特許第6755462号(P6755462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6755462
(24)【登録日】2020年8月28日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】油圧センサ取付構造
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/00 20060101AFI20200907BHJP
【FI】
   G01L19/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-186930(P2016-186930)
(22)【出願日】2016年9月26日
(65)【公開番号】特開2018-54316(P2018-54316A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118496
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 耕三
(72)【発明者】
【氏名】大澤 朝華
(72)【発明者】
【氏名】若林 弘宣
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊晃
(72)【発明者】
【氏名】立田 洋
(72)【発明者】
【氏名】尾澤 憲一
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−042882(JP,A)
【文献】 特開2007−315792(JP,A)
【文献】 特開平08−277733(JP,A)
【文献】 米国特許第06435017(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00−23/32
G01L 27/00−27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルが流れる油路を内部に有する油路ボディの上面に、前記油路内を流れるオイルの圧力を計測する油圧センサを取り付ける油圧センサ取付構造であって、
前記油路ボディは、前記上面に前記油路と繋がる油路開口部を有し、
前記油圧センサは、センサ本体と、前記センサ本体を覆うセンサケースと、を有し、
前記センサケースは、前記センサケースの下面に、前記油圧センサが前記上面に取り付けられた状態において前記油路開口部と繋がるセンシング穴を有し、
前記油圧センサ取付構造は、
前記上面に配置されたガイド突起部と、
前記センサケースと、
を備え、
前記ガイド突起部は、
前記上面から上側に突出し、水平方向のうちの第1方向において前記油路開口部を挟んで対向する一対の第1壁部と、
前記第1壁部のそれぞれから、対向する他方側の前記第1壁部に向かって突出し、互いに隙間を介して前記第1方向に対向する第1突出部と、
を有し、
前記第1壁部同士の間には受容部が設けられ、
前記受容部は、水平方向のうちの前記第1方向と直交する第2方向の一方側に開口する第1受容開口部を有し、かつ、前記第1受容開口部から前記第2方向に沿って前記センサケースを受容可能であり、
前記ガイド突起部は、前記第2方向の他方側を向く第1移動抑制面を有し、
前記センサケースは、
上下方向に延び前記第1突出部同士の隙間に通される柱状部と、
前記柱状部から前記柱状部の径方向外側に突出し、少なくとも一部が前記受容部において前記上面と前記第1突出部との上下方向の間に配置されるフランジ部と、
前記第1移動抑制面の前記第2方向の他方側に配置され、前記第1移動抑制面と対向する対向部と、
を有する、油圧センサ取付構造。
【請求項2】
前記ガイド突起部は、前記上面から上側に突出した第2壁部を有し、
前記第2壁部は、前記第1受容開口部と前記第2方向に隙間を介して対向し、前記第1受容開口部との間で前記油路開口部を挟んで配置され、
前記第1移動抑制面は、前記第2壁部に設けられている、請求項1に記載の油圧センサ取付構造。
【請求項3】
前記ガイド突起部は、前記第2壁部から前記第2方向の前記第1受容開口部側に突出する第2突出部を有し、
前記フランジ部の一部は、前記上面と前記第2突出部との上下方向の間に配置される、請求項2に記載の油圧センサ取付構造。
【請求項4】
前記センサケースは、前記柱状部における前記第2壁部よりも上側の部分から前記第2方向に延びた延出部を有し、
前記延出部は、前記第2方向において、前記第2壁部の前記第1受容開口部と逆側まで延び、
前記対向部は、前記延出部の先端に設けられ、
前記第2壁部は、前記第1受容開口部と逆側の面に前記第1移動抑制面を有する、請求項2または3に記載の油圧センサ取付構造。
【請求項5】
前記ガイド突起部は、
凹部と、
前記第2方向の一方側を向く第2移動抑制面と、
を有し、
前記受容部は、前記第2方向の他方側に開口する第2受容開口部を有し、かつ、前記第2受容開口部から前記第2方向に沿って前記センサケースを受容可能であり、
前記第1移動抑制面および前記第2移動抑制面は、前記第2方向に隙間を介して対向する前記凹部の内側面であり、
前記対向部は、前記凹部内において前記第1移動抑制面および前記第2移動抑制面の両方と前記第2方向に対向する、請求項1に記載の油圧センサ取付構造。
【請求項6】
前記凹部は、前記第1壁部の上面から下側に窪み、
前記センサケースは、前記柱状部を囲む環状部を有し、
前記対向部は、前記環状部から下側に突出し、前記凹部に嵌合される、請求項5に記載の油圧センサ取付構造。
【請求項7】
前記センサケースは、前記第2方向に沿って直線状に延びたケース対向面を有し、
前記ガイド突起部は、前記第2方向に沿って直線状に延びた突起部対向面を有し、
前記ケース対向面と前記突起部対向面とは、互いに対向して配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載の油圧センサ取付構造。
【請求項8】
前記対向部は、前記第1移動抑制面に引っ掛けられる爪部である、請求項1から7のいずれか一項に記載の油圧センサ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧センサ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧センサを備える油圧制御装置が知られている。特許文献1では、油路が設けられたコントロールバルブに油圧センサが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−174991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような油圧センサをコントロールバルブに取り付ける方法としては、コントロールバルブの外部から油圧センサを取り付ける方法がある。そのような方法としては、例えば、油圧センサに雄ネジ部を設け、コントロールバルブに設けられた雌ネジ穴にコントロールバルブの外部から油圧センサの雄ネジ部を締め込む方法、および別の取付部材を用いて油圧センサをコントロールバルブに固定する方法等が挙げられる。
【0005】
ここで、油圧制御装置において油圧センサには、測定対象となるオイルから高圧力が加えられるため、油圧センサのコントロールバルブへの取付強度を十分に大きくする必要がある。これにより、上記のように油圧センサの雄ネジ部をコントロールバルブの雌ネジ穴に締め込む方法を用いる場合には、ネジ部同士が噛み合う長さを十分に長くする必要があり、油圧センサが大型化しやすい。また、別の取付部材を用いる場合には、油圧センサの取付強度を確保するために、取付部材が大型化しやすい。したがって、油圧センサの取付強度を十分に確保するためには、油圧制御装置全体が大型化しやすい問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みて、油圧センサの取付強度を確保しつつ、油圧制御装置全体が大型化することを抑制できる油圧センサ取付構造を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様の油圧センサ取付構造は、オイルが流れる油路を内部に有する油路ボディの上面に、前記油路内を流れるオイルの圧力を計測する油圧センサを取り付ける油圧センサ取付構造であって、前記油路ボディは、前記上面に前記油路と繋がる油路開口部を有し、前記油圧センサは、センサ本体と、前記センサ本体を覆うセンサケースと、を有し、前記センサケースは、前記センサケースの下面に、前記油圧センサが前記上面に取り付けられた状態において前記油路開口部と繋がるセンシング穴を有し、前記油圧センサ取付構造は、前記上面に配置されたガイド突起部と、前記センサケースと、を備え、前記ガイド突起部は、前記上面から上側に突出し、水平方向のうちの第1方向において前記油路開口部を挟んで対向する一対の第1壁部と、前記第1壁部のそれぞれから、対向する他方側の前記第1壁部に向かって突出し、互いに隙間を介して前記第1方向に対向する第1突出部と、を有し、前記第1壁部同士の間には受容部が設けられ、前記受容部は、水平方向のうちの前記第1方向と直交する第2方向の一方側に開口する第1受容開口部を有し、かつ、前記第1受容開口部から前記第2方向に沿って前記センサケースを受容可能であり、前記ガイド突起部は、前記第2方向の他方側を向く第1移動抑制面を有し、前記センサケースは、上下方向に延び前記第1突出部同士の隙間に通される柱状部と、前記柱状部から前記柱状部の径方向外側に突出し、少なくとも一部が前記受容部において前記上面と前記第1突出部との上下方向の間に配置されるフランジ部と、前記第1移動抑制面の前記第2方向の他方側に配置され、前記第1移動抑制面と対向する対向部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、油圧センサの取付強度を確保しつつ、油圧制御装置全体が大型化することを抑制できる油圧センサ取付構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態の油圧センサ取付構造を示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態の油圧センサ取付構造を示す斜視図である。
図3図3は、第1実施形態の油圧センサ取付構造を示す図であって、図2におけるIII−III断面図である。
図4図4は、第2実施形態の油圧センサ取付構造を示す斜視図である。
図5図5は、第2実施形態の油圧センサ取付構造を示す斜視図である。
図6図6は、第3実施形態の油圧センサ取付構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
各図においてZ軸方向は、上下方向Zとする。X軸方向は、上下方向Zと直交する水平方向のうちの左右方向(第1方向)Xとする。Y軸方向は、上下方向Zと直交する水平方向のうちの左右方向Xと直交する前後方向(第2方向)Yとする。上下方向Zのうちの正の側を「上側」と呼び、負の側を「下側」と呼ぶ。前後方向Yのうちの正の側を「前側(第2方向の他方側)」と呼び、負の側を「後側(第2方向の一方側)」と呼ぶ。なお、上側、下側、前側、後側、上下方向、左右方向、および前後方向とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等を限定しない。
【0011】
<第1実施形態>
図1から図3に示す本実施形態の油圧センサ取付構造30は、油圧制御装置のコントロールバルブ10に油圧センサ20を取り付ける。より詳細には、油圧センサ取付構造30は、コントロールバルブ10の油路ボディ11の上面11aに油圧センサ20を取り付ける。図3に示すように、油路ボディ11は、オイルが流れる油路11bを内部に有する。油圧センサ20は、油路11b内を流れるオイルの圧力を計測する。油路ボディ11は、上面11aに油路11bと繋がる油路開口部12を有する。図1に示すように、油路開口部12は、上下方向Zに延びる第1中心軸J1を中心とする円形状である。以下の説明においては、ある対象に対して、左右方向Xにおける第1中心軸J1に近い側を「左右方向内側」と呼び、左右方向における第1中心軸J1から遠い側を「左右方向外側」と呼ぶ。
【0012】
図1は、油圧センサ20が油路ボディ11の上面11aに取り付けられる前の状態を示している。図2および図3は、油圧センサ取付構造30によって油圧センサ20が油路ボディ11の上面11aに取り付けられた状態を示している。なお、油圧センサ20が油路ボディ11の上面11aに取り付けられる前の状態を「非取付状態」と呼び、油圧センサ取付構造30によって油圧センサ20が油路ボディ11の上面11aに取り付けられた状態を「取付状態」と呼ぶ。油圧センサ取付構造30は、コントロールバルブ10が有するガイド突起部50と、油圧センサ20のセンサケース40と、を備える。
【0013】
図1に示すように、ガイド突起部50は、油路ボディ11の上面11aに配置されている。ガイド突起部50は、一対の第1壁部51と、第2壁部52と、第1突出部53と、第2突出部54と、回転抑制部55と、を有する。一対の第1壁部51は、油路ボディ11の上面11aから上側に突出している。一対の第1壁部51は、水平方向のうちの左右方向Xにおいて油路開口部12を挟んで対向する。一対の第1壁部51は、前後方向Yに沿って互いに平行に延びている。
【0014】
第2壁部52は、油路ボディ11の上面11aから上側に突出している。第2壁部52は、一対の第1壁部51の前側の端部同士を接続している。第2壁部52は、第1中心軸J1を中心とする周方向に沿って延びている。第2壁部52の上側から視た形状は、前側に凸となる半円弧状である。一対の第1壁部51と第2壁部52とが接続されることで、上側から視て、後側に開口するU字形状の壁部が構成されている。
【0015】
図2に示すように、第2壁部52は、前側の面、すなわち後述する第1受容開口部57aと逆側の面に第1移動抑制面52aを有する。すなわち、ガイド突起部50は、第1移動抑制面52aを有しており、本実施形態において第1移動抑制面52aは、第2壁部52に設けられている。第1移動抑制面52aは、前側を向く面である。第1移動抑制面52aは、前側から視て左右方向Xに長い長方形状である。本実施形態において第1移動抑制面52aは、前後方向Yと直交する平坦面である。
【0016】
図3に示すように、第1突出部53は、第1壁部51のそれぞれから、対向する他方側の第1壁部51に向かって突出している。より詳細には、第1突出部53は、第1壁部51の上端から、左右方向内側に突出している。各第1壁部51に設けられた一対の第1突出部53は、互いに隙間を介して左右方向Xに対向している。第1突出部53は、第1壁部51の後端から前端まで前後方向Yに沿って延びている。
【0017】
図1に示すように、第2突出部54は、第2壁部52から後側、すなわち前後方向Yの後述する第1受容開口部57a側に突出している。より詳細には、第2突出部54は、第2壁部52の上端から、後側に突出している。第2突出部54は、第1中心軸J1を中心とする周方向に沿って、第2壁部52の一端から他端まで円弧状に延びている。第2突出部54は、一対の第1突出部53の前側の端部同士を接続している。
【0018】
第2突出部54の上面には、傾斜面56が設けられている。傾斜面56は、後側から前側に向かうに従って上側に位置する平坦な傾斜面である。傾斜面56は、上側および後側に面している。傾斜面56の後側の端部は、上下方向Zにおいて第2壁部52の上端よりも下側に配置され、かつ、前後方向Yにおいて第2突出部54の後側の端部と同じ位置に配置されている。傾斜面56の前側の端部は、上下方向Zにおいて、第2壁部52の上面と同じ位置に配置されている。
【0019】
回転抑制部55は、一対の第1突出部53の上面のそれぞれに配置されている。回転抑制部55は、第1突出部53の後側の端部から前側の端部まで、前後方向Yに沿って延びている。図3に示すように、回転抑制部55は、第1突出部53の上面から上側に延びた基部55aと、基部55aの上端から左右方向内側に延びた挿入ガイド部55bと、を有する。挿入ガイド部55bの左右方向内側の面は、前後方向Yに沿って直線状に延びた突起部対向面55cである。すなわち、ガイド突起部50は、突起部対向面55cを有する。
【0020】
図1に示すように、第1壁部51同士の間には受容部57が設けられている。本実施形態において受容部57は、ガイド突起部50の内側の空間であり、第1壁部51、第2壁部52、第1突出部53および第2突出部54に囲まれて構成されている。受容部57は、後側に開口する第1受容開口部57aを有する。第2壁部52は、第1受容開口部57aと前後方向Yに隙間を介して対向し、第1受容開口部57aとの間で油路開口部12を挟んで配置されている。受容部57は、第1受容開口部57aから前後方向Yに沿ってセンサケース40を受容可能である。受容部57は、上側に開口している。
【0021】
図3に示すように、油圧センサ20は、センサケース40と、センサ本体21と、接続端子22と、ダイヤフラム23と、Oリング24と、を有する。センサケース40は、センサ本体21を覆う。図1に示すように、センサケース40は、柱状部41と、フランジ部42と、延出部43と、対向部44と、を有する。
【0022】
柱状部41は、上下方向Zに延びている。本実施形態において柱状部41の形状は、上下方向Zに延びる第2中心軸J2を中心とする円柱状である。図2および図3に示すように、第2中心軸J2は、取付状態において、第1中心軸J1と一致している。図1に示すように、柱状部41は、柱状部41の外周面から左右方向Xに窪む挿入溝部41aを有する。挿入溝部41aは、前後方向Yに直線状に延びており、前後方向Yの両端に開口している。挿入溝部41aの左右方向外側を向く底面は、ケース対向面41bである。すなわち、センサケース40は、ケース対向面41bを有する。ケース対向面41bは、前後方向Yに沿って直線状に延びている。ケース対向面41bは、左右方向Xと直交する平坦面である。
【0023】
図3に示すように、柱状部41は、柱状部41の下面から上側に窪む環状のシール溝部46を有する。シール溝部46は、第2中心軸J2を中心とする円環状である。シール溝部46が設けられることで、シール溝部46の内側には下側に突出する凸部45が設けられている。凸部45には、凸部45の下面から上側に窪み、後述する収容空間40dと繋がるセンシング穴45aが設けられている。すなわち、センサケース40は、センサケース40の下面に、センシング穴45aを有する。センシング穴45aは、油圧センサ20が油路ボディ11の上面11aに取り付けられた状態において油路開口部12と繋がる。シール溝部46内には、Oリング24が配置されている。Oリング24は、油路ボディ11の上面11aとセンサケース40との間をシールする。
【0024】
フランジ部42は、柱状部41から柱状部41の径方向外側、すなわち第2中心軸J2を中心とする径方向外側に突出している。より詳細には、フランジ部42は、柱状部41の下端部から第2中心軸J2を中心とする径方向外側に突出している。フランジ部42は、柱状部41を第2中心軸J2周りに囲む円環状である。
【0025】
図2に示すように、延出部43は、柱状部41における第2壁部52よりも上側の部分から前後方向Yに延びている。延出部43は、フランジ部42よりも上側に配置されている。延出部43は、板面が上下方向Zと直交する板状である。取付状態において延出部43は、前後方向Yにおいて、第2壁部52の第1受容開口部57aと逆側、すなわち前側まで延びている。延出部43は、例えば、樹脂製である。
【0026】
対向部44は、延出部43の先端に設けられている。本実施形態において対向部44は、第1移動抑制面52aに引っ掛けられる爪部である。対向部44は、延出部43から下側に突出する。対向部44の下端は、第2壁部52の上面よりも下側に配置されている。対向部44は、傾斜面56および第1移動抑制面52aと前後方向Yに重なる位置に配置されている。
【0027】
図3に示すように、本実施形態においてセンサケース40は、上側ケース40aと蓋部40bと下側ケース40cとの3つの部材から構成されている。上側ケース40aは、柱状部41の上部を構成する部分である。挿入溝部41aおよび延出部43は、上側ケース40aに設けられている。上側ケース40aは、例えば、樹脂製の単一部材である。下側ケース40cは、柱状部41の下部を構成する部分である。フランジ部42は、下側ケース40cに設けられている。下側ケース40cは、例えば、金属製の単一部材である。蓋部40bは、上側ケース40aと下側ケース40cとに接触した状態で上下方向Zに挟まれている。
【0028】
下側ケース40cと蓋部40bとの上下方向Zの間には、収容空間40dが設けられている。収容空間40dは、ダイヤフラム23によって上下方向Zに仕切られている。収容空間40dの下部には、センシング穴45aの上端が開口している。センサ本体21は、収容空間40dの上部内において蓋部40bの下面に設置されている。収容空間40dの上部内には、圧力伝達用液が充填されている。取付状態においては、油路開口部12と繋がったセンシング穴45aを介して、収容空間40dの下部にオイルが流入する。収容空間40dの下部に流入したオイルの圧力は、ダイヤフラム23および圧力伝達用液を介してセンサ本体21に加えられる。これにより、油路11b内のオイルの油圧をセンサ本体21によって計測できる。
【0029】
接続端子22は、柱状部41の上端に配置されている。接続端子22は、上下方向Zに延びた3つの接続ピン22aを有する。図示は省略するが、接続ピン22aは、図示しない電源等の外部装置に接続され、外部装置とセンサ本体21とを電気的に接続する。
【0030】
油圧センサ取付構造30によって油圧センサ20を油路ボディ11に取り付ける際、取付者は、図1に示すように油圧センサ20の下面を油路ボディ11の上面11aに接触させた状態で、油圧センサ20を前側に移動させ、第1受容開口部57aからガイド突起部50の受容部57に挿入する。油圧センサ20が受容部57に挿入されると、図3に示すように、柱状部41は、第1突出部53同士の隙間に通される。すなわち、柱状部41の上部は、受容部57の上側の開口を介して、受容部57よりも上側に突出する。また、フランジ部42は、少なくとも一部が受容部57において油路ボディ11の上面11aと第1突出部53との上下方向Zの間に配置される。これにより、フランジ部42が第1突出部53に引っ掛かり、油圧センサ20が上側に移動することが抑制される。本実施形態では、取付状態においてOリング24は、上下方向Zに弾性変形しており、センサケース40に上向きの力を加えている。そのため、フランジ部42は、第1突出部53に下側から押し付けられている。
【0031】
受容部57に挿入された油圧センサ20をさらに前側に移動させると、対向部44が傾斜面56に接触する。そのため、油圧センサ20が前側に移動するのに従って、対向部44が傾斜面56に沿って上側に弾性変位する。このとき、本実施形態において対向部44は延出部43の先端に設けられているため、延出部43が弾性変形することで、対向部44が弾性変位しやすい。油圧センサ20がさらに前側に移動して、対向部44が第2壁部52の上面を超えて第2壁部52よりも前側に移動すると、延出部43および対向部44が復元して下側に移動する。これにより、図2に示すように、対向部44が、第1移動抑制面52aの前側に配置され、第1移動抑制面52aと対向する。したがって、対向部44が第1移動抑制面52aに引っ掛けられ、受容部57に挿入された油圧センサ20が後側に戻ることを抑制できる。これにより、油圧センサ取付構造を用いて、油圧センサ20を油路ボディ11に取り付けることができる。
【0032】
このように本実施形態によれば、フランジ部42によって油圧センサ20の上側への移動を抑制できると共に、対向部44によって油圧センサ20が後側に移動して第1受容開口部57aから抜けることを抑制できる。さらに、一対の第1壁部51あるいは一対の第1突出部53によって油圧センサ20の左右方向Xの移動を抑制できる。
【0033】
これにより、油路ボディ11に取り付けられた油圧センサ20にオイルの油圧によって高圧が加えられた場合であっても、油圧センサ20が油路ボディ11から外れることを抑制できる。また、ネジおよび取付部材を用いる必要がないため、油圧センサ20を小型化できると共に、油圧センサ取付構造30の部品点数を低減できる。したがって、本実施形態の油圧センサ取付構造30によれば、油圧センサ20の取付強度を確保しつつ、油圧制御装置全体が大型化することを抑制できる。また、油圧センサ取付構造30の部品点数が増大することを抑制でき、油圧制御装置の製造コストが増大することを抑制できる。また、油圧センサ20を受容部57に挿入させて対向部44を第1移動抑制面52aに引っ掛けることで油圧センサ20を取り付けることができるため、油圧センサ20を油路ボディ11に取り付けることが簡単かつ容易である。
【0034】
なお、油圧センサ20の左右方向Xの移動は、柱状部41が第1突出部53と接触することで抑制されてもよいし、フランジ部42が第1壁部51と接触することで抑制されてもよい。
【0035】
また、本実施形態によれば、対向部44が延出部43の先端に設けられるため、油圧センサ20を前側に移動させることで、延出部43を弾性変形させてスナップフィットによって対向部44を第1移動抑制面52aに引っ掛けることができる。そのため、油圧センサ取付構造30によって、油圧センサ20を取り付けることがより容易である。また、対向部44は第1移動抑制面52aに引っ掛けられる爪部であるため、油圧センサ取付構造30を簡単化できる。
【0036】
本実施形態では、第2壁部52が第1受容開口部57aとの間で油路開口部12を挟んで配置されるため、油圧センサ20の前側の移動を第2壁部52によって抑制できる。また、第2壁部52に第1移動抑制面52aが設けられるため、対向部44が引っ掛けられる位置を左右方向Xの中央にすることができ、1つの対向部44で油圧センサ20の後側への移動を安定して抑制することができる。
【0037】
また、図示は省略するが、本実施形態においてフランジ部42の一部は、取付状態において、油路ボディ11の上面11aと第2突出部54との上下方向Zの間に配置される。本実施形態では、フランジ部42の前側の部分が、上面11aと第2突出部54との上下方向Zの間に配置される。これにより、第1突出部53と第2突出部54との両方によって、フランジ部42の上側への移動を抑制することができるため、上下方向Zにおいて、油圧センサ20をより強固に取り付けることができる。
【0038】
取付状態において、例えば、油圧センサ20が第2中心軸J2周りに回転すると、対向部44が第1移動抑制面52aから外れ、油圧センサ20が第1受容開口部57aから抜ける場合がある。これに対して本実施形態では、図3に示すように、油圧センサ20を受容部57に挿入すると、挿入溝部41aに挿入ガイド部55bが挿入され、それぞれ前後方向Yに沿って直線状に延びたケース対向面41bと突起部対向面55cとが、互いに対向して配置される。そのため、油圧センサ20を第2中心軸J2周りに回転させようとすると、ケース対向面41bに突起部対向面55cが接触する。これにより、油圧センサ20が第2中心軸J2周りに回転することを抑制できる。したがって、取付状態において、対向部44が第1移動抑制面52aから外れることを抑制でき、油圧センサ20が第1受容開口部57aから抜けることを抑制できる。
【0039】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。以下の説明において上記説明と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
【0040】
第2壁部52は、左右方向Xに沿って直線状に延びていてもよい。また、第2壁部52は、第1壁部51と接続されていなくてもよい。また、センサケース40は、単一の部材であってもよい。
【0041】
<第2実施形態>
図4および図5に示すように、本実施形態の油圧センサ取付構造130において、ガイド突起部150には、第1実施形態と異なり第2壁部52が設けられておらず、一対の第1壁部51は、互いに接続されていない。なお、図4においては、非取付状態を示しており、図5においては、取付状態を示している。
【0042】
ガイド突起部150は、凹部158を有する。本実施形態において凹部158は、一対の第1壁部51のそれぞれに設けられている。凹部158は、第1壁部51の上面から下側に窪んでいる。凹部158は、第1突出部53の上面に跨って設けられており、左右方向内側に開口している。凹部158の上側から視た形状は、矩形状である。
【0043】
凹部158の内側面のうち前後方向Yと直交する面は、それぞれ前側を向く第1移動抑制面158aと後側を向く第2移動抑制面158bとである。すなわち、ガイド突起部150は、第1移動抑制面158aと、第2移動抑制面158bと、を有し、第1移動抑制面158aおよび第2移動抑制面158bは、前後方向Yに隙間を介して対向する凹部158の内側面である。
【0044】
受容部157は、前側に開口する第2受容開口部157bを有する。第2受容開口部157bは、第1受容開口部57aと前後方向Yに対向する。すなわち、受容部157は、前後方向Yの両側に開口する。受容部157は、第2受容開口部157bから前後方向Yに沿ってセンサケース140を受容可能である。そのため、前後方向Yのいずれの側からでも、油圧センサ120を受容部157に挿入できる。
【0045】
柱状部141の外周面には、第2中心軸J2を中心とする径方向内側に窪む溝部141bが設けられている。溝部141bは、第2中心軸J2を中心とする周方向に延びている。溝部141bは、第2中心軸J2を中心とする周方向に沿って複数設けられている。
【0046】
センサケース140は、柱状部141を囲む環状部143と、環状部143と柱状部141とを接続する接続部145と、を有する。環状部143の形状は、第2中心軸J2を中心とする円環状である。環状部143は、第1壁部51よりも上側に配置されている。接続部145は、環状部143の内周面と柱状部141の外周面とを接続する。接続部145は、柱状部141を前後方向Yに挟んで2つ設けられている。
【0047】
本実施形態において対向部144は、環状部143から下側に突出している。対向部144は、柱状部141を左右方向Xに挟んで2つ設けられている。対向部144の下端は、第1壁部51の上端よりも下側に配置されている。図5に示すように、各対向部144は、取付状態において、一対の第1壁部51に設けられた凹部158にそれぞれ嵌合される。対向部144は、凹部158内において第1移動抑制面158aおよび第2移動抑制面158bの両方と前後方向Yに対向する。これにより、第1移動抑制面158aと第2移動抑制面158bとの両方に対向部144が引っ掛けられ、油圧センサ120が前後方向両側に移動することを抑制できる。したがって、油圧センサ120が第1受容開口部57aおよび第2受容開口部157bから抜けることを抑制できる。また、第1移動抑制面158aおよび第2移動抑制面158bは、一対の第1壁部51のそれぞれに設けられている。そのため、2つの第1移動抑制面158aおよび2つの第2移動抑制面158bによって、油圧センサ120が第2中心軸J2周りに回転することを抑制できる。
【0048】
本実施形態では、油圧センサ120を前後方向Yに移動させて受容部157に挿入し始めると、対向部144の下端が第1壁部51の上面と接触する位置まで、対向部144が上側に弾性変位する。このとき、本実施形態において対向部144は環状部143に設けられているため、環状部143が弾性変形して対向部144を弾性変位させやすい。そのため、油圧センサ120を受容部157に挿入させやすい。油圧センサ120をさらに受容部157に挿入させ、対向部144が凹部158の位置に到達すると、対向部144および環状部143が下側に復元移動して、対向部144が凹部158に嵌合される。このように、本実施形態によれば、スナップフィットによって対向部144を凹部158に嵌合させることができるため、油圧センサ取付構造130によって、油圧センサ120を取り付けることがより容易である。
【0049】
<第3実施形態>
図6に示すように、本実施形態の油圧センサ取付構造230において、ガイド突起部250の回転抑制部255は、第1突出部53から上側に突出している。回転抑制部255は、前後方向Yに延びている。本実施形態において突起部対向面255aは、回転抑制部255の左右方向内側の面である。なお、図6においては、非取付状態を示している。
【0050】
油圧センサ220のセンサケース240は、回転抑制凸部247を有する。回転抑制凸部247は、柱状部141の外周面から、第2中心軸J2を中心とする径方向外側に突出している。回転抑制凸部247は、柱状部141を左右方向Xに挟んで2つ設けられている。本実施形態においてケース対向面247aは、回転抑制凸部247の左右方向外側の面である。取付状態において、ケース対向面247aと突起部対向面255aとは、互いに対向して配置される。これにより、油圧センサ220が第2中心軸J2周りに回転することを抑制できる。
【0051】
上述した各実施形態の油圧センサ取付構造によって油圧センサを取り付けることができる油路ボディは、内部にオイルが流れる油路を有していればよく、特に限定されない。各実施形態の油圧センサ取付構造は、例えば、電動オイルポンプに対する油圧センサの取付構造に適用されてもよい。
【0052】
上記の各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0053】
11…油路ボディ、11b…油路、12…油路開口部、20,120,220…油圧センサ、21…センサ本体、30,130,230…油圧センサ取付構造、40,140,240…センサケース、41,141…柱状部、41b,247a…ケース対向面、42…フランジ部、43…延出部、44,144…対向部、45a…センシング穴、50,150,250…ガイド突起部、51…第1壁部、52…第2壁部、52a,158a…第1移動抑制面、53…第1突出部、54…第2突出部、55c,255a…突起部対向面、57,157…受容部、57a…第1受容開口部、143…環状部、157b…第2受容開口部、158…凹部、158b…第2移動抑制面、X…左右方向(第1方向)、Y…前後方向(第2方向)、Z…上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6