傾向になるとしても、筐体1の内部の温度が低くなり過ぎることを回避できる。
【0054】
或いは、運転制御部16は、改質部7への改質用水の供給量の減少を開始した後、出力電圧検出部18が検出する燃料電池10の出力電圧が所定期間連続して基準電圧以上である場合、処理継続条件が満たされたと判定する。この場合の所定期間の長さ及び基準電圧の値は適宜設定される値であり、記憶部17に予め記憶されている。つまり、燃料電池10の出力電圧が十分に安定して高い状態、即ち、燃料電池10の運転状態が安定した状態で、改質部7(気化部6)への原燃料ガスの供給量の減少が行われる。その結果、改質部7への原燃料ガスの供給量の減少に伴って筐体1の内部の温度が低下傾向になるとしても、燃料電池10の運転状態が悪化することを回避できる。
【0055】
また或いは、運転制御部16は、所定の待機時間が経過した場合、処理継続条件が満たされたと判定する。この場合の待機時間の長さは適宜設定される値であり、記憶部17に予め記憶されている。例えば、この待機時間の長さは、改質用水の供給量の変化の応答遅れ、即ち、気化部6への改質用水の供給量を変化させた後、改質部7へ供給される水蒸気量が変化するまでの要する時間などに設定される。つまり、改質部7(気化部6)への改質用水の供給量を減少させて所定の待機時間が経過することで筐体1の内部の温度が上昇し得る状態にした後で、改質部7への原燃料ガスの供給量の減少が行われる。その結果、改質部7への原燃料ガスの供給量の減少に伴って筐体1の内部の温度が低下傾向になるとしても、先に開始されている改質部7への改質用水の供給量の減少に伴って筐体1の内部の温度が上昇傾向になることと相殺されるため、筐体1の内部の温度に大きな変化が生じないことが期待される。
【0056】
このような一連の制御により、運転制御部16は、燃料電池10の出力電流が安定した状態で、改質部7への原燃料ガスの供給量を目標原燃料供給量Qfbまで減少させ且つ改質部7への改質用水の供給量を目標水供給量Qwbまで減少させることで燃料電池10での燃料利用率をUfbまで上昇させる燃料利用率上昇処理を行う。
【0057】
尚、運転制御部16は、燃料利用率上昇処理を行っている間に燃料電池10の出力電流が設定値以上変化した場合、燃料利用率上昇処理を中止して、燃料電池10での燃料利用率が元の値に戻るように改質部7への原燃料ガスの供給量と改質部7への改質用水の供給量を調節する。図4に示す例では、時刻t12において運転制御部16は、出力情報検出部20(出力電圧検出部18、出力電流検出部19)の検出結果に基づいて、燃料電池10が定格出力で無くなったと判定する。そして、運転制御部16は、燃料電池10での燃料利用率が元の値Ufaに戻るように、改質部7への原燃料ガスの供給量を基準原燃料供給量Qfaに変化させ、改質部7への改質用水の供給量を基準水供給量Qwaに変化させる。
【0058】
以上のように、燃料電池10の出力電流が安定した状態で、改質部7への原燃料ガスの供給量を目標原燃料供給量まで減少させ且つ改質部7への改質用水の供給量を目標水供給量まで減少させることで燃料電池10での燃料利用率を上昇させる燃料利用率上昇処理を行うことで、燃料電池10の効率を向上させることができる。
加えて、燃料利用率上昇処理を行う場合、改質部7への改質用水の供給量の減少を開始した後に改質部7への原燃料ガスの供給量の減少を開始させる。つまり、改質部7への改質用水の供給量を減少させて、筐体1の内部の温度が上昇し得る状態にした後で、改質部7への原燃料ガスの供給量を減少させる。その結果、改質部7への原燃料ガスの供給量の減少に伴って筐体1の内部の温度が低下傾向になるとしても、先に開始されている改質部7への改質用水の供給量の減少に伴って筐体1の内部の温度が上昇傾向になることと相殺されるため、筐体1の内部の温度に大きな変化が生じないことが期待される。
【0059】
<第2実施形態>
第2実施形態の燃料電池装置は、燃料利用率上昇処理の内容が上記実施形態と異なっている。以下に第2実施形態の燃料電池装置について説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0060】
図5は第2実施形態の燃料利用率上昇処理を説明する図である。具体的には、図5は、改質部7(気化部6)への原燃料ガスの単位時間当たりの供給量及び改質用水の単位時間当たりの供給量の推移を示す図である。図示するように、運転制御部16は、燃料利用率上昇処理において、改質部7(気化部6)への原燃料ガスの供給量を目標原燃料供給量Qfbまで段階的に減少させる。図5に示す例では、運転制御部16は、改質部7への原燃料ガスの供給量を、基準原燃料供給量Qfaから、値Qf1及び値Qf2を経て、最終的に目標原燃料供給量Qfbへと段階的に減少させる。
また、運転制御部16は、燃料利用率上昇処理において、改質部7(気化部6)への改質用水の供給量を目標水供給量Qwbまで段階的に減少させる。図5に示す例では、運転制御部16は、改質部7への改質用水の供給量を、基準水供給量Qwaから、値Qw1を経て、最終的に目標水供給量Qwbへと段階的に減少させる。
【0061】
具体的に説明すると、時刻t20において運転制御部16は、時間的に先に改質部7への改質用水の供給量を基準水供給量Qwaから値Qw1へと減少させるが、改質部7への原燃料ガスの供給量は変化させずに基準原燃料供給量Qfaのまま維持する。
そして、運転制御部16は、所定の処理継続条件が満たされたか否かを判定する。この処理継続条件は第1実施形態で説明したのと同様である。
【0062】
その後、時刻t21において運転制御部16は、処理継続条件が満たされたと判定して、改質部7への原燃料ガスの供給量を基準原燃料供給量Qfaから値Qf1へと減少させる。このように、運転制御部16は、改質部7への改質用水の供給量の減少を開始した後に、改質部7への原燃料ガスの供給量の減少を開始させる。
【0063】
次に、時刻t22において運転制御部16は、処理継続条件が満たされたと判定して、改質部7への改質用水の供給量を値Qw1から目標水供給量Qwbへと減少させる。
そして、運転制御部16は、時刻t23において処理継続条件が満たされたと判定して、改質部7への原燃料ガスの供給量を値Qf1から値Qf2へと減少させ、時刻t24において処理継続条件が満たされたと判定して、改質部7への原燃料ガスの供給量を値Qf2から目標原燃料供給量Qfbへと減少させる。
【0064】
このような一連の制御により、運転制御部16は、燃料電池10の出力電流が安定した状態で、改質部7への原燃料ガスの供給量を目標原燃料供給量Qfbまで減少させ且つ改質部7への改質用水の供給量を目標水供給量Qwbまで減少させることで燃料電池10での燃料利用率をUfbまで上昇させる燃料利用率上昇処理を行う。
【0065】
また、第1実施形態で説明したのと同様に、運転制御部16は、燃料利用率上昇処理を行っている間に燃料電池10の出力電流が設定値以上変化した場合、燃料利用率上昇処理を中止して、燃料電池10での燃料利用率が元の値に戻るように改質部7への原燃料ガスの供給量と改質部7への改質用水の供給量を調節する。図5に示す例では、時刻t25において運転制御部16は、出力情報検出部20(出力電圧検出部18、出力電流検出部19)の検出結果に基づいて、燃料電池10が定格出力で無くなったと判定する。そして、運転制御部16は、燃料電池10での燃料利用率が元の値Ufaに戻るように、改質部7への原燃料ガスの供給量を基準原燃料供給量Qfaに変化させ、改質部7への改質用水の供給量を基準水供給量Qwaに変化させる。
【0066】
以上のように、本実施形態では、燃料利用率上昇処理において、改質部7への原燃料ガスの供給量の減少が段階的に行われるので、改質部7への原燃料ガスの供給量を減少することに伴って筐体1の内部の温度が低下することも段階的に発生する。つまり、改質部7への原燃料ガスの供給量を目標原燃料供給量まで減少させる場合に筐体1の内部の温度が急激に変化することが回避される。その結果、燃料電池10の運転状態が不安定になることを回避できる。
また、燃料利用率上昇処理において、改質部7への改質用水の供給量の減少が段階的に行われるので、改質部7への改質用水の供給量を減少することに伴って筐体1の内部の温度が上昇することも段階的に発生する。つまり、改質部7への改質用水の供給量を目標水供給量まで減少させる場合に筐体1の内部の温度が急激に変化することが回避される。その結果、燃料電池10の運転状態が不安定になることを回避できる。
【0067】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、燃料電池装置の構成について具体例を挙げて説明したが、その構成については適宜変更可能である。
【0068】
<2>
上記実施形態では、燃料電池10の出力電流Iと燃料電池10での燃料利用率Ufとの関係(図2)、及び、燃料電池10の出力電流Iと改質部7での改質処理のS/Cとの関係(図3)について説明したが、それらは例示目的で記載したものであり、適宜変更可能である。
【0069】
<3>
上記実施形態では、燃料利用率上昇処理において燃料利用率を上昇させると共にS/Cを低下させる例を説明したが、S/Cを一定のままにしてもよい。その場合であっても、燃料利用率を上昇させるために改質部7への原燃料ガスの供給量を減少させると、S/Cを一定に維持するためには改質部7への改質用水の供給量も減少させる必要があるため、運転制御部16は、改質部7への改質用水の供給量の減少を開始した後に、改質部7への原燃料ガスの供給量の減少を開始させればよい。
【0070】
<4>
上記実施形態では、燃料電池10が定格出力で設定期間動作した場合に燃料利用率上昇処理を行う条件を満たしたと判定される例を説明したが、燃料電池10の出力(出力情報)がどのような状態になった場合に燃料利用率上昇処理を行う条件を満たしたと判定されるのかは適宜設定可能である。例えば、運転制御部16は、燃料電池10が定格の90%出力や70%出力などの所定の一定出力で設定期間動作した場合に燃料利用率上昇処理を行う条件を満たしたと判定してもよい。
【0071】
<5>
上記実施形態において、改質部7への原燃料ガス及び改質用水の供給量を連続的に変化させてもよい。
例えば、図2に示した例では、時刻t10において改質部7への原燃料ガス及び改質用水の供給量を基準原燃料供給量Qfaから目標原燃料供給量Qfbまで減少させたが、例えば、時刻t10から設定期間(例えば数秒間など)をかけて改質部7への原燃料ガスの供給量を連続的に変化させてもよい。
【0072】
<6>
尚、上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、燃料電池の運転状態が安定したままで燃料利用率を上げることができる燃料電池装置に利用できる。
【符号の説明】
【0074】
1 筐体
2 原燃料供給量調節部
4 水供給量調節部
7 改質部
9 セル
9a アノード
9b カソード
10 燃料電池(セルスタック)
11 燃焼部
13 内部温度検出部
15 酸素供給量調節部
16 運転制御部
18 出力電圧検出部(出力情報検出部 20)
19 出力電流検出部(出力情報検出部 20)
【要約】
【課題】燃料電池の運転状態が安定したままで燃料利用率を上げることができる燃料電池装置を提供する。
【解決手段】燃料電池装置において、運転制御部16は、燃料電池10の出力電流が安定した状態で、改質部7への原燃料ガスの供給量を目標原燃料供給量まで減少させ且つ改質部7への改質用水の供給量を目標水供給量まで減少させることで燃料電池10での燃料利用率を上昇させる燃料利用率上昇処理を行う場合、水供給量調節部4の動作を制御して改質部7への改質用水の供給量の減少を開始した後に所定の処理継続条件が満たされたか否かを判定し、処理継続条件が満たされた後に改質部7への原燃料ガスの供給量の減少を開始させる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5